(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】起立式ウエハーカセット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241128BHJP
B65D 85/38 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L21/68 S
B65D85/38 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534191
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2022144006
(87)【国際公開番号】W WO2023109972
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520128152
【氏名又は名称】杭州▲衆▼硅▲電▼子科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】朱 政挺
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA03
3E096BA16
3E096BB03
3E096CA09
3E096DA05
3E096FA28
5F131AA02
5F131BA33
5F131BA37
5F131BA39
5F131BA43
5F131CA09
5F131CA18
5F131DA52
5F131DB13
5F131DB16
5F131GA02
5F131GA43
5F131GA63
(57)【要約】
本発明は起立式ウエハーカセットを開示し、少なくとも1つのベースユニットを含む。ベースユニットは第一ウエハーベースと第二ウエハーベースを含む。第一ウエハーベースの頂部に第一アーチ形凹面を有し、第二ウエハーベースに向かう片側に第一作用面を形成し、前記第一作用面は第一アーチ形凹面が位置する区域に対応し、かつ第一作用面の形状はY字形を垂直に半分に分けた後の左側構造である。第二ウエハーベースの頂部に第二アーチ形凹面を有し、第一ウエハーベースに向かう片側に第二作用面を形成し、前記第二作用面は第二アーチ形凹面が位置する区域に対応し、かつ第二作用面の形状はY字形を垂直に半分に分けた後の右側構造である。第一作用面と第二作用面は連係してウエハーを支持して垂直に立つ。本発明は垂直方向の空間を合理的に利用した。第一アーチ形凹面と第二アーチ形凹面、第一作用面と第二作用面の設計は、ウエハーをカセットに入れた後、一部のアーチ線全体が位置決めされ、さらに安定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立式ウエハーカセットであって、
少なくとも1つのベースユニット(10)を含み、前記ベースユニット(10)は第一ウエハーベース(1)と第二ウエハーベース(2)を含み、
前記第一ウエハーベース(1)の頂部には第一アーチ形凹面(11)が設けられ、前記第二ウエハーベース(2)に向く側に第一作用面(12)が形成され、前記第一作用面(12)は前記第一アーチ形凹面(11)が位置する領域に対応しており、かつ前記第一作用面(12)の形状は、Y字形を垂直に半分に分けた後の左側構造であり、
前記第二ウエハーベース(2)頂部には第二アーチ形凹面(21)が設けられ、前記第一ウエハーベース(1)に向く側に第二作用面(22)が形成され、前記第二作用面(22)は前記第二アーチ形凹面(21)が位置する領域に対応しており、かつ前記第二作用面(22)の形状は、Y字形を垂直に半分に分けた右側構造であり、
前記第一作用面(12)及び前記第二作用面(22)は連係して、前記ウエハー(3)を垂直に立てるように支持する、ことを特徴とする起立式ウエハーカセット。
【請求項2】
前記第一作用面(12)は前記ウエハー(3)に線接触し、前記第二作用面(22)は前記ウエハー(3)に線接触して前記ウエハー(3)を垂直に立てるように支持し、
或いは、前記第一作用面(12)は前記ウエハー(3)に線接触し、前記第二作用面(22)は前記ウエハー(3)に面接触して前記ウエハー(3)を垂直に立てるように支持し、
或いは、前記第一作用面(12)は前記ウエハー(3)に面接触し、前記第二作用面(22)は前記ウエハー(3)に面接触して前記ウエハー(3)を垂直に立てるように支持する、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項3】
前記第一作用面(12)は、第一傾斜面(121)と第一垂直面(122)とを備え、前記第二作用面(22)は、第二傾斜面(221)と第二垂直面(222)とを備えており、
前記第一垂直面(122)と前記第二垂直面(222)は正対接触し、前記第一傾斜面(121)と前記第二傾斜面(221)はそれぞれ前記ウエハー(3)と線接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項4】
前記第一作用面(12)は、第一傾斜面(121)と第一垂直面(122)とを含み、前記第二作用面(22)は、第二傾斜面(221)と第二垂直面(222)とを含み、
前記第一垂直面(122)と前記第二垂直面(222)は上下にずれて接触し、前記第一傾斜面(121)は前記ウエハー(3)と線接触し、前記第二垂直面(222)と前記第一垂直面(122)のずれた部分は前記ウエハー(3)に面接触し、
或いは、前記第二傾斜面(221)は前記ウエハー(3)と線接触し、前記第一垂直面(122)と前記第二垂直面(222)のずれた部分は前記ウエハー(3)に面接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項5】
前記第一作用面(12)は、第一傾斜面(121)と、第一垂直面(122)とを含み、前記第二作用面(22)は、第二傾斜面(221)と、第二垂直面(222)とを含み、
前記第一垂直面(122)と前記第二垂直面(222)は、それぞれ前記ウエハー(3)の両側面の外縁面と接触する、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項6】
前記第一垂直面(122)又は前記第二垂直面(222)の底部は、それと直交する支持面(223)を形成し、前記第二垂直面(222)又は前記第一垂直面(122)の底部は、段差面(123)を形成し、前記段差面(123)は、前記支持面(223)上に載置され、前記第一垂直面(122)と前記第二垂直面(222)との間の間隔を調整するために、前記支持面(223)に沿って並進することができ、その間隔が0.5~2mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項7】
前記ウエハー(3)と前記第一垂直面(122)及び/又は前記第二垂直面(222)との面接触幅がhであり、前記ウエハー(3)の半径がRである場合、h:Rが0.01-1である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項8】
前記第一アーチ形凹面(11)及び/又は前記第二アーチ形凹面(21)の円心角が30~180°である、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項9】
複数の前記ベースユニット(10)を備え、隣接する前記ベースユニット(10)の前記第二ウエハーベース(2)と前記第一ウエハーベース(1)が一体に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項10】
前記第一ウエハーベース(1)と前記第二ウエハーベース(2)が一体構造に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【請求項11】
前記第一アーチ形凹面(11)及び/又は前記第二アーチ形凹面(21)は、連続又は断続的に設けられ、その前記第一作用面(12)及び/又は前記第二作用面(22)の構造は、同一又は異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の起立式ウエハーカセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路チップの製造分野に属し、特に起立式ウエハーカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械平坦化(CMP)は、集積回路プロセスの中の一種の加工プロセスである。技術の発展に従って、加工プロセスに対する要求は高くなる。化学機械研磨平坦化装置は、一般的に、半導体デバイスフロントエンドモジュール(EFEM)、洗浄ユニット、研磨ユニット、及び搬送モジュールを含む。EFEMは主にウエハーを収納するカートリッジ、シート搬送ロボットアーム、及び空気浄化システムなどを含む。洗浄ユニットは主に数量の異なるメガ音波洗浄部材、ロールブラッシング洗浄部材、乾燥部材、及び各部材間にウエハーを搬送する装置などを含む。研磨ユニットは主に研磨台、研磨ヘッド、研磨液供給システム、及び研磨パッド修正システムなどを含む。搬送モジュールは一連のロボットアーム又は移動プラットフォームを含み、研磨待ちのウエハーをEFEMから研磨ユニットに送り、研磨されたウエハーを研磨ユニットから洗浄ユニットに運ぶ。
【0003】
6インチのウエハーの切欠き(flat)の幅は57.5mmに達し、ウエハーの垂直配置が不安定になりやすく、ウエハーが傾いたり、位置がずれたりして、後続の搬送に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の課題を克服するために、本発明は、切欠きによる影響を受けず、ウエハーの安定支持を実現できる起立式ウエハーカセットを提供する。
【0005】
本発明がその技術的課題を解決するために採用する技術的解決手段は、起立式ウエハーカセットである。
少なくとも1つのベースユニットを含む。
前記ベースユニットは、第一ウエハーベースと第二ウエハーベースを含む。
前記第一ウエハーベースの頂部には第一アーチ形凹面が設けられ、第二ウエハーベースに向く側には、第一作用面が形成され、前記第一作用面は第一アーチ形凹面が位置する領域に対応しており、かつ第一作用面の形状はY字形を垂直に半分に分けた後の左側構造である。
前記第二ウエハーベースの頂部には第二アーチ形凹面が設けられ、第一ウエハーベースに向く側には、第二作用面が形成され、前記第二作用面は第二アーチ形凹面が位置する領域に対応しており、かつ第二作用面の形状はY字形を垂直に半分に分けた後の右側構造である。
前記第一作用面と前記第二作用面は連係してウエハーを支持して垂直に立つ。
【0006】
本発明は第一ウエハーベースの頂部に第一アーチ形凹面が設けられ、第二ウエハーベースの頂部に第二アーチ形凹面が設けられる。二つのアーチ形凹面は連続的な面、又は断続的な面であり、対応する第一作用面と第二作用面との連係はウエハーに対して安定した支持作用を形成することができ、ウエハーの固定位置の精度が高く、ずれがなく、ウエハーの後続の搬送に利便性がある。ウエハーに大きな切欠き部があってもがたつきが発生せず、切欠き部の位置を正確に位置決めしたり制御したりする必要がない。ウエハーが垂直に立ち、水平に格納することによる大きな空間問題を回避し、ベースユニットの占有面積を低減し、空間利用率が高く、かつ垂直に格納するのは、後続の洗浄モジュールがいずれも垂直にウエハーを載置する洗浄筐体にとって、ロボットアームの取出しはさらに便利である。
【0007】
さらに、前記第一作用面はウエハーと線接触を形成し、前記第二作用面はウエハーと線接触を形成し、ウエハーが垂直に立つように支持する。
【0008】
或いは、前記第一作用面はウエハーと線接触を形成し、前記第二作用面はウエハーと面接触を形成し、ウエハーが垂直に立つように支持する。
【0009】
或いは、前記第一作用面はウエハーと面接触を形成し、前記第二作用面はウエハーと面接触を形成し、ウエハーが垂直に立つように支持する。
【0010】
第一作用面と第二作用面はそれぞれウエハーと線接触を形成し、接触面積が少なく、ウエハーの性能に対する影響が最も小さい。第一作用面はウエハーと線接触を形成し、第二作用面はウエハーの裏面と面接触を形成し、ウエハー表面の性能は影響を受けない。第一作用面と第二作用面はそれぞれウエハーのエッジと面接触を形成し、ウエハーの支持構造に対してより安定している。
【0011】
さらに、前記第一作用面は第一傾斜面と第一垂直面とを含み、前記第二作用面は第二傾斜面と第二垂直面とを含む。前記第一垂直面と前記第二垂直面は正対接触し、前記第一傾斜面と前記第二傾斜面はそれぞれウエハーと線接触する。第一傾斜面と第二傾斜面はV字形を呈し、ウエハーの埋め込みに便利であり、かつ2つの傾斜面はいずれもウエハーと線接触を形成し、接触面積が小さい。
【0012】
さらに、前記第一作用面は第一傾斜面と第一垂直面とを含み、前記第二作用面は第二傾斜面と第二垂直面とを含む。前記第一垂直面と前記第二垂直面は上下にずれて接触し、前記第一傾斜面はウエハーと線接触し、前記第二垂直面と第一垂直面がずれている部分はウエハーと面接触し、或いは、前記第二傾斜面はウエハーと線接触し、前記第一垂直面と前記第二垂直面がずれている部分はウエハーと面接触する。ウエハーの支持がしっかりしており、切欠き部が下向きであってもウエハーがずれることはない。
【0013】
さらに、前記第一作用面は第一傾斜面と第一垂直面とを含み、前記第二作用面は第二傾斜面と第二垂直面とを含む。前記第一垂直面と前記第二垂直面はそれぞれウエハーの両側面の外縁と面接触する。
【0014】
さらに、前記第一垂直面又は前記第二垂直面の底部はそれと直交する支持面を形成し、前記第二垂直面又は第一垂直面の底部は支持面上に載った段差面を形成し、第一垂直面と第二垂直面の間の間隔を調整するために支持面に沿って並進可能であり、その間隔は0.5mm-2mmである。第一垂直面と第二垂直面の間の間隔は調整することができ、異なる型番のウエハーに容易に適応することができ、使用の柔軟性が高い。ウエハーの加工過程において、厚みに公差があり、間隔は調整することができ、上述の加工誤差の存在に適応することができる。
【0015】
さらに、前記ウエハーの第一垂直面及び/又は第二垂直面との面接触幅がhであり、ウエハーの半径がRである場合、h:Rは0.01-1である。前記数値設定はウエハー表面に傷をつけないだけでなく、空間を節約し、ウエハーの配置をより安定させ、破損の可能性を低下させる。
【0016】
さらに、前記第一アーチ形凹面及び/又は第二アーチ形凹面の円心角は30~180°である。ウエハーをカセットに入れた後、一部のアーク線全体が位置決めされ、ウエハーに安定した支持作用を形成することを保証し、より安定させ、6インチウエハー、8インチウエハー及び12インチウエハーに適応することができる。
【0017】
さらに、複数のベースユニットを含み、隣接するベースユニットの第二ウエハーベースと第一ウエハーベースが一体に設けられる。複数のベースユニットは任意に組み合わせることができ、構造がよりコンパクトで、それにより多くのウエハーを配置し、適用性が高く、応用範囲が広い。
【0018】
さらに、前記第一ウエハーベースと前記第二ウエハーベースを一体構造とする。
【0019】
さらに、前記第一アーチ形凹面及び/又は前記第二アーチ形凹面は、連続又は断続的に設けられ、その第一作用面及び/又は第二作用面の構造は同一又は異なる。
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。1、ウエハーを垂直に格納することによって、垂直方向の空間を合理的に利用し、水平格納による空間の大きな問題を回避し、且つ垂直に格納することは、後続の洗浄モジュールがいずれも垂直にウエハーを格納する洗浄筐体にとって、ロボットアームの出し入れがより便利になる。2、第一アーチ形凹面と第二アーチ形凹面、第一作用面と第二作用面の設計は、ウエハーをカセットに入れた後、一部のアーチ線全体が位置決めされ、安定性がより高い。3、ウエハーとカセットは線形支持又は面支持を実現し、切欠き付きウエハーはたとえ切欠き部がカセットと接触しても、よく固定され、ウエハーは切欠き部が上を向く必要がなく、即ち切欠き部の位置を正確に位置決め及び制御する必要がない。4、ウエハーを2枚式で支持し、複数枚を合併してウエハーを支持することもでき、増加する空間が少なく、複数枚の場合、単片の2辺はそれぞれ作用面を持つように設計され、構造が更にコンパクトになる。5、ウエハーを安定的に保管し、一部のウエハー円弧が第一作用面と第二作用面に接触しても変位しない。6、ウエハーの性能が影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1に係るベースユニットの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るベースユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る複数のベースユニットの側面図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る複数のベースユニットの斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係るベースユニットの斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係るベースユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の態様を当業者によりよく理解してもらうために、以下、本発明の実施形態における図面と関連して、本発明の実施形態における技術的態様を明確かつ完全に記載する。記載した実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、単に一部であることは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的労働をせずに得た他の全ての実施形態は、本発明の保護の範囲に属する。
【0023】
実施形態1
図1~
図5に示すように、起立式ウエハーカセットであって、第一ウエハーベース1及び第二ウエハーベース2を含む少なくとも一つのベースユニット10を備える。
【0024】
第一ウエハーベース1の頂部には第一アーチ形凹面11が設けられ、第一ウエハーベース1の第二ウエハーベース2に向く側には、第一アーチ形凹面11が位置する領域に対応して第一作用面12が形成されている。第一作用面12の形状は、Y字形を垂直に半分にした左側構造である。第一アーチ形凹面11の円心角は90~180°である。
【0025】
第二ウエハーベース2の頂部には第二アーチ形凹面21が設けられ、第二ウエハーベース2の第一ウエハーベース1に向く側には、第二アーチ形凹面21が位置する領域に対応して第二作用面22が形成されている。第二作用面22の形状は、Y字形を垂直に半分にした右側構造である。第二アーチ形凹面21の円心角は30~180°であり、好ましくは90~180°である。
【0026】
前記第一作用面12及び第二作用面22は連係して、ウエハー3を支持して鉛直に起立することができる。
【0027】
本実施形態において、ウエハー3の外縁には切欠き部31があり、この切欠き部31はウエハー3のエッジを水平に切削して形成され、即ち平面を有し、その切欠き部31の平面幅は55mm~60mmに達している。
【0028】
本実施形態において、第一ウエハーベース1と第二ウエハーベース2の断面が、いずれも上が大きく下が小さい台形構造であるが、他の実施形態では方形等の他の構造であってもよいことは言うまでもない。
【0029】
図4に示すように、第一作用面12はウエハー3に線接触し、第二作用面22はウエハー3に面接触し、ウエハー3が垂直に立つように支持する。
【0030】
より具体的には、
図5に示すように、第一作用面12は、第一傾斜面121及び第一垂直面122を有し、第二作用面22は、第二傾斜面221及び第二垂直面222を有する。第一垂直面122と第二垂直面222は上下にずれて接触し、即ち第一垂直面122と第二垂直面222の頂端の位置が一致していない。この時、第一傾斜面121はウエハー3と線接触し、適確に言えばウエハー3の正面と側面との間の稜線に接触する。第二垂直面222と第一垂直面122とのずれた部分はウエハー3と面接触し、即ち第二垂直面222の一部は第一垂直面122と正対に貼り合わされ、また一部は第一垂直面122より高くなっている。該部分はウエハー3の裏面辺縁と貼り合わされて面接触を実現する部分、即ち
図5中のLで表示される部分である。この場合、ウエハー3の正面はベースユニット10に全く接触せず、その性能が最大限に保証される。
【0031】
前記第一垂直面122及び第二垂直面222は、垂直平面であってもよいし、垂直な波面等であってもよく、必ずしも平面である必要はなく、ウエハー3に接触可能に支持されていればよい。
【0032】
ウエハー3の裏面が第二垂直面222に貼り合わされて面接触する部分の幅をhとし、ウエハー3の半径をRと定義すると、h:Rは0.01-1であり、好ましくは0.01-0.06である。また、h:Lは、0より大きく、1以下である。前記の数値設定はウエハー表面を傷つけないだけでなく、空間を節約し、ウエハーの配置をより安定させ、破損の可能性を減少させる。
【0033】
図6に示すように、ベースユニット10の数を複数とし、隣接するベースユニット10の第二ウエハーベース2及び第一ウエハーベース1を一体に設け、換言すれば、第一作用面12及び第二作用面22をそれぞれ第一ウエハーベース1及び第二ウエハーベース2の両側に設けてもよい。
【0034】
前記構成において、第一ウエハーベース1と第二ウエハーベース2は別体であるが、もちろん他の実施形態において、第一ウエハーベース1と第二ウエハーベース2は、ベースユニット10の頂面に直接、第一アーチ形凹面11、第二アーチ形凹面21、第二作用面22、及び第一傾斜面121を形成するように一体であってもよい。
【0035】
本実施形態において、第一アーチ形凹面11と第二アーチ形凹面21とは連続した面であるが、もちろん他の実施形態において、断続的な面であってもよく、この場合には、複数の第一アーチ形凹面11と複数の第二アーチ形凹面21とがあり、即ち、複数の第一作用面12と複数の第二作用面22とがある。
【0036】
実施形態2
本実施形態は、
図7~
図10に示すように、第一作用面12がウエハー3と線接触し、第二作用面22がウエハー3と線接触することにより、ウエハー3を起立状態で支持する点で、実施形態1と異なる。
【0037】
より具体的には、
図10に示すように、第一作用面12は、第一傾斜面121及び第一垂直面122と備え、第二作用面22は、第二傾斜面221及び第二垂直面222とを備える。第一垂直面122及び第二垂直面222は、完全に正対して接触している。即ち、第一垂直面122及び第二垂直面222の頂端は、位置合わせされ、第一作用面12及び第二作用面22は、Y字形に合わせられている。このとき、第一傾斜面121は、ウエハー3に線接触し、正確にはウエハー3の正面と側面との間の稜線に接触しており、第二傾斜面221は、ウエハー3に線接触し、正確にはウエハー3の裏面と側面との間の稜線に接触している。この場合、ウエハー3の正面と裏面がいずれもベースユニット10と接触することはなく、その性能は最大限に保証される。
【0038】
第一傾斜面121及び第二傾斜面221は、開口が上方に向いたV字形状を有しており、ウエハー3の載置を容易にするための拡口形状となっている。第一傾斜面121及び第二傾斜面221の傾斜角度はそれぞれ30°程度とすることができる。
【0039】
実施形態3
本実施形態は、
図11~
図14に示すように、第一作用面12がウエハー3に面接触し、第二作用面22がウエハー3に面接触して、ウエハー3を起立状態で支持する点で実施形態1と異なる。
【0040】
より具体的には、
図14に示すように、第一作用面12は、第一傾斜面121と第一垂直面122とを備え、第二作用面22は、第二傾斜面221と第二垂直面222とを備える。第一垂直面122及び第二垂直面222は、対向しているが接触しておらず、この場合の対向は、完全に正対していてもよいし、ずれて正対していてもよい。換言すれば、第一作用面12と第二作用面22とは、間隔を有するY字状に構成されている。
【0041】
第一垂直面122及び第二垂直面222は、ウエハー3の正面及び裏面の外縁にそれぞれ接触する。ウエハー3を第一垂直面122、第二垂直面222に貼り合わせて面接触させた部分の幅をh、ウエハー3の半径をRと定義すると、h:Rは0.01-1であり、
図14のh<3mmである。
【0042】
第一垂直面122と第二垂直面222との間の間隔を調整して、異なる厚さのウエハーに適応し、又は間隔を調整してウエハーの加工誤差の存在に適応することができる。第一垂直面122又は第二垂直面222の底部には、それと直交する支持面223が形成されており、本実施形態においては、第二垂直面222の底部に支持面223が形成されている例について説明する。該支持面223は第一垂直面122の所在する方向に延びており、第二垂直面222の底部に段差面123が形成されており、段差面123は支持面223上に架設することができ、かつ支持面223に沿って平行移動して第一垂直面122と第二垂直面222との間の間隔を調整することができ、即ち
図14における間隔Sは調整可能であり、かつS=0.5-2mm、好ましくはS=0.6-1.6mmである。
【0043】
第一ウエハーベース1にねじ孔13を開設し、間隔の調整を完成した後、ねじ孔13内に押しねじを入れ、第二ウエハーベース2をしっかり支え、第一ウエハーベース1と第二ウエハーベース2の間隔を固定させる。
【0044】
実施形態4
前記実施形態1~実施形態3では、一つのウエハーカセットの第一作用面12と第二作用面22の構造は全て同じであり、本実施形態と前記実施形態との違いは、前記三種類の構造を組み合わせることができ、即ち、第一アーチ形凹面11と第二アーチ形凹面21の数は複数であり、この時、上記三種類の構造を全て同一のウエハーカセットに応用でき、隣接する第一アーチ形凹面11と隣接する第二アーチ形凹面21は異なる構造の第一作用面12と第二作用面22を設けることができる。もちろん、第一アーチ形凹面11及び第二アーチ形凹面21の弧度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0045】
前記実施形態は、本発明を限定するものではなく説明するためのものであり、それに対してなされたあらゆる修正及び変更は、本発明の技術思想及び特許請求の範囲の技術的範囲内に属するものである。
【国際調査報告】