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特表2024-545044発電所フィールド値基盤の発電所状態をリアルタイム追跡するシミュレーションシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発電所フィールド値基盤の発電所状態をリアルタイム追跡するシミュレーションシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20241128BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20241128BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241128BHJP
【FI】
G21C17/00 020
G05B23/02 G
G05B23/02 R
G06Q50/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532526
(86)(22)【出願日】2023-08-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 KR2023012537
(87)【国際公開番号】W WO2024053913
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0112083
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ヒュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】デ・ウン・キム
【テーマコード(参考)】
2G075
3C223
5L050
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA03
2G075CA02
2G075FC11
3C223AA02
3C223AA03
3C223BA03
3C223BB17
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF02
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF22
3C223FF23
3C223FF42
3C223FF46
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
5L050CC06
(57)【要約】
本発明は、発電所の挙動を摸写するシミュレーションシステムに関するものであって、第n時点で発電所内の全体フィールド値を収集し、発電所モデルの数値解析を介して収束するフィールド値に基づいて第n時点の発電所の挙動を摸写し、発電所モデルの数値解析を介して求められたフィールド値を第2初期条件として提供し、発電所フィールド値とシミュレーション計算値との比較結果に応じてシミュレーション計算方式を決定することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第n時点(nは、整数である)での発電所フィールド値を収集する運転情報DB管理部と、
前記第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写する統合シミュレーションモジュールと、
前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の収束したフィールド値を検索して、前記収束したフィールド値を前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供する初期条件DB管理部と、
前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定する計算方式判断部と、
前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うシミュレーション補正部と、
を備え、
前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記運転情報DB管理部は、前記第n時点の発電所フィールド値から前記シミュレーション計算値と比較するための変数を選択し、前記選択した変数を補正する過程を介して前記第n時点の発電所フィールド値を測定する装備の誤差を除去する過程を含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記統合シミュレーションモジュールは、発電所内の1、2次系統、制御ロジック、電気及び電力モデルを含み、発電所の全体挙動を実際時間で摸写する運転員訓練用シミュレータを含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記統合シミュレーションモジュールが前記オーバーライディング方式で計算を始めるとき、
前記統合シミュレーションモジュールは、
前記初期条件DB管理部で提供する前記初期条件フィールド値と、前記オーバーライディング方式への切換以前に前記シミュレーション方式で計算されたフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と最小の誤差を有するフィールド値とを前記シミュレーションの初期条件フィールド値として選択する請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項5】
前記オーバーライディング方式において前記初期条件DB管理部は、
前記運転情報DB管理部から受信した前記第n時点での発電所フィールド値のうち、予め決められた正確度内の範囲に該当するフィールド値を検索し、前記検索されたフィールド値を第1初期条件と定義して前記統合シミュレーションモジュールに提供する請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項6】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記第n時点での発電所フィールド値のうち、前記主な変数にマッチングされるフィールド値を前記シミュレーションモデルの主な変数の仮想境界条件として入力し、前記初期条件フィールド値で計算を始め、前記主な変数が前記仮想境界条件に収束するように前記シミュレーション補正部から前記シミュレーションモデルの前記主な変数関連パラメータの補正値を提供されて前記計算を行う請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項7】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記シミュレーションモデルの変数が前記シミュレーションモデルの変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に収束するまで前記シミュレーション補正部から提供された第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数と関連したパラメータを調整し、繰り返し計算を行うことをさらに含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項8】
前記計算方式判断部は、前記第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数が前記変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に予め決められた正確度内に収束すれば、前記変数を前記シミュレーションモデルの第2初期条件で出力して前記初期条件DB管理部に提供することを含む請求項1~7のいずれか1項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項9】
前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記第2初期条件と第n+1時点で受信される前記発電所フィールド値とに基づいてシミュレーションを行う請求項1~8のいずれか1項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項10】
発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法において、
運転情報DB管理部が第n時点での発電所フィールド値を収集する運転情報収集ステップと、
統合シミュレーションモジュールが第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写するステップと、
初期条件DB管理部が前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の収束したフィールド値を検索し、前記収束したフィールド値を前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供するステップと、
計算方式判断部が前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定するステップと、
シミュレーション補正部が、前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うステップと、
を含み、
前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項11】
前記運転情報収集ステップは、前記第n時点の発電所フィールド値から前記シミュレーション計算値と比較するための変数を選択し、前記選択した変数を補正する過程を介して前記第n時点の発電所フィールド値を測定する装備の誤差を除去するステップを含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項12】
前記統合シミュレーションモジュールは、発電所内の1、2次系統、制御ロジック、電気及び電力モデルを含み、発電所の全体挙動を実際時間で摸写する運転員訓練用シミュレータを含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項13】
前記統合シミュレーションモジュールが前記オーバーライディング方式で計算を始めるとき、前記統合シミュレーションモジュールは、
前記初期条件DB管理部で提供する前記初期条件フィールド値と、前記オーバーライディング方式への切換以前に前記シミュレーション方式で計算されたフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と最小の誤差を有するフィールド値とを前記シミュレーションの初期条件フィールド値として選択する請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項14】
前記オーバーライディング方式において前記初期条件DB管理部は、
前記運転情報DB管理部から受信した前記第n時点での発電所フィールド値のうち、予め決められた正確度内の範囲に該当するフィールド値を検索し、前記検索されたフィールド値を第1初期条件と定義して前記統合シミュレーションモジュールに提供する請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項15】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記第n時点での発電所フィールド値のうち、前記主な変数にマッチングされるフィールド値を前記シミュレーションモデルの主な変数の仮想境界条件として入力し、前記初期条件フィールド値で計算を始め、前記主な変数が前記仮想境界条件に収束するように前記シミュレーション補正部から前記シミュレーションモデルの前記主な変数関連パラメータの補正値を提供されて前記計算を行う請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項16】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記シミュレーションモデルの変数が前記シミュレーションモデルの変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に収束するまで前記シミュレーション補正部から提供された第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数と関連したパラメータを調整し、繰り返し計算を行うステップをさらに含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項17】
前記第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数が前記変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に予め決められた正確度内に収束すれば、前記変数を前記シミュレーションモデルの第2初期条件で出力して前記初期条件DB管理部に提供するステップを含む請求項10~16のいずれか1項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項18】
前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記第2初期条件と第n+1時点で受信される前記発電所フィールド値とに基づいてシミュレーションを行う請求項10~17のいずれか1項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所の挙動を摸写するシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所シミュレータは、主に安定的な発電所運営のために、主に発電所建設後、運転要員訓練用として開発されて活用されてきたが、最近には、発電所のデジタル制御システムを現場に適用する前に、制御ロジック試験、HMI試験、既存制御ロジック改善試験等を予め行うことにより、現場での試行錯誤を減らすためのテストベッドとして利用される。
【0003】
ここで、変数値等は、発電所設備に設けられた複数のセンサにより測定されたセンサ信号の値を意味し、プラント情報(Plant Information)には、プラントに設けられた装置の構成情報が含まれる。プラントの運営環境情報及び運営パターン情報のようなプラント評価と関連した条件が共に記録され、全ての装置の性能モデルが記録される。性能モデルは、質量均衡、熱均衡、熱効率、及び各装置の出力または複数の全ての装置の熱均衡の設計値、熱均衡による熱効率、出力のような性能情報を含む。
【0004】
発電所シミュレータは、開発対象になる発電所の設計データ(Isometric Drawings、Control Logic Diagram、Heat Balance etc.)、運転及び運営データ(制御システム運転画面、性能データ等)に基づいて工程モデル、制御モデル、及び運転員画面を開発する。
【0005】
特に、原子力発電所シミュレータは、高度な安全性と精密性に基づいて運転員が実際状況と同じ環境で実習できるようにする模擬訓練装置であって、発電所運転員の運転能力培養、運転手順書検証及び開発、制御技法事前点検及び安全度分析、運転方法改善などを可能とする設備である。これとともに、シミュレータインストラクターステーションの主な機能のうち1つである外部環境変数を設定できる機能を含む。
【0006】
しかし、インストラクターステーションの外部環境変数設定機能は、ユーザが手動で入力し、自然現象で同時多発的に発生する変化を反映するのに物理的に不可能であり、シミュレーション範囲に含めることができない実情である。
【0007】
また、一般に、インストラクターステーションの外部環境変数は、実際発電所設計の際に反映した基準データと、シミュレータが開発され、活用される時期のデータとが不一致な場合が多く、さらに、リアルタイム変化する変数をシミュレータに反映し難い実情である。
【0008】
したがって、発電所運営の際、変化する条件をリアルタイム連動させながらシミュレーションすることは難しい。
【0009】
また、通常、発電所シミュレータでは、発電所模擬系統の初期条件を構成システム情報入力ファイルで運転環境によって予め分類されたシナリオ形態で指定し、これと関連した系統モデル設定は、常に既に指定された条件等に制限された状況で分析がなされており、実際発電所系統のリアルタイム状態による動的な条件を実現できないという問題点が存在する。
【0010】
このように、原子力発電所の1、2次系統の挙動を摸写するシミュレーションプログラムとして、運転員訓練用に開発された原電シミュレータは、規定された条件では速い計算時間と比較的高い正確性を確保したが、シミュレーションの初期条件を別の過程を介して作らなければならず、予め用意された運転シナリオによってシミュレーションを行うので、発電所の予測シミュレーションには多くの限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国公開特許20150021970(船舶の性能を予測する方法及びシステム、エービービーテクノロジーアゲ)
【特許文献2】大韓民国登録特許1837653(発電所シミュレータ、韓国電力公社)
【特許文献3】日本登録特許5349194(プラント運転監視制御装置の動作検証試験装置及び方法、東芝)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した問題点を解決するための本発明の技術的課題は、発電所のフィールド値を連係して、シミュレーションによる計算フィールド値と発電所フィールド値との間に差が生じる場合、発電所フィールド値を反映したシミュレーションのモデル最適化を行ってリアルタイムに発電所状態を追跡できるシミュレーションシステムを提供することにある。
【0013】
上述した問題点を解決するための本発明の技術的課題は、発電所の1、2次系統の挙動を摸写するシミュレーションにおいて、予め決められたシナリオ条件以外の運転環境でも、シミュレーションのための別の初期条件生成過程なしに現在運転時点での発電所状態が初期条件として設定され得るようにすることで、発電所挙動をシナリオ以外の条件でもリアルタイムに追跡できるシミュレーションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような目的を達成するための一側面として、発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステムは、第n時点での発電所フィールド値を収集する運転情報DB管理部、前記第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写する統合シミュレーションモジュール、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の前記収束したフィールド値を検索して、前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供する初期条件DB管理部、前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定する計算方式判断部、及び前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うシミュレーション補正部を備え、前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む。
【0015】
また、前記運転情報DB管理部は、前記第n時点の発電所フィールド値から前記シミュレーション計算値と比較するための変数を選択し、前記選択した変数を補正する過程を介して前記第n時点の発電所フィールド値を測定する装備の誤差を除去する過程を含む。
【0016】
また、前記統合シミュレーションモジュールは、発電所内の1、2次系統、制御ロジック、電気及び電力モデルを含み、発電所の全体挙動を実際時間で摸写する運転員訓練用シミュレータを含む。
【0017】
一例として、前記統合シミュレーションモジュールが前記オーバーライディング方式で計算を始めるとき、前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記初期条件フィールド値と、前記オーバーライディング方式への切換以前に前記シミュレーション方式で計算されたフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と最小の誤差を有するフィールド値とを前記シミュレーションの初期条件フィールド値として選択する。
【0018】
また、前記オーバーライディング方式において前記初期条件DB管理部は、前記運転情報DB管理部から受信した前記第n時点での発電所フィールド値のうち、予め決められた正確度内の範囲に該当するフィールド値を検索し、前記検索されたフィールド値を第1初期条件と定義して前記統合シミュレーションモジュールに提供する。
【0019】
さらに、前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、前記第n時点での発電所フィールド値のうち、前記主な変数にマッチングされるフィールド値を前記シミュレーションモデルの主な変数の仮想境界条件として入力し、前記初期条件フィールド値で計算を始め、前記主な変数が前記仮想境界条件に収束するように前記シミュレーション補正部から前記シミュレーションモデルの前記主な変数関連パラメータの補正値を提供されて前記計算を行う。
【0020】
また、前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、前記シミュレーションモデルの変数が前記シミュレーションモデルの変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に収束するまで前記シミュレーション補正部から提供された第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数と関連したパラメータを調整し、繰り返し計算を行うことをさらに含む。
【0021】
一例として、前記計算方式判断部は、前記第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数が前記変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に予め決められた正確度内に収束すれば、前記変数を前記シミュレーションモデルの第2初期条件で出力して前記初期条件DB管理部に提供することを含む。
【0022】
また、前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記第2初期条件と第n+1時点で受信される前記発電所フィールド値とに基づいてシミュレーションを行う。
【0023】
他の側面において、発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法において、運転情報DB管理部が第n時点での発電所フィールド値を収集する運転情報収集ステップ、統合シミュレーションモジュールが第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写するステップ、初期条件DB管理部が前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の前記収束したフィールド値を検索し、前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供するステップ、計算方式判断部が前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定するステップ、及びシミュレーション補正部が前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うステップを含み、前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明を介して提案されたシミュレーションシステムによれば、決められたシナリオにしたがって初期条件を仮定して計算を行わずに、リアルタイムに発電所の運転情報を連係し、運転シナリオなしにリアルタイム発電所状態を反映したシミュレーションシステムを介して発電所のリアルタイム状態追跡及び運転時点での発電所状態を初期条件とする発電所挙動予測を可能なようにする。
【0025】
また、リアルタイムに発電所状態を追跡して管理者の別途介入なしにシミュレーション正確度を持続的に確保するシステムを介して、主な系統/機器に対する精密な発電所運転現況分析、監視、及び診断を可能なようにする。
【0026】
また、現在運営される時点での発電所シミュレーションが可能なので、主な系統運転及び制御の事前操作及び挙動分析を介して最適運転条件導出及び試行錯誤予防が可能であって、事故条件、非正常状況に備えた運転員対処能力確保に活用可能である。
【0027】
また、発電所リアルタイム系統シミュレーションシステムが確保されるので、主な系統及び機器別の精密な性能分析のための背景資料として活用可能であり、発電所状態情報を反映した機器別性能及び寿命の予測及び資産管理に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る発電所フィールド値を連係して発電所のリアルタイム状態を追跡するシミュレーションシステムについての全体ブロック構成図である。
図2】本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがシミュールレーション方式で計算を行う場合の動作フローチャートを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがオーバーライディング方式で計算を行う場合の動作フローチャートを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがオーバーライディング方式で計算を行う場合、統合シミュレーションモジュールで発電所運転情報を連係する動作フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の望ましい実施形態を添付された図面を参照して説明する。ただし、発明の要旨と関係ない一部構成は、省略または圧縮するであろうが、省略された構成であっても、必ず本発明で必要ない構成ではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により組み合わせられて使用されることができる。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る発電所フィールド値基盤の発電所状態をリアルタイム追跡するシミュレーションシステムについての全体ブロック構成図である。
【0031】
図1に示されたように、本発明の発電所フィールド値基盤の発電所状態をリアルタイム追跡するシミュレーションシステム1は、運転情報DB管理部101、統合シミュレーションモジュール102、初期条件DB管理部107、計算方式判断部108、及びシミュレーション補正部109を備える。
【0032】
まず、運転情報DB管理部101は、発電所モニタリングシステム(PMS、Plant Monitoring System)2から周期的に実際発電所運転情報(PI)120を受信して格納し、発電所内の全ての系統機器のフィールド値を対象として測定装備のバイアスまたは物理的エラーを除去するために発電所測定値を精製し、例えば、受信した実際発電所運転情報(PI)120の誤差を校正(例:発電所系統の流量、運動量、及びエネルギー平衡などに適した値に調整又は/及び時間による平均など統計的処理を実行)して、運転情報フィールド値(PI_DB)130を出力し、統合シミュレーションモジュール102のシミュレーション計算値140と比較するための運転情報フィールド値(PI_DB)130で変数を選択することができる。
【0033】
統合シミュレーションモジュール102は、発電所の1、2次全体系統及び機器と制御ロジック、電気電力装置をモデリングしたシミュレーションモデル103に基づいて発電所全体挙動を実際時間で摸写できるシミュレーションプログラム104を利用してシミュレーション計算値140を出力する。シミュレーションモデル103は、発電所物理モデルを含むことができ、シミュレーションプログラム104には、数値解析を介して収束したフィールド値を導出する過程を含むことができる。
【0034】
また、シミュレーションプログラム104には、運転情報フィールド値(PI_DB)130をリアルタイムに予測するシミュレーション方式105と、主な運転情報フィールド値(PI_DB)130を統合シミュレーションモジュール102内のシミュレーションモデル103の境界条件として代入して、シミュレーションモデル103に発電所リアルタイム状態を反映できるようにするオーバーライディング方式106とを含むことができる。
【0035】
オーバーライディング方式106は、運転情報フィールド値(PI_DB)130のうち、主な発電所測定データをシミュレーションモデル103の当該系統及び機器モデルの境界条件として入力して、収束した計算フィールドが運転データと一致するように別途ソリューションモデルを繰り返し計算して自動補正する過程で構成されることができ、これを通じて数値解析フィールド値が測定値に収束するようにシミュレーションモデル103を自動に補正可能であり、シミュレーションモデル103が発電所リアルタイム運転状態を反映するように更新されることによって忠実度を改善できる。
【0036】
統合シミュレーションモジュール102は、シミュレーションプログラム104の計算方式によって、シミュレーション方式105であれば、シミュレーション計算値140としてシミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)150を出力し、オーバーライディング方式106であれば、シミュレーション計算値140としてオーバーライディング方式の計算フィールド値(SIM_OM)160を出力する。
【0037】
初期条件DB管理部107は、統合シミュレーションモジュール102のシミュレーション実行のために、発電所内の全ての系統機器をモデリングして数値解析を介して収束したフィールド値を資料化し、発電所リアルタイム運転状態に最も近いフィールド値を検索して運転情報フィールド値(PI_DB)130の初期条件として出力する。
【0038】
計算方式判断部108は、運転情報DB管理部101から出力される運転情報フィールド値(PI_DB)130と統合シミュレーションモジュール102から出力されるシミュレーション計算値140との差を分析し、その差分の大きさによって統合シミュレーションモジュール102でのシミュレーションプログラム104の計算方式が決定されるようにする。すなわち、運転情報フィールド値(PI_DB)130と統合シミュレーションモジュール102から出力されるシミュレーション計算値140との差が予め決められた誤差範囲内にある場合、統合シミュレーションモジュール102をシミュレーション方式105で動作させて、シミュレーション計算値140としてシミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)150が出力されるようにし、計算方式判断部108は、シミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)150と運転情報フィールド値(PI_DB)130とを比較分析する。
【0039】
それに対し、運転情報フィールド値(PI_DB)130と統合シミュレーションモジュール102から出力されるシミュレーション計算値140とが予め決められた誤差範囲外にあると、統合シミュレーションモジュール102をオーバーライディング方式106で動作させて、シミュレーション計算値140としてオーバーライディング方式の計算フィールド値(SIM_OM)160が出力されるようにし、計算方式判断部108は、オーバーライディング方式の計算フィールド値(SIM_OM)160と運転情報フィールド値(PI_DB)130とを比較分析する。
【0040】
シミュレーション補正部109は、統合シミュレーションモジュール102から出力されるシミュレーション計算値140と運転情報フィールド値(PI_DB)130とが予め決められた誤差範囲外にあると、運転情報フィールド値(PI_DB)130を反映して統合シミュレーションモジュール102内のシミュレーションモデル103の主な変数と関連したパラメータの補正を行う。
【0041】
図2は、本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがシミュールレーション方式で計算を行う場合の動作フローチャートを示す図である。
【0042】
図2に示されたように、運転情報DB管理部202では、発電所モニタリングシステム201から実際発電所運転情報(PI)210を周期的に受信して格納し、また、統合シミュレーションモジュール204で計算されたシミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230と比較するための運転情報フィールド値(PI_DB)220を出力し、受信した実際発電所運転情報(PI)210の誤差を校正し、系統の流量、運動量、及びエネルギー平衡等に適した値に調整又は/及び時間による平均など統計的処理を行い、統合シミュレーションモジュール204から出力するシミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230と比較するための変数を選択することができる。
【0043】
統合シミュレーションモジュール204は、シミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230を出力して計算方式判断部203に出力する。
【0044】
計算方式判断部203は、シミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230と運転情報フィールド値(PI_DB)220とを受信して比較分析し、シミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230と運転情報フィールド値(PI_DB)220とが予め決められた誤差範囲内にある場合、統合シミュレーションモジュール204をしてシミュレーション方式206で計算を持続しつつ、発電所挙動が予測されるようにする。
【0045】
それに対し、計算方式判断部203は、シミュレーション方式の計算フィールド値(SIM_SM)230と運転情報フィールド値(PI_DB)220とが予め決められた誤差範囲外にあると判断される場合、統合シミュレーションモジュール204の計算実行をシミュレーション方式206からオーバーライディング方式207に切り換え、初期条件DB管理部205に運転情報フィールド値(PI_DB)220を出力する。
【0046】
図3は、本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがオーバーライディング方式で計算を行う場合の動作フローチャートを示す図である。
【0047】
図3に示されたように、初期条件DB管理部305は、受信した運転情報フィールド値(PI_DB)に予め決められた正確度内の範囲に該当するシミュレーション初期条件を検索して、初期条件フィールド値(IC_DB)340を統合シミュレーションモジュール304に提供する。
【0048】
統合シミュレーションモジュール304は、オーバーライディング方式307で計算を始めるとき、初期条件DB管理部305で提供した初期条件フィールド値(IC_DB)340とオーバーライディング方式307に切換直前にシミュレーション方式306で計算された最近フィールド値のうち、運転情報フィールド値(PI_DB)に最も近い値を初期条件フィールド値として選択することができる。
【0049】
統合シミュレーションモジュール304は、オーバーライディング方式307で計算を行い、シミュレーションモデル103の主な変数の仮想境界条件として運転情報フィールド値(PI_DB)のうち、主な変数にマッチングされる値を目標値として入力し、初期条件フィールド値で計算を始めて主な変数が運転情報フィールドの目標値に収束するようにシミュレーション補正部306からシミュレーションモデルの主な変数関連モデルパラメータの補正値370を提供されて計算を行う。また、統合シミュレーションモジュール304は、オーバーライディング方式307で計算したオーバーライディング方式の計算フィールド値(SIM_OM)330を計算方式判断部303に出力する。
【0050】
計算方式判断部303では、運転情報フィールド値(PI_DB)320と比較分析して、オーバーライディング方式307で主な変数が目標値に収束したか否かを判断する。
【0051】
シミュレーション補正部306は、運転情報フィールド値(PI_DB)320とオーバーライディング方式の計算フィールド値(SIM_OM)330との分析結果に基づいてシミュレーションモデル103が運転情報フィールド値を反映できるように、主な変数と関連したモデルパラメータの補正値370を統合シミュレーションモジュール304に伝達する。
【0052】
次に、計算方式判断部303は、予め決められた正確度範囲内に主な変数が目標値に収束したとき、統合シミュレーションモジュール304にSNAP(360)命令を伝達し、統合シミュレーションモジュール304は、シミュレーションモデル103から収束したフィールド値を新しい初期条件(IC_DB_new)350と定義し、初期条件DB管理部305に初期条件(IC_DB_new)350を出力する。
【0053】
統合シミュレーションモジュール304は、新しい初期条件(IC_DB_new)350を基にシミュレーション方式306またはオーバーライディング方式307で発電所運転情報をリアルタイムに追跡する過程を繰り返す。
【0054】
図4は、本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムがオーバーライディング方式で計算を行う場合、統合シミュレーションモジュールで発電所運転情報を連係する動作フローチャートを示す図である。
【0055】
図4に示されたように、図3の統合シミュレーションモジュール305内のシミュレーションモデル(図示せず)がノード1、2、3(420、430、440)と境界ノード1、2(410、450)とを含んで構成された場合、図3の統合シミュレーションモジュール305がシミュレーション方式1で計算する途中にノード3(440)で主な変数で運転情報フィールド値を目標値として適用しようとすれば、オーバーライディング方式2では、計算情報の流れ上、以前に位置したノード2(430)とノード3(440)との間に仮想境界ノード1、2(460、470)を生成する。仮想境界ノード1(460)と仮想境界ノード2(470)とは断絶されて、シミュレーション計算過程で互いに影響を及ぼさない。そして、ノード2(430)と連結された仮想境界ノード1(460)には、ノード3(440)に適用する目標値を固定境界条件として入力する。また、ノード3(440)と連結された仮想境界ノード(470)は、ノード3(440)と同じ値を有するように境界条件を設定する。
【0056】
オーバーライディング方式2では、ノード3(440)が運転情報フィールドの目標値に収束するようにシミュレーション補正部(図3の306)からシミュレーションモデルの主な変数関連モデルパラメータの補正値を提供されて計算を行う。
【符号の説明】
【0057】
1 シミュレーションシステム
2、201 発電所モニタリングシステム(PI)
101、202、302 運転情報DB管理部
102、204、304 統合シミュレーションモジュール
107、205、305 初期条件DB管理部
108、203、303 計算方式判断部
109、306 シミュレーション補正部
410、450 境界ノード
420、430、440、460、470 ノード
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第n時点(nは、整数である)での発電所フィールド値を収集する運転情報DB管理部と、
前記第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写する統合シミュレーションモジュールと、
前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の収束したフィールド値を検索して、前記収束したフィールド値を前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供する初期条件DB管理部と、
前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定する計算方式判断部と、
前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うシミュレーション補正部と、
を備え、
前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記運転情報DB管理部は、前記第n時点の発電所フィールド値から前記シミュレーション計算値と比較するための変数を選択し、前記選択した変数を補正する過程を介して前記第n時点の発電所フィールド値を測定する装備の誤差を除去する過程を含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記統合シミュレーションモジュールは、発電所内の1、2次系統、制御ロジック、電気及び電力モデルを含み、発電所の全体挙動を実際時間で摸写する運転員訓練用シミュレータを含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記統合シミュレーションモジュールが前記オーバーライディング方式で計算を始めるとき、
前記統合シミュレーションモジュールは、
前記初期条件DB管理部で提供する前記初期条件フィールド値と、前記オーバーライディング方式への切換以前に前記シミュレーション方式で計算されたフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と最小の誤差を有するフィールド値とを前記シミュレーションの初期条件フィールド値として選択する請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項5】
前記オーバーライディング方式において前記初期条件DB管理部は、
前記運転情報DB管理部から受信した前記第n時点での発電所フィールド値のうち、予め決められた正確度内の範囲に該当するフィールド値を検索し、前記検索されたフィールド値を第1初期条件と定義して前記統合シミュレーションモジュールに提供する請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項6】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記第n時点での発電所フィールド値のうち、前記主な変数にマッチングされるフィールド値を前記シミュレーションモデルの主な変数の仮想境界条件として入力し、前記初期条件フィールド値で計算を始め、前記主な変数が前記仮想境界条件に収束するように前記シミュレーション補正部から前記シミュレーションモデルの前記主な変数関連パラメータの補正値を提供されて前記計算を行う請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項7】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記シミュレーションモデルの変数が前記シミュレーションモデルの変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に収束するまで前記シミュレーション補正部から提供された第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数と関連したパラメータを調整し、繰り返し計算を行うことをさらに含む請求項1に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項8】
前記計算方式判断部は、前記第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数が前記変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に予め決められた正確度内に収束すれば、前記変数を前記シミュレーションモデルの第2初期条件で出力して前記初期条件DB管理部に提供することを含む請求項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項9】
前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記第2初期条件と第n+1時点で受信される前記発電所フィールド値とに基づいてシミュレーションを行う請求項に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーションシステム。
【請求項10】
発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法において、
運転情報DB管理部が第n時点での発電所フィールド値を収集する運転情報収集ステップと、
統合シミュレーションモジュールが第n時点での発電所フィールド値を入力とする発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値に基づいて発電所の挙動を摸写するステップと、
初期条件DB管理部が前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と予め決められた条件範囲以内の収束したフィールド値を検索し、前記収束したフィールド値を前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーションの初期条件フィールド値として提供するステップと、
計算方式判断部が前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との比較結果に応じて前記統合シミュレーションモジュールで行うシミュレーション計算方式を決定するステップと、
シミュレーション補正部が、前記第n時点での発電所フィールド値と前記統合シミュレーションモジュールのシミュレーション計算値との差が予め決められた誤差範囲外にあると、前記第n時点の発電所フィールド値を反映して前記統合シミュレーションモジュール内のシミュレーションモデルの主な変数と関連したパラメータの補正を行うステップと、
を含み、
前記シミュレーション計算方式は、前記第n時点の発電所フィールド値をリアルタイムに予測するシミュレーション方式と、前記発電所モデルの数値解析を介して収束したフィールド値が第n時点の発電所フィールド値と一致するように前記シミュレーションモデルの前記補正されたパラメータを適用するオーバーライディング方式とを含む発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項11】
前記運転情報収集ステップは、前記第n時点の発電所フィールド値から前記シミュレーション計算値と比較するための変数を選択し、前記選択した変数を補正する過程を介して前記第n時点の発電所フィールド値を測定する装備の誤差を除去するステップを含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項12】
前記統合シミュレーションモジュールは、発電所内の1、2次系統、制御ロジック、電気及び電力モデルを含み、発電所の全体挙動を実際時間で摸写する運転員訓練用シミュレータを含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項13】
前記統合シミュレーションモジュールが前記オーバーライディング方式で計算を始めるとき、前記統合シミュレーションモジュールは、
前記初期条件DB管理部で提供する前記初期条件フィールド値と、前記オーバーライディング方式への切換以前に前記シミュレーション方式で計算されたフィールド値のうち、前記第n時点での発電所フィールド値と最小の誤差を有するフィールド値とを前記シミュレーションの初期条件フィールド値として選択する請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項14】
前記オーバーライディング方式において前記初期条件DB管理部は、
前記運転情報DB管理部から受信した前記第n時点での発電所フィールド値のうち、予め決められた正確度内の範囲に該当するフィールド値を検索し、前記検索されたフィールド値を第1初期条件と定義して前記統合シミュレーションモジュールに提供する請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項15】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記第n時点での発電所フィールド値のうち、前記主な変数にマッチングされるフィールド値を前記シミュレーションモデルの主な変数の仮想境界条件として入力し、前記初期条件フィールド値で計算を始め、前記主な変数が前記仮想境界条件に収束するように前記シミュレーション補正部から前記シミュレーションモデルの前記主な変数関連パラメータの補正値を提供されて前記計算を行う請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項16】
前記オーバーライディング方式において前記統合シミュレーションモジュールは、
前記シミュレーションモデルの変数が前記シミュレーションモデルの変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に収束するまで前記シミュレーション補正部から提供された第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数と関連したパラメータを調整し、繰り返し計算を行うステップをさらに含む請求項10に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項17】
前記第1初期条件に基づいて前記シミュレーションモデルの変数が前記変数に対応する前記第n時点での発電所フィールド値に予め決められた正確度内に収束すれば、前記変数を前記シミュレーションモデルの第2初期条件で出力して前記初期条件DB管理部に提供するステップを含む請求項16に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【請求項18】
前記統合シミュレーションモジュールは、前記初期条件DB管理部で提供する前記第2初期条件と第n+1時点で受信される前記発電所フィールド値とに基づいてシミュレーションを行う請求項17に記載の発電所の状態をリアルタイムに追跡するシミュレーション方法。
【国際調査報告】