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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シリコーンポリエーテル
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/46 20060101AFI20241128BHJP
   C08L 83/10 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20241128BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08G77/46
C08L83/10
C08L83/05
C08G81/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533290
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022077933
(87)【国際公開番号】W WO2023122364
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,553
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ウガジオ、ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】アンセン、ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】クテルベコフ、ミラスベク
【テーマコード(参考)】
4J002
4J031
4J246
【Fターム(参考)】
4J002CP041
4J002CP171
4J002CP181
4J002FD02
4J002FD31
4J002FD32
4J002GC00
4J002GH00
4J002HA03
4J002HA06
4J031AA53
4J031AA59
4J031AB04
4J031AC13
4J031AD01
4J031AE15
4J031AF30
4J246AA03
4J246AB02
4J246BA02X
4J246BA29X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246CA01U
4J246CA01X
4J246CA24X
4J246CA56M
4J246CA56X
4J246EA15
4J246FA222
4J246FA422
4J246FA431
4J246FA522
4J246FC162
4J246GB09
4J246GB32
4J246GC07
4J246HA42
4J246HA53
(57)【要約】
式(I)で表されるシリコーンポリエーテルのクラス、及び、a)式(VI)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサン(「-SiHポリマー」)と、b)式(VII)で表されるポリオキシアルキレンとを、c)ヒドロシリル化触媒の存在下で、組み合わせる工程を含む、式(I)で表されるシリコーンポリエーテルを調製するための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で表されるシリコーンポリエーテルであって、
【化1】

式中、
Rは、同じか又は異なり、H、及び1~18個の炭素原子を含む炭化水素基から選択されるが、但し、Rは、80モル%未満のHを含み、
mは、0~100の整数であり、
nは、10~500の整数であり、
Zは、同じか又は異なり、Y、OH、及び次式で表されるオルガノシロキサン基から選択され、
(II):
【化2】

式中、Rは、先に定義された通りであり、R’は、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素基であり、tは、10~800であり、
Yは、次式で表され、
【化3】

式中、
は、同じか又は異なり、8~20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基から選択され、
は、次式:-(AO)-X(式中、
Aは、同じか又は異なり、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素基から選択されるが、但し、(AO)は、少なくとも3個のエチレンオキシド部分を含み、
qは、3~40の整数であり、
Xは、同じか又は異なり、H、及び1~4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基から選択される)で表され、
は、同じか又は異なり、1~4個の炭素原子を含む脂肪族二価炭化水素基であるが、
但し、Zは、
i)10~80モル%のYと、
ii)0~60モル%のOHと、
iv)0~60モル%の式IIの前記オルガノシロキサン基と、を含む、シリコーンポリエーテル。
【請求項2】
が、次式:
-(CHCHO-)
で表され、式中、
qは、3~40の整数であり、
Xは、同じか又は異なり、H、及び1個~4個の炭素原子を有するアルキル基から選択される、請求項1に記載のシリコーンポリエーテル。
【請求項3】
が、メチレン基である、請求項1又は2に記載のシリコーンポリエーテル。
【請求項4】
が、同じか又は異なり、8~20個の炭素原子を含むアルキル基から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーンポリエーテル。
【請求項5】
Rが、少なくとも90モル%のメチル基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンポリエーテル。
【請求項6】
Zが、40モル%超のYを含み、OHとオルガノシロキサンとの合計が、60モル%未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーンポリエーテル。
【請求項7】
次式で表されるシリコーンポリエーテルであって、
【化4】

式中、
Rは、同じか又は異なり、H、及び1~18個の炭素原子を含む炭化水素基から選択されるが、但し、Rは、80モル%未満のHを含み、
mは、0~100の整数であり、
nは、10~500の整数であり、
は、同じか又は異なり、8~20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基から選択され、
は、次式:-(AO)-X(式中、
Aは、同じか又は異なり、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素基から選択されるが、但し、(AO)は、少なくとも3個のエチレンオキシド部分を含み、
qは、3~40の整数であり、
Xは、同じか又は異なり、H、及び1~4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基から選択される)で表され、
は、同じか又は異なり、1~4個の炭素原子を含む脂肪族二価炭化水素基である、シリコーンポリエーテル。
【請求項8】
シリコーンポリエーテルを調製するための方法であって、次の成分:
a)次式で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサンであって、
【化5】

式中、
Rは、同じか又は異なり、H、及び1~18個の炭素原子を含む炭化水素基から選択されるが、但し、Rは、80モル%未満のHを含み、mは、0~100の整数であり、nは、10~500の整数である、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと、
b)次式で表されるポリオキシアルキレンであって、
【化6】

式中、
は、同じか又は異なり、8~20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基から選択され、
は、次式:-(AO)-X
(式中、
Aは、同じか又は異なり、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素基から選択されるが、但し、(AO)は、少なくとも3個のエチレンオキシド部分を含み、
qは、3~40の整数であり、
Xは、同じか又は異なり、H、及び1~4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基から選択される)で表され、
は、同じか又は異なり、1~4個の炭素原子を含む脂肪族二価炭化水素基であり、
は、同じか又は異なり、アルケニル及びアルキニルから選択される、ポリオキシアルキレンと、
c)ヒドロシリル化触媒と、を組み合わせる工程を含む、方法。
【請求項9】
i)成分a)、成分b)、及び成分c)を水中で組み合わせてエマルションを形成する工程と、
ii)成分a)と成分b)との間でヒドロシリル化反応を行って、その場でシリコーンポリエーテル反応生成物を形成する工程と、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
i)成分a)及び成分b)を水中で混合により組み合わせてエマルションを形成する工程と、
ii)工程i)の前記エマルション前記エマルションに成分c)を添加して、その場でシリコーンポリエーテル反応生成物を形成する工程と、を更に含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーンポリエーテル反応生成物を含む前記エマルションにアルコールを添加して、少なくとも10重量%のアルコールを含むエマルションを形成する工程を更に含む、請求項8、9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコーンポリエーテル反応生成物を含む前記エマルションが、界面活性剤を実質的に含まない、請求項8、9、10又は11に記載の方法。
【請求項13】
成分a)及び成分b)を組み合わせる前記工程が、d)アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを組み合わせることを更に含む、請求項8、9、10、11又は12に記載の方法。
【請求項14】
成分a)及び成分b)を組み合わせる前記工程が、e)i)ポリジメチルシロキサン及びii)炭化水素系油のうちの少なくとも1つから選択される油を組み合わせることを更に含む、請求項8、9、10、11、12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記炭化水素系油が、鉱油及び植物油のうちの少なくとも1つから選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照:本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年12月20日出願の米国仮特許出願第63/291,553号の利益を主張する。米国仮特許出願第63/291,553号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、新しいクラスのシリコーンポリエーテルに関し、その製造方法及び使用方法を含む。
【背景技術】
【0003】
シリコーンポリエーテル(「silicone polyether、SPE」)は、周知のクラスのポリオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレンコポリマーを表す。ブロック構造、分岐構造、傾斜(raked)構造、及びジェミニ型構造を含む多種多様なポリマー構造が知られている。SPEは、界面活性剤、発泡剤、可溶化剤、及び軟化剤を含む多種多様な用途で使用される。それらはまた、コーティング配合物にレベリング性、すべり特性、及び傷抵抗特性を加えること、並びにパーソナルケア製品における添加剤として使用することが知られている。SPEは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの-SiH基とポリオキシアルキレンの不飽和脂肪族炭化水素基(例えば、ビニル、アリルなど)との間の周知の白金触媒ヒドロシリル化反応によって古典的に作製される。このような反応は、最も一般的には、ニートで、又は有機溶媒(例えば、アルコール、炭化水素、エーテルなど)中で行われる。例えば、米国特許第6346553号、米国特許第6987157号、米国特許第8008407号、米国特許第8541514号、米国特許第10385212号、及び欧州特許第349877号を参照されたい。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、本発明は、式(I)で表される新規クラスのSPEを含む。別の態様では、本発明は、a)式(VI)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサン(「-SiHポリマー」)と、b)式(VII)で表されるポリオキシアルキレンとを、c)ヒドロシリル化触媒の存在下で、組み合わせることを含む、そのようなSPEを調製する方法を含む。本発明の態様では、主題の方法は、前述の成分a)、b)及びc)を水中で組み合わせることを含む。本発明の更に別の態様では、主題の方法は、前述の成分a)、b)及びc)を水中で組み合わせて水中油型エマルションを形成し、その場で(in-situ)ヒドロシリル化を行ってエマルション中の反応生成物として主題のSPEを形成することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
主題の発明は、式(I)で表されるシリコーンポリエーテル(SPE)のクラスを含み、
【化1】

式中、
Rは、同じであるか又は異なり、H(水素)、及び1~18個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を含む炭化水素基から選択されるが、但し、Rは、80、50、又は25モル%未満のHを含む。選択された実施形態では、Rは、0~25又は0~5モル%のHを含む。代表的な炭化水素基としては、a)メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、及びヘプチルなどのアルキル基;b)フェニル、トリル、キシリル及びナフチルなどのアリール基、並びにc)ベンジル及びフェネチルなどのアラルキル基が挙げられるが、メチル及びフェニル基が好ましく、メチルが最も好ましい。1つのクラスの実施形態では、Rは、少なくとも20、50、75、90、又は更に95モル%のメチル基を含む(29Si NMRによって決定した場合)。
【0006】
mは、0~100、0~70、又は0~40の整数である。
【0007】
nは、10~500、20~200、40~100、又は50~70の整数である。
【0008】
Zは、同じか又は異なり、Y、OH(ヒドロキシル)、及び次式:
(II):
【化2】

(式中、Rは、先に定義された通りであり、R’は、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素(例えばアルキレン)基であり、tは、10~800である)で表されるオルガノシロキサン基から選択される。
【0009】
Yは、次式:
(III):
【化3】

(式中、
記号
【化4】

は、式I中の繰り返し単位nのケイ素原子との共有結合を表す)で表される。
【0010】
は、同じか又は異なり、8~20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基(例えばアルキル基)から選択される。
【0011】
は、次式:(IV):-(AO)-X
(式中、
Aは、同じか又は異なり、2~4個の炭素原子を有する脂肪族二価炭化水素(例えば、アルキレン)基から選択されるが、但し、(AO)は、少なくとも3個(例えば、8~40又は10~40)のエチレンオキシド部分を含む)で表される。例えば、1つのクラスの実施形態では、Rは、次式:
(V):-(CHCHO-)
(式中、
qは、3~40の整数である)で表される。
【0012】
X(式IV又は式Vの両方に示される)は、同じか又は異なり、H(水素)、及び1~4個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素(例えばアルキル)基から選択される。
【0013】
は、同じか又は異なり、1~4個の炭素原子を含む脂肪族二価炭化水素(例えばアルキレン)基である。1つのクラスの実施形態では、Rはメチレン基である。
【0014】
Zは、追加的に、以下を含むという条件に従う:
i)10~80モル%のY、
ii)0~60モル%のOH、及び
iii)0~60モル%の式IIのオルガノシロキサン基。
【0015】
別の実施形態では、Zは40モル%超のYを含み、OHとオルガノシロキサンとの合計は60モル%未満である。
【0016】
別のクラスの実施形態では、主題のSPEは、次式で表され、
(Ia):
【化5】

式中、R、m、n、R、R及びRは、上で定義した通りであるが、Rは、好ましくはメチルであり、mは、好ましくは0~40であり、nは、好ましくは20~200であり、Rは、同じか又は異なり、好ましくは8~20個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、Rは、同じか又は異なり、好ましくは1~4個の炭素原子を含むアルキレン基から選択される。
【0017】
主題のSPEは、成分a)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(-SiHポリマー)と、成分b)ポリオキシアルキレンとを、成分c)ヒドロシリル化触媒の存在下で、組み合わせることによって調製されてもよい。各成分(a、b及びc)を以下により詳細に記載する。成分a)、b)及びc)の主題の組み合わせは独特であるが、これらの成分を組み合わせるための技術には、従来の方法を用いることができる。例えば、成分a)、b)及びc)は、ニートで又は有機溶媒中で組み合わされ得る。しかしながら、好ましい実施形態では、前述の成分を組み合わせ、反応させて、水中でその場でシリコーンポリエーテル反応生成物を形成する。更により好ましい実施形態では、前述の成分を組み合わせて、連続水相中の不連続油相、すなわち水中油型エマルションを形成し、成分a)と成分b)との間でヒドロシリル化反応を行って、不連続油相の一部としてその場でシリコーンポリエーテル反応生成物を形成する。このようなプロセスは、機械的懸濁重合(mechanical suspension polymerization、MSP)と呼ばれることが多い。成分a)、b)及びc)は、以下に記載するような追加の任意成分とともに任意の順序で組み合わせることができるが、成分a)及びb)の少なくとも一部(例えば、重量で大部分)は、成分c)の大部分を添加する前に、混合により水中で組み合わせて不連続(油)相を形成することが好ましい。初期の水又は前述の成分の添加から形成されたエマルションは、ヒドロシリル化反応を促進するために任意選択的に加熱されてもよい。エマルションを調製するために使用する水は、任意の供給源からのものであってもよく、任意選択的に、例えば、濾過、蒸留、逆浸透技術などによって精製されてもよい。
【0018】
水中油型エマルションを形成する従来の方法とは異なり、主題のエマルションの調製は、成分b)以外の界面活性剤(乳化剤)の使用を必要としない。成分b)が成分a)と反応するとき、シリコーンポリエーテル反応生成物を含む得られたエマルションは、界面活性剤を実質的に含まなくてもよい。すなわち、成分a)のSiH基に対する成分b)のアルケニル基の適切なモル比を選択することによって、初期のエマルションを調製するために使用される初期の界面活性剤(成分b)の全て又は実質的に全てが成分a)と反応して主題のシリコーンポリエーテル反応生成物を形成し、もはや最終エマルション中にそのまま存在しない。この属性は、特に移動可能な界面活性剤の存在が望ましくない様々な疎水化用途におけるそのようなエマルションの使用を含む多くの用途において有益である。したがって、従来の非反応性界面活性剤を使用して主題のエマルションを調製してもよいが、1つのクラスの実施形態では、主題のエマルションは、非反応性界面活性剤(すなわち、成分aと反応して共有結合を形成しない界面活性剤)を用いずに調製される。このように、主題のシリコーンポリエーテル反応生成物の得られたエマルションは、界面活性剤を実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、懸濁液の総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、及び更により好ましくは0.01重量%未満を意味する。明確にするために、この文脈では、シリコーンポリエーテル反応生成物自体は、「界面活性剤」とはみなされない。
【0019】
エマルションの形成を促進するために混合を用いてもよい。混合は、任意の既知の技術を用いて行うことができる。代表的な混合装置としては、ホモジナイザー、ソノレーター、ローター-ステータータービン、コロイドミル、マイクロフルイダイザー、ソニケーター、ブレード、ヘリックス、及びそれらの組み合わせが挙げられる。代表的な方法は、米国特許第6013682号、米国特許第8877293号及び米国特許出願公開第2015/0010711号に記載されている。ホモジナイザー又は音波プローブを使用して、所望の粒径を達成してもよい。不連続油相の粒子は、Malvern3000を使用し、ISO 13320(2009)に従ってレーザー回折を介して測定されるとき、好ましくは、100~7000nm、より好ましくは200~3000nmの粒径分布の体積加重中央値「Dv(0.5)」を有する。本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、油相液滴を指す。
【0020】
成分a):ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(「SiHポリマー」)
本発明に適用可能なポリオルガノハイドロジェンシロキサンのクラスは、特に限定されず、広範な市販の材料を含む。適用可能なポリマーは、ASTM D2196-05に従って25℃で測定して、5~1000cSt、より好ましくは10~500cStの粘度を有し得る。異なるポリオルガノハイドロジェンシロキサン、例えば、異なる化学構造、分子量及び/又は粘度を有するものを組み合わせて使用してもよい。SiHポリマーの好ましいクラスは、次式:
(VI):
【化6】

(式中、R、m、及びnは、先に定義された通りである)で表すことができる。
【0021】
示されるように、主題のSiHポリマーは、ポリシロキサン骨格上の末端(終端)及び/又は中間(ペンダント)位置に位置し得る-SiH基を含む。しかしながら、好ましい実施形態では、-SiH基は主にペンダント位置に位置し、すなわち、29Si NMRによって測定したときに全ての-SiH基の95重量%超、より好ましくは99重量%超が、ポリシロキサン鎖に沿ったペンダント位置に位置する。適用可能な市販のSiHポリマーとしては、SYL-OFF(商標)7672架橋剤、SYL-OFF(商標)7678架橋剤、SYL-OFF(商標)SL 7028架橋剤、SYL-OFF(商標)7682-000架橋剤、及びXIAMETER(商標)MHX-1107流体30 cSt(全てDow Chemical Co.から入手可能)が挙げられる。
【0022】
成分(b):ポリオキシアルキレン
本発明に適用可能なポリオキシアルキレンのクラスは、次式:
(VII):
【化7】

(式中、R、R及びRは、先に定義された通りであり、Rは、同じか又は異なり、アルケニル及びアルキニルから選択される)で表すことができる。
【0023】
主題のポリオキシアルキレンは、デイビス法(J.T.Davies,Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interfaces.Proc.2nd Int.Congress Surface Activity,vol.1,A quantitative kinetic theory of emulsion type,I.Physical chemistry of the emulsifying agent.Butterworths,London (1957))に従って、次式:HLB=7+Σ(親水性基)+Σ(疎水性基)を使用して計算したときに、好ましくは、3~35、又はより好ましくは6~15の親水性-親油性バランス(hydrophile-lipophile balance、HLB)を有する。適用可能なポリオキシアルキレンの市販例としては、Adekaから入手可能なADEKA(商標)REASOAP ER10、ADEKA(商標)REASOAP ER20、及びADEKA(商標)REASOAP ER30が挙げられる。
【0024】
成分c):ヒドロシリル化触媒
本発明に適用可能なヒドロシリル化触媒は、特に限定されず、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム、ルテニウム、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロシリル化触媒は、例えば、微細白金粉末、白金黒、白金アセチルアセトネート、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体(例えば、米国特許第3419593号に記載の方法に従って調製され得るジメチルビニルシロキシ末端ブロック化ポリジメチルシロキサン中に希釈されたジビニルテトラメチルジシロキサン)、米国特許第5175325号に記載されるような塩化白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、又は前述の白金触媒を含む熱可塑性樹脂であり得る。他の実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、Karstedtの触媒若しくはSpeierの触媒、又はそれらの組み合わせなどの白金ビニルシロキサン錯体である。適用可能な触媒の追加の例は、米国特許第2823218号、米国特許第315960号、米国特許第3220972号、米国特許第3296291号、米国特許第3419359号、米国特許第3445420号、米国特許第3516946号、米国特許第3697473号、米国特許第3715334号、米国特許第3814730号、米国特許第3814731号、米国特許第3890359号、米国特許第3923705号、米国特許第3989668号、米国特許第4123604号、米国特許第4784879号、及び米国特許第5036117号に記載されている。ヒドロシリル化触媒は、単一の触媒又は2種以上の触媒の組み合わせでもよい。適用可能なヒドロシリル化触媒の市販例としては、SYL-OFF(商標)4000触媒が挙げられる。
【0025】
成分b)と成分a)のSiH基とのモル比は、好ましくは1:1未満、例えば1:1~1:2である。このモル比を使用することにより、成分b)が完全に反応し、得られるシリコーンポリエーテル反応生成物(及びそれを含有する対応するエマルション)が残留界面活性剤を実質的に含まないことが確実になる。本発明で使用される成分c)(ヒドロシリル化触媒)の濃度は、日常の実験によって決定され得る。典型的には、触媒の有効量は、成分a)及びb)の重量に基づいて、0.1~3000百万分率(ppm)の実際の金属(例えば白金)を提供する範囲である。
【0026】
任意成分d):アルケニル官能性ポリオルガノシロキサン
主題のSPEを調製するための方法は、追加の任意成分(「成分d」)としてアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンを組み合わせる工程を含んでもよい。適用可能なポリマーのクラスは、少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つのアルケニル官能基(例えば、ビニル、アリルなど)を含む限り、特に限定されない。アルケニル基は、ポリオルガノシロキサンのシロキサン主鎖に沿って末端及びペンダント位置のいずれか又は両方に存在してもよいが、好ましくは末端のみに位置する。例えば、好ましい実施形態では、主題のアルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、一般式:Vi-[Si(R’)O]-Si(R’)Vi(式中、R’は、同じか又は異なり、Rとして上で定義されたものと同じ炭化水素基から選択され、Viは、ビニル基であり、vは、ASTM D2196-05に従って25℃で測定して5~100,000の範囲の粘度を有するポリマーをもたらす整数である)を有するビニル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンである。R’は、好ましくはメチルである。存在する場合、任意成分d)は、好ましくは、そのアルケニル官能基と成分a)の-SiH基とのモル比が2:1~0.1:1であるような量で使用される。代表的なポリマーは、米国特許第10385212号に記載されている。適用可能なポリマーの市販例としては、SILASTIC(商標)SFD 128、SILASTIC(商標)SFD-120、及びDOWSIL(商標)SFD-119が挙げられ、それらのすべてがThe Dow Chemical Companyから入手可能である。
【0027】
任意成分e):油
主題のSPEを調製するための方法は、追加の任意成分(「成分e」)として1つ以上の油を組み合わせる工程を含んでもよい。適用可能な油のクラスは特に限定されず、i)鉱物、植物、又は合成起源の炭化水素系油、例えばパラフィン油、水素化イソパラフィン、水素化液体ポリデセン、ワセリン、オリーブ油、アマニ油など、及びii)非反応性ポリオルガノシロキサン、すなわち「シリコーン」が挙げられる。室温で液体である油が好ましい。代表的なシリコーンとしては、直鎖及び分岐鎖種の両方とともに不揮発性種が挙げられる。代表的なクラスとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリシロキサンガム、ポリシロキサンエラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましい群としては、ASTM D4283-98(2015)に従って25℃で測定して約5~約200000cSt(センチストークス)の粘度を有するものを含むDOWSIL(商標)200流体(トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン)が挙げられる。異なるポリオルガノシロキサンの組み合わせを一緒に使用してもよい。存在する場合、任意成分e)は、好ましくは、エマルションの不連続油相の10~80重量%又は20~70重量%を構成する。
【0028】
使用される場合、任意成分d)及び/又はe)は、好ましくは、成分a)及びb)の初期のエマルションを形成するときに成分a)及びb)と組み合わされる。アルケニル官能性ポリオルガノシロキサンは、成分a)のヒドロシリル化反応に関与することができ、例えば、シリコーンポリエーテル反応生成物上に式(II)で表されるオルガノシロキサン基の形成をもたらすが、成分e)は、好ましくは非反応性であり、ヒドロシリル化反応に直接関与しない(例えば、共有結合を切断又は形成しない)。したがって、成分e)は、シリコーンポリエーテル反応生成物を含む最終エマルションの不連続油相中に存在したままである。
【0029】
別の実施形態では、得られたシリコーンポリエーテル反応生成物のエマルションにアルコールを添加してもよい。主題のエマルションは、抗菌特性を有するエマルションを形成するのに十分なアルコールを添加した後であっても、驚くほど安定である。例えば、主題のエマルションは、エマルションの総重量の少なくとも10重量%、25重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は更に90重量%を構成するのに十分なアルコールを添加しても安定なままである。他の実施形態では、アルコールは、エマルションの総重量の5~95重量%、10~90重量%、又は25~75重量%を構成する。アルコールの選択は、典型的には、意図される用途に依存する。但し、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、及びそれらの組み合わせなどのC~C一価アルコールが一般に好ましい。実施形態のサブクラスでは、C~C一価アルコール、例えば、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノール、並びにそれらの組み合わせが好ましい。主題のエマルションの連続相の残りの割合は、水を含み得る。
【0030】
本発明の多くの実施形態が記載されており、いくつかの例では、特定の実施形態、選択、範囲、構成成分、又は他の特徴が「好ましい」として特徴付けられている。そのような「好ましい」特徴の指定は、決して本発明の本質的又は重要な態様として解釈されるべきではない。表現された範囲は、具体的に指定された終点を含む。本明細書で使用される場合、「分子量」及び「Mw」という用語は、Agilent Technologies 1260 Infinityクロマトグラフ及び溶媒としてトルエンを使用して、ゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)によって測定される重量平均分子量を指す。機器は、3つのカラム、PLゲル5μm、7.5×50mmガードカラム、及び2つのPLゲル5μm、Mixed-C 7.5×300mmカラムを備えている。較正をポリスチレン標準物を使用して行う。試料を、ポリマーをトルエン(約1mg/mL)中に溶解させることによって作製し、次いで、直ちに試料をGPC(1mL/分の流量、35℃のカラム温度、25分の実行時間)によって分析した。粒径測定は、ISO 13320(2009)に従って、Malvern Instruments製のMastersizer(商標)3000レーザー回折粒径分析器を使用して、粒径分布の体積加重中央値(Dv50)として決定した。
【実施例
【0031】
特に指示がない限り、全ての調製及び試験は、標準圧力(1気圧又は760mm Hg)において室温(room temperature、RT)で実施される。特記のない限りパーセンテージは重量%(wt%)である。以下の表1に示す材料を、試料エマルションの調製に使用した。ポリオルガノシロキサン構造は、次の従来の構造命名法を使用して表1に示される:M-単官能性(RSiO1/2)、
D-二官能性(RSiO2/2)、
T-三官能性(RSiO3/2)、
Q-四官能性(SiO4/2)。
【0032】
表1に列挙されたポリマーについて、Rはメチルであり、慣例に従って示されていない。しかしながら、水素置換基は上付き文字で示されている。この命名法の使用に関する更なる情報については、Chemistry and Technology of Silicones,Noll,Academic Press,1968を参照されたい。
【表1】

【化8】
【0033】
特に明記しない限り、試料エマルションは、上記表に指定された成分を用いて調製された。ポリオキシアルキレンの存在下で油に水を逐次添加することを含む古典的な転相プロセスによってエマルションを調製し、ポリオキシアルキレンは最終的に転相を受けて油中水型エマルションを形成する。この方法に従って、指定された油、SiHポリマー、及びアルケニル官能性ポリオルガノシロキサン(使用する場合)を最初に混合し、続いて指定されたポリオキシアルキレン、反転水、及びヒドロシリル化触媒(使用する場合)を添加し、続いて残りの水を順次添加した。特に明記しない限り、歯科用ミキサー(Hauschild SPeedMixer)を使用して、全ての成分を3500rpmで30秒間混合した。ポリオキシアルキレンとSiHポリマーとの間の反応を室温(RT)で約1週間起こさせた後、粒径分布を測定した(Malvern Metasizer 3000)。触媒なしで調製したエマルションを比較として使用した。
【0034】
試料エマルションの安定性を、エマルションを約1週間硬化させた後に測定した。調製時及び/又はイソプロパノールの添加後(すなわち、1gのエマルションを5gのイソプロパノールと混合)の試料エマルションについて、安定性を試験した。エマルションの安定性を、以下の基準に従って視覚的に評価した:(1)完全に凝集した、(2)部分的に凝集/クリーム状になった、(3)凝集の兆候がない。
【0035】
実施例1:
以下の表2に指定した成分を用いて実施例を調製した。疎水性性能を評価するために、試料エマルションを紙、すなわち(LENETA FORM N2A-2)及び松材ブロックに塗布した。紙に適用される試料エマルションは、DOWSIL(商標)200 Fluid 100,000cStを用いて調製されたが、松材に適用されるものは、DOWSIL(商標)200流体 12,500cStを用いて調製された。紙については、試料エマルションを120μm厚のコーティングとして塗布し、これを室温で一晩乾燥させ、液滴法(Biolin Scientific Theta Optical)を用いて分析した。水接触角は、2.5μlの液滴の堆積の19秒後に捕捉された画像に基づいて推定され、3回の測定にわたって平均された。松材については、試料エマルションを最初に10重量%シリコーンすなわち、成分a及びeの合計)に希釈し、5.6mg/cmの平均密度で塗布し、次いで室温で約1週間乾燥させた。次いで、0.1mlの水滴を付着させてから10分後に、得られた各試料の湿潤性能を、3回の測定の平均を用いて以下の1~5の数値尺度を用いて評価した。
【表2】
【0036】
表2に報告された試験結果によって示されるように、本発明の試料番号4は、比較試料番号1~3及び5~6と比較して、イソプロパノール(isopropanol、IPA)中での改善された安定性とともに、紙及び松材の両方について統計的に有意な疎水性の改善を示した。興味深いことに、触媒の添加は、比較試料の性能にほとんど影響を及ぼさなかった(すなわち1対2及び5対6)。
【表3】
【0037】
実施例2:
試料エマルション番号7~9を、下の表3に指定された成分を用いて調製した。各試料を、先に記載された方法に従って安定性について試験した。各試料は、異なる種のポリオキシアルキレンを利用し、その全ては特許請求の範囲に記載された種類から選択された。以下に示すように、各エマルションは良好な安定性を有していた。
【表4】
【0038】
実施例3:(比較用)
ポリオキシアルキレン構造の技術的効果を実証するために、特許請求の範囲に含まれないポリオキシアルキレン種(アリルポリエーテル1)を使用して比較試料エマルション(番号10)を調製した。すなわち、アリルポリエーテル1は、特許請求される種類のものと同様の数の繰り返しアルコキシ(EO)単位及びアルキル基を有するが、アリルポリエーテル1は、異なる構造を有する。上に提供されたそれぞれの構造を参照されたい。調製中に、比較試料番号10は解乳化し、反応の過程にわたって相分離を受けた。理論に束縛されるものではないが、アリルポリエーテル1のアリル基の位置は、水-油界面に留まるのではなく、反応時にシリコーン不連続相に分配されると考えられる。その結果、エマルションが不安定化する。
【表5】
【0039】
実施例4:
試料番号11~15は、多種多様な油を用いて調製した場合のイソプロパノール(IPA)中での主題のエマルションの安定性を示す。これらの試料は、以下の例外を除いて先に記載された方法に従って、下の表5に列挙した成分を用いて調製した。試料13及び14は、最初に、先に記載された方法に従って歯科用ミキサーで混合し、次いでローター-ステーター分散機(ULTRA-TURRAXホモジナイザー)を用いて11000rpmで混合し、次いで最後に、歯科用ミキサーを用いて3500rpmで30秒間混合した。
【表6】
【0040】
実施例5:
本実施例は、例えば、良好なエマルション安定性を依然として維持しながら分子量及び架橋を増加させるために、主題のエマルション中に追加の反応性ポリマー(例えば、SiHポリマー2及びSILASTIC(商標)SFD 128ポリマー)を含む能力を示す。この実施例では、ヒドロシリル化は、分岐ポリマーを形成するためのエマルション液滴内(例えば、SiHポリマー2とSILASTIC(商標)SFD 128ポリマーとの間)だけでなく、ポリオキシアルキレンとSiHポリマー1との間の界面でも起こると考えられる。すなわち、他の反応性ポリマー(例えば、SiHポリマー2及びSILASTIC(商標)SFD 128ポリマー)の添加は、主題のシリコーンポリエーテル反応生成物を含むエマルションの改善されたアルコール安定性を妨げない。
【表7】
【0041】
実施例6:
表7に列挙した成分を用いて試料エマルションを調製し、次いでイソプロパノール中での安定性について試験した。以下に報告される試験結果によって示されるように、SiHポリマー中のSiH基の位置は、安定性に対して有意な影響を有し、すなわち、SiHポリマー3及び5~7は、末端位置にのみ位置するSiH基を有したが、SiHポリマー1及び4は、ポリオルガノシロキサン骨格に沿ったペンダント位置に位置するSiH基を有した。試料エマルションのH NMR分析は、NMRスペクトルがSi-CH-の形成(0.7~0.4ppm)及びSi-H強度の減少(4.7ppm)によるヒドロシリル化の証拠を示した試料エマルション番号16及び19中のSiHポリマー番号1及び4とは対照的に、試料番号18及び20~22中ではSiHポリマー番号3及び5~7のSiH基が大部分未反応のままであることを確認した。したがって、SiH結合の位置は、主題のポリオキシアルキレンとの反応に有意な影響を有し、これはひいてはエマルション安定性に影響を与える。SiHポリマー2はペンダント位置(pendent location)にSiH基を有していたが、得られるエマルションを安定化するのに有効なSiH基の数は不十分であった。
【表8】
【0042】
実施例7:
シリコーンポリエーテル反応生成物を、0.6gのSiHポリマー1及び4gのポリオキシアルキレン(ADEKA(商標)REASOAP ER-10)を0.1gのSYL-OFF4000触媒とブレンドすることによってニートで調製し、室温でおよそ1週間反応させた。1週間後、当初は液体であったブレンドは、粉末状固体を形成した。次いで、4.60gの固体を60.00gのシリコーン油(DOWSIL(商標)200流体 12500cSt)及び35.4gの反転水と組み合わせ、続いて歯科用ミキサー(Hauschild SPeedMixer)を使用して3500rpmで30秒間混合した。その後、粗エマルション(試料番号24)が形成され、大きな液滴がゼリー状粒子によって取り囲まれていた。油中水型エマルションの一部としてその場で形成される場合とは異なり、ニートで調製される場合、主題のシリコーンポリエーテル反応生成物は、同等の安定なエマルションを形成することができなかった。すなわち、予備形成されたシリコーンポリエーテル反応生成物は、有効な界面活性剤として機能しなかった。
【国際調査報告】