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特表2024-545110航空機に液体を取り込むための装置および方法
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  • 特表-航空機に液体を取り込むための装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】航空機に液体を取り込むための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 1/16 20060101AFI20241128BHJP
   A62C 31/28 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B64D1/16
A62C31/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534155
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022085143
(87)【国際公開番号】W WO2023105038
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】102021132473.4
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507043128
【氏名又は名称】フォン モホス,ゾルタン
(71)【出願人】
【識別番号】524213922
【氏名又は名称】ロペス,ハビエル
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】フォン モホス,ゾルタン
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189AE04
(57)【要約】
【課題】航空機、好ましくは飛行機に液体、好ましくは水を取り込むための装置が提案される。
【解決手段】装置は、少なくとも1つの取水口と、浸漬体を少なくとも部分的に包むために気泡を生成するための手段、および、浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜を生成するための手段の一方または両方と、を有する少なくとも1つの浸漬体を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの取水口(20.1、20.2)と、浸漬体(12)を少なくとも部分的に包むために少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段(21、22、23)と、を有する少なくとも1つの浸漬体(12)を備えた、航空機に液体を取り込むための装置(10)。
【請求項2】
上記気泡を生成するための少なくとも1つの手段は、上記浸漬体(12)上に少なくとも1つの排気口(22.1、22.2)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
上記浸漬体(12)は剣部(14)を備え、上記剣部(14)は上端(18)および下端(19)を有する長手方向延在部(15)を有することを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項4】
上記浸漬体(12)は、少なくとも1つの魚雷形状部(16)を備えることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項5】
上記少なくとも1つの排気口(22.1、22.2)は、上記装置(10)の移動方向(50)において、上記少なくとも1つの取水口(20.1、20.2)の後方に配置されていることを特徴とする請求項2~4の1以上に記載の装置(10)。
【請求項6】
複数の取水口(20.1、20.2)および排気口(22.1、22.2)が設けられていることを特徴とする請求項2~5の1以上に記載の装置(10)。
【請求項7】
上記浸漬体(12)は船首(30)を備え、上記少なくとも1つの取水口(20.1、20.2)、および、上記少なくとも1つの排気口(22.1、22.2)は、上記船首(30)に配置されていることを特徴とする請求項2~6の1以上に記載の装置(10)。
【請求項8】
複数の排気口(22.1、22.2)が、上記装置(10)の長手方向延在部(15)において上記船首(30)に沿って配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
少なくとも1つの排気口(22.1、22.2)は、ベンチュリノズルとして設計されていることを特徴とする請求項2~8の1以上に記載の装置(10)。
【請求項10】
上記気泡を生成するための少なくとも1つの手段は、上記浸漬体(12)の周囲に少なくとも部分的に少なくとも1つのキャビテータ(21、23)を備えることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項11】
剣部(14)上の少なくとも1つのキャビテータ(21)がラインキャビテータとして設計されているか、魚雷形状部(16)の少なくとも1つのキャビテータ(23)がポイントキャビテータとして設計されているかの一方または両方であることを特徴とする請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
上記少なくとも1つのキャビテータ(21、23)の幾何学的形状が変化可能であることを特徴とする請求項10~11の1以上に記載の装置(10)。
【請求項13】
上記浸漬体(12)は、飛行安定器(40)を有することを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項14】
上記浸漬体(12)は、少なくとも1つの振り子舵(42.1、42.2)を備えることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項15】
上記浸漬体(12)上に少なくとも1つの浸漬突起(46)が配置されていることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項16】
上記装置(10)は、水域(52)内の上記浸漬体(12)の少なくとも1つの浸漬深さ、および水域(52)の波高の一方または両方を求めることができる距離測定器(58)を備えることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項17】
水域内の物体と衝突したときの損傷を防止するためのエアバッグを備えることを特徴とする先行請求項の1以上に記載の装置(10)。
【請求項18】
航空機に液体を取り込むための方法であって、
-請求項1~17の1以上に記載の装置(10)を提供するステップと、
-上記装置(10)を航空機内の水タンクに接続するステップと、
-上記航空機の飛行中に、少なくとも部分的に水域(52)に浸漬されるように上記装置(10)を上記水域(52)に降下させるステップと、
-上記水域(52)から上記装置(10)の浸漬体(12)の取水口(20.1、20.2)を経由して水を取り込むステップと、を備えた方法。
【請求項19】
空気が排気口(22.1、22.2)から流出し、上記水域(52)に浸漬された上記装置(10)の浸漬体(12)が少なくとも部分的に気泡で包まれるように、上記装置(10)に空気が印加されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
空気が、ベンチュリ効果によって排気口(22.1、22.2)から吸い出されることを特徴とする請求項18および19の1以上に記載の方法。
【請求項21】
空気によって、換気キャビテーションが誘発されることを特徴とする請求項18~20の1以上に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つのキャビテータ(21、23)によって、水域(52)に浸漬された上記浸漬体(12)上にスーパーキャビテーションが発生することを特徴とする請求項18~21の1以上に記載の方法。
【請求項23】
上記浸漬体(12)が少なくとも部分的に浸漬されるときに、延ばされた浸漬突起(46)が最初に浸漬されることを特徴とする請求項18~19の1以上に記載の方法。
【請求項24】
上記浸漬体(12)が少なくとも部分的に浸漬される前に、上記浸漬体は展開された飛行安定器(40)によって飛行段階で安定化されることを特徴とする請求項18~23の1以上に記載の方法。
【請求項25】
上記浸漬体が少なくとも部分的に浸漬された後に、少なくとも1つの振り子舵(42.1、42.2)が動作位置に移動することを特徴とする請求項18~24の1以上に記載の方法。
【請求項26】
航空機に液体を積載するための請求項1~17の1以上に記載の装置の使用。
【請求項27】
請求項1~17の1以上に記載の装置と、少なくとも1つの水タンクと、を備えた航空機用の取付キット。
【請求項28】
請求項1~17の1以上に記載の装置と、少なくとも1つの水タンクと、を備えた航空機。
【請求項29】
上記航空機の飛行中に、上記装置(10)の少なくとも1つの浸漬体(12)を配備および収納するための拡張可能装置を備えることを特徴とする請求項28に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機に液体を取り込むための装置、取付キット、および航空機、並びに航空機に液体を取り込むための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、航空機に液体を取り込むための装置および方法が知られている。特許文献1は、飛行中に飛行機の水タンクを充填するための装置を開示する。この装置は、スクープヘッド、補助翼、および方向舵を有する自己推進魚雷、並びに、送電ケーブル、牽引ロープ、および水タンク付きの供給ホースを有する。魚雷は飛行機から制御でき、水はホースによって水タンクに充填できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】フランス特許公開第512775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点は、ほとんどの場合、飛行機内の水タンクを充填するのに長い時間かかることである。装置を降下させて水中で牽引するために、航空機は非常に遅い速度で飛行しなければならない。また、水中に降下された装置は飛行機の速度をかなり低下させるか、または、装置を水中で牽引するために高いエネルギーを印加しなければならない。従来技術から知られる装置のさらなる欠点は、水面の比較的近くを飛行する必要があるので、この装置は少ない種類の飛行機でしか使用できないことである。実際、自己推進魚雷は飛行機の速度に到達せず、このため飛行機の駆動を十分に軽減しないので、知られた従来技術は実用的でないことが判明している。
【0005】
本発明の課題は、航空機に液体を取り込むための改良された装置、および改良された方法を提供することである。また、本発明の課題は、航空機内の水タンクに液体、特に水を迅速に供給できる装置を提供することである。また、本発明の課題は、航空機に安全な高度から液体を補給できる装置および方法を提供することである。また、本発明の課題は、できるだけ少ないエネルギー入力で装置を水域内で牽引でき、できるだけ高い飛行安全性を保証する装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、少なくとも1つの取水口と、浸漬体を少なくとも部分的に包むために少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段と、を有する少なくとも1つの浸漬体を備えた、航空機に液体を取り込むための装置によって解決される。
【0007】
また、この課題は、本発明によれば、航空機に液体を取り込むための方法であって、
-上記の装置を提供するステップと、
-装置を航空機内の水タンクに接続するステップと、
-航空機の飛行中に、少なくとも部分的に水域に浸漬されるように装置を水域に降下させるステップと、
-水域から装置の浸漬体の取水口を経由して水を取り込むステップと、
を備えた方法によって解決される。
【0008】
また、この課題は、本発明によれば、航空機に液体を積載するための上記の装置の使用によって解決される。
【0009】
また、この課題は、本発明によれば、上記の装置と、少なくとも1つの水タンクと、を備えた航空機用の取付キットによって解決される。
【0010】
また、この課題は、本発明によれば、上記の装置と、少なくとも1つの水タンクと、を備えた航空機によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、水域から液体を取り込むための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
航空機、好ましくは飛行機に液体、好ましくは水を取り込むための装置が提案される。この装置は、少なくとも1つの取水口を有する少なくとも1つの浸漬体を備える。また、浸漬体は、浸漬体を少なくとも部分的に包むために少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段、および、浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜を生成するための少なくとも1つの手段の一方または両方を備える。
【0013】
森林火災および大規模火災は、世界の多くの地域において環境条件の自然な一部となっているが、これらは自然および社会に対する益々の脅威となっている。ここ数十年、地球温暖化は、森林火災の頻度と激しさを増加させ、火災がより広範囲に広がり、より長く続く原因となっている。南欧、北極圏、アマゾン地域、豪州、および米国は、2019年の山火事がこれまでよりはるかに大規模に、人的被害、深刻な大気汚染、物的損害、および野生生物や自然地域の損失を直接引き起こした例である。その上、森林火災は、産業、交通機関、および家庭からの世界的な二酸化炭素の排出に加えられる、年間約80億トンの二酸化炭素の原因であり、煙の吸入による長期的な健康被害の原因でもある。したがって、火災の影響を低減することは、我々の社会に大きな影響を与える。
【0014】
森林火災および大規模火災の消火には、空中消火を含めて、より良い方法とより高い能力とが必要とされる。広大な森林地帯にはインフラストラクチャがないので、空中消火が唯一の選択肢となることが多い。
【0015】
消火用飛行機には2つのカテゴリー、すなわち、カナディアCL415のような水陸両用スクープローダーと、空港で水や消火剤を補充する必要がある非水陸両用飛行機とがある。CL415はボンバルディア社が製造を中止しており、既存の機材は古くなっている。非水陸両用飛行機は、投下ごとに水を補充するために空港に戻らなければならず、1時間に平均1回しか投下しないので、消火用飛行機としてあまり効果的でない。
【0016】
提案された装置によれば、1時間に平均5回の投下を行える。これは、空中消火能力を大幅に向上させ、同時に消火コストを大幅に削減することを示す。このため、消火能力を達成するために、特殊な消火用飛行機を購入する必要がない。
【0017】
飛行機とヘリコプタにはそれぞれ長所と短所があり、両者は補完して、増加する森林火災の脅威と戦うために必要とされる。本装置は、ヘリコプターと飛行機の両方で使用できる。
【0018】
特にパレットに基づく「ロールオン・ロールオフ」システムとして設計された取付キットには、少なくとも1つの水タンクと、輸送機と消火用航空機との間の役割変更を数時間以内に行える装置とが設けられることが好ましい。
【0019】
水タンクを有する装置は、取付キットとして、現在および将来の従来型の輸送機や兵力輸送機に約2時間以内に容易に装着できることが好ましい。水域上を飛行中に、装置によって水を収集できる。装置は、ミッション機器として設計されることが好ましく、航空機の構造変更を必要としないことが好ましい。
【0020】
装置は、水タンクと共に使用されることが好ましい。水タンクは、減揺タンクが設置される管状フレームを備えることが好ましい。好ましくは航空機で運搬できる所望の総水量を達成できるように、数個の水タンクが連結できることが好ましい。この設計により、装置を各航空機の条件に最適に適合できる。
【0021】
有利なことに、従来技術から知られた概念とは対照的に、特に浸漬体が水面上を誘導されるだけではないので、水の取り込みは1.5mを超える波高でも行える。例えば、浸漬体は、飛行中にホース、並びに、水域において配備および収納するための装置の一方または両方によって降下できる。水は、浸漬体に流れ込み、ホースを通って航空機内のタンクを満たす。水域内での浸漬体の牽引によって十分に大きい水の動圧によって、水は水タンクに運ばれるため、この動作にポンプは必要ではないことが好ましい。
【0022】
提案された装置は、各航空機、好ましくは飛行機の動作に利用可能な推力が、約100km/時から約300km/時、好ましくは約150km/時から約250km/時、より好ましくは約160km/時から約250km/時の動作速度で浸漬体を水域内で牽引するために十分となるように、浸漬体に対する水の抵抗を最小化できる点で有利である。
【0023】
本発明の文脈において「約」という用語が値、または値の範囲、または「逆に」などの方向指示に関連して使用される場合、これにより、当業者がこの分野で通常と考える許容範囲、特に±20%、好ましくは±10%、より好ましくは±5%の許容範囲が与えられると理解されるべきである。異なる値の範囲、例えば好ましい値の範囲、およびより好ましい値の範囲が本発明で指定される限り、異なる値の範囲の下限および上限は互いに組み合わせることができる。
【0024】
装置はホースを備えることが好ましく、ホースは浸漬体の上端に配置されていることがより好ましい。ホースは、浸漬体と、航空機内に配置可能な水タンクとの間の連通接続であることが好ましい。
【0025】
一実施形態では、浸漬体は剣部を備えるとする。一実施形態では、浸漬体は剣部を備え、剣部は上端および下端を有する長手方向延在部を有するとする。一実施形態では、好ましくは装置の重心に応じて、剣部の長手方向延在部は、装置が意図どおりに使用されたときに、水平に対して移動方向の後方または前方に傾き、90°以外の角度、好ましくは約20°から約75°、より好ましくは約30°から約60°に向くとする。
【0026】
好ましい一実施形態では、剣部は、断面が流線型、または流体力学的に最適に設計される。剣部は、断面が楔型または滴型に設計されることが好ましい。
【0027】
好ましい一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1つの魚雷形状部を備えるとする。魚雷形状部は、魚雷体を備えることが好ましい。魚雷体は、ほぼ楕円体であることがより好ましく、空間座標をxおよびy、魚雷体の長さをl、魚雷体の最大直径をdとして、式(x/(l/2)+(y/(d/2))2.4=1でほぼ記述できることがより好ましい。
【0028】
魚雷形状部は、剣部の下端に配置されていることが好ましい。
【0029】
本発明の意味において「下」および「上」という用語は、装置が意図どおりに使用されたときについて理解されるべきである。特に「上」および「下」は、装置が水域内で牽引されるときの重力ベクトルによって決定される。また、装置、好ましくは浸漬体の「船首」および「船尾」は移動方向によって定義され、特に船首は装置の移動方向における前方部分を決定し、船尾は装置の移動方向における後方部分を決定する。移動方向は、装置が水域内で牽引される方向である。移動方向は、航空機の飛行方向であることが好ましい。
【0030】
装置は浸漬体を備え、浸漬体は好ましくは少なくとも部分的に水域に浸漬されることができるか、または水域内を牽引されることができる。
【0031】
一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1本の水管を備える。浸漬体は、複数の水管を備えることが好ましい。有利なことに、1本以上の水管の配置は、水域内を安定した姿勢で牽引できるように、装置、より好ましくは浸漬体の重心に影響を与えることができる。剣部および魚雷形状部の一方または両方が、1本以上の水管を備えることが好ましい。一実施形態では、浸漬体、または剣部および魚雷形状部の一方または両方が複数の導水区画に分割され、各導水区画は好ましくは水管であるとする。一実施形態では、少なくとも1本の水管が、少なくとも1つの逆流フラップを有するとする。例えば波の谷を突破するときなど、浸漬体が少なくとも部分的に水域から出るときに、逆流フラップによって水の逆流が防止される点で有利である。一実施形態では、逆流フラップは、浸漬体を航空機に収納するときに、特にホースを空にしたり、巻き上げたりするために開くように開放可能に設計されるとする。
【0032】
特に、少なくとも1本の水管は、一方の側で少なくとも1つの取水口に開口することが好ましい。水管は、ホースに連通接続されていることがより好ましい。特に、浸漬体は、複数の取水口を備えることが好ましい。剣部および魚雷形状部の一方または両方が、それぞれ、少なくとも1つ、好ましくは複数の取水口を備えることがより好ましい。少なくとも1つの取水口は、浸漬体の船首に配置されていることが好ましい。有利なことに、取水口は、取水口の法線ベクトルが移動方向を向くように浸漬体上に配置されている。少なくとも1つの取水口は、浸漬体の側面にも配置されることができる。
【0033】
本発明に係る装置の浸漬体は、浸漬体を少なくとも部分的に包むか覆うために少なくとも1つの気泡を生成するための手段、および、浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜を生成するための手段の一方または両方を備える。少なくとも1つの気泡または気体膜を生成するための少なくとも1つの手段によって、浸漬体に付着するか、または浸漬体のそばを通り過ぎて浸漬体をこのように覆う1つ以上の気泡を生成できることが好ましい。浸漬体に付着するか、浸漬体のそばを通り過ぎて浸漬体をこのように覆うかの一方または両方である複数の気泡を形成できることが好ましい。複数または多数の気泡が結合して1つの気泡を形成する場合、その気泡は浸漬体を少なくとも部分的に包むか覆う。浸漬体を部分的に包むことは、浸漬体の少なくとも一部分を1つ以上の気泡で覆うことを意味すると理解されることが好ましい。遅い牽引速度、特に約35m/秒未満の牽引速度、またはスーパーキャビテーションがまだ生じない牽引速度では、少なくとも1つの気泡を生成するための手段によって、浸漬体のそばを通り過ぎるか、または浸漬体に付着するかして浸漬体を覆う複数の気泡を生成できることが好ましい。1つの気泡または複数の気泡が水と浸漬体との間の分離剤として作用するので、水域内での浸漬体の流動抵抗が低減される点で有利である。速い牽引速度、特に約35m/秒より速い場合には、少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段によって少なくとも1つの気泡を形成でき、少なくとも1つの気泡は船首から船尾まで浸漬体を取り囲むことが好ましい。ただ1つの気泡が、浸漬体を船首から、より好ましくは船首に少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段から、船尾まで取り囲むことが好ましい。
【0034】
一実施形態では、浸漬体を少なくとも部分的に包むために少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段、または浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜を生成するための少なくとも1つの手段が、少なくとも1つの排気口を備えるとする。一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1つの排気口を有するとする。排気口は、1本以上の空気管によって大気または圧縮空気発生器に接続される。
【0035】
一実施形態では、少なくとも1つの排気口は、ベンチュリノズルとして設計されるとする。複数の排気口、より好ましくはすべての排気口が、ベンチュリノズルとして設計されることが好ましい。排気方向、より好ましくは排気口によって定義される平面上の排気口の法線ベクトルは、ほぼ浸漬体の船尾方向、より好ましくは移動方向のほぼ逆に向くことが好ましい。浸漬体の周囲に少なくとも部分的に少なくとも1つの気泡を生成するために、このような方法で、好ましくは圧縮空気発生器を使用せずに、エネルギー的に好ましい大気を使用できる点で有利である。
【0036】
一実施形態では、装置の空気管の給気口は、装置が意図どおりに使用されたときに、水域の水面より上に配置されるように配置されているとする。給気方向、より好ましくは給気口によって定義される平面上の給気口の法線ベクトルは、ほぼ移動方向に向くことがより好ましい。この有利な実施形態によれば、牽引中に装置に向かって流れる空気の動圧は、浸漬体の周囲に少なくとも部分的に少なくとも1つの気泡を生成するために使用できる。一実施形態では、移動方向に法線ベクトルを有する給気口と、給気口と連通し、移動方向の逆向きの法線ベクトルを有する排気口またはベンチュリノズルとが、装置上に配置されているとする。
【0037】
一実施形態では、剣部は、少なくとも1つの排気口を備える。別の一実施形態では、魚雷形状部は、少なくとも1つの排気口を備える。別の一実施形態では、剣部および魚雷形状部は、排気口を備える。
【0038】
別の一実施形態では、少なくとも1つの排気口は、装置の移動方向において、少なくとも1つの取水口の後方に配置されているとする。このようにして排気口から流出した空気が取水口を通じて吸い込まれることを防止できる点で有利である。
【0039】
別の一実施形態では、複数の取水口および排気口が設けられているとする。給気口および排気口の一方または両方は、浸漬体の船首に配置されていることが好ましい。一実施形態では、浸漬体は船首を備え、少なくとも1つの取水口および少なくとも1つの排気口は船首に配置されているとする。装置の別の一実施形態では、複数の排気口が、装置の長手方向延在部において船首に沿って配置されているとする。別の一実施形態では、少なくとも1つ、好ましくは複数の排気口が、浸漬体の側面、好ましくは剣部および魚雷形状部の一方または両方に配置されているとする。
【0040】
別の一実施形態では、浸漬体、または剣部および魚雷形状部の一方または両方が、少なくとも1つの空気伝導手段を備えるとする。一実施形態では、少なくとも1つの空気伝導手段は、給気口を排気口に接続するとする。別の一実施形態では、少なくとも1つの空気伝導手段は、空気圧発生器を排気口に接続するとする。
【0041】
一実施形態では、浸漬体を少なくとも部分的に包むために少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段は、少なくとも1つのキャビテータを備えるとする。一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1つのキャビテータを備えるとする。
【0042】
本発明の意味におけるキャビテータは、1つの手段であり、好ましくは装置の、より好ましくは浸漬体の幾何学的構成である。特に装置が水域内で牽引されるときに、例えば渦の形成によって、移動方向におけるキャビテータの後方において圧力が低下する。装置が水域内を牽引されるときに、キャビテータはキャビテーションを生成することが好ましい。規定の速度からは、キャビテータによってスーパーキャビテーションを生成できることがより好ましい。
【0043】
本発明の意味におけるキャビテーションは、キャビテータの後方の圧力が特に変位パルスによって大幅に低下し、液体が位相図に従って気相に変化することを意味すると理解されるべきである。キャビテーションは、キャビテーション発生中の本体に大きな損傷を引き起こすことが知られている。スーパーキャビテーションに到達すると、状況は異なる。浸漬体が臨界速度に到達すると、浸漬体の水面下に位置する部分で一定の圧力低下が生じ、その結果、完全に包むキャビテーション気泡、または、浸漬体上に少なくとも部分的に存在する気体膜、または、浸漬体の周囲に少なくとも部分的に存在する気泡が発生する。これは、約160km/時あるいは約45m/秒以上の速度で生じることが好ましい。キャビテータの幾何学的形状は、例えば、キャビテーションが生じる規定の速度、および、キャビテーション気泡の安定性の一方または両方を設定するために使用できる。一実施形態では、キャビテータは、好ましくは断面で視て、前方が平面または平坦な形状を有するとする。別の一実施形態では、キャビテータは、好ましくは断面で視て、前方が円錐形または円形の形状を有するとする。キャビテータは、圧力低下を生成できる凹部を形成することが好ましい。
【0044】
一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1つのラインキャビテータ、および1つのポイントキャビテータの一方または両方を備える。一実施形態では、剣部上の少なくとも1つのキャビテータが少なくともラインキャビテータとして設計されているか、魚雷形状部の少なくとも1つのキャビテータが少なくともポイントキャビテータとして設計されているかの一方または両方であるとする。一実施形態では、剣部が少なくとも1つのラインキャビテータを備えるか、魚雷形状部が1つのポイントキャビテータを備えるかの一方または両方であるとする。ラインキャビテータは、例えば、浸漬体または剣部の長手方向延在部に亘って、特に上から下まで延びる幾何学的配置とすることができる。ポイントキャビテータは、例えば、回転対称の設計を有することができる。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのキャビテータの幾何学的形状が変化可能であるとする。少なくとも1つのキャビテータの幾何学的形状は、装置または浸漬体が水域内を牽引される速度に応じて変化可能であることが好ましい。一実施形態では、キャビテータの流入面は、円錐、球面、または角錐からほぼ平坦までの間で変化可能であるとする。流入面の幾何学的形状は、ある機構により、より好ましくは特に水域内の浸漬体の速度を反映したセンサデータに応じて変化可能であることが好ましい。流入面の幾何学的形状は、浸漬体が水域内で牽引されるときに水によって印加される動圧によって変化可能であることがより好ましい。
【0046】
少なくとも1つのキャビテータは、移動方向において、少なくとも1つの取水口の後方に配置されていることが好ましい。一実施形態では、少なくとも1つの排気口は、移動方向において、キャビテータの後方に配置されている。これは、換気キャビテーション、好ましくは換気スーパーキャビテーションのために使用できる点で有利である。換気キャビテーションでは、気体または空気をキャビテーション気泡に導入できるか、または、排気口から流出する気体または空気によってキャビテーション気泡を誘発できる。換気キャビテーションによって、浸漬体の周囲に少なくとも部分的に気泡が生成されるか、または、浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜が生成されることが好ましい。また、浸漬体は、特に高速の飛行速度では換気キャビテーションによって、非換気スーパーキャビテーションの場合と同様の気泡を生成できる点で有利である。
【0047】
浸漬体の幾何学的構成に応じて、スーパーキャビテーションは、例えば約45m/秒から約60m/秒の飛行速度で生じることがある。浸漬体は少なくとも部分的にスーパーキャビテーション気泡に包まれ、浸漬体のいくつかの実施形態では、装置を牽引するために航空機によって印加される力は、スーパーキャビテーションによって大幅に減少しない。一実施形態では、高速、例えば約90m/秒では、水域に少なくとも部分的に浸漬された浸漬体の摩擦抵抗に勝つために必要な力は、約45m/秒から約60m/秒の飛行速度のときより小さい。しかし、速度が速くなると動圧が増加するので、抵抗力は増加し続ける。一方、換気キャビテーションでは、例えば約25m/秒から約80m/秒、好ましくは約35m/秒から約80m/秒、より好ましくは約45m/秒から約80m/秒、より好ましくは約60m/秒から約80m/秒という遅い飛行速度でも、非換気スーパーキャビテーションと比べて抵抗係数を大幅に減少できる点で有利である。
【0048】
一実施形態では、キャビテーション気泡に導入される空気の量は、安定したキャビテーション気泡に到達した後に減少させるか、または完全になくすことができる。キャビテーション気泡は、一旦生成されると、一実施形態では、さらに空気を供給しなくても残ることがある。一実施形態では、空気の供給は、空気管の弁によって調整または制御できるとする。特に空気の供給は、飛行速度に応じて制御できる。別の一実施形態では、空気の供給は、約45m/秒から約90m/秒、好ましくは約60m/秒から約80m/秒の飛行速度において、空気がキャビテーション気泡に吹き込まれるように制御される。空気の量は、飛行速度に応じて制御されることが好ましい。別の一実施形態では、空気の供給は、約80m/秒から約90m/秒、好ましくは約85m/秒から約90m/秒、より好ましくは約90m/秒の飛行速度で停止されるとする。
【0049】
別の一実施形態では、飛行速度が速くなると、換気キャビテーションのための空気の量が増加するとする。
【0050】
一実施形態では、浸漬体は飛行安定器を有するとする。特に、飛行安定器は、翼として設計される。特に、浸漬体は、航空機から水域に降下される間、飛行安定器によって空中で安定した姿勢に保たれる。有利なことに、飛行安定器によって、浸漬体の水域への安全な浸漬が保証される。飛行安定器は、剣体に取り付けられることが好ましい。一実施形態では、飛行安定器は、魚雷体に取り付けられる。飛行安定器は、意図どおりに使用されたときに水域に浸漬されない装置の部分に取り付けられることが好ましい。飛行安定器は、展開可能かつ折り畳み可能であることが好ましい。有利なことに、装置が航空機内に回収されるときに、飛行安定器は折り畳まれる。
【0051】
一実施形態では、浸漬体は、少なくとも1つの振り子舵、より好ましくは一方の側に1つの振り子舵、さらに好ましくは一方の側に約2つの振り子舵を備えるとする。少なくとも1つの振り子舵は、魚雷形状部上に配置されていることが好ましい。別の一実施形態では、少なくとも1つの振り子舵は、剣部上に配置されている。別の一実施形態では、振り子舵は、折り畳み可能かつ展開可能、および、収納可能または拡張可能の一方または両方である。振り子舵は、魚雷形状部に収納できることが好ましい。有利なことに、振り子舵は、浸漬中に損傷しないように、水域への降下または浸漬中に収納されることができる。水域内での浸漬体の浸漬深さは、振り子舵によって制御または調整できることが好ましい。
【0052】
一実施形態では、少なくとも1つの浸漬突起が、浸漬体上に配置されているとする。浸漬突起によって、水域への浸漬体の規定の浸漬が保証される。浸漬突起は、羽根または魚雷形状を有することができるか、好ましくは振り子舵を備えるかの一方または両方である。特に、浸漬突起は、浸漬体の下に配置されている。浸漬突起は、浸漬体に少なくとも部分的に収納できることがより好ましい。浸漬突起の伸張長さは、制御できることがより好ましい。特に、浸漬突起は、浸漬体が浸漬された後に、浸漬体に収納できるか、または浸漬体までの距離を短縮できる。浸漬突起は、魚雷形状部の下に配置されていることが好ましい。
【0053】
装置の一実施形態では、装置は、水域内の物体と衝突した場合に装置の損傷または紛失を防止するためにエアバッグを備えるとする。有利なことに、エアバッグは、装置が漂流物などの水域内の物体に衝突したとき、または衝突のおそれがあるときに膨張する。これにより、装置および物体の両方の損傷を防止するか、または少なくとも軽減できる。別の一実施形態では、装置は少なくとも1つの破壊点または破断点を有し、水域内の物体と衝突したときに、特に航空機を危険にさらさないように、装置は所定の方法で航空機から離れるとする。別の一実施形態では、装置は浮遊可能に設計されるとする。別の一実施形態では、装置の事故の場合、浮遊体は好ましくは自動的に膨張できるとする。有利なことに、事故の場合、装置は、必要に応じて修理した後に再利用するために、水域から回収される。
【0054】
水域から液体を取り込む例示的な装置は、剣部および魚雷形状部を有する浸漬体を備える。剣部は、例えば断面が流線型であり、例えば断面が滴型である。剣部は、船首が船尾より厚く設計されることが好ましい。浸漬体の船首に配置された1つ以上の取水口によって、水は、例えば浸漬体内の3つの区画に導かれ、装置の上端にある直径約0.15mのホースを通って飛行機内の水タンクに圧入される。これにより、有利なことに、約115ノットあるいは約60m/秒の飛行速度、および水域面上約30mの飛行高度で、約10トンの水を約30秒間で航空機内の水タンクに運ぶことができる。
【0055】
剣部は、例えば、船首において剣部の長手方向延在部に沿って延在する取水口を備える。取水口は、装置が意図どおり使用されたときに水面下に位置する剣部の領域にのみ配置されていることが好ましい。例えば、ラインキャビテータは、船首の取水口の両側に設けられ、剣部の長手方向延在部に沿って上から下まで延びる。装置が水域内で約60m/秒以上の速度で牽引された場合、浸漬体を少なくとも部分的に包むスーパーキャビテーション気泡が発生する。これにより、スーパーキャビテーションが生じない装置と比べて、装置の流動抵抗係数が減少する。これにより、装置を水域内で牽引するために必要なエネルギーが大幅に削減される。特にこの方法で達成された流動抵抗の減少により、装置を水域内で約60m/秒以上の速度で牽引できるようになる。
【0056】
装置は、例えば、装置の移動方向の逆向きに空気を吹き出せる排気口を有する。例えば、排気口は、移動方向において、ラインキャビテータの後方に配置されている。スーパーキャビテーション気泡を迅速に形成し安定化させるために、空気は移動方向の逆向きに排気口から吹き付けられる。例えば、航空機の速度が、浸漬中に浸漬体の周囲に少なくとも部分的にスーパーキャビテーション気泡を直接形成するために十分でない場合、排気口から吹き出される空気によって、浸漬体の周囲に少なくとも部分的に気泡が形成されることがあるか、または、浸漬体上に少なくとも部分的に気体膜が形成されることがあり、これにより流動抵抗が減少する。
【0057】
魚雷形状部は、例えば剣部の下端に配置され、好ましくは回転対称に設計されたポイントキャビテータを船首側に配置した魚雷形状体を備える。例えば、排気口は移動方向においてポイントキャビテータの後方にも配置されており、これにより空気を排気口から移動方向の逆向きに吹き出せる。移動方向においてポイントキャビテータの前方には、例えば区画に接続された取水口が設けられる。
【0058】
浸漬体の浸漬深さは、魚雷形状部の両側にある2つの振り子舵によって制御または調整できる。
【0059】
一実施形態では、装置は、水域における浸漬体の少なくとも1つの浸漬深さ、および水域の波高の一方または両方を求めることができる距離測定器を備えるとする。距離測定器は、例えば、レーダー装置、ライダー装置、および気圧測定器の少なくとも1つを備えることが好ましい。別の実施形態では、距離測定器は、浸漬体および浸漬突起の一方または両方における水圧を求めるための圧力センサを備える。距離測定器は、水面を移動方向に走査することが好ましい。浸漬体の振り子舵は、距離測定器で求めたデータによって制御されることがより好ましい。有利なことに、浸漬体の浸漬深さは、距離測定器によって、波高に応じて、好ましくは変化する条件に動的に適合させて調整できる。
【0060】
また、浸漬突起は、魚雷形状部の下に配置されていることが好ましい。浸漬突起は、水域に浸漬されるときに浸漬体を支持する。浸漬突起は、浸漬体に収納できるか、または入れ子式である点で有利である。浸漬突起は、少なくとも1つの振り子舵を備えることが好ましい。
【0061】
また、航空機に液体を取り込む方法であって、
-上記の装置を提供するステップと、
-装置を航空機内の水タンクに接続するステップと、
-航空機の飛行中に、少なくとも部分的に水域に浸漬されるように装置を水域に降下させるステップと、
-水域から装置の浸漬体の取水口を通じて水を取り込むステップと、
を備えた方法が提案される。
【0062】
一実施形態では、装置は、航空機から降下させ、水タンクを充填した後に回収する配備および収納するための装置に接続されるとする。
【0063】
一実施形態では、好ましくは上記のように設計された、少なくとも1つの気泡を生成するための少なくとも1つの手段により、気泡が浸漬体の周囲に少なくとも部分的に生成されるとする。
【0064】
一実施形態では、空気が排気口から流出し、特に水域に浸漬された装置の浸漬体が少なくとも部分的に空気で包まれるように、装置に空気圧が印加されるとする。一実施形態では、装置は、給気口における動圧によって、給気口に連通された排気口から空気が吹き出すように、特に水域に浸漬された浸漬体が少なくとも部分的に空気で包まれるように、航空機によって牽引されるとする。一実施形態では、空気は、特に水域に浸漬された浸漬体が少なくとも部分的に空気で包まれるように、ベンチュリ効果によって排気口から吸い出されるとする。別の一実施形態では、動圧とベンチュリ効果の両方が、排気口から空気を吹き出すために使用される。
【0065】
一実施形態では、浸漬体は、キャビテーション、好ましくはスーパーキャビテーションが浸漬体上に誘発されるほど水域内を高速に牽引されるとする。一実施形態では、少なくとも1つのキャビテータによって、水域内に浸漬された浸漬体上にスーパーキャビテーションが誘発されるとする。浸漬体は、少なくとも部分的に1つのスーパーキャビテーション気泡に包まれることが好ましい。
【0066】
一実施形態では、空気によって、換気キャビテーションが誘発されるとする。空気は、発生中または既存のキャビテーション気泡に吹き込まれることが好ましい。空気は、少なくとも1つの排気口を通して、浸漬体のほぼ船尾方向に向けて吹き出されることがより好ましい。空気は、少なくとも1つの排気口を通して、浸漬体のほぼ移動方向に吹き出されることがより好ましい。空気は、例えば浸漬体の側面において、移動方向に対して垂直な少なくとも1つの排気口を通して吹き出されることがより好ましい。キャビテーション気泡は、少なくとも1つの排気口からの空気によって安定化されることがより好ましい。
【0067】
一実施形態では、浸漬体の浸漬過程では、延ばされた浸漬突起が、ほぼ最初に浸漬されるとする。装置を水域に降下するときに、浸漬突起が最初に水に浸漬されることが好ましい。装置が水域に引き込まれるように、振り子舵は小さな迎え角、好ましくは約0.5°から約10°、好ましくは約2°から約5°に設定できる。振り子舵の迎え角が小さいので、浸漬体が浸漬されるときに、浸漬体にはモーメント、特にピッチングモーメントが全くかからないか、またはわずかしかかからない。したがって、浸漬体は、ほぼ傾くことなく水域に浸漬できる。浸漬体のほぼ水平な浸漬によって、ホースは浸漬体上でねじれないことが好ましく、突然の力やパイロットが予測できない力ベクトルが航空機に印加されないことがより好ましい。浸漬突起は、浸漬体を水域から出すためにも使用できることが好ましい。浸漬突起の振り子舵は、浸漬体が水域から浮上するように設定できる。浮上は、浸漬体上の振り子舵によって行えることが好ましく、少なくとも浸漬体の振り子舵が水面の直下に来るまで行えることがより好ましい。一実施形態では、その後、さらなる浮上が浸漬突起によって行われる。別の一実施形態では、浸漬体は、その後、航空機まで引き上げたり、航空機内に回収したりできるほど十分に水から浮上する。浸漬体は、その後、航空機内に回収できる。浸漬突起は、浸漬体が浸漬された後に浸漬体に収納されることが好ましい。別の一実施形態では、浸漬突起は、装置が航空機に回収される前に浸漬体に収納される。
【0068】
また、浸漬体の浸漬、および、より好ましくは浮上のための浸漬突起の使用は、浸漬体の浸漬および浮上の一方または両方の間にピッチングモーメントを受けない点で有利である。浸漬体が水域に入るときに、気泡は浸漬体の浸漬された部分の周囲に好ましくは1秒未満の間に形成される。ピッチング時のような浸漬体の方向または位置の突然の変化は、気泡の乱れを引き起こし、場合によっては気泡の破裂を引き起こすことがある。これにより、浸漬体にかかる抵抗力が急に増加して、航空機に作用するか、または浸漬体が装置から引き離されることがある。また、気泡の乱れにより、キャビテーションによる浸漬体の損傷が予想される。
【0069】
一実施形態では、浸漬体は、少なくとも部分的に浸漬される前に、展開された飛行安定器によって飛行段階で安定化されるとする。飛行安定器は、装置が航空機から降下されるときに展開され、航空機に回収される前に折り畳まれることが好ましい。
【0070】
一実施形態では、浸漬体が少なくとも部分的に浸漬された後に、少なくとも1つの振り子舵が動作位置に移動するとする。水域内での浸漬体の位置は、振り子舵によって調整または安定化されることが好ましい。
【0071】
また、航空機に液体を積載するための上記の装置の使用が提案される。例えば、装置は、航空機に消火用水を積載するために使用できる。また、装置は、水域から油やその他の汚染物質を除去するために使用できる。また、装置は、例えば、汚染水を取り込むために使用できる。
【0072】
上記の装置と、少なくとも1つの水タンクとを備えた航空機用の取付キットが提案される。一実施形態では、水タンクは、減揺タンクとして設計されるとする。
【0073】
一実施形態では、取付キットは、装置を航空機から水域に降下させ、航空機に引き上げるための配備および収納するための装置を備える。
【0074】
上記の装置と、少なくとも1つの水タンクとを備えた航空機がさらに提案される。一実施形態では、航空機は、上記の取付キットを備える。一実施形態では、航空機は、航空機の飛行中に装置の少なくとも1つの浸漬体を配備および収納するための拡張可能、および入れ子可能の一方または両方の装置を備えるとする。
【0075】
より有利な実施形態は、以下の図面から理解される。ただし、図面に示されたさらなる実施形態は限定的に解釈されるべきではなく、むしろ、図面に記載された特徴を互いにおよび上記の特徴と組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができる。また、図面の説明で与えられた参照符号は、発明の保護範囲を限定するものではなく、図面に示された実施例を単に参照するものである点に留意されるべきである。図1は、水域から液体を取り込むための装置を示す。
【0076】
図1は、水域52から液体を取り込むための装置10を示す。装置10は、剣部14および魚雷形状部16を有する浸漬体12を備える。剣部14は、図示しない断面が流線型、例えば断面が滴型に設計される。剣部は、船首30が船尾31より厚く設計されることが好ましい。船首30に配置された1つ以上の取水口20.1によって、水は浸漬体12内の区画34に導かれ、直径約0.15mのホース13を通って航空機内の図示しない水タンクに圧入される。これにより、有利なことに、約115ノットあるいは約60m/秒の飛行速度、および約30mの飛行高度で、約10トンの水を約30秒間で航空機内の水タンクに運ぶことができる。
【0077】
また、剣部は、船首30の取水口20.1の両側に、装置10の長手方向延在部15に沿って上から下まで延びるラインキャビテータを備える。装置が水域内で約60m/秒以上の速度で牽引された場合、浸漬体12を少なくとも部分的に包むスーパーキャビテーション気泡が発生する。これにより、スーパーキャビテーションが生じない装置と比べて、流動抵抗係数が減少する。これにより、装置10を水域52内で牽引するときのエネルギー消費が大幅に削減される。特にこの方法で達成された流動抵抗の減少により、装置10を水域52内で約60m/秒の速度で牽引できるようになる。
【0078】
スーパーキャビテーション気泡を迅速に形成し安定化させるために、空気は移動方向50の逆向きに排気口22.1を通って吹き出される。例えば、航空機の速度が、浸漬中に浸漬体12の周囲に少なくとも部分的にスーパーキャビテーション気泡を直接形成するために十分でない場合、排気口22.1から吹き出される空気によって浸漬体12の周囲に少なくとも部分的に気泡を形成でき、これにより流動抵抗が低減される。約35m/秒から約90m/秒の飛行速度でも、浸漬体の周囲に気泡を生成する換気キャビテーションが生じることがある。
【0079】
剣部14の下端19に配置された魚雷形状部16は、回転対称に設計されたポイントキャビテータを船首側に配置した魚雷形状体を備える。排気口22.2も移動方向50においてポイントキャビテータ23の後方に配置されており、これにより空気を移動方向の逆向きに吹き出せる。移動方向においてポイントキャビテータ23の前方には、区画34に接続された取水口20.2が設けられる。
【0080】
魚雷形状部16上の2つの振り子舵42.1、42.2によって、浸漬体12の浸漬深さは制御または調整できる。距離測定器58は、例えばレーダーとして設計された装置10上に設けられる。これにより、浸漬体12の浸漬深さを求め、移動方向において浸漬体12の前に存在する波を求める。得られたデータによって、振り子舵42.1、42.2は、浸漬体12を液体の取り込みと飛行安全のために最適な浸漬深さを保つために制御される。
【0081】
また、魚雷形状部16の下には、浸漬突起46が配置されている。浸漬突起46は、水域52に浸漬するときに浸漬体12を支持する。
【0082】
図1は、装置10の別の実施形態11を破線で示し、この実施形態は、意図どおりに使用されたときに、水域52内を水平に対して異なる角度で牽引されることができる。特に、別の実施形態11の重心は、実線で描かれた装置10とは異なる。
【0083】
航空機に液体を取り込むための提案された装置10および方法、並びに提案された取付キットによれば、輸送機によって空中消火を効果的に実行できる。提案された航空機は、初期配備から既に装置を備えることが好ましく、水を取り込むときに飛行速度を速くできるので、効果的な消火を実行できる。提供される航空機の飛行速度が速いので、行動半径は大幅に増加する。
図1
【国際調査報告】