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特表2024-545027バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20241128BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241128BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20241128BHJP
   H01M 50/273 20210101ALI20241128BHJP
   H01M 50/278 20210101ALI20241128BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M50/342 201
H01M50/211
H01M50/271 S
H01M50/273
H01M50/278
H01M50/271 B
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531690
(86)(22)【出願日】2023-08-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2023012048
(87)【国際公開番号】W WO2024111789
(87)【国際公開日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0156386
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン-ファン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ヨブ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ-ミ・ジュン
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA03
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC10
5H012FF01
5H040AA33
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC34
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、前記内部空間にバッテリーセルを収容し、前記複数の面のうちの第1の面に、前記内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔が設けられたモジュールケースと、前記モジュールケースに取り付けられて前記少なくとも1つのベント孔を覆うベント孔カバーと、を含み、前記ベント孔カバーは、前記少なくとも1つのベント孔に対応する、前記ベント孔カバーの一部分に設けられ、前記バッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成された開放部を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、前記内部空間にバッテリーセルを収容し、前記複数の面のうちの第1の面に、前記内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔が設けられたモジュールケースと、
前記モジュールケースに取り付けられて前記少なくとも1つのベント孔を覆うベント孔カバーと、
を含み、
前記ベント孔カバーは、
前記少なくとも1つのベント孔に対応する、前記ベント孔カバーの一部分に設けられた開放部であって、前記バッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成された前記開放部を備える、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記ベント孔カバーは、シート状に形成されており、前記複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態で前記モジュールケースに取り付けられている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記ベント孔カバーは、可撓性材料で構成されている、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記可撓性材料は、ポリイミド、芳香族ポリアミド及びフッ素樹脂のうちの1種または2種以上を含む、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記ベント孔カバーは、接着層が設けられた取り付け面を有し、前記取り付け面を介して前記モジュールケースの外面に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記ベント孔カバーは、
前記開放部を有し、前記第1の面を覆うカバー部と、
前記カバー部の一方の端から延び、前記複数の面のうちの前記第1の面と隣接する第2の面に取り付けられた第1の取り付け部と、
前記カバー部の他方の端から延び、前記複数の面のうちの前記第1の面と隣接する第3の面に取り付けられた第2の取り付け部と、を含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記開放部は、
前記モジュールケースに密着して、対応するベント孔の開口を閉鎖する一方、前記ベントガスの発生時には、前記モジュールケースから離間して前記開口を開放するように構成されたリード部と、
一方の端が、前記リード部を除く、前記ベント孔カバーの他の部分と接続されており、他方の端が前記リード部に接続されていて、前記モジュールケースから離間した前記リード部を支持するように構成された少なくとも1つの支持部と、を備える、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記モジュールケースは、前記対応するベント孔の内部に設けられ、前記リード部が前記対応するベント孔の内部に入るのを遮断するように構成された遮断ビームを備える、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つの支持部は、
前記リード部を支持するように構成されたメイン支持部と、
前記リード部を支持するために前記メイン支持部から離間した位置に配設された複数のサブ支持部であって、前記ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成された前記複数のサブ支持部と、を含む、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記少なくとも1つのベント孔は、第1の方向に配列された複数のベント孔を含み、
前記ベント孔カバーは、前記複数のベント孔の各々に対応する複数の開放部として、互いに異なる数の前記サブ支持部を含む複数の開放部を備え、
前記複数の開放部は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に多くのサブ支持部を含む開放部が位置するように構成されている、請求項9に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
前記少なくとも1つのベント孔は、互いに異なるサイズの開口を有し、第1の方向に配列された複数のベント孔を含み、
前記複数のベント孔は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズの開口を有するベント孔が位置するように構成されている、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
前記ベント孔カバーは、前記複数のベント孔の各々に対応する、互いに異なるサイズのリード部を有する複数の開放部を含み、
前記複数の開放部は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズのリード部を有する開放部が位置するように構成されている、請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、バッテリーパック。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年11月21日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0156386号に基づく優先権を主張し、当該特許出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーモジュール、当該バッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両に関し、より詳細には、充放電可能な複数のバッテリーセルを備えるバッテリーモジュール、このようなバッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、二次電池(secondary battery)とは、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー、ニッケルカドミウムバッテリー、ニッケル水素バッテリー、ニッケル亜鉛バッテリーなどといったように、繰り返し充放電が可能なバッテリーのことをいう。最も基本的な二次電池に該当するバッテリーセル(battery cell)は、約2.5V~4.2Vの出力電圧を提供することができる。
【0004】
近年、このような二次電池が電気車両(electric vehicle)やエネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)などのように高い出力電圧と大量の充電容量を要する装置に適用されることに伴い、複数のバッテリーセルを直列、並列、または直列と並列を組み合わせた方法で接続して構成されたバッテリーモジュール(battery module)と、このようなバッテリーモジュールを再び直列、並列、または直列と並列を組み合わせた方法で接続して構成されたバッテリーパック(battery pack)とが広く使用されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、従来のバッテリーモジュールは、密に積層された複数のバッテリーセルを、密閉構造の金属ケースの内部に収容する方式で製造されるていため、バッテリーモジュールの内部のいずれか1つのバッテリーセルでベントガスが発生した場合、当該ベントガスをバッテリーモジュールの外部に排出することが難しく、バッテリーモジュールの内部に熱エネルギーが蓄積され、短時間で他のバッテリーセルの連鎖的な熱暴走や発火を引き起こすという問題がある。
【0006】
また、このような従来のバッテリーモジュールでは、高温及び高圧のベントガスを意図した方向に排出することができないため、熱暴走が発生したバッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールの損傷や連鎖的な熱暴走を引き起こすという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2022-0052183号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、バッテリーモジュールの内部に収容されたバッテリーセルからのベントガスを速やかにバッテリーモジュールの外部に排出し、熱伝播時間を遅延させることができるバッテリーモジュール、このようなバッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記ベントガスの排出方向を意図された方向に制御することにより、当該バッテリーモジュールに収容されたバッテリーセル及び当該バッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールの損傷、連鎖的な熱暴走または連鎖的な発火を防止することができるバッテリーモジュール、このようなバッテリーモジュールを含むバッテリーパック及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るバッテリーモジュールは、複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、前記内部空間にバッテリーセルを収容し、前記複数の面のうちの第1の面に、前記内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔が設けられたモジュールケースと、前記モジュールケースに取り付けられて前記少なくとも1つのベント孔を覆うベント孔カバーと、を含み、前記ベント孔カバーは、前記少なくとも1つのベント孔に対応する、前記ベント孔カバーの一部分に設けられ、前記バッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成された開放部を備える。
【0011】
一実施形態において、前記ベント孔カバーは、シート(sheet)状に形成されており、前記複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態で前記モジュールケースに取り付けられ得る。
【0012】
一実施形態において、前記ベント孔カバーは、可撓性材料から構成され得る。
【0013】
一実施形態において、前記可撓性材料は、ポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド(aromatic polyamide)及びフッ素樹脂(fluoropolymer)のうちの1種又は2種以上を含み得る。
【0014】
一実施形態において、前記ベント孔カバーは、接着層が設けられた取り付け面を有し、前記取り付け面を介して前記モジュールケースの外面に取り付けられるように構成され得る。
【0015】
一実施形態において、前記ベント孔カバーは、前記開放部を有し、前記第1の面を覆うカバー部と、前記カバー部の一方の端から延び、前記複数の面のうちの前記第1の面と隣接する第2の面に取り付けられた第1の取り付け部と、前記カバー部の他方の端から延び、前記複数の面のうちの前記第1の面と隣接する第3の面に取り付けられた第2の取り付け部と、を含み得る。
【0016】
一実施形態において、前記開放部は、前記モジュールケースに密着して、対応するベント孔の開口を閉鎖する一方、前記ベントガスの発生時には、前記モジュールケースから離間して前記開口を開放するように構成されたリード部と、一方の端が、前記リード部を除く、前記ベント孔カバーの他の部分に接続されており、他方の端が前記リード部に接続されていて、前記モジュールケースから離間した前記リード部を支持するように構成された少なくとも1つの支持部と、を備え得る。
【0017】
一実施形態において、前記モジュールケースは、前記対応するベント孔の内部に設けられ、前記リード部が前記対応するベント孔の内部に入るのを遮断するように構成された遮断ビームを備え得る。
【0018】
一実施形態において、前記少なくとも1つの支持部は、前記リード部を支持するように構成されたメイン支持部と、前記リード部を支持するために前記メイン支持部から離間した位置に配設された複数のサブ支持部であって、前記ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成された前記複数のサブ支持部と、を含み得る。
【0019】
一実施形態において、前記少なくとも1つのベント孔は、第1の方向に配列された複数のベント孔を含み、前記ベント孔カバーは、前記複数のベント孔の各々に対応する複数の開放部として、互いに異なる数の前記サブ支持部を含む複数の開放部を備え、前記複数の開放部は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に多くのサブ支持部を含む開放部が位置するように構成され得る。
【0020】
一実施形態において、前記少なくとも1つのベント孔は、互いに異なるサイズの開口を有し、第1の方向に配列された複数のベント孔を含み、前記複数のベント孔は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズの開口を有するベント孔が位置するように構成され得る。
【0021】
一実施形態において、前記ベント孔カバーは、前記複数のベント孔の各々に対応する、互いに異なるサイズのリード部を有する複数の開放部を含み、前記複数の開放部は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズのリード部を有する開放部が位置するように構成され得る。
【0022】
本発明の他の一態様に係るバッテリーパックは、上述した実施形態のうちのいずれかの実施形態によるバッテリーモジュールを含み得る。
【0023】
本発明のさらに他の一態様に係る車両は、上述した実施形態のうちのいずれかの実施形態によるバッテリーモジュールを含み得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、バッテリーセルを収容するバッテリーモジュールのモジュールケースが、バッテリーセルからのベントガスを排出するベント孔を備え、前記モジュールケースに取り付けられて前記ベント孔を覆うベント孔カバーが、前記ベントガスによって開放されるように構成された開放部を備えることにより、バッテリーモジュールの内部に異物が侵入することを防止しつつ、バッテリーセルから発生したベントガスを速やかにバッテリーモジュールの外部に排出することができる。その結果、バッテリーモジュールの内部に蓄積される熱エネルギーを最小化して熱伝播時間を遅延させることができ、かつ、前記バッテリーモジュールに収容された他のバッテリーセルの連鎖的な熱暴走や発火を防止することができる。
【0025】
また、前記バッテリーモジュールのベント孔が前記モジュールケースの複数の面のうちの特定の面にのみ設けられることにより、バッテリーセルから発生した高温及び高圧のベントガスを意図された方向に排出することができ、その結果、前記バッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールの損傷や連鎖的な熱暴走を防止することができる。
【0026】
さらに、前記ベント孔カバーが、可撓性材料のシート状に形成されており、前記モジュールケースの複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態で前記モジュールケースに取り付けられることにより、バッテリーモジュールの軽量化及び製造工程の簡略化を図りつつ、ベント孔カバーがベントガスの圧力によってモジュールケースから外れてしまうことを防止することができる。
【0027】
さらにまた、前記ベント孔カバーの開放部が、前記リード部を支持するメイン支持部と、前記リード部を支持するために前記メイン支持部から離間した位置に配設された複数のサブ支持部であって、前記ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成された複数のサブ支持部と、を含むことにより、ベントガスの圧力に応じてベント孔の開口面積を調整することができる。
【0028】
これらに加えて、ベント孔の内部に遮断ビームが設けられていることにより、当該ベント孔の開口を開閉する前記開放部のリード部が外部圧力によって破断して当該ベント孔の内部に押し込まれることを防止することができる。
【0029】
さらに、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明による様々な実施形態が、上記において言及されていない色々な技術的課題を解決することができるということを、以下の説明から明らかに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの斜視図である。
図2図1に示すバッテリーモジュールの分解斜視図である。
図3】モジュールケースに取り付けられる前のベント孔カバーの形状を示す平面図である。
図4図1のA1部分の拡大図である。
図5図4に示すベント孔カバーの線S1-S1’に沿った断面図である。
図6図5に示すベント孔カバーの開放動作を示す図である。
図7】本発明の一変形実施形態によるベント孔カバーの開放部を示す図である。
図8図7に示すベント孔カバーの線S2-S2’に沿った断面図である。
図9図8に示すベント孔カバーのベントガス圧力による開放動作を示す図である。
図10図8に示すベント孔カバーのベントガス圧力による開放動作を示す図である。
図11】本発明の一変形実施形態によるモジュールケースのメインフレームを示す斜視図である。
図12】本発明の他の変形実施形態によるベント孔カバーを示す斜視図である。
図13図12の線S3-S3’線に沿った断面部の開放動作を示す図である。
図14】本発明のさらに他の変形実施形態によるモジュールケースのメインフレーム及びベント孔カバーを示す図である。
図15】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示す図である。
図16】本発明の一実施形態による車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の技術的課題に対応する解決方案を明確にするために添付図面を参照して本発明による実施形態について詳しく説明する。但し、本発明について説明するに当たって、本発明と関連する公知の技術についての説明がかえって本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはそれに関する説明は省略されることがある。また、本発明の説明に用いられる用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これらは、設計者、製造者などの意図又は慣例などによって異なってくる可能性がある筈である。よって、後述する用語に関する定義は、本明細書の全般に亘っての内容を踏まえて定義されることが妥当であるといえる。
【0032】
図1には、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10が斜視図で示されている。
【0033】
図1に示すように、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール10は、モジュールケース200及びベント孔カバー300を含む。
【0034】
前記モジュールケース200は、複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、このような内部空間にバッテリーセルを収容するように構成され得る。また、前記モジュールケース200は、前記複数の面のうちの第1の面に、内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔が設けられ得る。このようなモジュールケース200の外面には、その内部空間に収容されたバッテリーセルと電気的に接続される端子T1、T2が配置され得る。
【0035】
前記ベント孔カバー300は、モジュールケース200の外面に取り付けられて、モジュールケース200に設けられた少なくとも1つのベント孔を覆うように構成され得る。特に、前記ベント孔カバー300は、前記少なくとも1つのベント孔に対応するベント孔カバー300の一部分に設けられて、バッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成された開放部310を備え得る。
【0036】
図2には、図1に示すバッテリーモジュール10の分解斜視図が示されている。
【0037】
図2に示すように、前記バッテリーモジュール10のモジュールケース200は、メインフレーム210、第1のエンドフレーム220及び第2のエンドフレーム230を含み得る。
【0038】
前記メインフレーム210は、複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、このような内部空間に少なくとも1つのバッテリーセル100を収容するように構成され得る。例えば、前記メインフレーム210は、上面、下面、左面及び右面を有し、前端及び後端のそれぞれに開口が形成された管状に形成され得る。この場合、メインフレーム210は、剛性及び耐熱性を有する金属材料から構成され得る。
【0039】
このようなモジュールケース200のメインフレーム210を構成する複数の面のうち上面には、メインフレーム210の内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔212が設けられ得る。
【0040】
一方、モジュールケース200に収容されるバッテリーセル100は、充放電可能な基本的な二次電池に相当するものである。このようなバッテリーセル100は、その長手方向(X軸方向)の両端に電極リードを有するパウチ型のバッテリーセルであり得る。この場合、モジュールケース200に収容されるバッテリーセルは、一方向(Y軸方向)に互いに積層された状態でモジュールケース200に収容され得る。実施形態によっては、モジュールケース200に収容されるバッテリーセル100が角型または円筒型のバッテリーセルで構成され得ることはいうまでもない。
【0041】
前記第1のエンドフレーム220は、メインフレーム210の前端に結合されて、メインフレーム210の前端開口を気密に覆うように構成され得る。また、第1のエンドフレーム220の外面には、メインフレーム210の内部空間に収容されたバッテリーセルと電気的に接続される端子T1、T2が配置され得る。このような第1のエンドフレーム220は、剛性及び耐熱性を有する金属、合成樹脂、または金属と合成樹脂との組み合わせ材料から構成され得る。
【0042】
前記第2のエンドフレーム230は、メインフレーム210の後端に結合されて、メインフレーム210の後端開口を気密に覆うように構成され得る。このような第2のエンドフレーム230は、剛性及び耐熱性を有する金属、合成樹脂、または金属と合成樹脂との組み合わせ材料から構成され得る。
【0043】
前記ベント孔カバー300は、モジュールケース200のメインフレーム210に取り付けられて、メインフレーム210の上面に設けられたベント孔212を覆うように構成され得る。特に、ベント孔カバー300は、メインフレーム210のベント孔212に対応する、ベント孔カバー300の各部分に設けられた開放部310を備え得る。このような開放部310は、モジュールケース200に収容されたバッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成され得る。
【0044】
また、前記ベント孔カバー300は、シート(sheet)状に形成されており、モジュールケース200の複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態でモジュールケース200に取り付けられ得る。このために、前記ベント孔カバー300は、前記開放部310を有し、モジュールケース200の上面を覆うカバー部302と、カバー部302の一方の端から延び、前記上面と隣接するモジュールケース200の一方の側面に取り付けられた第1の取り付け部304と、カバー部302の他方の端から延び、前記上面と隣接するモジュールケース200の他方の側面に取り付けられた第2の取り付け部306と、を含み得る。
【0045】
図3には、モジュールケース200に取り付けられる前のベント孔カバー300の形態が平面図で示されている。
【0046】
図3に示すように、前記ベント孔カバー300は、シート(sheet)状に形成されており、モジュールケース200の複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込む形状にモジュールケース200に取り付けられ得る。
【0047】
このため、前記ベント孔カバー300は可撓性材料から構成され得る。前記ベント孔カバー300を構成する可撓性材料は、可撓性及び高耐熱性を有するポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド(aromatic polyamide)及びフッ素樹脂(fluoropolymer)のうちの1種又は2種以上を含み得る。
【0048】
また、前記ベント孔カバー300は、モジュールケース200の外面に取り付けられる取り付け面を備え得る。この場合、ベント孔カバー300の取り付け面には接着層が設けられ得る。前記ベント孔カバー300は、このような取り付け面を介して、モジュールケース200の上面を含む複数の面に取り付けられ得る。
【0049】
上述したように、前記ベント孔カバー300は、開放部310を有し、モジュールケース200の第1の面を覆うカバー部302と、カバー部302の一方の端から延び、前記第1の面と隣接するモジュールケース200の第2の面に取り付けられた第1の取り付け部304と、カバー部302の他方の端から延び、前記第1の面と隣接するモジュールケース200の第3の面に取り付けられた第2の取り付け部306と、を含み得る。この場合、前記ベント孔カバー300の第1の取り付け部304及び第2の取り付け部306はもとより、カバー部302もまた、接着層が設けられた取り付け面を備え得る。
【0050】
図4には、図1のA1部分が拡大図で示されている。
【0051】
図4に示すように、ベント孔カバー300の開放部310は、リード部312と、少なくとも1つの支持部314と、を備え得る。
【0052】
前記リード部312は、対応するベント孔の開口を開閉するリード(lid)に相当するものである。このようなリード部312は、バッテリーセルからベントガスが発生しない一般的な場合、モジュールケース200に密着して、対応するベント孔の開口を閉鎖する一方、バッテリーセルからベントガスが発生する場合、モジュールケース200から離間して、対応するベント孔の開口を開放するように構成され得る。
【0053】
前記少なくとも1つの支持部314は、一方の端が、リード部312を除く、ベント孔カバー300の他の部分(例えば、モジュールケース200に取り付けられるベント孔カバー300の本体部分)と一体に接続されており、他方の端がリード部312と一体に接続されていて、ベントガスの圧力によってモジュールケース200から離間したリード部312を支持するように構成され得る。
【0054】
このようなベント孔カバー300の開放部310は、ベント孔カバー製造用シートの一面に、開放部310の形状に対応するノッチや切り欠きが形成されるように設けられ得る。
【0055】
図5には、図4に示すベント孔カバー300の線S1-S1’に沿った断面図が示されている。
【0056】
図5に示すように、モジュールケース200の内部のバッテリーセルからベントガスが発生しない一般的な場合では、ベント孔カバー300の開放部310は、モジュールケース200のメインフレーム210に設けられた対応するベント孔212の開口を覆って閉鎖しているのが普通である。
【0057】
このため、開放部310のリード部312は、ベント孔212の開口面積と同じかそれ以上の面積を有し得る。
【0058】
図6には、図5に示すベント孔カバー300の開放動作が示されている。
【0059】
図6に示すように、モジュールケース200内のバッテリーセルからベントガスが発生すると、ベント孔カバー300の開放部310は、ベントガスの圧力によって破断して開放され得る。
【0060】
例えば、モジュールケース200内のバッテリーセルからベントガスが発生した場合、開放部310のリード部312は、ベントガスの圧力によってモジュールケース200のメインフレーム210から離間してベント孔212の開口を開放し得る。この場合、開放部310の支持部314は、モジュールケース200から離間したリード部312を支持し、リード部312は、支持部314を中心に回転することにより、当該ベント孔212の開口を開放し得る。
【0061】
参考までに、リード部312がベントガスの圧力によってベント孔カバー300から完全に外れてしまうと、外れたリード部の破片がバッテリーパック内部で様々な問題を引き起こす可能性がある。このような問題を防止するために、前記支持部314は、リード部312がベント孔カバー300から引き離されないようにリード部312を支持することができる。
【0062】
このように、モジュールケース200に取り付けられてモジュールケース200のベント孔212を覆うベント孔カバー300が、モジュールケース200の内部に収容されたバッテリーセルからのベントガスによって開放されるように構成された開放部310を備えることにより、バッテリーモジュールの内部への異物の侵入を防止しながら、バッテリーセルから発生したベントガスを速やかにバッテリーモジュールの外部に排出することができる。その結果、バッテリーモジュールの内部に蓄積される熱エネルギーを最小限にして熱伝播時間を遅延させることができ、バッテリーモジュールに収容された他のバッテリーセルの連鎖的な熱暴走や発火を防止することができる。
【0063】
また、ベント孔カバー300が、可撓性材料のシート状に形成されており、モジュールケース200の複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態でモジュールケース200に取り付けられることにより、バッテリーモジュールの重量を低減し、製造工程を簡素化するとともに、ベントガスの圧力によってベント孔カバー300がモジュールケース200から外れてしまうことを防止することができる。
【0064】
また、バッテリーモジュールのベント孔がモジュールケース200の複数の面のうちの特定の面にのみ設けられることにより、バッテリーセルから発生した高温及び高圧のベントガスを意図された方向に排出することができ、その結果、当該バッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールの損傷や連鎖的な熱暴走を防止することができる。
【0065】
図7には、本発明の一変形実施形態によるベント孔カバー300Aの開放部310Aが示されている。
【0066】
図7に示すように、前記ベント孔カバー300Aの開放部310Aは、リード部312Aと、複数の支持部314A、316とを備え得る。
【0067】
前記リード部312Aは、バッテリーセルからベントガスが発生しない一般的な場合には、モジュールケース200に密着して、対応するベント孔の開口を閉鎖しており、これに対し、バッテリーセルからベントガスが発生する場合には、モジュールケース200から離間して、対応するベント孔の開口を開放するように構成され得る。
【0068】
前記複数の支持部314A、316の各々は、一方の端が、リード部312Aを除くベント孔カバー300Aの本体部分と一体に接続されており、他方の端がリード部312Aと一体に接続されていて、ベントガスの圧力によってモジュールケース200から離間したリード部312Aを支持するように構成され得る。
【0069】
特に、複数の支持部314A、316は、メイン支持部314Aと、複数のサブ支持部316とを含み得る。
【0070】
この場合、メイン支持部314Aは、ベントガス圧力によってモジュールケース200から離間したリード部312Aを支持するように構成され得る。また、複数のサブ支持部316は、メイン支持部314Aから離間して配設されて、モジュールケース200から離間したリード部312Aを支持するが、ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成され得る。このため、前記複数のサブ支持部316は、それぞれメイン支持部314Aと同じ長さ及び厚さを有するが、メイン支持部314Aよりも狭い幅を有し得る。
【0071】
例えば、モジュールケース200内部のバッテリーセルから発生したベントガスの圧力が第1の限界圧力を超えると、前記リード部312Aの先端部分がベント孔カバー300Aの本体から分離されてモジュールケース200から離間することにより、モジュールケース200のベント孔212が部分的に開放され得る。この場合、複数のサブ支持部316がリード部312Aの先端部分を支持し得る。
【0072】
一実施形態において、前記リード部312Aの先端部分と残りの部分との間には、前記先端部分の開放を容易にするための折り曲げ線318が設けられ得る。前記折り曲げ線318の部分は、リード部312Aの他の部分よりも薄い厚さで形成され得る。
【0073】
一方、前記ベントガスの圧力が前記第1の限界圧力よりも大きい第2の限界圧力を超えると、リード部312Aの先端部分を支持していた複数のサブ支持部316が破断し、前記リード部312Aの残りの部分もベント孔カバー300Aの本体から分離されてモジュールケース200から離間することにより、モジュールケース200のベント孔212が完全に開放され得る。この場合、メイン支持部314Aは、リード部312Aの全体を支持し得る。
【0074】
図8には、図7に示すベント孔カバー300Aの線S2-S2’に沿った断面図が示されている。
【0075】
図8に示すように、モジュールケース200内のバッテリーセルからベントガスが発生しない一般的な場合には、ベント孔カバー300Aの開放部310Aは、モジュールケース200のメインフレーム210に設けられた対応するベント孔212の開口を覆って閉鎖されているのが普通である。
【0076】
このため、開放部310Aのリード部312Aは、ベント孔212の開口面積と同じかそれ以上の面積を有し得る。また、リード部312Aの一面には、リード部312Aの折り曲げを容易にする折り曲げ線318が設けられ得る。
【0077】
図9及び図10には、図8に示すベント孔カバー300Aのベントガス圧力による開放動作が示されている。
【0078】
まず、図9に示すように、モジュールケース200内のバッテリーセルから発生したベントガスの圧力が第1の限界圧力を超えると、前記リード部312Aが折り曲げ線318を中心に折り曲げられて、リード部312Aの先端部分がモジュールケース200のメインフレーム210から離間することにより、モジュールケース200のベント孔212が部分的に開放され得る。この場合、前記複数のサブ支持部316がリード部312Aの先端部分を支持し得る。
【0079】
次に、図10に示すように、モジュールケース200内のバッテリーセルから発生したベントガスの圧力が前記第1の限界圧力よりも大きい第2の限界圧力を超えると、リード部312Aの先端部分を支持していた複数のサブ支持部316が破断し、前記リード部312Aの残りの部分もベント孔カバー300Aの本体から分離されてモジュールケース200から離間することにより、モジュールケース200のベント孔212が完全に開放され得る。この場合、メイン支持部314Aは、リード部312Aの全体を支持することができる。
【0080】
このように、ベント孔カバー300Aの開放部310Aが、リード部312Aを支持するメイン支持部314Aと、メイン支持部314Aから離間して配設されてリード部312Aを支持するが、ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成された複数のサブ支持部316と、を含むことにより、ベントガスの圧力に応じてベント孔の開口面積を調整することができる。
【0081】
図11には、本発明の一変形実施形態によるモジュールケースのメインフレーム210Aが斜視図で示されている。
【0082】
図11に示すように、一変形実施形態によるモジュールケースのメインフレーム210Aは、図2に示すメインフレーム210と同様に、複数の面によって取り囲まれた内部空間を有し、このような内部空間に少なくとも1つのバッテリーセルを収容するように構成され得る。例えば、前記メインフレーム210Aは、上面、下面、左面及び右面を有し、前端及び後端のそれぞれに開口が形成された管状に形成され得る。この場合、メインフレーム210Aは、剛性及び耐熱性を有する金属材料から構成され得る。
【0083】
また、このようなメインフレーム210Aを構成する複数の面のうち上面には、メインフレーム210Aの内部空間と連通する少なくとも1つのベント孔212Aが設けられ得る。
【0084】
特に、前記モジュールケースのメインフレーム210Aは、ベント孔212Aの内部に設けられており、前述のベント孔カバー300、300Aのリード部312、312Aが当該ベント孔212Aの内部に入るのを遮断するように構成された遮断ビーム214を備え得る。
【0085】
このようにして、ベント孔212Aの内部に遮断ビーム214が設けられることにより、ベント孔212Aの開口を開閉するベント孔カバー300、300Aのリード部312、312Aが、他のバッテリーモジュールから発生したベントガス圧力などの外部圧力によって破断して当該ベント孔212Aの内部に押し込まれることを防止することができる。
【0086】
図12には、本発明の他の変形実施形態によるベント孔カバー300Bが斜視図で示されている。
【0087】
図12に示すように、本発明の他の変形実施形態において、モジュールケース200のメインフレーム210、210Aは、第1の方向(Y軸方向)に並んだ複数のベント孔を含み、ベント孔カバー300Bは、前記複数のベント孔にそれぞれ対応して前記第1の方向に配列された複数の開放部310B、310B’を備え得る。
【0088】
この場合、前記複数の開放部310B、310B’は、図7に示す開放部310Aのサブ支持部316に対応する構成を互いに異なる数で含み得る。特に、前記複数の開放部310B、310B’は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に多くのサブ支持部を含む開放部が位置するように構成され得る。
【0089】
例えば、前記複数の開放部310Aは、第1タイプの開放部310Bと、第2タイプの開放部310B’とを含み得る。前記第1タイプの開放部310Bは、図4に示す開放部310と同様に、ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えた場合にも破断しないように構成された支持部のみを含み得る。
【0090】
一方、前記第2タイプの開放部310B’は、図7に示す開放部310Aと同様に、ベントガスの圧力が前記限界圧力を超えた場合にも破断しないように構成されたメイン支持部と、ベントガスの圧力が前記限界圧力を超えた場合に破断するように構成された複数のサブ支持部と、を含み得る。
【0091】
このような第1タイプの開放部310B及び第2タイプの開放部310B’は、所定のガス排出方向(例えば、Y軸方向)に配列され得る。この場合、前記ガス排出方向を基準として、サブ支持部を有しない第1タイプの開放部310Bが前方に位置し、サブ支持部を有する第2タイプの開放部310B’が後方に位置することになる。
【0092】
このように、複数の開放部310B、310B’を、ガス排出方向に向かうにつれて、相対的に多くのサブ支持部を含む開放部が位置するように構成することにより、前記ガス排出方向を基準として、前方に位置するベント孔から排出されたガスの流れが、後方に位置するベント孔カバーの開放部によって妨げられる現象を最小限に抑えることができる。これは、前記ベントガスの圧力が前記限界圧力を超えないことを条件として、サブ支持部の数が多い開放部は、開放されて起立状態となる部分の面積が相対的に小さくなるからである。
【0093】
参考までに、前記ガス排出方向は、当該バッテリーモジュール10が収容されるバッテリーパックのガス排出経路に関連して決定され得る。
【0094】
図13には、図12の線S3-S3’線に沿った断面部の開放動作が示されている。
【0095】
図13に示すように、モジュールケース200の内部に収容されたバッテリーセルから発生したベントガスの圧力が、第1タイプ及び第2タイプの開放部310B、310B’を開放するための第1の限界圧力より大きく、第2タイプの開放部310B’のサブ支持部を破断させるための第2の限界圧力より小さい場合、第1タイプの開放部310Bは、開放部全体が開放されて起立状態となるが、第2タイプの開放部310B’は、サブ支持部によって当該開放部の一部のみが開放されて起立状態となり得る。
【0096】
その結果、第1タイプの開放部310Bによって開放されたベント孔から排出されたガスの流れが、第2タイプの開放部310B’によって妨げられる現象を最小限に抑えることができる。
【0097】
図14には、本発明のさらに他の変形実施形態によるモジュールケースのメインフレーム210B及びベント孔カバー300Cが示されている。
【0098】
図14に示すように、前記モジュールケースのメインフレーム210Bは、互いに異なるサイズの開口を有し、所定のガス排出方向(Y軸方向)に配列された複数のベント孔212B、212B’を含み得る。この場合、前記複数のベント孔212B、212B’は、前記第1の方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズの開口を有するベント孔が位置するように構成され得る。
【0099】
例えば、前記複数のベント孔212B、212B’は、相対的に大きい開口を有するベント孔212Bと、相対的に小さい開口を有するベント孔212B’と、を含み得る。また、前記ガス排出方向を基準として、相対的に大きい開口を有するベント孔212Bが前方に位置し、相対的に小さい開口を有するベント孔212B’が後方に位置し得る。
【0100】
一方、前記ベント孔カバー300Cは、前記複数のベント孔212B、212B’の各々に対応する、互いに異なるサイズのリード部を有する複数の開放部310C、310C’を含み得る。この場合、前記複数の開放部310C、310C’は、前記ガス排出方向に向かうにつれて、相対的に小さいサイズのリード部を備える開放部が位置するように構成され得る。
【0101】
このように、前記メインフレーム210Bの複数のベント孔212B、212B’と、前記ベント孔カバー300Cの複数の開放部310B、310B’とを、ガス排出方向に向かうにつれて相対的に小さくなるように構成することにより、前記ガス排出方向を基準として、前方に位置するベント孔から排出されたガスの流れが、後方に位置するベント孔カバーの開放部によって妨げられる現象を最小限に抑えることができる。
【0102】
図15には、本発明の一実施形態によるバッテリーパック20が示されている。
【0103】
図15に示すように、本発明の一実施形態によるバッテリーパック20は、上述した様々な実施形態のうちのいずれかの実施形態によるバッテリーモジュール10を含み得る。また、前記バッテリーパック20は、前記バッテリーモジュール10を1つ又は2つ以上収容するパックケース22、24をさらに含み得る。
【0104】
前記パックケース22、24は、複数のバッテリーモジュールを収容する収容空間を有するパックトレイ(pack tray)22と、このようなパックトレイ22の上端開口を覆うパックリッド(pack lid)24と、を含み得る。
【0105】
前記パックトレイ22は、前記収容空間を仕切るクロスビーム22aを含み得る。また、前記収容空間を形成する前記パックトレイ22の壁体には、各バッテリーモジュール10から発生したベントガスを排出するためのガスチャネル22bが設けられ得る。例えば、ガスチャネル22bは、前記クロスビーム22aを基準として、左側に位置するバッテリーモジュールのベントガスが左方向に排出され、右側に位置するバッテリーモジュールのベントガスが右方向に排出されるように設けられ得る。
【0106】
また、前記バッテリーパック20は、パックケース22、24に収容されたバッテリーモジュール10、またはバッテリーモジュール10に含まれているバッテリーセルの充放電動作を制御したり、充電状態(SOC:State Of Charge)、健康状態(SOH:State Of Health)などをモニタリングしたりする各種電装部品(図示せず)をさらに含み得る。これらの電装部品は、バッテリーモジュール10とともにパックケース22、24に収容され得る。
【0107】
図16には、本発明の一実施形態による車両2が示されている。
【0108】
図16に示すように、本発明の一実施形態による車両2は、上述した様々な実施形態のうちのいずれかの実施形態によるバッテリーモジュール10を含み得る。例えば、前記車両2は、前記バッテリーモジュール10を1つ又は2つ以上内蔵したバッテリーパック20を含み得る。この場合、バッテリーモジュール10またはバッテリーモジュール10を含むバッテリーパック20は、前記車両2の様々な動作に必要な電気エネルギーを提供することができる。
【0109】
参考までに、本発明によるバッテリーモジュール10は、車両以外にも様々な電気装置や電気システムに適用できることはもとより、エネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)にも適用できる。
【0110】
以上説明したように、本発明によれば、バッテリーセルを収容するバッテリーモジュールのモジュールケースが、バッテリーセルからのベントガスを排出するベント孔を備え、前記モジュールケースに取り付けられて前記ベント孔を覆うベント孔カバーが、前記ベントガスによって開放されるように構成された開放部を備えることにより、バッテリーモジュールの内部に異物が侵入することを防止しつつ、バッテリーセルから発生したベントガスを速やかにバッテリーモジュールの外部に排出することができる。その結果、バッテリーモジュールの内部に蓄積される熱エネルギーを最小化して熱伝播時間を遅延させることができ、かつ、前記バッテリーモジュールに収容された他のバッテリーセルの連鎖的な熱暴走や発火を防止することができる。
【0111】
また、前記バッテリーモジュールのベント孔が前記モジュールケースの複数の面のうちの特定の面にのみ設けられることにより、バッテリーセルから発生した高温及び高圧のベントガスを意図された方向に排出することができ、その結果、前記バッテリーモジュールと隣接する他のバッテリーモジュールの損傷や連鎖的な熱暴走を防止することができる。
【0112】
さらに、前記ベント孔カバーが、可撓性材料のシート状に形成されており、前記モジュールケースの複数の面のうちの少なくとも2つの面を包み込んだ状態で前記モジュールケースに取り付けられることにより、バッテリーモジュールの軽量化及び製造工程の簡略化を図りつつ、ベント孔カバーがベントガスの圧力によってモジュールケースから外れてしまうことを防止することができる。
【0113】
さらにまた、前記ベント孔カバーの開放部が、前記リード部を支持するメイン支持部と、前記メイン支持部から離間して配設されて前記リード部を支持するが、前記ベントガスの圧力が所定の限界圧力を超えると破断するように構成された複数のサブ支持部とを含むことにより、ベントガスの圧力に応じてベント孔の開口面積を調整することができる。
【0114】
これらに加えて、ベント孔の内部に遮断ビームが設けられることにより、当該ベント孔の開口を開閉する前記開放部のリード部が、外部圧力によって破断して当該ベント孔の内部に押し込まれることを防止することができる。
【0115】
さらに、本発明による実施形態は、当該技術分野はもちろんのこと、関連する技術分野においてこの明細書中に言及されている内容以外の他の色々な技術的課題を解決することができるということはいうまでもない。
【0116】
これまで本発明について具体的な実施形態を参考にして説明した。しかしながら、当業者であれば、本発明の技術的な範囲において様々な変形の実施形態が実現されることが可能であるということが明らかに理解できるであろう。よって、以上において開示されている実施形態は、限定的な視点ではなく、説明的な視点から考慮されるべきである。すなわち、本発明の真の技術的な思想の範囲は、特許請求の範囲に示されており、それと均等な範囲内にあるあらゆる相違点は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0117】
2 車両
10 バッテリーモジュール
20 バッテリーパック
22 パックトレイ
22 パックトレイ(パックケース)
22a クロスビーム
22b ガスチャネル
24 パックケース(パックリッド)
100 バッテリーセル
200 モジュールケース
210 メインフレーム
210A メインフレーム
210B メインフレーム
212 ベント孔
212A ベント孔
212B ベント孔
214 遮断ビーム
220 第1のエンドフレーム
230 第2のエンドフレーム
300 ベント孔カバー
300A ベント孔カバー
300B ベント孔カバー
300C ベント孔カバー
302 カバー部
304 付け部
306 付け部
310 開放部
310A 開放部
310B 開放部
310C 開放部
312 リード部
312A リード部
314 支持部
314A メイン支持部
316 サブ支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【図
【図
【図
【図
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【国際調査報告】