(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電子ビーム検査デバイスおよび検査方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241128BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20241128BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20241128BHJP
H01J 37/16 20060101ALI20241128BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01J37/317 E
H01J37/28 B
H01J37/16
H01J37/20 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528563
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2021132505
(87)【国際公開番号】W WO2023092298
(87)【国際公開日】2023-06-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】辛 桂珍
(72)【発明者】
【氏名】▲時▼ 小山
(72)【発明者】
【氏名】王 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ ▲艷▼仲
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲啓▼涛
(72)【発明者】
【氏名】▲関▼ 淘淘
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106BA02
4M106DB05
4M106DJ38
5C101AA03
5C101AA36
5C101BB01
5C101CC02
5C101CC04
5C101CC17
5C101FF02
5C101FF19
5C101FF25
5C101FF26
5C101FF32
5C101FF54
(57)【要約】
電子ビーム検査デバイスおよび検査方法が提供される。電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティ(101)および第2の処理キャビティ(102)を含む。第1の処理キャビティ(101)は、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するように構成される。第2の処理キャビティ(102)は、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成され、酸素プラズマによって、走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄するようにさらに構成される。本デバイスは、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果を回避することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビーム検査デバイスであって、前記デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを備え、
前記第1の処理キャビティは、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するように構成され、
前記第2の処理キャビティは、前記炭素膜が堆積された前記表面を有する前記基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成され、酸素プラズマによって走査された基板の前記表面上の前記炭素膜を洗浄するようにさらに構成される、電子ビーム検査デバイス。
【請求項2】
前記第2の処理キャビティは、前記基板の前記表面上に前記炭素膜を形成する前に、酸素プラズマによって前記基板の前記表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは第1の移動装置をさらに備え、前記第1の移動装置は、前記第1の処理キャビティと前記第2の処理キャビティとの間で前記基板を搬送するように構成される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは第2の移動装置をさらに備え、前記第2の移動装置は、常温常圧で前記第2の処理キャビティに前記基板を搬送するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の処理キャビティは電子ビーム検査キャビティを備え、前記電子ビーム検査キャビティは、前記炭素膜が堆積された前記表面を有する前記基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の処理キャビティはプラズマ処理キャビティをさらに備え、前記プラズマ処理キャビティは、前記酸素プラズマによって走査された基板の前記表面上の前記炭素膜を洗浄するように構成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記プラズマ処理キャビティは、前記基板の前記表面上に前記炭素膜を形成する前に、前記酸素プラズマによって前記基板の前記表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の移動装置は、前記プラズマ処理キャビティから前記第1の処理キャビティに、前記第1の処理キャビティから前記電子ビーム検査キャビティに、または前記電子ビーム検査キャビティから前記プラズマ処理キャビティに前記基板を搬送するようにさらに構成される、請求項6または7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の移動装置は、常温常圧で前記プラズマ処理キャビティに前記基板を搬送するように構成される、請求項6から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスは真空ポンプをさらに備え、前記真空ポンプは、走査された基板の前記表面上の前記炭素膜が前記酸素プラズマによって洗浄された後に前記第2の処理キャビティからガスを排出するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
電子ビーム検査デバイスに適用される、検査方法であって、前記電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを備え、前記検査方法は、
前記第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するステップと、
前記第2の処理キャビティ内で、前記炭素膜が堆積された前記表面を有する前記基板に対して電子ビーム走査を実行するステップと、
前記第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の前記表面上の前記炭素膜を洗浄するステップと、
を含む、検査方法。
【請求項12】
前記炭素膜の厚さは10nm未満である、請求項11に記載の検査方法。
【請求項13】
前記第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で前記基板の表面上に炭素膜を形成する前記ステップの前に、前記検査方法は、
前記第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって前記基板の前記表面上の有機膜を洗浄するステップ
をさらに含む、請求項11または12に記載の検査方法。
【請求項14】
前記電子ビーム検査デバイスは第1の移動装置をさらに備え、前記検査方法は、
前記第1の移動装置によって前記第1の処理キャビティと前記第2の処理キャビティとの間で前記基板を搬送するステップ
をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項15】
前記電子ビーム検査デバイスは第2の移動装置をさらに備え、前記検査方法は、
前記第2の移動装置によって常温常圧で前記第2の処理キャビティに前記基板を搬送するステップ
をさらに含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項16】
前記第2の処理キャビティは電子ビーム検査キャビティを備え、前記第2の処理キャビティ内で、前記炭素膜が堆積された前記表面を有する前記基板に対して電子ビーム走査を実行するステップは、
前記電子ビーム検査キャビティ内で、前記炭素膜が堆積された前記表面を有する前記基板に対して電子ビーム走査を実行するステップ
を含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項17】
前記第2の処理キャビティはプラズマ処理キャビティをさらに備え、前記第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の前記表面上の前記炭素膜を洗浄するステップは、
前記プラズマ処理キャビティ内で前記酸素プラズマによって走査された基板の前記表面上の前記炭素膜を洗浄するステップ
を含む、請求項16に記載の検査方法。
【請求項18】
前記第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で前記基板の表面上に炭素膜を形成するステップの前に、前記検査方法は、
前記プラズマ処理キャビティ内で前記酸素プラズマによって前記基板の前記表面上の有機膜を洗浄するステップ
をさらに含む、請求項17に記載の検査方法。
【請求項19】
前記第1の移動装置によって前記第1の処理キャビティと前記第2の処理キャビティとの間で前記基板を搬送するステップは、
前記第1の移動装置によって、前記プラズマ処理キャビティから前記第1の処理キャビティに、前記第1の処理キャビティから前記電子ビーム検査キャビティに、または前記電子ビーム検査キャビティから前記プラズマ処理キャビティに前記基板を搬送するステップ
を含む、請求項17または18に記載の検査方法。
【請求項20】
前記第2の移動装置によって常温常圧で前記第2の処理キャビティに前記基板を搬送するステップは、
前記第2の移動装置によって前記常温常圧で前記プラズマ処理キャビティに前記基板を搬送するステップ
を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項21】
前記電子ビーム検査デバイスは真空ポンプをさらに備え、前記第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって、走査された基板の前記表面上に堆積された前記炭素膜を洗浄するステップの後に、前記検査方法は、
前記真空ポンプによって前記第2の処理キャビティからガスを排出するステップ
をさらに含む、請求項11から20のいずれか一項に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体技術の分野に関し、特に、電子ビーム検査デバイスおよび検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体検査デバイスは、主に、半導体の製造工程においてウエハ(wafer)またはマスク(mask)の性能および欠陥を検査するように構成され、検査は、半導体の生産工程全体にわたって実行される。広義には、半導体検査デバイスは、試験段階に基づいて、フロントエンドオブライン試験デバイスとバックエンドオブライン試験デバイスとに分けられる。フロントエンドオブライン検査用の電子ビーム検査デバイスは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、および電子ビーム検査(Electrons Beam inspection、略してE-beam inspection、EBI)デバイスなどを含み得る。電子ビーム検査デバイスは、半導体ウエハまたはマスクの物理的欠陥を検査するために電子ビームを放射するように構成され、物理的欠陥は、半導体ウエハまたはマスクにおけるパーティクル、不純物、またはクラックなどを含み得る。電子ビーム検査デバイスは、以下の検査方法、すなわち、二次電子撮像の画像を得るために、電子ビームを使用して検査対象のウエハまたはマスクを走査し、画像中の異常ドットを見つけて異常ドットを欠陥として使用するために、コンピュータビジョンを使用して比較および認識を実行することを使用する。
【0003】
しかしながら、電子ビーム検査デバイスが電子ビームを使用して検査を実行するとき、低い導電性を有する検査対象製品の表面に帯電効果がしばしば生じる。これは検査結果に影響を及ぼす。帯電効果は、検査対象製品の表面に電子ビームが照射されるときに、余分な電荷が時間内に逃されることができず、検査対象製品の表面に電荷蓄積が生じることを意味する。したがって、静電界が生じ、電子ビーム入射および二次電子放射に干渉する。また、帯電効果の影響に起因して、走査型電子顕微鏡のその後の試験工程において、検査対象製品の表面の帯電効果に起因して検査対象製品の走査画像がぼやけ得る。これは、検査対象製品の観察結果に影響を及ぼす。
【0004】
帯電効果の影響を緩和するために、従来技術では、蓄積電荷が試料ステージを通って流出することができるように検査対象製品の表面の導電特性を変化させるために、金膜または白金膜などの比較的良好な導電性を有する導電膜が、検査対象製品の表面にスパッタリングされ得る。しかしながら、この方法では、検査対象製品が検査された後、導電膜がさらに洗浄される必要がある。しかしながら、従来技術の工程を使用して検査対象製品の表面上の導電膜を完全に洗浄することは困難である。これは、検査対象製品の汚染を引き起こす。また、この方法では、スパッタリングされる導電膜の厚さを制御することが困難である。スパッタリングされる導電膜が厚すぎる場合、試料の表面の元の形態が覆われ得、明確な影響が試料組成分析にもたらされ得る。
【0005】
したがって、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果をどのように回避するかが、早急に解決される必要がある問題である。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施形態は、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果を回避するために、電子ビーム検査デバイスおよび検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、電子ビーム検査デバイスを提供する。本デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。第1の処理キャビティは、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するように構成される。第2の処理キャビティは、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成され、酸素プラズマによって、走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄するようにさらに構成される。
【0008】
第1の態様で提供されるデバイスでは、電子ビーム検査デバイスは、互いに独立した2つの処理キャビティ、すなわち第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。第1の処理キャビティは、第1の処理キャビティ内で基板(検査対象の半導体製品、すなわちウエハまたはマスク)の表面上に均一な極薄の洗浄可能な炭素膜を堆積させるように構成される。良好な導電性により、炭素膜は、電子ビーム検査工程における帯電効果を緩和するために、電子ビーム検査時に基板の表面に蓄積した電荷を逃がすことができる。また、第1の処理キャビティ内で堆積された極薄の炭素膜は、10nm未満の厚さに達し得、その結果、検査結果が通常、過度に厚い導電膜の干渉を受ける問題を回避する。電子ビーム検査デバイスの第2の処理キャビティは、基板の物理的欠陥を見つけるために、極薄の炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される。走査を完了した後、第2の処理キャビティは、酸素プラズマによって基板の表面上の極薄の炭素膜をさらに洗浄し得る。酸素と炭素とは燃焼反応(O2+C=CO2)を起こすことができるため、酸素プラズマは、基板の表面上の炭素膜を洗浄するために、基板の表面上の炭素膜と反応して二酸化炭素ガスを生成することができ、その結果、既存の導電膜の不完全な洗浄に起因して検査対象製品が汚染される問題を回避する。また、第2の処理キャビティ内で、酸素プラズマ量は、炭素膜量よりもはるかに大きくなるように制御され得る。したがって、炭素膜は完全に洗浄(100%洗浄)されることができ、これにより、炭素膜は基板の表面上に残留物を有しない。また、酸素プラズマは、基板(ウエハまたはマスク)の製造材料とほとんど反応しない。したがって、炭素膜が完全に洗浄されることを前提として、酸素プラズマは、基板が影響を受けないことをさらに保証にすることができる。結論として、電子ビーム検査デバイスは互いに独立した2つの処理キャビティを含むため、炭素膜堆積、電子ビーム検査、および完全な炭素膜洗浄は別々に実施されることができ、その結果、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果を首尾よく回避し、基板が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題を回避し、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0009】
可能な実施態様では、炭素膜の厚さは10nm未満である。
【0010】
本出願のこの実施形態では、極薄の炭素膜は基板の表面の元の形態を覆わず、その後の電子ビーム検査工程において基板に引き起こされる干渉をさらに大幅に緩和し、その結果、基板組成分析への影響を回避する。
【0011】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティは、基板の表面上に炭素膜を形成する前に、酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される。
【0012】
本出願のこの実施形態では、基板(例えば、ウエハまたはマスク)が常温常圧で生産されるとき、基板はしばしば、生産工程に起因して空気に曝され得る。したがって、有機膜が、基板の表面上に非常に形成されやすい。これは基板の汚染を引き起こし、電子ビーム検査結果にも影響を及ぼす。したがって、炭素膜堆積前に、有機膜が、例えば酸素プラズマ技術を使用して洗浄され、その結果、炭素膜堆積の純度を改善するのに役立ち、電子ビーム検査結果への有機膜の影響を回避する。
【0013】
可能な実施態様では、本デバイスは、第1の移動装置をさらに含み、第1の移動装置は、第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送するように構成される。
【0014】
本出願のこの実施形態では、第1の移動装置は真空キャビティを含み得、第1の移動装置は、真空環境において第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送し続け得る。したがって、電子ビーム検査デバイスは、パイプライン動作を形成するように、大規模な半導体製造工程に適用可能であり、半導体産業の生産能力を改善するのに役立つ。
【0015】
可能な実施態様では、デバイスは第2の移動装置をさらに含み、第2の移動装置は、常温常圧で第2の処理キャビティに基板を搬送するように構成される。
【0016】
本出願のこの実施形態では、第2の移動装置は、ロボットハンドまたはロボットアームなどとして理解されてもよい。具体的には、第2の移動装置は、常温常圧の方から真空キャビティ(例えば、第2の処理キャビティ)に基板を搬送し得る。例えば、第2の移動装置は、検査結果が有機膜の干渉を受ける問題を緩和するために、最初に有機膜が洗浄される第2の処理キャビティに基板を搬送してもよい。
【0017】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティは電子ビーム検査キャビティを含み、電子ビーム検査キャビティは、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される。
【0018】
本出願のこの実施形態では、電子ビーム検査キャビティは、第2の処理キャビティの独立したキャビティであり、電子ビーム検査工程を炭素膜洗浄工程と分けることができ、これにより、すべての工程は互いに干渉せず、系統的であり、その結果、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0019】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティはプラズマ処理キャビティをさらに含み、プラズマ処理キャビティは、酸素プラズマによって、走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄するように構成される。
【0020】
本出願のこの実施形態では、プラズマ処理キャビティもまた、第2の処理キャビティの独立したキャビティとして使用され、電子ビーム検査工程を炭素膜洗浄工程と分けることができ、これにより、すべての工程は互いに干渉せず、系統的であり、その結果、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0021】
可能な実施態様では、プラズマ処理キャビティは、基板の表面上に炭素膜を形成する前に、酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される。
【0022】
本出願のこの実施形態では、炭素膜堆積前に、有機膜が、例えば酸素プラズマ技術を使用して洗浄され、その結果、炭素膜堆積の純度を改善するのに役立ち、電子ビーム検査結果への有機膜の影響を回避する。
【0023】
可能な実施態様では、第1の移動装置は、プラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに、第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、または電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティに基板を搬送するようにさらに構成される。
【0024】
本出願のこの実施形態では、第1の移動装置は、真空環境においてプラズマ処理キャビティ、第1の処理キャビティ、および電子ビーム検査キャビティの間で基板を一定の方向に搬送し続け得る。また、第2の処理キャビティが、電子ビーム検査キャビティおよびプラズマ処理キャビティを含むとき、第1の移動装置は、相互干渉なしに固定経路に沿って基板を搬送することができ、これにより、電子ビーム検査デバイスは、パイプライン動作を形成するように、大規模な半導体製造工程に適用可能であり、半導体産業の生産能力を改善するのに役立つ。
【0025】
可能な実施態様では、第2の移動装置は、常温常圧でプラズマ処理キャビティに基板を搬送するようにさらに構成される。
【0026】
本出願のこの実施形態では、第2の移動装置は、ロボットハンドまたはロボットアームなどとして理解されてもよい。具体的には、第2の移動装置は、常温常圧の方から真空キャビティ(例えば、プラズマ処理キャビティ)に基板を搬送し得る。第2の移動装置は、プラズマ処理キャビティに基板を搬送し得、これにより、プラズマ処理キャビティは、検査結果が有機膜の干渉を受ける問題を緩和するために、基板の表面上の有機膜を洗浄する。
【0027】
可能な実施態様では、電子ビームデバイスは、第2の移動装置をさらに含み、第2の移動装置は、第2の処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送するように構成されるか、または第2の移動装置は、プラズマ処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送するように構成される。
【0028】
本出願のこの実施形態では、第2の移動装置は、ロボットハンドまたはロボットアームなどとして理解されてもよい。工程の制約に起因して、第2の移動装置は、次の製造工程を実行するために、真空キャビティ(例えば、第2の処理キャビティまたはプラズマ処理キャビティ)から常温常圧の方に基板をさらに搬送してもよい。
【0029】
可能な実施態様では、本デバイスは真空ポンプをさらに含み、真空ポンプは、走査された基板の表面上の炭素膜が酸素プラズマによって洗浄された後に第2の処理キャビティからガスを排出するように構成される。
【0030】
本出願のこの実施形態では、走査された基板の表面に堆積された炭素膜が洗浄された後、真空ポンプは、キャビティから二酸化炭素ガス、すなわち酸素プラズマと炭素膜との反応の生成物を時間内に排出することができ、その結果、検査対象製品が汚染される問題を回避する。
【0031】
可能な実施態様では、第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの両方は、閉鎖可能な真空キャビティであり、第1の移動装置は閉鎖可能な真空キャビティを含む。
【0032】
本出願のこの実施形態では、堆積された炭素膜の品質を改善するのを助け、検査対象製品が炭素膜によって汚染される問題および検査結果が非真空環境において炭素膜の干渉を受ける問題を大幅に緩和するために、基板搬送、炭素膜堆積、電子ビーム検査、および炭素膜洗浄工程において真空環境が維持される。
【0033】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態は、電子ビーム検査デバイスに適用される検査方法を提供する。電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。本方法は、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するステップと、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するステップと、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄するステップとを含む。
【0034】
可能な実施態様では、炭素膜の厚さは10nm未満である。
【0035】
可能な実施態様では、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することは、第1の処理キャビティが第1の真空環境にあるときに、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成し、第1の真空環境の真空度が1×10-3Pa~1×10-9Paであり、第1の処理キャビティの電圧が200V~8kVであり、第1の処理キャビティの堆積時間が10s~600sであることを含む。
【0036】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することは、第2の処理キャビティが第2の真空環境にあるときに、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行し、第2の真空環境の真空度が1×10-8Pa~1×10-9Paであり、第2の処理キャビティの電圧が20kV~80kVであり、第2の処理キャビティの走査時間は360s~1800sであることを含み、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を洗浄することは、第2の処理キャビティが第3の真空環境にあるときに、酸素プラズマによって、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を洗浄し、第3の真空環境の真空度が1×10-3Pa~1×10-7Paであり、第2の処理キャビティの電圧が200V~8kVであり、第2の処理キャビティの洗浄時間が10s~600sであることを含む。
【0037】
可能な実施態様では、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することの前に、本方法は、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄することをさらに含む。
【0038】
可能な実施態様では、電子ビームデバイスは、第1の移動装置をさらに含み、本方法は、第1の移動装置によって第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送することをさらに含む。
【0039】
可能な実施態様では、電子ビームデバイスは、第2の移動装置をさらに含み、本方法は、第2の移動装置によって常温常圧で第2の処理キャビティに基板を搬送することをさらに含む。
【0040】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティは、電子ビーム検査キャビティを含み、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することは、電子ビーム検査キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することを含む。
【0041】
可能な実施態様では、第2の処理キャビティはプラズマ処理キャビティをさらに含み、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄することは、プラズマ処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄することを含む。
【0042】
可能な実施態様では、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することの前に、本方法は、プラズマ処理キャビティ内で酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄することをさらに含む。
【0043】
可能な実施態様では、第1の移動装置によって第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送することは、第1の移動装置によって、プラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに、第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、または電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティに基板を搬送することを含む。
【0044】
可能な実施態様では、第2の移動装置によって常温常圧で第2の処理キャビティに基板を搬送することは、第2の移動装置によって常温常圧でプラズマ処理キャビティに基板を搬送することを含む。
【0045】
可能な実施態様では、本方法は、第2の移動装置によって、第2の処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送すること、または第2の移動装置によって、プラズマ処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送することをさらに含む。
【0046】
可能な実施態様では、電子ビームデバイスは真空ポンプをさらに含み、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を洗浄することの後に、本方法は、真空ポンプによって第2の処理キャビティからガスを排出することをさらに含む。
【0047】
本出願の実施形態または背景技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下は、本出願の実施形態または背景技術を説明するための添付の図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本出願の一実施形態による電子ビーム検査デバイスの構造の図である。
【
図2】本出願の一実施形態による別の電子ビーム検査デバイスの構造の図である。
【
図3】本出願の一実施形態による、
図2に示されている電子ビーム検査デバイスに基づく工程の図である。
【
図4】本出願の一実施形態による、炭素膜堆積前に存在する基板構造および炭素膜堆積後に得られた基板構造の図である。
【
図5】本出願の一実施形態による検査方法のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下は、本出願の実施形態において添付の図面を参照して、本出願の実施形態について説明する。
【0050】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、用語「第1の」および「第2の」などは、異なる対象を区別することを意図されており、特定の順序を示すものではない。また、用語「含む」および「有する」ならびにこれらの任意の他の変種は、非排他的包含に該当することを意図されている。例えば、一連のステップまたはユニットを含む工程、方法、システム、製品、またはデバイスは、列挙されているステップまたはユニットに限定されず、任意選択で、列挙されていないステップもしくはユニットをさらに含み、または任意選択で、工程、方法、システム、製品、もしくはデバイスの別の固有のステップもしくはユニットをさらに含む。
【0051】
本出願では、「少なくとも1つの(もの)」は1つ以上のを指し、「複数の」は2つ以上のを指すことを理解されたい。用語「および/または」は、関連付けられた対象間の関連付け関係を説明するために使用され、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、「Aおよび/またはB」は、以下の3つのケース、すなわち、Aのみが存在する、Bのみが存在する、およびAとBとの両方が存在する、を表し得、AおよびBは単数であっても複数であってもよい。記号「/」は一般に、関連付けられた対象間の「または」関係を示す。「以下のもの(要素)のうちの少なくとも1つ」またはその同様の表現は、単一のもの(要素)または複数のもの(要素)の任意の組合せを含む、これらのものの任意の組合せを指す。例えば、a、b、またはcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、「aおよびb」、「aおよびc」、「bおよびc」、または「a、b、およびc」を示し得、a、b、およびcは単数であっても複数であってもよい。
【0052】
本明細書で言及されている「一実施形態」は、この実施形態を参照して説明されている特定の特性、構造、または特徴が、本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示す。本明細書の様々な箇所に示されている語句は、必ずしも同じ実施形態を指し得ず、別の実施形態とは相容れない独立したまたは任意選択の実施形態ではない。本明細書で説明されている実施形態が別の実施形態と組み合わされ得ることが、当業者によって明示的および暗黙的に理解される。
【0053】
最初に、本出願の実施形態を理解することを容易にするために、以下は、本出願の実施形態および適用シナリオにおいて解決される必要がある技術的問題を具体的に分析する。
【0054】
半導体検査デバイスは、主に、半導体製造工程において半導体製品(例えば、ウエハまたはマスク)の性能および欠陥を検査するように構成される。検査は、ほとんどすべての主要な工程が完了した後に実行される必要があり、半導体生産工程全体にわたって実行される。広義には、半導体検査デバイスは、試験段階に基づいて、フロントエンドオブライン試験デバイスとバックエンドオブライン試験デバイスとに分けられる。フロントエンドオブライン試験デバイスは、フロントエンドオブライン試験に適用可能である。フロントエンドオブライン試験は、半導体製品の処理および製造工程に適用される。試験は、物理的および機能的試験であり、製品の処理パラメータが設計要件を満たすかどうかを各工程後に検査し、歩留まりに影響を及ぼす欠陥が半導体製品の表面に存在するかどうかを検査して、処理ラインの歩留まりが指定されたレベルを上回るように制御されていることを保証するために使用される。バックエンドオブライン試験デバイスは、バックエンドオブライン試験に適用可能である。バックエンドオブライン試験は、主に、半導体製品処理後の集積回路(integrated circuit、IC)パッケージング段階に適用される。試験は、電気的および機能的試験であり、半導体製品が性能要件に達しているかどうかを検査するために使用される。
【0055】
フロントエンドオブライン計測および検査は、試験目的に基づいて計測および検査に細分化され得る。計測は、主に、膜厚、重要な寸法、およびレジストレーション精度などの製造寸法、ならびに半導体製品の膜応力およびドーピング濃度などの材料特性を測定して、これらのパラメータがパラメータ設計要件を満たすことを保証することである。検査は、主に、半導体製品の表面の不純物パーティクル、汚れ、機械的な傷、またはウエハパターンの欠陥などを識別して位置特定するために使用される。フロントエンドオブライン検査用の電子ビーム検査デバイスは、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、および電子ビーム検査(Electrons Beam inspection、略してE-beam inspection、EBI)デバイスなどを含み得る。電子ビーム検査デバイスは、半導体製品の物理的欠陥を検査するために電子ビームを放射するように構成され、通常、1つの処理キャビティを含む。また、物理的欠陥は、例えば、ウエハまたはマスクにおけるパーティクル、不純物、またはクラックを含み得る。電子ビーム検査デバイスは、以下の検査方法、すなわち、二次電子撮像の画像を得るために、電子ビームを使用して検査対象のウエハまたはマスクを走査し、画像中の異常ドットを見つけて異常ドットを欠陥として使用するために、コンピュータビジョンを使用して比較および認識を実行することを使用する。
【0056】
しかしながら、電子ビーム検査デバイスが電子ビームを使用して検査を実行するとき、検査対象の半導体製品(例えば、検査されるウエハまたはマスク)の表面に帯電効果がしばしば生じる。これは検査結果に影響を及ぼす。帯電効果は、主に、非導電性の、導電性が低い、または接地が不十分な検査対象製品の観察において発生する。検査対象製品の表面に電子ビームが照射されるときに、余分な電荷が時間内に逃がされることができず、検査対象製品の表面に電荷蓄積が生じる。したがって、静電界が生じ、電子ビーム入射および二次電子放射に干渉する。これは観察結果に影響を及ぼす。例えば、帯電効果は、観察結果に以下のいくつかの影響を及ぼし得る。
【0057】
1.異常コントラスト:二次電子放射が不規則な電荷蓄積の影響を受ける。結果として、最終的に受信される観察画像は、部分的に異常に明るく、部分的に暗くなる。
【0058】
2.画像歪み:電荷によって生じる静電界の影響に起因して、入射電子ビームは照射工程で不規則に偏向され、画像歪みまたは位相差をもたらす。
【0059】
3.画像ドリフト:静電界の影響に起因して、入射電子ビームは特定の方向に偏向し、画像ドリフトをもたらす。
【0060】
4.輝点および輝線:電荷蓄積の不規則性に起因して、帯電した試料において不規則な放電がしばしば発生し、画像中の不規則な輝点および輝線をもたらす。
【0061】
5.画像は「非常に平坦」であり、立体感を有しない:通常、この現象の理由は、走査速度が比較的遅く、各画素が比較的長い滞留時間を有し、電荷蓄積を引き起こすためである。画像は非常に平坦に見え、立体感を完全に失っている。
【0062】
したがって、帯電効果の影響に起因して、走査型電子顕微鏡のその後の試験工程において、検査対象製品の表面の帯電効果に起因して検査対象製品の走査画像がぼやけ得る。これは、検査対象製品の観察結果に影響を及ぼす。
【0063】
現在、帯電効果の影響を緩和し、半導体製造産業などの大規模生産用途シナリオに適用可能にするために、従来技術では、蓄積電荷が試料ステージを通って流出することができるように検査対象製品の表面の導電特性を変化させるために、金膜または白金膜などの比較的良好な導電性を有する導電膜が、検査対象製品の表面にスパッタリングされ得る。これは、帯電効果を緩和するための最も一般的な方法である。しかしながら、この方法は、以下の2つの欠点、すなわち、検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および検査対象製品が導電膜によって汚染される問題を有する。
【0064】
検査結果が導電膜の干渉を受ける問題:
(1)膜厚
導電膜が厚すぎる場合、試料の表面の元の形態が覆われ得、明確な影響が試料組成分析にもたらされ得る。実験室で現在使用されている真空スパッタリングコーティング方法を使用して作製される膜は厚すぎる。また、膜は、電子検査信号のノイズの原因となる。デバイスのノイズ低減機能が膜の厚さを補償するのに不十分であるとき、検査結果の再現性と精度との両方が影響を受ける。
【0065】
(2)膜表面欠陥
現在の技術では、コーティングされた膜の表面において、パーティクル、クラック、または溝などを含む大きなサイズ(10nm~10μm)の欠陥が検査され得る。ナノサイズの欠陥は、実験室では無視されることができる。しかしながら、半導体製造工程では、10nmを超える欠陥は、製品の廃棄を引き起こし、全体の歩留まりを低下させ得る。
【0066】
検査対象製品が導電膜によって汚染される問題:
【0067】
製品がコーティングされ、電子検査が完了した後、導電膜(金膜または白金膜を含む)が、検査対象製品の表面に残存し、検査対象製品の汚染の原因となる。したがって、導電膜はさらに、破壊検査方法と考えられ得る。これは、製品の下流処理に影響を及ぼす。半導体製造工程の業界慣行によれば、規格に適合しない製品は、下流の生産ラインに入ることを許容されない。したがって、電子検査が完了した後、膜は、完全に洗浄される必要があり、パーティクル、残留不純物、またはクラックなどの欠陥が、検査対象製品の表面に残されることはできない。
【0068】
したがって、現在の膜コーティング技術で作製される導電膜は、前述の2つの主要な技術的問題が解決された後でなければ大規模生産に使用されることができない。
【0069】
したがって、検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および製品が導電膜によって汚染される問題を解決するために、本出願の実施形態は電子ビーム検査デバイスを提供する。電子ビーム検査デバイスは、互いに独立した2つの処理キャビティ、すなわち第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。第1の処理キャビティは、キャビティ内の基板(検査対象の半導体製品、すなわち、ウエハまたはマスク)の表面上に極薄の洗浄可能な炭素膜を堆積させるように構成される。良好な導電性により、炭素膜は、電子ビーム検査工程における帯電効果を緩和するために、電子ビーム検査時に基板の表面に蓄積した電荷を逃がすことができる。また、第1の処理キャビティ内で堆積された極薄の炭素膜は、10nm未満の厚さに達し得、その結果、検査結果が通常、過度に厚い導電膜の干渉を受ける問題を回避する。また、電子ビーム検査デバイスの第2の処理キャビティは、基板の物理的欠陥を見つけるために、極薄の炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される。走査を完了した後、第2の処理キャビティは、酸素プラズマによって基板の表面上の極薄の炭素膜を洗浄するようにさらに構成され得る。酸素と炭素とは燃焼反応(O2+C=CO2)を起こすことができるため、酸素プラズマは、基板の表面上の炭素膜を完全に洗浄するために、基板の表面上の炭素膜と反応して二酸化炭素ガスを生成することができる。また、酸素プラズマは、基板(ウエハまたはマスク)の製造材料とほとんど反応しない。したがって、炭素膜が完全に洗浄されることを前提として、酸素プラズマは、基板が影響を受けないことを保証することができ、その結果、検査対象製品が既存の導電膜によって汚染される問題を回避する。
【0070】
また、本出願の実施形態で提供される電子ビーム検査デバイスおよび検査方法は、様々な半導体製品を大規模に生産するように実施され、様々な半導体製品の検査工程に適用され、特に、電子ビーム検査時の大量の電荷の蓄積の現象を緩和し、検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題をさらに回避し得る。例えば、検査対象製品上に均一な炭素膜が堆積される。具体的な実施態様については、以下の実施形態を適宜参照されたい。本出願の実施形態において、ここでは詳細は説明されない。
【0071】
前述の技術的問題に基づいて、本出願の実施形態の理解を容易にするために、以下は、本出願の実施形態が基づく電子ビーム検査デバイスのいくつかについて最初に説明する。
【0072】
本出願の一実施形態は、電子ビーム検査デバイスを提供する。電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。
【0073】
図1は、本出願の一実施形態による電子ビーム検査デバイスの構造の図である。
図1の主図に示されているように、電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102を含み得る。電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置103と、第2の移動装置104と、真空ポンプ(図示せず)とをさらに含み得る。
図1の上面図に示されているように、以下の動作が実行される。
【0074】
1.第2の移動装置によって基板(検査対象の半導体製品、例えばウエハまたはマスク)を基板載置台から第2の処理キャビティ102に搬送する。
【0075】
2.第2の処理キャビティ内でプラズマ処理によって基板の表面上の有機膜を洗浄する。
【0076】
3.基板の表面上の有機膜が洗浄された後、第1の移動装置103によって第2の処理キャビティ102から第1の処理キャビティ101に基板を搬送する。
【0077】
4.次に、第1の処理キャビティ内で物理蒸着技術を使用して基板の表面上に炭素膜を形成する。
【0078】
5.次に、第1の移動装置103によって、炭素膜が堆積された基板を第1の処理キャビティ101から第2の処理キャビティ102に搬送し、これにより、基板の欠陥検査結果を得るために、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム検査が実行される。
【0079】
6.第2の処理キャビティ102は、検査された基板の表面上の炭素膜を洗浄し、第2の移動装置104によって、炭素膜が洗浄された基板を第2の処理キャビティから基板載置台に搬送する。
【0080】
第1の処理キャビティ101(物理蒸着キャビティとも呼ばれ得る)は、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するように構成される。具体的には、第1の処理キャビティ101は、炭素膜が基板の表面上に堆積される堆積キャビティであり、第1の処理キャビティ101は、炭素原子または炭素イオンなどが第1の処理キャビティ101内の基板の表面上に均一な炭素膜を形成することを可能にするために物理蒸着方法を使用し得る。良好な導電性により、均一な炭素膜は、帯電効果が基板の表面に生じて検査結果に影響を及ぼすことを防止するために、その後の電子ビーム検査工程において、電子ビームが基板に照射されるときに生じる電荷を時間内に逃がすことができる。炭素膜は、真空環境で基板の表面上に堆積される必要がある。したがって、第1の処理キャビティ101は真空キャビティでもある。また、基板は、検査対象の半導体製品、例えばウエハまたはマスクとして理解され得る。
【0081】
第1の処理キャビティ101によって使用される物理蒸着方法は、蒸発蒸着またはスパッタリング蒸着などを含み得ることに留意されたい。これは、本出願のこの実施形態では限定されない。例えば、第1の処理キャビティ101が第1の真空環境にあるとき、ターゲット材料が、スパッタリング蒸着方法で炭素原子を得るために励起され、炭素原子は、基板の表面上に炭素膜を形成する。ターゲット材料は固体炭素である。また、本出願のこの実施形態では、ターゲット材料の形状は具体的に限定されない。例えば、ターゲット材料は、円形炭素、繊維状炭素、または棒状炭素であってもよい。また、ターゲット材料の具体的な材料は、本出願のこの実施形態では具体的に限定されない。例えば、固体炭素は、グラファイトまたはダイヤモンドなどであってもよい。選択される具体的な材料は、コストに基づいて具体的に制御されてもよい。
【0082】
第2の処理キャビティ102は、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成され、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を酸素プラズマによって洗浄するようにさらに構成される。言い換えれば、第2の処理キャビティ102は、基板に対して電子ビーム走査を実行し、電子ビーム走査後に基板の表面上の炭素膜を洗浄する処理キャビティである。炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビームが照射されるとき、基板の表面上の炭素膜を介して余分な電荷が時間内に逃がされ、これにより、検査対象基板の表面に電荷蓄積が生じず、第2の処理キャビティ102は、基板の観察結果を得、基板が物理的欠陥を有するかどうかを決定するために、電子ビーム入射および二次電子放射を正常に実行することができる。物理的欠陥は、例えば、ウエハまたはマスクにおけるパーティクル、不純物、またはクラックを含み得る。電子ビーム走査が完了した後、検査された基板が炭素膜によって汚染されることを防止するために、さらに、基板の表面上の炭素膜が洗浄される必要がある。したがって、第2の処理キャビティ102は、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を完全に洗浄するために酸素プラズマ技術を使用し得、これにより、炭素膜が洗浄された基板は、炭素膜が堆積されていないときに存在する基板と同じ状態に保たれ、言い換えれば、炭素膜が洗浄された基板は、炭素膜が堆積される前に存在する基板と同じ状態に保たれ、表面上に炭素が存在しなくなる。また、基板に対して電子ビーム検査または炭素膜洗浄が実行されるとき、基板は密閉された真空キャビティ内に配置される必要がある。したがって、第2の処理キャビティ102は、密閉可能な真空キャビティでもある。
【0083】
第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102は、キャビティ内の真空環境を別々に制御するために1つの真空ポンプを共有してもよいことに留意されたい。あるいは、第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102はぞれぞれ、1つの真空ポンプに対応し、キャビティ内の真空環境を1対1対応で制御してもよい。これは、本出願のこの実施形態では具体的に限定されない。
【0084】
任意選択で、第2の処理キャビティ102は、基板の表面上に炭素膜を形成する前に、酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される。基板(例えば、ウエハまたはマスク)が常温常圧で生産されるとき、基板はしばしば、生産工程に起因して空気に曝され得る。基板が空気に曝されるとき、オペレータの呼吸もしくは対話、またはさらには空気中の水蒸気もしくは他の不純物に起因して、有機膜(例えば、炭化水素)が、基板の表面上に非常に形成されやすい。これは、基板の表面の汚染を引き起こす。基板の表面上の有機膜の存在に起因して、電子ビーム検査工程において比較的大きな信号対ノイズ比が発生し得、堆積された炭素膜の純度が影響を受ける。結果として、炭素膜は純粋ではなく、したがって、炭素膜の導電性が影響を受け、電子ビーム検査結果に影響を及ぼす。したがって、炭素膜堆積の前に、例えば酸素プラズマ技術を使用して有機膜が洗浄される必要がある。例えば、第2の処理キャビティ内で、無線周波電圧(周波数は数十メガヘルツ程度)が一群の電極に印加され、電極間に高周波交流電界が形成される。交流電界の励起下で、その領域内のガスが、高エネルギーの不規則なプラズマを生成する。活性プラズマは、洗浄される対象の表面に対して物理的な衝撃および化学反応の二重の作用を及ぼし、これにより、洗浄される対象の表面上の物質はパーティクルおよびガス状物質となり、パーティクルおよびガス状物質は、真空引きによって排出され、不純物が洗浄される。
【0085】
第1の移動装置103は、真空搬送装置として理解されてもよい。具体的には、第1の移動装置103は、真空環境において、第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送し続け得る。
【0086】
任意選択で、第1の移動装置103は、搬送モジュールと、真空ポンプと、少なくとも1つの密閉扉(例えば、金属弁)を有する真空キャビティとを含んでもよい。例えば、第1の移動装置103が、炭素膜を堆積させるために第2の処理キャビティ102から第1の処理キャビティ101に基板を搬送するとき、真空キャビティは、最初に、真空ポンプによって第2の処理キャビティ102と同じ真空環境を維持し、次に、第2の処理キャビティ102に対応する密閉扉を開き、基板搬送モジュールによって第2の処理キャビティ内の載置装置から第1の移動プラットフォームの載置装置に基板を搬送し、密閉扉を閉じてもよく、真空キャビティは、第1の処理キャビティ101と同じ真空環境を維持するために真空ポンプによってキャビティ内の真空度を調整し、次に、第1の処理キャビティ101に対応する密閉扉を開き、基板搬送モジュールによって第2の処理キャビティ内の載置装置から第1の移動プラットフォームの載置装置に基板を搬送し、密閉扉を閉じてもよい。任意選択で、ただ1つの密閉扉があるとき、異なるキャビティ間の基板の円滑な搬送を保証するために、密閉扉の対応する位置は変更されてもよい。例えば、密閉扉は、第2の処理キャビティ102に対応する位置から第1の処理キャビティ101に対応する位置に搬送されてもよい。
【0087】
真空キャビティ内の真空度を第1の処理キャビティもしくは第2の処理キャビティ内の真空度と一致させ続けることは、真空度の大きさが一致することとして理解されてもよいし、または基板が2つのキャビティ間で搬送されるときに、搬送される基板が真空度の変化に起因して影響を受けないこととして理解されてもよいことに留意されたい。
【0088】
第2の移動装置104は、ロボットハンドまたはロボットアームなどとして理解されてもよい。具体的には、第2の移動装置104は、常温常圧の載置装置から第2の処理キャビティに基板を搬送し得、または第2の処理キャビティから常温常圧の載置装置に検査された基板を搬送し得る。基板が第2の処理キャビティに搬送された後、真空環境を形成するために、第1の処理キャビティまたは第2の処理キャビティ内のガスが、真空ポンプによって抜き取られる必要がある。例えば、第2の移動装置が、基板載置台から第2の処理キャビティ102に基板を搬送した後、第2の処理キャビティ102は密閉され、第2の処理キャビティ内のガスは、第2の処理キャビティを真空に保つために、真空ポンプによって抜き取られる。
【0089】
常温常圧の載置装置は、室温の基板載置台として理解されてもよく、この基板載置台は空気に曝されてもよいことに留意されたい。
【0090】
任意選択で、第2の移動装置104は、真空吸着カップによって基板を移動させてもよい。真空吸着カップは、基板を搬送する工程において基板に損傷または汚染をもたらしにくい。
【0091】
真空ポンプは、抜き取られる容器から空気を抜き取って真空を得るために機械的、物理的、化学的、または物理化学的方法を使用する構成要素またはデバイスである。一般に、真空ポンプは、様々な方法を使用して特定の閉空間内の真空を改善、生成、および維持する装置である。本出願のこの実施形態では、真空ポンプは、第1の処理キャビティ101、第2の処理キャビティ102、および第1の移動装置103内の真空環境を生成または維持するように構成される。第1の処理キャビティ101と第2の処理キャビティ102との両方は、閉鎖可能な真空キャビティであり、第1の移動装置103は閉鎖可能な真空キャビティを含む。
【0092】
任意選択で、真空ポンプは、第2の処理キャビティ102が酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄した後、第2の処理キャビティからガスを排出するように構成される。言い換えれば、第2の処理キャビティ内の真空環境は、真空ポンプによって維持される。真空ポンプは、キャビティから二酸化炭素ガス、すなわち、酸素プラズマと炭素膜との反応の生成物を時間内に排出することができる。また、真空ポンプのタイプは、本出願のこの実施形態では具体的に限定されない。
【0093】
結論として、電子ビーム検査デバイスは、互いに独立した2つの処理キャビティ、すなわち第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102を含む。第1の処理キャビティは、キャビティ内の基板(検査対象の半導体製品、すなわち、ウエハまたはマスク)の表面上に極薄の洗浄可能な炭素膜を堆積させるように構成される。良好な導電性により、炭素膜は、電子ビーム検査工程における帯電効果を緩和するために、電子ビーム検査時に基板の表面に蓄積した電荷を逃がすことができる。また、第1の処理キャビティ内で堆積された極薄の炭素膜は、10nm未満の厚さに達し得、その結果、検査結果が通常、厚さに起因して導電膜の干渉を受ける問題を回避する。また、電子ビーム検査デバイスの第2の処理キャビティは、基板の物理的欠陥を見つけるために、極薄の炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される。走査を完了した後、第2の処理キャビティは、酸素プラズマによって基板の表面上の極薄の炭素膜を洗浄するようにさらに構成され得る。酸素と炭素とは燃焼反応(O2+C=CO2)を起こすことができるため、酸素プラズマは、基板の表面上の炭素膜を完全に洗浄するために、基板の表面上の炭素膜と反応して二酸化炭素ガスを生成することができる。また、酸素プラズマは、基板(ウエハまたはマスク)の製造材料とほとんど反応しない。したがって、炭素膜が完全に洗浄されることを前提として、酸素プラズマは、基板が影響を受けないことを保証することができ、その結果、検査対象製品が既存の導電膜によって汚染される問題を回避する。結論として、電子ビーム検査デバイスは互いに独立した2つの処理キャビティを含むため、炭素膜堆積、電子ビーム検査、および完全な炭素膜洗浄は別々に実施されることができ、その結果、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果を首尾よく回避し、基板が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題を回避し、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0094】
図1に示されている電子ビーム検査デバイスの関連する構造は、本出願で提供される例示的な構造にすぎないことにさらに留意されたい。本出願のこの実施形態では、第1の処理キャビティ101、第2の処理キャビティ102、第1の移動装置103、第2の移動装置104、および図に示されていない真空ポンプなどの関連する構成要素の形状、サイズ、位置、および数さえも具体的に限定されない。例えば、第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102は、円筒形、半球形、または立方形などであってもよく、第1の処理キャビティ101および第2の処理キャビティ102の位置もまた、具体的な適用時のデバイスサイズの制約に基づいて調整されてもよい。別の例では、デバイススペースを節約するために、第1の移動装置および第2の移動装置は、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティの上方に懸架されてもよい。別の例では、デバイスのスペースおよびコストを節約するために、真空ポンプの数がさらに制御されてもよい。例えば、第1の処理キャビティ、第2の処理キャビティ、および第1の移動装置は、1つの真空ポンプを共有する。
【0095】
図1に示されている電子ビーム検査デバイスにおける電子ビーム検査および炭素膜洗浄のための第2の処理キャビティは、1つのキャビティのみを含む。一部の実施形態では、第2の処理キャビティは、複数のキャビティにさらに分けられてもよく、または第2の処理キャビティは、少なくとも1つのキャビティをさらに含む。
【0096】
図2は、本出願の一実施形態による別の電子ビーム検査デバイスの構造の図である。
図2の主図に示されているように、電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティ101と、電子ビーム検査キャビティ112と、プラズマ処理キャビティ122とを含み得る。電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置103と、第2の移動装置104と、真空ポンプ(図示せず)とをさらに含み得る。
図1に示されている電子ビーム検査デバイスと比較して、
図2に示されている電子ビーム検査デバイスにおける第2の処理キャビティは、電子ビーム検査キャビティ112とプラズマ処理キャビティ122とに分けられていることに留意されたい。
図2の上面図に示されているように、以下の動作が実行される。
【0097】
1.第2の移動装置104によって基板(検査対象の半導体製品、例えばウエハまたはマスク)を基板載置台からプラズマ処理キャビティ122に搬送する。
【0098】
2.プラズマ処理キャビティ内でプラズマ処理によって基板の表面上の有機膜を洗浄する。
【0099】
3.プラズマ処理キャビティ122が基板の表面上の有機膜を洗浄した後、電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置103によってプラズマ処理キャビティ122から第1の処理キャビティ101に基板を搬送する。
【0100】
4.次に、第1の処理キャビティ内で物理蒸着技術を使用して基板の表面上に炭素膜を形成する。
【0101】
5.次に、電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置103によって、炭素膜が堆積された基板を第1の処理キャビティ101から電子ビーム検査キャビティ112に搬送し、これにより、基板の欠陥検査結果を得るために、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム検査が実行される。
【0102】
6.基板の欠陥検査結果を得た後、電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置103によって、電子ビーム検査キャビティ112からプラズマ処理キャビティ122に基板を搬送する。
【0103】
7.プラズマ処理キャビティ122は、検査された基板の表面上の炭素膜を洗浄し、第2の移動装置104によって、炭素膜が洗浄された基板を第2の処理キャビティから基板載置台に搬送する。
【0104】
第1の処理キャビティ101は、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成するように構成される。第1の処理キャビティ101の機能については、
図1に示されている電子ビーム検査デバイスの第1の処理キャビティ101の関連する説明をさらに適宜参照されたい。本出願のこの実施形態において、ここでは詳細は再び説明されない。
【0105】
電子ビーム検査キャビティ112は、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行するように構成される。具体的には、電子ビーム検査キャビティ112は、電子ビーム走査を実行するために電子ビームを基板に照射し、余分な電荷は、基板の表面上の炭素膜を介して時間内に逃がされ、これにより、検査対象の基板の表面に電荷蓄積が生じず、電子ビーム検査キャビティ112は、基板の検査結果を得るために、電子ビーム入射および二次電子放射を正常に実行することができる。検査結果は、基板が物理的欠陥を有するかどうかを示し得る。基板が物理的欠陥を有する場合、検査結果は、物理的欠陥のタイプ、サイズ、および位置などをさらに含んでもよい。例えば、検査結果は、基板の画像情報および欠陥情報を含んでもよい。基板に対して電子ビーム検査が実行されるとき、基板は密閉された真空キャビティ内に配置される必要がある。したがって、電子ビーム検査キャビティ112は、密閉可能な真空キャビティである。
【0106】
プラズマ処理キャビティ122は、酸素プラズマによって、走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄するように構成される。電子ビーム検査キャビティ112およびプラズマ処理キャビティ122は、互いに独立した2つのキャビティであるため、プラズマ処理キャビティは、他の要因の影響を受けることなく、炭素膜を独立して洗浄することができる。したがって、電子ビーム走査が完了した後、走査された基板は、基板の表面上の炭素膜を洗浄するために、第1の移動装置103によって電子ビーム検査キャビティ112からプラズマ処理キャビティ122にさらに搬送される必要があり、その結果、検査された基板が炭素膜によって汚染されることを防止する。例えば、プラズマ処理キャビティ122は、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を完全に洗浄するために、酸素プラズマ技術を使用し得、これにより、炭素膜が洗浄された基板は、炭素膜が堆積されていないときに存在する基板と同じ状態になる。基板に対して炭素膜洗浄が実行されるとき、基板は密閉された真空キャビティ内に配置される必要がある。したがって、プラズマ処理キャビティ122は、密閉可能な真空キャビティである。
【0107】
任意選択で、プラズマ処理キャビティ122は、基板の表面上に炭素膜を形成する前に、酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄するようにさらに構成される。基板(例えば、ウエハまたはマスク)が常温常圧で生産されるとき、基板はしばしば、生産工程に起因して空気に曝され得る。基板が空気に曝されるとき、オペレータの呼吸もしくは対話、またはさらには空気中の不純物に起因して、有機膜が、基板の表面上に非常に形成されやすい。これは基板の汚染を引き起こし、電子ビーム検査結果に影響を及ぼす。したがって、炭素膜堆積の前に、例えば酸素プラズマ技術を使用して有機膜が洗浄される必要がある。これは、有機膜によって引き起こされる検査結果への干渉および基板への影響を緩和する。
【0108】
第1の移動装置103は、真空搬送装置として理解されてもよい。具体的には、第1の移動装置103は、プラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに、第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、または電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティに基板を搬送し得る。工程の制約に起因して、基板を検査する工程において、第1の移動装置103の搬送経路が決定される。具体的には、基板は、プラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに、または第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、または電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティにのみ搬送されることができる。したがって、経路が固定され、相互干渉がないため、電子ビーム検査デバイスは、パイプライン動作を形成するように、大規模な半導体製造工程に適用可能であり、半導体産業の生産能力を改善するのに役立つ。
【0109】
第2の移動装置104は、ロボットハンドまたはロボットアームなどとして理解されてもよい。具体的には、第2の移動装置104は、常温常圧の載置装置からプラズマ処理キャビティに基板を搬送し得、またはプラズマ処理キャビティから常温常圧の載置装置に検査された基板を搬送し得る。基板がプラズマ処理キャビティに搬送された後、真空環境を形成するために、プラズマ処理キャビティ内のガスは真空ポンプによって抜き取られる必要がある。基板がプラズマ処理キャビティから搬送された後、プラズマ処理キャビティは、真空ポンプによって常温常圧の環境に復元される必要がある。
【0110】
真空ポンプは、プラズマ処理キャビティ122が、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を酸素プラズマによって洗浄した後、プラズマ処理キャビティ内のガスをプラズマ処理キャビティから排出するように構成される。
【0111】
第1の移動装置103、第2の移動装置104、および真空ポンプの他の関連する機能については、
図1の実施形態の関連する説明をさらに適宜参照することに留意されたい。本出願のこの実施形態において、ここでは詳細は再び説明されない。
【0112】
本出願のこの実施形態における
図2に示されている電子ビーム検査デバイスの関連する構造は、本出願で提供される例示的な構造にすぎないことにさらに留意されたい。本出願のこの実施形態では、第1の処理キャビティ101、電子ビーム検査キャビティ112、プラズマ処理キャビティ122、第1の移動装置103、第2の移動装置104、および図に示されていない真空ポンプなどの関連する構成要素の形状、サイズ、位置、および数さえも具体的に限定されない。例えば、プラズマ処理キャビティ122は、2つの処理キャビティにさらに分けられてもよく、一方の処理キャビティは、有機膜を洗浄するように構成され、他方の処理キャビティは、炭素膜を洗浄するように構成される。これは、本出願のこの実施形態では具体的に限定されない。
【0113】
結論として、電子ビーム検査デバイスは、互いに独立した少なくとも3つの処理キャビティ、すなわち、第1の処理キャビティ101、電子ビーム検査キャビティ112、およびプラズマ処理キャビティ122を含む。電子ビーム検査キャビティとプラズマ処理キャビティとが分けられ、これにより、基板は、電子ビーム検査および炭素膜洗浄を実行する工程において別のステップに起因して影響を受けることがなくなり、検査結果への干渉も回避されることができる。また、炭素膜堆積、電子ビーム検査、および完全な炭素膜洗浄は別々に実施されることができ、その結果、検査工程において電子ビームデバイスによって検査対象製品の表面に引き起こされる帯電効果を首尾よく回避し、基板が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題を回避し、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0114】
また、極薄の炭素膜の作製時に、極薄の炭素膜の膜厚、粒度、表面形態、および欠陥率などを制御して、電子ビーム検査結果への干渉がゼロに近いことを保証し、その結果、電子ビーム検査の精度および鮮明度が影響を受けないことを保証するために、炭素膜を最適化するための、堆積キャビティの真空度および電圧などの重要なパラメータが設定され得る。例えば、真空度が1×10-3Pa~1×10-9Paであり、電圧が200V~8kVであるとき、膜厚均一性は±0.4nm以内に制御されることができ、粒度は0.4nm未満である。このとき、酸素プラズマ技術は、酸素と炭素との燃焼反応によって炭素膜を100%洗浄することができるため、この解決策では、検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および製品が導電膜によって汚染される問題が回避され、その結果、半導体製造産業の関連する半導体装置の大規模生産時の歩留まりを保証する。
【0115】
したがって、以下では、本出願は、作動工程における電子ビーム検査デバイスの関連パラメータを説明するために、
図2に示されている電子ビーム検査デバイスを例として使用する。
【0116】
図3は、本出願の一実施形態による、
図2に示されている電子ビーム検査デバイスに基づく工程の図である。
図3に示されているように、本出願の実施形態における
図2に示されている電子ビーム検査デバイスに基づく最適化された試験工程は、以下の通りであり、例えば物理蒸着工程およびプラズマ処理工程を含む。
【0117】
ステップS1:第2の移動装置によって基板載置台からプラズマ処理キャビティに基板を搬送する。基板は、検査対象の半導体製品、例えばウエハまたはマスクである。
【0118】
ステップS2:プラズマ処理キャビティ内でプラズマ処理技術を使用して基板の表面上の有機膜を洗浄する。プラズマ処理キャビティの電圧は200V~8kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-3Pa~1×10-7Paで安定化され、プラズマ処理キャビティの処理時間は10s~600sである。
【0119】
電圧、真空度、および処理時間の関係は以下の通りであり、より高い電圧は、酸素プラズマのより高い濃度およびプラズマ処理キャビティのより短い処理時間を示すが、基板のより高い温度を示す。したがって、過度に高い電圧は、基板の性能に悪影響を及ぼし得る。したがって、電圧の上限は8kV程度に設定され得る。キャビティ内のより高い真空度は、酸素プラズマと有機膜とのより高い反応速度およびより短い処理時間を示すが、より高い真空度は、より高いデバイスおよび工程コストを示す。このステップでは、基板の表面上へのその後の炭素膜堆積の準備をするために、製品の表面上の有機膜は、酸素プラズマ(O2 Plasma)技術を使用して洗浄される。
【0120】
ステップS3:プラズマ処理キャビティが基板の表面上の有機膜を洗浄した後、電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置によってプラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに基板を搬送する。
【0121】
ステップS4:電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティ内で物理蒸着技術を使用して基板の表面上に炭素膜を形成する。第1の処理キャビティの電圧は200V~8kVに設定され、第1の処理キャビティ内の真空度は1×10-3Pa~1×10-9Paで安定化され、第1の処理キャビティの堆積時間は10s~600sである。形成される炭素膜の厚さは10nm未満であり、炭素膜の粒度は1nm未満である。
【0122】
電圧、真空度、および処理時間の関係は以下の通りであり、より高い電圧は、キャビティ内に充填される炭素原子またはキャビティ内で励起される炭素イオンのより高い濃度およびより短い堆積時間を示す。第1の処理キャビティ内のより高い真空度は、炭素膜のより高い純度、より良好な導電性、およびより小さい粒度値を示すが、より高い真空度は、より高いデバイスおよび工程コストを示す。このステップでは、その後の電子ビーム欠陥検査の準備をするために、均一な極薄の炭素膜が基板の表面上に形成される。
【0123】
図4は、本出願の一実施形態による、炭素膜堆積前に存在する基板構造および炭素膜堆積後に得られた基板構造の図である。
図4に示されているように、炭素膜堆積前、基板は、2つのクラック欠陥CCおよびCDを有する。炭素膜堆積後、基板の表面は均一な炭素膜で覆われる。炭素膜の厚さは、1nm~10nmの間になるように制御され得るため、2つのクラック欠陥CCおよびCDは完全には覆われない。したがって、その後の電子ビーム検査工程において、帯電効果が回避されながら、基板上の欠陥は明確に見つけられることができる。
【0124】
ステップS5:電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置によって第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、表面上に炭素膜を有する基板を搬送し、これにより、基板の欠陥検査結果を得るために、第2の処理キャビティ内で、表面上に炭素膜を有する基板に対して電子ビーム検査が実行される。電子ビーム検査キャビティの電圧は1kV~80kVに設定され、電子ビーム検査キャビティ内の真空度は1×10-2Pa~1×10-9Paで安定化され、電子ビーム検査キャビティの走査時間は360s~7200sである。
【0125】
電圧、真空度、および処理時間の関係は以下の通りであり、ここでは、電圧設定は検査分解能に関連し、したがって、実際の要件に基づいて修正が実行され得る。より高い電圧は、生成される画像のより高い走査分解能を示す。キャビティ内のより高い真空度は、より高い検査品質、すなわち、基板の欠陥を見つけるより高い精度を示す。このステップでは、基板の情報収集および/または画像処理が完了され得る。
【0126】
ステップS6:基板の欠陥検査結果を得た後、電子ビーム検査デバイスは、第1の移動装置によって電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティに基板を搬送し、これにより、プラズマ処理キャビティは、検査された基板の表面上の炭素膜を洗浄する。プラズマ処理キャビティの電圧は200V~8kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-3Pa~1×10-7Paで安定化され、処理時間(洗浄時間に相当する)は10s~600sである。
【0127】
電圧、真空度、および処理時間の関係は以下の通りであり、より高い電圧は、酸素プラズマのより高い濃度およびプラズマ処理キャビティのより短い処理時間を示す。キャビティ内のより高い真空度は、酸素プラズマと炭素膜とのより高い反応速度およびより短い処理時間を示すが、より高い真空度は、より高いデバイスおよび工程コストを示す。このステップでは、二酸化炭素ガスを生成するために、製品の表面上の炭素膜は、酸素プラズマ(O2 Plasma)技術を使用して燃焼される。反応生成物は、ガス、すなわち二酸化炭素のみを含み、真空ポンプによって真空キャビティから排出され、これにより、固体または液体残留不純物はなくなる。このステップでは、基板の状況は、酸素プラズマ処理によってステップS1の状況に復元される。
【0128】
ステップS7:検査された基板の表面上の炭素膜を洗浄した後、プラズマ処理キャビティは、第2の移動装置によって第2の処理キャビティから基板載置台に、炭素膜が洗浄された基板を搬送する。
【0129】
本出願のこの実施形態では、処理時間、堆積時間、または走査時間などは工程時間のみを示し、処理時間、堆積時間、または走査時間などの値は、12インチウエハを参照して得られていることに留意されたい。したがって、処理時間、堆積時間、または走査時間などは、あらゆるケースを示すものではなく、処理時間、堆積時間、または走査時間などの値は、電圧、真空度、および基板サイズに応じて調整されてもよい。
【0130】
検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および製品が導電膜によって汚染される問題を解決するために、本出願の一実施形態は、電子ビーム検査分野における主な技術的課題である帯電効果を解決し、検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および基板(検査対象製品)が導電膜によって汚染される問題を回避するために炭素膜を100%洗浄することができる技術を提供する。本出願のこの実施形態では、極薄の(1nm~10nm)の洗浄可能な炭素膜が基板(例えば、ウエハまたはライトカバー)の表面上に堆積される。電子ビーム検査段階において、製品(ウエハまたはライトカバー)の表面に蓄積した電荷は、炭素膜を介して製品の外部に逃がされ得、これにより、帯電効果は根本的になくなり、電子ビーム検査速度は低下しない。また、作製時、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティの真空度および電圧は、膜厚、粒度、表面形態、および欠陥率などを含む炭素膜の重要なパラメータを最適化して、電子ビーム検査結果への干渉がゼロに近いことを保証し、その結果、電子ビーム検査の精度および鮮明度が影響を受けないことを保証するために使用され得る。このとき、酸素プラズマは、炭素膜を100%洗浄することができるため、本出願のこの実施形態では、検査結果が導電膜の干渉を受ける問題および製品が導電膜によって汚染される問題が回避され、その結果、半導体製造産業の関連する半導体装置の大規模生産を保証する。
【0131】
前述の実施形態の関連する説明に基づいて、本出願は、電子ビーム検査デバイスが、異なる有益な効果を得るために、電子ビーム検査工程において、炭素膜および電子ビーム検査を最適化するための重要なパラメータを設定する3つの実施態様を例として提供する。
【0132】
1.検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題が回避されることを前提として、電子ビーム検査デバイスおよび工程コストが低減される。
【0133】
前述のステップS2に関して、プラズマ処理キャビティの電圧は220Vに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-3Paで安定化され、処理時間は600sである。ステップS2では、その後の炭素膜堆積の準備をするために、基板の表面上の有機膜が、プラズマ技術を使用して洗浄され得る。
【0134】
前述のステップS4に関して、基板は、炭素膜堆積を開始するために、第1の移動装置(例えば、真空環境搬送プラットフォーム)によって第1の処理キャビティに搬送される。第1の処理キャビティの電圧は220Vに設定され、第1の処理キャビティ内の真空度は1×10-3Paで安定化され、堆積時間は120sである。真空度および電圧は、基板の表面上に極薄の炭素膜を形成するように設定され得る。前述の条件で形成される炭素膜の厚さは2nmであり、膜厚均一性は±0.4nm以内になるように制御され、炭素粒度は0.4nm未満である。
【0135】
前述のステップS5に関して、基板は、電子ビーム検査キャビティ内で基板欠陥検査を実行するために、第1の移動装置によって電子ビーム検査キャビティに移動される。電子ビーム検査キャビティの電圧は20kV~80kVであり、電子ビーム検査キャビティ内の真空度は1×10-2Pa~1×10-5Paで安定化され、電子ビーム検査キャビティの電子ビーム走査時間は3600s~7200sである。より高い真空度は、電子ビーム検査キャビティのより短い走査時間を示す。このステップでは、基板の情報収集および画像処理が完了され得る。
【0136】
前述のステップS6に関して、基板は、第1の移動装置によってプラズマ処理キャビティに移動される。プラズマ処理キャビティの電圧は220Vに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-3Paで安定化され、処理時間は30sである。このステップでは、二酸化炭素ガスを生成するために、基板の表面上の炭素膜は、酸素プラズマ技術を使用して燃焼される。堆積される炭素膜は極薄でより高い純度を有するため、処理時間が有機膜よりも短い。
【0137】
結論として、処理キャビティ内のより高い電圧およびより高い真空度は、より高い電子ビーム検査デバイスおよび工程コストを示す。したがって、前述の電圧および真空度構成が実施され、これにより、検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題が回避されることを前提として、電子ビーム検査デバイスおよび工程コストが大幅に低減されることができる。
【0138】
2.検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題が回避されることを前提として、炭素膜のコストと電子ビーム検査精度とのバランスをとるように、電子ビーム検査デバイスのキャビティ内の電圧および真空度は一定に保たれ、これにより、基板の生産数が比較的高くなる。
【0139】
前述のステップS2に関して、プラズマ処理キャビティの電圧は2kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は5×10-5Paで安定化され、プラズマ処理キャビティの処理時間は30sである。このステップでは、その後の炭素膜堆積の準備をするために、基板の表面上の有機膜は、酸素プラズマ(O2 Plasma)技術を使用して洗浄される。
【0140】
前述のステップS4に関して、基板は、炭素膜堆積を開始するために、第1の移動装置によって第1の処理キャビティに搬送される。第1の処理キャビティの電圧は7kVに設定され、第1の処理キャビティ内の真空度は1×10-9Paで安定化され、第1の処理キャビティの堆積時間は10sである。真空度および電圧は、基板の表面上に極薄の炭素膜を形成するように設定され得る。前述の条件で形成される炭素膜の厚さは1nmであり、炭素粒度は0.3nm未満である。
【0141】
前述のステップS5に関して、基板は、電子ビーム検査キャビティ内で基板欠陥検査を実行するために、第1の移動装置によって電子ビーム検査キャビティに移動される。電子ビーム検査キャビティの電圧は1kV~80kVに設定され、キャビティ内の真空度は1×10-5Pa~1×10-9Paで安定化され、処理時間は360s~7200sである。このステップでは、基板の情報収集および画像処理が完了される。
【0142】
前述のステップS6に関して、基板は、第1の移動装置によってプラズマ処理キャビティに移動される。プラズマ処理キャビティの電圧は2kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は5×10-5Paで安定化され、プラズマ処理キャビティの処理時間は20sである。
【0143】
前述の工程条件は、基板が最も高い検査効率を有するように処理時間とコストとのバランスをとっており、大規模半導体製造産業に適用可能である。
【0144】
結論として、処理キャビティ内のより高い電圧およびより高い真空度は、より高い電子ビーム検査デバイスおよび工程コストを示す。したがって、前述の電圧および真空度構成が実施され、これにより、検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題が回避されることを前提として、炭素膜製造のコストと電子ビーム検査精度とのバランスがとられることができる。このようにして、検査工程は、実施態様1と比較してはるかに少ない時間を消費し、その結果、基板の生産能力を改善する。
【0145】
3.検査対象製品が導電膜によって汚染される問題および検査結果が導電膜の干渉を受ける問題が回避されることを前提として、炭素膜の品質が最良であり、電子ビーム検査デバイスおよび工程コストが最も高い。
【0146】
前述のステップS2に関して、プラズマ処理キャビティの電圧は7kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-7Paで安定化され、プラズマ処理キャビティの処理時間は300sである。前述の工程条件の主な考慮事項は、有機膜洗浄効果が最良であることである。
【0147】
前述のステップS4に関して、基板は、炭素膜堆積を開始するために、第1の移動装置(例えば、真空環境搬送プラットフォーム)によって第1の処理キャビティに搬送される。第1の処理キャビティの電圧は2kVに設定され、第1の処理キャビティ内の真空度は1×10-9Paで安定化され、第1の処理キャビティの堆積時間は40sである。真空度および電圧は、基板の表面上に極薄の炭素膜を形成するように設定され得、炭素膜の品質(導電性、厚さ、または均一性など)は、前述の2つの実施形態のものと比較して最良である。前述の条件で形成される炭素膜の厚さは2nmであり、炭素粒度は0.2nm未満である。
【0148】
前述のステップS5に関して、基板は、電子ビーム検査キャビティ内で基板欠陥検査を実行するために、第1の移動装置によって電子ビーム検査キャビティに移動される。電子ビーム検査キャビティの電圧は20kV~80kVに設定され、キャビティ内の真空度は1×10-8Pa~1×10-9Paで安定化され、処理時間は360s~1800sである。このケースでは、炭素膜の品質が比較的良好であるため、電子ビーム検査時の信号対ノイズ比が最も高くなる。
【0149】
前述のステップS6に関して、基板は、第1の移動装置によってプラズマ処理キャビティに移動される。プラズマ処理キャビティの電圧は7kVに設定され、プラズマ処理キャビティ内の真空度は1×10-5Paで安定化され、プラズマ処理キャビティの処理時間は40sである。このステップでは、基板の状況は、プラズマ処理によってステップ1の状況に復元される。前述の工程条件では、堆積される炭素膜の品質が、前述の2つの実施形態と比較して最良であるため、このケースでは、炭素膜を洗浄するための処理時間は最も短い。
【0150】
結論として、処理キャビティ内のより高い電圧およびより高い真空度は、より高い電子ビーム検査デバイスおよび工程コストを示す。したがって、電子ビーム検査デバイスおよび工程コストの考慮なしに、前述の電圧および真空度構成が実施され、これにより、炭素膜の品質が大幅に改善されることができる。
【0151】
前述の3つの実施形態では、処理時間、堆積時間、または走査時間などは工程時間のみを示し、処理時間、堆積時間、または走査時間などの値は、12インチウエハを参照して得られていることに留意されたい。したがって、処理時間、堆積時間、または走査時間などは、あらゆるケースを示すものではなく、処理時間、堆積時間、または走査時間などの値は、電圧、真空度、および基板サイズに応じて調整されてもよい。
【0152】
前述の3つの実施形態では、電圧および真空度などのパラメータの構成方法は、本出願の実施形態で提供される可能な実施態様にすぎないことにさらに留意されたい。電圧および真空度などのパラメータの具体的な値は、実際のケースに基づいて調整されてもよい。本出願の実施形態において、ここでは詳細は説明されない。
【0153】
図5は、本出願の一実施形態による検査方法のステップのフローチャートである。検査方法は、電子ビーム検査デバイスに適用され、電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティおよび第2の処理キャビティを含む。本方法は以下のステップを含む。
【0154】
ステップS501:第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成する。
【0155】
具体的には、電子ビーム検査デバイスは、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成する。物理蒸着は、蒸発蒸着またはスパッタリング蒸着などを含み得る。適切な真空環境が、真空ポンプによって第1の処理キャビティ内に維持され得る。化学蒸着方法で堆積されるものと比較して、物理蒸着方法で堆積される炭素膜は、より均一であり、より高い純度を有し、制御がより容易な厚さを有する。これは、基板に対して電子ビーム検査を実行するのに役立つ。
【0156】
任意選択で、炭素膜の厚さは10nm未満であってもよい。導電膜が厚すぎる場合、試料の表面の元の形態が覆われ得、明確な影響が試料組成分析にもたらされ得る。実験室で現在使用されている真空スパッタリングコーティング方法を使用して作製される膜は厚すぎる。また、膜は、電子検査信号のノイズの原因となる。デバイスのノイズ低減機能が膜の厚さを補償するのに不十分であるとき、検査結果の再現性と精度との両方が影響を受ける。したがって、本出願のこの実施形態における炭素膜の厚さは10nm未満であり得、その結果、検査結果が炭素膜の干渉を受けることを防止する。また、本出願および前述の実施形態における極薄の炭素膜の厚さは10nm未満であることに留意されたい。炭素膜の実際の厚さは10nm以下であることが理解され得る。また、作製される炭素膜の厚さは、10nm以下であることが予期されるが、工程の制約に起因して10nmを超えることも理解され得る。例えば、炭素膜の厚さが10nmになるように制御されるとき、工程の制約に起因して、膜厚均一性は±0.4nm以内になるように制御される。結果として、炭素膜の一部または全部の領域の実際の厚さは10nmを超えるが、10.4nm未満である。しかしながら、この炭素膜もまた、本出願のこの実施形態では、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に形成される極薄の炭素膜と考えられてもよい。
【0157】
任意選択で、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することは、第1の処理キャビティが第1の真空環境にあるときに、物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成し、第1の真空環境の真空度が1×10-3Pa~1×10-9Paであり、第1の処理キャビティの電圧が200V~8kVであり、第1の処理キャビティの堆積時間が10s~600sであることを含む。第1の真空環境のより高い真空度は、炭素膜のより小さい粒度を示し、したがって、炭素膜のより高い純度およびより良好な導電性を示し、その結果、電子ビーム検査工程における帯電効果を大幅に回避する。
【0158】
ステップS502:第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行する。
【0159】
具体的には、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査が実行される。
【0160】
任意選択で、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することは、第2の処理キャビティが第2の真空環境にあるときに、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行し、第2の真空環境の真空度が1×10-8Pa~1×10-9Paであり、第2の処理キャビティの電圧が20kV~80kVであり、第2の処理キャビティの走査時間が360s~1800sであることを含む。第2の処理キャビティは、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行した後に、基板の欠陥情報または画像情報を得得る。第2の真空環境のより高い真空度および電子ビーム検査キャビティのより高い電圧は、基板に対応する画像情報のより高い分解能および電子ビーム検査キャビティのより短い電子ビーム走査時間を示す。
【0161】
任意選択で、第2の処理キャビティは、電子ビーム検査キャビティを含み、第2の処理キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することは、電子ビーム検査キャビティ内で、炭素膜が堆積された表面を有する基板に対して電子ビーム走査を実行することを含む。
【0162】
ステップS503:第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって、走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄する。
【0163】
具体的には、走査された基板の表面上の炭素膜は、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって洗浄される。
【0164】
任意選択で、電子ビームデバイスは、第1の移動装置をさらに含み、本方法は、第1の移動装置によって第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送することをさらに含む。
【0165】
任意選択で、電子ビームデバイスは、第2の移動装置をさらに含み、本方法は、第2の移動装置によって常温常圧で第2の処理キャビティに基板を搬送することをさらに含む。
【0166】
任意選択で、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄することは、第2の処理キャビティが第3の真空環境にあるときに、酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄し、第3の真空環境の真空度が1×10-3Pa~1×10-7Paであり、第2の処理キャビティの電圧が200V~8kVであり、第2の処理キャビティの洗浄時間が10s~600sであることを含む。プラズマ処理キャビティ内のより高い真空度は、プラズマ処理キャビティ内の酸素プラズマと炭素膜とのより高い反応速度およびプラズマ処理キャビティのより短い処理時間を示す。プラズマ処理キャビティのより高い電圧は、プラズマ処理キャビティ内の酸素プラズマのより高い濃度およびプラズマ処理キャビティのより短い処理時間を示す。
【0167】
任意選択で、第2の処理キャビティはプラズマ処理キャビティをさらに含み、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄することは、プラズマ処理キャビティ内で酸素プラズマによって走査された基板の表面上の炭素膜を洗浄することを含む。
【0168】
任意選択で、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することの前に、本方法は、プラズマ処理キャビティ内で酸素プラズマによって基板の表面上の有機膜を洗浄することをさらに含む。
【0169】
任意選択で、第1の処理キャビティ内で物理蒸着方法で基板の表面上に炭素膜を形成することの前に、本方法は、プラズマ処理キャビティが第4の真空環境にあるときに、酸素プラズマ技術を使用して基板の表面上の有機膜を洗浄し、第4の真空環境の真空度が1×10-3Pa~1×10-7Paであり、プラズマ処理キャビティの処理時間が10s~600sであり、プラズマ処理キャビティの電圧が200V~8kVであることをさらに含む。
【0170】
任意選択で、第1の移動装置によって第1の処理キャビティと第2の処理キャビティとの間で基板を搬送することは、第1の移動装置によって、プラズマ処理キャビティから第1の処理キャビティに、第1の処理キャビティから電子ビーム検査キャビティに、または電子ビーム検査キャビティからプラズマ処理キャビティに基板を搬送することを含む。
【0171】
任意選択で、第2の移動装置によって常温常圧で第2の処理キャビティに基板を搬送することは、第2の移動装置によって常温常圧でプラズマ処理キャビティに基板を搬送することを含む。
【0172】
任意選択で、本方法は、第2の移動装置によって、第2の処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送すること、または第2の移動装置によって、プラズマ処理キャビティ内の基板を常温常圧の方に搬送することをさらに含む。
【0173】
任意選択で、電子ビームデバイスは真空ポンプをさらに含み、第2の処理キャビティ内で酸素プラズマによって、走査された基板の表面上に堆積された炭素膜を洗浄することの後に、本方法は、真空ポンプによって第2の処理キャビティからガスを排出することをさらに含む。
【0174】
前述の電子ビーム検査デバイスに適用可能な検査方法では、電子ビーム検査デバイスの第1の処理キャビティは、第1の処理キャビティ内で基板(検査対象の半導体製品、すなわちウエハまたはマスク)の表面上に均一な極薄の洗浄可能な炭素膜を堆積させる。良好な導電性により、炭素膜は、電子ビーム検査工程における帯電効果を緩和するために、電子ビーム検査時に基板の表面に蓄積した電荷を逃がすことができる。また、第1の処理キャビティ内で堆積された極薄の炭素膜は、10nm未満の厚さに達し得、その結果、検査結果が通常、厚さに起因して導電膜の干渉を受ける問題を回避する。電子ビーム検査デバイスの第2の処理キャビティは、基板の物理的欠陥を見つけるために、極薄の炭素膜が堆積された基板に対して電子ビーム走査を実行する。走査を完了した後、第2の処理キャビティは、酸素プラズマによって基板の表面上の極薄の炭素膜をさらに洗浄し得る。酸素と炭素とは燃焼反応(O2+C=CO2)を起こすことができるため、酸素プラズマは、基板の表面上の炭素膜を完全に洗浄するために、基板の表面上の炭素膜と反応して二酸化炭素ガスを生成することができ、その結果、既存の導電膜の不完全な洗浄に起因して検査対象製品が汚染される問題を回避する。また、第2の処理キャビティ内で、酸素プラズマ量は、炭素膜量よりもはるかに大きくなるように制御され得る。したがって、炭素膜は完全に洗浄(100%洗浄)されることができ、これにより、炭素膜は基板の表面上に残留物を有しない。また、酸素プラズマは、基板(ウエハまたはマスク)の製造材料とほとんど反応しない。したがって、炭素膜が完全に洗浄されることを前提として、酸素プラズマは、基板が影響を受けないことをさらに保証にすることができる。また、使用される電子ビーム検査デバイスは、互いに独立した2つの処理キャビティを含むため、炭素膜堆積工程は、電子ビーム検査工程および炭素膜洗浄工程とは分けられ得、これにより、すべての工程は互いに干渉せず、系統的であり、その結果、基板に対して電子ビーム検査を実行する効率を改善する。
【0175】
本出願のこの実施形態におけるステップS501からステップS503の関連する説明については、
図3に示されている実施形態の関連する説明をさらに適宜参照することに留意されたい。これは、本出願のこの実施形態では再び詳細に説明されない。
【0176】
前述の実施形態では、実施形態の説明はそれぞれの焦点を有する。一実施形態で詳細に説明されていない部分については、他の実施形態の関連する説明を参照されたい。
【0177】
簡単な説明のために、前述の方法実施形態はそれぞれ、一連のアクションの組合せとして表されていることに留意されたい。しかしながら、当業者は、一部のステップが本出願に従って他の順序でまたは同時に実行され得ることから、本出願が説明されたアクションの順序に限定されないことを理解するはずである。本明細書で説明された実施形態はすべて例示的な実施形態に属し、関連するアクションおよびモジュールは必ずしも本出願によって必要とされないことが、当業者によってさらに理解されるはずである。
【0178】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されている装置は他の方法で実施され得ることを理解されたい。例えば、説明されている装置実施形態は例にすぎない。例えば、ユニットへの分割は、論理的な機能の分割にすぎず、実際の実施態様では他の分割であってもよい。例えば、複数のユニットまたは構成要素は、別のシステムに組み合わされてもよく、もしくは統合されてもよく、または一部の特徴は無視されてもよい、もしくは実行されなくてもよい。また、提示されたまたは述べられた相互結合または直接的な結合もしくは通信接続は、いくつかのインターフェースを介して実施されてもよい。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電子的なまたは他の形態で実施されてもよい。
【0179】
別個の部分として説明されている前述のユニットは、物理的に別個であってもなくてもよく、ユニットとして提示されている部分は、物理的なユニットであってもなくてもよく、具体的には、1つの位置に配置されてもよいし、または複数のネットワークユニットに分散されてもよい。実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の要件に基づいて、ユニットの一部または全部が選択されてもよい。
【0180】
また、本出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてもよいし、またはユニットの各々は物理的に単独で存在してもよいし、または2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてもよい。統合ユニットは、ハードウェアの形態で実施されてもよいし、またはソフトウェア機能ユニットの形態で実施されてもよい。
【0181】
前述の統合ユニットが、ソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売または使用されるとき、統合ユニットは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は本質的に、または従来技術に寄与する部分は、または技術的解決策の全部もしくは一部は、ソフトウェア製品の形態で実施されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、もしくはネットワークデバイスなどであってもよく、具体的には、コンピュータデバイス内のプロセッサであってもよい)に、本出願の実施形態で説明された方法のステップの全部または一部を実行するように命令するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、読出し専用メモリ(Read-Only Memory、略してROM)、またはランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、略してRAM)などの、プログラムコードを記憶することができる任意の媒体を含んでもよい。
【0182】
前述の実施形態は、本出願を限定することではなく、本出願の技術的解決策を説明することを意図されているにすぎない。本出願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、当業者は、本出願の実施形態の技術的解決策の精神および範囲から逸脱することなく、前述の実施形態で説明された技術的解決策に修正をさらに加え得る、またはその一部の技術的特徴の同等の置換を行い得ることを理解するはずである。
【符号の説明】
【0183】
101 第1の処理キャビティ
102 第2の処理キャビティ
103 第1の移動装置
104 第2の移動装置
112 電子ビーム検査キャビティ
122 プラズマ処理キャビティ
【国際調査報告】