(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】切替可能なフリーホイールを備えるクラッチアセンブリ及びクラッチアセンブリを備えるドライブトレイン
(51)【国際特許分類】
F16D 11/10 20060101AFI20241128BHJP
F16D 41/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16D11/10 A
F16D41/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528566
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 DE2022100788
(87)【国際公開番号】W WO2023109999
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】102021133208.7
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルボスラフ スレジャーク
(72)【発明者】
【氏名】エリック オレル
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA04
3J056DA04
3J056GA12
(57)【要約】
本発明は、クラッチアセンブリ(1)であって、第1のクラッチパートナ(2)及び第2のクラッチパートナ(3)と、切替可能なフリーホイール(11)であって、2つのクラッチパートナ(2、3)を回転の方向に従って結合するために、第1のクラッチパートナ(2)と第2のクラッチパートナ(3)との間に配置されており、フリーホイール(11)が、一方のクラッチパートナ(2)に少なくとも周方向に固定され、かつもう一方のクラッチパートナ(3)に配置された傾斜状の阻止輪郭(15)と回転の方向に従って形状嵌合的に相互作用する複数のばね付勢された阻止体(12)を備える、切替可能なフリーホイール(11)と、を備える、クラッチアセンブリ(1)と、クラッチアセンブリ(1)を制御するための、2つのクラッチパートナ(2、3)と同軸に移動可能である摺動スリーブ(4)であって、2つのクラッチパートナ(2、3)が、摺動スリーブ(4)の阻止位置(105)において、摺動スリーブ(4)を介して一回転方向(103)及び反対回転方向(104)にともに回転するように相互接続され、摺動スリーブ(4)のフリーホイール位置(106)において、2つのクラッチパートナ(2、3)が、フリーホイール(11)を介して正確に一回転方向(103)にともに回転するように相互接続され、摺動スリーブ(4)の中立位置(106)において、阻止体が、2つのクラッチパートナ(2、3)が互いに対して一回転方向(103)及び反対回転方向(104)に回転可能であるように、摺動スリーブ(4)によって阻止輪郭(15)との係合が防止される、摺動スリーブ(4)と、に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクラッチパートナ(2)及び第2のクラッチパートナ(3)を有し、かつ、
切替可能なフリーホイール(11)であって、2つの前記クラッチパートナ(2、3)を回転の方向に従って互いに結合するために、前記第1のクラッチパートナ(2)と前記第2のクラッチパートナ(3)との間に配置されており、一方のクラッチパートナ(2)に少なくとも周方向に固定され、かつもう一方のクラッチパートナ(3)に配置された傾斜状の阻止輪郭(15)と前記回転の方向に従って形状嵌合的に相互作用する複数のばね付勢された阻止体(12)を備える、切替可能なフリーホイール(11)、を有する、クラッチアセンブリ(1)であって、
前記クラッチアセンブリ(1)を制御するための、前記2つのクラッチパートナ(2、3)に対して同軸に移動可能である摺動スリーブ(4)であって、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が、前記摺動スリーブ(4)の阻止位置(105)において、前記摺動スリーブ(4)を介して一回転方向(103)及び反対回転方向(104)に回転的に固定された様態で互いに接続され、前記摺動スリーブ(4)のフリーホイール位置(106)において、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が、前記フリーホイール(11)を介して正確に一回転方向(103)に回転的に固定された様態で互いに接続され、かつ前記摺動スリーブ(4)の中立位置(106)において、前記阻止体が、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が互いに対して前記一回転方向(103)及び前記反対回転方向(104)に回転可能であるように、前記摺動スリーブ(4)によって前記阻止輪郭(15)に対して係合解除された状態に保たれる、摺動スリーブ(4)、を特徴とする、クラッチアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記フリーホイール(11)が、主回転軸(100)に対して軸方向に前記2つのクラッチパートナ(2、3)の間に配置されており、前記第1のクラッチパートナ(2)が、軸方向端面上に、前記阻止体(12)を受容するための複数の受容ポケット(14)を有し、かつ前記第2のクラッチパートナ(3)が、前記阻止体(12)とは反対側の軸方向端面上に、前記阻止輪郭(15)を有することを特徴とする、請求項1に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記摺動スリーブ(4)とともに軸方向に、かつ前記主回転軸(100)に対して前記軸方向(101)に移動するように結合される前記フリーホイール(11)が、前記摺動スリーブ(4)の軸方向移動を前記阻止体(12)に伝達するために、ばね力に抗して前記阻止体(12)に当接している制御リング(16)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記制御リング(16)が、前記第1のクラッチパートナ(2)の中に形成された制御スロット(21)の中に軸方向に案内される少なくとも1つの径方向外向きの制御ロッド(20)を有し、前記摺動スリーブ(4)が、前記制御ロッド(20)を介して前記制御リング(16)とともに移動するように結合されていることを特徴とする、請求項3に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記摺動スリーブ(4)が、前記摺動スリーブ(4)の内周に少なくとも1つの制御輪郭(22)を有し、前記制御輪郭(22)が、前記摺動スリーブ(4)の移動中に前記ばね力に抗して前記制御リング(16)を少なくとも前記フリーホイール位置(106)から前記中立位置(107)まで前記軸方向(101)に移動させるために、前記制御ロッド(20)上で前記軸方向(101)に支持されていることを特徴とする、請求項4に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項6】
ロッキングリング(23)であって、前記第1のクラッチパートナ(2)が、周方向の受容溝(24)を有し、かつ前記摺動スリーブ(4)が、周方向の保持溝(25)を有しており、前記ロッキングリング(23)が、前記受容溝(24)内に取り付けられ、かつ前記摺動スリーブ(4)の前記中立位置(107)において、前記摺動スリーブ(4)を第1の結合体(2)上で軸方向に前記中立位置に固定するために、前記保持溝(25)内の断面において係合する、ロッキングリング(23)を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記保持溝(25)及び/又は前記ロッキングリング(23)が、乗り上げ傾斜部(26)を有し、前記ロッキングリング(23)が、前記摺動スリーブ(4)が前記中立位置(107)から前記フリーホイール位置(106)に軸方向に移動されるときに、前記乗り上げ傾斜部(26)を介して前記受容溝(24)の中へと径方向に変形され、これにより前記摺動スリーブ(4)が、前記中立位置(106)及び前記阻止位置(105)の方向に自由に移動可能であることを特徴とする、請求項6に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ロッキングリング(23)が、前記摺動スリーブ(4)が前記フリーホイール位置(106)及び/又は前記阻止位置(105)に配置されるときに、軸方向反対方向(102)において前記制御リング(16)のための端部停止部を画定することを特徴とする、請求項6又は7に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第1のクラッチパートナ(2)が、外部歯部(5)を有し、かつ前記第2のクラッチパートナ(3)が、ロッキング歯部(7)を有し、前記摺動スリーブ(4)は、内部歯部(6)を介して前記外部歯部(5)と回転的に固定係合しており、かつ前記阻止位置(105)に移動されるとき、前記2つのクラッチパートナ(2、3)を互いに回転的に固定された様態で結合するために、前記内部歯部(6)を介して前記ロッキング歯部(7)と回転的に固定係合させることもできることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項10】
第1のシャフト及び第2のシャフトを有し、かつ、請求項1~9のいずれか一項に記載のクラッチアセンブリ(1)を有するドライブトレインであって、前記第1のシャフトが、前記第1のクラッチパートナ(2)に回転的に固定された様態で接続され、前記第2のシャフトが、前記第2のクラッチパートナ(3)に回転的に固定された様態で接続されており、2つの前記シャフト間のトルク伝達を、前記クラッチアセンブリ(1)の摺動スリーブ(4)を軸方向に移動させることによって制御することができることを特徴とする、ドライブトレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴を有するクラッチアセンブリに関する。本発明は更に、クラッチアセンブリを有するドライブトレインに関する。
【背景技術】
【0002】
切替可能なオーバーランニングクラッチは、シャフトなどの回転可能なコンポーネントを結合するために使用されることが知られている。クラッチは、トルク伝達コンポーネント間の選択的なトルク伝達のための制御可能なフリーホイールを装備することができる。オーバーランニングクラッチは、通常、電気式、機械式又は油圧式の駆動部によって制御することができる。
【0003】
独国特許出願公開第102018101148号明細書では、外側リング、内側リング、ローラケージ、複数のローラ及びドライバプレートを有する切替可能なクラッチが記載されている。外側リングは、複数の傾斜状の表面を有する。ローラケージは、径方向において外側リングと内側リングとの間に配置されている。ローラは、ローラケージを通って誘導される。ドライバプレートは、回転的に固定された様態で内側リングに締結されており、かつ外側リングに対してローラを回転させるためにローラケージと係合することができる。例示的な実施形態では、切替可能なクラッチは、外側リングと係合しており、かつ外側リングに対して第1の回転の方向にローラケージに予圧をかけるために使用されるばねを有する。例示的な実施形態では、切替可能なクラッチは、ドライバプレート及びローラケージと係合する電磁石、並びに/又はドライバプレート及びローラケージを解放するためのコイルばねユニットを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、パワーシフト可能な作動及び堅牢な構造を特徴とするクラッチアセンブリを提案することである。また、本発明の目的は、クラッチアセンブリを有するドライブトレインを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するクラッチアセンブリと、請求項10の特徴を有するドライブトレインとによって達成される。本発明の好ましいかつ/又は有利な実施形態は、従属請求項、以下の記載、及び添付図面から生じる。
【0006】
本発明の主題は、特に車両のドライブトレインのために構成されているかつ/又は好適であるクラッチアセンブリである。クラッチアセンブリは、特に、車両の駆動車軸を接続又は接続解除するために使用される。好ましくは、クラッチアセンブリは、ドッグクラッチとして、好ましくは接続解除クラッチとして構成される。
【0007】
クラッチアセンブリは、第1のクラッチパートナ及び第2のクラッチパートナを有する。特に、クラッチパートナは、共通主回転軸の周りを回転することができる。好ましくは、第1のクラッチパートナは、第1の回転コンポーネント、例えば第1のシャフトにトルクが伝達するように接続可能であり、かつ/又は接続され、第2のクラッチパートナは、第2の回転コンポーネント、例えば第2のシャフトにトルク伝達可能に接続可能であり、かつ/又は接続される。2つのクラッチパートナは、好ましくは、主回転軸に対して同軸にかつ/又は同心に配置される。例えば、第1のクラッチパートナはハブとして構成され、第2のクラッチパートナは結合体、特にラチェットリングとして構成される。
【0008】
クラッチアセンブリは、切替可能なフリーホイールを有する。フリーホイールは、2つのクラッチパートナを回転の方向に従って互いに結合するために、第1のクラッチパートナと第2のクラッチパートナとの間に配置される。特に、フリーホイールは、機械的に接続又は接続解除することができる。接続されると、フリーホイールは、回転の方向に従って2つのクラッチパートナ間でトルクを伝達する。接続解除されると、第1のクラッチパートナ及び第2のクラッチパートナは、フリーホイールに関係なく、互いに結合されるか、又は互いに結合解除される。
【0009】
フリーホイールは、ばね付勢された複数の阻止体を有し、これらの阻止体は、少なくとも周方向に一方のクラッチパートナに固定されており、かつ回転の方向に従ってもう一方のクラッチパートナに配置された傾斜状の阻止輪郭と形状嵌合的に相互作用する。フリーホイールが接続されると、阻止体は、好ましくは、固定された回転の方向において阻止輪郭に形状嵌合的に係合し、回転の方向とは反対に向けられた反対回転方向において阻止輪郭から滑り落ちる。阻止輪郭は、好ましくは、周方向の歯付き傾斜形状、特に鋸歯状の傾斜によって形成される。阻止体は、好ましくは、軸方向に移動可能な爪部として構成される。
【0010】
本発明の範囲内で、クラッチアセンブリは、2つのクラッチパートナに対して同軸に配置され、フリーホイールを制御するために構成されているかつ/又は好適である摺動スリーブを有することが提案される。摺動スリーブは、好ましくは、2つのクラッチパートナに対して回転軸に対して軸方向に移動可能であり、周方向に回転的に固定された様態で第1のクラッチパートナ及び/又は第2のクラッチパートナに接続されているか、又は接続可能である。特に、2つのクラッチパートナは、摺動スリーブ内に径方向に受容されているか、又は受容可能である。任意選択的に、摺動スリーブは、アクチュエータを接続するために、摺動スリーブの外周に周方向に延びる溝を有することができる。特に、溝は、シフトフォークを受容するために、特に摺動ブロックを受容するために使用される。摺動スリーブは、阻止位置とフリーホイール位置と中立位置との間で主回転軸に対して軸方向に移動可能である。特に、摺動スリーブは、主回転軸に対して軸方向に、阻止位置からフリーホイール位置へ、次いで中立位置へ移動可能であり、逆の順序で軸方向反対方向に移動可能である。
【0011】
阻止位置において、2つのクラッチパートナは、摺動スリーブを介して、一回転方向及び反対回転方向に回転的に固定された様態で互いに接続される。特に、阻止位置では、摺動スリーブは、回転の方向及び反対回転方向での回転時に2つのクラッチパートナを互いに回転的に固定された様態で接続するために、第1のクラッチパートナ及び第2のクラッチパートナと周方向に形状嵌合的に係合する。摺動スリーブをフリーホイール位置に軸方向に移動させることによって、2つのクラッチパートナ間の回転可能に固定された接続が少なくとも部分的に解除される。
【0012】
フリーホイール位置では、2つのクラッチパートナは、正確に一回転方向でフリーホイールを介して互いに回転的に固定された様態で接続される。特に、フリーホイール位置では、阻止体は、回転の方向での回転時に2つのクラッチパートナを互いに回転的に固定された様態で接続するために、回転の方向で第1のクラッチパートナ及び第2のクラッチパートナと形状嵌合的に係合する。対照的に、2つのクラッチパートナは、反対回転方向に回転するときに互いに対して回転することができるか、又は2つのクラッチパートナのうちの一方は静止したままである。フリーホイールは、摺動スリーブを中立位置に軸方向に移動させることによって接続解除される。
【0013】
中立位置では、阻止体は、摺動スリーブによって阻止輪郭に対して係合解除された状態に保たれているため、2つのクラッチパートナは、回転の方向及び反対回転方向に互いに対して回転することができる。特に、摺動スリーブは、摺動スリーブが軸方向に移動されるときに阻止体が阻止輪郭から離れるように移動される方法で、阻止体に移動するように結合される。摺動スリーブを中立位置に軸方向に移動させることによって、2つのクラッチパートナ間の回転可能に固定された接続が完全に解除される。
【0014】
本発明の利点は、特に、シフトスリーブの軸方向移動により、特に負荷の下で切り替えることができる単純な作動を特徴とするクラッチアセンブリが提案されることである。摺動スリーブを介してフリーホイールを作動させることによって、フリーホイールのための追加のアクチュエータも省くことができ、したがって、クラッチアセンブリは、著しくより少ないコンポーネントしか必要とせず、同時に、極めて費用効果的であるように構成することができる。別の利点は、クラッチアセンブリを極めて堅牢であるように構成することができ、かつ高いトルクを伝達するのに好適であることである。
【0015】
特定の実施形態では、フリーホイールは、2つのクラッチパートナ間の主回転軸に対して軸方向に配置される。この目的のために、第1のクラッチパートナは、軸方向端面上に、阻止体を受容するための複数の受容ポケットを有しており、第2のクラッチパートナは、阻止体とは反対側の軸方向端面上に阻止輪郭を有する。特に、阻止体は、受容ポケット内に格納可能に受容される。受容ポケットは、好ましくは、阻止体は、少なくとも周方向に、受容ポケット内に形状嵌合的に及び/又は正確に嵌合するように受容されるように、阻止体のネガ輪郭を形成する。阻止体は、受容ポケットの中で軸方向に移動可能に誘導される。阻止体の各々は、好ましくは、ばね力が、主回転軸に沿って軸方向に、又は阻止輪郭の方向に阻止体に印加されるように、ばねを介して関連付けられた受容ポケットの中に支持される。接続されると、阻止体は、一方では阻止輪郭と、他方では受容ポケットとトルク伝達係合するように、受容ポケットから部分的に取り出される。接続解除されると、阻止体は、阻止輪郭に対して係合解除されて又は離間して配置されるように、完全に又は大部分が受容ポケットに挿入される。2つのクラッチパートナの間にフリーホイールが軸方向に配置されていることにより、阻止体は、摺動スリーブの軸方向移動によって受容ポケットに容易に挿入することができるか、又は受容ポケットから容易に取り出すことができる。これは、摺動スリーブの移動を阻止体に伝達するための複雑な機構が不要であることを意味する。
【0016】
更なる実施形態では、フリーホイールは、摺動スリーブに移動するように結合されている制御リングを有する。制御リングは、摺動スリーブの軸方向移動を阻止体に伝達するために、ばね力に抗して主回転軸に対して軸方向に阻止体に当接する。特に、摺動スリーブは、フリーホイールを接続又は接続解除するために、少なくとも中立位置とフリーホイール位置との間の移動中に制御リングに移動するように結合される。特に、阻止体は、周方向において共通ピッチ円上に分散され、かつ/又は互いに対して離間して配置される。制御リングは、摺動スリーブがフリーホイール位置から中立位置に移動されるときに全ての阻止体を関連付けられた受容ポケット内に同時に挿入するために、阻止体の各々の断面に載置される。制御リングは、好ましくは、内側リング及び外側リングを有し、内側リング及び外側リングは、互いから離れるように径方向に離間し、かつ主回転軸に対して互いに沿って同軸にかつ/又は同心に配置される。内側リング及び外側リングは、好ましくは、周方向に分散された複数の接続ウェブを介して互いに接続される。特に、阻止体及び/又は阻止輪郭は、フリーホイール位置において、内側リングと外側リングとの間で制御リングを通過する。阻止体は各々、外側リングに接触するための少なくとも1つの外側の径方向外向きに向けられた接触部と、内側リングに接触するための少なくとも1つの内側の径方向内向きに向けられた接触部とを有する本体部を有する。本体部は、好ましくは、内側リングと外側リングとの間に配置され、本体部を有するフリーホイール位置にある阻止体は、回転の方向に阻止輪郭と係合する。制御リングは、摺動スリーブが移動されるときに、阻止体が簡単な方法で一緒に挿入又は取り出されることを可能にし、これは、切替プロセスを更に改善する。
【0017】
一仕様形態では、制御リングは、1つ以上の径方向外向きに向けられた制御ロッドを有しており、これらの制御ロッドは各々、第1のクラッチパートナの中に形成された制御スロットの中に軸方向に誘導される。摺動スリーブは、制御ロッドを介して制御リングと移動するように結合される。フリーホイールは、好ましくは、第1のクラッチパートナ内に径方向に受容され、少なくとも1つの制御ロッドは、制御スロットを通って径方向外向きに又は摺動スリーブの方向に延在する。好ましくは、複数の制御ロッドは、周方向に均等に分散され、かつ/又は互いに距離を置いて配置される。制御スロットは、主回転軸に対して軸方向に延在する切欠き、スロット、凹部、開口部などとして構成される。特に、制御リングは、少なくとも1つの制御ロッドを介して、関連付けられた制御スロットの中に軸方向に直線的に誘導され、周方向に回転的に固定された様態で保持される。これにより、極めてコンパクトな構造を特徴とするクラッチアセンブリが提案される。特に、フリーホイールは、この目的のために第1のクラッチパートナ内に統合することができ、フリーホイールは、制御ロッドを介して摺動スリーブによって簡単な方法で制御される。
【0018】
更なる特定の実装形態では、摺動スリーブは、その内周に1つ以上の制御輪郭を有する。制御輪郭は、ばね力に抗してフリーホイール位置から中立位置への摺動スリーブの移動中、特に軸方向移動中に制御リングを軸方向帯同方向に帯同するために、軸方向に、特に中立位置の方向に制御ロッド上で支持されているか、かつ/又は支持可能である。特に、摺動スリーブは、制御ロッドごとに関連付けられた制御輪郭を有する。制御輪郭は、径方向内向きのウェブ、ラグ、又は歯部として構成することができる。任意選択的に、制御輪郭は、2つのクラッチパートナをトルクが伝達するように互いに接続するために、阻止位置において第2のクラッチパートナと係合することができる。したがって、摺動スリーブが提案され、摺動スリーブは、形状嵌合接続を介して簡単な方法で制御リングと移動するように結合される。
【0019】
更なる発展形態では、クラッチアセンブリはロッキングリングを有する。第1のクラッチパートナは、周方向の受容溝を有しており、摺動スリーブは、周方向の保持溝を有しており、ロッキングリングは、受容溝内に取り付けられ、かつ中立位置においてシフトスリーブを軸方向で第1の結合体上に固定するために、中立位置において保持溝内の断面において係合する。特に、ロッキングリングは、制御リングに作用するばね力に起因する軸方向移動に対して中立位置に摺動スリーブを固定する機能を有する。任意選択的に、ロッキングリングは、構造ユニット全体、特に少なくともフリーホイールを、組み立て後の損失から固定するために使用される。好ましくは、ロッキングリングは、摺動スリーブをフリーホイール位置の方向に解放するために摺動スリーブが軸方向の作動力を受けたときに、受容溝内に変形することができる。とりわけ好ましくは、ロッキングリングは、フリーホイール位置及び/又は阻止位置への軸方向変位中に径方向に予圧をかけられ、ロッキングリングは、中立位置に到達すると保持溝に自動的にラッチする。ロッキングリングは、特にスロット付きスナップリングとして構成される。更なる利点は、摺動スリーブを軸方向に固定することによって、アクチュエータへのエネルギー供給を中立位置で中断することができ、その結果、極めて効率的でエネルギーを節約するクラッチアセンブリが提案されることである。更に、ロッキングリングは、中立位置における摺動スリーブとシフトフォークとの間の引きずりトルクを防止又は低減することができる。
【0020】
更なる仕様形態では、保持溝及び/又はロッキングリングは、乗り上げ傾斜部を有する。摺動スリーブが中立位置からフリーホイール位置に軸方向に移動されるとき、ロッキングリングは、摺動スリーブが中立位置及び阻止位置の方向に自由に移動することができるように、又は摺動スリーブの軸方向固定が解除されるように、乗り上げ傾斜部を介して受容溝内に径方向に変形することができる。特に、乗り上げ傾斜部は、中立位置からフリーホイール位置に向かう摺動スリーブの変位が増加するにつれて変形の程度が増加するように、フリーホイール位置の方向に上昇する経路を有する。乗り上げ傾斜部は、好ましくは、保持溝の溝側面に軸方向に形成される。一方、乗り上げ傾斜部に対向する保持溝の溝側面は、特に主回転軸の径方向平面の中に真っ直ぐに延在しており、それによって、摺動スリーブのための軸方向端部停止部が中立位置を越えて画定される。代替的に、乗り上げ傾斜部又は任意選択的に追加的に更なる乗り上げ傾斜部は、ロッキングリングの外径上に形成される。したがって、中立位置において作動する場合の軸方向係止の自動解放を確実にする摺動スリーブが提案される。加えて、ロッキングリングによって印加される保持力を克服するためにアクチュエータによって必要とされる労力が著しく低減される。
【0021】
更なる特定の実装形態では、ロッキングリングは、摺動スリーブがフリーホイール位置及び/又は阻止位置に配置されるときに、軸方向反対方向における制御リングのための端部停止部を画定する。この目的のために、ロッキングリングは、軸方向に見たときに、制御リングの前に、特に誘導スロットの領域に配置される。換言すれば、ロッキングリングは、フリーホイール位置における制御リングの軸方向移動が、特に軸方向反対方向において、ロッキングリングによって制限されるように、第1のクラッチパートナ上に配置される。好ましくは、ロッキングリングは、制御ロッドが、特に摺動スリーブのフリーホイール位置において、軸方向反対方向にロッキングリング上に支持されている、かつ/又は支持可能であるように、誘導スロット内の断面に延在する。制御リングをフリーホイール位置又は阻止位置に軸方向に固定することによって、追加のロッキングリングを不要にするように、事前に組み立てられたユニットとして、フリーホイールの捕捉アセンブリを確実にするクラッチアセンブリが提案される。
【0022】
更なる実施形態では、第1のクラッチパートナは外部歯部を有し、第2のクラッチパートナはロッキング歯部を有する。摺動スリーブは、内部歯部を介して外部歯部と回転可能に固定係合しており、内部歯部は、2つのクラッチパートナを互いに回転的に固定された様態で結合するために、阻止位置に移動したときにロッキング歯部と回転可能に固定係合させることもできる。外部歯部、内部歯部、及びロッキング歯部は各々、摺動スリーブ及び第1のクラッチパートナ又は第2のクラッチパートナが、主回転軸に対して軸方向に互いに対して移動可能であり、かつ周方向に回転的に固定された様態で互いに結合されるように、主回転軸に対して軸方向に位置合わせされたスパー歯部として構成される。特に、少なくとも摺動スリーブの内部歯部及び第1のクラッチパートナの外部歯部は、主回転軸に対して軸方向に延在するウェブ又は歯又は溝によって形成される。摺動スリーブは、好ましくは、第2のクラッチパートナに向けられた内部歯部の側部上に軸方向にルーフ状の歯部を有する。代替的に又は任意選択的に追加的に、第2のクラッチパートナは、ロッキング歯部の、摺動スリーブに向けられた側部に、軸方向にルーフ状の歯部を有する。
【0023】
本発明は更に、第1のシャフト及び第2のシャフトを有し、かつ、既に上述したような、又は請求項1~9のいずれか一項に記載のクラッチアセンブリを有するドライブトレインに関する。第1のシャフトは、第1のクラッチパートナに回転的に固定された様態で接続されており、第2のシャフトは、第2のクラッチパートナに回転的に固定された様態で接続されており、2つのシャフト間のトルク伝達は、クラッチアセンブリの摺動スリーブを軸方向に移動させることによって制御することができる。特に、第1のクラッチパートナは、第1のシャフトを回転可能に固定接続するための第1の駆動歯部を有しており、第2のクラッチパートナは、第2のシャフトを回転可能に固定接続するための第2の駆動歯部を有している。ドライブトレインは、好ましくは、車両、特に自動車を駆動するために構成されているかつ/又は好適である。好ましくは、ドライブトレインは、車両の電気車軸のために構成されている、かつ/又は好適である。クラッチアセンブリは、例えば、車両の駆動シャフトから電気駆動部を解放する、接続又は接続解除ユニットの一部とすることができる。この目的のために、一方のシャフトをモータ側駆動シャフトとして構成し、他方のシャフトをホイール側出力シャフトとして構成することができる。
【0024】
本発明の更なる特徴、利点、及び効果は、本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の説明から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の例示的な実施形態としてのクラッチアセンブリの分解図を示す。
【
図2】
図1に記載されたクラッチアセンブリの第1のクラッチパートナの軸方向図を示す。
【
図5】フリーホイール位置にあるクラッチアセンブリの断面図を示す。
【
図6】中立位置にある
図5と同じ図のクラッチアセンブリを示す。
【
図7】阻止位置にあるクラッチアセンブリの代替的な実施形態の断面図を示す。
【
図8】フリーホイール位置にある
図7と同じ図のクラッチアセンブリを示す。
【
図9】中立位置にある
図7と同じ図のクラッチアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の例示的な実施形態としてのクラッチアセンブリ1を分解図で示す。クラッチアセンブリ1は、噛合いクラッチとして構成され、クラッチアセンブリは、第1のクラッチパートナ2及び第2のクラッチパートナ3と、摺動スリーブ4とを有し、これらは、共通主回転軸100に沿って互いに同軸に配置される。
【0027】
第1のクラッチパートナ2は、ハブ、特にスリーブ担持体として形成されており、このハブ上には、摺動スリーブ4が回転的に固定された様態で配置され、かつ主回転軸100に沿って軸方向101及び軸方向反対方向102に移動可能に配置される。この目的のために、第1のクラッチパートナ2は、外周に外部歯部5を有し、摺動スリーブ4は、内周に内部歯部6を有し、これらは各々、主回転軸100に対して軸方向に延在するスパー歯部として構成されている。
【0028】
第2のクラッチパートナ3は、その外周にロッキング歯部7を有する結合体として構成され、2つのクラッチパートナ2、3を互いに回転的に固定された様態で結合するために、主回転軸100に沿った軸方向反対方向102への軸方向移動中に、摺動スリーブ4をロッキング歯部7と回転可能に固定係合させることができる。例えば、第1のクラッチパートナ2及び第2のクラッチパートナ3は各々、スパーギア又はスパー歯付きギアとして形成される。
【0029】
摺動スリーブ4は、主回転軸100に対して軸方向に摺動スリーブ4に作動力を印加するアクチュエータ(図示せず)に接続することができる。主回転軸100を中心とした回転中に摺動スリーブ4を軸方向101又は軸方向反対方向102に移動させるために、摺動スリーブ4はその外周上に周方向溝8を有しており、この周方向溝8内に、例えばアクチュエータのシフトフォークが係合することができる。
【0030】
第1のクラッチパートナ2及び第2のクラッチパートナ3は各々、回転コンポーネント、例えばシャフトに回転的に固定された様態で接続される。この目的のために、第1のクラッチパートナ2は、内周に第1の駆動歯部9を有し、第2のクラッチパートナ3は、内周に第2の駆動歯部10を有する。第1の駆動歯部9及び第2の駆動歯部10は各々、プラグイン噛部として構成されている。例えば、第1のクラッチパートナ2を被動側に配置し、第2のクラッチパートナ3を駆動側に配置することができる。
【0031】
また、クラッチアセンブリ1は、2つのクラッチパートナ2、3の間に軸方向に配置され、かつ第1のクラッチパートナ2内に径方向に収容されている、切替可能なフリーホイール11を有する。フリーホイール11は、主回転軸100を中心として分散された複数の、特に6つの阻止体12を有しており、これらの阻止体12は各々、ばね13を介して、第1のクラッチパートナ2上に形成された受容ポケット14内に弾性的に支持される。受容ポケット14は各々、第1のクラッチパートナ2の正面側に設けられた窪みとして形成されており、この窪みは実質的に、阻止体12のネガ輪郭を形成している。阻止体12は、軸方向に移動可能であり、関連付けられた受容ポケット14の中に周方向に形状嵌合的に収容される。
【0032】
第2のクラッチパートナ3は、阻止体12に面した軸方向端面上に、傾斜状の阻止輪郭15を有する円筒形の延長部を有しており、この阻止輪郭15と阻止体12とは、フリーホイール11が接続された状態で、第2のクラッチパートナ3の回転の方向103に形状嵌合的に相互作用することができる。回転の方向103とは反対に向けられた反対回転方向104では、第1のクラッチパートナ2と第2のクラッチパートナ3とが互いに対して回転可能であり、阻止体12は、フリーホイール11が接続されているときに阻止輪郭15上を摺動する。阻止体12は、爪部として構成され、阻止輪郭15は、周方向に上昇する複数の鋸歯状の傾斜によって形成されている。
【0033】
フリーホイール11はまた、フリーホイール11を制御するための軸方向に移動可能な制御リング16を有し、制御リング16は、主回転軸100に沿って2つのクラッチパートナ2、3に対して同軸に配置され、ばね13のばね力に抗して阻止体12上で軸方向101に支持される。制御リング16は、外側リング17と、この外側リング17に対して同心的に配置された内側リング18とによって形成されており、これらの外側リング17及び内側リング18は、径方向に互いから離れるように離間して配置され、かつ複数の接続ウェブ19を介して互いに接続される。
【0034】
制御リング16は、外側リング17の外周上に配置された3つの制御ロッド20を有し、これらの制御ロッド20は各々、第1のクラッチパートナ2の外部歯部5に導入された制御スロット21の中に収容される。制御リング16は、制御ロッド20を介して制御スロット21の中に軸方向に直線的に誘導され、周方向に回転的に固定された様態で支持される。制御ロッド20は、制御スロット21を径方向に貫通し、摺動スリーブ8の内周に配置された制御輪郭22と移動するように結合される。制御輪郭22は、径方向内向きに向けられた歯として構成されており、この歯は、摺動スリーブ8の移動時に制御リング16を帯同するような場合ごとに、関係付けられた制御ロッド20上に軸方向101に支持されているか、又は支持可能である。
【0035】
摺動スリーブ4は、主回転軸100に沿って、阻止位置105、フリーホイール位置106、及び中立位置107内に移動することができる。阻止位置105において、摺動スリーブ4は、2つのクラッチパートナ2、3が、回転の方向103及び反対回転方向104において互いに回転的に固定された様態で接続されるように、内部歯部6を介して、一方では外部歯部5と係合し、他方ではロッキング歯部7と係合する。フリーホイール位置106において、摺動スリーブ4は、2つのクラッチパートナ2、3は、回転の方向103において互いに回転的に固定された様態で接続され、反対回転方向104において互いに対して回転可能であるように、内部歯部6を介して外部歯部5と排他的に係合し、同時にフリーホイール11が接続される。中立位置107において、摺動スリーブ4は、2つのクラッチパートナ2、3が、回転の方向103及び反対回転方向104に互いに対して回転することができるように、内部歯部6を介して外部歯部5と排他的に係合し、同時にフリーホイール11が接続解除される。
【0036】
クラッチアセンブリ1は、摺動スリーブ4を中立位置107に軸方向に固定するために使用されるロッキングリング23を有する。第1のクラッチパートナ2は、その外周に周方向の受容溝24を有しており、この受容溝24の中にロッキングリング23が取り付けられる。摺動スリーブ4は、その内周に、内部歯部6内の断面において周方向に導入された保持溝25を有し、ロッキングリング23は、摺動スリーブ4を第1のクラッチパートナ2に軸方向に形状嵌合的に固定するために、中立位置107において保持溝25に部分的に係合する。
【0037】
保持溝25は、軸方向反対方向102に上昇する乗り上げ傾斜部26を有し、摺動スリーブ4が中立位置107から軸方向反対方向102に移動されるとき、摺動スリーブ4と第1のクラッチパートナ2との間の形状嵌合接続を確実にするために、ロッキングリング23が乗り上げ傾斜部26を介して受容溝24内に径方向に変形される。この目的のために、ロッキングリング23は、周方向に中断されたスナップリングとして形成されており、径方向に変形すると直径が変化する。
【0038】
図2は、主軸100に対して軸方向から見た第1のクラッチパートナ2を示す。受容ポケット14の中に収容される阻止体12は各々、1つの本体部27を有しており、この本体部27には、径方向外向きに向けられた2つの接触部28と、径方向内向きに向けられた2つの接触部29とが接している。制御リング16は、
図1に記載するように、外側リング17が阻止体12の外側接触部28上にあり、内側リング18が阻止体12の内側接触部29上にある状態で、軸方向101に支持される。
【0039】
本体部27は各々、外側リング17と内側リング18との間に径方向に配置され、阻止輪郭15は、
図1に記載するように、外側リング17と内側リング18との間の摺動スリーブ8のフリーホイール位置106に配置され、ロッキング体12は、第2のクラッチパートナ3が回転の方向103に回転するときに、本体部27と形状嵌合係合させることができる。制御リング16が軸方向101に又は中立位置107に軸方向に移動されるとき、阻止体12は、阻止体12が、受容ポケット14に沈み込む、及び/又は阻止輪郭15から係合解除されるように、ばね力に抗して制御リング16を介して受容ポケット14に挿入される。
【0040】
図3及び
図4は、組み立てられた状態のクラッチアセンブリ1を、各々異なる斜視図で示す。クラッチアセンブリ1は、斜め後方から見た
図3と、斜め前方から見た
図4とに示されている。示される図解では、摺動スリーブ4はフリーホイール位置106にあり、
図1で既に記載したように、内部歯部6とロッキング歯部7とは係合解除され、フリーホイール11は接続されている。
【0041】
図5及び
図6は各々、主回転軸100に沿ったクラッチアセンブリ1の断面図を示す。
図5では、摺動スリーブ4はフリーホイール位置106に配置され、
図6では、摺動スリーブ4は中立位置107に配置されている。例えば、第2の駆動歯部10と係合しているシャフト(図示せず)のトルクは、第2のクラッチパートナ3に伝達され、摺動スリーブ4の位置に応じて、トルクは、第1のクラッチパートナ2と、第1の駆動歯部9と係合しているシャフト(図示せず)とに伝達することができる。
【0042】
フリーホイール位置106では、阻止体12は、例えば、受容ポケット14を介してトルクを第1のクラッチパートナ2に伝達することができるように、受容ポケット14から軸方向反対方向102に部分的に取り出される。阻止体12は、ばね13のばね力によって阻止輪郭15の方向に作用され、阻止体12がばね13によって阻止輪郭15内に押し込まれるときに、トルクは、回転の方向に従って、フリーホイール11を介して第2のクラッチパートナ3から第1のクラッチパートナ2に伝達される。回転の方向が逆転すると、阻止輪郭15は、傾斜状のために阻止体12から滑り落ち、トルク伝達が中断される。ロッキングリング23は、フリーホイール位置106において受容溝24内に変形されるか、又は、内部歯部6によって受容溝24の中に予圧下で保持される。
【0043】
摺動スリーブ4が中立位置107に移動されるとき、制御リング16は、
図1に示すように、制御輪郭22によって軸方向101に移動され、阻止体12は、ばね13が圧縮されている間、制御リング16を介して受容ポケット14に係合される。阻止体12は、2つのクラッチパートナ2、3が、回転の方向とは無関係に互いに結合解除されるように、阻止輪郭15に対して受容ポケット14内に沈み込む。ばね13を圧縮することによって、制御リング16に作用するばね力が増大し、したがって、摺動スリーブ4を中立位置107に保持するために必要な労力も増大する。
【0044】
このため、摺動スリーブ4は、ロッキングリング23に作用するばね力を、ロッキングリング23を介して第1の結合体2に振り向けることができるように、ロッキングリング23によって中立位置107に軸方向に追加的に保持される。この目的のために、中立位置107に到達すると、ロッキングリング23は、予圧によって保持輪郭25内に自動的にラッチする。更に、ロッキングリング23は、組み立て後にフリーホイール11の個々のコンポーネントを固定するために使用される。加えて、中立位置では、摺動スリーブ4とアクチュエータのシフトフォークとの間の引きずりトルクが低減される。
【0045】
したがって、負荷の下で個々の位置105、106、107の間で容易に切り替えることができるクラッチアセンブリ1が提案される。例えば、切替可能なフリーホイール11を有するクラッチアセンブリ1は、これにより、車両のドライブトレインに接続解除クラッチの一部として容易に統合することができる。
【0046】
図7~
図9は各々、クラッチアセンブリ1の代替的な実施形態を主回転軸100に沿った断面図で示しており、摺動スリーブ4は、
図7では阻止位置105に、
図8ではフリーホイール位置106に、
図8では中立位置107に配置されている。前述の実施形態と比較して、ロッキングリング23は、軸方向101に見たときに制御リング16の前方に配置され、これにより、軸方向反対方向102において、制御リング16又は制御ロッド20のための軸方向端部停止部を形成する。
【0047】
摺動スリーブ4は、制御輪郭22を介して制御ロッド20上に軸方向101に支持され、制御リング16は、制御輪郭22が、
図7に示されるように、制御ロッド20から離れるように置かれるか、又は離れるように離間するように、摺動スリーブ4がフリーホイール位置106から阻止位置105に移動されるときにロッキングリング23上に支持されたままである。摺動スリーブ4が阻止位置105からフリーホイール位置106に移動されるとき、制御輪郭22は、(
図8に示されるように)軸方向101において制御ロッド20に再び取り付けられるか又は制御ロッド20上に支持され、制御リング16は、摺動スリーブ4が中立位置107に更に移動されるときに、制御輪郭22によって軸方向101に沿って帯同される。これにより、ロッキングリング23は、一方では、制御リング16の画定された端部位置を形成するために、かつフリーホイール11を、特に制御リング16を阻止体12及びばね13と一緒に、第1のクラッチパートナ2へのプリアセンブリ中に固定するために使用される。
【0048】
この例示的な実施形態から分かるように、少なくともフリーホイール位置106では、制御輪郭22は、軸方向101において制御リング16を貫通するか、又は、阻止体12を阻止輪郭15と接触させるように、径方向において外側リング17と内側リング18との間に配置される。例えば、制御リング16は、追加的に、外側リング17及び内側リング18を介して、制御輪郭22又は円筒形延長部上で軸方向に誘導し、かつ/又は中央に置くことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 クラッチアセンブリ
2 第1のクラッチパートナ
3 第2のクラッチパートナ
4 摺動スリーブ
5 外部歯部
6 内部歯部
7 ロッキング歯部
8 溝
9 第1の駆動歯部
10 第2の駆動歯部
11 フリーホイール
12 阻止体
13 ばね
14 受容ポケット
15 阻止輪郭
16 制御リング
17 外側リング
18 内側リング
19 接続ウェブ
20 制御ロッド
21 制御スロット
22 制御輪郭
23 ロッキングリング
24 受容溝
25 保持溝
26 乗り上げ傾斜部
27 本体部
28 外側接触部
29 内側接触部
100 主回転軸
101 軸方向
102 軸方向反対方向
103 回転の方向
104 反対回転方向
105 阻止位置
106 フリーホイール位置
107 中立位置
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクラッチパートナ(2)及び第2のクラッチパートナ(3)を有し、かつ、
切替可能なフリーホイール(11)であって、2つの前記クラッチパートナ(2、3)を回転の方向に従って互いに結合するために、前記第1のクラッチパートナ(2)と前記第2のクラッチパートナ(3)との間に配置されており、一方のクラッチパートナ(2)に少なくとも周方向に固定され、かつもう一方のクラッチパートナ(3)に配置された傾斜状の阻止輪郭(15)と前記回転の方向に従って形状嵌合的に相互作用する複数のばね付勢された阻止体(12)を備える、切替可能なフリーホイール(11)、を有する、クラッチアセンブリ(1)であって、
前記クラッチアセンブリ(1)を制御するための、前記2つのクラッチパートナ(2、3)に対して同軸に移動可能である摺動スリーブ(4)であって、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が、前記摺動スリーブ(4)の阻止位置(105)において、前記摺動スリーブ(4)を介して一回転方向(103)及び反対回転方向(104)に回転的に固定された様態で互いに接続され、前記摺動スリーブ(4)のフリーホイール位置(106)において、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が、前記フリーホイール(11)を介して正確に一回転方向(103)に回転的に固定された様態で互いに接続され、かつ前記摺動スリーブ(4)の中立位置(106)において、前記阻止体が、前記2つのクラッチパートナ(2、3)が互いに対して前記一回転方向(103)及び前記反対回転方向(104)に回転可能であるように、前記摺動スリーブ(4)によって前記阻止輪郭(15)に対して係合解除された状態に保たれる、摺動スリーブ(4)、を特徴とする、クラッチアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記フリーホイール(11)が、主回転軸(100)に対して軸方向に前記2つのクラッチパートナ(2、3)の間に配置されており、前記第1のクラッチパートナ(2)が、軸方向端面上に、前記阻止体(12)を受容するための複数の受容ポケット(14)を有し、かつ前記第2のクラッチパートナ(3)が、前記阻止体(12)とは反対側の軸方向端面上に、前記阻止輪郭(15)を有することを特徴とする、請求項1に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記摺動スリーブ(4)とともに軸方向に、かつ前記主回転軸(100)に対して前記軸方向(101)に移動するように結合される前記フリーホイール(11)が、前記摺動スリーブ(4)の軸方向移動を前記阻止体(12)に伝達するために、ばね力に抗して前記阻止体(12)に当接している制御リング(16)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記制御リング(16)が、前記第1のクラッチパートナ(2)の中に形成された制御スロット(21)の中に軸方向に案内される少なくとも1つの径方向外向きの制御ロッド(20)を有し、前記摺動スリーブ(4)が、前記制御ロッド(20)を介して前記制御リング(16)とともに移動するように結合されていることを特徴とする、請求項3に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記摺動スリーブ(4)が、前記摺動スリーブ(4)の内周に少なくとも1つの制御輪郭(22)を有し、前記制御輪郭(22)が、前記摺動スリーブ(4)の移動中に前記ばね力に抗して前記制御リング(16)を少なくとも前記フリーホイール位置(106)から前記中立位置(107)まで前記軸方向(101)に移動させるために、前記制御ロッド(20)上で前記軸方向(101)に支持されていることを特徴とする、請求項4に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項6】
ロッキングリング(23)であって、前記第1のクラッチパートナ(2)が、周方向の受容溝(24)を有し、かつ前記摺動スリーブ(4)が、周方向の保持溝(25)を有しており、前記ロッキングリング(23)が、前記受容溝(24)内に取り付けられ、かつ前記摺動スリーブ(4)の前記中立位置(107)において、前記摺動スリーブ(4)を第1の結合体(2)上で軸方向に前記中立位置に固定するために、前記保持溝(25)内の断面において係合する、ロッキングリング(23)を特徴とする、請求項
1に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記保持溝(25)及び/又は前記ロッキングリング(23)が、乗り上げ傾斜部(26)を有し、前記ロッキングリング(23)が、前記摺動スリーブ(4)が前記中立位置(107)から前記フリーホイール位置(106)に軸方向に移動されるときに、前記乗り上げ傾斜部(26)を介して前記受容溝(24)の中へと径方向に変形され、これにより前記摺動スリーブ(4)が、前記中立位置(106)及び前記阻止位置(105)の方向に自由に移動可能であることを特徴とする、請求項6に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記ロッキングリング(23)が、前記摺動スリーブ(4)が前記フリーホイール位置(106)及び/又は前記阻止位置(105)に配置されるときに、軸方向反対方向(102)において前記制御リング(16)のための端部停止部を画定することを特徴とする、請求項6又は7に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記第1のクラッチパートナ(2)が、外部歯部(5)を有し、かつ前記第2のクラッチパートナ(3)が、ロッキング歯部(7)を有し、前記摺動スリーブ(4)は、内部歯部(6)を介して前記外部歯部(5)と回転的に固定係合しており、かつ前記阻止位置(105)に移動されるとき、前記2つのクラッチパートナ(2、3)を互いに回転的に固定された様態で結合するために、前記内部歯部(6)を介して前記ロッキング歯部(7)と回転的に固定係合させることもできることを特徴とする、請求項
1に記載のクラッチアセンブリ(1)。
【請求項10】
第1のシャフト及び第2のシャフトを有し、かつ、請求項
1に記載のクラッチアセンブリ(1)を有するドライブトレインであって、前記第1のシャフトが、前記第1のクラッチパートナ(2)に回転的に固定された様態で接続され、前記第2のシャフトが、前記第2のクラッチパートナ(3)に回転的に固定された様態で接続されており、2つの前記シャフト間のトルク伝達を、前記クラッチアセンブリ(1)の摺動スリーブ(4)を軸方向に移動させることによって制御することができることを特徴とする、ドライブトレイン。
【国際調査報告】