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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】駆動回路及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20241128BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20241128BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241128BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241128BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G09G3/32 A
H01L33/00 J
G09F9/33
G09F9/30 338
G09G3/20 624B
G09G3/20 611H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533906
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022142985
(87)【国際公開番号】W WO2024045449
(87)【国際公開日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】202211046534.9
(32)【優先日】2022-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141718
【氏名又は名称】恵科股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HKC Corporation Limited
【住所又は居所原語表記】1F-3F, 5F-7F of Factory Building 1, 7F of Factory Building 6, Huike Industrial Park, No.1 Industrial 2nd Road, Shilong Community, Shiyan Street, Baoan District, Shenzhen, China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】周 仁杰
(72)【発明者】
【氏名】康 報虹
【テーマコード(参考)】
5C080
5C094
5C380
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C094AA01
5C094BA03
5C094BA23
5C094CA19
5C094DA09
5C094DB04
5C380AA03
5C380AB06
5C380BA36
5C380BA37
5C380BB02
5C380BB12
5C380CC04
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC64
5C380CD015
5C380DA06
5C380GA17
5F241AA05
5F241BB07
5F241BB18
5F241BC03
5F241BC44
5F241BC47
5F241FF06
(57)【要約】
本願は、駆動回路及び表示パネル(100)を開示する。駆動回路は、発光モジュール(10)と、出力端子が発光モジュール(10)に接続されたスイッチングモジュール(20)と、出力端子がスイッチングモジュール(20)の入力端子に接続されたデータ駆動モジュール(30)と、出力端子がデータ駆動モジュール(30)に接続された保護モジュール(40)と、出力端子がデータ駆動モジュール(30)の出力端子及びスイッチングモジュール(20)の入力端子に接続された補償モジュール(50)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路であって、
発光モジュール(10)と、
出力端子が前記発光モジュール(10)に接続されており、第1の走査信号(Scan1)が入力され、前記第1の走査信号(Scan1)の制御下でオン状態とオフ状態との間で切り替わるように構成されたスイッチングモジュール(20)と、
出力端子が前記スイッチングモジュール(20)の入力端子に接続されており、データ駆動電圧(Vdata)及び前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、前記第1の走査信号(Scan1)の制御下で、前記データ駆動電圧(Vdata)を前記スイッチングモジュール(20)を介して前記発光モジュール(10)に伝送するように構成されたデータ駆動モジュール(30)と、
出力端子が前記データ駆動モジュール(30)に接続されており、第2の走査信号(Scan2)が入力され、前記第2の走査信号(Scan2)の制御下で、前記データ駆動モジュール(30)から前記発光モジュール(10)にデータ駆動電圧(Vdata)を出力するのを阻止するように構成された保護モジュール(40)と、
出力端子が前記データ駆動モジュール(30)の出力端子及び前記スイッチングモジュール(20)の入力端子に接続されており、基準電圧(VREF)及び第3の走査信号(Scan3)が入力され、前記第3の走査信号(Scan3)の制御下で、前記基準電圧(VREF)を前記データ駆動モジュール(30)に伝送するように構成された補償モジュール(50)と、
を含む駆動回路。
【請求項2】
前記発光モジュール(10)は、第1のトランジスタ(T1)と発光素子(Micro LED)とを含み、
前記第1のトランジスタ(T1)は、ゲートが前記スイッチングモジュール(20)の出力端子に接続され、ソースが前記発光素子(Micro LED)のアノード端子に接続され、ドレインには第1の電源電圧(VDD)が入力され、
前記発光素子(Micro LED)のカソード端子に第2の電源電圧(VSS)が入力される
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタ(T1)のソースとドレインとが対称であり、前記第1のトランジスタ(T1)が電界効果トランジスタであり、且つ、
前記発光素子(Micro LED)はマイクロ発光ダイオードである
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1の電源電圧(VDD)と前記第2の電源電圧(VSS)とは、前記駆動回路に接続された外部の電源から供給され、前記第1の電源電圧(VDD)の出力電圧値は前記第2の電源電圧(VSS)の出力電圧値より大きい
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記スイッチングモジュール(20)は第2のトランジスタ(T2)を含み、
前記第2のトランジスタ(T2)は、ゲートに前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、入力端子が前記スイッチングモジュール(20)、前記データ駆動モジュール(30)及び前記補償モジュール(50)の接続点である第2のノードに電気的に接続され、出力端子が前記第1のトランジスタ(T1)のゲートに接続されている
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第2のトランジスタ(T2)は、P型トランジスタとN型トランジスタとを含み、
前記P型トランジスタは、ゲートがローレベルである時にオンし、ゲートがハイレベルである時にオフし、且つ、
前記N型トランジスタは、ゲートがハイレベルである時にオンし、ゲートがローレベルである時にオフする
請求項5に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記データ駆動モジュール(30)は、
ゲートに前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、入力端子に前記データ駆動電圧(Vdata)が入力され、出力端子が前記データ駆動モジュール(30)と前記保護モジュール(40)との接続点である第1のノード(A)に電気的に接続された第3のトランジスタ(T3)と、
第1の端子が前記第1のノード(A)に電気的に接続され、第2の端子が前記第2のノードに電気的に接続されたコンデンサ(C)と、
を含む請求項5に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記保護モジュール(40)は、
ゲートに前記第2の走査信号(Scan2)が入力され、入力端子が前記第1のノード(A)に電気的に接続され、出力端子が接地された第4のトランジスタ(T4)を含む
請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記補償モジュール(50)は、
ゲートに前記第3の走査信号(Scan3)が入力され、入力端子に前記基準電圧(VREF)が入力され、出力端子が前記第2のノードに電気的に接続された第5のトランジスタ(T5)を含む
請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
前記第1の走査信号(Scan1)、前記第2の走査信号(Scan2)及び前記第3の走査信号(Scan3)は、外部のタイミングコントローラから、前記駆動回路に接続された外部の走査線により供給されるように構成されている
請求項9に記載の駆動回路。
【請求項11】
前記第1のトランジスタ(T1)、前記第2のトランジスタ(T2)、前記第3のトランジスタ(T3)、前記第4のトランジスタ(T4)及び前記第5のトランジスタ(T5)は、全て酸化物半導体薄膜トランジスタである
請求項9に記載の駆動回路。
【請求項12】
前記第1の走査信号(Scan1)がローレベルであり、前記第2の走査信号(Scan2)と前記第3の走査信号(Scan3)とがハイレベルであるとき、前記第1のトランジスタ(T1)、前記第2のトランジスタ(T2)及び前記第3のトランジスタ(T3)がオフし、前記発光素子(Micro LED)がオフして発光せず、前記第4のトランジスタ(T4)及び前記第5のトランジスタ(T5)がオンし、前記第1のノード(A)が接地され、前記第2のノードに前記基準電圧(VREF)が入力され、前記コンデンサ(C)が前記基準電圧(VREF)に基づいて充電される
請求項9に記載の駆動回路。
【請求項13】
前記第1の走査信号(Scan1)がハイレベルであり、前記第2の走査信号(Scan2)及び前記第3の走査信号(Scan3)がローレベルであるとき、前記第1のトランジスタ(T1)、前記第2のトランジスタ(T2)及び前記第3のトランジスタ(T3)が全てオンし、前記第1のトランジスタ(T1)のゲートに、前記基準電圧(VREF)にデータ駆動信号を重ね合わせてなる補償電圧が入力され、前記発光素子(Micro LED)がオンして発光し、前記第4のトランジスタ(T4)及び前記第5のトランジスタ(T5)がオフする
請求項12に記載の駆動回路。
【請求項14】
前記第1の走査信号(Scan1)及び前記第3の走査信号(Scan3)がローレベルであり、前記第2の走査信号(Scan2)がハイレベルであるとき、前記第1のトランジスタ(T1)、前記第2のトランジスタ(T2)、前記第3のトランジスタ(T3)及び前記第5のトランジスタ(T5)が微弱なオン状態になり、前記第4のトランジスタ(T4)がオンすることにより前記発光素子(Micro LED)が微発光状態になることが不可能である
請求項13に記載の駆動回路。
【請求項15】
駆動回路を含む表示パネル(100)であって、
前記駆動回路は、
発光モジュール(10)と、
出力端子が前記発光モジュール(10)に接続されており、第1の走査信号(Scan1)が入力され、前記第1の走査信号(Scan1)の制御下でオン状態とオフ状態との間で切り替わるように構成されたスイッチングモジュール(20)と、
出力端子が前記スイッチングモジュール(20)の入力端子に接続されており、データ駆動電圧(Vdata)及び前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、前記第1の走査信号(Scan1)の制御下で、前記データ駆動電圧(Vdata)を前記スイッチングモジュール(20)を介して前記発光モジュール(10)に伝送するように構成されたデータ駆動モジュール(30)と、
出力端子が前記データ駆動モジュール(30)に接続されており、第2の走査信号(Scan2)が入力され、前記第2の走査信号(Scan2)の制御下で、前記データ駆動モジュール(30)から前記発光モジュール(10)にデータ駆動電圧(Vdata)を出力するのを阻止するように構成された保護モジュール(40)と、
出力端子が前記データ駆動モジュール(30)の出力端子及び前記スイッチングモジュール(20)の入力端子に接続されており、基準電圧(VREF)及び第3の走査信号(Scan3)が入力され、前記第3の走査信号(Scan3)の制御下で、前記基準電圧(VREF)を前記データ駆動モジュール(30)に伝送するように構成された補償モジュール(50)と、
を含む表示パネル(100)。
【請求項16】
前記発光モジュール(10)は、第1のトランジスタ(T1)と発光素子(Micro LED)とを含み、
前記第1のトランジスタ(T1)は、ゲートが前記スイッチングモジュール(20)の出力端子に接続され、ソースが前記発光素子(Micro LED)のアノード端子に接続され、ドレインには第1の電源電圧(VDD)が入力され、
前記発光素子(Micro LED)のカソード端子に第2の電源電圧(VSS)が入力される
請求項15に記載の表示パネル(100)。
【請求項17】
前記スイッチングモジュール(20)は第2のトランジスタ(T2)を含み、
前記第2のトランジスタ(T2)は、ゲートに前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、入力端子が前記スイッチングモジュール(20)、前記データ駆動モジュール(30)及び前記補償モジュール(50)の接続点である第2のノードに電気的に接続され、出力端子が前記第1のトランジスタ(T1)のゲートに接続されている
請求項16に記載の表示パネル(100)。
【請求項18】
前記データ駆動モジュール(30)は、
ゲートに前記第1の走査信号(Scan1)が入力され、入力端子に前記データ駆動電圧(Vdata)が入力され、出力端子が前記データ駆動モジュール(30)と前記保護モジュール(40)との接続点である第1のノード(A)に電気的に接続された第3のトランジスタ(T3)と、
第1の端子が前記第1のノード(A)に電気的に接続され、第2の端子が前記第2のノードに電気的に接続されたコンデンサ(C)と、
を含む請求項17に記載の表示パネル(100)。
【請求項19】
前記保護モジュール(40)は、
ゲートに前記第2の走査信号(Scan2)が入力され、入力端子が前記第1のノード(A)に電気的に接続され、出力端子が接地された第4のトランジスタ(T4)を含む
請求項18に記載の表示パネル(100)。
【請求項20】
前記補償モジュール(50)は、
ゲートに前記第3の走査信号(Scan3)が入力され、入力端子に前記基準電圧(VREF)が入力され、出力端子が前記第2のノードに電気的に接続された第5のトランジスタ(T5)を含む
請求項19に記載の表示パネル(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2022年8月29日に出願された、出願番号が202211046534.9である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は表示の技術分野に関するものであり、特に、駆動回路及び表示パネルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の技術では、表示パネルは、データ線を介してパネル内の各micro led(light-emitting diode,マイクロ発光ダイオード)にデータ駆動電圧を供給するのが一般的である。
【0004】
しかし、データ線自体に電気抵抗があり、データ線と表示パネルの異なる位置との接続線の長さが異なるため、電気抵抗も異なる。これにより、データ線から表示パネルの位置に到達するデータ駆動電圧が必然的に異なるため、micro ledによる発光に色のずれや輝度ムラなどの現象が発生する。また、表示パネルが大きいほど、データ線による損失が大きくなるため、データ線が長すぎると、大きなインピーダンス損失により、データ駆動電圧が必然的に不正確になり、発光輝度や色彩が目標値に達せず、さらに表示パネルに画質ムラの現象が生じることになる。
【0005】
上述した内容は、本願に関連する背景情報を提供するだけであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の主な目的は、データ線のデータ駆動電圧を如何に補償することで、表示パネルに画質のばらつきが発生するのを回避できるかという技術的問題を解決するための駆動回路及び表示パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本願は駆動回路を提供し、
前記駆動回路は、
発光モジュールと、
出力端子が前記発光モジュールに接続されており、第1の走査信号が入力され、前記第1の走査信号の制御下でオン状態とオフ状態との間で切り替わるように構成されたスイッチングモジュールと、
出力端子が前記スイッチングモジュールの入力端子に接続されており、データ駆動電圧及び前記第1の走査信号が入力され、前記第1の走査信号の制御下で、前記データ駆動電圧を前記スイッチングモジュールを介して前記発光モジュールに伝送するように構成されたデータ駆動モジュールと、
出力端子が前記データ駆動モジュールに接続されており、第2の走査信号が入力され、前記第2の走査信号の制御下で、前記データ駆動モジュールから前記発光モジュールにデータ駆動電圧を出力するのを阻止するように構成された保護モジュールと、
出力端子が前記データ駆動モジュールの出力端子及び前記スイッチングモジュールの入力端子に接続されており、基準電圧及び第3の走査信号が入力され、前記第3の走査信号の制御下で、前記基準電圧を前記データ駆動モジュールに伝送するように構成された補償モジュールと、を含む。
【0008】
さらに、上記目的を達成するために、本願は、上記のような駆動回路を含む表示パネルをさらに提供する。
(有益な効果)
【0009】
本願は、駆動回路及び表示パネルを提案する。この駆動回路は、5T1C構造を採用し、スイッチングモジュール、データ駆動モジュール、保護モジュール及び補償モジュールの協働により、表示パネル内の各micro ledが受信するデータ駆動電圧を効果的に補償する。これにより、表示パネル内の各micro ledのデータ駆動電圧を一様に保つことができ、発光輝度や色彩が全て目標値に達せるため、表示パネルに画質ムラの現象が発生するのを回避し、従来技術における、データ線から表示パネルの異なる位置に到達するデータ駆動電圧が異なることにより、表示パネル内の各micro ledの発光時に色のずれや輝度ムラ等の現象が発生する技術的問題を克服した。
【0010】
本願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願の駆動回路の一実施例の機能モジュール模式図である。
図2】本願の駆動回路の一実施例の回路構成模式図である。
図3】本願の駆動回路の一実施例にかかる表示パネルの区画の模式図である。
図4】本願の実施例の案にかかる表示パネルの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0013】
ここで説明する具体的な実施例は本願を解釈するためだけに使われるものであって、本願を限定するために使われるものではないことは、理解しておくべきである。
【0014】
本願の実施例は駆動回路を提供し、図1を参照し、図1は、本願の駆動回路の一実施例の機能モジュール模式図である。
【0015】
本実施例において、前記駆動回路は、
発光モジュール10と、
出力端子が前記発光モジュール10に接続されたスイッチングモジュール20であって、第1の走査信号Scan1が入力され、前記第1の走査信号Scan1の制御下でオン状態とオフ状態との間で切り替わるように構成されたスイッチングモジュール20と、
出力端子が前記スイッチングモジュール20の入力端子に接続されたデータ駆動モジュール30であって、データ駆動電圧Vdata及び前記第1の走査信号Scan1が入力され、前記第1の走査信号Scan1の制御下で、前記スイッチングモジュール20を介して前記データ駆動電圧Vdataを前記発光モジュールに10伝送するように構成されたデータ駆動モジュール30と、
出力端子が前記データ駆動モジュール30に接続された保護モジュール40であって、第2の走査信号Scan2が入力され、前記第2の走査信号Scan2の制御下で、前記データ駆動モジュール30から前記発光モジュール10にデータ駆動電圧Vdataを出力するのを阻止するように構成された保護モジュール40と、
出力端子が前記データ駆動モジュール30の出力端子及び前記スイッチングモジュール20の入力端子に接続された補償モジュール50であって、基準電圧VREF及び第3の走査信号Scan3が入力され、前記第3の走査信号Scan3の制御下で、前記基準電圧VREFを前記データ駆動モジュール30に伝送するように構成された補償モジュール50と、を含む。
【0016】
本実施例が提供する駆動回路は、表示パネル100内のmicro ledの数に基づいて設置される。すなわち、各micro ledにその対応する駆動回路が存在し、データ駆動電圧Vdataはデータ線から、基準電圧VREFは制御チップのレジスタから供給される。
【0017】
さらに、図2を参照し、図2は本願の駆動回路の一実施例の回路構成模式図である。
【0018】
なお、本明細書の全ての実施例において採用されるトランジスタは、TFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)、電界効果トランジスタ、又は他の同じ特性を有する素子であってもよく、本明細書で使用されるトランジスタは、ソースとドレインとが対称であるため、そのソースとドレインを入れ替えてもよい。本願の実施例において、トランジスタのゲート以外の両極を区別するために、一方の極をソースと称し、他方の極をドレインと称する。本実施例において採用されるトランジスタは、ゲートがローレベルである場合にオンし、ゲートがハイレベルである場合にオフするP型トランジスタと、ゲートがハイレベルである場合にオンし、ゲートがローレベルである場合にオフするN型トランジスタとの2種類を含んでもよく、P型トランジスタとN型トランジスタとは、ソースとドレインが逆であるため、本実施例では、各トランジスタについて、ゲート以外の2端子を全て入力端子と出力端子とで命名し、具体的なソースとドレインは、トランジスタがP型であるかN型であるかによって決定される。図2において、図中のG、D、Sの符号から第1のトランジスタT1の各ポート特性を特定することができ、GはT1のゲート、SはT1のソース、DはT1のドレインである。残りの各トランジスタは、信号生成の開始部分に基づいて、各トランジスタの中間端子がゲート、信号入力端子がソース又はドレイン、信号出力端子が信号入力端子に対応するドレイン又はソースであるように規定されてもよい。
【0019】
図2に示すように、いくつかの可能な実施例において、前記発光モジュール10は、第1のトランジスタT1と発光素子Micro LEDとを含み、
前記第1のトランジスタT1は、ゲートが前記スイッチングモジュール20の出力端子に接続され、ソースが前記発光素子Micro LEDのアノード端子に接続され、ドレインには第1の電源電圧VDDが入力され、
前記発光素子Micro LEDのカソード端子に第2の電源電圧VSSが入力される。
【0020】
いくつかの実施例において、この発光素子Micro LEDは、マイクロ発光ダイオードであってもよい。すなわち、本願の実施例は、5T1C構造の駆動回路を用いて、表示パネル100内の各発光素子Micro LEDに対応する第1のトランジスタT1の閾値電圧を効果的に補償するものであり、使用される部品数が少なく、構造が簡単で安定しており、コストが削減される。
【0021】
いくつかの実施例において、第1の電源電圧VDDと第2の電源電圧VSSとは、前記駆動回路に接続された外部の電源から供給されてもよい。第1の電源電圧VDDと第2の電源電圧VSSとは、いずれも一つの予め設定された電圧値を出力するように構成されている。また、本願の実施例において、第1の電源電圧VDDの出力電圧値は第2の電源電圧VSSの出力電圧値より大きい。
【0022】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記スイッチングモジュール20は、第2のトランジスタT2を含み、
前記第2のトランジスタT2は、ゲートに前記第1の走査信号Scan1が入力され、入力端子が前記スイッチングモジュール20、前記データ駆動モジュール30及び前記補償モジュール50の接続点である第2のノードBに電気的に接続され、出力端子が前記第3のトランジスタT3のゲートに接続されている。
【0023】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記データ駆動モジュール30は、
ゲートに前記第1の走査信号Scan1が入力され、入力端子に前記データ駆動電圧Vdataが入力され、出力端子が前記データ駆動モジュール30と前記保護モジュール40との接続点である第1のノードAに電気的に接続された第3のトランジスタT3と、
第1の端子が前記第1のノードAに電気的に接続され、第2の端子が前記第2のノードBに電気的に接続されたコンデンサCと、を含む。
【0024】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記保護モジュール40は、
ゲートに前記第2の走査信号Scan2が入力され、入力端子が前記第1のノードAに電気的に接続され、出力端子が接地された第4のトランジスタT4を含む。
【0025】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記補償モジュール50は、
ゲートに前記第3の走査信号Scan3が入力され、入力端子に前記基準電圧VREF Nが入力され、出力端子が前記第2のノードBに電気的に接続された第5のトランジスタT5を含む。
【0026】
さらに、いくつかの可能な実施例において、第1の走査信号Scan1、第2の走査信号Scan2及び第3の走査信号Scan3は、外部のタイミングコントローラから、駆動回路に接続された外部の走査線により供給されてもよい。
【0027】
さらに、いくつかの可能な実施例において、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、第3のトランジスタT3、第4のトランジスタT4及び第5のトランジスタT5は、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、酸化物半導体薄膜トランジスタ、又はアモルファスシリコン薄膜トランジスタであってもよい。本願の実施例で提供される駆動回路内のトランジスタを同一材質のトランジスタとすることにより、異なる材質のトランジスタ間の差異が駆動回路に影響するのを回避することができる。
【0028】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記第1の走査信号Scan1がローレベルであり、前記第2の走査信号Scan2と前記第3の走査信号Scan3とがハイレベルであるとき、前記第1のトランジスタT1、前記第2のトランジスタT2及び前記第3のトランジスタT3がオフし、前記発光素子Micro LEDがオフして発光せず、前記第4のトランジスタT4及び前記第5のトランジスタT5がオンし、前記第1のノードAが接地され、前記第2のノードBに前記基準電圧VREF Nが入力され、前記コンデンサCが前記基準電圧VREF Nに基づいて充電される。
【0029】
なお、Scan1がローレベルであり、Scan2及びScan3がハイレベルであるとき、T1、T2及びT3がオフ、T4及びT5がオンするため、B点に1つのVREF電圧を書き込んでンデンサCを充電し、表示パネル100の区画された異なる領域に書き込むVREF電圧の大きさを異ならせる。
【0030】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記第1の走査信号Scan1がハイレベルであり、前記第2の走査信号Scan2及び前記第3の走査信号Scan3がローレベルであるとき、前記第1のトランジスタT1、前記第2のトランジスタT2及び前記第3のトランジスタT3が全てオンし、前記第1のトランジスタT1のゲートに、前記基準電圧VREF Nに前記データ駆動信号を重ね合わせてなる補償電圧が入力され、前記発光素子Micro LEDがオンして発光し、前記第4のトランジスタT4及び前記第5のトランジスタT5がオフする。
【0031】
なお、Scan1がハイレベルであり、Scan2及びScan3がローレベルであるとき、T2及びT3がオン、T4及びT5がオフするため、T1のG点の電圧がVg=Vdata+VREFとなり、T1がオンし、発光素子Micro LEDがオンして発光する。
【0032】
さらに、いくつかの可能な実施例において、前記第1の走査信号Scan1及び前記第3の走査信号Scan3がローレベルであり、前記第2の走査信号Scan2がハイレベルであるとき、前記第1のトランジスタT1、前記第2のトランジスタT2、前記第3のトランジスタT3及び前記第5のトランジスタT5が高温のために微弱なオン状態になり、前記第4のトランジスタT4がオンすることにより前記発光素子Micro LEDが微発光状態になることが不可能である。
【0033】
なお、表示パネル100が高温環境において動作する場合、TFTの閾値電圧が小さくなるため、いずれのTFTも微弱なオン状態となる可能性があり、データ線からの電圧Vdataが発光駆動用のTFT、すなわち図におけるT1のG点に到達する可能性がある。すると、T1が微弱なオン状態となる可能性があり、VDDの電流がmicro ledに入りmicro ledに微発光状態とする可能性がある。一方、本実施例ではコンデンサCとT4を設け、この場合にScan2をハイレベルに調整すれば、T1とT3を隔離することができ、Vdataの直流成分がT1のG点に入れなくなり、micro ledが微発光状態になるのを回避する。
【0034】
なお、1つの表示パネル100をN個の領域に分ける場合、図3を参照し、表示パネル100を9個の領域に分割すると、Source線101(すなわち、データ線)から各領域までの線長が同じでないため、電気抵抗が異なる。また、パネルが大きいほど、データ線の電気抵抗の差が大きくなるため、必然的に表示パネル100に色のずれや輝度ムラなどの現象が発生することになる。したがって、本実施例は、駆動回路を提供し、データ線にプリチャージ電圧VREF N(Nは領域の番号)を加えることにより、表示パネル100の異なる領域の異なるデータ線電気抵抗による異なる電圧の問題を解決する。実際では、VREF Nの各領域の電圧の大きさは、制御チップのレジスタを介して人為的に調節して、理論値と実際のプロセスとの差により補償が理想的でない状況を回避することができる。区画が多いほど、調節の効果が理想的になる。また、VREF N電圧は、プロセスによる製造のたびに、一度調節される必要があるのみである。この時、表示パネル100のデータ線の各領域の電気抵抗値の大きさが決まり、領域間の電気抵抗値の差の大きさも決まるので、本実施例では、表示パネル100内の各データ線に対して補償される基準電圧VREF Nの大きさを随時変更するような非常に複雑な制御回路を必要としない。
【0035】
さらに、本実施例に基づいて代替の案を提案することもできる。すなわち、driver上の全てのdataにVREF電圧を加える区画補償案である。このような案によれば、表示パネル100のアーキテクチャが単純であるが、driverについて言えば、driverが出力するdataに電圧を加えるであり、driverの入力を増やすことはできない。これはdriverの入力pinが少なく、出力pinが多いからである。また、入力から出力まで一連の変換を経なければ目的を達成できず、デバッグが複雑で、対応するdriverの設計が困難で、コストが高い。この代替案に対して、本実施例が提供する案は本願の一つの案であり、本実施例によれば、データ駆動電圧Vdataと基準電圧VREFにより補償される電圧とを分け、本実施例における基準電圧VREFは、一連の変換を必要とせずにdriverの入力から出力に直接接続することができ、また、本実施例における基準電圧VREFは柔軟に調節できるため、従来技術と比較して、本実施例は、実現が容易であり、かつ低コストであるという特徴を有する。
【0036】
本実施例が提供する駆動回路は、従来技術における、データ線から表示パネル100の異なる位置に到達するデータ駆動電圧が異なることにより、表示パネル100内の各micro ledの発光時に色のずれや輝度ムラ等の現象が発生する技術的問題を克服した。この駆動回路は、5T1C構造を採用し、スイッチングモジュール、データ駆動モジュール、保護モジュール及び補償モジュールの協働により、表示パネル100内の各micro ledが受信するデータ駆動電圧を効果的に補償する。これにより、表示パネル100内の各micro ledのデータ駆動電圧を一様に保つことができ、発光輝度や色彩が全て目標値に達せるため、表示パネル100に画質ムラの現象が発生するのを回避する。
【0037】
さらに、本願の実施例は、上記のような駆動回路を含む表示パネル100をさらに提案する。図4を参照し、図4は本願の実施例の案にかかる表示パネル100の構造模式図である。
【0038】
図4に示すように、前記表示パネル100は、プロセッサ1001、例えば中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、通信バス1002と、ユーザインターフェース1003と、ネットワークインターフェース1004と、メモリ1005とを含んでもよい。通信バス1002はこれらの部品間の接続及び通信を実現するように構成されている。ユーザインターフェース1003はディスプレイ(Display)、入力手段(例えばキーボード(Keyboard))を含んでもよく、好ましくは、ユーザインターフェース1003はさらに標準の有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。或いは、ネットワークインターフェース1004は、標準の有線インターフェース、無線インターフェース(例えばワイヤレスフィデリティ(Wi-FI:Wireless-Fidelity)インターフェース)を含んでもよい。メモリ1005としては高速ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)であってもよく、安定した不揮発性のメモリ(NVM:Non-Volatile Memory)、例えば磁気ディスクメモリであってもよい。また、メモリ1005は前記プロセッサ1001とは独立した記憶機器であってもよい。
【0039】
図4に示す構造は表示パネル100に対する限定を構成せず、図示より多い或いは少ない部品を含んでもよく、或いは一部の部品を組み合わせたり、異なる部品配置としたりしてもよいことは、当業者であれば理解できるはずである。
【0040】
図4に示すように、一種の記憶媒体としてのメモリ1005の中には、オペレーティングシステム、データ記憶モジュール、ネットワーク通信モジュール、ユーザインターフェースモジュール及びコンピュータプログラムが含まれてもよい。
【0041】
図4に示す表示パネル100において、ネットワークインターフェース1004は主に、他の機器とデータ通信を行うように構成され、ユーザインターフェース1003は主に、ユーザとデータのやりとりを行うように構成され、本実施例におけるプロセッサ1001、メモリ1005は、表示パネル100内に設置されてもよく、前記表示パネル100はプロセッサ1001によりメモリ1005に記憶されているコンピュータプログラムを呼び出して、上記の駆動回路を制御する。
【0042】
本表示パネル100の各実施例は、本願の駆動回路の各実施例を参照することができ、ここでは説明を省く。
【0043】
本文において、「含む」、「含める」といった術語或いは何れの他のバリエーションは非排他的な包含を意味することで、一連の要素の過程、方法、物品或いはシステムがそれらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、或いはこの種の過程、方法、物品或いはシステムに固有の要素を含むようにする。それ以上の制限がない状況で、「一つの…を含む」という文により限定される要素は、当該要素を含む過程、方法、物品或いはシステムの中に他の同じ要素がさらに存在することを除外しない。
【0044】
上記本願の実施例の番号は説明のためのものだけであって、実施例の優劣を表すものではない。
【0045】
以上の実施態様の説明を通して、当業者は、上記の実施例の方法はソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを加える方法(勿論ハードウェアによることも可能であるが、多くの場合では前者がより良い実施方法)で実現できることを明確に理解できる。このような理解に基づいて、本願の技術案は、本質としては、或いは先行技術に対し貢献する部分は、ソフトウェア製品の形式で体現できる。当該計算機ソフトウェア製品は上記のような記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)の中に記憶でき、一台の端末機器(携帯電話、計算機、サーバ、エアコン、或いはネットワーク機器等でもよい)に本願の各実施例で説明する方法を実行させる幾つかの命令を含む。
【0046】
以上は本願の一部の実施例にすぎず、それにより本願の保護範囲を限定するわけではない。本願の明細書及び図面の内容を利用してなされた均等構造或いは均等流れ変換、或いは直接又は間接的な他の関連する技術分野への応用は、同じ理由で本願の特許の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】