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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】無線充電パッドの異物検出
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20241128BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20241128BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
H01F38/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529231
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2022061045
(87)【国際公開番号】W WO2023089504
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】782411
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507061041
【氏名又は名称】オークランド・ユニサーヴィシズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グラント・アンソニー・コヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリーパ・ジャヤナス・スリマウィサナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒド・ザヒリ・バルサリ
(57)【要約】
無線電力伝送パッドは、少なくとも1つの電力伝送コイルと、複数の異物検出コイルとを有する。各異物検出コイルは、隣接する検出コイルから分離されており、また電力伝送コイルからも分離されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電力伝送コイルと複数の異物検出コイルとを含み、前記各異物検出コイルは隣接する検出コイルから分離され、かつ電力伝送コイルから分離されている、無線電力伝送パッド。
【請求項2】
前記検出コイルは、前記パッド上の異物の位置を検出するように構成されている、請求項1に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項3】
前記異物の存在に応答して前記検出コイルの電圧又はインピーダンスの変化を検出するように構成された検出回路をさらに含む、請求項1又は2に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項4】
前記各検出コイルは、同調回路を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項5】
前記検出コイルは、前記電力伝送コイルの動作周波数とは異なる周波数に同調されている、請求項4に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項6】
複数の前記検出コイルは直列に接続される、請求項1~5のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項7】
コンバータは前記直列接続された検出コイルを駆動する、請求項6に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項8】
前記コンバータは、前記検出コイルに連続的または周期的に通電するように構成される、請求項7に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項9】
前記コンバータは、2つのスイッチのみを有するプッシュプルコンバータを含む、請求項7又は8に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項10】
複数の前記検出コイルは1行に直列接続されている、請求項6~9のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項11】
複数の行は設けられてグリッドを形成する、請求項9に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項12】
少なくとも1つのセンスコイルが、前記各検出コイルに結合される、請求項3~11のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項13】
前記検出回路は、前記センスコイルに接続されている、請求項12に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項14】
前記センスコイルは、行または列にグループ化される、請求項13記載の無線電力伝送パッド。
【請求項15】
前記各検出コイルは、第1センスコイル及び第2センスコイルに結合され、前記第1センスコイルは行にグループ化され、前記第2センスコイルは列にグループ化されている、請求項14に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項16】
複数の電力伝送コイルをさらに含み、前記電力伝送コイルは、互いに、また隣接する前記検出コイルから分離されるように構成されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項17】
1つまたは複数の前記検出コイルによって受信されたデータを検出するための通信回路をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の無線電力伝送パッド。
【請求項18】
無線電力伝送パッドの電力伝送面上またはその近傍にある物体を検出する方法であって、複数の分離された同調異物検出コイルに通電するステップと、前記パッドの無線電力伝送面上またはその近傍への前記物体の配置に応答して、前記異物検出コイルの少なくとも1つのインピーダンスまたは電圧のいずれかの変化を検出するステップと、を含む、方法。
【請求項19】
前記検出コイルは複数行設けられ、各行の検出コイルは直列に接続され、前記各行に順次通電するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記行は、列を有するグリッドを形成するように配置され、各行及び各列を監視するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
各行および列を監視して電圧の変化を検出するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電圧の変化を閾値と比較するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出コイルを同調し、前記電力伝送パッドの動作周波数とは異なる周波数で同調された前記検出コイルに通電するステップをさらに含む、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記検出コイルの1つまたは複数を監視してデータを検出するステップをさらに含む、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力システムや誘導電力システムと併用する異物検出システムを含む、無線電力伝送検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送は、従来の物理コネクタや電気配線に代わる便利で堅牢な代替手段を提供する。無線電力伝送の用途としては、ポータブル民生機器(時計や携帯電話など)の充電、可動接合部を越える産業用センサーやアクチュエーターへの電力の供給、組織バリアを越える埋め込み型医療機器の充電、車両(EV)のための電気機器の充電および電力伝送システムなどが挙げられる。
【0003】
無線電力システムは、一次または送信装置(多くの場合、一次パッドまたは二次パッドと呼ばれる)を使用して動作し、電力を必要とするデバイスの一部であるか、またはそのデバイス、たとえばEVや携帯電話などに取り付けられている二次または受信装置と結合するために磁場を発生させる。
【0004】
適切な受信機が存在しないときに送信機が磁場を提供する場合、その磁場は望ましくない影響を引き起こす可能性がある。例えば、金属物体等の異物が存在すると、その物体内に渦電流が誘起される可能性がある。このような状況は、トランスミッタが不適切な負荷に電力を供給することになるため非効率的であり、高電力システムでは火災や安全上のリスクにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、少なくとも1つの電力伝送コイルおよび複数の検出コイルを含み、各検出コイルは隣接する検出コイルから分離され、電力伝送コイルから分離されている無線電力伝送パッドが開示される。
【0006】
いくつかの実施形態では、複数の電力伝送コイルが設けられ、電力伝送コイル及び検出コイルは、各検出コイルがその隣接する検出コイルから分離され、各検出コイルがその隣接する電力伝送コイルから分離され、各電力伝送コイルがその隣接する電力伝送コイル又はコイルから分離されるように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数の検出コイルは、その電力伝送コイル内または各電力伝送コイル内に入れ子にされる。
【0008】
いくつかの実施形態では、検出コイルおよび電力伝送コイルは、1つまたは複数の層に設けられる。いくつかの実施形態では、電力伝送コイル上の検出コイルは、別個の層に設けられる。いくつかの実施形態では、電力伝送コイルと検出コイルは交互に配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、検出コイルは、コイルのアレイを含む。アレイは、層として設けられてもよい。層は平坦であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、隣接するコイルの分離は、コイルを重ね合わせることにより達成されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、無線電力伝送パッドは、送信パッドを含む。いくつかの実施形態では、無線電力伝送パッドは、受信パッドを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、検出コイルおよび電力伝送コイルまたはコイルは、正多角形を含む。いくつかの実施形態では、多角形は、正多角形または長方形を含む。他の実施形態では、多角形は六角形を含む。いくつかの実施形態では、検出コイルの形状は、電力伝送コイルまたはコイルの形状と同様である。他の実施形態では、検出コイルの形状は、電力伝送コイルまたはコイルの形状と異なる。
【0013】
いくつかの実施形態では、検出コイルおよび電力伝送コイルまたはコイルは、円形または丸みを帯びたもの、または楕円形などの他の形状を含む。いくつかの実施形態では、4つの重なり合った分離検出コイルは、その電力伝送コイルまたは各電力伝送コイルと併せて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、3つの重なり合った分離検出コイルは、その電力伝送コイルまたは各電力伝送コイルと併せて使用されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、電力伝送コイルは象限に配置され、検出コイルは各電力伝送コイルの象限に関連付けられたサブ象限に配置される。
【0015】
各検出コイルに関連付けられたパラメータの変化は、無線電力伝送パッド上に置かれた物体に応答して検出されてもよい。いくつかの実施形態では、パラメータは、検出コイルの電圧である。
【0016】
いくつかの実施形態では、検出回路は、各検出コイルに関連付けられている。検出回路は、電圧の変化、あるいは、ピーク正電圧またはピーク負電圧を検出するように構成されている。検出回路は、検出された電圧を閾値と比較してもよい。検出された電圧が閾値を超えた場合、検出回路は出力を提供してもよい。
【0017】
検出回路の出力は、無線電力伝送パッド上に異物等の物体が存在するか否かを判定するために利用されてもよい。いくつかの実施形態では、検出回路の出力を使用して、受信機またはピックアップが無線電力伝送パッド上にあるかどうかを判定してもよい。いくつかの実施形態では、検出回路の出力を使用して、異物を含む物体の無線電力伝送パッド上の位置を決定してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、検出コイルは、行に、列に、または行と列に配置されてもよい。検出コイルは行ごとまたは列ごとに選択的に動作させてもよい。いくつかの実施形態では、各行または列に順次通電してもよい。いくつかの実施形態では、検出回路は各行または列に関連付けられてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンシングコイルは各検出コイルに密接に結合される。前記センシングコイルは、個別の層または複数の層に設けられてもよい。あるいは、センシングコイルを検出コイルと交互に配置してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、各列に沿って直列接続された第1センスコイル群が提供される。第2群のセンシングコイルを設けることもでき、第2群のセンシングコイルは各列に沿って直列に接続される。検出回路は、検出コイル群毎に設けられ、それによって、検出回路は、任意の行または列に関連付けられた任意の検出コイルの電圧変化を検出してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、無線電力伝送コイルは、電力伝送コイルまたはコイルに通電するように構成されたスイッチング回路と、1つまたは複数の検出回路からの入力とを有するコントローラまたは制御回路を含む。また、前記コントローラは、一次パッドに結合された二次パッド等の他の電力伝送パッドと通信するための通信回路を有していてもよい。いくつかの実施形態では、通信手段または回路は、一次パッドの1つまたは複数の検出コイルを二次パッドと結合することにより通信を制御する。通信のための結合は、二次パッド上に設けられた検出コイルによって行われてもよい。
【0022】
別の態様では、本開示は、電圧又は電流源によって通電されるように構成された同調された検出コイルと、検出コイル間の電圧又は電圧の変化を検出するアンプとを含む無線電力伝送パッド用の異物検出回路を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、検出回路は、検出された電圧が閾値を超えた場合に出力を提供するコンパレータをさらに含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、2つのスイッチと2つの直流インダクタとを含むプッシュプルコンバータによって駆動される複数の直列接続された同調検出コイルを含む無線電力伝送パッド検出回路を提供する。いくつかの実施形態では、一度に1つのスイッチのみがアクティブになる。これにより、異物検出に対する回路の感度が高くなる。いくつかの実施形態では、スイッチは検出回路の感度に影響を与えない。
【0025】
別の態様では、本開示は、直列接続された同調検出コイルの行を含む無線電力伝送パッド検出回路と、検出コイルの行の一方側に第1直流インダクタと第1スイッチと、検出コイルの行の他方側に第2直流インダクタと第2スイッチとを含む駆動手段を提供する。いくつかの実施形態では、一度に1つのスイッチのみがアクティブになる。これにより、異物検出に対する回路の感度が高くなる。いくつかの実施形態では、スイッチは検出回路の感度に影響を与えない。
【0026】
いくつかの実施形態では、直列接続された任意の数の同調検出コイルがスイッチによって駆動されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、2つのスイッチを使用して、行内のすべての検出コイルに同時に通電してもよい。これにより、検出時間を短縮することができる。いくつかの実施形態では、各行のコイルは、例えば例えば連続的にまたはランダムに、個別に選択的に通電してもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、直流インダクタは、電圧源と検出コイルの行との間に設けられ、スイッチは検出コイルの行と接地との間に設けられる。
【0029】
別の態様では、本開示は、電流源によって駆動される複数の直列接続された同調検出コイルを含む無線電力伝送パッド検出回路を提供する。いくつかの実施形態では、電流源は、LCLネットワークに接続されたHブリッジを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、直列接続された同調検出コイルは行を構成する。いくつかの実施形態では、複数の行はHブリッジによって駆動される。いくつかの実施形態では、各行は別のLCLネットワークに接続されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、同調検出コイルは電圧源で駆動される。電流制限インピーダンスは、同調検出コイルと直列に設けられてもよい。電流制限インピーダンスは、ディスクリートインダクタまたは共振タンクを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、検出コイルは、並列同調され、電流源で駆動される。金属物体の存在により、同調検出コイルによって生成される磁場が停止する。したがって、金属物体が充電面に残留している間、検出コイルによって生成された磁場によって金属物体が加熱することはない。
【0033】
いくつかの実施形態では、行を選択的に通電するために、各行と直列にスイッチが設けられる。いくつかの実施形態では、スイッチは、検出回路または異物検出システムの感度に影響を及ぼさない。
【0034】
いくつかの実施形態では、電圧検出回路が各検出コイルに関連付けられる。
【0035】
いくつかの実施形態では、電圧検出回路が各行に関連付けられる。いくつかの実施形態では、複数の行が提供され、各行の隣接する検出コイルが列を備える。いくつかの実施形態では、検出回路は各行および各列に関連付けられる。
【0036】
別の態様では、本開示は、無線電力伝送パッドの電力伝送面上またはその近傍にある物体を検出する方法であって、複数の分離された同調異物検出コイルに通電するステップと、前記パッドの無線電力伝送面上またはその近傍への前記物体の配置に応答して、前記異物検出コイルの少なくとも1つのインピーダンスまたは電圧のいずれかの変化を検出するステップと、を含む、方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、電圧の変化は、閾値を超える電圧を検出するステップを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、電圧検出回路は、各検出コイルに関連付けられている。
【0039】
いくつかの実施形態では、検出コイルは、行または列に配置され、方法は、行または列に選択的に通電するステップを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、各検出コイルは、センシングコイルに密接に結合されており、電圧検出回路は、センシングコイルを介して電圧の変化を検出する。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数のセンシングコイルが各検出コイルに緊密に結合される。前記第1センシングコイルは、行に沿って接続された第1センシングコイル群のいずれかを含んでもよい。第2センシングコイルは、列に沿って一緒に接続された第2群のセンシングコイルのうちの1つを含んでもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、検出コイルは、一次パッドに設けられ、二次パッドの1つまたは複数の検出コイルを含む近距離無線通信システムを実装するように構成されてもよい。
【0043】
開示されている主題はまた、本明細書において個別にまたはまとめて言及または示されている部分、要素、および特徴のうちの2つ以上の部分、要素、または特徴のうちのいずれかまたはすべての組み合わせに含まれることができる方法またはシステムを提供している。発明の関連分野において既知の同等物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合には、そのような既知の同等物は本明細書に含まれるものとみなされる。
【0044】
以下の説明から、本発明の別の態様が明らかになるであろうが、これらの態様は、そのすべての新規な態様では考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を、以下に図面を参照して例として説明する。
図1】机に設置された本発明の無線充電面の図を示す。
図2】本発明の無線充電面内で使用できる双極循環モードで動作する2つの隣接する送信コイルの図を示す。
図3】無線充電面の磁気セルの図を示し、セルは送信コイルとFoDxコイルで構成され、FoDxコイルは、好ましくは4つの直列のより小さいコイルによって形成され、送信コイルから分離された磁気四重極である。
図4】本発明の無線充電面の2x4磁気セルマトリックスの図であり、FoDコイルと送信コイルの位置を示す図である。
図5】磁気セル内の磁場を示し、(a)送信コイルの磁場は青で示され、負荷に依存せず一定であり、(b)FoDxコイルの磁場は赤で示され、負荷に依存し、金属の存在下で消失する。
図6】(a)送信コイルとFoDxコイルの両方が互いに影響を与えることなく同時に磁場を生成できることを示し、(b)充電デバイスまたは金属物体がセルから電力を引き出すと、送信機の磁場は一定のままであるが、FoDx磁場は消失する。
図7】本発明の充電面上の送信コイルを駆動するためのプッシュプル駆動カプラーアレイ(PPCA)構成を示す。
図8】本発明の充電面とともに使用することができる受信機の磁気設計の実施形態を示す。
図9】本発明の充電面とともに使用することができる受信側電子回路の例を示す。
図10】本発明の充電面上の2x2磁気セルマトリックスの図を示す。
図11】受信機がその上を移動する状態でシミュレートされた1×4磁気セルマトリックスを示す。
図12図11の1×4磁気セルマトリックス上で移動する受信機間の相互インダクタンスを示す。
図13a】充電面上で6×6 FoDxマトリックスを駆動するために提案された回路を示しており、直列共振タンクの各行をLCLコンバータ(電流源)で駆動している。
図13b】充電面上で6×6 FoDxマトリックスを駆動するために提案された代替回路を示しており、直列共振タンクの各行をプッシュプルコンバータ(電圧源)で駆動する。
図14】本発明のFoDxコイルにかかる電圧が異物の存在下でそれ以下V thrに低下することを示す。
図15】スマートフォンなどの受信機が充電面の上に置かれ、6×6 FoDxマトリックスの第1行のFoDx12コイルと結合されている様子を示す。
図16】本発明の充電面で使用される計測回路を示しており、二次側のコントローラはユニバーサル非同期送受信機(UART)モジュールを介してSNFCゲートにデータを送信でき、そのデータはこの計測回路によって一次側で取得できる。
図17】受信機が本発明のFoDx-FoDrコイルを介してNFCリンクを開発することを示す。
図18図16の計測回路の代替回路を示す。
図19】2つのFoDコイルの行が負荷されている場合の計測回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、送信パッドなどの無線電力パッドの存在下で、不適切な負荷などの異物を検出するように構成された無線電力伝送システム、装置、および方法である。いくつかの例では、以下で論じるように、送信機は、電力を各受信機に無線で伝送するために1つまたは複数の受信機を配置できる表面などの構造を提供するように構成される。送信機は、例えば電気自動車など、またはモバイル電気および電子機器を含むがこれらに限定されない多くの異なる用途の受信機に無線電力伝送を提供するために使用されてもよい。以下の説明は、モバイルデバイスの充電に無線充電面をどのように利用できるかの例であるが、その用途に限定されるものではない。当業者であれば、本開示に記載の原理に従って送信機の物理的構造、磁気構造、パワーエレクトロニクス部品、およびコントローラを設計することによって、より大きなまたはより小さな負荷またはデバイスに電力を供給できることが理解される。また、本開示は、一次パッドまたは送信パッドが、二次パッドまたは受信パッドと同様または同一の構造を有する双方向システムに適用され得ることが理解される。
【0047】
図1は、本発明の充電面を含む無線電力伝送システム送信機1を示す。充電面10は、図1(b)に示すように、机の上に置かれた装置20、例えばノートパソコン22を送信機1が無線充電できるように、オフィスデスク15の内部、またはその下に設置されることを目的とする。携帯電話等の他の消費財は、ディスク1により充電されてもよい。図1(a)の例に示すように、送信機1は、後述するように、磁場を誘導または整形するためのフェライト2等の透磁性材料と、コントローラ4と、ディスプレイ6と、下部筐体8とを含むように構成されてもよい。多くの無線電力伝送用途には二次装置または受信装置のバッテリの充電が含まれるため、本開示は充電面または充電装置に言及する。しかしながら、充電への言及は必ずしもその用途に限定されないことが理解される。
【0048】
充電面10は、誘導電力伝送(IPT)を使用して、その上にある任意の場所に配置されたデバイスに電力を無線で伝送する。一実施形態では、充電面10は、充電面内または後ろに配置された複数のコイルから構成される。この例では、6×6送信機(Tx)マトリックスまたはアレイを形成する36個の5cm×5cm送信コイル(Txまたは電力伝送コイル)を含む180個のコイルがあり、144個の検出コイル(FoDxコイル)も行と列のマトリックスまたはアレイなどのグリッドに配置されている。電磁露光を減らし、効率を向上させるために、グリッド内のTxコイル(矢印25で示される)のみはデバイスを充電するためにオンになり、これらのTxコイルは、これらのTxコイルと磁気的に結合するのに十分なほどデバイスの近くにあるものである(つまり、各コイルの電力結合領域内に受信機デバイスを持つTxコイル)。
【0049】
この例では、他の用途でも、ユーザは、鍵などの金属物体を誤って充電面10の上に置く可能性がある。本発明の充電面は、モバイルデバイス(または充電が必要なデバイス)と金属物体(すなわち、異物)とを区別し、そして、デバイスの下にあるTxコイルのみをオン(すなわち、アクティブ)にし、残りのTxコイルはオフ(すなわち、非アクティブ)に保つように構成されている。本開示は、異物、すなわち送信パッドからエネルギーを吸収する可能性があるが、それを目的としない物体の検出に焦点を当てているが、本発明に開示された検出装置及び方法は、送信パッドでの使用を目的としたデバイスの位置を検出するために使用されてもよい。
【0050】
6×6 Txマトリクスの行に配置されたすべてのTxコイルは、図7を参照して以下に説明するように、PPCA(プッシュプル駆動カプラアレイ)と呼ばれる方法または装置を介して駆動される。PPCAには、ここで記載された例が含まれるが、必ずしもこれに限定されるものではない、すなわち、他の駆動手段も含まれる。様々な駆動方法や回路を用いることができるが、本実施例で説明した方法では、アレイ内の並列同調送信コイルのそれぞれに単一のスイッチと直流インダクタのみが割り当てられるため、本発明の充電面の複雑さとコストが削減される。
【0051】
生成された磁場にさらされる他の金属物体の加熱を避けるために、本発明の充電面10を含む送信機1は、共鳴磁気異物検出(FoD)システムを採用する。つまり、各Txコイルには関連する一連のFoDxコイルがあり、エネルギーが充電面上の他の金属物体ではなくモバイルデバイスにのみ伝送されることが保証される。FoDxコイルは、他のコイル、つまりTxコイルや他のFoDxコイルとの結合が最小限になるように設計されており、コイルと充電面10上の循環電力との間の磁気相互作用を最小限に抑えるために、一組のTxコイルのみに結合される。
【0052】
金属物体を検出するために、FoDxコイルはセンシング場とも呼ばれる磁場も生成する。ただし、電力伝送場を生成するTxコイルとは異なり、FoDxコイルによって生成される磁場は電力を伝送することを目的としたものではない。FoDx磁場は、金属物体が電力を引き出しようとすると消えるように設計されている。各FoDコイルの電圧は、センシングまたは検出回路によって測定される。この例では、オペアンプベースの回路(センシングまたは検出回路)からなる36個の個別の検出回路が、金属物体を検出するために使用される。一次コントローラは、FoDシステムからの受信信号およびPPCA構成への発信信号をすべて処理する。図面では具体的に示されていないが、コントローラは、例えば図15に示すように、Hブリッジと連携して動作し、Hブリッジと通信し、または制御するように構成してもよい。本明細書に開示されたFoD技術は、金属物体の検出に有用であるだけでなく、電力が伝送される、または伝送される装置と通信する手段を提供するように構成されてもよい。この例では、FoD技術または装置は、一次コントローラがスマートデバイス(または充電される他のデバイス)などのデバイスに一方向近距離通信(NFC)リンクを作成することを可能にする。つまり、一次コントローラは、デバイスタイプ、必要な電力、伝送された電力などに関するフィードバックを受信機(Rx)側から受け取ってもよい。NFCリンクは、一次コントローラがTxコイルとRxコイルの間に配置された金属物体を検出するのにも役立つ。
【0053】
この例では、FoDxコイルの駆動に必要なコンバータの数を減らすために、各FoDxコイルは共振タンクを形成するように並列同調され、6×6 FoDxマトリクスの各行のすべての共振タンクは直列に接続される。各行の直列共振タンクは、2つの低周波の連続した直流スイッチを介して共通のHブリッジに接続されている。その後、コントローラはFoDxコイルの各行を一度にオンにし、各コイルの両端の電圧を測定する。
【0054】
FODシステムの感度を高めながら全体のコストと複雑さを低減することは、本発明の充電面の利点の1つである。この例では、コイルの分離に必要な精度を満たしながら製造を容易にするために、コイルは6層PCB上に提供されている。したがって、コイルの異なるセット、例えば、Txコイル、FoDxコイル、またはそれらの一部は、別個の層に設けられてもよい。36個のFoDxコイルの両端の電圧を測定するには別の計測器または検出回路が使用されるが、通常の低周波オペアンプを使用して最終価格をさらに下げることができる。
磁気設計
【0055】
本開示では前述したように、一例の充電面10は、180個のコイルを有しており、図示した例では実質的に正多角形であるが、例えば六角形や円形等の他のトポロジを用いることもできる。充電面は、便宜的にパッドまたは結合構造と呼ばれることがあり、一例では、36個の送信コイルと、36個のFoDxコイルを形成する144個の四重極(直列の4つのコイル)とを含む。Txコイル同士の電力循環を避けるために、互いに最小限の衝撃を与える必要がある。この基準を満たすために、図2に示すように、隣接するTxコイル30、35の各対は、循環モードで動作する双極構造を形成する。この構成により、送信コイル間の相互結合を最小限に抑えることでシステムの効率を向上させるだけでなく、充電面に磁気ヌル点のない受信機側で滑らかな電力プロファイルを実現することができる。
【0056】
以上で詳しく説明したように、FoDxコイルは金属物体の検出を目的として設計されており、スマート/充電デバイスへのNFCリンクも作成される。金属物体の加熱を防ぎ、電力損失を回避するために、FoDxコイルは、コントローラがTxコイルの結合領域に配置された金属物体を検出するのに役立つ。このため、コントローラは、受信コイルの近傍にあるTxコイルのみをオンにする。
【0057】
FoDxコイルの磁気設計を図3に示す。この例に係る充電面10の形態では、FoDxコイルが36個形成されている。各Foxコイル45は、磁気四重極を形成するために特定の極性で直列に接続された4つの小さなコイルで構成されている。FoDxコイルは、正多角形状のTxコイル30の内部に配置されて磁気セルを形成する。FoDxコイル45およびTxコイル30は磁気セル内で分離され、Txコイルが四重極から受け取る正味磁束がゼロになる結果、分離された磁気セルを形成する。
【0058】
FoDxコイルは、Txコイルからの分離に加えて、他のセルの隣接する他のFoDxコイルからも分離され、検出誤差を最小限に抑える。これは、隣接する四極を重ねることによって達成される。FoDxコイルは、双極DDモードで動作してもよい(このモードは、国際公開第2011/016737号、国際公開第2013/122483号、または国際公開第2010/090539号のうちの1つ以上に記載されており、その内容はすべて本明細書に組み込まれる)。また、この構成により、FoDxコイルが発生する磁場がZ軸周りに対称になるため、FoDxとFoDrコイルとの結合(後述するように受信コイル)は、デバイスの角度配置、すなわち充電面10に対する充電されるデバイスの回転位置とは独立している。TxコイルとFoDxコイルを含む2×6磁気セルマトリックスを図4に示す。本実施例の充電面の好ましい構成は6×6マトリクスであるが、図4に示すような他の構成を用いてもよい。
【0059】
TxコイルとFoDxコイルとは、磁気セル内で同時に通電してもよく、相互に影響を与えることなく、同時に通電してもよい。しかしながら、コイルを駆動するために使用される電子回路は、あらゆるタイプの二次または受信機、すなわち、充電面10上または充電面10の十分近くにあるRxコイルまたは金属物体の存在下で、コイルの動作を異なるものにする。送信コイルを駆動するために使用されるPPCAは、発生させる磁場を一定にし、負荷に依存しない。つまり、負荷によって磁場の大きさに変化が生じることはない。しかし、FoDxコイルを駆動する電子回路により、送信コイルとは反対の意味で動作する磁場が発生する。つまり、FoDx磁場は荷重に依存し、金属物体がFoDxコイルの結合領域に配置されている間、容易に停止または消失するか、実質的または大幅に減少する。図5は、磁気セル内の送信機およびFoDxコイルによって生成されるこれら2種類の磁場を示す。
プッシュプル駆動カプラーアレイ
【0060】
上述したように、本発明の充電面10の送信コイルTxを駆動するために、プッシュプル駆動カプラアレイ(PPCA)を用いることが好ましい。この構成では、各コイルを駆動するために可能な限り最小限の要素数を使用し、充電面のコストと複雑さを低減する。
【0061】
図7に示すように、各磁気セルの各Txコイル40は、補償コンデンサ、CPt、Cstを介してfに調整されて共振タンクを形成する。各共振タンクは、隣接する共振タンクと共通のDCインダクタスイッチペア(ISP)を共有している。共振タンクの両端にある2つのISPは、Txコイルを駆動するプッシュプルコンバータを形成する。
【0062】
6×6送信機マトリクスの各行のすべてのスイッチSは、固定周波数fswおよび固定50%デューティサイクルで動作する。各行のスイッチ間の位相シフトは、第1スイッチ、つまりSm0に対して0°または180°のいずれかになる。2つの隣接するスイッチを180°の位相シフトで駆動すると、それらの間のTxコイルが通電され、0°の位相シフトでスイッチが動作すると、対応するTxコイルの通電が解除される。非アクティブ化された共振タンクの両端の2つのスイッチを0°で操作すると、非アクティブ化されたカプラがスイッチング周期の半分ごとに短絡される。これは、隣接するコイル間の磁気結合の結果として強い磁場が蓄積するのを防ぐために、マルチコイル設計に特に有益である。
二次または受信機
【0063】
この例では、二次(受信機)側は、一次(送信機)側で使用されるものと同様のコイル構成を採用している。いくつかの例では、受信コイル構造の一部または全部が一次コイルと同様または同じであってもよい。他の形態の二次側も使用できる。図8に示すように、受信機は1つの正多角形(例えば)形状のコイル50、R、および3つのFoDrコイル(受信機のFoDコイル)55で構成されている。第1FoDコイルに加えて、FoDxとFoDrコイルとの間の位置ずれのヌル磁気結合を回避するために、FoDr1、第2および第3FoDコイFoDr2およびFoDFoDr3(好ましくは、図8の極に示すようにDD構造を有する)は二次側に追加される。受信コイルRは送信コイルTxから電力を受信し、FoDr1、FoDr2、FoDr3はFoDxコイルを介して一次側コントローラへのNFCリンクを開発する。
【0064】
FoDrコイルは、TxおよびRxコイルとの相互作用が最小限になるように設計されている。充電面に採用されたコイル配置は、コイル間の磁気結合を最小限に抑えるものの、FoDrとTx間には中心位置がない間に磁気結合がある可能性がある。FoDxコイルとTxコイルの相互作用を最小限に抑える磁気構造に加えて、FoDコイルはより高い周波数で動作するように設計されている。FoDxコイルをより高い周波数で動作させることで、FoDxコイルとTxコイル(およびFoDrコイルとTrコイルの間)の電子的な分離が追加されるだけでなく、二次側からより大きなインピーダンスを反映することでFoDシステムの性能が向上する。
【0065】
図9は、受信側のコイルを駆動するために使用される電子回路の例を示している。RxはLCL補償され、その後に整流器60とバックコンバータ65が付いて受信した電力を負荷、すなわちモバイルデバイスのバッテリに調整して伝達する。FoDrコイルはより高い周波数でLCL補償され、それらによって受け取られた電力は抵抗Rに消費される。しかしながら、FoDrコイルを介した電力損失の量は制限されており、数ミリワットを超えることはない。NFCリンクを開発するために、この例ではUARTモジュールを含む受信機コントローラ75によって制御されるRから、FoDr回路をSNFCから接続および切断してもよい。
磁気シミュレーション
【0066】
図10は、隣接するコイル間の磁気結合を示すために、磁気シミュレーションで使用される2x2磁気セルマトリックスを示す。コイルのサイズとコイル間の間隔は、コイル間の磁気結合を最小限に抑えるように設計されている。表1にTxコイル間の結合を示し、表2にFoDxコイルとTxコイル間の結合を報告する。表2によれば、FoDxと他のコイルとの結合は1%未満であり、Txコイルとの磁気結合は最大4%に達する。本開示で前に説明したように、PPCA構成は、非活性化されたカプラ上の循環電力を停止するためのTxコイル間の相互結合の望ましくない影響を低減する。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
図11に示すように、MAXWELLプログラムで受信機がその上を移動する1×4磁気セルマトリックスがシミュレートされた。受信コイルと送信コイル間の磁気結合と相互インダクタンスを、1×4磁気セルマトリックスに沿ったさまざまな位置で図12に示す。一次Txコイルのバイポーラ構造または分離構造により、受信機はTxコイルに対する相互インダクタンスを合理的に一定に保つ。したがって、PPCA構成は、受信コイルと重なる任意の数のTxコイルをオンにして電力を伝送することができる。
異物検出(FOD)
【0070】
充電面の6×6 FoDxマトリックス(本発明の好ましい形態では)を駆動するための提案されたFOD回路について、図13aを参照して説明する。各FoDxコイル45は、fに並列同調されて、共振タンク78を形成する。複数の共振タンクが直列に配置され、電流源によって電力が供給される。電流源は、HブリッジとLCLネットワークで構成され、すべての直列共振タンクに小さいながらも一定の電流を連続して供給する。この電流の大きさは比較的小さいが、この例ではピーク検出器およびコンパレータ79で示される検出回路を用いて、検出目的のために無負荷の共振タンクの両端に十分に大きな電圧を引き起こすように選択することができる。直列共振タンクの各行は、LCL回路とともに、2つの連続したDCスイッチ82を介して共通のHブリッジ80に接続される。
【0071】
FoDxコイルの結合領域に位置する異物は、対応する共振タンクのインピーダンスを著しく低下させ、したがって共振タンク全体の電圧を低下させる。共振タンクのインピーダンスの低下は、FoDxコイルのインダクタンスまたは抵抗の変化によって引き起こされる可能性がある。フェライトなどの磁性材料を有する異物は、FoDxコイルのインダクタンスばらつきを引き起こす可能性があり、アルミニウムなどの金属材料を有する異物は、FoDxコイルの反射抵抗を増大させる可能性がある。いずれの場合も、共振タンク間のインピーダンス、したがって電圧は大幅に低下する。コイルの行は、必要に応じて選択的に通電してもよく、例えば、パッド表面をスキャンするために順次通電してもよい。この例において計測回路90として示される検出回路は、インピーダンスおよび/または電圧の変化を検出するように構成されている。
図13bを参照して、充電面の6×6マトリクス(本発明の好ましい形態では)を駆動できる代替FOD回路を説明する。各行には、2つの高周波スイッチ82と、2つの直流インダクタ84とが設けられている。Viが一定であり、例えば、
【数1】
である限り、Va1,b1は常に一定であるため、電圧源として機能する。すべてのFoDコイル45が負荷されると、コンバータは短絡する。このプッシュプル構成における電流を制限するために、1つの共振タンク88を常に無負荷に保つことができる。これは、共振タンクの1つのLをディスクリートインダクタなどのインピーダンスに置き換えることによって発生する可能性がある。1つのFoDコイルに金属物体が負荷されている場合、対応する共振タンクの両端の電圧は低下するが、他の共振タンクの両端の電圧は増加する。
FOD数理モデリング
【0072】
図14に示すように、負荷されたFoDxコイル全体の電圧(つまり、異物からの反射インピーダンスで)を、あらかじめ定義された閾値電圧より低下させることは、異物の存在の指標として使用できる。
【0073】
図14(a)は、部分直列補償コンデンサを備えた2つの並列同調FoDxコイルを示しており、図14(b)は、共振周波数における等価抵抗を示し、実際の成分は破線で示されている。式(1)は、無負荷のFoDコイルの両端の電圧をV thrよりも高く保つために、FoDxコイルのESR値に最小制限があることを説明している。
【数2】
ここで、QESRは、
【数3】
で与えられる共振タンクの無負荷品質係数である。Qthrは、
【数4】
で与えられる平均閾値電圧(すなわち、
【数5】
)の目標品質係数である。一方、負荷されたFoDxコイルの品質係数は、電圧がV thr以下に低下するのに十分な低い必要がある。MO(金属物体)の存在下での共振タンクの負荷品質係数の最大制限は、次のように計算できる。
【数6】
ここで、
【数7】
であり、金属物体からの反射抵抗は次によって決まる:
【数8】
【0074】
FoDxコイルへの反射MOインピーダンスは、Qrefで許容できる低下を引き起こすはずである。そうしないと、FoDxコイル全体でかなりの電圧低下を引き起こすことはできず、FoDxコイルによって発生された磁場は引き続き強いままである。MOに対するFoDシステムの感度を高めるために、Qrefは可能な限り低くする必要がある。これは、LFoDを増加させてRrefを増加させ、部分補償直列コンデンサCsnを使用してLeffを減少させることによって起こり得る。
近距離無線通信(NFC)
【0075】
1)受信側のNFC回路を図9bに示す。前述のように、充電面上のFoDxコイルは、いくつかの例では、2つの目的を果たすことができる。それらは、金属物体検出用に設計されており、受信機への一方向NFCリンクを作成するために使用または構成することもできる。通信は充電面のFoDxと受信機側のFoDrコイルとの間で行われる。受信機が充電面に配置されると、FoDrは十分な磁気結合を含むそれらのFoDxコイルへのデータの送信を開始する。図8bに示すように、二次側のスイッチSNFCの状態により、FoDxコイルへの反射インピーダンスが変化し、その両端の電圧と生成される磁場に影響を与える。受信機側のスイッチを介した負荷の接続と切断は、意味のあるデータを一次FoDxコイルに送信する手段として使用できる。二次側のコントローラは、UARTモジュールを介してSNFCゲートにデータを送信し、図16に示す計測回路によって、一次側でデータを取得することができる。代替の計測回路、または回路構成を図18を参照して示し、説明する。
【0076】
2)図16では、この例の計測回路は、負のピーク値と正のピーク値を使用して、コイル全体の電圧を測定する。回路は、直流電圧を測定するために低周波オペアンプを使用している。特に、FoDコイルインピーダンスを測定する従来の方法とは対照的に、電圧と電流のRMS値と位相シフトを測定することで、ピーク電圧を測定し、それを閾値と比較する。
【0077】
3)図17は、図15に示す回路によって駆動された1行のFoDxコイルのシミュレーション結果を示している。図8および図9に示す受信回路は、行のFoDx12コイルの上に配置され、NFCリンクを開発する。受信機は、SNFCを介して負荷を接続および切断することで、FoDxへの反射インピーダンスの変更を開始する。反射負荷のこの変化は、他のFoDxコイルに影響を与えることなくFoDx12全体の電圧変化として現れ、計測回路を通じて検出され、V(FoDx12)として表示される。
【0078】
4)スマートデバイス(充電が必要なデバイス)は、FoDxコイルが充電面の上に配置されると、デバイスIDを送信し始め、一次コントローラが対応する送信コイルに適切な電流を通電する。この通信は、スマートデバイスと送信コイルの間に非常に小さな金属物体が置かれた場合に、一次コントローラが適切なアクションを実行するのにも寄与する。この場合、2つの可能なシナリオが発生する可能性がある。
【0079】
5)金属物体(MO)は、インダクタンスまたは反射抵抗に十分な変化を引き起こし、FoDx磁場の低下を引き起こす。この場合、磁場はすでにMOによって消失または実質的に除去されているため、スマートデバイスは反射抵抗を脈動させることによってそれ以上の変化を引き起こすことはできない。そのため、FoDコイルを介して一次と二次間で通信が行われず、一次コントローラは送信コイルに通電しない。
【0080】
システムの感度は、小さな金属物体がFoDx磁場を弱めるほど高くはない。この場合、スマートデバイスは磁気デバイスに変動を引き起こす可能性がある。したがって、FoDxコイルを介してスマートデバイスと送信機との間で一方向の通信が可能である。データは、デバイスIDに続いて、受信機側で受信した電力量になる。その後、送信機は全体的な効率を計算し、それが期待値より低いかどうかを検出して電力伝送を停止することができる。
【0081】
図18は、行100(x軸)と列110(y軸)からなるグリッドのNxNマトリックスのために、計測回路の数を2Nに減らすことができる代替計測回路を示している。
代替計測回路の目的は、アレイ内のFoDコイルを変圧器で(つまり、密にまたは密接に)結合して、xおよびyグリッドを掃引してFoDポイント、つまり異物の位置を特定できるようにすることである。これには、必要な機器のアンプとワイヤの数が最小限に抑えられ、測定プロセスが高速化されるという利点がある。
【0082】
3つのコイルが密結合されているため、無負荷のFoDコイルにかかる電圧は、検出コイル1と検出コイル2にかかる電圧と同じになる。図18に示すように、各行の検知コイル105は、層1上のグループとして直列に接続されている。各行の直列接続された検出コイルの両端の電圧はVrnであり、計測回路によって測定される。各列のセンシングコイル115は、層2上のグループとして直列に接続される。センシングコイルは、別個の層にあるのではなく、検出コイルと交互に配置することができる。各列の直列接続された検出コイルの両端の電圧はVcnであり、計測回路によって測定される。充電面の上に金属物が置かれていない場合、
【数9】
【数10】
(ここで、VUL)は、無負荷のFoDコイルの両端の電圧である。金属物体が充電面の上に置かれると、対応する行のVrnと対応する列のVcnがN*VULより下がる。
図19は、領域120および125によって示されるように、行内の2つのFoDコイルが負荷される場合を示す。この場合、Vr2、Vc1、およびVc3は、N*VULよりも低い電圧に低下する。2行目のVr2の直列センシングコイル間の電圧は、(N-2)*VULに低下し、連続したFoDxコイル数をNとした。これにより、センシングコイルの第1および第3列Vc1、Vc3の電圧が(N-1)*VULに低下する。
【0083】
上記開示は、以下の特徴を含む実施形態を提供する。
1-磁気構造
【0084】
a. 多重分離構造
b. 各FoDコイルは、隣接するFoDコイルから分離される。
c. 各FoDコイルは隣接するTxコイルから分離される。
d. 各Txコイルは、隣接するTxコイルから分離される。
【0085】
コイルアレイ内のFoDコイル間の相互結合は、検出誤差を増加させる可能性がある。この問題は、FoDコイルを分離することによって解決される。したがって、4重コイル(FoDコイル)は重なり合って互いに分離される。
2-FoDセンシング
【0086】
スイッチ数を減らし、1行あたり2つのスイッチを使用することで、回路の感度と信頼性が向上する。
【0087】
一連の直列共振タンク(分圧器)を駆動するプッシュプルコンバータ(図2
コンバータの出力電流を制限する追加のメカニズムは、各行に別の共振タンクを直列に配置することで実装できる。
LCLと直列共振タンク(電流源)を駆動するHブリッジ(図3
【0088】
駆動電流は回路パラメータによって制限されている。
【0089】
すべてのFoDコイルを同時に通電することができ、検出時間を最小限に抑えることができる。あるいは、各行に一度に通電して全体的な損失を減らすこともできる。
【0090】
数学分析に基づいて、FoDコイルと直列抵抗を接続すると、システムの感度が低下する。したがって、FoDコイルと直列のスイッチの数を制限すると、全体の損失が減少し、FoDシステムの感度が向上する。
2A-プッシュプルコンバータ:
【0091】
各行には2つの高周波スイッチと2つのDCインダクタが必要である。
Viが一定であればVa1、b1は常に一定であるため、電圧源として機能する。つまり
【数11】
である。
【0092】
すべてのFoDコイルが負荷されている場合、コンバータは短絡される。プッシュプル構成で電流を制限するには、1つの共振タンクを常に無負荷にしておく必要がある。これは、共振タンクの1つのLをディスクリートインダクタに置き換えることによって発生する可能性がある。
【0093】
一方のFoDコイルが金属物体によって負荷されると、対応する共振タンク間の電圧は低下し、他の共振タンク間の電圧は増加する。
選択スイッチを備えた2BLCL回路(常にどちらか1つだけをオンにする必要がある)
【0094】
I. 各行はLCL同調され、選択スイッチ、つまり2つの連続した低周波スイッチを介して共通のHブリッジに接続される。
II. 定電流が各行の共振タンクを駆動する。したがって、金属物体が存在すると、負荷付きのFoDコイルの両端の電圧は低下するが、無負荷のFoDコイルの両端の電圧は変化する。
3-センシング技術
【0095】
計測回路:
負のピーク値と正のピーク値を使用して、コイル全体の電圧を測定する。
- DC電圧を測定するためだけに低周波オペアンプを採用している。
- 電圧と電流のRMS値とそれらの間の位相シフトを測定することによってFoDコイルのインピーダンスを測定する従来の方法に対して、ピーク電圧を測定してしきい値と比較する。
【0096】
説明全体を通して、異なる実施形態における同じ特徴を参照するために、同じ参照符号が使用される。
【0097】
文脈上別段の要件がない限り、明細書全体において、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」等の語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包摂的な意味で、すなわち「含むが限定されない」という意味で説明されるものとする。
本発明は、例を用いて、可能な実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲を逸脱することなく、修正または改良されてもよいことを理解されたい。本発明はまた、本出願の明細書において個別にまたは集合的に参照または示される部分、要素および特徴、および前記部分、要素または特徴の2つ以上の任意またはすべての組み合わせからなる、と広義に言うこともできる。さらに、既知の同等物を有する本発明の特定の成分または整数が参照されている場合、これらの同等物は、別個に説明されているように、本明細書では結合される。
【0098】
本明細書における先行技術の如何なる説明も、先行技術が周知であること、又はその分野の常識の一部を構成することを認めるものとはみなされない。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図14a
図14b
図15
図16
図17
図18
図19
【国際調査報告】