(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】リトラクタアセンブリ内のプリテンショナチューブ
(51)【国際特許分類】
B60R 22/46 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B60R22/46 142
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532417
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022081109
(87)【国際公開番号】W WO2023114674
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バーロウ,ジョン,イー.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィ,ダニエル,ロバート
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018MA02
(57)【要約】
【課題】自律車両で使用するのに特に適したシートベルトリトラクタアセンブリの提供。
【解決手段】スピンドル及びフレームを有するシートベルトリトラクタアセンブリにおいて使用するためのシステムは、フレームに取り付けられるように適合されたハウジング;本体部及び出口部を含み、ガス発生器に流体連通する第1のチューブ端部と、ハウジングの内部空洞に流体連通する第2のチューブ端部と、を有するプリテンショナチューブ;ハウジング内に回転可能に取り付けられ、プリテンショニング中にシートベルトウェビングを巻き取るスピンドルに固定的に連結されたピニオン;プリテンショナチューブ内に配設されたプリテンショナロッド;及び、ガス発生器とプリテンショナロッドとの間に配設されたストッパを含む。チューブの出口部は、ネックダウンするように形成され、出口部は、ストッパがその内部を通過することを防止するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドル(101)及びフレーム(106)を有するシートベルトプリテンショニングリトラクタアセンブリ(100)において使用するための、シートベルトプリテンショナシステム(112)であって、前記シートベルトプリテンショナシステムが、
前記フレーム(106)に取り付けられるように適合され、内部空洞(141)を有するハウジング(120);
本体部(166)及び出口部(168)を含むプリテンショナチューブ(114)であって、前記プリテンショナチューブ(114)が、ガス発生器(104)に流体連通する第1のチューブ端部(111)と、前記ハウジング(120)の前記内部空洞(141)に流体連通する第2のチューブ端部(113)と、を有するプリテンショナチューブ(114);
前記ハウジング(120)内に回転可能に取り付けられ、プリテンショニング中にシートベルトウェビング(14)を巻き取るように適合された前記スピンドル(101)に、固定的に連結されたピニオン(126);
前記プリテンショナチューブ(114)内に配設されたプリテンショナロッド(116)であって、前記プリテンショナロッド(116)が、前記ガス発生器(104)に向かって配設された近位端(130)と、前記ガス発生器(104)から離れて配設された遠位端(128)と、を有するプリテンショナロッド(116);及び
前記ガス発生器(104)と前記プリテンショナロッド(116)との間に配設されたストッパ(162)を備え、
前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)が、ネックダウンするように形成されて、その結果前記出口部(168)が、前記ストッパ(162)がその内部を通過するのを防止するように構成され、かつ前記プリテンショナチューブ(114)が、プリテンショナを補強して前記プリテンショナチューブ(114)が破損することに抵抗するように、前記第2のチューブ端部(113)に形成されたフランジ(170)を含むことを、更に特徴とする、
シートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項2】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)が、前記本体部(166)から前記プリテンショナチューブ(114)の前記第2のチューブ端部(113)に向かって延出することを更に特徴とする、請求項1に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項3】
前記出口部(168)が、前記プリテンショナチューブ(114)の前記第2のチューブ端部(113)から約4.5mmの長さを有するように形成されることを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項4】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)が、前記本体部(166)よりも小さい直径を有することを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項5】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記フランジ(170)が、前記プリテンショナチューブ(114)の前記第2のチューブ端部(113)の周りに円形形状で一体的に形成されることを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項6】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記フランジ(170)が、前記プリテンショナチューブ(114)の前記第2のチューブ端部(113)に固定的に取り付けられた別体のフランジ部材の形態であることを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項7】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記フランジ(170)が、前記プリテンショナチューブ(114)の前記第2のチューブ端部(113)の全周にわたって半径方向に延在することを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項8】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)における内径(De)が、前記プリテンショナロッド(116)の断面直径よりも大きく、それにより、前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)は、前記プリテンショナロッド(116)がその内部を通過することを可能にするようにサイズ決めされることを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項9】
前記プリテンショナチューブ(114)の前記出口部(168)における内径(De)が、前記ストッパ(162)の断面直径よりも小さいことを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【請求項10】
前記プリテンショナチューブ(114)が、前記プリテンショナチューブ(114)の前記本体部(166)から前記出口部(168)へと屈曲して移行する円弧状領域を含むことを更に特徴とする、請求項1又は2に記載のシートベルトプリテンショナシステム(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT出願は、米国特許法第119条のもと、2021年12月13日に出願された米国特許出願第17/549,246号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、一般に、車両の乗員を拘束するためのシートベルト拘束デバイスに関し、より具体的には、乗員拘束シートベルトをプリテンショニングするためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションにおける記載は、本開示に関連する背景技術情報を単に提供し、先行技術を構成するものではない。
【0004】
車両シート内の乗員を拘束するためのシートベルト拘束システムは、車両衝突状況における乗員の負傷を軽減するのに重要な役割を果たす。従来のいわゆる「3点」タイプのシートベルト拘束システムは、一般に、乗員の骨盤を横切って延びるラップベルトセクションと、上半身を横切るショルダーベルトセクションとを有し、これらは互いに締結されるか、又は連続した長さのシートベルトウェビングによって形成される。ラップベルトセクション及びショルダーベルトセクションは、固定具によって車両構造体に接続される。典型的にはベルトリトラクタが、ベルトウェビングを格納するために提供され、衝突状況において、ベルト引張荷重を管理するように更に作用し得る。乗員によって手動で展開されるシートベルト拘束システム(いわゆる「アクティブ」タイプ)はまた、典型的には、固定具によって車両のボディ構造体に取り付けられたバックルを含む。ベルトウェビングに取り付けられたラッチプレートがバックルによって受容され、ベルトシステムが、拘束を可能にするよう締結され、車両への乗車及び車両からの降車を可能にするよう外されることを可能にする。シートベルトシステムは、展開されると、衝突又は車両衝突事象中に、乗員を効果的に拘束する。
【0005】
OEM車両製造業者は、多くの場合、乗員を拘束する性能を向上させるために、車両の衝撃中、又は更には衝撃前のいずれかでシートベルトに張力をかけるプリテンショニングデバイス(「プリプリテンショナ」としても知られる)を有するシートベルト拘束システムを提供している。プリテンショナは、ウェビングのたるみを取り除き、衝突シーケンスの早期にベルト拘束システムが乗員と連結することを可能にする。1つのタイプのプリテンショナは、ベルトに張力をかけるためにウェビングリトラクタに作用する。火薬によって起動するガス発生器を組み込んだロトプリテンショナ(roto-pretensioner)として知られているタイプを含む、リトラクタプリテンショナの様々な設計が現在存在する。一般に、火薬又は他の可燃材の点火は、リトラクタスプールプリテンショナホイールに係合し、ホイールを巻いてウェビングを引き込む、プリテンショナチューブ内に配設された、ピストン、ラック及びピニオン、ポリマーロッド、又は一連のボール要素などの駆動要素に運動を付与するためのピストンを有するチャンバ内に、ガス圧力を生み出す。
【0006】
今日、車両の技術は高度に自律的な車両にシフトされているので、車両の内部で高度に可動であり、構成可能である乗員シートが開発されている。自律車両においては、車両内で回転することができる乗員座席が、車両座席に取り付けることができるシートベルトシステムの必要性を高めている。このため、自律車両におけるシートベルトシステムは、可動性のある乗員シートに着座した乗員を拘束するために、車体ではなくシート構造体に取り付けられる必要がある。しかしながら、本発明者らは、プリテンショナシステムを含む従来のリトラクタアセンブリは、衝突時に乗員の荷重を支えるためには、シート構造の限られた空間内に収容することができないということを発見した。シート構造に取り付けられたプリテンショナシステムを有するリトラクタアセンブリは、コンパクトかつ軽量であるべきであり、また、車両本体に取り付けられた従来のシートベルトシステムと同じ荷重を支えるべきである。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、(追加の用途も想定されるが)自律車両で使用するのに特に適したシートベルトリトラクタアセンブリに関する。自律車両の内部に配置された車両シートは、高度に可動性があり、構成可能である。したがって、シートベルトリトラクタアセンブリは、乗員用のシートベルトリトラクタアセンブリを有する拘束システムが、車両シートと共に移動することができるように、車両の内部に配置されたシート構造に取り付けられるように適合される。更に、シート構造に取り付けられたシートベルトリトラクタアセンブリは、プリテンショナシステムを備え、そのプリテンショナシステムは、車両衝突の初期段階でシートベルトに張力をかけ、プリテンショニングの終了時に、リトラクタ及びシートベルトウェビングをロック状態に維持して、その結果プリテンショナシステムを備えたシートベルトリトラクタアセンブリが小型かつ軽量になるようにするとともに、衝突時に乗員の荷重を支える。
【0008】
本開示の例示的な一実施形態によれば、スピンドル及びフレームを有するシートベルトリトラクタアセンブリにおいて使用するためのシートベルトプリテンショナシステムは、フレームに取り付けられるように適合され、内部空洞を有するハウジング;本体部及び出口部を含み、ガス発生器に流体連通する第1のチューブ端部と、ハウジングの内部空洞に流体連通する第2のチューブ端部とを有するプリテンショナチューブ;ハウジング内に回転可能に取り付けられたピニオンであって、プリテンショニング中にシートベルトウェビングを巻き取るように適合されたスピンドルに固定的に連結されたピニオン;プリテンショナチューブの内側に配設され、ガス発生器に向かって配設された近位端と、ガス発生器から離れて配設された遠位端とを有するプリテンショナロッド;及び、ガス発生器とプリテンショナロッドとの間に配設されたストッパを含む。更に、チューブの出口部は、ネックダウンするように形成され、その結果、出口部は、ストッパがその内部を通過することを防止するように構成される。
【0009】
本開示の更なる一態様によれば、プリテンショナチューブの出口部は、本体部からチューブの第2のチューブ端部に向かって延出する。出口部は、チューブの第2のチューブ端部から約4.5mmの長さを有するように形成される。プリテンショナチューブの出口部は、本体部よりも小さい直径を有する。
【0010】
本開示の更なる一態様によれば、プリテンショナチューブは、プリテンショナを補強して、チューブが破損することに抵抗するように、第2のチューブ端部に形成されたフランジを更に含む。プリテンショナチューブのフランジは、チューブの第2のチューブ端部の周りに円形形状で一体的に形成される。プリテンショナチューブのフランジは、チューブの第2のチューブ端部に固定的に取り付けられた別体のフランジ部材の形態である。プリテンショナチューブのフランジは、チューブの第2のチューブ端部の全周にわたって半径方向に延在している。プリテンショナチューブのフランジは、全周よりも小さいチューブの円周の一部の周りで、半径方向に延在する。
【0011】
本開示の更なる一態様によれば、プリテンショナチューブの出口部における内径は、プリテンショナロッドの断面直径よりも大きく、したがって、チューブの出口部は、プリテンショナロッドがその内部を通過することを可能にするようにサイズ決めされる。プリテンショナチューブの出口部における内径は、ストッパの断面直径よりも小さい。プリテンショナチューブは、チューブの本体部から出口部へと屈曲して移行する円弧状領域を含む。
【0012】
利用可能性の更なる領域は、本明細書に提供されている説明から明らかになる。説明及び特定の例は、例示のためのみであることが意図され、本開示の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示が十分に理解され得るために、本開示の様々な形態を、添付の図面を参照してここで例として説明する。
【
図1】本開示の例示的な一実施形態による、車両の内部に配置された車両シートを示す図である。
【
図2】
図1の車両シートにおける乗員拘束システムの斜視図である。
【
図3】
図2の車両シートに設置されたシートベルトリトラクタアセンブリの斜視図である。
【
図4】プリテンショナシステムを有する
図3のシートベルトリトラクタアセンブリの分解図である。
【
図5】
図3のシートベルトリトラクタアセンブリにおけるフレーム及び取付ブラケットを有するフレームアセンブリの分解図である。
【
図7】
図5のフレームアセンブリの他のサイドの斜視図である。
【
図8】
図4のプリテンショナシステムにおけるプリテンショナロッドの平面図である。
【
図8A】
図8における線8A-8Aに沿った、プリテンショナロッドの断面図である。
【
図9】
図4のプリテンショナシステムのハウジング内部のピニオンを図示する、プリテンショナシステムの破断図である。
【
図10】
図4のプリテンショナシステムのハウジング内部に配置されたプリテンショナカップ、ガイドプレート、及びプリテンショナ上部プレートを図示する、プリテンショナシステムの破断図である。
【
図11】
図3のプリテンショナシステムを含むシートベルトリトラクタアセンブリの斜視図である。
【
図11A】
図3のプリテンショナシステムのハウジング内部に配置されたプリテンショナカップの平面図である。
【
図11B】
図3のプリテンショナシステムのハウジング内部に配置されたガイドプレートの平面図である。
【
図11C】
図3のプリテンショナシステムのハウジング内部に配置されたプリテンショナ上部プレートの平面図である。
【
図12A】本開示の例示的な一実施形態による、プリテンショナシステムにおいて、プリテンショナ後に透明なハウジングの内部空洞に格納されたプリテンショナロッドを図示する、リトラクタアセンブリの斜視図である。
【
図12B】
図12Aのプリテンショナ上部プレートを取り外した、リトラクタアセンブリの斜視図である。
【
図12C】
図12Bにおける透明なプリテンショナカップを有する、プリテンショナシステムの詳細図である。
【
図13A】
図3のシートベルトリトラクタアセンブリ内のガス発生器を作動させる前の、プリテンショナチューブ内部に配設されたプリテンショナロッドの平面図である。
【
図13B】
図3のガス発生器を作動させた後の、ハウジング内に配設されたプリテンショナロッドの平面図である。
【
図13C】
図4のプリテンショナシステム内のシールの平面図である。
【
図14A】
図4のプリテンショナシステムのプリテンショナチューブを図示する、シートベルトリトラクタアセンブリの平面図である。
【0014】
本明細書に示す図面は、例示のためのみであり、本開示の範囲を限定することは何ら意図されていない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は本質的に単に例示であり、本開示、用途、又は使用を限定することは意図されていない。図面全体において、対応する参照番号は、同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0016】
図面を参照すると、
図1は、車両室内の車両シート10を示しており、車両シート10は、車両室内で、移動可能でありかつ回転可能でもある。特に、自動運転システム(図示せず)によって運転される車両では、車両シート10は、車両内で、移動可能でありかつ回転可能でもある。したがって、
図1の例に示されるように、可動式車両シート10は、シート構造に取り付けられるシートベルトアセンブリ12であり、車体から独立して、車両シート10と共に移動することもできるように、シートベルトアセンブリ12を有する必要がある。
【0017】
図2は、例示的な一実施形態による車両シート10及びシートベルトアセンブリ12を示す。一般に、シートベルトアセンブリ12は、上部ガイドループ又は固定具18からラッチプレート20まで延在するショルダーベルト部分16と、ラッチプレート20から下部固定具24まで延在するラップベルト部分22とを有するシートベルトウェビング14を含む。ラッチプレート20は、シートベルトバックル26に挿入されて、シートベルトアセンブリ12をロック及びロック解除することができる。シートベルトバックルケーブル28は、直接的に又は他の構成要素と協働するかのいずれかで、シートベルトバックル26をシート構造体の一部(例えば、車両シート10のクッションフレーム)に固定する。これにより、
図2の一例に示されるように、シートベルトアセンブリ12が、車両用シート10(
図1参照)と共に移動するように、シートベルトアセンブリ12は、車両用シート10の構造体に取り付けられる。
【0018】
シートベルトウェビング14は、車両シート10内に配置されたリトラクタアセンブリ100(
図3に示す)から、繰り出されることができる。ラッチプレート20がシートベルトバックル26に締結された場合、シートベルトアセンブリ12は、
図2に示すように、固定具18とラッチプレート20と下部固定具24との間に3点拘束を画定する。
図2の例示的な実施形態によれば、シートベルトバックケーブル28を含む固定具18及び24の全ては、車両シート10の構造体に取り付けられる。更に、シートベルトアセンブリ12の任意の他の適切な構成が、車両シート10の構造体に取り付けることによって画定され得る。
【0019】
図3において、プリテンショニング機構を有するリトラクタアセンブリ100は、リトラクタアセンブリ100が車両シート10の構造に取り付けられるように、車両シート10の限られた場所に設置するためにコンパクトなサイズで形成されるように設計されており、例えば、シート構造フレーム部材の中空内部に封入されてもよい。リトラクタアセンブリ100は、スピンドルアセンブリ102(
図4参照)と、フレームアセンブリ107に取り付けられたガス発生器104とを含み、フレームアセンブリ107は、フレーム106及び取付ブラケット118を有するものである。スピンドルアセンブリ102(
図4)は、ショルダーベルト部分16のシートベルトウェビング14に接続され、それを収容し、一方、ラップベルト部分22の端部は、固定点、例えば、フレームアセンブリ107又は車両シート10の別の部分に、固定的に係合される。(
図2を参照)。
【0020】
図4を参照すると、スピンドルアセンブリ102は、スピンドル101と、スピンドルプレート103とを含み、スピンドルプレート103は、スピンドル101の内側に配置され、シートベルトウェビング14のショルダーベルト部分16に係合し、回転してシートベルトウェビング14を巻き取り又は繰り出す。ねじり「クロック」又は「モータ」タイプのばねアセンブリ108は、ばね端部キャップ110内に担持され、スピンドル101を、回転的に付勢してシートベルトウェビング14を引き込むようになっている。スピンドルアセンブリ102は、先行技術に従って知られている他のスピンドル制御機構を更に組み込んでおり、そのスピンドル制御機構は、プリテンショナ(本明細書で更に説明される)、慣性及びウェビング感知ロッキングデバイス、トーションバー負荷リミッタ、又は他のベルト制御デバイスを含むものである。本明細書で言及されるスピンドル制御システムは、ウェビングスピンドルの回転運動を制御し、したがってシートベルトウェビングの装着、引き出し、及び引き込みを制御する任意のシステムを含み得る。スピンドル制御システムの1つは、モータ支援型のリトラクタである。スピンドルロック装置は、典型的には、トレッドヘッドと協働する、例えば回転ボール又は振り子などの慣性感知要素を組み込んでおり、スピンドルのピニオンに係合させて、シートベルトウェビング14の更なる引き出し及び/又はラッチプレート20のシートベルトバックル26への接続をスピンドル101から防止する。ウェビング感知ロック装置は、シートベルトウェビング14の急速な繰り出しを感知して、リトラクタアセンブリ100をロックするようになっている。シートベルトウェビング14の引き込み及び/又はラッチプレート20のシートベルトバックル26への接続を検出する様々な電子感知機構もまた、リトラクタアセンブリ100に組み込まれてもよい。
【0021】
関連車両の通常動作中、リトラクタアセンブリ100は、ある特定量の運動の自由度を乗員に与えるためにシートベルトウェビング14の繰り出しを可能にする。しかし、衝撃又は衝撃の可能性のある状況が検出された場合、リトラクタアセンブリ100は、繰り出しを制限し、乗員を車両シート10に固定するようにロックされる。例えば、車両が所定の速度で減速した場合、又はブレーキが所定の力で作動された場合、リトラクタアセンブリ100はロックされる。シートベルトウェビング14の自由な繰り出しにより、シートベルトアセンブリ12は、通常の使用中にしばしばたるみを発生させる。
【0022】
図3及び
図4の例示的な一実施形態によれば、リトラクタアセンブリ100は、車両シート10の構造体に取り付けるため、コンパクトに形成されている。特に、リトラクタアセンブリ100は、プリテンショナシステム112を含み、このプリテンショナシステム112は、スピンドルアセンブリ102に動作可能に接続され、プリテンショニングのためにスピンドル101を回転させるように動作可能なものである。当業者に知られているように、リトラクタプリテンショナは、検出された車両衝撃の初期段階で、シートベルトウェビングを乗員に対してよりしっかりとした状態に巻き取る。これは、車両の衝撃又は横転の減速力に応じた、乗員の前方への運動又は偏倚を低減するために提供される。
【0023】
図3及び
図4に示すように、プリテンショナシステム112は、ガス発生器104と連通するプリテンショナチューブ114を含む。ガス発生器104は、点火信号に応答して膨張ガスを提供するために使用される。当技術分野で知られているように、例えば、車両は、衝突事象、クラッシュ、又は横転などの緊急事象を示す信号を送信するセンサアレイを含む。車両センサは、特定の衝撃センサであってもよく、又は従来の車両センサ(例えば、長手方向若しくは横方向加速度センサ)、又はさもなければ、一組の多数のセンサを有する制御システムの部分であってもよい。当業者に周知の、又は周知されるであろう任意の他の衝撃センサもまた、シートベルトアセンブリ12(図示せず)と併せて容易に用いられ得る。中央処理装置(central processing unit;CPU)又は他のコントローラなどの電子制御ユニットが信号を受信し、シートベルトアセンブリ12を、車両のシートベルトウェビング14を(例えば、プリテンショナの起動を介して)締め付けることによって応答するよう制御する。
【0024】
以下で更に詳細に論じられるように、プリテンショナチューブ114は、その内部に配設され、細長い形状を有し、チューブ114内で可撓性を有する、プリテンショナロッド116(例えば、可塑的変形可能なポリマーロッド)を有する。より具体的には、以下で更に詳細に論じられるように、プリテンショナロッド116は、プリテンショナチューブ114への挿入前にプリテンショナチューブ114の外に配設されているときには、概ね直線状の形状を有し、プリテンショナチューブ114内に挿入されると、プリテンショナロッド116は、プリテンショナチューブ114の屈曲した形状に従って、屈曲し、曲がり、シート構造体の限られた空間の内部にフィットする。
【0025】
更に、
図3及び
図4に示すように、リトラクタアセンブリ100は、上に説明したような、フレーム106に装着されたスピンドルアセンブリ102を含む。より具体的には、スピンドルアセンブリ102は、フレーム106に対して回転し、スピンドルアセンブリ102に取り付けられたシートベルトウェビング14を巻き取る。スピンドルアセンブリ102は、プリテンショナシステム112のハウジング120内に配設されたピニオン126を含む。ピニオン126はスピンドル101に取り付けられており、ピニオン126の回転により、取り付けられたスピンドル101が回転して、スピンドル101に取り付けられたシートベルトウェビング14を巻き取る。更に、プリテンショナシステム112の構成要素を有するハウジング120は、フレーム106に取り付けられる。
【0026】
図5、
図6及び
図7を参照すると、リトラクタアセンブリ100を車両シート10の構造に取り付けるための限られた空間のため、フレームアセンブリ107は、フレーム106及び取り付けブラケット118を含み、これらは、スピンドル101を受け入れる内部空間を有するように相互連結される。
図5及び
図6の例示的な形態では、取り付けブラケット118は、平坦な形状で形成され、フレーム106を受け入れるための少なくとも1つの開口部(アパーチャ)122及び少なくとも1つのスロット124が形成された主要部分129と、フレームアセンブリ107を車両シート10の構造体に取り付けるための少なくとも1つの穴123が形成された接続部分131とを含む。フレーム106は、ボックス形状で形成され、フレーム106内に、基部109を画定する少なくとも1つのパッド105を含み、その結果、フレーム106の基部109が、取付ブラケット118の主要部分129に取り付けられるようになる。更に、フレーム106のベース109として形成されたパッド105は、内側に曲げられて、フレーム106が、シート構造体の限られた空間にリトラクタアセンブリ100を取り付けるために、パッケージングサイズを低減するように構成されている。
【0027】
図5、
図6、及び
図7において、例えば、フレーム106は、取付ブラケット118の4つのスロット124と摺動可能に係合する4つのパッド105を備えて形成され、フレーム106のパッド105が取付ブラケット118のスロット124と相互連結するようになっている。取付ブラケット118の開口部122は、パッド105が、取付ブラケット118のスロット124と係合することを容易にする。
図5では、第1のステップとして、パッド105が開口部122を通過し(ブラケット118の開口部122内に挿入される、矢印参照)、
図7では、第2のステップとして、パッド105がスロット124内に摺動し(矢印参照)、フレーム106とブラケット118とが構造的に接続される相互連結位置として画定されるスロット124としっかりと相互連結する。更に、内向きに曲げられたパッド105により、フレーム106のパッド105は、取付ブラケット118の主要部分129に重なり、フレーム106のパッド105は、フレーム105が、取付ブラケット118の設置面積を減少させ、フレームアセンブリ107の機械的強度も増加させるように、接合方式(例えば、溶接又はリベット締め)によって、取付ブラケット118にしっかりと固定される。したがって、フレーム106は、取り付けブラケット118に固定的に取り付けられて、フレームアセンブリ107が単一のユニットとして形成され、リトラクタアセンブリ100を支えるようになっている。
【0028】
図6及び
図7に示すように、フレーム106及び取り付けブラケット118を有するフレームアセンブリ107は、リトラクタアセンブリ100のパッケージング空間に影響を与えないようにする必要がある一方で、スピンドルアセンブリ102及びプリテンショナシステム112を受け入れるできるだけ多くの平坦面を、フレーム106の垂直壁上に維持する。したがって、フレーム106に形成されたパッド105と取付ブラケット118に形成されたスロット124との相互作用は、シート構造の限られた空間内に配置するためのリトラクタアセンブリ100の製造可能性を高めるように構成される。
【0029】
図3及び
図4に戻って参照すると、プリテンショナロッド116は、一形態においてほぼ円形の断面を有する(
図8も参照)。別のアプローチによれば、プリテンショナロッド116は、非円形断面を有することができ、例えば、概ね長方形の断面、三角形断面、又はプリテンショナロッド116が、プリテンショナチューブ114内に挿入され、挿入されたときにチューブ114の屈曲(円弧状)形状に適合することを可能にする他の多角形断面などを有するであろう。説明のために、プリテンショナロッド116は、ほぼ円形の断面を有するものとして説明する。1つのアプローチにおいて、円形の断面は、ロッド116の長さに沿って回転し、螺旋形状を作り出すことができる。
【0030】
図8及び
図8Aは、ほぼ円形の断面形状を有するプリテンショナロッド116を示す。ロッド116は、その全長の大部分に沿って延在する主本体部115と、その遠位端128に形成されたテーパ部分117とを含む。ロッド116は、ロッド116がプリテンショナシステム112内に設置されるときに、ガス発生器104に向かって配設される近位端130を更に含む。更に、ロッド116の遠位端128は、ロッド116の近位端130とは反対側の端部に配設される。更に、
図8及び
図8Aに示すように、プリテンショナロッドの全長は、約132mmであり、プリテンショナロッド116の主本体部115の断面直径dは、約6.2mmであり、プリテンショナチューブ114に挿入されたとき、ロッド116とチューブ114との間の半径方向ギャップは、チューブ114の本体部166において概ね0.65mmである。
【0031】
プリテンショナロッド116は、好ましくは、ユーザの特定の要望に適合するように選択することができるポリマー材料から作製される。ポリマー材料は、初期設置を可能にするために、及びガス発生器104による作動に応答して、プリテンショナチューブ114を通って曲がり、屈曲することができるよう、十分な可撓性を有するものであることが望ましい。更に、ポリマー材料は、プリテンショニング動作中に自らが変形して、プリテンショナ又はピニオンに、構造的に係合することができるように選択される。ポリマー材料は、作動に応答して、十分な「押し込み可能性」(カラム負荷特性)を有するものであることが好ましく、ロッド116がプリテンショナシステム112のピニオン126に荷重を十分に伝達することになる。
【0032】
更に、ロッド116は、好ましくは、可塑的に変形可能であるポリマー材料から作製される。作動中及び作動後、ロッド116は、作動及びプリテンショナシステム112の他の構成要素(例えば、ピニオンベーン又はガイドプレート)との接触に応答して可塑的に変形されることになる。この可塑的変形は、システム112の使用を参照して以下で更に説明され、ここで、可塑的変形は、プリテンショナチューブ114内の維持されたガス圧力に完全に依存することなく、ロッド116のペイバックを防止又は制限するようにシステムをロックさせる。1つの方法では、ロッド116は、ナイロン熱可塑性材料から作製される。ロッド116はまた、脂肪族ポリアミド熱可塑性材料からも作製され得るであろう。別のアプローチでは、ロッド116は、アセタール材料又はポリプロピレン材料などの、同様の熱可塑性材料から作製され得るであろう。しかしながら、可塑的変形することなくプリテンショナシステム112を起動させることができるプリテンショナロッド116用の他の材料も使用され得るであろうということが理解されるであろう。例えば、弾性変形可能な材料が使用され得るが、そのような材料は、可塑的変形可能なロッドの利点の各々を提供しないであろう。
【0033】
図9及び
図10を参照すると、ピニオン126は、スピンドル101に面する第1のサイド125において、スピンドルプレート103を受容する中心スロット132を画定するほぼ環状形状を有し、中心スロット132がスピンドルプレート103に圧着されるようになっている(
図4も参照)。これにより、ピニオン126とスピンドル101とがスピンドルプレート103によって互いに連結され、ピニオン126とスピンドル101とが連結されて、一体で回転する。更に、ピニオン126は、プリテンショナシステム112に面する第2の側127から突出する突起133を含み、突起133は、プリテンショナシステム112のハウジング120に、回転可能に連結される。
図9及び
図10に示すように、ピニオン126は、環状の本体部134と、本体部134の基部から半径方向に突出するフランジ部分136とを含む。ピニオン126は、複数のベーン(又は歯)138を更に含み、ベーン138は、本体部134から半径方向に、フランジ部分136から長手方向にそれぞれ突出し、ベーン138が、本体部134とフランジ部分138との間に延在するようになっている(
図4参照)。
【0034】
図9に示すように、ベーン138はそれぞれ、前方から見たときに概ね三角形の形状を有し、基部137は、ベーン138が本体部134から半径方向外向きに延びるにつれて、点139に向かって先細りになる。ベーン138の特定の幅及びピッチは、所望に応じて選択することができる。複数のベーン138は、隣接するベーン138どうしの間に配設された空洞140を画定するように組み合わされる。
図9の例示的な一実施形態では、ピニオン126は、均一に分配された13本のベーン138を有して形成され、各ベーン138は、同じサイズ及び形状を有することができる。別のアプローチでは、ベーン138は、異なるサイズを有することができ、かつ/又は異なる間隔で互いに離間されることができる。ベーン138のサイズ及び間隔を調整することにより、プリテンショナシステム112が起動されたときのピニオン126の回転量及び/又は回転速度、並びにロッド116との相互作用を変更することができる。
【0035】
図10を参照すると、プリテンショナシステム112のハウジング120は、ガイドプレート142、プリテンショナカップ(PTカップ)144、及びプリテンショナ上部プレート146を有する内部空洞141を有して形成され、フレーム106にも取り付けられている。更に、
図10は、ガイドプレート142、PTカップ144、及び上部プレート146を有するハウジング120の、内部空洞141を示す。
図11に示すように、ハウジング120は、フレーム106に直接取り付けられた内側部分119と、内側部分119に取り付けられた外側部分121とを含み、外側部分121は、ピニオン126の回転軸線において内側部分119を覆っている。ガイドプレート142及びPTカップ144は、ピニオン126の環状本体部134も受容する、ハウジング120の内側部分119内に配置される。上部プレート146は、外側部分121において、PTカップ144及びガイドプレート142がフレーム106に取り付けられているサイドとは反対サイドに配置されている。ピニオン126の突起133は、外側部分121の上部プレート146と回転可能に連結されるが、それにより、スピンドルアセンブリ102に取り付けられたピニオン126が、必要なときに回転することができるようになっている。
【0036】
図11において、PTカップ144は、ピニオン126も配設されている、ハウジング120の内側部分119に配設されている。更に、
図11Aでは、PTカップ144は、ピニオン126を受け入れるための円形開口部148を有して形成されており、また、逆L字形プレートで形成されて、ピニオン126のフランジ部分136の周りでチューブ114から出るロッド116のための円形経路を作っている。したがって、PTカップ144には、ロッド116をガイドするために、円形開口部148の周りに円形経路が設けられる。PTカップ144の円形経路はまた、円形開口部148の周囲のチューブ114の出口に向かう凹形状を有する、概ね弓状のランディング表面150を有して形成される。1つのアプローチでは、表面150の弧は一定の半径を有し、弧の半径の中心点は、ピニオン126の回転軸と位置合わせされ、表面とピニオンとの間の半径方向間隔が、表面150の長さに沿って一定になっている。別のアプローチでは、表面150とピニオン126の外径との間の半径方向間隔が表面150に沿った異なる点で変化するように、表面の半径の中心点をピニオン126の回転軸からずらすことができる。更に、弓状のランディング表面150は、第1の端部149及び第2の端部151を含む。第1の端部149は、チューブ114の出口の反対側に配設され、ロッド116がチューブ114を出た後に第2の端部151に先立って第1の端部149に係合するようになっている。
図11Aに示すように、PTカップ144は、一般的に、鋼材から打ち抜き加工法により作製される。しかしながら、別のアプローチでは、PTカップ144は、型成形又は鋳造された金属又はプラスチック材料等の他の材料から形成されてもよい。
【0037】
ハウジング120は、内側部分119に配設されたガイドプレート142を更に含む。
図11Bにおいて、ガイドプレート142は、PTカップ144の弓状のランディング表面150に対向して配設されたガイド経路152を有して形成されている。更に、
図10に示すように、ガイド経路152は、ロッド116が内側部分119から外側部分121に向かって移動するように、傾斜面154を有して形成されている。ガイドプレート142に形成された傾斜面154により、ロッド116は、プリテンショニング後に、内側部分119及び外側部分121などの少なくとも2つのレベルを有するハウジング120内に格納される。また、ガイド通路152は、内側端部153と外側端部155とを有する、半円形状を有して形成されている。ガイドプレート142の内側端部153は、弓状のランディング表面150の第2の端部151に接触し、ピニオン126を通過するロッド116の一部がガイドプレート142の傾斜面154に沿って外側部分121に向かって移動するようになっている。また、ガイドプレート142は、プラスチック材質で射出成形加工により形成される。
【0038】
図11及び
図11Cにおいて、ハウジング120は、外側部分121に配設されたプリテンショナ上部プレート146を含む。上部プレート146は一般的に、
図10及び
図11に示すように、PTカップ142とガイドプレート144とを有する内側部分119を覆うように配置される。更に、上部プレート146は、ピニオン126の突出部133と回転可能に連結され、プリテンショニング後に、プリテンショナロッド116の一部を格納するように構成される。
図11Cを参照すると、上部プレート146は、プリテンショナロッド116を格納するためのオーバーフロー経路156とオーバーフロー空洞158とを有して形成されている。プリテンショニング後、内側部分119内の、ピニオン126及びガイドプレート142を通過するロッド116の部分は、オーバーフロー経路156をたどり、次いで、外側部分121内に配設された上部プレート146のオーバーフロー空洞158に向かって方向付けられる。オーバーフロー空洞158及びオーバーフロー経路156は、必要に応じて、プリテンショナシステム112の作動中にロッド116の一部がその中に受容されることを可能にするようにサイズ決定及び構成される。例えば、ロッド116は、チューブ114を出た後、PTカップ144の弓状のランディング表面150に接触し、外側部分121に移動するための傾斜面154を有するガイド経路152に方向付けられ、ロッド116の部分が、最終的にオーバーフロー空洞158に向かって方向付けられるようになっている。
【0039】
本開示によるリトラクタアセンブリ100は、車両シート10の限られた空間内に収まるサイズであるので、従来のリトラクタアセンブリと比較して、リトラクタアセンブリ100のサイズは概してコンパクトであり、減少している。したがって、
図12Aに示すように、ハウジング120は、内側部分119及び外側部分121を有して形成され、ロッド116が、プリテンショニング後に内側部分119及び外側部分121の両方に格納されるようになっている。例えば、ロッド116は、ヘリカル又はスパイラルストレージとして形成されたハウジング120内に格納されるが、それは、内側部分119及び外側部分121がピニオン126の回転軸線に沿って並んで配置され、ハウジング120がピニオン126の回転軸線に沿って2つのレベル(平面)で形成されているからである。内側部分119として画定される第1のレベル(平面)は、ピニオン126の本体部134を含み、外側部分121として画定される第2のレベル(平面)は、ピニオン126の突出部133を含む。したがって、ロッド116は、プリテンショニング後に渦巻き形状又は螺旋形状を有するハウジングの2つのレベル(平面)に格納される。
図12A~
図12Cは、プリテンショニング後にプリテンショナシステム112のハウジング120内に格納されたプリテンショナロッド116を概略的に示す。
図12Aは、本開示による小型プリテンショナシステム112を含む小型リトラクタアセンブリ100を示す。
図12Bは、プリテンショニング後のプリテンショナシステム112のハウジング120の内部を示す。
図12Cにおいて、プリテンショナチューブ114を出たロッド116は、まずピニオン126に接触し、内側部分119においてPTカップ144の内側の弓形形状に従う。その後、ロッド116は、ガイドプレート142のガイド経路152を介して、内側部分119から外側部分121に向かって移動し、次いで、上部プレート146に形成されたオーバーフロー経路156に従い、ロッド116の部分が最終的にオーバーフロー空洞158に向かって方向付けられ、ロッド116が、プリテンショニング後に、ハウジング120の内側部分119及び外側部分121の両方に格納されるようになっている(
図12C参照)。
【0040】
上述のように、リトラクタアセンブリ100は、発射信号に応答して、膨張ガスを提供するガス発生器104(
図4参照)を含む。
図13Aは、ガス発生器が起動される前のプリテンショナチューブ114内のシール160及びストッパ162を有するプリテンショナロッド116を示し、
図13Bは、プリテンショニング後にチューブ114から出るプリテンショナロッド116を示す。
図13A及び
図13Bに示されるように、膨張ガスは、チューブ114内の圧力の増大を引き起こし、これにより、最終的には、ロッド116が、チューブ114内を通って、ガス発生器104から離れるように押しやられる。上述したように、プリテンショナチューブ114は、ピストン又はシール160を更に含む。ピストン160は、1つのアプローチでは、円筒形の外側表面を有する円筒形状を有することができる(
図13Cを参照)。別のアプローチでは、シールは、球形の外面を有する球形状を有することができる(図示せず)。シール160は、チューブ114内に摺動可能に配設され、チューブ114の屈曲形状に沿ってロッド116を駆動するように動作可能である。当業者によって理解されるように、シール160は、チューブ114の内側に、圧入又は別様に嵌合されてもよい。
【0041】
図13A及び
図13Cに示すように、シール160は、ガス発生器104から離間した近位端159を画定して、それらの間にガスチャンバを画定する。シール160は、ロッド116の方に向けられた遠位端161を画定する。更に、プリテンショナチューブ114は、ピストン(シール)160とロッド116との間でチューブ114内に配設された、ストッパ162を含む。ストッパ162は、好ましくは、鋼材料から作製されるが、十分な強度の別の好適な材料(例えば、アルミニウム又は強化プラスチック)から作製され得る。ストッパ162は、1つのアプローチでは、概ね球形の形状を有する。しかしながら、ストッパ162は、他のアプローチでは卵形又はほぼ円筒形を有することができる(図示せず)。ストッパ162はまた、シール160の遠位端161に隣接する近位端163と、ロッド116に隣接する遠位端164とを画定する。
【0042】
図13A及び13Bに示されるように、シール160及びストッパ162は、2つの別個の異なる構成要素である。別のアプローチでは、ストッパ162は、接着剤、溶接、若しくは機械的接続を介して固定されるようにシール160に一体化されるか、又はストッパ162はシール160と単一ユニット(図示せず)として形成され得る。シール160及びストッパ162は協働して、ガスチャンバ内の増大した圧力からのエネルギーを、ロッド116に向かって伝達する。シール160及びストッパ162は、連結された様式で協働するようにサイズ決めされる。1つのアプローチでは、
図13Cに示されるように、円筒形状を有するシール160の近位端159及び遠位端161はそれぞれ、半球状凹部又は凹状窪みを画定するように内側に向かってへこんでいる。また、ストッパ162の近位端163は、シール160のへこんだ遠位端161に嵌合する凸形状を有し、シール160及びストッパ162が互いにしっかりと連結されるようになっている。ロッド116は、チューブ114を通って移動し、チューブ114の曲率に従って曲がるために、チューブ114の幅よりもわずかに小さいサイズである。したがって、シール160がなければ、ガス発生器104からのガスは、ロッド116とチューブ114との間に画定された半径方向の空間内でロッド116を通過して流れる。
【0043】
図14A及び
図14Bを参照すると、シート構造体の限られた空間に配置するためのリトラクタアセンブリ100のコンパクトなサイズ(より小さいサイズ)のために、本開示によるプリテンショナチューブ114は、チューブ114の出口領域で屈曲するように形成され、その結果、プリテンショナチューブ114が、本体部166と、チューブ114の出口領域に画定された出口部168とを含む。更に、プリテンショナチューブ114は、ガス発生器104に流体連通する第1のチューブ端部111と、ハウジング120の内部空洞141に流体連通する第2のチューブ端部113とを含む。チューブ114の第2のチューブ端部113は、PTカップ144内の弓状のランディング表面150の第1の端部149に接続され、その結果チューブ114を出るロッド116が、PTカップ144の第1の端部149に係合するようになっている。
【0044】
図4及び
図14Aに示すように、更に、プリテンショナチューブ114は、ストッパ162がチューブ114から出るのを防止するために出口部168においてネックダウンされており、チューブ114のネックダウンされた出口部168は、ロッド116のみがチューブ114を通過して出ることを可能にする。例えば、プリテンショナチューブ114の最後の4.5mmは、ネックダウンされ(出口部168として定義され)、その結果チューブ114の出口部168の内径が、チューブ114の本体部166よりも小さくなっている。出口部168において、更に、チューブ114の内径Deは、約6.5mmであり、ロッド116(主本体部115、
図8A参照)の断面直径dは、約6.2mmであり、その結果ロッド116は、チューブ114の出口部168を通過して、チューブ114から出るようになっている。
【0045】
更に、プリテンショナチューブ114は、プリテンショニング中に、チューブ114が破損するのを防止するために、第2のチューブ端部113の周囲に形成されたフランジ170を更に含む。チューブ114の出口部168におけるネックダウン領域のために、プリテンショナチューブ114は、補強が提供されない場合、プリテンショニング中にガス発生器104から生成されるガス圧力によってネックダウン領域と干渉するように駆動されるストッパ162の相互作用によって引き起こされる半径方向外向きの力のために破損する傾向がある。したがって、フランジ170は、チューブ114の第2のチューブ端部113において全周から半径方向に延びるように形成される。別のアプローチでは、フランジ170は、第2のチューブ端部113の全周未満である、チューブ114の円周の一部の周りで、半径方向に延在する。更に、プリテンショナチューブ114のフランジ170は、チューブ114の第2のチューブ端部113の周りに円形形状で一体的に形成される。別のアプローチでは、プリテンショナチューブ114のフランジ170は、チューブ114の第2のチューブ端部113に固定的に取り付けられた別体のフランジの形態である。
【0046】
あるアプローチでは、
図14A及び14Bの実施例に示されるように、球形ストッパ162がチューブ114の内部で使用される場合、球形ストッパ162がチューブ114から出ることを防止するように、球形形状を有するストッパ162の直径は、出口部168においてチューブ114の内径よりも概して大きい(
図13C参照)。別のアプローチにおいて、円筒形状を有するストッパを用いる場合、
図14Bに示すように、チューブ114が急激に屈曲しているため、チューブ114の円弧状領域167を通過させるためには、円筒形状のストッパの長さを非常に短くする必要がある。例えば、円筒形ストッパ(図示せず)は、わずか3~4mmの長さであり、また、円筒形ストッパがチューブ114の円弧状領域167を通過するのを容易にするために複数の戻り止めを有するように形成される。
【0047】
プリテンショナの作動中及びシートベルトのプリテンショニング中に、ペイバックとして知られる副作用が存在し得るが、それは、プリテンショニングをトリガする事象中に乗員によって引き起こされるシートベルトへの張力がプリテンショニングの回転とは反対の方向にスピンドルを回転させ得る。この回転はピニオン及び駆動要素に伝達され、駆動要素をチューブ内で逆方向に移動させる。ペイバックは、プリテンショナチューブ内の圧力を維持することによって対抗され得るが、これは、ガス発生器がより長い期間にわたって点火していることと、追加の推進剤とを必要とする。
【0048】
しかしながら、本明細書で説明されるプリテンショナシステム112の好ましい一実施形態は、維持されたガス圧の代替として、又はそれに加えて、上述のペイバック副作用に対抗するように構成される特徴を含む。上述したように、ロッド116は、好ましくは、ポリマーなどの可塑的変形可能な材料で作られる。
図12A、12B、及び12Cに戻って参照すると、プリテンショナシステム112の作動中、ロッド116は、チューブ114を出て、ピニオン126のベーン138に接触し、ピニオン126を回転させる。ロッド116が、続けてピニオン126を通過しそれを回転させると、ベーン138のうち追加のベーンがロッド116のサイドに接触し、ベーン138とロッド116との間の干渉領域においてロッドを圧縮して可塑的変形させる。この圧縮はまた、ロッド116をPTカップ144に対して圧縮させ、ピニオン126とPTカップ144との間に、ロッド116の圧入構成を形成する。更に、ベーン138によって引き起こされるロッド116の可塑的変形は、ピニオン126が反対方向に回転することを防止又は実質的に制限し、それによって、ペイバックを防止又は実質的に制限する。
【0049】
様々な上記実施形態を説明してきたが、次に、プリテンショナシステム112の一般的な機能について説明する。プリテンショナシステム112は、ロッド116が、好ましくは、
図13Aに示されるように、シール160及びストッパ162に隣接して、チューブ114内に配置される、第1の、初期の、又は公称の状態を有する。シール160及びストッパ162は、ロッド116の上流に配設され、ストッパ164は、シール160とロッド116との間に配設される。ガス発生器104は、チューブ114の端部に取り付けられ、ガスチャンバが、ガス発生器104とシール160との間に画定されるようになっている。
【0050】
プリテンショニングを作動させる事象又は信号に応答して、ガス発生器104は、ガスをガスチャンバ内に放出する。チャンバ内の増加した圧力は、シール160、ストッパ162、及びロッド116を、ガス発生器104から離して、チューブ114によって画定される経路に沿って押し進める。ロッド116のテーパ部分(遠位端)117は、ピニオン126に向かって並進し、最終的にピニオン126のベーン138のうちの1つに接触し、その後、複数のベーン138に接触する。ベーン138に対して加えられる、ロッド116からの力は、ピニオン126をその回転軸線の周りに回転させ、それによって最終的に、シートベルトウェビング14をスピンドル101の周りにその初期の公称位置に対して巻き取る。もちろん、第1の位置と第2の位置との間に中間位置がある。
【0051】
ロッド116の近位端は、最初に、
図13Aに示されるように、シール160及びストッパ162に隣接して位置付けられる。ガス発生器104の作動に応答して、シール160及びストッパ162の力が、ロッド116に伝達される。この力は、ロッド116の近位端を、応答して部分的に変形し、また、ロッド116は、作動中にチューブ114を通って移動する。更に、ロッド116は、PTカップ144のランディング表面150に対応する円弧状経路に向けられるように引き続き駆動され、更に、ロッド116は、ガイドプレート142の傾斜面154に対応するガイド経路152を介して、内側部分119から外側部分121に向かって移動する。ロッド116は、ピニオン126がPTカップ144の弓状のランディング表面150に沿って並進する際に、ピニオン212を回転させ続ける。ロッド116の遠位端は、最終的に、
図13Bに示されるように、上部プレート146のオーバーフロー経路156を介してオーバーフロー空洞158の中に移動するであろう。ピニオン126は、ロッド116の主本体部115とピニオン126との間の係合によって駆動され続ける。ロッド116がピニオン126から部分的に係合解除された状態では、ロッド116はロック位置にある(
図12C参照)。ロック位置にある間、ロッド116はピニオン126のベーン138と係合しているので、ロッド116は逆方向に移動することが防止される。
【0052】
作動中、シール160及びストッパ162もチューブ114に沿って移動し、これらの構成要素の移動は、チューブ114を通してロッド116を駆動するのを支援する。ロッド116のロック位置では、シール160及びストッパ162は、ロッド116がピニオン126と接触する抵抗を受けるときに、ロッドからの背圧を受ける。したがって、シール160は、ロッド116のロック位置において周囲に拡張された状態を有する。更に、ロッド116が経路に沿って十分に遠くまで移動する場合、シール160及びストッパ162は、ネックダウンされた出口部168に向かってチューブ114を通って移動し続ける。したがって、
図13Bに示すように、ストッパ162が、チューブ114内でネックダウンされた出口部168の内径よりも大きい直径を有することにより、ストッパ162(シール160も含む)がチューブ114の出口部168を通過することが防止される。
【0053】
上記の説明は、本発明の好ましい実施形態を構成するが、本発明は、添付の特許請求の範囲の適切な範囲及び公正な意味から逸脱することなく、修正、変形及び変更が可能であることが理解されよう。
【国際調査報告】