(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】オンタンクマニホルドバルブ組立体
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
F17C5/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533978
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021062083
(87)【国際公開番号】W WO2023107094
(87)【国際公開日】2023-06-15
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518392026
【氏名又は名称】リナマー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】キャシャット,マーナ・イー
(72)【発明者】
【氏名】オセッキ,ブレイク
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC01
3E172BC04
3E172BD03
3E172CA21
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA43
3E172EB02
(57)【要約】
タイプIVの適合性圧力容器組立体が提供され、このタイプIVの適合性圧力容器組立体は、複数の細長い折り畳みタンクと、複数の細長い折り畳みタンクのそれぞれの第1および第2の端部に直接接続された複数の第1および第2の充填カプラを通して複数の細長い折り畳みタンクの内部の中へおよびその外へ流体を通過させるように構成されたオンタンクバルブ(OTV)マニホルド組立体と、を備える。複数の細長い折り畳みタンクの各々は、流体を保管するための少なくとも2つのチャンバを有する。マニホルドバルブ組立体は外部供給源から流体を受け取り、複数の第1および第2の充填カプラのうちの1つまたは複数の充填カプラに外部流体を選択的に提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器組立体であって、
複数の細長い折り畳みタンクであって、前記複数の細長い折り畳みタンクの各々が、第1のタンク端部と第2のタンク端部との間を延在する細長い円筒壁によって画定された高分子ライナの内部で流体を保管するための内部を有し、前記高分子ライナが流体を保管するための複数のチャンバを有し、前記複数のチャンバが前記第1のタンク端部に隣接する第1のチャンバおよび前記第2のタンク端部に隣接する最後のチャンバを少なくとも含み、前記高分子ライナが樹脂および繊維の外側複合材シェルによって囲まれる、複数の細長い折り畳みタンクと、
前記複数の細長い折り畳みタンクに直接連結されたオンタンクバルブマニホルド組立体であって、前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、
前記第1のタンク端部のそれぞれ1つに動作可能に連結された複数の第1の充填カプラと、
前記第2のタンク端部のそれぞれ1つに動作可能に連結された複数の第2の充填カプラと、
外部流体源から流体の流れを受け取るために前記外部流体源に前記オンタンクバルブマニホルド組立体を選択的に連結するための第3の充填カプラと、を備える、オンタンクバルブマニホルド組立体と、
を備え、
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が前記第3の充填カプラを通して前記外部流体源から流体を受け取り、前記複数の第1の充填カプラおよび前記複数の第2の充填カプラのうちの1つまたは複数の充填カプラに前記流体を選択的に提供する、
圧力容器組立体。
【請求項2】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記オンタンクバルブマニホルド組立体を温度・圧力緩和デバイス通気口に選択的に連結するための第4の充填カプラを含む、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項3】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記第3の充填カプラと前記複数の第1の充填カプラおよび前記複数の第2の充填カプラとの間に流体的に連結された自動停止装置を有するソレノイドバルブを含む、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項4】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が温度・圧力緩和デバイスを含む、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項5】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記第3の充填カプラと前記自動停止装置を有する前記ソレノイドバルブとの間に流体的に連結された手動制御バルブを含み、前記手動制御バルブが前記自動停止装置を有する前記ソレノイドバルブを迂回するように構成される、請求項3に記載の圧力容器組立体。
【請求項6】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記第3の充填カプラと前記複数の第1の充填カプラおよび前記複数の第2の充填カプラとの間に流体的に連結されたブリードバルブを含む、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項7】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記手動制御バルブと前記自動停止装置を有する前記ソレノイドバルブとの間に流体的に連結された第1の過流デバイスを含む、請求項5に記載の圧力容器組立体。
【請求項8】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が複数の第1の過流デバイスを含み、前記複数の第1の過流デバイスの各々が、前記自動停止装置を有する前記ソレノイドバルブと前記複数の第1の充填カプラのそれぞれ1つとの間に流体的に連結される、請求項7に記載の圧力容器組立体。
【請求項9】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が複数の第2の過流デバイスを含み、前記複数の第2の過流デバイスの各々が、前記自動停止装置を有する前記ソレノイドバルブと前記複数の第2の充填カプラのそれぞれ1つとの間に流体的に連結される、請求項8に記載の圧力容器組立体。
【請求項10】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が前記複数の細長い折り畳みタンクのうちの1つまたは複数の細長い折り畳みタンクに対して選択的に充填を行うように構成される、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項11】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、前記第3の充填カプラを通して前記複数の細長い折り畳みタンクのうちの1つまたは複数の細長い折り畳みタンクから流体を選択的に移送するように構成される、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項12】
前記流体が水素ガスおよび天然ガスのうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【請求項13】
前記オンタンクバルブマニホルド組立体が、充填プロセス中、前記複数の細長い折り畳みタンクのうちの1つの細長い折り畳みタンクから取り除かれた流体を、前記第3の充填カプラを通して受け取られる流体と混合し、この混合した流体を前記複数の細長い折り畳みタンクのうちの1つの細長い折り畳みタンクに提供するように構成された再循環機能を含む、請求項1に記載の圧力容器組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、タイプIVの圧力容器に水素ガスを充填することに関する。より詳細には、本発明は、オンタンクマニホルドバルブ組立体(オンタンクバルブマニホルド組立体)を通して流体的に接続された複数の圧力容器を有する圧縮ガス圧力容器組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]圧力容器は、一般に、天然ガス、酸素、窒素、水素、およびプロパンなどの、流体および/またはガスを圧力下で保管する。タイプIVの圧力容器または圧力タンクは、熱可塑性高分子ライナに巻き付けられるおよび/または熱可塑性高分子ライナの上に編み込まれる炭素繊維または複合材を通常は含む無金属構造を有する。特定のタイプIVの圧力容器は、適合性(conformable)圧力容器としても説明される、ガスを保管するための複数のチャンバを有する細長い容器を備える。細長い圧力容器は、車両で使用される加圧ガス燃料タンクとして使用されるように構成され得る。
【0003】
[0003]通常、第1のバルブが、圧力容器に圧縮ガスを充填するために圧力容器の第1の端部に連結される。さらに、細長い圧力容器は、圧力容器の第2の端部に連結された第2のバルブを有することができる。第1および第2のバルブは、ライナ外壁によって画定された圧力容器の内部空間の中へガスを移送するように構成される。
【0004】
[0004]細長い圧力容器は、充填時、圧縮の熱によりおよび一部のガスにおいてはジュールトムソン効果により、加熱を受け得る。追加のガスが圧力容器に加えられるときに圧力容器内のガスが圧縮され、それにより熱が生成される。安全のため、一部の圧縮燃料充填ステーションは、温度が危険なほど高くなるのを回避するために充填速度を制御する。加えて、高い温度では所与の圧力において低密度となるため、目標密度(100%に近い充填状態)に達するようにするためには過度の圧力が必要になることを理由としてまたは高い温度では圧力容器の充填が不十分となることを理由として、高い温度は好ましくない可能性がある。
【0005】
[0005]したがって、このような熱生成により、ガソリンタンクまたはディーゼル燃料タンクに対して充填を行う場合よりも時間を要するくらいに充填時間が不必要に長くなり得、ならびに/あるいは、圧力容器の充填が不十分となり得る。圧力容器に付随するこれらの問題を軽減するために、多くのステーションはガスを予冷却するという選択肢を有する。ガスを予冷却する場合、ガスは圧力容器に入る前に冷却されて低温にされる(例えば、-40℃程度の低い温度)。これは、初期温度が低いことにより、圧縮の熱によりガスの達する最高温度を下げるという効果を有する。
【0006】
[0006]ガス予冷却は、燃料補給ステーションの構成の複雑さを有意に増大させ得、それにより燃料補給ステーションの資本コストおよび運用コストを不必要に増大させ得る。このように増大するコストはより高いガス価格として顧客に転嫁される可能性がある。加えて、予冷却の構成要素は一部の例では低い信頼性を有し得、それにより、保守管理のためにおよび部品の交換のためにステーションの有意なダウンタイムおよび追加のコストを生じさせる。
【0007】
[0007]本明細書で考察されるような細長い適合性圧力容器は、適合性の形状により保管の単位体積当たりの表面積を増大させることができることを理由として、従来のモノリシック圧縮ガスタンクよりも有利となり得る。このように表面積が増大することにより熱放散をより迅速にすることが可能となり得、それにより高速充填性能(fast-fill performance)を向上させることができる。加えて、このような適合性タンクはより小さい断面積を有することができ、それにより充填中の流速を上げることができ、それによりガスから圧力容器壁への対流熱伝達を良化させることができる(つまり、ヌセルト数を上げることができる)。
【0008】
[0008]充填中または高速充填(fast-fill)中、このような適合性圧力容器は、従来のモノリシック圧力容器と比較して、達し得る平均温度を下げることができる。これは、このような適合性圧力容器が体積に対する表面積の比を上げることと、タンク径が小さいことでガスがより高い平均速度を有することができそれにより対流熱伝達が良化することとが理由となり得る。これにより、ガス予冷却の必要性を低減することができる。したがって、適合性圧力容器は、予冷却ガスに通常付随する充填速度を達成しながら、より高い温度となるように予め冷却されるかまたは予め一切冷却されない流体を充填され得る。
【0009】
[0009]しかし、その形状が細長いことを理由として種々の適合性圧力容器の充填中の混合が不十分となり得、これは、充填プロセスの終了時の最高温度と最低温度との間の差が、他の構成の圧力容器と比較して、大幅により極端となり得る、ことを意味する。具体的には、圧力容器の第1の端部に取り付けられた第1のバルブを通して圧力容器にガスが加えられるとき、圧力容器の第1の端部の近くのガス温度が流入ガスの温度に近い状態を維持することができ、その理由は、第1の端部のところの流速により高分子ライナおよび外側複合材シェルに対する熱伝達を良化させることできるからである。他方で、圧力容器のより遠い領域では流れがほとんど存在しないことを理由として、圧力容器の第2の端部に近い圧力容器のチャンバは大幅に温度上昇し得る。さらに、圧力容器の第2の端部の近くのこれらのチャンバの対流熱伝達は不十分である。
【0010】
[0010]米国特許出願公開第2019/120432号で開示されるような、圧力容器の第2の端部の近くのこのような温度上昇を軽減する第1の既知の方法は、圧力容器の交互の端部から充填を行うことである。例えば、充填の開始時、圧力容器は圧力容器の第1の端部に取り付けられた第1のバルブを通して充填を行われ得、それにより圧力容器の第2の端部の近くの流体の温度を上げることが可能となる。第2の端部の近くの流体の温度が所定の高い値に達すると、圧力容器の第1の端部のところの第1のバルブが閉じられ、圧力容器は第2の端部のところにある第2のバルブを通して充填を行われる。圧力容器が満たされるまでこのパターンが繰り返され得る。
【0011】
[0011]しかし、この第1の既知の方法は、圧力容器の両端部の間の中間のチャンバ内の流体温度を上昇させ得る。ガスの予冷却を追加することが必要となる可能性があり、および/または、第1および第2のバルブから最も離れたチャンバ内の流体が所定の温度範囲内の温度を有するのを確実なものとするためにより低い温度まで予冷却を行うことが必要となる可能性がある。さらに、充填中の圧力容器の各端部のところのバルブを切り換えるのを支援するための追加のハードウェアおよび制御装置が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/120432号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0012]したがって、充填プロセス中に圧力容器の両端部の中間のチャンバ内の流体の温度上昇を低減することが望まれる。加えて、各々の細長い圧力容器の内部に流体を充填したりそこから流体を取り除いたりするために、複数の細長い圧力容器の両端部に流体的に連結されるオンタンクバルブマニホルドバルブを備える圧力容器組立体を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0013]タイプIVの適合性圧力容器組立体が提供され、このタイプIVの適合性圧力容器組立体は、複数の細長い折り畳みタンクと、複数の細長い折り畳みタンクのそれぞれの第1および第2の端部に直接接続された複数の第1および第2の充填カプラを通して複数の細長い折り畳みタンクの内部の中へおよびその外へ流体を通過させるように構成されたオンタンクバルブ(OTV:on-tank-valve)マニホルド組立体と、を備える。複数の細長い折り畳みタンクの各々は、流体を保管するための少なくとも2つのチャンバを有する。マニホルドバルブ組立体は外部供給源から流体を受け取り、複数の第1および第2の充填カプラのうちの1つまたは複数の充填カプラに外部流体を選択的に提供する。
【0015】
[0014]添付図面に関連させて考察する場合、以下の詳細な説明を参照することによってより良好に理解されることで本発明の利点が容易に認識されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0015]本発明の一実施形態による、複数の細長い適合性圧力タンクに流体的に連結されたオンタンクバルブマニホルド組立体を含む圧力容器組立体を示す斜視図である。
【
図2】[0016]第1および第2の細長い適合性圧力タンクと共に組み立てられたオンタンクバルブマニホルドバルブを示している、本発明の別の実施形態による
図1の圧力容器組立体を示す概略図である。
【
図3】[0017]
図1の細長い適合性圧力タンクのうちの1つの細長い適合性圧力タンクから取り外された高分子ライナを示す斜視図である。
【
図4】[0018]一般的なオンタンクバルブマニホルド組立体に連結された既知の単一の細長い適合性圧力タンクを示す斜視図である。
【
図5】[0019]オンタンクバルブマニホルド組立体の一実施形態を示している、
図1の圧力容器組立体を示す概略図である。
【
図6】[0020]水平方向に積み重ねられた細長い適合性圧力タンクに直接連結されてさらに垂直に積み重ねられた細長い適合性圧力タンクに直接連結されたオンタンクバルブマニホルド組立体を示している、
図5の圧力容器組立体の別の実施形態を示す概略図である。
【
図7】[0021]直接連結された細長い適合性圧力タンクの各々と一列である補助過流デバイスを有するオンタンクバルブマニホルド組立体の第2の実施形態を示している、
図5の圧力容器組立体を示す概略図である。
【
図8】[0022]オンタンクバルブマニホルド組立体内の統合された再循環を示している、
図5の圧力容器組立体の別の実施形態を示す概略図である。
【
図9】[0023]統合された再循環を有するオンタンクバルブマニホルド組立体の代替的実施形態を示している、
図8の圧力容器組立体を示す概略図である。
【
図10】[0024]統合された再循環を有するオンタンクバルブマニホルド組立体の別の代替的実施形態を示している、
図8の圧力容器組立体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0025]複数の図を通して同様の符号により同様の部分または対応する部分を示している図を参照すると、本発明の一実施形態による、圧力下で液体および/またはガスを収容するためのタイプIVの圧力容器組立体10が
図1に示される。圧力容器組立体10は、水素、窒素、天然ガス、ヘリウム、ジメチルエーテル、液化石油ガス、およびキセノンなどの、圧縮液体および/または圧縮ガスを保管するのに適する。自動車用途のための水素を保管するための圧力容器組立体10は、通常、通常使用中の約34.5MPa(5,000PSI)から約68.9MPa(10,000PSI)の内部圧力のために設計される。比較すると、圧縮天然ガスの保管のための圧力容器組立体10は、通常、通常使用中の約20.7MPa(3,000PSI)の内部圧力のために設計される。
【0018】
[0026]
図1を参照すると、本発明の圧力容器組立体10は、オンタンクバルブマニホルド組立体18(本明細書ではOTVマニホルド組立体18として説明される)に固定的に連結された複数の細長い適合性圧力タンク14a、14b(別法として、本明細書では細長い適合性タンク14a、14bおよび細長い折り畳みタンク14a、14bとしても説明される)を備える。
図2は
図1の圧力容器組立体10の概略図を示しており、第1の細長い適合性タンク14aおよび第2の細長い適合性タンク14bに直接連結されたOTVマニホルド組立体18を説明する。
図2を参照すると、細長い適合性タンク14a、14bの各々は、流体および/またはガス34を保管するための内部30を有する高分子ライナ26を有する。後でさらに説明されるように、高分子ライナ26は外側複合材シェル28によって囲まれ、それにより各々の細長い適合性タンク14a、14bを形成する。「流体」および「ガス」という用語は本明細書では言い換え可能に使用され、その理由は、水素ガスなどのガスは、水素ガスを保管している場所の圧力および温度に応じて気体形態にもまたは流体形態(例えば、「液体」形態)にもなるからである。図には2つの細長い適合性タンク14a、14bが示されるが、圧力容器組立体10は複数の細長い適合性タンク14a、14bを備えることができる。
【0019】
[0027]
図3は、コネクタ部分38と、テーパ部分42と、管部分46と、を有する中空ボディ30を備える例示の細長い適合性タンク14a、14bの剥き出しの高分子ライナ26の一実施形態を示す。中空ボディ30は、高分子ライナ26の第1の終端部54と第2の終端部58との間を延在する細長い円筒壁50によって画定される。
図2を参照すると、高分子ライナ26は、対向する内側表面62および外側表面66と、高分子ライナ26の第1の終端部54のところにある入口開口部70と、高分子ライナ26の第2の終端部58のところにある出口開口部74と、を含む。高分子ライナ26に対する入口開口部70および出口開口部74の各々は、所望される場合に高分子ライナ26の内部30の中へおよび/または内部30から外へ流体および/またはガス34を通過させるのに使用され得る。高分子ライナ26の入口開口部70および出口開口部74の各々は、高分子ライナ26のネック出口78によって画定される。「入口開口部」70および「出口開口部」74などの相対的用語は、流体34が細長い適合性タンク14a、14bに加えられるかまたは細長い適合性タンク14a、14bから取り除かれるかのいずれかに関係なく、細長い適合性タンク14a、14b内の特定の開口部を指すことが理解されよう。したがって、別法として入口/出口開口部70および第1の開口部70としても説明される入口開口部70は、細長い適合性タンク14a、14bの第1の終端部54に関連付けられた開口部を指すことが理解されよう。同様に、別法として入口/出口開口部74および第2の開口部74としても説明される出口開口部74は、細長い適合性タンク14a、14bの第2の終端部58に関連付けられた開口部を指すことが理解されよう。
【0020】
[0028]
図3を参照すると、高分子ライナ26は、第1の直径86を有する複数の細長い剛体管部分46と、第1の直径86より小さい第2の直径90を有する複数のコネクタ部分38と、連続する細長い剛体管部分46とコネクタ部分38との間に配設されて連結するテーパ部分42と、を含む。第1の直径86および第2の直径90は、それぞれ、管部分46の外径86およびコネクタ部分38の外径90によって画定される。複数の細長い剛体管部分46の各々は流体34を保管するためのそれぞれのチャンバ94を画定し、第1のチャンバ98が高分子ライナ26の第1の終端部54に隣接して画定され、最後のチャンバ102が高分子ライナ26の第2の終端部58に隣接して画定される。高分子ライナ26の他の実施形態は、特定の用途のために所望される場合に、第1のチャンバ98と最後のチャンバ102との間に任意の数のチャンバ94を含むことができる。別法として、高分子ライナ26は、高分子ライナ26の終端部54と終端部58との間を延在する単一の細長いチャンバ94を含むこともできる。
【0021】
[0029]例示の繰り返しのライナ部分106が
図3に示される。繰り返しのライナ部分106は、剛体管部分46に取り付けられたテーパ部分42およびコネクタ部分38と組み合わされた単一の剛体管部分46を備えるものとして定義される。個別のライナ部分106は、寸法および形状などが多様となり得る。特定のライナ部分106は、非限定の実施例として多様な外径、長さ、および形状を有する、管部分46と、コネクタ部分38と、テーパ部分42と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、特定のライナ部分106は、他のライナ部分106の長さより小さいまたは大きい長さを有することができる。他の実施形態では、個別のコネクタ部分38の長さは、所望の積み重ねアーキテクチャ126(
図1に示される)となるように高分子ライナ26を折り畳み可能とするように、選定され得る。したがって、繰り返しのライナ部分106は等しくてよいかまたは繰り返しのライナ部分106は1つまたは複数の構成を含むことができる。例えば、終端部54、58のところの高分子ライナ26のセクションは、ボススタイルの接続具に対合的におよび/または摩擦的に係合されるように構成されたカフ部分108を有するコネクタ部分38を含むことができる。
【0022】
[0030]
図3に示されるコネクタ部分38は、波形118とされ得、これによりコネクタ部分38が柔軟になり、所定の空間を埋めるように高分子ライナ26を折り畳んで積み重ねアーキテクチャ126(
図1に示される)にし、および/または高分子ライナ26を折り畳んでハウジング123に入れることが可能になる。非波形のコネクタ部分38’は種々の実施形態において剛体となり得る。種々の実施形態で、コネクタ部分38は管部分46の直径86より小さい直径90を有することができ、ここでは、テーパ部分42がコネクタ部分38の直径90と管部分46の直径86との間に移行部分を提供する。しかし、別の実施形態は、1つまたは複数の適切な直径86、90を有する部分38、42、46を有する高分子ライナ26を備えることもでき、別の実施形態では、高分子ライナ26は、種々の形状を含むことができる非円筒形である部分38、42、46を有することもできる。同様に、いくつかの実施形態では、管部分46は波形部118を備えることができる。
【0023】
[0031]好適には、高分子ライナ26は、
図3に示されるように、溶接部を有さずに単一の材料を使用するシームレスライナとして製造される。しかし、いくつかの実施形態では、単一のチャンバ94を備える個別のライナ部分106は、複数のチャンバ94を備える細長い高分子ライナ26を形成するように一体に接続され得る。いくつかの実施形態では、高分子ライナ26は、高分子ライナ26の種々の部片38、42、46を形成してこれらの部片38、42、46を一体に連結することにより、作られ得る。例えば、コネクタ部分38は、テーパ部分42、管部分46、および/またはカフ部分108とは別個に製造され得る。次いで、このような別個の部分38、42、46、108が一体に連結され得、高分子ライナ26を形成することができる。
【0024】
[0032]
図3に示される高分子ライナ26は、一般に、ナイロン(PA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:linear low-density polyethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE:low-density polyethylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:high-density polyethylene)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH:ethylene vinyl alcohol)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)、および/または同様の材料などの、1つまたは複数の高分子材料から形成される。高分子ライナ26は単一の層の高分子材料で形成され得る。別法として、高分子ライナ26は、2つの以上の高分子層の複層構造で形成され得る。さらに、特定の用途のために所望される場合、1つまたは複数の金属層が高分子ライナ26に含まれ得る。高分子ライナ26は、樹脂を含浸された繊維ストランドまたは他の適切な材料で包まれ得および/またはオーバーブレイディングされ得、それにより高分子ライナ26の強度を増大させ、それにより高分子ライナ26を安全に稼働させることができる必須の圧力を増大させる。加えて、種々の実施形態で、編み材料(brading)が複数の層に配設され得る。樹脂を含浸された1つまたは複数の層の繊維ストランドが、樹脂の硬化後に硬い外側複合材シェル28を形成する。
【0025】
[0033]
図1に示される外側複合材シェル28は、1つまたは複数の層の樹脂含浸繊維ストランドを含む。外側複合材シェル28のための適切な繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、玄武岩繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維(HDPE)、Zylon(商標)であるポリ繊維(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール繊維(PBO))、アラミド繊維、Kevlar(登録商標)であるポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET)、ナイロン繊維(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル繊維(PL)、ポリプロピレン繊維(PP)、ポリエチレン繊維(PE)、金属、エチレンビニルアルコール繊維(EVOH)、およびポリウレタン繊維(PU)など、のうちの1つまたは複数を含む。適切な樹脂は、エポキシ樹脂、ビニルエステル系樹脂、熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン、および熱可塑性樹脂など、のうちの1つまたは複数を含む。高分子ライナ26のための材料および寸法、さらには、外側複合材シェル28を形成する樹脂および繊維の種類および量の選定は、各々の細長い適合性タンク14a、14bの所望の動作条件に部分的に基づいて行われる。
【0026】
[0034]
図1の細長い適合性タンク14a、14bは、外側複合材シェル28によって高分子ライナ26が覆われるときに、形成され、折り畳まれて所望の折り畳み形状126となり、樹脂が硬化して外側複合材シェル28を硬くする。種々の実施形態で、細長い適合性タンク14a、14bは折り畳まれて三次元構造126となることができる。
図1は、オーバーブレイディングを施された高分子ライナ26が折り畳まれて積み重ねアーキテクチャ126で維持される一実施形態を示す。好適には、各々の細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70が、
図1に概略的に示されるように、それぞれの細長い適合性タンク14a、14bの出口開口部74に隣接して配置構成され、その結果、OTVマニホルド組立体18が、各々の細長い適合性タンク14a、14bの各々の入口開口部70および出口開口部74の両方に直接接続され得るようになる。
【0027】
[0035]
図1に示される実施形態では、第1の細長い適合性タンク14aが第2の細長い適合性タンク14bの上に積み重ねられ、ここでは、第1の細長い適合性タンク14aおよび第2の細長い適合性タンク14bの入口開口部70および出口開口部74が互いに隣接し、その結果、OTVマニホルド組立体18が第1の細長い適合性タンク14aおよび第2の細長い適合性タンク14bの両方に直接連結され得るようになる。
図1に示される積み重ねアーキテクチャ126は、垂直方向に積み重ねられた個別の細長い適合性タンク14a、14bを有する垂直積み重ねパターン126aを示す。
図6に示されるように、特定の実施形態は、垂直積み重ねアーキテクチャ126aを有する細長い適合性タンク14a、14b、さらには、水平積み重ねアーキテクチャ126bを有する1つまたは複数の細長い適合性タンク14cを含むことができる。複数の細長い適合性タンク14a、14b、14cが圧力容器組立体10に含まれる場合に入口開口部70のすべておよび出口開口部74のすべてを一体に近づけて配置するのに交互の折り畳みパターンおよび積み重ね構成126a、126bが採用され得ることが理解されよう。単一のOTVマニホルド組立体18は、入口開口部70および出口開口部74が一体に近くに配置される場合、入口開口部70および出口開口部74のすべてに直接連結され得る。
【0028】
[0036]
図1に示されるように、OTVマニホルド組立体18は、複数の細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70の各々にOTVマニホルドを連結するように構成された複数の第1の充填カプラ115を含む。加えて、OTVマニホルド組立体18は、複数の細長い適合性タンク14a、14bの出口開口部74の各々にOTVマニホルド組立体18を連結するように構成された複数の第2の充填カプラ117を含む。「入口」、「出口」、および「充填カプラ」の相対的な説明に関係なく、流体34が各々の細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70および出口開口部74のいずれかまたは両方を通して細長い適合性タンク14a、14bに加えられたり細長い適合性タンク14a、14bから取り除かれたりされ得ることが理解されよう。例えば、特定の実施形態では、OTVマニホルド組立体18は、複数の細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70および出口開口部74のすべてに同時に流体34を選択的に提供するように構成される。他の実施形態では、OTVマニホルド組立体18は、特定の用途のために必要である場合に、入口開口部70のうちの1つまたは複数の入口開口部ならびに/あるいは出口開口部74のうちの1つまたは複数の出口開口部に流体34を選択的に提供することができる。同様に、OTVマニホルド組立体18は、細長い適合性タンク14a、14bのうちの1つまたは複数の細長い適合性タンクからOTVマニホルド組立体18上にある第3の充填カプラ119まで流体34を移送するように構成され得る。第3の充填カプラ119は、OTVマニホルド組立体18を、外部流体源、水素充填ステーション、および/または自動車エンジンに直接的におよび/または間接的に連結するように構成される。加えて、OTVマニホルド組立体18は、外部燃料セル供給ライン(external fuel cell supply line)に対してOTVマニホルド組立体18が流体的に連結される場合、細長い適合性タンク14a、14bの内部30から第3の充填カプラ119に流体34を選択的に提供するように構成される。加えて、OTVマニホルド組立体18は、特定の用途のために所望される場合、
図1に示される第4の充填カプラ121などの、追加の充填カプラを含むことができる。第1の充填カプラ115、第2の充填カプラ117、第3の充填カプラ119、および第4の充填カプラ121は、OTVマニホルド組立体18のボディを画定するハウジング123を通して支持および接続される。
【0029】
[0037]
図2は、ブロック125によって示されるように、OTVマニホルド組立体18の選択された内部構造125の概略説明図を示す。
図2を参照すると、OTVマニホルド組立体18は、任意選択で、非限定の例として、自動停止装置SOV(automatic shut off)を有するソレノイドバルブ、1つまたは複数のチェックバルブCV、温度・圧力緩和デバイスTPRD(temperature pressure relief device)、手動制御バルブMV、ブリードバルブBV、過流デバイスEFD(excess flow device)、さらには、圧力センサーPS、温度センサーTS、フィルターF、および電子制御装置などの他の構成要素を含む。特定の実施形態は、任意選択で、細長い適合性タンク14a、14bのうちの1つまたは複数の細長い適合性タンクのためのOTVマニホルド組立体18を通して出口開口部74と入口開口部70との間で流体34を再循環させるように構成された再循環機能Rを含む。任意選択で、再循環機能Rは、細長い適合性タンク14a、14bのうちの1つの細長い適合性タンクから細長い適合性タンク14a、14bのうちの別の1つの細長い適合性タンクまで流体34を選択的に再循環させるように構成され得る。追加の実施形態では、再循環機能Rは、第3の充填カプラ119および第4の充填カプラ121のうちの1つまたは複数の充填カプラを通して細長い適合性タンク14a、14bに加えられる流体34に対して再循環流体34を混合する。
【0030】
[0038]さらに
図2に示されるように、OTVマニホルド組立体18は、専用の第1の充填カプラ115を通して、さらには、細長い適合性タンク14aのうちの1つの細長い適合性タンクの入口開口部70を通して、矢印131によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bに流体34を選択的に提供することができる。加えて、流体34は、関連する出口開口部74および第2の充填カプラ117を通して、矢印133によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bから取り除かれ得る。別法として、OTVマニホルド組立体18は、矢印135および137によって示されるように、入口開口部70および出口開口部74のいずれかまたは両方に流体34を選択的に提供することができ、さらには、細長い適合性容器14a、14bの入口開口部70および出口開口部74のいずれかまたは両方を通して流体34を選択的に取り除くことができる。同様に、流体34は、矢印141および143によって示されるように、第3の充填カプラ119および第4の充填カプラ121のうちの1つまたは複数の充填カプラを通して、OTVマニホルド組立体18に選択的に提供され得、および/またはOTVマニホルド組立体18から選択的に取り除かれ得る。他の実施形態では、OTVマニホルド組立体18は、第4の充填カプラ121および矢印145によって示されるような、専用の流れ方向を有する充填カプラを含むこともできる。
【0031】
[0039]一般的なオンタンクバルブ(OTV)マニホルド組立体18’に連結された単一の細長い適合性圧力タンク14を備える例示の既知の圧力容器組立体10’が
図4に示される。上記の
図1~3で使用される要素と同じであるかまたは同様である
図4の要素は簡潔さのために同じ参照符号を有する。
図4を参照すると、既知の単一の細長い適合性圧力タンク14が、第1の終端部54と第2の終端部58との間を延在するコネクタ部分38によって接続された複数の管部分46を含む。
図4に示される既知の単一の細長い適合性圧力タンク14は、32個の管部分46の例示のスタックを含む。第1の終端部54は入口開口部70を含み、第2の終端部54は出口開口部74を含む。入口開口部70は、OTVマニホルド組立体18’から延在する第1の充填カプラ115に直接連結される。同様に、出口開口部74は、OTVマニホルド組立体18’から延在する第2の充填カプラ117に直接連結される。OTVマニホルド組立体18’は、既知の細長い適合性圧力タンク14に流体34を加えるためのおよび/または既知の細長い適合性圧力タンク14から流体34を取り除くための、第3の充填カプラ119および第4の充填カプラ121をさらに含む。
【0032】
[0040]
図4を参照すると、充填プロセス中、OTVマニホルド組立体18’を通して入口開口部70に入れられるかたちで、既知の単一の細長い適合性圧力タンク14に流体が加えられる。しばしば、単一の細長い適合性圧力タンク14に流体34を加える前に、流体34は予め冷却される。管部分46内の流体34は、入口開口部70を通して加えられる流体34によって圧縮される。管部分46での流体34の圧縮は熱を発生させる。通常、予め冷却された流体34を受け取る管部分46aは、単一の細長い適合性圧力タンク14の長さに沿って入口開口部70からさらに離れたところにある管部分46bで保管される流体34より低い内部流体温度を有する。第1の管部分46a内の流体34が充填プロセス中に出口開口部74の近くの管部分46cの間で混合されない場合、管部分46a、46b、46cに跨る温度勾配が発現しやすく、ここでは、第1の管部分46aが、最後の管部分46cで保管される流体34の温度より低い流体温度を示す。出口開口部74から流体34を引き出すことにより流体34が混合される場合でも、OTVマニホルド組立体18の外部から受け取られて入口開口部70に加えられる予め冷却された流体34に対して、引き出した流体34を混合することにより、複数の管部分46a、46b、46cを有する細長い適合性圧力タンク14において依然として許容されない温度勾配が発現し得る。
【0033】
[0041]
図1および2に示される実施形態は、単一の細長い適合性圧力タンク14を分離して複数のより短い細長い適合性タンク14a、14bにすることにより、複数の管部分46a、46b、46cを有する単一の細長い適合性圧力タンク14における充填プロセス中に発現し得る潜在的な温度勾配を低減する。OTVマニホルド組立体18は、複数のより短い細長い適合性圧力タンク14a、14bの入口開口部70および出口開口部74に同時に直接連結されるように構成される。例えば、
図1に示される第1の細長い適合性圧力タンク14aおよび第2の細長い適合性タンク14bの各々が、組み合わせて20個の管部分46にするための10個の管部分46を含む。充填プロセス中に生じ得る潜在的な温度勾配は、所望のタンク容積を分割して複数の細長い適合性圧力タンク14a、14bにして複数の細長い適合性圧力タンク14a、14bの入口開口部70および出口開口部74のすべてを単一のOTVマニホルド組立体18を通して同時に連結することにより、低減される。OTVマニホルド組立体18は、複数の細長い適合性圧力タンク14a、14bのための充填プロセスを最適化するように選択的に構成される。さらに、単一のOTVマニホルド組立体18を通して細長い適合性圧力タンク14a、14bのすべてを流体的に連結することにより、流体34の圧力が細長い適合性タンク14aと細長い適合性圧力端部14bとの間で均一化され得る。
【0034】
[0042]
図5は、OTVマニホルド組立体18の内部構造125の機能ブロック図の一実施形態を示す。上記の
図1~3で使用される要素と同じであるかまたは同様である
図5の要素は簡潔さのために同じ参照符号を有する。接続された各々の複数の細長い適合性圧力タンク14a、14bのための第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117に加えて、OTVマニホルド組立体18は、矢印141および143によって示されるように、OTVマニホルド組立体18の中へおよびOTVマニホルド組立体18から外へ流体34を通過させるように構成された充填カプラ119(本明細書では第3の充填カプラ119と称される)を含む。第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117のすべてが第1の接合部161に流体的に接続され、その結果、第1の接合部161と第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117の各々との間で流体34が並行して通過させられるようになり、つまり、第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117のすべてに同時に流体34が供給される。
【0035】
[0043]さらに
図5に示されるように、流体34は第3の充填カプラ119を通してOTVマニホルド組立体18の中へ通過させられる。第3の充填カプラ119はフィルターFの入口F1に流体的に接続される。フィルターFの出口F2が第2の接合部163に流体的に連結される。ブリードバルブBV(bleed valve)が第2の接合物163と第3の接合部165と間に流体的に接続される。いくつかの実施形態では、第3の接合部165は、単一の接合部161、165として、第1の接合物161に組み合わされ、他の実施形態では、第3の接合物165は第1の接合部161に流体的に接続される。ブリードバルブBVは、圧力容器組立体10のために修理または保守管理が必要である場合に圧力容器組立体10から流体34を抜くように構成される。ブリードバルブBVは、充填プロセス中、フィルターFの下流にあり、第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117の上流にある。
【0036】
[0044]加えて、手動制御バルブMV(manually controlled valve)の入口MV1が第2の接合部163に流体的に連結され、その結果、
図5に示されるように充填プロセス中に手動制御バルブMVが第2の接合部163の下方に置かれるようになる。手動制御バルブMVは、過流デバイスEFDの入口EFD1に流体的に接続された出口MV2を有し、その結果、充填プロセス中に過流デバイスEFDが手動制御バルブMVの下流に置かれる。手動制御バルブMVは自動停止機能を迂回するように構成され、それにより圧力容器組立体10を修理するのを可能にする。過流デバイスEFDは、OTVマニホルド組立体18を通る流体34の流れを制御する制御可能バルブを含む。
【0037】
[0045]さらに
図5に示されるように、過流デバイスEFDの出口EFD2が、自動停止装置を有するソレノイドバルブSOVの入口SOV1に流体的に連結される。したがって、ソレノイドバルブSOVは、充填プロセス中、過流デバイスEFDの下流に置かれる。さらに、ソレノイドバルブSOVの出口SOV2が第4の接合部167に流体的に連結され、第4の接合部167は第3の接合部165および第1の接合部161に流体的に連結される。第4の接合部167に対して温度・圧力緩和デバイスTPRDが流体的に接続され、温度・圧力緩和デバイスTPRDはさらに、温度・圧力緩和デバイス通気口TPRD-Ventに流体的に接続される。温度・圧力緩和デバイス通気口TPRD-Ventに連通された温度・圧力緩和デバイスTPRDは、圧力容器組立体10内の過剰圧力を緩和するように構成される。温度・圧力緩和デバイスTPRDは、充填プロセス中、ソレノイドバルブSOVの下流にならびに第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117の上流に流体的に配置される。代替的実施形態が特定の用途において所望される場合により多くのおよび/または他の構成要素を含むことが理解されよう。
【0038】
[0046]
図6は、複数の細長い適合性タンク14a、14b、14cに直接連結されたOTVマニホルド組立体18を有する圧力容器組立体10の第2の実施形態を示す。上記の
図1~3で使用される要素と同じであるかまたは同様である
図6の要素は簡潔さのために同じ参照符号を有する。
図5に示される実施形態と同様に、OTVマニホルド組立体18は、フィルターFと、ブリードバルブBVと、手動制御バルブMVと、過流デバイスEFDと、自動停止装置を有するソレノイドバルブSOCと、温度・圧力緩和デバイスTPRDと、を含む。しかし、
図5の第3の接合部165および第4の接合部167は、
図6では組み合わされて単一の接合部165となる。加えて、垂直積み重ねアーキテクチャ126bを有する細長い適合性タンク14cが、水平積み重ねアーキテクチャ126aを有する第1の細長い適合性タンク14aおよび第2の細長い適合性タンク14bと共に、OTVマニホルド組立体18に接続される。個別の長さ、チャンバ46の数、および積み重ねアーキテクチャ126a、126bは、圧力容器組立体10の多様な実施形態の間で変化する。各々の個別の細長い適合性タンク14a、14b、14cの数および長さとの組み合わせで積み重ねアーキテクチャ126、126a、126bを調整することの融通性により、車両用途のための利用可能な空間内での内部タンク容積を最大限に活用することが可能となる。したがって、個別の細長い適合性タンク14a、14b、14cは、車両内の障害物に合わせるように、長さおよび積み重ねアーキテクチャ126、126a、126bに関して調整され得る。
【0039】
[0047]
図7は、複数の細長い適合性圧力タンク14a、14bに直接連結されたOTVマニホルド組立体18の別の実施形態を示す。上記の
図1~3で使用される要素と同じであるかまたは同様である
図7の要素は簡潔さのために同じ参照符号を有する。
図5および6に示される実施形態と同様に、OTVマニホルド組立体18は、フィルターFと、ブリードバルブBVと、手動制御バルブMVと、過流デバイスEFDと、自動停止装置を有するソレノイドバルブSOCと、温度・圧力緩和デバイスTPRDと、を含む。しかし、補助過流デバイスSEは、(充填プロセス中に)第1の接合部161の下流に、ならびに(充填プロセス中に)各々の第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117の上流に、配置される。特定の実施形態では、複数の細長い適合性圧力容器タンク14a、14bのための各々の第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117と一列になっている過流デバイスSEを有することが望ましい。他の実施形態では、第1の充填カプラ115および第2の充填カプラ117のサブセットと一列になっている過流デバイスSEが含まれる。
【0040】
[0048]
図8から10は、再循環機能Rを有するOTVマニホルド組立体18の代替的実施形態を示す。上記の
図1~3で使用される要素と同じであるかまたは同様である
図8から10の要素は簡潔さのために同じ参照符号を有する。
図5および6に示される実施形態と同様に、OTVマニホルド組立体18は、フィルターFと、ブリードバルブBVと、手動制御バルブMVと、過流デバイスEFDと、自動停止装置を有するソレノイドバルブSOCと、温度・圧力緩和デバイスTPRDと、を含む。
図8を参照すると、再循環機能Rは、細長い適合性タンク14a、14bの各々のための、OTVマニホルド組立体18を通る、出口開口部74と入口開口部70との間での再循環を含む。
【0041】
[0049]
図8を参照すると、ベンチュリ混合チャンバ222が、第1の高圧ライン182を通して各々の第1の充填カプラ115に流体的に連結される。吸引ライン226が、各々の第2の充填カプラ117とそれぞれのベンチュリ混合チャンバ222との間に流体的に連結される。第1の高圧ライン182および吸引ライン226の両方がOTVマニホルド組立体18の外側ハウジング123によって完全に包囲される。ベンチュリノズル238(排出装置またはエジェクタとしても知られている)が第1の接合部161に流体的に連結されたノズル入口238aを有し、ノズル出口238bを通してベンチュリ混合チャンバ222に流体34を提供する。充填プロセス中のベンチュリノズル238を通る流体34の流れが矢印239によって示される。ベンチュリノズル238は充填プロセス中に流体流れを循環させるのに使用され、それにより、充填プロセス中の流体34および/または細長い適合性タンク14a、14bの最高温度を低下させることができる。任意選択で、1つまたは複数の温度センサーがベンチュリノズル238および/またはベンチュリ混合チャンバ222に熱的に連結され、ベンチュリノズル238からベンチュリ混合チャンバ222の中まで通過する流体34の温度を検出するように構成される。加えて、吸引ライン226を通過する流体34の温度を検出するように構成された追加の温度センサーが任意選択で含まれる。
【0042】
[0050]充填プロセス中の最後チャンバ102と第1のチャンバ98との間でのOTVマニホルド組立体18を通る流体34の再循環が
図8に示される。外部流体34が第3の充填カプラ119を通してベンチュリノズル238に供給されるとき、流体34が、矢印239によって示されるように、高い圧力でノズル出口238bを通して排出される。ベンチュリ混合チャンバ222の中への流体34の移動が、矢印252によって示されるように、吸引ライン226から流体34を引き寄せる。吸引ライン226からの流体252が、ベンチュリ混合チャンバ222で、ベンチュリノズル238からの流体239と混合される。混合流体239、252が高圧ライン182を通って流れ、矢印253によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bの第1のチャンバ98に供給される。吸引ライン226を通る流体252の移動が、矢印255によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bの最後のチャンバ102から流体34を引き寄せる。最後のチャンバ102から吸引ライン226を通ってさらにベンチュリ混合チャンバ222を通って第1のチャンバ98に入る流体255の流れがさらに、矢印257によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bの全長にわたって流体を流すようにする。細長い適合性タンク14a、14bの全長にわたる流体34の移動が、充填プロセス中の個別のチャンバ98、102内の温度上昇を低減する。
【0043】
[0051]
図9は再循環機能Rの代替的実施形態を示しており、ここでは、OTVマニホルド組立体18は、細長い適合性タンク14bの最後のチャンバ102からOTVマニホルド組立体18を通して細長適合性タンク14bの第1のチャンバ98の中まで流体34を再循環させるように構成された、細長い適合性タンク14bのうちの1つの細長い適合性タンクのための、ベンチュリノズル238、ベンチュリ混合チャンバ222、および吸引ライン226を含む。しかし、OTVマニホルド組立体18は、細長い適合性タンク14aのうちの他の1つの細長い適合性タンクのための再循環機能Rを有さない。したがって、充填プロセス中、流体34はこの細長い適合性タンク14aの入口開口部70および出口開口部74の両方に同時に提供される。特定の実施形態では、充填プロセス中の熱放散によっては、個別の細長いタンク14a、14bのための再循環機能Rを追加することが望ましい。いくつかの事例では、充填プロセス中の予期される熱の増大(heat rise)が所望の量未満である場合、再循環機能Rは省かれ得る。
【0044】
[0052]
図10は、第1の接合部161とベンチュリ混合チャンバ222との間に流体的に接続された単一のベンチュリノズル238を有する再循環機能Rの代替的実施形態を示す。吸引ライン226がベンチュリ混合チャンバ222と出口接合部171との間に流体的に接続される。細長い適合性タンク14a、14bの出口開口部74の各々は出口接合部171に流体的に接続される。細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70の各々は入口接合部173に流体的に接続される。ベンチュリ混合チャンバ222は、充填プロセス中、入口接合部173に混合流体を提供する。混合流体はさらに、入口接合部173に接続された細長い適合性タンク14a、14bの入口開口部70のすべてに同時に提供される。ベンチュリノズル238を通過する供給流体が吸引ライン226から流体を引き寄せる。吸引ライン226を通る流体の移動が、細長い適合性タンク14a、14bの出口開口部74のすべてから流体を同時に引き寄せる。入口開口部70に入る流体の移動に加えて出口開口部74から外に出る流体の移動により、矢印257によって示されるように、細長い適合性タンク14a、14bに沿って流体が移動する。
【0045】
[0053]複数の細長い適合性圧力タンクに直接連結されたオンタンクバルブ(OTV)マニホルド組立体を有する圧力容器組立体の1つの利点は、充填プロセス中の各々の細長い適合性圧力タンク内の温度勾配が所望の制限範囲内で維持され得ることであり、その理由は、より長い適合性圧力タンクの単一の入口開口部および単一の出口開口部のみに対して流体が提供されるのではなく、複数の適合性圧力タンクに関連付けられた複数の入口開口部および出口開口部に対して流体が提供されるからである。
【0046】
[0054]本発明を例示的に説明してきたが、使用される用語が説明的単語の性質を有することを意図され、限定的であることを意図されないことを理解されたい。上記の教示に照らして、本発明の多くの修正形態および変形形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は具体的に説明される手法以外の手法でも実施され得ることを理解されたい。
【国際調査報告】