(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ゼオライト/エラストマー複合材料
(51)【国際特許分類】
C01B 39/14 20060101AFI20241128BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20241128BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241128BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C01B39/14
B01J20/18 D
C08L101/00
C08K3/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532233
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022083447
(87)【国際公開番号】W WO2023099390
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルティス,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】リュッツ,セシル
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,カリーヌ
【テーマコード(参考)】
4G066
4G073
4J002
【Fターム(参考)】
4G066AA62B
4G066AC10C
4G066AC13C
4G066AC14C
4G066AC28C
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4J002AA001
4J002AC011
4J002AC031
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(57)【要約】
本発明は、複合材料であって、a)少なくとも1つのエラストマー、b)該複合材料の総重量に対して30重量%以上の量のタイプ3Aゼオライトであって、カチオン部位が、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、周期表のIIA族からの少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオン及びヒドロニウムイオンによって占有されているタイプ3Aゼオライトを含む複合材料に関する。
本発明はまた、マスターバッチの製造のための、包装のための、及び複層ガラスの製造のための吸着材料としての前記複合材料の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
a) 少なくとも1つのエラストマー、及び
b) 該複合材料の総重量に対して30重量%以上の量のタイプ3Aゼオライトであって、カチオン部位が、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、周期表のIIA族からの少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオン及びヒドロニウムイオンによって占められている、タイプ3Aゼオライト
を含む複合材料。
【請求項2】
前記カチオン部位が、カリウムカチオンによって35%~70%の範囲まで、ナトリウムカチオンによって2%~62%の範囲まで、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオンによって2%~30%の範囲まで、ヒドロニウムカチオンによって1%~5%の範囲まで占められている(ただし、パーセンテージは、交換可能な部位の総モル数に対するカチオンのモル数で表される)、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属カチオンが、マグネシウムカチオン及びカルシウムカチオン並びに任意の割合のそれらの混合物から選択される、請求項1又は請求項2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記選択されたアルカリ土類金属カチオンがカルシウムであり、前記カチオン部位が、5%~30%、好ましくは5%~20%、より好ましくは5%~15%の範囲内でカルシウムカチオンによって占められている、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記3Aゼオライト結晶の数平均直径が、SEM画像でカウントして計算して、0.1μm~4.0μm、好ましくは0.2μm~3.5μm、より好ましくは0.3μm~3.0μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
前記ゼオライトの含有率が、前記複合材料の総重量に対して、30%~90%、好ましくは40%~85%、さらに良好には45%~80%、さらにより好ましくは50%~80%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
ゼオライトの総重量に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の量の1つ以上の他のゼオライトであって、LTAタイプの他のゼオライト、例えば4Aゼオライト及び5Aゼオライトから、1~100のSi/Alモル比を有するフォージャサイト(LSX、MSX、X又はYタイプのFAU)から、タイプEMTゼオライトから、5~500のSi/Alモル比を有するタイプMFIゼオライトから、タイプGISゼオライト(例えばゼオライトP)から、タイプSODゼオライト(例えばソーダライト)から、タイプMORゼオライトから、タイプHEUゼオライトから、及びタイプBEAゼオライトから選択される1つ以上の他のゼオライトをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
架橋剤、着色剤、顔料、抗菌剤、防曇剤、膨潤剤、分散剤、潤滑剤、難燃剤、充填剤、結合剤及び官能性ポリオレフィンタイプの相溶化剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
前記エラストマーマトリックスが、ポリシロキサン、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリニトリル、水素化若しくは部分水素化ポリニトリル、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ポリイソブチレン及びポリイソブテン、ハロゲン化若しくは非ハロゲン化イソブチレン-イソプレンエラストマーコポリマー、ポリクロロプレン、EPDMゴム、塩素化ポリエチレン、ポリスルホン化ゴム、ポリイソプレン、並びに任意の割合のこれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上のエラストマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
マスターバッチの製造のための、包装のための、及び複層ガラスの製造のための、吸着剤複合材料としての、乾燥剤複合材料としての、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の分野に関し、特にゼオライト結晶、特に3Aゼオライト結晶が組み込まれたエラストマー材料に関し、前記材料は、水の吸着が望まれる多様な用途、より具体的には乾燥用途において有用である。
【0002】
したがって、本発明は、ゼオライト、特に3Aゼオライトの結晶をエラストマーマトリックス、より具体的には熱可塑性エラストマーマトリックスに組み込むことによって得られる複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
ゼオライト結晶は、典型的には、高出力ミキサー、例えば、ブラベンダー型ミキサー、層流ミキサー、ツインスクリューミキサー、押出機、さらにはカレンダーなどを使用して組み込まれる。しかし、ゼオライト結晶をポリマーマトリックスと混合する間に生じる高い粘度は、組み込みを困難にすることが多い。これは、とりわけ、ゼオライト結晶の組み込みのレベルを制限する必要性をもたらすが、望ましいのは、所望の吸着特性、例えば乾燥剤特性を最良に確保するために、ポリマーマトリックス中のゼオライト結晶の最大の組み込みを達成することである。
【0004】
また、特定の用途におけるエラストマー/ゼオライト複合材料の有効性の理由から、極小分子、例えば窒素、酸素及びアルゴンの潜在的な共吸着を可能な限り回避しながら、乾燥用途における水などの特定の分子への吸着を制限することが必要な場合がある。これは、そのような分子が、前記複合材料の製造又は使用中に起こり得るタイミングの悪い脱着の結果として、複合材料の機械的特性、視覚的知覚又は触覚的知覚を変化させる可能性があるためである。
【0005】
様々な研究が、ゼオライト結晶をポリマーマトリックスに組み込むことを可能にする解決策を既に提案しており、これらには、例えば、熱可塑性エラストマー組成物が、ゼオライトと、熱可塑性ポリマーと、フェノール樹脂で部分的に硬化したエラストマーとを含む、文献EP2690136A1号に記載されているものが含まれる。硬化前にフェノール樹脂に導入されたゼオライトは、塩化第一スズによるフェノール樹脂への架橋の活性化に通常起因した黄色の着色を排除することを可能にする。最終組成物中のゼオライト含有率は47%と高くてもよいが、はるかに低い含有率が好ましい。
【0006】
出願WO2011150237A1号は、2つのシリコーン流体前駆体から成形された物品を記載し、その中に収着剤材料が予め導入されている。この混合物は、注入されるのに充分に流動性である。次いで、粘度は、物品が凝固するように混合物を架橋することによって上昇する。最終混合物は、架橋シリコーン(45%~95%)と、特に酸化カルシウム又はゼオライトであり得る収着剤材料(5%~55%)とからなり、これは、例えばエアバッグの爆発性充填における水分に対する保護特性を物品に与える。収着剤の性質は特に選択されず、ゼオライト13Xのみが実施例において言及されている。しかし、このタイプのゼオライトはかなりの多孔性を有し、これはある特定の用途において、特に気体分子の脱着の可能性のために有害であり得る。
【0007】
文献EP1323468号は、多孔質機能性固体の第1の多孔率に加えて第2の多孔率を有する熱可塑性ポリマーを含むポリマーマトリックス中に組み込まれた45重量%~80重量%の多孔質機能性固体、例えばゼオライトを含む吸着剤材料を開示している。この文献は、エラストマーポリマーを含む複合材料を扱っていない。
【0008】
また、文献FR2819247号から、二成分ポリウレタン樹脂配合物に使用することができるゼオライトAを調製する方法が知られており、該ゼオライトAは、それぞれ10%~69%、28%~55%、2%~45%及び1%~20%のナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウム及びヒドロニウムイオンの交換度を有する。ゼオライトは、2K PU混合物中に少ない割合で導入される。
【0009】
先行研究は、かなりのゼオライト含有量を組み込む複合材料へのアクセスの必要性だけでなく、特に成分の混合中の粘度がしばしば過度に高い結果として、そのような複合材料の製造に固有の困難さも強調する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2690136号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/150237号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1323468号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第2819247号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、ポリマーマトリックス、特にエラストマーに高い割合でゼオライトを組み込むことの困難性を低減する必要性、特にポリマーマトリックス/ゼオライト混合物の調製中に粘度を低下させる必要性が残っている。したがって、吸着剤材料を含む複合材料、そのより容易な製造、したがって吸着性で調製が簡単な複合材料、特に効果的で容易に入手可能な乾燥剤複合材料へのアクセスを有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、エラストマーポリマーマトリックス中に特定のゼオライトを組み込むことによって、上記の目的を完全に又は少なくとも部分的に達成することを可能にすることが見出された。さらなる目的は、以下の本発明を考慮してより明らかになる。
【0013】
したがって、第1の主題によれば、本発明は、複合材料であって、
a) 少なくとも1つのエラストマー、及び
b) 前記複合材料の総重量に対して30重量%以上の量のタイプ3Aゼオライトであって、カチオン部位が、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、周期表のIIA族からの少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオン及びヒドロニウムイオンによって占められている、タイプ3Aゼオライト
を含む複合材料に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の複合材料に使用されるゼオライトは、前述のように、タイプ3Aゼオライトである。3Aゼオライトは、0.90~1.10、好ましくは0.95~1.05のSi/Al原子比を有する。
【0015】
この3Aゼオライトは、「カチオン部位」と称される部位を有し、これらの部位は、前記3Aゼオライトの電気的中性を保証することを意図したカチオンによって占められている。カチオン部位は、一般に好ましくは35%~70%(両端を含む)の範囲でカリウムカチオンによって、一般に好ましくは2%~62%(両端を含む)の範囲でナトリウムカチオンによって、一般に好ましくは2%~30%(両端を含む)の範囲でマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオンによって、一般に好ましくは1%~5%(両端を含む)の範囲でヒドロニウムイオンによって占められ、パーセンテージは、以下に示すように、交換可能な部位の総モル数に対するカチオンのモル数で表される。先に述べたように、ゼオライトの電気的中性を確保するために、上に列挙したカチオンの各々のパーセンテージの合計が100%になることが理解されるべきである。
【0016】
特にこの3Aゼオライトの結晶は、複合材料の総重量に対して高い割合で、例えば30重量%以上で、エラストマーマトリックスに、特に熱可塑性エラストマーマトリックスに容易に組み込むことができることを発見することは完全な驚きであった。
【0017】
したがって、本発明は、3Aゼオライトの結晶を含む複合材料を提案する。この3Aゼオライトは、有利かつ最も頻繁には吸着剤ゼオライトであり、すなわち、本明細書でさらに説明するように活性化されている。この3Aゼオライトの組み込みは、ポリマーマトリックスへの高い割合でのその組み込みを容易にするために、及び/又は同じ生産性(このパラメータは、溶融時の混合物の粘度に本質的に依存する)のために、エラストマーマトリックス、好ましくは熱可塑性エラストマーマトリックス、より具体的には天然ゴム(NR)、合成ゴム、ハロゲン化ポリマー及びコポリマー、ポリスルホン化ゴム、ポリシロキサン及び任意の割合のその2つ以上の混合物に組み込まれるゼオライトの割合を増加させるために改善された。
【0018】
上で定義され、本発明の複合材料における使用が意図される3Aゼオライトは、特に粘度の低下を可能にすることの結果として、又は前記エラストマーマトリックス中により多量のゼオライトを組み込むことにより、エラストマーマトリックスとの混合を容易にする。これは、複合材料の調製時間の短縮、したがって生産性の向上に直接反映されるだけでなく、複合材料中のゼオライトの割合を増加させ、その結果、同じ質量の混合物に対する吸着特性を更に改善する可能性にも反映される。
【0019】
本発明の複合材料中に存在する3Aゼオライトのために、後者はアルゴン、窒素、酸素若しくは希ガスの吸着能力をほとんど又は全く有さないことも観察された。
【0020】
具体的には、先に定義した3Aゼオライトは、複合材料と接触し得る雰囲気中に存在する可能性のある小分子、例えば窒素だけでなく、酸素若しくはアルゴンの共吸着を伴わずに、又は非常に少量のみの吸着を伴って水の分子を吸着するその特性によって、本発明の複合材料に乾燥剤特性を付与する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、この共吸着の不在又は事実上の不在は、主にカリウムカチオン(K+)の比較的高い交換度、典型的には、本明細書においてさらに示されるように35%以上の交換度に起因する。
【0021】
したがって、好ましい実施形態では、本発明の複合材料は、カチオン部位が以下によって占められている3Aゼオライトを含む。
- 35%~70%(両端を含む)、好ましくは38%~68%(両端を含む)、より好ましくは40%~65%(両端を含む)、有利には45%~60%(両端を含む)の量のカリウムカチオン、
- 2%~30%(両端を含む)、好ましくは3%~25%(両端を含む)、より好ましくは5%~20%(両端を含む)の量のアルカリ土類金属カチオン、
- 2%~62%(両端を含む)の量のナトリウムカチオン、
- 1%~5%(両端を含む)の量のヒドロニウムカチオン。
【0022】
先に示されている通り、アルカリ土類金属カチオンは、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオン及びバリウムカチオンから選択される。本発明の非常に特に好ましい態様によれば、アルカリ土類金属カチオンは、カルシウムカチオン(Ca2+)及びマグネシウムカチオン(Mg2+)並びに任意の割合のそれらの混合物から選択される。
【0023】
選択されたアルカリ土類金属カチオンがカルシウムである本発明の一実施形態では、5%~30%(両端を含む)、好ましくは5%~20%(両端を含む)、より好ましくは5%~15%(両端を含む)の範囲内のカルシウム交換度、すなわちカチオン部位がカルシウムカチオンによって占められていることが好ましい。
【0024】
選択されたアルカリ土類金属カチオンがマグネシウムである別の実施形態によれば、2%~15%、好ましくは4%~10%のマグネシウム交換度が好ましい。
【0025】
3Aゼオライト中の全ての交換可能な部位は、先に示されたカチオンによって占められ、先に示されたように、パーセンテージの合計は100%に等しいことが理解される。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、複合材料は、3Aゼオライト結晶を含み、その数平均直径は、以下に示すようにSEM画像でカウントすることによって計算され、0.1μm~4.0μm(両端を含む)、好ましくは0.2μm~3.5μm(両端を含む)、より好ましくは0.3μm~3.0μm(両端を含む)である。
【0027】
しかし、数平均直径が上記限界未満の又は上記限界を超える結晶は、本発明の関連で使用することができる。しかし、上記の限界間の数平均直径は、組み込み時間及び組み込まれたゼオライトの量の両方に関して、エラストマーマトリックスへの組み込みに有利であることが観察された。
【0028】
先に示されている通り、本発明の複合材料のエラストマーマトリックス中のゼオライト含有率は、複合材料の総重量に対して30重量%以上である。ゼオライト含有率が、前記複合材料の総重量に対して、30%~90%(両端を含む)、好ましくは40%~85%(両端を含む)、さらに良好には45%~80%(両端を含む)、さらにより好ましくは50%~80%(両端を含む)である、本発明による複合材料が好ましい。
【0029】
本発明の複合材料はまた、エラストマーマトリックス及び3Aゼオライトに加えて、ゼオライトの総重量に対して、一般に少量であり、有利には20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらにより良好には5重量%以下の量で、4Aゼオライト及び5AゼオライトなどのLTAタイプの他のゼオライトから、Si/Alモル比が1~100のフォージャサイト(LSX、MSX、X又はYタイプのFAU)から、タイプEMTゼオライトから、Si/Alモル比が5~500のタイプMFIゼオライトから、タイプGISゼオライト(例えばゼオライトP)から、タイプSODゼオライト(例えばソーダライト)から、タイプMORゼオライトから、タイプHEUゼオライトから及びタイプBEAゼオライトから選択される1つ以上の他のゼオライトを含んでもよい。
【0030】
本発明の複合材料中に存在するゼオライトは、当業者に周知であり、タイプ3A、4A又は5Aゼオライトから出発して、先に示したように所望のカチオン交換を行うことによって容易に調製されるか、あるいは、例えば文献FR2819247号に提供されるものなどの既知の手順から調製され、それぞれ上で言及される交換度に適合される。
【0031】
本発明の関連において有用である3Aゼオライトの調製の非限定的な例は、以下の工程を含む。
1/ 以下の水溶液又は懸濁液、すなわち、
a-i 3A(a-1)、4A(a-2)又は5A(a-3)ゼオライトの水性懸濁液、
b-j アルカリ土類金属塩(b-1)又はカリウム塩(b-3)又はアルカリ土類金属塩及びカリウム塩(b-2)の水溶液、
c)酸の溶液
を以下の方法の1つに従って接触させる工程、
同時にa-i、b-j及びc、
又はa-i及びb-j、次いでc、
又はa-i及びc、次いでb-j、
又はb-j及びc、次いでa-i、
i及びjは同一であり、iが1に等しいとき、jは2にも等しくなり得、iが3に等しいとき、jは2にも等しくなり得ることが理解され、
2/ 次いで、得られた固体の濾過及び洗浄工程、
3/ 次いで、好ましくは非分解性ガスでフラッシングしながら、2/から得られる固体の乾燥及び活性化工程。
【0032】
溶液及び懸濁液を同時に接触させる場合[(a-i)及び(b-j)及び(c)]、通常15℃~80℃の温度で1時間未満の期間混合を行う。
【0033】
ゼオライト(a-i)の懸濁液と酸溶液(c)とを最初に混合する場合、混合は、通常、塩水溶液(b-j)に導入する前に、数分間、好ましくは撹拌しながら行われ、次いで反応混合物を、通常15℃~80℃の温度で一般に1時間未満の期間撹拌する。
【0034】
塩の溶液(b-j)と酸溶液(c)とを最初に混合する場合には、ゼオライト(a-i)の懸濁液を導入する前に、通常数分間、好ましくは撹拌しながら混合し、次いで反応混合物を通常15℃~80℃の温度で一般に1時間未満の期間撹拌する。
【0035】
前述の合成工程の終わりに、固体結晶が水溶液中に懸濁して得られる。結晶を濾別し、次いで水で洗浄する。ゼオライトの懸濁液(a-i)と塩の溶液(b-j)とを最初に混合する場合、混合は、通常1時間未満の時間、好ましくは撹拌しながら、通常15℃~80℃の温度で行われ、懸濁液の形態の結晶が得られ、次いで該結晶を水洗した後、酸溶液(c)に導入する。最後に、生成物を濾別し、次いで酸溶液と洗浄水との混合物で洗浄する。
【0036】
塩及び酸の溶液の濃度及び組成は、最終ゼオライトが先に示した式に対応するように特に困難なく調整される。
【0037】
ゼオライトの構造中に存在する異なるカチオンの割合は、以下でさらに示すように、X線蛍光によって従来の方法で測定され、測定の精度は1%程度である。交換を受けた後、ゼオライトは、次いで当業者に周知の技術に従って、例えば、活性化を受けるゼオライトを、通常約半時間~約2時間の範囲の期間、通常60℃~110℃の乾燥ステップを一般に含み、その後一般に300℃~600℃、好ましくは350℃~500℃の温度で活性化する工程が続く熱処理に供することによって活性化される。好ましくは、活性化工程は、ゼオライト中に存在する水の迅速な除去を可能にし、その水熱分解を回避する一方で、活性化温度が高すぎることによる悪影響を制限する非分解性ガス(例えば、空気、窒素など)でフラッシングしながら実行される。
【0038】
本発明の関連において使用されるゼオライトは、脱水ゼオライトであり、すなわち、熱処理によってその水が脱着されるか、又は非常に低い残留含水量を有する。典型的には、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明による複合材料の調製に使用されるゼオライトは、3%未満、好ましくは2%未満の強熱減量(LOI)を有する。
【0039】
交換度は、X線蛍光分析によって決定され、ゼオライト結晶のサイズは、本明細書にさらに記載される特性決定技術に従って走査電子顕微鏡画像においてカウントすることによって決定される。
【0040】
加えて、本発明の複合材料はまた、当業者に周知の1つ以上の添加剤、例えば、限定されないが、架橋剤、例えば有機過酸化物、着色剤、顔料、抗菌剤、防曇剤、膨潤剤、分散剤、潤滑剤、難燃剤、充填剤、特に吸着に対して不活性なもの、結合剤及び官能性ポリオレフィンタイプの相溶化剤から選択される1つ以上の添加剤を含んでもよい。
【0041】
したがって、本発明の複合材料は、3Aゼオライトが組み込まれたエラストマーマトリックスを含む。一実施形態によれば、エラストマーマトリックスは、熱可塑性エラストマーマトリックスであることができ、より具体的には、天然ゴム、合成ゴム、ハロゲン化ポリマー及びコポリマー、ポリスルホン化ゴム、ポリシロキサン、並びに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物から一般に選択されてもよい。
【0042】
エラストマーマトリックスは、ポリシロキサン(「シリコーン」と呼ばれる)、天然ゴム(NR)、ポリブタジエン(BR)、ポリニトリル(NBR)、水素化又は部分水素化ポリニトリル(HNBR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム(SIBR)、ポリイソブチレン及びポリイソブテン(PIB)、イソブチレン-イソプレンエラストマーコポリマー(IIR、「ブチルゴム」と呼ばれる)(これらはハロゲン化されていてもハロゲン化されていなくてもよい)、ポリクロロプレン(CR)、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴム、塩素化ポリエチレン(CM)、ポリスルホン化ゴム(CSM)、ポリイソプレン(IR)及び任意の割合のこれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上のエラストマーを含む。
【0043】
本発明の複合材料のエラストマーマトリックスは、上で列挙したもの以外のポリマー、例えば、限定するものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-ブチレン、ヘキシレン又はオクチレンコポリマー、アクリルポリマー(ポリアルキル(メタ)アクリレートなど)、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーンポリマー、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロックコポリマー、エポキシ樹脂、及び任意の割合のこれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上のポリマーを任意選択で含んでもよい。
【0044】
好ましくは、本発明の複合材料のエラストマーマトリックスは、ポリシロキサン及び合成ゴムから、より好ましくはポリシロキサンから単独で、又は上で列挙したポリマーの1つ以上との混合物として選択される。
【0045】
本発明の複合材料のエラストマーマトリックスは、上で列挙したエラストマーの1つ以上を含むか否かにかかわらず、事後処理、すなわちゼオライトの組み込み後、架橋若しくは硬化などの物理化学的処理、又は意図する用途のための任意の他の所望の処理に供することができる。
【0046】
本発明の複合材料の調製は、鉱物充填剤をポリマー材料に組み込むための当業者に周知の技術に従って、ゼオライトとエラストマーマトリックスとを単純に混合することによって行うことができる。したがって、混合は、例えば、限定されないが、押出機において、層状ミキサー又はカレンダーにおいて、ツインスクリューミキサーにおいて、回転ブレードを有するブラベンダー型ミキサーにおいて、マトリックスの各タイプに適した様々な形態で、又は2つのスパイラルローターが可変回転速度で反対方向に回転するバンバリー型デバイスにおいて行われ得る。
【0047】
先に示したように、この段階で、1つ以上の添加剤を添加することが可能である。組み込み温度は、エラストマー性ポリマーのタイプに応じて調整され、非常に一般的には20℃~400℃であり得る。
【0048】
本発明の複合材料は、最終用途のために、例えば、成形、押出、押出成形、圧延などによって所望の形態に成形することができる。
【0049】
前述の3Aゼオライトの固有の特性は、エラストマーマトリックスへのその組み込みを大幅に促進する。より低い粘度によってもたらされる改善されたレオロジー挙動は、混合物の粘度の実質的な低下の観察及び/又はエラストマーマトリックス中へのより多量のゼオライトの組み込み、したがって、実質的によりエネルギー集約的でない及び/又はより迅速なゼオライトの組み込みのための操作の可能性をもたらした。これは、本発明による複合材料の調製時間の短縮を可能にし、その工業生産をより有益にし(生産性を改善し)、及び/又は結果として前記複合材料中のゼオライトの割合を増加させ、したがって同じ質量の前記複合材料の吸着特性を増強する可能性をもたらす。
【0050】
本発明の複合材料は、吸着剤複合材料として、特に、いくつか例を挙げると、特にマスターバッチの製造、包装、複層ガラスの製造、医薬、医療従事者、食品加工、電子、自動車及び建設分野での使用に使用できる乾燥剤複合材料として非常に有利な用途を見出す。
【0051】
以下の実施例は、本発明の目的を説明する役割を果たし、本発明の種々の実施形態をいかようにも限定することを意図することなく、ガイドとしてのみ提供される。
【0052】
以下の実施例では、ゼオライトの物性は、当業者に知られた方法によって評価され、その主なものを以下に繰り返す。
【0053】
<特性決定技術>
ゼオライトの物性は、当業者に知られた方法によって評価され、主なものを以下に繰り返す。
【0054】
<ゼオライト結晶粒径>
ゼオライト結晶の数平均直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって評価する。試料中のゼオライト結晶のサイズを評価するために、一組の画像を少なくとも5000の倍率で撮影する。次いで、少なくとも200個の結晶の直径を、専用ソフトウェア、例えば、LoGraMiによって発行されたSmile Viewソフトウェアを使用して測定する。精度は3%程度である。
【0055】
<ゼオライトの化学分析、Si/Alモル比及び交換度の決定>
本発明によるゼオライト粉末の元素化学分析は、当業者に知られた様々な分析技術に従って実施することができる。これらの技術は、波長分散分光計(WDXRF)、例えばBruker製のTiger S8装置における規格NF EN ISO 12677:2011に記載されているようなX線蛍光による化学分析の技術を含む。
【0056】
X線蛍光は、試料の元素組成を確立するためにX線範囲の原子の光ルミネセンスを利用する非破壊スペクトル技術である。一般にX線ビーム又は電子衝撃による原子の励起は、原子の基底状態に戻った後に特定の放射線を生成する。各酸化物について較正した後、従来、0.4重量%未満の測定不確実性が得られる。
【0057】
他の分析方法の例としては、Perkin Elmer 4300DVなどの機器での、規格NF EN ISO 21587-3又はNF EN ISO 21079-3に記載されているような、原子吸光分析(AAS)及び誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)が挙げられる。
【0058】
X線蛍光スペクトルは、元素の化学的組合せにほとんど依存しないという利点を有し、定量的及び定性的の両方で正確な決定を提供する。各酸化物SiO2及びAl2O3について、また異なる酸化物(例えば、交換可能なカチオンに由来するもの、例えばカリウム)について較正した後、従来、0.4重量%未満の測定不確実性が得られる。したがって、上述の元素化学分析は、使用されるゼオライトのSi/Alモル比と、一価及び二価カチオンの交換度との両方を検証することを可能にする。
【0059】
本発明の説明において、Si/Alモル比の測定不確実性は±5%である。複合材料中に存在するゼオライトのSi/Alモル比の測定は、固体ケイ素核磁気共鳴(NMR)分光法によっても決定することができる。
【0060】
所与のカチオンによる交換度を、該カチオンのモル数(モル当量で、すなわち電荷のモル数で、又はカチオンが二価である場合のカチオンのモル数の2倍で表される)と交換可能な部位のモル数(これは、ゼオライト骨格中に存在するアルミニウムのモル数に等しい)との間の比を評価することによって計算する。
【0061】
各カチオンのそれぞれの量を対応するカチオンの化学分析によって評価し、カチオンのそれぞれの量を、対応する酸化物(Na2O、CaO、K2O、MgOなど)の化学分析によって評価する。一方、ヒドロニウムイオンの量を、ゼオライト中に存在する他のカチオンの総モル数(モル当量で表される)からゼオライト骨格中に存在するアルミニウムのモル数を差し引くことによって計算する。
【0062】
<X線回折>
本発明の複合材料中に存在するゼオライトの同定を、当業者に頭字語XRDで知られているX線回折分析によって、エラストマーマトリックスを溶解するために溶媒で処理した後に評価し、溶媒の選択をエラストマーの性質に従って行う。溶解及び溶媒除去後に収集した固体試料を、Bruker製のXRD回折計で分析する。
【0063】
ゼオライトの各々は、回折ピークの位置及びそれらの相対強度によって定義される独特の回折図を有するので、この分析は、試料中に存在する様々なゼオライトを同定することを可能にする。
【0064】
収集した試料を粉砕し、次いで、単純な機械的圧縮によって広げ、試料ホルダー上で平らにする。Bruker D8 Advance回折計で回折図を取得する条件は以下の通りである。
・40kV-30mAで使用したCuチューブ
・ソーラースリットサイズ=2.5°、照射面幅16mm、
・試料デバイスの回転:10rpm、
・測定範囲:4°<2θ<70°、
・増分:0.015°、
・増分当たりの計数時間:0.8秒。
【0065】
得られた回折図を、2011年リリースのICDD PDF-2データベースを用いてゼオライトを同定するEVAソフトウェアを用いて解釈する。ゼオライト画分の重量による量をXRDによって測定し、Bruker製のTOPASソフトウェアを用いて評価する。
【0066】
<小分子の吸着試験>
小分子、例えば酸素の吸着の試験の目的は、本発明の関連において有用である3Aゼオライトが、該小分子の吸着能力をほとんど又は全く有さないことを検証することである。
【0067】
試験は、市販のガス吸着装置(Micromeritics製Tristar 2)を用いて、体積測定法に従って実施する。約10gの試料をガラスセルに入れ、減圧下、室温で少なくとも15時間脱気する。脱気後、試料をヘリウム下に置き、秤量して無水試料の質量を決定する。次いで、試料を600mmHgで既知の体積の酸素と接触させる。これを酸素の存在下、25℃で24時間維持する。次いで、セル内の酸素終了圧力を測定し、これは、試料によって吸着された酸素の量が差によって計算されることを可能にする。吸着は、25Ncm3g-1未満、好ましくは20Ncm3g-1未満、より好ましくは15Ncm3g-1未満、有利には12Ncm3g-1未満である場合に低いとみなす。
【実施例】
【0068】
様々なゼオライト/エラストマー混合物を以下の手順に従って調製する。最初に、過酸化物型架橋剤(Arkema製のLuperox P、3.8g又は1.9phr(ゴム100当たりの部))を、撹拌しながら、200g(100phr)のゼオライトに加える。次いで、このプレミックス(PM)を、Lescuyerダブルロールミキサーを使用して、200g(100phr)のシリコーンポリマーマトリックス(Wacker Chemie AG製のシリコーンR401_70S)に導入する。
【0069】
ミキサーを20℃の温度で約60分間操作する。操作の25~30分後、「排斥質量」と呼ばれるプレミックスの取り込まれていない質量(すなわち、ダブルロールの底部で排斥される)を秤量し、次いで、30分~60分間、混合物に再導入する。結果は、排斥質量が20グラム未満である場合に許容可能であるとみなす。ロール(直径150mm)の回転速度は異なり、後部ロールについては18回転/分、前部ロールについては24回転/分である。2つのロール間の間隙は約3mmである。約60cmの長さ及び約15cmの幅及び3mmの厚さを有するシートの形態で均質な混合物を得る。
【0070】
レオロジー挙動の測定は、同様に、振動マトリックスプレート/プレートレオメーター(France ScientifiqueモデルMDR-C)を用いて、130℃で60分間行い、その間にシリコーンマトリックスが架橋する。レオメーターを、ISO 6502及びASTM D5289規格に従って操作する。
【0071】
二価カチオンとしてのカルシウムと部分的に交換された3Aゼオライト結晶を用いて調製された複合材料のシートは、二価カチオンを含まない3Aゼオライト結晶を用いて得られるものよりも低い最小トルクを有し、これは、二価カチオンを含む本発明の3Aゼオライト結晶をポリマーマトリックスと混合するために必要とされるエネルギー量がより少ないことを示す。これは、本発明のゼオライト3A結晶では、カルシウムを用いて観察されたように二価のカチオン交換度が高いほど流動性(粘度低下)が大きい混合物が得られるためである。
【0072】
試験した複合材料のシートの特性を以下の表1にまとめる(DEはカチオン交換度である)。
【0073】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料であって、
a) 少なくとも1つのエラストマー、及び
b) 該複合材料の総重量に対して30重量%以上の量のタイプ3Aゼオライトであって、カチオン部位が、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、周期表のIIA族からの少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオン及びヒドロニウムイオンによって占められている、タイプ3Aゼオライト
を含む複合材料。
【請求項2】
前記カチオン部位が、カリウムカチオンによって35%~70%の範囲まで、ナトリウムカチオンによって2%~62%の範囲まで、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選択される少なくとも1つのアルカリ土類金属カチオンによって2%~30%の範囲まで、ヒドロニウムカチオンによって1%~5%の範囲まで占められている(ただし、パーセンテージは、交換可能な部位の総モル数に対するカチオンのモル数で表される)、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記アルカリ土類金属カチオンが、マグネシウムカチオン及びカルシウムカチオン並びに任意の割合のそれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記選択されたアルカリ土類金属カチオンがカルシウムであり、前記カチオン部位が、5%~30%、好ましくは5%~20%、より好ましくは5%~15%の範囲内でカルシウムカチオンによって占められている、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記3Aゼオライト結晶の数平均直径が、SEM画像でカウントして計算して、0.1μm~4.0μm、好ましくは0.2μm~3.5μm、より好ましくは0.3μm~3.0μmである、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記ゼオライトの含有率が、前記複合材料の総重量に対して、30%~90%、好ましくは40%~85%、さらに良好には45%~80%、さらにより好ましくは50%~80%である、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項7】
ゼオライトの総重量に対して20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の量の1つ以上の他のゼオライトであって、LTAタイプの他のゼオライト、例えば4Aゼオライト及び5Aゼオライトから、1~100のSi/Alモル比を有するフォージャサイト(LSX、MSX、X又はYタイプのFAU)から、タイプEMTゼオライトから、5~500のSi/Alモル比を有するタイプMFIゼオライトから、タイプGISゼオライト(例えばゼオライトP)から、タイプSODゼオライト(例えばソーダライト)から、タイプMORゼオライトから、タイプHEUゼオライトから、及びタイプBEAゼオライトから選択される1つ以上の他のゼオライトをさらに含む、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項8】
架橋剤、着色剤、顔料、抗菌剤、防曇剤、膨潤剤、分散剤、潤滑剤、難燃剤、充填剤、結合剤及び官能性ポリオレフィンタイプの相溶化剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項9】
前記エラストマーマトリックスが、ポリシロキサン、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリニトリル、水素化若しくは部分水素化ポリニトリル、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ポリイソブチレン及びポリイソブテン、ハロゲン化若しくは非ハロゲン化イソブチレン-イソプレンエラストマーコポリマー、ポリクロロプレン、EPDMゴム、塩素化ポリエチレン、ポリスルホン化ゴム、ポリイソプレン、並びに任意の割合のこれらの2つ以上の混合物から選択される1つ以上のエラストマーを含む、請求項
1に記載の複合材料。
【請求項10】
マスターバッチの製造のための、包装のための、及び複層ガラスの製造のための、吸着剤複合材料としての、乾燥剤複合材料としての、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合材料の使用。
【国際調査報告】