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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】テープのロボット適用
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528521
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 IB2022060574
(87)【国際公開番号】W WO2023089435
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,111
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ミルキー,エーリッヒ アー.
(72)【発明者】
【氏名】ドン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ジョン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘムス,ブレット アール.
(72)【発明者】
【氏名】レディー,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボディリー,ダニエル エム.
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707AS23
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS05
3C707KS10
3C707KT03
3C707KT06
3C707LS15
3C707LT06
3C707LV04
3C707LV05
(57)【要約】
ロボットアームに取り付けられたテープアプリケータを使用して物体表面上にテープを適用する自動化されたシステム及び方法が提供される。コントローラによって命令されるテープアプリケータは、テープアプリケータが物体表面に沿って移動する間、物体表面上のリアルタイムで更新されたテープ被覆経路を自動的にたどって、テープ適用を最適化することができる。テープアプリケータはまた、リアルタイムでタブを作成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体表面上にテープを適用する方法であって、
ロボットを前記物体表面に隣接して位置決めすることであって、前記ロボットがエンドエフェクタを備え、前記エンドエフェクタがテープアプリケータを備える、位置決めすることと、
前記テープを前記物体表面に適用するためのテープ被覆経路を決定することと、
前記エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、
前記テープ被覆経路の経路実現可能性を判定することと、
判定された前記経路実現可能性に基づいて、前記テープ被覆経路及び前記移動軌道を更新することと、
更新された前記テープ被覆経路上に前記テープを適用することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記物体表面上の前記テープ被覆経路を決定することが、ユーザから、前記物体表面の三次元(3D)モデルにおける前記テープ被覆経路に関する仕様を受信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビジョンシステムを介して、前記テープ、前記物体表面、及び前記エンドエフェクタの撮像データを取得することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記撮像データに基づいて、前記テープ被覆経路上の前記テープの被覆を検証することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記経路実現可能性を判定することが、前記テープ被覆経路上の衝突点及び曲率部分のうちの少なくとも1つを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記経路実現可能性を判定することが、前記テープの変形を検出することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記経路実現可能性を判定することが、前記テープの前記適用中の前記物体表面の動きを検出することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記経路実現可能性を判定することが、周囲温度及び周囲湿度を含む環境条件を判定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記判定された経路実現可能性に基づいて、ユーザに通知を送信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザからフィードバックを受信することと、前記フィードバックに基づいて、前記テープ被覆経路を更新することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物体表面上に前記テープを適用することが、前記テープをタブ機構に装填することと、前記テープの縁部にタブを作成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記タブを作成することが、前記タブの前記縁部を折り畳むことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タブを作成する前に、前記テープを切断して前記テープの新しい縁部を作成することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
物体表面上にテープを適用するための自動化されたシステムであって、
テープロール及びタブ化機構を備えるエンドエフェクタと、
前記テープ、前記物体表面、及び前記エンドエフェクタについての撮像データを取得するための1つ以上の撮像センサを備えるビジョンシステムと、
前記エンドエフェクタ及び前記ビジョンシステムに機能的に接続されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、
前記物体表面上のテープ被覆経路を決定し、
前記エンドエフェクタを介して、前記物体表面上に前記テープを適用するために、前記エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、
前記テープ被覆経路の経路実現可能性を判定し、
判定された前記経路実現可能性に基づいて、前記テープ被覆経路を更新し、
更新された前記テープ被覆経路上に前記テープを適用する、
ように構成されている、自動化されたシステム。
【請求項15】
前記タブ化機構が、前記テープの縁部を定位置に保持するための真空プレートを更に備える、請求項14に記載の自動化されたシステム。
【請求項16】
前記真空プレートが、第1の部分と、前記第1の部分に対して折り畳み可能な第2の部分と、を備える、請求項15に記載の自動化されたシステム。
【請求項17】
ロボットアームを更に備え、前記エンドエフェクタが、前記ロボットアームに取り付けられている、請求項14に記載の自動化されたシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、前記ビジョンシステムからの前記撮像データに基づいて前記物体表面上の前記テープの状態を判定するように更に構成されている、請求項14に記載の自動化されたシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
マスキングテープ又は保護テープなどの様々なテープは、自動車部品又は交換部品の表面などの物体表面に適用することができる。ロボット適用システムを使用して、テープの適切な芸術的かつ機能的な適用が保証されてきた。これらのテープは、人力又はロボットシステムによって物体表面から除去することができる。
【発明の概要】
【0002】
起伏のある表面上にテープを精密に適用することが望まれている。本開示は、湾曲した三次元(3D)の又は起伏のある表面などの物体表面上に除去可能なテープを適用するための自動化されたシステム及び方法を提供する。
【0003】
一態様において、本開示は、物体表面上にテープを適用する方法を説明する。本方法は、ロボットを物体表面に隣接して位置決めすることを含む。ロボットは、テープアプリケータを含むエンドエフェクタを含む。本方法は、テープを物体表面に適用するためのテープ被覆経路を決定することと、エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、テープ被覆経路の経路実現可能性を判定することと、判定された経路実現可能性に基づいて、テープ被覆経路及び移動軌道を更新することと、更新されたテープ被覆経路上にテープを適用することと、を更に含む。
【0004】
別の態様において、本開示は、物体表面上にテープを適用するための自動化されたシステムを説明する。本システムは、テープロール及びタブ化機構を備えるエンドエフェクタと、テープ、物体表面、及びエンドエフェクタについての撮像データを取得するための1つ以上の撮像センサを含むビジョンシステムと、エンドエフェクタ及びビジョンシステムに機能的に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、物体表面上のテープ被覆経路を決定し、エンドエフェクタのための移動軌道を決定し、エンドエフェクタを介して、物体表面上にテープを適用するために、エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、テープ被覆経路の経路実現可能性を判定し、判定された経路実現可能性に基づいて、テープ被覆経路を更新し、更新されたテープ被覆経路上にテープを適用する、ように構成されている。
【0005】
様々な予期せぬ結果及び利点が、本開示の例示的な実施形態において得られる。本開示の例示的な実施形態の1つのそのような利点は、テープアプリケータが物体表面に沿って移動する間、物体表面上で最適化されたテープ被覆経路を自動的にたどって、テープ適用を最適化できることである。加えて、実施形態は、特に、所望の経路からのわずかな偏差がテープのしわ又は不十分な被覆につながり得る非平坦面上で、適用精度を向上させる。加えて、最適化された被覆経路では、最小量のテープを使用して領域を被覆することができる。テープアプリケータはまた、リアルタイムでタブを作成することができる。
【0006】
以上が本開示の例示的な実施形態の様々な態様及び利点の概要である。上記の「発明の概要」は、本開示の例示的な実施形態の、図示される各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図するものではない。以下の図面及び「発明を実施するための形態」は、本明細書に開示される原理を使用する特定の好ましい実施形態を、より詳細に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
図1】一実施形態による、物体表面上にテープを適用するためのエンドエフェクタを含む自動化されたシステムの側面透視図を示す。
図2】一実施形態による、物体表面上にテープを適用するためのエンドエフェクタの側面透視図である。
図3A】一実施形態による、タブ化機構の側面透視図である。
図3B図3Aのタブ化機構の側面透視図である。
図3C図3Aのタブ化機構の側面透視図である。
図3D図3Aのタブ化機構の側面透視図である。
図4A】一実施形態による、図1のエンドエフェクタツールの座標系の概略図を示す。
図4B】テープ被覆経路のデジタル3Dモデルの概略図である。
図4C】テープ被覆経路の一部分のモデルの概略図である。
図5A】一実施形態による、テープ適用システムのブロック図を示す。
図5B】一実施形態による、ロボットコントローラのブロック図を示す。
図6】一実施形態による、物体表面上にテープを適用する方法のフロー図を示す。
図7】一実施形態による、テープ適用プロセスのブロック図を示す。
【0008】
図面では、同様の参照符号は、同様の要素を示す。上記に特定した図面は、縮尺通りに描かれていないことがあり、本開示の様々な実施形態を説明しているが、「発明を実施するための形態」で指摘するように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、本明細書で提供される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的な実施形態を表現することによって説明する。本開示の範囲及び趣旨に含まれる、数多くの他の修正形態及び実施形態を、当業者によって考案することができる点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、物体表面上にテープを適用するための自動化されたシステム及び方法を提供する。自動化されたシステムは、物体表面にテープを取り付けるためのロボットテープアプリケータと、適切な軌道及び経路をたどって所望の物体表面を適切に被覆することを保証するための、付随するアルゴリズムと、を含む。図1のテープ適用システム100など、本明細書に記載されるテープ適用システム及び方法は、従来のテープ適用において遭遇するいくつかの技術的問題を克服するのに役立ち得る。典型的には、マスキングテープを使用して湾曲した3D表面をマスクする場合、いくつかの問題が起こり得る。例えば、テープ被覆経路の曲率が高すぎる場合、テープが、テープ被覆経路を精密にはたどらない場合があり、テープに気泡が入る及び/又はしわがよるなどの欠陥が生じる可能性がある。テープが比較的剛性である場合、テープ被覆経路の幾何学形状を考慮するために、複数のテープ片が使用され得る。本明細書に記載されるテープ適用システム及び方法は、変形可能な又は剛性のテープを、起伏のある表面上のテープ被覆経路をたどるように精密に適用することができる。変形可能なマスキングテープ又は精密マスキングテープを使用して設計特徴部に手動で適用しようとすることは、人間のオペレータにとって困難な作業である可能性がある。表面の曲率を考慮するとともに、適切な力を使用して物体表面上での適切なテープのウェットアウトを保証する、本明細書に記載されるロボット適用システム及び方法を使用することによって、テープの適切な芸術的かつ機能的な適用の保証をより高めることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるロボット適用システム及び方法は、後の時点での除去を容易にするためのタブを更に作成することができる。
【0010】
図1は、物体表面2上にテープ4を適用するためのエンドエフェクタ20を含むテープ適用システム100の側面透視図を示す。テープ適用システム100は、関節13a、13bによって接続された複数のアーム部分12a、12bを含む、ロボットアーム10を有する。エンドエフェクタ20は、ロボットアーム10の遠位端において取り付けインターフェース14に機能的に接続されている。取り付けインターフェース14は、特定の取り付け基準に基づいて設計されてもよく、同じ取り付け基準に基づいた様々なエンドエフェクタツールと適合性があってもよい。いくつかの実施形態では、取り付けインターフェース14は、エンドエフェクタ20をロボットアーム10に機能的に接続するための様々な機械的及び電気的手段を含んでもよい。例えば、取り付けインターフェースは、スマートエンドエフェクタ20をロボットアーム10に機械的に取り付けるための任意の適切な締結デバイスを含んでもよい。取り付けインターフェースは、エンドエフェクタとロボットアームとの間で電気信号を通信するために、又はロボットアームからエンドエフェクタに電力を供給するために、任意の適切な電気接続部を更に含んでもよい。
【0011】
ロボットコントローラ16を使用して、ロボットアームコマンドプログラムを実行し、エンドエフェクタ20の移動軌道を精密に制御できるように、ロボットアーム10の運動を制御することができる。いくつかの実施形態では、ロボットアームコマンドプログラムは、例えば、アーム部分及び関節の位置、向き、速度を含む運動パラメータのセットによりロボットアーム10の運動を制御し得る。
【0012】
図1に示される実施形態では、テープ適用システム100は、物体表面2に取り付けられる接着テープ4を適用する。物体表面2は、例えば、自動車部品表面(例えば、図1に示されるようなサイドウィンドウ表面)であり得る。物体表面は、平面又は様々な表面曲率を有する非平面多様体を有してもよい。ロボットコントローラ16は、エンドエフェクタ20が、物体表面2に近付いて物体表面2を巡るように移動し、物体表面2のテープ被覆経路上にテープ4を適用するように、ロボットアームの運動を制御することができる。いくつかの実施形態では、ロボットコントローラ16は、エンドエフェクタ20に電気、空気圧などの形態で動力を供給するための、ロボットコントローラ16の動力源への任意の動力インターフェースを含んでもよい。
【0013】
エンドエフェクタ20は、図2に示されるロボットテープアプリケータ40などのロボットテープアプリケータを含む。テープアプリケータ40は、ロボットアーム10に取り付けられたエンドプレート45に取り付けられている。テープロール3は、モーター式供給ローラ44に取り付けられており、テープ4を自動的に巻き出すためのサーボモータに取り付けられている。テープロール3から出たテープ4は、押圧及びタブ化機構50に供給される。押圧及びタブ化機構50は、テープ4を定位置に保持するための真空プレート52を含む。テープ4をテープロール3から真空プレート52に案内するために、ガイドローラ51及び第1の押圧ローラ53が設けられる。
【0014】
図3Aに示されるように、真空プレート52は、テープ4の非接着面43上にテープの先頭42を保持するように構成され、テープの接着面41は物体表面2に面している。真空プレート52は、回転継手523を介して互いに接続された2つの部品522及び524を有する。真空プレート52の部品524は固定されているが、部品522は、回転モータ(図示せず)によって、矢印方向7に沿って部品524に対して回転され得る。回転モータを作動させると、図3Bに示されるように、テープの先頭42を折り畳んで、隣接する接着面41同士を接合し、テープの先頭42にタブ5を形成するように、真空プレート50の部品522が部品524の上に折り畳まれる。図3Cに示されるように、真空プレート52がテープの先頭42を定位置に保持しながら、押圧ローラ53がテープ4を押し下げて、接着面41を物体表面2に取り付ける。次いで、真空プレート50を開いてテープ4から取り外すことができる。
【0015】
図3Dを参照すると、テープ4を物体表面2に押し付けるための押圧ローラ53、55が設けられている。押圧ローラ53、55は各々、エアシリンダに取り付けられており、物体表面2上のテープ4をタックダウンし、ウェットアウトするように作動することができる。所望の長さのテープ4が物体表面2のテープ被覆経路上に適用された後にテープ4を切断するために、エアシリンダにブレード54が取り付けられる。テープ4を切断する前に、真空プレート52を、形成される新しいテープの先頭42を保持し、かつ、切断後に上述のようにして新しいタブを作成するように位置決めすることができる。
【0016】
図3A図3Dに示される実施形態では、押圧及びタブ化機構50は、2つの押圧ローラ53及び55と、1つのガイドローラ51と、を含む。他の数及び種類のローラを使用して、物体表面のテープ被覆経路にテープを適用できることを理解されたい。いくつかの実施形態では、押圧ローラ53及び55などのそれぞれのローラの向き及び位置は、物体表面のテープ被覆経路を精密にたどるようにテープを制御できるように、リアルタイムで調整することできる。加えて、押圧ローラを介して適切な押圧力を印加して、物体表面2上での適切なテープのウェットアウトを保証することができる。様々な力センサを使用して、アプリケータがテープに印加している圧力(例えば、力の値をテープ幅で除算したもの)を監視することができる。力フィードバックを用いて、圧力をリアルタイムで調整することができる。図示の実施形態では、真空プレート52は、押圧ローラ53と55との間に位置決めされている。ブレード54は、真空プレート52に近接してその下流に位置決めされている。
【0017】
テープの先頭に形成されたタブは、後の時点での物体表面からのテープの除去を容易にすることができる。取り付けられたテープ4を物体表面2から除去するとき、エンドエフェクタ20の把持機構は、例えば、一対のグリッパジョーによってテープタブを把持することができる。様々な実施形態において、把持機構は、把持機構によるテープタブの把持を容易にするために、楔、スクレーパ、エアブロワー、又はそれらの組み合わせを更に含んでもよい。例えば、テープタブは、把持のためにエアブロワーによって持ち上げられることができる。
【0018】
テープ4は、任意の可撓性接着テープであってよい。テープ4は、物体表面2に接着接合される接着面を含む。テープ4の接着面は、例えば、ゴム、シリコーン、アクリル系接着剤などを含む剥離可能な接着剤などの任意の好適な接着剤を含んでもよい。接着面は、例えば、感圧性接着剤(PSA)又はエポキシ接着剤などの非ストレッチリリース接着剤を含んでもよい。接着面は、接着面を物体表面2から分離することを可能にするのに十分な可撓性を有する可撓性バッキング層上に配置することができる。接着テープ4はまた、所望の用途によって必要とされる形状適合性及び弾性特性を提供してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタ20は、テープ適用が進行するにつれてテープロール3からテープ4を巻き出すための巻き出し機構を含むことができる。巻き出し機構は、物体表面に取り付けられるテープの長さが物体表面上のテープ被覆経路の長さと実質的に同じになるような速さでテープを巻き出すことができる。
【0020】
動作においては、テープ適用システム100は、ロボットアームとそのエンドエフェクタ(例えば、テープアプリケータ)との間の通信を初期化することによって始動する。ロボットアーム(例えば、ロボットアーム10)及びエンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ20)は、互いに通信して、それぞれの状態情報を更新する。このようなそれぞれの状態情報としては、例えば、パワーオンセルフテスト(power on self-tests、POST)、始動向き及び座標系、物体表面上のテープ被覆経路などを挙げることができる。エンドエフェクタは、ロボットアームのロボット制御インターフェースからロボットアームの状態情報を受信してもよい。ロボットアームの状態情報としては、例えば、アーム部分及び関節の位置、向き、又は速度を含む運動パラメータのセットを挙げることができる。
【0021】
物体表面上にテープを適用するときのエンドエフェクタの作動状態は、様々なセンサによって検出することができる。例えば、図1に示される実施形態は、マシンビジョン又は3Dビジョンセンシングを提供するためのビジョンシステム32を含む。ビジョンシステム32は、エンドエフェクタの画像データをキャプチャすることができ、この画像データを分析して、エンドエフェクタの作動状態を判定することができ、ロボットアームの運動を停止又は調整するための通知又は命令をロボットコントローラに送信することによって、ロボットアームの初期化を中断するかどうかを決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、緊急イベントが検出されると、初期化を停止するための通知を送信することができる。
【0022】
ビジョンシステム32はまた、マシンビジョン又は三次元(3D)ビジョンセンシングを提供して、物体表面2上のテープ被覆経路に関するユーザ命令を受信することができる。ビジョンシステム32が、ユーザから命令を受信し、初期テープ被覆経路を決定すると、命令がロボットコントローラに送信され、ロボットアームの運動を調整して初期位置にエンドエフェクタを位置決めし、初期テープ経路上へのテープの適用の準備をすることができる。
【0023】
ビジョンシステム32は更に、物体表面2上のテープ被覆を評価又は検証し、ユーザにフィードバックを提供するのに役立ち得る。ビジョンシステム32は、物体表面2上のテープ4についての撮像データを取得して、表面マッピング情報を提供することができる。例えば、物体表面2上のテープ4の2D透視投影又は輪郭を生成し、それを処理して、物体表面2上の所定のテープ被覆経路とテープ被覆が一致するかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、物体表面2上のテープ被覆は、エンドエフェクタの座標系における所定のテープ被覆経路に対するテープの表面及び対応する座標(x、y、z)を走査することによって判定することができる。判定されたテープ被覆は、ロボットアームの運動パラメータ及びエンドエフェクタの動作パラメータを調整するための入力としてロボットコントローラに通信することができる。
【0024】
エンドエフェクタ20は、ロボットアーム10の取り付けインターフェースに取り付けることができる。エンドエフェクタ20は、物体表面2を巡って進む際に、ロボットアーム10の運動によって、その位置、向き、移動軌道などを調整するように制御される。物体表面2上の初期テープ被覆経路が決定されると、適用パラメータの初期セットを含む命令をエンドエフェクタに送信し、初期テープ被覆経路に沿ってエンドエフェクタを移動させて物体表面上にテープを適用することができる。
【0025】
図4は、物体表面上にテープを適用するエンドエフェクタの座標系における様々なテープアプリケータの角度/向きの概略図を示す。エンドエフェクタは、方向21に沿って特定の速度で移動して、テープ被覆経路9をたどるようにテープを適用する。エンドエフェクタ、テープアプリケータ、並びに、図3Dの押圧ローラ53及び55並びにガイドローラ51などのテープアプリケータの任意のローラの向きは、湾曲した三次元(3D)表面又は起伏のある表面であり得るテープ被覆経路9とエンドエフェクタの移動軌道が一致するようにピッチ角θ、ヨー角ψ、及びロール角φのうちの少なくとも1つを変化させることによって、調整することができる。速度は、例えば、約0.001m/秒~約1.0m/秒の範囲とすることができる。ピッチ角θ、ヨー角ψ、及びロール角φは各々、例えば、約-30度~約30度の範囲とすることができる。
【0026】
図5Aは、一実施形態による、テープ適用システム500のブロック図を示す。テープ適用システム500は、動力ロボットアーム520に機能的に接続されたエンドエフェクタ510を含む。エンドエフェクタ510は、物体表面上にテープを適用するときの作動状態情報を検出するための1つ以上のセンサ512(例えば、センサ1、...センサN)を含む。複数のセンサ512には、例えば、テープ4を物体表面2に押し付けるために加えられるリアルタイムの力を測定する力センサを含むことができる。いくつかの実施形態では、適合するロボットフランジとテープアプリケータとの間に力センサを取り付けて、テープ適用の力を測定することができる。力フィードバックを使用して、アプリケータがテープに印加している圧力を監視し、所望の接着品質を得るための適切なウェットアウトを保証することができる。また、力データを分析して、物体表面上に適用されるテープの一部分の変形状態を判定してもよい。好適な力センサとしては、例えば、シリコン歪みゲージを利用して三次元(3D)座標系における力及びトルクの6つの成分全てを測定する多軸ロードセルを挙げることができる。力センサは、トランスデューサ、インターフェース電子機器、及びケーブルを含んでもよい。
【0027】
センサ512はまた、図1のビジョンシステム32によって含まれ得る又はそのビジョンシステム32を補足し得る、1つ以上の撮像センサ又はビジョンセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ビジョンセンサのうちの1つ以上をビジョンシステム32と統合することができる。いくつかの実施形態では、ビジョンセンサのうちの1つ以上をエンドエフェクタ20と統合して、ビジョンシステム32に機能的に接続することができる。ビジョンシステム32は、撮像センサから様々な撮像データを受信してもよく、そのデータを処理して、例えば、物体表面の3D画像モデル情報、テープ及び物体表面の状態情報などの関連情報を取得してもよい。例えば、ビジョンセンサ又は撮像センサは、物体表面を走査して、物体表面の3D画像モデルを提供することができる。画像データはまた、物体表面の、コンピュータにより実装される撮像モデル(例えば、CAD)と、場合によっては、ロボットのテープアプリケータに対する物体表面の位置を保証するための何らかのグローバル位置合わせプロセスと組み合わせることができる。画像センサはまた、物体表面に対するエンドエフェクタの相対的な位置/向きを検出することができ、ビジョンシステム32は、画像データに基づいて、物体表面とエンドエフェクタとの間の変位のリアルタイムの変化を測定することができる。エンドエフェクタ20に位置するビジョンセンサ又は撮像センサは、物体表面上のテープの被覆を検出し、撮像データをビジョンシステム32に通信することができる。ビジョンシステム32は、画像データに基づいて物体表面上のテープの被覆状態を判定することができる。
【0028】
センサ512はまた、例えば、周囲温度、周囲湿度、又はエンドエフェクタ、テープ、及び/もしくは物体表面の他の条件などの環境情報を検出するための様々なセンサを含んでもよい。作動環境においては、1つ以上のセンサと、感知された環境条件を示すデータを出力するように構成されたコントローラとを含む、1つ以上のワイヤレス対応センシングステーションが設けられてもよい。検出された環境条件データを使用して、テープを伸長させて物体表面に押し付けるためにテープに加えられる力を調整することができる。様々な温度及び湿度の下では、テープの接着剤及びバッキングの材料特性が変化する可能性があり、これにより適用力が変化する。環境情報を組み込むことによって、例えば、テープの過剰な伸長が欠陥を導入することなく、適切なテープ適用を保証するための所望の力のより正確な推定値を得ることが可能である。
【0029】
センサ512からのセンシング信号(例えば、アナログセンサ信号)は、プロセッサユニット514によって受信され、処理される。プロセッサユニット514は、アナログセンサ信号をサンプリングしてアナログセンサ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器(ADC)構成要素を含んでもよい。プロセッサユニット514は、デジタル信号を処理及び抽出してリアルタイムツール状態情報、通知、又は命令を生成し、生成された情報をロボットコントローラに通信する、デジタル信号処理構成要素を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサユニット514は、ロボットコントローラ16に統合されてもよく、エンドエフェクタに位置しなくてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサユニット514によって生成されるリアルタイムツール状態情報は、例えば、物体表面2上のテープ被覆経路に対するエンドエフェクタの現在位置/向き情報を含んでもよい。リアルタイムツール状態情報は、テープの伸長又は押圧力を更に含んでもよい。リアルタイムツール状態情報は、例えば、テープの被覆状態、物体表面とエンドエフェクタとの間の変位のリアルタイムの変化などを更に含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロセッサユニット514によって生成されるリアルタイム通知は、例えば、位置通知(例えば、エンドエフェクタがテープの縁部にあるという、ロボットコントローラへの通知)、経路調整通知(例えば、テープ回収経路が部分的に又は完全に調整されたという、ロボットコントローラへの通知)などを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、プロセッサユニット514によって生成される命令は、例えば、エンドエフェクタの動作をどのように制御するかに関するツール動作命令、エンドエフェクタの位置、エンドエフェクタの移動軌道、剥離速度、エンドエフェクタの向きを調整するようにロボットコントローラに命令する移動命令、などを含んでもよい。ツール動作命令は、例えば、エンドエフェクタをオン/オフするためのロボットコントローラへのオン/オフ命令、エンドエフェクタのモータの動作を制御するためのロボットコントローラへのモータ制御命令、などを含んでもよい。
【0033】
エンドエフェクタ510からのリアルタイム状態情報、通知、又は命令は、ツール制御インターフェース516及びロボット制御インターフェース526を介してロボットコントローラ16に送信することができる。次いで、ロボットコントローラ16は、リアルタイム状態情報を使用して、エンドエフェクタ510の移動軌道を精密に制御できるように、ロボットアームの運動パラメータを同時に更新することができる。ロボットコントローラ16はまた、エンドエフェクタ510からの通知をもって又は命令に従ってアクションを取ることにより、テープ適用システム100をそれに従って制御することもできる。いくつかの実施形態では、ロボットコントローラ16は、エンドエフェクタからリアルタイム状態情報、通知、又は命令を受信し、受信した情報を解釈し、その通知又は命令が予め設定された規則と適合性があるかどうかをチェックし、それに対応するように命令を実装してもよい。例えば、ロボットコントローラ16は、エンドエフェクタに、物体表面に対するその位置を調整するための移動ベクトルを提供してもよい。ロボットコントローラ16は、ロボットアームに、テープアプリケータが物体表面にテープを押し付けるために適切な力を加えるように命令することができる。ロボットコントローラ16は、ロボットコントローラによって緊急条件が判定されたときに、エンドエフェクタに緊急停止コマンドを提供して停止させることができる。また、ロボットコントローラ16は、他の動作を行うように様々な部分に命令することもできる。
【0034】
図5Bは、一実施形態による、ロボットコントローラ16のブロック図である。ロボットコントローラ16は、本システムの様々な部分に機能的に接続し、様々な制御機器、プロセッサ、記憶デバイスなどによって本システムの動作を調節する。図5Bの図示された実施形態では、ロボットコントローラ16は、ビジョンシステム32、センサ512、及び/又はエンドエフェクタ310から様々なセンシングデータを受信するための入力ユニット162を含む。例えば、入力ユニット162は、物体表面上のテープ被覆経路に関する撮像データを撮像センサから受信してもよい。ロボットコントローラ16は、入力ユニット162によって受信されたデータを処理し、受信されたデータに基づいて本システムの様々な部分に命令を提供する命令ユニット164を更に含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、命令ユニット164は、受信された撮像データ又はテープ被覆経路に関連する他のセンシングデータを処理し、そのセンシングデータを分析して、テープ被覆経路上に任意の衝突点又は不可能な曲率部分があるかどうかを判定することができる。衝突点は、ロボット及びエンドエフェクタがテープ適用を達成できない所望のテープ修復が位置する、物体表面上の領域であってもよい。例えば、いくつかのヘッドランプアセンブリの周囲では、経路は、ロボットアーム又はエンドエフェクタが、物体表面に隣接する別の物体と衝突せずには、示された表面上にテープを配置することができない位置になる可能性がある。衝突点は、所望の経路によって示されるデカルトウェイポイントに沿って逆運動学アルゴリズムを実行し、各ウェイポイントにおける関節位置及びロボットモデルをチェックして、ロボットモデルの任意の部品が環境/基板モデルの任意の部品と衝突しているかどうかを確認することによって、検出することができる。不可能な曲率部分は、(剛性のテープ品質又は変形可能なテープ品質のいずれかを使用して)単一のテープ部分によって達成するには低すぎる曲率半径を有する部分であり得る。この曲率に沿ってテープをうまく適用するために、この部分を2つ以上の部分に分割する必要があり得る。テープの単一ラインを使用してこの位置を処理できないことをユーザに警告する必要があり得る。これを検出することは、所望の接着剤経路に沿って(CAD、又は画像処理/3D部品走査によって)前処理を行い、次いで、特定のアルゴリズムを使用して、テープの曲率が特定の変形能を有するテープには高すぎるかどうかを判定することになる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ビジョンシステム32は、撮像データを取得及び処理し、処理された撮像データを入力ユニット162に送信してもよい。ロボットコントローラ16は、例えば、物体表面の所定の3Dモデル、基板/物体表面上の所定のテープ被覆経路、予め設定された規則又はポリシー、動的に更新される状態情報などを含む情報を記憶する記憶ユニット166を更に含む。予め設定された規則又はポリシーは、テープの適用中に生じ得る様々な事象について予め決定することができる。例えば、システムを操作するユーザは、テープの破損の検出が緊急イベントであるという規則を設定することができる。
【0037】
図6は、一実施形態による、物体表面上にテープを適用する方法600のフロー図を示す。方法600は、例えば図2のロボットテープアプリケータ40を含む、本明細書に記載される様々なテープ適用システムによって実装することができる。610において、ロボットに、図1のロボットアーム10などのロボットアームに取り付けられたエンドエフェクタを準備する。図1のエンドエフェクタ20などのエンドエフェクタが、ロボットアーム10の遠位端に機能的に接続される。エンドエフェクタは、物体表面にテープを適用するように構成された図2のテープアプリケータ40などのテープアプリケータを含む。次いで、方法600は、620に進む。
【0038】
620において、テープ適用システムは、物体表面上の初期テープ被覆経路を決定する。テープ被覆経路は、テープによって被覆される物体表面の一部分のデジタル二次元(2D)又はデジタル三次元(3D)透視投影、あるいは表面輪郭であり得る。テープのそのような2D透視投影又は3D透視投影あるいは物体表面部分の輪郭は、予め決定することができ、ビジョンシステム32によってリアルタイムで更新することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ビジョンシステムは、物体表面を走査して、ロボットアームの座標系に対する物体表面の2D透視投影又は3D透視投影あるいは輪郭を発現させるカメラを含んでもよい。
【0039】
ロボットが、テープを適切な位置に適切な適用手順で適用するために空間内のどこに移動すべきかを知るために、テープが適用される物体表面の3Dモデルをシステムに提供することができる。このモデルは、例えば、(例えば、手動による又はロボットを用いた)物体表面の3D走査によって、所定のデジタル3Dモデルを使用することによって、又は他の好適な方法を含む、様々な手段を通じて取得することができる。いくつかの実施形態では、物体表面の幾何学形状は、デジタル二次元(2D)又はデジタル三次元(3D)モデルによって表すことができる。デジタルモデルは、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)、コンピュータ支援製造(computer-aided manufacturing、CAM)、コンピュータ支援エンジニアリング(computer-aided engineering、CAE)、又は他の適切な用途のための電子ファイルの形態とすることができる。デジタルモデルは、予め決定され、例えば、図5Bの記憶ユニット166に記憶され、ロボットコントローラ16によって検索され得る。グローバル部品位置合わせは、モーションキャプチャもしくはマシンビジョン技術、又は他の好適な方法によって実装することができる。このプロセスにより、ロボットは、部品の幾何学形状、並びに空間内の位置を知ることができるようになる。
【0040】
ロボットは、次に、テープをどこに適用すべきかを知る必要がある。いくつかの実施形態では、システムは、ユーザから、物体表面のデジタル三次元(3D)モデルにおけるテープ被覆経路に関する仕様を受信することができる。デジタル3Dモデルにおけるテープ被覆経路は、開始点と、終了点と、開始点と終了点とを接続する一連のウェイポイントと、を含むデジタル点線曲線によって表すことができる。開始点aと、終了点bと、開始点aと終了点bとを接続する一連のウェイポイント...(i-1)、i、(i+1)と、を含む、テープ被覆経路の1つの例示的なモデルが、図4Bに示される。ユーザは、様々な手段によって物体表面上のテープの位置(すなわち、テープ被覆経路)を指定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザは、CAD/CAMソフトウェアを使用してコンピュータによって経路をトレースする、マシンビジョン又はモーショントラッキングを使用してユーザがトレースするときの手の位置をトレースする、あるいは、何らかの他の方法を使用することにより、仮想現実(VR)デバイス(例えば、VRヘッドセット)を使用して物体表面の3D空間内のテープ被覆経路を指定することができる。
【0041】
指定された初期テープ被覆経路を用いると、システムは、エンドエフェクタが物体表面に対して移動するための初期移動軌道を計画することができる。本開示では、システムは、例えば、軌道曲線を平滑化すること、テープ被覆経路上の制約/実現可能性を判定すること、テープ被覆経路の実現可能性を更新する/知らせること、フィードバックに基づいてテープ被覆経路を調整することなどを含めて、移動軌道を計画することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、システムは、図4Bに示される曲線などの軌道曲線を平滑化することができる。例えば、テープ被覆経路の入力方法に応じて、入力ウェイポイント、あるいは、加速度もしくは躍度又は角加速度もしくは角躍度における大きなスパイクを含む領域に何らかのノイズが存在する可能性がある。システムは、ユーザのニーズに基づいて、ノイズを除去するために、加速度/躍度を低減するために、又は他の目標のために軌道を平滑化することができる。信号からのノイズの除去、加速度/躍度を最小限に抑えるための軌道の平滑化、及び他の平滑化の必要性のために、様々なアルゴリズムを使用することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、システムは、指定されたテープ被覆経路が実現可能であるかどうかを判定することができる。これは、制約(例えば、衝突点、指定されたテープ被覆経路上の不可能な曲率部分)を使用して経路実現可能性を判定することを含んでもよい。システムは、テープ被覆経路のウェイポイント(及びセンサによって更新されたウェイポイント)が、テープの何らかの変形能の範囲内でトレースできる経路を提供することを保証することができる。ウェイポイントがその範囲を超えると、制約を緩和することができる。例えば、ウェイポイントは、(距離を維持するために)前後のウェイポイントの交差線に垂直な接線に沿って移動することによって調整することができる。
【0044】
テープ被覆経路は、ロボットが所望の適用パラメータを用いて軌道を完了することが可能になる場合に実現可能であると見なすことができる。テープ適用の文脈において、これは、ロボットが、衝突又は望ましくないポイントツーポイント問題を引き起こすことなく、所望のウェイポイントにおいて所望の向きでテープを適用できることを意味する。換言すると、経路がポイントツーポイントで適切に定義される場合、ロボットと物体との間、ロボットとロボット自体との間、又はロボットとロボットの周囲の他の物体との間の衝突はない。これはまた、ロボットがポイントツーポイントでその相対的な向きを維持することを意味し、関節の反転(運動学的要求を満たすために負の関節角度から正の関節角度に移動すること)又は特異点の問題がないことを意味する。
【0045】
経路の制約に関して、テープ被覆経路は、運動学的要求、適用要求、又は材料要求を満たすために、(位置又は向きのいずれかを)変更又は補正する必要があり得る。運動学的要求は、衝突、関節反転、特異点、関節限界、又は他のロボット/運動学的連鎖の制約の起こり得る問題を含む。運動学的制約を考慮するために、ロボット及び部品の幾何学的形状を考慮することによって、標準的なロボット計画アルゴリズムを使用することができる。適用要求としては、例えば、特定の幾何学形状部分の被覆率、公称経路からの最大偏差、又は適切なテープのウェットアウトもしくは加圧が挙げられる。材料要求は、例えば、テープの変形能(例えば、テープが、塗装ライン公差を依然として維持しながら曲線を達成するために長手方向軸の周りでどれくらい伸長/圧縮できるか、保持するか、など)を含む。
【0046】
テープの変形能は、任意の好適なアルゴリズムによって判定することができる。図4Cは、テープ被覆経路の一部分が、その上に適用されるテープに過度な変形を導入し得るかどうかを判定するアルゴリズムの概略図を示す。以下の等式を使用して、起こり得るテープの変形を低減するために経路を変更する必要があるかどうかを判定することができる。
【数1】
式中、Si及びSoは、内弧長及び外弧長であり、Aiは、Apに沿ったテープの中点から点iまでの距離であり、Biは、Aiは、Bpに沿ったテープの中点から点iまでの距離である。これらの距離は、i-1からiへの及びiからi+1への直交するベクトルに沿って中点の線(Ap及びBp)から点iまで計算される。εouterは、テープの外縁部(曲率中心から最も離れているテープの縁部)についての最大許容変形又は歪み値であり、εinnerは、テープの内縁部についての最小許容変形又は歪み値(曲率中心に最も近いテープの縁部)である。これらの変形値は、テープの材料特性に基づいて取得することができる。
【0047】
経路変更は、手動プロセス又は自動プロセスを含んでもよい。手動プロセスでは、過度の変形を引き起こした特定のウェイポイント(例えば、図4Cの点i)に、システムによってユーザに対するフラグを立ててもよい。ユーザは、変形が指定された限界内になるまで、ユーザインターフェースを介してテープ経路を手動で変更することができる。システムはまた、例えば、距離を保つ(等しいi-1からiへの距離とiからi+1への距離とを維持する)ようにして点iを移動させることによって、テープ経路を自動的に変更することができる。点iは、例えば、点i+1及び点i-1の周りの(上述した点の間の距離の)等半径の円の交差から指し示すセカントベクトルに沿って移動させることによって調整することができる。点を移動させるための可能な距離は、点i-1からi+1を指す、バイセクタベクトルに対するセカントに沿って移動すること、反対のセカント交点に移動すること、又はこの距離の一部を移動することを含む。1つのデフォルトの挙動は、中点/バイセクタ位置に移動することである。移動された距離が重要な幾何学形状をカバーしない場合、衝突が生じる場合、又は他の妥当な理由の場合、より小さい又はより大きい距離が考慮される。変形能を超える場所であればどこでも、経路全体(最初の点及び最後の点を除く)にわたって、テープ経路を調整するこのプロセスを反復して行ってもよい。
【0048】
システムが、運動学的制約、材料制約、及び適用制約のうちの少なくとも1つに違反している(例えば、所望の幾何学的形状がもはや被覆されていない、又は経路が公称経路から著しく逸脱している、など)と判定した場合、システムは、所望の経路が実行不可能であることをユーザに知らせ、更なる命令を求めることができる。いくつかの場合には、システムは、テープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割できるようにすることができ、使用可能な部分は実行できるが、使用不可能な部分は手動で被覆する必要があることがあり、あるいは、テープ被覆定義工程技法によって、経路を手動で再構成する必要があることがある。
【0049】
判定された経路実現可能性に基づいて、システムは、例えば、代替経路又はより良い経路を提案すること、経路を更新し提示すること、経路を手動で変更するようにユーザに知らせること、などを含むフィードバックをユーザに提供することができる。決定された初期テープ被覆経路に基づいて、テープ適用システムは、物体表面に対するエンドエフェクタのための初期移動軌道を更に決定する。いくつかの実施形態では、ロボットは、テープ被覆経路に一致する初期移動軌道を提供することによって初期化されてもよい。初期移動軌道は、エンドエフェクタを移動させるためのロボット座標系における経路を提供する。620において、物体表面上の初期テープ被覆経路に基づいて、エンドエフェクタの初期移動軌道を決定することができる。初期テープ被覆経路及びエンドエフェクタのための対応する移動軌道が決定されると、方法600は630に進む。
【0050】
630において、ロボットコントローラ16は、ロボットアームに、エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させて、物体表面上にテープを適用するように命令することができる。システムは、ロボットを初期化してエンドエフェクタを位置決めし、物体表面上にテープを適用する準備をすることによって始動することができる。ロボットコントローラ16は、ロボットアーム、エンドエフェクタ、ビジョンシステム、及び様々なセンサなど、システムの様々な部分と通信して、それぞれの位置/場所情報、状態情報、及び他の関連情報を更新することができる。次いで、方法600は、640に進む。
【0051】
640において、エンドエフェクタが移動軌道に沿って移動して物体表面上にテープを適用する間に、システムは、620において上述したのと同様に、リアルタイムでテープ被覆経路の経路実現可能性を判定する。いくつかの実施形態では、ビジョンシステム32は、経路を走査し、例えば、衝突点、テープ被覆経路に沿った不可能な湾曲部分など、テープを適用する際の任意の制約をリアルタイムで検出することができる。システムが、経路実現可能性がいくつかの所定の制約に違反していると判定した場合、いくつかの実施形態では、システムは、ユーザに通知を提供する、及び/又はテープ被覆経路の更新に関するユーザの命令を受信することができる。いくつかの実施形態では、システムは、制約を満たすように、テープ被覆経路又はアプリケータの位置を自動的に調整又は補正することができる。例えば、テープ被覆のウェイポイントは、以下のプロセスによって更新されてもよい。システムのセンサは、テープ経路の現在のウェイポイントの先を見てもよく、システムは、感知された基板特徴が前処理モデルと整合しないと判定し、ウェイポイントが更新され得る(例えば、XYZ位置及びRPY向きは全て、更新の可能性がある)。次いで、これらのパラメータを特定の変形能式に代入して、2つのウェイポイント間のテープの内縁部及び外縁部の弧の長さを決定することができる。弧の長さが変形能公差内である場合、経路は、更新された向きで継続し得る。変形能公差内でない場合、システムは、処理を停止して更なる命令を待つか、又はテープラインを切断してそのウェイポイントで新しいテープラインにすることができる。次いで、方法600は、650に進む。
【0052】
650において、システムは、判定された経路実現可能性に基づいて、又はユーザの命令に基づいて、テープ被覆経路を自動的に更新する。それに従って、エンドエフェクタの移動軌道を調整することができる。次いで、方法600は、660に進む。
【0053】
いくつかの場合には、システムは、自動的に経路を更新し、ユーザに更新を知らせることができる。いくつかの場合には、システムは、制約に違反していることをユーザに知らせ、ユーザが手動の介入によって経路を更新できるようにすることができる。テープ被覆経路は、運動学的制約、適用制約、及び材料制約を満たすことができるように更新/修正することができる。運動学的制約は、しばしば、問題のあるウェイポイントのフィルタ処理/平滑化及び/又はわずかな移動によって満たすことができる。また、これらの制約は、満たされない場合、問題のあるウェイポイントのユーザ変更(例えば、条件を満たすようにウェイポイントの位置又は向きを手動で調整すること)によって解決することもできる。手動による補正は、リアルタイムのフィードバックについては手がかかりすぎるので、リアルタイムでは行われないことがあり、これは、前処理ルーチンのみであり得る。適用制約は、所望の幾何学形状及び経路が、モデルにおいても、次いで実際の部品においても適切に整合することを保証することによって満たすことができる。テープの変形能に対する材料の制約は、どの軌道が可能であるかに影響を及ぼし得る。湾曲したセグメントがテープの変形能を超え、経路変更によって運動学的制約又は適用制約に違反する可能性がある場合、複数の経路を使用する必要があり、その場合、システムは自動的に複数の経路に分割することができる、あるいは、経路が設計通りでは実行不可能であることをユーザに知らせることができる。
【0054】
660において、システムは、テープアプリケータに、更新されたテープ被覆経路上にテープを適用するように命令する。いくつかの実施形態では、テープアプリケータがテープ被覆経路上の新しい部分の始点にあることをシステムが検出すると、テープをタブ機構に装填して、テープの縁部にタブを作成することができる。いくつかの実施形態では、テープアプリケータがテープ被覆経路上の新しい部分の終点にあることをシステムが検出すると、テープアプリケータは、ブレードによってテープを切断することができる。次いで、方法600は、670に進む。
【0055】
670において、テープアプリケータが物体表面上にテープを適用する間、システムは、様々なセンサデータ又はフィードバックに基づいて、リアルタイムツール状態情報を判定する。リアルタイムツール状態情報は、例えば、物体表面上のテープ被覆経路に対するエンドエフェクタの現在位置/向き情報を含んでもよい。リアルタイムツール状態情報は、テープの伸長又は押圧情報を更に含んでもよい。リアルタイムツール状態情報は、例えば、物体表面上のテープの被覆状態、物体表面とエンドエフェクタとの間の変位のリアルタイムの変化などを更に含んでもよい。例えば、テープが適用される物体表面が適用中に移動することをビジョンシステム32が検出すると、システムは、それに従って、エンドエフェクタが物体表面上のテープ被覆経路をたどることができるようにエンドエフェクタの移動軌道を調整することができる。ビジョンシステム32は更に、適用プロセスを監視し、物体表面に対するテープアプリケータの関連する向き/位置/状態情報を提供することができ、それにより、ロボットコントローラ16が、ロボットアームの運動パラメータを変更し、かつ/又は物体表面に対するテープアプリケータの向き/位置を調整することができる。ビジョンシステム32は更に、撮像日をユーザに提示することによって、テープ被覆に関連するフィードバックを提供することができる。それに従って、ユーザは、ロボットシステムの動作を調整することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、テープアプリケータが物体表面上にテープを適用する間、ロボットコントローラ16は、様々なセンサ(例えば、ビジョンシステム32、センサ512など)に、公称/モデル化された部品と実際の部品との間の変動に起因してモデルに導入される可能性のある位置誤差に関するフィードバックを提供するように命令する。誤差は、走査工程、製造工程、又は部品/ロボットの位置決めにおいて導入され得る。この可変位置決めに起因して、適切な適用圧力又はテープ位置を保証する必要がある。
【0057】
フィードバックの1つのタイプは、テープ適用の力を測定するために使用される力センサに関する力フィードバックである。力フィードバックを使用して、アプリケータがテープに印加している圧力を監視し、所望の接着品質を得るための適切なウェットアウトを保証することができる。圧力の上限及び下限は、公称の所望の圧力付近の許容可能な公差に基づいて設定することができる。
【0058】
監視された圧力に基づいて、システムは、いずれかの極限で圧力範囲を超える場合、軌道内の次の点についての何らかの補正距離だけ、表面法線に沿ってエンドエフェクタ距離を調整することができる。補正距離は、現在の圧力値と(圧力が上限又は下限をそれぞれ超えるかどうかに応じて)上限又は下限との差と何らかのゲイン値とを乗算することによって計算することができる。従って、等式は、標準的な比例ゲイン式に従う。
d=(Pcurrent-PlimitG...(2)
式中、dは、補正距離であり、Pcurrentは、測定された圧力であり、Plimitは、圧力の上限又は下限であり、ゲインGは、ユーザによって設定される何らかの値である。デフォルトのゲイン値は、最大予想距離偏差(例えば、実際の部品と3Dモデルとの間で予想される最大差)を使用し、圧力上限と圧力下限の平均を乗算することによって決定される。ユーザは、所望に応じて、より積極的又はより消極的になるように、デフォルトのゲイン値を増加させたい、又はゲインを減少させたい場合がある。振動が懸念されるいくつかの場合には、別のゲインH(例えば、デフォルト値は第1のゲインGの約1/10である)を乗算した圧力の現在の時間微分を使用することによって、比例微分(PD)ループを採用することができる。
【数2】
力フィードバックは、物体表面に対するアプリケータの表面法線位置を制御したが、ビジョンフィードバックを採用して、位置の追跡を達成することができる。様々なビジョンセンサとして、例えば、マシンビジョンカメラ、3Dセンサ、モーション追跡センサ、又は所望の軌道と比較されるフィードバック値として位置を与える他のセンサを挙げることができる。限界は、公称軌道からの経路の最大許容偏差に基づいて設定される。ビジョンシステムは、適用されたテープの位置を追跡し、それを計画された軌道による所望の位置と比較する。
【0059】
力フィードバックと同様に、位置フィードバックは、(ウェイポイントの基準系において)次の点をx方向又はy方向にどれくらい変更すべきかを決定する式を有する。
d=(xcurrent-xlimitG...(4)
式中、dは、補正距離であり、Xcurrentは、測定された位置であり、Xlimitは、位置の上限又は下限であり、ここで、ゲインGはユーザによって設定される何らかの値である。デフォルトのゲイン値は、典型的に約1である。ユーザは、所望に応じて、より積極的又はより消極的になるように、デフォルトのゲイン値を増加させたい、又はゲインGを減少させたい場合がある。振動が懸念されるいくつかの場合には、別のゲイン(デフォルト値は第1のゲインの約1/10である)を乗算した現在のデカルト速度を使用することによって、PDループを同様に採用することができる。
【数3】
【0060】
ビジョンフィードバックはまた、テープ変形能の懸念も同様に組み込むことができ、示されたアルゴリズムによって残りの経路点を更新した後、変形能チェックを実行することができる。また、任意の違反が生じた場合にも、残りの経路点にわたって前述の変形能の補正を実行することができる。経路のビジョンフィードバックの補正を行った後、経路がもはや実行可能でない場合、プロセスは中断することがあり、(ユーザの好みに基づいて)残りの経路を用いて新しいテープセグメントを開始することができ、あるいは、ユーザに、所望の経路を実行することが可能でないと知らせることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、テープアプリケータが物体表面上にテープを適用する間、ロボットコントローラ16は、様々なセンサ(例えば、ビジョンシステム32、センサ512など)に、テープアプリケータ及び物体表面に適用されたテープの状態を監視し、それを判定するように命令する。ロボットコントローラ16は、監視した状態に応じて、各部に種々の命令を与えることができる。例えば、ある場合には、ロボットコントローラ16は、センサからセンサデータを受信し、そのデータを処理して、テープの実際の被覆が、物体表面上の所定のテープ被覆経路と実質的に一致することを検証することができる。別の場合では、ロボットコントローラ16は、システムの調整をもたらすイベントが発生したかどうかを検出することができる。例えば、ロボットコントローラ16は、センサデータを処理して、エンドエフェクタにとって不良経路となる、テープの適用中の物体表面の動きを検出することができる。ロボットコントローラ16は、ロボットアームに、エンドエフェクタの位置を調整してそのような変位に対応するように命令することができる。自動調整が成功しなかった場合、ロボットコントローラ16は、その状態に関する通知を送信することができる。様々な実施形態において、ロボットコントローラ16は、様々な環境センサからセンシングデータを受信して、例えば、周囲温度及び周囲湿度を含む様々な環境条件を判定することができる。
【0062】
図7は、一実施形態による、テープ適用方法700のブロック図を示す。方法700は、例えば図2のロボットテープアプリケータ40を含む、本明細書に記載される様々なテープ適用システムによって実装することができる。方法700の任意の工程又はサブ工程を、任意の好適な様式で、図6の方法600の工程又はサブ工程と組み合わせて、物体表面上にテープを適用するのに好適な様々な方法又はプロセスに到達できることを理解されたい。
【0063】
710において、テープ適用システムは、テープが適用される物体表面のデジタル3Dモデルを取得する。712において、システムは、物体表面上の初期テープ被覆経路を決定する。714において、システムは、ロボットテープアプリケータのための移動軌道を決定する。716において、システムは、計画された移動軌道又はテープ被覆経路が運動学的制約を満たすかどうかを判定する。運動学的制約に関する違反が存在するとシステムが判定した場合、方法700は718に進む。運動学的制約に関する違反が存在しないとシステムが判定した場合、方法700は724に進む。718において、システムは、運動学的制約を満たすようにテープ被覆経路を補正又は調整すべきかどうかを判定する。システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能でないと判定した場合、方法700は720に進む。720において、システムは、テープ適用を中断するか、又はテープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割するか、を決定する。テープ適用を中断するとシステムが決定した場合、方法700は722に進む。システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能であると判定した場合、方法700は724に進む。722において、システムは、テープ適用を中断して、又は新しいテープ適用を開始して、ユーザに知らせると決定する。システムが、テープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割すると決定した場合、方法700は714に進む。
【0064】
システムが、運動学的制約に関する違反が存在しないと判定した場合、あるいは、システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能であると判定した場合、方法700は724に進む。724において、システムは、計画された移動軌道又はテープ被覆経路がテープ変形能制約を満たすかどうかを判定する。テープ変形能制約に関する違反が存在するとシステムが判定した場合、方法700は726に進む。726において、システムは、テープ変形能制約を満たすようにテープ被覆経路を補正又は調整すべきかどうかを判定する。システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能でないと判定した場合、方法700は728に進む。システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能であると判定した場合、方法700は730に進む。728において、システムは、テープ適用を中断するか、又はテープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割するか、を決定する。テープ適用を中断するとシステムが決定した場合、方法700は722に進む。システムが、テープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割すると決定した場合、方法700は714に進む。
【0065】
システムが、テープ変形能制約に関する違反が存在しないと判定した場合、あるいは、システムが、テープ被覆経路の訂正又は調整が実行可能であると判定した場合、方法700は730に進む。730において、システムは、計画された移動軌道又はテープ被覆経路がテープ適用制約を満たすかどうかを判定する。テープ適用制約に関する違反が存在するとシステムが判定した場合、方法700は732に進む。テープ適用制約に関する違反が存在しないとシステムが判定した場合、方法700は736に進む。732において、システムは、テープ適用を中断するか、又はテープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割するか、を決定する。テープ適用を中断するとシステムが決定した場合、方法700は722に進む。システムが、テープ被覆経路を使用可能な部分と使用不可能な部分とに分割すると決定した場合、方法700は714に進む。
【0066】
テープ適用制約に関する違反が存在しないとシステムが判定した場合、方法700は736に進む。736において、システムが動作して、物体表面上にテープを適用する。テープを適用している間、740において、システムは、特定の力フィードバックアルゴリズムの下で、テープを適用するために使用される圧力をリアルタイムでチェックする。テープを適用している間、742において、システムは、特定のビジョンフィードバックアルゴリズムの下で、テープ位置をリアルタイムでチェックする。システムが、圧力と位置の両方が適切であり、移動軌道の終わりではないと判定した場合、方法700は736に進み、例えば、アプリケータを経路の次のウェイポイントまで移動させることによって、テープの適用を継続する。システムが、圧力及び位置のうちの少なくとも1つが不適切であり、移動軌道の終わりではないと判定した場合、方法700は744に進む。744において、システムは、アプリケータ移動軌道又はテープ被覆経路を調整又は更新すると決定し、方法700は714に進む。システムが移動軌道の終わりではないと判定した場合、方法700は746に進み、テープを切断し、ステータスをユーザに知らせ、システムは次のテープ適用に移動する。
【0067】
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は原料、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態のリストに記載される数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは特許請求される記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0068】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更が行われ得る。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等物に記載された限定によって規制されるものであることは理解されたい。
【0069】
例示的な実施形態のリスト
例示的な実施形態を以下に列挙する。実施形態1~13及び実施形態14~18のいずれの1つも組み合わせることができることを理解されたい。
【0070】
実施形態1は、物体表面上にテープを適用する方法であって、
ロボットを物体表面に隣接して位置決めすることであって、ロボットがエンドエフェクタを備え、エンドエフェクタがテープアプリケータを備える、位置決めすることと、
テープを物体表面に適用するためのテープ被覆経路を決定することと、
エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、
テープ被覆経路の経路実現可能性を判定することと、
判定された経路実現可能性に基づいて、テープ被覆経路及び移動軌道を更新することと、
更新されたテープ被覆経路上にテープを適用することと、
を含む、方法である。
【0071】
実施形態2は、物体表面上のテープ被覆経路を決定することが、ユーザから、物体表面の三次元(3D)モデルにおけるテープ被覆経路に関する仕様を受信することを更に含む、実施形態1に記載の方法である。
【0072】
実施形態3は、ビジョンシステムを介して、テープ、物体表面、及びエンドエフェクタの撮像データを取得することを更に含む、実施形態1又は2に記載の方法である。
【0073】
実施形態4は、撮像データに基づいて、テープ被覆経路上のテープの被覆を検証することを更に含む、実施形態3に記載の方法である。
【0074】
実施形態5は、経路実現可能性を判定することが、テープ被覆経路上の衝突点及び曲率部分のうちの少なくとも1つを判定することを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法である。
【0075】
実施形態6は、経路実現可能性を判定することが、テープの変形を検出することを更に含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法である。
【0076】
実施形態7は、経路実現可能性を判定することが、テープの適用中の物体表面の動きを検出することを更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法である。
【0077】
実施形態8は、経路実現可能性を判定することが、周囲温度及び周囲湿度を含む環境条件を判定することを更に含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法である。
【0078】
実施形態9は、判定された経路実現可能性に基づいて、ユーザに通知を送信することを更に含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法である。
【0079】
実施形態10は、ユーザからフィードバックを受信することと、フィードバックに基づいて、テープ被覆経路を更新することと、を更に含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法である。
【0080】
実施形態11は、物体表面上にテープを適用することが、テープをタブ機構に装填することと、テープの縁部にタブを作成することと、を更に含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法である。
【0081】
実施形態12は、タブを作成することが、タブの縁部を折り畳むことを含む、実施形態11に記載の方法である。
【0082】
実施形態13は、タブを作成する前に、テープを切断して、テープの新しい縁部を作成することを更に含む、実施形態11又は12に記載の方法である。
【0083】
実施形態14は、物体表面上にテープを適用するための自動化されたシステムであって、
テープロール及びタブ化機構を備えるエンドエフェクタと、
テープ、物体表面、及びエンドエフェクタについての撮像データを取得するための1つ以上の撮像センサを備えるビジョンシステムと、
エンドエフェクタ及びビジョンシステムに機能的に接続されたコントローラと、を備え、
コントローラが、
物体表面上のテープ被覆経路を決定し、
エンドエフェクタを介して、物体表面上にテープを適用するために、エンドエフェクタを移動軌道に沿って移動させている間に、
テープ被覆経路の経路実現可能性を判定し、
判定された経路実現可能性に基づいて、テープ被覆経路を更新し、
更新されたテープ被覆経路上にテープを適用する、
ように構成されている、自動化されたシステムである。
【0084】
実施形態15は、タブ化機構が、テープの縁部を定位置に保持するための真空プレートを更に備える、実施形態14に記載の自動化されたシステムである。
【0085】
実施形態16は、真空プレートが、第1の部分と、第1の部分に対して折り畳み可能な第2の部分と、を備える、実施形態15に記載の自動化されたシステムである。
【0086】
実施形態17は、ロボットアームを更に備え、エンドエフェクタが、ロボットアームに取り付けられている、実施形態14~16のいずれか1つに記載の自動化されたシステムである。
【0087】
実施形態18は、コントローラが、ビジョンシステムからの撮像データに基づいて物体表面上のテープの状態を判定するように更に構成されている、実施形態14~17のいずれか1つに記載の自動化されたシステムである。
【0088】
本開示の作用を、以下の詳細な実施例に関して、更に記載する。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技法を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
【0089】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かにかかわらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴部、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示の特定の例示的な実施形態のうちの同一の実施形態に言及するものとは限らない。更に、具体的な特徴部、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0090】
本明細書では特定の例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には、上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の変更形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが理解されよう。したがって、本開示は、ここまで説明してきた例示的な実施形態に過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用するとき、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含されるあらゆる数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。更に、種々の例示的な実施形態が説明されてきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】