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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】CCL11の用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241128BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/025 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/05 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/16 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/02 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/165 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20241128BHJP
   C07K 14/37 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/37 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/36 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/50 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/49 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241128BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/12 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/21 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/25 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/245 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20241128BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/52
C07K14/705
C07K14/025
C07K14/05
C07K14/16
C07K14/02
C07K14/165
C07K14/195
C07K14/37
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/31
C12N15/37
C12N15/36
C12N15/50
C12N15/49
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K39/00 H
A61K39/12
A61K39/215
A61K39/21
A61K39/02
A61K39/25
A61K39/245
A61K39/29
A61P31/12
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/18
A61P37/04
A61P35/00
A61P31/04
A61K47/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533967
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2022097092
(87)【国際公開番号】W WO2023137947
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210076816.7
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521199719
【氏名又は名称】ニュウィッシュ・テクノロジー(ベイジン)カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】チー,ハイロン
(72)【発明者】
【氏名】スン,チョンジー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジャオドン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユフアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ヤンリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュオドン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,デファン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャオファン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG02
4B064AG20
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA95
4C076CC06
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA03
4C085BA07
4C085BA69
4C085BA71
4C085BA79
4C085BA80
4C085BA87
4C085BA89
4C085BB01
4C085CC01
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ワクチン調製の技術分野に関し、特にCCL11を介した抗原の標的化送達によって形成された免疫増強送達システムに関する。このシステムでは、ケモカインCCL11が対応
する抗原分子に融合されてさらに抗原分子の末端にT2タグが付加されてなり、このように免疫原性を増強するものである。このシステムは、核酸ベクターまたは融合タンパク質などの形態として、対応する抗原による疾患の予防および/または治療に用いられる。本発明は、CCL11とDC細胞などの免疫細胞表面受容体との走化性結合能を利用することで、様々な抗原タンパク質をDC細胞表面に輸送し、様々な抗原タンパク質がDC細胞に取り込まれ、処理および提示される効率が向上し、それにより関連する疾患を予防・治療する効果が改善される。本発明では、抗原に付加されたT2配列が免疫効果を増強できることが肝要である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するT2断片(I)、
ケモカインCCL11(II)、
(I)または(II)と80%以上相同性を有しかつ同一または類似の機能を有する断片(III)、
(I)または(II)をコードする核酸分子(IV)、
前記(IV)の核酸分子のヌクレオチド配列において1つ以上のヌクレオチドを置換、欠失または付加してなり、かつ機能的に同一または類似のタンパク質をコードできる核酸分子(V)、及び
(V)と完全にまたは部分的に相補的な核酸分子(VI)のうちの少なくとも一つが抗原提示効果の向上における使用。
【請求項2】
CCL11と抗原とを含み、あるいはCCL11と、抗原と、T2断片とを含む、融合タンパク質。
【請求項3】
N端からC端までにIgEシグナルペプチド、CCL11、リンカー、抗原、およびT2断片を順に含むことを特徴とする請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記抗原が、ウイルス、病原菌および/または腫瘍に由来し、
前記ウイルスには、HPVウイルス、EBV、HCV、HIV、HBV、VZVまたはコロナウイルスの少なくとも一つが含まれ、
前記腫瘍には、肝がん、子宮頸がん、卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、乳がん、血液がん、卵巣がん、大腸がんの少なくとも一つが含まれる、ことを特徴とする請求項2または3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸、5’-UTR、3’-UTR、および3’-端PolyAを含む核酸断片。
【請求項7】
ベクターバックボーンと、請求項5に記載の核酸または請求項6に記載の核酸断片と、を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の発現ベクターを形質転換またはトランスフェクトする宿主。
【請求項9】
請求項8に記載の宿主を培養して融合タンパク質を含む培養物を得ることを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の融合タンパク質の調製方法。
【請求項10】
請求項2~4のいずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項5に記載の核酸、請求項6に記載の核酸断片、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の宿主、請求項9に記載の調製方法によって得られた融合タンパク質、および/または請求項9に記載の調製方法によって得られた前記融合タンパク質を含む培養液が、疾患の予防・治療用製品の調製における使用。
【請求項11】
請求項2~4のいずれか1項に記載の融合タンパク質、請求項5に記載の核酸、請求項6に記載の核酸断片、請求項7に記載の発現ベクター、請求項8に記載の宿主、請求項9に記載の調製方法によって得られた融合タンパク質、および/または請求項9に記載の調製方法によって得られた前記融合タンパク質を含む培養物が含まれることを特徴とする疾患の予防・治療用製品。
【請求項12】
請求項11に記載の製品を投与することを含むことを特徴とする疾患の予防・治療の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月24日に中国国家知識産権局に出願された中国特願第202210076816.7号の「CCL5の用途」に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は参照としてここに援用される。
【0002】
本発明は、ワクチン調製の技術分野に関し、特にCCL11を介した抗原の標的化送達によって形成された免疫増強送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
人体は常に、外部の病原性微生物の攻撃および人体自身の正常細胞の発がんに直面している。免疫系は病原性微生物やそれ自身の腫瘍細胞に対する人体の強力な武器である。免疫系の応答には認識、反応および効果の3段階を含む。各段階は、人体の免疫系を構成するタンパク質、細胞、組織および器官が共同作用して完了する。全応答過程中の認識段階では、免疫系は自身の攻撃を避けるために自己抗原と病原体を区別する必要がある。認識した後に、特定の病原体に対する応答段階になる。この段階で多数のタンパク質と特定の細胞の生成が含まれる。効果段階において、これらのタンパク質および細胞により、病原体が排除され、病原体に対する免疫学的記憶が生じる。
【0004】
ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などの病原微生物は、大規模な伝染病を引き起こすことが多い。例えば、2019年末に発生したSARS-CoV-2は世界中に広がった。体内に侵入した病原微生物は、一部が体内で長期間潜伏せずに一過性の疾患を誘発する一方、一部が体内の細胞や組織内で長期間潜伏し、疾患を引き起こすことがある。そのために、病原微生物の蔓延を防ぐための予防ワクチンが必要であり、病原微生物の宿主細胞を治療して排除するための治療ワクチンも必要である。そこで、免疫系が液性および細胞性免疫反応を生成することが必要である。その対策としては、病原性微生物の特定の抗原を人体に注射することで免疫認識を引き起こすことである。しかも、過去の経験から、引き起こした免疫反応が強いほどワクチンの予防・治療効果がよりよいことが知られている。
【0005】
CCL11は、CCファミリーのケモカインのメンバーとして、主に小腸、心臓、腎臓および膵臓で発現される。CCL11の発現は、TNFaやIL-4などの炎症誘発性サイトカインにより上方制御される。CCL11は、主にその受容体CCR3を通じて走化性機能を発揮する。研究によると、CCR3は、DCおよび好酸球において発現される。DC細胞は専門的な抗原提示細胞であり、主に抗原認識を仲介する。好酸球は、古典的な抗菌効果に加えて、特定のT細胞免疫応答を強化することにより抗腫瘍免疫応答を媒介することもできる。以上から、抗原分子とCCL11との融合により、抗原の免疫原性が強化され、より強力な免疫応答が開始され、より効果的なワクチンを調製するための選択肢が提供される。
【0006】
樹状細胞(DC)は専門的な抗原提示細胞であり、免疫系の重要な構成要素であり、血液中に循環し、体全体に存在し、主に抗原の取り組み、処理および提示を担当する。免疫認識段階で重要な役割を果たす。DC細胞による抗原の認識の程度によって、免疫応答の強さが決まる。
【0007】
腫瘍は自己組織細胞に由来するので、免疫系によって認識されることが困難である。しかし、正常組織細胞に比べて、腫瘍細胞は通常、腫瘍細胞の増殖や生存を促進するために特定のがん遺伝子を高度に発現または変異させることがある。これらの高度に発現または変異させた遺伝子産物は通常、免疫原性が弱いため、これらの腫瘍細胞を排除するのに強力な免疫応答は引き起こされない。したがって、免疫系を動員して強力な免疫応答を生成する方法が、腫瘍を排除するための鍵となっている。
【0008】
腫瘍ワクチンは、既存の抗腫瘍応答を増強するか、またはナイーブT細胞を活性化することによって、患者のエフェクターT細胞の機能を誘導する。抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、抗腫瘍プロセスにおいて重要な役割を果たす。DC細胞は、ナイーブCD8+T細胞を活性化できる唯一の専門的な抗原提示細胞であり、MHC-Iを介して細胞外腫瘍抗原の取り込み、処理、及び交差提示を行い、効果的なCTLの生成に重要である。したがって、DC細胞表面分子をコンジュゲートしてDC細胞に腫瘍抗原を送達することは、CD8+T細胞免疫応答を誘導するための効果的な腫瘍治療戦略である。
【0009】
現在、DC細胞の提示を増強できる分子として、XCL-1が明らかにされているが、提示を促進できるさらなるDC細胞表面分子を調査することが急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑んでなされたものであり、T2断片および/またはCCL11を介した抗原の標的化送達によって形成された免疫増強送達システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、抗原提示効果の向上における以下の(I)~(VI)のうちの少なくとも一つの使用を提供するものである。
配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するT2断片(I)、
ケモカインCCL11(II)、
(I)または(II)と80%以上相同性を有しかつ同一または類似の機能を有する断片(III)、
(I)または(II)をコードする核酸分子(IV)、
(IV)の前記核酸分子のヌクレオチド配列において1つ以上のヌクレオチドを置換、欠失または付加してなり、かつ機能的に同一または類似のタンパク質をコードできる核酸分子(V)、
(V)に完全にまたは部分的に相補的な核酸分子(VI)。
【0012】
本発明において、T2断片は31個のアミノ酸からなり、その配列が配列番号4に示す。研究によれば、人工的に改変されたT2断片が人体の免疫を増強する効果を有することが示されている。
【0013】
本発明において、前記CCL11は、人間または他の動物由来のケモカインCCL11であり、全長配列又はCCL11活性を有する断片である。本発明では、CCL11が抗原をDC細胞に送達し、それによって提示効果を高めて免疫応答を増強することができることが見出した。
【0014】
また、本発明はCCL11と抗原を含み、あるいはCCL11、抗原およびT2断片を含む融合タンパク質も提供する。
【0015】
本発明の一実施例において、前記融合タンパク質は、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、CCL11、リンカー、抗原、およびT2断片を順に含む。
【0016】
本発明において、前記抗原がウイルス、病原微生物および/または腫瘍に由来する。
【0017】
本発明において、前記CCL11はヒト化CCL11配列であり、前記抗原はHPV16のE6タンパク質および/またはHPV16のE7タンパク質である。
【0018】
いくつかの実施例において、前記融合タンパク質は、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、CCL11、リンカー、HPV16のE6タンパク質、HPV16のE7タンパク質、およびT2断片を順に含む。
【0019】
いくつかの実施例において、前記IgEシグナルペプチドのアミノ酸配列は配列番号5に示す。
【0020】
前記CCL11アミノ酸配列は配列番号3に示す。
前記リンカーは(GS)nであり、ただし、nは1~10である。本発明の実施例において、前記リンカー配列は、GGGGGSGGGGGである。
前記HPV16のE6タンパク質のアミノ酸配列は配列番号1に示す。
前記HPV16のE7タンパク質のアミノ酸配列は配列番号2に示す。
前記T2断片のアミノ酸配列は配列番号4に示す。
【0021】
いくつかの実施例において、前記融合タンパク質のC端にはアミノ酸配列がDYKDDDDKであるフラッグタグ配列をさらに含む。該配列はタンパク質発現を識別するためのタグであり、配列の免疫効果に影響を与えない。
【0022】
また、本発明は前記融合タンパク質をコードする核酸を提供する。
【0023】
本発明における前記融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は配列番号9に示す。
【0024】
さらに、本発明は、本発明における融合タンパク質をコードする核酸、5’-UTR、3’-UTR、および3’-端PolyAを含む核酸断片を提供する。但し、前記5’-UTRはβ-グロビン-2であり、前記3’-UTRは2β-グロビンであり、前記3’-端PolyAの長さは120bpである。前記核酸断片は、5’UTR-CCL11-E6E7-3’UTR-A(120)の構造を有する。
【0025】
さらに、本発明は前記融合タンパク質をコードするものを含有する転写ユニットを提供する。
【0026】
前記転写ユニットにはプロモーターおよび前記融合タンパク質をコードする核酸を含む。
【0027】
いくつかの実施例において、前記転写ユニットはさらにターミネーターを含む。
【0028】
いくつかの特定の実施例において、前記プロモーターはCMVまたはCMV/Rプロモーターである。
【0029】
さらに、本発明はベクターバックボーンおよび前記融合タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。
【0030】
本発明において、前記ベクターバックボーンは、pVAX1系ベクター、又はpVR系ベクターである。
【0031】
本発明は、さらに前記組換えベクターを形質転換またはトランスフェクトするための組換え宿主を提供する。
【0032】
本発明に係る組換え宿主の宿主細胞は細菌または哺乳類細胞である。
【0033】
本発明に係る融合タンパク質の調製方法は、本発明に係る組換え宿主を培養し、前記融合タンパク質を含む培養物を得ることを含む。
【0034】
本発明は、ウイルスや、細菌、真菌、腫瘍などの抗原物質をCCR3陽性抗原提示細胞に送達するための送達システムを提供する。このシステムでは、ケモカインCCL11が対応する抗原分子と融合されており、免疫原性をさらに増強するために抗原分子の末端にT2タブが付加されている。このシステムは、核酸ベクターまたは融合タンパク質の形態としてその抗原による疾患の予防または治療に用いられる。
【0035】
本発明は、予防または治療性ワクチンの調製における、CCR3に結合するリガンドCCL11を含む抗原送達システムの使用を提供する。
【0036】
本発明は、疾患の予防・治療用製品を調製における、融合タンパク質、核酸、発現ベクター、宿主、前記調製方法によって得られる融合タンパク質、および/または前記調製方法によって得られる前記融合タンパク質を含む培養物の使用を提供する。
【0037】
また、本発明は、前記融合タンパク質、核酸、発現ベクター、宿主、前記調製方法によって得られる融合タンパク質、および/または前記調製方法によって得られる前記融合タンパク質を含む培養物を含む、疾患の予防・治療用製品を提供する。
【0038】
さらに、本発明は、前記疾患の予防・治療用製品を投与することを含む疾患の予防・治療方法を提供する。
【0039】
本発明では、前記予防・治療には、予防及び/または治療を含み、具体的には血清中の抗体レベルを高めることと、腫瘍形成を予防することと、腫瘍増殖を阻害することと、腫瘍に対する身体の免疫応答能力を向上することとを含む。
【0040】
本発明では、前記疾患には、ウイルスおよび/または病原性微生物によって引き起こされる疾患が含まれる。あるいは、前記疾患は腫瘍である。
【0041】
本発明では、前記疾患の予防・治療用製品には、医薬品および/またはワクチンが含まれる。本発明では、前記ワクチンはDNAワクチン、組換えタンパク質ワクチン、またはmRNAワクチンである。
【0042】
本発明では、前記投与には、経口投与、注射および/またはエレクトロポレーションが含まれる。
【0043】
関連する研究および多くの実験では、任意のCCファミリーケモカインメンバーを抗原分子と融合することにより免疫原性を増強できるわけではなく、CCファミリーケモカインメンバーの一部のみは抗原分子と融合して抗原の免疫原性を向上させ、より強力な免疫応答を開始し、より強力なワクチンの製造のための選択肢を提供するということが示された。例えば、関連する研究では、4-1BBL-Sや、4-1BBL-Fc、CD80-Fcなどは抗原分子と融合されると、抗原的免疫原性を大きく増強するが、GM-CSFや、mlL-23、IL-15SAG1などは抗原分子と融合されても免疫原性を増強する効果がないことが示された。
【0044】
本発明では、CCL11とDC細胞などの免疫細胞表面受容体との走化性結合能を利用し、様々な抗原タンパク質をDC細胞表面に輸送および交差提示することで、様々な抗原タンパク質がDC細胞に取り込まれ、処理および提示される効率が向上し、それにより関連する疾患を予防・治療する効果が改善される。本発明におけるT2ラグメントは、極めて強力な免疫増強効果を有することが実験によって確認されており、抗原提示を促進する過程中に体液性免疫応答および細胞性免疫応答をさらに刺激し、最終的に関連腫瘍の増殖を阻害する効果を達成することができる。
【0045】
本発明の具体的な実施形態または従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下に、特定の実施例または従来技術の説明に使用される図面を簡単に紹介する。以下の説明における図面は、本発明の一部の実施形態であり、当業者であれば、これらの図面に基づいて他の図面を取得し得ることが自明である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、DC細胞及び好酸球を走化させるCCL11の能力を分析した結果を示す。
図2-1】図2は、融合タンパク質をコードするヌクレオチドのベクターマップを示す。なお、図2のAはpVR-CCL11-E6E7-T2、図2のBはpVR-CCL11-E6E7、図2のCはpVR-E6E7のプラスミドマップを示す。
図2-2】図2は、融合タンパク質をコードするヌクレオチドのベクターマップを示す。なお、図2のAはpVR-CCL11-E6E7-T2、図2のBはpVR-CCL11-E6E7、図2のCはpVR-E6E7のプラスミドマップを示す。
図3図3は、プラスミドpVR-CCL11-E6E7-T2、pVR-CCL11-E6E7、およびpVR-E6E7という3つの標的遺伝子の発現を検出し、またタンパク質ウェスタンブロット技術(Westernblot)を利用してフラッグタグを持っている融合タンパク質をコードするヌクレオチドの発現を検出する事情を示すものである。
図4図4は、特異的T細胞応答を測定するために、異なる融合遺伝子を使用してマウスに対して予防型免疫を行ったときのタイムラインを示す。
図5図5は、異なる融合遺伝子を使用してマウスに対して免疫を行った後の特異的T細胞応答をフローサイトメトリーにより検出した結果を示す。
図6図6は、異なる融合遺伝子を使用してマウスに対して免疫を行った後の特異的抗体応答を検出した結果を示す。
図7図7は、異なる融合遺伝子、mRNAおよびタンパク質ワクチンをそれぞれ使用してマウスに対して治療型免疫及び接種を行ったときのタイムラインを示す。
図8図8は、各グループで治療された細胞腫瘍の体積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明には、CCL11を介した抗原の標的化送達によって形成された免疫増強送達システムが提供されている。当業者であれば、本明細書の内容を参考し、プロセスパラメータを適当に改良することにより実現されることが可能である。なお、全ての類似な置換および変更が当業者にとって自明であり、それらは本発明に含まれたものとみなされることに留意する必要がある。本発明に係る方法および応用を好適な実施例を用いて説明したが、当業者であれば、本発明の技術を実施および適用するために、本発明の内容、思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した方法および応用を修正または適切な変更および組み合わせを行い得ることが明らかである。
【0048】
特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術・科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。当該分野の定義と用語については、専門家がCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubel)を具体的に参照することができる。アミノ酸残基の略語としては、当該分野において20個の一般的なL-アミノ酸の一つを表現するために使用されている標準的な3文字および/または1文字のコードが採用される。
【0049】
本発明に係るCCL11は、CCケモカインファミリー(CC chemokines)の一つのメンバーに属する人体内の重要なケモカインであり、ヒトの心臓および腎臓において特異的に高レベルで発現することがある。本発明の研究により、CCL11は専門的な抗原提示細胞、特にDCおよび好酸球に物質の送達に用いることで、DC細胞の提示効果およびT細胞の動員効果を増強できることが示されている。
【0050】
本発明におけるCCL11は、ヒト化断片でよく、例えばマウスや、ウサギ、サル、ブタなどの他の動物由来の的断片でもよい。また、CCL11は、完全なCCL11でよく、CCL11活性を有する断片もしくは変異体でもよいが、本出願で限定されない。本願の実施例では、実験対象としてヒト化CCL11が使用され、CCL11による抗原提示効果の向上が実証された。前記ヒト化CCL11のアミノ酸配列は配列番号3である。
【0051】
本発明に係る融合タンパク質における前記T2配列は、バクテリオファージT4フィブリンのC端の短ペプチド(T4 phageheadfibritin)から改造されてなり、種の起源が外来の配列である。当該配列は人体内にまったく存在しないから、免疫増強後に他のヒトタンパク質の殺傷問題を引き起こない。この配列は、特定の条件下で特定のタンパク質の三量体化を促進できることが報告されている。本発明では、人工的に改造されたポリペプチド配列としてのT2が、体内での免疫増強効果を有することが判明した。本発明において、T2断片は31個のアミノ酸からなり、その配列が配列番号4である。
【0052】
本発明に係る融合タンパク質における抗原は少なくとも1つである。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または、10以上でもよい。本発明の研究では、1つまたは2つの抗原融合効果について実験が行われ、すべて良好な結果が示された。
【0053】
本発明に係る抗原は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、および/または腫瘍のタンパク質に由来する。いくつかの実施例において、抗原は、ウイルスのカプシドタンパク質または非構造タンパク質、病原性微生物の膜タンパク質、フラジェリン、または腫瘍の表面抗原に由来する。抗原は、その完全な断片であってもよいし、抗原決定基であってもよい。また、抗原は、1つの抗原決定基のみを含んでもよく、または複数の抗原決定基を直列に連結してなってもよく、または1つの抗原決定基を2つ以上直列に繰り返して連結してなってもよい。
【0054】
本発明において、前記ウイルスには、HPVウイルス、HCMV、EBV、HCV、HIV、HBV、VZVおよび/またはコロナウイルスの少なくとも一つを含まれるが、これらに限られない。
【0055】
本発明において、前記腫瘍には、肝がん、子宮頸がん、卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、乳がん、血液がん、メラノーマ、鼻咽頭がんおよび/または大腸がんのうちの少なくとも一つが含まれるが、これらに限られない。
【0056】
いくつかの実施例において、前記抗原は、HPVウイルスのE2、E5、E6および/またはE7タンパク質またはその変異エピトープである。前記HPVウイルスには、様々なHPVサブタイプが含まれ、例えばHPV6、HPV11、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56および/またはHPV58のウイルスがある。
【0057】
いくつかの実施例において、前記抗原は、EBウイルスのLMP1、LMP2、EBNA1またはその変異エピトープである。
【0058】
いくつかの実施例において、前記抗原は、コロナウイルスのSタンパク質、Nタンパク質、Eタンパク質、Mタンパク質またはそのエピトープである。前記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoVおよび/またはSARS-CoV-2である。
【0059】
いくつかの実施例において、前記抗原はVEGFR2や、Survivin、FAPなどの汎がんタンパク質である。
【0060】
いくつかの実施例において、前記抗原は肝がんのGPC3タンパク質および/またはAFPタンパク質である。
【0061】
いくつかの実施例において、前記抗原は前立腺がんのPSA、PSMA、PSCA、PAPおよび/またはSTEAP1である。
【0062】
いくつかの実施例において、前記抗原は乳がんのHer2/neuおよび/またはBCAR3の優性エピトープである。
【0063】
いくつかの実施例において、前記抗原はメラノーマのMAGE-A3、ISR2、NY-ESO-1、Melan A、gp100、チロシナーゼ(Tyrosinase)、TRP1および/またはTRP2である。
【0064】
いくつかの実施例において、前記抗原は血液がんの免疫グロブリンのイディオタイプ(Immunoglobulin idiotype)、免疫グロブリンのκ鎖(Immunoglobulinκ-chain)および/または免疫グロブリンのλ鎖(Immunoglobulin λ-chain)である。
【0065】
いくつかの実施例において、前記抗原は、大腸がんのAIM2、HT001、TAF1B、Micoryxおよび/またはTGFβRIIである。
【0066】
いくつかの実施例において、前記抗原は卵巣がんの葉酸受容体α(folate receptor-α)である。
【0067】
いくつかの実施例において、前記抗原は様々ながん原遺伝子、抗がん遺伝子および/または腫瘍特異的抗原のP53、IDH1/2、BAGE、GAGE1、GAGE2、CAG3、RAGE、CEA、CDK4、CASP-8、KRAS、bcr/ablおよび/またはMUC-1である。
【0068】
本発明は、CCL11とDC細胞などの免疫細胞表面受容体との走化性結合能を利用して抗原タンパク質をDC細胞表面に輸送および交差提示することにより、様々な抗原タンパク質がDC細胞に取り込まれ、処理および提示される効率が向上し、その関連する疾患を予防・治療する効果も改善される。行った実験では、HPV16のE6またはE7のタンパク質を包含する上記タンパク質の複数の抗原の提示効率がCCL11によって高められることが実証された。本発明の実施例において、HPV16のE6又はE7タンパク質を例として、CCL11が抗原タンパク質の提示効率を向上させることが証明され、他のタンパク質もCCL11と融合した後に良好な効果を有し得る。
【0069】
本発明において、融合タンパク質における各機能断片が立体障害の影響を受けずにスムーズに折り畳むことを確保するために、断片間にリンカーが付加されている。ここで、CCL11とHPVウイルスの抗原タンパク質との間のリンカーはGGGGGSGGGGGである。異なる抗原の間には、(GS)nおよび/またはAGAによってリンクされることができる。
【0070】
本発明において、融合タンパク質の発現効果を向上するためにCCL11のN端に、融合タンパク質を細胞外空間に分泌するのを促進するシグナルペプチドが付加される。いくつかの実施例において、前記シグナルペプチドはIgEシグナルペプチドである。具体的には、そのアミノ酸配列は配列番号5である。
【0071】
本発明では、融合タンパク質の精製を容易にするために、融合タンパク質のC端にタグが付加される。前記タグは、当該分野によく知られている組換えタンパク質精製タグから選択される。いくつかの実施例において、前記タグはDYKDDDDKである。
【0072】
いくつかの特定の実施例において、前記融合タンパク質は、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、ヒト化CCL11タンパク質配列、リンカー配列(GGGGGSGGGGG)、E6E7タンパク質配列、T2タンパク質配列、フラッグタグ配列を順に含む構造を有する。具体的には、そのアミノ酸配列は、例えば配列番号15である。
【0073】
本発明に係るタンパク質をコードする核酸はDNA、RNA、cDNAまたはPNAでもよい。本発明の実施例において、前記核酸はDNAまたはRNAの形態である。前記DNA形態には、cDNA、ゲノムDNAまたは人工的に合成したDNAを含む。前記DNAは、一本鎖でよく、二本鎖でもよい。核酸は、異なる機能を有するヌクレオチド配列を含むことができ、例えば、コード領域と、調節配列(例えば、プロモーターまたは転写ターミネーター)などの非コード領域とを含むことができる。核酸は、トポロジーにおいて線状または環状であってもよい。核酸は、例えばベクター(発現またはクローニングベクター)の一部であり、または断片である。前記核酸は、天然源から直接入手してもよいし、組換え技術、酵素技術、または化学技術を利用して調製してもよい。前記RNA形態とは、遺伝子転写等により得られるmRNAなどである。
【0074】
本発明において、融合タンパク質を発現するためのDNA配列は最適化される。このような最適化には、コドン使用の偏り、発現に寄与しない二次構造(ヘアピン構造など)の除去、CpG二ヌクレオチド含有量、mRNAの二次構造、スプライス部位の隠れ、初期ポリアデニル化部位、内部リボソーム侵入および結合部位、ネガティブCpGアイランド、RNA不安定領域、リピート配列(直接リピート、逆リピートなど)、クローニングを影響可能な制限部位、及びGC含有量の改変が含まれるが、これらに限られない。
【0075】
本発明に係る予防とは、腫瘍の発生前に本発明に係る薬剤を投与することにより、腫瘍発生のリスクを低減できることを指す。本発明に係る治療とは、腫瘍の発生後に本発明に係る薬剤を投与することにより、腫瘍増殖を阻害すること、腫瘍体積を減少させること、または腫瘍増殖を遅延させることを指す。本発明の実施例において、マウスに移植された腫瘍細胞TC-1を実験対象として、融合タンパク質ワクチンの効果を実証する。
【0076】
本発明はさらに融合タンパク質の転写ユニットを提供する。前記転写ユニットとは、プロモーターから開始してターミネーターで終了するDNA配列を指す。プロモーターとターミネーターの両側または間には、調節断片がさらに含まれてもよい。この調節断片には、核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター、エンハンサー、転写終結シグナル、ポリアデニル化配列、複製起点、核酸制限部位、および相同組換え部位、例えばプロモーターのエンハンサー、poly(A)シグナルなどを含む。本発明で提供された転写ユニットには、CMVまたはCMV/Rプロモーター、CMVエンハンサーおよびコード融合タンパク質の核酸断片を含む。
【0077】
本発明に係る組換えベクターとは、組換えの核酸ベクターであって、所望のコード配列と、作動可能に連結されたコード遺伝子が特定の宿主生物内での発現に必要となる適切な核酸配列と、を含む組換えDNA分子である。原核細胞での発現に必要な核酸配列には、プロモーターと任意のオペレーター配列、リボソーム結合部位および可能な他の配列が含まれる。原核細胞では、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、およびポリアデニル化シグナルが使用されることが知られている。適切な宿主に形質転換されると、ベクターは宿主遺ゲノムとは独立に複製して機能することができ、あるいは、場合によってはそれ自体をゲノムに組み込むことができる。本明細書では、「プラスミド」と「ベクター」を同じ意味で使用する場合もあり、プラスミドが最も一般的に使用されているべクターの形態であるためである。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす他の形態の発現ベクターを含むことを意図し、それが当該分野で知られているまたは知られるであろうもので、プラスミド、ファージ粒子、ウイルスベクターおよび/または潜在的なゲノム挿入を含むが、これらに限られない。特定の実施例では、本発明で提供された融合タンパク質をコードする核酸は、様々な真核発現ベクターに構築されることができる。例えば、ベクターバックボーンは、pVAX1系ベクター、またはpVR系ベクター(中国特許ZL202110624820.8を参照)であってもよい。
【0078】
本発明に係る宿主細胞は核酸ベクターおよび/または標的遺伝子を含む原核または真核の宿主である。宿主細胞は、組換えDNA技術による構築されたベクターを利用して形質転換またはトランスフェクトされる。このように形質転換された宿主細胞は、タンパク質をコードするベクターを複製すること又は所望なタンパク質を発現することができる。
【0079】
本発明の実施例において、前記融合タンパク質は、組換え宿主の発現を誘導する方法によって調製される。前記培養物は培養から得られる細菌、細胞、および培養溶液、または上記の培養物からの抽出物および/または精製物である。
【0080】
本発明で提供される疾患の予防・治療用製品には、前記融合タンパク質、核酸、発現ベクター、宿主、前記調製方法によって得られる融合タンパク質、および/または前記調製方法によって得られる前記融合タンパク質を含む培養物が含まれる。本発明における前記疾患の予防・治療用製品には、医薬品および/またはワクチンが含まれる。前記ワクチンには、薬学的に許容される担体、賦形剤および/またはアジュバントをさらに含む。この薬剤には、薬学的に許容される補助物質をさらに含む。
【0081】
本発明に係る予防とは、疾患の発生前に本発明に係る疾患の予防・治療用製品を投与することで、疾患発生のリスクを低減できることを指す。本発明に係る治療とは、疾患の発生後に、本発明に係る疾患の予防・治療用製品を投与することで、疾患を改善したり、疾患の発症を抑制したり、患者の健康を回復させることができることを指す。例えば、本発明に係る製品を腫瘍の予防・治療に用いることで、血清中の抗体レベルを高めることと、腫瘍増殖を阻害することと、腫瘍の体積を減少させること、または腫瘍の増殖を遅延させることができる。本発明の実施例において、マウスに移植された腫瘍細胞TC-1を実験対象として、融合タンパク質ワクチンの効果を実証し、良好な効果が得られた。
【0082】
本発明の実施例に係る断片のアミノ酸配列およびコーディング核酸断片を表1に示す。
【表1】
実施例
【0083】
以下、実施例により本発明の実施例を詳細に説明するが、当業者であれば、以下の実施例は本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施例に特定の条件が示されていない場合は、常法の条件またはメーカーが推奨する条件に従って実施しればよい。使用される試薬や器具はメーカーの指定がない場合は、いずれも市販されている従来品であればよい。
【0084】
実施例1
マウスのリンパ節および末梢血からDCと好酸球を分離した後、走化性実験を行った。上記分離された細胞を、ケモタキシスチャンバー(カーボネート膜Transwellチャンバー:5μm、Costar、Cat:3422)の上部に入れ、本発明者の以前の基礎研究に基づいて細胞添加量を1×10/100μl/ウェルとした。ケモタキシスチャンバーをケモカインCCL11を含む600μLの培地を含む下部に入れた。同時に、同数の細胞を付加して、自発的遊走制御グループとCCL11サイトカイングループを設定た。3つの複製ウェルを設定した。ケモカインCCL11としては、E.coli精製組換え鼠CCL11タンパク質を使用し、本発明者の以前の基礎研究に基づいて走化性効率にとって最適な用量を100ng/mlとした。4時間後に、ケモタキシスチャンバーの下部内の細胞を収集し、様々な免疫細胞に対するCCL11の走化性能力をフローサイトメトリーにより分析した。その結果、CCL11が上部チャンバーから下部チャンバーへ様々な免疫細胞を効果的に動員できたことを示す(P<0.001)(図1)。
【0085】
実施例2
融合遺伝子またはタンパク質ワクチンの抗原設計計画および哺乳動物発現プラスミドの構築及び作成
pVR-CCL11-E6E7-T2プラスミドの構築:
融合タンパク質CCL11-E6E7-T2をヒトパピローマウイルスサブタイプHPV16のE6およびE7タンパク質、ヒト化CCL11タンパク質およびT2ポリペプチド配列から構築した。融合タンパク質CCL11-E6E7-T2のN端には、MDWTWILFLVAAATRVHSのアミノ酸配列を有するIgEシグナルペプチドが連結され、融合タンパク質CCL11-E6E7-T2のC端には、DYKDDDDKの8つのアミノ酸からなるフラッグタグ(Flagタグ)が連結された。
【0086】
最終的に得られた融合タンパク質は、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、ヒト化CCL11タンパク質配列、リンカー配列(GGGGGSGGGGG)、E6タンパク質配列、E7タンパク質配列、T2タンパク質配列、フラッグタグ配列を順に含む。
【0087】
融合タンパク質のアミノ酸配列を動物細胞の発現優先のためにコドン最適化し、その融合遺伝子配列として配列番号8に決定した。該融合遺伝子配列を遺伝子合成した後、正しいコドン翻訳配列で融合タンパク質を発現できるように、その配列全体をpVRプラスミドベクターの対応するポリクローナル部位領域に構築した。図2のAに示すように、最終的に構築したプラスミドをプラスミドpVR-CCL11-E6E7-T2と命名した。
【0088】
プラスミドpVR-CCL11-E6E7の構築:
同様に、最終的に構築した融合遺伝子が、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、ヒト化CCL11タンパク質配列、リンカー配列(GGGGGSGGGGG)、E6E7タンパク質配列、フラッグタグ配列を順に含むようにした。
【0089】
融合タンパク質のアミノ酸配列を動物細胞の発現優先のためにコドン最適化し、その融合遺伝子配列として配列番号10に決定した。該融合遺伝子配列を遺伝子合成した後、正しいコドン翻訳配列で融合タンパク質を発現できるように、その配列全体をpVRプラスミドベクターの対応するポリクローナル部位領域に構築した。図2のBに示すように、最終的に構築したプラスミドをプラスミドpVR-CCL11-E6E7と命名した。
【0090】
pVR-E6E7プラスミドの構築:
ヒトパピローマウイルスサブタイプHPV16のE6およびE7タンパク質配列の前に、MDWTWILFLVAAATRVHSのアミノ酸配列を有するIgEシグナルペプチドを連結し、その後にDYKDDDDKの8つのアミノ酸からなるフラッグタグを連結した。
【0091】
図2のCに示すように、最終的に得られた融合タンパク質は、N端からC端までにIgEシグナルペプチド、E6E7タンパク質配列、フラッグタグ配列を順に含むことになった。
【0092】
融合タンパク質のアミノ酸配列を動物細胞の発現優先のためにコドン最適化し、その融合遺伝子配列として配列番号11に決定した。該融合遺伝子配列を遺伝子合成した後、正しいコドン翻訳配列で融合タンパク質を発現できるように、その配列全体をpVRプラスミドベクターの対応するポリクローナル部位領域に構築した。最終的に構築したプラスミドをpVR-E6E7プラスミドと命名した。
【0093】
具体的には、本実施例に記載の実験で構築したプラスミドパターンは、pVR-CCL11-抗原-T2、pVR-CCL11-抗原およびその対照プラスミドpVR-抗原であった。本実施例の実験では、HPV16サブタイプのE6E7融合タンパク質が抗原として使用された。
【0094】
実施例3
構築したプラスミドの体外細胞トランスフェクト実験(実施例2で構築した抗原がHPV16 E6およびE7タンパク質であるベクターを例としたが、それと同様な手順で、他の抗原を含むベクターに対するトランスフェクトを行った。)
【0095】
トランスフェクトの24時間前に、1×10個のHEK293T細胞を6ウェル細胞培養プレートに播種した。細胞密度が80%以上になった時にトランスフェクト実験を開始した。トランスフェクトの前に、細胞培養培地や無血清のOpti-MEM培地を37℃のウォーターバスで予熱した。トランスフェクトの際に、コントロールベクター(Vector)3μg、pVR-CCL11-E6E7-T2発現ベクター、pVR-CCL11-E6E7発現ベクター、pVR-E6E7発現ベクターおよび12μLのPEIトランスフェクト試薬を順に200μLの無血清Opti-MEMに添加し、均一に混合した後、室温で10分間静置した。トランスフェクトの細胞に新鮮な培地を与え、上記のトランスフェクト系にゆっくり添加し、やさしく振った。その後、細胞を細胞培養インキュベーターに戻して6時間培養した後、培地を交換した。トランスフェクト48時間後、細胞を収集し、HEK293T細胞におけるE6E7融合遺伝子プラスミドの発現効果をウェスタンブロッティングによって検出した。
【0096】
収集した細胞にPMSFまたはカクテル(Cocktail)タンパク質プロテアーゼ阻害剤を含む0.5%NP40の溶解緩衝液60μLを加えた。完全に再懸濁し、4℃で30分間回転させることによって溶解した。溶解物を12000rpm、4℃で10分間遠心溶解した後、上清液を新しい1.5mLEPチューブに収集し、沈殿物を廃棄した。実際のサンプルの容積に応じて5×SDS-PAGE タンパク質ローディングバッファーを添加し、均一に混合した後、サンプルを空気浴中で100℃で10分間加熱した直後にウェスタンブロッティングを行い、フラッグタグ抗体(Sigma、F3165)を用いて検出した。その結果を図3に示すように、コントロールベクター(Vector)はタンパク質発現がなく、pVR-CCL11-E6E7-T2およびpVR-CCL11-E6E7は発現タンパク質の大きさ及び位置がpVR-E6E7より著しく高かった。これにより、実験群のプラスミドpVR-CCL11-E6E7-T2、pVR-CCL11-E6E7及び対照群のプラスミドpVR-E6E7はいずれも哺乳類細胞においてスムーズで正常に発現することができたことが示された。
【0097】
実施例4
CCL11ケモカインおよびT2ポリペプチドがそれぞれに融合遺伝子ワクチンによって誘導される細胞特異的T細胞応答に与える影響についての調査(抗原がHPV16 E6およびE7タンパク質であるワクチンを例としたが、それと同じな手順で、他の抗原を含むワクチンによってT細胞応答を誘導した。)
【0098】
融合遺伝子が哺乳動物細胞で正常に発現できることが確認した上で、pVR-CCL11-E6E7-T2、pVR-CCL11-E6E7、pVR-E6E7のプラスミドをそれぞれ抽出し、TERESAin vivo遺伝子導入装置を使用してマウスに免疫プラスミドのエレクトロトランスフェクションした。プラスミド量を25μgとした。陰性対照PBS群を含む4つの群があり、各群に5匹のマウスがいた。図4のタイムラインに示されている免疫化戦略に従ってマウスを免疫化した。その後、14日目に各群のマウスから血液を採取してヘパリンを加えたPBS溶液に添加した。全てのサンプルを3000rpmで5分間遠心分離した。上清液を捨て、残った沈殿を振とうして分散させた後、1mLの赤血球溶解液を加え、室温で1分間溶解させた。そして、全てのサンプルを1200rpmで6分間遠心分離した。上清液を捨て、700μLのPBS溶液で1回洗浄した。さらに1200rpmで2回6分間遠心分離した。上清液を捨た後、無活性化された10%FBSの1640培地300μLを加え、再懸濁して沈殿した後、1μLのE7タンパク質テトラマー(E7-テトラマー)を加え、1時間染色した。CD8-FITC、E7-テトラマー-PEのフロー染色を行った。フロー結果を図5に示す。この結果、同じ用量の群間の比較において、CCL11-E6E7-T2群はE6E7群よりE7特異的T細胞の数がはるかに多かった。同じ用量の群間の比較において、CCL11-E6E7-T2群はCCL11-E6E7群よりE7特異的T細胞の数が多かった。同じ用量の群間の比較において、CCL11-E6E7群はE6E7群よりE7特異的T細胞の数が多かった。これは、ケモカインCCL11が抗原タンパク質のN端で抗原分子と特異的な免疫細胞との結合を効果的に誘導することができたことを示唆している。したがって、抗原分子による交差提示の効果が大幅に向上し、そしてCCL11が最終的に抗原分子の特異的な免疫応答をより強くなるように誘導することが可能になった。さらに、T2ポリペプチドは、抗原タンパク質のC端で細胞免疫中の抗原分子の免疫力を効果的に補強することができたので、特異的T細胞の生産数を大幅に増加し、免疫増強因子としての決定的な役割を果たしていた。
【0099】
実施例5
CCL11ケモカインおよびT2ポリペプチドがそれぞれに融合遺伝子ワクチンによって誘導される液性免疫応答に与える影響についての調査(抗原がHPV16 E6およびE7タンパク質であるワクチンを例としたが、それと同様な手順で、他の抗原を含むワクチンによってT細胞応答を誘導した。)
【0100】
次いて、CCL11が液性免疫応答を増強できるかどうかを評価した。pVR-CCL11-E6E7-T2、pVR-CCL11-E6E7、pVR-E6E7のプラスミドをそれぞれ抽出し、TERESA生体内遺伝子導入装置を使用してマウスに免疫プラスミドのエレクトロトランスフェクションを行い、プラスミド量を25μgとし、陰性対照PBS群を含む4つの群があり、各群に5匹のマウスがいた。図4のタイムラインに表記している免疫化戦略に従ってマウスを免疫化した。その後、21日目に、抗凝固剤を添加せずに各群のマウスから血液を採取した。全てのサンプルを3000rpmで20分間遠心分離した。上清液を回収した。1日前に、実験室で精製したE6E7融合タンパク質をPBSで希釈し、10μgのタンパク質を含むELISAプレート上にウェル当たり200μLでコーティングした。4°Cで一晩放置した。翌日、プレートを洗浄し、室温で2時間ブロッキング溶液でブロックした。収集したマウス血清を1:100に希釈し、100μLずつ各ウェルに添加した。4°Cで一晩放置した。3日目に、ELISAによる発色させた。結果を図6に示す。その結果、同じ用量の群間の比較において、全てのCCL11-E6E7-T2群はE6E7群よりもE7特異的抗体の数がはるかに多かった。同じ用量の群間の比較において、全てのCCL11-E6E7-T2群は、CCL11-E6E7群よりE7特異的抗体の数が多かった。同じ用量の群間の比較において、全てのCCL11-E6E7群は、E6E7群よりE7特異的抗体の数が多かった。これは、ケモカインCCL11が抗原タンパク質のN端で抗原分子と特異的な免疫細胞との結合を効果的に誘導することができたことを示している。その結果、抗原分子の交差提示の効果が大幅に向上し、そしてCCL11が最終的に抗原分子の特異的な免疫応答をより強くなるように誘導することが可能になった。さらに、T2ポリペプチドは、抗原タンパク質のC端で細胞免疫中の抗原分子の免疫力を効果的に補強することができたので、特異的抗体の生産数を大幅に増加し、免疫増強因子としての決定的な役割を果たしていた。
【0101】
実施例6
マウス移植腫瘍細胞TC-1同種移植腫瘍に対する融合遺伝子ワクチンの治療効果についての調査(抗原がHPV16 E6およびE7タンパク質である融合遺伝子ワクチンを例としたが、それと同様な手順で他の抗原を含むワクチンの腫瘍介入効果を実証した。)
【0102】
CCL11-E6E7-T2などのワクチンが細胞および液性免疫実験で優れた効果を示した。そして、融合遺伝子による免疫後のTC-1移植腫瘍に対する治療効果をさらに調査した。DNAワクチン形式のほかに、CCL11-E6E7-T2のmRNAワクチン形式もさらに合成し、ナノ粒子で被覆した。具体的なプロセスは以下の通りである。5’UTR-CCL11-E6E7-3’UTR-A(120)をクローニングベクター pGEM-3Zf(+)(promega)に導入し、インビトロ転写発現系の構築を完了した。pGEM-CCL11-E6E7と命名した。インビトロ転写系には、次のようなUTR配列が含まれた。
5-UTR (β-グロビン-2)
agagcggccgctttttcagcaagattaagcccagggcagagccatctattgcttacatttgcttctgacacaactgtgttcactagcaacctcaaacagacacc
3-UTR (2β-グロビン)
agctcgctttcttgctgtccaatttctattaaaggttcctttgttccctaagtccaactactaaactgggggatattatgaagggccttgagcatctggattctgcctaataaaaaacatttattttcattgcagctcgctttcttgctgtccaatttctattaaaggttcctttgttccctaagtccaactactaaactgggggatattatgaagggccttgagcatctggattctgcctaataaaaaacatttattttcattgc
【0103】
組換えプラスミドを線形化した。単酵素消化反応系を下の表に示し、反応条件を37°C、3時間とした。
【表2】
【0104】
インビトロ転写反応:
1.T7-Flash ScribeTM転写キット(Cell script)を用いてインビトロ転写を行った。インビトロ転写系の調製過程において、UTPをN1-メチルプソイドウリジン-5’-三リン酸(N1-Methylpseudouridine-5’-Triphosphate、Trilink Biotech)に置き換えた。
反応系を下表に示す。反応条件としては、第一段階の反応完了した後、35℃、30minとし、第一段階の反応後、35℃、15minとした。
【表3】
【0105】
ScriptCapTM Cap 1キャッピングシステム(Cell script)を使用してmRNAキャッピングを行った。
【0106】
Cap-mRNA精製
MEGAclearTMキット精製(Invitrogen)を使用して精製を行った。
【0107】
リポソームナノ粒子LNP-Manの調製
DOTAP((2,3-ジオレオイル-プロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DSPE-PEG2000(ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-ポリエチレングリコール2000)はShanghai Advanced Vehicle Technology Co.,LTDから購入された。DSPE-PEG2000-Manは西安昊然生物科技有限公司から購入された。
【0108】
ナノ粒子をロータリーエバポレータによって調製した。LNP-Man調製の具体的な操作プロセスは以下の通りである。
【0109】
1)モル比で、DOTAP:DOPE:DSPE-PEG2000-Man=50:50:1を丸底フラスコに順次添加し、固体が完全に溶解するまで6mLのクロロホルムを添加した。
2)水浴中での超音波処理を30分間実施した。
3)丸底フラスコ内の溶解物を水面下に浸すように、丸底フラスコをロータリーエバポレータに置いた。回転速度を100rpmとし、回転蒸発を15分間行った。
4)丸底フラスコを取り出し、フード内に置き、8mLのHEPES緩衝液を添加してボトル内壁に付着した膜を溶解した。
5)水浴中での超音波処理を30分間実施した。
6)超音波処理された溶液を0.22μmのフィルターメンブレンで3回ろ過し、所望なリポソームナノ粒子LNP-Manを得た。
【0110】
LNPs/mRNAの調製
調製されたカチオン性リポソームナノ材料LNP-ManとmRNAを、設定されたN/P=10:1(モル比)で混合し、必要なLNPsとmRNAの体積を計算した。混合前に、LNPsおよびmRNAに等量の10mMHEPES緩衝液をそれぞれ添加した。混合したLNPs/mRNAをボルテックスシェーカー上で1分間振とうし、室温で30分間静置した。同時に、ワクチン対照として、CCL11-E6E7-T2タンパク質もさらに精製した。図7に示しているタイムラインに従って、マウスに腫瘍接種およびプラスミド治療免疫を施した。各免疫接種量を25μgとした。接種した後、マウスに対してそれぞれ4日目および11日目に2回免疫化を行った。その後、腫瘍を同じ方法で測定し、腫瘍容積を記録した。図8の腫瘍増殖曲線を作成した。その結果、pVR-CCL11-E6E7-T2プラスミド、CCL11-E6E7-T2-mRNAおよびCCL11-E6E7-T2タンパク質の3つ群が、pVR-E6E7プラスミド群よりも早い腫瘍増殖阻害を示し、かつ、pVR-CCL11-E6E7-T2プラスミド、CCL11-E6E7-T2-mRNAおよびCCL11-E6E7-T2タンパク質の3つ群では、移植された腫瘍が腫瘍接種後17日目頃に完全に消失し、完全な腫瘍治療効果が達成された。
【0111】
なお、以上の各実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の技術案を説明するために使用されたもので過ぎない。本発明については、前述の実施例を参照して詳細に説明してきたが、当業者であれば、前述の実施例に記載された技術案をさらに修正したり、技術的特徴の一部または全部を同等のものに置換したりする可能性があり、また、これらの修正または置換は、対応する技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではないことを理解されたい。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
2024545087000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCL11と抗原とを含み、あるいはCCL11と、抗原と、T2断片とを含む、融合タンパク質。
【請求項2】
N端からC端までにIgEシグナルペプチド、CCL11、リンカー、抗原、およびT2断片を順に含むことを特徴とする請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記抗原が、ウイルス、病原菌および/または腫瘍に由来し、
前記ウイルスには、HPVウイルス、EBV、HCV、HIV、HBV、VZVまたはコロナウイルス、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つが含まれ、
前記腫瘍には、肝がん、子宮頸がん、卵巣がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、乳がん、血液がん、卵巣がん、大腸がん、およびそれらの組み合わせの少なくとも一つが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を有するT2断片(I)、
ケモカインCCL11(II)、
(I)または(II)と80%以上相同性を有しかつ同一または類似の機能を有する断片(III)、
(I)または(II)をコードする核酸分子(IV)、
前記(IV)の核酸分子のヌクレオチド配列において1つ以上のヌクレオチドを置換、欠失または付加してなり、かつ機能的に同一または類似のタンパク質をコードできる核酸分子(V)、及び
(V)と完全にまたは部分的に相補的な核酸分子(VI)のうちの少なくとも一つを含む、抗原提示効果の向上に使用される医薬組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項6】
請求項5に記載の核酸、5’-UTR、3’-UTR、および3’-端PolyAを含む核酸断片。
【請求項7】
ベクターバックボーンと、請求項5に記載の核酸、を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の発現ベクターを形質転換またはトランスフェクトする宿主。
【請求項9】
請求項8に記載の宿主を培養して融合タンパク質を含む培養物を得ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の融合タンパク質の調製方法。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載の融合タンパク質含まれることを特徴とする疾患の予防・治療用製品。
【国際調査報告】