(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】クロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構
(51)【国際特許分類】
B25J 7/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B25J7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528536
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2022128477
(87)【国際公開番号】W WO2023142562
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210103425.X
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】張憲民
(72)【発明者】
【氏名】王日▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】朱本亮
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY36
3C707MT03
3C707MT04
3C707XG05
(57)【要約】
クロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構は、コンプライアントグリップ機構、第1の圧電スタックアクチュエータ、第2の圧電スタックアクチュエータ及びコンプライアントセルラージョーを含み、第1のグリップアームと第2のグリップアームは、軸線に対して対称に配置され、且つ一端がいずれも変位増幅機構に接続され、第1の圧電スタックアクチュエータと第2の圧電スタックアクチュエータ(3)は、変位増幅機構の両側にそれぞれ埋め込まれて設置され、コンプライアントセルラージョーは、第1のグリップアームと第2のグリップアームの自由端部に着脱可能に設置される。従来の組立機構に比べて、特徴範囲がミクロンからミリメートルレベルの微小部品に対して自己適応の挟み取り操作を実現することができ、構造がコンパクトであり、小型で、軽量であるなどの利点を兼ね備え、微小部品に対する精密な組立を完成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプライアントグリップ機構(1)、第1の圧電スタックアクチュエータ(2)、第2の圧電スタックアクチュエータ(3)及びコンプライアントセルラージョー(4)を含み、
コンプライアントグリップ機構(1)は、対称構造であり、第1のグリップアーム(1-1)、第2のグリップアーム(1-2)及び変位増幅機構(1-3)を含み、第1のグリップアーム(1-1)と第2のグリップアーム(1-2)は、軸線に対して対称に配置され、且つ一端がいずれも変位増幅機構(1-3)に接続され、
第1の圧電スタックアクチュエータ(2)と第2の圧電スタックアクチュエータ(3)は、変位増幅機構(1-3)の両側にそれぞれ埋め込まれて設置され、
コンプライアントセルラージョー(4)は、第1のグリップアーム(1-1)と第2のグリップアーム(1-2)の自由端部に着脱可能に設置される、ことを特徴とするクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項2】
変位増幅機構(1-3)の両側に第1の切り欠き(1-3-1)と第2の切り欠き(1-3-2)がそれぞれ設置され、第1の圧電スタックアクチュエータ(2)と第2の圧電スタックアクチュエータ(3)は、第1の切り欠き(1-3-1)と第2の切り欠き(1-3-2)内にそれぞれ設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項3】
コンプライアントグリップ機構(1)は、複数のグリップアームを含む3次元軸対称構造であるように設置することができる、ことを特徴とする請求項1に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項4】
コンプライアントセルラージョー(4)と第1のグリップアーム(1-1)及び第2のグリップアーム(1-2)との間は、スナップフィットである、ことを特徴とする請求項1に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項5】
第1のグリップアーム(1-1)と第2のグリップアーム(1-2)の末端に第1のグリップ面(1-1-1)と第2のグリップ面(1-2-1)がそれぞれ設けられ、前記第1のグリップ面(1-1-1)と第2のグリップ面(1-2-1)に第1の嵌合部分(1-1-2)と第2の嵌合部分(1-2-2)がそれぞれ設けられ、コンプライアントセルラージョー(4)をアンロック又はロックするように、コンプライアントセルラージョー(4)に第1の嵌合部分(1-1-2)と第2の嵌合部分(1-2-2)とそれぞれ係合する第1の片持ち梁(4-6-2)と第2の片持ち梁(4-7-2)が設置される、ことを特徴とする請求項4に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項6】
前記コンプライアントセルラージョー(4)は、対称構造であり、第1のドッキング機構(4-6)、第2のドッキング機構(4-7)及び可撓性ビーム(4-5)を含み、第1のドッキング機構(4-6)と第2のドッキング機構(4-7)は、対向して設置され、且つ第1のドッキング機構(4-6)と第2のドッキング機構(4-7)との間は、可撓性ビーム(4-5)により接続され、コンプライアントセルラージョー(4)にさらにグリップ面が設置される、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項7】
第1のドッキング機構(4-6)の内側、第2のドッキング機構(4-7)の内側、可撓性ビーム(4-5)の外側にいずれも前記グリップ面が設置されることができる、ことを特徴とする請求項6に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項8】
各グリップ面にいずれもバンプが設置され、部品をグリップする時、各バンプは、部品と点接触を保持する、ことを特徴とする請求項7に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項9】
2つ以上のグリップ面が設置された場合、全てのグリップ面におけるバンプの先端は、同一の内接円の円周に位置し、内接円の半径は、微小部品の形状とサイズにより決定される、ことを特徴とする請求項7に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【請求項10】
前記第1のドッキング機構(4-6)と第2のドッキング機構(4-7)に第1のドッキングガイド溝(4-6-1)と第2のドッキングガイド溝(4-7-1)がそれぞれ設けられ、第1のグリップアーム(1-1)と第2のグリップアーム(1-2)は、第1のドッキングガイド溝(4-6-1)と第2のドッキングガイド溝(4-7-1)内にそれぞれ着脱可能に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載のクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ組立技術の分野に属し、特にクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ組立は、微小な誤差範囲内でミクロンからミリメートルの大きさの微小部品を組み立ててマイクロシステムを形成する技術であり、医学検査機器、光通信コンポーネント、マイクロセンサ、超小型衛星機器などの製品の加工と製造に広く応用され、マイクロナノ製造分野の中核と基礎である。組立機構は、マイクロ組立対象に対して挟み取り、運搬、置きなどの操作を直接行う部材であり、マイクロ組立システムにおいて重要な役割を果たし、マイクロシステムの組立の品質と効率を直接制約し、マイクロエレクトロメカニカルシステムの設計開発と産業応用に影響を与える。
【0003】
コンプライアント機構は、組立機構の最も一般的な形式であり、自体の弾性変形により、力、変位及びエネルギーを伝達する機械的構造であり、組立が不要で、隙間がなく、摩擦がなく、一体成形が可能であるという利点を有する。しかし、マイクロ組立システムの環境が狭く、マイクロマニピュレータの載荷能力が限られ、組立機構のサイズ及び重量が常に厳しく制限され、ストロークの大きい圧電アクチュエータ及び複雑な変位増幅機構を搭載することができず、そのため大きい動作ストロークを実現することが困難である。
【0004】
しかしながら、マイクロエレクトロメカニカルシステムが多材料、多機能デバイス集積化の方向へ発展することに伴い、マイクロマニピュレーションタスクは、形状及びサイズが異なる微小部品にかかわる必要があり、それらの特徴サイズは、ミクロンからミリメートルレベルの間に分布し、サイズのスパンは、組立機構の最大動作ストロークをはるかに超え、そのため、単一の組立機構は、複雑なマイクロエレクトロメカニカルシステムの組立要件に対応することが困難である。従来の解決手段は、一般的に複数セットのマイクロマニピュレータ又はマイクログリッパーを設置して、異なる形状とサイズの部品に対する自己適応マイクロ組立を実現することである。例えば米国Lawrence Livermore国家実験室は、6セットものマニピュレーションロボットシステムを用いて複数種類の外形寸法の部品にかかわる慣性閉じ込め核融合マイクロターゲットを組立て、組立機器の自動化制御の難易度及びコストを大幅に上げる。したがって、クロススケール微小部品に適用する自己適応組立機構の開発が急務となっている。LofrothとAvciは、グリップ機構の末端に、異なる操作対象に適用するグリップ先端を取り付けるための取り付け孔が設けられることを特徴とする新規なモジュラー・コンプライアント・グリップ機構を設計した(Lofroth M、Avci E.Development of a novel modular compliant gripper for manipulation of micro objects[J].Micromachines、2019、10(5):313.)。しかし、その変位増幅率が小さく、コンフィギュレーションが複雑で、構造サイズが大きく、しかも、ボルトで固定するため、取り付け過程においてグリッパー先端が損傷しやすく、且つ自動的交換の実現が困難であり、それによりマイクロマニピュレーションタスクの効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の組立機構の汎用性が悪く、適用範囲が小さいという問題を解消し、クロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構を提供することを目的とし、本発明は、特徴サイズがミクロンからミリメートルレベルの間の微小部品に対して自己適応挟み取り操作を実現することができ、構造がコンパクトで、小型で、軽量であるなどの利点を兼ね備え、微小部品に対する精密な組立を完成することができ、多品種で、マルチバッチの微小デバイスの自己適応組立に用いることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明にて提供されるクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構は、コンプライアントグリップ機構、第1の圧電スタックアクチュエータ、第2の圧電スタックアクチュエータ及びコンプライアントセルラージョーを含み、
コンプライアントグリップ機構は、対称構造であり、第1のグリップアーム、第2のグリップアーム及び変位増幅機構を含み、第1のグリップアームと第2のグリップアームは、軸線に対して対称に配置され、且つ一端がいずれも変位増幅機構に接続され、
第1の圧電スタックアクチュエータと第2の圧電スタックアクチュエータは、変位増幅機構の両側にそれぞれ埋め込まれて設置され、
コンプライアントセルラージョーは、第1のグリップアームと第2のグリップアームの自由端部に着脱可能に設置される。コンプライアントセルラージョーは、着脱可能に設置され、組立と交換しやすく、コンプライアントセルラージョーは、交換可能なモジュールであり、複数種類の形状とサイズの微小部品の自己適応グリップを実現することができ、コンプライアントセルラージョーを下した後にも、コンプライアントグリップ機構は、単独で特定の形状又は大きさの微小部品を挟み取ることができる。
【0007】
好ましくは、変位増幅機構の両側に第1の切り欠きと第2の切り欠きがそれぞれ設置され、第1の圧電スタックアクチュエータと第2の圧電スタックアクチュエータは、第1の切り欠きと第2の切り欠き内にそれぞれ設置される。
【0008】
好ましくは、コンプライアントグリップ機構は、さらに取り付けベースを含み、変位増幅機構の付け根は、取り付けベースに接続され、取り付けベースに取り付け孔が開設される。取り付け孔を介してマイクログリッパーをマイクロマニピュレータ、精密位置決めステージに取り付けることができる。
【0009】
好ましくは、コンプライアントセルラージョーと第1のグリップアーム及び第2のグリップアームとの間は、スナップフィットである。
【0010】
好ましくは、第1のグリップアームと第2のグリップアームの末端に第1のグリップ面と第2のグリップ面がそれぞれ設けられ、コンプライアントセルラージョーを位置決めし取り付けるために用いられるだけでなく、また微小部品を直接挟み取るために用いられ、前記第1のグリップ面と第2のグリップ面に第1の嵌合部分と第2の嵌合部分がそれぞれ設けられ、コンプライアントセルラージョーをアンロック又はロックするように、コンプライアントセルラージョーに第1の嵌合部分と第2の嵌合部分とそれぞれ係合する第1の片持ち梁と第2の片持ち梁が設置され、コンプライアントセルラージョーの迅速な着脱と交換を容易にする。
【0011】
好ましくは、前記コンプライアントセルラージョーは、対称構造であり、第1のドッキング機構、第2のドッキング機構及び可撓性ビームを含み、第1のドッキング機構と第2のドッキング機構は、対向して設置され、且つ第1のドッキング機構と第2のドッキング機構との間は、可撓性ビームにより接続され、コンプライアントセルラージョーにさらにグリップ面が設置される。
【0012】
好ましくは、第1のドッキング機構の内側、第2のドッキング機構の内側、可撓性ビームの外側にいずれも前記グリップ面を設置することができる。
【0013】
好ましくは、各グリップ面にいずれもバンプが設置され、部品をグリップする時、各バンプと部品は点接触を保持する。バンプを設置して微小部品と点接触を保持することにより、グリップ面と微小部品との間の付着力、毛管力などの表面力を小さくし、グリップの安定性も保証し、微小部品の確実な解放も実現できる。
【0014】
好ましくは、2つ以上のグリップ面が設置される場合、全てのグリップ面上のバンプの先端は、同一の内接円の円周に位置し、内接円の半径は、微小部品の形状とサイズにより決定される。異なる形状とサイズの微小部品に対して適合するグリップ面を設計することができる。
【0015】
具体的には、可撓性ビームは、2つ設置され、グリップ面は、3つ設置され、第3のグリップ面、第4のグリップ面及び第5のグリップ面に定義され、第3のグリップ面、第4のグリップ面は、第1のドッキング機構と第2のドッキング機構の内側にそれぞれ設置され、第5のグリップ面は、可撓性ビームの外側に設置され、第3のグリップ面、第4のグリップ面及び第5のグリップ面の両端にいずれもバンプが設置され、全てのバンプの先端は、いずれも同一の内接円の円周に位置し、内接円の半径範囲は、ミクロンからミリメートルレベルであり、微小部品のサイズに適合する。
【0016】
好ましくは、前記第1のドッキング機構と第2のドッキング機構に第1のドッキングガイド溝と第2のドッキングガイド溝がそれぞれ設けられ、第1のドッキングガイド溝と第2のドッキングガイド溝の断面は、それぞれ第1のグリップ面と第2のグリップ面にマッチングし、第1のグリップアームと第2のグリップアームは、第1のドッキングガイド溝と第2のドッキングガイド溝内にそれぞれ着脱可能に接続される。
【0017】
前述したマイクロ組立に用いるモジュラー・コンプライアント・マイクログリッパーの全体接続関係は以下のとおりである。第1の圧電スタックアクチュエータと第2の圧電スタックアクチュエータは、第1の切り欠きと第2の切り欠きにそれぞれ取り付けられ、係合関係は、締まり嵌めであり、締付力と締め代との関係を算出することにより、可撓性ビームの締付を実現することができ、コンプライアントセルラージョーは、第1のグリップアームと第2のグリップアームに取り付けられ、グリップ面の嵌合部分とドッキングガイド溝の片持ち梁により係合してロックされる。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べ、本発明の有益な効果は、少なくとも以下のとおりである。
(1)本発明は、微小部品の形状とサイズに応じて、異なるモジュラー・コンプライアントセルラージョーを交換し、ミクロンからミリメートルサイズ範囲内の物体の自己適応クランプを実現することができ、微小部品に対する精密な組立を完成することができ、多品種で、マルチバッチの微小デバイスの可撓性組立に用いることもでき、
(2)圧電スタックアクチュエータは、コンプライアントグリップ機構の内部に埋め込まれ、大きい変位増幅率と大きい動作ストロークを有し、構造が簡単でコンパクトであり、小型で、軽量であり、取り付けとマイクロマニピュレーションステージへの取り付けが容易であり、
(3)コンプライアントグリップ機構とコンプライアントセルラージョーは、スナップフィットされ、構造が簡単で、部材が少なく、接続が安定的で、自動的な取り付けと交換を実現しやすく、
(4)コンプライアントグリップ機構は、低速ワイヤカットで一体成形され、剛性が大きく、全体性に優れ、高い運動精度を有し、
(5)コンプライアントセルラージョーは、マルチグリップ面、点接触の方式で微小部品をグリップし、微小部品のグリップ安定性と確実な解放を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】クロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構の全体構造図である。
【
図2】コンプライアントグリップ機構の平面図である。
【
図3】コンプライアントグリップ機構の第1のグリップアームと第2のグリップアームの概略図である。
【
図4】コンプライアントセルラージョー構造の概略図である。
【
図5】コンプライアントセルラージョーの側面図のA-A断面図である。
【
図6】コンプライアントセルラージョーの平面図のB-B断面図である。
【
図7】コンプライアントセルラージョーとコンプライアントグリップ機構のスナップフィット概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面と結び付けて本発明の具体的な実施例についてさらに詳細に説明し、なお、具体的な実施例は、単に具体的に記述するものであり、本発明を限定するものではない。
【0021】
図1を参照すると、本発明にて提供されるクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構は、交換可能なコンプライアントセルラージョー4を有し、特徴寸法がミクロンからミリメートルレベルの微小部品の自己適応組立に適用し、微小部品に対するロット組立を完成することができ、小ロットで、多品種で、マルチバッチの微小デバイスの可撓性組立に用いることもでき、
図1を参照すると、本発明にて提供されるクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構は、コンプライアントグリップ機構1、第1の圧電スタックアクチュエータ2、第2の圧電スタックアクチュエータ3及びコンプライアントセルラージョー4を含む。
【0022】
本発明では、
図2を参照すると、コンプライアントグリップ機構1は、対称構造であり、低速ワイヤカットで加工され、第1のグリップアーム1-1、第2のグリップアーム1-2、変位増幅機構1-3及び取り付けベース1-4を含む。第1のグリップアーム1-1と第2のグリップアーム1-2は、軸線に対して対称に配置され、変位増幅機構1-3に接続され、変位増幅機構1-3の付け根は、取り付けベース1-4に接続され、変位増幅機構1-3の両側にそれぞれ第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2があり、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2の断面形状は、圧電スタックアクチュエータの形状に適応し、第1の圧電スタックアクチュエータ2と第2の圧電スタックアクチュエータ3は、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2内にそれぞれ設置され、変位増幅機構1-3は、圧電アクチュエータの出力変位を増幅するために用いられ、取り付けベース1-4に2つの取り付け孔が開けられ、本発明にて提供されるコンプライアント組立機構を他のステージに取り付けるために用いられる。
【0023】
本発明のいくつかの実施例では、コンプライアントグリップ機構1は、平面対称構造である。他の実施例では、グリップ機構は、3次元軸対称構造であるように設置することができ、複数のグリップアームを備えるようになる。
【0024】
本発明のいくつかの実施例では、取り付け孔は、円形貫通孔である。
【0025】
本発明のいくつかの実施例では、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2は、変位増幅機構1-3の中央部両側に位置する。圧電スタックアクチュエータ、第1の切り欠き1-3-1及び第2の切り欠き1-3-2の形状は、いずれも矩形であり、当然のことながら、他の実施例では、圧電アクチュエータの形状が他の形状であれば、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2も圧電アクチュエータの形状に応じて調整する。
【0026】
本発明では、
図3を参照すると、第1のグリップアーム1-1と第2のグリップアーム1-2の末端に第1のグリップ面1-1-1と第2のグリップ面1-2-1がそれぞれ設けられ、第1のグリップ面1-1-1と第2のグリップ面1-2-1の付け根の上面にバンプ付きの第1の嵌合部分1-1-2と第2の嵌合部分1-2-2がそれぞれ設けられ、バンプにより締結の機能を向上させることができる。他の実施例では、スナップフィットは、実際の必要に応じて他の形式に設置し又は他の部位に設置することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施例では、第1のグリップ面1-1-1と第2のグリップ面1-2-1の断面形状は、楔形である。
【0028】
本発明のいくつかの実施例では、
図4を参照すると、前記コンプライアントセルラージョー4は、対称構造であり、第3のグリップ面4-1、第4のグリップ面4-2、第5のグリップ面4-3、第1の可撓性ビーム4-4、第2の可撓性ビーム4-5、第1のドッキング機構4-6及び第2のドッキング機構4-7を含み、第1のドッキング機構4-6と第2のドッキング機構4-7は、軸線に対して対称に配置され、両者が第5のグリップ面4-3、第1の可撓性ビーム4-4及び第2の可撓性ビーム4-5により接続され、第3のグリップ面4-1と第4のグリップ面4-2は、第1のドッキング機構4-6と第2のドッキング機構4-7にそれぞれ接続され、第3のグリップ面4-1、第4のグリップ面4-2及び第5のグリップ面4-3の両端にいずれもバンプが設けられ、微小部品と点接触を保持し、グリップの安定性と微小部品の確実な解放を保証し、バンプの先端は、いずれも同一の内接円の円周に位置し、内接円の半径は、微小部品により決定され、異なる形状とサイズの微小部品に対して適合するグリップ面を設計することができる。
【0029】
ここで、可撓性ビームの機能は、2つのドッキング機構を接続し、しかも、構造全体の剛性を増加させることである。他の実施例では、可撓性ビームは、1つ又は他の数量設置することができる。
【0030】
ここで、コンプライアントセルラージョー4におけるグリップ面の数は、他の数値に設定することもできる。
【0031】
本発明のいくつかの実施例では、
図5を参照すると、第1のドッキング機構4-6と第2のドッキング機構4-7内に第1のドッキングガイド溝4-6-1と第2のドッキングガイド溝4-7-1がそれぞれ設けられる。
【0032】
本発明のいくつかの実施例では、
図6を参照すると、第1のドッキングガイド溝4-6-1と第2のドッキングガイド溝4-7-1の付け根にバンプ付きの第1の片持ち梁4-6-2と第2の片持ち梁4-7-2がそれぞれ設けられ、第1の嵌合部分1-1-2と第2の嵌合部分1-2-2と係合して、コンプライアントセルラージョー4のロックを完成するために用いられる。ここで、ドッキングガイド溝は、コンプライアントセルラージョーを取り付け位置までガイドすることができ、それによりマイクロマニピュレーション機構の絶対位置決め精度に対する要求を低下させ、自動的な取り付けと交換を実現しやすい。バンプを設置することにより、締結の機能を増強することができる。
【0033】
本発明の実施例にて提供されるクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構の全体接続関係は以下のとおりである。第1の圧電スタックアクチュエータ2と第2の圧電スタックアクチュエータ3は、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2にそれぞれ取り付けられ、可撓性ビームの締付を実現するように、係合関係は、締まり嵌めであり、コンプライアントセルラージョー4は、第1のグリップアーム1-1と第2のグリップアーム1-2に取り付けられ、スナップで固定され、
図7を参照すると、具体的な固定形態は、第1のグリップ面1-1-1が第1のドッキングガイド溝4-6-1に挿入され、第1の嵌合部分1-1-2で第1の片持ち梁4-6-2にロックされ、第2のグリップ面1-2-1が第2のドッキングガイド溝4-7-1に挿入され、第2の嵌合部分1-2-2で第2の片持ち梁4-7-2にロックされる。ここで、圧電スタックアクチュエータがコンプライアントグリップ機構の内部に埋め込まれることで、アクチュエータの位置とコンプライアント機構のコンフィギュレーションを同時に最適化し、そのためより大きい動作ストロークのコンプライアント機構を得ることができ、梃子の原理により、圧電スタックアクチュエータがコンプライアントグリップ機構の内部に埋め込まれた後、動力アームと抵抗アームとの比をより大きくすることができ、それにより、より大きい変位増幅率と動作ストロークを実現する。
【0034】
コンプライアントセルラージョー4は、交換可能なモジュールであり、第3のグリップ面4-1、第4のグリップ面4-2及び第5のグリップ面4-3のバンプ先端は、同一の内接円の円周に位置し、内接円の半径は、微小部品の形状とサイズに適合し、複数種類の形状とサイズの微小部品の自己適応グリップを実現することができ、コンプライアントグリップ機構1は、単独で動作することもでき、第1のグリップアーム1-1と第2のグリップアーム1-2により微小部品を挟み取る。
【0035】
本発明の実施例にて提供されるコンプライアント組立機構の動作過程は、以下のとおりである。まず、図に示すようにコンプライアント組立機構を組立て、コンプライアント組立機構をマイクロマニピュレーションステージに取り付け、微小部品を挟み取る時、第1の圧電スタックアクチュエータ2と第2の圧電スタックアクチュエータ3に駆動電圧をそれぞれ印加し、アクチュエータの出力は変位増幅機構1-3を強制的に変形させ、第1のグリップアーム1-1及び第2のグリップアーム1-2を対向運動するように動かし、このとき、固定したサイズの微小部品をグリップすることができるが、コンプライアントセルラージョー4が設置された場合、さらにコンプライアントセルラージョー4を動作するように動かすこともでき、コンプライアントグリップ機構1にコンプライアントセルラージョー4が取り付けられた場合、第1のグリップアーム1-1及び第2のグリップアーム1-2は、第3のグリップ面4-1、第4のグリップ面4-2及び第5のグリップ面4-3を運動するように動かし、ここで第3のグリップ面4-1と第4のグリップ面4-2は、対向運動し、軸線に垂直であり、第5のグリップ面4-3の運動方向は、軸線に平行であり、それにより微小部品に対する3指グリップを実現し、異なるサイズと形状の微小部品を挟み取る必要がある場合、元のコンプライアントセルラージョー4を取り外し、それに適合するコンプライアントセルラージョー4を交換すれば、異なるサイズと形状の微小部品を挟み取ることを実現することができ、微小部品を解放する時、第1の圧電スタックアクチュエータ2と第2の圧電スタックアクチュエータ3の電源をオフにし、コンプライアントグリップ機構1が元の状態に復帰し、第1のグリップアーム1-1及び第2のグリップアーム1-2が開き、第3のグリップ面4-1、第4のグリップ面4-2及び第5のグリップ面4-3を開くように動かし、それにより微小部品を解放する。
【0036】
本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための例に過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他の異なる形態の変化又は変更を行うことができる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、それともその方法がない。本発明の精神と原則内で行われた任意の修正、同等置換及び改善などは、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1…コンプライアントグリップ機構、1-1…第1のグリップアーム、1-1-1…第1のグリップ面、1-1-2…第1の嵌合部分、1-2…第2のグリップアーム、1-2-1…第2のグリップ面、1-2-2…第2の嵌合部分、1-3…変位増幅機構、1-3-1…第1の切り欠き、1-3-2…第2の切り欠き、1-4…取り付けベース、2…第1の圧電スタックアクチュエータ、3…第2の圧電スタックアクチュエータ、4…コンプライアントセルラージョー、4-1…第3のグリップ面、4-2…第4のグリップ面、4-3…第5のグリップ面、4-4…第1の可撓性ビーム、4-5…第2の可撓性ビーム、4-6…第1のドッキング機構、4-6-1…第1のドッキングガイド溝、4-6-2…第1の片持ち梁、4-7…第2のドッキング機構、4-7-1…第2のドッキングガイド溝、4-7-2…第2の片持ち梁。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
本発明の実施例にて提供されるクロススケール微小部品の自己適応コンプライアント組立機構の全体接続関係は以下のとおりである。第1の圧電スタックアクチュエータ2と第2の圧電スタックアクチュエータ3は、第1の切り欠き1-3-1と第2の切り欠き1-3-2にそれぞれ取り付けられ、
圧電スタックアクチュエータの締付を実現するように、係合関係は、締まり嵌めであり、コンプライアントセルラージョー4は、第1のグリップアーム1-1と第2のグリップアーム1-2に取り付けられ、スナップで固定され、
図7を参照すると、具体的な固定形態は、第1のグリップ面1-1-1が第1のドッキングガイド溝4-6-1に挿入され、第1の嵌合部分1-1-2で第1の片持ち梁4-6-2にロックされ、第2のグリップ面1-2-1が第2のドッキングガイド溝4-7-1に挿入され、第2の嵌合部分1-2-2で第2の片持ち梁4-7-2にロックされる。ここで、圧電スタックアクチュエータがコンプライアントグリップ機構の内部に埋め込まれることで、アクチュエータの位置とコンプライアント機構のコンフィギュレーションを同時に最適化し、そのためより大きい動作ストロークのコンプライアント機構を得ることができ、梃子の原理により、圧電スタックアクチュエータがコンプライアントグリップ機構の内部に埋め込まれた後、動力アームと抵抗アームとの比をより大きくすることができ、それにより、より大きい変位増幅率と動作ストロークを実現する。
【国際調査報告】