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特表2024-545000車両試験スタンド上に車両を位置決めするための方法
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  • 特表-車両試験スタンド上に車両を位置決めするための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両試験スタンド上に車両を位置決めするための方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20241128BHJP
   B62D 65/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01M17/007 C
B62D65/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529169
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 DE2022100828
(87)【国際公開番号】W WO2023083414
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102021129687.0
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509003047
【氏名又は名称】デュール アセンブリ プロダクツ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カート,イスマイル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルシャイト,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】モルロ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】デゲス,パトリック
【テーマコード(参考)】
3D114
【Fターム(参考)】
3D114AA03
3D114AA15
3D114BA01
3D114CA11
3D114DA01
3D114FA09
3D114GA01
3D114HA01
(57)【要約】
本発明は、車両試験スタンド(1)上に車両を位置決めするための方法に関する。車両試験スタンド(1)は、各々がバーテックスロール、ダブルロールまたは、フローティングベルトを有する車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)を有する。車両の少なくとも1つの車軸の各車輪または各車輪組合せには、2つの車両側面の各々において、車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が割り当てられる。試験を実行するために、車両の車輪は、それぞれの車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)上に立っている。本発明によれば、車両には、少なくとも製造プロセスのときに車両の輸送手段が割り当てられる。輸送手段に割り当てられた車両(501)の車輪を車両試験スタンド(1)の車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)上に位置決めするために、輸送手段に割り当てられた車両(501)および車両試験スタンド(1)の車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)は、垂直方向の方向成分を有する互いに向かう運動で移動される(2、3、4、5;502)。車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)に対する車両(501)の車輪の取り付けは、車両の車輪と車両試験スタンド(1)の車輪レセプタクル(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)との間の規定された接触圧力で行われ、この接触圧力は、それぞれの車輪を介して運ばれる、製造プロセスにおける車両の重量力に対応するものよりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両試験スタンド(1)上に車両を位置決めするための方法であって、
前記車両試験スタンド(10)が、車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)を有し、
車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が、2つの車両側面の各々において前記車両の少なくとも1つの車軸の各車輪または車輪組合せに関連付けられ、
前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が各々、トップローラ、デュアルローラ、またはフローティングバンドを有し、
試験を実行するための前記車両の前記車輪が、それぞれの前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)上に立っており、
製造プロセスにおける前記車両が、前記車両の輸送手段と少なくとも一時的に関連付けられ、
前記輸送手段に関連付けられた前記車両のそれぞれの前記車輪を前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)上に位置決めするために、前記輸送手段に関連付けられた前記車両および前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)は、互いに向かう運動で移動され(2、3、4、5;502)、この運動は垂直方向の方向成分を有し、
前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)に対する前記車両(501)の前記車輪の支持が、前記車両の前記車輪と前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)との間の規定された押圧力で実行され、前記押圧力は、それぞれの前記車輪を介して排出される前記製造プロセスにおける前記車両の重量に対応するものよりも大きい
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記車両(501)の前記車輪の支持が、フェンダ縁部と車輪中心との間に規定された間隔をおいて前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)に対して実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両試験スタンドは、車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が前記2つの車両側面の各々において前記車両の各車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられるように構築され、
試験されることが意図されている前記車両(501)のホイールベースに適合するように、前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)の位置を水平面内で互いに対して調整することができる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両試験スタンドは、車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が前記2つの車両側面の各々において前記車両の正確に1つの車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられるように構築され、
前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)が前記車両(501)の異なる車軸と順々に関連付けられるように、試験されることが意図されている前記車両(501)の長手方向において、前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)の位置を前記車両(501)に対して調整することができる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
試験されることが意図されている前記車両(9501)の前記車軸のトラック幅に適合するように、前記車両試験スタンド(1)の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)の位置を前記水平面内で互いに対して調整することができる
ことを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記車両が、垂直方向の位置変化に対して確実に保持され、
前記垂直方向における個々の車両車輪および関連する前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)の互いに対する移動成分が、前記車輪受け部材の持ち上げ運動に関与し、
個々の前記車輪受け部材(201、202、203、204;301、302、303、304;401、402、403、404)の持ち上げ力が個別に調整される、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の車両試験スタンド上に車両を位置決めするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、輸送手段を有する製造プロセスにおいて部分的に取り付けられた車両を個々の製造ステーションに移動させることを開示している。この事例では、部分的に取り付けられた車両は、部分的に取り付けられた車両が車両のシャーシの対応する保持点で上昇させられることによって、輸送手段によって上昇させられる。製造プロセスでは、車両試験スタンドを用いて車両の試験を実行する準備もある。車両試験スタンドは、車両の各車輪に対して車輪受け部材が設けられるように、複数の車輪受け部材を有する。車両の車輪および車両試験スタンドの車輪受け部材は、車輪受け部材が車両の各車輪の下方に位置するように互いに対して配向される。この目的のために、車両は、輸送手段によって対応する距離だけ上昇させられる。車両試験スタンドの車輪受け部材は、適用可能な場合、互いに対する間隔に関して、車両のホイールベースおよびトラック幅に対してさらに調整される。次いで、車両は、車両が下げられると、車両の各車輪が車輪受け部材の1つに載るように、輸送手段によって移動される。車両は、車輪および車輪受け部材を介して車両が完全にその重量で支持される程度まで下げられる。次いで、提供される走行試験が実行される。走行試験が完了した後、車両は、車両が上昇させられたときに輸送手段の保持要素がシャーシの提供された保持点に再び係合するように、車両試験スタンド内に再び位置決めされる。走行試験を実行する場合、車輪受け部材上の車両の位置が横方向に変化する場合がある。輸送手段によって車両が上昇させられる前に、車両のこの横方向のオフセットを再び反転させなければならない。
【0003】
車両製造中にライン端部に車両試験スタンドを設けることが知られている。
ライン端部のこの車両試験スタンドは、一般に、車輪受け部材を有し、車輪受け部材は、2つの車両側面の各々において車両の各車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられる。
【0004】
車輪受け部材が2つの車両側面の各々において車両の正確に1つの車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられる車両試験スタンドも知られている。これらは、例えば、車両の車軸の車輪の制動力が、車両試験スタンドの車輪受け部材上の異なる車軸の車輪で順々に立っている車両によって検証されるブレーキ/ローラ試験スタンドである。
【0005】
「車輪組合せ」は、いずれの場合も車両の両側面の1つまたは複数の車軸にいわゆる「ツインホイール」を有する車両に関する。これらのツインホイールは、車軸に著しい軸方向負荷が発生したときに使用される。次いで、この車軸に対する重量負荷は、2つの車輪にわたって対応する車軸の各側に分散される。試験のために、2つのツインホイールは1つの車輪として均一に取り扱われ得る。したがって、これらのツインホイールも、一般的な車輪受け部材を有する。
【0006】
車輪受け部材は、いずれの場合も、トップローラ、デュアルローラ、またはフローティングベルトを有する。
【0007】
トップローラでは、車輪は単一のローラ上に立っている。この位置は限られた様式でしか安定しないので、車両は所定の位置にさらに固定されなければならない。これは、例えば、タイヤ上の車輪の前後で車輪の進行方向に支え、それぞれの車両車輪が提供されるトップローラ上に載る位置で車輪(ひいては車両)を保持する、いわゆる支持ローラによって実行されてもよい。少なくとも一方向への車両の移動を防止するために、車両または車両の構成要素を把持して保持するか、または車両の構成要素(例えば、バンパ)が当接する他の保持要素が設けられてもよい。
【0008】
デュアルローラを有する車輪受け部材の実施形態も知られている。そして、それぞれの車両車輪は、車輪受け部材上に立つときに両方のローラに接触する。車輪受け部材の2つのローラの間に車両車輪が落下する。これにより、車両車輪の安定位置が規定される。ローラ同士が離れているほど、車両のそれぞれの車輪が2つのローラの間により深く落下する。下降の結果、車両位置の安定性が向上する。この事例では、車両が限られた地上高しか有していないことを考慮すべきである。車両は、アンダーボディが試験スタンドのローラまたは他の構成要素上に立たない限り必ず落下することになる。デュアルローラの形態である車輪受け部材を有する試験スタンドから車両が追い出される前に、これらのデュアルローラを一緒に電動式に互いに対して最小間隔まで移動させることが知られている。これにより、車両が上昇させられ、そのため車輪受け部材からの追い出しが容易になる。あるいは、持ち上げ板を用いて車輪受け部材を構成することも知られている。この事例では、車輪受け部材の2つのローラの間に、それぞれの車両車輪が上昇させられる際に用いられる持ち上げ板が上方に移動される。これにより、試験スタンドからの追い出しも容易になる。あるいは、車輪受け部材は、車両の複数の車軸の車輪のために、長手車両方向の車輪受け部材間で車輪スタンドに対して移動することもできる。これにより、少なくとも1つの車軸の車輪をカバレッジ内に移動させることができる。車両の1つの車軸の車輪または車輪組合せのみのための車輪受け部材を有する試験スタンドでは、対策は必要とされない。したがって、この事例では、車両は試験スタンドから走り去ることもできる。
【0009】
車両が車両試験スタンドに乗り入れるか、または特許文献1に記載されている車両の下降の後、試験を実行するために、試験対象の車両の車軸の車輪がそれぞれの車輪受け部材上に立つ。
【0010】
これらの試験は、異なる車両システムの機能に関連し得る。機能試験のために、車両車輪は、車両自体によって、または車輪受け部材によって駆動または制動される。機能性を評価するために、測定値が測定システムによって検出される。これらの測定値は、例えば、発生する速度または力またはトルクであり得る。例えば、ボードまたはスクリーン上に、車両支援のための、または自律運転の分野における車両側カメラまたは車両側システムを較正または機能的に検証するためのオブジェクトまたはシーケンスを表示することもできる。このようなセンサ信号を評価する車両側レーダまたはライダシステムおよび車両側システムの較正または機能検証のために、対応するリフレクタまたはシミュレータを車両の周囲に配置することもできる。車両試験スタンドは、車両試験スタンドを用いて、車両の走行(適用可能な場合、操舵運動も含む)をシミュレートできるように構成されてもよい。
【0011】
車両は、製造プロセスにおいて、少なくとも一時的に輸送手段と関連付けられる本発明の主題におけるものである。
【0012】
これらの輸送手段は、車両が製造中に(部分的に取り付けられた状態または完全に取り付けられた状態で)1つのステーションから次のステーションに輸送されることが意図されている場合に使用される。さらに、これらの輸送手段は、特に車両の車輪がまだ取り付けられておらず、そのため車両がまだ地面に立つことができない場合に、車両を保持するために使用される。
【0013】
これらの輸送手段は、車両がハンガーに吊り下げられてその上で支持されるキャリア構造であってもよい。このような輸送手段は、例えば、特許文献2に記載されている。これは、「オーバーヘッドトラックの車両受け部材」に関する。用語に関して、本保護権では、オーバーヘッドトラックを用いる車両輸送の場合、「キャリア構造」は「車両受け部材」に対応する。キャリア構造の移動によって、車両も移動する。
【0014】
車両は、製造プロセス全体の間、必ずしも輸送手段に関連付けられるとは限らない。輸送手段は、製造プロセス中に変更することができる。さらに、車輪が取り付けられ、車両に必要なユニットがさらに設けられると、製造プロセスにおいて輸送手段なしで車両を移動させることができる。
【0015】
これらの輸送手段はまた、完全に取り付けられた、または部分的に取り付けられた車両が配置される自動運転キャリア(特許文献1)であってもよい。自動運転キャリアの移動の結果、製造プロセスにおいて車両を移動させることができる。これらの自動運転キャリアは、「AGV」(自動誘導車両(Automated Guided Vehicle))または「FTS」(「Fuhrerloss輸送システム」または運転者なし輸送システム)とも呼ばれる。
車両と試験スタンドの車輪受け部材とは、本発明では、車両試験スタンドの車輪受け部材上に車両の車輪を位置決めするために、互いに向かって垂直方向の動きで移動される。
【0016】
この移動の結果、車両の車輪は、それぞれの車輪受け部材に非ポジティブロック方式で接続される。非ポジティブロック接続は、この事例では、駆動力または制動力が車両車輪とそれぞれの車輪受け部材との間で相互作用することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】独国特許出願公開第3641424号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10336399号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、製造プロセスをより柔軟に構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、車輪受け部材に対する車両の車輪の支持は、車両の車輪と車両試験スタンドの車輪受け部材との間の規定された押圧力で実行される。車両の車輪と車両試験スタンドの車輪受け部材との間のこの規定された押圧力は、それぞれの車輪を介して排出される製造プロセスにおける車両の重量に対応するものよりも大きい。
【0020】
これは、車両試験スタンド内に部分的にのみ取り付けられている車両であっても、完全に取り付けられた車両の、それぞれの車輪を介して排出されるように意図された重量に対応する個々の車輪に対する負荷をシミュレートすることができるという利点を有する。例えば、異なる負荷状態における走行挙動をシミュレートしようとするときに、車両の重量よりも大きい他の重量もシミュレートすることができる。別の利点は、車両の車輪が車輪受け部材から浮き上がるようにする動的走行試験中の反力なしに、車輪受け部材上にそれぞれの車輪で車両が安全に支持されることを含み得る。ブレーキ試験スタンドでは、押圧力は、タイヤ滑りを生じることなく特定の制動力を可能にする摩擦力をもたらすことができる。
【0021】
押圧力は、車両に係合し、この事例では車両を車両試験スタンド上に引っ張る少なくとも1つの車両押さえ部材が車両試験スタンドに取り付けられることによって生成することができる。この車両押さえ部材は、例えば、アンダーボディ上、シル上、一方または両方のバンパ上、車両の前端部または後端部の領域内などの1つまたは複数の適切な位置で車両に係合することができる。
【0022】
この押圧力は、車両が車輪受け部材に配置されるだけでなく、加えて下方に押圧されることによっても発生させることができる。これは、例えば、車両がハンガー内のキャリア構造によって保持および輸送されるときに、車両のキャリア構造によって実行されてもよい。この事例では、キャリア構造は、規定された力で下方に押圧され、したがって、キャリア構造内に固定された車両も押圧される。一般に、これは、下げられている車両を保持する輸送手段の部分によって実行することができる。車両を輸送手段内に固定することができ、輸送手段を規定された力で下方に押圧するかまたは引っ張ることができる。
【0023】
これにより、車輪受け部材上に、(適用可能な場合、この時には部分的にのみ取り付けられた)車両の重量に対応するものよりも大きい車両の接触力を生じさせることが可能である。この事例で説明した例示的な実施形態では、この目的のために、車両の保持部材を自動運転キャリア上で下げることができ、またはハンガー内の車両のキャリア構造を下げることができる。
【0024】
車両と車輪受け部材との相対移動中に車両のみが移動する場合、これは、較正された測定デバイスを有する車両試験スタンドが変更されないという利点を有する。
これらの実施形態は、車両の車輪が車輪受け部材上に立つように車両が下げられる移動シーケンスに関する。
【0025】
車両の個々の車輪の重量負荷は、車両が少なくとも垂直方向の動きに対して所定の位置に固定され、車両試験スタンドが全体として持ち上げデバイスを備えているか、または車輪受け部材の各々が個別に持ち上げデバイスを備えている場合にもシミュレートすることができる。車両の固定は、車両が輸送手段に確実に接続され、輸送手段自体が少なくとも垂直方向の動きに対して固定されることによって実行することができる。この実施形態では、車両の車輪を車輪受け部材上に位置決めするために、車両試験スタンド全体または車輪受け部材が個別に上昇させられる。垂直方向の動きに対抗する車両の固定は、この事例で説明する文脈において、規定された押圧力を調整することができる可能性にとって重要である。個々の車輪受け部材を(適用可能な場合、請求項6に関連して説明されるように、異なる持ち上げ力によっても)個々に上昇させた結果として、個々の車両車輪の個々の重量負荷をシミュレートすることができる。この実施形態の代替として、例えば、ある車軸の車輪に対して、車両試験スタンドの車輪受け部材に共通の持ち上げユニットを設けることもできる。車両試験スタンドのすべての車輪受け部材に共通の持ち上げユニットを設けることも可能である。
【0026】
したがって、車両に向かって移動される試験スタンドの車輪受け部材によって、車両と車両試験スタンドの車輪受け部材との互いに向かう垂直方向の相対移動を行うことができる。この持ち上げ運動は、電動式、空気圧式および/または油圧式に駆動され得る。したがって、有利には、試験スタンドは完全に持ち上げられず、車輪受け部材のみが持ち上げられる。
【0027】
車両試験スタンド内で試験を実行するために、車両は、車両試験スタンドに対して水平および垂直に固定することができる。これは、車輪受け部材、輸送手段、または車両を適切な場所に固定する固定ユニットを介して実行することができる。そのような場所は、例えば、アンダーボディ、シル、バンパ、または車両の前端もしくは後端上の構成要素である。
【0028】
車両試験スタンドの車輪受け部材と車両の対応する車輪との非ポジティブロック相互作用のための接続は、以下の方法ステップを使用して実行することができる。
準備において、車両試験スタンドおよび車両は、車輪受け部材と車両との垂直方向のその後の相対移動中に、試験されることが意図された車両の車軸の車輪が、それぞれの車輪受け部材との非ポジティブロック相互作用で接続されるように、水平面内で互いに対して配向することができる。
【0029】
あるいは、車輪受け部材および車両の関連する車輪の垂直方向の相対移動と同期して、水平面内で車両の関連する車輪に対する車両試験スタンドの車輪受け部材の位置決めを実行することも可能である。すなわち、ここで水平移動と垂直移動とは同時に行われる。車両は、輸送手段によって搬送または保持される。車両試験スタンドの車輪受け部材と車両の関連する車輪との相対移動は、垂直方向の成分を有する。
この目的のために、車両試験スタンドは、車輪受け部材が車両のそれぞれの車輪の下方に位置するように、水平面内の車両試験スタンドが車両の下方に位置決めされるように水平面内で変位可能であってもよい。
【0030】
車両試験スタンドのこの移動に代えて、またはこれに加えて、車両はまた、車両の車輪が車両試験スタンドのそれぞれの車輪受け部材の上方の水平面内に位置するように輸送手段によって移動することができる。
【0031】
これは、車両試験スタンド自体が移動しない場合に有利である。すなわち、車両は、車両試験スタンドに向かって水平面内で配向される。車両試験スタンドの測定デバイス、表示要素(スクリーン、センサ)は、所定の位置に固定されたままであってもよく、また移動される必要はなく、適用可能な場合、車両試験スタンドの座標系に対して新たに較正される必要もない。構造上、車両を水平面内で移動させることも問題とならない。この目的のために、既知の生産ラインの車両は、ハンガーのキャリア構造上または自動運転キャリア上に既に配置されている。
【0032】
請求項1に記載の実施形態では、押圧力が制御されるように、車輪受け部材に対して車両を押圧することができる。
請求項2に記載の方法の実施形態では、車両の車輪の支持は、フェンダ縁部と車輪中心との間に規定された間隔をおいて車輪受け部材に対して実行される。
したがって、(適用可能な場合部分的にのみ取り付けられた)車両は、規定された力で下方に押圧されるかまたは引っ張られる。この規定された力は、規定された間隔がフェンダ縁部と車輪中心との間で調整されるように、車両サスペンションの偏向経路に対応する。
【0033】
したがって、請求項2に記載の方法では、車両の車輪は、規定された押圧力で車輪受け部材上に立つ。フェンダ縁部と車輪中心との間の間隔(車両の「高さレベル」とも呼ばれる)は、車両の車輪とそれぞれの車輪受け部材との間の押圧力の制御のための比較的測定しやすい誘導変数を表す。
【0034】
フェンダ縁部と車輪中心との間の規定された間隔は、例えば、車両構造によって予め決定された構造位置「KO」であってもよい。
車両試験スタンドのそれぞれの車輪受け部材との車両車輪の非ポジティブロックによる相互作用的な接続は、停止した輸送手段と、移動する輸送手段および移動する車両試験スタンドとの両方で実行することができる。この事例での輸送手段の移動は、輸送手段が車両(およびその後に移動する車両試験スタンド)と共に水平方向に前方に移動されることを意味する。
【0035】
請求項3に記載の構成では、車両試験スタンドは、車輪受け部材が、2つの車両側面の各々において車両の各車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられるように構築されている。さらに、車両試験スタンドの車輪受け部材の位置は、試験されることが意図された車両のホイールベースに適合するように、水平面内で互いに対して調整することができる。
【0036】
これは、異なる車種が生産ラインで生産される場合に有利であることが分かる。ある車種の車両は、同じホイールベースを有する。ホイールベースは、異なる車種間で異なっていてもよい。ホイールベースは、車両の長手方向における車両の車軸間の間隔に関する。
【0037】
請求項4は、車輪受け部材が2つの車両側面の各々において車両の正確に1つの車軸の各車輪または各車輪組合せに関連付けられるように車両試験スタンドが構築される方法の実施形態に関する。さらに、この事例では、車両試験スタンドの車輪受け部材の位置は、車輪受け部材が車両の異なる車軸に順々に関連付けられるように、試験されることが意図された車両の長手方向において車両に対して調整することができる。
【0038】
単一軸試験スタンドとしての車両試験スタンドの構成は、試験スタンドが全体でより少ない構成要素を有するという利点を有する。それにもかかわらず、異なる車軸の車輪が車輪受け部材上に順々に位置決めされるように、長手車両方向に車輪受け部材を順々に対応して位置決めした結果として、車両のすべての車輪を試験に供することができる。
試験時間期間全体は、車両のすべての車輪が同時に車両試験スタンドの車輪受け部材上に立つ試験スタンドに対して延長されるが、本発明に関連して、サイクル時間のこの延長は、輸送手段に関連付けられる車両に対して製造プロセス中に他の動作が並行して実行される間に試験を実行することが可能であるため、従属的である。
【0039】
請求項5に記載の実施形態では、試験されることが意図されている車両の車軸のトラック幅に適合するように、車両試験スタンドの車輪受け部材の位置を水平面内で互いに対して調整することができる。
【0040】
異なる車種は、異なるトラック幅を有し得る。これは、車輪受け部材のローラが対応して長いことによって特定の範囲内で補償することができる。これにより、車種が異なるトラック幅を有する場合であっても、車両の車軸の車輪がそれぞれの車輪受け部材上に立つことが可能であり得る。有利には、車両試験スタンドはまた、試験されることが意図されている車両のトラック幅に適合するように、車輪受け部材の横方向間隔を互いに対して調整することができるように構成されてもよい。車両の車軸上のトラック幅はさらに異なっていてもよい。
【0041】
請求項6に記載の方法の実施形態では、車両は、垂直方向の位置変化に対して確実に保持される。垂直方向における個々の車両車輪および関連する車輪受け部材の互いに対する移動成分は、車輪受け部材の持ち上げ運動に関与する。個々の車輪受け部材の持ち上げ力は、個々に調整される。
個々の車輪受け部材の持ち上げ力の個々の調整は、すべての受け部材の持ち上げ力が同一の持ち上げ力で上昇させられることを含む。この事例では、車輪受け部材のグループ化はまた、車両の車軸の車輪受け部材または車両の右側もしくは左側の車輪受け部材が、いずれの場合も同一の持ち上げ力で上昇させられるという意味で実行されてもよい。これのいくつかの例を以下に説明する。
【0042】
したがって、部分的に取り付けられた車両では、さらなる製造プロセスにおいて追加の付属品が車両上にまたは車両内に取り付けられるときに、個々の車軸または個々の車輪に対する重量分布をシミュレートすることができる。これにより、その重量および車両内の設置場所に応じて、車両の個々の車輪の重量負荷が異なるように変化し得る。
したがって、走行モードにおける車両の運転挙動は、動的走行中に発生するピッチ角および/またはローリング角(ロール角)に関してより完全な形で有利にシミュレートすることができる。
【0043】
2つの車軸を有する車両におけるピッチ運動をシミュレートするために、車両のある車軸の車輪の車輪受け部材の持ち上げ力は、車両の他の車軸の車輪の車輪受け部材の持ち上げ力とは異なって調整される。
車両の転がり運動のシミュレーションのために、車両側の車輪の車輪受け部材の持ち上げ力は、車両の他の車軸の車輪の車輪受け部材の持ち上げ力とは異なって調整される。
水平面内での車両の向きが一定のままであるように各車輪に対するサスペンション内の力が変化する適応サスペンションを車両が有する限り(車両のサスペンションの制御の誘導変数は、この事例では、0°のピッチ角および0°のローリング角(ロール角)である)、個々の車輪受け部材に対する持ち上げ力を変化させた結果として、力を車両のサスペンションに導入し、車両の(初期)ピッチ運動または転がり運動をシミュレートすることができる。正しい動作中、車両のサスペンションの制御変数の調整は、適応サスペンションの正しい機能によって、初期ピッチまたはローリング運動が既に認識され、制御変数の調整によって補償されるようなものでなくてはならない。車輪受け部材の持ち上げ力を変化させる場合、適応サスペンションの機能試験は、車両の向きが水平面内で不変のままであるように、導入される外乱変数が補償されることを含み得る。
【0044】
このような適応サスペンションでは、規制目的はまた、対応する凹凸またはくぼみの発生を伴う「でこぼこ道」において、水平面内での車両の向きを一定に保つだけでなく、各車輪が常に地面上に最適な接触力で押圧されるように個々の車輪に対する弾性力を調整することにも関与する。この規制目的への準拠は、個々の車輪受け部材の持ち上げ力が互いに対して順々に異なって調整されることによって検証することもできる。
本発明の例示的な実施形態が図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】車輪受け部材に持ち上げデバイスが設けられた車両試験スタンドの概略図を示す図である。
図2】トップローラの形態である車輪受け部材を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す図である。
図3】デュアルローラの形態である車輪受け部材を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す図である。
図4】後車軸の車輪用の2つの車輪受け部材がトップローラの形態であり、前車軸の車輪用の2つの車輪受け部材がデュアルローラの形態である車輪受け部材を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、車輪受け部材に持ち上げデバイス2、3、4、5が設けられた車両試験スタンド1の概略図を示す。これにより、水平方向における車両に対する車両試験スタンド1の向きに応じて、車輪受け部材を上方に配置された車両の方向に上昇させることが可能である。図1の図では、車輪受け部材自体は示されていない。車輪受け部材を有する車両試験スタンドは図2図4に示されている。
図1において、後車軸の車輪用の持ち上げデバイス2および3は、前車軸の車輪用の持ち上げデバイス4および5と同様に示されている。
【0047】
車両試験スタンドは、車両のホイールベースに適合するように、持ち上げデバイス2と4との間の間隔および持ち上げデバイス3と5との間の間隔を調整することができるように構築されてもよい。持ち上げデバイス2と4との間の、および持ち上げデバイス3と5との間の間隔は同期して調整される。
また、持ち上げデバイス2と3との間の間隔および持ち上げデバイス4と5との間の間隔を調整できるようにする準備もあり得る。これらの間隔は、有利には、互いに独立して調整することができる。したがって、車両試験スタンドは、前車軸および後車軸において異なるトラック幅を有する車両に対しても適合させることができる。
【0048】
図1は、車両試験スタンド上に、車両の押さえ部材として機能する別のクランプ要素6を示す。これにより、車両を車両試験スタンド上に押圧することができる。対応する利点は、特許請求の範囲に関する説明に関連して記載されている。
【0049】
図2は、トップローラ201、202、203、204の形態である車輪受け部材を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す。
車両の後車軸の車輪用のトップローラ201および202は、駆動モータ205および206に関連付けられている。
車両の前車軸の車輪用のトップローラ203および204は、駆動モータに関連付けられており、そのうちのトップローラ204の駆動モータ207のみに参照符号が付されている。
【0050】
駆動モータ207(および参照符号のないトップローラ203の駆動モータ)は、トップローラ203および204をその周方向に駆動するだけでなく、車両の前輪の操舵角を調整する役割も果たす。この目的のために、これらのトップローラは、垂直軸を中心に回転させることができる。
特にトップローラ203および204の操舵運動中にも、トップローラ上で車両を安定させるために、始動ローラ208および209が車両の前輪に設けられる。
【0051】
図3は、デュアルローラ301、302、303、304の形態である車輪受け部材を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す。個々のデュアルローラ301、302、303、304には、各デュアルローラの少なくとも1つのローラを駆動することができる駆動ユニット305、306、307、308が関連付けられている。さらに、少なくとも駆動ユニット307および208によって、関連する車輪受け部材303、304を、垂直に配向された軸を中心に回転させることができる。これにより、操舵運動を再びシミュレートすることができる。
車両の車輪はデュアルローラ301、302、303、304内において安定状態で立つため、この事例では、図2の図からの始動ローラ208、209のいずれも必要とされない。
【0052】
図4は、後車軸の車輪用の2つの車輪受け部材401、402がトップローラの形態であり、前車軸の車輪用の2つの車輪受け部材403、404がデュアルローラの形態である車輪受け部材401、402、403、403を有する、図1による車両試験スタンドの一実施形態を示す。
駆動要素405、406、407、408を再び見ることができ、それらを用いて、車輪受け部材401、402、403、403のローラを駆動することができる(デュアルローラの場合、それに応じて2つのローラのうちの少なくとも1つを駆動することができる)。
デュアルローラ403および404は、車両の操舵運動をシミュレートするために、再び垂直軸を中心に回転させることができる。
【0053】
図5は、本方法のフローチャートを示す。
ステップ501において、車両試験スタンドおよび車両は、水平面内で互いに対して配向される。この事例では、該当する場合、車両試験スタンドの車輪受け部材の間隔は、検査されることが意図されている車両のホイールベースおよび検査されることが意図されている車両のトラック幅にさらに調整される。
ステップ502において、車両の車輪と車輪受け部材とが非ポジティブロック相互作用するようにされる。これは、車輪受け部材および関連する車輪の垂直方向の移動によって実行される。存在し得るクランプ要素は閉じられている。
ステップ501および502は、必ずしも順々に実行される必要はない。水平移動と垂直移動とは同時に行うこともできる。
ステップ503において、機能試験、測定および調整動作が実行される。
ステップ503の動作が完了した後、ステップ504において、車両試験スタンドの車輪受け部材は、再び車両の車輪から切り離される。存在し得るクランプ要素は再び解放される。
ステップ503において、他の試験スタンドに関連して既に知られているすべての動作を再び実行することができる。
【0054】
これらの可能な検査には、車両の車輪上の速度センサの転置試験も含まれる。この事例では、車輪は、個々の車輪受け部材の従動ローラによって駆動されてもよい。これは、順々に実行することができる。したがって、「正しい」速度センサが信号を提供しているかどうかを判定することができる。この試験のサイクル時間を短縮するために、車輪を異なる速度で(例えば、5、10、15および20km/hで)駆動することができる。したがって、個々の速度センサが各々正しい測定値を提供するかどうかをチェックすることができる。
【0055】
可能な検査には、ブレーキ弁の転置試験も含まれる。この目的のために、車輪受け部材のローラは、車両の車輪を制動するために個々のローラに対する異なる駆動トルクが調整されるように駆動することができる。次いで、車両の車輪がそれぞれの場合に予想される速度で回転するかどうかを検証することができる。この事例では、ローラの異なる駆動トルクは、車両のヨーイングモーメントが最小になるように調整され分配され得る。クランプデバイスの結果として、車両を試験スタンドに固定することができる。特に、このような試験では、本発明の利点は、車両が制御されない形で車両試験スタンドから出ることがないように車両を確実にクランプすることとして明らかになる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】