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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】住宅食品廃棄物リサイクル
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20241128BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20241128BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20241128BHJP
【FI】
B09B3/40 ZAB
B09B3/35
B09B3/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529186
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-15
(86)【国際出願番号】 AU2022051371
(87)【国際公開番号】W WO2023087058
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】2021903671
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524182466
【氏名又は名称】ボイル・ノーマン
【氏名又は名称原語表記】BOYLE, Norman
【住所又は居所原語表記】PO Box 752, Merimbula, New South Wales 2548 Australia
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】ボイル・ノーマン
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA04
4D004AC05
4D004BA04
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA14
4D004CA22
4D004CB05
4D004CB13
4D004CB36
4D004CB43
4D004DA01
4D004DA11
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法である。本方法は、食品廃棄物を粉砕することと、粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、バイオセキュア生成物を貯蔵することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法であって、
前記食品廃棄物を粉砕することと、
前記粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、前記脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、
前記粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、
前記バイオセキュア生成物を貯蔵することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記粉砕された食品廃棄物が、約5mm未満の粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉砕された食品廃棄物を脱水することが、前記食品廃棄物を熱風流中で撹拌することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱風が、約350℃の温度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記液体副生成物が、脱水中に生成された蒸気を凝縮することによって形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒状生成物が、少なくとも30分間、約100℃の温度まで加熱される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
加熱する前に、前記粒状生成物からあらゆる非食品廃棄物を除去することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の変換から収集された前記バイオセキュア生成物が、第三者による収集のために貯蔵される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記食品廃棄物の重量及び体積、前記バイオセキュア生成物の重量及び体積、並びに前記液体副生成物の体積のうちの1つ以上を測定することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定されたデータが、後続の分析のためにコンピューティングデバイスに送信される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定されたデータが、埋立地に送られない食品廃棄物の量、温室効果ガス排出削減量、及び炭素市場で取引するための取引可能単位のうちの1つ以上を判定するために分析される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための装置であって、
前記装置に送給された食品廃棄物を粉砕するための粉砕機と、
前記粉砕された食品廃棄物を脱水するための脱水器であって、前記脱水機によって液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水機と、
前記粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱するための加熱器と、を備える、装置。
【請求項13】
粉砕前に食品廃棄物を受け入れ、一時的に貯蔵するように構成されたホッパを更に備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記液体生成物を貯蔵するための容器を更に備える、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
1つ以上の変換から収集されたバイオセキュア生成物を貯蔵するためのビンを更に備える、請求項12~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記食品廃棄物の重量及び体積、前記バイオセキュア生成物の重量及び体積、並びに前記液体副生成物の体積のうちの1つ以上を測定するための検出器を更に備える、請求項12~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記測定されたデータをコンピューティングデバイスに送信するためのデータ転送手段を更に備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
住宅食品廃棄物をリサイクルするためのシステムであって、前記システムが、
複数の家庭ユーザであって、前記複数の家庭ユーザの各々が、
前記食品廃棄物を粉砕することと、
前記粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、前記脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、
前記粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、
前記バイオセキュア生成物を貯蔵することと、を含む方法を使用して、前記住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換する、複数の家庭ユーザと、
前記複数の家庭ユーザから蓄積された貯蔵されたバイオセキュア生成物を収集し、かつ前記バイオセキュア生成物を組み合わせて生成物を生産するための収集事業者と、を含む、システム。
【請求項19】
前記組み合わされたバイオセキュア生成物が、家畜飼料のための飼料原料である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を行うことによって得られる温室効果ガス排出削減量を計算するための方法であって、前記方法が、
前記バイオセキュア生成物に変換されたために埋立地に送られない食品廃棄物の量を判定することと、
前記食品を前記バイオセキュア生成物に置き換えることができるために、販売可能な生産物を生産するためにもはや必要とされない食品の量を判定することと、
これらの判定の結果に基づいて、温室効果ガス排出削減量を計算することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記販売可能な生産物が、家畜飼料又は家畜飼料原料である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
炭素市場で取引するための取引可能単位を生成するための方法であって、請求項20に記載の温室効果ガス削減量を計算することと、取引可能炭素単位の等価値を判定することと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの消費のために生産された食料のほぼ3分の1が、報告によれば、莫大な経済的かつ環境的コストで廃棄されている。全ての食品廃棄物を埋立地に送ることは、一般にもはや受け入れられないので、商業規模での食品廃棄物の処分はますます問題となっており、この問題に対する多くの独創的な解決策が提案されている。しかしながら、住宅又は世帯規模で環境的に適切な様式で食品廃棄物を処分することは、いくつかの固有の課題を有する。
【0003】
住宅食品廃棄物が最終的に埋立地になることを抑えるための装置が知られている。例えば、いくつかのシンクには、シンクの排水管に組み込まれたマセレータが含まれており、食品廃棄物がシンクから排出されると浸漬され、その後、排水管から下水道に流すことができる。しかしながら、そのような廃棄物処理技術は、下水道システムにおいて重大な問題を引き起こすことがある。
【0004】
ワームファームやコンポストビンもまた、食品廃棄物を堆肥化材料に変換するためにも使用され得るが、これらは生産能力の問題に悩まされることがあり、ある空間(理想的には庭)を必要とし、臭気が問題になることがある。オーストラリアのいくつかの協議会は、世帯からのある特定の食品廃棄物が、定期的に収集され、バイオガスの生成、又は堆肥若しくは土壌改良剤の生産のために使用されるサービスを提供している。しかしながら、居住者は、適切な食品廃棄物(全ての食品廃棄物を使用することができるわけではない)を最長1週間貯蔵する必要があり、特に夏の数か月において臭気や害虫の問題をもたらすことがある。
【0005】
堆肥として使用するために生ごみを乾燥、圧砕、冷却して顆粒状にするように動作可能なキッチンベンチトップ電化製品も知られている。しかしながら、そのような電化製品を使用して処理された食品廃棄物が、それを乾燥させるために加熱されているとしても、乾燥された生成物が依然として様々な微生物(特に細菌だけでなく真菌も)及びウイルスをかくまうことがあるという著しいリスクが残っている。この処理された食品廃棄物が堆肥として直ちに使用される場合、これは重大な問題ではない場合もあるが(そうであり得るが)、処理された食品廃棄物が任意の時間貯蔵されると、バイオセキュリティリスクが著しく増加する。
【0006】
住宅食品廃棄物を処理するための代替的な方法、特に、よりバイオセキュアな生成物を提供し得る方法を提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明は、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法を提供する。本方法は、食品廃棄物を粉砕することと、粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、バイオセキュア生成物を貯蔵することと、を含む。
【0008】
発明者の知る限り、家庭(すなわち、個々の世帯、小規模レストランなど)規模での食品廃棄物リサイクルへのバイオセキュリティプロトコルの組み込みは、以前には企図されていない。したがって、本発明は、最低限でも、住宅食品廃棄物(例えば、台所食品廃棄物、賞味期限切れ食品など)を、潜在的にその後の有益な再利用のために、バイオセキュア生成物に変換することができる方法を提供する。いったんバイオセキュアになると、食品廃棄物は、細菌、ウイルス、真菌、又は任意の他の病原性汚染の源になることはできないが、そのいずれも、世帯環境において望ましくない(例えば、臭気問題のため)か、又は著しい健康上の問題を引き起こし得るものである。上で説明されるように、家庭規模で生産された食品廃棄物は、以前は、経済的に実行可能な様式で管理することが困難であり、多くの不便にもかかわらず、定期的な収集(関連するコストを伴う)を必要とし、準拠している世帯に依存していた。本発明の方法によって生産されたバイオセキュア生成物は、貯蔵安定であり、病原体を含まず、これにより、これらの問題に悩まされることなく、収集間により長い期間にわたって貯蔵することができる。
【0009】
本発明者は、食品廃棄物は、単に堆肥としてよりも有益に(経済的観点及び環境的観点の両方から)使用することができると考えている。この点に関して、本発明者は、食肉及び乳製品システムが環境に著しい影響を及ぼし、そのようなシステムにおける環境影響の主要な要因が家畜によって消費された飼料に起因していることに注目している。実際に、飼料は、鶏肉1kgの二酸化炭素排出量の約35%、及び鶏卵の二酸化炭素排出量の約76%を占めることが報告されている。
【0010】
本発明者は、本発明に従って生産された食品廃棄物が、そうでなければ使用されているであろう他のより価値の高い成分(例えば、穀物及びタンパク質)の代替品として、家畜飼料生産における成分として使用され得ることを認識した。これらの原理は、より価値の高い成分の代わりにそのような食品廃棄物を利用することができる他の販売可能な生産物にも適用可能であることが予想される。
【0011】
したがって、本発明は、著しい環境への影響の2つの源、すなわち、家畜飼育のための飼料原料の生産及び食品廃棄物の埋め立てを軽減する可能性を有する。そうすることにより、環境影響が低減され、二酸化炭素排出量が低減され、循環型経済に寄与することが予想される。実際に、本発明者が委託した研究(以下で更に詳細に説明される)では、本明細書に説明されるように処理された食品廃棄物を含む家畜飼料は、従来の家畜飼料よりも低い温室効果ガス排出指標及び他の環境指標を有することが見出された。この報告は、これらの利益が、ほぼ例外なく、家畜飼料生産に必要となる小麦及び大豆などの成分の低減によるものであることを指摘している。
【0012】
いくつかの実施形態では、粉砕された食品廃棄物を脱水することは、食品廃棄物を熱風流中で撹拌することを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、粒状生成物は、約100℃の温度まで、少なくとも30分間加熱され得る。この温度への加熱及びこの時間の加熱は、生成物中に存在し得る病原体(例えば、微生物及びウイルス)が死滅されていることを確実にする。処理後、生成物は完全にバイオセキュアである。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の態様の方法を使用して、1つ以上の変換から収集されたバイオセキュア生成物は、第三者による収集のために貯蔵され得る。例えば、食品廃棄物の連続したバッチ変換からのバイオセキュア生成物は、以下で更に詳細に説明されるように、定期的に収集されるビンの中に空けることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本方法は、食品廃棄物の重量及び体積、バイオセキュア生成物の重量及び体積、並びに液体副生成物の体積のうちの1つ以上を測定することを更に含み得る。そのような測定から得られたデータは、埋立地に送られない食品廃棄物の量、温室効果ガス排出削減量、及び炭素市場で取引するための取引可能単位のうちの1つ以上を判定することを含む、多くの目的に使用することができる。
【0016】
第2の態様では、本発明は、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための装置を提供する。本装置は、装置に送給される食品廃棄物を粉砕するための粉砕機と、粉砕された食品廃棄物を脱水するための脱水機であって、その脱水機によって液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水機と、その粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱するための加熱器と、を備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、本装置は、粉砕前に食品廃棄物を受け入れ、一時的に貯蔵するように構成されたホッパを更に備え得る。いくつかの実施形態では、本装置は、1つ以上の変換から収集されたバイオセキュア生成物を貯蔵するためのビンを更に備え得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、本装置は、食品廃棄物の重量及び体積、バイオセキュア生成物の重量及び体積、並びに液体生成物の体積のうちの1つ以上を測定するための検出器を更に備え得る。
【0019】
第3の態様では、本発明は、住宅食品廃棄物をリサイクルするためのシステムを提供する。本システムは、複数の家庭ユーザであって、その複数の家庭ユーザの各々は、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換する、複数の家庭ユーザと、その複数の家庭ユーザから蓄積された貯蔵されたバイオセキュア生成物を収集し、かつそのバイオセキュア生成物を組み合わせて生成物を生産するための収集事業者と、を含む。住宅食品廃棄物は、食品廃棄物を粉砕することと、粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、その粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、バイオセキュア生成物を貯蔵する(すなわち、収集するまで)ことと、を含む方法を使用して、貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換される。
【0020】
そのようなシステムは、有利に、現在のシステムの場合よりも経済的に、有益な再利用のためにコミュニティ全体によって生成される食品廃棄物を利用することができる。好ましくは、有益な再利用はまた、本明細書に説明されるように、例えば、家畜飼料の生産において、現在のシステムの場合よりも高い環境影響を有する。
【0021】
第4の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の方法又は本発明の第3の態様のシステムを行うことによって得られる温室効果ガス排出削減量を計算するための方法を提供する。本方法は、バイオセキュア生成物に変換されたために埋立地に送られない食品廃棄物の量を判定することと、食品をバイオセキュア生成物に置き換えることができるために、販売可能な生産物(例えば、家畜飼料又は家畜飼料原料などの食品)を生産するためにもはや必要とされない食品の量を判定することと、これらの判定の結果に基づいて、温室効果ガス排出削減量を計算することと、を含む。
【0022】
第5の態様では、本発明は、炭素市場で取引するための取引可能単位を生成するための方法を提供し、本方法は、本発明の第4の態様に従って温室効果ガス削減量を計算することと、取引可能炭素単位の等価値を判定することと、を含む。これは、本発明の使用を更に奨励し得、したがって、より高い割合の住宅食品廃棄物が、堆肥化よりも高い環境影響を有する様式での使用のためにリサイクルされることをもたらすことが想定される。
【0023】
本発明の様々な態様の追加の特徴及び利点は、具体的な実施形態の文脈で以下に説明される。しかしながら、そのような追加の特徴は、これらの具体的な実施形態の文脈において説明されるものよりも、本発明においてより一般的な適用可能性を有し得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施形態は、以下の図面を参照して以下で更に詳細に説明される。
【0025】
図1】本発明の実施形態による方法のフローチャートを示す。
図2】本発明の実施形態による装置の斜視図を示す。
図3図2の装置の斜視図を示し、その蓋は立位位置にあり、そのフードホッパが見える。
図4図2の装置の斜視図を示し、その水タンクは取り外されている。
図5図2の装置の斜視図を示し、その加熱チャンバが取り外されている。
図6図2の装置の上面図を示す。
図7図6の線A-Aに沿った、図2の装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
上述のように、本発明は、住宅(例えば、家庭用キッチン又はレストラン)の食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法を提供する。本方法は、食品廃棄物を粉砕することと、粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間加熱することと、以下に説明されるような有益な再利用のためにバイオセキュア生成物を貯蔵することと、を含む。
【0027】
本発明はまた、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための装置を提供する。本装置は、装置に送給される食品廃棄物を粉砕するための粉砕機と、粉砕された食品廃棄物を脱水するための脱水機であって、その脱水機によって液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水機と、その粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱するように構成された加熱チャンバと、を備える。
【0028】
上で説明されるように、環境に配慮した様式で食品廃棄物を処分することは、永続的な課題であった。本出願の主題である本発明の発明者は、高品質の家畜飼料を生産するために、食品廃棄物を大規模にリサイクルするための方法を以前に考案した。国際(PCT)出願第PCT/AU2017/051130号では、これらの方法を詳細に説明しており、当該出願の内容は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。これまでの本発明者の努力は、食品廃棄物の大規模な生産者に関連しており、本発明者は、以前に、脱水される場合であっても、生産されている量が少ないこと及び食品の貯蔵に関連する困難な問題に起因して、家庭規模での食品廃棄物の収集は実行可能ではないと考えていた。
【0029】
本明細書に開示される本発明は、住宅規模で生成する食品廃棄物に関連する問題を解決するのに役立つ可能性を有する。定期的に収集され、次いで有益に再利用され得る、貯蔵安定な(かつ貯蔵安全な)バイオセキュア生成物を生産することによって、食品廃棄物を処分する住宅ユーザのエコシステムの創出は、巨大な環境潜在性を有する。例えば、シドニー地域の発明者に知られている評議会は、約97,000の住宅を有し、その各々は、3.3kg/週の食品廃棄物を生産すると推定されている。本発明を使用すると、3.3kgの食品廃棄物は、約1.5kgのバイオセキュア生成物(以下で考察されるように、食品廃棄物の水分量に依存する)をもたらし、これは、収集の間に何か月も安全かつ便利に貯蔵することができる。これにより、居住者の3分の1のみが本発明を使用する場合であっても、約50トンのバイオセキュア生成物が毎週の収集のために生産され、これは、小麦などの穀物の代わりに家畜飼料(例えば、養鶏飼料)を生産するために使用することができる。潜在的な環境的かつ経済的な削減量は莫大であり、ユーザの健康及び安全へのリスクはない。
【0030】
更に、食品廃棄物は現在、絶対的に最低限毎週収集される必要があり、収集車両が非常に頻繁に世帯に出勤しなければならないことを意味し、これは、システムの全体的な環境影響に悪影響を及ぼす。しかしながら、本発明では、生産された生成物の量が相対的に少ないことと、そのバイオセキュアな性質(例えば、1.5kgのバイオセキュア生成物が1週間で1世帯によって生産された場合、1四半期に20kg未満が生産される)を考慮すると、収集は隔月ごと、又は更には四半期ごととすることができることが想定される。回収頻度が低いことの環境への利益は、直ちに明らかである。頻度の低い収集レジメンを有することは、そうするために必要とされる資産を統合すること、及び/又はより大きい収集エリアをロジスティック的により実現可能にすることに役立つであろう。また、多くの協議会は現在、食品廃棄物のリサイクルに関連するコストを大幅に補助しており、食品廃棄物が代わりに第三者によって収集される場合、著しいコスト削減がなされることに留意すべきである。
【0031】
本明細書において説明される測定及び追跡機能は、家庭ユーザに、自分たちの住宅食品廃棄物をリサイクルすることを更に奨励するのにさえ役立ち得(すなわち、温室効果ガス排出量の低減に対する自分たちの寄与を定量化することができるために)、リベートの可能性又は更なる奨励金である収入さえも伴う。
【0032】
更に、COVID-19の世界的な大流行の余波において、本発明者は、バイオセキュリティ問題に対してより大きい焦点が当てられることを予想している。バイオセキュアでない場合、貯蔵された食品廃棄物は、細菌、ウイルス、又は真菌の汚染(付随する不快な臭気などを伴う)のリスクを提示する。これらは、産業レベルでははるかに差し迫っているが、家庭状況ではそれほど重要ではない。
【0033】
本発明者によって想定される装置及び方法の主な使用は、住宅環境である。しかしながら、より大規模なレストランよりも少量の廃棄物を生成するより小規模なレストランもまた、本発明から利益を得ることができることが理解されよう。以下に説明されるように、例えば、独身又は夫婦、家族、及び小規模レストランによって必要とされ得るような、異なる量の食品処理能力を有する装置が市販されることになることが想定される。
【0034】
野菜、穀物、及び肉屑を含む、任意の住宅食品廃棄物が本発明において使用され得る。粉砕可能であることを条件として、骨及び牡蠣殻などの他の硬質食品廃棄物も追加され得る。このようにして、現在しばしば必要とされているように、ユーザが自分たちの食品廃棄物を選別するための必要性はない(又はほとんど必要性がない)。
【0035】
貯蔵安定なバイオセキュア生成物は、任意の好適な目的のために、理想的には、家畜飼料の生産など、相対的に高い環境影響をもたらす目的のために使用され得る。上述のように、例えば、食肉及び乳製品は、環境への影響が相対的に高いため、ますます精査されている。環境影響の主な推進要因は、家畜が消費した飼料に由来し、飼料は、報告によれば、市場に出荷された1kgの鶏肉の二酸化炭素排出量の約35%、及び鶏卵の二酸化炭素排出量の約76%を占めている。これにより、本発明は、2つの環境影響の源、すなわち、家畜飼育のための飼料原料の生産及び食品廃棄物の埋め立てを軽減する可能性を有する。
【0036】
本発明者が生産し、現実世界の用途で試験した家畜飼料には、養鶏飼料、車海老飼料、及びバラムンディ飼料が含まれる。住宅環境で生産されたものに匹敵すると予想される、パブ、レストラン、及びホテルで生産された食品廃棄物の栄養成分の分析は、PCT/AU2017/051130において説明されているように、そのような食品廃棄物は、特に他の食品廃棄物源とブレンドされる場合に、家畜飼料と適合する脂肪及びタンパク質のレベルを有することを示している。同様に、住宅環境で生成されたものと同等であると予想される食品廃棄物のアミノ酸プロファイルは、家畜飼料に有益に寄与する可能性が高い。実際、本発明者は、多くの世帯によって生産されたバイオセキュア生成物が、例えば、家畜の鶏に給餌するために使用することができることを予想しているが、生成物が工業規模のプロセスに組み込まれる場合、最大の環境上の利益が得られる可能性がより高い。
【0037】
PCT/AU2017/051130において説明されているように生産された家畜飼料(本発明に従って生産された飼料に匹敵すると予想される食品廃棄物を組み込んだもの)の潜在的なライフサイクル環境プロファイルを、養鶏、車海老、及びバラムンディの飼料の従来の生産と比較するために、並びに、食品廃棄物処理、すなわち、堆肥化及び嫌気性消化の従来のプロセスに対する本技術の正味の環境影響を比較するために、報告が本出願人によって委託された。本報告では、以下の主要な知見が得られた。
・従来の市販の飼料と比較して、養鶏やバラムンディの飼料は、より低い温室効果ガス排出量、富栄養化、化石燃料不足、土地利用への影響、及び水使用への影響を有する可能性が高い。これは、飼料生産に影響を及ぼす小麦及び大豆などの農業投入物がないためである。
・これが養鶏生産にどのように影響を及ぼすかに関して、1kgの鶏肉の温室効果ガス排出量は、少なくとも25%減少し得る。鶏卵を生産では、これは、約75%となる。魚類生産では、低減は、約37%であろう。
・埋立地に代わる食品廃棄物を処理する経路として見ると、本発明は、嫌気性消化及び堆肥化と比較して、より低い環境影響を有する。
【0038】
食品のバイオセキュリティは、これらが消費者に販売される場合に最も重要であるが、食品廃棄物に関しては、特に世帯レベルでは、それほど規制が緩和されていない。しかしながら、食品廃棄物が家畜飼料の生産に使用される場合、家畜福祉に対する多くの脅威が安全でない飼料中に存在し得るため、それがバイオセキュアであることが極めて重要である。例として、そのような脅威には、ブタのアフリカブタコレラウイルス、オーエスキー病、及びブタ流産菌、養鶏のアルボウイルス、鳥アデノウイルス、及び鳥インフルエンザ、並びに家畜の口蹄疫が挙げられ得る。
【0039】
上記に照らして、本発明は、住宅食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための方法を提供する。ここで、図1に示されるフローチャートを参照して、本方法の具体的な実施形態を説明する。
【0040】
方法10において、食品廃棄物は、適切な量が生成されている間(例えば、より小規模な世帯の場合、1日の間にかけて)に一時的に貯蔵され得る12。この食品廃棄物は腐敗し始めるが、数時間の貯蔵は特に有害ではないことが想定される。典型的な世帯では、朝食、昼食、及び夕食からの食品廃棄物を貯蔵することができ、本方法が一晩行われ、翌朝、バイオセキュア生成物が空になることが想定される。
【0041】
次いで、貯蔵された食品廃棄物は粉砕される14。粉砕は、粉砕された食品廃棄物の粒径が、以下のステップで十分に脱水されることが可能であることを条件として、任意の好適な技術を使用して、例えば、細断、圧砕、及び/又は浸漬(遭遇する可能性のある多種多様な生ごみを念頭に置いて)などによって、達成され得る。約5mm未満(例えば、約1~5mm、約2~4mm、又は約3~5mm)のサイズを有する粒子は、適切であると予想される。本明細書で使用される場合、粒径は、粉砕された食品廃棄物片の対向する側部間の最長距離を意味する。この用語は、事実上やや一般的なものとして理解されるべきであり、粉砕された食品廃棄物の粒子は、様々な形状を有する可能性が高い。
【0042】
粉砕されると、食品は脱水され16、脱水されることの状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される。水蒸気の形態の液体副生成物は、その後の使用、例えば、鉢植え又は庭などへの散水などのために凝縮することができる18。脱水の主な生成物は、脱水された粒状生成物であり、元の食品の栄養素の著しい割合を保持するが、水分はほとんど保持しない。
【0043】
粉砕された食品廃棄物を脱水するために、任意の好適な技術が使用され得る。特定の実施形態(装置に関して以下で更に詳細に説明される)では、粉砕された食品廃棄物を脱水することは、食品廃棄物を熱風流中で撹拌することを含む。以下に説明される装置の使用において、例えば、約350℃の温度を有する熱風中で食品廃棄物を撹拌することは、わずか10秒で粉砕された食品を脱水するのに有効であることが見出されている。
【0044】
次いで、脱水された粒状生成物は、収集され20、バイオセキュリティ熱処理のために加熱チャンバに移送する22。この段階では、以下に説明される脱水装置は、プラスチック又は紙などの物質を燃焼させないほどに急速に食品廃棄物を加熱するので、任意の非食品廃棄物(例えば、紙又はプラスチック包装)は、この段階で粒状生成物から分離され得る24。そのような廃棄物は、従来の手段によって処分することができる。
【0045】
バイオセキュリティ熱処理22では、粒状の脱水された生成物は、全ての病原体(細菌及び真菌などの全ての微生物を含む)及び全てのウイルスを死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱される。バイオセキュリティ加熱プロトコルは、科学的証拠又は経験的判定に基づいて規制によって管理され得るが、全ては病原体の不活性化につながる。本発明者は、脱水された粒状生成物を、少なくとも100℃の温度(これは、生成物が経験する温度であり、必ずしもチャンバ温度ではない)で少なくとも30分間(例えば、30~35分間)加熱することが、微生物の全てを死滅させるのに有効であることを見出した。より高い温度が使用され得るが、そのような温度への加熱は、得られるバイオセキュア生成物の栄養素含有量に悪影響を及ぼし始め得る。
【0046】
バイオセキュリティ熱処理が実施されると、バイオセキュア生成物は、貯蔵のために冷却される26。バイオセキュア生成物の重量などの関連する測定は、この時点で行われ得る28。行われ得る他の測定には、食品廃棄物の重量及び体積(すなわち、前浸漬14)、並びに凝縮された液体副生成物18の重量及び体積が含まれる。このデータは、以下に説明される理由のために有益であり得る。
【0047】
次いで、上で説明されるバッチ操作によって生成されるバイオセキュア生成物をバルク貯槽30に移送することができ、バルク貯槽30では、例えば、第三者による収集32のために保持される。収集は、定期的に(例えば、隔月若しくは四半期ごとに)行われ得るか、又はバルク貯槽30にある特定の重量のバイオセキュア生成物に応じて手動若しくは自動で注文され得る。
【0048】
28で収集される測定データは、処理された食品廃棄物の量の表示(例えば、デジタルスクリーン又は方法又は装置に関連付けられたソフトウェアアプリケーション上で)、及びデータから導出することができる任意の有用な情報を提供するために使用され得る。例えば、測定されたデータは、埋立地に送られない食品廃棄物の量、温室効果ガス排出削減量、及び/又は炭素市場での取引のための取引可能単位を判定するために分析され得る。そのような情報は、ユーザが環境に有益な何かを行っているという点で、又はおそらく金銭的なリターンでさえあるという点で、ユーザに快適さを提供し得る。累積データはまた、ユーザが、例えば(例えば、合計で、又は暦年にわたって)総温室効果ガス排出削減量をモニタリングすることができるように、示され得る。
【0049】
測定されたデータは、方法/装置に対してローカルのままであり得るか、又は後続の分析のためにコンピューティングデバイスに送信され得る。装置は、例えば、インターネット対応であり得、世帯内の適切なデバイスと電子的に(例えば、ワイヤレスで)通信し得る。コンピューティングデバイスは、例えば、ユーザの携帯電話であり得、ソフトウェアアプリケーションは、データを受信して分析し、有用な出力を生成するために使用される。
【0050】
本方法で生成されるデータはまた、より広い視聴者に放送され得る。例えば、適切に非特定化されたデータは、分析のために、地方、州、又は連邦当局に送信され、より大規模で本発明の利点をモニタリングし得る。上述のように、データはまた、それらの計画目的のために(例えば、収集又は容量計画のために)、バイオセキュア生成物の第三者の収集事業者に送信され得る。
【0051】
上で説明されるように、本明細書において説明される様式で食品廃棄物をリサイクルすることは、温室効果ガス排出量を削減し、おそらく炭素市場で取引するための取引可能単位を生成する可能性さえも有する。したがって、別の態様では、本発明は、本発明を実施することによって得られる温室効果ガス排出削減量を計算するための方法を提供する。本方法は、バイオセキュア生成物に変換されたために埋立地に送られない食品廃棄物の量を判定することと、食品をバイオセキュア生成物に置き換えることができるため、販売可能な生産物(例えば、家畜飼料又は家畜飼料原料)を生産するためにもはや必要とされない食品の量を判定することと、これらの判定の結果に基づいて、温室効果ガス排出削減量を計算することと、を含む。
【0052】
本発明はまた、炭素市場で取引するための取引可能単位を生成するための方法を提供し、本方法は、前段落に従って温室効果ガス削減量を計算し、取引可能な炭素単位の等価値を判定することを含む。
【0053】
本発明のユーザは、例えば、本発明を使用することの環境上の利点は、金銭的(又はそれ以外の)報酬に実現される「炭素取引集団」に参加し得る。
【0054】
別の態様では、本発明はまた、住宅食品廃棄物をリサイクルするためのシステムを提供する。本システムは、複数の家庭ユーザであって、その複数の家庭ユーザの各々は、キッチン食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア粉末に変換する、複数の家庭ユーザと、その複数のユーザから蓄積された貯蔵されたバイオセキュア生成物を収集し、かつそのバイオセキュア生成物を組み合わせて生成物を生産するための収集事業者と、を含む。住宅食品廃棄物は、食品廃棄物を粉砕することと、粉砕された食品廃棄物を脱水することであって、脱水することによる状態下で液体副生成物及び脱水された粒状生成物が形成される、脱水することと、その粒状生成物を、全ての病原体を死滅させるのに有効な温度及び時間で加熱することと、バイオセキュア生成物を貯蔵する(すなわち、収集するまで)ことと、を含む方法を使用して、貯蔵安定なバイオセキュア粉末に変換される。
【0055】
ここで、本発明の実施形態による、食品廃棄物を貯蔵安定なバイオセキュア生成物に変換するための装置の具体的な実施形態を、図2図7を参照して説明する。
【0056】
本装置は、ユニット100の形態で示されており、ユニット100は、食品廃棄物ホッパ102と、ホッパ内に配置される任意の食品廃棄物(図示せず)を覆うためにヒンジ式蓋104とを含む。ホッパ102は、本明細書において説明されるように、食品廃棄物の完バッチを処理することができるように、食品廃棄物が生成されるときに食品廃棄物を一時的に貯蔵するのに適切な容積を有する。
【0057】
ユニット100はまた、マセレータ106の形態の粉砕機を含む。モータ108は、ホッパ102内のあらゆる食品廃棄物がマセレータ106を通過し、その後、より小さい食品廃棄物片に浸漬されるように、マセレータ106内のブレード(図示せず)を駆動する。浸漬された食品廃棄物は、撹拌器及び脱水器110の形態で示される脱水器に落下し、この撹拌器及び脱水器110は、粉砕された食品廃棄物を熱風(最大350℃)にさらしながら以下に説明される様式で撹拌することによって、粉砕された食品廃棄物を脱水するように動作可能である。脱水機110及びサイクロン分離機112は、国際(PCT)出願第PCT/AU89/00475号において説明されている、物質を乾燥及び粉砕するための装置から適合され、当該出願の内容は本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、加熱された空気が撹拌器110に吹き込まれ、撹拌器110を通って流れ、撹拌器110は、水分を過熱蒸気に変えることによって、粉砕された食品廃棄物から水分を除去する。撹拌器110はまた、軸の周りを回転し、粉砕された食品粒子を高温ガス流中に維持し、それらのサイズを更に低減するように作用する、いくつかの回転アーム(図示せず)を含む。熱風と撹拌の組み合わせにより、一部の食品廃棄物ではわずか10秒で乾燥する、食品廃棄物の相対的に小さい粒子をもたらすことができる。
【0058】
粒子が脱水され、更に特定の粒径未満に粉砕されると、粒子は空気流に同伴され、撹拌器110を出て、導管114を介してサイクロン分離機112に入る。サイクロン分離機112内のサイクロン風は、より重い脱水された粉砕された食品粒子を、脱水された粒状生成物の形態で分離機の底部に落下させる。
【0059】
これにより、脱水機110は、過熱蒸気の形態の液体副生成物を生成し、この液体副生成物は、導管114を通って水凝縮器116内に移動し、水凝縮器116内に凝縮され、水貯蔵容器126内に入る。容器126が満杯になると、警報が鳴り、ユーザに、シンクを下にするか、より有益には、植物などに水をやることによって、それを空にするように促す。溢れのリスクをなくすか、又は容器を空にするために、サイクルの途中で停止する必要性をなくして、完全な処理サイクルを発生させることができるようにするために、容器126が設定された閾値を超える水の量を含む場合、ユニット100の動作を防止することさえできる。
【0060】
これにより、脱水機110はまた、本質的に元の食品廃棄物の非液体成分である脱水された粒状生成物の形態の第2の生成物流を生成する。固体生成物と液体生成物の相対的な割合は、食品によって明らかに異なり、野菜などの食品は約20%の固体を生成し、穀物などの食品廃棄物は約80%の固体を生成する可能性が高い。
【0061】
粒状生成物は、導管118を介して加熱チャンバ120の形態で加熱器に搬送され、そこで、生成物中の全ての病原体を死滅させるのに有効な温度まで、有効な時間にわたって加熱することができる。いくつかの加熱要素122が、チャンバ120を取り囲み、迅速かつ均一な加熱を提供する。図示されていないが、均等に加熱されるように生成物を撹拌するために、撹拌機が存在し得る。このようにして、得られる生成物は、細菌、真菌、及びウイルスなどの微生物を含む任意の病原体を完全に含まないことを保証することができる。
【0062】
チャンバ120は、以下に説明されるように、ユニット100から取り外し可能であるが、高温である間に取り外しが起こり得ないことを確実にするために、係止機構(図示せず)を含むであろう。熱処理が完了すると、図5に示されるように、ユーザがハンドル124を把持し、外側に引っ張ることによって、チャンバ120をユニット100から分離することができる。次いで、チャンバ120内に収容されたバイオセキュア生成物は、収集されるまで貯蔵するために、ビン(図示せず)内に空けることができる。
【0063】
図示されていないが、ユニット100はまた、(ホッパ102に関連付けられた)食品廃棄物の重量及び体積、(チャンバ120に関連付けられた)バイオセキュア生成物の重量及び体積、及び/又は(容器126に関連付けられた)液体副生成物の体積を測定するための検出器を含む。
【0064】
ユニット100はまた、Bluetooth(登録商標)又はWifi(登録商標)通信トランスポンダの形態のデータ転送手段を含み、これは、上記の目的のために、測定されたデータをリモートコンピューティングデバイスに送信することができる。ユニット100はまた、上記のような情報、又は食品廃棄物処理サイクルの段階、残り時間、及び容器126内の水位などのより日常的な情報を表示するデジタルスクリーン128を含み得る。
【0065】
本発明は、いくつかの新しい有用な利点を提供することを理解されよう。例えば、本発明の具体的な実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を提供し得る。
・有益な再利用のために、かつバイオセーフな様式で、家庭の食品廃棄物を処理するためにバッチ単位で動作することができるコンパクトユニットと、
・バイオセーフ生成物は、家庭環境(例えば、鶏肉食品)で使用することができるが、家畜飼料などの他の生成物の成分として工業でも使用することができ、それによって食品廃棄物が堆肥化された場合よりも更に大きい環境上の利益を提供する。
・住宅環境で生成される食品廃棄物の量が少ないにもかかわらず、上記のユーザのエコシステムは、本発明を経済的かつ環境的に実現可能にし、
・家庭環境で食品廃棄物を処理することは、環境への測定可能な利益をユーザに即座にフィードバックし、より持続可能なライフスタイルを促進することが予想される。
【0066】
本発明の当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正が行われ得ることが理解されるであろう。そのような修正は全て、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0067】
以下の特許請求の範囲及び本発明の前述の説明において、文脈が、別途、明確な文言又は必要な暗示のために必要とする場合を除き、「含む(comprise)」という用語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising」などの変形は、包括的な意味で、すなわち、記載された特徴の存在を特定するために使用されるが、本発明の様々な実施形態における更なる特徴の存在又は追加を妨げるものではない。
【0068】
本明細書で言及される任意の先行技術公開は、当該公開が当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】