IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー エナジー ソリューション リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-電極乾燥装置 図1
  • 特表-電極乾燥装置 図2
  • 特表-電極乾燥装置 図3
  • 特表-電極乾燥装置 図4
  • 特表-電極乾燥装置 図5
  • 特表-電極乾燥装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電極乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20241128BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20241128BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20241128BHJP
   F26B 21/12 20060101ALI20241128BHJP
   F26B 21/08 20060101ALI20241128BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20241128BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20241128BHJP
   B05D 3/00 20060101ALN20241128BHJP
   B05D 5/12 20060101ALN20241128BHJP
   B05D 7/00 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/04 A
F26B21/00
F26B21/12
F26B21/08
B05D3/04 Z
B05C9/14
B05D3/00 D
B05D5/12 B
B05D7/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534099
(86)(22)【出願日】2023-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 KR2023006099
(87)【国際公開番号】W WO2023214816
(87)【国際公開日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0055134
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ブン・アン
【テーマコード(参考)】
3L113
4D075
4F042
5H050
【Fターム(参考)】
3L113AB02
3L113AC50
3L113AC52
3L113AC53
3L113AC56
3L113AC67
3L113AC86
3L113BA34
3L113CA09
3L113CB18
3L113CB23
3L113DA01
3L113DA24
4D075BB24Z
4D075BB33Z
4D075BB57Z
4D075BB93Z
4D075BB95Z
4D075BB99Z
4D075CA22
4D075DA03
4D075DA06
4D075DB01
4D075DC19
4D075DC50
4D075EA14
4D075EB17
4D075EB19
4D075EC01
4D075EC60
4F042AA06
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA13
4F042BA19
4F042BA20
4F042DB02
4F042DB31
4F042DB33
4F042DB36
4F042DB37
4F042DH09
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA03
5H050GA02
5H050GA29
(57)【要約】
本発明は電極乾燥装置およびこれを利用した電極乾燥方法に関し、より詳細には、均一な乾燥が遂行され得、コーティングされた活物質にクラックが発生することを防止できる電極乾燥装置および乾燥方法に関する。本発明の一実施形態によると、集電体上にコーティング液が塗布された電極が乾燥される乾燥空間に給気ダクトを通じて給気するように備えられる給気ファン;前記乾燥空間から排気ダクトを通じて排気するように備えられる排気ファン;前記排気ファンから排出される空気を前記給気ファンに供給する回収ダクト;前記回収ダクトに流入する空気の量を調節する回収ダンパ;前記乾燥空間に給気される空気の絶対湿度をセンシングするメイン湿度計;および前記乾燥空間に流入する空気で絶対湿度を調節するために、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する制御部を含む電極乾燥装置が提供され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体上にコーティング液が塗布された電極が乾燥される乾燥空間に給気ダクトを通じて給気するように備えられる給気ファンと、
前記乾燥空間から排気ダクトを通じて排気するように備えられる排気ファンと、
前記排気ファンから排出される空気を前記給気ファンに供給する回収ダクトと、
前記回収ダクトに流入する空気の量を調節する回収ダンパと、
前記乾燥空間に給気される空気の絶対湿度をセンシングするメイン湿度計と、
前記乾燥空間に流入する空気で絶対湿度を調節するために、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する制御部と、を含む電極乾燥装置。
【請求項2】
前記排気ダクトは、前記乾燥空間と前記排気ファンを連結する第1排気ダクトと、前記排気ファンと外部排気口を連結する第2排気ダクトと、を含む、請求項1に記載の電極乾燥装置。
【請求項3】
前記給気ダクトは、外部給気口と前記給気ファンを連結する第1給気ダクトと、前記給気ファンと前記乾燥空間を連結する第2給気ダクトt、を含む、請求項2に記載の電極乾燥装置。
【請求項4】
前記回収ダクトは前記第2排気ダクトから分岐されて前記第1給気ダクトと連結される、請求項3に記載の電極乾燥装置。
【請求項5】
前記第2排気ダクトには前記外部排気口に排気される空気の量を調節する排気ダンパが備えられる、請求項4に記載の電極乾燥装置。
【請求項6】
前記排気ダンパは前記回収ダクトの分岐点の後端に備えられる、請求項5に記載の電極乾燥装置。
【請求項7】
前記回収ダクトには前記回収ダクトを通じて前記第1給気ダクトに流入する空気の絶対湿度をセンシングする回収湿度計が備えられる、請求項6に記載の電極乾燥装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記回収湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する、請求項7に記載の電極乾燥装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記回収ダンパの開度が増加するにつれて前記排気ダンパの開度が減少するように調節する、請求項8に記載の電極乾燥装置。
【請求項10】
前記第1給気ダクトには前記外部給気口から流入する空気の量を調節する給気ダンパが備えられる、請求項4に記載の電極乾燥装置。
【請求項11】
前記給気ダンパは前記回収ダクトの合流点の前端に備えられる、請求項10に記載の電極乾燥装置。
【請求項12】
前記第1給気ダクトには前記回収ダクトと前記外部給気口から流入する空気の絶対湿度をセンシングする給気湿度計が備えられる、請求項11に記載の電極乾燥装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記給気湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパと給気ダンパの開度を調節する、請求項12に記載の電極乾燥装置。
【請求項14】
前記回収ダクトには加湿器が備えられる、請求項13に記載の電極乾燥装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度が既設定値より低い場合、前記加湿器を通じて加湿が行われるように制御する、請求項14に記載の電極乾燥装置。
【請求項16】
前記第2給気ダクトから流入する空気と前記第1排気ダクトから排出される空気との間の熱交換を行う熱交換器が備えられる、請求項4に記載の電極乾燥装置。
【請求項17】
前記コーティング液は負極活物質、導電材、バインダーおよび溶剤を含む負極スラリーであり、固形分の含量が50%~70%である、請求項4に記載の電極乾燥装置。
【請求項18】
集電体上にコーティング液が塗布された電極が乾燥される乾燥空間に給気ダクトを通じて給気するように備えられる給気ファンと、
前記乾燥空間から排気ダクトを通じて排気するように備えられる排気ファンと、
前記排気ファンから排出される空気を前記給気ファンに供給する回収ダクトと、
前記回収ダクトに流入する空気の量を調節する回収ダンパと、
前記排気ダクトを通じて外部排気口に排気される空気の量を調節する排気ダンパと、
前記給気ダクトを通じて外部給気口から流入する空気の量を調節する給気ダンパと、
前記乾燥空間に給気される空気の絶対湿度をセンシングするメイン湿度計と、
前記回収ダクトに流入する空気の絶対湿度をセンシングする回収湿度計と、
前記回収ダクトおよび前記外部給気口から流入する空気の絶対湿度をセンシングする給気湿度計と、
前記乾燥空間に流入する空気で絶対湿度を調節するために、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する制御部と、を含む電極乾燥装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記給気湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、前記排気ダンパおよび前記回収ダンパの開度を調節する第1段階ダンパ制御と、
前記回収湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、前記排気ダンパおよび前記回収ダンパの開度を調節する第2段階ダンパ制御と、
前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、前記排気ダンパおよび前記回収ダンパの開度を調節する第3段階ダンパ制御と、を順次行う、請求項18に記載の電極乾燥装置。
【請求項20】
前記制御部は、前記第3段階ダンパ制御の後に前記回収ダクトに備えられる加湿器の作動を制御する加湿制御を行う、請求項19に記載の電極乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極乾燥装置およびこれを利用した電極乾燥方法に関し、より詳細には、均一な乾燥が遂行され得て、コーティングされた活物質にクラックが発生することを防止できる電極乾燥装置および乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを貯蔵する電池は一般的に一次電池と二次電池に区分され得る。一次電池は使い捨ての消耗性電池である反面、二次電池は電流と物質との間の酸化および還元過程が繰り返し可能な素材を使って製造される充電式電池である。すなわち、電流によって素材に対する還元反応が行われると電源が充電され、素材に対する酸化反応が行われると電源が放電され、このような充電放電が繰り返し可能である。
【0003】
多様な種類の二次電池のうち、リチウム二次電池は負極を製造するために負極活物質、導電材、バインダーおよび溶剤が混合された負極スラリーを集電体にコーティングし、乾燥させる工程を通じて製造され得る。
【0004】
従来では負極スラリーがコーティングされたコーティング層を一般のオーブンに投入して乾燥を行っていた。しかし、図1および図2に示した通り、液体の流れによって側面部にスロープ(slope)形態のスライディング区間が発生するため、コーティング層の中心部Aを基準として相対的に負極スラリーのローディング量が少ない側面Bに行くほど乾燥速度が速くなって、過乾燥による電極の幅方向Cの乾燥偏差が発生し、これによって電極表面にクラックDが発生する問題が発生していた。
【0005】
このような表面クラック問題と過乾燥による側面部のサイドリング(side ring)改善のために、従来では乾燥空間に加えられる熱量を位置により異ならせるなどの多様な努力が試みられてきた。
【0006】
しかし、乾燥工程での熱量調節によっても表面クラック問題などが顕著に改善されず、乾燥工程に、より多くの時間が必要とされるため効率的で安定した乾燥工程の遂行が困難であった。
【0007】
したがって、このような問題点を解決するための効率的で安定した電極乾燥が遂行され得る電極乾燥装置および方法が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来の電極乾燥装置および乾燥方法の問題を解決しようとすることを目的とする。
【0009】
本発明の一実施形態によると、従来の電極乾燥装置および方法を大きな変更なしに利用しながらも、効果的で効率的に電極を乾燥できる装置および方法を提供するものである。
【0010】
本発明の一実施形態によると、幅方向の乾燥偏差を減らして電極表面のクラック発生およびサイドリングの発生を効果的に防止できる装置および方法を提供するものである。
【0011】
本発明の一実施形態によると、複数個の湿度計とダンパを利用して、段階的に容易かつ効果的に要求される絶対湿度環境を提供できる乾燥装置および方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明の一実施形態によると、集電体上にコーティング液が塗布された電極が乾燥される乾燥空間に給気ダクトを通じて給気するように備えられる給気ファン;前記乾燥空間から排気ダクトを通じて排気するように備えられる排気ファン;前記排気ファンから排出される空気を前記給気ファンに供給する回収ダクト;前記回収ダクトに流入する空気の量を調節する回収ダンパ;前記乾燥空間に給気される空気の絶対湿度をセンシングするメイン湿度計;および前記乾燥空間に流入する空気で絶対湿度を調節するために、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する制御部を含む電極乾燥装置が提供され得る。
【0013】
乾燥工程の初期には乾燥空間および電極を加熱するのに熱量の大部分が使われ、乾燥工程の中期以後には溶媒を蒸発させるのに熱量の大部分が使われ得る。したがって、乾燥工程の初期に乾燥空間から排出される空気の絶対湿度は低くなり、乾燥工程の中期および後期に乾燥空間から排出される空気の絶対湿度は高くなる。
【0014】
本実施形態では一定の絶対湿度環境で乾燥が行われるようにすることを特徴とする。そして、必要な絶対湿気の量は乾燥空間から排出される湿気を利用することを特徴とする。
【0015】
したがって、本実施形態によると、乾燥工程の初期には回収ダンパの開度率が低く、乾燥工程の中期および後期に進行されるにつれて回収ダンパの開度率は増加し得る。
【0016】
前記排気ダクトは、前記乾燥空間と前記排気ファンを連結する第1排気ダクトと、前記排気ファンと外部排気口を連結する第2排気ダクトを含むことができる。
【0017】
前記給気ダクトは、外部給気口と前記給気ファンを連結する第1給気ダクトと、前記給気ファンと前記乾燥空間を連結する第2給気ダクトを含むことができる。
【0018】
前記回収ダクトは前記第2排気ダクトから分岐されて前記第1給気ダクトと連結されることが好ましい。
【0019】
前記第2排気ダクトには前記外部排気口に排気される空気の量を調節する排気ダンパが備えられることが好ましい。そして、前記排気ダンパは前記回収ダクトの分岐点の後端に備えられることが好ましい。
【0020】
前記回収ダクトには前記回収ダクトを通じて前記第1給気ダクトに流入する空気の絶対湿度をセンシングする回収湿度計が備えられることが好ましい。
【0021】
前記制御部は、前記回収湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節することが好ましい。
【0022】
前記制御部は、前記回収ダンパの開度が増加するにつれて前記排気ダンパの開度が減少するように調節することが好ましい。
【0023】
前記第1給気ダクトには前記外部給気口から流入する空気の量を調節する給気ダンパが備えられることが好ましい。
【0024】
前記給気ダンパは前記回収ダクトの合流点の前端に備えられることが好ましい。
【0025】
前記第1給気ダクトには前記回収ダクトと前記外部給気口から流入する空気の絶対湿度をセンシングする給気湿度計が備えられることが好ましい。
【0026】
前記制御部は、前記給気湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパと給気ダンパの開度を調節することが好ましい。
【0027】
乾燥初期には回収空気の絶対湿度より外部空気の絶対湿度が高くてもよい。したがって、乾燥初期には給気湿度計でセンシングした絶対湿度を基盤としてダンパの開度を調節することが好ましい。特に、給気ダンパの開度率が回収ダンパの開度率より高いように制御して、結果的にメイン湿度計でセンシングされる絶対湿度を高くすることができる。回収ダンパの開度率が高くなるほど待機ダンパの開度率は反対に低くなるように制御することが好ましい。
【0028】
乾燥中期以後には回収空気の絶対湿度が外部空気の絶対湿度より高くてもよい。したがって、乾燥中期以後には回収湿度計でセンシングした絶対湿度を基盤としてダンパの開度を調節することが好ましい。特に、回収ダンパの開度率が給気ダンパの開度率より高いように制御して、結果的にメイン湿度計でセンシングされる絶対湿度を高くすることができる。回収ダンパの開度率が高くなるほど待機ダンパの開度率は反対に低くなるように制御することが好ましい。
【0029】
過乾燥は乾燥中期以後、特に乾燥末期に集中的に発生し得る。したがって、乾燥末期での絶対湿度を適正に維持することが好ましい。したがって、乾燥末期にはメイン湿度計でセンシングした絶対湿度を基盤としてダンパの開度を調節することが好ましい。特に、回収ダンパの開度率が給気ダンパの開度率より高いように制御して、最適の絶対湿度環境で乾燥が完了するように制御することが好ましい。
【0030】
前記回収ダクトには加湿器が備えられ得る。活物質のコーティング厚さが厚い場合、すなわちローディング量が多い電極では要求される絶対湿度がさらに高くなり得る。この場合には湿気の回収だけでは十分な絶対湿度環境を作ることが困難であり得る。すなわち、回収ダンパが100%開放され排気ダンパおよび給気ダンパが完全に閉まった状態でも十分な絶対湿度環境を作ることが困難であり得る。この場合、回収される空気に追加的な加湿のために加湿器が備えられて駆動され得る。すなわち、メイン湿度計でセンシングした絶対湿度に基づいて制御部が加湿器を追加的に駆動させることができる。
【0031】
前記制御部は、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度が既設定値より低い場合、前記加湿器を通じて加湿が行われるように制御することが好ましい。
【0032】
一方、乾燥装置は乾燥効率が重要であり得る。すなわち、浪費される熱量を減らすことが好ましい。空気の温度は相対湿度の変動を引き起こすが、絶対湿度とは関係がない。したがって、本実施形態では前記第2給気ダクトから流入する空気と前記第1排気ダクトから排出される空気との間の熱交換を行う熱交換器が備えられることが好ましい。排出される空気での熱量を流入する空気に提供して熱量の浪費を減らすことができる。
【0033】
本実施形態に係る電極乾燥装置および方法は負極スラリーがコーティングされた負極の乾燥装置および方法に非常に適している。前記コーティング液は負極活物質、導電材、バインダーおよび溶剤を含む負極スラリーであり、固形分の含量が50%~70%であることが好ましい。このような環境でクラック発生およびサイドリングの発生を顕著に減らすことができる。
【0034】
前述した目的を達成するために、本発明の一実施形態によると、集電体上にコーティング液が塗布された電極が乾燥される乾燥空間に給気ダクトを通じて給気するように備えられる給気ファン;前記乾燥空間から排気ダクトを通じて排気するように備えられる排気ファン;前記排気ファンから排出される空気を前記給気ファンに供給する回収ダクト;前記回収ダクトに流入する空気の量を調節する回収ダンパ;前記排気ダクトを通じて外部排気口に排気される空気の量を調節する排気ダンパ;前記給気ダクトを通じて外部給気口から流入する空気の量を調節する給気ダンパ;前記乾燥空間に給気される空気の絶対湿度をセンシングするメイン湿度計;前記回収ダクトに流入する空気の絶対湿度をセンシングする回収湿度計;前記回収ダクトおよび前記外部給気口から流入する空気の絶対湿度をセンシングする給気湿度計;および前記乾燥空間に流入する空気で絶対湿度を調節するために、前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記回収ダンパの開度を調節する制御部を含む電極乾燥装置が提供され得る。
【0035】
前記制御部は、乾燥工程で多段階を経て回収空気の量を制御することができる。特に、このような制御を通じて効果的に乾燥空間に供給される空気での絶対湿度を制御することができる。
【0036】
前記制御部は、前記給気湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、排気ダンパおよび回収ダンパの開度を調節する第1段階ダンパ制御または第1段階湿度制御、前記回収湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、排気ダンパおよび回収ダンパの開度を調節する第2段階ダンパ制御または2第段階湿度制御、そして前記メイン湿度計でセンシングした絶対湿度により前記給気ダンパ、排気ダンパおよび回収ダンパの開度を調節する第3段階ダンパ制御または第3段階湿度制御を順次実行できる。
【0037】
一方、電極の乾燥工程は連続的に行われる。すなわち、ロールツーロールに投入された電極ロールを連続で進行する。すなわち、乾燥空間に電極は持続的に投入され、乾燥空間で移動しながら乾燥された後、乾燥空間から持続的に排出される。
【0038】
したがって、前記乾燥工程の初期は乾燥装置を通じて乾燥をするための準備過程と言える。すなわち、最終的に予め設定された絶対湿度環境に合うように乾燥環境を設ける段階と言える。したがって、第1段階および第2段階制御は絶対湿度環境に合わせる過程であり、第3段階制御は最終的に絶対湿度環境で乾燥を行うための過程と言える。
【0039】
第3段階ダンパ制御乃至湿度制御が行われた後、本格的に電極の乾燥工程が行われ、乾燥工程は連続的に行われ得る。すなわち、ロールツーロール環境で乾燥工程が行われ得て、この時、メイン湿度計でセンシングした絶対湿度に基づいて第3段階ダンパ制御がフィードバック制御の形態で持続的で反復的に行われ得る。
【0040】
前記制御部は、前記第3段階ダンパ制御後、前記回収ダクトに備えられる加湿器の作動を制御する加湿制御を行うことができる。最近負極で活物質問ローディング量が多くなっている傾向を考慮して要求される絶対湿度が高くなり得る。したがって、第3段階ダンパ制御後、繰り返して加湿制御が行われ得る。前記加湿制御はメイン湿度計のセンシング結果により間欠的に行われ得る。すなわち、加湿制御後再び第3段階ダンパ制御が行われ、以後必要な場合、再び加湿制御が行われ得る。
【0041】
本実施形態によると、絶対湿度因子が電極乾燥に絶対的な影響を及ぼすことを確認して、要求される絶対湿度環境を非常に容易に提供できる乾燥装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一実施形態によると、従来の電極乾燥装置および方法を大きな変更なしに利用しながらも、効果的で効率的に電極を乾燥できる装置および方法を提供することができる。
【0043】
本発明の一実施形態によると、幅方向の乾燥偏差を減らして電極表面のクラック発生およびサイドリングの発生を効果的に防止できる装置および方法を提供することができる。
【0044】
本発明の一実施形態によると、複数個の湿度計とダンパを利用して、段階的に容易かつ効果的に要求される絶対湿度環境を提供できる乾燥装置および方法を提供することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によると、乾燥空間内で位置とは無関係に均一な加熱が可能であるため、乾燥オーブンの構造が単純な乾燥装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】従来乾燥装置を利用して乾燥された電極のコーティング層の全体を撮影した写真である。
図2】従来乾燥装置を利用して乾燥された電極のコーティング層の両側面をそれぞれ撮影した写真である。
図3】本発明の一実施形態に係る電極乾燥装置を例示的に示した図面である。
図4】本発明の一実施形態に係る電極乾燥装置の制御構成図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電極乾燥装置の制御フローチャートである。
図6】本出願の一実施形態に係る熱交換器の内部を例示的に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付された図面を参照して本出願の電極乾燥装置を説明し、添付された図面は例示的なものであって、本出願の電極乾燥装置が添付された図面に制限されるものではない。
【0048】
本発明者は電極乾燥時に表面クラックおよび過乾燥によるサイドリングの改善のための絶対的な影響を与える因子が絶対湿度量であることを確認することができた。すなわち、乾燥過程で適正な絶対湿度量である乾燥環境で乾燥が行われると、表面クラックおよびサイドリングが絶対的に減少することを確認することができた。
【0049】
しかし、従来の電極乾燥装置は乾燥オーブンから排出される空気を排出するため、乾燥工程で適正な絶対湿度量を提供することが容易でない。したがって、乾燥オーブンに供給される空気に加湿をして乾燥オーブンに給気することが考慮され得る。すなわち、屋外の給気部に加湿器を設置して適正な絶対湿度量を提供しようとしていた。
【0050】
加湿器を使う電極乾燥装置は加湿器の制御が容易でなく、要求される湿気量を提供するために加湿器の容量が大きくなって現在の乾燥装置に加湿器を追加することが容易でない。すなわち、実験的に加湿器を使って良好な乾燥効果を期待できるが、現場で加湿器を追加することには現実的な困難がある。
【0051】
そこで、本発明者は適正な絶対湿度量を提供するための一次的な手段を加湿器による加湿ではなく排気空気を通じての加湿が可能であることに注目した。なぜならば、乾燥工程に使われる空気は活物質から溶媒を蒸発させて加湿された空気であるためである。すなわち、加湿された空気をそのまま排気せず、積極的に給気に利用して要求される絶対湿度を提供できることを確認した。
【0052】
図3は、本出願の一実施形態に係る電極乾燥装置を例示的に示した図面である。
【0053】
図3に示した通り、本出願の電極乾燥装置は集電体上にコーティング液が塗布されて形成されたコーティング層を乾燥させる装置であって、給気ファン10、第1給気ダクト20、第2給気ダクト50を含むことができる。給気ファン10が作動すると外気が第1給気ダクト20に流入し、給気ファン10を過ぎた外気が乾燥部60に供給され得る。
【0054】
ここで、乾燥部60は乾燥空間を有する乾燥オーブンであり得て、乾燥部は屋内に位置することができる。すなわち、給気ファン10、第1給気ダクト20は屋外特に屋上に位置することができ、第2給気ダクト50の一部は屋外に位置し残りの一部は屋内に延びて乾燥部60と連結され得る。
【0055】
本実施形態で第1給気ダクト20には給気湿度計40が備えられ得る。給気の湿度をセンシングして給気量を制御することができる。すなわち、外気の給気量を制御することができる。外気の給気量制御のために第1給気ダクト20には給気ダンパ30が備えられ得る。
【0056】
適正な湿度の外気が給気湿度計40で感知されると給気量を増やすことができ、湿度が低い場合には給気量を減らすことができる。すなわち、給気ダンパ30の開度を調節することによって給気量を変動させることができる。
【0057】
前記外気は大気状態の空気を意味し、天気により一定の絶対湿度を有することができる。具体的には、前記外気は前記給気湿度計を通じて測定される絶対湿度が3g/m~50g/m、4g/m~40g/m、または5g/m~30g/mであり得る。
【0058】
乾燥部60に給気された空気は水分を吸収して排気されることが一般的な乾燥工程である。しかし、本実施形態に乾燥部60に給気された空気は絶対湿度量を適正に維持させるためのものである。したがって、本実施形態によると、乾燥部60に供給される空気の絶対湿度量をセンシングするためのメイン湿度計130が備えられることが好ましい。
【0059】
前記メイン湿度計130は第2給気ダクト50に備えられ得る。特に、メイン湿度計130は乾燥部60と第2給気ダクト50が連結される部分に備えられ得る。すなわち、乾燥部60に給気直前に絶対湿度をセンシングするようにメイン湿度計130が備えられることが好ましい。したがって、前記メイン湿度計130は屋内に備えられることが好ましい。
【0060】
本実施形態は排気ファン70を含むことができる。より具体的には、排気ファン70は乾燥工程に使われた空気を乾燥部60から排気するために備えられ得る。排気ファン70と乾燥部60の間には第1排気ダクト80が備えられ得る。第1排気ダクト80の一部分は屋内に備えられ残りの一部分は屋外に備えられて排気ファン70と連結され得る。もちろん、排気ファン70も屋外に備えられ得る。
【0061】
前記排気ファン70は第2排気ダクト110と連結されて乾燥工程に使われた空気を外部排気口を通じて外部で排気することになる。
【0062】
一般的に、排気ファン70に吸入された空気は第2排気ダクト110を通じて全量外部に排気される。なぜならば、乾燥工程に使われた空気は多くの水分を含有するため、これを再び乾燥部60に供給することになると乾燥効率が低くなるというのが一般的な常識であるためである。すなわち、高温の乾燥空気を乾燥部60に供給し、乾燥後高温多湿の空気を排出することによって乾燥効率が増加するというのが常識であるためである。
【0063】
しかし、本実施形態では適正な絶対湿度量を維持した状態で乾燥工程が行われることによってクラックとサイドリング問題を根本的に解決することができる。したがって、本実施形態で排気ファン70は空気を完全に排出するための手段というよりは、高温多湿な空気から湿気を回収するための手段と言える。すなわち、湿気を回収して再供給するための手段と言える。したがって、本実施形態で排気ファン70は回収排気ファン70と言える。
【0064】
第2排気ダクト110には排気ダンパ120が備えられ得る。排気ダンパ120の開閉量を調節することによって排気量を制御することができる。排気ダンパ120の制御は後述する回収ダンパ100の制御と連動されることが好ましい。
【0065】
第2排気ダクト110から分岐されて回収ダクト150が備えられ得る。回収ダクト150は第1給気ダクト20と連結され得る。すなわち、排気される空気の一部分は回収ダクト150に流入した後、第1給気ダクト20を通じて乾燥部60に再供給され得る。この時、排気される空気から水分を回収してこれを再活用すると言える。
【0066】
回収ダクト150には回収ダンパ100が備えられ得る。回収ダンパ100の開度量が調節されることによって回収される空気の量が調節され得る。
【0067】
乾燥部60を基準として供給される空気の量と排気される空気の量のバランスを取らなければならない。他の観点で給気ファン10の前後の差圧と回収排気ファン70の前後の差圧は適切に維持されなければならない。
【0068】
したがって、給気の観点では給気ダンパ30と回収ダンパ100の開度率は互いに連動されて制御されることが好ましい。また、排気の観点では排気ダンパ120と回収ダンパ100の開度率が互いに連動されて制御されることが好ましい。
【0069】
本実施形態で回収ダンパ100は積極的に制御され得る。第2排気ダクト110に流入する空気は非常に湿った空気である。したがって、水分を回収することができ、これは回収ダクト150を通じて排気される空気から積極的に水分を回収して再供給することができる。
【0070】
このために、回収ダクト150には回収湿度計90が備えられ得る。回収湿度計90を通じて回収される空気での絶対湿度をセンシングすることができる。そして、回収ダンパ100の開度量を増やして積極的に湿気を回収することができる。初期の乾燥工程中には過乾燥の発生可能性が低いので排気量が回収量より多いことが好ましい。しかし、本格的な乾燥過程中には過乾燥の発生可能性が高いので排気量より回収量が多いことが好ましい。すなわち、積極的に水分を回収して絶対湿度量を適正に維持した状態で乾燥を行うことが好ましい。
【0071】
換言すると、乾燥装置の初期セッティング段階では回収空気の量を相対的に小さく制御して乾燥空間の内部を加熱し、乾燥装置を通じての本格的な乾燥過程では回収空気の量を相対的に大きく制御して、要求される絶対湿度を合わせることができる。
【0072】
回収ダンパ100の開度量が増加するほど相対的に排気ダンパ120の開度量が減少することが好ましい。その反対に、回収ダンパ100の開度量が減少するほど排気ダンパ120の開度量が増加することが好ましい。
【0073】
一方、回収ダンパ100の開度量が増加するほど相対的に給気ダンパ30の開度量が減少することが好ましい。その反対に、回収ダンパの開度量が減少するほど給気ダンパ30の開度量が増加することが好ましい。
【0074】
ここで、外気と回収空気が共に乾燥部60に供給されるが、外気と回収空気の比率は回収ダンパ100と給気ダンパ30の開度量によって変わることが分かる。すなわち、混合空気が直接乾燥部60に供給されるが、この混合空気の絶対湿度は非常に重要である。回収空気の絶対湿度が外気の絶対湿度より高い場合、そして要求される絶対湿度量を増加させる必要がある場合、回収空気の比率が外気の比率より高くなるように制御することができる。すなわち、回収ダンパの開度率は増加し給気ダンパの開度率は減少するように制御することが好ましい。同様に、回収ダンパの開度率が増加すれば排気ダンパの開度率は減少するように制御することが好ましい。
【0075】
前記外気は前述した絶対湿度を有することによって、後述する給気湿度計で測定される絶対湿度を基盤として、給気ダンパと回収ダンパの開度量を異なるように制御することができる。これを通じて、前記電極乾燥装置は電極乾燥時に発生する消費および設置原価を減少させ、幅方向の乾燥偏差を減らして電極表面のクラック発生率を低くすることができる。本明細書で用語「設定値」は、乾燥部内部の湿気が優秀な絶対湿度を有するために設定された絶対湿度値を意味する。
【0076】
前記給気ダンパ30は第1給気ダクトに沿って供給される外気の量を調節する装置であり、前記第1給気ダクトの内部に備えられる。前記給気ダンパは前述した位置で供給される外気の量を調節することによって、集電体上にコーティングされるコーティング液の乾燥速度を制御でき、これによって集電体とコーティング層の間の接着力を制御することができる。また、前記給気ダンパは前述した位置で供給される外気の量を調節することによって、前記乾燥部に流入する外気、すなわち、給気と前記乾燥部から排出される湿気、すなわち、排気間の差圧を制御して集電体上にコーティングされるコーティング液の絶対乾燥量を制御することができる。
【0077】
一つの例示において、前記外気は季節により一定の絶対湿気を有し得るので、給気ダンパの開度率が特に制限されるものではなく、例えば、0%超100%以下であり得る。前記給気ダンパは前述した開度率の全範囲において一定の絶対湿度を有することができる。したがって、季節により乾燥装置の初期駆動時に給気ダンパの開度率は異なるように設定され得る。
【0078】
前記給気湿度計40は前記第1給気ダクト20に供給される外気の絶対湿度を測定するセンサであり、前記第1給気ダクトの内部に備えられる。前記給気湿度計が前述した位置に備えられることによって、前記第1給気ダクトに供給される外気の絶対湿度を測定することが可能となり得る。乾燥装置の初期駆動時には回収ダクトから流入する空気の絶対湿度は低くてもよい。したがって、初期には給気湿度計40のセンシング結果に基づいて給気ダンパ30の開度率が回収ダンパの開度率より高く設定および制御され得る。
【0079】
電極で集電体は電気抵抗が低く、充電と放電中に活物質に電流を伝達したり活物質から電流を伝達したりするように構成された要素である。前記集電体としては、当該技術分野で電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有する負極集電体がすべて使わ得、特に制限されるものではない。例えば、前記負極集電体としては銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの等が使われ得る。
【0080】
前記コーティング層は前記集電体上に、具体的には、前記集電体の一面または両面上にコーティング液が塗布されて形成された層である。前記コーティング液としては、当該技術分野で負極を形成する負極スラリーがすべて使用可能であり、特に制限されるものではない。例えば、前記負極スラリーは負極活物質、導電材、バインダーおよび溶剤を含むことができる。
【0081】
前記負極活物質は当該技術分野で使われる負極活物質がすべて使用可能であり、特に制限されるものではない。例えば、前記負極活物質は炭素系活物質およびシリコン系活物質のうち少なくともいずれか一つであり得る。
【0082】
前記炭素系活物質は人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維および黒鉛化メソカーボンマイクロビーズからなる群から選択された一つ以上を使うことができる。前記シリコン系活物質はSiO(0≦X<2)、Si-C複合体およびSi-Y合金(ここで、Yはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、第13族元素、第14族元素、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群から選択される元素である)からなる群から選択された一つ以上を使うことができる。
【0083】
前記導電材は当該技術分野で電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有する導電材がすべて使用可能であり、特に制限されるものではない。例えば、前記導電材としては天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;カーボンナノチューブなどの導電性チューブ;フルオロカーボン;アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使われ得る。
【0084】
前記バインダーは前記負極活物質同士の間または負極活物質と集電体との間の接着力を確保するためのもので、当該技術分野で使われるすべてのバインダーが使わ得、特に制限されるものではない。例えば、前記バインダーとしては、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose:CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が使われ得る。
【0085】
前記溶媒としては例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン(NMP)等のアミド系極性有機溶媒;メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール(n-ブタノール)、2-メチル-1-プロパノール(イソブタノール)、2-ブタノール(sec-ブタノール)、1-メチル-2-プロパノール(tert-ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはソルビトールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、シクロペンタノンなどのケトン類;または酢酸エチル、γ-ブチルラクトン、ε-プロピオラクトンなどのエステル類などが挙げられ、これらのうちいずれか一つまたは二以上の混合物が使われ得る。
【0086】
一つの例示において、前記コーティング液は固形分の含量が50%~70%であり得る。具体的には、前記コーティング液の固形分の含量は53%~68%、55%~65%または58%~63%であり得る。前記コーティング液は前述した固形分の含量を有することによって、乾燥時に水分が少なく蒸発し、残存する固形分が集電体上にコーティングされる高ローディングを示して容量および充電時間に優れ得る。
【0087】
また、前記コーティング層は液体の流れによって側面部にスロープ(slope)形態のスライディング区間が発生して相対的に中心部が側面部に比べてローディング量が大きいように制御され得る。これによって、前記コーティング層は全面のコーティング層の厚さが同一に制御され得る。
【0088】
一つの例示において、前記電極乾燥装置は熱交換器140をさらに含むことができる。前記熱交換器は前記第2給気ダクト50を移動する空気と第1排気ダクト80を移動する空気の熱交換を通じて、前記第2給気ダクト50を移動する空気の温度を高めるための装置である。例えば、前記熱交換器としては当業界で市販中の板状熱交換器を使うことができる。
【0089】
図6は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置に備えられる熱交換器の内部を例示的に示した図面である。
【0090】
図6に示した通り、前記熱交換器140は、互いに離隔して間隔を有して配置される複数個の熱板141、前記複数個の熱板の第1側面下端に連通する第1下部管142、前記複数個の熱板の第1側面上端に連通する第1上部管143、前記複数個の熱板の第2側面上端に連通する第2上部管145、および、前記複数個の熱板の第2側面下端に連通する第2下部管144を含むことができる。
【0091】
具体的には、前記第2給気ダクト50を移動する空気が前記第1下部管に流入して移動し、前記第1排気ダクトを移動する空気が前記第2上部管に流入して移動する。この時、複数個の熱板間にそれぞれ空気が移動することになって熱交換することになる。
【0092】
前記熱が提供された空気は前記第1上部管に移動し、前記第1上部管に移動した空気は前記第1上部管から排出されて再び前記第2給気ダクト50に流入することができる。また、熱を提供した空気は前記第2下部管に移動し、前記第2下部管に移動した空気は前記第2下部管から排出されて再び前記排気ダクトに流入し得る。
【0093】
これを通じて前記熱交換器を経た熱風を乾燥部に流入させることができ、これによって、集電体上にコーティング液が塗布されて形成されたコーティング層を乾燥させることができる。
【0094】
さらに一つの例示において、前記乾燥部60は内部に熱媒油配管をさらに含むことができる。前記熱媒油は高温のオイルであり、前記熱媒油配管に沿って移動し得る。例えば、前記熱媒油配管は当業界で市販中の熱媒油配管が使われ、当業界で公知の方法によって前記外気を加熱させて熱風を形成することができる。前記乾燥部は内部に前述した熱媒油配管をさらに含むことによって、前記第2給気ダクトを移動する外気を加熱させて熱風を形成して乾燥部に流入させることができ、これによって、集電体上にコーティング液が塗布されて形成されたコーティング層を乾燥させることができる。
【0095】
この時、前記熱交換器および/または熱媒油配管によって熱風を形成するための電極乾燥装置の設定温度は50℃~165℃であり得、具体的には、65℃~150℃、80℃~135℃または95℃~120℃であり得る。前述した電極乾燥装置の設定温度が前述した範囲を満たすことによって、集電体上にコーティング液が塗布されて形成されたコーティング層乾燥時の蒸発する湿気の絶対湿度に優れ得る。
【0096】
さらに一つの例示において、前記乾燥部は内部に中赤外線(MIR)乾燥装置をさらに含むことができる。具体的には、前記乾燥部は流入した熱風が前述した設定温度を有さない場合、前記中赤外線乾燥装置を通じて直接ヒーティングを行い前記熱風の温度を前述した設定温度に上昇させることができる。
【0097】
以下では、図4および図5を参照して本発明の一実施形態に係る制御構成および制御方法について詳細に説明する。
【0098】
制御部200は乾燥装置の作動を制御するように備えられるコントローラであり、特に乾燥環境を制御するための構成であり得る。
【0099】
乾燥部60は電極を加熱する空間であり、加熱熱量は前記制御部200を通じて持続的に制御され得る。
【0100】
制御部200は各種ファン10、70と各種ダンパ30、100、120の作動を制御することができる。このような構成の制御は各種湿度計130、40、90で感知した絶対湿度に基づいて行われ得る。
【0101】
具体的には、制御部200はメイン湿度計130、給気湿度計40および回収湿度計90で感知する絶対湿度に基づいて、給気ダンパ30、回収ダンパ100および排気ダンパ120の開度を制御することができる。
【0102】
前記制御部200は窮極的に最適な絶対湿度環境を乾燥空間に供給するために各種ダンパの作動を制御することができる。すなわち、乾燥空間に供給される空気の絶対湿度が最適となるように制御することができる。したがって、最も重要な制御因子はメイン湿度計130でセンシングされる絶対湿度と言える。
【0103】
しかし、乾燥装置の作動初期または季節の変動により、段階的に絶対湿度環境を作ることが好ましい。
【0104】
すなわち、乾燥装置の作動が開始(S10)されると、第1段階制御(S20)が行われ、この場合、制御因子は給気湿度計40でセンシングされる絶対湿度である。要求される絶対湿度により制御部200は各種ダンパ30、100、120の開度を一次的に調節することになる。第1段階制御では外部空気の絶対湿度を反映するための段階と言える。
【0105】
第1段階制御(S20)終了後、第2段階制御(S30)が行われ得る。この場合、制御因子は回収湿度計90でセンシングされる絶対湿度である。要求される絶対湿度により制御部200は各種ダンパ30、100、120の開度を2次的に調節することになる。第2段階制御では回収空気の絶対湿度を反映するための段階と言える。
【0106】
第2段階制御(S30)終了後、第3段階制御(S40)が行われ得る。この場合、制御因子はメイン湿度計130でセンシングされる絶対湿度である。要求される絶対湿度により制御部200は各種ダンパ30、100、120の開度を最終的に調節することになる。すなわち、窮極的にダンパの最終制御はメイン湿度計130で要求される絶対湿度をセンシングして乾燥環境が最適な絶対湿度環境となるようにするためである。
【0107】
第3段階制御(S40)は持続的に行われ得て、連続的に電極を効果的かつ安定的に乾燥(S60)させることができる。
【0108】
一方、ローディング量が多い場合、第3段階制御(S40)を通じて十分な絶対湿度環境を提供することが困難であり得る。この場合、加湿制御(S50)が行われ得る。回収される湿気を最大限利用しても要求される絶対湿度環境を作るのが難しい場合、追加的に湿気を供給することができる。
【0109】
加湿制御(S50)は間欠的に行われ得、メイン湿度計130でセンシングする絶対湿度を反映して加湿制御(S50)と第3段階制御(S40)が繰り返し行われ得る。このような段階を経ながら乾燥工程が持続(S60)され得る。
【0110】
加湿器160は加湿機能だけでなくフィルタ機能も実行できる。回収される空気内には異物が含まれ得るので、フィルタ機能を通じてフィルタリングされた空気が再供給されるようにすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】