(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】I2Sオーディオバス用のクロック生成方法及システム、DAC回路
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533898
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022132896
(87)【国際公開番号】W WO2023103749
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111484675.4
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519348325
【氏名又は名称】蘇州上声電子股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SONAVOX ELECTRONICS CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉渝蓉
(72)【発明者】
【氏名】丁洪兵
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】I
2Sオーディオバス用のクロック生成方法及システム、DAC回路を提供する。
【解決手段】このI
2Sオーディオバス用のクロック生成方法は、メインコントローラが前記I
2Sオーディオバスの伝送するオーディオファイルを読み取るステップと、前記メインコントローラが前記オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、前記データビット長及びチャンネル数に基づいて各フレームデータ量を算出して取得し、コントローラによるマスタークロック信号の倍数要求からマスタークロック信号を生成するステップであって、前記マスタークロック信号の周波数がf
s×Xであり、f
sがサンプリングレート、Xが選択された倍数であるステップと、前記スレーブコントローラが前記マスタークロック信号を受信し、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタが実現されるステップと、を含む。本発明は、外部の特別な周波数の水晶発振器の必要がなく、ハードウェア回路の設計を簡単化し、デバイスコストを低減させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
I
2Sオーディオバス用のクロック生成方法であって、
メインコントローラが前記I
2Sオーディオバスの伝送するオーディオファイルを読み取るステップと、前記メインコントローラが前記オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、前記データビット長及びチャンネル数に基づいて各フレームデータ量を算出して取得し、コントローラによるマスタークロック信号の倍数要求からマスタークロック信号を生成するステップであって、前記マスタークロック信号の周波数がf
s×Xであり、f
sがサンプリングレート、Xが選択された倍数であるステップと、前記スレーブコントローラが前記マスタークロック信号を受信し、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタが実現されるステップと、を含む
ことを特徴とするクロック生成方法。
【請求項2】
Xは1フレームあたりのデータ量の2倍以上の整数倍である
ことを特徴とする請求項1に記載のクロック生成方法。
【請求項3】
下式(1)により前記1フレームあたりのデータ量を
Data=L×2 (1)
として算出し、Lがデータビット長である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクロック生成方法。
【請求項4】
デジタル・アナログ変換後の信号はダブルチャンネルアナログ信号である
ことを特徴とする請求項1又は3に記載のクロック生成方法。
【請求項5】
前記メインコントローラは、MCLK出力ポートを有するメインチップであり、前記スレーブコントローラは、MCLK入力ポートを有するスレーブチップであり、前記メインチップから生成された前記マスタークロック信号を前記スレーブチップに出力するように、前記MCLK出力ポートと前記MCLK入力ポートとが電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のクロック生成方法。
【請求項6】
MCLK出力ポートを有するメインチップと、MCLK入力ポートを有するスレーブチップと、を含み、前記MCLK出力ポートとMCLK入力ポートとが電気的に接続されるI
2Sオーディオバス用のクロック生成システムであって、
前記メインチップは、I
2Sオーディオバスで伝送されるオーディオファイルを読み取り、前記オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、前記データビット長及びチャンネル数に基づいて1フレームあたりのデータ量を算出して取得し、前記スレーブチップによるマスタークロック信号の倍数要求に応じて1つのマスタークロック信号を生成し、前記MCLK出力ポートから出力するためのものであり、前記マスタークロック信号の周波数はf
s×Xであり、f
sがサンプリングレート、Xが選択された倍数であり、
前記スレーブチップは、前記MCLK入力ポートを介して前記マスタークロック信号を受信するとともに、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタを実現するためのものである
ことを特徴とするクロック生成システム。
【請求項7】
Xは1フレームあたりのデータ量の2倍以上の整数倍であり、下式(1)により前記1フレームあたりのデータ量を
Data=L×2 (1)
として算出し、Lがデータビット長である
ことを特徴とする請求項6に記載のクロック生成システム。
【請求項8】
デジタル・アナログ変換後の信号はダブルチャンネルアナログ信号である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のクロック生成システム。
【請求項9】
前記メインチップは、前記スレーブチップにシリアルデータビットを出力するためのDBCLKポートと、前記スレーブチップに左右チャンネルクロック信号を出力するためのLRCLKポートと、前記スレーブチップにデータを出力するためのDOUTポートとをさらに備え、前記スレーブチップは、シリアルデータビットを入力するためのDBCLKポートと、左右チャンネルのクロック信号を入力するためのLRCLKポートと、データを入力するためのDINポートとをさらに備え、前記メインチップのDBCLKポートと前記スレーブチップのDBCLKポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続され、前記メインチップのLRCLKポートと前記スレーブチップのLRCLKポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続され、前記メインチップのDOUTポートと前記スレーブチップのDINポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続される
ことを特徴とする請求項6に記載のクロック生成システム。
【請求項10】
前記MCLK出力ポートとMCLK入力ポートとは直接的に接続され、或いは両者間に抵抗が直列に接続される
ことを特徴とする請求項6又は9に記載のクロック生成システム。
【請求項11】
前記スレーブチップは、前記メインチップにデータを出力するためのDOUTポートをさらに備え、前記メインチップは、データを入力するためのDINポートをさらに備え、前記スレーブチップのDOUTポートと前記メインチップのDINポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続される
ことを特徴とする請求項6又は9に記載のクロック生成システム。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか一項に記載のクロック生成システムを含む
ことを特徴とするカーオーディオシステムのDAC回路。
【請求項13】
前記DAC回路は、I
2Sオーディオバスを介してMCUチップに電気的に接続される入力端と、アンプの入力端に電気的に接続される出力端とを備え、前記MCUチップは、音声ファイルを受信するためのものであり、前記アンプは、カースピーカーの発声を駆動するためのものである
ことを特徴とする請求項12に記載のDAC回路。
【請求項14】
請求項6から11のいずれか一項に記載のクロック生成システムを含む
ことを特徴とする歩行者警報装置のDAC回路。
【請求項15】
前記DAC回路は、I
2Sオーディオバスを介してMCUチップに電気的に接続される入力端と、アンプの入力端に電気的に接続される出力端とを備え、前記MCUチップは、音声ファイルを受信するためのものであり、前記アンプは、歩行者警報スピーカーの発声を駆動するためのものである
ことを特徴とする請求項14に記載のDAC回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月7日に提出された、出願番号CN2021114846754の中国専利出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、オーディオシステム分野に属し、I2Sオーディオバス用のクロック生成方法及びシステム、DAC(デジタル・アナログ変換)システムに関し、特にI2Sオーディオバス用の水晶発振器不要のクロック生成方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
オーディオバスの干渉防止能力が強いため、ますますカーエンターテインメント システム又は警報音システムに多く適用されており、データ送信側でI 2Sバスフォーマットで送信され、受信側でDACチップ又はチップにおけるDAC機能モジュールによって還元される。ほとんどのDAC変換チップは、いずれもサンプリング周波数逓倍であるマスタークロック信号を、オーディオのアナログ信号を発生するために、「Δ~Σ」形式を用いる変調器及びデジタルフィルタへ供給する必要がある。
【0004】
現在主流のバイノーラルオーディオフォーマットのため、一般的に、オーディオバス周辺機器付きのコントローラが提供され、多くの場合に、内蔵周辺モジュール(peripheral)のみでデータポート(DIN,DOUT)DBCLK及びLRCK信号ポートが提供されるが、高周波数のMCLKが提供されない。一方、DAC又は統合I 2Sバス受信側のチップレベルの方案プロバイダーによって提供される推奨参照方案及び主流の製品設計は、いずれも12.288MHz(又はその逓倍である24.576MHz等)のアクティブ水晶発振器を用いて、異なるサンプリングレートのオーディオ情報に対応する。
【0005】
デジタルオーディオ方案用のチップもいくつかあり、例えばCODECチップ、オーディオDSPチップであり、これらのチップには、対応するクロック情報を提供する専用のMCLKピンがあるが、これらのチップの方案では、メインチップ上に12.288MHz(又はその逓倍である24.576MHz等)の水晶発振器を外装する必要があり、具体的には、アクティブ水晶発振器やパッシブ水晶発振器、または他の発振器デバイスであってもよい。
【0006】
上記の状況に基づいて、I2S方案を使用するほとんどの設計及び応用では、このような特別な周波数発振回路を用いてMCLK信号をスレーブ チップに提供する。ハードウェアのコストがかかる一方で、信号の周波数が高くなるほど、回路、特にPCBの設計に対する要求が高くなり、ハードウェア回路設計の複雑さが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に対して、本発明は、外部の周波数水晶発振器の必要がなく、ハードウェアシステムの設計が簡略化し、デバイスコストが低下するI2Sオーディオバス用のクロック生成方法及びシステム、DAC回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
メインコントローラが前記I2Sオーディオバスの伝送するオーディオファイルを読み取るステップと、
前記メインコントローラが前記オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、前記データビット長及びチャンネル数に基づいて各フレームデータ量を算出して取得し、コントローラによるマスタークロック信号の倍数要求からマスタークロック信号を生成するステップであって、前記マスタークロック信号の周波数がf s×Xであり、f sがサンプリングレート、Xが選択された倍数であるステップと、
前記スレーブコントローラが前記マスタークロック信号を受信し、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタが実現されるステップと、を含むI2Sオーディオバス用のクロック生成方法が提供される。
【0009】
好ましい一実施例において、Xは、各フレームデータ量の2倍以上の整数倍である。
【0010】
好ましい一実施例において、下記式(1)により前記各フレームデータ量を算出する。
Data=L×2 (1)
ここで、Lはデータビット長である。
【0011】
好ましい一実施例において、デジタル・アナログ変換後の信号は、ダブルチャンネルアナログ信号である。
【0012】
好ましい一実施例において、前記メインコントローラは、MCLK出力ポートを有するメインチップであり、前記スレーブコントローラは、MCLK入力ポートを有するスレーブチップであり、前記メインチップから生成された前記マスタークロック信号を前記スレーブチップに出力するように、前記MCLK出力ポートと前記MCLK入力ポートとが電気的に接続される。
【0013】
本発明の他の態様は、MCLK出力ポートを有するメインチップと、MCLK入力ポートを有するスレーブチップと、を含み、前記MCLK出力ポートとMCLK入力ポートとが電気的に接続され、
前記メインチップは、I2Sオーディオバスで伝送されるオーディオファイルを読み取り、前記オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、前記データビット長及びチャンネル数に基づいて1フレームあたりのデータ量を算出して取得し、前記スレーブチップによるマスタークロック信号の倍数要求に応じて1つのマスタークロック信号を生成し、前記MCLK出力ポートから出力するためのものであり、前記マスタークロック信号の周波数はfs×Xであり、fsがサンプリングレート、Xが選択された倍数であり、
前記スレーブチップは、前記MCLK入力ポートを介して前記マスタークロック信号を受信するとともに、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタを実現するためのものであるI2Sオーディオバス用のクロック生成システムが提供される。
【0014】
好ましい一実施例において、Xは、1フレームあたりのデータ量の2倍以上の整数倍であり、下記の式(1)により前記1フレームあたりのデータ量を算出する。
Data=L×2 (1)
ここで、Lはデータビット長である。
【0015】
好ましい一実施例において、デジタル・アナログ変換後の信号は、ダブルチャンネルアナログ信号である。
【0016】
好ましい一実施例において、前記メインチップは、前記スレーブチップにシリアルデータビットを出力するためのDBCLKポートと、前記スレーブチップに左右チャンネルクロック信号を出力するためのLRCLKポートと、前記スレーブチップにデータを出力するためのDOUTポートとをさらに備え、前記スレーブチップは、シリアルデータビットを入力するためのDBCLKポートと、左右チャンネルのクロック信号を入力するためのLRCLKポートと、データを入力するためのDINポートとをさらに備え、前記メインチップのDBCLKポートと前記スレーブチップのDBCLKポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続され、前記メインチップのLRCLKポートと前記スレーブチップのLRCLKポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続され、前記メインチップのDOUTポートと前記スレーブチップのDINポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続される。
【0017】
好ましい一実施例において、前記MCLK出力ポートとMCLK入力ポートとは、直接的に接続され、又は両者間に抵抗が直列的に接続される。
【0018】
好ましい一実施例において、前記スレーブチップは、前記メインチップにデータを出力するためのDOUTポートをさらに備え、前記メインチップは、データを入力するためのDINポートをさらに備え、前記スレーブチップのDOUTポートと前記メインチップのDINポートとは、直接的に接続され、又は抵抗を介して接続される。
【0019】
本発明の第3態様は、前記したクロック生成システムを含むカーオーディオシステムのDAC回路が提供される。
【0020】
いくつかの実施例において、前記DAC回路は、I2Sオーディオバスを介してMCUチップに電気的に接続される入力端と、アンプの入力端に電気的に接続される出力端とを備え、前記MCUチップは、音声ファイルを受信するためのものであり、前記アンプは、カースピーカーの発声を駆動するためのものである。
【0021】
いくつかの実施例において、音声ファイルは、車両インターフェース及び車両バスを介してMCUチップに伝送し、MCUチップは、I2Sオーディオバスを介してDAC回路に電気的に接続され、DAC回路は、アンプの入力端に電気的に接続され、アンプの出力端は、カースピーカーに電気的に接続される。DAC回路は上記したクロック生成方法を実行し、外部水晶発振器を使用する必要がなく、I 2Sオーディオバスによって伝送されたオーディオファイルをバイノーラルアナログ信号として変換してアンプにフィードする。
【0022】
本発明の第4態様は、前記したクロック生成システムを含む歩行者警報装置のDAC回路が提供される。
【0023】
いくつかの実施例において、前記DAC回路は、I2Sオーディオバスを介してMCUチップに電気的に接続される入力端と、アンプの入力端に電気的に接続される出力端とを備え、前記MCUチップは、音声ファイルを受信するためのものであり、前記アンプは、歩行者警報スピーカーの発声を駆動するためのものである。
【0024】
歩行者警報装置は、車外音響装置であり、電気自動車及びハイブリッド車などの新エネルギー車の低速歩行者警報音の音質を改良することができる。これは、警報音を再生するためのスピーカー(車両に取り付けられ車外へ音声を放送する)と、前記スピーカーの発声を駆動するためのアンプとを含む。これは、新エネルギー車の車速信号を取得するための車載シリアルバスインターフェース回路(CAN、LIN等)をさらに含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記解決策を用いると、従来技術に比べて下記の利点を有する。
【0026】
本発明のクロック生成方法及びシステムでは、I2Sオーディオバスによって伝送されるオーディオファイルを解析することにより、オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を取得し、スレーブコントローラによるDACマスタークロック用の倍数要求に基づいて,スレーブコントローラDACから変換されたマスタークロック信号をスレーブコントローラに出力して、I2SDAC回路で外部の周波数水晶発振器の必要がなく、ハードウェアシステムの設計が簡略化し、デバイスのコストが低下するように実現する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に使用する必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的作業の必要がない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0028】
【
図1】本発明の実施例に係るクロック生成方法のフローチャートである。
【
図2a】本発明の実施例に係るクロック生成システムの構造ブロック図である。
【
図2b】本発明の実施例に係る他のクロック生成システムの構造ブロック図である。
【
図2c】本発明の実施例に係る別のクロック生成システムの構造ブロック図である。
【
図2d】本発明の実施例に係る4番目のクロック生成システムの構造ブロック図である。
【
図3】本実施例に適用するカーオーディオシステムの模式図である。
【
図4】I
2S DAC変換チップマニュアルのMaster表を示す。
【
図5】メインプログラムでのFTM0のプログラムの呼び出しを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の利点及び特徴が当業者によって理解されやすくするように、図面を参照しながら、好ましい本実施例を詳しく説明する。なお、これらの実施形態についての説明は、本発明の理解に寄与するが、本発明に対する限定を構成しない。また、以下、説明する本発明の様々な実施形態に係る技術的特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0030】
本発明の一実施例によれば、オーディオファイルの解析結果により、オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長、チャンネル数を抽出し、メインコントローラの内蔵周辺モジュール(peripheral)(クロックモジュール、PWMモジュール、コンパレータ出力モジュール、PLLモジュール等を含むが、これらに限定されない)により、或いは、任意の上記周辺モジュールを呼び出すことなく、純粋なソフトウェアコードにより作成して、MCLK特性に準拠したチップポートに対応反転出力を生じることができる方形波信号を実現し(周辺モジュールによっても、純粋なコードによっても実現され、以下、「周波数逓倍機能モジュール」と総称する。)、1つのLRCKの周波数逓倍を生成し、オクターブ周波数は、スレーブチップ説明書におけるMCLKへの要求に応じて、1つの周波数逓倍クロック信号を生成する。
【0031】
図1に示すように、本実施例のI
2Sオーディオバス用のクロック生成方法は、
メインコントローラがI
2Sオーディオバスの伝送するオーディオファイルを読み取るステップと、
メインコントローラがオーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、データビット長及びチャンネル数に基づいて各フレームデータ量を算出して取得し、コントローラによるマスタークロック信号の倍数要求からマスタークロック信号を生成するステップであって、マスタークロック信号の周波数がf
s×Xであり、f
sがサンプリングレート、Xが選択された倍数であるステップと、
コントローラからマスタークロック信号を受信するとともに、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタを実現し、アンプにフィードするためのアナログ信号を出力するステップと、を含む。
【0032】
具体的には、メインコントローラはメインチップであり、スレーブコントローラはスレーブチップである。メインチップのプログラムは、I2Sオーディオバスによって伝送されたオーディオファイルの下記情報を読取る。
所定倍数がX、
データのワード長がL、
チャンネル数が2、
フレーム周波数がfw、
サンプリングレートがfsであり、
1フレームあたりのデータ量をData=L×2として算出し取得する。
【0033】
選択された倍数Xは、スレーブチップ説明書又は応用ノートのMaster表からのもので、通常、Dataの2倍以上の整数倍である。実際に応用された、スレーブチップによるマスタークロック信号MCLKへの倍数要求に応じて、1つの適当なマスタークロック信号MCLKをスレーブチップのために生成する。
【0034】
マスタークロック信号MCLKの周波数は、fs×Xである。
【0035】
例えば、1つのオーディオファイルから解析して、データ長が16ビット、サンプリングレートが16KHz、チャンネル数が2であるという結果を取得し、メインチップは、16ビットのデータワード長のオーディオファイルとして解析し取得し、MCLKがLRCKの1024、512、256、128又は64倍であることを要求し、算出すると、1フレームあたりのデータ量は32bitsであるため、倍数として64倍がそのまま採用される。従って、MCLKの周波数は、16KHz×64=1MHzとなる。従って、メインコントローラの内蔵周辺モジュールにより、周波数逓倍機能モジュールによって、デューティサイクル(例えば50%)がスレーブチップによるMCLKデューティサイクルに合致する1MHzの信号を生成する。スレーブチップのMCLKポートに接続される。もちろん、128倍数を選択して2MHzのクロックを生成してもよい。
【0036】
チャンネル数が2であり、対応的に、スレーブチップデジタル・アナログ変換後の信号はダブルチャンネルアナログ信号である。
【0037】
図2aは、本実施例に係るクロック生成システムを示す。
図2aに示すように、このクロック生成システムは、メインチップ100及びスレーブチップ200を含む。メインチップ100は、DBLCKポート、LRCLKポート、DOUTポート、DINポート及びMCLKポートを備え、スレーブチップ200はDBCLKポート、LRCLKポート、DINポート、DOUTポート及びMCLKポートを備える。
【0038】
メインチップ100は、I2Sオーディオバスで伝送されるオーディオファイルを読み取り、オーディオファイルのサンプリングレート、データビット長及びチャンネル数を読み取り、データビット長及びチャンネル数に基づいて1フレームあたりのデータ量を算出して取得し、スレーブチップ200によるマスタークロック信号の倍数要求に応じて1つのマスタークロック信号を生成し、MCLK出力ポートから出力するためのものであり、マスタークロック信号の周波数はfs×Xであり、fsがサンプリングレート、Xが選択された倍数である。
【0039】
スレーブチップ200であって、MCLK入力ポートを介してマスタークロック信号を受信するとともに、マスタークロック信号をクロックソースとし、オーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタを実現し、アンプにフィードするためのアナログ信号を出力するためのものである。
【0040】
メインチップ100のDBCLKポートと、スレーブチップ200のDBCLKポートとは、電気的に接続され、さらに、メインチップ100は、スレーブチップ200へシリアルデータビットクロック信号(DBCLK)を伝送する。メインチップ100のLRCLKポートと、スレーブチップ200のLRCLKポートとは、電気的に直接接続され、メインチップ100は、スレーブチップ200へ左右チャンネルのクロック信号(LRCLK)を伝送する。メインチップ100のDOUTポートと、スレーブチップ200のDINポートとは、電気的に直接接続され、さらに、メインチップ100はスレーブチップ200へオーディオデータを伝送する。メインチップ100のMCLK出力ポートと、スレーブチップ200のMCLK入力ポートとは、電気的に直接接続され、さらに、メインチップ100は、スレーブチップ200へ生成したマスタークロック信号(MCLK)を伝送する。さらに、スレーブチップ200のDOUTポートと、メインチップ100のDINポートとは、電気的に直接接続されるため、スレーブチップ200は、メインチップ100へオーディオデータを伝送することができ、言い換えれば、メインチップ100とスレーブチップ200との間で双方向データ伝送が行われることができる。メインチップ100は、バスオーディオ解析プログラムを実行してI2Sオーディオバスから受信したオーディオファイルを解析することができ、上記方法に従ってマスタークロック信号を生成することもできる。スレーブチップ200は、マスタークロック信号をクロックソースとし、「Δ~σ」形式の変調器及びデジタルフィルタでオーディオデジタル・アナログ変換の変調フィルタを実現し、メインチップ100から受信したマスタークロック信号、シリアルデータビットクロック信号、左右チャンネルクロック信号により、メインチップ100から受信したオーディオデータを変調変換処理し、オーディオのアナログ信号をアンプへフィードするために生成し、アンプによってスピーカーの発声を駆動する。このシステムにおいて、マスタークロック信号は、任意のパッシブまたはアクティブ発振器デバイス(例えば水晶発振器、セラミック発振器、ディスクリートロジックデバイス等)から提供されず、メインチップ100及びその内部プログラムによって実現される。
【0041】
図2bは、本実施例に係る他のクロック生成システムを示す。
図2bに示すように、このクロック生成システムは、
図2aに示すクロック生成システムとほぼ同じであり、相違としては、メインチップ100のポートとスレーブチップ200のポートとの間に1つの抵抗300が直列に接続され、両者間が抵抗300を介して電気的に接続され、よりよい信号伝送効果が得られることのみである。具体的には、メインチップ100のDBCLKポートとスレーブチップ200のDBCLKポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のLRCLKポートとスレーブチップ200のLRCLKポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のDINポートとスレーブチップ200のDOUTポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のDOUTポートとスレーブチップ200のDINポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のMCLK出力ポートとスレーブチップ200のMCLK入力ポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続される。
【0042】
図2cは、本実施例に係る別のクロック生成システムを示す。
図2cに示すように、このクロック生成システムは
図2aに示すクロック生成システムとほぼ同じであり、相違としては、メインチップ100にDINポートがなく、スレーブチップ200にDOUTポートがなく、つまり、メインチップ100とスレーブチップ200との間で双方向のデータ転送をできなく、オーディオデータがメインチップ100からスレーブチップ200まで伝送するしかできないことのみである。
【0043】
図2dは、本実施例に係る別のクロック生成システムを示す。
図2dに示すように、このクロック生成システムは
図2aに示すクロック生成システムとほぼ同じであり、相違としては、メインチップ100にDINポートがなく、スレーブチップ200にDOUTポートがなく、オーディオデータがメインチップ100からスレーブチップ200まで伝送されるしかできず、且つメインチップ100のポートとスレーブチップ200のポートとの間に抵抗300が直列に接続され、両者間が1つの抵抗300を介して電気的に接続され、よりよい信号伝送効果が得られることのみである。具体的には、メインチップ100のDBCLKポートとスレーブチップ200のDBCLKポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のLRCLKポートとスレーブチップ200のLRCLKポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のDOUTポートとスレーブチップ200のDINポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続され、メインチップ100のMCLK出力ポートとスレーブチップ200のMCLK入力ポートとの間には1つの抵抗300が直列に接続される。
【0044】
図3は、カーオーディオシステムでの本実施例に係る方法及びシステムの具体的な適用を示す。即ち、本実施例は、上記したメインチップ100及びスレーブチップ200を含むカーオーディオシステムのDAC回路も提供され、DAC回路3は、MCUチップ1とアンプ4との間に接続され、アンプによって拡大した後、カースピーカーへフィードし、サウンドの再生を実行するように、オーディオファイルをマルチチャンネルのアナログ信号に変換するためのものである。
図3に示すように、DAC回路3は、本実施例のクロック生成システムを含み、音声ファイルは車両インターフェース、車両バスを介してMCUチップ1に伝送され、MCUチップ1は、I 2Sオーディオバス2を介してDAC回路3に電気的に接続され、DAC回路3とアンプ4の入力端とは電気的に接続され、アンプ4の出力端とカースピーカー5とは電気的に接続される。DAC回路3は本実施例のクロック生成方法を実行し、外部水晶発振器を使用する必要がなく、I
2Sオーディオバス2によって伝送されたオーディオファイルをバイノーラルアナログ信号として変換してアンプ4にフィードする。
【0045】
本実施例は、上記したメインチップ100及びスレーブチップ200を含む歩行者警報装置のDAC回路も提供され、DAC回路は、MCUチップ1とアンプ4との間に接続され、アンプによって拡大した後、歩行者警報スピーカーへフィードし、警報音を発するように、オーディオファイルをマルチチャンネルのアナログ信号に変換するためのものである。
【0046】
例
1.音声ファイルの開始セクションを解析することによって、音声情報を、16ビット、2チャンネル、サンプリングレート16KHzとして了解するようになる。
【0047】
2.I
2S DAC変換チップマニュアルのMaster表(
図4に示す)を参照して、適当なMCLK/LRCLK倍数を選択し、ここで64を選択する。
【0048】
3.上記方法で表1に示す特徴を算出する。
【0049】
【0050】
故に、本例に所要のMCLKクロックが1MHzであると結論付けることができる。
【0051】
4.本例で採用されるMCU(マイクロコントローラ、以下、シングルチップマイコンと称する)はFS32K144であり、外部水晶発振器は8MHzである。クロック内蔵周辺モジュールとしては、シングルチップマイコン固有のFTMモジュールが用いられ、具体的にはFTM0が用いられる。
【0052】
1)まずポートを配置し、MCLKをFTM0、ポートB13に配置し、
2)FTM0のクロックソースを配置し、水晶発振器クロックに等しいものをクロックソースとして選択し、
3)FTM0機能モジュールの配置として、効率配置が1MHz、配置デューティサイクルが50%であり、
4)FSシリーズシングルチップマイコンのIDEとして、構成が完了したら、ProcessorExpertコードを1回生成し、
5)FTM0のプログラムのメインプログラムでの呼び出しは
図5に示す。
【0053】
本明細書及び特許請求の範囲に示すように、「含む」及び「含まれる」という用語は、明確に標識されたステップ及び要素が含まれることが提示されるだけであるが、これらのステップ及び要素は排他的なリストを構成するものではなく、方法や装置には、他のステップ又は要素も含まれる可能性もある。
【0054】
さらに、本開示における「複数」は2つ以上を指し、他の数量詞もそれに類似することが理解される。
【0055】
さらに、「第1」、「第2」などの用語は、様々な情報を説明するためのものであるが、これらの情報はこれらの用語に限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は、同じタイプの情報を互いに区別するためのものに過ぎず、特定の順序や重要度合を意味するものではない。実際に、「第1」、「第2」などの表現は互換的に使用されることができる。例えば、本開示の範囲を逸脱しない限り、第1情報を第2情報とも呼ぶことができ、同様に、第2情報を第1情報とも呼ぶことができる。
【0056】
この実施形態では、別段の明確な記載及び制限がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴との間の直接接触を含んでもよいし、第1及び第2特徴間の直接接触ではなく、それらの間の他の特徴で接触することを含んでもよい。そして、第1特徴は第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることとは、第1特徴が第2特徴の直上又は斜め上方にあることを含み、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことのみを示す。第1特徴は第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることとは、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下方にあることを含み、或いは第1特徴の水平高さが第2特徴より低いことのみを示す。
【0057】
上記実施例は、本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものに過ぎず、好ましい実施例であり、その目的として、この技術を知っている人が本発明の内容を了解してこれによって実施することができるが、これにより本発明の保護範囲を制限することができない。
【国際調査報告】