(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】不飽和シロキサン系カップリング剤を用いて調製された官能化ジエンゴム
(51)【国際特許分類】
C08C 19/25 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
C08C19/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534074
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022084575
(87)【国際公開番号】W WO2023104783
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516112462
【氏名又は名称】アランセオ・ドイチュランド・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン・グートシャンク
(72)【発明者】
【氏名】キリアン・ニコラウス・リヒャルト・ヴースト
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・シュタインハウザー
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AB00Q
4J100AB02Q
4J100AB04Q
4J100AB07Q
4J100AB13Q
4J100AB16Q
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4J100AQ12Q
4J100AS01P
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4J100HA61
4J100HA62
4J100HC01
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4J100HC69
4J100HC80
4J100HC83
4J100HD08
4J100HE05
4J100JA29
(57)【要約】
ポリジエンゴムの製造方法であって、(i)好ましくは4~25個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族共役ジエンモノマーを重合させて、反応性ポリマー鎖末端を有するポリマーを生成することと、(ii)上記反応性ポリマー鎖末端の少なくとも一部を、2~20個の不飽和シロキサン単位、好ましくは3~15個の単位、より好ましくは3~10個の単位を含むカップリング剤と反応させることと、(iii)少なくとも1つの官能基を上記ポリマーに導入するために、少なくとも1つの官能化剤を使用することであって、上記官能基が、好ましくは、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有することとを含み、(iii)がステップ(ii)の前、後、又は最中に行われる、製造方法。本方法によって得られるポリジエンゴム、本ポリジエンゴムを含む硬化性組成物、及び硬化ポリジエンゴムを含む組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジエンゴムの製造方法であって、
(i)好ましくは4~25個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族共役ジエンモノマーを重合させて、反応性ポリマー鎖末端を有するポリマーを生成することと、
(ii)前記反応性ポリマー鎖末端の少なくとも一部を、2~20個の不飽和シロキサン単位、好ましくは3~15個の単位、より好ましくは3~10個の単位を含むカップリング剤と反応させることと、
(iii)少なくとも1つの官能基を前記ポリマーに導入するために、少なくとも1つの官能化剤を使用することであって、前記官能基が、好ましくは、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有することと
を含み、
(iii)がステップ(ii)の前、後、又は最中に行われる、方法。
【請求項2】
前記不飽和シロキサン単位が、好ましくはビニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、n-ペンテニル、イソペンテニル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアルケニル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カップリング剤の前記不飽和シロキサン単位が式(1)
【化1】
に対応し、ここで、R1は、アルケニル、好ましくはビニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、n-ペンテニル、イソペンテニルからなる群から選択されるアルケニルを表し、それぞれのR2は、独立して、H、OH、又は有機残基であって、好ましくは1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれのR2は、独立して、H、OH、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、1~10個の炭素原子を有するアルキル(ここで、前記アルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断され得る)、又は最大10個のケイ素原子を有するシロキサン若しくはポリシロキサン(ここで、前記シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基又はアルケニル基又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を有する)を表し、好ましくは、少なくとも1つのR2はメチルであり、より好ましくは全ての残基R2は、メチル若しくはエチルのいずれか又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング剤の前記不飽和シロキサン単位が式(2):
【化2】
に対応し、ここで、それぞれのRは、独立して、H、OH、又は有機残基であって、好ましくは1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Rは、H、OH、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、1~10個の炭素原子を有するアルキル(ここで、前記アルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断され得る)、又は最大10個のケイ素原子を有するシロキサン若しくはポリシロキサン(ここで、前記シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基又はアルケニル基又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を有し得る)を表し、好ましくは、少なくとも1つのRはメチルであり、より好ましくは全ての残基Rは、メチル若しくはエチルのいずれか又はそれらの組み合わせである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング剤が、少なくとも3つの前記不飽和シロキサン単位を含む少なくとも1つの環状構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記カップリング剤が式(3)
【化3】
に対応し、ここで、nは、1~5、好ましくは1~3の整数であり、R1及びR2は、請求項4又は5に記載の通りに定義され、好ましくはR1はビニルであり、それぞれのR2は、独立して、C
1-C
7-アルキル、好ましくはメチルから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記カップリング剤が式(4):
【化4】
に対応し、ここで、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びRhは、それぞれ同一又は異なるものであり、互いに独立して、C
1-C
10-アルキル基、C
2-C
6-アルケニル基、又は-O-Si-(R
1’R
2’R
3’)基から選択され、R1’、R2’、及びR3’は、互いに独立して、C
1-C
10-アルキル基又はC
2-C
6-アルケニル基から選択され、好ましくはR1’、R2’及びR3’の少なくとも1つはビニル基単位であり、前記カップリング剤は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つC
2-C
6-アルケニル基、好ましくはビニル基を含み、好ましくはRa~Rhの全てがビニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カップリング剤が、5000g/mol未満、好ましくは2000g/mol未満の分子量を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記共役ジエンモノマーが1,3ブタジエンである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(i)が、好ましくはスチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、パラ-tertブチルスチレン、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の共重合性ビニル芳香族コモノマーを共重合させることを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、ステップ(i)の後、及びステップ(ii)の前、最中、若しくは後、又はそれらの組み合わせに官能化剤を加えることを含み、前記官能化剤が、好ましくは、無水物、カルバミド、(R)
3Si-N-;(R
3)Si-;(R)
3Si-S-;(R)
2Si(-O-)-、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの基を含み、それぞれのRは、独立して、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシを表し、2つの残基Rは、互いに連結して環構造を形成することができる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、ステップ(i)においてアルファ官能化剤、又はステップ(i)、(ii)において、若しくはステップ(iii)の後に官能化コモノマーを使用して加えることを含み、又は前記方法は、少なくとも1つの官能化コモノマーと少なくとも1つのアルファ官能化剤との両方の使用を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法によって得られるポリジエンゴム。
【請求項16】
請求項15に記載のポリジエンゴムを含む硬化性組成物であって、前記ポリジエンゴムを硬化させるための少なくとも1つの加硫剤をさらに含み、好ましくは、ジエンゴム100重量部当たり0.5~10重量部の量の前記加硫剤を含む、硬化性組成物。
【請求項17】
請求項15に記載の硬化性組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリジエンゴムを含む組成物であって、好ましくは、タイヤ又はタイヤトレッドから好ましくは選択される物品である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ジエンゴムは、タイヤを製造するための原材料として広く使用されている。ジエンゴムの加工を改善するためにカップリング剤を使用することができる。カップリング剤は、ゴムのポリマー鎖と互いに連結して、分岐又は星型のポリマー構造を形成する。これによって、ポリマーの分子量分布が広くなり、それらを含有する化合物のムーニー粘度が低下し、それらの加工が容易になる。公知のカップリング試薬の例としては、四塩化ケイ素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、四塩化スズ、ジブチルスズジクロリド、テトラアルコキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテルの誘導体、1,2,4-トリス(クロロメチル)ベンゼンが挙げられる。(特許文献1)には、カップリング剤としての置換シラセスクキオキサン(silasesqquioxane)、多環式置換ポリシロキサンの使用が報告されている。しかしながら、あるカップリング剤をさらなる官能化剤と組み合わせて使用することによって、ポリマーの性質を改善できることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0107541A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、一態様では、ポリジエンゴムの製造方法であって、
(i)好ましくは4~25個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族共役ジエンモノマーを重合させて、反応性ポリマー鎖末端を有するポリマーを生成することと、
(ii)上記反応性ポリマー鎖末端の少なくとも一部を、2~20個の不飽和シロキサン単位、好ましくは3~15個の単位、より好ましくは3~10個の単位を含むカップリング剤と反応させることと、
(iii)少なくとも1つの官能基を上記ポリマーに導入するために、少なくとも1つの官能化剤を使用することであって、上記官能基が、好ましくは、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有することとを含み、(iii)がステップ(ii)の前、後、又は最中に行われる、製造方法が提供される。
【0004】
別の一態様では、上記方法によって得られたポリジエンゴムが提供される。
【0005】
さらなる一態様では、上記ポリジエンゴムを含み、上記ポリジエンゴムを硬化させるための少なくとも1つの加硫剤をさらに含む、硬化性組成物がさらに提供される。
【0006】
さらに別の一態様では、上記硬化性組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリジエンゴムを含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明において、本開示がさらに説明される。
【0008】
以下の説明において、ある規格(ASTM、DIN、ISOなど)に言及する場合がある。特に示されることがなければ、これらの規格は、2020年3月1日において有効であった版で使用される。その日付で有効であった版がない場合、例えば、その規格が期限切れとなっている場合は、2020年3月1日に最も近い日付において有効であった版に言及される。
【0009】
この説明に記載される全ての文献は、特に示されなければ、参照により援用される。
【0010】
以下の説明において、組成物又はポリマーの構成要素の量は、同義で「重量パーセント」、「wt.%」、又は「重量%」によって示すことができる。「重量パーセント」、「wt.%」、又は「重量%」という用語は、特に示されなければ、それぞれ、100%となる組成物又はポリマーの全重量を基準としている。
【0011】
「phr」という用語は、「ゴム100部当たりの部数」を意味し、すなわち、1つ以上のゴムを含む組成物の構成要素の重量パーセント値は、100重量%に設定されるゴムの総量が基準となる。したがって、組成物の全重量は、通常はゴムの量よりも多くなり、100重量%を超えることがある。
【0012】
特に記載がなければ、本開示において特定される範囲は、その範囲の端点間の全ての値及びその端点が含まれ、それらが開示されることを意味する。
【0013】
「含む」という用語は、制限がなく非限定的な意味で使用される。「構成要素A及びBを含む組成物」という語句は、構成要素A及びBを含むことを意味するが、上記組成物は別の構成要素を有することもできる。「含む」の使用とは逆に、「からなる」という単語は、狭い限定的な意味で使用される。「構成要素A及びBからなる組成物」という語句は、別の構成要素がない構成要素A及びBの組成物を表すことを意味する。
【0014】
シロキサン系カップリング剤
本開示によるカップリング剤は、少なくとも2つの不飽和シロキサン単位、好ましくは少なくとも2~20個、より好ましくは3~15個、最も好ましくは4~10個の不飽和シロキサン単位を含む。したがって、本開示によるカップリング剤は、-Si-O-単位に加えて、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、好ましくはビニル基(-CH=CH2基)を有する単位を少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ含む。典型的には、これらの単位は、Si-O-単位のケイ素原子に連結する。したがって、これらの単位は、本明細書において「不飽和シロキサン単位」又は「不飽和-Si-O単位」と呼ばれる。上記カップリング剤は、線状又は分岐、非環式、環状、例えば単環式又は多環式であってよい。好ましくはこれらは環状であり、好ましくはこれらは、少なくとも1つの環状構造を有し、好ましくは環状シロキサン構造を有し、すなわち、前述の少なくとも1つの不飽和-Si-O-単位を有する環状構造を有する。好ましくは、シロキサン系カップリング剤は、環状であり、少なくとも2つの不飽和シロキサン単位、より好ましくは少なくとも3つの不飽和シロキサン単位を有する環状構造を有する。
【0015】
本開示によるカップリング剤は、好ましくはポリジエンゴムのカップリングのため、すなわち、ポリマー鎖を互いに結合させるため、好ましくは分岐、例えばマルチアーム又は星型のポリマー構造を形成するために使用される。ポリマーのカップリングは、例えばGPCによって測定される分子量の増加によって確認することができる。カップリング度は、カップリングしたポリマーのクロマトグラムを、その前駆体のポリマーのクロマトグラムと比較することによって決定することができる。カップリングによって、クロマトグラム中に高分子量画分が現れる。カップリングした画分の積分の、全体の分子量分布の積分に対する比が、カップリング度(カップリングされるポリマーの重量%)となる。
【0016】
ポリジエンゴムの製造において本開示によるカップリング剤を使用することの利点は、それによってポリマー構造の微調整が可能になることである。ポリマー鎖に対して、シロキサン系試薬が、それらの不飽和単位のモル過剰で使用される場合、カップリングしたポリマーは、架橋(加硫)反応に関与できるカップリング剤からの未反応不飽和単位を含むことができる。しかしながら、ポリマー中のカップリング剤からの不飽和基の存在が望ましくない場合は、(ポリマー鎖に対するカップリング剤の不飽和単位のモル比を基準として)等モル又は等モル未満の量でカップリング剤を使用することによって、それらの存在を回避したり減少させたりすることができる。この場合、カップリング試薬の全ての不飽和単位が、カップリング反応によって消費されていると推測することができる。重合反応中に生成する反応性ポリマー鎖のモル量は、重合反応中に使用される重合開始剤のモル量に等しいと仮定することができる。
【0017】
本開示によるカップリング剤は、一般式(1):
【化1】
に対応する2~20個の不飽和シロキサン単位、好ましくは3~15個の不飽和シロキサン単位、より好ましくは4~10個の不飽和シロキサン単位を含む。
【0018】
式(1)中、それぞれのR1は、独立して、好ましくはビニル(-CH=CH2)、アリル(-CH-CH2-CH=CH2)、n-プロペニル(-CH2CH=CH2)、n-ブテニル(-CH2CH2CH=CH2)、イソブテニル(-CH2(CH3)CH=CH2);n-ペンテニル(-CH2CH2CH2CH=CH2)、イソペンテニル(-CH2(CH3)CH2CH=CH2、-CH2CH2(CH3)CH=CH2)からなる群から選択されるアルケニル基を表し、それぞれのR2は、独立して、H、OH、又は有機残基であって、好ましくは1~20個の炭素原子を有し、場合によりO、S、Si、N、及びそれらの組み合わせから選択されるさらに1つのヘテロ原子を有する有機残基を表す。炭化水素残基は、非置換であってもよいし、又は置換されてもよく、その場合、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されている。適切な置換基としては、シロキサン、ポリシロキサン、シリル、アミノシリル、アミノシロキサン、アルキルアミノ基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、炭化水素残基は脂肪族である。好ましくは、炭化水素残基は、好ましくは2~10個の炭素原子を有するアルケニル、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアルキルから選択され、ここでアルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断されてよく、又はR2は、最大10個のケイ素原子を有するシロキサン又はポリシロキサンから選択され、シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基、アルキレン基、若しくはアルケニル基、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を有することができる。好ましくは、少なくとも1つのR2は、メチル、又はエチルを表す。好ましくは、全てのR2が、メチル又はエチル又はそれらの組み合わせを表す。
【0019】
本開示の好ましい一実施形態では、シロキサン系カップリング剤は、一般式(2):
【化2】
に対応する少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つの単位を含み、ここで、Rは、前出の式(1)のR2に対応する。好ましくは、Rは、1~10個の炭素原子を有するアルキルから選択され、これはさらに1つの酸素エーテル原子を場合により含むことができ、アルコキシ又はポリアルコキシ残基であってよく、又は1つ以上のシラン基、シロキサン基、若しくはポリシロキサン基を場合により含むことができ、ポリシロキサン基又はシロキサン基は、1~3個のアルキル残基又はアルケニル残基をケイ素原子上に含むことができ、ケイ素原子の最大数は、好ましくは10個未満である。好ましくは、Rは、C
1-C
10-アルキル基、より好ましくはC
1-C
7-アルキル基であり、最も好ましくはRはメチルである。
【0020】
本開示の別の好ましい一実施形態では、不飽和シロキサンカップリング剤は、環状であり、式(3)
【化3】
に対応し、ここで、nは、1、2、3、又は4であり、好ましくはnは1又は2であり、それぞれのR1は、式(1)中に記載されるものであり、好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは全てのR1が、ビニル(-CH=CH
2)基を表す。それぞれのR2は、前出の式(1)中に記載されるものである。好ましくは少なくとも1つのR2はC
1-C
7-アルキル基であり、より好ましくは少なくとも1つのR2はメチルである。最も好ましくは全てのR2がメチル基を表す。
【0021】
本開示の一実施形態では、不飽和シロキサンカップリング剤は、一般式(4):
【化4】
に対応し、ここで、nは1~20の整数であり、mは1~20の整数であり、それぞれの残基Rは、互いに独立して選択され、前出の式(2)に関して記載されるものであり、
R3は、H、OH、1~10個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の炭化水素、一価のシロキサン、ポリシロキサン、又はシランであり、又はR3は、R5に結合して環状化合物を形成し、1~10個のケイ素原子を有する二価のシロキサン又はポリシロキサンを表し、1つ又は少なくとも1つの上記ケイ素原子は、1~10個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル残基若しくはアルケニル残基を有し、又はR3及びR5を合わせたものが化学結合を形成して、環状化合物を形成し、
R4は、リンカー基であって、(i)1つ以上の酸素エーテル基を場合により含むことができる1~20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、(ii)1つ若しくは2つ以上のケイ素原子が、1~10個の炭素原子を有する1つ以上の脂肪族の炭化水素基を有することができる、1つ以上のシラン基若しくはシロキサン基若しくはそれらの組み合わせ、又は(i)及び(ii)の組み合わせから選択されるリンカー基であり、
R5は、H、OH、1~10個の炭素原子を有する飽和若しくは不飽和の炭化水素、一価のシロキサン、ポリシロキサン、又はシランであり、又はR5は、R3に結合して環状化合物を形成し、1~10個のケイ素原子を有する二価のシロキサン又はポリシロキサンを表し、1つ又は少なくとも1つの上記ケイ素原子は、1~10個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル残基若しくはアルケニル残基を有し、又はR5は、R3に結合して、環状化合物を形成し、1~10個のケイ素原子を有する二価のシロキサン又はポリシロキサンを表し、1つ又は少なくとも1つの上記ケイ素原子は、1~10個の炭素原子を有する1つ以上のアルキル残基若しくはアルケニル残基を有し、又はR3及びR5を合わせたものが化学結合を形成して、環状化合物を形成する。
【0022】
本開示の別の好ましい一実施形態では、多環式カップリング剤が使用される。多環式剤の適切な例としては、式(5):
【化5】
に対応するものが挙げられる。
【0023】
式(5)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びRhは、互いに同一又は異なるものであり、互いに独立して、C1-C10-アルキル、C2-C6-アルケニル、-O-Si-(R1’R2’R3’)から選択され、R1’、R2’、及びR3’は、互いに独立して、C1-C10-アルキル、C2-C6-アルケニル、好ましくはビニルから選択され、好ましくはR1’、R2’、及びR3’の少なくとも1つはビニル単位を含み、好ましくはR1’、R2’、及びR’3の全てがビニル(-CH=CH2)である。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びRhの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つは、C2-C6-アルケニル、好ましくはビニル(-CH=CH2)を含む。式(5)による多環式カップリング剤の一実施形態では、Ra~Rhの少なくとも4つがビニルであるか、又は残基Ra~Rhの少なくとも1つが-O-Si(ビニル)3である。式(5)による化合物の別の一実施形態では、Ra~Rhの全てがビニルである。式(5)による化合物は、多面体オリゴマーシルセスキオキサン又はPOSSとしても知られている。これらの材料は、市販されているし、又は例えば、Quirk,Cheng et al,Macromolecules 2012,45,21,8571-8579に記載されるように調製することもできる。
【0024】
好ましくは、本開示によるカップリング剤は5000g/mol以下の分子量を有する。好ましくは、カップリング剤は2000g/mol未満の分子量を有する。
【0025】
本開示によるカップリング剤の特に好ましい例としては、
【化6】
(1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン)
【化7】
(1,3,5-トリビニル,1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン)、
【化8】
(オクタビニルシラセスキオキサン)、
【化9】
(置換シラセスクキオキサン(silasesqquioxane))
が挙げられ、ここで、残基Rb~Rgは、独立して、C
1-C
7-アルキル、好ましくはシクロペンチルを表し、Raは、-O-Si(-CH=CH
2)
3である。本開示による1つ又はカップリング剤の組み合わせだけでなく、本開示の1つ以上のカップリング剤と1つ以上の別のカップリング剤との組み合わせを使用することができる。
【0026】
ポリマー
本開示の一態様では、(i)少なくとも1つの共役ジエンモノマーを重合させて、反応性鎖末端を有するポリマーを生成することと、(ii)上記反応性ポリマー鎖末端の少なくとも一部を、本開示による少なくとも1つのシロキサン系カップリング剤と反応させることとを含む方法によって得ることができるポリマーが提供される。共役ジエンモノマーは、好ましくは4~25個、より好ましくは4~20個の炭素原子を有する。
【0027】
上記ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよく、少なくとも1つの共役ジエンモノマーから誘導される単位を含む。適切なジエンモノマーとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン、ミルセン、オシメン、ファルネセン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、上記ポリマーは、1,3-ブタジエンから誘導される単位を含む、又は1,3-バトジエン(1,3-batdiene)から誘導される単位からなる。
【0028】
本開示の一実施形態では、上記ポリマーは、少なくとも2つの共役ジエンを含む重合反応を含む方法によって得られるコポリマーである。別の一実施形態、本開示では、上記ポリマーは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーと、少なくとも1つのビニル芳香族コモノマーとの重合を含む方法によって得られるコポリマーである。適切なビニル芳香族のコモノマーの例としては、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、パラ-tertブチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及び組み合わせの2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、a-メチルスチレン、2,4-ジイソプロピル-スチレン及び4-tert-ブチルスチレン、スチルベン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルピリジン又はアミノ置換誘導体(N,N-ジメチルアミノメチルスチロール)又は共重合性ビニルシラン又はアミノ基を有するマルチビニルシラン(例えば1,4-ビス[ジメチル(ビニル)シリル]ピペラジン)、ビニルアミノシロキサン又はブタジエニルアミノジシロキサンモノマー、例えば4-[3-(tert-ブチル)-1,3,3-トリメチル-1-ビニルジシロキサニル]モルホリン、3-(tert-ブチル)-N,N-ジエチル-1,3,3-トリメチル-1-ビニル-ジシロキサン-1-アミン、及びその3-(tert-ブチル)-N,N-ジブチル-1,3,3-トリメチル-1-ビニルジシロキサン-1-アミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。スチレンが特に好ましい。
【0029】
本開示の一実施形態では、上記ポリマーは、ブタジエンポリマーであり、1,3-ブタジエンのホモポリマー及びコポリマーを含む。好ましくは、本開示によるポリマーは、ポリマーの重量を基準として、少なくとも51重量%、好ましくは少なくとも60重量%の、1,3-ブタジエンから誘導される単位を含む。本開示の一実施形態では、上記ジエンポリマーは、少なくとも60重量%、又は少なくとも75重量%の1,3-ブタジエンから誘導される単位を含む。
【0030】
本開示の一実施形態では、上記ジエンポリマーは、ポリマーの全重量を基準として0~49重量%、又は0重量~40重量%の、1つ以上のコモノマーから誘導される単位を含む。
【0031】
本開示の一実施形態では、上記ジエンポリマーは、少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%の1,3-ブタジエンから誘導される単位と、0~40重量%、又は0~30重量%の1つ以上のコモノマーから誘導される単位とを含む。
【0032】
一実施形態では、本開示のジエンポリマーは、0~20重量%の、1,3ブタジエン以外の1つ以上の共役ジエンから誘導される単位を含む。
【0033】
一実施形態では、本開示によるジエンポリマーは、最大49重量%の1つ以上のビニル芳香族のコモノマーから誘導される単位、好ましくは5重量%~40重量%の1つ以上のビニル芳香族のコモノマーから誘導される単位を含む。好ましくは、本開示のジエンポリマーは、ポリマーの重量を基準として最大49重量%、又は0~40重量%の、スチレンから誘導される単位を含む。
【0034】
一実施形態では、本開示によるポリマーは、少なくとも75%又は少なくとも95重量%の、1つ又はそれ以上の(more than)共役ジエンモノマーから誘導される単位を含む。一実施形態では、本開示によるポリマーは、55重量~92重量%の1つ以上の共役ジエンモノマーから誘導される単位と、5.8重量~45重量%のビニル芳香族コモノマーから誘導される単位とを含む。
【0035】
適切な共重合性コモノマーとしては、1つ以上のアルファ-オレフィン、例えば、エテン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、及びそれらの組み合わせがさらに挙げられる。
【0036】
一実施形態では、本開示によるジエンポリマーは、0~20重量%の、エテン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン,1-オクテン及びそれらの組み合わせから誘導される単位を含む。
【0037】
適切なコモノマーとしては、架橋部位、分岐部位、分岐、又は官能化された基を含む官能基を導入する1つ以上の別の共重合性コモノマーも挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示の一実施形態では、上記ジエンポリマーは、0重量~10重量%又は0重量~5重量%の、1つ以上のこのような別のコモノマーから誘導される単位を含む。
【0038】
前述のものと同じ化学的種類の1つ以上のコモノマーの組み合わせ、及び異なる化学的種類の1つ以上のコモノマーの組み合わせを使用することができる。
【0039】
本開示によるジエンポリマーは、100℃におけるムーニー粘度ML1+4が10~200ムーニー単位、例えば30~150又は35~85ムーニー単位であってよい。
【0040】
本開示によるジエンポリマーは、数平均分子量(Mn)が10,000g/mol~2,000,000g/mol、又は100,000~1,000,000g/mol、例えば100,000~400,000g/mol又は200,000~300,000g/molであってよい。本開示の一実施形態では、ポリマーのMnは150kg/mol~320kg/molである。
【0041】
本開示によるジエンポリマーは、1.03~25、例えば1.03~5の分散性(本明細書では分子量分布又はMWDとも呼ばれる)を有することができる。本開示の一実施形態では、上記ポリマーは、1.03~3.5又は1.03~2.0のMWDを有する。MWDは、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量Mnに対する比であり、すなわち、MWDはMw/Mnに等しい。
【0042】
本開示によるジエンポリマーは、ゴムであり、典型的には20℃未満のガラス転移温度を有する。これらは、例えば-120℃から20℃未満までのガラス転移温度(Tg)を有することができる。本開示の好ましい一実施形態では、上記ポリマーは、0℃~-110℃又は-10℃~-80℃のTgを有する。本開示の一実施形態では、上記ブタジエンポリマーは、約-50~-80℃のガラス転移温度を有する。
【0043】
本開示の一実施形態では、上記ジエンポリマーは、100,000~1,000,000の数平均分子量、及び30~150単位の100℃におけるムーニー粘度ML1+4、及び-110℃~0℃のガラス転移温度を有する。
【0044】
一実施形態では、本開示によるジエンポリマーは、30~150単位の100℃におけるムーニー粘度ML1+4、100,000~400,000g/モルの数平均分子量、-110℃~0℃のガラス転移温度、及び1.03~20の分子量分布(MWD)を有する。
【0045】
本開示によるジエンポリマーは、さらに官能化されてよく、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む1つ以上の官能基、好ましくは末端基を含むことができる。好ましくは、この官能基は1~20個の炭素原子を有する。したがって、本開示によるポリマーを製造するためには、官能基を導入するための少なくとも1つの官能化剤が使用される。官能化剤は、官能化共重合性コモノマー、アルファ官能化剤、例えば官能化開始剤、若しくはポリマーの末端(オメガ位)に官能基を導入することができる非共重合性官能化剤、又はそれらの組み合わせから選択することができる。
【0046】
このようなさらに官能化されたポリマーは、例えば、反応性ポリマー鎖末端と、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む少なくとも1つの官能化試薬とを反応させることを含む反応によって得ることができる。ポリマーとカップリング剤との反応の前、最中、又は後、好ましくは後に、少なくとも1つの官能化試薬をポリマーと反応させることができる。必要であれば、続いてこの官能化反応の反応生成物を処理することによって、少なくとも1つの-OH基、-SH基、-COOH -NR2H+基、-NR3
+基、-NH3
+基、若しくはそれらの組み合わせ、又は-O-基、-S-基、-COO-基から選択されるそれらのアニオン形態、又はアミノ基の場合の非イオン形態、又はそれらの組み合わせを生成することができる。前述のような少なくとも1つの-OH、-SH、若しくは-COOH基、若しくはそれらの組み合わせ、又は-O-、-S-、-COO-から選択されるそれらのアニオン形態、又はアミノ基を生成するために、このような処理としては、例えばアルコール又は酸を加えることによる加水分解反応、水蒸気蒸留、又は第1の官能化試薬と反応する少なくとも1つの別の官能化試薬を用いた処理を行うことを含むことができる。
【0047】
ポリマーの製造方法
本開示のホモポリマー又はコポリマーは、当技術分野において公知の方法によって調製することができる。重合は、ランダムコポリマーとも呼ばれる統計ポリマー、ブロックコポリマー、勾配コポリマー、又はそれらの組み合わせを生成するために行うことができ、当業者に公知の線状及び分岐構造を含むことができる。
【0048】
上記ポリマーは、1つ以上の配位触媒を用いたアニオン重合又は触媒重合を含むプロセスによって得ることができる。この状況における配位触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒又は単金属触媒系が挙げられる。好ましい配位触媒は、Ni、Co、Ti、Zr、Nd、V、Gd、Cr、Mo、W、又はFeをベースとするものである。好ましくは、重合反応は、アニオン溶液重合を含む。アニオン溶液重合の開始剤としては、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属をベースとする有機金属が挙げられる。例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、オクチルリチウム、デシル-リチウム、2-(6-リチオ-n-ヘキソキシ)テトラヒドロピラン、3-(tert-ブチルジメチルシロキシ)-1-プロピルリチウム、[3-(ジブチルアミノ)プロピル]リチウム、[(ジブチルアミノ)-ジメチルシリル]-メチルリチウム、フェニルリチウム、4-ブチルフェニルリチウム、1-ナフチルリチウム、p-トルイルリチウム、及び第3級N-アリルアミンから誘導されるアリルリチウム化合物、例えば[1-(ジメチルアミノ)-2-プロペニル]リチウム、[1-[ビス(フェニルメチル)アミノ]-2-プロペニル]リチウム、[1-(ジフェニルアミノ)-2-プロペニル]リチウム、[1-(1-ピロリジニル)-2-プロペニル]リチウム、第2級アミンのリチウムアミド、例えば、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウム1-メチルイミダゾリジド、リチウム1-メチルピペラジド、リチウムモルホリド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムジベンジルアミド、リチウムジフェニルアミドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記アリルリチウム化合物及び上記リチウムアミドは、有機リチウム化合物と、それぞれの第3級N-アリルアミン又はそれぞれの第2級アミンとを反応させることによってその場で調製することもできる。二官能性及び多官能性有機リチウム化合物、例えば1,4-ジリチオブタン、ジリチウムピペラジドを使用することもできる。好ましくはn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、又はそれらの組み合わせが使用される。開始剤によって、アニオン性反応性モノマーが形成され、反応性カルバニオンモノマーと別のモノマーとの反応によって重合が伝播して、反応性カルバニオンポリマー鎖末端が形成される。1つ以上の配位触媒を用いた重合の場合、その触媒によって反応性鎖末端が形成される。
【0049】
ポリマーの構造を制御するため、特に、凝集を回避するため、又はモノマー分布をランダム化させるために、当技術分野において公知のランダマイザー及び制御剤を重合中に使用することができる。このような物質としては、例えば、ジエチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジ-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-tert-ブチルエーテル、2-(2-エトキシエトキシ)-2-メチル-プロパン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルテトラヒドロフルフリルエーテル、ヘキシルテトラヒドロフルフリルエーテル、2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)プロパン、ジオキサン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-エチレンジアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1,2-ジピペリジノエタン、1,2-ジピロリジノエタン、1,2-ジモルホリノエタン、カリウム塩及びナトリウム塩であって、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、スルホン酸類のカリウム塩及びナトリウム塩、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。本開示の一実施形態では、上記ポリマーはランダムポリマーであり、好ましくは、少なくとも1つのランダマイザーが重合反応において使用される。
【0050】
本開示の一実施形態では、ポリマーはランダムポリマーである。一実施形態では、ポリマーはブロックコポリマーである。ブロックコポリマーを生成するためには、重合は好ましくは1つのモノマーで開始され、続いて、行われるブロックのサイズにより、別の(コ)モノマーが加えられる。モノマーを加える順序は、どの異なるモノマーのブロックの形成が望まれるかにより適合させることができる。本開示の一実施形態では、このようなブロックは、重合の開始時又は終了時又はその両方で形成される。
【0051】
一実施形態では、重合は、少なくとも1つの溶媒の存在下で行われ、好ましくは溶液中で行われる。溶液重合に好ましい溶媒としては、不活性非プロトン性溶媒、例えば脂肪族炭化水素が挙げられる。具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、及びシクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、及びそれらの異性体を含めたそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる例としては、アルケン、例えば1-ブテン、又は芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、又はプロピルベンゼン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらの溶媒は、個別に使用したり、混合物として使用したりすることができる。好ましい溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、及びn-ヘキサンが挙げられる。適切であれば、これらの溶媒を極性溶媒と混合することもできる。
【0052】
重合は、(コ)モノマー及び溶媒を導入することと、次に開始剤又は触媒を加えることによって重合を開始することとによって行うことができる。重合は、モノマー及び溶媒を加えることによって重合反応器が満たされる供給プロセスにおいて行うこともできる。開始剤又は触媒は、モノマー及び溶媒とともに導入される、又は加えられる。反応器中に溶媒を導入し、開始剤又は触媒を加え、続いてモノマーを加えることなどの変形形態を使用することができる。重合は、連続方式又はバッチ式で行うことができる。重合中又は重合終了時にさらなるモノマー及び溶媒を加えることができる。
【0053】
重合は、常圧又は高圧(例えば、1~10bar)又は減圧において行うことができる。典型的な反応温度としては室温が挙げられるが、コモノマーの性質及び量によっては、反応温度は室温よりも高い場合も低い場合もある。典型的な範囲としては、例えば、連続断熱プロセスにおける-12℃~140℃、又はバッチプロセスにおける50~120℃が挙げられる。
【0054】
重合反応によって、反応性ポリマー鎖末端、好ましくはアニオン性鎖末端が得られる。重合反応の所望の進行度で、例えばポリマーの所望の変換率又は所望の分子量範囲が実現されたときに、反応性ポリマー鎖末端を含む重合混合物又は溶液を、本開示による少なくとも1つのシロキサン系カップリング剤に接触させる。典型的には、重合反応終了時、例えば少なくとも90%、又は少なくとも95%のモノマーが消費された後に、カップリング反応を行うことが望ましい。例えば、モノマー供給の停止又は中断の前又は後に、カップリング剤を加えることができる。カップリング剤は、純物質として、又は溶液又は分散物として加えることができる。好ましくなく必要でもないが、本開示による不飽和シロキサン以外のカップリング剤をさらに使用することができる。典型的には、カップリング剤の添加は20℃~130℃、又は50℃~130℃の反応温度において行われる。
【0055】
ジエンゴムを製造するためにシロキサン系カップリング剤を用いることの別の利点は、それらを用いて得られるポリマーは、さらに官能化されて、さらなる官能基、好ましくは末端基、好ましくはタイヤ用途、例えばタイヤトレッド組成物における使用に適切な末端基を有するジエンゴムを製造できることである。本開示の一実施形態では、ポリマーは、オメガ官能化、アルファ官能化、又はアルファ及びオメガ官能化が行われる。上記ポリマーは、例えばポリマー主鎖中又はぶらさがる側基として官能基を導入する官能化コモノマーを用いることによって、鎖中官能化されてもよい。
【0056】
オメガ官能化:
本開示の一実施形態では、本開示による方法は、少なくとも1つの官能基をポリマーに導入するための少なくとも1つの官能化剤をポリマーと反応させるステップをさらに含むことができ、このステップは、ステップ(ii)の前、後、又は最中に行うことができる。
【0057】
典型的には、ポリマーの末端に、すなわちオメガ位に官能基を導入できる官能化剤は、炭素及び水素原子に加えて、Si、O、S、及びNから選択されるヘテロ原子、好ましくはSi及びOから選択されるヘテロ原子の組み合わせ、Si、O、及びSから選択される組み合わせ、並びにSi、O、及びNの組み合わせ、又はN及びOの組み合わせを含む脂肪族化合物である。典型的には、これらによって、直接、又は加水分解若しくは別の官能性剤(functional agent)との反応、又はその両方のいずれかで、-OH、-COOH、-SH、-NR2H+、-NR3
+、-NH3
+、又はそれぞれのイオン性若しくは非イオン性形態、及びそれらの塩、並びにそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの極性基を有するポリマーが得られる。好ましくは、Rは、独立して、1~12個の炭素原子を有する有機残基、好ましくはアルキル基を表す。典型的には、官能化剤は、5,000g/モル未満、又はさらには2,000g/モル未満の分子量を有する。典型的には、官能化剤はコモノマーではない。当技術分野において公知の官能化試薬を使用することができる。官能化剤の例としては、線状又は分岐のアルコキシシラン、並びに米国特許出願公開第2013/0281605A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0338300A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0280458A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0075809A1号明細書、米国特許出願公開第2016/0083495A1号明細書、国際公開第2021/009154A1号パンフレット、米国特許第4,894,409号明細書、米国特許出願公開第2018/0037674A1号明細書、及び国際公開第2021/009156号パンフレットに記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
好ましい官能化試薬としては、カルボン酸無水物基、環状カルバミド((O=)C(NR’-)(NR’-))基、第3級アルキルアミノ基((R’)2N-)、線状若しくは分岐の環状若しくは非環式のシロキサン、環状、非環式、線状、若しくは分岐のシラン、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を有する試薬が挙げられる。好ましいシラン又はシロキサンとしては、少なくとも1つの(R)3Si-N-基、(R3)Si-基;(R)3Si-S-基;(R)2Si(-O-)-基、又はそれらの組み合わせを有する分子が挙げられる。上記式中、それぞれのRは、独立して、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシを表し、R’は、1~12個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル又はアルキルシリルを表す。好ましくは、試薬は脂肪族である。「X-」は、原子「X」が、有機残基、例えば有機残基の炭素原子、例えば環状又は非環状であってよいアルキル、アルキレン、ヘテロアルキル、又はヘテロアルキレン、例えばアザアルキレン又はチアアルキレンの炭素原子に結合することを示している。ヘテロアルキル又はヘテロアルキレンは、少なくとも1つのヘテロ原子含有官能基を有するアルキル基又はアルキレン基を意味する。ヘテロ原子は好ましくはSi、S、O、及びNから選択される。
【0059】
好ましい官能化剤としては、無水物、線状又は分岐、環状又は非環式のアルコキシシラン(シロキサン)、線状又は分岐のシラン、線状又は分岐、好ましくは環状のカルバミドが挙げられる。具体例としては:
【化10】
((RO)
x(R)
ySi-R’’-S-(R‘)(12);(RO)
x(R)
ySi-R’’-N(-R‘)
2(13)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される試薬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本開示の一実施形態では官能化試薬は、線状又は分岐のシラン又はシロキサンである。本開示の別の一実施形態では、官能化試薬は環状試薬である。本開示の一実施形態では、官能化試薬は、環状であり、4~7員の脂肪族環状の環状環、より好ましくは5又は6員の脂肪族環状環を有し、この環のいずれかは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個の炭素原子と、N、O、S、Si、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子とを有する。本開示の別の一実施形態では、官能化試薬は、環状であり、3~20員の環状構造を有し、この環は、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの-Si(R1R2)-O-単位を有し、ここでR1及びR2は、互いに独立して、H、C1-C10飽和炭化水素残基であって、O、N、S、Si、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含むことができるC1-C10飽和炭化水素残基から選択される。好ましくは、R1及びR2は、メチル、エチル、プロピル、及びブチルから選択される。本開示の一実施形態では、上記ポリマーアミノ末端基を有しない。本開示の別の一実施形態では、上記ポリマーは、チオール末端基を有しない。
【0061】
式(6)による官能化試薬:
式(6)による試薬としては、シクロシロキサン系官能化試薬が挙げられる。式(6)中、R1及びR2は、同じ又は異なるものであり、H、C1-C10飽和炭化水素残基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、及びブチルに対応し、ここで、C1-C10飽和e炭化水素残基は、場合により、O、N、S、Si、又はそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、nは3~10、好ましくは4~6から選択される整数である。式(6)による試薬の具体例としては、限定するものではないが、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサンが挙げられ、例えば米国特許出願公開第2016/0075809A1号明細書に記載されるように、式(6)による試薬によって、直接又は間接的に(例えば引き続く加水分解を介して)、シラノール(-Si(R1)(R2)-OH)又はシラノレート(-Si(R1)(R2)-O-)基)を得ることができる。
【0062】
式(7)による官能化試薬:
式(7)による試薬としては、シララクトン系官能化試薬が挙げられる。式(7)中、R1及びR2は、同じ又は異なるものであり、それぞれ、H、又は1~20個の炭素原子を有する残基から選択され、好ましくはアルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールオキシ、アルカリール、アルカリールオキシ、アラルキル、又はアラルコキシから選択され;
R3、R4は、同じ又は異なるものであり、それぞれ、H、又は1~20個の炭素原子を有する残基、好ましくはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、又はアラルキルから選択され、
Aは、好ましくは1~26個の炭素原子を有し、水素原子に加えて、O、N、S、及びSiから選択されるヘテロ原子を含むことができる二価の有機基である。
【0063】
好ましくはR1、R2は、同じ又は異なるものであり、H、(C1-C24)-アルキル、(C1-C24)-アルコキシ、(C3-C24)-シクロアルキル、(C3-C24)-シクロアルコキシ、(C6-C24)-アリール、(C6-C24)-アリールオキシ、(C6-C24)-アルカリール、(C6-C24)-アルカリールオキシ、(C6-C24)-アラルキル、又は(C6-C24)-アラルコキシ基から選択され、O、N、S又はSiから選択される1つ以上のヘテロ原子を場合により含むことができる。
【0064】
好ましくはR3、R4は、同じ又は異なるものであり、それぞれ、H、(C1-C24)-アルキル、(C3-C24)-シクロアルキル、(C6-C24)-アリール、(C6-C24)-アルカリール、又は(C6-C24)-アラルキル基から選択され、場合により、O、N、S、又はSiから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0065】
本開示の一実施形態では、Aは:
-Xn-(CY1H)m-(CY2Y3)o-(CY1H)p-で表され、ここで、nは1又は0であり、mは1、2、3、又は4であり、oは0、1、又は2であり、pは0、1、又は2であり、好ましくはn、m、o、及びpの合計は2又は3であり;
Xは、O、S、NRであり、ここで、Rは、H、又はC1-C3アルキルである、又はXは、N(Si(アルキル)3)であり、ここでそれぞれの「アルキル」は、互いに独立して、C1~C6アルキル、-オキシアルキル、又はアルコキシを表し;
Y1は、H又はC1-C3アルキルであり、Y2は、H又はC1-C3アルキルであり、Y3は、H又はC1-C3アルキルであり、好ましくはY2及びY3の少なくとも1つはHである。
【0066】
Aの具体的で非限定的な例としては:
-CH2-;-CH2CH2-;-CH2CH2CH2-;-C(CH3)-CH2-;-CH2-C(CH3)-CH-;-CH(CH3)-C(CH3)H-;
-CH(CH3)-CH2-C(CH3)H-;-CH2-C(CH3)H-C(CH3)H-;-CH(CH3)-C(CH3)H-CH2-;-O-CH2-;
-O-CH2CH2-;-O-CH2CH2-CH2-;-O-C(CH3)H-;-O-CH2CH2-;-O-C(CH3)H-CH2-;
-O-CH2-C(CH3)H-;-O-CH2-C(CH3)H-CH2-;-O-CH2CH2-C(CH3)H-;-O-C(CH3)H-CH2-CH2-;
-S-CH2-;-S-CH2CH2-;-S-CH2CH2-CH2-;-S-C(CH3)H-;-S-CH2CH2-;-S-C(CH3)H-CH2-;
-S-CH2-C(CH3)H-;-S-CH2-C(CH3)H-CH2-;-S-CH2CH2-C(CH3)H-;-S-C(CH3)H-CH2-CH2-;
-NH-CH2-;-NH-CH2CH2-;-NH-CH2CH2-CH2-;-NH-C(CH3)H-CH2-;-NH-CH2-C(CH3)H-;
-NH-CH2-C(CH3)H-CH2-;-NH-CH2CH2-C(CH3)H-;-NH-C(CH3)H-CH2-CH2-;
-N(CH3)-CH2-;-N(CH3)-CH2-;-N(CH3)-CH2CH2-;-N(CH3)-CH2CH2-CH2-;
-N(CH3)-C(CH3)H-CH2-;-N(CH3)-CH2-C(CH3)H-;-N(CH3)-CH2-C(CH3)H-CH2-;
-N(CH3)-CH2CH2-C(CH3)H-;-N(CH3)-C(CH3)H-CH2-CH2-;
N(Si(アルキル)3)-CH2-;-N(Si(アルキル)3)-CH2CH2-;N(Si(アルキル)3)-CH2CH2CH2-;
-N(Si(アルキル)3)-C(CH3)H-;-N(Si(アルキル)3)-CH2CH2-;-N(Si(アルキル)3)-C(CH3)H-CH2-;
-N(Si(アルキル)3)-CH2-C(CH3)H-;-N(Si(アルキル)3)-CH2-C(CH3)H-CH2-;
-N(Si(アルキル)3)-CH2CH2-C(CH3)H-;-N(Si(アルキル)3)-C(CH3)H-CH2-CH2-
が挙げられる。
【0067】
式(7)による試薬の例としては:2,2-ジメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,4-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,5-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,4,5-テトラメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジエチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-8-オン、2,2-ジエトキシ-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジメチル-1,4-ジオキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,5-トリメチル-1,4-ジオキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,3,3-テトラメチル-1,4-ジオキサ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジエチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジフェニル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロネキサン-6-オン、2-メチル-2-エテニル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,5-トリメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,4-ジメチル-2-フェニル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2-ジメチル-4-トリメチルシリル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン-8-オン、2,2-ジエトキシ-4-メチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン-6-オン、2,2,4,4-テトラメチル-1-オキサ-2,4-ジシラシクロヘキサン-8-オン、3,4-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-2,3-ベンゾオキサシリン-1-オン、2,2-ジメチル-1-オキサ-2-シラシクロペンタン-5-オン、2,2,3-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロペンテン-5-オン、2,2-ジメチル-4-フェニル-1-オキサ-2-シラシクロペンタン-5-オン、2,24(tert-ブチル)-1-オキサ-2-シラシクロペンタン-5-オン、2-メチル-2-(2-プロペン-1-イル)-1-オキサ-2-シラシクロペンタン-5-オン、1,1-ジメチル-2,1-ベンゾオキサシロール-3(1H)-オン、2,2-ジメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘプタン-7-オンが挙げられる。
【0068】
式(7)による試薬は、米国特許出願公開第2016/0075809号明細書の特に[0034]~[0042]に記載されている。このような試薬を単独で使用することで、又はこれを別の官能化試薬、例えば式(6)による試薬に加えることによって、シラカルボキシレート基、例えば一般式
-Si(R1)(R2)-C(R3)(R4)-A-COO-
による基を形成することができる。
【0069】
式(8)による官能化試薬:
式(8)による試薬としては、オキサ-シラシクロアルカンが挙げられる。式(8)中、R1、R2、R3、R4、及びAは、式(7)に記載のものと同じである。
【0070】
式(8)による具体的な試薬の例としては:2,2-ジメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジエチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジプロピル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2-メチル-2-フェニル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジフェニル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2,5,5-テトラメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2,3-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメチル-1-オキサ-2-シラシクロペンタン、2,2,4-トリメチル-1-オキサ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメチル-1,4-ジオキサ-2-シラシクロヘキサン、2,2,5,5-テトラメチル-1,4-ジオキサ-2,5-ジシラシクロヘキサン、2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサン、ベンゾ-2,2-ジメチル-1,4-ジオキサ-2-シラシクロヘキサン、ベンゾ-2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサンが挙げられる。式(8)による試薬は、例えば米国特許出願公開第2013/0281605A1号明細書に記載されている。式(8)による試薬を使用することで、式-S(R1)(R2)-C(R3)(R4)-A-OHに対応するカルビノール基を得ることができる。
【0071】
式(9)による官能化試薬:
式(9)による試薬としては、ビス(トリアルキルシリル)ペルオキシドが挙げられる。R1、R2、及びR3は、同一又は異なっていてよく、O、N、S、及びSi、並びにそれらの組み合わせから選択されるヘテロ原子を場合により含むことができる線状又は分岐又は環状のアルキルから選択される。好ましくは、これらは、C1-C10線状アルキルから選択され、好ましくはこれらは全て同一である。好ましくはR1、R2、及びR3の少なくとも1つはメチルであり、より好ましくは全てがメチルである。
【0072】
式(10)による官能化試薬:
式(10)による試薬としては、環状尿素が挙げられる。式(10)中、R3は、1~20個の炭素原子を有し、C及びHに加えて、好ましくは互いに独立してO、N、S、又はSiから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができる、二価の、飽和又は不飽和、線状又は分岐の、好ましくは脂肪族の炭化水素基を表す。好ましくはR3は一般式(11):
-[CHX1]o-[CHX2]p-[O]z-[CHX3]q- (11)
に対応し、ここで、zは1又は0であり、o、p、及びqは、独立して0、1及び2から選択され、但し、o、p、及びqの少なくとも1つは0ではない。X1、X2、及びX3は、独立して、H、及び1~12個の炭素原子を有する、線状若しくは分岐のアルキル基、アルキルアリール基、及びアリール基、並びにアミノアルキル(N-R)基から選択され、Rは、1~12個の炭素原子を有する線状又は分岐又は環状のアルキル残基又はアルキルアリール残基であり、X1及びX2は、炭素-炭素結合を形成して炭素鎖中に不飽和を得るための間の化学結合を表すことができる。炭素原子の総数が20以下となるように、o、p、q、X1、X2、及びX3が選択される。
【0073】
本開示の一実施形態では、R3は、置換アルキレンから、例えばX1、X2、及びX3の少なくとも1つがHではない式(11)に対応する置換アルキレンから選択される。
【0074】
本開示の一実施形態では、R3は、非置換アルキレンから、例えばX1、X2、及びX3の全てがHである式(11)に対応する非置換アルキレンから選択される。好ましい一実施形態では、R3は、-[(CH)2]n-に対応し、ここで、nは、1~5、好ましくは1~3、より好ましくは1又は2の整数である。
【0075】
本開示の一実施形態では、R3は、不飽和の置換又は非置換アルキレンから選択され、例えば、X1及びX2を合わせたものが炭素-炭素結合を形成する式(IIa)に対応する。不飽和アルキレンの具体例としては、-CH=CH-又は-CH2-CH=CH-が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
式(10)中、R1及びR2は、同一又は異なるものであり、1~20個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、ここで上記炭化水素基は、C原子及びH原子に加えて、好ましくはO、N、S、及びSiからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができる。例えば、R1及びR2は、同一又は異なっていてよく、好ましくはO、N、S、又はSiから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができる、-(C1-C20)-アルキル基、-(C3-C20)-シクロアルキル基、-(C6-C20)-アリール基、-(C6-C20)-アルカリール基、又は-(C6-C20)-アラルキル基から選択される。好ましくはR1、R2は、互いに独立して、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アルキル基1つ当たり1~4個の炭素原子のアルキル基を有するトリアルキルシリル、フェニル、及び1つ、2つ、若しくは3つのメチル残基、エチル残基、プロピル残基、及び/又はブチル残基で独立して置換されたフェニルから選択される。
【0077】
式(10)による物質の好ましい具体例としては、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-フェニル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジフェニル-2-イミダゾリジノン、1,3,4-トリメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ビス(トリメチルシリル)-2-イミダゾリジノン、1,3-ジヒドロ-1,3-ジメチル-2H-イミダゾール-2-オン、テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2(1H)-ピリミジノン、テトラヒドロ-1-メチル-3-フェニル-2(1H)-ピリミジノン、テトラヒドロ-1,3,5-トリメチル-2(1H)-ピリミジノン、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-4H-1,3,5-オキサジアジン-4-オン、テトラヒドロ-1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリアジン-2(1H)-オン、ヘキサヒドロ-1,3-ジメチル-2H-1,3-ジアゼピン-2-オンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましい例は、DMIとも呼ばれる1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンであり、すなわち、R3が-CH2-CH2-である、及び/又はR1及びR2の両方が-CH3である。
【0078】
式(10)による試薬は、例えば、米国特許第4,894,409号明細書、並びに国際特許出願の国際公開第2021/009154号パンフレット及び国際公開第2021/009156号パンフレットに記載されている。
【0079】
式(12)((RO)x(R)ySi-R’’-S-(R‘)及び(13)(RO)x(R)ySi-R’’-N(-R‘)2による官能化剤:
Rは、独立して、好ましくは1~12個の炭素原子のアルキル基を表し、R’は、好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキル基又はアルキルシリル基を表し、2つのR’の場合、両方のR’は連結して環構造を形成することができる。式(12)及び(13)中、xは0、1、2、又は3であり、yは3-xであり、R’’は、好ましくは1~20個の炭素原子を含むスペーサー基である。
【0080】
カップリング剤は、官能基、例えばオメガ-官能基を得るために使用することもできる。その場合、ステップ(ii)の後に官能化剤を加えなくてよいが、別の官能化試薬、例えばポリマーのアルファ位に官能基を形成するためのアルファ官能化剤を使用することができる。
【0081】
重合反応が、カップリング試薬を用いた反応によって、又は前述の1つ以上のオメガ官能化剤を用いた任意選択の反応によって開始するのではない場合、重合反応は、例えばクエンチングによって停止することができる。当技術分野において公知のクエンチング剤を使用することができる。重合を停止させるための典型的なクエンチング剤としては、アルコール、例えばオクタノールが挙げられる。
【0082】
ポリマーは、当技術分野において公知のように後処理及び単離を行うことができる。立体障害のあるフェノール類、芳香族アミン、ホスフィット、チオエーテルなどの当技術分野において公知の酸化防止剤を反応混合物に加えることができる。好ましくはこれらは、本開示のポリマーの後処理の前又は最中に加えることができる。TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract(処理留出物芳香族抽出物))、MES(Mild Extraction Solvates(軽度抽出溶媒和物))、RAE(Residual Aromatic Extract(残留芳香族抽出物))、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract(処理残留芳香族抽出物))、ナフテン系油、及び重質ナフテン系油などのジエンゴムに使用されるエクステンダーオイルを、油展ゴムを得るための後処理の前又は最中に反応混合物に加えることができる。蒸留、蒸気を用いたストリッピングなどの従来方法によって、又は必要であれば高温において、真空若しくは減圧を使用することによって、溶媒を除去することができる。典型的には、溶媒は再利用される。ポリマークラムに対して、ミル上でのさらなる乾燥、又はミル上での処理を行い、例えばシートを形成したり、又は圧縮して、例えばベールにしたりすることができる。
【0083】
アルファ官能化:
前述の官能化試薬は、ポリマーの反応性鎖末端と反応させることができ、したがって、本明細書では「オメガ官能化試薬」とも呼ばれる。オメガ官能化試薬の添加の代わりに、又はこれに加えて、「アルファ官能化剤」を重合開始時に、例えば官能化開始剤として加えることができる。典型的にはこれによって、アルファ官能化ポリマー、すなわち、鎖のはじめの部分に極性基を有するポリマーが得られる。アルファ官能化試薬の例は、欧州特許出願公開第2847264 A1号明細書及び欧州特許出願公開第2847242 A1明細書に記載されている。アルファ官能化ポリマーを調製するためには、1つ以上のアルファ官能化剤が使用されるのを除けば前述のようにしてポリマーを調製することができる。アルファ官能化剤は、ステップ(ii)の前に使用され、典型的には官能化試薬は、重合反応開始時、すなわち、ステップ(i)において、好ましくはステップ(i)の開始時に使用される。典型的には、アルファ官能化剤としては、炭素及び水素原子に加えて、Si、O、S、及びN、並びにそれらの組み合わせから選択されるヘテロ原子を含む脂肪族化合物含が挙げられる。典型的なアルファ官能化剤は、最大5,000g/mol又は2,000g/mol未満の分子量を有する。
【0084】
アルファ官能化剤としては、官能性開始剤であって、官能基又はその前駆体を有する、例えば、後処理中、又はゴムコンパウンドを製造するための配合中などに、加水分解又は別の方法で脱保護することができる保護された基を有する、官能性開始剤が挙げられる。官能性開始剤としては、例えば、有機アニオンの塩であって、第3級アミン、又は窒素原子が脂肪族環構造の一部を形成する環状アミンの有機アニオンの塩が挙げられる。官能性開始剤を含む第3級アミンの一例は
【化11】
で表され、ここで、R3及びR4は、同じ又は異なるものであり、1~20個の炭素原子を有し、好ましくは線状又は分岐のアルキル、シリル置換アルキル、及びシリルから選択される有機残基であり、R3及びR4は、連結して環構造を形成することができる。R2は、好ましくは、負電荷を有する線状又は分岐のC1-~C20-アルキル基又はシリル置換アルキル基である。さらなる例としては、線状又は環状のアミド開始剤、例えば4、5、6、又は7個の炭素原子と、負電荷を有する少なくとも1つの窒素原子とを有する脂肪族アミンの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。環は、非置換であってよいし、1回又は2回以上、好ましくはC1-~C20-アルキル置換基によって置換されてもよい。環状アミド開始剤の具体例としては:
【化12】
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
官能性開始剤としては、1つ以上の開始剤と1つ以上の官能化モノマーとの活性反応生成物も挙げられる。官能化モノマーは、少なくとも1つの官能基又はその前駆体を有する。官能化モノマーは、開始剤に対して等モル量若しくは過剰で使用される場合があり、又は開始剤が官能化モノマーに対してモル過剰で使用される場合がある。官能化モノマーの例としては、ジエン、官能化されて1つ以上の官能基を有する脂肪族及び芳香族のビニル、例えば、トリアルキルアミノ基、アミノシラン基、又は加水分解によってヒドロキシ基となることができるアルコキシ基、又は加水分解によってチオール基になることができるチオアルキル基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。官能化芳香族ビニル化合物の具体例としては、限定するものではないが、トリアルキルアミノスチレン、例えば(R
1)(R
2)N(R
3)
x-Ph-CH=CH
2で表されるものが挙げられ、ここで、xは、1、2、3、4、又は5、好ましくは1、2、又は3を表し、R
1、R
2、及びR
3は、好ましくは互いに独立してC1~C20アルキル基又はアルキルシリル基を表す。R
1及びR
2は連結して環を形成することができる。官能化芳香族ビニルのさらなる例としては、
【化13】
で表されるものが挙げられ、ここで、R
1及びR
2は、炭素、水素、及びケイ素からなる群から選択される少なくとも2つを含む官能基を表す。例としては、フェノール保護基として使用できるメチル基及びエチル基などの炭化水素系官能基(炭素及び水素を含む官能基)、並びにトリメチルシリル基及びトリエトキシシリル基などのケイ素系官能基(炭素、水素、及びケイ素を含む官能基)が挙げられる。これらの中で好ましいものは、炭化水素系官能基、好ましくはアルキル基である。アルキル基中の炭素原子数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、さらにより好ましくは1~2である。好ましくはR
1又はR
2の少なくとも1つは分岐している。アルファ官能化に関係する最近の刊行物の例としては、米国特許出願公開第2021230416 A1号明細書及び欧州特許出願公開第3733718 A1号明細書が挙げられる。
【0086】
異なる官能化開始剤の混合物、又は官能化開始剤と非官能化開始剤との混合物を使用することもできる。
【0087】
官能化開始剤を製造するために官能化モノマーを使用する代わりに、これらは、重合中、例えばステップ(i)中、ステップ(i)後、ステップ(ii)の前、最中、又は後に使用することもできる。これらは、官能化開始剤又は別の官能化剤に加えて、又はそれらの代替物として使用することができる。これらは、例えば、鎖中官能化ポリマーを得るため、又は官能基を有する側鎖を有するポリマーを生成するために使用することができる。適切な官能化モノマーとしては、芳香族モノマー、例えばアミノ置換スチレン、及び脂肪族モノマー、例えばビニルシランが挙げられる。これらは、ステップ(i)中、ステップ(i)後、並びにステップ(ii)の前、最中、又は後、又はそれらの組み合わせに使用することができる。これらは連続的に加えることができるし、又は、例えば官能化モノマー単位のブロックを形成するために、間隔をあけて加えることができる。
【0088】
ゴムコンパウンド
本開示によるポリマーは、ゴムコンパウンドの製造に使用することができる。ゴムコンパウンドは、本開示による少なくとも1つのポリマーを少なくとも1つのフィラーと混合することを含むプロセスによって調製することができる。ゴムコンパウンドは、加硫可能であってよく、1つ又は2つ以上の硬化剤をさらに含むことができる。硬化剤は、ジエンポリマーを架橋(硬化)させることができ、本明細書では「架橋剤」又は「加硫剤」とも呼ばれる。適切な硬化剤としては、硫黄、硫黄系化合物、及び有機若しくは無機の過酸化物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
本開示の好ましい一実施形態では、硬化剤は硫黄を含む。1つの硬化剤の代わりに、1つ以上の硬化剤の組み合わせを使用することができ、又は1つ以上の硬化剤と1つ以上の硬化促進剤又は硬化触媒との組み合わせを使用することができる。硫黄供与体として作用する硫黄含有化合物の例としては、硫黄、ハロゲン化硫黄、ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、及びジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。硬化促進剤の例としては、アミン誘導体、グアニジン誘導体、アルデヒドアミン縮合生成物、チアゾール、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、及びチオホスパート(thiophospahte)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本開示の別の一実施形態では、硬化剤としては、過酸化物が挙げられる。加硫剤として用いられる過酸化物の例としては、ジ-tert-ブチル-ペルオキシド、ジ-(tert-ブチル-ペルオキシ-トリメチル-シクロヘキサン)、ジ-(tert-ブチル-ペルオキシ-イソプロピル-)ベンゼン、ジクロロ-ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチル-クミル-ペルオキシド、ジメチル-ジ(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、及びジメチル-ジ(tert-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン、及びブチル-ジ(tert-ブチル-ペルオキシ)バレレートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて、スルフェンアミド型、グアニジン型、又はチウラム型の加硫促進剤を加硫剤とともに用いることができる。加えられる場合、加硫剤は、典型的にはゴム100重量部当たり0.5~10重量部、好ましくは1~6重量部の量で存在する。
【0090】
ゴムコンパウンドは、タイヤ、又はサイドウォール若しくはタイヤトレッドなどのタイヤの構成要素の製造に適切である。タイヤ又はタイヤの構成要素は、典型的には加硫形態であるゴムコンパウンドを含む。
【0091】
従来のフィラーを使用することができる。従来のフィラーとしては、シリカ及び炭素系フィラー、例えばカーボンブラックが挙げられる。フィラーは、単独で使用することができ、又は混合物中で使用することができる。特に好ましい形態では、ゴム組成物は、シリカフィラーとカーボンブラックとの混合物を含む。シリカフィラーのカーボンブラックに対する重量比は、0.01:1~50:1、好ましくは0.05:1~20:1であってよい。
【0092】
好ましくは、フィラーとしては、好ましくは5~1,000、好ましくは20~400m2/gのBET表面積(窒素吸収)を有するシリカ含有粒子が挙げられる。このようなフィラーは、例えば、シリケートの溶液からの沈殿によって、又はハロゲン化ケイ素の火炎加水分解によって得ることができる。シリカ含有フィラー粒子は、10~400nmの粒度を有することができる。シリカ含有フィラーは、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、Zr、又はTiの酸化物を含むこともできる。酸化ケイ素系フィラーの別の例としては、ケイ酸アルミニウム、好ましくは20~400m2/gのBET表面積及び10~400nmの一次粒径を有するアルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウム又はケイ酸カルシウム、天然シリケート、例えばカオリン、及び別の天然シリケート、例えばクレイ(層状シリカ)が挙げられる。フィラーのさらなる例としては、ガラス粒子をベースとするフィラー、例えばガラスビーズ、微小球、ガラス繊維、及びガラス繊維製品(マット、ストランド)が挙げられる。
【0093】
シリカ含有フィラーなどの極性フィラーは、疎水性を高めるために改質することができる。適切な改質剤としては、シラン又はシラン系化合物が挙げられる。このような改質剤の典型的な例としては、限定するものではないが、一般式(7):
(R1R2R3O)3Si-R4-X (7)
に対応する化合物が挙げられ、ここで、それぞれのR1、R2、R3は、互いに独立して、アルキル基であり、好ましくはR1、R2、R3は、全てメチル又は全てエチルであり、R4は、1~20個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族の結合基であり、Xは、硫黄含有官能基であり、-SH、-SCN、-C(=O)S、又はポリスルフィド基から選択される。
【0094】
前述のように改質されたシリカの代わりに、又はこれに加えて、このような改質は、その場で行うことができ、例えば配合中、又はタイヤ若しくはその構成要素の製造プロセス中に、例えば改質剤、好ましくはシラン又はシラン改質剤、例えば式(7)によるものを、ゴムコンパウンドの製造時に加えることによって、行うことができる。
【0095】
酸化ケイ素以外の金属酸化物をベースとするフィラーとしては、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。別のフィラーとしては、金属炭酸塩、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、及びそれらの組み合わせ、金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びそれらの組み合わせ、3~8個の炭素原子を有するアルファ-ベータ-不飽和脂肪酸及びアクリル酸若しくはメタクリル酸の塩、例えばアクリル酸亜鉛、亜鉛ジアクリレート、メタクリル酸亜鉛、亜鉛ジメタクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0096】
別の一実施形態では、ゴムコンパウンドは、炭素をベースとする1つ以上のフィラー、例えば1つ以上のカーボンブラックを含む。カーボンブラックは、例えば、ランプブラック法、ファーネスブラック法、又はガスブラック法によって製造することができる。好ましくは、カーボンバック(carbon back)は、20~200m2/gのBET表面積(窒素吸収)を有する。適切な例としては、SAF、ISAF、HAF、FEF、及びGPFブラックが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
適切なフィラーの別の例としては、炭素-シリカ二重相フィラー、リグニン若しくはリグニン系材料、デンプン若しくはデンプン系材料、及びそれらの組み合わせが挙げられる
【0098】
好ましい一実施形態では、フィラーは、1つ以上の酸化ケイ素、カーボンブラック、又はそれらの組み合わせを含む。
【0099】
フィラーの典型的な量としては、ゴム100部当たり5~200部、例えば、ゴム100重量部に対して10~150重量部、又は10~95重量部が挙げられる。
【0100】
ゴムコンパウンドは、本開示によるジエンゴム以外の1つ以上の追加のゴムと、1つ又は2つ以上のゴム添加剤とをさらに含むことができる。追加のゴムとしては、例えば、天然ゴム及び合成ゴムが挙げられる。存在する場合、これらは、組成物中のゴムの総量を基準として0.5~95重量%の範囲内、好ましくは10~80重量%の範囲内の量で使用することができる。適切な合成ゴムの例としては、BR(ポリブタジエン)、アクリル酸アルキルエステルコポリマー、IR(ポリイソプレン)、E-SBR(乳化重合によって製造されたスチレン-ブタジエンコポリマー)、S-SBR(溶液重合によって製造されたスチレン-ブタジエンコポリマー)、IIR(イソブチレン-イソプレンコポリマー)、NBR(ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー)、HNBR(部分又は完全水素化NBRゴム)、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)、及びそれらの混合物が挙げられる。-60℃を超えるガラス温度を有する天然ゴム、E-SBR、及びS-SBRと、Ni、Co、T、i、又はNdをベースとする触媒を用いて製造された高シス含有量(>90%)のポリブタジエンゴムと、最大80%のビニル含有量を有するポリブタジエンゴムと、それらの混合物とが、自動車用タイヤを製造する場合に特に対象となる。
【0101】
ゴムコンパウンドは、1つ以上のゴム添加剤を含むこともできる。ゴム添加剤は、ゴム組成物の加工特性を改善することができる、ゴム組成物を架橋させる役割を果たすことができる、ゴムから製造された加硫物の物理的性質を改善することができる、ゴムとフィラーとの間の相互作用を改善することができる、又はゴムをフィラーに結合させる役割を果たすことができる構成要素である。ゴム助剤としては、反応促進剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ろう、エクステンダー、有機酸、シラン類、遅延剤、金属酸化物、エクステンダーオイルであって、DAE(Distillate Aromatic Extract(留出物芳香族抽出物))、TDAE(Treated Distillate Aromatic Extract(処理留出物芳香族抽出物))、MES(Mild Extraction Solvates(軽度抽出溶媒和物))、RAE(Residual Aromatic Extract(残留芳香族抽出物))、TRAE(Treated Residual Aromatic Extract(処理残留芳香族抽出物))、ナフテン系油、及び重質ナフテン系油などのエクステンダーオイル、並びに活性剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
ゴム添加剤の総量は、組成物中の全ゴム100重量部を基準として1~300重量部、好ましくは5~150重量部の範囲であってよい。
【0103】
ゴム組成物は、(加硫性)ゴムコンパウンドの製造及び加工のための従来の加工装置を用いて調製することができ、ローラー、ニーダー、密閉式ミキサー、又は混合押出機を挙げることができる。ゴム組成物は、1段階又は多段階プロセスで製造することができ、2~3の混合段階が好ましい。架橋剤、例えば硫黄、及び促進剤は、別の混合段階で、例えばローラー上に加えることができ、30℃~90℃の範囲内の温度が好ましい。架橋剤、例えば硫黄、及び促進剤は、好ましくは最終混合段階で加えられる。
【0104】
用途
本開示によるゴム組成物は、ゴム加硫物の製造、特にタイヤ、特にタイヤトレッドの製造に使用することができる。ゴム加硫物は、本開示による加硫性組成物を提供することと、それに対して少なくとも1つの硬化反応を行うこととによって得ることができる。加硫性及び/又は加硫後のゴム組成物は、硬化反応の前、最中、又は後に成形を行うことができる。成形は、型成形、押出成形、及びそれらの組み合わせを含むプロセスステップによって行うことができる。
【0105】
本明細書で得られる(加硫性)ゴム組成物は、成形物品の製造、例えばケーブルシース、ホース、駆動ベルト、コンベアベルト、ロールライニング、靴底、シーリングリング、及びダンピング要素の製造にも適している。
【0106】
本開示の別の一態様は、本開示による加硫性ゴム組成物の加硫によって得られる加硫ゴム組成物を含む成形物品、特にタイヤの構成要素、例えばタイヤトレッド、又は完成タイヤに関する。
【0107】
以下の実施例は、本開示をさらに説明するために提供されるが、これらの実施例に記載の実施形態に本開示が限定されることを意図するものではない。
【0108】
実施例
方法
35℃においてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(溶媒としてのTHF及びポリスチレン較正)を用いて、ポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量、分散性D=Mw/Mn(本明細書では分子量分布又はMWDとも呼ばれる)、及びカップリング度を求めた。
【0109】
100℃においてML(1+4)の測定条件でDIN ISO 289-1(2018)に準拠してムーニー粘度を測定した。ASTM D 1646-00に準拠した同じ測定からムーニー応力緩和(MSR)を求めた。
【0110】
DIN53513-1990に準拠して、Gabo-Testanlagen GmbH,Ahlden,GermanyのEplexor 500 N上で、10Hzにおいて、-100℃~+100℃の温度範囲、1K/分の加熱速度で、加硫コンパウンドの動的性質を求めた(試料:l*w*t=60mm*10mm*2mmのストリップ;サンプルホルダー間の自由長30mm)。この方法で以下の性質を求めることができる:tanδ(60℃)、すなわち60℃における損失係数(E”/E’);及びtanδ(0℃)、すなわち0℃における損失係数(E”/E’)。tanδ(60℃)は、運転条件下のタイヤからのヒステリシス損失の尺度となる。tanδ(60℃)が減少すると、タイヤの転がり抵抗が減少する。tanδ(0℃)は、材料のウェットグリップの尺度となる。tanδ(0℃)が増加すると、ウェットグリップが増加する。
【0111】
DIN53513-1990に準拠して弾性特性を求めた。エラストマー試験システム(MTS Systems GmbH,831 Elastomer Test System)を用いた。測定は、二重剪断モードにおいて、剪断方向に静的予備ひずみなし、円筒形試料(2つの試料のそれぞれが20×6mmであり、5mmの厚さにあらかじめ圧縮される)上で約0の振動、及び0.1~40%のひずみ範囲で10Hzの測定周波数で行った。この方法を以下の性質を求めるために用いた:
G’(0.5%):0.5%振幅掃引における動的弾性率、G’(15%):15%振幅掃引における動的弾性率、G’(0.5%)-G’(15%):15%の振幅掃引に対する0.5%における動的弾性の差、tanδ(max):60℃における全測定範囲の最大損失係数(G”/G’)。G’(0.5%)-G’(15%)の差は、混合物のペイン効果の指標となる。この値が小さいほど、混合物中のフィラーの分散が良好になり、ゴム-フィラーの相互作用が良好になる。tanδ(max)は、運転条件下のタイヤからのヒステリシス損失の別の尺度となる。tanδ(max)が減少すると、タイヤの転がり抵抗が減少する。
【0112】
DIN 53512に準拠して60℃における反発弾性を求めた。反発の増加は、転がり抵抗の減少を示す。
【0113】
ポリマー
実施例1(比較用)
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び10mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で45分間撹拌した。このポリマー溶液を10mmolのn-オクタノールでクエンチし、4.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させ、エタノール中で沈殿させ、真空オーブン中65℃で乾燥させた。この参考例は、ジエンポリマーの製造の一般手順を示している。1つ以上の共役ジエンと、スチレンなどの1つ以上のビニル芳香族のモノマーとのコポリマーを同じ方法で調製することができる。
【0114】
実施例1A(比較用)
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び16mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、及び70℃で45分間撹拌した。2.56mmolのSiCl4を加え、30分間撹拌した。このポリマー溶液を16mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。溶媒を水蒸気蒸留によって除去し、ポリマーを真空オーブン中65℃で乾燥させた。ーニー粘度(100℃におけるML(1+4))を測定すると83MUであった。
【0115】
実施例2(比較用)
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び14.25mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で45分間撹拌した。このリビングポリマー溶液に7.125mmolの2.2-ビス(2-テトラヒドロフリル)-プロパンを加え、5分間撹拌した。1.924mmolのSiCl4を加え、5分間撹拌した。8.55mmolのオクタメチルシクロテトラシロキサンを加え、15分間撹拌した。8.55mmolの2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オンを加え、20分間撹拌した。この溶液を14.25mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。2phrのステアリン酸を加えた。溶媒を水蒸気蒸留によって除去した。ポリマーを真空オーブン中65℃で乾燥させた。
【0116】
実施例3(比較用)
16mmolのn-BuLiを使用し、反応物を45分間撹拌した後、8mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを溶液に加え、溶液をさらに20分間撹拌したことを除けば、実施例1を繰り返した。
【0117】
実施例4
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び16mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で45分間撹拌した。8mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、20分間撹拌した。8mmolの2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オンを加え、さらに20分間撹拌した。この溶液を16mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。ポリマーを前述のように単離した。
【0118】
実施例5
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び15.7mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で45分間撹拌した。このポリマー溶液に15.7mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、溶液を20分間撹拌した。15.7mmolの2,2,4-トリメチル-1-オキサ-4-アザ-2-シラシクロヘキサンを加え、反応混合物をさらに20分間撹拌した。このポリマー溶液をクエンチし、安定化させ、ポリマーを前述のように単離した。
【0119】
実施例6
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び14.25mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で60分間撹拌した。このリビングポリマー溶液に7.125mmolの2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)-プロパンを加え、5分間撹拌した。14.25mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、15分間撹拌した。14.25mmolの2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オンを加え、反応混合物をさらに20分間撹拌した。このポリマー溶液を14.25mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。2phrのステアリン酸を加えた後、溶媒を水蒸気蒸留によって除去し、ポリマーを真空オーブン中65℃で乾燥させた。
【0120】
実施例7
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び15mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で60分間撹拌した。このリビングポリマー溶液に7.5mmol2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)-プロパンを加え、反応混合物を5分間撹拌した。0.525mmolのオクタビニルオクタシラセスキオキサン(POSS-オクタビニル置換されたもの、Sigma Aldrich製)を加え、反応混合物を5分間撹拌した。11mmolのオクタメチルシクロテトラシロキサンを加え、15分間撹拌した。11mmolの2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オンを加え、このポリマー溶液をさらに20分間撹拌した。ポリマー溶液を15mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。実施例6のように後処理を行った。
【0121】
実施例8
不活性20L反応器に、8500gのヘキサン、1500gの1,3-ブタジエン、及び14.25mmolのn-ブチルリチウム(ヘキサン中の23重量%溶液として)を入れ、70℃で60分間撹拌した。このリビングポリマー溶液に7.125mmolの2,2-ビス(2-テトラヒドロフリル)-プロパンを加え、5分間撹拌した。1.14mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、5分間撹拌した。10.83mmolのオクタメチルシクロテトラシロキサンを加え、15分間撹拌した。10.83mmolの2,2-ジメチル-1-オキサ-4-チア-2-シラシクロヘキサン-6-オンを加え、反応混合物をさらに20分間撹拌した。このポリマー溶液を14.25mmolのn-オクタノールでクエンチし、7.5gのIrganox(登録商標)1520(2,4-ビス(オクチルチオメチル)-6-メチルフェノール)で安定化させた。2phrのステアリン酸を加えた後、溶媒を水蒸気蒸留によって除去し、ポリマーを真空オーブン中65℃で乾燥させた。
【0122】
【0123】
実施例3~8は、カップリングしたポリマーを調製するために、不飽和シロキサンを使用できることを示している。カップリングは、カップリング度及び低いMSR値によって示される。本開示による不飽和シロキサンを用いて調製したポリマーは、実施例4~8によって示されるように異なる官能化試薬と反応させることができる。
【0124】
コンパウンドの研究
極性官能基で官能化されるジエンゴムによって、タイヤコンパウンド中のフィラーの分散を改善できることが知られている。タイヤコンパウンド中、ゴム及びフィラーは、主成分であり、ゴムマトリックス中のフィラーの分散が良好であると、改善されたタイヤ特性を最終的に得ることができる。官能化ジエンゴムを含むゴムコンパウンドは、典型的には、それらの非官能化対応物よりも加工が困難となる。本開示による不飽和シロキサン系カップリング剤を用いて得られるポリマーは、タイヤの構成要素の製造に使用することもでき、改善されたフィラー相互作用を有するコンパウンドを得ることもできることが分かった。
【0125】
実施例9~16
1.5Lのニーダー中、表3中に示される成分を使用し、表2中に示される混合プロトコルを使用して、実施例1、1A、2、3、6、7、及び8で得たジエンゴムを含むゴム組成物(実施例9~16)調製した。結果として得られた組成物を160℃で30分間加硫させた。加硫物の性質を表3及び3A中にまとめている。
【0126】
【0127】
【0128】
結果は、本発明による不飽和シロキサンを用いて得られたポリマー(実施例11~13)が、参考ポリマー1及び2(比較例9及び10)よりも改善されたコンパウンドのムーニー粘度を有したことを示しており、これはより良好な加工性を示している。参考ポリマーと比較して改善されたペイン効果指数(より小さい[G‘(0.5%)-G‘(15%)])及び改善された転がり抵抗指標(反発60℃、最大tanδ、及び60℃におけるtanδ)によって示されるように、実施例11~13は優れたフィラー分散を示した。ウェットグリップ性能(0℃におけるtanδ)は、参考ポリマーと同様であった。
【0129】
実施例14(比較用)
開始剤としてBuLiを使用するヘキサン中のアニオン重合によって、本開示によるカップリング試薬を用いずに官能化スチレン-ブタジエンポリマーを調製した。このリビングポリマーを最初にOMTSで、次にSLで当モル量で処理した。オクタノール及びIRGANOX1520を加えることによって反応を停止させた。水蒸気蒸留と減圧下で60℃における乾燥とによってポリマーを得た。
【0130】
実施例15
開始剤として9.55mmolのBuLiを使用するヘキサン中のアニオン重合によって、カップリング及び官能化が行われたポリマーを調製した。このリビングポリマーを、1.19mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加えることによって本開示によるカップリング剤で処理した。反応混合物の温度は60℃であり、混合物を60℃で10分間反応させた。反応混合物を9.55mmol2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンで処理し反応を60℃で10分間進行させることによって、上記のカップリングしたポリマーを官能化させた。反応を停止させ、ポリマーを前述のように単離した。
【0131】
実施例16
反応性開始剤混合物を最初に形成することによって、カップリング及び官能化が行われたポリマーを調製した。水分を含まない、窒素でフラッシングした20Lの反応器に、8500gのヘキサン、1.70gのN,N-ジメチルアミノメチルスチレン、及び5.43mmolのDTHFPを投入し、35℃に加熱し、10.56mmolのBuLiと20分間反応させて、反応性開始剤溶液を形成した。1185gのブタジエンと315gのスチレンとの混合物を加え、それを60分間反応させることによってアニオン重合を行った(T Max 58.4℃)。このリビングポリマー溶液に1.32mmol1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、60℃で10分間反応させた。10.56mmolの2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンを加え、60℃で10分間反応させた。前述のように、反応を停止させて後処理を行った。
【0132】
70phrのポリマー、30phrのNdBR(商品名CB24)を使用したことを除けば、表2の混合プロトコル及び表3の成分を使用して、実施例14~16からのポリマーの配合を行った。ULTRASIL 7000 GRの代わりにZEOSIL 1165 MPを使用した。ポリマーの性質を表4及び5中に示す。
【0133】
【0134】
【0135】
表5中に示される結果は、本開示によるカップリング剤を用いたカップリングによって、スチレン-ブタジエンコポリマーの性質も改善されることを示している。G‘(0.5%)-G‘(15%)の値の減少は、ゴム-フィラー相互作用が改善されたことを示している。転がり抵抗指標(60℃における反発及びtanδ)は同様のままであった。ウェットグリップ特性は、0℃におけるtanδの増加によって示されるように、改善された。
【0136】
実施例14~16のポリマーをGarveyダイに通して押出成形した(70℃及び50rpm)。比較ポリマー14を用いて得られたプロファイルは粗かったが、実施例15及び16からのポリマーを用いて得られたプロファイルは滑らかであった。
【0137】
実施例17(比較用)
開始剤としてBuLiを用いるヘキサン中のアニオン重合によって、本開示によるものではないカップリング剤によってカップリングさせた官能化スチレン-ブタジエンを調製した。このリビングポリマーにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラクロロシランを加え、70℃で10分間反応させた。2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンを加え、30分間反応させた。前述のように、反応を停止させて後処理を行った。
【0138】
実施例18
開始剤としてBuLiを使用するヘキサン中のアニオン重合によってスチレン-ブタジエンコポリマーを調製した。このリビングポリマーに3.5mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、70℃で10分間反応させた。14mmolの2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンを加え、70℃で10分間反応させた。前述のように、反応を停止させて後処理を行った。
【0139】
実施例19
15mmolのグルタル酸無水物を改質剤として使用したことを除けば、実施例18のようにスチレン-ブタジエンコポリマーを調製した。
【0140】
表2の混合プロトコル及び表3の成分を使用して、実施例17~19からのポリマーの配合を行った。性質を表6及び7中に示す。
【0141】
【0142】
【0143】
実施例18及び19と比較例17との比較によって、末端基の種類に依存した改善が示される。
【0144】
実施例20(比較用)
本開示によるカップリング剤を移用したが、官能化剤は使用せずに、スチレン-ブタジエンコポリマーを調製した。開始剤として15mmolのBuLiを使用してポリマーを調製した。このリビングポリマーに1.6mmolのオクタビニルオクタシラセスキオキサンを加え、60℃で30分間反応させた。前述のように、反応を停止させて後処理を行った。
【0145】
実施例21
実施例20を繰り返した。オクタビニルオクタシラセスキオキサンを加え、60℃で30分間反応させた後、8mmolの2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンを加え、60℃で10分間反応させた。前述のように、反応を停止させて後処理を行った。
【0146】
実施例20及び21からのポリマーを配合した(70phrの量で使用し、これとともにNdBR(CB24)を30phrで使用したことを除けば、表2の混合プロトコル及び表3の構成要素)。性質を表8及び9中に示す。
【0147】
【0148】
【0149】
表9中に示される結果は、異なる不飽和シロキサン剤(比較例20対実施例21)を用いてカップリングさせたポリマーの官能化の好ましい効果を示している。G‘(0.5%)-G‘(15%)の値の減少は、ゴム-フィラー相互作用の改善を示している。転がり抵抗指標(60℃における反発及びtanδ)は、60℃における反発の増加とtanδの減少とによって示されるように、改善された。ウェットグリップ特性は、0℃におけるtanδの増加によって示されるように、改善された。
【0150】
実施例20及び21のポリマーをGarveyダイに通して押出成形すると(70℃及び50rpm)、どちらも滑らかなプロファイルが得られた。
【0151】
実施例22
水分を含まない、窒素でフラッシングした20Lの反応器に、8500gのヘキサン、7.44mmolのヘキサメチレンイミン、7.44mmolのピロリジン、及び6.4mmolのDTHFPを投入し、33.5℃に加熱し、18.6mmolのBuLiと30分間反応させて、反応性開始剤溶液を形成した。1185gのブタジエンと315gのスチレンとの混合物を加え、断熱条件下で60分間重合させた(T Max 60.2℃)。このリビングポリマー溶液に2.33mmolの1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを加え、60℃で10分間反応させた。18.6mmolの3-(ジエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランを加え、60℃で10分間反応させた。前述のように反応を行った。
【0152】
実施例23
2,2-ジメチル-[1,4,2]オキサチアシリナン-6-オンの代わりに、18.6mmolのtert-ブチル-[3-[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルスルファニル]-ジメチルシランを加えたことを除けば、実施例22のようにポリマーを調製した。
【0153】
実施例22及び23のポリマーを配合し、比較例14と比較した。配合は、70phrのポリマー及び30phrのNdBR(商品名CB24)を使用したことを除けば、表2及び3中に記載のように行った。ポリマーデータを表10中に示し、コンパウンドのデータを表11中に示す。
【0154】
【0155】
【0156】
表11中の試験結果は、参考例で得られた値に対する指標値として示している。より大きな指標値は、それぞれの性質が参考例よりも改善されたことを意味する。最大tanδ及び60℃におけるtanδの指標値は:[(参考例で得た値)/(実施例の値)]×100として計算した。60℃における反発、0℃におけるtanδ、及びS300は、[(実施例の値)/(参考例で得た値)]×100として計算した。;
*ムーニー粘度の増加は:100℃におけるML(1+4)(コンパウンド)-100℃におけるML(1+4)(ポリマー)として計算される。より小さな値は、より良好な加工性を示す。
【0157】
ための値は、参考例と比較して実施例21の場合に変化せず、実施例22の場合には低下し(表11中には示していない)、Garveyプロファイルは、参考例と同じであった。しかしながら、転がり抵抗及びウェットグリップの指標は、参考例と比較してポリマーの改善が見られた。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジエンゴムの製造方法であって、
(i
)4~25個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族共役ジエンモノマーを重合させて、反応性ポリマー鎖末端を有するポリマーを生成することと、
(ii)前記反応性ポリマー鎖末端の少なくとも一部を、2~20個又は3~10個の不飽和シロキサン単
位を含むカップリング剤と反応させることと、
(iii)少なくとも1つの官能基を前記ポリマーに導入するために、少なくとも1つの官能化剤を使用することであって、前記官能基が、好ましくは、C原子及びH原子に加えて、Si、S、N、O、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有することと
を含み、
(iii)がステップ(ii)の前、後、又は最中に行われる、方法。
【請求項2】
前記不飽和シロキサン単位が、好ましくはビニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、n-ペンテニル、イソペンテニル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのアルケニル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カップリング剤の前記不飽和シロキサン単位が式(1)
【化1】
に対応し、ここで、R1
は、ビニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、n-ペンテニル、イソペンテニルからなる群から選択されるアルケニルを表し、それぞれのR2は、独立して、H、OH、又は有機残基であって
、1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R1は、ビニル、アリル、n-ブテニル、イソブテニル、n-ペンテニル、イソペンテニルからなる群から選択されるアルケニルを表し、それぞれのR2は、独立して、H、OH、又は有機残基であって、1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれのR2は、独立して、H、OH、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、1~10個の炭素原子を有するアルキル(ここで、前記アルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断され得る)、又は最大10個のケイ素原子を有するシロキサン若しくはポリシロキサン(ここで、前記シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基又はアルケニル基又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を有する)を表し、少なくとも1つのR2はメチルである
か、又は全ての残基R2は、メチル若しくはエチルのいずれか又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのR2は、独立して、H、OH、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、1~10個の炭素原子を有するアルキル(ここで、前記アルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断され得る)、又は最大10個のケイ素原子を有するシロキサン若しくはポリシロキサン(ここで、前記シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基又はアルケニル基又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を有する)を表し、少なくとも1つのR2はメチルであるか、又は全ての残基R2は、メチル若しくはエチルのいずれか又はそれらの組み合わせである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記カップリング剤の前記不飽和シロキサン単位が式(2):
【化2】
に対応し、ここで、それぞれのRは、独立して、H、OH、又は有機残基であって
、1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
Rは、H、OH、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、1~10個の炭素原子を有するアルキル(ここで、前記アルキル鎖又はアルケニル鎖又はその両方は、エーテル酸素原子によって1回又は2回以上中断され得る)、又は最大10個のケイ素原子を有するシロキサン若しくはポリシロキサン(ここで、前記シロキサン又はポリシロキサンは、場合により、アルキル基又はアルケニル基又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの脂肪族置換基を有する少なくとも1つのシリコーン原子を
有する)を表し
、少なくとも1つのRはメチルであり、全ての残基Rは、メチル若しくはエチルのいずれか又はそれらの組み合わせである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記カップリング剤が、少なくとも3つの前記不飽和シロキサン単位を含む少なくとも1つの環状構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記カップリング剤が式(3)
【化3】
に対応し、ここで、nは、1~5、好ましくは1~3の整数であり、
R1はアルケニルであり、それぞれのR2は、独立して、H、OH、又は有機残基であって、1~20個の炭素原子を有し、場合により、O、N、Si、S、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する有機残基を表すか、又はR1はビニルであり、それぞれのR2は、独立して、C
1-C
7-アルキル
又はメチルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記カップリング剤が式(4):
【化4】
に対応し、ここで、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、及びRhは、それぞれ同一又は異なるものであり、互いに独立して、C
1-C
10-アルキル基、C
2-C
6-アルケニル基、又は-O-Si-(R
1’R
2’R
3’)基から選択され、R1’、R2’、及びR3’は、互いに独立して、C
1-C
10-アルキル基又はC
2-C
6-アルケニル基から選択され、R1’、R2’及びR3’の少なくとも1つはビニル基単位であり、前記カップリング剤は、少なくとも2つ、又は少なくとも3つのC
2-C
6-アルケニル基を含む
か、又はRa~Rhの全てがビニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カップリング剤が、5000g/mol未満、又は2000g/mol未満の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記共役ジエンモノマーが1,3ブタジエンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(i
)が、1つ以上の共重合性のビニル芳香族コモノマーを共重合させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、ステップ(i)の後、及びステップ(ii)の前、最中、若しくは後、又はそれらの組み合わせに官能化剤を加えることを含み、前記官能化剤
が、無水物、カルバミド、(R)
3Si-N-;(R
3)Si-;(R)
3Si-S-;(R)
2Si(-O-)-、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの基を含み、それぞれのRは、独立して、1~12個の炭素原子又は1~6個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシを表し、2つの残基Rは、互いに連結して環構造を形成することができる、請求項
1に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、ステップ(i)においてアルファ官能化剤、又はステップ(i)、(ii)において、若しくはステップ(iii)の後に官能化コモノマーを使用することを含み、又は前記方法は、少なくとも1つの官能化コモノマーと少なくとも1つのアルファ官能化剤
との使用を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項17】
請求項
1に記載の方法によって得られるポリジエンゴム。
【請求項18】
請求項1に記載の方法
により得られるポリジエンゴムを含む硬化性組成物であって、前記ポリジエンゴムを硬化させるための少なくとも1つの加硫剤をさらに含み、好ましくは、ジエンゴム100重量部当たり0.5~10重量部の量の前記加硫剤を含む、硬化性組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の方法によって得られる硬化性組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリジエンゴムを含む組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の方法
によって得られる硬化性組成物を硬化させることによって得られる硬化ポリジエンゴムを含む組成物であって、タイヤ又はタイヤトレッドから選択される物品である、組成物。
【国際調査報告】