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特表2024-545112動力工具中のワイドバンドギャップ半導体デバイスを含むインバータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】動力工具中のワイドバンドギャップ半導体デバイスを含むインバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241128BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534168
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022081154
(87)【国際公開番号】W WO2023108051
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/288,264
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/292,585
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】トラエットナー,ドナルド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マーゲット,マクスウェル エル.
(72)【発明者】
【氏名】フィールドビンダー,ドウグラス アール.
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA37
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA07Z
5H770JA10X
5H770KA01W
5H770PA22
5H770PA29
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA35
(57)【要約】
動力工具は、モータと、電源と、モータおよび電源に電気的に接続されたプリント回路基板(「PCB」)とを含む。PCBは、モータに取り付けられる。PCBは、電源によってモータに供給される電力を制御するインバータとして構成される複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
電源と、
前記モータと前記電源とに電気的に接続されるプリント回路基板(PCB)と、を含み、
前記PCBは、前記モータに取り付けられ、前記PCBは、前記電源によって前記モータに供給される電力を制御するインバータとして構成される複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含む、
動力工具。
【請求項2】
前記モータは、フレームを含み、前記PCBは、前記フレームに直接取り付けられる、請求項1に記載の動力工具。
【請求項3】
前記モータは、前記インバータのためのヒートシンクとして作用するように構成される、請求項2に記載の動力工具。
【請求項4】
ヒートシンクをさらに含み、前記PCBは、前記ヒートシンクに取り付けられ、前記ヒートシンクは、前記モータに取り付けられる、請求項1に記載の動力工具。
【請求項5】
前記ヒートシンクは、空冷される、請求項4に記載の動力工具。
【請求項6】
入力コンデンサをさらに含み、前記入力コンデンサおよび前記インバータは、前記PCBの同じ側に取り付けられる、請求項4に記載の動力工具。
【請求項7】
前記モータに接続されるヒートプレートをさらに含む、請求項1に記載の動力工具。
【請求項8】
前記ヒートプレートは、ヒートパイプに接続され、前記ヒートパイプは、ヒートシンクに接続される、請求項7に記載の動力工具。
【請求項9】
前記モータ、前記PCB、および前記ヒートプレートは、完全に封止された構造内に収容される、請求項8に記載の動力工具。
【請求項10】
前記PCBは、少なくとも1つのセラミック表面実装コンデンサを含む、請求項1に記載の動力工具。
【請求項11】
前記モータは、毎分75,000回転以上で回転するように構成される、請求項1に記載の動力工具。
【請求項12】
前記モータは、毎分100,000回転以上で回転するように構成される、請求項11に記載の動力工具。
【請求項13】
モータと、
バッテリパックを受けるように構成されるバッテリパックインターフェースと、
前記モータと前記バッテリパックインターフェースとに電気的に接続されるインバータと、を含み、
前記インバータは、複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含み、前記インバータは、前記バッテリパックによって前記モータに供給される電力を制御するように構成され、
前記複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチは、約3電子ボルト(eV)以上のエネルギバンドギャップを有する、
動力工具。
【請求項14】
前記モータは、前記インバータのためのヒートシンクとして作用するように構成される、請求項13に記載の動力工具。
【請求項15】
ヒートシンクをさらに含み、
前記インバータは、前記ヒートシンクを介して前記モータに取り付けられる、
請求項13に記載の動力工具。
【請求項16】
前記モータに接続されるヒートプレートをさらに含む、請求項13に記載の動力工具。
【請求項17】
毎分75,000回転以上で回転するように構成されるモータと、
電源と、
前記モータと前記電源とに電気的に接続されるプリント回路基板(PCB)と、を含み、
前記PCBは、前記電源によって前記モータに供給される電力を制御するインバータとして構成される複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含む、
動力工具。
【請求項18】
前記モータは、フレームを含み、前記PCBは、前記フレームに直接取り付けられる、請求項17に記載の動力工具。
【請求項19】
ヒートシンクをさらに含み、前記PCBは、前記ヒートシンクに取り付けられ、前記ヒートシンクは、前記モータに取り付けられる、請求項17に記載の動力工具。
【請求項20】
前記モータに接続されるヒートプレートをさらに含み、
前記ヒートプレートは、ヒートパイプに接続され、前記ヒートパイプは、ヒートシンクに接続される、
請求項17に記載の動力工具。
【請求項21】
前記PCBは、少なくとも1つのセラミック表面実装コンデンサを含む、請求項17に記載の動力工具。
【請求項22】
前記PCBは、前記モータに取り付けられる、請求項17に記載の動力工具。
【請求項23】
前記インバータは、5レベル飛行コンデンサマルチレベルインバータである、請求項17に記載の動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2021年12月10日に出願された米国仮特許出願第63/288,264号および2021年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/292,585号の利益を主張し、それらの各出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本明細書に記載される実施形態は、動力工具(パワーツール)のような電気デバイス内に含まれるインバータに関する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される動力工具は、モータ、電源、およびモータと電源とに電気的に接続されるプリント回路基板(「PCB」)を含む。PCBは、モータに取り付けられる。PCBは、電源によってモータに供給される電力を制御するインバータとして構成される複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含む。
【0004】
幾つかの態様において、モータは、フレームを含み、PCBは、フレームに直接取り付けられる。
【0005】
幾つかの態様において、モータは、インバータのためのートシンクとして作用するように構成される。
【0006】
幾つかの態様において、動力工具は、ヒートシンクを含み、PCBは、ヒートシンクに取り付けられ、ヒートシンクは、モータに取り付けられる。
【0007】
幾つかの態様において、ヒートシンクは、空冷される。
【0008】
幾つかの態様において、動力工具は、入力コンデンサを含み、入力コンデンサおよびインバータは、PCBの同じ側に取り付けられる。
【0009】
幾つかの態様において、動力工具は、モータに接続されるヒートプレートを含む。
【0010】
幾つかの態様において、ヒートプレートは、ヒートパイプに接続され、ヒートパイプは、ヒートシンクに接続される。
【0011】
幾つかの態様において、モータ、PCB、およびヒートプレートは、完全に封止(シール)された構造内に収容される。
【0012】
幾つかの態様において、PCBは、少なくとも1つのセラミック表面実装コンデンサを含む。
【0013】
幾つかの態様において、モータは、毎分75,000回転以上で回転するように構成される。
【0014】
幾つかの態様において、モータは、毎分100,000回転以上で回転するように構成される。
【0015】
本明細書に記載される動力工具は、モータ、バッテリパック、およびモータとバッテリパックとに電気的に接続されるインバータを含む。インバータは、複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含み、バッテリパックによってモータに供給される電力を制御するように構成される。複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチは、約3電子ボルト(「eV」)以上のエネルギバンドギャップを有する。
【0016】
幾つかの態様において、モータは、インバータのためのヒートシンクとして作用するように構成される。
【0017】
幾つかの態様において、動力工具は、ヒートシンクを含み、インバータは、ヒートシンクを介してモータに取り付けられる。
【0018】
幾つかの態様において、動力工具は、モータに接続されるヒートプレートを含む。
【0019】
本明細書に記載される動力工具は、モータ、電源、およびモータと電源とに電気的に接続されるプリント回路基板(「PCB」)を含む。モータは、毎分75,000回転以上で回転するように構成される。PCBは、電源によってモータに供給される電力を制御するためのインバータとして構成される複数のワイドバンドギャップ半導体スイッチを含む。
【0020】
幾つかの態様において、モータは、フレームを含み、PCBは、フレームに直接取り付けられる。
【0021】
幾つかの態様において、動力工具は、ヒートシンクを含み、PCBは、ヒートシンクに取り付けられ、ヒートシンクは、モータに取り付けられる。
【0022】
幾つかの態様において、動力工具は、モータに接続されるヒートプレートを含み、ヒートプレートは、ヒートパイプに接続され、ヒートパイプは、ヒートシンクに接続される。
【0023】
幾つかの態様において、PCBは、少なくとも1つのセラミック表面実装コンデンサを含む。
【0024】
幾つかの態様において、PCBは、モータに取り付けられる。
【0025】
幾つかの態様において、インバータは、5レベル飛行コンデンサマルチレベルインバータ(five-level flying capacitor multilevel inverter)である。
【0026】
いずれかの実施形態が詳細に説明される前に、本実施形態は、適用において以下の説明に記載されるあるいは添付の図面に図示されるコンポーネントの構成および配置の詳細に限定されないことが理解されるべきである。実施形態は、実施されることができるかあるいは様々な方法で実行されることができる。また、本明細書で使用される表現法および用語は、説明の目的のためのものであり、限定的であるとみなされるべきでないことが理解されるべきである。「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」、およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される品目およびそれらの均等物ならびに追加の品目を含むことが意図されている。特に断りのない限りあるいは他の方法で限定されない限り、「取り付けられた(mounted)」、「接続された(connected)」、「支持された(supported)」および「結合された(coupled)」という用語、ならびにそれらの変形は、広義に使用されており、直接的および間接的な取付け、接続、支持、および結合の両方を包含する。
【0027】
加えて、実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、および電子コンポーネントまたはモジュールを含むことがあり、それらは、議論の目的から、あたかもコンポーネントの大部分がハードウェアでのみ実装されたかのように図示および記載されることがあることが理解されるべきである。しかしながら、当業者は、この詳細な説明の読取りに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、電子ベースの態様が、マイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路(「ASICs」)のような1つ以上の処理ユニットによって実行可能な(例えば、非一時的なコンピュータ読取可能媒体上に記憶される)ソフトウェアに実装されることがあることを認識するであろう。よって、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造コンポーネントは、実施形態を実装するために利用されることがあることが留意されるべきである。例えば、本明細書に記載される「サーバ」、「コンピューティングデバイス」、「コントローラ」、「プロセッサ」などは、1つ以上の処理ユニット、1つ以上のコンピュータ可読媒体モジュール、1つ以上の入出力インターフェース、およびコンポーネントを接続する様々な接続(例えば、システムバス)を含むことができる。
【0028】
例えば、量または状態に関連して使用される「約(about)」、「約(approximately)」、「実質的(substantially)」などのような相対的な用語は、記述された値を含むものとして当業者によって理解され、文脈によって指示される意味を有する(例えば、用語は、少なくとも、特定の値などに関連する測定精度、公差[例えば、製造、組立、使用など]に関連する誤差の程度を含む)。そのような用語は、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲を開示するものとしても考慮されるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。相対的な用語は、指示される値の±百分率(例えば、1%、5%、10%、10%、10%よりも多く)を指すことがある。
【0029】
特定の図面は、特定のデバイス内に配置されたハードウェアおよびソフトウェアを図示するが、これらの図は、例示的な目的のためのものにすぎないことが理解されるべきである。1つのコンポーネントによって実行されるものとして本明細書に記載される機能性は、分散された方法で複数のコンポーネントによって実行されることがある。同様に、複数のコンポーネントによって実行される機能性は、単一のコンポーネントによって統合されて実行されることがある。幾つかの実施形態において、図示されるコンポーネントは、組み合わされることがあり、あるいは別々のソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアに分割されることがある。例えば、単一の電子プロセッサ内に配置されて単一の電子プロセッサによって実行されるのではなく、論理および処理が、複数の電子プロセッサ間で分散させることがある。それらがどのように組み合わされるかあるいは分割されるかにかかわらず、ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントは、同じコンピューティングデバイス上に配置されることがあり、あるいは1以上のネットワークまたは他の適切な通信リンクによって接続された異なるコンピューティングデバイス間に分散されることがある。同様に、特定の機能性を実行するものとして記載されたコンポーネントは、本明細書に記載されていない追加の機能性を実行することもある。例えば、特定の方法で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、明示的に列挙されていない方法で構成されることもある。
【0030】
実施形態の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本明細書に記載される実施形態による、動力工具を示す。
【0032】
図2】本明細書に記載される実施形態による、図1の動力工具のための制御システムを示す。
【0033】
図3A】本明細書に記載される実施形態による、ワイドバンドギャップ(WBG)インバータの例示的な実施形態例を示す。
図3B】本明細書に記載される実施形態による、ワイドバンドギャップ(WBG)インバータの例示的な実施形態例を示す。
図3C】本明細書に記載される実施形態による、ワイドバンドギャップ(WBG)インバータの例示的な実施形態例を示す。
【0034】
図3D】本明細書に記載される実施形態による、WBGインバータとして構成されるPCBの様々なコンポーネントを示す。
【0035】
図3E】本明細書に記載される実施形態による、図3Cに示されるような5レベル飛行コンデンサマルチレベルインバータのスイッチング状態を含む表を示す。
【0036】
図4A】本明細書に記載される実施形態による、WBGインバータとして構成されたPCBの例示的なレイアウトを示す。
図4B】本明細書に記載される実施形態による、WBGインバータとして構成されたPCBの例示的なレイアウトを示す。
図4C】本明細書に記載される実施形態による、WBGインバータとして構成されたPCBの例示的なレイアウトを示す。
【0037】
図5】本明細書に記載される実施形態による、モータに直接結合されたWBGインバータを含むモータの例示的な実施形態を示す。
【0038】
図6】本明細書に記載される実施形態による、ヒートシンクを介してモータに結合されるWBGインバータを含む例示的な実施形態を示す。
【0039】
図7A】本明細書に記載される実施形態による、熱力学デバイスに結合されるヒートシンクを介してモータに結合されるWBGインバータを含む例示的な実施形態を示す。
【0040】
図7B】熱力学デバイスに結合されたヒートシンクの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に記載される実施形態は、モータ、電源、およびモータと電源とに電気的に接続されるプリント回路基板(PCB)を含む、動力工具(パワーツール)のような、電気デバイスに関する。PCBは、電源によってモータに供給される電力の電圧および周波数を制御するインバータとして構成される。PCBは、モータに取り付けられる。幾つかの実施形態において、モータは、フレームを含み、PCBは、フレームに直接取り付けられる。幾つかの実施形態において、モータは、ヒートシンクとして機能するように構成される。幾つかの実施形態において、電気デバイスは、ヒートシンクをさらに含む。一部の実施形態において、PCBは、ヒートシンクを介してモータに取り付けられる。幾つかの実施形態において、ヒートシンクは、PCBの熱放散のために使用される。幾つかの実施形態において、ヒートシンクは、空冷され、PCBとモータとの間で追加の冷却を提供する。幾つかの実施形態において、電気デバイスは、熱力学デバイス(thermal dynamic device)をさらに含む。幾つかの実施形態において、ヒートシンクは、熱力学デバイスに結合される。幾つかの実施形態において、熱力学デバイスは、ヒートパイプ(heat pipe)に接続されたヒートプレート(heat plate)である。幾つかの実施形態において、モータ、PCB、ヒートシンク、および熱力学デバイスは、封止された構造に収容される。幾つかの実施形態において、PCBは、少なくとも1つのセラミック表面実装コンデンサを含む。幾つかの実施形態において、モータは、交流(AC)モータである。幾つかの実施形態において、電源は、直流(DC)を生成する。
【0042】
図1は、動力工具100を示す。動力工具100は、例えば、インパクトレンチ、ドリル、ラチェット、鋸、ハンマードリル、インパクトドライバ、回転ハンマ、グラインダ、ブロワ、トリマなどであってよい。動力工具100は、動力工具100内にモータ(図2参照)を収容するハウジングまたはモータハウジング105を含む。動力工具は、モータを含む動力工具100の様々なコンポーネント(構成要素)に直流(DC)電力を供給する電源110を受けるように構成される。電源110は、再充電可能であり、例えば、リチウムイオンバッテリセルを使用する、動力工具バッテリパックであってよい。
【0043】
図2は、動力工具100のための制御システム200を示す。制御システム200は、コントローラ205を含む。コントローラ205は、動力工具100の様々なモジュールまたはコンポーネントに電気的および/または通信的に接続される。例えば、図示のコントローラ205は、モータ202、バッテリパックインターフェース210、(トリガ220に接続される)トリガスイッチ215、1つ以上のセンサまたは感知回路225、1つ以上のインジケータ230、ユーザ入力モジュール235、電力入力モジュール240、およびインバータまたはFETスイッチングモジュール245に電気的に接続される。コントローラ205は、とりわけ、動力工具100の動作を制御し、動力工具100の動作を監視し、1つ以上のインジケータ230(例えば、LED)を作動させるなどのために動作可能である、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせを含む。
【0044】
コントローラ205は、コントローラ205および/または動力工具100内のコンポーネントおよびモジュールに電力、動作制御、および保護を提供する複数の電気コンポーネントおよび電子コンポーネントを含む。例えば、コントローラ205は、とりわけ、処理ユニット250(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子プロセッサ、電子コントローラ、または別の適切なプログラマブルデバイス)、メモリ260、入力ユニット265、および出力ユニット270を含む。処理ユニット250は、とりわけ、制御ユニット275、ALU280、および複数のレジスタ285を含み、知られているコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正ハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャなど)を使用して実装される。処理ユニット250、メモリ260、入力ユニット265、および出力ユニット270、ならびにコントローラ205に接続される様々なモジュールまたは回路は、1つ以上の制御バスおよび/またはデータバス(例えば、共通バス290)によって接続される。制御バスおよび/またはデータバスは、説明のために図2に一般的に示されている。
【0045】
幾つかの実施形態において、メモリ260は、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であり、例えば、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含む。幾つかの実施形態において、プログラム記憶領域およびデータ記憶領域は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM))、電子的に消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスク、セキュアディジタルカード(SD)、または他の適切な磁気的、光学的、物理的、または電子的メモリデバイスのような、異なるタイプのメモリの組み合わせを含む。処理ユニット250は、メモリ260に接続され、(例えば、実行中に)メモリ260のRAMに、(例えば、ほぼ永久的なベースで)メモリ260のROMに、または別のメモリまたはディスクのような別の非一時的なコンピュータ読取可能媒体に記憶されることができるソフトウェア命令を実行する。幾つかの実施形態において、動力工具100の実装に含まれるソフトウェアは、コントローラ205のメモリ260に格納される。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1つ以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つ以上のプログラムモジュール、および他の実行可能な命令を含む。幾つかの実施形態において、コントローラ205は、メモリ260から、とりわけ、本明細書に記載される制御プロセスおよび方法に関連する命令を検索して実行するように構成される。他の構成において、コントローラ205は、追加のコンポーネント、より少ないコンポーネント、または異なるコンポーネントを含む。
【0046】
幾つかの実施形態において、バッテリパックインターフェース210は、動力工具100をバッテリパックとインターフェースする(例えば、機械的、電気的、および通信的に接続する)ように構成され、バッテリパックとインターフェースする(例えば、機械的、電気的、および通信的に接続する)ように動作可能である、機械的コンポーネント(例えば、レール、溝、ラッチなど)および電気的コンポーネント(例えば、1つ以上の端子)の組み合わせを含む。例えば、バッテリパック110によって動力工具100に提供される電力は、バッテリパックインターフェース210を通じて電力入力モジュール240に提供される。幾つかの実施形態において、電力入力モジュール240は、電力がコントローラ205に供給される前に、バッテリパック110から受け取る電力を調整または制御するように、能動コンポーネントおよび受動コンポーネントの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、バッテリパックインターフェース210は、モータ202に電力を選択的に提供するためにインバータによって切り替えられようにインバータ245にも電力を供給する。バッテリパックインターフェース210は、例えば、コントローラ205とバッテリパック110との間に通信ラインまたは通信リンクを提供するための通信ライン295も含む。
【0047】
幾つかの実施形態において、インバータ245は、モータ202およびバッテリパック110に電気的に接続されるプリント回路基板(「PCB」)上に構成される。幾つかの実施形態において、モータ202は、交流(AC)モータである。そのような実施形態において、インバータ245は、バッテリパック110によってモータ202に供給される電力の電圧および周波数を制御するように構成される。幾つかの実施形態において、PCBは、マイクロコントローラ(MCU)、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのような論理意思決定デバイスまたはゲートドライバを含み、それらは、トランジスタのようなパワーエレクトロニクスデバイスに結合される。幾つかの実施形態において、PCBは、WBGインバータを形成するように、WBG半導体を含む。ここで、「WBG半導体」とは、シリコンよりも広いエネルギバンドギャップ(energy band gap)を有する半導体を指す。一般に、シリコンは、約1.1電子ボルト(eV)のエネルギバンドギャップを有する。WBG半導体は、約3eV以上のエネルギバンドギャップを有することがある。しかしながら、幾つかの実施態様において、使用されるWBG半導体は、3eV未満のエネルギバンドギャップを有する。一般に、エネルギバンドギャップが広ければ広いほど、臨界磁場(critical field)はより高くなり、それは、破壊電圧(breakdown voltage)が、シリコンに対して、同じサイズのワイドバンドギャップ(wide band gap)半導体で形成されたデバイスのためにより大きい場合があることを意味する。
【0048】
WBG半導体を使用することによって、WBGインバータ245は、半導体のより小さなサイズ、WBG半導体によって可能とされるより高い動作周波数、およびより高い動作温度の故に、より小さな機械に取り付けられることができる。幾つかの実施形態において、WBGインバータ245を使用することは、より高速のモータ動作(例えば、30,000毎分回転数[RPM]ではなく、75,000~100,000RPM)を可能にする。その上、WBGインバータ245は、シリコンベースの半導体で形成されたインバータと比較して、より小さいサイズ、より低い損失、より高い熱伝導率、より高い動作温度などを提供する。よって、WBGインバータ245は、ペナルティがあるとしても(図5~7B参照)、ペナルティをあまり発生させることなく、モータ202に直接取り付けられることができる。幾つかの実施形態において、PCBは、例えば、アルミニウム電解コンデンサよりも小さく、より高温で作動することができ、より高い信頼性を有する、セラミック表面実装コンデンサ(ceramic surface mount capacitors)を含む。WBGインバータ245は、所与のモータパッケージについて増大した電力を可能にし、あるいはより小さなモータパッケージにおいて同じ電力を可能にする。
【0049】
インジケータ230は、例えば、1つ以上の発光ダイオード(「LED」)を含む。幾つかの実施形態において、インジケータ230は、動力工具100の状態または動力工具100に関連する情報を表示するように構成される。例えば、インジケータ230は、動力工具100の測定された電気的特性、デバイスの状態などを示すように構成されることができる。ユーザ入力モジュール235は、例えば、順方向動作モードまたは逆方向動作モード、(例えば、トルクスイッチおよび/または速度スイッチを使用する)動力工具100のためのトルクおよび/または速度設定などを選択するために、コントローラ205に動作可能に結合される。幾つかの実施形態において、ユーザ入力モジュール235は、1つ以上のノブ、1つ以上のダイヤル、1つ以上のスイッチ、1つ以上のボタンなどのような、動力工具100のための所望のレベルの制御を達成するために必要とされるデジタルおよびアナログ入力デバイスまたは出力デバイスの組み合わせを含む。
【0050】
センサ225は、1つ以上の電流センサ、1つ以上の速度センサ、1つ以上のホール効果センサ、1つ以上の温度センサなどを含む。コントローラ205は、動力工具100の動作のための所定の動作閾値および制限値をメモリ260内で計算し、あるいはそれらをメモリ260内に含む。例えば、(例えば、FET、モータ202などの)潜在的な熱故障がコントローラ205によって検出または予測されるときに、モータ202への電力は、熱故障の可能性が低下するまで制限または中断されることができる。
【0051】
図3A図3B、および図3Cは、それぞれ、動力工具100についてのWBGインバータ245の例示的な実施形態300、310、および320を示す。例示的な実施形態310は、図3Dに図示される、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような、コンポーネントで実装される。例示的な実施形態320は、5レベル飛行コンデンサマルチレベルインバータ(five-level flying capacitor multilevel inverter)であるが、他のタイプのマルチレベルインバータも、動力工具100において使用されることができる。図3Eは、5レベル飛行コンデンサマルチレベルインバータ320のスイッチング状態を含む表を示す。
【0052】
図4A図4B、および図4Cは、それぞれ、WBGインバータ245として構成されたPCBの例示的なレイアウト400、410、および420を示す。例示的なレイアウト400、410、および420は、電流が流れて戻る経路を管理するための電力の流れを示す。例示的なレイアウト400は、WBGハーフブリッジ構成(すなわち、電力入力と同じPCBの側に入力コンデンサを有する構成)のための横方向電力ループ405である。電力ループ405は、PCBのシールド層内で電流を誘起し、電力ループ405とは逆方向に流れる、磁場を生成する。シールド層内の電流は、磁場の相殺をもたらす、元の電力ループの磁場に対抗する磁場を生成する。シールド層は、横方向電力ループ構成における電力ループインダクタンスを最小限にするために、(例えば、PCBの第2の層として)電力ループ405に近接近して位置決めされる。
【0053】
例示的なレイアウト410は、WBGハーフブリッジ構成(すなわち、電力入力としてPCBの反対側に入力コンデンサを有する構成)のための垂直電力ループ415である。PCBの厚さが薄くされると、電力ループ415の面積も減少する。PCBの頂層および底層上を反対方向に流れる電流は、磁気的な自己相殺を提供する。
【0054】
例示的なレイアウト420は、WBGハーフブリッジ構成(すなわち、電力入力と同じPCBの側に入力コンデンサを有する構成)のための最適化された電力ループ425である。最適化された電力ループ425は、第1の内側層(図4Cの右)を電力ループ戻り経路として使用する。戻り経路は、PCBの電力ループ425(図4Cの左)の頂層の直下に配置される。そのような位置決めは、磁場自己相殺の恩恵も受けながら、最小の物理ループ領域を達成する。
【0055】
図5は、モータ202(例えば、モータ202のフレーム)に直接結合されたWBGインバータ245を含む例示的な実施形態500を示す。図示の実施形態において、モータ202の熱特性は、WBGインバータ245のためのヒートシンクとして作用する。レイアウト400、410、420のいずれも、WBGインバータ245を実装するときに使用されることができる。
【0056】
図6は、ヒートシンク602を介してモータ202に結合されたWBGインバータ245を含む例示的な実施形態600を示す。インバータ245は、ヒートシンク602に取り付けられ、ヒートシンク602は、モータ202に取り付けられる。そのような実施形態において、ヒートシンク602は、WBGインバータ245の熱放散のために使用される。幾つかの実施形態において、ヒートシンク602は、(例えば、ファンによって)空冷され、WBGインバータ245とモータ202との間に追加の冷却を提供する。レイアウト400、410、420のいずれも、WBGインバータ245を実装するときに使用されることができる。
【0057】
図7Aは、ヒートパイプまたは熱力学デバイス704に結合されるヒートプレート702を介してモータ202に結合されたWBGインバータ245を含む例示的な実施形態700を示す。例示的な実施形態700は、例えば、強制空冷が利用可能でない要求の厳しい用途において、(例えば、改良された入口保護のための開口部がない)完全に封止された構造において、あるいは潜水用途において使用されることがある。レイアウト400、410、420のいずれも、WBGインバータ245を実装するときに使用されることができる。
【0058】
図7Bは、熱力学デバイス704に結合されたヒートプレート702の例示的な実施形態710を示す。図示のされた実施形態において、ヒートプレート702は、ヒートパイプ704によってヒートシンク706に熱的に接続さいる。
【0059】
例示的な実施形態500、600、および700のそれぞれにおいて、WBGインバータ245は、図2に示すように、バッテリパック110に結合される。幾つかの実施態様において、図示のWBGインバータ245(PCB)は、モータ202、ヒートシンク602、またはヒートプレート702に締め付けられる。
【0060】
よって、本明細書に記載される実施形態は、とりわけ、埋め込まれたバスバーを有するプリント回路基板を含む動力工具を提供する。様々な構成および利点は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】