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特表2024-545070多層フィルム及び多層フィルムを含む物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】多層フィルム及び多層フィルムを含む物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20241128BHJP
   B32B 7/02 20190101ALI20241128BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B7/02
B32B27/00 101
B32B27/32 D
C08L23/08
C08L83/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533299
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022081568
(87)【国際公開番号】W WO2023114854
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,514
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】アラボソン、ジャスティス
(72)【発明者】
【氏名】カリハリ、ヴィベク
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ、ラーフル
(72)【発明者】
【氏名】デグルート、ジャクリン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】マッツォーラ、ニコラス カルドゾ
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、アミット ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】モリス、バリー エイ.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AK03
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK03D
4F100AK04
4F100AK04A
4F100AK04E
4F100AK05
4F100AK05E
4F100AK07
4F100AK07E
4F100AK25
4F100AK25B
4F100AK42
4F100AK42E
4F100AK46
4F100AK46C
4F100AK46E
4F100AK52
4F100AK52A
4F100AK52B
4F100AK52D
4F100AK63
4F100AK63E
4F100AK69
4F100AK69C
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100EH20
4F100GB16
4F100JA06
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA13
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JA13D
4F100JK04
4F100JL12
4F100JL12A
4J002BB041
4J002BB212
4J002CP032
4J002CP033
4J002FD163
4J002FD172
4J002FD173
4J002FD312
4J002GF00
4J002GG02
(57)【要約】
本発明の実施形態は、多層フィルム、積層体、及び物品に関する。一態様では、多層フィルムは、(a)第1の層、(b)第2の層、及び(c)第3の層の少なくとも3つの層を含む。他の特徴の中でもとりわけ、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
(a)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンを含む第1の層であって、前記第1の層は、前記第1の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含み、外面及び内面を有し、前記外面は、前記多層フィルムの最外面である、第1の層と、
(b)第1の表面及び第2の表面を有する第2の層であって、
(1) 0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、前記第2の層は、前記第2の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、
(2) 前記第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、前記ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む、第2の層と、
(c)第3の層であって、前記第3の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記第3の層の前記第1の表面は、前記第2の層の前記第2の表面と接着接触しており、前記第3の層は、エチレンビニルアルコール又はポリアミドを含む、第3の層と、の少なくとも3つの層を含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記第1の層中の前記ポリオレフィンが、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記第1の層中の前記ポリオレフィンが、1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンである、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記第2の層中の前記ポリオレフィンが、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記第2の層が、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン、又はエチレン及びメタクリル酸若しくはアクリル酸を含むコポリマーを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記第1の層が、前記第1の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを更に含み、前記ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記第1の層中の前記ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つが、前記第2の層中の前記ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つと異なる、請求項6に記載の多層フィルム。
【請求項8】
前記第2の層の前記第1の表面が、前記第1の層の前記内面と接着接触している、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記第1の層がシーラント層であり、0.87g/cm~0.92g/cmの密度を有するポリエチレンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項10】
第4の層を更に含み、前記第4の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記第4の層の前記第1の表面は、前記第3の層の前記第2の表面と接着接触しており、前記第4の層は、(1)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、前記第4の層は、前記第4の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、(2)前記第4の層の総重量に基づいて0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、前記ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項11】
第5の層を更に含み、前記第5の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、前記第5の層の前記第1の表面は、前記第4の層の前記第2の表面と接着接触しており、前記第5の層の前記第2の表面は、前記フィルムの最外面であり、前記第5の層は、ポリプロピレン、LLDPE、MDPE、HDPE、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の多層フィルム。
【請求項12】
前記多層フィルムが5~11の層を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項13】
前記第3の層の厚さが、前記フィルムの総厚の0.5%~15%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項14】
前記フィルムが、1ミル(25.4マイクロメートル)~10ミル(254マイクロメートル)の総厚を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項15】
請求項1~15のいずれか一項に記載の多層フィルムを含む、物品。
【請求項16】
基材に接着された請求項1~14に記載の多層フィルムを含む積層体であって、前記基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリアミドを含む、積層体。
【請求項17】
前記基材が、ポリプロピレン又はポリエチレンである、請求項16に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多層フィルム及び多層フィルムを含む物品に関する。
【0002】
序論
可撓性食品包装フィルムは、特に、酸素及び水分バリア、易開封機能性、剛性、靭性、良好な印刷性、及び高い密封率などのフィルム特性目標を満たすのに必要な多成分材料からなり得る。このような包装フィルムでは、食品の貯蔵寿命を延長し、食品廃棄物を減少させ、全体的な食品及び包装の持続可能性プロファイルを増加させるため、バリア成分が重要である。伝統的に、エチレンビニルアルコール(EVOH)、金属化コーティング、及びHDPEは、酸素及び/又は水分に対する高いバリアを提供するために可撓性フィルムにおいて使用されてきた。しかしながら、これらのバリア成分は脆く、包装用途において屈曲亀裂破損を受ける可能性があり、その結果、フィルムが取り扱い及び輸送中に屈曲されると、深刻なバリア劣化が生じる。
【0003】
多くの用途は、典型的にはGelbo屈曲亀裂耐性を使用して測定される、特定のレベルの屈曲亀裂性能を必要とする。望ましい性能を達成するために、一部のフィルムコンバーターは、多成分材料からなる複雑なフィルム構造の使用を模索してきた。多成分構造は、一般に、全てのポリオレフィン構造よりも原材料コストが高くなる。コストに加えて、全てのフィルムコンバーターが様々な材料を走行させるために装備されているわけではないが、これは、一部の材料は特別なメンテナンスを必要とし得る特殊な押出装置を必要とするためである。更に、あるフィルム構造から別のフィルム構造に移行するときに製造ラインがパージされるにつれて、仕様から外れるフィルム構造に起因する製品ロスがあり得る。
【0004】
更に、例えばポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートを含む様々な材料を組み込んだ多層構造体は、食品包装に広く使用されている。このような構造体は、例えば輸送中の破損を回避するために、屈曲亀裂性能などの望ましい特性を必要とすることが多い。層及び材料の組み合わせは、良好な性能を可能にできるが、そのような多層構造体は、互いにリサイクル適合しない異なる種類の材料に起因して、一緒にリサイクルすることが、不可能ではないとしても困難であり得る。
【0005】
より持続可能であり、より安価であり、屈曲亀裂性能などの望ましい特性を提供できる新しいフィルム構造体が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、いくつかの実施形態では、液体の包装に使用され得る多層フィルムを提供する。いくつかの実施形態によれば、本発明の多層フィルムは、バッグ及び可撓性食品包装に組み込まれるときに、望ましい屈曲亀裂性能を提供し得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、実質的に単一種類のポリオレフィン(例えば、全てポリエチレン又は全てポリプロピレン)からも構成されながら、望ましい屈曲亀裂性能を有利に提供することができる。そのような実施形態は、リサイクル可能でありながら所望のレベルの屈曲亀裂抵抗を有利に提供し、このことは、持続可能でもある高性能の解決策を表す。
【0007】
一態様において、本発明は、多層フィルムであって、
(a)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンを含む第1の層であって、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含み、外面及び内面を有し、外面は、多層フィルムの最外面である、第1の層と、
(b)第1の表面及び第2の表面を有する第2の層であって、
(1) 0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、
(2) 第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む、第2の層と、
(c)第1の表面及び第2の表面を有する第3の層であって、第3の層の第1の表面は、前記第2の層の第2の表面と接着接触しており、第3の層は、エチレンビニルアルコール又はポリアミドを含む、第3の層と、の少なくとも3つの層を含む、多層フィルムを提供する。
【0008】
以下に論じられるように、本発明はまた、本明細書に開示される本発明の多層フィルムのいずれかから形成されたバッグ及び他の物品を提供する。
【0009】
これら及び他の実施形態は、「発明を実施するための形態」において、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
相反する記載がなく、文脈から暗示されておらず、又は当該技術分野で慣例的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量を基準とするものであり、全ての温度は℃であり、全ての試験方法は、本開示の出願日の時点において最新のものである。
【0011】
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990年~1991年によって出版されたものへの参照である。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0012】
「アルケニル」(又は「アルケニル基」)という用語は、アルケン基から1個の水素原子を除去することによって脂肪族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。アルケニル基の非限定的な例は、ビニル基である。「ビニル基」は、-CH=CH基である。
【0013】
「アルコキシ」(又は「アルコキシ基」)とは、-OZラジカルを指し、代表的なZには、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、シリル基、及びそれらの組み合わせが含まれる。好適なアルコキシラジカルの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ、及びt-ブトキシが挙げられる。
【0014】
「アルキル」(又は「アルキル基」)という用語は、脂肪族炭化水素から1個の水素原子を除去することによって脂肪族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。アルキル基は、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせであってよい。「置換アルキル」という用語は、少なくとも1個の水素原子が少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置換されているアルキルを指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、及びSが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、ハロゲン化物、OR’、NR’、PR’、P(=O)R’、SiR’(式中、各R’は、独立して、C~C20ヒドロカルビル基である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルキニル」(又は「アルキニル基」)という用語は、アルキン基から1個の水素原子を除去することによって脂肪族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。
【0016】
「アリール」(又は「アリール基」)という用語は、芳香族炭化水素から1個の水素原子を除去することによって芳香族炭化水素から誘導される有機ラジカルを指す。アリール基は、単環系及び/又は縮合環系であってよく、これらの各環は、好適には、5~7個、好ましくは5個又は6個の原子を含有する。2つ以上のアリール基が単結合(複数可)を介して結合している構造も含まれる。具体的な例としては、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、インデニル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ペリレニル、クリセニル、ナフタセニル、フルオランテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。「置換アリール」という用語は、少なくとも1個の水素原子が少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換基で置換されているアリールを指す。ヘテロ原子としては、O、N、P、及びSが挙げられるが、これらに限定されない。置換基としては、ハロゲン化物、OR’、NR’、PR’、P(=O)R’、SiR’(式中、各R’は、独立して、C~C20ヒドロカルビル基である)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「シクロアルキル」とは、単環又は複数の縮合環を有する飽和環状非芳香族炭化水素ラジカルである。好適なシクロアルキルラジカルの非限定的な例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、ビシクロオクチル等が挙げられる。具体的な実施形態では、シクロアルキルは、3~200個の炭素原子、3~50個の炭素原子、又は3~20個の炭素原子を有する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を構成する材料、並びに組成物の材料から形成される反応生成物及び分解生成物の混合物を指す。
【0019】
「ポリマー」という用語は、同じ種類であろうと異なる種類であろうと、モノマーを重合させることによって調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)及び本明細書において以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)は、ポリマー中及び/又はポリマー内に組み込まれてもよい。ポリマーは、単一のポリマー、ポリマーブレンド、又は重合中にその場で形成されるポリマーの混合物を含むポリマー混合物であってもよい。
【0020】
本明細書で使用する場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2タイプの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという一般的な用語は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0021】
本明細書で使用する場合、「オレフィン系ポリマー」又は「ポリオレフィン」という用語は、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレン又はプロピレンを重合形態で含み、任意選択的に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0022】
本明細書で使用する場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用語は、重合形態で、過半量(50モル%超)の、エチレンモノマーに由来する単位と、残りの量の、1つ以上のα-オレフィンに由来する単位と、を含む、インターポリマーを指す。エチレン/α-オレフィンインターポリマーの形成に使用される典型的なα-オレフィンは、C~C10アルケンである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、2種類のみのモノマーとして、過半量(50モル%超)のエチレンモノマーと、α-オレフィンと、を含むコポリマーを指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「α-オレフィン」という用語は、一次位置又はアルファ(α)位置に二重結合を有するアルケンを指す。
【0025】
「ポリエチレン」又は「エチレン系ポリマー」は、過半量(50モル%超)の、エチレンモノマーに由来する単位を含む、ポリマーを意味するものとする。これには、ポリエチレンホモポリマー、エチレン/α-オレフィンインターポリマー、及びエチレン/α-オレフィンコポリマーが挙げられる。当該技術分野において周知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene、LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(Linear Low Density Polyethylene、LLDPE)、極低密度ポリエチレン(Ultra Low Density Polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(Very Low Density Polyethylene、VLDPE)、中密度ポリエチレン(Medium Density Polyethylene、MDPE)、高密度ポリエチレン(High Density Polyethylene、HDPE)、強化ポリエチレン、ポリエチレンエラストマー、及びポリエチレンプラストマーが挙げられる。これらのポリエチレン材料は、一般に、当該技術分野において周知である。しかしながら、以下の記載は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの間の差異を理解するのに役立つ場合がある。
【0026】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、又は「高分岐ポリエチレン」とも称されてもよいが、ポリマーが、過酸化物などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブ又は管状反応器中で、部分的に又は完全に、ホモ重合又は共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,599,392号を参照のこと)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.935g/cmの範囲内の密度を有する。
【0027】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラー・ナッタ触媒系及びクロム系触媒系、並びにビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称される場合もある)、束縛構造触媒(constrained geometry catalysts、CGC)、及び分子触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される両方の樹脂を含む。樹脂としては、直鎖状の、実質的に直鎖状の、又は不均一な、ポリエチレンコポリマー又はホモポリマーが挙げられる。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、及び同第5,733,155号に更に定義されている、実質的に直鎖状エチレンポリマー;米国特許第3,645,992号のものなどの、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、及び/又はこれらのブレンド(米国特許第3,914,342号又は同第5,854,045号に開示されているものなど)が挙げられる。LLDPEは、当技術分野で既知の任意の種類の反応器又は反応器構成を使用して、気相、溶液相、若しくはスラリー重合、又はこれらの任意の組み合わせを介して作製され得る。
【0028】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、典型的には、クロム触媒若しくはチーグラー・ナッタ触媒を使用して、又はビス-メタロセン触媒、幾何拘束型触媒及び分子触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5超の分子量分布(molecular weight distribution、「MWD」)を有する。
【0029】
「HDPE」という用語は、一般にチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び拘束幾何触媒を含むが、これらに限定されないシングルサイト触媒を用いて調製される、約0.935g/cm超~約0.970g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。
【0030】
「ULDPE」という用語は、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、又はビス-メタロセン触媒及び幾何拘束型触媒を含むがこれらに限定されないシングルサイト触媒を用いて一般に調製される、0.880~0.912g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。
【0031】
「ポリエチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンに由来する単位及び少なくとも1つのC~C10α-オレフィンコモノマー、若しくは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマー、若しくは少なくとも1つのC~Cα-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む均一な短鎖分岐分布を含有する、実質的に直鎖状又は直鎖状の、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ポリエチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cm、又は0.880g/cm、又は0.890g/cmから、0.900g/cm又は0.902g/cm、又は0.904g/cm、又は0.909g/cm、又は0.910g/cm、又は0.912g/cmの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な実施例としては、AFFINITY(商標)プラストマー及びエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT Plastomers(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、及びLucene(LG Chem Ltd.から入手可能)が挙げられる。
【0032】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、及び同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。このようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野で既知の任意のその他の方法から決定されるような、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは、積層体ではないが、積層体の1つ以上の層が、ブレンドを含有してもよい。このようなブレンドは、乾燥ブレンドとして調製され得るか、その場で(例えば、反応器内で)、溶融ブレンドとして、又は当業者に既知の他の技法を使用して形成され得る。
【0033】
「接着接触」という用語及び同様の用語は、一方の層の1つの表面と別の層の1つの表面とが接触してお互いに結合していることを意味する。
【0034】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、いかなる追加の構成要素、工程、又は手順の存在も除外することを意図していない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる以降の記述の範囲から任意の他の成分、工程、又は手順を排除する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に描写又は列記されていないあらゆる構成成分、工程、又は手順を排除する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、
(a)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンを含む第1の層であって、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含み、外面及び内面を有し、外面は、多層フィルムの最外面である、第1の層と、
(b)第1の表面及び第2の表面を有する第2の層であって、
(1) 0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、
(2) 第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む、第2の層と、
(c)第1の表面及び第2の表面を有する第3の層であって、第3の層の第1の表面は、前記第2の層の第2の表面と接着接触しており、第3の層は、エチレンビニルアルコール又はポリアミドを含む、第3の層と、の少なくとも3つの層を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の層中のポリオレフィンは、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである。いくつかの実施形態では、第1の層中のポリオレフィンは、1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンである。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2の層中のポリオレフィンは、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである。いくつかの実施形態では、第2の層中のポリオレフィンは、1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンである。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の層は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン、又はエチレン及びメタクリル酸若しくはアクリル酸を含むコポリマーを更に含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを更に含み、ポリジメチルシロキサンの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第1の層中のポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、第2の層中のポリジメチルシロキサンの少なくとも1つとは異なる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の層の第1の表面は、第1の層の内面と接着接触している。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の層はシーラント層であり、0.87g/cm~0.92g/cmの密度を有するポリエチレンを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、第4の層を更に含む。そのような実施形態では、第4の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第4の層の第1の表面は、第3の層の第2の表面と接着接触しており、第4の層は、(1)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、第4の層は、第4の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、(2)第4の層の総重量に基づいて0.5重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは第5の層を更に含み、第5の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第5の層の第1の表面は、第4の層の第2の表面と接着接触しており、第5の層の第2の表面は、フィルムの最外面であり、第5の層は、LLDPE、MDPE、HDPE、又はこれらの組み合わせを含む。そのような実施形態では、第4の層は、第5の層を第3の層に接着させる結合層であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、5~11の層を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、第3の層の厚さは、フィルムの総厚の0.5%~15%である。いくつかの実施形態では、フィルムは、1ミル(25.4マイクロメートル)~10ミル(254マイクロメートル)の総厚を有する。
【0045】
本発明の多層フィルムは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態は、物品に関する。本発明の実施形態による物品は、本明細書に開示される本発明の実施形態のいずれかによる多層フィルムを含む。本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態は、積層体に関する。本発明の実施形態による積層体は、本明細書に開示される本発明の実施形態のいずれかによる多層フィルムを含む。例えば、積層体は、いくつかの実施形態では、基材に接着された多層フィルムを含み、基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、又はこれらの組み合わせを含む。更なる実施形態では、積層体の基材はポリプロピレン又はポリエチレンである。
【0048】
ポリジメチルシロキサン
本発明による多層フィルムは、第1の層、第2の層、及び第3の層を含む。第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)は、以下の一般構造(I)を有するポリマー有機ケイ素化合物であり、
【化1】

式中、nは、繰り返しモノマー[SiO(CH]単位の数であり、nは、2以上、又は2~5,500である。PDMSは、置換されていなくてもよく、置換されていてもよい。「置換PDMS」とは、構造(I)の少なくとも1つのメチル基が置換基で置換されているPDMSである。置換基の非限定的な例としては、ハロゲン原子(塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素など)、ハロゲン原子含有基(クロロメチル基、ペルフルオロブチル基、トリフルオロエチル基、及びノナフルオロヘキシル基など)、酸素原子含有基(ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基及びエトキシ基など)、(メタ)アクリルエポキシ基、及びカルボキシル基など)、窒素原子含有基(アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基など)、硫黄原子含有基(メルカプト基など)、水素、C~C10アルキル基(エチル基等);C~C10アルキニル基;アルケニル基(ビニル基及びヘキセニル基など)、アリール基(フェニル基及び置換フェニル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキサン基など)、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。置換メチル基は、末端メチル基であってもよく、非末端メチル基であってもよい。好適な置換PDMSの非限定的な例としては、少なくとも1つのアルキルがC~C10アルキルであるトリアルキルシリル末端PDMS、ジアルキルヒドロキシシリル末端PDMS、ジアルキル水素シリル末端PDMS、ジアルキルアルケニルシリル末端PDMS;及びジアルキルビニルシリル末端PDMSが挙げられる。実施形態では、置換PDMSは、ジメチルヒドロキシシリル末端PDMSである。別の実施形態では、置換PDMSは、ジメチルビニルシリル末端PDMSである。
【0049】
実施形態では、置換PDMSは、窒素原子含有基を除外する。別の実施形態では、置換PDMSは、エポキシ置換基を除外する。
【0050】
実施形態では、PDMSは、非置換である。「非置換PDMS」とは、構造(I)におけるメチル基がいずれも置換基で置換されていない構造(I)のPDMSである。実施形態では、非置換PDMSは、トリメチルシリル末端PDMSである。
【0051】
いくつかの実施形態では、PDMSは、1,000cSt~2,000,000cStの粘度を有する。
【0052】
ある実施形態では、PDMSは、30,000g/mol~2,000,000g/molの数平均分子量、Mnを有する。
【0053】
一実施形態では、PDMS(ジメチルヒドロキシシリル末端PDMS等)は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する:
(i)粘度が、1,000cSt~2,000,000cSt、又は5,000cSt~1,500,000cSt、又は10,000cSt~1,000,000cSt、又は30,000cSt~500,000cSt、又は45,000cSt~250,000cSt、又は50,000cSt~200,000cSt、
(ii)数平均分子量、Mnの下限が15,000g/mol、又は25,000g/mol、又は35,000g/mol、又は40,000g/mol、又は45,000g/mol、又は48,000g/mol~49,000g/mol、又は50,000g/mol、又は55,000g/mol、又は60,000g/mol、又は65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/molから、上限が65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/mol若しくは400,000g/molまで、及び/又は
(iii)重量平均分子量、Mwの下限が20,000g/mol、30,000g/mol、又は40,000g/mol、又は45,000g/mol、又は50,000g/mol、又は55,000g/mol、又は60,000g/mol、又は65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は120,000g/mol~130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/molから、上限が130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/mol、又は350,000g/mol、又は400,000g/mol、又は450,000g/mol、又は500,000g/mol、又は550,000g/mol、又は600,000g/mol、又は650,000g/mol、又は700,000g/molまで、及び/又は
(iv)分子量分布(Mw/Mn)の下限が1.0、又は1.5、又は2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4~2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0、又は3.5から、上限が1.5、又は2.0、又は2.1、又は2.2、又は2.3、又は2.4~2.5、又は2.6、又は2.7、又は2.8、又は2.9、又は3.0、又は3.5まで、及び/又は
(v)PDMSが構造(I)を有し、nの下限が200、又は250、又は300、又は350、又は400、又は450、又は500、又は550、又は600、又は650~700、又は750、又は800、又は850、又は900、又は950、又は1000、又は1100、又は1200、又は1300、又は1400、又は1500、又は1600、又は1700、又は1800、又は1900、又は2000、又は2500、又は3000、又は3500、又は4000、又は4054から、上限が250、又は300、又は350、又は400、又は450、又は500、又は550、又は600、又は650~700、又は750、又は800、又は850、又は900、又は950、又は1000、又は1100、又は1200、又は1300、又は1400、又は1500、又は1600、又は1700、又は1800、又は1900、又は2000、又は2500、又は3000、又は3500、又は4000、又は4054、又は5000、又は5500まで。
【0054】
PDMSは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0055】
他で述べるように、第2の層は、少なくとも1つのPDMSを含む。また、第1の層が少なくとも1つのPDMSを含む実施形態では、第1の層及び第2の層は異なるPDMSを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の層及び第2の層は、同じPDMSを使用する。
【0056】
第1の層
多層フィルムは、第1の層を含む少なくとも3つの層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンを含む第1の層を含み、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含み、外面及び内面を有し、外面は、多層フィルムの最外面である。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の層は、1つのポリオレフィンから形成される。第1の層は、いくつかの実施形態では、指定された全体密度を提供するポリオレフィンのブレンドから形成される。ポリオレフィンのブレンドから形成された第1の層の全体密度は、第1の層を構成する個々のポリオレフィンの密度の加重和である。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の層の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する。0.87g/cm~0.97g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、組み込まれる。例えば、第1の層の少なくとも1つのポリオレフィンは、下限が0.88g/cm、0.89g/cm、0.90g/cm、又は0.91g/cmである密度から、上限が0.97g/cm、0.96g/cm、0.95g/cm、0.94g/cm、0.93g/cm、又は0.92g/cmである密度を有することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む。少なくとも90重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセント、91重量パーセント、92重量パーセント、93重量パーセント、94重量パーセント、95重量パーセント、96重量パーセント、97重量パーセント、98重量パーセント、又は99重量パーセントのポリオレフィンを含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリエチレンを含む。少なくとも90重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセント、91重量パーセント、92重量パーセント、93重量パーセント、94重量パーセント、95重量パーセント、96重量パーセント、97重量パーセント、98重量パーセント、又は99重量パーセントのポリエチレンを含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを更に含む。0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの値の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層は、第1の層の総重量に基づいて、0.05~5.0重量パーセント、0.1~5.0重量パーセント、0.5~5.0重量パーセント、1.0~5.0重量パーセント、又は1.25~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の層は、1つのポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、第1の層は、ポリジメチルシロキサン(例えば、2つ、3つ、又はそれ以上のポリジメチルシロキサン)のブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサンのうち少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。20,000g/mol~700,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層の少なくとも1つのポリジメチルシロキサンは、下限が20,000g/mol、30,000g/mol、又は40,000g/mol、又は45,000g/mol、又は50,000g/mol、又は55,000g/mol、又は60,000g/mol、又は65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は120,000g/mol~130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/molから、上限が130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/mol、又は350,000g/mol、又は400,000g/mol、又は450,000g/mol、又は500,000g/mol、又は550,000g/mol、又は600,000g/mol、又は650,000g/mol、又は700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有することができる。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態では、第1の層はポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンは、20,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第1の層はポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンは、500,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第1の層は、2つのポリジメチルシロキサン(例えば、マスターバッチ配合物中のポリジメチルシロキサンのブレンド)を含み、ポリジメチルシロキサンの一方は、20,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量、Mwを有し、ポリジメチルシロキサンのもう一方は、500,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1の層中のポリオレフィンは、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである。0.5g/10分~30g/10分の全ての個々の値が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層中のポリエチレンは、0.5g/10分~30g/10分、0.5g/10分~20g/10分、0.5g/10分~10g/10分、0.5g/10分~5g/10分、又は0.5g/10分~1g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の層は、LLDPE、MDPE、HDPE、又はそれらの組み合わせを含む。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態の第1の層での使用に特に適しているポリエチレンには、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンプラストマー/エラストマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する他のエチレン系ポリマー(例えば、強化ポリエチレン)、オレフィンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態では、ポリオレフィンとして使用するために、様々な市販のポリエチレンが企図されている。本発明の実施形態で使用され得る市販のポリエチレンプラストマー/エラストマーの例としては、AFFINITY(商標)PL 1880Gなどの、AFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のLDPEの例としては、DOW LDPE(商標)及びAGILITY(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態で使用され得る市販のHDPE及びLLDPEの例としては、DOWLEX(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。本発明の実施形態で使用され得る市販のオレフィンブロックコポリマーの例としては、INFUSE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態で使用され得る、密度が0.87~0.97g/cmである他の市販のHDPE及びエチレン系ポリマーの例としては、ELITE(商標)、ELITE(商標)AT、及びINNATE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態で使用することができる別の市販のHDPEの例は、The Dow Chemical CompanyのDOW(商標)DMDC 1250である。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1の層中のポリオレフィンは、0.865g/cm~0.905g/cmの密度、及び/又は、1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンである。0.865g/cm~0.905g/cmの密度の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層のポリプロピレンは、0.865g/cm~0.900g/cm、0.870g/cm~0.895g/cm、0.870g/cm~0.900g/cm、0.875/cm~0.900g/cm、又は0.875g/cm~0.885g/cmの密度を有することができる。1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第1の層のポリプロピレンは、1.0g/10分~15.0g/10分、2.0g/10分~13.0g/10分、3.0g/10分~11.0g/10分、1.0g/10分~8.0g/10分、2.0g/10分~7.0g/10分、2.0g/10分~6.0g/10分、2.0g/10分~5.0g/10分、3.0g/10分~9.0g/10分、又は4.0g/10分~9.0g/10分のメルトフローレートを有することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1の層はシーラント層であり、0.87g/cm~0.92g/cmの密度を有するポリエチレンを含む。いくつかの実施形態では、シーラント層は、シーラント層として有用であることが当業者に既知の任意のポリエチレン樹脂を含み得る。いくつかの実施形態では、シーラント層は、0.870~0.925g/cmの密度及び0.1~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する1つ以上のエチレン系ポリマーを含み得る。更なる実施形態では、シーラントフィルム(又はシーラント層)のエチレン系ポリマーは、870~0.925g/cm、又は0.900~0.925g/cm、又は0.910~0.925g/cmの密度を有し得る。加えて、シーラントフィルム(又はシーラント層)のエチレン系ポリマーは、0.1~2.0g/10分、又は0.1~1.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有し得る。様々な市販のポリエチレンがシーラント層に適していると考えられている。好適な市販品の例としては、ELITE(商標)5400G、ELITE(商標)5401B、及び様々なAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマー(例えば、AFFINITY(商標)PL 1888、AFFINITY(商標)PF 1140、及びAFFINITY(商標)PF 1146、AFFINITY(商標)VP 8770G1)を挙げることができ、これらはそれぞれThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能である。
【0069】
第2の層
多層フィルムは、第2の層を含む少なくとも3つの層を含む。いくつかの実施形態では、第2の層は、(1)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、(2)第2の層の総重量に基づいて0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、ポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、第2の層は、1つのポリオレフィンから形成される。第2の層は、いくつかの実施形態では、指定された全体密度を提供するポリオレフィンのブレンドから形成される。ポリオレフィンのブレンドから形成された第2の層の全体密度は、層を構成する個々のポリオレフィンの密度の加重和である。
【0071】
いくつかの実施形態では、第2の層の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する。0.87g/cm~0.97g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、組み込まれる。例えば、第2のスキン層の少なくとも1つのポリオレフィンは、下限が0.88g/cm、0.89g/cm、0.90g/cm、又は0.91g/cmである密度から、上限が0.97g/cm、0.96g/cm、0.95g/cm、0.94g/cm、0.93g/cm、又は0.92g/cmである密度を有することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む。少なくとも90重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセント、91重量パーセント、92重量パーセント、93重量パーセント、94重量パーセント、95重量パーセント、96重量パーセント、97重量パーセント、98重量パーセント、又は99重量パーセントのポリオレフィンを含むことができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを更に含む。0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの値の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層は、第2の層の総重量に基づいて、0.05~5.0重量パーセント、0.1~5.0重量パーセント、0.5~5.0重量パーセント、1.0~5.0重量パーセント、又は1.25~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含むことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第2の層は、1つのポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、第2の層は、ポリジメチルシロキサン(例えば、2つ、3つ、又はそれ以上のポリジメチルシロキサン)のブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサンのうち少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。20,000g/mol~700,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層の少なくとも1つのポリジメチルシロキサンは、下限が20,000g/mol、30,000g/mol、又は40,000g/mol、又は45,000g/mol、又は50,000g/mol、又は55,000g/mol、又は60,000g/mol、又は65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は120,000g/mol~130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/molから、上限が130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/mol、又は350,000g/mol、又は400,000g/mol、又は450,000g/mol、又は500,000g/mol、又は550,000g/mol、又は600,000g/mol、又は650,000g/mol、又は700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有することができる。
【0075】
例えば、いくつかの実施形態では、第2の層はポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンは、20,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第2の層はポリジメチルシロキサンを含み、ポリジメチルシロキサンは、500,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。いくつかの実施形態では、第2の層は、2つのポリジメチルシロキサン(例えば、マスターバッチ配合物中のポリジメチルシロキサンのブレンド)を含み、ポリジメチルシロキサンの一方は、20,000g/mol~200,000g/molの重量平均分子量、Mwを有し、ポリジメチルシロキサンのもう一方は、500,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、第2の層中のポリジメチルシロキサンのうちの少なくとも1つは、第1の層中の任意のポリジメチルシロキサンとは異なる。
【0077】
いくつかの実施形態では、第2の層中のポリオレフィンは、0.5g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有するポリエチレンである。0.5g/10分~30g/10分の全ての個々の値が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層中のポリエチレンは、0.5g/10分~30g/10分、0.5g/10分~20g/10分、0.5g/10分~10g/10分、0.5g/10分~5g/10分、又は0.5g/10分~1g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、第2の層は、LLDPE、MDPE、HDPE、又はそれらの組み合わせを含む。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態のコア層での使用に特に適しているポリエチレンには、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンプラストマー/エラストマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する他のエチレン系ポリマー(例えば、強化ポリエチレン)、オレフィンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの実施形態で使用するために、様々な市販のポリエチレンが企図されている。本発明の実施形態で使用され得る市販のポリエチレンプラストマー/エラストマーの例としては、AFFINITY(商標)PL 1880Gなどの、AFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のLDPEの例としては、DOW LDPE(商標)及びAGILITY(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明の実施形態に使用され得る市販のHDPE及びLLDPEの例としては、The Dow Chemical Companyから市販されているDOWLEX(商標)が挙げられる。本発明の実施形態で使用され得る市販のオレフィンブロックコポリマーの例としては、INFUSE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態で使用され得る、密度が0.87~0.97g/cmである他の市販のHDPE及びエチレン系ポリマーの例としては、ELITE(商標)、ELITE(商標)AT、及びINNATE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態で使用することができる別の市販のHDPEの例は、The Dow Chemical CompanyのDOW(商標)DMDC 1250である。
【0080】
いくつかの実施形態では、第2の層中のポリオレフィンは、0.865g/cm~0.905g/cmの密度、及び/又は、1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンである。0.865g/cm~0.905g/cmの密度の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層のポリプロピレンは、0.865g/cm~0.900g/cm、0.870g/cm~0.895g/cm、0.870g/cm~0.900g/cm、0.875/cm~0.900g/cm、又は0.875g/cm~0.885g/cmの密度を有することができる。1.0g/10分~16.0g/10分のメルトフローレートの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第2の層のポリプロピレンは、1.0g/10分~15.0g/10分、2.0g/10分~13.0g/10分、3.0g/10分~11.0g/10分、1.0g/10分~8.0g/10分、2.0g/10分~7.0g/10分、2.0g/10分~6.0g/10分、2.0g/10分~5.0g/10分、3.0g/10分~9.0g/10分、又は4.0g/10分~9.0g/10分のメルトフローレートを有することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、第2の層の厚さは、多層フィルムの厚さの5%~90%である。5%~90%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、第2の層の厚さは、多層フィルムの厚さの5%~90%、10%~80%、20%~70%、30%~70%、又は35%~65%であり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、第2の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第2の層の第1の表面は、第1の層の内面と接着接触している。
【0083】
いくつかの実施形態では、第2の層は結合層である。いくつかのそのような実施形態では、第2の層は、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン、又はエチレン及びメタクリル酸若しくはアクリル酸を含むコポリマーを更に含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2の層は、無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンを更に含む。いくつかの実施形態では、第2の層は、無水マレイン酸グラフト化直鎖状低密度ポリエチレンを更に含む。いくつかの実施形態では、無水マレイン酸グラフト化直鎖状低密度ポリエチレンは、0.860g/cm~0.935g/cmの範囲の密度を有し得る。0.860g/cm~0.935g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれ、例えば、無水マレイン酸グラフト化直鎖状低密度ポリエチレンは、0.875g/cm~0.935g/cm、0.900g/cm~0.925g/cm、0.910g/cm~0.935g/cm、0.910g/cm~0.925g/cm、0.915g/cm~0.935g/cm、又は0.920g/cm~0.930g/cmの範囲の密度を有することができる。いくつかの実施形態では、無水マレイン酸グラフト化直鎖状低密度ポリエチレンは、0.1g/10分~50g/10分、又は0.5g/10分~20g/10分、又は1.0g/10分~10g/10分のメルトインデックス(I)を有する。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態で使用され得る市販の無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンの例としては、例えば、BYNEL(商標)41E710などの、BYNEL(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから入手可能なものが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態で使用され得る市販のエチレンメタクリル酸コポリマーの例としては、NUCREL(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態で使用され得る市販のエチレンアクリル酸コポリマーの例としては、PRIMACOR(商標)の名称でSK Global Chemical Co.Ltd.から市販されているものが挙げられる。
【0085】
第3の層
多層フィルムは、第3の層を含む少なくとも3つの層を含む。第3の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第3の層の第1の表面は、第2の層の第2の表面と接着接触しており、第3の層は、エチレンビニルアルコール又はポリアミドを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、第3の層はバリア層である。第3の層がエチレンビニルアルコールを含むいくつかの実施形態では、エチレンビニルアルコールは、20~50モル%のエチレン含有量を有する。20~50mol%のエチレン含有量の全ての部分範囲及び個々の値が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、実施形態では、第3の層のエチレンビニルアルコールは、20~50mol%、又は22~45mol%、又は25~40mol%のエチレン含有量を有する。当業者は、エチレンビニルアルコールのエチレン含有量が、本明細書に開示される多層フィルムのOTRを下げる、又は上げることに寄与し得ることを理解するであろう(すなわち、一般に、エチレン含有量が低いほど、達成可能なOTR値はより低くなる)。当業者はまた、より低いエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコールを含む第3の層が可撓性ボトル及び管用途に好適であり得、より高いエチレン含有量を有するエチレンビニルアルコールを含む第3の層が、より容易な加工、長期実行安定性、及び熱成形性などの可撓性(屈曲亀裂耐性)を必要とする包装タイプを可能にし得ることも理解するであろう。
【0087】
第3の層に使用することができるエチレンビニルアルコールの市販の例としては、例えば、EVAL H171B(38mol%のエチレン含有量)、及びEVAL F171B(32mol%のエチレン含有量)を含む、Kuraray Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)からEVALの名称で市販されているものが挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、第3の層はポリアミドを含む。「ポリアミド」という用語は、アミド結合を有するポリマーを意味し、本明細書で使用される場合、より具体的には、結晶形態又は非晶質形態のいずれかの、脂肪族又は芳香族のいずれかの合成ポリアミドを指す。ポリアミド及びコポリアミドの両方を指すことが意図される。ポリアミドは、好ましくは、食品の加工、取り扱い、及び包装に使用することを意図した物品の製造での使用が承認された化合物から選択され、参照により本明細書に組み込まれる21C.F.R.177.1500以降に記載されているポリアミド材料のホモポリマー、コポリマー、及び混合物を含む。本発明のいくつかの実施形態において使用できるポリアミドの例としては、Ultramid C40L又はUltramid B40Lの名称でBASFから市販されているもの、及びUBE 5033、UBE 1030、又はUBE 6434の名称でUBEから市販されているものが挙げられる。
【0089】
いくつかの実施形態では、第3の層の厚さは、フィルムの総厚の0.5%~15%である。0.5%~15%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第3の層の厚さは、フィルムの総厚の0.5%~12%、2.5%~10%、又は4%~8%であり得る。
【0090】
他の層
多層フィルムは、少なくとも3つの層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、5~11の層を含む。いくつかの実施形態では、多層フィルムは第4の層を更に含み、第4の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第4の層の第1の表面は、第3の層の第2の表面と接着接触しており、第4の層は、(1)0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する少なくとも1つのポリオレフィンであって第4の層は、第4の層の総重量に基づいて少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む、ポリオレフィンと、(2)第4の層の総重量に基づいて0.5重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンであって、1,000cSt~2,000,000cStの粘度を有する、ポリジメチルシロキサンと、を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、第4の層の少なくとも1つのポリオレフィンは、0.87g/cm~0.97g/cmの密度を有する。0.87g/cm~0.97g/cmの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、組み込まれる。例えば、第4の層の少なくとも1つのポリオレフィンは、下限が0.88g/cm、0.89g/cm、0.90g/cm、又は0.91g/cmである密度から、上限が0.97g/cm、0.96g/cm、0.95g/cm、0.94g/cm、0.93g/cm、又は0.92g/cmである密度を有することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、第4の層は、第4の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセントのポリオレフィンを含む。少なくとも90重量%の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第4の層は、第4の層の総重量に基づいて、少なくとも90重量パーセント、91重量パーセント、92重量パーセント、93重量パーセント、94重量パーセント、95重量パーセント、96重量パーセント、97重量パーセント、98重量パーセント、又は99重量パーセントのポリオレフィンを含むことができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、第4の層は、第4の層の総重量に基づいて、0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを更に含む。0.05重量パーセント~5.0重量パーセントの値の個々の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第4の層は、第4の層の総重量に基づいて、0.05~5.0重量パーセント、0.1~5.0重量パーセント、0.5~5.0重量パーセント、1.0~5.0重量パーセント、又は1.25~5.0重量パーセントの少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含むことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、第4の層は結合層である。
【0095】
いくつかの実施形態では、第4の層は、1つのポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、第4の層は、ポリジメチルシロキサン(例えば、2つ、3つ、又はそれ以上のポリジメチルシロキサン)のブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサンのうち少なくとも1つは、20,000g/mol~700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有する。20,000g/mol~700,000g/molの全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、含まれる。例えば、第4の層の少なくとも1つのポリジメチルシロキサンは、下限が20,000g/mol、30,000g/mol、又は40,000g/mol、又は45,000g/mol、又は50,000g/mol、又は55,000g/mol、又は60,000g/mol、又は65,000g/mol、又は70,000g/mol、又は75,000g/mol、又は80,000g/mol、又は90,000g/mol、又は100,000g/mol、又は120,000g/mol~130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/molから、上限が130,000g/mol、又は140,000g/mol、又は150,000g/mol、又は200,000g/mol、又は250,000g/mol、又は290,000g/mol、又は300,000g/mol、又は350,000g/mol、又は400,000g/mol、又は450,000g/mol、又は500,000g/mol、又は550,000g/mol、又は600,000g/mol、又は650,000g/mol、又は700,000g/molの重量平均分子量、Mwを有することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは第5の層を更に含み、第5の層は、第1の表面及び第2の表面を有し、第5の層の第1の表面は、第4の層の第2の表面と接着接触しており、第5の層の第2の表面は、フィルムの最外面であり、第5の層は、ポリプロピレン、LLDPE、MDPE、HDPE、又はこれらの組み合わせを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、1ミル(25.4マイクロメートル)~10ミル(254マイクロメートル)の総厚を有する。1ミル(25.4マイクロメートル)~10ミル(254マイクロメートル)(の全ての個々の値及び部分範囲が、本明細書に開示され、組み込まれる。例えば、多層フィルムは、1ミル~10ミル、2ミル~8ミル、3ミル~7ミル、又は4ミル~6ミルの総厚を有することができる。
【0098】
本発明の多層フィルムは、1つ以上の望ましい特性を示す。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、望ましいGelbo屈曲亀裂性能を示し得る。このような特性は、リサイクル性の高いフィルム(例えば、90重量%を超えるポリエチレン)で特に有利である。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、フィルムの総重量に基づいて、90重量%超のポリエチレンを含む。他の実施形態では、多層フィルムは、フィルムの総重量に基づいて、90重量%超のポリプロピレンを含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、1,000サイクルで0.05ピンホール以下のGelbo能屈曲亀裂性能を示す。いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、3,000サイクルで1.5ピンホール以下のGelbo能屈曲亀裂性能を示す。いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、6,000サイクルで1ピンホール以下のGelbo能屈曲亀裂性能を示す。
【0100】
多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技法を使用して、インフレーションフィルム又はキャストフィルムとして共押出され得る。特に、本明細書に開示される異なるフィルム層の組成物に基づいて、インフレーションフィルム製造ライン又はキャストフィルム製造ラインは、本明細書の教示に基づいて当業者に公知の技術を使用して、単一の押出工程で本発明の多層フィルムを共押出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、多層フィルムは、インフレーションフィルムである。
【0101】
任意選択の添加剤
いくつかの実施形態では、多層フィルムの1つ以上の層は、1つ以上の任意選択の添加剤を含む。好適な添加剤の非限定的な例としては、粘着防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定化剤、核形成剤、着色剤、顔料、紫外線(UV)吸収剤又は安定剤、難燃剤、相溶化剤、可塑剤、充填剤、加工助剤、防曇剤、架橋剤(例えば、過酸化物)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の層は粘着防止剤を含む。「粘着防止剤」は、フィルム層の表面を微視的に粗化することで、隣接する層間の空いている接触面積を減少させることにより、フィルムの2つの隣接する層間の粘着(すなわち、接着)を最小限に抑える、又は防ぐ、化合物である。粘着防止剤は、有機又は無機であり得る。好適な粘着防止剤の非限定的な例としては、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、粘着防止剤は、シリカ(SiO)である。シリカは、有機シリカ又は合成シリカであり得る。別の実施形態では、粘着防止剤は、タルクである。
【0103】
いくつかの実施形態では、多層フィルムの1つ以上の層は、層の総重量に基づいて、0重量%、又は0.01重量%、又は0.05重量%、又は0.1重量%、又は0.2重量%から、0.3重量%、又は0.4重量%、又は0.5重量%、又は1.0重量%、又は2.0重量%、又は3.0重量%、又は4.0重量%、又は5.0重量%までの総添加剤をそれぞれ含み得る。
【0104】
積層体
本発明の実施形態はまた、本発明の多層フィルムを組み込んだ積層体を含む。いくつかの実施形態では、積層体は、基材に接着された本明細書に開示される実施形態による多層フィルムを含み、基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリアミドを含む。いくつかの実施形態では、積層体は、基材に接着された本明細書に開示される実施形態による多層フィルムを含み、基材は、ポリプロピレン又はポリエチレンを含む。
【0105】
本発明の実施形態による積層体は、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成することができる。例えば、接着剤を使用して、本発明の多層フィルムを他のフィルムに積層することができる。積層体の作製に使用される接着剤には、様々な接着剤組成物が好適であると考えられる。これらには、ポリウレタン、エポキシ、アクリルなどが含まれ得る。一実施形態では、積層体は、ポリウレタン接着剤を含む接着剤層を含み得る。ポリウレタン接着剤は、無溶剤、水性、又は溶剤系であり得る。更に、ポリウレタン接着剤は、二液型配合物であり得る。接着剤層の重量又は厚さは、例えば、多層構造体の所望の厚さ、使用される接着剤の種類、及び他の要因を含む多くの要因に依存して変化し得る。いくつかの実施形態では、接着剤層は、最大5.0グラム/m、又は1.0~4.0g/m、又は2.0~3.0g/mで塗布される。
【0106】
物品
本発明の実施形態はまた、本発明の多層フィルムから形成された、又はそれを組み込んだ包装材などの物品を含む。このような包装材は、本明細書に記載の多層フィルムのいずれかから形成され得る。
【0107】
このような物品の例としては、可撓性パッケージ、パウチ、自立型パウチ、及び既製パッケージ又は既製パウチが挙げられ得る。いくつかの実施形態において、本発明の多層フィルム又はラミネートは、食品包装に使用され得る。そのような包装材に含まれ得る食品の例としては、肉、チーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどが挙げられる。このような包装材は、本明細書の教示に基づいて、かつ包装材の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成され得る。
【0108】
本明細書に記載の本発明の多層フィルムのいずれかから形成され得る物品の一例は、大型バッグである。いくつかの実施形態では、そのようなバッグは、少なくとも250ガロンの容積を有する。そのようなバッグは、いくつかの実施形態では、約6000ガロンまでの容積を有する。いくつかの実施形態では、そのようなバッグは、バッグインボックスの可撓性液体パッケージ(「BIBパッケージ」)で使用され得る。このようなバッグは、様々な液体に使用され得る。
【0109】
試験方法
本明細書に別段示されない限り、本発明の態様の説明では以下の分析方法を使用する。
【0110】
メルトインデックス及びメルトフローレート
メルトインデックスI(又はI2)及びI10(又はI10)は、それぞれ、190℃、2.16kg及び10kgの荷重で、ASTM D-1238(方法B)に従って測定する。これらの値は、g/10分で報告される。メルトフローレート(MFR)は、ポリプロピレンホモポリマー及びプロピレン-エチレンインターポリマーに使用され、ASTM D-1238に従って、230℃、2.16kgにて測定される。
【0111】
密度
密度測定用のサンプルは、ASTM D4703に従って調製される。測定は、ASTM D792、方法Bに従って、1時間の試料プレスの間に行われる。
【0112】
GPCトリプル検出器(PDMSのMw及びMn測定)
ポリジメチルシロキサンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、トリプル検出能力を使用してGPC(Viscotek(商標)GPC Max)によって測定する。Viscotek(商標)TDA305ユニットには、示差屈折計、オンライン差圧粘度計、及び低角光散乱(LALS:7°及び90°の検出角度)が装備されている。移動相は、トルエンHPLCグレードのものである。カラムは、Varian製のPL Gel Mixed Cカラム2本(7.5×300mm、5μmの粒径)と、VarianのPL Gel Guardカラム1本(7.5×300mm)であり、5フラクトム(fractom)注入体積、流量1mL/分、実行時間37分である。カラム及び検出器の温度は40℃である。使用するソフトウェアは、Omnisec 4.6.1(Viscotek(商標))である。
【0113】
既知の濃度の狭ポリスチレン標準(Mw68,100g/mol)を注入することによって、検出器を較正する。狭分子量分布ポリスチレン標準(PS71K)を使用することによって、正確な実行パラメータを確認する。分子量平均は、検出器の較正を検証するために統計的プロセス制御(Statistical Process Control、SPC)チャート内でなければならない。典型的なGPC精密度及び精度(屈折率の増分に依存する)は、約2~3%である。
【0114】
Gelbo屈曲亀裂性能
Gelbo屈曲亀裂性能は、ASTM F392に従って試験するように設定されたGelbo屈曲試験機を使用して測定される。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例において詳細に説明される。
【実施例
【0116】
表1に示される原材料は、以下に論じられる本発明フィルム及び比較フィルムを調製するために使用される。別段記載がある場合を除き、各樹脂は、The Dow Chemical Companyから市販されている。
【表1】

*Kuraray America,Inc.から市販
**PDMS配合物を製造するために、線状低密度ポリエチレン(DOWLEX(商標)2047G)を、共回転二軸押出機(TSE)中でポリジメチルシロキサン(PDMS)とブレンドする。L/Dが60の26mmのCoperion製共回転二軸押出機を使用して、PDMSを溶融混合し、線状低密度ポリエチレンマトリックス中に分散させる。具体的には、ポリエチレンペレットを、K-Tron重量フィーダーを使用してTSEホッパーの供給ホッパーに供給する。ガムPDMS(4-7034 PDMSガム)を、Bonnetフィーダー及びMaagギアポンプの組み合わせを使用して、18のL/DでTSEに注入する。流体PDMS(PMX-200、60000cSt)を、Zenithギアポンプを使用して34のL/DでTSEに注入する。TSEバレルを180℃に設定し、スクリュー速度は300rpmである。ポリエチレンペレットを26lb/時間の速度で供給し、PDMSガムを10.5lb/時間の速度で供給し、PDMS流体を3.5lb/時間の速度で注入する。総スループットレートは、40lb/時間である。最終PDMSポリマー溶融物を、Gala水中ペレタイザーを用いてペレット化して、32ペレット/gmに相当するペレットサイズを得る。
【0117】
本発明のフィルム1~2及び比較フィルムA~D
本発明フィルム1~2及び比較フィルムA~Dは、次のように調製される5層(A/B/C/B/A)共押出フィルムである。本発明フィルム1~2及び比較フィルムA~Dの構造は、次の通りである。
【表2】

*各多層フィルムは、全ての層に3000pmのタルクを含む。
【0118】
フィルムは、LabTech共押出インフレーションフィルムラインを使用して生成される。このラインは、溝付き供給ゾーンを備えた、5つの30:1L/D単軸スクリュー押出機から構成された。スクリューの直径は、2つの外層押出機では25mm、3つのコア層押出機では20mmである。ダイは74.9mm、ダイギャップは2mmである。溶融温度は430°Fである。ブローアップ比は2.5:1である。出力速度は、20ポンド/時間/インチである。各フィルムの公称厚さは、2ミルである。
【0119】
Gelbo屈曲亀裂性能は、上記の試験方法を使用して測定される(Gelbo屈曲亀裂性能は「欠陥」として報告される)。Gelbo屈曲亀裂性能は、1,000(1k)サイクル後、3000(3k)サイクル後、及び6000(6k)サイクル後に測定される。結果を表3に示す。
【表3】
【0120】
本発明のフィルム1及び2は、比較フィルムA~Dと比較して優れたGelbo屈曲亀裂性能を有する。比較フィルムA~Dを本発明のフィルムと比較すると、本発明のフィルム1及び2は、フィルム中にPDMSを含めることにより、Gelbo屈曲亀裂性能が驚くほど改善されることを実証する。
【国際調査報告】