(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】連続鋳造設備のための密閉システム
(51)【国際特許分類】
B22D 11/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B22D11/08 E
B22D11/08 G
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024532807
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022081394
(87)【国際公開番号】W WO2023099141
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】102021213770.9
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ハイマン・ヤン
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、連続鋳造設備のダミーバーヘッド1との使用のための密閉システム10に関し、前記密閉システムが、特に板形状の頭部要素12を備えており、板形状の前記頭部要素の縁部領域13に、周囲に延在する密閉要素14が取付けられており、および、前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素18を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面19でもって、前記ダミーバーヘッド1の上側の端面2に固定可能であり、前記頭部要素12が、前記アダプター要素18の上側面20に固定可能であり、このことによって、前記ダミーバーヘッド1と結合可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備のダミーバーヘッド(1)との使用のための密閉システム(10)であって、
前記密閉システムが、特に板形状の頭部要素(12)を備えており、板形状の前記頭部要素の縁部領域(13)に、周囲に延在する密閉要素(14)が取付けられている、
上記密閉システムにおいて、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素(18)を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面(19)でもって、前記ダミーバーヘッド(1)の上側の端面(2)に固定可能であり、
前記頭部要素(12)が、前記アダプター要素(18)の上側面(20)に固定可能であり、このことによって、前記ダミーバーヘッド(1)と結合可能である、
ことを特徴とする密閉システム(10)。
【請求項2】
前記アダプター要素(18)の前記下側面(19)は、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に適合されており、且つ、
第1の固定手段(22)によって、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の密閉システム(10)。
【請求項3】
前記第1の固定手段(22)は、形状的に係合するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密閉システム(10)。
【請求項4】
前記第1の固定手段(22)が、ウェブの自由な端部において膨らみ部(25)または係止部を有する少なくとも1つのウェブ(24)と、少なくとも1つの切欠き部(26)とを有しており、前記ウェブ(24)の前記膨らみ部(25)または係止部と、前記切欠き部とが、互いに係合状態にされ得ること、
有利には、前記ウェブ(24)が、特にきのこ形状の膨らみ部(25)を有しており、且つ、前記切欠き部(26)が、拡開された領域(27)を備えており、且つ、その場合に、特にきのこ形状の前記膨らみ部(25)と、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)とが、互いに相補的に形成されていること、
更に有利には、前記ウェブ(24)が、前記アダプター要素(18)の下側面(19)において取付けられており、且つ、
前記切欠き部(26)が、前記ダミーバーヘッド(1)内において、このダミーバーヘッドの上側の端面(2)に隣接して形成されており、且つ、この端面(2)に向かって開口していること、
を特徴とする請求項3に記載の密閉システム(10)。
【請求項5】
前記切欠き部(26)は、狭小なボトル首部状の部分(28)を有しており、
この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)を出発点として、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)に通じていることを特徴とする請求項4に記載の密閉システム(10)。
【請求項6】
前記切欠き部(26)は、前記ダミーバーヘッド(1)の少なくとも1つの側面において開口しており、
従って、前記ウェブ(24)が、このウェブの膨らみ部(25)でもって、前記側面から、前記切欠き部(26)内へと挿入可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の密閉システム(10)。
【請求項7】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交して延びる平面内において、長手方向側面(L)と短側面(K)を有する、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、
前記長手方向側面(L)の長手方向延在が、前記短側面(K)の長手方向延在よりも何倍もの値だけ大きいこと、
有利には、前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面に適合されていること、
を特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項8】
前記アダプター要素(18)もしくは前記頭部要素(12)の前記矩形状の横断面の短側面(K)は、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することを特徴とする請求項7に記載の密閉システム(10)。
【請求項9】
前記頭部要素(12)は、規格化された構造部材として形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項10】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、特に形状的に係合する第2の固定手段(30)によって、互いに結合可能であることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項11】
前記第2の固定手段(30)は、特に板形状の前記頭部要素(12)内において形成されている複数の貫通開口部(31)を備えており、
この第2の固定手段(30)が、前記アダプター要素(18)の前記上側面(20)に取付けられており且つ前記頭部要素(12)内において形成された前記貫通開口部(31)を通って差し込み可能である、複数のピン、ねじ、またはその種の他の物(32)をも備えている、
ことを特徴とする請求項10に記載の密閉システム(10)。
【請求項12】
ピン(32)の自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔(34)が形成されており、この長手孔を通って、くさび(36)が押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部(31)によってピン(32)に差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素(12)の上側面(15)の上で載置することを特徴とする請求項11に記載の密閉システム(10)。
【請求項13】
前記頭部要素(12)の上側面(15)において、少なくとも1つの隆起部(16)、有利には複数のそのような隆起部(16)が形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項14】
前記密閉要素(14)は、合成物質から製造されていること、
有利には、前記密閉要素(14)の外側寸法が、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内における、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面よりも、ほんの少しだけ大きいこと、
を特徴とする請求項1から13のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一つに記載の密閉システム(10)の使用のもとでの、連続鋳造による金属製品の製造のための方法において、
この方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型(4)内への注入の際に、前記頭部要素(12)の上側面(15)、および、この上側面に設けられた隆起部(16)との接触によって、十分な冷却を被り、
従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のための密閉システム関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造による金属製品の製造のために、従来技術により、連続鋳造プロセスの開始時に、ダミーバーヘッドに密閉要素を設けることは公知であり、この密閉要素によって、初鋳造において、このダミーバーヘッドと、連続鋳造設備の鋳型の内壁との間の間隙が適当に密閉される。
そのような密閉要素を有する相応する密閉システムは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、または、特許文献5内において示されている。
【0003】
前述された従来技術による密閉システムにおいて、この密閉システムの上側の部材は、何時も精確に、ダミーバーヘッドの形態における下側の部材に対して適合されているような状況にある。
このことは、その上側の部材において密閉要素が既に取付けられているかまたはこの下側に位置する密閉要素の固定のために利用されるそのような該上側の部材が、何時も、ただダミーバーヘッドの所定の形状に対してだけ適合し、且つ、他の様式のダミーバーヘッドとの使用のために適していないことの欠点を誘起する。このことは、不利に、増大された生産コストを誘起する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2 127 780B1号明細書
【特許文献2】独国実用新案第20 2005 001 310U1号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 234 299B2号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第44 01 825A1号明細書
【特許文献5】独国特許翻訳文公報第600 04 848 T2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
相応して、本発明の根底をなす課題は、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために適している密閉システムを提供することであり、この密閉システムでもって、連続鋳造におけるプロセス開始がより簡単に、且つ、より安いコストで、並びに、所属する作業準備がより迅速に、実施され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する密閉システムによって解決される。本発明の有利な更なる構成は、従属請求項内において規定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従う密閉システムは、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されており、且つ、特に板形状の頭部要素を備えており、この板形状の頭部要素の縁部領域に、周囲に延在する密閉要素が取付けられている。
この密閉システムに関して、金属から成るアダプター要素が特徴的であり、
前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面でもって、前記ダミーバーヘッドの上側の端面に固定可能であり、
その際、前記頭部要素が、前記アダプター要素の上側面に固定され得、このことによって、前記ダミーバーヘッドと結合可能である。
【0008】
本発明に従う密閉システムのために、前記頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合、合目的である。
【0009】
本発明に従う密閉システムの一部であるアダプター要素に関して、その際、別個の1つの構造部材が重要な要素であり、この構造部材が、頭部要素と、ダミーバーヘッドの上側の端面との間に配置されていることが可能であることは、別途に強調されてしかるべきである。このことによって、頭部要素が、アダプター要素を用いて、ダミーバーヘッドの上側の端面においてもしくはダミーバーヘッドの上側の端面と、結合されていることが可能であることは保証されている。
これに関連して、アダプター要素の上側面が、頭部要素と同様に、規格化されて形成されている場合に有利であり、従って、これに伴って、何時も、このアダプター要素の上側面における頭部要素の取付けが可能である。
【0010】
本発明は、アダプター要素を用いて、頭部要素を、連続鋳造設備の、場合によっては異なるダミーバーヘッドとも結合することが可能であることの、重要な認識を基礎としている。
特に、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合に関して、このことによって、そのように形成された頭部要素が、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために使用され得ることの利点が与えられる。
これに伴って、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が極めて安いコストで製造され得、且つ、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために予め保持され得ることが、即ち上述されているように特徴的なアダプター要素のおかげで、保証されており、このアダプター要素によって、ダミーバーヘッドとの頭部要素の結合は、実現可能である。
【0011】
本発明の有利な更なる構成において、頭部要素は、この頭部要素に取付けられた、合成物質から成っていることが可能でありまたは合成物質コンポーネントを有する密閉要素と共に、「使い捨て品物」として形成されている。
このことは、本発明の趣旨において、そのような頭部要素が、
この頭部要素が、連続鋳造プロセスの開始時に、鋼溶湯もしくは金属溶湯との、および、この鋼溶湯もしくは金属溶湯から形成された、鋳造された金属ストランドもしくは連続鋳造製品との接触状態に至り、
次いで、先ず第一に永続的な熱間ストリップとの結合が生じ、且つ、これから形成された中間製品または最終製品、例えばスラブ、の十分な凝固の後に初めて、この製品から、切断によって分離されることを意味する。
【0012】
ダミーバーヘッドにおけるアダプター要素の取付けは、本発明の有利な更なる構成に従い、前記アダプター要素の前記下側面が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に適合されており、且つ、第1の固定手段によって、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に固定可能であることによって保証される。
その際、前記第1の固定手段が、形状的に係合するように形成されている場合、合目的であり、このことによって、連続鋳造プロセスの開始のための高い作動信頼性が達成される。
【0013】
有利な更なる構成において、前述された第1の固定手段に関して、この第1の固定手段が、ウェブの自由な端部において膨らみ部または係止部を有する少なくとも1つのウェブと、少なくとも1つの切欠き部とを有していることが意図されていることは可能である。その際、一方の側で膨らみ部もしくは係止部が、および、他方の側で切欠き部が、互いに係合状態にされ、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、形状的に係合する結合が達成される。
例えば、ウェブが、突き出ている(auskragendes)もしくは突出している(abragendes)部分として、アダプター要素の下側面において設けられていることは可能であり、その際、このウェブの自由な端部において、膨らみ部または係止部が形成されている。更に、有利には、このダミーバーヘッドの上側の端面において、または、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して、切欠き部が、ダミーバーヘッド内において形成されていることは可能であり、および、その際、拡開された領域を備えていることは可能である。
これに伴って、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して形成されていることは可能であり、且つ、この端面に向かって開口していることは可能である。この関連において、前記膨らみ部と、前記切欠き部の前記拡開された領域とが、互いに相補的に形成されている場合、合目的である。
【0014】
アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、作動の信頼できる結合の達成のために、このアダプター要素の下側面において、複数のウェブが取付けられており、これらウェブが、その場合に、形状的に係合するように、このダミーバーヘッドの切欠き部内において係止され得る場合、合目的である。
例えば、3つ、4つ、または、場合によっては4つより多くの、そのようなウェブが、アダプター要素の下側面において、ダミーバーヘッドの上側の端面に隣接する、このダミーバーヘッド内における、これらウェブに相応して適合された数の切欠き部と共に、設けられていることは可能である。
【0015】
前述された第1の固定手段において、有利な更なる構成に従い、前記切欠き部が、狭小なボトル首部状の部分を有しており、この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面を出発点として、前記切欠き部の前記拡開された領域に通じていることが意図されていることは可能である。
切欠き部のボトル首部状の部分に対して相補的に、ウェブは細長いカラー領域を備えており、この細長いカラー領域が、このウェブのきのこ状の膨らみ部と、アダプター要素の下側面との間に位置する。いずれにせよ、ウェブのきのこ状の膨らみ部が、切欠き部の拡開された領域内において係止されている場合、ダミーバーヘッドの輸送方向の方向における、アダプター要素とこのダミーバーヘッドとの間の確実な形状的な係合は保証されている。
【0016】
本発明の有利な更なる構成において、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッドの少なくとも1つの側面において開口しており、従って、前記ウェブが、このウェブの膨らみ部(または選択的に:このウェブの係止部)でもって、前記側面から、前記切欠き部内へと挿入され得る場合、合目的である。
このようにして、一方では、ダミーバーヘッドの上側の端面との、もしくは、このダミーバーヘッドの上側の端面における、アダプター要素の、特に工具無しの結合は可能であり、および、アダプター要素に、力(引張力または押圧力)が、輸送方向に対して横向きに作用されることによって、このダミーバーヘッドからのこのアダプター要素の分離が、進行させられた連続鋳造プロセスにおいて可能である。
【0017】
本発明の有利な更なる構成において、前記頭部要素と前記アダプター要素とのために、前記頭部要素と前記アダプター要素とが、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交して延びる平面内において、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、前記矩形状の横断面が、長手方向側面と短側面とを有していることは意図されている。そのような矩形状の横断面は、この矩形状の横断面の前記長手方向側面が、前記短側面よりも何倍もの値だけ大きいことによって特徴付けられている。
いずれにせよ、前記頭部要素と前記アダプター要素とは、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型の横断面に適合されている。それによって矩形状の横断面の長手方向側面が短側面よりも何倍も大きい、上述されている長さ比率に関して、このことが、スラブの連続鋳造において典型的であることは指摘されてしかるべきである。
【0018】
本発明の有利な更なる構成において、前記アダプター要素もしくは前記頭部要素の前記矩形状の横断面の短側面が、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することは意図されている。これに関連して、本発明のために、矩形状の横断面の短側面の長さでもって、より後の凝固されたスラブの厚さが影響を及ぼされること、もしくは、この短側面の長さが、凝固されたスラブの厚さに相応することは理解されるべきである。
【0019】
本発明の有利な更なる構成に従い、第2の固定手段が設けられており、この第2の固定手段によって、前記頭部要素と前記アダプター要素とが互いに結合可能である。第1の固定手段と同様に、同様にこれら第2の固定手段に関しても、これら第2の固定手段が、形状的な係合の原理により機能する場合、合目的である。
【0020】
本発明の有利な更なる構成に従い、上述されている第2の固定手段のために、頭部要素内において、複数の貫通開口部が、有利には互いに同じ間隔で、形成されていることが意図されていることは可能である。相応して、アダプター要素の上側面において、複数のピン、ねじ、またはその種の他の物が、有利には同様に互いに同じ間隔でおよび特に貫通開口部の間隔に適合されて、取付けられていることは可能である。
換言すれば、アダプター要素の上側面において、複数のピン、ねじ、またはその種の他の物が取付けられていることは可能であり、その際、これら複数のピン、ねじ、またはその種の他の物の互いに相対的な間隔が、頭部要素内において形成された貫通開口部の互いに相対的な間隔と同じように選択されている。このことは、頭部要素が、上方から、この頭部要素に内に形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピン、もしくは、ねじに差し込まれ得ることを可能にする。
【0021】
アダプター要素の上側面においてねじが取付けられている場合には、このアダプター要素における頭部要素の結合は、
頭部要素が、上述されているように、上方から、このアダプター要素に差し込まれており、且つ、その際、これらねじが、この頭部要素内において形成された貫通開口部を貫通係合した後に、
簡単な方法で、これらねじの自由な端部に、ナットがねじり固定され、これらナットが、その場合に、それぞれに、このアダプター要素の上側面との接触状態に至り、且つ、これに伴って、この頭部要素が、このアダプター要素に対して押圧されることによって達成され得る。
【0022】
上述されている第2の固定手段に関して、本発明の有利な更なる構成により、-上述されているねじに対して選択的に-、上記されているようにアダプター要素の上側面において取付けられているピン内において、それぞれに1つの長手孔が形成されていることは意図されている。そのような長手孔との相互作用において、この長手孔内へと差し込まれ得るくさびが設けられている。
そのようなくさびは、その際、これに伴って、頭部要素が、上方から、この頭部要素内において形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピンに差し込まれた後に、くさびが、ピンの長手孔内へと打ち込まれることによって、この頭部要素の締め付けが、この上側面において、もしくは、この上側面によって可能であることの機能を満たす。
この目的のために、場合によっては必要である唯一の工具は、長手孔内へのくさびの打ち込みのためのハンマーである。
【0023】
本発明に従い、同様に連続鋳造による金属製品の製造のための方法が意図されており、この方法において、前述された特徴を有する密閉システムが使用される。
そのような方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型内への注入の際に、前記頭部要素の上側面、および、この上側面に設けられた隆起部との接触によって十分な冷却を被り、従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施され得る。
【0024】
本発明の更なる観点、および、本発明の利点は、以下の特徴によって形成される:即ち、
- 冷却スクラップによる損傷の減少、何故ならば、密閉のための従来利用された冷却スクラップによる、連続鋳造設備の支持するストランドガイドの後続の部分の損傷による危険が排除されるからである。
- 初鋳造におけるブレークアウトの危険の減少。
- 特に、連続鋳造プロセスの開始(もしくは継続)以前における、鋳型の下側の開口部における鋳型の密閉のための作業準備に関する、プロセスの短縮。
- より少ない数のプロセスステップによる、鋳型の下側の開口部における、この鋳型の必要な密閉の簡略化。
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における、職員の滞留継続時間が最小限化される。
- 鋳型の密閉を含めての、スラブ連続鋳造法における初鋳造における簡略化。
及び/または、
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における職員の滞留継続時間が最小限化されることによる、初鋳造のための準備作業の加速、および、ブレークアウトに対する防護。
【0025】
以下で本発明の実施例を、概略的に簡略化された図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】組み付けられた状態における本発明に従う密閉システムの側面図である。
【
図3】
図1の密閉システムの(上方からの)平面図である。
【
図4】
図1の密閉システムの個別部材の透視図であり、この密閉システムが、頭部要素とアダプター要素とを備えている。
【
図5】密閉システムのアダプター要素が、既に、ダミーバーヘッドと結合されている場合の、
図4の密閉システムの透視図である。
【
図6】ウェブの側面図であり、このウェブがアダプター要素の下側面において取付けられている。
【
図7】切欠き部の側面図であり、この切欠き部が、ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面側に隣接して形成されている。
【
図8】ピンの側面図であり、このピンが、アダプター要素の上側面において取付けられている。
【
図9】その密閉システムが連続鋳造設備の鋳型内へと挿入されている場合の、
図1の組み付けられた該密閉システムの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で、
図1から9までとの関連のもとで、密閉システム10ための有利な実施形態が示されており、且つ、この密閉システムが、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されている。図内における同じ特徴は、それぞれに、同じ参照符号を付けられている。ここで、この図が、単に簡略化されており、且つ、特に尺度無しに図示されていることは、別個に指摘される。
【0028】
図1は、密閉システムがダミーバーヘッド1に組み付けされている場合の、本発明に従う該密閉システム10の側面図を示している。
【0029】
本発明に従う密閉システム10は、複数の構造部材から成っており、且つ、細部においては、頭部要素12とアダプター要素18とを備えている。
【0030】
頭部要素12とアダプター要素18とは、有利には、金属、例えば鋼から成っている。
【0031】
図4内において、密閉システム10の個々の部材が、透視図的に、分解図において示されている。
【0032】
アダプター要素18は、このアダプター要素の下側面19でもって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2において、もしくは、この上側の端面2の上で固定され得る(
図4、最も下方の図示を参照)。この目的のために、本発明は、第1の固定手段22を備えており、これら固定手段が、以下で、更に別途に説明されている。
【0033】
頭部要素12は、上方から、アダプター要素18の上側面20の上に載置可能であり、且つ、そこで、第2の固定手段30を用いて、適当に固定可能である。
【0034】
ここで示されている実施形態に従う頭部要素12は、板形状に形成されている。このことは、この頭部要素が、少ない重量を有し、且つ、安いコストで製造可能であることの利点を誘起する。
【0035】
頭部要素12の縁部領域13に沿って、周囲に延在する密閉要素14が取付けられている。この密閉要素14が、合成物質から形成されていることは可能であり、且つ、頭部要素12の縁部領域13に附設して形成されており、もしくは、適当に固定されている。その限りでは、頭部要素12と、この頭部要素に取付けられた密閉要素14とは、1つの構造ユニットを形成する。
【0036】
密閉要素14に関して、ここで別途に、密閉要素の外側寸法が、ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内において、連続鋳造設備の鋳型の横断面よりもほんの少しだけ大きいということが指摘される。
このことに関しては
図9を参照して頂きたく、この図内において、鋳型4が簡略的に図示されており、その際、本発明に従う密閉システム10が、この鋳型4の内側に配置されており、且つ、この場合、密閉要素14を用いて、この鋳型の開口部5が密閉され得る。
【0037】
図2は、
図1の線A-Aに沿っての、ダミーバーヘッド1の断面図を示しており、且つ、この断面が矩形状に形成されていることを明瞭に示している。この断面の比率は、この断面の長手方向側面Lが、この断面の短側面Kよりも何倍も大きいように選択されている。
【0038】
図2内において示されたダミーバーヘッド1の断面に関して、アダプター要素18の断面が、同じように選択されており、且つ、これに伴って、同じ比率を有しているということは指摘されてしかるべきである。同様に、
図3の平面図内において示されている、頭部要素12の外側寸法が、
図2の断面と一致することは可能である。
【0039】
いずれにせよ、頭部要素12およびアダプター要素18の比率は、これら頭部要素とアダプター要素とが、それぞれに、(示されていない)連続鋳造設備の鋳型4の断面に対して適合されており(
図9を参照)、且つ、これに伴って、この鋳型4内に挿入され得るように選択されている。
【0040】
頭部要素12の上側面15に、複数の隆起部16が取付けられている。これら隆起部16は、これら隆起部が可能な限り大きな接触面を有するように形成されている。ここで示されている実施例において、これら隆起部は、それぞれに、複数の部材から成る立体構造を有しており、この立体構造が、平面図(
図3を参照)内において十字形に形成されている。
【0041】
隆起部16は、連続鋳造プロセスの開始時に、液状の鋳鋼溶湯との接触の状態になることの目的のために利用され、この鋳鋼溶湯が、上方から、連続鋳造設備の鋳型4内へと注入される。その際、隆起部16は、液状の鋳鋼溶湯によって周囲を流過され、その結果、鋳鋼溶湯から形成された熱間ストランドが、強固に、この頭部要素の上側面15とそこで取付けられた隆起部16において、頭部要素12と結合する。
隆起部16の大きな接触面によって、鋳鋼溶湯との接触の際に、有利には、この鋳鋼溶湯の温度の低減が達成され、このことは、この鋳鋼溶湯の凝固のために寄与する。
【0042】
以下で、第1の固定手段22が説明されており、これら第1の固定手段によって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2における、アダプター要素18の固定が達成される。
【0043】
第1の固定手段22は、そのウェブの自由な端部においてきのこ形状の膨らみ部25を有る少なくとも1つのウェブ24と、拡開された領域27を有する少なくとも1つの切欠き部26とを備えている。
【0044】
図4の中間の図示に基づいて、アダプター要素18の下側面19において、3つのウェブ24が取付けられており、これらウェブが、それぞれに、この下側面19から下方へと突出している。これらウェブ24の形成に関して、同様に
図6の側面図も参照されてしかるべきであり:この図内において、1つのウェブが、このウェブの自由な端部において、きのこ形状の膨らみ部25を備えていることが示されている。
【0045】
図4の下方の図示に基づいて、切欠き部26が、ダミーバーヘッド1内において、このダミーバーヘッドの上側の端面2に隣接して、即ちこの切欠き部26が上側の端面2に向かって開口するように形成されている。
同様に
図7の眺望図においても図示されているように、切欠き部26は、拡開された領域27を有している。この拡開された領域27と、ダミーバーヘッド1の上側の端面2との間で、切欠き部26は、狭小なボトル首部状の部分28を備えており、この狭小なボトル首部状の部分が、ダミーバーヘッド1の上側の端面2を出発点として、切欠き部26の拡開された領域27に通じている。
【0046】
切欠き部26に関して、更に、この切欠き部が、ダミーバーヘッド1の少なくとも1つの側面(
図4の下方の図示内における、画像の前景において示されている)において開口していることは指摘されてしかるべきである。その結果として、ウェブ24を、このウェブの膨らみ部25でもって、この開口された側面から側方に、切欠き部26内へと挿入することは可能である。
図5は、アダプター要素18の下側面19において取付けられているウェブ24が、全て、ダミーバーヘッド1の割り当てられた切欠き部26内へと挿入されてしまっている場合の、アダプター要素18の組み付けられた状態を示している。これに関連して、ウェブ24の膨らみ部25と、切欠き部26の拡開された領域27とが、互いに相補的に形成されている、即ち、ウェブ24がこのウェブの膨らみ部25でもって、締付け無しに、切欠き部26内へと、および、この切欠き部の拡開された領域27内へと挿入され得るように形成されていることは強調されるべきである。
ダミーバーヘッド1の、
図1と
図9内においてそれぞれに矢印「T」によってシンボル化されている輸送方向において見て、これに伴って、ウェブ24が、上述されているように、切欠き部26内において装入されている場合、アダプター要素18とダミーバーヘッド1との間の形状的に係合する結合が、このダミーバーヘッドの上側の端面2において与えられる。
【0047】
以下で、第2の固定手段30が説明されており、これら第2の固定手段によって、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、アダプター要素18の上側面20の上での、頭部要素12の固定が達成される。
【0048】
第2の固定手段30は、複数の貫通開口部31を備えており、これら貫通開口部が、特に板形状の頭部要素12内において形成されている。これら貫通開口部31は、例えば、
図4の上方の図示内において、および、同様に
図5内において示されている。
【0049】
更に、ここで示された実施形態における第2の固定手段30は、同様に複数のピン32を備えており、これらピンが、アダプター要素18の上側面20において取付けられている(
図4および
図5を参照)。
【0050】
アダプター要素18の上側面20における、ピン32の取付けに関して、この目的のために、上側面20内において、それぞれに、(示されていない)貫通開口部が形成されていることが意図されていることは可能であり、これら貫通開口部内に、ピン32が差し込まれている。これら貫通開口部に対して一直線に並んで、
図4の中間の図示および同様に
図5内においても認識され得るように、アダプター要素18内において、それぞれに、「窓部」もしくは貫通切り通し部21が形成されている。
いずれにせよ、ピン32は、アダプター要素18の上側面20における前記された貫通開口部内へと、これらピンが、これらピンの下側の自由な端部でもって割り当てられた窓部21内へと突出し、且つ、そこで、ナット33(
図1を参照)を用いて適当に固定され得るように取付けられている。
【0051】
図8との関連のもとで、ピン32の更なる詳細が示され、且つ、説明されている。
【0052】
ピン32の外側周囲面において、アダプター要素18の上側面20の上方の領域内において、少なくとも1つの突起部N、またはその種の他の物が固定されているか、または、附設して形成されている。
この突起部Nは、そのピンが、アダプター要素18の上側面20内における、割り当てられた貫通開口部内において挿入される場合、該ピン32が、この突起部Nによって、このアダプター要素18の上側面20の上で載置し、且つ、これに伴って、規定された最終位置に到達し、この最終位置において、その場合に、上述されているように、ナット33を用いてのピン32の固定が、このピンの下側の自由な端部において可能であることのために利用される。
アダプター要素18の上側面20における、ピン32のそのような固定との関連において、上述されている窓部21は有益であり、これら窓部が、アダプター要素18内において、このアダプター要素の上側面20に隣接して形成されている。
【0053】
アダプター要素18の実施形態に関して、この実施形態が
図4および5内において示されているように、その際、窓部21の形状賦与が、ほんの少しだけ、
図1に従う実施形態から逸脱するということは指摘されてしかるべきである。それにも関わらず、このことは、その機能態様によってピン32の組み付け可能性がアダプター要素18の上側面20において可能であるこの窓部21の該機能態様において、何ら変化しない。
【0054】
ピン32は、このピンの上側の自由な端部に隣接して、長手孔34を有しており、この長手孔内へと、くさび36が差し込まれ得る。このことは、以下で説明されるように、アダプター要素18における頭部要素12の固定のために利用される。
【0055】
ピン32が、アダプター要素18の上側面20において、上述されているように取付けられた後に、頭部要素12は、上方から、このアダプター要素18の上側面20の上に載置され得、その際、これらピン32が、この頭部要素12内において形成された貫通開口部31を通り抜けて差し込まれる。アダプター要素18の上側面20の上に載置された、その板形状の頭部要素の位置において、該板形状の頭部要素12は、それぞれのピン32内において形成されている長手孔34の下方に位置する。
上記のことに引き続いて、くさび36がそれぞれのピン32の長手孔34を通って押し込まれ、従って、これに伴って、これらくさび36は、頭部要素12の上側面15の上で載置する。このようにして、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、上側面20でもっての、頭部要素12の形状的に係合する締め付けは達成され得、その際、この目的のために、場合によって、ハンマー、またはその種の他の物が必要である。
【0056】
頭部要素が、上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上で取付けられ、且つ、この上側面の上で、くさび36の使用のもとで締め付けられている場合の、頭部要素12の組み付け位置は、
図1および
図3の眺望図内において示されている。
【0057】
冒頭で、既に他の場所において説明されているように、頭部要素12が規格化された構造部材として形成されている場合、この頭部要素12のために合目的である。アダプター要素18を用いて、その場合に、そのように規格化された頭部要素12を、場合によっては異なるダミーバーヘッド1と結合することは可能である。
【0058】
本発明は、ここで、以下のように機能する:
【0059】
連続鋳造プロセスの開始時に、先ず第一に、アダプター要素18に、このアダプター要素の上側面20において、ピン32が装備される。
【0060】
次いで、ウェブ24が、このウェブに附設して形成された膨らみ部25でもって、側方から、割り当てられた、ダミーバーヘッド1の切欠き部26内へと装入されることによって、アダプター要素18は、形状的に係合するように、ダミーバーヘッド1の上側の端面2に結合される(
図5を参照)。
【0061】
上記のことに引き続いて、頭部要素12は、(この頭部要素に既に取付けられた密閉要素14と共に)上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上に載置され、その際、この頭部要素12の貫通開口部31が、ピン32によって貫通される。
アダプター要素18の上側面20の上での、もしくは、アダプター要素18の上側面20における頭部要素12の締め付けは、その場合に、くさび36の使用のもとで行われ、これらくさびが、それぞれのピン32の長手孔34内へと打ち込まれる。
【0062】
ここで、頭部要素12が、アダプター要素18の使用のもとで、ダミーバーヘッド1と結合されるや否や、
図9内において図示されているように、これに伴って形成された密閉システム10は、連続鋳造設備の鋳型4内へと挿入される。
図9の図示内において、簡略化のために、画像の前景に位置する板は、ただ幻影線だけによって示唆されており、従って、その背後に位置する密閉システム10が認識可能である。
【0063】
ダミーバーヘッド1は、次いで、初鋳造の準備作業のために、密閉要素14を用いて、下側の開口部5が適当に閉鎖もしくは密閉されるように、鋳型4内において位置決めされる。その結果として、本発明により、液状の金属溶湯、例えば液状の鋼が、実際の初鋳造の際に、下方へと、鋳型4から流出可能ではないことは達成される。
【0064】
上述されているように、頭部要素12の上側面15の上で装備されており且つ比較的に大きな接触面を有する、隆起部16との、液状の金属溶湯もしくは鋼溶湯の接触によって、本発明に従い、金属溶湯もしくは鋼溶湯が温度の低下を被り、このことは、溶湯の所望された凝固のために寄与する。これに伴って、本発明に従い、初鋳造、もしくは、連続鋳造プロセスの開始時に、冷却スクラップの使用は、省略され得る。
【0065】
輸送方向Tにおける、鋳型4からの、ダミーバーヘッド1の引き抜きは、例えば、鎖、またはその種の他の物の形態の(示されていない)手段によって達成され、これら手段が、ダミーバーヘッド1の下側の端部において形成されたアンダーカット部もしくは溝部3と係合状態にされる。
【0066】
その段階において、凝固した金属溶湯から既に金属ストランドもしくは熱間ストリップが形成された連続鋳造プロセスの進行させられた該段階において、ダミーバーヘッド1は、このダミーバーヘッドに、力が、輸送方向Tに対して垂直方向もしくは横向きに作用されることによって、アダプター要素18から解離され得る。
その結果として、その場合に、ウェブ24は、切欠き部26から追い出され、このことによって、ダミーバーヘッド1とアダプター要素18とが互いに分離され、且つ、これに伴って、少なくとも、このダミーバーヘッド1が、再度、使用され得る。
【0067】
改めての連続鋳造プロセスのために、同様にアダプター要素18も繰り返し使用され得る。この目的のために、頭部要素12と結合した、凝固させられた熱間ストランドの一部分が分離され得、その際、引き続いて、ナット33が、ピン32の下側の端部から解離され、従って、これに伴って、アダプター要素18が、ピン32から取り去られ得る。
アダプター要素18の改めての使用において、その場合に、単に、このアダプター要素の上側面20に、新しいピン32が取付けられるべきであるだけである。それに対して、「古い」ピン32は、熱間ストランドの凝固された領域内において残留し、且つ、頭部要素12と共に「スクラップ」を形成する。
【0068】
最後に述べれば、
図4、
図6および
図7内において示されている、第1の固定手段22の実施形態、即ち、きのこ形状の膨らみ部25を有するウェブ24の形態および拡開された領域27を有する切欠き部26の形態での実施形態が、この第1の固定手段22の可能な1つの実施例であるだけであることは指摘されてしかるべきである。
これとは相違して、しかしながら同じ機能態様を有して、これら形状的に係合する第1の固定手段22が、(示されていない)係止部、またはその種の他の物を(有利にはウェブ24の自由な端部において)備えていることも可能であり、この係止部が、例えば切欠き部またはアンダーカット部の形態での、ダミーバーヘッド1における一部もしくは一部分と係合状態にされ得、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の形状的に係合する結合が実現され、この結合が、必要のある場合に、同様に再び解離され得る。
【符号の説明】
【0069】
1 ダミーバーヘッド
2 (ダミーバーヘッド1の)上側の端面
3 アンダーカット部
4 鋳型
5 (鋳型4の)下側の開口部
10 密閉システム
12 頭部要素
13 (頭部要素12の)縁部領域
14 密閉要素
15 (頭部要素12の)上側面
16 (頭部要素12の上側面15における)隆起部
18 アダプター要素
19 (アダプター要素18の)下側面
20 (アダプター要素18の)上側面
21 (アダプター要素18内における)窓部もしくは貫通切り通し部
22 第1の固定手段
24 ウェブ
25 膨らみ部
26 切欠き部
27 (切欠き部26の)拡開された領域
28 (切欠き部26の)狭小なボトル首部状の部分
30 第2の固定手段
31 貫通開口部
32 ピンもしくはねじ
33 ナット
34 長手孔
36 くさび
L 長手方向側面
K 短側面
T (ダミーバーヘッド1の)輸送方向
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のための密閉システム関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造による金属製品の製造のために、従来技術により、連続鋳造プロセスの開始時に、ダミーバーヘッドに密閉要素を設けることは公知であり、この密閉要素によって、初鋳造において、このダミーバーヘッドと、連続鋳造設備の鋳型の内壁との間の間隙が適当に密閉される。
そのような密閉要素を有する相応する密閉システムは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、または、特許文献5内において示されている。
【0003】
前述された従来技術による密閉システムにおいて、この密閉システムの上側の部材は、何時も精確に、ダミーバーヘッドの形態における下側の部材に対して適合されているような状況にある。
このことは、その上側の部材において密閉要素が既に取付けられているかまたはこの下側に位置する密閉要素の固定のために利用されるそのような該上側の部材が、何時も、ただダミーバーヘッドの所定の形状に対してだけ適合し、且つ、他の様式のダミーバーヘッドとの使用のために適していないことの欠点を誘起する。このことは、不利に、増大された生産コストを誘起する可能性がある。
特許文献6から、請求項1の上位概念による特徴を有する密閉システムが公知である。従来技術による更に別の密閉システムは、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、および、特許文献12から公知である。
これら密閉システムは、これら密閉システムが、それぞれに、金属から成る、頭部要素とアダプター要素を有しており、その際、アダプター要素が、このアダプター要素の下側面でもって、ダミーバーヘッドの上側の端面において固定可能であることで、共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2 127 780B1号明細書
【特許文献2】独国実用新案第20 2005 001 310U1号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 234 299B2号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第44 01 825A1号明細書
【特許文献5】独国特許翻訳文公報第600 04 848 T2号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第3 266 104 A号明細書
【特許文献7】国際公開第2012/000830 A1号
【特許文献8】米国特許出願公開第3 080 625 A号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第3 643 731 A号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第16 08 089A1号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第3 797 897 A1号明細書
【特許文献12】中国特許出願公開第111 299 530A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
相応して、本発明の根底をなす課題は、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために適している密閉システムを提供することであり、この密閉システムでもって、連続鋳造におけるプロセス開始がより簡単に、且つ、より安いコストで、並びに、所属する作業準備がより迅速に、実施され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する密閉システムによって解決される。本発明の有利な更なる構成は、従属請求項内において規定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従う密閉システムは、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されており、且つ、板形状の頭部要素を備えており、この板形状の頭部要素の縁部領域に、周囲に延在する密閉要素が取付けられており、並びに、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面でもって、前記ダミーバーヘッドの上側の端面に固定可能であり、
その際、前記頭部要素が、前記アダプター要素の上側面に固定され得、このことによって、前記ダミーバーヘッドと結合可能である。
更に、この密閉システムは、第2の固定手段を備えており、この第2の固定手段によって、前記頭部要素と前記アダプター要素とが結合可能である。
この密閉システムに関して、
前記第2の固定手段が、板形状の前記頭部要素内において形成されている複数の貫通開口部を備えており、
この第2の固定手段が、前記アダプター要素の前記上側面に取付けられており且つ前記頭部要素内において形成された前記貫通開口部を通って差し込み可能である、複数のピンをも備えていること、および、
ピンの自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔が形成されており、この長手孔を通って、くさびが押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部によってピンに差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素の上側面の上で載置すること、
は特徴的である。
【0008】
本発明に従う密閉システムのために、前記頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合、合目的である。
【0009】
本発明に従う密閉システムの一部であるアダプター要素に関して、その際、別個の1つの構造部材が重要な要素であり、この構造部材が、頭部要素と、ダミーバーヘッドの上側の端面との間に配置されていることが可能であることは、別途に強調されてしかるべきである。このことによって、頭部要素が、アダプター要素を用いて、ダミーバーヘッドの上側の端面においてもしくはダミーバーヘッドの上側の端面と、結合されていることが可能であることは保証されている。
これに関連して、アダプター要素の上側面が、頭部要素と同様に、規格化されて形成されている場合に有利であり、従って、これに伴って、何時も、このアダプター要素の上側面における頭部要素の取付けが可能である。
【0010】
本発明は、アダプター要素を用いて、頭部要素を、連続鋳造設備の、場合によっては異なるダミーバーヘッドとも結合することが可能であることの、重要な認識を基礎としている。
特に、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合に関して、このことによって、そのように形成された頭部要素が、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために使用され得ることの利点が与えられる。
これに伴って、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が極めて安いコストで製造され得、且つ、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために予め保持され得ることが、即ち上述されているように特徴的なアダプター要素のおかげで、保証されており、このアダプター要素によって、ダミーバーヘッドとの頭部要素の結合は、実現可能である。
【0011】
本発明の有利な更なる構成において、頭部要素は、この頭部要素に取付けられた、合成物質から成っていることが可能でありまたは合成物質コンポーネントを有する密閉要素と共に、「使い捨て品物」として形成されている。
このことは、本発明の趣旨において、そのような頭部要素が、
この頭部要素が、連続鋳造プロセスの開始時に、鋼溶湯もしくは金属溶湯との、および、この鋼溶湯もしくは金属溶湯から形成された、鋳造された金属ストランドもしくは連続鋳造製品との接触状態に至り、
次いで、先ず第一に永続的な熱間ストリップとの結合が生じ、且つ、これから形成された中間製品または最終製品、例えばスラブ、の十分な凝固の後に初めて、この製品から、切断によって分離されることを意味する。
【0012】
ダミーバーヘッドにおけるアダプター要素の取付けは、本発明の有利な更なる構成に従い、前記アダプター要素の前記下側面が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に適合されており、且つ、第1の固定手段によって、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に固定可能であることによって保証される。
その際、前記第1の固定手段が、形状的に係合するように形成されている場合、合目的であり、このことによって、連続鋳造プロセスの開始のための高い作動信頼性が達成される。
【0013】
有利な更なる構成において、前述された第1の固定手段に関して、この第1の固定手段が、ウェブの自由な端部において膨らみ部または係止部を有する少なくとも1つのウェブと、少なくとも1つの切欠き部とを有していることが意図されていることは可能である。その際、一方の側で膨らみ部もしくは係止部が、および、他方の側で切欠き部が、互いに係合状態にされ、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、形状的に係合する結合が達成される。
例えば、ウェブが、突き出ている(auskragendes)もしくは突出している(abragendes)部分として、アダプター要素の下側面において設けられていることは可能であり、その際、このウェブの自由な端部において、膨らみ部または係止部が形成されている。更に、有利には、このダミーバーヘッドの上側の端面において、または、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して、切欠き部が、ダミーバーヘッド内において形成されていることは可能であり、および、その際、拡開された領域を備えていることは可能である。
これに伴って、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して形成されていることは可能であり、且つ、この端面に向かって開口していることは可能である。この関連において、前記膨らみ部と、前記切欠き部の前記拡開された領域とが、互いに相補的に形成されている場合、合目的である。
【0014】
アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、作動の信頼できる結合の達成のために、このアダプター要素の下側面において、複数のウェブが取付けられており、これらウェブが、その場合に、形状的に係合するように、このダミーバーヘッドの切欠き部内において係止され得る場合、合目的である。
例えば、3つ、4つ、または、場合によっては4つより多くの、そのようなウェブが、アダプター要素の下側面において、ダミーバーヘッドの上側の端面に隣接する、このダミーバーヘッド内における、これらウェブに相応して適合された数の切欠き部と共に、設けられていることは可能である。
【0015】
前述された第1の固定手段において、有利な更なる構成に従い、前記切欠き部が、狭小なボトル首部状の部分を有しており、この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面を出発点として、前記切欠き部の前記拡開された領域に通じていることが意図されていることは可能である。
切欠き部のボトル首部状の部分に対して相補的に、ウェブは細長いカラー領域を備えており、この細長いカラー領域が、このウェブのきのこ状の膨らみ部と、アダプター要素の下側面との間に位置する。いずれにせよ、ウェブのきのこ状の膨らみ部が、切欠き部の拡開された領域内において係止されている場合、ダミーバーヘッドの輸送方向の方向における、アダプター要素とこのダミーバーヘッドとの間の確実な形状的な係合は保証されている。
【0016】
本発明の有利な更なる構成において、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッドの少なくとも1つの側面において開口しており、従って、前記ウェブが、このウェブの膨らみ部(または選択的に:このウェブの係止部)でもって、前記側面から、前記切欠き部内へと挿入され得る場合、合目的である。
このようにして、一方では、ダミーバーヘッドの上側の端面との、もしくは、このダミーバーヘッドの上側の端面における、アダプター要素の、特に工具無しの結合は可能であり、および、アダプター要素に、力(引張力または押圧力)が、輸送方向に対して横向きに作用されることによって、このダミーバーヘッドからのこのアダプター要素の分離が、進行させられた連続鋳造プロセスにおいて可能である。
【0017】
本発明の有利な更なる構成において、前記頭部要素と前記アダプター要素とのために、前記頭部要素と前記アダプター要素とが、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交して延びる平面内において、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、前記矩形状の横断面が、長手方向側面と短側面とを有していることは意図されている。そのような矩形状の横断面は、この矩形状の横断面の前記長手方向側面が、前記短側面よりも何倍もの値だけ大きいことによって特徴付けられている。
いずれにせよ、前記頭部要素と前記アダプター要素とは、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型の横断面に適合されている。それによって矩形状の横断面の長手方向側面が短側面よりも何倍も大きい、上述されている長さ比率に関して、このことが、スラブの連続鋳造において典型的であることは指摘されてしかるべきである。
【0018】
本発明の有利な更なる構成において、前記アダプター要素もしくは前記頭部要素の前記矩形状の横断面の短側面が、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することは意図されている。これに関連して、本発明のために、矩形状の横断面の短側面の長さでもって、より後の凝固されたスラブの厚さが影響を及ぼされること、もしくは、この短側面の長さが、凝固されたスラブの厚さに相応することは理解されるべきである。
【0019】
第2の固定を用いて、前記頭部要素と前記アダプター要素とは、互いに結合可能である。第1の固定手段と同様に、同様にこれら第2の固定手段に関しても、これら第2の固定手段が、形状的な係合の原理により機能する場合、合目的である。
【0020】
上述されている第2の固定手段に関して、頭部要素内において、複数の貫通開口部が、有利には互いに同じ間隔で、形成されていることは意図されている。相応して、アダプター要素の上側面において、複数のピンが、有利には同様に互いに同じ間隔でおよび特に貫通開口部の間隔に適合されて、取付けられていることは可能である。
換言すれば、アダプター要素の上側面において、複数のピンが取付けられていることは可能であり、その際、これら複数のピンの互いに相対的な間隔が、頭部要素内において形成された貫通開口部の互いに相対的な間隔と同じように選択されている。このことは、頭部要素が、上方から、この頭部要素に内に形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピンに差し込まれ得ることを可能にする。
【0021】
上述されている第2の固定手段に関して、上記されているようにアダプター要素の上側面において取付けられているピン内において、それぞれに1つの長手孔が形成されていることは意図されている。
【0022】
そのような長手孔との相互作用において、この長手孔内へと差し込まれ得るくさびが設けられている。
そのようなくさびは、その際、これに伴って、頭部要素が、上方から、この頭部要素内において形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピンに差し込まれた後に、くさびが、ピンの長手孔内へと打ち込まれることによって、この頭部要素の締め付けが、この上側面において、もしくは、この上側面によって可能であることの機能を満たす。
この目的のために、場合によっては必要である唯一の工具は、長手孔内へのくさびの打ち込みのためのハンマーである。
【0023】
本発明に従い、同様に連続鋳造による金属製品の製造のための方法が意図されており、この方法において、前述された特徴を有する密閉システムが使用される。
そのような方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型内への注入の際に、前記頭部要素の上側面、および、この上側面に設けられた隆起部との接触によって十分な冷却を被り、従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施され得る。
【0024】
本発明の更なる観点、および、本発明の利点は、以下の特徴によって形成される:即ち、
- 冷却スクラップによる損傷の減少、何故ならば、密閉のための従来利用された冷却スクラップによる、連続鋳造設備の支持するストランドガイドの後続の部分の損傷による危険が排除されるからである。
- 初鋳造におけるブレークアウトの危険の減少。
- 特に、連続鋳造プロセスの開始(もしくは継続)以前における、鋳型の下側の開口部における鋳型の密閉のための作業準備に関する、プロセスの短縮。
- より少ない数のプロセスステップによる、鋳型の下側の開口部における、この鋳型の必要な密閉の簡略化。
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における、職員の滞留継続時間が最小限化される。
- 鋳型の密閉を含めての、スラブ連続鋳造法における初鋳造における簡略化。
及び/または、
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における職員の滞留継続時間が最小限化されることによる、初鋳造のための準備作業の加速、および、ブレークアウトに対する防護。
【0025】
以下で本発明の実施例を、概略的に簡略化された図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】組み付けられた状態における本発明に従う密閉システムの側面図である。
【
図3】
図1の密閉システムの(上方からの)平面図である。
【
図4】
図1の密閉システムの個別部材の透視図であり、この密閉システムが、頭部要素とアダプター要素とを備えている。
【
図5】密閉システムのアダプター要素が、既に、ダミーバーヘッドと結合されている場合の、
図4の密閉システムの透視図である。
【
図6】ウェブの側面図であり、このウェブがアダプター要素の下側面において取付けられている。
【
図7】切欠き部の側面図であり、この切欠き部が、ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面側に隣接して形成されている。
【
図8】ピンの側面図であり、このピンが、アダプター要素の上側面において取付けられている。
【
図9】その密閉システムが連続鋳造設備の鋳型内へと挿入されている場合の、
図1の組み付けられた該密閉システムの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で、
図1から9までとの関連のもとで、密閉システム10ための有利な実施形態が示されており、且つ、この密閉システムが、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されている。図内における同じ特徴は、それぞれに、同じ参照符号を付けられている。ここで、この図が、単に簡略化されており、且つ、特に尺度無しに図示されていることは、別個に指摘される。
【0028】
図1は、密閉システムがダミーバーヘッド1に組み付けされている場合の、本発明に従う該密閉システム10の側面図を示している。
【0029】
本発明に従う密閉システム10は、複数の構造部材から成っており、且つ、細部においては、頭部要素12とアダプター要素18とを備えている。
【0030】
頭部要素12とアダプター要素18とは、有利には、金属、例えば鋼から成っている。
【0031】
図4内において、密閉システム10の個々の部材が、透視図的に、分解図において示されている。
【0032】
アダプター要素18は、このアダプター要素の下側面19でもって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2において、もしくは、この上側の端面2の上で固定され得る(
図4、最も下方の図示を参照)。この目的のために、本発明は、第1の固定手段22を備えており、これら固定手段が、以下で、更に別途に説明されている。
【0033】
頭部要素12は、上方から、アダプター要素18の上側面20の上に載置可能であり、且つ、そこで、第2の固定手段30を用いて、適当に固定可能である。
【0034】
ここで示されている実施形態に従う頭部要素12は、板形状に形成されている。このことは、この頭部要素が、少ない重量を有し、且つ、安いコストで製造可能であることの利点を誘起する。
【0035】
頭部要素12の縁部領域13に沿って、周囲に延在する密閉要素14が取付けられている。この密閉要素14が、合成物質から形成されていることは可能であり、且つ、頭部要素12の縁部領域13に附設して形成されており、もしくは、適当に固定されている。その限りでは、頭部要素12と、この頭部要素に取付けられた密閉要素14とは、1つの構造ユニットを形成する。
【0036】
密閉要素14に関して、ここで別途に、密閉要素の外側寸法が、ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内において、連続鋳造設備の鋳型の横断面よりもほんの少しだけ大きいということが指摘される。
このことに関しては
図9を参照して頂きたく、この図内において、鋳型4が簡略的に図示されており、その際、本発明に従う密閉システム10が、この鋳型4の内側に配置されており、且つ、この場合、密閉要素14を用いて、この鋳型の開口部5が密閉され得る。
【0037】
図2は、
図1の線A-Aに沿っての、ダミーバーヘッド1の断面図を示しており、且つ、この断面が矩形状に形成されていることを明瞭に示している。この断面の比率は、この断面の長手方向側面Lが、この断面の短側面Kよりも何倍も大きいように選択されている。
【0038】
図2内において示されたダミーバーヘッド1の断面に関して、アダプター要素18の断面が、同じように選択されており、且つ、これに伴って、同じ比率を有しているということは指摘されてしかるべきである。同様に、
図3の平面図内において示されている、頭部要素12の外側寸法が、
図2の断面と一致することは可能である。
【0039】
いずれにせよ、頭部要素12およびアダプター要素18の比率は、これら頭部要素とアダプター要素とが、それぞれに、(示されていない)連続鋳造設備の鋳型4の断面に対して適合されており(
図9を参照)、且つ、これに伴って、この鋳型4内に挿入され得るように選択されている。
【0040】
頭部要素12の上側面15に、複数の隆起部16が取付けられている。これら隆起部16は、これら隆起部が可能な限り大きな接触面を有するように形成されている。ここで示されている実施例において、これら隆起部は、それぞれに、複数の部材から成る立体構造を有しており、この立体構造が、平面図(
図3を参照)内において十字形に形成されている。
【0041】
隆起部16は、連続鋳造プロセスの開始時に、液状の鋳鋼溶湯との接触の状態になることの目的のために利用され、この鋳鋼溶湯が、上方から、連続鋳造設備の鋳型4内へと注入される。その際、隆起部16は、液状の鋳鋼溶湯によって周囲を流過され、その結果、鋳鋼溶湯から形成された熱間ストランドが、強固に、この頭部要素の上側面15とそこで取付けられた隆起部16において、頭部要素12と結合する。
隆起部16の大きな接触面によって、鋳鋼溶湯との接触の際に、有利には、この鋳鋼溶湯の温度の低減が達成され、このことは、この鋳鋼溶湯の凝固のために寄与する。
【0042】
以下で、第1の固定手段22が説明されており、これら第1の固定手段によって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2における、アダプター要素18の固定が達成される。
【0043】
第1の固定手段22は、そのウェブの自由な端部においてきのこ形状の膨らみ部25を有る少なくとも1つのウェブ24と、拡開された領域27を有する少なくとも1つの切欠き部26とを備えている。
【0044】
図4の中間の図示に基づいて、アダプター要素18の下側面19において、3つのウェブ24が取付けられており、これらウェブが、それぞれに、この下側面19から下方へと突出している。これらウェブ24の形成に関して、同様に
図6の側面図も参照されてしかるべきであり:この図内において、1つのウェブが、このウェブの自由な端部において、きのこ形状の膨らみ部25を備えていることが示されている。
【0045】
図4の下方の図示に基づいて、切欠き部26が、ダミーバーヘッド1内において、このダミーバーヘッドの上側の端面2に隣接して、即ちこの切欠き部26が上側の端面2に向かって開口するように形成されている。
同様に
図7の眺望図においても図示されているように、切欠き部26は、拡開された領域27を有している。この拡開された領域27と、ダミーバーヘッド1の上側の端面2との間で、切欠き部26は、狭小なボトル首部状の部分28を備えており、この狭小なボトル首部状の部分が、ダミーバーヘッド1の上側の端面2を出発点として、切欠き部26の拡開された領域27に通じている。
【0046】
切欠き部26に関して、更に、この切欠き部が、ダミーバーヘッド1の少なくとも1つの側面(
図4の下方の図示内における、画像の前景において示されている)において開口していることは指摘されてしかるべきである。その結果として、ウェブ24を、このウェブの膨らみ部25でもって、この開口された側面から側方に、切欠き部26内へと挿入することは可能である。
図5は、アダプター要素18の下側面19において取付けられているウェブ24が、全て、ダミーバーヘッド1の割り当てられた切欠き部26内へと挿入されてしまっている場合の、アダプター要素18の組み付けられた状態を示している。これに関連して、ウェブ24の膨らみ部25と、切欠き部26の拡開された領域27とが、互いに相補的に形成されている、即ち、ウェブ24がこのウェブの膨らみ部25でもって、締付け無しに、切欠き部26内へと、および、この切欠き部の拡開された領域27内へと挿入され得るように形成されていることは強調されるべきである。
ダミーバーヘッド1の、
図1と
図9内においてそれぞれに矢印「T」によってシンボル化されている輸送方向において見て、これに伴って、ウェブ24が、上述されているように、切欠き部26内において装入されている場合、アダプター要素18とダミーバーヘッド1との間の形状的に係合する結合が、このダミーバーヘッドの上側の端面2において与えられる。
【0047】
以下で、第2の固定手段30が説明されており、これら第2の固定手段によって、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、アダプター要素18の上側面20の上での、頭部要素12の固定が達成される。
【0048】
第2の固定手段30は、複数の貫通開口部31を備えており、これら貫通開口部が、特に板形状の頭部要素12内において形成されている。これら貫通開口部31は、例えば、
図4の上方の図示内において、および、同様に
図5内において示されている。
【0049】
更に、ここで示された実施形態における第2の固定手段30は、同様に複数のピン32を備えており、これらピンが、アダプター要素18の上側面20において取付けられている(
図4および
図5を参照)。
【0050】
アダプター要素18の上側面20における、ピン32の取付けに関して、この目的のために、上側面20内において、それぞれに、(示されていない)貫通開口部が形成されていることが意図されていることは可能であり、これら貫通開口部内に、ピン32が差し込まれている。これら貫通開口部に対して一直線に並んで、
図4の中間の図示および同様に
図5内においても認識され得るように、アダプター要素18内において、それぞれに、「窓部」もしくは貫通切り通し部21が形成されている。
いずれにせよ、ピン32は、アダプター要素18の上側面20における前記された貫通開口部内へと、これらピンが、これらピンの下側の自由な端部でもって割り当てられた窓部21内へと突出し、且つ、そこで、ナット33(
図1を参照)を用いて適当に固定され得るように取付けられている。
【0051】
図8との関連のもとで、ピン32の更なる詳細が示され、且つ、説明されている。
【0052】
ピン32の外側周囲面において、アダプター要素18の上側面20の上方の領域内において、少なくとも1つの突起部N、またはその種の他の物が固定されているか、または、附設して形成されている。
この突起部Nは、そのピンが、アダプター要素18の上側面20内における、割り当てられた貫通開口部内において挿入される場合、該ピン32が、この突起部Nによって、このアダプター要素18の上側面20の上で載置し、且つ、これに伴って、規定された最終位置に到達し、この最終位置において、その場合に、上述されているように、ナット33を用いてのピン32の固定が、このピンの下側の自由な端部において可能であることのために利用される。
アダプター要素18の上側面20における、ピン32のそのような固定との関連において、上述されている窓部21は有益であり、これら窓部が、アダプター要素18内において、このアダプター要素の上側面20に隣接して形成されている。
【0053】
アダプター要素18の実施形態に関して、この実施形態が
図4および5内において示されているように、その際、窓部21の形状賦与が、ほんの少しだけ、
図1に従う実施形態から逸脱するということは指摘されてしかるべきである。それにも関わらず、このことは、その機能態様によってピン32の組み付け可能性がアダプター要素18の上側面20において可能であるこの窓部21の該機能態様において、何ら変化しない。
【0054】
ピン32は、このピンの上側の自由な端部に隣接して、長手孔34を有しており、この長手孔内へと、くさび36が差し込まれ得る。このことは、以下で説明されるように、アダプター要素18における頭部要素12の固定のために利用される。
【0055】
ピン32が、アダプター要素18の上側面20において、上述されているように取付けられた後に、頭部要素12は、上方から、このアダプター要素18の上側面20の上に載置され得、その際、これらピン32が、この頭部要素12内において形成された貫通開口部31を通り抜けて差し込まれる。アダプター要素18の上側面20の上に載置された、その板形状の頭部要素の位置において、該板形状の頭部要素12は、それぞれのピン32内において形成されている長手孔34の下方に位置する。
上記のことに引き続いて、くさび36がそれぞれのピン32の長手孔34を通って押し込まれ、従って、これに伴って、これらくさび36は、頭部要素12の上側面15の上で載置する。このようにして、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、上側面20でもっての、頭部要素12の形状的に係合する締め付けは達成され得、その際、この目的のために、場合によって、ハンマー、またはその種の他の物が必要である。
【0056】
頭部要素が、上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上で取付けられ、且つ、この上側面の上で、くさび36の使用のもとで締め付けられている場合の、頭部要素12の組み付け位置は、
図1および
図3の眺望図内において示されている。
【0057】
冒頭で、既に他の場所において説明されているように、頭部要素12が規格化された構造部材として形成されている場合、この頭部要素12のために合目的である。アダプター要素18を用いて、その場合に、そのように規格化された頭部要素12を、場合によっては異なるダミーバーヘッド1と結合することは可能である。
【0058】
本発明は、ここで、以下のように機能する:
【0059】
連続鋳造プロセスの開始時に、先ず第一に、アダプター要素18に、このアダプター要素の上側面20において、ピン32が装備される。
【0060】
次いで、ウェブ24が、このウェブに附設して形成された膨らみ部25でもって、側方から、割り当てられた、ダミーバーヘッド1の切欠き部26内へと装入されることによって、アダプター要素18は、形状的に係合するように、ダミーバーヘッド1の上側の端面2に結合される(
図5を参照)。
【0061】
上記のことに引き続いて、頭部要素12は、(この頭部要素に既に取付けられた密閉要素14と共に)上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上に載置され、その際、この頭部要素12の貫通開口部31が、ピン32によって貫通される。
アダプター要素18の上側面20の上での、もしくは、アダプター要素18の上側面20における頭部要素12の締め付けは、その場合に、くさび36の使用のもとで行われ、これらくさびが、それぞれのピン32の長手孔34内へと打ち込まれる。
【0062】
ここで、頭部要素12が、アダプター要素18の使用のもとで、ダミーバーヘッド1と結合されるや否や、
図9内において図示されているように、これに伴って形成された密閉システム10は、連続鋳造設備の鋳型4内へと挿入される。
図9の図示内において、簡略化のために、画像の前景に位置する板は、ただ幻影線だけによって示唆されており、従って、その背後に位置する密閉システム10が認識可能である。
【0063】
ダミーバーヘッド1は、次いで、初鋳造の準備作業のために、密閉要素14を用いて、下側の開口部5が適当に閉鎖もしくは密閉されるように、鋳型4内において位置決めされる。その結果として、本発明により、液状の金属溶湯、例えば液状の鋼が、実際の初鋳造の際に、下方へと、鋳型4から流出可能ではないことは達成される。
【0064】
上述されているように、頭部要素12の上側面15の上で装備されており且つ比較的に大きな接触面を有する、隆起部16との、液状の金属溶湯もしくは鋼溶湯の接触によって、本発明に従い、金属溶湯もしくは鋼溶湯が温度の低下を被り、このことは、溶湯の所望された凝固のために寄与する。これに伴って、本発明に従い、初鋳造、もしくは、連続鋳造プロセスの開始時に、冷却スクラップの使用は、省略され得る。
【0065】
輸送方向Tにおける、鋳型4からの、ダミーバーヘッド1の引き抜きは、例えば、鎖、またはその種の他の物の形態の(示されていない)手段によって達成され、これら手段が、ダミーバーヘッド1の下側の端部において形成されたアンダーカット部もしくは溝部3と係合状態にされる。
【0066】
その段階において、凝固した金属溶湯から既に金属ストランドもしくは熱間ストリップが形成された連続鋳造プロセスの進行させられた該段階において、ダミーバーヘッド1は、このダミーバーヘッドに、力が、輸送方向Tに対して垂直方向もしくは横向きに作用されることによって、アダプター要素18から解離され得る。
その結果として、その場合に、ウェブ24は、切欠き部26から追い出され、このことによって、ダミーバーヘッド1とアダプター要素18とが互いに分離され、且つ、これに伴って、少なくとも、このダミーバーヘッド1が、再度、使用され得る。
【0067】
改めての連続鋳造プロセスのために、同様にアダプター要素18も繰り返し使用され得る。この目的のために、頭部要素12と結合した、凝固させられた熱間ストランドの一部分が分離され得、その際、引き続いて、ナット33が、ピン32の下側の端部から解離され、従って、これに伴って、アダプター要素18が、ピン32から取り去られ得る。
アダプター要素18の改めての使用において、その場合に、単に、このアダプター要素の上側面20に、新しいピン32が取付けられるべきであるだけである。それに対して、「古い」ピン32は、熱間ストランドの凝固された領域内において残留し、且つ、頭部要素12と共に「スクラップ」を形成する。
【0068】
最後に述べれば、
図4、
図6および
図7内において示されている、第1の固定手段22の実施形態、即ち、きのこ形状の膨らみ部25を有するウェブ24の形態および拡開された領域27を有する切欠き部26の形態での実施形態が、この第1の固定手段22の可能な1つの実施例であるだけであることは指摘されてしかるべきである。
これとは相違して、しかしながら同じ機能態様を有して、これら形状的に係合する第1の固定手段22が、(示されていない)係止部、またはその種の他の物を(有利にはウェブ24の自由な端部において)備えていることも可能であり、この係止部が、例えば切欠き部またはアンダーカット部の形態での、ダミーバーヘッド1における一部もしくは一部分と係合状態にされ得、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の形状的に係合する結合が実現され、この結合が、必要のある場合に、同様に再び解離され得る。
【符号の説明】
【0069】
1 ダミーバーヘッド
2 (ダミーバーヘッド1の)上側の端面
3 アンダーカット部
4 鋳型
5 (鋳型4の)下側の開口部
10 密閉システム
12 頭部要素
13 (頭部要素12の)縁部領域
14 密閉要素
15 (頭部要素12の)上側面
16 (頭部要素12の上側面15における)隆起部
18 アダプター要素
19 (アダプター要素18の)下側面
20 (アダプター要素18の)上側面
21 (アダプター要素18内における)窓部もしくは貫通切り通し部
22 第1の固定手段
24 ウェブ
25 膨らみ部
26 切欠き部
27 (切欠き部26の)拡開された領域
28 (切欠き部26の)狭小なボトル首部状の部分
30 第2の固定手段
31 貫通開口部
32 ピン
33 ナット
34 長手孔
36 くさび
L 長手方向側面
K 短側面
T (ダミーバーヘッド1の)輸送方向
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備のダミーバーヘッド(1)との使用のための密閉システム(10)であって、
前記密閉システムが
、板形状の頭部要素(12)を備えており、板形状の前記頭部要素の縁部領域(13)に、周囲に延在する密閉要素(14)が取付けられて
おり、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素(18)を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面(19)でもって、前記ダミーバーヘッド(1)の上側の端面(2)に固定可能であり、
前記頭部要素(12)が、前記アダプター要素(18)の上側面(20)に固定可能であり、このことによって、前記ダミーバーヘッド(1)と結合可能であ
り、および、
前記密閉システムが、第2の固定手段(30)を備えており、この第2の固定手段によって、前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが結合可能である、
上記密閉システムにおいて、
前記第2の固定手段(30)が、板形状の前記頭部要素(12)内において形成されている複数の貫通開口部(31)を備えており、
この第2の固定手段(30)が、前記アダプター要素(18)の前記上側面(20)に取付けられており且つ前記頭部要素(12)内において形成された前記貫通開口部(31)を通って差し込み可能である、複数のピン(32)をも備えていること、
ピン(32)の自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔(34)が形成されており、この長手孔を通って、くさび(36)が押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部(31)によってピン(32)に差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素(12)の上側面(15)の上で載置すること、
ことを特徴とする密閉システム(10)。
【請求項2】
前記アダプター要素(18)の前記下側面(19)は、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に適合されており、且つ、
第1の固定手段(22)によって、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の密閉システム(10)。
【請求項3】
前記第1の固定手段(22)は、形状的に係合するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密閉システム(10)。
【請求項4】
前記第1の固定手段(22)が、ウェブの自由な端部において膨らみ部(25)または係止部を有する少なくとも1つのウェブ(24)と、少なくとも1つの切欠き部(26)とを有しており、前記ウェブ(24)の前記膨らみ部(25)または係止部と、前記切欠き部とが、互いに係合状態にされ得ること
、
を特徴とする請求項3に記載の密閉システム(10)。
【請求項5】
前記ウェブ(24)は、きのこ形状の膨らみ部(25)を有しており、且つ、前記切欠き部(26)が、拡開された領域(27)を備えており、且つ、その場合に、特にきのこ形状の前記膨らみ部(25)と、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)とが、互いに相補的に形成されていること、
を特徴とする請求項4に記載の密閉システム(10)。
【請求項6】
前記ウェブ(24)は、前記アダプター要素(18)の下側面(19)において取付けられており、且つ、
前記切欠き部(26)が、前記ダミーバーヘッド(1)内において、このダミーバーヘッドの上側の端面(2)に隣接して形成されており、且つ、この端面(2)に向かって開口していること、
を特徴とする請求項4または5に記載の密閉システム(10)。
【請求項7】
前記切欠き部(26)は、狭小なボトル首部状の部分(28)を有しており、
この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)を出発点として、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)に通じていることを特徴とする請求項
4から6のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項8】
前記切欠き部(26)は、前記ダミーバーヘッド(1)の少なくとも1つの側面において開口しており、
従って、前記ウェブ(24)が、このウェブの膨らみ部(25)でもって、前記側面から、前記切欠き部(26)内へと挿入可能であることを特徴とする請求項
4から7のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項9】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交して延びる平面内において、長手方向側面(L)と短側面(K)を有する、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、
前記長手方向側面(L)の長手方向延在が、前記短側面(K)の長手方向延在よりも何倍もの値だけ大きいこと
、
を特徴とする請求項1から
8のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項10】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面に適合されていること、
を特徴とする請求項9に記載の密閉システム(10)。
【請求項11】
前記アダプター要素(18)もしくは前記頭部要素(12)の前記矩形状の横断面の短側面(K)は、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することを特徴とする請求項
9または10に記載の密閉システム(10)。
【請求項12】
前記頭部要素(12)の上側面(15)において
、複数の隆起部(16)が形成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項13】
前記密閉要素(14)は、合成物質から製造されていること
、
を特徴とする請求項1から
12のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
【請求項14】
前記密閉要素(14)の外側寸法が、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内における、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面よりも、ほんの少しだけ大きいこと、
を特徴とする請求項13に記載の密閉システム(10)。
【請求項15】
請求項1から1
4のいずれか一つに記載の密閉システム(10)の使用のもとでの、連続鋳造による金属製品の製造のための方法において、
この方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型(4)内への注入の際に、前記頭部要素(12)の上側面(15)、および、この上側面に設けられた隆起部(16)との接触によって、十分な冷却を被り、
従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施されることを特徴とする方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のための密閉システム関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造による金属製品の製造のために、従来技術により、連続鋳造プロセスの開始時に、ダミーバーヘッドに密閉要素を設けることは公知であり、この密閉要素によって、初鋳造において、このダミーバーヘッドと、連続鋳造設備の鋳型の内壁との間の間隙が適当に密閉される。
そのような密閉要素を有する相応する密閉システムは、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、または、特許文献5内において示されている。
【0003】
前述された従来技術による密閉システムにおいて、この密閉システムの上側の部材は、何時も精確に、ダミーバーヘッドの形態における下側の部材に対して適合されているような状況にある。
このことは、その上側の部材において密閉要素が既に取付けられているかまたはこの下側に位置する密閉要素の固定のために利用されるそのような該上側の部材が、何時も、ただダミーバーヘッドの所定の形状に対してだけ適合し、且つ、他の様式のダミーバーヘッドとの使用のために適していないことの欠点を誘起する。このことは、不利に、増大された生産コストを誘起する可能性がある。
特許文献6から、請求項1の上位概念による特徴を有する密閉システムが公知である。従来技術による更に別の密閉システムは、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、および、特許文献12から公知である。
これら密閉システムは、これら密閉システムが、それぞれに、金属から成る、頭部要素とアダプター要素を有しており、その際、アダプター要素が、このアダプター要素の下側面でもって、ダミーバーヘッドの上側の端面において固定可能であることで、共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第2 127 780B1号明細書
【特許文献2】独国実用新案第20 2005 001 310U1号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 234 299B2号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第44 01 825A1号明細書
【特許文献5】独国特許翻訳文公報第600 04 848 T2号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第3 266 104 A号明細書
【特許文献7】国際公開第2012/000830 A1号
【特許文献8】米国特許出願公開第3 080 625 A号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第3 643 731 A号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第16 08 089A1号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第3 797 897 A1号明細書
【特許文献12】中国特許出願公開第111 299 530A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
相応して、本発明の根底をなす課題は、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために適している密閉システムを提供することであり、この密閉システムでもって、連続鋳造におけるプロセス開始がより簡単に、且つ、より安いコストで、並びに、所属する作業準備がより迅速に、実施され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する密閉システムによって解決される。本発明の有利な更なる構成は、従属請求項内において規定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従う密閉システムは、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されており、且つ、板形状の頭部要素を備えており、この板形状の頭部要素の縁部領域に、周囲に延在する密閉要素が取付けられており、並びに、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面でもって、前記ダミーバーヘッドの上側の端面に固定可能であり、
その際、前記頭部要素が、前記アダプター要素の上側面に固定され得、このことによって、前記ダミーバーヘッドと結合可能である。
更に、この密閉システムは、第2の固定手段を備えており、この第2の固定手段によって、前記頭部要素と前記アダプター要素とが結合可能である。
この密閉システムに関して、
前記第2の固定手段が、板形状の前記頭部要素内において形成されている複数の貫通開口部を備えており、
この第2の固定手段が、前記アダプター要素の前記上側面に取付けられており且つ前記頭部要素内において形成された前記貫通開口部を通って差し込み可能である、複数のピンをも備えていること、および、
ピンの自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔が形成されており、この長手孔を通って、くさびが押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部によってピンに差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素の上側面の上で載置すること、
は特徴的である。
【0008】
本発明に従う密閉システムのために、前記頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合、合目的である。
【0009】
本発明に従う密閉システムの一部であるアダプター要素に関して、その際、別個の1つの構造部材が重要な要素であり、この構造部材が、頭部要素と、ダミーバーヘッドの上側の端面との間に配置されていることが可能であることは、別途に強調されてしかるべきである。このことによって、頭部要素が、アダプター要素を用いて、ダミーバーヘッドの上側の端面においてもしくはダミーバーヘッドの上側の端面と、結合されていることが可能であることは保証されている。
これに関連して、アダプター要素の上側面が、頭部要素と同様に、規格化されて形成されている場合に有利であり、従って、これに伴って、何時も、このアダプター要素の上側面における頭部要素の取付けが可能である。
【0010】
本発明は、アダプター要素を用いて、頭部要素を、連続鋳造設備の、場合によっては異なるダミーバーヘッドとも結合することが可能であることの、重要な認識を基礎としている。
特に、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が、規格化された構造部材として形成されている場合に関して、このことによって、そのように形成された頭部要素が、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために使用され得ることの利点が与えられる。
これに伴って、その頭部要素に取付けられた密閉要素を有する該頭部要素が極めて安いコストで製造され得、且つ、複数の、場合によっては異なるダミーバーヘッドのために予め保持され得ることが、即ち上述されているように特徴的なアダプター要素のおかげで、保証されており、このアダプター要素によって、ダミーバーヘッドとの頭部要素の結合は、実現可能である。
【0011】
本発明の有利な更なる構成において、頭部要素は、この頭部要素に取付けられた、合成物質から成っていることが可能でありまたは合成物質コンポーネントを有する密閉要素と共に、「使い捨て品物」として形成されている。
このことは、本発明の趣旨において、そのような頭部要素が、
この頭部要素が、連続鋳造プロセスの開始時に、鋼溶湯もしくは金属溶湯との、および、この鋼溶湯もしくは金属溶湯から形成された、鋳造された金属ストランドもしくは連続鋳造製品との接触状態に至り、
次いで、先ず第一に永続的な熱間ストリップとの結合が生じ、且つ、これから形成された中間製品または最終製品、例えばスラブ、の十分な凝固の後に初めて、この製品から、切断によって分離されることを意味する。
【0012】
ダミーバーヘッドにおけるアダプター要素の取付けは、本発明の有利な更なる構成に従い、前記アダプター要素の前記下側面が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に適合されており、且つ、第1の固定手段によって、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面に固定可能であることによって保証される。
その際、前記第1の固定手段が、形状的に係合するように形成されている場合、合目的であり、このことによって、連続鋳造プロセスの開始のための高い作動信頼性が達成される。
【0013】
有利な更なる構成において、前述された第1の固定手段に関して、この第1の固定手段が、ウェブの自由な端部において膨らみ部または係止部を有する少なくとも1つのウェブと、少なくとも1つの切欠き部とを有していることが意図されていることは可能である。その際、一方の側で膨らみ部もしくは係止部が、および、他方の側で切欠き部が、互いに係合状態にされ、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、形状的に係合する結合が達成される。
例えば、ウェブが、突き出ている(auskragendes)もしくは突出している(abragendes)部分として、アダプター要素の下側面において設けられていることは可能であり、その際、このウェブの自由な端部において、膨らみ部または係止部が形成されている。更に、有利には、このダミーバーヘッドの上側の端面において、または、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して、切欠き部が、ダミーバーヘッド内において形成されていることは可能であり、および、その際、拡開された領域を備えていることは可能である。
これに伴って、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面に隣接して形成されていることは可能であり、且つ、この端面に向かって開口していることは可能である。この関連において、前記膨らみ部と、前記切欠き部の前記拡開された領域とが、互いに相補的に形成されている場合、合目的である。
【0014】
アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の、作動の信頼できる結合の達成のために、このアダプター要素の下側面において、複数のウェブが取付けられており、これらウェブが、その場合に、形状的に係合するように、このダミーバーヘッドの切欠き部内において係止され得る場合、合目的である。
例えば、3つ、4つ、または、場合によっては4つより多くの、そのようなウェブが、アダプター要素の下側面において、ダミーバーヘッドの上側の端面に隣接する、このダミーバーヘッド内における、これらウェブに相応して適合された数の切欠き部と共に、設けられていることは可能である。
【0015】
前述された第1の固定手段において、有利な更なる構成に従い、前記切欠き部が、狭小なボトル首部状の部分を有しており、この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッドの前記上側の端面を出発点として、前記切欠き部の前記拡開された領域に通じていることが意図されていることは可能である。
切欠き部のボトル首部状の部分に対して相補的に、ウェブは細長いカラー領域を備えており、この細長いカラー領域が、このウェブのきのこ状の膨らみ部と、アダプター要素の下側面との間に位置する。いずれにせよ、ウェブのきのこ状の膨らみ部が、切欠き部の拡開された領域内において係止されている場合、ダミーバーヘッドの輸送方向の方向における、アダプター要素とこのダミーバーヘッドとの間の確実な形状的な係合は保証されている。
【0016】
本発明の有利な更なる構成において、前記切欠き部が、前記ダミーバーヘッドの少なくとも1つの側面において開口しており、従って、前記ウェブが、このウェブの膨らみ部(または選択的に:このウェブの係止部)でもって、前記側面から、前記切欠き部内へと挿入され得る場合、合目的である。
このようにして、一方では、ダミーバーヘッドの上側の端面との、もしくは、このダミーバーヘッドの上側の端面における、アダプター要素の、特に工具無しの結合は可能であり、および、アダプター要素に、力(引張力または押圧力)が、輸送方向に対して横向きに作用されることによって、このダミーバーヘッドからのこのアダプター要素の分離が、進行させられた連続鋳造プロセスにおいて可能である。
【0017】
本発明の有利な更なる構成において、前記頭部要素と前記アダプター要素とのために、前記頭部要素と前記アダプター要素とが、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交して延びる平面内において、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、前記矩形状の横断面が、長手方向側面と短側面とを有していることは意図されている。そのような矩形状の横断面は、この矩形状の横断面の前記長手方向側面が、前記短側面よりも何倍もの値だけ大きいことによって特徴付けられている。
いずれにせよ、前記頭部要素と前記アダプター要素とは、前記ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型の横断面に適合されている。それによって矩形状の横断面の長手方向側面が短側面よりも何倍も大きい、上述されている長さ比率に関して、このことが、スラブの連続鋳造において典型的であることは指摘されてしかるべきである。
【0018】
本発明の有利な更なる構成において、前記アダプター要素もしくは前記頭部要素の前記矩形状の横断面の短側面が、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することは意図されている。これに関連して、本発明のために、矩形状の横断面の短側面の長さでもって、より後の凝固されたスラブの厚さが影響を及ぼされること、もしくは、この短側面の長さが、凝固されたスラブの厚さに相応することは理解されるべきである。
【0019】
第2の固定を用いて、前記頭部要素と前記アダプター要素とは、互いに結合可能である。第1の固定手段と同様に、同様にこれら第2の固定手段に関しても、これら第2の固定手段が、形状的な係合の原理により機能する場合、合目的である。
【0020】
上述されている第2の固定手段に関して、頭部要素内において、複数の貫通開口部が、有利には互いに同じ間隔で、形成されていることは意図されている。相応して、アダプター要素の上側面において、複数のピンが、有利には同様に互いに同じ間隔でおよび特に貫通開口部の間隔に適合されて、取付けられていることは可能である。
換言すれば、アダプター要素の上側面において、複数のピンが取付けられていることは可能であり、その際、これら複数のピンの互いに相対的な間隔が、頭部要素内において形成された貫通開口部の互いに相対的な間隔と同じように選択されている。このことは、頭部要素が、上方から、この頭部要素に内に形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピンに差し込まれ得ることを可能にする。
【0021】
上述されている第2の固定手段に関して、上記されているようにアダプター要素の上側面において取付けられているピン内において、それぞれに1つの長手孔が形成されていることは意図されている。
【0022】
そのような長手孔との相互作用において、この長手孔内へと差し込まれ得るくさびが設けられている。
そのようなくさびは、その際、これに伴って、頭部要素が、上方から、この頭部要素内において形成された貫通開口部によって、アダプター要素の上側面において取付けられたピンに差し込まれた後に、くさびが、ピンの長手孔内へと打ち込まれることによって、この頭部要素の締め付けが、この上側面において、もしくは、この上側面によって可能であることの機能を満たす。
この目的のために、場合によっては必要である唯一の工具は、長手孔内へのくさびの打ち込みのためのハンマーである。
【0023】
本発明に従い、同様に連続鋳造による金属製品の製造のための方法が意図されており、この方法において、前述された特徴を有する密閉システムが使用される。
そのような方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型内への注入の際に、前記頭部要素の上側面、および、この上側面に設けられた隆起部との接触によって十分な冷却を被り、従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施され得る。
【0024】
本発明の更なる観点、および、本発明の利点は、以下の特徴によって形成される:即ち、
- 冷却スクラップによる損傷の減少、何故ならば、密閉のための従来利用された冷却スクラップによる、連続鋳造設備の支持するストランドガイドの後続の部分の損傷による危険が排除されるからである。
- 初鋳造におけるブレークアウトの危険の減少。
- 特に、連続鋳造プロセスの開始(もしくは継続)以前における、鋳型の下側の開口部における鋳型の密閉のための作業準備に関する、プロセスの短縮。
- より少ない数のプロセスステップによる、鋳型の下側の開口部における、この鋳型の必要な密閉の簡略化。
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における、職員の滞留継続時間が最小限化される。
- 鋳型の密閉を含めての、スラブ連続鋳造法における初鋳造における簡略化。
及び/または、
- 初鋳造のための準備作業ステップの継続時間、および、鋳型における職員の滞留継続時間が最小限化されることによる、初鋳造のための準備作業の加速、および、ブレークアウトに対する防護。
【0025】
以下で本発明の実施例を、概略的に簡略化された図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】組み付けられた状態における本発明に従う密閉システムの側面図である。
【
図3】
図1の密閉システムの(上方からの)平面図である。
【
図4】
図1の密閉システムの個別部材の透視図であり、この密閉システムが、頭部要素とアダプター要素とを備えている。
【
図5】密閉システムのアダプター要素が、既に、ダミーバーヘッドと結合されている場合の、
図4の密閉システムの透視図である。
【
図6】ウェブの側面図であり、このウェブがアダプター要素の下側面において取付けられている。
【
図7】切欠き部の側面図であり、この切欠き部が、ダミーバーヘッド内において、このダミーバーヘッドの上側の端面側に隣接して形成されている。
【
図8】ピンの側面図であり、このピンが、アダプター要素の上側面において取付けられている。
【
図9】その密閉システムが連続鋳造設備の鋳型内へと挿入されている場合の、
図1の組み付けられた該密閉システムの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で、
図1から9までとの関連のもとで、密閉システム10ための有利な実施形態が示されており、且つ、この密閉システムが、連続鋳造設備のダミーバーヘッドとの使用のために意図されている。図内における同じ特徴は、それぞれに、同じ参照符号を付けられている。ここで、この図が、単に簡略化されており、且つ、特に尺度無しに図示されていることは、別個に指摘される。
【0028】
図1は、密閉システムがダミーバーヘッド1に組み付けされている場合の、本発明に従う該密閉システム10の側面図を示している。
【0029】
本発明に従う密閉システム10は、複数の構造部材から成っており、且つ、細部においては、頭部要素12とアダプター要素18とを備えている。
【0030】
頭部要素12とアダプター要素18とは、有利には、金属、例えば鋼から成っている。
【0031】
図4内において、密閉システム10の個々の部材が、透視図的に、分解図において示されている。
【0032】
アダプター要素18は、このアダプター要素の下側面19でもって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2において、もしくは、この上側の端面2の上で固定され得る(
図4、最も下方の図示を参照)。この目的のために、本発明は、第1の固定手段22を備えており、これら固定手段が、以下で、更に別途に説明されている。
【0033】
頭部要素12は、上方から、アダプター要素18の上側面20の上に載置可能であり、且つ、そこで、第2の固定手段30を用いて、適当に固定可能である。
【0034】
ここで示されている実施形態に従う頭部要素12は、板形状に形成されている。このことは、この頭部要素が、少ない重量を有し、且つ、安いコストで製造可能であることの利点を誘起する。
【0035】
頭部要素12の縁部領域13に沿って、周囲に延在する密閉要素14が取付けられている。この密閉要素14が、合成物質から形成されていることは可能であり、且つ、頭部要素12の縁部領域13に附設して形成されており、もしくは、適当に固定されている。その限りでは、頭部要素12と、この頭部要素に取付けられた密閉要素14とは、1つの構造ユニットを形成する。
【0036】
密閉要素14に関して、ここで別途に、密閉要素の外側寸法が、ダミーバーヘッドの輸送方向に対して直交する平面内において、連続鋳造設備の鋳型の横断面よりもほんの少しだけ大きいということが指摘される。
このことに関しては
図9を参照して頂きたく、この図内において、鋳型4が簡略的に図示されており、その際、本発明に従う密閉システム10が、この鋳型4の内側に配置されており、且つ、この場合、密閉要素14を用いて、この鋳型の開口部5が密閉され得る。
【0037】
図2は、
図1の線A-Aに沿っての、ダミーバーヘッド1の断面図を示しており、且つ、この断面が矩形状に形成されていることを明瞭に示している。この断面の比率は、この断面の長手方向側面Lが、この断面の短側面Kよりも何倍も大きいように選択されている。
【0038】
図2内において示されたダミーバーヘッド1の断面に関して、アダプター要素18の断面が、同じように選択されており、且つ、これに伴って、同じ比率を有しているということは指摘されてしかるべきである。同様に、
図3の平面図内において示されている、頭部要素12の外側寸法が、
図2の断面と一致することは可能である。
【0039】
いずれにせよ、頭部要素12およびアダプター要素18の比率は、これら頭部要素とアダプター要素とが、それぞれに、(示されていない)連続鋳造設備の鋳型4の断面に対して適合されており(
図9を参照)、且つ、これに伴って、この鋳型4内に挿入され得るように選択されている。
【0040】
頭部要素12の上側面15に、複数の隆起部16が取付けられている。これら隆起部16は、これら隆起部が可能な限り大きな接触面を有するように形成されている。ここで示されている実施例において、これら隆起部は、それぞれに、複数の部材から成る立体構造を有しており、この立体構造が、平面図(
図3を参照)内において十字形に形成されている。
【0041】
隆起部16は、連続鋳造プロセスの開始時に、液状の鋳鋼溶湯との接触の状態になることの目的のために利用され、この鋳鋼溶湯が、上方から、連続鋳造設備の鋳型4内へと注入される。その際、隆起部16は、液状の鋳鋼溶湯によって周囲を流過され、その結果、鋳鋼溶湯から形成された熱間ストランドが、強固に、この頭部要素の上側面15とそこで取付けられた隆起部16において、頭部要素12と結合する。
隆起部16の大きな接触面によって、鋳鋼溶湯との接触の際に、有利には、この鋳鋼溶湯の温度の低減が達成され、このことは、この鋳鋼溶湯の凝固のために寄与する。
【0042】
以下で、第1の固定手段22が説明されており、これら第1の固定手段によって、ダミーバーヘッド1の上側の端面2における、アダプター要素18の固定が達成される。
【0043】
第1の固定手段22は、そのウェブの自由な端部においてきのこ形状の膨らみ部25を有る少なくとも1つのウェブ24と、拡開された領域27を有する少なくとも1つの切欠き部26とを備えている。
【0044】
図4の中間の図示に基づいて、アダプター要素18の下側面19において、3つのウェブ24が取付けられており、これらウェブが、それぞれに、この下側面19から下方へと突出している。これらウェブ24の形成に関して、同様に
図6の側面図も参照されてしかるべきであり:この図内において、1つのウェブが、このウェブの自由な端部において、きのこ形状の膨らみ部25を備えていることが示されている。
【0045】
図4の下方の図示に基づいて、切欠き部26が、ダミーバーヘッド1内において、このダミーバーヘッドの上側の端面2に隣接して、即ちこの切欠き部26が上側の端面2に向かって開口するように形成されている。
同様に
図7の眺望図においても図示されているように、切欠き部26は、拡開された領域27を有している。この拡開された領域27と、ダミーバーヘッド1の上側の端面2との間で、切欠き部26は、狭小なボトル首部状の部分28を備えており、この狭小なボトル首部状の部分が、ダミーバーヘッド1の上側の端面2を出発点として、切欠き部26の拡開された領域27に通じている。
【0046】
切欠き部26に関して、更に、この切欠き部が、ダミーバーヘッド1の少なくとも1つの側面(
図4の下方の図示内における、画像の前景において示されている)において開口していることは指摘されてしかるべきである。その結果として、ウェブ24を、このウェブの膨らみ部25でもって、この開口された側面から側方に、切欠き部26内へと挿入することは可能である。
図5は、アダプター要素18の下側面19において取付けられているウェブ24が、全て、ダミーバーヘッド1の割り当てられた切欠き部26内へと挿入されてしまっている場合の、アダプター要素18の組み付けられた状態を示している。これに関連して、ウェブ24の膨らみ部25と、切欠き部26の拡開された領域27とが、互いに相補的に形成されている、即ち、ウェブ24がこのウェブの膨らみ部25でもって、締付け無しに、切欠き部26内へと、および、この切欠き部の拡開された領域27内へと挿入され得るように形成されていることは強調されるべきである。
ダミーバーヘッド1の、
図1と
図9内においてそれぞれに矢印「T」によってシンボル化されている輸送方向において見て、これに伴って、ウェブ24が、上述されているように、切欠き部26内において装入されている場合、アダプター要素18とダミーバーヘッド1との間の形状的に係合する結合が、このダミーバーヘッドの上側の端面2において与えられる。
【0047】
以下で、第2の固定手段30が説明されており、これら第2の固定手段によって、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、アダプター要素18の上側面20の上での、頭部要素12の固定が達成される。
【0048】
第2の固定手段30は、複数の貫通開口部31を備えており、これら貫通開口部が、特に板形状の頭部要素12内において形成されている。これら貫通開口部31は、例えば、
図4の上方の図示内において、および、同様に
図5内において示されている。
【0049】
更に、ここで示された実施形態における第2の固定手段30は、同様に複数のピン32を備えており、これらピンが、アダプター要素18の上側面20において取付けられている(
図4および
図5を参照)。
【0050】
アダプター要素18の上側面20における、ピン32の取付けに関して、この目的のために、上側面20内において、それぞれに、(示されていない)貫通開口部が形成されていることが意図されていることは可能であり、これら貫通開口部内に、ピン32が差し込まれている。これら貫通開口部に対して一直線に並んで、
図4の中間の図示および同様に
図5内においても認識され得るように、アダプター要素18内において、それぞれに、「窓部」もしくは貫通切り通し部21が形成されている。
いずれにせよ、ピン32は、アダプター要素18の上側面20における前記された貫通開口部内へと、これらピンが、これらピンの下側の自由な端部でもって割り当てられた窓部21内へと突出し、且つ、そこで、ナット33(
図1を参照)を用いて適当に固定され得るように取付けられている。
【0051】
図8との関連のもとで、ピン32の更なる詳細が示され、且つ、説明されている。
【0052】
ピン32の外側周囲面において、アダプター要素18の上側面20の上方の領域内において、少なくとも1つの突起部N、またはその種の他の物が固定されているか、または、附設して形成されている。
この突起部Nは、そのピンが、アダプター要素18の上側面20内における、割り当てられた貫通開口部内において挿入される場合、該ピン32が、この突起部Nによって、このアダプター要素18の上側面20の上で載置し、且つ、これに伴って、規定された最終位置に到達し、この最終位置において、その場合に、上述されているように、ナット33を用いてのピン32の固定が、このピンの下側の自由な端部において可能であることのために利用される。
アダプター要素18の上側面20における、ピン32のそのような固定との関連において、上述されている窓部21は有益であり、これら窓部が、アダプター要素18内において、このアダプター要素の上側面20に隣接して形成されている。
【0053】
アダプター要素18の実施形態に関して、この実施形態が
図4および5内において示されているように、その際、窓部21の形状賦与が、ほんの少しだけ、
図1に従う実施形態から逸脱するということは指摘されてしかるべきである。それにも関わらず、このことは、その機能態様によってピン32の組み付け可能性がアダプター要素18の上側面20において可能であるこの窓部21の該機能態様において、何ら変化しない。
【0054】
ピン32は、このピンの上側の自由な端部に隣接して、長手孔34を有しており、この長手孔内へと、くさび36が差し込まれ得る。このことは、以下で説明されるように、アダプター要素18における頭部要素12の固定のために利用される。
【0055】
ピン32が、アダプター要素18の上側面20において、上述されているように取付けられた後に、頭部要素12は、上方から、このアダプター要素18の上側面20の上に載置され得、その際、これらピン32が、この頭部要素12内において形成された貫通開口部31を通り抜けて差し込まれる。アダプター要素18の上側面20の上に載置された、その板形状の頭部要素の位置において、該板形状の頭部要素12は、それぞれのピン32内において形成されている長手孔34の下方に位置する。
上記のことに引き続いて、くさび36がそれぞれのピン32の長手孔34を通って押し込まれ、従って、これに伴って、これらくさび36は、頭部要素12の上側面15の上で載置する。このようにして、アダプター要素18の上側面20における、もしくは、上側面20でもっての、頭部要素12の形状的に係合する締め付けは達成され得、その際、この目的のために、場合によって、ハンマー、またはその種の他の物が必要である。
【0056】
頭部要素が、上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上で取付けられ、且つ、この上側面の上で、くさび36の使用のもとで締め付けられている場合の、頭部要素12の組み付け位置は、
図1および
図3の眺望図内において示されている。
【0057】
冒頭で、既に他の場所において説明されているように、頭部要素12が規格化された構造部材として形成されている場合、この頭部要素12のために合目的である。アダプター要素18を用いて、その場合に、そのように規格化された頭部要素12を、場合によっては異なるダミーバーヘッド1と結合することは可能である。
【0058】
本発明は、ここで、以下のように機能する:
【0059】
連続鋳造プロセスの開始時に、先ず第一に、アダプター要素18に、このアダプター要素の上側面20において、ピン32が装備される。
【0060】
次いで、ウェブ24が、このウェブに附設して形成された膨らみ部25でもって、側方から、割り当てられた、ダミーバーヘッド1の切欠き部26内へと装入されることによって、アダプター要素18は、形状的に係合するように、ダミーバーヘッド1の上側の端面2に結合される(
図5を参照)。
【0061】
上記のことに引き続いて、頭部要素12は、(この頭部要素に既に取付けられた密閉要素14と共に)上述されているように、アダプター要素18の上側面20の上に載置され、その際、この頭部要素12の貫通開口部31が、ピン32によって貫通される。
アダプター要素18の上側面20の上での、もしくは、アダプター要素18の上側面20における頭部要素12の締め付けは、その場合に、くさび36の使用のもとで行われ、これらくさびが、それぞれのピン32の長手孔34内へと打ち込まれる。
【0062】
ここで、頭部要素12が、アダプター要素18の使用のもとで、ダミーバーヘッド1と結合されるや否や、
図9内において図示されているように、これに伴って形成された密閉システム10は、連続鋳造設備の鋳型4内へと挿入される。
図9の図示内において、簡略化のために、画像の前景に位置する板は、ただ幻影線だけによって示唆されており、従って、その背後に位置する密閉システム10が認識可能である。
【0063】
ダミーバーヘッド1は、次いで、初鋳造の準備作業のために、密閉要素14を用いて、下側の開口部5が適当に閉鎖もしくは密閉されるように、鋳型4内において位置決めされる。その結果として、本発明により、液状の金属溶湯、例えば液状の鋼が、実際の初鋳造の際に、下方へと、鋳型4から流出可能ではないことは達成される。
【0064】
上述されているように、頭部要素12の上側面15の上で装備されており且つ比較的に大きな接触面を有する、隆起部16との、液状の金属溶湯もしくは鋼溶湯の接触によって、本発明に従い、金属溶湯もしくは鋼溶湯が温度の低下を被り、このことは、溶湯の所望された凝固のために寄与する。これに伴って、本発明に従い、初鋳造、もしくは、連続鋳造プロセスの開始時に、冷却スクラップの使用は、省略され得る。
【0065】
輸送方向Tにおける、鋳型4からの、ダミーバーヘッド1の引き抜きは、例えば、鎖、またはその種の他の物の形態の(示されていない)手段によって達成され、これら手段が、ダミーバーヘッド1の下側の端部において形成されたアンダーカット部もしくは溝部3と係合状態にされる。
【0066】
その段階において、凝固した金属溶湯から既に金属ストランドもしくは熱間ストリップが形成された連続鋳造プロセスの進行させられた該段階において、ダミーバーヘッド1は、このダミーバーヘッドに、力が、輸送方向Tに対して垂直方向もしくは横向きに作用されることによって、アダプター要素18から解離され得る。
その結果として、その場合に、ウェブ24は、切欠き部26から追い出され、このことによって、ダミーバーヘッド1とアダプター要素18とが互いに分離され、且つ、これに伴って、少なくとも、このダミーバーヘッド1が、再度、使用され得る。
【0067】
改めての連続鋳造プロセスのために、同様にアダプター要素18も繰り返し使用され得る。この目的のために、頭部要素12と結合した、凝固させられた熱間ストランドの一部分が分離され得、その際、引き続いて、ナット33が、ピン32の下側の端部から解離され、従って、これに伴って、アダプター要素18が、ピン32から取り去られ得る。
アダプター要素18の改めての使用において、その場合に、単に、このアダプター要素の上側面20に、新しいピン32が取付けられるべきであるだけである。それに対して、「古い」ピン32は、熱間ストランドの凝固された領域内において残留し、且つ、頭部要素12と共に「スクラップ」を形成する。
【0068】
最後に述べれば、
図4、
図6および
図7内において示されている、第1の固定手段22の実施形態、即ち、きのこ形状の膨らみ部25を有するウェブ24の形態および拡開された領域27を有する切欠き部26の形態での実施形態が、この第1の固定手段22の可能な1つの実施例であるだけであることは指摘されてしかるべきである。
これとは相違して、しかしながら同じ機能態様を有して、これら形状的に係合する第1の固定手段22が、(示されていない)係止部、またはその種の他の物を(有利にはウェブ24の自由な端部において)備えていることも可能であり、この係止部が、例えば切欠き部またはアンダーカット部の形態での、ダミーバーヘッド1における一部もしくは一部分と係合状態にされ得、このことによって、アダプター要素とダミーバーヘッドとの間の形状的に係合する結合が実現され、この結合が、必要のある場合に、同様に再び解離され得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 連続鋳造設備のダミーバーヘッド(1)との使用のための密閉システム(10)であって、
前記密閉システムが、特に板形状の頭部要素(12)を備えており、板形状の前記頭部要素の縁部領域(13)に、周囲に延在する密閉要素(14)が取付けられている、
上記密閉システムにおいて、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素(18)を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面(19)でもって、前記ダミーバーヘッド(1)の上側の端面(2)に固定可能であり、
前記頭部要素(12)が、前記アダプター要素(18)の上側面(20)に固定可能であり、このことによって、前記ダミーバーヘッド(1)と結合可能である、
ことを特徴とする密閉システム(10)。
2. 前記アダプター要素(18)の前記下側面(19)は、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に適合されており、且つ、
第1の固定手段(22)によって、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に固定可能であることを特徴とする上記1に記載の密閉システム(10)。
3. 前記第1の固定手段(22)は、形状的に係合するように形成されていることを特徴とする上記項2に記載の密閉システム(10)。
4. 前記第1の固定手段(22)が、ウェブの自由な端部において膨らみ部(25)または係止部を有する少なくとも1つのウェブ(24)と、少なくとも1つの切欠き部(26)とを有しており、前記ウェブ(24)の前記膨らみ部(25)または係止部と、前記切欠き部とが、互いに係合状態にされ得ること、
有利には、前記ウェブ(24)が、特にきのこ形状の膨らみ部(25)を有しており、且つ、前記切欠き部(26)が、拡開された領域(27)を備えており、且つ、その場合に、特にきのこ形状の前記膨らみ部(25)と、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)とが、互いに相補的に形成されていること、
更に有利には、前記ウェブ(24)が、前記アダプター要素(18)の下側面(19)において取付けられており、且つ、
前記切欠き部(26)が、前記ダミーバーヘッド(1)内において、このダミーバーヘッドの上側の端面(2)に隣接して形成されており、且つ、この端面(2)に向かって開口していること、
を特徴とする上記3に記載の密閉システム(10)。
5. 前記切欠き部(26)は、狭小なボトル首部状の部分(28)を有しており、
この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)を出発点として、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)に通じていることを特徴とする上記4に記載の密閉システム(10)。
6. 前記切欠き部(26)は、前記ダミーバーヘッド(1)の少なくとも1つの側面において開口しており、
従って、前記ウェブ(24)が、このウェブの膨らみ部(25)でもって、前記側面から、前記切欠き部(26)内へと挿入可能であることを特徴とする上記4または5に記載の密閉システム(10)。
7. 前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交して延びる平面内において、長手方向側面(L)と短側面(K)を有する、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、
前記長手方向側面(L)の長手方向延在が、前記短側面(K)の長手方向延在よりも何倍もの値だけ大きいこと、
有利には、前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面に適合されていること、
を特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
8. 前記アダプター要素(18)もしくは前記頭部要素(12)の前記矩形状の横断面の短側面(K)は、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することを特徴とする上記7に記載の密閉システム(10)。
9. 前記頭部要素(12)は、規格化された構造部材として形成されていることを特徴とする上記1から8のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
10. 前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、特に形状的に係合する第2の固定手段(30)によって、互いに結合可能であることを特徴とする上記1から9のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
11. 前記第2の固定手段(30)は、特に板形状の前記頭部要素(12)内において形成されている複数の貫通開口部(31)を備えており、
この第2の固定手段(30)が、前記アダプター要素(18)の前記上側面(20)に取付けられており且つ前記頭部要素(12)内において形成された前記貫通開口部(31)を通って差し込み可能である、複数のピン、ねじ、またはその種の他の物(32)をも備えている、
ことを特徴とする上記10に記載の密閉システム(10)。
12. ピン(32)の自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔(34)が形成されており、この長手孔を通って、くさび(36)が押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部(31)によってピン(32)に差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素(12)の上側面(15)の上で載置することを特徴とする上記11に記載の密閉システム(10)。
13. 前記頭部要素(12)の上側面(15)において、少なくとも1つの隆起部(16)、有利には複数のそのような隆起部(16)が形成されていることを特徴とする上記1から12のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
14. 前記密閉要素(14)は、合成物質から製造されていること、
有利には、前記密閉要素(14)の外側寸法が、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内における、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面よりも、ほんの少しだけ大きいこと、
を特徴とする上記1から13のいずれか一つに記載の密閉システム(10)。
15. 上記1から14のいずれか一つに記載の密閉システム(10)の使用のもとでの、連続鋳造による金属製品の製造のための方法において、
この方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型(4)内への注入の際に、前記頭部要素(12)の上側面(15)、および、この上側面に設けられた隆起部(16)との接触によって、十分な冷却を被り、
従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施されることを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0069】
1 ダミーバーヘッド
2 (ダミーバーヘッド1の)上側の端面
3 アンダーカット部
4 鋳型
5 (鋳型4の)下側の開口部
10 密閉システム
12 頭部要素
13 (頭部要素12の)縁部領域
14 密閉要素
15 (頭部要素12の)上側面
16 (頭部要素12の上側面15における)隆起部
18 アダプター要素
19 (アダプター要素18の)下側面
20 (アダプター要素18の)上側面
21 (アダプター要素18内における)窓部もしくは貫通切り通し部
22 第1の固定手段
24 ウェブ
25 膨らみ部
26 切欠き部
27 (切欠き部26の)拡開された領域
28 (切欠き部26の)狭小なボトル首部状の部分
30 第2の固定手段
31 貫通開口部
32 ピン
33 ナット
34 長手孔
36 くさび
L 長手方向側面
K 短側面
T (ダミーバーヘッド1の)輸送方向
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造設備のダミーバーヘッド(1)との使用のための密閉システム(10)であって、
前記密閉システムが、板形状の頭部要素(12)を備えており、板形状の前記頭部要素の縁部領域(13)に、周囲に延在する密閉要素(14)が取付けられており、
前記密閉システムが、金属から成るアダプター要素(18)を備えており、前記アダプター要素が、このアダプター要素の下側面(19)でもって、前記ダミーバーヘッド(1)の上側の端面(2)に固定可能であり、
前記頭部要素(12)が、前記アダプター要素(18)の上側面(20)に固定可能であり、このことによって、前記ダミーバーヘッド(1)と結合可能であり、および、
前記密閉システムが、第2の固定手段(30)を備えており、この第2の固定手段によって、前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが結合可能である、
上記密閉システムにおいて、
前記第2の固定手段(30)が、板形状の前記頭部要素(12)内において形成されている複数の貫通開口部(31)を備えており、
この第2の固定手段(30)が、前記アダプター要素(18)の前記上側面(20)に取付けられており且つ前記頭部要素(12)内において形成された前記貫通開口部(31)を通って差し込み可能である、複数のピン(32)をも備えていること、
ピン(32)の自由な端部において、または、このピンの自由な端部に隣接して、それぞれに1つの長手孔(34)が形成されており、この長手孔を通って、くさび(36)が押し込み可能であり、
前記頭部要素がこの頭部要素の貫通開口部(31)によってピン(32)に差し込まれている場合、
前記くさびが、前記頭部要素(12)の上側面(15)の上で載置すること、
ことを特徴とする密閉システム(10)。
【請求項2】
前記アダプター要素(18)の前記下側面(19)は、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に適合されており、且つ、
第1の固定手段(22)によって、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の密閉システム(10)。
【請求項3】
前記第1の固定手段(22)は、形状的に係合するように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密閉システム(10)。
【請求項4】
前記第1の固定手段(22)が、ウェブの自由な端部において膨らみ部(25)または係止部を有する少なくとも1つのウェブ(24)と、少なくとも1つの切欠き部(26)とを有しており、前記ウェブ(24)の前記膨らみ部(25)または係止部と、前記切欠き部とが、互いに係合状態にされ得ること、
を特徴とする請求項3に記載の密閉システム(10)。
【請求項5】
前記ウェブ(24)は、きのこ形状の膨らみ部(25)を有しており、且つ、前記切欠き部(26)が、拡開された領域(27)を備えており、且つ、その場合に、特にきのこ形状の前記膨らみ部(25)と、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)とが、互いに相補的に形成されていること、
を特徴とする請求項4に記載の密閉システム(10)。
【請求項6】
前記ウェブ(24)は、前記アダプター要素(18)の下側面(19)において取付けられており、且つ、
前記切欠き部(26)が、前記ダミーバーヘッド(1)内において、このダミーバーヘッドの上側の端面(2)に隣接して形成されており、且つ、この端面(2)に向かって開口していること、
を特徴とする請求項
4に記載の密閉システム(10)。
【請求項7】
前記切欠き部(26)は、狭小なボトル首部状の部分(28)を有しており、
この狭小なボトル首部状の部分が、前記ダミーバーヘッド(1)の前記上側の端面(2)を出発点として、前記切欠き部(26)の前記拡開された領域(27)に通じていることを特徴とする請求項
5に記載の密閉システム(10)。
【請求項8】
前記切欠き部(26)は、前記ダミーバーヘッド(1)の少なくとも1つの側面において開口しており、
従って、前記ウェブ(24)が、このウェブの膨らみ部(25)でもって、前記側面から、前記切欠き部(26)内へと挿入可能であることを特徴とする請求項
4に記載の密閉システム(10)。
【請求項9】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とは、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交して延びる平面内において、長手方向側面(L)と短側面(K)を有する、それぞれに1つの矩形状の横断面を有しており、
前記長手方向側面(L)の長手方向延在が、前記短側面(K)の長手方向延在よりも何倍もの値だけ大きいこと、
を特徴とする請求項
1に記載の密閉システム(10)。
【請求項10】
前記頭部要素(12)と前記アダプター要素(18)とが、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内におけるこれらの横断面でもって、それぞれに、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面に適合されていること、
を特徴とする請求項9に記載の密閉システム(10)。
【請求項11】
前記アダプター要素(18)もしくは前記頭部要素(12)の前記矩形状の横断面の短側面(K)は、少なくとも100mm、有利には120mmの長さ、更に有利には150mmよりも大きい長さを有することを特徴とする請求項
9に記載の密閉システム(10)。
【請求項12】
前記頭部要素(12)の上側面(15)において、複数の隆起部(16)が形成されていることを特徴とする請求項
1に記載の密閉システム(10)。
【請求項13】
前記密閉要素(14)は、合成物質から製造されていること、
を特徴とする請求項
1に記載の密閉システム(10)。
【請求項14】
前記密閉要素(14)の外側寸法が、前記ダミーバーヘッド(1)の輸送方向に対して直交する平面内における、連続鋳造設備の鋳型(4)の横断面よりも、ほんの少しだけ大きいこと、
を特徴とする請求項13に記載の密閉システム(10)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一つに記載の密閉システム(10)の使用のもとでの、連続鋳造による金属製品の製造のための方法において、
この方法の開始時に、金属溶湯が、連続鋳造設備の鋳型(4)内への注入の際に、前記頭部要素(12)の上側面(15)、および、この上側面に設けられた隆起部(16)との接触によって、十分な冷却を被り、
従って、前記方法の開始が、冷却スクラップ無しで実施されることを特徴とする方法。
【国際調査報告】