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▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】スキンケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20241128BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20241128BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 36/74 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/92
A61Q19/08
A61K36/74
A61P17/00
A61P17/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528541
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2022080893
(87)【国際公開番号】W WO2023088698
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/130878
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】22151254.4
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】グ,シュエラン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC851
4C083AD631
4C083CC03
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC23
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE13
4C083EE14
4C083FF01
4C088AB14
4C088AC04
4C088BA08
4C088CA10
4C088MA02
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB11
4C088ZC75
(57)【要約】
開示されているのは、抗炎症の利益を提供するスキンケア組成物である。該組成物は、コーヒー種子油及びヒドロキシ置換C-C24脂肪酸(これは、12-ヒドロキシステアリン酸である)を含んでおり、ここで、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の重量比は、1:5~15:1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンケア組成物であって、
(a) コーヒー種子油;及び、
(b) ヒドロキシ置換C-C24脂肪酸(これは、12-ヒドロキシステアリン酸である);
を含み、
ここで、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の重量比は、1:5~15:1である;
前記スキンケア組成物。
【請求項2】
前記組成物が、コーヒーの焙煎された種子から抽出されたコーヒー種子油、好ましくは、アラビカコーヒーノキ(coffea arabica)、ロブスタコーヒーノキ(coffea canephora)及びリベリカコーヒーノキ(coffea liberic)から選択されるコーヒーの焙煎された種子から抽出されたコーヒー種子油、さらに好ましくは、アラビカコーヒーノキ(coffea arabica)のコーヒーの焙煎された種子から抽出されたコーヒー種子油を含んでいる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記コーヒー種子油が、前記組成物の0.00001~1重量%の量で存在している、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシ置換C-C24脂肪酸が、前記組成物の0.000001~5重量%の量で存在している、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記コーヒー種子油と前記12-ヒドロキシステアリン酸の重量比が、1:4~10:1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、さらに、追加の皮膚有益剤を含んでいる、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記皮膚有益剤が、ビタミンB3化合物、レゾルシノール化合物及びそれらの混合物から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、水を含んでいる、好ましくは、該組成物の10~90重量%の量の水を含んでいる、さらに好ましくは、該組成物の35~85重量%の量の水を含んでいる、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の粘度が、1,000~20,000mPa・sの範囲にある、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、リーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプの組成物であり,好ましくは、ウォッシュオフタイプの組成物である、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記発明の組成物が、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ又はゲルの形態にある、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、担体、好ましくは、油中水型エマルション又は水中油型エマルション、さらに好ましくは、水中油型エマルションを含んでいる、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益を提供する方法であって、個体の皮膚に請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物を適用する段階を含んでいる、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア組成物に関する。特に、本発明は、増強された抗炎症効果を提供するためのスキンケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、病原体、刺激物又は傷害などの有害な刺激に対する複雑な生物学的宿主応答である。皮膚における免疫応答は、病原因子に対する宿主の防御にとって重要である。しかしながら、正常に調節されていない免疫応答は、いくつかの炎症性皮膚症状を引き起こし得る。
【0003】
消費者の中には美肌を望む人もいるが、実際の生活では、多くの場合、炎症によって引き起こされる様々な肌の問題、例えば、ニキビ、炎症後色素沈着(PIH)及び老化などに遭遇する。ニキビは、尋常性座瘡としても知られているが、皮膚の毛嚢脂腺単位に影響を及ぼす皮膚の一般的な炎症性の問題である。ニキビは、対象者の皮膚に深刻な瘢痕を残し、精神的にも深刻な影響を及ぼす。
【0004】
PIHは、炎症過程中又はその後に生じる皮膚の色素沈着である。PIHは、あらゆる肌タイプ及びあらゆる年齢で観察され得る。殆どの場合、PIHは、罹患者の生活の質に多大な影響を及ぼす。紫外線暴露のような外的刺激も炎症を引き起こすことがあり、さらに光老化の徴候につながる皮膚の老化を促進する可能性がある。
【0005】
炎症に関連した問題に対処するために、抗生物質又はステロイドを使用する局所治療及び全身治療など、いくつかのアプローチがとられてきた。しかしながら、これらの治療は、刺激性であり得るか、又は、別の副作用を有し得る。例えば、抗生物質は、抗生物質耐性を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、抗炎症性の利益に関して新たな解決策を開発することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
コーヒーは、地球上で最も消費されている飲料のひとつである。コーヒー豆は、特定のコフィア(Coffea)種の果実の種子であり、通常は、焙煎して一杯のコーヒーを作る。コーヒー種子油は、未焙煎の又は焙煎されたコーヒー種子から抽出された油である。コーヒー種子油は、未焙煎の又は焙煎されたコーヒー種子から低温圧搾蒸留法で抽出することができる。コーヒー種子油は、スキンケア製品中で使用されることがある成分である。
【0008】
焙煎されたアラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)の種子の油であるKoffee’UPTMは、使用済みのコーヒーかすを乾燥させた後、超臨界CO抽出によって製造された、Givaudan社の製品である。Givaudan社によると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の間のバランスが、この油が皮膚層に素早く浸透するのを助けている。
【0009】
市場では、コーヒー種子油を含んでいる化粧品が知られている。例えば、Clinique Smart Clinical MDコレクションは、抗老化に関して記述されているスキンケア製品である。その成分の中で、コーヒー種子油は、心地よいハイドレーターブレンドの一部であると言われている。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、コーヒー種子油と12-ヒドロキシステアリン酸を含んでいるスキンケア組成物が、抗炎症性の利益を高めることを見出した。
【0011】
第1の態様において、本発明は、以下を含んでいるスキンケア組成物を提供する:
(a) コーヒー種子油;及び、
(b) ヒドロキシ置換C-C24脂肪酸(これは、12-ヒドロキシステアリン酸である);
ここで、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の重量比は、1:5~15:1である。
【0012】
第2の態様において、本発明は、本発明の組成物を個体の皮膚に適用する段階を含む、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらす方法を提供する。
【0013】
第3の態様において、本発明は、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすための、本発明の組成物の使用を提供する。
【0014】
第4の態様において、本発明は、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすことにおいて使用するための、本発明の組成物を提供する。
【0015】
第5の態様において、本発明は、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすための医薬の製造における、本発明の組成物の使用を提供する。
【0016】
本発明の他の全ての態様は、後に続く詳細な説明及び実施例を考慮すれば、より容易に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例における場合又は別途明示的に示される場合を除き、本明細書中において、材料の量若しくは反応の条件、材料の物理的性質及び/又は使用について示している全ての数字は、場合により、語「約」によって修飾されているものとして理解され得る。
【0018】
全ての量は、別途示されていない限り、当該組成物の重量に基づく。
【0019】
値の任意の範囲を指定する場合、任意の特定の上限値は、任意の特定の下限値と関連付けることができることに留意すべきである。
【0020】
不確かさを避けるために、語「含んでいる(comprising)」は、「含んでいる(including)」を意味するが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「で構成されている(composed of)」を意味しないことが意図されている。言い換えれば、列挙された段階又は選択肢は、網羅的である必要はない。
【0021】
本明細書中で見出される本発明の開示は、多重従属性又は冗長性のない特許請求の範囲が見出され得るという事実とは無関係に、互いに対して多重従属している特許請求の範囲に見出されるような全ての実施形態を包含するものとみなされる。
【0022】
コーヒー種子油
コーヒー種子油は、特定のコフィア(Coffea)種の豆から抽出される油である。それは、未焙煎のコーヒー豆から又は焙煎されたコーヒー豆から抽出することができる。コーヒー種子油には、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸及びトコフェロールが豊富に含まれている。これらの特性から、コーヒー種子油はスキンケア製品に使用されることもある。コーヒー種子油の組成は、製造工程やコフィア(Coffea)種によって異なる。例えば、未焙煎のコーヒー種子油は、高レベルの脂肪酸、ビタミン及びカフェイン(coffein)を含有し得る。
【0023】
Givaudan社のKoffee’UPTMは、焙煎されたアラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)種子の油である。それは、使用済みのコーヒーかすを乾燥させ、超臨界CO抽出によって製造される。Koffee’UPTMは、皮膚を保護し、皮膚が保湿状態にあるのを助けると主張されている。
【0024】
本発明の組成物は、コーヒー種子油を含んでいる。好ましくは、該コーヒー種子油は、コーヒーの焙煎された種子から抽出され、さらに好ましくは、アラビカコーヒーノキ(coffea arabica)、ロブスタコーヒーノキ(coffea canephora)及びリベリカコーヒーノキ(coffea liberic)から選択されるコーヒーの焙煎された種子から抽出され、最も好ましくは、アラビカコーヒーノキ(coffea arabica)のコーヒーの焙煎された種子から抽出される。
【0025】
好ましくは、該コーヒー種子油は、該組成物の0.00001~1重量%の量で、さらに好ましくは、0.0001~0.5%の量で、一層さらに好ましくは、0.0005~0.2%の量で、最も好ましくは、0.001~0.05重量%の量で、該組成物中で使用される。
【0026】
ヒドロキシ置換C -C 24 脂肪酸
本発明のヒドロキシステアリン酸は、12-ヒドロキシステアリン酸(12HSA)である。
【0027】
好ましくは、ヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の量は、該組成物の重量に対して、0.000001~5%、さらに好ましくは、0.00001~1%、一層さらに好ましくは、0.00005~0.2%、一層さらに好ましくは、0.0001~0.01%の範囲内である。
【0028】
好ましくは、12-ヒドロキシステアリン酸(12HSA)の量は、該組成物の重量に対して、0.000001~5%、さらに好ましくは、0.00001~1%、一層さらに好ましくは、0.00005~0.2%、一層さらに好ましくは、0.0001~0.01%の範囲内である。
【0029】
該コーヒー種子油と該ヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の重量比は、1:5~15:1、好ましくは1:4~10:1である。
【0030】
好ましくは、該コーヒー種子油と該12-ヒドロキシステアリン酸の重量比は、1:5~15:1、さらに好ましくは、1:4~10:1である。
【0031】
さらに、12-ヒドロキシステアリン酸の塩(特に、ナトリウム塩)を含むことは、本発明の範囲内である。しかしながら、12-ヒドロキシステアリン酸が遊離の12-ヒドロキシステアリン酸であることが好ましい。
【0032】
皮膚有益剤
本発明の組成物は、好ましくは、さらに、ビタミンB3化合物、レゾルシノール化合物及びそれらの混合物から選択される皮膚有益剤も含み得る。
【0033】
ビタミンB3化合物(ビタミンB3の誘導体を包含する)、例えば、ナイアシン、ニコチン酸、ピコリンアミド、イソニコチンアミド又はナイアシンアミドは、本発明による好ましい皮膚有益剤であり、最も好ましいのは、ナイアシンアミドである。ビタミンB3化合物は、使用する場合、好ましくは、該組成物の0.1~10重量%、さらに好ましくは、0.2~5重量%の範囲内の量で存在する。
【0034】
レゾルシノール化合物には、レゾルシノール及びその誘導体が包含される。好ましくは、レゾルシノール誘導体は、4-直鎖アルキルレゾルシノール、4-分枝鎖アルキルレゾルシノール、4-シクロアルキルレゾルシノール及びそれらの混合物からなる群から選択される4-置換レゾルシノール誘導体である。さらに好ましくは、該4-置換レゾルシノール誘導体は、4-メチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、4-ブチルレゾルシノール、4-ペンチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-ヘプチルレゾルシノール、4-オクチルレゾルシノール、4-ノニルレゾルシノール、4-デシルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール、4-シクロヘプチルレゾルシノール、4-シクロオクチルレゾルシノール又はそれらの混合物である。最も好ましくは、該4-置換レゾルシノール誘導体は、4-ヘキシルレゾルシノールである。
【0035】
担体
本発明の組成物は、化粧品的に許容される担体を含み得る。水は、最も一般的な担体である。水と乳化剤の存在下での油性担体は、担体としてエマルション系を形成する。これらの系は、油中水型エマルション又は水中油型エマルションのいずれかであることができ、好ましくは、水中油型エマルションである。水以外に、適切な担体のクラスとしては、シリコーン、炭化水素、多価アルコール、脂肪アルコール、トリグリセリド又はそれらの混合物などがある。
【0036】
シリコーン類は、存在する場合、該組成物の重量に対して、5~60%の範囲、さらに好ましくは、5~40%の範囲であり得る。これらのシリコーンは、有機、シリコーン含有又はフッ素含有、揮発性又は非揮発性、極性又は非極性であり得る。
【0037】
特に好ましい揮発性シリコーン油は、繰り返し単位が3~5の範囲にある環状揮発性シリコーン;及び、繰り返し単位が1~7の範囲にある線状シリコーンである。揮発性シリコーン油の極めて好ましい例としては、様々な粘度のシクロメチコン、例えば、ダウコーニング200、ダウコーニング244、ダウコーニング245、ダウコーニング344及びダウコーニング345(Dow Corning Corp.社から市販されている);SF-1204及びSF-1202シリコーン流体、GE7207及び7158(G.E. Silicones社から市販されている)、及び、SWS-03314(SWS Silicones Corp.社から市販されている)などがある。
【0038】
炭化水素としては、鉱油、ワセリン及びポリアルファオレフィンなどを挙げることができる。好ましい揮発性炭化水素の例としては、ポリデカン、例えば、イソドデカン及びイソデカン(例えば、Presperse Inc.社から入手可能なPermethyl-99A)、並びに、C-C~C12-C15イソパラフィン(例えば、Exxon Chemicals社から入手可能なIsopar Series)などがある。
【0039】
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール及びそれらの混合物などがある。最も好ましいのは、グリセリンとしても知られているグリセロールである。多価アルコールの量は、該組成物の0.1~10重量%、好ましくは、0.4~5重量%の範囲であり得る。
【0040】
脂肪アルコールも存在させることができる。用語「脂肪アルコール」は、10~30個の炭素原子の範囲の長さの炭素鎖を有するアルコールを示している。このカテゴリーの例は、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール及びそれらの組み合わせである。セチルアルコールがより好ましい。
【0041】
例示的なトリグリセリドとしては、限定するものではないが、ヒマワリ種子油、綿実油、カノーラ油、ダイズ油、ヒマシ油、ルリヂサ油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油、及びそれらの混合物などを挙げることができる。モノ-及びジ-グリセリドも有用であり得る。特に好ましいのは、モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリルである。
【0042】
該組成物は、該組成物の10~90重量%、好ましくは、35~85重量%、さらに好ましくは、該組成物の40~70重量%の量の水を含み得る。
【0043】
該組成物は、場合による成分、例えば、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、香料又はそれらの組み合わせなどを含み得る。
【0044】
本発明に対して適切な防腐剤としては、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、イソチアゾリノン、DMDMヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、及び、種々の第4級アンモニウム化合物、例えば、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム及びベンジルアルコールなどがある。
【0045】
本発明に対して適切な抗酸化剤としては、ビタミンC、ビタミンE、CoQ10、様々な天然物(例えば、茶及びブドウ)由来のポリフェノールなどがある。
【0046】
粘度
本明細書中で使用されている「粘度」は、25℃における動的粘度を意味し、そして、mPa・sとして報告される。粘度を測定する適切な方法は、サンドブラスト平行形状(PP25s)が取り付けられている応力制御MCR 501レオメーター(Anton Paar社, Physica MCR501, Austria)を剪断速度3.981/sで使用することである。
【0047】
該組成物の粘度は、適切には、1,000~20,000mPa・sの範囲、好ましくは、2,000~15,000mPa・sの範囲、さらに好ましくは、2,500~12,000mPa・sの範囲である。
【0048】
スキンケア組成物の方法及び使用
本明細書中で使用されているスキンケア組成物には、哺乳動物(特に、ヒト)の皮膚に局所適用するための組成物が包含される。そのような組成物は、リーブオンタイプ又はウォッシュオフタイプであり得る。ウォッシュオフタイプは、場合により、リンスオフタイプとも称される。リーブオン組成物は、所望の皮膚表面に適用され、例えば1分から24時間放置され、その後、通常、定期的な個人による洗浄の過程において、水で拭き取るか又は洗い流すことができる組成物を意味する。ウォッシュオフ組成物は、所望の皮膚表面に短時間(例えば、数秒から数分間)適用され、通常、多量の水で洗い流すことができる表面の洗浄を助ける充分な界面活性剤を含んでいる組成物を意味する。本発明の組成物は、液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ又はゲルの形態である。
【0049】
本明細書中で使用されている用語「皮膚」は、顔(眼瞼及び唇を除く)、首、胸、腹、背中、腕、脇の下、手及び脚の皮膚を包含する。好ましくは、「皮膚」は、顔(眼瞼及び唇を除く)及び脇の下の皮膚を意味し、さらに好ましくは、皮膚は、唇及び眼瞼以外の顔の皮膚を意味する。
【0050】
本発明は、さらに、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすことにおいて使用するための、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸を含んでいるスキンケア組成物も提供する。
【0051】
本発明は、さらに、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすための医薬の製造における、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸の組み合わせの使用も提供する。
【0052】
本発明は、さらに、抗炎症、抗老化及び抗ニキビから選択される少なくとも1の利益をもたらすための、コーヒー種子油とヒドロキシ置換C-C24脂肪酸を含んでいる組成物の使用も提供する。
【0053】
好ましくは、該方法は、非治療的である。好ましくは、該使用は、非治療的である。該用語「非治療的」は、化粧品目的であって、治癒目的又は治療目的ではないことを意味する。
【0054】
本発明に関して、「化粧品」は、皮膚科医などの当該分野における専門家によって病的と評価される皮膚の予防及び/又は治療を目的としない、非医薬品的、非治療的な使用を意味することが意図されている。例えば、本発明が皮膚の老化防止に適用される場合、それは、非病理学的状態から出発する非治療的使用である。
【0055】
以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供される。該実施例は、「特許請求の範囲」の範囲を限定することは意図されていない。
【実施例
【0056】
実施例で使用したKoffee’UPTM(アラビカコーヒーノキ(Coffea arabica)種子の油)は、Givaudan France SASから入手した。
【0057】
12HSAは、Sigma-Aldrichから購入した(Cat No.219967)。
【0058】
ヒト免疫細胞株THP-1インビトロアッセイ
以下の手順を使用して、抗炎症効果を測定した:
THP1-XBlueTM(CatNo.thpx-sp, InvivoGen, San Diego、CA)細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン(10U/mL)-ストレプトマイシン(10μg/mL)を補足したRPMI 1640培地(Cat No.15140122, Invitrogen, Carlsbad, CA)の中で懸濁液として培養した。細胞を、24ウェルプレート内で、5×10細胞/ウェルの密度で、100nMのphorbol-12-ミリステート-13-アセテートを用いて、72時間分化させた。次いで、細胞を純粋な大腸菌リポ多糖(LPS, Cat No.L2630, Sigma-Aldrich)と表1中の様々な組成物で共処理した。24時間経過した後、その上清を回収し、酵素結合免疫吸着アッセイキット(Cat No.555220, BD Biosciences, San Diego, CA)を用いて、プロ炎症性バイオマーカーとしてのインターロイキン(IL)-6を測定した。IL-6の発現は、LPS処理細胞(これを、100%とした)に対する割合(%)として計算した。P値は、組み合わせ群と個々の化合物群を比較するStudentのt検定によって解析した(IL-6の発現、各群3反復)。P値<0.05は、増強された効果を示している。
【0059】
IL-6の発現(%)に関する結果が、表1に示されている。
【0060】
【表1】
【0061】
上記表から、本発明の範囲内の実施例1が、本発明の範囲外の実施例(実施例D及びG)と比較して、THP-1細胞におけるIL-6発現の抑制を増強していることは明らかである。
【国際調査報告】