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特表2024-545031エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241128BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241128BHJP
   H05B 3/14 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
H05B3/14 B
H05B3/14 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532236
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2022085976
(87)【国際公開番号】W WO2023111091
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21214915.7
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ライト,アレック
【テーマコード(参考)】
3K092
4B162
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA02
3K092QB03
3K092QB09
3K092QB31
3K092QB69
3K092QB77
3K092RA06
3K092VV15
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリであって、エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱チャンバと、加熱チャンバの外面上の熱溶射抵抗加熱層であって、加熱チャンバに熱を送達するように構成される、熱溶射抵抗加熱層とを備える、加熱チャンバアセンブリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱チャンバと、
前記加熱チャンバの外面上の熱溶射抵抗加熱層であって、前記加熱チャンバに熱を送達するように構成される、熱溶射抵抗加熱層と
を備える、
エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項2】
前記熱溶射抵抗加熱層は、1つ又は複数の半導体を含む、
請求項1に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項3】
前記1つ又は複数の半導体は、焼結炭化ケイ素、液相焼結炭化ケイ素、及びケイ素浸透炭化ケイ素などの1つ又は複数のセラミック半導体を含む、
請求項2に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項4】
前記加熱チャンバアセンブリは、前記加熱チャンバの外面上にテープキャスト抵抗加熱層をさらに備え、
前記テープキャスト抵抗加熱層は、前記加熱チャンバに熱を送達するように構成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項5】
前記熱溶射抵抗加熱層は、1つ又は複数の電気絶縁体を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項6】
前記加熱チャンバアセンブリは、前記熱溶射抵抗加熱層と前記加熱チャンバとの間に電気絶縁層をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項7】
前記電気絶縁層は、有機シリカコーティングなどの官能化シリカコーティングを含む、
請求項5に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項8】
前記加熱チャンバはガラスから形成される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の加熱チャンバアセンブリ。
【請求項9】
エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱チャンバを設けることと、
前記加熱チャンバの外面上に抵抗加熱層を熱溶射することであって、前記抵抗加熱層は前記加熱チャンバに熱を送達するように構成されることと
を含む、
エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリを製造する方法。
【請求項10】
前記抵抗加熱層を熱溶射することは、大気プラズマ溶射及び/又は高速酸素燃料溶射を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抵抗加熱層を熱的にテープキャストすることと、
前記加熱チャンバの外面に前記テープキャスト抵抗加熱層を巻き付けることと
をさらに含む、
請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記抵抗加熱層と前記加熱チャンバとの間に電気絶縁層を設けることをさらに含む、
請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抵抗加熱層と前記加熱チャンバとの間に電気絶縁層を設けることは、化学蒸着によって前記電気絶縁層を施すことを含む、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置用の加熱アセンブリに関する。本開示は、詳細には、自己完結型且つ低温であり得る携帯用エアロゾル発生装置に適用可能である。かかる装置は、タバコ又は他の好適なエアロゾル基材材料を、燃やすのではなく、伝導、対流、及び/又は放射によって加熱して、吸入用のエアロゾルを発生させ得る。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の使用を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助として、ここ数年で急速に成長してきた。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱又は加温する様々な装置及びシステムが利用可能である。
【0003】
一般に利用可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式(HNB)装置である。このタイプの装置は、湿った葉タバコ又は他の好適なエアロゾル化可能材料を通常含むエアロゾル基材(すなわち、消耗品)を通常は150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させたり燃やしたりするのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、望ましくない燃焼副生成物を含まないエアロゾルが放出される。加えて、タバコ又は他のエアロゾル化可能材料の加熱により生成されるエアロゾルは、ユーザにとって不快となり得る、燃焼によって生じ得る焦げた味又は苦味を通常は含まない。
【0004】
薄膜ヒータは、以前にエアロゾル発生装置で使用されており、薄膜ヒータは、通常は金属製の加熱チャンバに巻き付けられている。そのとき薄膜ヒータの動作は、加熱チャンバ及び内部のエアロゾル発生基材を加熱する役割を果たす。これらの薄膜ヒータにより、エアロゾル発生基材をより効率的な方法で加熱することが可能になったが、それでもなお、エアロゾル発生装置で使用するための改良されたヒータチャンバアセンブリを提供し、加熱チャンバを形成する際に異なる材料の使用を可能にするという要望が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリが提供され、この加熱チャンバアセンブリは、エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱チャンバと、加熱チャンバの外面上の熱溶射抵抗加熱層であって、加熱チャンバに熱を送達するように構成される、熱溶射抵抗加熱層とを備える。
【0006】
加熱チャンバアセンブリを構成する層及び要素の構成を説明するとき、「上に」という語は、2つの要素が直接接触することに限定すると解釈されるべきではない。例えば、熱溶射抵抗加熱層と加熱チャンバの外面との間に、1つ又は複数の中間層を設けてもよい。
【0007】
この加熱チャンバアセンブリの多くの利点は、当業者には明らかであろう。具体的には、熱溶射抵抗加熱層は、加熱チャンバの外面(又は熱溶射抵抗層が設けられる中間層)に高度な適合性を呈し、それによって抵抗加熱層から加熱チャンバへの、したがって加熱チャンバに受け入れられたエアロゾル発生基材への熱の伝達効率を改善することが見出される。これにより、従来は金属などの熱伝導率の高い材料から加熱チャンバを形成する必要があるのに対し、今度は加熱チャンバにより広範囲の材料を使用できるようになる。
【0008】
本発明はまた、加熱チャンバアセンブリの他の要素により広範囲の材料を使用することを可能にする。これにより、加熱チャンバアセンブリを製造する方法の柔軟性を高めることが可能になるとともに、以下に論じるさらなる利点も可能になる。
【0009】
本発明の有利な実施形態では、熱溶射抵抗加熱層は、1つ又は複数の半導体を含み、1つ又は複数の半導体は、好ましくは、焼結炭化ケイ素、液相焼結炭化ケイ素、及びケイ素浸透炭化ケイ素などの1つ又は複数のセラミック半導体を含む。
【0010】
従来のヒータと比較して、セラミック半導体はより高い温度まで加熱することができ、セラミック半導体は通常900℃までの加熱に適している。対照的に、従来のヒータは、約280℃の融点を持つ材料から作られている。ほとんどの実施形態では、エアロゾル発生基材は320℃を越えて加熱されないはずであるが、これはほとんどの従来のヒータの融点を上回っており、したがって、セラミック半導体により、エアロゾル発生基材をより高い温度まで加熱することが可能になる。エアロゾル発生基材をより高い温度まで加熱することが可能になることに加えて、セラミック半導体の使用により、より熱伝導率の低い材料から加熱チャンバを形成することが可能になる。例えば、ガラスなどの材料を使用して加熱チャンバを形成することができる。
【0011】
熱溶射抵抗加熱層に加えて、加熱チャンバアセンブリは、加熱チャンバの外面上にテープキャスト抵抗加熱層を備えてもよく、テープキャスト抵抗加熱層は、加熱チャンバに熱を送達するように構成される。テープキャスト抵抗加熱層は、熱溶射抵抗加熱層上、又は熱溶射抵抗加熱層と加熱チャンバの外面との間に設けることができる。
【0012】
テープキャスト抵抗加熱層は、熱溶射抵抗加熱層と同じ方法で構成することができる。したがって、熱溶射抵抗加熱層に関して説明したすべての特徴、構成、及び選択肢は、テープキャスト抵抗加熱層に実装することができ、逆もまた同様である。
【0013】
テープキャストに特に適した材料もあれば熱溶射に特に適した材料もあるので、抵抗加熱層を設けるために異なる材料が使用されることになっているとき、この配置は特に有利である。例えば、ケイ素浸透炭化ケイ素はテープキャストによく適している。
【0014】
熱溶射抵抗加熱層及び/又はテープキャスト抵抗加熱層が1つ又は複数の電気絶縁体を含む、抵抗加熱層の他の構成も可能である。例えば、抵抗加熱層は、2つ以上の異なる材料が絶縁材料によって分離された、パターンに形成された2つ以上の異なる材料を含み得る。
【0015】
上記のとおり、本発明の利点は、加熱チャンバを形成するために熱伝導性材料を使用する必要がないことであるが、それでもなお、熱伝導性材料を使用することが望ましい場合がある。金属などのそのような材料は、導電性でもあることが多く、したがって、加熱チャンバアセンブリは、熱溶射抵抗加熱層と加熱チャンバとの間に電気絶縁層をさらに備え得る。例えば、電気絶縁層は、官能化シリカコーティングを含んでもよく、Dursan(商標)としても知られる、SiO:CHなどの有機シリカコーティングが特に有利である。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、エアロゾル発生装置用の加熱チャンバアセンブリを製造する方法であって、本方法は、エアロゾル発生基材を受け入れるように構成された加熱チャンバを設けることと、加熱チャンバの外面上に抵抗加熱層を熱溶射することであって、抵抗加熱層は加熱チャンバに熱を送達するように構成されることとを含む。
【0017】
本発明の第1の態様に関連して上で論じたように、抵抗加熱層を熱溶射することは、熱溶射抵抗加熱層と加熱チャンバの外面(又は熱溶射抵抗層が設けられる中間層)との間の高度な適合性をもたらし、それによって抵抗加熱層から加熱チャンバへの、したがって加熱チャンバに受け入れられたエアロゾル発生基材への熱の伝達効率を改善する。
【0018】
抵抗加熱層を熱溶射するための利用可能な方法の中で、大気プラズマ溶射及び高速酸素燃料溶射は、熱溶射抵抗加熱層と加熱チャンバの外面(又は任意の中間層)との間の特に高度な適合性をもたらすことが見出されている。
【0019】
加えて、本方法は、抵抗加熱層を熱的にテープキャストすることと、加熱チャンバの外面にテープキャスト抵抗加熱層を巻き付けることとを含み得る。「に巻き付ける」という表現は、テープキャスト抵抗加熱層と加熱チャンバの外面との間に1つ又は複数の中間層が位置してもよいという意味で、上記で定義した「上に」という語と同じ意味で解釈すべきである。例えば、テープキャスト抵抗加熱層と加熱チャンバの外面との間に、1つ又は複数の熱溶射抵抗加熱層及び/又は1つ又は複数の電気絶縁層を設けることができる。
【0020】
本発明の第1の態様に関連して上で論じたように、テープキャストに特に適した材料もあれば熱溶射に特に適した材料もあり、ケイ素浸透炭化ケイ素はテープキャストに特によく適しているので、抵抗加熱層を設けるために異なる材料が使用されることになっているときに、テープキャストの使用は特に有利である。
【0021】
テープキャストはまた、抵抗加熱層を方法の他のステップとは別のステップで生産し、その後加熱チャンバの外面に巻き付けることを可能にするので、有利である。
【0022】
本方法は、抵抗加熱層と加熱チャンバとの間に電気絶縁層を設けることをさらに含み得る。例えば、電気絶縁層は、官能化シリカコーティングを含んでもよく、Dursan(商標)としても知られる、SiO:CHなどの有機シリカコーティングが特に有利である。本発明の第1の態様に関連して上で論じたように、電気絶縁層を設けることにより、加熱チャンバに導電性材料を使用することが可能になり、これは場合によっては有利になり得る。
【0023】
抵抗加熱層と加熱チャンバとの間に電気絶縁層を設けることは、好ましくは、化学蒸着によって電気絶縁層を施すことを含む。電気絶縁層の化学蒸着は、電気絶縁層と加熱チャンバの外面(又は電気絶縁層が設けられる中間層)との間の高度な適合性をもたらす。これにより、電気絶縁層を横切る熱の伝達効率が改善され、したがって、加熱チャンバに受け入れられたエアロゾル発生基材への熱の伝達効率が改善される。
【0024】
ここで、図面を参照して本発明の実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態による例示的なエアロゾル発生装置を示す。
図2】抵抗加熱層を備える加熱チャンバアセンブリの概略断面図である。
図3】抵抗加熱層及び電気絶縁層を備える加熱チャンバアセンブリの概略断面図である。
図4】抵抗加熱層及び電気絶縁層を備える別の加熱チャンバアセンブリの概略断面図である。
図5】本発明の一実施形態による加熱チャンバアセンブリを製造するためのステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生装置100を例示する。エアロゾル発生装置100は、内部の構成要素が見える状態で、組み立てられた構成で例示される。エアロゾル発生装置100は、タバコ蒸気装置とも呼ばれることがある加熱非燃焼式装置であり、エアロゾル発生材料、例えばタバコのロッドなどのエアロゾル基材を受け入れるように構成された加熱チャンバアセンブリ200を備える。加熱チャンバアセンブリ200は、エアロゾル発生材料のロッドを燃やすのではなく、加熱して、ユーザが吸入するための蒸気又はエアロゾルを生成するように動作可能である。当然のことながら、当業者であれば、図1に描写されたエアロゾル発生装置100が単に本発明による例示的なエアロゾル発生装置であることを理解するであろう。他のタイプ及び構成のタバコ蒸気製品、気化器、又は電子タバコも本発明に従って提供され得る。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態による、加熱チャンバアセンブリ200の断面概略図を示す。加熱チャンバアセンブリ200は、消耗品と呼ばれることがあるエアロゾル発生基材を受け入れるように構成された、熱伝導性シェルと呼ばれることがある加熱チャンバ202を備える。具体的には、加熱チャンバ202は、ロッドの形状を有するエアロゾル発生基材を受け入れるように構成される。この目的に向けて、加熱チャンバ202は、好ましくは管状、すなわち細長く略円筒状(略円形又は略楕円形の断面を有する)であり、開口部204が加熱チャンバ202の長手方向端部に位置している。ユーザは、エアロゾル発生基材が加熱チャンバ202内に位置し、加熱チャンバ202の内面201と界面をなすように、加熱チャンバ202の開口部204を通してエアロゾル発生基材を挿入することができる。加熱チャンバ202の長さは、エアロゾル発生基材の一部分が加熱チャンバ202の開口部204を通って突出するように構成され得る。図1に戻ると、エアロゾル発生基材の前記部分はそのとき、加熱チャンバアセンブリ200から突出して、それがユーザの口に受け入れられることを可能にするようになる。
【0028】
当業者であれば、加熱チャンバ202は円筒状であることに限定されないことを理解するであろう。例えば、加熱チャンバ202は、立方体状、円錐状、半球状、又は他の形状の空洞として形成され、相補的な形状のエアロゾル基材を受け入れるように構成されてもよい。そのうえ、いくつかの実施形態では、加熱チャンバ202は、エアロゾル基材を完全に囲むのではなく、代わりにエアロゾル基材の限定されたエリアにのみ接触してもよい。
【0029】
例えば、加熱チャンバ202は、略円筒状であり得るが、加熱チャンバ202の内面201に細長い突出部を形成するために内側に突出する1つ又は複数の細長い陥凹領域を備え得る。別の例では、加熱チャンバ202は、略円筒状であり得るが、加熱チャンバ202の軸方向に延びる1つ又は複数の平坦領域を備え得る。
【0030】
抵抗加熱層205は、加熱チャンバ202の外面203を囲む。具体的には、抵抗加熱層205は、加熱チャンバ202の円周外面203に隣接している(即ち、当接する、接触する)。抵抗加熱層205は、加熱チャンバ202の外面203に直接結合される、すなわち、抵抗加熱層205と加熱チャンバ202との間に化学結合が形成される。図2では、抵抗加熱層205は、加熱チャンバ202の外面203の長さの一部分のみに沿って延びるように描写されている。しかしながら、当業者であれば、他の実施形態では、抵抗加熱層205が加熱チャンバ202の全長に沿って延びてもよいことを理解するであろう。そのうえ、当業者であれば、抵抗加熱層205は加熱チャンバ202の外面を部分的に囲むだけでもよいこと、すなわち加熱チャンバ202の周りの周方向において抵抗加熱層205に隙間があってもよいことを理解するであろう。
【0031】
抵抗加熱層205は、ジュールヒータとして動作するように構成される。換言すれば、抵抗加熱層205は、電流の流れに応じて熱を放出するように構成される。この物理的効果は、本明細書では主に抵抗加熱と呼ばれるが、ジュール加熱又はオーム加熱とも呼ばれることがある。使用中、抵抗加熱層205の温度が上昇し、熱エネルギーが加熱チャンバ202に伝達されるように、バッテリ(図示せず)などの電力源から抵抗加熱層205に電力が供給され得る。加熱チャンバ202内に受け入れられたエアロゾル基材は、加熱チャンバ202によって伝導加熱されて、ユーザが吸入するためのエアロゾルを生成する。
【0032】
抵抗加熱層205は、有利には1つ又は複数のセラミック半導体材料から形成される。これらの材料は、高温(800~1000℃の温度であると考えられる)への加熱に適しているからである。これらのセラミック半導体材料は、通常は単層で、大気プラズマ溶射及び高速酸素燃料溶射などの熱溶射技術によって、コーティングの形でヒータアセンブリの一部を形成するためにカップに直接塗布することができるが、抵抗加熱層205を形成するために複数の層を使用してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、抵抗加熱層205は、テープキャストされ、加熱チャンバ202の外面203に巻き付けられた1つ又は複数のセラミック半導体材料をさらに含む。
【0034】
抵抗加熱層205はまた、1つ又は複数のコーティングで提供される非導電性材料を含み得る。これらの絶縁層は、図3及び図4を参照して以下により詳細に説明するように、抵抗加熱層205と加熱チャンバ202の外面203との間に設けられてもよく、又はセラミック半導体材料の2つ以上の層の間に設けられてもよい。それらはまた、1つ又は複数のセラミック半導体材料と同じ層に設けられてもよい。
【0035】
例えば、1つ又は複数のセラミック半導体材料を1つ又は複数の非導電性材料とともに熱溶射して、異なるヒータ形状若しくは異なる加熱パターンを作成し、又は絶縁層を設けることができる。
【0036】
適切なセラミック半導体材料としては、S-SiC(焼結炭化ケイ素)、LPS-SiC(液相焼結炭化ケイ素)、及びSi-SiC(ケイ素浸透炭化ケイ素)が挙げられる。Si-SiCは、特にテープキャストに適している。
【0037】
加熱チャンバ202の外面203及び抵抗加熱層205は、互いに直接結合を形成する(すなわち、これらはこれらの界面において化学結合される)ため、これらの構成要素間に空隙又は他の断熱部分は存在しない。有利なことに、これにより動作中の熱損失が限定され、加熱チャンバアセンブリ200のエネルギー効率が大幅に改善される。
【0038】
当業者であれば、加熱チャンバ202は抵抗加熱器として機能することを意図したものではなく、したがって電流を受けるべきではないことを理解するであろう。この目的に向けて、加熱チャンバ202は、好ましくは、ガラスなどの非導電性材料から形成され、さらなる絶縁層を含む必要性を取り除く。
【0039】
それでもなお、場合によっては、エアロゾル発生基材への熱伝導を改善するために、加熱チャンバ202を金属などの導電性材料(その例としては鋼又はステンレス鋼又はアルミニウムが挙げられる)から形成することが有利であり得る。このような場合、これらの材料は導電性であることが多いため、有利には電気絶縁層206が設けられる。
【0040】
電気絶縁層206が抵抗加熱層205と加熱チャンバ202の外面203との間に設けられる、2つのこのような実施形態を図3及び図4に示す。このようにして、電気絶縁材料のコーティング206は、有利には、導電性材料のコーティング208と加熱チャンバ202との間の接触を防止することによって、加熱要素208と加熱チャンバ202との間で短絡が生じるのを防止する一方で、導電性材料のコーティング208から加熱チャンバ202への熱の効率的な伝達を可能にする。すなわち、電気絶縁材料のコーティング206は、導電性材料のコーティング208と加熱チャンバ202とを分離し、導電性材料のコーティング208から加熱チャンバ202に電流が流れないことを確実にする。
【0041】
電気絶縁層206は、加熱チャンバ202の外面203の長さの一部分のみに沿って延びるように描写されている。しかしながら、当業者であれば、抵抗加熱層205の配置と同様に、他の実施形態では、電気絶縁層206は、加熱チャンバ202の全長に沿って延びてもよく、又は図4に示すように加熱チャンバ202の内面201上にさえ延びてもよいことを理解するであろう。この後者の選択肢は、加熱チャンバアセンブリ200の製造を単純化するので、特に有利である。例えば化学蒸着プロセスで、加熱チャンバ202上に電気絶縁層206を堆積させるとき、最終的な加熱チャンバアセンブリ200において電気絶縁層206が存在しない加熱チャンバ202の表面の領域にマスキング層を設ける必要がある。次に、このマスキング層は除去されて、マスキング層が存在しなかった領域に電気絶縁層206が残る。加熱チャンバ202の表面全体にわたって電気絶縁層206を設けることによって、電気絶縁層206の堆積中にマスキング層を設ける必要がなくなり、それによって加熱チャンバアセンブリ200の製造が単純化される。電気絶縁層206はまた、加熱チャンバ202の内面201及び外面203の酸化を防止する役割を果たす。それでもなお、当業者であれば、電気絶縁材料のコーティング206は加熱チャンバ202の外面を部分的に囲むだけでもよいこと、すなわち加熱チャンバ202の周りの周方向において電気絶縁層206に隙間があってもよいことを理解するであろう。しかしながら、抵抗加熱層205は、通常、長手方向又は周方向のいずれにおいても電気絶縁層を越えて延びることはない。
【0042】
加熱チャンバ202の外面203、電気絶縁層206、及び熱溶射抵抗加熱層205は、互いに直接結合を形成する(すなわち、これらはこれらの界面において化学結合される)ため、これらの構成要素間に空隙又は他の断熱部分は存在しない。有利なことに、これにより動作中の熱損失が限定され、加熱アセンブリ200のエネルギー効率が大幅に改善される。
【0043】
図3及び図4に例示する実施形態では、抵抗加熱層205は、加熱チャンバの周方向において、電気絶縁層206を完全に囲む連続面として形成される。すなわち、抵抗加熱層205は、少なくとも周方向において、電気絶縁層206のいかなる部分も露出しないように電気絶縁層206を覆う。しかしながら、上記のとおり、抵抗加熱層加熱層205はパターニングされてもよく、その場合、抵抗加熱層は電気絶縁層206を部分的にのみ覆うことになる。
【0044】
電気絶縁層206は、好ましくは、高い絶縁破壊電圧(例えば、約100ボルト以上)及び高い熱伝導率を呈する材料を含む。例えば、電気絶縁層206は、セラミック、シリコーン、ガラス、シリコーン酸化物、炭素、又はそれらの組み合わせを含み得る。別の例では、電気絶縁材料のコーティング206は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含み得る(又は任意選択でDLCから構成され得る)。他の好ましい材料としては、Dursan(商標)としても知られる、SiO:CHなどの有機シリカなどの官能化シリカが挙げられる。好ましくは、電気絶縁層206は、0.1~10ミクロンの間、より好ましくは0.2~3ミクロンの間の厚さを有する。このような特性により、加熱チャンバ202が電気的に絶縁されたままであることを確実にしながら、加熱チャンバ202内に受け入れられたエアロゾル発生基材への熱伝達が改善される。有利なことに、加熱チャンバ202の昇温時間及び冷却時間が短縮され、これにより加熱アセンブリ200のエネルギー効率が改善され得る。
【0045】
本発明の一実施形態による加熱チャンバアセンブリ、例えば図2図3、又は図4に示すような加熱チャンバアセンブリを製造する方法が図5に描写されている。
【0046】
方法400はステップ401で始まり、このステップではエアロゾル発生装置を受け入れるように構成された加熱チャンバが設けられる。この加熱チャンバは、方法400の前の別個の段階、又は方法400の一部としてステップ401の前の先立つステップのいずれかで、任意の既知の方法に従って設けることができる。
【0047】
加熱チャンバの外面上に電気絶縁層を設ける任意選択のステップ402は、ステップ401の後に、加熱チャンバの外面上に直接、又は中間層上のいずれかで行われてもよいが、いくつかの実施形態では、このステップは省略されることになる。例えば、図2に示すような、電気絶縁層を有しない加熱チャンバアセンブリを生産するとき、このステップは必要ないことになる。
【0048】
次に、ステップ403で、加熱チャンバの外面上に直接、又は電気絶縁層などの中間層上のいずれかで、抵抗加熱層が加熱チャンバの外面上に設けられることになる。
【0049】
図示していない方法400のさらなるステップがあってもよいことは、理解されよう。例えば、1つ又は複数の抵抗加熱層を設ける1つ又は複数のさらなるステップがあってもよく、そのステップは、ステップ402の前、ステップ402とステップ403との間、又はステップ403の後であってもよい。
【0050】
好ましい一実施形態では、ステップ401で設けられる加熱チャンバは、ガラスなどの非導電性材料から作られ、ステップ402の前に第1の抵抗加熱層が設けられ、ステップ403で第2の抵抗加熱層が設けられる。2つの抵抗加熱層が電気絶縁層によって分離された加熱チャンバアセンブリを提供するように、ステップ402で電気絶縁層も設けられる。
【0051】
有利には、上述した本発明の実施形態では、少なくとも1つの抵抗加熱層が、加熱チャンバの外面上に直接、又は中間層上のいずれかで、加熱チャンバの外面上に熱溶射されることになる。さらなる抵抗加熱層もまた、熱溶射されてもよいが、代替的に、テープキャストによって形成され、次いで、加熱チャンバの外面上に直接、又は中間層上のいずれかで、加熱チャンバの外面に巻き付けられてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】