(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】低温高速硬化二重硬化シリコーン
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20241128BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20241128BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20241128BHJP
C08L 83/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08L83/06
C08G75/045
C08L83/07
C08L83/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532495
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022046849
(87)【国際公開番号】W WO2023107198
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジュンイン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ビジョン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J030
【Fターム(参考)】
4J002CP05W
4J002CP10Y
4J002CP12X
4J002EK066
4J002EZ007
4J002FD146
4J002FD157
4J002GH01
4J002GJ01
4J002GQ05
4J030BA02
4J030BB07
4J030BC12
4J030BC43
4J030BG03
4J030BG10
(57)【要約】
硬化性組成物は、(a)1分子当たり少なくとも2つのトリアルコキシシリル基を含み、アルケニル基及びメルカプト基を含まない、第1のオルガノポリシロキサンと、(b)少なくとも1つのアルケニル基を含有し、メルカプト基及びアルコキシシリル基を含まない、第2のオルガノポリシロキサンと、(c)1分子当たり平均2つ以上のメルカプトアルキル基を含み、アルケニル官能基及びアルコキシシリル官能基を含まない、第3のオルガノポリシロキサンと、(d)光開始剤と、(e)縮合触媒と、(f)任意選択的に、アルコキシシランと、を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
a.1分子当たり少なくとも2つのトリアルコキシシリル基を含み、アルケニル基及びメルカプト基を含まない、第1のオルガノポリシロキサンであって、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量に基づいて35~80重量パーセントの範囲内の濃度で存在する、第1のオルガノポリシロキサンと、
b.少なくとも1つのアルケニル基を含有し、メルカプト基及びアルコキシシリル基を含まない、第2のオルガノポリシロキサンであって、10~65重量パーセントの範囲内の濃度で存在し、0.02重量パーセント超の二重結合炭素基の濃度を提供し、重量パーセント値が、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量に基づく、第2のオルガノポリシロキサンと、
c.1分子当たり平均2つ以上のメルカプト基を含み、アルケニル官能基及びアルコキシシリル官能基を含まない、第3のオルガノポリシロキサンであって、前記第3のオルガノポリシロキサンの濃度が、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量に基づいて0.5~30重量パーセントの範囲内であるとともに、1モルのアルケニル基当たり0.3~4モルのメルカプト基を提供するために十分である濃度で存在する、第3のオルガノポリシロキサンと、
d.硬化性組成物重量の0.01~5重量パーセントの範囲内の濃度における光開始剤と、
e.硬化性組成物重量の0.01~3重量パーセントの範囲内の濃度における縮合触媒と、
f.任意選択的に、硬化性組成物重量の0.1~10重量パーセントの範囲内の濃度におけるアルコキシシランと、を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記第1のオルガノポリシロキサンが、(メタ)アクリル基を含まない、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記第1のオルガノポリシロキサンが、平均化学構造(I)を有し、
【化1】
式中、
Xが、各出現において独立して、トリアルコキシシリル含有基から選択され、
Rが、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を含有するヒドロカルビル基から選択され、
R’が、1~6個の炭素原子を有するアルキレン基であり、
下付き文字mが、2~10の範囲内の平均値を有し、
下付き文字dが、20~5000の範囲内の平均値を有し、
下付き文字d’が、0~50の範囲内の平均値を有し、
下付き文字tが、0~100の平均値を有し、
下付き文字qが、0~10の平均値を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
Xが、
【化2】
及び
【化3】
から選択され、式中、Rが、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択され、R’が、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するアルキレン基から選択される、請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記第2のポリオルガノシロキサンが、平均化学構造(II)を有し、
【化4】
式中、Yが、各出現において独立して、2~8個の炭素原子を有する末端アルケニル基であり、Rが、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択され、下付き文字m’が、2~10の範囲内の平均値を有し、下付き文字d2が、20~5000の範囲内の平均値を有し、下付き文字d2’が、0~50の範囲内の平均値を有し、下付き文字t’が、0~100の範囲内の平均値を有し、下付き文字q’が、0~10の範囲内の平均値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
各Rが、メチルであり、Yが、ビニルであり、下付き文字mが、50~800の範囲内の平均値を有し、nが、0である、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記第3のオルガノポリシロキサンが、平均化学組成(III)を有し、
【化5】
式中、Rが、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択され、R”が、HS(CH
2)
tCH
2-であり、下付き文字tが、1~7の範囲内の平均値を有し、下付き文字jが、0~2の範囲内の平均値を有し、下付き文字o及びpが、前記第3のオルガノポリシロキサンの重量に基づいて0.5~15.0重量パーセントの範囲内であるメルカプト基の重量比を提供するように選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記アルコキシシランが、平均化学構造(IV)を有するアルキルトリアルコキシシランであり、
【化6】
式中、Rが、各出現において独立して、平均1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
a.前記第1のポリオルガノシロキサンが、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量の40~80重量パーセントの範囲内の濃度で存在し、
【化7】
(式中、各出現において、Xが、-R’-SiR
2-OSiR
2-R’-Si(OR)
3であり、Rが、メチルであり、R’が、-CH
2CH
2-であり、下付き文字aが、145~290の範囲内の平均値を有し、下付き文字bが、0である)、
及び
【化8】
(式中、各出現において、Xが、(RO)
3Si-R’-R
2SiO-R
2Si-R’-であり、Rが、メチルであり、R’が、-CH
2CH
2-であり、下付き文字aが、55~57の範囲内の平均値を有し、下付き文字bが、0である)から選択される平均化学構造を有し、
b.前記第2のポリオルガノシロキサンが、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量の16~50重量パーセントの範囲内の濃度で存在し、
【化9】
(式中、各出現において、Rが、メチルであり、Yが、ビニル基であり、下付き文字mが、120~770の範囲内の平均値を有し、下付き文字nが、0である)、
及び
【化10】
(式中、各出現において、Rが、メチルであり、Yが、ビニル基であり、下付き文字mが、55~57の範囲内の平均値を有し、下付き文字nが、0である)から選択される平均化学構造を有し、
c.前記第3のポリオルガノシロキサンが、第1、第2、及び第3のポリオルガノシロキサンの複合重量の1~10重量パーセントの範囲内の濃度で存在し、平均化学組成(IIIa)を有し、
【化11】
式中、Rが、各出現においてメチルであり、R’’が、HS(CH
2)
2CH
2-であり、下付き文字pが、40~45の範囲内の値を有し、下付き文字oが、5の平均値を有し、
d.前記組成物が、光開始剤を含み、
e.前記組成物が、縮合触媒を含み、
f.前記組成物が、アルコキシシランとしてメチルトリメトキシシランを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記硬化性組成物が、アルケニル官能基及びアルコキシ官能基の両方を有するポリシロキサンを含まない、請求項1~9のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線光及び湿気の両方によって硬化する二重硬化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(ultraviolet、UV)光及び湿気の両方によって硬化する二重硬化組成物は、例えば、コーティングの全ての部分を光に曝露することが困難であるが、コーティングの急速な硬化が望ましい、コーティング、封止、ポッティング、及び接着剤用途において有用である。組成物のUV光硬化態様は、UV光曝露による組成物の急速な初期硬化を提供して、コーティングに損傷を与えることなく連続プロセス又は取り扱いを容易にする。湿気硬化機構は、光への曝露から遮断された組成物(「影領域」)を硬化させるとともに、経時的により完全に組成物を硬化させる役割を果たす。
【0003】
多くの二重硬化組成物に伴う課題は、それらが、同じポリマー上に湿気及びUV硬化機能性の両方を含む高価な「二重硬化」ポリマーを必要とすることである。これらのポリマーは、作製することが高価であるだけでなく、同じポリマー上で湿気及びUV硬化機能性の両方を可能にするように、それらの構造構成において限定される。二重硬化ポリマーを必要としない二重硬化組成物を識別することが望ましい。「二重硬化ポリマー」は、UV硬化性官能基及び湿気硬化性官能基の両方を含有するポリマーである。二重硬化ポリマーの例は、アルコキシ官能基及びアルケニル官能基の両方を含有するものである。
【0004】
二重硬化組成物の別の望ましい特徴は、組成物の硬化をより急速に完了するように、湿気硬化ステップの速度及び程度を増加させることである。例えば、50分未満でタックフリー表面への組成物の湿気硬化を達成することが望ましい。より重要なことは、そのような湿気硬化速度を達成しながら、タックフリーであり、少なくとも1ミリメートルの深度まで硬化される、空気中の4ジュール/平方センチメートル(Joules per square centimeter、J/cm2)のUV曝露時のUV硬化も達成することである。(メタ)アクリレート系UV硬化システムに関する問題を回避するように、チオール-エンUV硬化化学を使用して、これらの組成物及び性能特性を達成する、そのような二重硬化組成物が更により望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、二重硬化ポリマーを必要とせず、50分未満でタックフリー表面への湿分硬化、タックフリーであり、少なくとも1ミリメートルの深度まで硬化され、チオール-エンUV硬化化学を利用した、空気中の4J/cm2のUV照射時のUV硬化を達成する、二重硬化組成物を同時に提供するという問題への解決策を提供する。
【0006】
驚くべきことに、本発明は、前述の所望の二重硬化性能を達成することが可能である、3つの異なるオルガノポリシロキサン:アルケニル官能性、メルカプト官能性、及びトリアルコキシ官能性オルガノポリシロキサンの組成物を発見することの結果である。湿気硬化性能の鍵は、より急速な湿気硬化を達成するために、二重硬化組成物で使用されるより典型的なジアルコキシ官能性ポリシロキサンの代わりにトリアルコキシ官能性ポリシロキサンを使用することである。
【0007】
第1の態様では、本発明は、(a)1分子当たり少なくとも2つのトリアルコキシシリル基を含み、アルケニル基及びメルカプト基を含まない、第1のオルガノポリシロキサンであって、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に基づいて35~80重量パーセントの範囲内の濃度で存在する、第1のオルガノポリシロキサンと、(b)少なくとも1つのアルケニル基を含有し、メルカプト基及びアルコキシシリル基を含まない、第2のオルガノポリシロキサンであって、10~65重量パーセントの範囲内の濃度で存在し、0.02重量パーセント超の二重結合炭素基の濃度を提供し、重量パーセント値が、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に基づく、第2のオルガノポリシロキサンと、(c)1分子当たり平均2つ以上のメルカプト基を含み、アルケニル官能基及びアルコキシシリル官能基を含まない、第3のオルガノポリシロキサンであって、第3のオルガノポリシロキサンの濃度が、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に基づいて0.5~30重量パーセントの範囲内であるとともに、1モルのアルケニル基当たり0.3~4モルのメルカプト基を提供するために十分である濃度で存在する、第3のオルガノポリシロキサンと、(d)硬化性組成物重量の0.01~5重量パーセントの範囲内の濃度における光開始剤と、(e)硬化性組成物重量の0.01~3重量パーセントの範囲内の濃度における縮合触媒と、(f)任意選択的に、硬化性組成物重量の0.1~10重量パーセントの範囲内の濃度におけるアルコキシシランと、を含む、硬化性組成物である。
【0008】
特に、硬化性組成物は、アルコキシ官能基及びアルケニル官能基の両方を含有するポリマーを含まないものであり得、かつ二重硬化ポリマーを全く含まないものであり得る。
【0009】
本発明の組成物は、例えば、コーティングの全ての部分を光に曝露することが困難であるが、コーティングの急速な硬化が望ましい、コーティング、封止、ポッティング、及び接着剤用途において二重硬化組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
試験方法は、日付が試験方法の番号とともに示されていない場合、本文書の優先日に直近の試験方法を指す。試験方法への言及は、試験の協会及び試験方法番号への参照の両方を含む。本明細書では、以下の試験方法の略語及び識別子が適用される。ASTMは、ASTM国際方法を指し、ENは、欧州規格(European Norm)を指し、DINは、ドイツ規格協会(Deutsches Institut fur Normung)を指し、ISOは、国際標準化機構(International Organization for Standards)を指し、ULは、米国保険業者安全試験所(Underwriters Laboratory)を指す。
【0011】
商品名で識別される製品は、本文書の優先日において、それらの商品名で入手可能な組成物を指す。
【0012】
「複数の」は、2つ以上を意味する。「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。全ての範囲は、特に指示がない限り、終点を含む。
【0013】
「(メタ)アクリル基」は、CH2=CA-COO-並びに-CH2-CA-COOA基を含み、式中、Aは、各出現において独立して、水素及びヒドロカルビル基から選択される。
【0014】
ポリマーの化学構造及び組成は、ポリマーの平均化学組成を示し、特に明記されない限り、ランダムポリマー、ブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせを含む、特定されるポリマー単位の任意の構成を含む。
【0015】
本発明は、硬化性組成物である。それは、組成物中の成分間で架橋反応を受けることが可能であることを意味する。本発明は、実際には、紫外線(UV)光開始硬化及び湿気硬化の両方を受けることが可能である二重硬化硬化性組成物である。
【0016】
硬化性組成物は、3つのオルガノポリシロキサン:第1のオルガノポリシロキサン、第2のオルガノポリシロキサン、及び第3のオルガノポリシロキサンを含む。
【0017】
第1のオルガノポリシロキサンは、1分子当たり少なくとも2つのトリアルコキシシリル基を含み、アルケニル基及びメルカプト基を含まない。第1のオルガノポリシロキサンは、(メタ)アクリル基を含まないものであり得る。第1のオルガノポリシロキサンは、1分子当たり2つより多くのトリアルコキシシリル基を含有することができる。トリアルコキシシリル基は、(RO)3Si官能基を含有する基であり、式中、Rは、各出現において独立して、炭化水素基から、好ましくは平均1~8個の炭素原子を有する炭化水素基から選択され、より好ましくは、Rは、メチルである。
【0018】
第1のオルガノポリシロキサンは、化学組成(I)を有する1つのオルガノポリシロキサン又は1つより多くのオルガノポリシロキサンの任意の組み合わせであり得、
【化1】
式中、
Xは、各出現において独立して、-Si(OR)
3及び-R’-SiR
2-OSiR
2-R’-Si(OR)
3などのトリアルコキシシリル含有基から選択され、
Rは、各出現において独立して、1個以上、更には2個以上、3個以上、4個以上、更には5個以上の炭素原子を含有する一方で、同時に、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を含有する、ヒドロカルビル基から選択され、好ましくは、Rは、各出現においてメチルであり、
R’は、1個以上の炭素原子を有するアルキレン基であり、2個以上、3個以上、4個以上、更には5個以上の炭素原子を有する一方で、同時に、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を有することができ、好ましくは、R’は、-CH
2CH
2-であり、
下付き文字mは、2以上の平均値を有し、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得、同時に、典型的には、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、又は更には3以下であり、
下付き文字dは、20以上の平均値を有し、40以上、60以上、80以上、100以上、150以上、250以上、500以上、1000以上、2000以上、3000以上、更には4000以上であり得る一方で、同時に、典型的には、5000以下、400以下、3000以下、2000以下、1000以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、80以下、60以下、40以下、又は更には30以下であり、
下付き文字d’は、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、15以上、20以上、30以上、更には40以上であり得る一方で、同時に、典型的には、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、又は更には5以下であり、
下付き文字tは、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、更には90以上であり得る一方で、同時に、典型的には、100以下であり、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、又は更には10以下であり、
下付き文字qは、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得る一方で、同時に、典型的には、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は更には1以下である。
【0019】
第1のオルガノポリシロキサンは、平均化学構造(Ia)若しくは(Ib)を有するオルガノポリシロキサンであり得るか、又は平均化学構造(Ia)及び(Ib)を有するオルガノポリシロキサンの組み合わせであり得、
【化2】
式中、
X及びRは、本明細書で上記に定義される通りであり、
下付き文字aは、20以上の平均値を有し、40以上、50以上、55以上、60以上、80以上、100以上、145以上、150以上、200以上、300以上、400以上、500以上、1000以上、2000以上、更には3000以上であり得る一方で、同時に、典型的には、5000以下であり、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、500以下、400以下、300以下、290以下、250以下、200以下、150以下、100以下、80以下、60以下、更には57以下であり得、
下付き文字bは、0以上、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、20以上、30以上、更には40以上の平均値を有する一方で、同時に、典型的には、50以下、40以下、30以下、20以下、更には10以下の値を有する。
【0020】
第1のオルガノポリシロキサンの濃度は、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に対して、35重量パーセント(重量%)以上であり、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、更には75重量%以上であり得る一方で、同時に、典型的は、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、又は更には35重量%以下である。
【0021】
第2のオルガノポリシロキサンは、1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基、好ましくは2つ以上のアルケニル基を含み、メルカプト基及びアルコキシシリル基を含まない。望ましくは、アルケニル基は、末端アルケニルであり、これは、それがポリシロキサン骨格に接続されている場所から最も遠隔にある2つの炭素間に炭素-炭素二重結合(C=C)を有することを意味する。好ましくは、アルケニル基は、ビニル(-CH=CH2)基である。
【0022】
第2のオルガノポリシロキサンは、化学組成(II)を有する1つのオルガノポリシロキサン又は1つより多くのオルガノポリシロキサンの任意の組み合わせであり得、
【化3】
式中、
Yは、各出現において独立して、2~8個の炭素原子を有する末端アルケニル基であり、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、更には7個以上の炭素原子を有することができる一方で、同時に、典型的には、8個以下の炭素原子を含有し、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、更には3個以下の炭素原子を含有することができ、Yは、各出現においてビニル基であり得、
R’は、各出現において独立して、1個以上、更には2個以上、3個以上、4個以上、更には5個以上の炭素原子を含有する一方で、同時に、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を含有する、ヒドロカルビル基から選択され、好ましくは、Rは、各出現においてメチルであり、
下付き文字m’は、2以上の平均値を有し、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得、同時に、典型的には、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、又は更には3以下であり、
下付き文字d2は、20以上の平均値を有し、40以上、60以上、80以上、100以上、150以上、250以上、500以上、1000以上、2000以上、3000以上、更には4000以上であり得る一方で、同時に、典型的には、5000以下、400以下、3000以下、2000以下、1000以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、80以下、60以下、40以下、又は更には30以下であり、
下付き文字d2’は、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、15以上、20以上、30以上、40以上であり得る一方で、同時に、典型的には、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、又は更には5以下であり、
下付き文字t’は、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、更には90以上であり得る一方で、同時に、典型的には、100以下であり、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、又は更には10以下であり、
下付き文字q’は、0以上の平均値を有し、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得る一方で、同時に、典型的には、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は更には1以下である。
【0023】
第2のオルガノポリシロキサンは、平均化学構造(IIa)若しくは(IIb)を有するものから選択される1つのオルガノポリシロキサン若しくは1つより多くのオルガノポリシロキサンの任意の組み合わせであり得るか、又はそれを含むことができ、
【化4】
式中、
Yは、各出現において独立して、2~8個の炭素原子を有する末端アルケニル基であり、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、更には7個以上の炭素原子を有することができる一方で、同時に、典型的には、8個以下の炭素原子を含有し、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、更には3個以下の炭素原子を含有し、Yは、各出現においてビニル基であり得、
Rは、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択され、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、更には5個以上の炭素原子を有することができる一方で、同時に、典型的には、6個以下の炭素原子を含有し、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を含有することができ、Rは、各出現においてメチルであり得、
下付き文字mは、20~5000の範囲内の平均値を有し、20以上、40以上、50以上、55以上、75以上、100以上、120以上、200以上、250以上、500以上、1000以上、1500以上、2000以上、2500以上、更には3000以上であり得る一方で、同時に、典型的には、5000以下、4000以下、3000以下、2000以下、1000以下、900以下、800以下、770以下、700以下、600以下、500以下、250以下、100以下、75以下、60以下、57以下、又は更には50以下であり、
下付き文字nは、0~20の範囲内の平均値を有し、0以上、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、更には19以上であり得る一方で、同時に、典型的には、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、又は更には1以下である。
【0024】
例えば、第2のオルガノポリシロキサンは、
【化5】
(式中、各出現において、Rが、メチルであり、Yが、ビニル基であり、下付き文字mが、120~770の範囲内の平均値を有し、下付き文字nが、0である)、及び
【化6】
(式中、各出現において、Rが、メチルであり、Yが、ビニル基であり、下付き文字mが、55~57の範囲内の平均値を有し、下付き文字nが、0である)から選択され得る。
【0025】
第2のオルガノポリシロキサンの濃度は、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に対して、10重量%以上であり、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、更には60重量%以上であり得る一方で、同時に、典型的は、65重量%以下であり、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は更には20重量%以下であり得る。第1、第2及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に基づいて、平均0.02重量%以上、又は0.05重量%以上、0.10重量%以上、0.20重量%以上、0.30重量%以上、0.40重量%以上、0.50重量%以上、0.60重量%以上、0.70重量%以上、0.80重量%以上、0.90重量%以上、1.0重量%以上、更には1.5重量%以上である一方で、同時に、典型的には、3.0重量%以下、更には2.5重量%以下、2.0重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下、0.5重量%以下、0.25重量%以下、更には0.10重量%以下の二重結合炭素基(HC=CHの式に基づいて計算される二重結合炭素基)。
【0026】
第3のオルガノポリシロキサンは、1分子当たり平均2つ以上のメルカプト基(-SH)を含み、アルケニル及びアルコキシシリル官能基を含まない。望ましくは、第3のオルガノポリシロキサンは、直鎖オルガノポリシロキサンである。第3のオルガノポリシロキサンは、末端メルカプト基を含有し、ペンダントメルカプト基を含まないものであり得るか、ペンダントメルカプト基を含有し、末端メルカプト基を含まないものであり得るか、又は末端メルカプト基及びペンダントメルカプト基の組み合わせを含有することができる。望ましくは、第3のオルガノポリシロキサンは、第3のオルガノポリシロキサンの重量に基づいて0.5~15.0重量0パーセントの範囲内の濃度でメルカプト基を含有する。
【0027】
第3のオルガノポリシロキサンは、平均化学構造(III)を有することができ、
【化7】
式中、
Rは、各出現において独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基から選択され、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、更には5個以上の炭素原子を有することができる一方で、同時に、典型的には、6個以下の炭素原子を含有し、5個以下、4個以下、3個以下、更には2個以下の炭素原子を含有することができ、Rは、各出現においてメチルであり得、
R”は、HS(CH
2)
tCH
2-であり、
下付き文字tは、1以上の平均値を有し、2以上、3以上、4以上、5以上、更には6以上であり得る一方で、同時に、典型的には、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、更には2以下であり、
下付き文字jは、0以上の平均値を有し、1以上であり得、同時に、下付き文字j及びoの合計が少なくとも2の平均値を有するという条件で、2以下、又は更には1以下であり、
下付き文字o及びpは、望ましくは、第3のオルガノポリシロキサンの重量に基づいて0.5~15.0重量パーセントの範囲内であるメルカプト基の重量比を提供するように選択される。
【0028】
典型的には、下付き文字oは、0以上の平均値を有し、1以上、2以上であり得、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、更には9以上であり得る一方で、同時に、典型的には、30以下、25以下、20以下、15以下、10以下であり、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、更には2以下であり得、
典型的には、下付き文字pは、3以上、5以上、10以上、20以上、30以上、40以上の平均値を有し、41以上、42以上、43以上、更には44以上であり得る一方で、同時に、典型的には、500以下、250以下、100以下、75以下、50以下、45以下であり、44以下、43以下、42以下、更には41以下であり得る。
【0029】
例えば、第3のオルガノポリシロキサンは、平均化学組成(IIIa)を有することができ、
【化8】
式中、Rは、各出現においてメチルであり、R’’は、HS(CH
2)
2CH
2-であり、下付き文字pは、40~45の範囲内の値を有し、下付き文字oは、5の平均値を有する。
【0030】
第3のオルガノポリシロキサンの濃度は、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に対して、典型的には0.5重量%以上であり、0.6重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、更には25重量%以上であり得る一方で、同時に、典型的には、30重量%以下であり、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、更には5重量%以下であり得る。
【0031】
硬化性組成物は、光開始剤を更に含む。光開始剤は、化学反応を開始するラジカルを形成するために、光、典型的には紫外線(UV)光への曝露によって誘起される。好適な光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、置換ベンゾフェノン、アセトフェノン、置換アセトフェノン(ジエトキシアセトフェノン(diethoxyacetophenone、DEAP)など)、ベンゾイン及びそのアルキルエステル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテルなど)、キサントン、及び置換キサントン(ジエトキシキサントン、クロロ-チオキサントンなど)、アゾ-ビスイソブチロニトリル、N-メチルジエタノールアミンベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、並びにビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ、又は1つより多くの任意の組み合わせが挙げられる。光開始剤は、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシドからなる群から選択されるいずれか1つ又は任意の組み合わせであり得る。
【0032】
光開始剤は、硬化性組成物重量に対して、0.01重量%以上の濃度で存在し、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上、1.25重量%以上、1.50重量%以上、2.0重量%以上、更には2.5重量%以上の濃度で存在し得る一方で、同時に、典型的には、5重量%以下の濃度で存在し、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、更には0.5重量%以下であり得る。
【0033】
硬化性組成物は、縮合触媒を更に含む。好適な湿気硬化触媒としては、チタン化合物、スズ化合物、及びジルコニウム化合物からなる群から選択されるいずれか1つの有機金属触媒又は1つより多くの有機金属触媒の組み合わせが挙げられる。好適なチタン化合物の例としては、チタン酸テトラ-t-ブチル、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラブトキシオルトチタネート、ジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(メチルアセトアセテート)チタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)チタン、及びメチル-トリメトキシシランと混合されたチタンエチルアセトアセテート錯体が挙げられる。好適なスズ化合物の例としては、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズジオクトエートが挙げられる。好適なジルコニウム化合物の例としては、テトラ(イソプロポキシ)ジルコニウム、テトラ(n-ブトキシ)ジルコニウム、テトラ(t-ブトキシ)ジルコニウム、ジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ(イソプロポキシ)ビス(メチルアセトアセテート)ジルコニウム、及びジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムが挙げられる。縮合触媒は、チタン酸テトラ-t-ブチル及びメチル-トリメトキシシランと混合されたチタンエチルアセトアセテート錯体からなる群から選択されるいずれか1つ又は任意の組み合わせであり得る。
【0034】
縮合触媒の濃度は、硬化性組成物重量に対して0.01重量%以上であり、0.05重量%以上、0.10重量%以上、0.15重量%以上、0.20重量%以上、0.30重量%以上、0.40重量%以上、0.50重量%以上、0.60重量%以上、0.70重量%以上、0.80重量%以上、0.90重量%以上、1.0重量%以上、1.5重量%以上、2.0重量%以上、更には2.5重量%以上であり得る一方で、同時に、典型的には、3.0重量%以下であり、2.0重量%以下、1.5重量%以下、1.0重量%以下、0.50重量%以下、0.10重量%以下、又は更には0.05重量%以下であり得る。
【0035】
任意選択的に、硬化性組成物は、アルコキシシランを更に含む。アルコキシシランは、反応性希釈剤、架橋剤、及び/又は湿気捕捉剤として機能する。アルコキシシランは、組成物の硬化反応に関与し、結果として生じる硬化した組成物に結合し、アルコキシシランが硬化反応からの抽出可能な成分になることを妨げる。
【0036】
望ましくは、アルコキシシランは、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、又はジアルコキシとトリアルコキシシランとの組み合わせである。最も好ましくは、アルコキシシランは、トリアルコキシシランである。
【0037】
アルコキシシラン化合物は、望ましくは、以下の構造を有し、
【化9】
式中、下付き文字fは、1、2、又は3(好ましくは1又は2、最も好ましくは1)であり、R
5は、各出現において独立して、メチル、エチル、プロピル、及びブチル基からなる群から選択される。好適なアルコキシシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、及びジメチルジメトキシシランから選択されるいずれか1つ又は1つより多くの組み合わせが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、硬化性組成物重量に基づいて、0重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、更には9重量%以上のアルコキシシラン化合物を含有することができる一方で、同時に、典型的には、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は更には1重量%以下のアルコキシシラン化合物を含有する。
【実施例】
【0039】
表1は、以下の組成物の成分を列挙する。略語は、
第1のポリオルガノシロキサン(First Polyorganosiloxane、「FP」)、第2のポリオルガノシロキサン(Second Polyorganosiloxane、「SP」)、第3のポリオルガノシロキサン(Third Polyorganosiloxane、「TP」)、光開始剤(Photoinitiator、「PI」)、湿気硬化触媒(Moisture Cure Catalyst、「MCC」)、アルコキシシラン(Alkoxy Silane、「AS」)、ビニル(vinyl、「Vi」)、及びメチル(methyl、「Me」)である。
【表1】
Tyzorは、E.I.Du Pont De Nemours and Companyの商標である。Darocurは、IGM group B.V.の商標である。Irgacureは、BASF SE Companyの商標である。DOWSILは、The Dow Chemical Companyの商標である。XIAMETER及びSILASTICは、Dow Corning Corporationの商標である。
【0040】
FP-1の合成
50gの前駆体A1及び1.19gのETMコンバータを150ミリリットル(milliliter、mL)の丸底フラスコ内で組み合わせ、5分間撹拌する。10重量部/100万重量部フラスコ含量のKarstedtの触媒を添加する。赤外分光法が、反応が完了したことを示すSiHピークの消失を明らかにするまで、反応を摂氏25度(℃)で5時間進行させる。
【0041】
FP-2の合成
50gの前駆体A2及び2.33gのETMコンバータを150ミリリットル(mL)の丸底フラスコ内で組み合わせ、5分間撹拌する。10重量部/100万重量部フラスコ含量のKarstedtの触媒を添加する。赤外分光法が、反応が完了したことを示すSiHピークの消失を明らかにするまで、反応を摂氏25度(℃)で5時間進行させる。
【0042】
FP-3の合成
50gの前駆体A3及び3.08gのETMコンバータを150ミリリットル(mL)の丸底フラスコ内で組み合わせ、5分間撹拌する。10重量部/100万重量部フラスコ含量のKarstedtの触媒を添加する。赤外分光法が、SiHピークの非存在によって反応が完了したことを示すまで、反応を摂氏25度(℃)で5時間進行させる。
【0043】
試料組成物
各配合の各成分の量がグラム(gram、g)で列挙されている、表2の配合に従って、試料組成物を調製する。ポリマーの特性も、表2にある。ビニル含量は、第1、第2、及び第3のオルガノポリシロキサンの複合重量に対する重量パーセントとして報告される。UV硬化の評価は、試料がタックフリーで硬化する(「合格」)か否か(「不合格」)という指標、並びにミリメートル(millimeter、mm)単位のUV硬化深度を提供する。以下のUV硬化試験を使用して、UVを特性評価する。湿気硬化の評価は、分単位でタックフリー表面を達成するための時間を決定し、以下の湿気硬化試験に従って評価される。
【0044】
UV硬化試験
UV硬化深度を決定するために、直径2.54センチメートル及び深さ20ミリメートルであるポリテトラフルオロエチレンブロックのウェルを試料で充填し、次いで、水銀ランプ(UVA及びUVB)を備えたColight UV機器を使用して、試料を4ジュール/平方センチメートルのUV照射に曝露する。曝露直後に、ニトリル手袋でコーティングされた指でコーティングの表面を拭う。試料材料がニトリル手袋に移らない場合、コーティングは「タックフリー」とみなされる。ウェルから試料を取り出し、Kimwipes(商標)ブランドの吸収性ティッシュ(KimwipeはKimberly0Clark Worldwide,Inc.の商標である)で任意の未硬化試料を穏やかに拭き取る。硬化試料の厚さを定規で測定して、硬化深度を決定する。
【0045】
湿気硬化試験
試料材料の厚さ1.27ミリメートル(50ミル)のフィルムをFR4ボード上に引き下ろし、22℃及び35~42%相対湿度における暗室内で硬化させる。ニトリル手袋でコーティングされた指を使用して、コーティングの表面を周期的に拭う。試料材料がニトリル手袋に移る場合、コーティングはタックフリーではない。ニトリル手袋に移る試料材料の欠如によって証明される、試料がタックフリーになるために必要とされる時間を記録する。
【表2】
*ビニル成分は存在しない
【国際調査報告】