(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】サイクロイドギアを備える調節可能なインプラント
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B17/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534045
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2022080321
(87)【国際公開番号】W WO2023107823
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510116244
【氏名又は名称】ニューベイシブ スペシャライズド オーソペディックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ロペス カマチョ,ジョージ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL42
(57)【要約】
骨の第1の部分と骨の第2の部分との間に配置されるよう構成され、小型インプラントサイズに拡大縮小可能である、延伸及び圧縮デバイスが、本明細書において開示されている。さまざまな実施形態では、本デバイスは、内部に配設される内部空洞を有する延伸シャフトであって、骨の第1の部分に固定するよう構成されている延伸シャフトと、第2の骨部分に固定されるよう構成されているハウジングであって、延伸シャフトが、ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、ハウジング内に一部が配設されている、ハウジングとを含む。駆動要素は、ギアアセンブリを回転可能に駆動するよう構成されているハウジング内に配設されており、送りねじアセンブリは、延伸シャフトの内部空洞内に少なくとも一部が配設されており、送りねじアセンブリは、内部空洞内で送りねじを回転可能に前進及び/又は後退させるよう、並びにサイクロイドギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨の第1の部分と前記骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスであって、
内部に配設される内部空洞を有する延伸シャフトであって、骨の前記第1の部分に固定されるよう構成されている、延伸シャフトと、
前記骨の第2の部分に固定されるよう構成されているハウジングであって、前記延伸シャフトが、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部が前記ハウジング内に配設されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に配設されている駆動要素と、
前記駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されている、サイクロイドギアアセンブリと、
前記延伸シャフトの前記内部空洞内に少なくとも一部が配設されている送りねじアセンブリであって、前記内部空洞内で送りねじを回転可能に前進及び/又は後退させるよう、並びに前記サイクロイドギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている、送りねじアセンブリと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記サイクロイドギアアセンブリが、1つ以上のサイクロイドギア段を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記1つ以上のサイクロイドギア段の各段が、4:1のギア減速比を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1つ以上のサイクロイドギア段の各段が、
前記ハウジングに対して回転可能に固定されており、かつこれを通る環状開口部を有するプレート部材であって、前記環状開口部の外縁の周りに均等に離間された5個のピンを有する、プレート部材と、
4つのローブを有する、長手方向に延在している部分を有するサイクロイド偏心駆動ディスクであって、前記4つのローブが前記環状開口部内に挿入されるよう構成されており、対応する複数のピンと嵌合係合するよう構成されている複数の凹部機構部を更に備える、サイクロイド偏心駆動ディスクと、
前記複数の凹部機構部と嵌合係合するよう構成されている複数のピンを備える出力シャフト部材であって、前記複数のピンの方向と反対の方向に延在している、出力シャフト部材と、
を更に備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記サイクロイド偏心駆動ディスクが、エピトロコイド曲線を更に備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記1つ以上のサイクロイドギア段が、2つのサイクロイドギア段を更に含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
第1段の出力シャフトが偏心シャフトであり、第2段の前記出力シャフトが前記送りねじに連結されている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記1つ以上のサイクロイドギア段が、3つ以上のサイクロイドギア段を更に含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項9】
第1段の出力シャフト及び第2段の前記出力シャフトが偏心シャフトであり、第3段の前記出力シャフトが前記送りねじに連結されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
延在している偏心シャフトを有する連結部材を更に備え、
前記連結部材が、前記駆動要素と前記サイクロイドギアアセンブリとを連結するよう構成されており、かつ前記駆動要素によって回転されるよう、及び前記偏心シャフトを使用して、前記サイクロイドギアアセンブリを回転可能に駆動するよう更に構成されている、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記連結部材の前記偏心シャフトを支持するよう構成されているベアリングを更に備える、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記駆動要素が、前記ハウジング内に配設されており、前記ハウジングに対して回転可能であるように構成されている永久磁石を更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記永久磁石が回転すると、前記ハウジング及び前記延伸シャフトに対して前記サイクロイドギアアセンブリ及び前記送りねじが回転し、それによって前記内部空洞内での前記送りねじの軸方向移動が生じ、それによって前記デバイスが延長又は短縮する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記駆動要素がモータを更に備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記内部空洞が、その内側表面に固定されたナットを更に備えており、前記ナットが、前記送りねじと係合するよう構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記延伸シャフトの前記内部空洞の開放端部に隣接する肩部から延在している第1のタブ突起部と、
前記延伸シャフトの前記開放端部と前記サイクロイドギアアセンブリとの間の前記送りねじ上に配設された抗ジャム機構部と、
を更に備え、
前記抗ジャム機構部が、前記延伸シャフト上の前記第1のタブ突起部と嵌合係合するよう構成されている第2のタブ突起部を有する螺旋ばねを備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記延伸シャフトが、長円形の断面形状を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
骨の第1の部分と前記骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスであって、
内部に配設される内部空洞及び前記内部空洞の開放端部に隣接する肩部から延在している第1のタブ突起部を有する延伸シャフトであって、骨の前記第1の部分に固定されるよう構成されている、延伸シャフトと、
前記骨の第2の部分に固定されるよう構成されているハウジングであって、前記延伸シャフトが、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部が前記ハウジング内に配設されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に配設されている駆動要素と、
前記駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されている、ギアアセンブリと、
前記内部空洞と回転可能に係合し、前記ギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている、送りねじアセンブリであって、
前記延伸シャフトの前記内部空洞内に少なくとも一部が配設されている、送りねじと、
前記延伸シャフトの前記開放端部と前記ギアアセンブリとの間の前記送りねじ上に配設された抗ジャム機構部と、
を備える、送りねじアセンブリと、
を備え、
前記抗ジャム機構部が、前記延伸シャフト上の前記第1のタブ突起部と嵌合係合するよう構成されている第2のタブ突起部を有する螺旋ばねを備える、
デバイス。
【請求項19】
前記抗ジャム機構部が、実質的に円形又は長円形のうちの1つである外側断面形状を有しており、
前記抗ジャム機構部がジャムを妨害するように係合されると、前記抗ジャム機構部が前記送りねじに対して回転方向に固定されるように、対応する軸方向位置において前記送りねじの断面形状と相補的であるキー形状を有する開口部を更に備える、
請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記キー形状が六角形である、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記送りねじアセンブリが、
前記ギアアセンブリの出力シャフト及び前記送りねじに回転可能に固定された送りねじ止めと、
前記送りねじの上、及び送りねじ止めに隣接して配設されている双方向スラストベアリングと、
前記送りねじの上であり、かつ前記双方向スラストベアリングと前記抗ジャム機構部との間に配置されている保持リングと、
を更に備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項22】
前記保持リングが、スプリットワッシャを更に備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記ギアアセンブリがサイクロイドギアアセンブリである、請求項18に記載のデバイス。
【請求項24】
前記延伸シャフトが、長円形の断面形状を有する、請求項18に記載のデバイス。
【請求項25】
骨の第1の部分と前記骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスであって、
内部に配設される内部空洞を有する延伸シャフトであって、長円形の断面形状を有し、骨の前記第1の部分に固定されるよう構成されている、延伸シャフトと、
前記骨の第2の部分に固定されるよう構成されているハウジングであって、前記延伸シャフトが、前記ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部が前記ハウジング内に配設されている、ハウジングと、
前記ハウジング内に配設されている駆動要素と、
前記駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されている、ギアアセンブリと、
前記延伸シャフトの前記内部空洞内に少なくとも一部が配設されている、送りねじアセンブリであって、前記内部空洞内で送りねじを回転可能に前進又は後退させるよう、及び前記ギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている、送りねじアセンブリと、
を備える、デバイス。
【請求項26】
前記内部空洞が、長円形の断面形状を有する、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内部空洞が、その内側表面に固定されたナットを更に備えており、前記ナットが、長円形の断面形状を有しており、前記ナットが、前記送りねじと回転可能なように構成されている、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記駆動要素が、前記ハウジング内に配設され、かつ前記ハウジングに対して回転可能なように構成されている永久磁石を更に備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項29】
前記永久磁石が回転すると、前記ハウジング及び前記延伸シャフトに対して前記ギアアセンブリ及び前記送りねじが回転し、それによって前記内部空洞内での前記送りねじの軸方向移動が生じ、それによって前記デバイスが延長又は短縮する、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記駆動要素がモータである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項31】
前記ギアアセンブリがサイクロイドギアアセンブリである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項32】
前記延伸シャフトの前記内部空洞の開放端部に隣接する肩部から延在している第1のタブ突起部と、
前記延伸シャフトの前記開放端部とサイクロイドギアアセンブリとの間の前記送りねじ上に配設された抗ジャム機構部と、
を更に備え、
前記抗ジャム機構部が、前記延伸シャフト上の前記第1のタブ突起部と嵌合係合するよう構成されている第2のタブ突起部を有する螺旋ばねを備える、
請求項25に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2021年12月7日に出願された米国仮特許出願第63/286,699号の優先権を主張するものであり、その全体は本明細書において完全に記載されているかのごとく援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、延伸デバイスに関し、より詳細には、小型インプラントサイズに拡張可能な延伸デバイスに関する。
【0003】
脚長差(LLD)とは、大腿骨、頸骨、又はそれらの両方などの脚の1つ以上の骨の長さが不等であることによって引き起こされる、対象の脚の長さが等しくない場合の状態のことである。LLDは、出生時に存在し得るか、又は個体の生涯の間に、例えば骨折又は外傷性損傷の結果として発生し得る。LLDはまた、感染、腫瘍によっても引き起こされるおそれがあり、慢性骨折、先天性異常又は癒着不能の結果であることがある。LLDの重症度に応じて、非外科的処置又は外科的処置が適切となることがある。非外科的処置は、例えば、単なる監視又は靴リフトの使用を含むことができる。より重症な症例に好適な外科的処置としては、骨端固定、脚短縮、外脚延長又は内脚延長を含めた手技を挙げることができる。
【0004】
髄内及び髄外脚延長インプラントが、例えば、国際公開2011/029021(A1)号及び国際公開2017/132646(A1)号に記載されている。しかし、一層小さい患者のニーズ及びより小さい骨の延長を伴う状態に適応するように縮小することができる髄内及び髄外インプラントが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様は、骨の第1の部分と骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスを提供する。本デバイスは、その内部に配設されている内部空洞を有する延伸シャフトであって、骨の第1の部分に固定されるよう構成されている延伸シャフトと、第2の骨部分に固定されるよう構成されているハウジングとを備える。延伸シャフトは、ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部がハウジング内に配設されている。本デバイスは、ハウジング内に配設されている駆動要素と、駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されているサイクロイドギアアセンブリと、延伸シャフトの内部空洞内に少なくとも一部が配設されている送りねじアセンブリとを更に備える。送りねじアセンブリは、内部空洞内で送りねじを回転可能に前進及び/又は後退させるよう、並びにサイクロイドギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている。
【0006】
本開示の第2の態様は、骨の第1の部分と骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスを提供する。本デバイスは、その内部に配設されている内部空洞を有する延伸シャフトと、内部空洞の開放端部に隣接する肩部から延在する第1のタブ突起部とを備える。延伸シャフトは、骨の第1の部分に固定されるよう構成されている。本デバイスは、第2の骨部分に固定されるよう構成されているハウジングを更に含み、延伸シャフトは、ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部がハウジング内に配設されている。駆動要素がハウジング内に配設されており、ギアアセンブリは、駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されている。送りねじアセンブリは、内部空洞と回転可能に係合し、ギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう更に構成されている。このような実施形態では、送りねじアセンブリは、延伸シャフトの内部空洞内に少なくとも一部が配設されている送りねじと、延伸シャフトの開放端部とギアアセンブリとの間で送りねじ上に配設された抗ジャム(anti-jamming)機構部とを備え、抗ジャム機構部は、延伸シャフト上の第1のタブ突起部と嵌合係合するよう構成されている第2のタブ突起部を有する螺旋ばねを備える。
【0007】
本開示の第3の態様は、骨の第1の部分と骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されているデバイスであって、内部空洞がその内部に配設されている延伸シャフトであって、長円形の断面形状を有し、かつ骨の第1の部分に固定されるよう構成されている延伸シャフトと、第2の骨部分に固定されるよう構成されているハウジングと、を備えるデバイスを提供する。延伸シャフトは、ハウジングに対して軸方向に移動可能であるよう構成されており、一部がハウジング内に配設されている。駆動要素がハウジング内に配設されており、ギアアセンブリは、駆動要素によって回転可能に駆動されるよう構成されている。送りねじアセンブリは、延伸シャフトの内部空洞内に少なくとも一部が配設されており、送りねじアセンブリは、内部空洞内で送りねじを回転可能に前進又は後退させるよう、及びギアアセンブリによって回転可能に駆動されるよう構成されている。
【0008】
本発明のこれら及び他の態様、利点並びに顕著な特徴は、以下の詳細説明から明らかになり、以下の詳細説明は、添付の図面全体を通して同様の部分が同様の参照文字によって表示されている図面と併せて、本発明の実施形態を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】骨内の所定位置にある髄内延長デバイスの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、長円形延伸ロッド及びハウジングを含む、デバイスの上面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、長円形延伸ロッド及びハウジングを含む、デバイスの側面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、
図3に示されている長円形延伸ロッドであって、ハウジングを備える長円形延伸ロッドの側面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、長円形延伸ロッド及びハウジングを含む、デバイスの側断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、長円形延伸ロッド及びハウジングを含む、デバイスの上断面図である。
【
図7】本発明の実施形態による、デバイスのギア及び磁石アセンブリの側面の分解側面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、デバイスのギア及び磁石アセンブリの側面の分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による、デバイスのギア及び磁石アセンブリの側面の分解斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態による、
図5~
図6に示されている送りねじの側面図である。
【
図11】本発明の実施形態による、デバイスのギア及び磁石アセンブリの側面の分解斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態による、偏心磁石カップの斜視図である。
【
図13A】本発明の実施形態による、抗ジャム機構部の側面の斜視図である。
【
図13B】本発明の実施形態による、抗ジャム機構部の側面の斜視図である。
【
図13C】本発明の実施形態による、抗ジャム機構部の側面の斜視図である。
【
図14A】本発明の実施形態による長円形ナットの斜視図である。
【
図14B】本発明の実施形態による長円形ナットの断面図である。
【
図15】本発明の実施形態による、長円形延伸ロッドの側面の斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態による、
図15の長円形延伸ロッドの横断面図である。
【
図17】本発明の実施形態による、脊柱側弯症を患う個人の脊椎の椎骨に取り付けられたデバイスの側面図である。
【0010】
開示の図面は、必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、開示の典型的な態様のみを示すことが意図されており、したがって、開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間で同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の少なくとも一実施形態は、髄外延長デバイスに関連するその適用を参照して以下に説明される。本発明の実施形態は、髄外延長デバイスに関して例示されているが、本教示は、以下に限定されないが、髄内延長デバイス、骨の圧縮を行うための髄内及び髄外デバイスを含む他のインプラント、及び例えば椎弓根ねじを介して脊椎の椎骨に連結されるよう構成されている調整可能な脊椎ロッドにも等しく適用可能であることが理解される。
【0012】
図1は、骨100内に含まれる穴又は孔108から配置された髄内延長デバイスであるデバイス110の側面図を例示する。穴又は孔108は、穿孔、リーマ加工などによって作製されてもよく、皮質骨(端部における)及び海綿(cancellous)(海綿(spongy))骨の両方を通って延在してもよい。
図1に例示されているとおり、デバイス110は、ハウジング112及び延伸シャフト114を含む。骨100は、既存の分離部106を有してもよいか、又はこの分離部106を生成するために意図的に切断若しくは破壊されてもよいかのどちらかであり、骨を第1の部分102及び第2の部分104に分割する。切断は、デバイス110を挿入して固定する前に行われてもよく、又は例えば、可撓性ギグリソーの使用によって、デバイス110が挿入された後に行われてもよい。デバイス110の延伸シャフト114は、例えば当業者に公知のねじを含むことができる、1つ以上の締結具118を使用して第1の部分102に取り付けられている。デバイス110のハウジング112は、1つ以上の締結具116を使用して、骨100の第2の部分104に固定される。締結具116は、この場合も、ねじ又は当該技術分野で公知の他のタイプの締結具を含んでもよい。
【0013】
骨100を成長又は延長させるために、処置期間にわたり、骨100が継続的に延伸される。これによって、骨形成が起こり得る分離部106が拡大されるか、又は幅が広がる。「連続的に延伸される」とは、半日毎、1日毎又は数日毎の程度であり得る定期的な期間に、延伸が起こることを示すことを意味する。例示的な延長速度は、例えば、1日あたり1ミリメートルであり得るが、他の延伸速度が使用されてもよい。すなわち、典型的な延伸レジメンは、毎日、約1ミリメートルのデバイス110の長さの延長を含み得る。これは、例えば、各回0.25mmの延長を有する、1日あたり4回の延長期間によって行うことができる。デバイス110は、ハウジング112から延伸シャフト114を伸縮自在に延在させ、こうして、骨100の第1の部分102及び第2の部分104が互いに強制的に離間するよう構成されている駆動システムを含んでもよい。延伸が行われる際には、ハウジング112の一部は、変位部分120内の骨100の第1の部分102の穴又は孔108内で摺動するよう構成されていてもよい。
【0014】
さまざまな実施形態では、骨100内のデバイス110の向きは、
図1に示される向きと反対であってもよい。例えば、延伸シャフト114は、骨100の第2の部分104に連結されていてもよく、ハウジング112は、骨100の第1の部分102に連結されていてもよい。したがって、デバイス110は、骨100の遠位端で始まる穴又は孔から反対向きに配置されてもよい。
【0015】
他の実施形態では、デバイスは他の形態をとってもよい。例えば、
図2~
図6に図示されているものなどの特定の実施形態では、デバイス210は、国際特許出願第PCT/US2021/041701号に記載されているように、骨の延伸又は圧縮のいずれかのために使用するよう構成されている髄外デバイス210の形態であってもよく、この国際特許出願は、完全に記載されているかのごとく本明細書に援用される。デバイス210は、
図1に示されている骨100の第1の部分102及び第2の部分104と同様に、骨の第1の部分と骨の第2の部分との間に配置されるよう構成されている。デバイス210は、ハウジング212及び延伸シャフト214を含む。ハウジング212は、実質的に環状又は長円形の断面形状を有し得るスリーブ部を含んでもよい。スリーブ部は、締結具116などの締結具を受け入れるよう構成されている、1つ以上の固定隙間又は孔222を含む、端部分230に取り付けられていてもよい(
図1)。端部分230は、例えば、プレートを含んでもよく、このプレートは、それが固定される骨の具体的なサイズ及び形状にしたがって湾曲されてもよく、角度が付けられてもよく、又は輪郭形成されてもよい。端部230はまた、端部キャップを含んでもよい。
図4にハウジング212とは別に例示されている延伸シャフト214は、延伸シャフト214を骨の部分に固定するために当該技術分野で公知の締結具118などの締結具を受け入れるよう構成されている穴224を含んでもよい(
図1)。さまざまな実施形態では、穴222及び224は、内部にねじ山が付けられてもよく、穴222、224のねじ山パターンに対して相補的なねじ山パターンを有する締結具を受け入れるよう構成されていてもよい。
【0016】
デバイス110に関して上述したように、デバイス210は、ハウジング212から延伸シャフト214を伸縮自在に伸長及び後退させるよう構成されており、こうして、伸長時に骨の第1の部分及び第2の部分を互いに強制的に離間させるか、又は後退時に第1の部分と第2の部分とを一緒に引き込む。延伸シャフト214は、
図2~
図3に示すように、ハウジング212内に少なくとも一部が挿入されるよう構成されており、ねじ穴222の反対側の延伸シャフト214の端部がハウジング212内に挿入されている。デバイス210の最も短く最も後退した構成では、延伸シャフト214は、ハウジング212のスリーブ部内のかなりの部分に配設されている。延伸シャフト214は、ハウジング212に対して伸縮自在に移動可能である。特に、延伸シャフト214は、ハウジング212の内外で摺動するように軸方向に並進してもよい。
【0017】
延伸シャフト214は、既に記載したとおり、骨100の第1の部分102に固定されるよう構成されていてもよい一方(
図1)、ハウジング212は、骨100の第2の部分104に固定されるよう構成されてもよい(
図1)。しかし、
図1に関して説明されるように、反対向きのデバイス210もまた、本開示の範囲内であると考えられる。
図1に関してやはり説明されているとおり、デバイス210がインプラントされる骨を成長又は延長させるために、処置期間にわたり、骨を連続的に延伸させ、それによって骨形成が起こる骨の第1の部分と第2の部分との間の分離部が拡大されるか、又は広げられる。
【0018】
デバイス210は、ハウジング212内に配設された駆動要素を含む。
図4~
図6に示す一実施形態では、駆動要素は永久磁石234を含んでもよい。永久磁石234は、円筒形又は実質的に円筒形の形状であってもよく、ハウジング212内の円筒の長手方向軸を中心に、ハウジング212に対して回転可能であってもよい。このような回転は、完全に説明されているかのごとく本明細書に援用される、国際公開第2011/029021号に記載されている外部調整デバイスによって磁気的に駆動されてもよい。
【0019】
駆動要素が永久磁石234であるいくつかの実施形態が本明細書に記載されているが、他の実施形態では、駆動要素は、例えば、モータ又はマイクロモータなどの他の形態をとってもよく、これらの実施形態は、等しく、本開示の一部であると考えられる。
【0020】
永久磁石234又は本明細書に開示されている別の駆動要素は、送りねじ242を含めた、送りねじアセンブリ240に回転可能に連結されていてもよい。
図5~
図6に示されているように、送りねじアセンブリ240は、延伸シャフト214(
図5、
図6、
図15、
図16)内の内部空洞237内に少なくとも一部が配設されており、この場合、送りねじアセンブリ240は、内部空洞237内で送りねじ242を回転可能に前進及び/又は後退させるよう構成されている。使用時に、永久磁石234が回転すると、送りねじ242の回転が起こり、この送りねじは、延伸シャフト214内の空洞237の内側表面に固定されているナット239内で回転する。ナット239内の送りねじ242のこのような回転により、回転の方向、すなわち、時計回り又は反時計回りに応じて、送りねじ242の前進又は後退のいずれか一方が起こる。送りねじ242の回転により、延伸シャフト214の空洞237内に更に入って端部230から離れる方向に前進し、これによって、延伸シャフト214はハウジング212から伸縮自在に駆動する。これによって、次に、デバイス210の長さが延び、デバイス210がインプラントされた骨を延伸させる。送りねじ242の回転により、延伸シャフト214の空洞237内において、より浅い方向にかつハウジング212の端部230の方向に後退が起こる場合、これは、延伸シャフト214をハウジング212内に引き込むことになり、それによってデバイス210がインプラントされた骨を圧縮する。
【0021】
図5~
図6に示されるように、永久磁石234は、ハウジング212内に配設されていてもよく、そこから延在する中心スピンドル231を有するキャップ又はカップ228によって一端上の定位置に維持されてもよい。キーパー232及びベアリング233は、互いに及びスピンドル231と協働して、ハウジング212内で永久磁石234を支持し、永久磁石234の回転中に適切な軸方向スタック高さを達成及び維持する。中心スピンドル231は、ハウジング212の端部付近において、ベアリング233及びキーパー232を通過して延在してもよく、永久磁石234は、例えば外部調整デバイスによって作動されると、上記のハウジングの周りを回転することができる。
【0022】
永久磁石234の反対側の端部には、例えばカップ又はキャップ235の形態の連結部材が永久磁石234の端部上に配設されていてもよい。キャップ235は、そこからスピンドル231と反対の方向に、かつ送りねじ242及び延伸シャフト214の方向に延在する偏心シャフト238を含んでもよい。ベアリング360は、使用時に偏心シャフト238を支持するよう設けられてもよい。偏心シャフト238を有するキャップ235は、駆動要素、例えば永久磁石234をギアアセンブリに連結することができる。本明細書において開示されているある特定の実施形態では、ギアアセンブリは、特にサイクロイドギアアセンブリ250であってもよい。キャップ235は、永久磁石234と共に回転され、偏心シャフト238を使用して、サイクロイドギアアセンブリ250を回転可能に駆動するよう更に構成されている。永久磁石234、キャップ235及び偏心シャフト238、並びにサイクロイドギアアセンブリ250の係合の更なる詳細を、以下に更に記載する。
【0023】
引き続き
図5~
図6を参照すると、本明細書に記載されているさまざまな実施形態では、永久磁石234又は他の駆動要素は、サイクロイドギアアセンブリ250によって送りねじアセンブリ240に連結されてもよい。サイクロイドギアアセンブリ250は、永久磁石234によって回転可能に駆動され、次に送りねじ242を回転させるよう構成されてもよい。特に、偏心シャフト238を有する磁石カップ235は、サイクロイドギアアセンブリ250に係合することができる。永久磁石234、サイクロイドギアアセンブリ250及び送りねじ242はすべて、ハウジング212及び延伸シャフト214に対して回転するよう構成されており、それによって、上に述べたように内部空洞237内で送りねじ242の軸方向移動が生じ、それによって、例えば、ハウジング212内で延伸シャフト214の回転を引き起こすことなく、デバイス210を延長又は短縮する。
【0024】
図5~
図7を参照すると、サイクロイドギアアセンブリ250は、1つ以上のギア段、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ又は4つより多いギア段を含むことができる。図示されている例では、サイクロイドギアアセンブリ250は、第1段350、第2段450及び第3段550を含む、3つの段を含む。ある特定の実施形態では、サイクロイドギアアセンブリ250内の1つ以上の段の各段350、450、550などは、特定のギア減速比をもたらすよう構成され得る。例えば、各ギア段350、450、550などは、4:1のギア減速比をもたらすことができる。したがって、2段を有するサイクロイドギアアセンブリは、16:1のギア減速比を実現することができ、3段を有するサイクロイドギアアセンブリは、64:1のギア減速比を実現することができる。
【0025】
添付の図面に関して本明細書に記載されているように、サイクロイドギアアセンブリ250の第1段350、第2段450及び第3段550の構成要素は、それぞれ、300番台、400番台及び500番台の参照番号を使用する。同じ2番目及び3番目の数字を使用することにより、例えば、それぞれ第1段350及び第2段450内の同様の部品及び類似の機能が示される。例えば、プレート部材352及びプレート部材452とは、それぞれ、第1段350及び第2段450と構造的及び機能的に類似の構成要素のことである。サイクロイドギアアセンブリ250の構成要素は、当該技術分野での公知のいくつかの生体適合性材料のうちのいずれかから作製されてもよいが、特定の実施形態では、アノード酸化されたチタンが使用されてもよい。
【0026】
図7~
図9を参照すると、サイクロイドギアアセンブリ250の各段は、複数の構成要素を含んでもよい。例えば、第1段350は、ハウジング212に対して回転可能に固定されたプレート部材352を含んでもよい(
図5~
図6に示されている)。プレート部材352は、ここを通る環状開口部353を有してもよく、環状開口部353の外縁の周りに離間された複数のピン351を含んでもよい(
図8~
図9)。ピン351は、プレート部材352に対して自由に回転するよう構成され得、それによって本システムによって生じる摩擦が低減される。ある特定の実施形態では、ピン351の数は5つであってもよい。しかし、他の数のピン351が可能である他の実施形態もまた、本開示の一部として企図されており、例えば、プレート部材352は、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピン、5個のピン、6個のピンなどを含んでもよい。更に、プレート部材352は、
図11に示されるように、ピン表面361を組み込むよう構成されてもよい。
図11の実施形態では、ピン表面361は、回転を防止するが、組み立てを一層容易にする。これらのピン351(
図8~9)又はプレート部材352上のピン表面361(
図11)は、プレート部材352を通る環状開口部353の外縁の周りに均等に離間され得る。更に、
図6に示されているように、ベアリング360が、ピン351に隣接してプレート部材352内に配置されてもよい。
【0027】
第1段350は、ローブ(lobe)部を有するサイクロイド偏心駆動ディスク354を更に含んでもよく、このローブ部は、長手方向に延在しており、かつ複数のローブ355であって、ここを通過して軸方向に延在する環状開口部を上記の複数のローブ355を含む(
図9に最良に観察される)。ローブ部は、プレート部材352の環状開口部353に軸方向に挿入されるよう構成されてもよい。
図7~
図9に図示されている実施形態などのある特定の実施形態では、ローブ355の数は4つとすることができる。一部の実施形態では、ローブ355の数は少なくとも2つであってもよい。しかし、他の実施形態では、他の数のローブ355、例えば、1つのローブ、2つのローブ、3つのローブ、4つのローブ、5つのローブなどが存在してもよい。滑らかなエピトロコイド曲線が生じるよう、存在するピン351又はローブ355の数にかかわらず、ローブ355の数は(n-1)に等しく、nは存在するピン351の数である。磁石カップ235上の偏心シャフト238は、偏心駆動ディスク354の長手方向に延在するローブ部355と反対の方向からプレート部材352内の環状開口部353を通って挿入されるよう構成されており、こうして、偏心シャフト238は、プレート部材352内の環状開口部353を通り、かつサイクロイド偏心駆動ディスク354を通る環状開口部を通して延在する。このように、偏心磁石カップ235の偏心シャフト238は、プレート部材352内で偏心被駆動ディスク254の回転を駆動するよう構成されている。ある特定の実施形態では、サイクロイド偏心駆動ディスク354は、使用中にエピトロコイド曲線に従うことがあり、滑らかな回転負荷表面をもたらす。プレート部材352内に偏心シャフト238を支持するために、ベアリング360が設けられてもよい(
図5~
図8)。
【0028】
サイクロイド偏心駆動ディスク354は、長手方向に延在するローブ355の反対側の面に複数の凹部機構部356を更に含んでもよい。サイクロイドギアアセンブリ250内に単一のギア段350しか備えていない実施形態では、凹部機構部356は、以下に更に述べられるように、送りねじアセンブリ240に連結されるよう構成されている。
【0029】
サイクロイドギアアセンブリ250内に2つ以上の段350、450などを含む他の実施形態では、凹部機構部356は、出力シャフト部材357に係合するよう構成されている。出力シャフト部材357は、第1の方向に延在する複数のピン358と、第1の方向とは反対の第2の方向に延在する出力シャフト359とを含むことができる。ピン358は、サイクロイド偏心駆動ディスク354の凹部機構部356と1対1の様式で係合するよう構成されてもよい。ピン358の数は、サイクロイド偏心駆動ディスク354上に存在する凹部機構部356の数と等しくてもよい。ある特定の実施形態では、ピン358及び凹部機構部356の数は4つであってもよいが、他の構成、例えば、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピンなども本発明の範囲内にある。出力シャフト部材357の出力シャフト359は、偏心シャフトであってもよい。
【0030】
出力シャフト359は、磁石カップ235の偏心シャフト238が第1段350のプレート部材352及びサイクロイド偏心駆動ディスク354と係合するのと同様に、第2ギア段450と係合してもよい。特に、偏心出力シャフト359は、第2のギア段450に向かって延在してもよい。第2のギア段450は、ハウジング212に対して回転可能に固定されたプレート部材452を含んでもよい(
図5~
図6に示す)。プレート部材452は、ここを通る環状開口部453を有してもよく、環状開口部453の外縁の周りに離間された複数のピン451又はピン表面461(
図11)を含んでもよい。ある特定の実施形態では、ピン451又はピン表面461の数は5つであってもよい。しかし、他の数のピン451又はピン表面461が可能であり、例えば、プレート部材452は、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピン、5個のピン、6個のピンなどを含む、他の実施形態もまた、本開示の一部として企図される。これらのピン451又はピン表面461は、プレート部材452を通る環状開口部453の外縁の周りに均等に離間されていてもよい。更に、
図6に示されるように、ベアリング460は、ピン451又はピン表面461に隣接してプレート部材452内に配置されてもよい。
【0031】
第2段450は、軸方向に延在する環状開口部を貫通して有する複数のローブ455を有する長手方向に延在する部分を有する、サイクロイド偏心駆動ディスク454を更に含んでもよい(
図9に最良に観察される)。複数のローブは、プレート部材452の環状開口部453に軸方向に挿入されるよう構成されてもよい。
図7~
図9に図示されている実施形態などのある特定の実施形態では、ローブ455の数は4つとすることができる。しかし、他の実施形態では、他の数のローブ455、例えば、1つのローブ、2つのローブ、3つのローブ、4つのローブ、5つのローブなどが存在してもよい。出力シャフト部材357の出力シャフト359は、偏心駆動ディスク454の長手方向に延在するローブ部455と反対の方向からプレート部材452内の環状開口部453を通って挿入されるよう構成されており、こうして、出力シャフト359は、プレート部材452内の環状開口部453を通り、かつサイクロイド偏心駆動ディスク454を通る環状開口部を通して延在する。このように、出力シャフト359は、プレート部材452内で偏心駆動ディスク454の回転を駆動するよう構成されている。ある特定の実施形態では、サイクロイド偏心駆動ディスク454は、使用中にエピトロコイド曲線に従うことがあり、滑らかな回転負荷表面をもたらす。プレート部材452内に偏心シャフト357を支持するために、ベアリング460が設けられてもよい(
図6)。
【0032】
サイクロイド偏心駆動ディスク454は、長手方向に延在するローブ455の反対側に複数の凹部機構部456を更に含んでもよい。サイクロイドギアアセンブリ250内に2つのギア段350、450を備える実施形態では、凹部機構部456は、以下に更に述べられるように、送りねじアセンブリ240に連結されるよう構成されている。
【0033】
サイクロイドギアアセンブリ250内に3つ以上の段350、450、550などを含む他の実施形態では、凹部機構部456は、出力シャフト部材457に係合するよう構成されている。出力シャフト部材457は、第1の方向に延在する複数のピン458と、第1の方向とは反対の第2の方向に延在する出力シャフト459とを含むことができる。ピン458は、サイクロイド偏心駆動ディスク454の凹部機構部456と1対1の様式で係合するよう構成されてもよい。ピン458の数は、サイクロイド偏心駆動ディスク454上に存在する凹部機構部456の数と等しくてもよい。ある特定の実施形態では、ピン458及び凹部機構部456の数は4つであってもよいが、他の構成、例えば、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピンなども本発明の範囲内にある。出力シャフト部材457の出力シャフト459は、偏心シャフトであってもよい。
【0034】
出力シャフト459は、出力シャフト359が第2段450のプレート部材452及びサイクロイド偏心駆動ディスク454と係合するのと同様に、第3のギア段550と係合してもよい。特に、偏心出力シャフト459は、第3のギア段550に向かって延在してもよい。第3のギア段550は、ハウジング212に対して回転可能に固定されたプレート部材552を含んでもよい(
図5~
図6に示す)。プレート部材552は、ここを通る環状開口部553を有してもよく、環状開口部553の外縁の周りに離間された複数のピン551又はピン表面561(
図11)を含んでもよい。ある特定の実施形態では、ピン551又はピン表面561の数は5つであってもよい。しかし、他の数のピン551又はピン表面561が可能であり、例えば、プレート部材552は、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピン、5個のピン、6個のピンなどを含む、他の実施形態もまた、本開示の一部として企図される。これらのピン551又はピン表面561は、プレート部材552を通る環状開口部553の外縁の周りに均等に離間されていてもよい。更に、
図6に示されるように、ベアリング560は、ピン551又はピン表面561に隣接してプレート部材552内に配置されてもよい。
【0035】
第3段550は、軸方向に延在する環状開口部を貫通して有する複数のローブ555を有する長手方向に延在する部分を有する、サイクロイド偏心駆動ディスク554を更に含んでもよい(
図9に最良に観察される)。複数のローブは、プレート部材552の環状開口部553に軸方向に挿入されるよう構成されてもよい。
図7~
図9に図示されている実施形態などのある特定の実施形態では、ローブ555の数は4つとすることができる。しかし、他の実施形態では、他の数のローブ555、例えば、1つのローブ、2つのローブ、3つのローブ、4つのローブ、5つのローブなどが存在してもよい。出力シャフト部材457の出力シャフト459は、偏心駆動ディスク554の長手方向に延在するローブ部555と反対の方向からプレート部材552内の環状開口部553を通って挿入されるよう構成されており、こうして、出力シャフト459は、プレート部材552内の環状開口部553を通り、かつサイクロイド偏心駆動ディスク554を通る環状開口部を通して延在する。このように、出力シャフト459は、プレート部材552内で偏心駆動ディスク554の回転を駆動するよう構成されている。ある特定の実施形態では、サイクロイド偏心駆動ディスク554は、使用中にエピトロコイド曲線に従うことがあり、滑らかな回転負荷表面をもたらす。プレート部材452内に偏心シャフト457を支持するために、ベアリング560が設けられてもよい(
図6)。
【0036】
サイクロイド偏心駆動ディスク554は、長手方向に延在するローブ555の反対側に複数の凹部機構部556を更に含んでもよい。例えば、
図5~
図8に示されている、サイクロイドギアアセンブリ250内に3つのギア段350、450、550を備える実施形態では、凹部機構部556は、以下に更に述べられるように、送りねじアセンブリ240と係合するよう構成されている。
【0037】
サイクロイドギアアセンブリ250内に4つ以上の段を含む他の実施形態では、凹部機構部556は、更なる段反復を介して継続してもよいパターンで、出力シャフト部材457と類似の様式で出力シャフト部材に係合するよう構成されている。このような出力シャフト部材は、第1の方向に延在する複数のピンと、第1の方向と反対の第2の方向に延在する出力シャフトとを含んでもよい。ピンは、サイクロイド偏心駆動ディスク554の凹部機構部556と1対1様式で係合するよう構成されていてもよい。ピンの数は、サイクロイド偏心駆動ディスク554上に存在する凹部機構部556の数と等しくてもよい。ある特定の実施形態では、ピン及び凹部機構部556の数は4つであってもよいが、他の構成、例えば、1個のピン、2個のピン、3個のピン、4個のピンなども本発明の範囲内にある。出力シャフト部材の出力シャフトは、偏心シャフトであってもよい。
【0038】
サイクロイドギアアセンブリ250内のギア段の数にかかわらず、ギアの最終段のサイクロイド偏心駆動ディスク354、454、554は、上述のように送りねじアセンブリ240に係合するよう構成されてもよい。
図5~
図8に図示されている実施形態におけるギアの最終段は、第3段550である。したがって、これらの実施形態では、サイクロイド偏心駆動ディスク554は、送りねじアセンブリ240に係合するよう構成されている。1段又は2段のギアを有する実施形態では、サイクロイド偏心駆動ディスク354又は454はそれぞれ、送りねじアセンブリ240に係合するよう構成されていてもよい。
【0039】
送りねじアセンブリ240は、例えば、六角駆動であり得る、送りねじ242(
図10)を含んでもよい。送りねじアセンブリ240は、出力シャフト及び送りねじ止め243(
図6~
図9)を更に含んでもよく、これは、第1の方向に延在する複数の軸方向に延在するピン241(
図7)を含んでもよく、これらのピンは、使用時に凹部機構部556に係合するよう構成されている。他の実施形態では、例えば、1段のギアしか有さない実施形態では、出力シャフト及び送りねじ止め243は、使用時に凹部機構部356に直接、係合してもよく、2段のギアを有する実施形態では、出力シャフト及び送りねじ止め243は、使用時に凹部機構部456に係合してもよいことが理解される。いずれにしても、ピン241は、本明細書において前述した出力シャフト部材357、457上のピン358、458などと実質的に同様の形状をして、構成されてもよい。
【0040】
複数のピン241に対向して、送りねじ242の端部を螺合可能に受け入れる送りねじ止め機構部が設けられる。例えば、
図5~
図6に示されるように、送りねじ止め機構部は、送りねじ242のねじ山付き端部244(
図10)を受け入れて係合するよう構成されている雌ねじ山付き機構部を含むことができる。出力シャフト及び送りねじ止め243をまとめて備える送りねじ止め機構部及びピン241は、一体形成されてもよく、又は当該技術分野において理解されるように、溶接されるか、又は他の方法で一緒に接着された2つ以上の構成要素を含んでもよい。
【0041】
送りねじアセンブリ240は、送りねじ242の周りに配設され、その軸方向負荷を支持するよう構成されている双方向スラストベアリング245(
図4~
図6)を更に含む。二方向スラストベアリング245は、出力シャフト送りねじ止め243に隣接して配設されている。例えばスプリットワッシャであってもよい保持リング246は、送りねじ242の周りに、及び双方向スラストベアリング245に隣接して配設されてもよい。
図4~
図6に示すように、送りねじ242は、一端において、出力シャフト及び送りねじ止め243によってサイクロイドギアアセンブリ250に連結されている。この連結部から、送りねじ242は、双方向スラストベアリング245及び保持リング246を通って延伸ロッド214の空洞237内に延在する。ナット239は、空洞237の内側表面に固定され、
図5~6に示されるように、送りねじ242の長さに沿ってねじ山付き部分266に係合する。
【0042】
本明細書に記載されているギア減速比を実現するためにサイクロイドギアアセンブリを使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。サイクロイドギアは、拡大縮小する能力に関して制限をもたらす歯を含まないので、サイクロイドギアアセンブリは、一層小型のサイズの骨及び患者、例えば、顎又は指の骨向けに設計されたインプラントに容易に拡大縮小可能である。特に、デバイス210は、約6.4mm厚のプレート厚さ又は釘外径をもたらすよう縮小されてもよい。ベアリング及び/又はブッシングの使用により、本明細書に記載されるようなサイクロイドギアアセンブリ250は、最大で96%の効率で負荷を伝達することができる。この効率はまた、延伸を行うために必要なトルクを発生するために、一層小型の磁石及び/又は一層少ないギア段を使用することができるので、拡張性にも寄与する。
【0043】
デバイス210のある特定の実施形態では、抗ジャム機構部は、延伸シャフト214の開放端部又は肩部249とサイクロイドギアアセンブリ250との間の軸方向位置において、送りねじ242の周囲に配設されてもよい。ある特定の実施形態では、1つ以上の他の構成要素もまた、延伸シャフト214の開放端部とサイクロイドギアアセンブリ250との間の軸方向位置において送りねじ242上に配設されてもよく、こうして、抗ジャム機構部は、例えば、延伸シャフト214の開放端部又は肩部249と保持リング246との間の一層、直に接して配設されていてもよい。
【0044】
図4~
図6に例示されるような、本明細書に記載されている抗ジャム機構部を含む実施形態では、抗ジャム機構部は、構成要素間、例えば、完全に後退した状態にある延伸ロッド214と送りねじ止め243との間の「最低水準まで下がる」又はこれらの妨害の可能性を低減又は完全に回避するように機能することができる。抗ジャム機構部は、駆動要素及びギアアセンブリ、例えば、サイクロイドギアアセンブリ250によって送達されるトルクに追加されて、表面摩擦に打ち勝つための追加のばね力をもたらし、それによって構成要素の妨害を解除し、ロッド214の延伸を開始する一助となる。
【0045】
本明細書に記載されている抗ジャム機構部は、抗ジャムばね248の形態にあってもよく、これは、
図13A~
図13Cに例示されるように、実質的に円形又は長円形の外側断面形状を有する一体型螺旋ばねであってもよい。抗ジャムばね248を含む実施形態では、延伸ロッド214は、延伸シャフト214の内部空洞237の開放端部に隣接する肩部249(
図15、
図16)から延在する第1のタブ突起部247(
図4、
図15、
図16)を含んでもよい。タブ突起部247は、本明細書に記載されている抗ジャムばね248と協働するよう構成されている。
【0046】
抗ジャムばね248は、延伸シャフト214上の第1のタブ突起部247と嵌合係合するよう構成されている第2のタブ突起部261を含んでもよい。抗ジャムばね248は、例えば六角形状をしていてもよいキー付き開口部264(
図13C)を更に含んでもよく、その周りにばね248の螺旋が配列されている。キー付き開口部264の形状は、対応する軸方向位置262(
図6)における送りねじ242の断面形状を補完するよう構成されている。このように、送りねじ242が対応する軸方向位置262において六角形の断面形状を有する実施形態では、抗ジャムばね248は、六角駆動され、送りねじ242に回転可能に固定されるよう構成されている。この構成により、抗ジャムばね248が、傾斜又は浮動することなく、送りねじアセンブリ240に対して中心に留まり、送りねじの肩の位置に拘束された状態であることが可能になる。使用時には、抗ジャムばね248が送りねじ242によって回転されると、タブ261が延伸ロッドタブ247と遭遇して係合する。延伸ロッドタブ247によってもたらされる抵抗によって、抗ジャムばね248はハウジング212の内径内に開口し、上述のように表面摩擦に打ち勝つためのばね力がもたらされる。抗ジャムばね248は、延伸ロッド214の完全に後退されている間に延伸ロッド214の肩部249との係合及び面接触を維持するよう更に構成されている。
【0047】
本明細書に記載されている抗ジャム機構部248は、さまざまな延伸デバイスの文脈において使用されてもよい。例えば、抗ジャム機構部248は、本明細書において記載及び例示されているサイクロイドギアアセンブリ250を含むデバイス210と併せて使用されてもよい。しかし、抗ジャム機構部248はまた、髄内及び髄外の両方の延伸及び圧縮デバイス、さまざまな駆動要素、例えば、磁気及びモータベースのものを有するデバイスにおける同様の文脈において使用されてもよく、例えば、国際公開第2017/132646(A1)号及び2021年7月14日出願の国際特許出願第PCT/US2021/041701号に記載されているものなどの、例えば、サイクロイドギアアセンブリ250又は遊星ギアアセンブリなどのさまざまなギアアセンブリを含む、インプラントデバイスの文脈において使用されてもよく、その各々は、完全に説明されているかのごとく本明細書に援用される。
【0048】
デバイス210などの延伸デバイスでは、ハウジング212内で延伸ロッド214がその長手方向軸を中心に回転することが臨床的に望ましくないことがある。したがって、
図15~
図16に示されているある特定の実施形態では、回転防止機構部が、長円形の断面形状を有する延伸ロッド214の形態で設けられてもよい。ある特定の実施形態は、延伸ロッド214の外側断面形状は長円形であってもよく、内部空洞237の断面形状は長円形であってもよい。長円形の断面形状の内部空洞237を有する実施形態では、ナット239もまた、
図14A~
図14Bに示されるように、延伸ロッド214の空洞237の内側表面の輪郭に一致するように、断面が長円形である外側表面を有してもよい。送りねじ242は、上記のように、及び
図5~6に図示されているように、ナット239内で回転することができるが、ナット239の長円形外側形状、延伸ロッド214の長円形内側形状及び外側形状、並びに対応するハウジング212の長円形形状のために、ハウジング212、延伸ロッド214、及びナット239は互いに対して固定回転位置を維持するように協働する。
【0049】
本明細書に記載されている長円形ナット239及び長円形延伸ロッド214は、さまざまな延伸デバイスの文脈において使用されてもよい。例えば、長円形ナット239及び長円形延伸ロッド214は、本明細書において記載及び例示される、サイクロイドギアアセンブリ250を含むデバイス210と連携して使用されてもよい。しかし、協働する長円形ナット239及び長円形延伸ロッド214はまた、髄内及び髄外の両方の延伸及び圧縮デバイス、さまざまな駆動要素、例えば、磁気及びモータベースのものを有するデバイスにおける同様の文脈において使用されてもよく、例えば、国際公開第2017/132646(A1)号及び2021年7月14日出願の国際特許出願第PCT/US2021/041701号に記載されているものなどの、例えば、サイクロイドギアアセンブリ250又は遊星ギアアセンブリなどのさまざまなギアアセンブリを含む、インプラントデバイスの文脈において使用されてもよい。協働する長円形ナット239及び長円形延伸ロッド214はまた、抗ジャムばね248と組み合わせてデバイス実施形態において使用されてもよい。このような実施形態では、抗ジャムばね248はまた、ナット239と同様の長円形の外側断面形状を有してもよい。他の実施形態では、協働する長円形ナット239及び長円形延伸ロッド214は、抗ジャムばね248を含まないデバイスにおいて使用されてもよい。
【0050】
本発明を髄外脚延長デバイスに関連して示し、記載してきたが、本明細書における実施形態は、髄内延伸デバイスに使用することができることを理解されたい。更に、本明細書に記載されているとおり、本デバイスは、延伸及び後退の両方が可能であり、したがって、本発明はまた、骨の圧縮のために(例えば、偽関節の矯正において)使用され得ることが理解されるべきである。更に、本明細書に記載されている実施形態が、脊椎の湾曲を矯正するために使用することもでき、したがって、例えば椎弓根ねじを介して脊椎の椎骨に連結することができる調整可能な脊椎ロッド310(
図17)として構成することができる。例えば、
図17の実施形態では、ハウジング212及び延伸ロッド214における穴222及び224(
図2~
図3)の代わりに、デバイス310の端部が、椎弓根ねじのチューリップ又はレシーバ内に各端部を配置することによって、骨の第1の部分及び第2の部分に固定されてもよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」などの用語は、順序、量又は重要性をなんら示すものではなく、むしろある要素と別の要素とを区別するために使用されており、本明細書における「a」及び「an」という用語は、量の限定を示すものではなく、参照される項目のうちの少なくとも1つが存在することを示す。量に関連して使用される修飾語「約」は、明記した値を含み、文脈によって示される意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。接尾辞「(s)」は、本明細書において使用する場合、これが修飾する用語の単数及び複数の両方を含むことが意図されており、それによってその用語の1つ以上を含む(例えば、金属(複数可)は、1種以上の金属を含む)。本明細書において開示されている範囲は、包括的であり、独立して、組合せ可能である(例えば、「最大約25mm、又はより詳細には、約5mm~約20mm」の範囲は、「約5mm~約25mm」の範囲の端点及びすべての中間値を含むなどである)。
【0052】
さまざまな実施形態が本明細書に記載されているが、本明細書から、本明細書内での要素、変形又は改良のさまざまな組合せが、当業者によって行われてもよく、本発明の範囲内にあることが理解されよう。更に、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は物質を本発明の教示に適合させるよう、多数の修正が行われてもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の様式として開示されている特定の実施形態に限定されないが、本発明は、添付の特許請求の範囲内に収まるすべての実施形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】