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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】硫化リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/30 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
C01B17/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529142
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022050159
(87)【国際公開番号】W WO2023091521
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/264,137
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521320667
【氏名又は名称】ソリッド パワー オペレーティング, インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン イー.フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル オバーウェッター
(72)【発明者】
【氏名】シーン ピー.カルバー
(72)【発明者】
【氏名】イリア リゼンカー
(57)【要約】
【課題】安価な前駆体を用いて高純度の硫化リチウムを製造するためのロバストな方法およびスケーラブルな方法を提供する。
【解決手段】水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって、(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含有する高ン号物を生成すること;(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を、前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、(c)前記上清から前記極性溶媒を除去すること、を含む方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって、
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含有する混合物を生成すること;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を、前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、
(c)前記上清から前記極性溶媒を除去すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記上清から前記極性溶媒を除去することが、前記極性溶媒を蒸発させて粉体を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸発させることが、前記粉体を乾燥させて前記極性溶媒の実質的にすべてを除去することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記粉体から前記極性溶媒の99重量%超が除去される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記上清から前記極性溶媒を除去することが、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の硫化物の純度を増加させるために硫黄源を添加することをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記硫黄源が、元素硫黄及びHSのうちの1又は複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記硫黄源を、前記上清から前記極性溶媒を除去する前又は間に前記方法の任意の工程で添加する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の硫化物の少なくとも95重量%が、LiOCl夾雑物を含まない、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記上清が、第2のアルカリ金属水硫化物をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のアルカリ金属水硫化物を加熱して前記第2の硫化物及び硫化水素を生成することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のアルカリ金属水硫化物が、LiHSを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のアルカリ金属塩の沈殿の前又は直後に、前記上清に貧溶媒化合物を導入することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、前記極性溶媒中に実質的に混和性の溶媒、前記極性溶媒における前記第2のアルカリ金属塩と比較したときの前記第2の硫化物及び第2のアルカリ金属水硫化物のうちの1又は複数の溶解度の差を増加させる溶媒、並びに、これらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記上清からの前記第2のアルカリ金属塩の除去が、遠心、ろ過、重力沈殿、及び冷却のうちの少なくとも1つである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記上清からの前記極性溶媒の量を減少させることをさらに含み、減少させることが、前記極性溶媒を蒸発させること、前記極性溶媒を加熱すること、又は、前記上清を囲む周囲雰囲気圧を低下させること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のアルカリ金属塩、前記第1の硫化物化合物、又は前記第1のアルカリ金属水硫化物化合物の相対的な量を増加させて、前記第2の硫化物の純度を95重量%超に増加させることを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記極性溶媒が、実質的に無水物である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のアルカリ金属水硫化物が、実質的に無水物である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のアルカリ金属水硫化物及びこれに取り込まれている水の質量比が、2超:1である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のアルカリ金属水硫化物及びこれに取り込まれている水の質量比が、3超:1である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のアルカリ金属水硫化物及びこれに取り込まれている水の質量比が、4超:1である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記極性溶媒が、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、及びこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つのアルコールを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のアルカリ金属塩が、LiClを含み、前記第1のアルカリ金属水硫化物が、NaHSを含み、前記第1の硫化物が、NaSを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2のアルカリ金属塩が、NaClを含み、前記第2の硫化物がLiSを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1のアルカリ金属塩及び前記第1の硫化物が、前記極性溶媒の分割部分に別個に溶解され、そして、前記第1のアルカリ金属硫化水素に添加する前に、これらの別個の分割部分を混ぜ合わせて混合物を形成する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のアルカリ金属塩、前記第1の硫化物化合物、及び前記第1のアルカリ金属水硫化物を、それらを一緒に反応させる前に、独立に、前記極性溶媒中に溶解させる、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のアルカリ金属塩又は前記第1の硫化物を、最初に、前記極性溶媒中に溶解させ、そして、その他を、固体形状で添加する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のアルカリ金属塩、前記第1の硫化物、及び前記第1のアルカリ金属水硫化物のうちの1つを、前記極性溶媒中に溶解させ、その他を、固体状態で前記溶液に添加する、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記極性溶媒中における、前記第2の硫化物の溶解度の、前記第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、90以上:10である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記極性溶媒中における、第2の硫化物の溶解度の、前記第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、97以上:3である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記極性溶媒中における、前記第2の硫化物の溶解度の、前記第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、99以上:1である、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記極性溶媒中における、前記第2の硫化物の溶解度の、前記第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、99.9以上:1である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の硫化物化合物が、KS、NaS、(NH4)S、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のアルカリ金属水硫化物化合物が、KHS、NaHS、LiHS、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の硫化物が、LiSを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の硫化物が、95%以上の純度を有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の硫化物が、100℃超に加熱されたときに、10%未満の質量損失を有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の硫化物が、340℃超に加熱されたときに、13%未満の質量損失を有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記生成される混合物が、LiNaSをさらに含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記生成される混合物が、LiMgSをさらに含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記生成される混合物が、LiCaSをさらに含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の硫化物の約97.5重量%~約99.9重量%が、Na夾雑物を有しない、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の硫化物の約97.5重量%~約99.9重量%が、Na夾雑物を有しない、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか一項に記載の方法によって生成された前記第2の硫化物を含有する、固体電解質。
【請求項46】
下記を含む、方法:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物を、極性溶媒中で反応させて、硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を、前記混合物から除去して、前記硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること、並びに、
(c)前記上清から前記極性溶媒を除去すること。
【請求項47】
リチウム硫化物を製造する方法であって:
LiCl、第1のアルカリ金属水硫化物、並びに随意に、NaS、KS及び(NHSのうちの1又は複数を含む第1の硫化物を、1又は複数の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiS及びアルカリ金属塩を含有する混合物を生成すること、
を含む、方法。
【請求項48】
前記LiSを含む上清を分離することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記LiS、前記アルカリ金属塩、又は前記LiS及び前記アルカリ金属塩の両方から、前記溶媒を除去することを、さらに含む、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記溶媒を除去することが、前記溶媒を蒸発させて粉体を生成することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記溶媒を除去することが、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記極性溶媒が、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、又はこれらの組み合わせを含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のアルカリ金属水硫化物が、LiHS、NaHS、KHS、又はこれらの組み合わせを含む、請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1のアルカリ金属水硫化物が、NaHSを含む、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記LiClが、実質的に無水物である、請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記LiClが、100ppm~約1500ppmのHO含有量を有する、請求項47~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記LiClが、900ppm~約1100ppmのHO含有量を有する、請求項47~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の硫化物が、実質的に無水物である、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の硫化物が、約100ppm~約1500ppmのHO含有量を有する、請求項47~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の硫化物が、約900ppm~約1100ppmのHO含有量を有する、請求項47~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記混合物及び前記上清が、第2のアルカリ金属水硫化物を含む、請求項47~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記上清に貧溶媒を導入することをさらに含む、請求項47~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
硫黄源を添加することをさらに含む、請求項47~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記硫黄源が、元素硫黄及びHSのうちの1又は複数を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第1のアルカリ金属水硫化物が、実質的に無水物である、請求項47~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第1のアルカリ金属水硫化物とそれに取り込まれている水の質量比が、2超:1である、請求項47~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記第1のアルカリ金属水硫化物とそれに取り込まれている水の質量比が、3超:1である、請求項47~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記第1のアルカリ金属水硫化物とそれに取り込まれている水の質量比が、4超:1である、請求項47~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記生成されるアルカリ金属塩が、LiClを含む、請求項47~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記混合物が、5質量%以上のLiClを含む、請求項47~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記混合物が、10質量%以上のLiClを含む、請求項47~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記混合物が、合計で少なくとも95重量%のLiS及びLiClを含む、請求項47~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記混合物が、合計で少なくとも98重量%のLiS及びLiClを含む、請求項47~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
LiS+LiClが、それぞれ、95%以上の純度で生成される、請求項47~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
LiS+LiClが、合計で、98%以上の純度で生成される、請求項47~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
請求項47~76のいずれか一項に記載の方法によって生成されたLiSを含有する固体電解質。
【請求項78】
請求項47~76のいずれか一項に記載の方法によって生成されたLiClを含有する固体電解質。
【請求項79】
リチウム硫化物を製造する方法であって:
LiX、第1のアルカリ金属水硫化物、並びに随意に、NaS、KS、及び(NHSの1又は複数を含む第1の硫化物を、1又は複数の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiS及びアルカリ金属塩を含む混合物を生成すること、を含み、Xがハロゲンである、
方法。
【請求項80】
前記生成されるアルカリ金属塩が、LiXを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記混合物が、5質量%以上のLiXを含む、請求項79又は80に記載の方法。
【請求項82】
前記混合物が、10質量%以上のLiXを含む、請求項79~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記混合物が、合計で少なくとも95質量%のLiS及びLiXを含む、請求項79~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記混合物が、合計で少なくとも98質量%のLiS及びLiXを含む、請求項79~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
LiS+LiXが、それぞれ、95%以上の収率で生成される、請求項79~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
LiS+LiXが、合計で、98%以上の収率で生成される、請求項79~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
リチウム硫化物を製造する方法であって:
LiXと、NaS、KS、及び(NHSのうちの1又は複数を含む第1のアルカリ金属水硫化物とを、1又は複数の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiS及びアルカリ金属塩を含む混合物を生成すること、
を含む、方法。
【請求項88】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1のアルカリ金属塩は、アルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含み、前記不純物はリチウムではない;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、
(c)前記上清から前記極性溶媒を除去して第2の硫化物を生成すること;
を含む、方法。
【請求項89】
前記第1のアルカリ金属塩が、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、又はこれらの組み合わせから成る群から選択されるアルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記第1のアルカリ金属塩が、リチウムと、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、又はこれらの組み合わせから成る群から選択されるアルカリ又はアルカリ土類金属の不純物とを含む、請求項88又は89に記載の方法。
【請求項91】
前記第2の硫化物の少なくとも90%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記第2の硫化物の少なくとも95%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記第2の硫化物の少なくとも98%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記第2の硫化物の少なくとも99%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の硫化物の少なくとも99.5%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の硫化物の少なくとも99.9%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項88~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記上清からの前記極性溶媒の除去が、前記極性溶媒を蒸発させて粉体を生成することを含む、請求項88~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記蒸発させることが、前記粉体を乾燥させて実質的にすべての前記極性溶媒を除去することを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記粉体から前記極性溶媒の99%超が除去される、請求項97又は98に記載の方法。
【請求項100】
前記粉体から前記極性溶媒の80%超が除去される、請求項97~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記極性溶媒の前記除去が、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、又はこれらの組み合わせを含む、請求項97~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記第2の硫化物の純度を増加させるために硫黄源を添加することをさらに含む、請求項88~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記硫黄源が、元素硫黄及びHSのうちの1又は複数を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記第2の硫化物が、少なくとも95重量%の純度である、請求項88~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記第2の硫化物が、少なくとも98重量%の純度である、請求項88~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記第2の硫化物が、少なくとも99重量%の純度である、請求項88~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記第2の硫化物が、少なくとも99.5重量%の純度である、請求項88~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記上清が、第2のアルカリ金属水硫化物をさらに含む、請求項88~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記第2のアルカリ金属水硫化物が、第2の硫化物及び硫化水素を生成する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記第2のアルカリ金属水硫化物が、LiHSを含む、請求項108又は109に記載の方法。
【請求項111】
前記上清に貧溶媒化合物を添加することをさらに含む、請求項88~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、又はこれらの組み合わせを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記上清から前記第2のアルカリ金属塩を除去することが、遠心、ろ過、重力沈殿、及び冷却のうちの少なくとも1つを含む、請求項88~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記極性溶媒が、実質的に無水物である、請求項88~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記第1のアルカリ金属水硫化物が、実質的に無水物である、請求項88~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記極性溶媒が、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのアルコールを含む、請求項88~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記第1のアルカリ金属水塩が、LiClを含み、前記第1のアルカリ金属水硫化物が、NaHSを含み、かつ前記第1の硫化物が、NaSを含む、請求項88~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記第2のアルカリ金属塩が、NaClを含み、かつ前記第2の硫化物が、LiSを含む、請求項88~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記随意の第1の硫化物が、KS、NaS、(NHS、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項88~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記第1のアルカリ金属水硫化物化合物が、KHS、NaHS、LiHS及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項88~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記随意の第1の硫化物が、LiSを含む、請求項88~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記第2の硫化物が、LiSを含む、請求項88~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物及び第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1の硫化物は、酸素不純物、ハロゲン化物不純物、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される不純物を含む、
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を、前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること、並びに、
(c)前記極性溶媒を前記上清から除去して第2の硫化物を生成すること、
を含む、方法。
【請求項124】
前記第1の硫化物が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるハロゲン化物不純物を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記第1の硫化物が、炭酸塩、硫化物、水酸化物、酸化物、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される酸素不純物を含む、請求項123又は124に記載の方法。
【請求項126】
前記第2の硫化物の少なくとも90%が、不純物を含まない、請求項123~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記第2の硫化物の少なくとも95%が、不純物を含まない、請求項123~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記第2の硫化物の少なくとも98%が、不純物を含まない、請求項123~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記第2の硫化物の少なくとも99%が、不純物を含まない、請求項123~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記第2の硫化物の少なくとも99.5%が、不純物を含まない、請求項123~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記第2の硫化物の少なくとも99.9%が、不純物を含まない、請求項123~130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、
(c)前記極性溶媒を前記上清から除去して第2の硫化物を生成すること、
を含む、方法。
【請求項133】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって、
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物を極性溶媒中で反応させて、硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1のアルカリ金属塩が、アルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含み、前記不純物はリチウムではない;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩を前記混合物から除去して、硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、
(c)前記極性溶媒を前記上清から除去して前記硫化物を生成すること;
を含む、方法。
【請求項134】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1のアルカリ金属塩が、アルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含み、前記不純物はリチウムではない;並びに、
(b)前記極性溶媒を除去して、前記第2の硫化物及び/又は前記第2のアルカリ金属塩を除去すること;
を含む、方法。
【請求項135】
前記第1のアルカリ金属塩が、リチウムと、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリ又はアルカリ土類金属の不純物とを含む、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
前記第2の硫化物の少なくとも90%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項134又は135に記載の方法。
【請求項137】
前記第2の硫化物の少なくとも95%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項134~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記第2の硫化物の少なくとも98%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項134~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記第2の硫化物の少なくとも99%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含まない、請求項134~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記第2の硫化物の少なくとも99.5%が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の不純物を含まない、請求項134~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を、極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物及び第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1のアルカリ金属塩が、アルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含み、前記不純物はリチウムではない;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩及び随意に1又は複数のアルカリ土類金属硫化物を前記混合物から除去して、前記第2の硫化物及び前記極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、
(c)前記極性溶媒を前記上清から除去して、第2の硫化物を生成すること;
を含む、方法。
【請求項142】
水反応性アルカリ金属硫化物を製造する方法であって:
(a)第1のアルカリ金属塩及び第1のアルカリ金属水硫化物並びに随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属塩、第3の硫化物及び第1のアルカリ金属塩を含む混合物を生成すること、ここで、前記第1のアルカリ金属塩が、アルカリ又はアルカリ土類金属の不純物を含み、前記不純物は、リチウムではない;
(b)前記沈殿した第2のアルカリ金属塩及び前記沈殿した第3の硫化物を除去すること;並びに、
(c)前記極性溶媒を除去して、前記第2の硫化物及び/又は前記第1のアルカリ金属塩を単離すること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硫化リチウムの製造方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は「硫化リチウム製造方法」と題する2021年11月16日に出願された米国仮出願第63/264,137号からの米国特許法第119条に関連し、その下で優先権を主張するものであり、その全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話、パソコン、自動車などへの二次電池への依存が急激に深まっている。また、より多くの電力を収容し、より長持ちし、より経済的である電池(バッテリー)に対する需要が増加している。これらの増大する需要を満たすために、企業および研究は同様に、固体充電式電池、具体的には固体硫化物電解質を含有するものに焦点を当ててきた。
【0004】
固体硫化物電解質の合成に利用される主要な反応物の1つは、硫化リチウム(LiS)である。この化合物は、天然には存在しないので、合成的に作製されなければならず、伝統的な合成経路は高価な前駆体、高価な装置を必要とし、低純度の化合物をもたらし得る。例えば、Smith(US3642436)はアルカリ金属を硫化水素または硫黄蒸気と反応させることを教示しているが、この方法は高価な高純度リチウム金属と、高毒性ガスである大量の硫化水素の使用とを必要とする。Dawidowski(DE102012208982)はリチウム金属塩基を有機溶媒中で硫化水素と反応させることを教示しているが、この方法はリチウム有機化合物の形態の高価な前駆体も使用している。Barker(US8377411)およびMehta(US6555078)は両方とも、より安価な前駆体を使用するプロセスを教示するが、Barkerの方法はプロセスの腐食性のために高価な特殊処理装置を必要とし、Mehtaの方法は高温および水溶液の使用を必要とし、これは硫化リチウムの加水分解およびより低い純度の生成物をもたらす。これらの問題を克服するために、LiSを製造するより効率的で低コストの方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、安価な前駆体を用いて高純度の硫化リチウムを製造するためのロバストな方法およびスケーラブルな方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、新規に形成されたリチウム金属水硫化物とアルカリ金属塩副生成物との間に実質的な溶解度の差が存在するプロトン性有機溶媒中で、リチウム金属塩と水硫化物含有化合物とが反応する、高純度の硫化リチウム化合物の製造方法を含む。得られたアルカリ金属塩副生成物およびプロトン性有機溶媒を除去し、熱処理を施して高純度の硫化リチウム材料を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例1、2、3、4、および比較例1で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図2図2は、実施例3、実施例4および比較例1で合成した硫化リチウム(LiS)の熱重量分析を示す。
図3図3は、実施例5、6、および7で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図4図4は、実施例8、9、および10で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図5図5は、実施例10、11、12、および13で合成された硫化リチウム(Li2S)のx線回折図を示す。
図6図6は、実施例14で合成された工業グレードの塩化リチウム(LiCl)硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図7図7は、実施例15で合成された工業グレードの硫化リチウム(LiS)および硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図8図8は、実施例16で製造された固体電解質のx線回折図を示す。
図9図9は、実施例5および比較例1で合成された硫化リチウム(LiS)の熱重量分析を示す。
図10図10は、実施例5および比較例1で合成された硫化リチウム(LiS)のフーリエ変換赤外分光法(FTIR)スペクトルを示す。
図11図11は、NaSのみの合成で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図12図12は、反応物として追加の10重量%LiClを添加したNaSのみの合成で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図を示す。
図13図13はNaSのみの合成で合成された硫化リチウム(LiS)のx線回折図であり、NaHS・XHO反応物が利用され、最終生成物は、およそ、半分のLiSおよび半分のLiClであった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「高純度」又は「高レベル純度」は、少なくとも85%純度、少なくとも90%純度、少なくとも91%純度、少なくとも92%純度、少なくとも93%純度、少なくとも94%純度、少なくとも95%純度、少なくとも96%純度、少なくとも97%純度、少なくとも98%純度、少なくとも99%純度、又は少なくとも99.5%純度を意味しうる。
【0009】
一実施形態では、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が(a)極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および第2のアルカリ金属塩の混合物を生成する工程であって、極性溶媒は極性溶媒中で高溶解性である第2の硫化物と、極性溶媒中で同様に高溶解性である第2のアルカリ金属水硫化物と、極性溶媒中で沈殿物を形成する第2のアルカリ金属塩との間の溶解度差を提供するように選択される、工程と、(b)沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および極性溶媒を含む上清を生成する工程と、(c)上清を加熱して、極性溶媒を除去し、かつ第2のアルカリ金属水硫化物を第2の硫化物に変換する工程とを含む。
【0010】
別の実施形態では水反応性アルカリ金属硫化物を製造するための方法が(a)極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および第1のアルカリ金属塩の混合物を生成することであって、極性溶媒は、極性溶媒中で高溶解性である第2の硫化物と、極性溶媒中で同様に高溶解性である第2のアルカリ金属水硫化物と、極性溶媒中で沈殿物を形成する第1のアルカリ金属塩との間の溶解度差を提供するように選択されることと、(b)沈殿した第1のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、及び極性溶媒を含む上清を生成すること、並びに(c)上清を加熱して、極性溶媒を除去し、かつ第2のアルカリ金属水硫化物を第2の硫化物に変換すること、を含む。
【0011】
別の実施形態では、本方法が第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属硫化物を生成することを含む(例えば、LiCl+NaSH→LiS+NaCl)。本方法は、第1のアルカリ金属硫化物を高レベルの純度で単離することをさらに含むことができる。
【0012】
別の実施形態では、本方法が第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2のアルカリ金属塩、第2のアルカリ金属水硫化物、および第1のアルカリ金属硫化物を生成することを含む(例えば、LiCl+NaSH→LiS+LiSH+NaCl)。本方法は、第1のアルカリ金属硫化物を高レベルの純度で単離することをさらに含むことができる。
【0013】
別の実施形態では、本方法が第1のアルカリ金属塩と第1のアルカリ金属水硫化物とを反応させて、第1のアルカリ金属塩、第2のアルカリ金属塩、および第2のアルカリ金属硫化物を生成することを含む(例えば、LiCl+NaSH→LiS+LiCl+NaCl)。本方法は、第1のアルカリ金属硫化物、第1のアルカリ金属塩、および/または第2のアルカリ金属塩を、高レベルの純度で、個々にまたは集合的に単離することをさらに含み得る。
【0014】
別の実施形態では、本方法が第1のアルカリ金属塩、第1のアルカリ金属硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2のアルカリ金属塩および第2のアルカリ金属硫化物を生成することを含む(例えば、LiCl+NaS+NaSH→LiS+NaCl)。本方法は、第1のアルカリ金属硫化物を高レベルの純度で単離することをさらに含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、本方法が第1のアルカリ金属塩、第1のアルカリ金属硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第1のアルカリ金属塩、第2のアルカリ金属塩、および第2のアルカリ金属硫化物を生成することを含む(例えば、LiCl+NaS+NaSH→LiS+LiCl+NaCl)。本方法は、第1のアルカリ金属硫化物、第1のアルカリ金属塩、および/または第2のアルカリ金属塩を、高レベルの純度で、個々にまたは集合的に単離することをさらに含み得る。
【0016】
別の実施形態では、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が(a)溶媒中で第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物水和物を反応させて反応混合物を生成すること、(b)反応混合物を加熱すること、ならびに(c)精製された第2の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩を単離することを含む。溶媒は炭化水素溶媒(例えば、非極性炭化水素ソルブ)、極性溶媒(例えば、極性有機溶媒)、またはそれらの組み合わせであってもよい。精製された第2の硫化物はLiSであってもよく、精製された第1のアルカリ金属塩はLiClであってもよい。第2の硫化物および/または第1のアルカリ金属塩は例えば、精製された第2の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩最終生成物の純度をさらに増大させるために、反応物として随意に再循環されてもよい。反応混合物は、約100℃~約150℃、約150℃~約200℃、約200℃~約250℃、約250℃~約300℃、約300℃~約350℃、約350℃~約400℃、約400℃~約450℃に加熱することができる。
【0017】
別の実施形態では、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が(a)第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、第2の硫化物および第1のアルカリ金属水硫化物水和物を溶媒中で反応させて反応混合物を生成すること、(b)反応混合物を加熱すること、および(c)第3の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩を単離することを含む。溶媒は炭化水素溶媒、極性溶媒(例えば、極性有機溶媒)、またはそれらの組み合わせであってもよい。精製された第3の硫化物はLiSであってもよく、精製された第1のアルカリ金属塩はLiClであってもよい。第3の硫化物および/または第1のアルカリ金属塩は、例えば、精製された第3の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩最終生成物の純度をさらに増大させるために、反応物として随意に再循環されてもよい。反応混合物は、約100℃~約150℃、約150℃~約200℃、約200℃~約250℃、約250℃~約300℃、約300℃~約350℃、約350℃~約400℃、約400℃~約450℃に加熱することができる。
【0018】
さらに別の実施形態では、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が(a)第1のアルカリ金属塩、第2のアルカリ金属塩、第1の硫化物、第1のアルカリ金属水硫化物水和物を溶媒中で反応させて反応混合物を生成すること、(b)反応混合物を加熱すること、および(c)第2の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩を単離すること、を含む。溶媒は炭化水素溶媒、極性溶媒(例えば、極性有機溶媒)、またはそれらの組み合わせであってもよい。精製された第2の硫化物はLiSであってもよく、精製された第1のアルカリ金属塩はLiClであってもよい。この反応において、第1のアルカリ金属塩と第2のアルカリ金属塩との間の溶解度の差は、第1のアルカリ金属塩生成物の純度の実質的な増加をもたらす。第2の硫化物および/または第1のアルカリ金属塩は、例えば、精製された第2の硫化物および精製された第1のアルカリ金属塩最終生成物の純度をさらに増大させるために、反応物として随意に再循環されてもよい。反応混合物は、約100℃~約150℃、約150℃~約200℃、約200℃~約250℃、約250℃~約300℃、約300℃~約350℃、約350℃~約400℃、約400℃~約450℃に加熱することができる。
【0019】
別の実施形態では、請求項に記載の方法が、極性溶媒が除去された後に第2の硫化物を加熱することをさらに含む。いくつかの態様では、加熱は焼結を含む。
【0020】
別の実施形態では、本方法が、第2の硫化物の純度を高めるために硫黄源を添加することをさらに含む。硫黄源は、元素状硫黄およびHSのうちの1つ以上を含む。硫黄源は上清の加熱前または加熱中に、本方法の任意の工程で添加することができる。
【0021】
本方法のさらに別の実施形態では、第2の硫化物が、硫黄源添加およびその後の熱処理工程によって後に除去され得るLiOCl夾雑物をさらに含む。本方法のさらに別の実施形態では第2の硫化物が、硫黄源添加および後の熱処理工程によってその後除去され得るLiOCl夾雑物をさらに含み、LiOCl夾雑物含有量は25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満である。本方法のさらに別の実施形態では第2の硫化物が、硫黄源添加および後の熱処理工程によって後に除去され得るLiOCl夾雑物をさらに含み、LiOCl夾雑物含有量は熱処理工程後に25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満または0.5%未満である。
【0022】
本方法のさらに別の実施形態では、第2の硫化物が、加熱工程によって後に除去され得るLiHS夾雑物をさらに含む。本方法のさらに別の実施形態では、第2の硫化物が、硫黄源添加および後の熱処理工程によってその後除去され得るLiHS夾雑物をさらに含み、LiHS夾雑物含有量は25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満である。本方法のさらに別の実施形態では、第2の硫化物が、硫黄源添加および後の熱処理工程によってその後除去され得るLiHS夾雑物をさらに含み、LiHS夾雑物含有量は熱処理工程後に25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満または0.5重量%未満である。夾雑物LiOCl及びLiHSの合計は、熱処理工程後に、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満または0.5重量%未満であってもよい。
【0023】
さらに別の実施形態では、本方法が、第2のアルカリ金属塩の析出の前または直後に、上清に貧溶媒化合物を導入することをさらに含む。
【0024】
本方法のさらに別の実施形態では、上清からの第2のアルカリ金属塩の除去が、遠心分離、濾過、重力沈降、および冷却のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
別の実施形態では、方法が、上清からの極性溶媒の量を減少させることをさらに含み、減少させることは、極性溶媒を蒸発させること、極性溶媒を加熱すること、または上清を囲む周囲雰囲気圧を減少させることのうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
別の実施形態では、方法が、第2の硫化物の純度を増加させるように、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物化合物、および第1のアルカリ金属水硫化物化合物の相対量を操作することをさらに含む。
【0027】
本方法のさらに別の実施形態では、極性溶媒は実質的に無水である。極性溶媒は、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のアルコールであってもよい。
【0028】
本方法のさらに別の実施形態では、貧溶媒が、1つまたは複数の炭化水素系溶媒から選択され、これは、アルカン(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ウンデカン)、環状アルカン、キシレン、および/またはトルエンを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本方法のさらに別の実施形態では、貧溶媒が、ヘプタン、および、極性溶媒中での実質的な混和性を有しかつ極性溶媒中の第2の硫化物および第2のアルカリ金属水硫化物のうちの1つまたは複数の溶解度差を第2のアルカリ金属塩と比較して増加させる他の非極性溶媒のうちの1つまたは複数から、選択される。
【0030】
本方法のさらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩は、LiClを含み、第1のアルカリ金属水硫化物は、NaHSおよび/またはNaHS・XHOを含み、第1の硫化物はNaSを含む。
【0031】
本方法のさらに別の実施形態では、第2のアルカリ金属塩は、NaClを含み、第2のアルカリ金属水硫化物は、LiHSを含み、第2の硫化物はLiSを含む。
【0032】
本方法のさらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩および第1の硫化物が極性溶媒の分割部分(アリコート)に別々に溶解され、この別々の分割部分は、次いで、第1のアルカリ金属硫化水素を添加する前に混合物を形成するために、混ぜ合わせられる。
【0033】
本方法のさらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物化合物、および第1のアルカリ金属水硫化物は、それらを一緒に反応させる前に、極性溶媒中に独立して溶解される。
【0034】
本方法のさらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩または第1の硫化物が最初に極性溶媒中に溶解され、次いで、他方が固体形態で添加される。
【0035】
本方法のさらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、およびアルカリ金属水硫化物のうちの1つは極性溶媒に溶解され、他は固体形態で溶液に添加される。
【0036】
本方法のさらに別の実施形態では、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、少なくとも90:10である。さらに別の実施形態では、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、少なくとも97:3である。さらに別の実施形態では、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が、少なくとも99:1である。さらに別の実施形態では、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比が少なくとも99.9:0.1である。
【0037】
さらに別の実施形態では、第1の硫化物化合物が、KS、NaS、(NH4)S、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
さらに別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物化合物が、KHS、NaHS、LiHS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
さらに別の実施形態では、第2の硫化物がLiSを含む。
【0040】
さらに別の実施形態では、第2の硫化物が95%以上の純度を含む。
【0041】
さらに別の実施形態では、第2の硫化物が340℃を超えて加熱された場合に13%未満の質量損失を有する。
【0042】
別の実施形態では、本開示が、水反応性アルカリ金属硫化物を生成するための方法によって生成される第2の硫化物を含む固体電解質を記載し、この方法は、(a)極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および第2のアルカリ金属塩の混合物を生成すること、ここで、極性溶媒は、極性溶媒中で高溶解性である第2の硫化物と、極性溶媒中で同様に高溶解性である第2のアルカリ金属水硫化物と、極性溶媒中で沈殿物を形成する第2のアルカリ金属塩との間の溶解度差をもたらすように選択される;(b)沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および極性溶媒を含む上清を生成すること;(c)上清を加熱して、極性溶媒を除去し、かつ第2のアルカリ金属水硫化物を第2の硫化物に変換すること;を含む。
【0043】
別の実施形態では、第2の硫化物はLiSである。
【0044】
別の実施形態では、アルカリ金属水硫化物はLiHSである。
【0045】
別の実施形態では、アルカリ金属水硫化物がNaHS・XHO(例えば、水和物)である。
【0046】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩はLiXを含み、Xはハロゲンである。
【0047】
別の実施形態では、第2の硫化物がLiSであり、第1のアルカリ金属水硫化物はLiHSまたはNaHS・XHOであり、第1のアルカリ金属塩はハロゲン化リチウム(例えば、LiCl、LiBr、LiIのうちの1つ以上)を含む。精製された第1のアルカリ金属塩は、94%を超える純度、95%を超える純度、96%を超える純度、97%を超える純度、98%を超える純度、98.5%を超える純度、99%を超える純度、99.5%を超える純度であり得る。
【0048】
別の実施形態では、本開示が、水反応性アルカリ金属硫化物を生成する方法によって生成される第2の硫化物を含有する固体電池(固体状電池)を記載し、この方法は、(a)極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、及び第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および第2のアルカリ金属塩の混合物を生成すること、ここで、極性溶媒は、極性溶媒中で高溶解性である第2の硫化物と、極性溶媒中で同様に高溶解性である第2のアルカリ金属水硫化物と、極性溶媒中で沈殿物を形成する第2のアルカリ金属塩との間の溶解度差を提供するように選択される;(b)沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物および極性溶媒を含む上清を生成すること;(c)上清を加熱して、極性溶媒を除去し、かつ第2のアルカリ金属水硫化物を第2の硫化物に変換すること;を含む。
【0049】
別の実施形態では、第2の硫化物はLiSである。
【0050】
別の実施形態では、本開示が、水反応性アルカリ金属硫化物を生成するための方法によって生成された第2の硫化物を含む電池によって駆動される乗り物を記載し、この方法は、(a)第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および第2のアルカリ金属塩の混合物を生成すること、ここで、極性溶媒は、極性溶媒中で高溶解性である第2の硫化物と、極性溶媒中で同じく高溶解性である第2のアルカリ金属水硫化物と、極性溶媒中で沈殿物を形成する第2のアルカリ金属塩との間の溶解度差を提供するように選択される;(b)沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物、第2のアルカリ金属水硫化物、および極性溶媒を含む上清を生成すること;(c)上清を加熱して、極性溶媒を除去し、かつ第2のアルカリ金属水硫化物を第2の硫化物に変換すること、を含む。
【0051】
別の実施形態では、第2の硫化物はLiSである。第2の硫化物は、94%超の純度、95%超の純度、96%超の純度、97%超の純度、98%超の純度、98.5%超の純度、99%超の純度、99.5%超の純度であってよく、かつ/または実質的にリチウム酸化物を含まなくてよい(すなわち、≦6.0%、≦5.0%、≦4.0%、≦3.0%、≦2.0%、≦1.5%、≦1.0%、または≦0.5%のリチウム酸化物)。
【0052】
別の実施形態では、本開示が、実質的に無水のLiClと、NaSおよびKSから選択される実質的に無水の硫化化合物と、LiHS、NaHSおよびKHSから選択される実質的に無水の水硫化物化合物とを、エタノール、1-プロパノールおよび1-ブタノールからなる群から選択される溶媒中で反応させて、高い溶解度のLiSアルカリ金属硫化物および随意に高い溶解度のLiHSアルカリ金属水硫化物および低溶解度のアルカリ金属塩を生成する工程と、高い溶解度のLiSアルカリ金属硫化物および存在する場合には高い溶解度のLiHSアルカリ金属水硫化物および溶媒を含む上清と、低溶解度のアルカリ金属塩を含む沈殿物とを分離する工程と、溶媒を上清から蒸発させて、単離されたLiSおよびLiHSを生成する工程とを含む、硫化リチウムを生成するための方法を記載する。
【0053】
別の実施形態では、本開示が、ハロゲン化リチウム(例えば、LiCl)、NaSおよび/またはKSから選択される硫化物化合物、ならびにLiHS・XHO、NaHS・XHOおよび/またはKHS・XHOから選択される化合物を、エタノール、1-プロパノールおよび1-ブタノールからなる群から選択される溶媒中で反応させて、高い溶解度のLiSアルカリ金属硫化物および高い溶解度のLiHSアルカリ金属水硫化物および低溶解度のアルカリ金属塩を生成する工程;高い溶解度のLiSアルカリ金属硫化物および高い溶解度のLiHSアルカリ金属水硫化物および溶媒を含む上清と、低溶解度のアルカリ金属塩を含む沈殿物とを分離する工程;ならびに溶媒を上清から蒸発させて、単離されたLiSおよびLiClを生成する工程、を含む、硫化リチウム(LiS)を製造する方法を記載する。
【0054】
別の実施形態では、本方法が、単離されたLiSおよびLiHSを、LiHSがLiSおよびHSに変換される温度に加熱することをさらに含む。
【0055】
別の実施形態では、本方法が、硫黄源を添加することをさらに含む。硫黄源は、元素状硫黄およびHSのうちの1つ以上を含む。
【0056】
別の実施形態では、本方法が、低溶解度のアルカリ金属塩副生成物の沈殿の直後に、高い溶解度のアルカリ金属硫化物、高い溶解度のアルカリ金属水硫化物および極性溶媒の上清に貧溶媒化合物を導入することをさらに含み、貧溶媒は、ヘプタン、及び、極性溶媒中に実質的に混和性を有しかつ副生成物に対するアルカリ金属硫化物の溶解度差を増加させる他の非極性溶媒、のうちの1つまたは複数から選択される。
【0057】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、一般に、極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および随意に第1の硫化物を反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成する工程;沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物および極性溶媒を含む上清を生成する工程;ならびに上清から極性溶媒を除去する工程、を含む。本明細書では、この方法によって製造された第2の硫化物を含む固体電解質も提供される。
【0058】
別の実施形態では、上清から極性溶媒を除去することは、極性溶媒を蒸発させて粉末を生成することを含む。いくつかの態様では、蒸発させることは、極性溶媒の実質的に全てを除去するために粉末を乾燥させることを含む。いくつかの追加の態様では、粉末から99重量%を超える極性溶媒が除去される。
【0059】
別の実施形態では、上清から極性溶媒を除去することは、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、またはそれらの組み合わせを含む。
【0060】
別の実施形態では、本方法が、第2の硫化物の純度を増加させるために硫黄源を添加することをさらに含む。いくつかの態様では、硫黄源が元素状硫黄およびHSのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの追加の態様では、硫黄源は、上清から極性溶媒を除去する前または除去中に、方法の任意の工程で添加される。さらなる態様において、第2の硫化物は、少なくとも95重量%が、LiOCl夾雑物を含まない。
【0061】
別の実施形態では、上清が第2のアルカリ金属水硫化物をさらに含む。いくつかの態様では、方法が、第2のアルカリ金属水硫化物を加熱して、第2の硫化物および硫化水素を生成することを含む。いくつかの追加の態様では、第2のアルカリ金属水硫化物がLiHSを含む。
【0062】
別の実施形態では、本方法が、第2のアルカリ金属塩の沈殿の前または直後に、上清に貧溶媒化合物を導入することをさらに含む。いくつかの態様では、貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、極性溶媒中に実質的に混和性を有する溶媒、第2のアルカリ金属塩と比較して極性溶媒中の第2の硫化物および第2のアルカリ金属水硫化物の1つまたは複数の溶解度差を増大させる溶媒、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0063】
いくつかの態様では、上清から第2のアルカリ金属塩を除去することは、遠心分離、濾過、重力沈降、および冷却のうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
別の実施形態では、方法が、上清から極性溶媒の量を減少させることをさらに含み、減少させることは、極性溶媒を蒸発させること、極性溶媒を加熱すること、または上清を囲む周囲雰囲気圧を減少させること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
別の実施形態では、本方法が、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物化合物、または第1のアルカリ金属水硫化物化合物の相対量を増加させて、第2の硫化物の純度を95重量%超にまで増加させることをさらに含む。
【0066】
別の実施形態では、極性溶媒は実質的に無水である。いくつかの追加の実施形態では、極性溶媒がエタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのアルコールを含む。
【0067】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物は、実質的に無水である。
【0068】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物とその中に組み込まれる水との質量比が2超:1である。いくつかの追加の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物とその中に組み込まれる水との質量比が3超:1である。なおさらなる実施形態において、第1のアルカリ金属水硫化物とその中に組み込まれる水との質量の比は、4超:1である。
【0069】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩はLiClを含み、第1のアルカリ金属水硫化物はNaHSを含み、第1の硫化物はNaSを含む。
【0070】
別の実施形態では、第2のアルカリ金属塩はNaClを含み、第2の硫化物はLiSを含む。
【0071】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩および第1の硫化物が極性溶媒の分割部分に別々に溶解され、この別々の分割部分(アリコート)は次いで、第1のアルカリ金属硫化水素を添加する前に、混ぜ合わせられて、混合物を形成する。
【0072】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物化合物、および第1のアルカリ金属水硫化物は、それらを一緒に反応させる前に、極性溶媒に独立して溶解される。
【0073】
別の実施形態において、第1のアルカリ金属塩または第1の硫化物は、最初に極性溶媒に溶解され、次いで、他方は固体形態で添加される。
【0074】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属水硫化物のうちの1つは極性溶媒に溶解され、他は固体形態で溶液に添加される。
【0075】
別の実施形態において、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比は、90以上:10である。いくつかの追加の態様において、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比は、97以上:3である。なおさらなる実施形態において、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比は、99以上:1である。なおさらなる実施形態において、極性溶媒中の、第2の硫化物の溶解度の、第2のアルカリ金属塩の溶解度に対する比は、99.9以上:0.1である。
【0076】
別の実施形態では、第1の硫化物化合物が、KS、NaS、(NHS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0077】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物化合物が、KHS、NaHS、LiHS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0078】
別の実施形態において、第2の硫化物は、LiSを含む。いくつかの追加の実施形態では、第2の硫化物が、95%以上の純度を有する。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、100℃を超えて加熱されたときに10%未満の質量損失を有する。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、340℃を超えて加熱されたときに13%未満の質量損失を有する。
【0079】
別の実施形態において、生成された混合物は、LiNaSをさらに含む。いくつかの追加の実施形態では、生成された混合物が、LiMgSをさらに含む。なおさらなる実施形態において、生成された混合物は、LiCaSをさらに含む。
【0080】
別の実施形態では、第2の硫化物の約97.5重量%~約99.9重量%が、Na夾雑物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物の約97.5重量%~約99.9重量%が、Na夾雑物を含まない。
【0081】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成する工程;沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、硫化物および極性溶媒を含む上清を生成する工程;ならびに上清から極性溶媒を除去する工程を含む。
【0082】
さらに、硫化リチウムの製造方法が本明細書に提供される。この方法は、LiCl、第1のアルカリ金属水硫化物、および随意にNaS、KS、および(NHSの1つ以上を含む第1の硫化物を、1つ以上の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiSおよびアルカリ金属塩を含む混合物を生成することを含む。混合物は、沈殿物としてのNaCl及び溶解したLiClを含みうる。いくつかの実施形態では、本方法が、LiSを含む上清を分離することをさらに含む。さらに本明細書では、この方法によって製造されたLiSを含む固体電解質が提供される。本明細書では、この方法によって製造されたLiClを含む固体電解質も提供される。
【0083】
別の実施形態では、本方法が、LiS、アルカリ金属塩、またはLiSとアルカリ金属塩の両方から溶媒を除去することをさらに含む。いくつかの態様では、溶媒を除去することは、溶媒を蒸発させて粉末を生成することを含む。いくつかの特定の態様では、溶媒を除去することは、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、またはそれらの組み合わせを含む。
【0084】
別の実施形態では、極性溶媒が、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0085】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物が、LiHS、NaHS、KHS、またはそれらの組み合わせを含む。
【0086】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物が、NaHSを含む。いくつかの追加の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物は実質的に無水である。
【0087】
別の実施形態では、LiClは実質的に無水である。いくつかの追加の実施形態では、LiClが約100ppm~約1500ppmのHO含有量を含む。なおさらなる実施形態において、LiClは、約900ppm~約1100ppmのHO含有量を含む。
【0088】
別の実施形態では、第1の硫化物は実質的に無水である。いくつかの追加の実施形態では、第1の硫化物が約100ppm~約1500ppmのHO含有量を含む。なおさらなる実施形態において、第1の硫化物は、約900ppm~約1100ppmのHO含有量を含む。
【0089】
別の実施形態では、混合物および上清が、第2のアルカリ金属水硫化物を含む。
【0090】
別の実施形態では、本方法が、上清に貧溶媒を導入することをさらに含む。いくつかの態様では、貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組み合わせを含む。
【0091】
別の実施形態では、本方法が、硫黄源を添加することをさらに含む。いくつかの態様では、硫黄源が、元素状硫黄およびHSのうちの1つまたは複数を含む。
【0092】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物とその中に組み込まれる水との質量比が2超:1である。いくつかの追加の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物とその中に組み込まれる水との質量比が3超:1である。なおさらなる実施形態において、第1のアルカリ金属水硫化物およびその中に組み込まれる水の質量の比は、4超:1である。
【0093】
別の実施形態では、生成されたアルカリ金属塩がLiClを含む。
【0094】
別の実施形態では、混合物が≧5質量%のLiClを含む。いくつかの追加の実施形態では、混合物が≧10質量%のLiClを含む。
【0095】
別の実施形態では、混合物が、合わせて少なくとも95質量%のLiSおよびLiClを含む。いくつかの追加の実施形態では、混合物が、合わせて少なくとも98質量%のLiSおよびLiClを含む。
【0096】
別の実施形態では、LiS+LiClが、それぞれ、≧95%純度で生成される。いくつかの追加の実施形態では、LiS+LiClが、合わせて、≧98%の収率で生成される。
【0097】
さらに、硫化リチウムの製造方法が本明細書に提供される。この方法は、LiX、第1のアルカリ金属水硫化物、および随意にNaS、KS、および(NHSの1つ以上を含む第1の硫化物を、1つ以上の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiSおよびアルカリ金属塩を含む混合物を生成することを含み、Xはハロゲンである。
【0098】
別の実施形態において、生成されたアルカリ金属塩は、LiXを含む。
【0099】
別の実施形態では、混合物が、≧5質量%のLiXを含む。さらに別の実施形態では、混合物が、≧10質量%のLiXを含む。なおさらなる実施形態において、混合物は、合わせて少なくとも95質量%のLiSおよびLiXを含む。なおさらなる実施形態において、混合物は、合わせて少なくとも98質量%の、LiSおよびLiXを含む。
【0100】
別の実施形態では、LiS+LiXが、それぞれ、≧95%純度で生成される。さらに別の実施形態では、LiS+LiXが、ぞれぞれ、≧98%純度で生成される。
【0101】
さらに、硫化リチウムの製造方法が本明細書に提供される。本方法は一般に、LiXと、NaS、KS、および(NHSのうちの1つ以上を含む第1のアルカリ金属水硫化物とを、1つ以上の極性溶媒を含む溶媒中で反応させて、LiSおよびアルカリ金属塩を含む混合物を生成することを含む。
【0102】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成する工程であって、第1の硫化物がアルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含み、不純物がリチウムではない工程と;沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物および極性溶媒を含む上清を生成する工程と、上清から極性溶媒を除去して、第2の硫化物を生成する工程とを含む。
【0103】
別の実施形態では、第1の硫化物が、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、アルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含む。
【0104】
別の実施形態では、第1の硫化物が、リチウムと、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、アルカリまたはアルカリ土類金属不純物と、を含む。
【0105】
別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも90%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。さらなる実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも95%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。なおさらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも98%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。なおさらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも99%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。なおさらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも99.5%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。なおさらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも99.9%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。
【0106】
別の実施形態では、上清から極性溶媒を除去することは、極性溶媒を蒸発させて粉末を生成することを含む。いくつかの態様では、蒸発させることは、極性溶媒の実質的に全てを除去するために粉末を乾燥させることを含む。いくつかの特定の態様では、極性溶媒を除去することは、噴霧乾燥、回転乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの追加の態様では、粉末から極性溶媒の80重量%超が除去される。さらに別の態様では、粉末から99重量%を超える極性溶媒が除去される。
【0107】
別の実施形態では、方法が、第2の硫化物の純度を増加させるために硫黄源を添加することをさらに含む。いくつかの態様では、硫黄源が元素状硫黄およびHSのうちの1つまたは複数を含む。
【0108】
別の実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも95重量%の純度である。さらに他の実施形態では、第2の硫化物が少なくとも98重量%の純度である。さらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも99重量%の純度である。なおさらなる実施形態において、第2の硫化物は、少なくとも99.5重量%の純度である。
【0109】
別の実施形態では、上清が、第2のアルカリ金属水硫化物をさらに含む。いくつかの態様では、第2のアルカリ金属水硫化物が第2の硫化物および硫化水素を生成する。いくつかの追加の態様では、第2のアルカリ金属水硫化物がLiHSを含む。
【0110】
別の実施形態では、本方法が、貧溶媒化合物を上清に添加することをさらに含む。いくつかの態様では、貧溶媒が、炭化水素系溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組み合わせを含む。
【0111】
別の実施形態では、方法が、上清から第2のアルカリ金属塩を除去することをさらに含み、遠心分離、濾過、重力沈降、および冷却のうちの少なくとも1つを含む。
【0112】
別の実施形態では、極性溶媒が、実質的に無水である。別の実施形態では、極性溶媒が、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのアルコールを含む。
【0113】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物は実質的に無水である。
【0114】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩はLiClを含み、第1のアルカリ金属水硫化物はNaHSを含み、第1の硫化物はNaSを含む。
【0115】
別の実施形態では、第2のアルカリ金属塩はNaClを含み、第2の硫化物はLiSを含む。
【0116】
別の実施形態では、随意の第1の硫化物が、KS、NaS、(NHS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。別の実施形態において、随意の第1の硫化物はLiSを含む。
【0117】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属水硫化物化合物が、KHS、NaHS、LiHS、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0118】
別の実施形態において、第2の硫化物はLiSを含む。
【0119】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および第1の硫化物を反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、第1の硫化物が、酸素不純物、ハロゲン化物不純物、またはそれらの組み合わせを含む;沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物および極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、上清から極性溶媒を除去して、第2の硫化物を生成すること;を含む。
【0120】
別の実施形態では、第1の硫化物が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるハロゲン化物不純物を含む。
【0121】
別の実施形態では、第1の硫化物が、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される酸素不純物を含む。
【0122】
別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも90%で、ハロゲン化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも95%で、ハロゲン化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも98%で、ハロゲン化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99%で、ハロゲン化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.5%で、ハロゲン化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.9%で、ハロゲン化物不純物を含まない。
【0123】
別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも90%で、酸化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも95%で、酸化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも98%で、酸化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99%で、酸化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.5%で、酸化物不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.9%で、酸化物不純物を含まない。
【0124】
別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも90%で、不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも95%で、不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも98%で、不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99%で、不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.5%で、不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.9%で、不純物を含まない。
【0125】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。この方法は、極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩および第1の硫化物を反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成する工程と、沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、第2の硫化物および極性溶媒を含む上清を生成する工程と、上清から極性溶媒を除去して、第2の硫化物を生成する工程と、を含む。
【0126】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、一般に、極性溶媒中で第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物を反応させて、硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、第1のアルカリ金属塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含み、不純物がリチウムではない;沈殿した第2のアルカリ金属塩を混合物から除去して、硫化物および極性溶媒を含む上清を生成すること;極性溶媒を上清から除去して、硫化物を生成すること;を含む。
【0127】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、一般に、第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩を含む混合物を生成する工程であって、第1のアルカリ金属塩がアルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含み、不純物がリチウムではない工程と、極性溶媒を除去して、第2の硫化物および/または第2のアルカリ金属塩を単離する工程とを含む。
【0128】
別の実施形態では、第1のアルカリ金属塩が、リチウムと、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルカリまたはアルカリ土類金属不純物と、を含む。
【0129】
別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも90%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも95%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも98%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。さらに別の実施形態では、第2の硫化物が、少なくとも99.5%で、アルカリ金属またはアルカリ土類金属不純物を含まない。
【0130】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、一般に、第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物および第2のアルカリ金属塩沈殿物を含む混合物を生成すること、ここで、第1のアルカリ金属塩はアルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含み、不純物はリチウムではない;沈殿した第2のアルカリ金属塩および場合により1つ以上のアルカリ土類金属硫化物を混合物から除去して、第2の硫化物および極性溶媒を含む上清を生成すること;並びに、極性溶媒を上清から除去して、第2の硫化物を生成すること;を含む。
【0131】
さらに、水反応性アルカリ金属硫化物の製造方法が本明細書に提供される。本方法は、一般に、第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物および随意に第1の硫化物を極性溶媒中で反応させて、第2の硫化物、第2のアルカリ金属塩、第3の硫化物および第1のアルカリ金属塩を含む混合物を生成すること、ここで、第1のアルカリ金属塩がアルカリまたはアルカリ土類金属不純物を含み、不純物がリチウムではない;沈殿した第2のアルカリ金属塩および沈殿した第3の硫化物を除去すること;並びに、第2の硫化物および/または第1のアルカリ金属塩を単離するために極性溶媒を除去すること;を含む。
【0132】
図面の簡単な説明
本開示は、以下に簡潔に記載される図面と併せて、以下の詳細な説明を参照することによって理解され得る。
【0133】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下の説明では、本開示の様々な態様の完全な理解を与えるために、具体的な詳細が提供される。さらに、技術を不明瞭にすることを避けるために、本明細書に記載される様々な態様におけるいくつかの公知の方法、プロセス、装置、およびシステムは、詳細には開示されない。
【0134】
本開示は、アルカリ金属水硫化物およびアルカリ金属塩を、「二重イオン交換」が起こる脂肪族アルコールおよび/または同様の溶媒に溶解させることによって、硫化物の低コスト合成を提供する。最終結果は金属水硫化物(金属ヒドロスルフィド)および1種以上のアルカリ金属副生物の合成であり、ここで、1種以上の副生物は、溶媒の適切な選択、または非極性炭化水素などであるがこれらに限定されない貧溶媒の添加、次いで望ましくない1又は複数の生成物をろ過することによって、ろ過除去され得る。次いで、1又は複数の溶媒を除去し、随意にアルカリ金属水硫化物を残し、これを加熱すると、硫化水素および高純度生成物としての所望の硫化物に分解する。
一般的な反応は:
1.エタノール中のメタセシス反応
NaHS(EtOH)+LiCl(EtOH)→LiHS(EtOH)+NaCl(s)
2.副生物を除去するためのフィルター
LiHS(EtOH)+NaCl(s)→LiHS(EtOH)
3.エタノールを除去し、所望のアルカリ金属硫化物を形成するために加熱し、HSを除去する
2LiHS(EtOH)→Li(s)+H(g)→Li(s)
【0135】
別の実施形態では、メタセシス反応が以下の式によってまとめることができる:
1.エタノール中のメタセシス反応
NaS+2LiCl→LiS+2NaCl
【0136】
上記反応は、LiSおよびNaClを形成する二重イオン交換(メタセシス)反応を提供し得るエタノールに出発材料を溶解することによって実施され得る。NaClはLiSと比較して、エタノール中で非常に低い溶解度を有し得、その結果、NaClは濾過によって除去され得、エタノール中に溶解されたLiSが残り、これは、乾燥プロセスを介して除去され得る。本明細書に記載される反応において、LiCO、LiOおよびLiOCl(例えば、不純物複合材料)は、個々にまたは集合的に、10重量%以下、7重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下の量で生成され得、複合材料を硫黄源に曝露しながら加熱することによって除去され得る。
【0137】
さらに別の態様では、NaHSが、随意に、以下の式によって要約されるように、LiHSを生成するために使用され得る:
NaS+2NaHS+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→2LiS+HS+4NaCl
【0138】
上記に示されるように、LiHSは、約150℃又は150℃超(例えば、約150℃~約300℃)の温度で加熱および/または反応してLiSおよびHSへと分解することができる。高温で硫黄源を導入することによって、LiCO、LiOおよび/またはLiOClを含む複合材料は個々にまたは集合的に、10重量%以下、7重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下の量で除去または排除することができる。
【0139】
さらなる実施形態では、NaHSが、随意に、以下の式によって要約されるように、水和形態でかつ/または水を伴って反応されてよい:
NaS+2NaHS・XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→3LiS+HS+4NaCl
および/または
NaS+2NaHS+XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→3LiS+HS+4NaCl
【0140】
上記に示されるように、NaHSは、「湿式」形態で使用されてよく、例えば、Xモルの水和物を含むか、またはXモルのHOと接触していてよい。上記式において、NaHS・XHO(または同様の水和物)は、約20重量%~約75重量%の水、約15重量%~約70重量%の水、約10重量%~約65重量%の水、約5重量%~約65重量%の水、約0重量%~約55重量%の水、約20重量%~約50重量%の水、約20重量%~約45重量%の水、約20重量%~約40重量%の水、約20重量%~約35重量%の水、約20重量%~約30重量%の水、約20重量%~約25重量%の水、または約25重量%~約30重量%の水を含み得る。しかし、実験的には、NaHSの「湿式形態」をNaSとLiClとを組み合わせると(すなわち、NaS+2NaHS・XHO+4LiCl)、硫化リチウム、塩化リチウムが生成し、かつリチウム酸化物を実質的に生成させない(すなわち、2LiS+2LiCl+Li酸化物なし)ことがあることが発見されている。したがって、実験結果は、以下の反応が起こり得ることを示唆する。
NaS+2NaHS・XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→2LiS+2LiCl+Li酸化物なし
および/または
NaS+2NaHS+XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→2LiS+2LiCl+Li酸化物なし
および/または
NaS+2NaHS・XHO+4LiCl→2LiS+2LiCl+Li酸化物なし
【0141】
いくつかの実施形態では、出発物質の中で、NaHS・XHOのみが「湿式」または水和形態である。したがって、一態様では、NaSおよびLiClは乾燥および/または無水形態であり、NaHS・XHOは反応前に「湿式」または水和形態であり、最終生成物LiSおよびLiClは、94%超純粋、95%超純粋、96%超純粋、97%超純粋、98%超純粋、98.5%超純粋、99%超純粋、99.5%超純粋であり、リチウム酸化物を実質的に含まない(すなわち、≦6.0%、≦5.0%、≦4.0%、≦3.0%、≦2.0%、≦1.5%、≦1.0%、または≦0.5%のリチウム酸化物)。本明細書に記載の反応に対する他の潜在的利益は、下記である1又は複数の反応が起こり得る点である:(1)最終生成物LiClを出発物質中に再循環させてLiClの純度を増加させることができること;(2)「汚れた」または工業グレードのLiCl(例えば、純度97%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、または50%以下のLiCl)を、低純度の「汚れた」LiClを出発反応に組み込み、かつ、LiCl出発物質よりも、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%高い純度を有するLiClを生成することによって「洗浄」または精製することができること、(3)最終生成物LiSを出発物質に再利用して、LiSの純度をさらに増加させることができること、(4)低純度の「汚れた」LiS(例えば、約97%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、または50%以下の純度のLiS)を出発反応に組み込み、LiS出発物質よりも、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%高い純度のLiSを生成することによって、「洗浄」または精製することができること;および/または(5)不純物が非可溶性硫化物に変換すること。一般に、不純物は、非可溶性酸化物であり得、したがって、他の酸化物不純物の形成を防止し得る。一態様では、95%純度について、この低純度の「汚れた」LiClを出発反応に組み込み、≧99%純度のLiClを得ることによって、「洗浄」または精製され得る。本明細書に記載される反応のさらに別の驚くべき態様は、新規かつ高度に純粋なLiNaS材料(すなわち、個々におよび/または集合的に、少なくとも55%の純度、少なくとも60%の純度、少なくとも65%の純度、少なくとも70%の純度、少なくとも75%の純度、少なくとも80%の純度、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも91%の純度、少なくとも92%の純度、少なくとも93%の純度、少なくとも94%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.5%)を作製するために使用され得ることである。
この反応は、以下にまとめることができる:
NaS+2NaHS・XHO+4LiCl→4LiNaS
【0142】
本明細書で言及される「汚れた」または工業グレードのLiClは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ケイ素塩、鉄塩、ニッケル塩、銅塩などの塩を含む不純物を含有し得る。いくつかの態様では、この塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ケイ素(SiCl)、塩化鉄(FeCl)、塩化ニッケル(NiCl)、および塩化銅(CuCl)などの塩化物塩であってもよい。これらの塩の全て(塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを除く)はアルコールに非常に可溶性であり、したがって、アルコール溶媒による単純な濾過によって除去することはできない。NaSまたはNaHSを添加し、エタノールに溶解させることによって、望ましくない塩化物塩は、アルコールに不溶性である金属硫化物に転化(変換)し得る。
【0143】
「汚れた」または工業グレードのLiSは、水酸化リチウム(LiOH)、硫酸リチウム(LiSO)、炭素、炭酸リチウム(LiCO)、および酸化リチウム(LiO)を含む不純物を含有し得る。
【0144】
湿式形態のNaSを使用する場合、水は、LiCl中のリチウムと反応して、異なるLi-O含有種(LiO、LiCOなど)を形成し得る。しかしながら、驚くべきことに、NaHSが水和物形態の水を含み、かつ上記の非限定的な重量割合の水が含まれる場合、水和物は、リチウムと反応せず、又は、任意の望ましくない夾雑物若しくは不純物(LiO、LiCO、LiOClなど)を形成しない。生成材料は、約100℃~約150℃、約150℃~約200℃、約200℃~約250℃、約250℃~約300℃、約300℃~約350℃、約350℃~約400℃、約400℃~約450℃で加熱及び/又は乾燥することができる。
NaS+2NaHS・XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→3LiS+HS+4NaCl+LiCl
および/または
NaS+2NaHS+XHO+4LiCl→LiS+2LiHS+4NaCl→3LiS+HS+4NaCl+LiCl
【0145】
反応はまた、実質的なLi系不純物なしに(すなわち、予想されるLiOCl不純物は除いて)、最終生成物としてLiSおよびLiClを生成するためにも使用され得る。この反応によって生成されるLiSおよびLiClは不純物を実質的に含まなくてもよい(すなわち、個々におよび/または集合的に、少なくとも75%の純度、少なくとも80%の純度、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも91%の純度、少なくとも92%の純度、少なくとも93%の純度、少なくとも94%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.5%の純度)。一態様では、この反応によって生成されるLiSおよびLiClが、LiO、LiCO、LiOCl、LiOH、LiSO、LiCO、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不純物を実質的に含まなくてもよい。本反応により生成されるLiS及びLiClは、少なくとも75%以上で不純物を含まず、少なくとも80%以上で不純物を含まず、少なくとも85%以上で不純物を含まず、少なくとも90%以上で不純物を含まず、少なくとも95%以上で不純物を含まず、少なくとも96%以上で不純物を含まず、少なくとも97%以上で不純物を含まず、少なくとも98%以上で不純物を含まず、少なくとも99%以上で不純物を含まず、又は少なくとも99.5%以上で不純物を含まず、これらの不純物はLiO、LiCO、LiOCl、LiOH、LiSO、LiCO、及びこれらの組み合わせからなる群より選択され得る。この高度の純度は予想外であり、驚くべきことである。
【0146】
反応はまた、実質的な不純物なしで(すなわち、予想されるLiOCl不純物は除いて)最終生成物としてLiSおよびLiClを生成するために使用され得る。この反応によって生成されるLiSおよびLiClは、不純物を実質的に含まなくてもよい(すなわち、個々におよび/または集合的に、少なくとも75%の純度、少なくとも80%の純度、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも91%の純度、少なくとも92%の純度、少なくとも93%の純度、少なくとも94%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、少なくとも99.5%の純度)。一態様では、この反応によって生成されるLiSおよびLiClが、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、SiCl、FeCl、NiCl、CuCl、CaS、MgS、FeS、NiS、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される不純物を実質的に含まなくてもよい。この反応により生成されるLiS及びLiClは、少なくとも75%以上で不純物を含まず、少なくとも80%以上で不純物を含まず、少なくとも85%以上で不純物を含まず、少なくとも90%以上で不純物を含まず、少なくとも95%以上で不純物を含まず、少なくとも96%以上で不純物を含まず、少なくとも97%以上で不純物を含まず、少なくとも98%以上で不純物を含まず、少なくとも99%以上で不純物を含まず、少なくとも99.5%以上で不純物を含まず、不純物は、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、SiCl、FeCl、NiCl、CuCl、CaS、MgS、FeS、NiS、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。この高度の純度は予想外であり、驚くべきことである。
【0147】
一実施形態では、標準的なNaSのみの合成において、最終生成物は、約94.0%純度のLiSを生じ得、主要な不純物はNaClであり、副次的な不純物はLiOClであり、LiOClの分解生成物はLiOおよびLiClである。図11に示されるX線回折スペクトルにおける青色ピークは94.0%純度のLiSおよび≦6.0%の不純物(例えば、LiOCl)を表す。
【0148】
別の実施形態では、反応物として追加の10重量%LiClを添加した標準的なNaSのみの合成において、最終生成物は、約80.8%純度のLiSを生じ得、主な不純物はLiOClであり、副次的な不純物はLiClである。図12に示されるX線回折スペクトルにおける赤色ピークは、80.8%純度のLiSを表す。一態様では反応物として追加の10% LiClを用いたNaSのみの合成(例えば、水または水和物なし)では、生成されるLiOClの量が大幅に増加する。
【0149】
さらに別の実施形態では、NaHS・XHO反応物を利用し、最終生成物は、約半分のLiSおよび約半分のLiClであり、それぞれ95%超の純度であった。図13に示されるX線回折スペクトルにおける黒色ピークは、51.5%LiSおよび47.5%LiCl反応生成物を表す。最終生成物は、51.5%LiS、47.5%LiCl、および1%未同定である。しかしながら、これらの反応生成物のそれぞれは、≧95%の純度で生成される。
【0150】
しかしながら、予想外の結果の一態様を繰り返すと、NaHS・XHO反応を使用して、LiOClを生成することなく(すなわち、1.0%未満、0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.01重量%未満)、約45%~約55%のLiClおよび約45%~約55%のLiSを同時に(すなわち、複合反応生成物を)生成することが可能であり得る。言い換えると、NaS+2NaHS・XHO+4LiClを組み合わせて、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、または少なくとも99.9%以上の合計の収率で、LiS及びLiClを生成しうる。反応の条件を調節して、約0%~約5%、約5%~約15%、約15%~約25%、約25%~約35%、約35%~約45%、約45%~約55%、約55%~約65%、約65%~約75%、約75%~約85%、約85%~約95%、約95%~約99%LiCl、および約0%~約5%、約5%~約15%、約15%~約25%、約25%~約35%、約35%~約45%、約45%~約55%、約55%~約65%、約65%~約75%、約75%~約85%、約85%~約95%、約95%~約99%のLiSを得るようにできる。同様に、NaS+2NaHS+XHO+4LiClを組み合わせて、LiSおよびLiClを、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、または少なくとも99.9%の合計収率で生成することができる。
【0151】
図10に示すFT-IRスペクトルでは、赤い線は標準的な「NaSのみ」合成であり、材料を100℃まで乾燥させることができる。スペクトルの他のラインは33%のNaHS・XHOを用いて作成し、100℃(緑色)、200℃(青色)、250℃(紫色)に乾燥させた。3つの非赤色スペクトルについては、残留溶媒(エタノール)に関連するピーク(2750~3000)およびエトキシドに関連するピーク(850~1500)の大幅な減少があり得る。これは、NaHSがNaSとHSに分解することによるHSの生成の証拠であり得る。これはまた、LiHSの形成の証拠であり得、これは、次いで、LiSまたはHSに分解される。
【0152】
図9に示す熱重量分析において、実施例5と表示されたラインは、33%のNaHS・XHO反応を示し、生成物は100℃~約200℃で乾燥され、全ての溶媒の≧97%、≧98%、≧99%、または≧99.5%がLiSおよびLiCl生成物から除去される。そのような実施形態では、本明細書に記載される反応を用いて、100℃以下、150℃以下、200℃以下、250℃以下、300℃以下、350℃以下、400℃以下、または450℃以下の温度で、乾燥ナノサイドLiS粒子を生成することができる。さらに別の態様では、LiS反応生成物の平均結晶サイズは、直径が約0.50~1.50ミクロン、直径が約0.75~1.25ミクロン、直径が約1~約3ミクロン、直径が約1~約7ミクロン、直径が約1~約10ミクロン、直径が約0.5~約3ミクロン、直径が約0.5~約5ミクロン、直径が約0.5~約7ミクロン、または直径が約0.5~約10ミクロン、または直径が約0.5~約25ミクロンであり得る。
【0153】
別の実施形態では、NaHS・XHO反応を用いて、LiSとハロゲン化リチウム(LiF、LiCl、LiBr、LiI)との複合材料を製造することができる。これは、過剰の1種以上のハロゲン化リチウムとの反応を開始することによって達成することができる。
【0154】
別の実施形態では、本開示が、第1のアルカリ金属水硫化物、第1の硫化物、および第1のアルカリ金属塩を、「二重イオン交換」が起こる脂肪族アルコールおよび/または同様の溶媒に溶解させることによる、硫化物(および/または精製アルカリ金属塩)の低コスト合成を提供する。最終結果は、第2のアルカリ金属水硫化物、第2の硫化物、および精製された第1のアルカリ金属塩または第2のアルカリ金属塩副生成物のうちの1つ以上、の合成であり、ここで、1つ以上の副生成物は、溶媒の適切な選択、または非極性炭化水素などであるがこれらに限定されない貧溶媒の添加、次いで、望ましくない1又は複数の生成物を濾過することによって、沈殿および除去されることができる。次いで、1又は複数の溶媒を除去してよく、第2のアルカリ金属水硫化物および第2の硫化物を残し、加熱すると、第2のアルカリ金属水硫化物は、硫化水素および所望の第2の硫化物に分解する。次いで、放出された硫化水素は、任意の金属酸化物種を所望の第2の硫化物に変換することができる。最終生成物は、高純度の第2の硫化物および/または高純度のアルカリ金属塩である。
1つの一般的な反応は:
1.エタノール中のメタセシス反応
NaHS(EtOH)+Na(EtOH)+LiCl(EtOH)→LiHS(EtOH)+Li(EtOH)+NaCl(s)
2.副生物を除去するためのフィルター
LiHS(EtOH)+Li(EtOH)+NaCl(s)→LiHS(EtOH)+Li(EtOH)
3.エタノールを除去し、加熱し、HSを除去する
2LiHS(EtOH)+Li(EtOH)→2Li(s)+H(g)→2Li(s)
【0155】
本開示は、極性有機溶媒中で起こる二重イオン交換反応によって硫化リチウムを生成するためのプロセスを例示し、ここで、反応物は、リチウム金属塩、1つ以上のアルカリ金属水硫化物、および1つ以上のアルカリ金属硫化物化合物のうちの1つ以上であり、それによって、硫化リチウム、リチウム水硫化物、および1つ以上のアルカリ金属塩を生成する。特定のリチウム金属塩、アルカリ金属水硫化物、アルカリ金属硫化物および極性有機溶媒は、リチウム金属塩、アルカリ金属水硫化物およびアルカリ金属硫化物が極性溶媒中で高い溶解度を有し、イオン交換反応から生成された新たに形成されたアルカリ金属塩が極性有機溶媒中で低い溶解度を有するように選択されるべきである。新たに形成されたアルカリ金属塩は、極性有機溶媒への溶解度が低く、沈殿し、硫化リチウムおよびリチウム水硫化物を含有する溶液から除去される。極性有機溶媒は、リチウム金属水硫化物とリチウム硫化物との複合物が残るように除去される。次いで、この複合物を加熱して、リチウム水硫化物の硫化リチウムへの分解を通してアルカリ金属硫化物を生成し、硫化水素ガスを放出し、これは、任意の酸化物種を還元するのに役立ち、それによって、高純度の硫化リチウム生成物を生じる。
【0156】
本開示の方法において、第1のアルカリ金属塩および第2のアルカリ金属塩は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIのうちの1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。第1のアルカリ水硫化物は、LiHS、NaHS、またはKHSのうちの1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。LiHS、NaHS、またはKHSなどの第1のアルカリ水硫化物は、実質的に無水であっても乾燥されていてもよい。代替の実施形態では、LiHS、NaHS、またはKHSなどの第1のアルカリ水硫化物は水和物形態であってもよい。LiHS、NaHS、またはKHSなどの第1のアルカリ水硫化物は、約0%~約30%、約5%~約25%、約10%~約20%、約15%~約30%、約20%~約30%、約20%~約25%、または約25%~約30%の含水量を含み得る。水和物形態の、LiHS、NaHS、および/またはKHSなどの第1のアルカリ水硫化物は、約20%~約75%、約25%~約80%、または約30%~約85%の含水量を含み得る。第1のアルカリ金属塩および第1のアルカリ金属水硫化物の化合物は、粉末、ペレット、フレーク、またはレンガのうちの1つ以上であるが、これらに限定されない形態であってもよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、本開示が、水硫化物前駆体が硫化物前駆体で部分的に置換され得る、LiS材料を生成するための方法を説明する。この方法において、硫化リチウムは極性有機溶媒中で起こる二重イオン交換反応によって生成され、ここで、反応物は、リチウム金属塩の1つ以上、アルカリ金属水硫化物化合物の1つ以上、およびアルカリ金属硫化物の1つ以上である。この方法のこの段階から、硫化リチウム、リチウム水硫化物およびアルカリ金属塩副生成物が生成される。リチウム金属塩、アルカリ金属水硫化物、アルカリ金属硫化物、および極性有機溶媒の組み合わせは、リチウム金属塩、アルカリ金属水硫化物、およびアルカリ金属硫化物が極性溶媒中で高い溶解度を有し、イオン交換反応から生成された新たに形成されたアルカリ金属塩が極性有機溶媒中で低い溶解度を有するように選択されるべきである。新たに形成されたアルカリ金属塩は極性有機溶媒への溶解度が低く、沈殿し、リチウム水硫化物および硫化リチウムを含む混合物から除去される。極性有機溶媒は、リチウム水硫化物と硫化リチウムとの混合物から除去される。リチウム水硫化物と硫化リチウムとの混合物は、リチウム水硫化物が硫化リチウムと硫化水素とに分解する点まで加熱される。新たに生成された硫化水素は、形成された任意の潜在的な酸化物種の還元を助け、硫化リチウムを高純度なままにする。
【0158】
本開示の一実施形態によれば、硫化物前駆体化合物は、LiS、NaS、KS、および(NHSを含み得るが、これらに限定されない。リチウム含有塩は、LiF、LiCl、LiBr、およびLiIのうちの1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。第1のアルカリ金属水硫化物は、LiHS、NaHS、もしくはKHS、またはこれらの水和物のうちの1つ以上であってもよいが、これらに限定されない。リチウム含有塩および水硫化物は、粉末、ペレット、フレーク、またはレンガのうちの1つ以上での形態であってよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、任意の一価カチオンの水硫化物、又は、極性有機溶媒に可溶性である任意の一価カチオンの硫化物を、対応するアルカリ金属塩副生成物が硫化リチウムおよびリチウム水硫化物の溶解度よりも低い溶解度を有する限り、使用することができる。低溶解度アルカリ金属塩は、低溶解度副生物と呼ぶことができ、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr、KIなどのナトリウムまたはカリウムを含むアルカリ金属ハロゲン化物のうちの1つまたは複数であり得るが、これらに限定されない。別の実施形態では、低溶解度アルカリ金属塩が、ルビジウムおよびセシウムを含んでもよく、RbCl、RbBr、RbI、CsCl、CsBr、およびCsIのうちの1つまたは複数であってもよい。
【0159】
出発材料間の二重イオン交換反応を促進するために、1種以上のアルカリ金属塩、1種以上の硫化物化合物、および1種以上の水硫化物化合物を、1種以上の極性有機溶媒に個々にまたは一緒に添加することができる。いくつかの実施形態では、1種以上のアルカリ金属塩、1種以上の硫化物化合物、および1種以上の水硫化物化合物は、1種以上の極性有機溶媒に添加する前に、組み合わせることができる。これらの材料の組み合わせは、出発材料のブレンド、混合、粉砕、またはミリングから生じ得る。別の実施形態では、1つ以上のアルカリ金属塩、1つ以上の硫化物化合物、および1つ以上の水硫化物化合物は、他の出発材料が結合して組み合わされた溶液を形成する前に、独立して溶液に溶解されてもよい。極性有機溶媒としては、1種以上のアルコールまたはジオールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルコールが、第一級、第二級、または第三級アルコールのうちの1つ以上であってもよい。別の実施形態では、アルコールが、エタノール、1-プロパノール、および1-ブタノールのうちの1つまたは複数であってもよい。さらなる実施形態では、アルコールが、イソプロパノール、イソブタノール、およびイソペンタノールのうちの1つまたは複数であってもよい。いくつかの実施形態では、溶媒が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、および1,6-ヘキサンジオールなどのジオールを含み得るが、これらに限定されない。溶媒は、アルカリ金属水硫化物およびアルカリ金属硫化物の溶解度がアルカリ金属塩副生成物の溶解度よりも高いままである限り、特に限定されない。
【0160】
いくつかの実施形態では、この反応から生成されるアルカリ金属水硫化物およびアルカリ金属塩副生成物が極性有機溶媒中で実質的に同様の溶解度を有する場合、所望の硫化リチウム生成物の精製は複雑であり得る。別の実施形態では、溶解の際に使用される温度が高すぎる場合、前駆体と溶媒との間の望ましくない副反応が起こり得、最終硫化リチウム生成物の純度または収率が潜在的に低下し得る。さらなる実施形態において、溶解の際に使用される温度が低すぎる場合、出発材料の溶解度は、反応を進行させるには低すぎる場合がある。
【0161】
室温、25℃、で操作すると、この反応から生成した1種以上の副生物が、溶液から自然に沈殿して、上清中の1種以上の高溶解度の硫化リチウムおよびリチウム水硫化物を含有する混合物、および低溶解度のアルカリ金属塩副生物の沈殿物を、形成することができる。冷却を導入することによって、沈殿の速度を変えることができる。加えて、冷却はまた、1つ以上の低溶解度のアルカリ金属副生物のさらなる沈殿を生じ得る。
【0162】
純度レベルをさらに操作するために、種々の出発物質および極性有機溶媒の比率および量は特に限定されず、変更が硫化リチウムの合成を進行させることを可能にする限り、変更されてよい。いくつかの実施形態において、個々の前駆体量に対する溶媒の体積または重量比は、副反応を防止するように調整され得る。いくつかの実施形態では、複合硫化リチウムおよびアルカリ金属塩を合成することが望ましい場合、追加のリチウム塩または他のアルカリ金属塩を添加することができる。別の実施形態では、リチウム塩、アルカリ金属硫化物、またはアルカリ金属水硫化物のうちの1つまたは複数の完全溶解に必要とされる量より少ない量の1又は複数の極性溶媒を使用することができる。このような実施形態では、1種以上の極性有機溶媒中で少なくとも1種以上のリチウム塩とアルカリ金属水硫化物との混合物を粉砕またはミリングすることにより、全体としてより少ない溶媒を使用しながら所望の硫化リチウムを生成することができる。さらなる実施形態において、記載された化合物は非極性溶媒と混合されてよく、非極性溶媒としては、限定されないが、例えば、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが挙げられる。別の実施形態では、共溶媒または凝集剤などの追加の材料を添加して、沈殿したアルカリ金属塩副生成物の除去を助けることもできる。
【0163】
撹拌または他の混合を用いて溶液を均質化することができ、混合時間は、前駆体の適切な均質化および反応がリチウム水硫化物および/または硫化リチウム、ならびに1つまたは複数のアルカリ金属塩副生成物を生成することを可能にする限り、特に限定されない。混合温度は、適切な混合を可能にし、望ましくない物質の形成を促進するほど高くないか、または1つ以上のアルカリ金属硫化物若しくは水硫化物の溶解度を反応停止点まで抑制するほど低くない限り、特に限定されない。いくつかの実施形態では、混合が、例えば、マグネチックスターラーまたはシャフトミキサーを使用して、-50℃~120℃の範囲の温度で実施され得る。別の実施形態では、温度範囲が-40℃~100℃であってもよい。さらに別の実施形態では、温度範囲が-30℃~80℃であってもよい。さらに別の実施形態では、温度範囲は-20℃~60℃であってもよい。均質化は、バッチプロセスで、または迅速な反応速度論によって支援される連続プロセスとして実施され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の貧溶媒、例えば、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、または、別の非プロトン性炭化水素などを溶液に添加して、1つまたは複数のアルカリ金属副生物の沈殿を助けることができる。いくつかの実施形態では、貧溶媒が、7:1v/vの非極性/極性~1:2v/vの非極性/極性の範囲で、実質的に混和性である。別の実施形態では、少なくとも3:1v/vの非極性/極性が、1種以上のアルカリ金属硫化物または水硫化物の溶解度に影響を及ぼすことなく、使用される。さらなる実施形態では、極性有機溶媒溶液へのリチウム含有塩などのイオン化合物の追加量が1つまたは複数の副生成物の溶解度をさらに低下させることができる。追加のリチウム含有塩材料の総量は、生成物純度を改善するために、かつ/または最終的なリチウム金属硫化物若しくは水硫化物の1つまたは複数とともにいくらかの量のリチウム含有塩を含ませるために、化学量論の150%~85%であってよい。例えば、十分に混合されたLiSおよびLiClを組み合わせる材料生成物は、Li、S-2、Clを含む硫化物固体電解質を生成するための前駆体として有用である。
【0164】
1つ以上の副生成物の除去または分離は、遠心分離、濾過、または重力沈降などの1つ以上の分離方法から生じ得る。これらの分離方法は、混合物からアルカリ金属塩副生成物を分離して、高い溶解度のアルカリ金属水硫化物および硫化リチウムのうちの1つ以上を含有する上清を単離するために、別々にまたは組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、濾過は、最初の二重イオン交換反応の後に、一定量の貧溶媒を溶液に添加して、さらなる量の副生成物を沈殿させた後に実施され得る。
【0165】
リチウム水硫化物および/または硫化リチウムを単離するための上清からの溶媒の分離は、溶媒を蒸発させることによって達成され得る。混合物はバルク溶媒が除去された後に乾燥して見えることがあるが、総重量の75%を構成する溶媒を含有し得ることに留意されたい。低蒸発熱を有する溶媒を利用することが有益であり得、これは、除去するためにより少ないエネルギーを使用する。さらに、溶媒は、リサイクルされ、再利用されてもよい。
【0166】
目的のリチウム水硫化物および/またはリチウム硫化物の単離後、残りの結合溶媒は貯蔵または使用の前に、アルゴン若しくは窒素などの不活性雰囲気中で、または真空下で、所定の時間および温度で加熱することによって、除去され得る。温度範囲は限定されず、例えば25℃~900℃の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、温度範囲は200℃~700℃であってもよい。別の実施形態では、温度範囲は300℃~500℃であってもよい。
【0167】
この加熱プロセスは、LiSを含む硫化物を焼結することができる。合成されたときに、LiSは、1ミクロン未満の粒径を有し得る。LiSを300℃以上の温度で加熱した後、LiSの平均粒径は1ミクロン超であってもよい。
【0168】
リチウム水硫化物またはリチウム水硫化物を含む複合物が加熱される間、リチウム水硫化物は、硫化リチウムに分解して硫化水素ガスを放出することができる。この硫化水素ガスは、酸素含有種と反応して、それらを硫化物または水硫化物に変換することができる。
【0169】
リチウム水硫化物の、硫化水素ガスおよび硫化リチウムへの分解に起因して、反応を促進するために使用される材料、例えば使用される溶媒および前駆体など、は、無水である必要はない場合がある。しかしながら、系に入る水の総量を低減することは、望ましくない酸化物種の製造を制限し得る。これは、硫化リチウムが水に非常に可溶性であり、水酸化リチウムに加水分解して硫化水素ガスを放出するという事実による。水酸化リチウムは、アルコールおよび他の極性溶媒中で非常に低い溶解度を有する。したがって、前駆体の溶解中に水酸化リチウムが形成される場合、濾過または遠心分離が行われるときに、水酸化リチウムは、アルカリ金属塩副生成物と共に系から除去され得る。これは、所望の硫化リチウムの収率を低下させる。この問題は、系の温度を下げることによって、水酸化リチウムの形成を遅くするか、または防止することによって回避することができる。いくつかの実施形態では、系に入る水の総量が反応に使用されるリチウム水硫化物の量に対して19重量パーセント未満であってもよい。例えば、1種以上の極性有機溶媒は、0重量%~5重量%の範囲の含水量を有し得る。いくつかの実施形態では、含水量は1重量%未満である。別の実施形態では、含水量は0.1重量%未満である。さらなる実施形態では、含水量は200ppm未満である。リチウム含有塩、アルカリ金属水硫化物、およびアルカリ金属硫化物のうちの1つ以上について、0重量%~10重量%の範囲の含水量。いくつかの実施形態では、含水量は5重量%未満である。別の実施形態では、含水量は1重量%未満である。さらなる実施形態において、含水量は、0.1ppm%未満である。さらに別の実施形態では、含水量は500ppm未満である。
【0170】
望ましくない酸化物種の形成をさらに防止するために、HSまたは元素状硫黄の形態の硫黄が、合成プロセスの様々な段階で導入され得る。硫黄は、リチウム含有塩、硫化物前駆体、または水硫化物材料の添加前に、極性溶媒および/または非極性溶媒に部分的にまたは完全に溶解され得る。硫黄源は、また、リチウム含有塩を含有する溶液、水硫化物材料を含有する溶液、または両方の溶液に添加されてもよい。硫化物材料を含有する溶液に元素状硫黄が使用され、添加される場合、Na(式中、Xは1より大きいが10以下である)などの多硫化物が形成され得る。ポリスルフィドは、材料の非ポリスルフィド型よりも高い溶解性を有することができ(Na対NaS)、加水分解されにくいことがある。溶解度が増加すると、使用される溶媒の総量は、その非ポリスルフィド対応物よりも少なくなり得る。これらのポリスルフィドはまた、アルカリ金属硫化物の溶液を通して硫化水素ガスをバブリングすることによって形成されてもよい。しかしながら、水硫化物材料を含む溶液に元素状硫黄が添加されると、水硫化物材料は、硫化水素およびその対応するアルカリ金属硫化物材料へと分解し得る。
【0171】
硫黄源の導入は、リチウム水硫化物またはリチウム水硫化物-硫化リチウム複合物の乾燥または高温処理中の任意の時点でも起こり得る。真空下で高温で溶媒を蒸発させる場合、元素状硫黄は、混合、ブレンド、または粉砕によって導入され得る。高温、低圧条件下での元素状硫黄の高い揮発性のために、元素状硫黄は、任意の望ましくない酸化物種を還元するために必要とされるものをはるかに超えて添加される必要があり得る。いくつかの実施形態では、添加される硫黄の量がリチウム水硫化物またはリチウム水硫化物と硫化リチウムの混合物の重量の100%以下であってもよい。別の実施形態では、添加される硫黄の量がリチウム水硫化物またはリチウム水硫化物と硫化リチウムの混合物の重量の50%以下であってもよい。さらなる実施形態において、添加される硫黄の量は、リチウム水硫化物またはリチウム水硫化物と硫化リチウムの混合物の重量の25%以下であってもよい。さらに別の実施形態では、添加される硫黄の量がリチウム水硫化物またはリチウム水硫化物と硫化リチウムの混合物の重量の10%以下であってもよい。さらなる実施形態において、添加される硫黄の量は、リチウム水硫化物またはリチウム水硫化物と硫化リチウムの混合物の重量の5%以下であってもよい。次いで、硫黄およびリチウム水硫化物を含む複合物は、硫黄が溶融または昇華する所望の温度に加熱され、溶媒の除去を助け、任意の酸素含有化合物を金属硫化物に変換することができる。
【0172】
本開示の目的のために、「実質的に」という用語は、あるパラメータのほぼ100%(100%を含む)である状態を意味する。例として、100%付近は、約80%から100%、約90%から100%、または約95%から100%の範囲に及び得る。
【0173】
図1は、実施例1~4および比較例によって合成されたLiS材料のX線回折を示す。この図から、実施例1~4はすべて>80%LiSの純度を有し、これらの実施例のうちの2つ、実施例1および2は>90%LiSの純度を有し、実施例1は>95%LiSの純度を有することが示され得る。LiS混合物中に存在するLiClの量は、リチウム含有種とナトリウム含有種とのモル比を操作することによって低下させることができる。複合物中に存在するNaClの量はNaClを除去するために使用されるプロセスを変更することによって、例えば、遠心分離機、フィルター、混合物の冷却、および凝集剤の添加などの1つまたは複数の技術をさらに組み込むことによって、低下させることができる。LiClOなどのオキシハライド種の量は、LiSの合成に使用される、NaHSの、NaSに対する比を増加させることによって、さらに減少させることができる。LiClOなどのオキシハライド種、またはLiCO、LiSO、LiO、若しくはLiOHなどの他の酸素含有種の量は、合成プロセス、乾燥、または得られるLiS混合物の熱処理のうちの1つまたは複数の工程の間に、HSおよび元素状硫黄の形態の硫黄源を組み込むことによって、低減または除去され得る。これらの変化により、99%以上の純度でLiSを製造することができる。
【0174】
【表1】
【0175】
図2は、実施例3、実施例4、および比較例1によって調製されたLiS材料の熱重量分析(TGA)を示す。これらの実施例および比較例に従って製造されたLiS材料を、真空下で200℃に1時間加熱した。この材料を、アルゴン流を有するTGA中に配置し、LiS材料を5℃/min速度で450℃に加熱した。
【0176】
LiS、NaCl、およびNaSを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例5と表示された図3に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、NaCl(31.7°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)に対応する。
【0177】
LiS、LiCl、およびNaSを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例6と表示された図3に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)に対応する。
【0178】
LiS、LiCl、およびNaSを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例7と表示された、図3に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)に対応する。
【0179】
LiS、LiCl、およびLiOClを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例8と表示された、図4に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびLiOCl(22.8°、32.5°、40°)に対応する。
【0180】
LiS、LiO、およびLiOHを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例9と表示された図4に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiOH(20.5°、32.6°、35.7°)、NaCl(31.7°)、およびLiO(33.7°)に対応する。
【0181】
NaLiS、Na、NaS、LiCl、NaHS、LiS、およびNaを含む、本開示の方法によって生成される組成物が本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例10と表示された、図4および図5に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、Na(2θ=23.3°、28.8°、31.9°、40°、40.9°)、NaS(23.6°、39°、46.1°)、NaLiS(26°、27.4°、31.4°、35.5°)、およびNaSH(30.3°、40.3°)に対応する。
【0182】
LiS、LiO、LiOH、LiCl、NaLiS、およびNaClを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例11と表示された、図5に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、NaLiS(2θ=26°、27.4°、31.4°、35.5°)、LiOH(20.5°、32.6°、35.7°)、およびLiO(33.7°)に対応する。
【0183】
LiS、LiOCl、LiCl、およびNaClを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例12と表示された、図5に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、LiOCl(22.8°、32.5°、40°)、およびNaCl(31.7°)に対応する。
【0184】
LiS、Na、NaLiS、およびβ-NaSを含む、本開示の方法によって生成される組成物が、本明細書においてさらに提供される。組成物は、実施例13と表示された、図5に示されるx線回折スペクトルを有する。x線回折スペクトルのピークは、LiS(2θ=27°、31.3°)、NaLiS(26°、27.4°、31.4°、35.5°)、およびβ-NaS(24.6°、28.9°、35.1°、40.4°)に対応する。
【0185】
ここで、本開示は、実施例を用いて例示され、本開示を例示することが意図され、本開示の技術的範囲に対するいかなる制限も制限することは意図されない。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【実施例
【0186】
実施例1
【0187】
0.667グラムの無水NaSおよび0.718グラムの無水NaHSを、16グラムの無水エタノールに、50ppm未満の水を伴って、溶解し、別個に、約1.09グラムの無水LiCl(化学量論量)を、6グラムの無水エタノールに、50ppm未満の水を伴って、溶解した。次いで、LiCl溶液を、およそ室温(25℃)で、NaSおよびNaHSの連続撹拌溶液に添加し、沈殿物がほぼ即座に形成された。混合物を-25℃に冷却し、次いで、4000rpmで10分間遠心分離して、上清を分離し、アルコール中に主にLiSおよびLiHSが含有され、かつ不溶性NaCl副生成物を除去した。この時点で、大部分のアルコールは、真空下において200℃でロータリーエバポレーターを用いて上清から除去された。この段階で、材料は乾燥しているように見えたが、約15%の結合溶媒を含有していた。生成物をアルゴン下400℃で1時間さらに熱処理した。この工程は、残留溶媒を除去し、LiHSをLiS放出硫化水素ガスに変換し、LiSをマイクロスケールに焼結するのに役立った。
【0188】
実施例2
【0189】
NaSを0.75g、NaHSを0.479g、LiClを1.09gを用いた以外は、実施例1と同様にして実験を行った。
【0190】
実施例3
【0191】
NaSを0.8g、NaHSを0.359g、LiClを1.09g用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0192】
実施例4
【0193】
NaSを0.9g、NaHSを0.144g、LiClを1.09g用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0194】
比較例1
【0195】
NaSを1.0g、NaHSを0.00g、LiClを1.09g用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0196】
実験結果
【0197】
表1および図1によれば、アルカリ金属塩前駆体、硫化物前駆体化合物、および水硫化物前駆体化合物を、アルカリ金属硫化物とアルカリ金属塩副生成物との間の溶解度差およびアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属塩副生成物との間の溶解度差が存在する1つまたは複数の極性溶媒に溶解するプロセスによって、溶解性硫化リチウム、溶解性リチウム水硫化物、および沈殿アルカリ金属塩副生成物を含む混合物が形成され得ることが示され得る。この混合物から、アルカリ金属塩副生成物を除去し、極性溶媒を蒸発させて、硫化リチウムおよびリチウム水硫化物を含有する混合物を形成し、これをさらに加熱して、リチウム水硫化物を硫化リチウムに変換することによって、硫化リチウムを単離する。リチウム水硫化物は約200℃の分解温度に達すると、材料は分解して硫化リチウムと硫化水素ガスを形成する。少なくとも200℃の温度では、この硫化水素ガスが、望ましくない材料の形成を引き起こし得る残留溶媒の除去を助けることができる。
【0198】
表1は、存在する水硫化物材料の量を増加させることによって、LiOClなどの望ましくない酸化物種の量を低減または排除することができることを示す。例えば、実施例4を比較例1と比較すると、NaSのNaHSでの22.2%モル置換によって、最終生成物中に存在するLiOClの量が18.8wt%から8.3wt%に低下し、これは55%を超える低下であることが示され得る。実施例1と比較例1とを比較すると、NaSのNaHSでの50%モル置換を行うことによって、最終生成物中に存在するLiOClの量が18.8wt%から2.5wt%に低下し、これは86%を超える低下であることが示され得る。これにより、純度95.2%の最終硫化リチウム材料が得られる。このプロセスに組み込まれるアルカリ金属水硫化物の量をさらに増加させることによって、より高い純度の硫化リチウム材料を製造することができる。
【0199】
図2から、比較例1から製造されたLiS材料は、200℃、1時間の真空下での加熱後、TGA中で5℃/minで450℃へ加熱されたときに、13.12%の質量損失を示したことを見ることができる。前記質量損失の大部分は約340℃で始まり、LiS混合物中の有機溶媒の除去に起因しうると考えられる。実施例4から製造されたLiS材料を200℃で1時間真空下で加熱した後、LiS材料は、TGA中で5℃/minで450℃へ加熱されたときに、9.35%の質量損失を示した。この質量損失の一部は約345℃で始まり、LiS材料に結合した有機溶媒の分解に起因すると考えられる。また、実施例3から製造されたLiS材料を200℃で1時間真空下で加熱した後、GA中で5℃/minで450℃へ加熱されたときに、LiS材料は、7.5%の質量損失を示した。この質量損失のごく一部は360℃付近で始まり、LiS材料に結合した有機溶媒の分解に起因すると考えられる。このデータおよび表1の情報から、この合成方法で使用されるアルカリ金属水硫化物の量の増大に伴って、最終LiS生成物中に存在する酸化物種全体の量が減少することが示され得る。具体的には、比較例1は、合成においてアルカリ金属水硫化物を使用せず、TGAにおいて13.12%の質量損失を有し、18.8%のLiOClを含有する。実施例4は、NaS:NaHSのモル比9:2となるようにNaHSを組み込み、9.35%の質量損失を有し、8.4%のLiOClを含有する。実施例3では、質量損失およびLiOCl含有量が、合成における水硫化物含有量を増加させることによってさらに低減される。この実施例において、NaHSは、4:2モル比のNaS:NaHSとなるように組み込まれ、7.5%の質量損失を有し、3.4%のLiOClを含有する。
【0200】
実施例5
16gのエタノールを、小型磁気撹拌棒を含む20mLのバイアルに加えた。
0.8717gの無水LiClをエタノールに加え、溶液を撹拌し、78℃に加熱した。15分後、水和物の形態で24質量%の水を含有する0.313gのNaSHと300ppm未満の水を含有する0.666gのNaSとの混合物を、高温エタノール-LiCl溶液に添加し、沈殿物がほぼ直ちに形成された。次いで、混合物を78℃の一定温度に保ちながら、一晩(16~18時間)撹拌した。16~18時間経過後、混合物を遠心管に注ぎ、-25℃のフリーザーに約1時間入れて、より多くの沈殿を促進した。約1時間後、混合物を4000rpmで10~15分間遠心分離し、次いで-25℃のフリーザーにさらに30分間戻した。30分後、混合物をさらに5分間遠心分離し、次いで-25℃のフリーザーに少なくとも30分間戻した。30分後、この混合物を蒸発フラスコに注いだ。次いで、濾過された溶液を、真空条件下で約1時間、約250℃の温度に加熱した。次いで、乾燥した固体を約450℃の温度に約15分間加熱した。
【0201】
実施例5で製造した材料は、94.4%のLiS、3.9%のNaCl、および1.7%のNaであった。材料のx線回折図を図3に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例5によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、NaCl(31.7°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)の証拠を示す。
【0202】
驚くべきことに、24質量%の水分を含有するNaHS・HO材料を使用して、94.4%純度のLiS材料が生成された。さらに、NaClおよびNaSOは、アルコールにあまり溶解しない。したがって、これらの不純物は99%以上の純度を有するLiS化合物をもたらすために、改善された濾過技術を使用して除去され得ると考えられる。
【0203】
実施例6
【0204】
実施例6は、前駆体の量を、24質量%の水を含有する15.024gのNaHS、300ppmの水を含有する31.968gのNaS、および52gの無水LiClに増加させたことを除いて、実施例5と同じ方法で実施した。エタノールの使用量を、1000mlに増やした。
【0205】
実施例6で製造された材料は、77%のLiS、21.1%のLiCl、および1.9%のNaを含有する複合LiS-LiCl材料であった。材料のx線回折図を図3に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例6によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)の証拠を示す。
【0206】
重要なことに、複合LiS-LiCl材料は、LiOClの形成なしに形成され、これはNaSのみが使用される場合には不可能である。
【0207】
実施例7
【0208】
実施例7は、無水LiClを1.2gの量で使用したことを除いて、実施例5と同じ方法で実施した。実施例7で製造された材料は、66%のLiS、33%のLiCl、および1%のNaを含有する複合LiS-LiCl材料であった。材料のx線回折図を図3に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例7によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)の証拠を示す。
【0209】
重要なことに、複合LiS-LiCl材料は、LiOClの形成なしに形成され、これはNaSのみが使用される場合には不可能である。比較のために、LiOClが形成された以下の実施例8を参照されたい。この実施例はまた、反応に使用される各前駆体の量を調整することによって、LiClに対するLiSの比を調整できることを実証する。
【0210】
実施例8
【0211】
実施例8は約50質量%の水を含む1.5gのNaSH・3HOと、24質量%の水を含む0.4950gのNaSH・HOを使用したこと以外は実施例5と同様に実施した。さらに、使用したLiClの量を1.0896gに増加させた。反応に導入された水の総量は1.005gであり、NaSHの全水に対する重量比は0.49:1であった。NaSHとLiClの重量比は0.45:1であった。実施例8で製造された材料は、47.5%のLiS、34.2%のLiCl、および16.1%のLiOCl、および2.2%の他成分であった。材料のx線回折図を図4に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例8によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびLiOCl(22.8°、32.5°、40°)の証拠を示す。
【0212】
実施例9
【0213】
実施例9は、約50質量%の水を含む2.0gのNaSH・3HOと、24質量%の水を含む0.660gのNaSH・HOとを使用したこと以外は実施例8と同様に実施した。反応に導入された水の総量は、1.345gであり、NaSHの全水に対する重量比は0.49:1であった。NaSHとLiClの重量比は0.6:1であった。実施例9で製造された材料は、78.4%のLiS、9.4%のLiO、9.9%のLiOH、および2.3%の他成分であった。材料のx線回折図を図4に示す。x線回折測定は、Cu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例9によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiOH(20.5°、32.6°、35.7°)、NaCl(31.7°)、およびLiO(33.7°)の証拠を示す。
【0214】
実施例10
【0215】
実施例10は、50質量%程度の水を含むNaSH・3HO4.3664gと、24質量%の水を含むNaSH・HO0.1.4409gを用いた以外は実施例8と同様に行った。反応に導入された水の総量は2.9255gであり、NaSHの全水に対する重量比は0.49:1であった。NaSHとLiClの重量比は1:0.76であった。実施例10で製造された材料は、82.1%NaLiS、8.8%Na、および3.6%NaS、1.8%LiCl、1.5%NaHS、1.2%LiS、および1%Naであった。材料のx線回折図を図4および図5に示す。x線回折測定をCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例10によって製造された材料のXRDスペクトルは、Na(2θ=23.3°、28.8°、31.9°、40°、40.9°)、NaS(23.6°、39°、46.1°)、NaLiS(26°、27.4°、31.4°、35.5°)、およびNaSH(30.3°、40.3°)の証拠を示す。
【0216】
実施例11
【0217】
実施例11は、54質量%の水を含む4.3664gのNaSH・3HOを、24質量%の水を含む0.313gのNaSH・HO、0.9517gのNa2S・xHO、及び300ppmの水を含む0.2746gのNaSに置き換えたこと以外は実施例10と同様に実施した。反応に導入された水の総量は0.48gであり、NaSHの全水に対する重量比は0.49:1であった。実施例11で製造した材料は、57%LiS、17.9%LiO、19.5%LiOH、3.4%NaLiS、1.1%NaCl、および1.1%その他であった。材料のx線回折図を図5に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例11によって製造された材料のXRDスペクトルは、NaLiS(2θ=26°、27.4°、31.4°、35.5°)、LiOH(20.5°、32.6°、35.7°)、およびLiO(33.7°)の証拠を示す。
【0218】
実施例12
【0219】
実施例12は、2つの変化を行ったことを除いて、実施例10と同じ方法で行った。まず、54質量%の水を含む4.3664gのNaSH・3HOを、24質量%の水を含む0.313gのNaSH・H2Oおよび300ppmの水を含む0.666gのNaSに置き換えた。次に、合成前に0.56mlのDI水をエタノールに加えた。反応に導入された水の総量は0.48gであり、NaSHの全水に対する重量比は0.49:1であった。実施例12で製造した材料は、79.6%LiS、18.6%LiOCl、1.4%NaCl、および0.5%LiClであった。材料のx線回折図を図5に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例12によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、LiOCl(22.8°、32.5°、40°)、およびNaCl(31.7°)の証拠を示す。
【0220】
実施例13
【0221】
24質量%の水を含む1.8959gのNaSH・HOを0.27mlの脱イオン水と混合し、水和水を1~2(NaSH・2HO)に調整したこと以外は、実施例10と同様にして実施例13を実施した。次いで、この新たに水和されたNaSHを使用して、54質量%の水を含有する4.3664gのNaSHを置き換えた。反応に導入された水の総量は0.725gであり、NaSHの総水に対する重量比は1:0.5であった。実施例13で製造した材料は、68%LiS、15.4%Na、13.2%NaLiS、および3.3%β-NaSであった。材料のx線回折図を図5に示す。x線回折測定はCu-Kα(1,2)=1.54064Åで行った。実施例13によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、NaLiS(26°、27.4°、31.4°、35.5°)、およびβ-NaS(24.6°、28.9°、35.1°、40.4°)の証拠を示す。
【0222】
水が硫化物水和物の形態で導入された実施例11および水がエタノール-水溶媒ブレンドの形態で導入されて水性条件をシミュレートした実施例12では、いずれも、リチウム-酸素含有種(LiO、LiOH、LiOCl)の形成をもたらしたが、これらとは対照的に、実施例13では水がNaSH材料に直接添加された。これにより、実質的に酸化物を含まない材料が得られた。したがって、水を水硫化物水和物の形成で系に導入して、酸化物を実質的に含まない材料を生成することができると結論付けられた。
【0223】
実施例14
【0224】
1.1469gの工業グレードLiCl(95%LiCl、2.5%MgCl、2.5%CaCl)を使用したことを除いては、実施例5と同じ方法で実施例14を実施した。工業グレードLiClは、3.8gのLiCl、0.1gのMgCl、および0.1gのCaCl2の複合物を手動で混合することによって製造され、95重量%のLiCl、2.5重量%のMgCl、および2.5重量%のCaClである混合物が生成された。材料を、乳鉢および乳棒を用いて手動で混合した。実施例14から得られた材料は、63.3%LiS、34.8%LiCl、および1.8%Naであった。実施例14で製造した材料及び工業グレードLiClのx線回折図を図6に示す。Cu-Kα(1,2)=1.54064Åでx線回折測定を行った。実施例14によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびNa(21.5°、24.2°、27.5°、29°、41.8°)の証拠を示す。工業グレードLiCl材料のXRDスペクトルは、LiCl(2θ=30°、34.8°)、MgCl(29.3°、30.5°、38.7°)、およびCaCl(19.8°、29.3°、38.6°、40.2°)の証拠を示す。
【0225】
工業グレードのLiCl材料は、業界で工業グレード(テクニカルグレード)のLiClと呼ばれるもので通常見られる夾雑物を含有する。これらのMgClおよびCaCl不純物は除去することが困難であり、除去するために特殊なイオン交換システムを必要とし、これは、水およびアルコールなどの極性溶媒中での不純物の高い溶解度の産物である。本開示の方法は、高度に可溶性のMgClおよびCaClを、アルコールに実質的に不溶性であるそれらの対応する硫化物、MgSおよびCaSに変換する。エタノールへの溶解度が低いため、これらの不純物は濾過によって除去することができる。したがって、比較的低い純度のLiClを用いて、このようなMgおよびCa含有不純物を含まないLiS材料またはLiS-LiCl複合物を生成することができる。
【0226】
実施例15
【0227】
実施例15は、前駆体の質量を、24質量%の水を含有する0.1569gのNaHS、300ppmの水を含有する0.333gのNaS、および無水0.5448gのLiClに変更したこと以外は実施例5と同様に実施した。さらに、0.2gの工業グレードLiS(91%LiS、4.5%LiSO、および4.5%LiCO)を、NaHSおよびNa2Sと共にエタノールに添加した。99%LiSを、LiSOおよびLiCOと、91%重量LiS、4.5%重量LiSOおよび4.5%重量LiCOの比率で混合することによって、工業グレードLiSを製造した。材料を、乳鉢および乳棒を用いて手動で混合した。
【0228】
実施例15および工業グレードLiSで製造した材料のx線回折図を図7に示す。Cu-Kα(1,2)=1.54064Åでx線回折測定を行った。実施例15によって製造された材料のXRDスペクトルは、LiS(2θ=27°、31.3°)、LiCl(30°、34.8°)、およびLiOCl(22.8°、32.5°、40°)の証拠を示す。技術グレードLiS材料のXRDスペクトルは、Li2S(2θ=27°、31.3°)、LiCO(21.3°、23.5°、29.5°、30.6°、31.8°、34.1°、36.1°、37°、39.5°、39.9°)、およびLiSO(22.4°、26°、37°)の証拠を示す。実施例15の最終生成物中にLiCOおよびLiSOが存在しないことは、リチウム-酸素種などの不純物を有する工業グレードのLiSを反応に導入し、最終生成物から除去することができることを実証している。
【0229】
実施例16
【0230】
実施例6で作製したLiS-LiCl複合物を11.1051g、Pを8.2902g(Sigma-Aldrich社)、およびLiClを0.7157g(Sigma-Aldrich社)で含む前駆体を、ジルコニアミリング媒体および相溶性溶媒(例えばキシレンまたはヘプタン)を含むジルコニアミリングジャー250mlに加えた。混合物をRetschPM100プラネタリーミル中で500RPMで12時間ミリングする。材料を回収し、不活性(アルゴンまたは窒素)環境中、140℃で2時間乾燥する。次いで、得られた固体電解質粉末(LiPSCl)を約400℃の温度に約30分間加熱した。
【0231】
実施例16で製造した材料のx線回折図を図8に示す。Cu-Kα(1,2)=1.54064Åでx線回折測定を行った。
【0232】
この材料の室温(25℃)イオン伝導度は、2.2mSであった。
【0233】
これらの結果は、高いイオン伝導度(すなわち、2mSを超える)を有する硫化物固体電解質が、本明細書に記載の方法によって生成されるLiS-LiCl複合物を使用して合成され得ることを実証する。
【0234】
実施例17
【0235】
熱重量分析(TGA)を行って、実施例5で合成した材料と比較例1で合成した材料とを比較した。実施例5と表示されたTGAデータは、実施例5からの材料の分割部分を採取し、それを100℃以下に1時間加熱することによって得られた。次いで、材料をTGAに入れ、5℃/分のランプ速度で450℃に加熱した。比較例1-100℃と表示されたTGAデータは、比較例1からの材料の分割部分を採取し、それを100℃以下に1時間加熱することによって得られた。次いで、材料をTGAに入れ、5℃/分のランプ速度で450℃に加熱した。比較例1-250℃と表示されたTGAデータは、比較例1からの材料の分割部分を採取し、それを250℃以下に1時間加熱することによって得られれた。次いで、材料をTGAに入れ、5℃/分のランプ速度で450℃に加熱した。データを図9に示す。比較例1-100℃と表示された材料は43.9%の質量損失を有し、比較例1-250℃と表示された材料は19.66%の質量損失を有し、実施例5と表示された材料は8.0%の質量損失を有する。
【0236】
実施例5を比較例1-100℃と比較することにより、合成過程においてNaSH・xHO等の水和物水硫化物系原料を用いる場合、NaS等の硫化金属のみを用いる合成と比較して、より低温でエタノール等の溶媒を除去できることが実証できる。具体的には、実施例5及び比較例1-100℃はいずれも同じ条件(100℃)で加熱されたが、実施例5は8%の質量損失しか有さず、比較例1-100℃は43.9%の質量損失を有した。これは、100℃に加熱した後の、LiS材料に結合した溶媒の量における82%の減少に相当する。より低い温度での溶媒の除去は、酸素または炭素含有種を形成する可能性を低下させる。
【0237】
図10は、実施例5および比較例1で製造された材料のFTIRスペクトルを示す。上のスペクトル(赤色)は、比較例1の分割部分を採取し100℃以下に加熱することによって得た。上から2番目のスペクトル(緑色)は、実施例5の分割部分を採取し100℃以下に加熱することによって得た。上から3番目のスペクトル(紫)は、実施例5の分割部分を採取し250℃以下に加熱することによって得た。上から3番目のスペクトル(紫)は、実施例5の分割部分を採取し200℃以下に加熱することによって得た。
【0238】
上述の特徴、ならびに以下に特許請求される特徴は、本明細書の技術的範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができる。先の実施例は、いくつかの可能な非限定的な組み合わせを示す。したがって、上述の説明に含まれるまたは付随の図面に示される事項は、例示として解釈され、制限するものではないものと解釈されることに留意されたい。したがって、本明細書に明示的に記載されていない開示の前述の実施形態の多くの組み合わせ、置換、変形、および変更は、それにもかかわらず、そのような開示の技術的範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】