(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】脂肪酸欠乏症の治療および予防に関する方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/202 20060101AFI20241128BHJP
A61K 31/201 20060101ALI20241128BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20241128BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20241128BHJP
A61K 36/062 20060101ALI20241128BHJP
A61K 35/60 20060101ALI20241128BHJP
A61K 35/68 20060101ALI20241128BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241128BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241128BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241128BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241128BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20241128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241128BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241128BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K31/202
A61K31/201
A61K36/48
A61K36/63
A61K36/062
A61K35/60
A61K35/68
A61K9/107
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/44
A61P3/02
A61P25/00
A61P27/02
A61P15/00
A61P11/00
A61P1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534199
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2022052076
(87)【国際公開番号】W WO2023107527
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ピューダー マーク
(72)【発明者】
【氏名】フリゴー スコット
(72)【発明者】
【氏名】グラ キャスリーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C087
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076BB13
4C076CC01
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC21
4C076DD47
4C076DD63
4C076EE53
4C076EE54
4C076FF16
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB01
4C087BB29
4C087BC05
4C087MA02
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4C087MA55
4C087MA65
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA33
4C087ZA59
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZC21
4C087ZC80
4C088AB61
4C088AB64
4C088BA18
4C088MA07
4C088MA22
4C088MA55
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4C088NA14
4C088ZA01
4C088ZA33
4C088ZA59
4C088ZA75
4C088ZA81
4C088ZC21
4C088ZC80
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA04
4C206DA05
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA05
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4C206NA14
4C206ZA01
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4C206ZA59
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZC21
4C206ZC80
(57)【要約】
(a)アラキドン酸(ARA);ならびに(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)、を含む脂質製剤(例えば脂質エマルジョン)に関する組成物ならびに方法が、本明細書において説明される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アラキドン酸(ARA);ならびに
(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)
を含む、組成物。
【請求項2】
DHAを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
EPAを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
DHAおよびEPAを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が3:2~3:5である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2~3:5である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2~1:5である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が2:1~1:4である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:1~1:2である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:1~1:20である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:1~1:15である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2~1:15である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項13】
(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2.8~1:12.5である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
さらなるω6脂肪酸および/またはω3脂肪酸を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも10%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも20%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項17】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも30%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項18】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも35%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項19】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも60%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項20】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも70%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項21】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも80%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項22】
前記ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも90%を構成する、請求項14記載の組成物。
【請求項23】
前記ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項24】
前記ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項25】
前記ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項26】
前記DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項27】
前記DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項28】
前記DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項29】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:11.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項30】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:44.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項31】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:1.27である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項32】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:2.17である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項33】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:4である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:11.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項35】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:44.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項36】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:1.27である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項37】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:2.17である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項38】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:4である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項39】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1~1:2である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項40】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1~1:11.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項41】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1~1:44.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項42】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1~1:1.27である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項43】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が8.41:1~1:2である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項44】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1.44:1~1:11.1である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項45】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1.44:1~1:1.27である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項46】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1.44:1~1:2.17である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項47】
ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1.27~1:2.17である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物およびその構成成分が、蒸留も再エステル化もされていない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項50】
ジグリセリドを含まない、請求項1~49のいずれか一項記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物のモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のモノグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項52】
モノグリセリドを含まない、請求項1~50のいずれか一項記載の組成物。
【請求項53】
前記組成物のモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項54】
モノグリセリドを含まずかつジグリセリドを含まない、請求項1~52のいずれか一項記載の組成物。
【請求項55】
前記DHAおよび/またはEPAが、蒸留も再エステル化もされていない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項56】
前記DHAおよび/またはEPAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項57】
前記DHAおよび/またはEPAがジグリセリドを含まない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項58】
前記DHAおよび/またはEPAのモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のモノグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項59】
前記DHAおよび/またはEPAがモノグリセリドを含まない、請求項1~57のいずれか一項記載の組成物。
【請求項60】
前記DHAおよび/またはEPAのモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項61】
前記DHAおよび/またはEPAが、モノグリセリドを含まずかつジグリセリドを含まない、請求項1~59のいずれか一項記載の組成物。
【請求項62】
前記ARAが、蒸留も再エステル化もされていない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項63】
前記ARAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項64】
前記ARAがジグリセリドを含まない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項65】
前記ARAのモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のモノグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項66】
前記ARAがモノグリセリドを含まない、請求項1~64のいずれか一項記載の組成物。
【請求項67】
前記ARAのモノグリセリドとトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項68】
前記ARAが、モノグリセリドを含まずかつジグリセリドを含まない、請求項1~66のいずれか一項記載の組成物。
【請求項69】
5%(w/w)以下のステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項70】
2%(w/w)以下のステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項71】
1.5%(w/w)以下のステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項72】
120mg/L以下のフィトステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項73】
110mg/L以下のフィトステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項74】
70mg/L以下のフィトステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項75】
35mg/L以下のフィトステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項76】
4%(w/w)以下のスチグマステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項77】
10mg/L以下のスチグマステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項78】
3mg/L以下のスチグマステロールを含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項79】
40% w/v以下、30% w/v以下、20% w/v以下、10% w/v以下、または5% w/v以下のリノール酸を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項80】
621mg/kg/日以下、401mg/kg/日以下、または287mg/kg/日以下のリノール酸を含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項81】
リノール酸を含まない、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項82】
前記組成物が植物油もしくは真菌油を含むか、または前記ARAが植物油もしくは真菌油の形態で提供される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項83】
前記植物油または真菌油が、蒸留も再エステル化もされていない、請求項82記載の組成物。
【請求項84】
前記植物油または真菌油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、請求項82または83記載の組成物。
【請求項85】
前記植物油または真菌油がジグリセリドを含まない、請求項82~84のいずれか一項記載の組成物。
【請求項86】
前記植物油または真菌油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、請求項82~85のいずれか一項記載の組成物。
【請求項87】
前記植物油または真菌油が、40% w/v以下、30% w/v以下、20% w/v以下、10% w/v以下、または5% w/v以下のリノール酸を含む、請求項82~86のいずれか一項記載の組成物。
【請求項88】
前記植物油または真菌油が、621mg/kg/日以下、401mg/kg/日以下、または287mg/kg/日以下のリノール酸を含む、請求項82~87のいずれか一項記載の組成物。
【請求項89】
前記植物油または真菌油がリノール酸を含まない、請求項82~88のいずれか一項記載の組成物。
【請求項90】
前記植物油がダイズ油もしくはオリーブ油であるか、または前記真菌油がモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)油である、請求項82~89のいずれか一項記載の組成物。
【請求項91】
前記組成物が魚油を含み、かつ/または前記DHAおよび/もしくはEPAが魚油の形態で提供される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項92】
前記魚油が、蒸留も再エステル化もされていない、請求項91記載の組成物。
【請求項93】
前記魚油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、請求項91または92記載の組成物。
【請求項94】
前記魚油がジグリセリドを含まない、請求項91~93のいずれか一項記載の組成物。
【請求項95】
前記魚油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、請求項91~94のいずれか一項記載の組成物。
【請求項96】
前記組成物が藻類油を含み、かつ/または前記DHAおよび/もしくはEPAが藻類油の形態で提供される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項97】
前記藻類油がクリプテコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)由来の油である、請求項96記載の組成物。
【請求項98】
前記藻類油が、蒸留も再エステル化もされていない、請求項96または97記載の組成物。
【請求項99】
前記藻類油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、請求項96~98のいずれか一項記載の組成物。
【請求項100】
前記藻類油がジグリセリドを含まない、請求項96~99のいずれか一項記載の組成物。
【請求項101】
前記藻類油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、請求項96~100のいずれか一項記載の組成物。
【請求項102】
脂質エマルジョンである、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項103】
前記エマルジョンが、油が少なくとも10%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項104】
前記エマルジョンが、油が少なくとも20%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項105】
前記エマルジョンが、油が少なくとも30%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項106】
前記エマルジョンが、油が約10%~約50%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項107】
前記エマルジョンが、油が約10%~約40%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項108】
前記エマルジョンが、油が約10%~約30%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項109】
前記エマルジョンが、油が約20%~約40%の水中油型である、請求項102記載の組成物。
【請求項110】
中鎖トリグリセリド(MCT)、卵レシチン、ヒマワリ種子油、ヒマワリレシチン、ヒマワリ種子から得られる乳化剤、およびオキアミ油のうちの1種または複数種をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項111】
(a)20~200mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項112】
(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項113】
(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)10mg/kg/日~3g/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項114】
非経口投与用または静脈内投与用に製剤化されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項115】
経口投与用に製剤化されている、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項116】
対象に栄養を提供しかつ/または対象における神経発達を促進する方法であって、前記請求項のいずれか一項記載の組成物を該対象に投与する段階を含む、該方法。
【請求項117】
その必要のある対象における早産、神経学的発達障害、網膜発達障害、気管支肺発達障害、および/または気管支肺異形成症を治療する方法であって、前記請求項のいずれか一項記載の組成物を該対象に投与する段階を含む、該方法。
【請求項118】
前記組成物が、5g/kg/日以下の用量で投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項119】
前記組成物が、(a)20~200mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項120】
前記組成物が、(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項121】
前記対象が乳児である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項122】
前記対象が、新生児および/または早産児である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項123】
前記神経発達が、脳および/または眼における神経発達である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項124】
前記投与が、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項125】
前記投与が、非経口および/または静脈内である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項126】
前記栄養が、非経口栄養または完全非経口栄養である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項127】
前記投与が、非経口投与または完全非経口投与である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項128】
前記対象が、非経口栄養または完全非経口栄養を必要としている、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項129】
前記患者が経口栄養を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項130】
前記患者が他の非経口製剤を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項131】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である経口栄養を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項132】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である他の非経口製剤を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項133】
前記患者が、脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項134】
前記患者が、必須脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項135】
前記投与が経口である、請求項116~125のいずれか一項記載の方法。
【請求項136】
前記栄養が経口栄養である、請求項116~125および135のいずれか一項記載の方法。
【請求項137】
前記対象が、経口栄養を必要としている、請求項116~125および135~136のいずれか一項記載の方法。
【請求項138】
前記患者が他の経口製剤を受けない、請求項135~137のいずれか一項記載の方法。
【請求項139】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である他の製剤を受けない、請求項116~138のいずれか一項記載の方法。
【請求項140】
前記患者が、脂肪酸についての他の栄養供給源を受けない、請求項116~139のいずれか一項記載の方法。
【請求項141】
前記患者が、必須脂肪酸についての他の栄養源を受けない、請求項116~140のいずれか一項記載の方法。
【請求項142】
請求項1~115のいずれか一項記載の組成物が単独療法として投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項143】
請求項1~115のいずれか一項記載の組成物が、栄養的ニーズに対する単独療法として投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項144】
前記患者が、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度または消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、局所麻酔薬中毒、全身中毒症の治療の状態、および非経口治療薬のビヒクルまたは賦形剤を必要とする状態、からなる群より選択される状態の治療を必要とする患者である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項145】
その必要のある対象における早産、神経学的発達障害、網膜発達障害、気管支肺発達障害、および/または気管支肺異形成症を治療する方法において使用するための、請求項1~115のいずれか一項記載の組成物。
【請求項146】
5g/kg/日以下の用量で投与される、請求項145記載の組成物。
【請求項147】
(a)20~200mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される、請求項145または146記載の組成物。
【請求項148】
(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される、請求項145~147のいずれか一項記載の組成物。
【請求項149】
前記対象が乳児である、請求項145~148のいずれか一項記載の組成物。
【請求項150】
前記対象が、新生児および/または早産児である、請求項145~149のいずれか一項記載の組成物。
【請求項151】
前記神経発達が、脳および/または眼における神経発達である、請求項145~150のいずれか一項記載の組成物。
【請求項152】
前記投与が、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる、請求項145~151のいずれか一項記載の組成物。
【請求項153】
前記投与が、非経口および/または静脈内である、請求項145~152のいずれか一項記載の組成物。
【請求項154】
前記栄養が、非経口栄養または完全非経口栄養である、請求項145~153のいずれか一項記載の組成物。
【請求項155】
前記投与が、非経口投与または完全非経口投与である、請求項145~154のいずれか一項記載の組成物。
【請求項156】
前記対象が、非経口栄養または完全非経口栄養を必要としている、請求項145~155のいずれか一項記載の組成物。
【請求項157】
前記患者が経口栄養を受けない、請求項145~156のいずれか一項記載の組成物。
【請求項158】
前記患者が他の非経口製剤を受けない、請求項145~157のいずれか一項記載の組成物。
【請求項159】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である経口栄養を受けない、請求項145~158のいずれか一項記載の組成物。
【請求項160】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である他の非経口製剤を受けない、請求項145~159のいずれか一項記載の組成物。
【請求項161】
前記患者が、脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、請求項145~160のいずれか一項記載の組成物。
【請求項162】
前記患者が、必須脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、請求項145~161のいずれか一項記載の組成物。
【請求項163】
前記投与が経口である、請求項145~153のいずれか一項記載の組成物。
【請求項164】
前記栄養が経口栄養である、請求項145~153および163のいずれか一項記載の組成物。
【請求項165】
前記対象が経口栄養を必要としている、請求項145~153および163~164のいずれか一項記載の組成物。
【請求項166】
前記患者が他の経口製剤を受けない、請求項163~165のいずれか一項記載の組成物。
【請求項167】
前記患者が、栄養バランスを維持するのに十分である他の製剤を受けない、請求項145~166のいずれか一項記載の組成物。
【請求項168】
前記患者が、脂肪酸についての他の栄養源を受けない、請求項145~167のいずれか一項記載の組成物。
【請求項169】
前記患者が、必須脂肪酸についての他の栄養源を受けない、請求項145~168のいずれか一項記載の組成物。
【請求項170】
請求項1~115のいずれか一項記載の組成物が、単独療法として投与される、請求項145~169のいずれか一項記載の組成物。
【請求項171】
請求項1~115のいずれか一項記載の組成物が、栄養的ニーズに対する単独療法として投与される、請求項145~170のいずれか一項記載の組成物。
【請求項172】
前記患者が、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度または消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、局所麻酔薬中毒、全身中毒症の治療の状態、および非経口治療薬のビヒクルまたは賦形剤を必要とする状態、からなる群より選択される状態の治療を必要とする患者である、請求項145~171のいずれか一項記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2021年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/287,564号の、米国特許法第119条(e)のもとでの恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本明細書において説明される技術は、例えば経口的または非経口的に患者に投与するための、脂質エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
新生児患者、特に集中治療室(ICU)にいる新生児患者は、非経口栄養を必要とし得る。しかし、既存の脂質エマルジョンは、成人用に製剤化されており、したがって、総体積、脂質含有量、毒物学的懸念などが原因で、新生児(特に早産乳児)に十分な量の栄養物を提供することに関して問題がある。例えば、新産児における流体投与は、体液移動、腎機能の生理学的変化、および高度な不感・有感損失が原因で、極めて困難である。標準的なエマルジョンは、早産の合併症、例えば、網膜症、気管支肺異形成症、肝損傷、および胆汁うっ滞を、加速するかまたは早める可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
新生児に投与された場合に総体積および毒物学的副作用を回避または低減する新しいエマルジョン製剤が、本明細書において説明される。したがって、本発明のエマルジョンは、新生児患者、特に早産乳児に必要な脂肪酸/栄養物を提供する方法を可能にする。
【0005】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、(a)アラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)を含む、1種または複数種のω3脂肪酸とを含む組成物が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかの1つの局面において、(a)アラキドン酸(ARA)と(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)とを含む組成物が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はDHAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はEPAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、EPAおよびDHAを含む。
【0006】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、3:2~3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:2~3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:2~1:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、2:1~1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:1~1:2である。
【0007】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、さらなるω6脂肪酸および/またはω3脂肪酸を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも60%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも70%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも80%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも90%を構成する。
【0008】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、ω6脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、ω6脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、ω6脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、2:1~1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、1:1~1:2である。
【0009】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物およびその構成成分は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAは、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAおよび/またはEPAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、ジグリセリドを含まない。
【0010】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、5%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、2%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、1.5%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、120mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、70mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、35mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、4%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0011】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油もしくは真菌油を含むか、またはARAは、植物油もしくは真菌油の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油はダイズ油もしくはオリーブ油であり、または真菌油はモルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)油である。
【0012】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、魚油を含み、かつ/またはDHAおよび/もしくはEPAは、魚油の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油はジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0013】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、藻類油を含み、かつ/またはDHAおよび/もしくはEPAは、藻類油の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、クリプテコディニウム・コーニイ(Crypthecodinium cohnii)由来の油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0014】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、脂質エマルジョンである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が少なくとも10%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が少なくとも20%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が少なくとも30%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が約10%~約50%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が約10%~約40%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が約10%~約30%の水中油型である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、油が約20%~約40%の水中油型である。
【0015】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、中鎖トリグリセリド(MCT);卵レシチン;ヒマワリ種子油;ヒマワリレシチン;ヒマワリ種子から得られる乳化剤;およびオキアミ油のうちの1種または複数種をさらに含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)最大300mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)最大500mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)最大200mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)最大400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)10mg/kg/日~3g/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、非経口投与用または静脈内投与用に製剤化される。
【0016】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、対象に栄養を提供しかつ/または対象における神経発達を促進する方法であって、本明細書において説明される組成物を対象に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかの1つの局面において、対象に栄養を提供しかつ/または対象における神経発達を促進する方法において使用するための、(a)アラキドン酸(ARA)ならびに(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)が、本明細書において説明される。
【0017】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、5g/kg/日以下の用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は乳児である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は新生児および/または早産児である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、神経発達は、脳および/または眼における神経発達である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与は、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与は、非経口および/または静脈内である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、栄養は、非経口栄養または完全非経口栄養である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与は非経口投与または完全非経口投与である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、非経口栄養または完全非経口栄養を必要としている。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は経口栄養を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は他の非経口製剤を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、栄養バランスを維持するのに十分である経口栄養を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、栄養バランスを維持するのに十分である他の非経口製剤を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、必須脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、単独療法として投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、栄養的ニーズに対する単独療法として投与される。
【0018】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度または消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、局所麻酔薬中毒、全身中毒症の治療の状態、および非経口治療薬のビヒクルまたは賦形剤を必要とする状態、からなる群より選択される状態の治療を必要とする患者である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1A~1Hは、4週間、無脂肪高炭水化物食を自由に摂取することに加えて脂質エマルジョンの経口胃管栄養を毎日受けた(または通常のげっ歯動物用固形飼料対照を摂取し、ノーマルセーラインの経口胃管栄養を毎日受けた)8週齢C57Bl/6Jマウスの血漿における脂肪酸組成のグラフを示す。統計学的比較は一元配置ANOVAを用いて行い、固形飼料対照との個々の比較はダネットの多重比較検定を用いて行った。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001
****P<0.0001。
【
図2A】
図2A~2Hは、4週間、無脂肪高炭水化物食を自由に摂取することに加えて脂質エマルジョンの経口胃管栄養を毎日受けた(または通常のげっ歯動物用固形飼料対照を摂取し、ノーマルセーラインの経口胃管栄養を毎日受けた)8週齢C57Bl/6Jマウスの肝臓における脂肪酸組成のグラフを示す。統計学的比較は一元配置ANOVAを用いて行い、固形飼料対照との個々の比較はダネットの多重比較検定を用いて行った。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001
****P<0.0001。
【
図3A】
図3A~3Hは、4週間、無脂肪高炭水化物食を自由に摂取することに加えて脂質エマルジョンの経口胃管栄養を毎日受けた(または通常のげっ歯動物用固形飼料対照を摂取し、ノーマルセーラインの経口胃管栄養を毎日受けた)8週齢C57Bl/6Jマウスの前頭皮質における脂肪酸組成のグラフを示す。統計学的比較は一元配置ANOVAを用いて行い、固形飼料対照との個々の比較はダネットの多重比較検定を用いて行った。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001
****P<0.0001。
【
図4】
図4A~4Bは、以下のことを実証するグラフを示す:4週間、無脂肪高炭水化物食を自由に摂取することに加えてNLE A、NLE B、またはNLE Cの経口胃管栄養を毎日受けた、8週齢C57Bl/6Jマウスは、必須脂肪酸欠乏症の徴候を示さないのに対し、イントラリピッドの経口胃管栄養を毎日受けたマウスは、血漿および肝臓組織の両方において高いトリエン/テトラエン比(triene:tetraene ratio)を示し、これは必須脂肪酸欠乏症に関係している。統計学的比較は一元配置ANOVAを用いて行い、固形飼料対照との個々の比較はダネットの多重比較検定を用いて行った。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001
****P<0.0001。
【
図5】
図5A~5Cは、無脂肪高炭水化物食を自由に摂取し、生理食塩水を1日おきに尾静脈注射されたマウスが、アラニンアミノトランスフェラーゼの上昇を特徴とする生化学的肝損傷を発症することを実証する。脂質エマルジョン(または固形飼料食に加えて生理食塩水注射)を1日おきに尾静脈注射によって与えると、生化学的肝損傷が予防される。統計学的比較は、一元配置ANOVA検定および生理食塩水群に対するダネットの多重比較検定を用いて行った。平均±SEMおよび個々の値をプロットした。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001。
【
図6】無脂肪高炭水化物食を自由に摂取し、生理食塩水またはイントラリピッドを1日おきに尾静脈注射されたマウスが、小滴性脂肪症および大滴性脂肪症を発症することを実証する。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した代表的な肝臓組織を示している。高炭水化物食およびNLE BまたはNLE Cを与えられたマウスは脂肪症を有さないが、NLE Aを与えられた一部のマウスは軽度の小滴性脂肪症および大滴性脂肪症を示す。(生理食塩水の尾静脈注射と共に)固形飼料食を与えられたマウスは、脂肪症を伴わない正常な組織像を有する。
【
図7】高炭水化物食を生理食塩水の尾静脈注射と共に19日間与えられたマウスと比べて、NLE B群、NLE C群、オメガベン群、および固形飼料群のマウスが、脂肪症の軽減とつじつまが合う有意に低いリピドーシススコアを示したことを実証する。イントラリピッド群およびNLE A群のマウスは、生理食塩水群より有意に低いリピドーシススコアを有さなかった。クラスカル・ワリス検定および生理食塩水群に対するダンの多重比較検定を用いて、統計学的比較を行った。平均±SEMおよび個々の値をプロットした。
*P<0.05
**P<0.01。
【
図8-1】
図8A~8Fは、生理食塩水または脂質エマルジョンの尾静脈注射と共に固形飼料対照または高炭水化物食のいずれかを19日間与えられたマウスについての、血漿脂肪酸プロファイルおよびトリエン/テトラエン比のグラフを示す。統計学的比較は一元配置ANOVAを用いて行い、固形飼料対照との個々の比較はダネットの多重比較検定を用いて行った。
*P<0.05
**P<0.01
***P<0.001
****P<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書において説明されるように、無脂肪かつ高炭水化物の食餌は、肝損傷(例えば、アラニンアミノトランスフェラーゼ活性または脂肪症によって程度が示される)を誘導する。高ω6脂肪酸のダイズ油脂質エマルジョン(例えばイントラリピッド)による補給は、肝損傷のいくつかの特徴を部分的に軽減するにすぎず;特にTPN法の一環としてイントラリピッドを与えられている患者は、通常食餌の場合を有意に上回るレベルの、およびしばしば、いかなる脂肪も与えられていない患者と同じレベルの、肝損傷を経験する(例えば、
図5Aおよび
図7を参照されたい)。臨床的には、イントラリピッドの使用が腸管不全関連肝障害の発症をもたらすことを示す多くの証拠がある。同様の肝損傷は、脂質混合物、例えば、ダイズ油、中鎖トリグリセリド、オリーブ油、および魚油を含むスモフリピッド、を用いた場合にもみとめられる。この肝損傷は、高ω3脂肪酸の脂質エマルジョン(例えばオメガベン;例えば、
図5Aおよび
図7を参照されたい)が患者に代わりに与えられるならば、回避され得る。しかし、オメガベンは、魚油10%の水中油型エマルジョンであり、比較的多い総体積量のエマルジョンが投与されることを必要とし、しばしば、乳児に対して推奨される体積の上限に近づくか、またはそれを超える。加えて、オメガベンの総脂肪カロリーは、十分な総カロリーを与えるために通常使用されるよりも高い用量での付加的なデキストロースの投与を必要とする。
【0021】
驚くべきことに、本発明者らは、イントラリピッドなどの製剤の投与に関連するこの肝損傷が、適切な用量のアラキドン酸(ARA)の添加によって回避され得ることを、ここに見出した。
図5Aおよび
図7を参照されたい。
図7に示されるように、高DHA/EPA油と高ARA油とのそれぞれ80%および2.5%での組合せ(NLE A)は、実は、高DHA/EPA油単独と比べて脂肪症を増悪させた。
図7を参照されたい。しかし、高ARAの割合を増やした場合(NLE BおよびNLE C)、脂肪症の増悪は観察されなかった。組織学的検査はこれを裏付け、NLE BまたはNLE Cを与えられたマウスは脂肪症を有さなかったのに対し、NLE Aを与えられた一部のマウスでは軽度の小滴性脂肪症および大滴性脂肪症が起こることが見出された。
図6を参照されたい。
【0022】
これらの新しい製剤はまた、オメガベンなどの魚油エマルジョンと比べて重要な利点をもたらす。例えば、本明細書において説明される組成物は、10%超のエマルジョンとして製剤化することができ、乳児にとってより安全な総体積量の投与を可能にする。加えて、本明細書において説明される組成物は、デキストロースおよび/またはグルコースの投与の必要性を低くし(例えば、デキストロース投与の量または頻度を低減し)、オメガベンよりも実質的に多くのARAを提供するのに十分な、脂肪カロリーを含む。
【0023】
したがって、乳児または新生児(例えば、早産児または新生児)における神経発達を促進する、例えば非経口栄養(PN)または完全非経口栄養(TPN)による投与のための組成物、例えばエマルジョンが、本明細書において説明される。これらの組成物、例えばエマルジョンはまた、胆汁うっ滞、腸管不全関連肝障害(IFALD)、網膜症、および気管支肺異形成症のリスクの低下も実現する。組成物、例えばエマルジョンは、特に、乳児、例えば新産児への投与向けに製剤化され、そのような患者のために有利な投与体積を提供する。
【0024】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、(a)アラキドン酸(ARA)と(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)とを含む組成物が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はエマルジョンである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はエマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、少なくとも(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAとのエマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)少なくともARAのエマルジョンと(b)少なくともDHAおよび/またはEPAのエマルジョンとの混合物を含む。
【0025】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とを含む、組成物が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はエマルジョンである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物はエマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)を含む1種または複数種のω3脂肪酸との、エマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と少なくともEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とのエマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともDHAおよびEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸との、エマルジョンを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸のエマルジョンと、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)を含む1種または複数種のω3脂肪酸のエマルジョンとの、混合物を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸のエマルジョンと、(b)少なくともEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸のエマルジョンとの、混合物を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸のエマルジョンと、(b)少なくともDHAおよびEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸のエマルジョンとの、混合物を含む。
【0026】
本明細書において使用される場合、用語「エマルジョン」は、1種の液体が液滴の形態で別の液体中に分散している、実質的に不混和性の少なくとも2種またはそれ以上の液体を含む不均一な系を意味する。ほんの一例として、エマルジョンは、互いに良く混ざり分散している2種の不混和性液相を含む二相性の系であることができる。エマルジョンの例には、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、水中水型、水中油中水型エマルジョン、および油中水中油型エマルジョンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンの連続相は水である。
【0027】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは水を含む。いくつかの態様において、エマルジョンは、水中の脂肪総量が約20重量/体積%のものである。いくつかの態様において、エマルジョンは、水中の脂肪総量が約10重量/体積%~水中の脂肪総量が約50重量/体積%のものである。いくつかの態様において、エマルジョンは、水中の脂肪総量が約20重量/体積%のものである。いくつかの態様において、エマルジョンは、水中の脂肪総量が10重量/体積%~水中の脂肪総量が50重量/体積%のものである。
【0028】
通常、エマルジョンは、不安定な混合物であり、自然発生的には形成しない。したがって、連続相と分散相を混合し、エマルジョンを形成するために、エネルギーの投入が必要とされる。このエネルギーは、例えば、振盪、撹拌、ホモジナイズ、噴霧処理、高圧ポンピング、および超音波乳化処理によって加えることができる。本明細書において説明されるエマルジョン製剤は、本明細書において列挙する脂肪構成成分を任意のタンパク質、炭水化物、および/または他の付加的な添加物とブレンドし、かつその混合物をホモジナイズして安定なエマルジョンにすることによって、作製することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAのどちらも乳化され、例えば、混合されるだけでもなく、他方のエマルジョン中に混合されるのでもない。しかし、時間がたてば、形成されたエマルジョンは、別々の油層および水層という安定な状態に戻る傾向があり得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョン製剤は、当技術分野において公知の任意の天然乳化剤または合成乳化剤をさらに含むことができる。乳化剤の添加により、エマルジョンの動態学的安定性を高めることができ、その結果、ひとたび形成されると、エマルジョンは長期保存の際に大きくは変化しなくなる。
【0029】
本明細書において説明されるエマルジョンは、当業者に公知であるいくつかの従来の技術によって調製することができる。例えば、コア脂質を、1種または複数種の乳化剤および任意のさらなる成分または添加物と、最初に混合する。次いで、常時かき混ぜながらこの油層を水中にゆっくりと添加することにより、エマルジョンを調製する。重量オスモル濃度調整剤を使用する場合、油層と混合する前にそれを水に添加する。必要な場合には、この段階でpHを調整することができ、必要な場合には、最終体積を水で調整することができる。
【0030】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、例えば、非経口投与用に製剤化する場合、エマルジョン中の油の小滴の粒径は、天然のカイロミクロンのサイズ範囲、すなわち0.4~1.0umの範囲内であるか、またはそれ未満である。粒径がこれより大きい場合、この脂質粒子は、肝臓、脾臓、および肺に沈着して、注入後に顕著な脂肪負荷をもたらし得る(Rahui C.M., et I al., Am. Hosp. Pharm. 1992, 49:2749-2755)。粒径が小さい脂質はエマルジョン中により上手く分散し、より安全かつ安定なエマルジョンを生じる傾向がある。本発明に従ってエマルジョンを調製するために適切な条件の選択は、当技術分野の研究者の通常の技能の範囲内とみなされる。
【0031】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンは、安定なエマルジョンである。本明細書において使用される場合、用語「安定なエマルジョン」とは、妥当な保存期間および使用期間を含む長期間(例えば、少なくとも約1ヶ月またはそれより長く)、連続相(または液体担体)の全体にわたって液滴が実質的に均等に分散したままであるエマルジョンを意味する。例えば、液滴は、長期間(例えば、少なくとも約1ヶ月またはそれより長く)後に、凝集もせず沈降もしない。
【0032】
本明細書において使用される場合、用語「実質的に不混和性の」は、互いに接触している場合に均質な混合物を形成しない2種またはそれ以上の液体を意味する。いくつかの態様において、2種またはそれ以上の実質的に不混和性の液体が互いに接触している場合、これらの液体のうちの1つは、別の実質的に不混和性の液体への不完全な溶解性(例えば、わずか10%またはそれより小さい)を有し得る。本明細書において使用される用語「均質な混合物」は、混合物中のすべての構成成分および/または液体が単一の相中に容易に存在していることを意味する。例えば、構成成分および/または液体のうちの1種または複数種は、混合物を長期間(例えば、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、またはそれより長い時間を例として含む、少なくとも約6時間またはそれより長く)静置した場合でさえ、別々の相に分離しない。液滴および液体担体の混和性に関係する場合、用語「実質的に不混和性の」は、互いに接触している場合に均質な混合物を形成しない、液滴の少なくとも外表面を形成する液体(例えば、薄い液層)および液体担体を意味する。
【0033】
本明細書において使用される場合、かつ本明細書の全体を通して、用語「液滴」は、少なくとも2種またはそれ以上の液体または液相を例として含む少なくとも1種の液体または少なくとも1種の液相を含む、有限体積の物質を意味する。液滴は、任意の寸法、外形、および/または形状のものであることができる。本明細書において説明される様々な局面のいくつかの態様において、液滴は、該液滴を含むエマルジョンを投与するのに使用される針の内径よりも小さい(例えば、少なくとも50%小さい)液滴サイズを有することができる。液滴は、指定された「サイズ」あたりに液滴サイズの分布を通常は示すことが、当業者には理解されると考えられる。別段の記載がない限り、本明細書において使用される用語「液滴サイズ」または「サイズ」は、液滴のサイズ分布の最頻値、すなわち、そのサイズ分布中に最も頻繁に存在する値を意味する。液滴サイズを測定するための方法は、当業者に公知であり、例えば、動的光散乱法(光子相関分光法、レーザー回折法、低角度レーザー光散乱(LALLS)、および中角度レーザー光散乱(MALLS)など)、光遮蔽法(コールター解析法など)、または他の技術(レオロジー、および光学顕微鏡法または電子顕微鏡法など)による。
【0034】
本明細書において説明される組成物は、エマルジョンとして投与することが意図されるが、他の形態の製剤もまた、本発明に包含される。例えば、本明細書においてエマルジョンとして説明される組成物はまた、当業者に周知の手順を用いて、配合物中の全固形物の比率を高めることにより、粉末形態で作製することもできる。濃縮物または粉末は、水(水道水または脱イオン化滅菌水)を添加してエマルジョンを形成させることにより、栄養法用に再構成することができる。
【0035】
本明細書において使用される場合、用語「ドコサヘキサエン酸」または「DHA」は、ω3脂肪酸、すなわち、全cis-ドコサ-4,7,10,13,16,19-ヘキサエン酸または22:6(ω3)である。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「エイコサペンタエン酸」または「EPA」は、ω3脂肪酸、すなわち、(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン酸または20:5(ω3)である。
【0037】
本明細書において使用される場合、用語「アラキドン酸」または「ARA」は、ω6脂肪酸、すなわち、cis-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸または20:4(ω6)である。
【0038】
本明細書において使用される場合、用語「脂肪酸」は、不飽和(例えば、一価不飽和、多価不飽和)脂肪酸または飽和脂肪酸などの脂肪酸、ならびにそれらの薬学的に許容されるエステル、遊離酸、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、誘導体、結合体、前駆体、塩、および混合物を含む。
【0039】
本明細書において使用される場合、用語「ω6脂肪酸」は、天然および合成のω6脂肪酸、ならびにそれらの薬学的に許容されるエステル、遊離酸、トリグリセリド、誘導体、結合体、前駆体、塩、および混合物を含む。ω6脂肪酸には、リノレン酸(LA)、γ-リノレン酸(GLA)、カレンジン酸、エイコサジエン酸、ジホモγ-リノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(ARA)、ドコサジエン酸、アドレン酸、オズボンド酸、テトラコサテトラエン酸、およびテトラコサペンタエン酸が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。ω6脂肪酸は、ω6油の形態で提供され得る。本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)中で使用するためのω6油は、高含有量のARAを有することができる。ω6油および/またはω6脂肪酸は、動物、植物、藻類に由来するか、または合成由来であってよい。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6油および/またはω6脂肪酸は、植物、藻類に由来するか、または合成由来であってよい。例えば、ω6油および/またはω6脂肪酸の適切な供給源は、アマニ油、キャノーラ油、カラシ種子油、ヤシ油、オリーブ油、ダイズ油、およびモルティエレラ・アルピナ油などである。
【0040】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)のω6脂肪酸は、ARAを含むか、ARAからなるか、またはARAから本質的になることができる。
【0041】
本開示に包含されるω6脂肪酸およびその混合物の例には、CAS 506-32-1;GRAS申請書類GRN 730、GRN 326、GRN 94、GRN 80、GRN 41(fda.gov/media/112256/downloadを参照されたい);およびFSANZ(Food Standards Australia New Zealand) 2003. DHASCO and ARASCO oils as sources of long-chain polyunsaturated fatty acids in infant formula: A safety assessment. Technical report series 22: 1-54(ワールドワイドウェブ:foodstandards.gov.auで入手可能である)で定義されているω6脂肪酸が含まれる;これらは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0042】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAおよび/またはω6脂肪酸は、ARASCO(商標)(DSM; Heerlen, Netherlands)の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、ARASCO(商標)を含む。適切な藻類油はまた、Cargill、Fementlag(例えばDHA ORIGINS(商標))、およびCorbion(例えばALGAPRIME(商標))からも入手できる。本開示に適したω6脂肪酸のその他の市販物の例は、(例えば、トリグリセリド(TG)、エチルエステル(EE)、遊離脂肪酸型(FA)の形態で、かつ/またはリン脂質として存在できる)様々な脂肪酸混合物を含み、非限定的に、Linyi Youkang Biology Co、Yukang Biotechnology Co. Ltd.、Alfrebro LLC、Archer Daniels Midland Co.、BOC Sciences、Best of Chemicals Supplier、Jiangyin Healthway International Trade Co., Ltd.、Penta International Corporation、TCI AMERICA、およびQingdao Free Trade Zone United International Co Ltdから入手可能なω6脂肪酸調製物を含む。
【0043】
本明細書において使用されるω6脂肪酸は、例えば、非経口投与用の品質規格に合うように純化することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸は、追加のまたはさらなるω6脂肪酸で強化することができ、例えば、該ω6脂肪酸に別の供給源に由来する純化または合成されたω6脂肪酸を追加して、ω6脂肪酸含有量を増やすことができる。油を抽出および精製する方法は、当技術分野において周知である。これらの油を純化、抽出、または精製するために、これらの油が再エステル化を受ける必要はない。
【0044】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油または真菌油(例えばω6油)を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、ARAを含む植物油または真菌油を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物のARAは、植物油または真菌油の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油はジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油は、ダイズ油またはオリーブ油であるか、それらを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、真菌油は、モルティエレラ・アルピナ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。
【0045】
本明細書の実施例2に示されるように、イントラリピッドなどの製剤は、本明細書において説明される組成物と比べて顕著な毒性(例えば肝損傷)を示す。実施例2の実験は、リノール酸含有量の少ないダイズ油をイントラリピッドと対比しており、この実験は、リノール酸および/またはフィトステロールが、ダイズ油またはイントラリピッドなどのω6脂肪酸の毒性の顕著な供給源であることを示す。したがって、いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、40% w/v以下のリノール酸を含む。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、30% w/v以下のリノール酸を含む。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、20% w/v以下のリノール酸を含む。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、10% w/v以下のリノール酸を含む。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、5% w/v以下のリノール酸を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、植物油または真菌油は、リノール酸を含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、リノール酸を含まない。
【0046】
いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、621mg/kg/日以下の用量のリノール酸を含むか、またはリノール酸の621mg/kg/日以下の用量で投与される。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、401mg/kg/日以下の用量のリノール酸を含むか、またはリノール酸の401mg/kg/日以下の用量で投与される。いくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(またはその構成成分、例えば、(a)DHAおよび/もしくはEPAまたは(b)ARA)は、287mg/kg/日以下の用量のリノール酸を含むか、またはリノール酸の287mg/kg/日以下の用量で投与される。
【0047】
イントラリピッドは、1kg/日あたり約2~3gの脂肪を提供する用量で使用され、脂肪酸総量の約55%がリノール酸である。スモフリピッドは、1kg/日あたり約1gの脂肪を提供する用量で使用される。これらのレベルは、肝臓毒性を示すことが実証されている。したがって、これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、1kg/日あたり1g未満のリノール酸を提供する用量に関する製剤または方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、1kg/日あたり500mg未満のリノール酸を提供する用量に関する製剤または方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、1kg/日あたり400mg未満のリノール酸を提供する用量に関する製剤または方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、1kg/日あたり300mg未満のリノール酸を提供する用量に関する製剤または方法が、本明細書において説明される。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「ω3脂肪酸」は、天然および合成のω3脂肪酸、ならびにそれらの薬学的に許容されるエステル、遊離酸、トリグリセリド、誘導体、結合体、前駆体、塩、および混合物を含む。ω3脂肪酸には、ヘキサデカトリエン酸(HTA)、α-リノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ヘンエイコサペンタエン酸(HPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、クルパノドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、テトラコサペンタエン酸、およびテトラコサヘキサエン酸(ニシン酸)が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)中で使用するためのω3脂肪酸は、高含有量のエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)を有することができる。ω3脂肪酸は、ω3油の形態で提供され得る。ω3油および/またはω3脂肪酸は、動物由来であってよい。ω3油および/またはω3脂肪酸は、海産物由来または合成由来であってよい。例えば、ω3油および/またはω3脂肪酸の適切な供給源は、魚油またはアザラシ油である。適切な魚油供給源には、深海魚、サメ、サケ、タラ、サケ、カツオ、サバ、タイセイヨウサバ、ハドック、ニシン、マヒマヒ、メンハーデン、サバ、カラフトシシャモ、テラピア、サンマ、オキアミ、カタクチイワシ、ポラック、マス、ホワイトフィッシュ、マグロ、キュウリウオ、シャド、およびイワシ、ならびに本明細書の別の箇所で説明される冷水魚などが含まれる。
【0049】
本開示に記載の脂肪酸は、動物油および/または非動物油に由来してよい。本開示のいくつかの態様において、脂肪酸は、海産物油、藻類油、真菌油、植物ベースの油、および微生物油より選択される少なくとも1種の油に由来する。海産物油には、例えば、魚油、例えば、マグロ魚油、オキアミ油、および魚由来の脂質組成物が含まれる。植物ベースの油には、例えば、アマニ油、キャノーラ油、カラシ種子油、オリーブ油、およびダイズ油が含まれる。微生物油には、例えばMartekによる製品が含まれる。真菌油および藻類油には、例えばDSMによる製品が含まれる。
【0050】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)のω3脂肪酸は、DHAを含むか、DHAからなるか、またはDHAから本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)のω3脂肪酸は、EPAを含むか、EPAからなるか、またはEPAから本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)のω3脂肪酸は、EPAおよびDHAを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になることができる。
【0051】
本開示に包含されるω3脂肪酸およびそれらの混合物の例には、欧州薬局方のω3トリグリセリド、欧州薬局方のω3酸エチルエステル60、またはω3酸が豊富な魚油についてのモノグラフにおいて定義されるω3脂肪酸が含まれ、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0052】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHA、EPA、および/またはω3脂肪酸は、DHASCO(商標)(DSM; Heerlen, Netherlands)の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物はDHASCO(商標)を含む。
【0053】
本開示に適したω3脂肪酸のさらなる市販品の例は、限定されるわけではないが以下を含む、(例えば、トリグリセリド(TG)、エチルエステル(EE)、遊離脂肪酸型(FA)の形態で、かつ/またはリン脂質として存在できる)様々な脂肪酸混合物を含む:Incromega(商標)ω3海産物油濃縮物、例えば、Incromega(商標)E1070、Incromega(商標)TG7010 SR、Incromega(商標)E7010 SR、Incromega(商標)TG6015、Incromega(商標)EPA500TG SR、Incromega(商標)E400200 SR、Incromega(商標)E4010、Incromega(商標)DHA700TG SR、Incromega(商標)DHA700E SR、Incromega(商標)DHA500TG SR、Incromega(商標)TG3322 SR、Incromega(商標)E3322 SR、Incromega(商標)TG3322、Incromega(商標)E3322、Incromega(商標) Trio TG/EE(Croda International PLC, Yorkshire, England);EPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、EPAX7010EE、EPAX5500EE、EPAX5500TG、EPAX5000EE、EPAX5000TG、EPAX6000EE、EPAX6000TG、EPAX6000FA、EPAX6500EE、EPAX6500TG、EPAX4510TG、EPAX1050TG、EPAX2050TG、EPAX 7010TG、EPAX7010EE、EPAX6015TG/EE、EPAX4020TG、およびEPAX4020EE(EPAXは、ノルウェーの会社であるAustevoll Seafood ASAの完全所有子会社である);MEG-3(登録商標)EPA/DHA魚油濃縮物(Ocean Nutrition Canada);DHA FNO 「Functional Nutritional Oil」およびDHA CL 「Clear Liquid」 (Lonza);Superba(商標)オキアミ油(Aker);Martek製のDHAを含むω3製品;Neptuneオキアミ油(Neptune);Mollers製のタラ肝油製品および抗逆流魚油濃縮物(TG); Lysi製のω3魚油;Seven Seas Triomega(登録商標)タラ肝油ブレンド(Seven Seas);ならびにFri Flytオメガ3(Vesteralens)。
【0054】
本明細書において使用されるω3脂肪酸は、例えば、非経口投与用の品質規格に合うように純化することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸は、追加のまたはさらなるω3脂肪酸で強化することができ、例えば、該ω3脂肪酸に別の供給源に由来する純化または合成されたω3脂肪酸を追加して、ω3脂肪酸含有量を増やすことができる。油を抽出および精製する方法は、当技術分野において周知である。これらの油を純化、抽出、または精製するために、これらの油が再エステル化を受ける必要はない。
【0055】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、魚油を含み、かつ/またはDHAは、魚油の形態で提供される。本明細書において使用される場合、「魚油」は、魚または魚組織に由来する油を意味する。魚油は市販されており、例えば、10%(wt/wt)魚油トリグリセリドを、日本のNisshinにあるNisshin Flour Milling Co.から入手することができる。オメガベン(Fresnius Kabi)は、本明細書において説明される方法および組成物において使用するのに適している。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、ω3脂肪酸、DHA、および/またはEPAを含み得る。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、ω3脂肪酸含有量が多いことが公知である1種または複数種の冷水魚に由来する魚油であることができる。冷水魚の非限定的な例には、深海魚、サメ、サケ、タラ、サケ、カツオ、サバ、タイセイヨウサバ、ハドック、ニシン、マヒマヒ、メンハーデン、サバ、カラフトシシャモ、テラピア、サンマ、オキアミ、カタクチイワシ、ポラック、マス、ホワイトフィッシュ、マグロ、キュウリウオ、シャド、およびイワシが含まれ得る。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、1種または複数種の海水冷水魚に由来する魚油であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、サメ、サケ、タラ、サケ、カツオ、サバ、タイセイヨウサバ、ハドック、ニシン、マヒマヒ、メンハーデン、サバ、カラフトシシャモ、テラピア、サンマ、オキアミ、カタクチイワシ、ポラック、マス、ホワイトフィッシュ、マグロ、キュウリウオ、シャド、イワシ、またはそれらの任意の組合せに由来する魚油であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油はジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、魚油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0056】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は藻類油を含み、かつ/またはDHAおよび/もしくはEPAは藻類油の形態で提供される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において。
【0057】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、クリプテコディニウム・コーニイ由来の油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油はジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、藻類油は、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0058】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)ダイズ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる植物油と、(b)クリプテコディニウム・コーニイ由来の油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる藻類油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油および藻類油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)ダイズ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる植物油と(b)魚油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油および魚油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。
【0059】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)オリーブ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる植物油と、(b)クリプテコディニウム・コーニイ由来の油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる藻類油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油および藻類油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)オリーブ油であるか、オリーブ油を含むか、オリーブ油からなるか、またはオリーブ油から本質的になる植物油と(b)魚油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、植物油および魚油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。
【0060】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)モルティエレラ・アルピナ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる真菌油と、(b)クリプテコディニウム・コーニイ由来の油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる藻類油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、真菌油および藻類油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、(a)モルティエレラ・アルピナ油であるか、それを含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる真菌油と(b)魚油とを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、真菌油および魚油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。
【0061】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、真菌油および藻類油以外の、ω6脂肪酸またはω3脂肪酸の供給源を、含まない。
【0062】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物中に存在する(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、特定の比、例えば重量比で、存在する。
【0063】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:1~約1:20である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:1~約1:15である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:2~約1:15である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:2.8~約1:12.5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約3:2~約3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:2~約3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:2~約1:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約2:1~約1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、約1:1~約1:2である。
【0064】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、3:2~3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:2~3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:2~1:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、2:1~1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比は、1:1~1:2である。
【0065】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、さらなるω6脂肪酸および/またはω3脂肪酸、例えば、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAに加えてのω6脂肪酸および/またはω3脂肪酸、を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも10%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも20%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも30%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも35%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも60%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも70%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも80%を構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAならびにDHAおよび/またはEPAは、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも90%を構成する。
【0066】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の20(重量)%超が、DHAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の25(重量)%超が、DHAである。
【0067】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の30(重量)%超が、DHAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の35(重量)%超が、DHAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の40(重量)%超が、DHAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の45(重量)%超が、DHAである。
【0068】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAは、組成物中の主要なω3脂肪酸である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、DHAは、他の任意のω3脂肪酸よりも多い重量で、組成物中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の50(重量)%超が、DHAである。
【0069】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の20(重量)%超が、EPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の25(重量)%超が、EPAである。
【0070】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の30(重量)%超が、EPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の35(重量)%超が、EPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の40(重量)%超が、EPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の45(重量)%超が、EPAである。
【0071】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、EPAは、組成物中の主要なω3脂肪酸である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、EPAは、他の任意のω3脂肪酸よりも多い重量で、組成物中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の50(重量)%超が、EPAである。
【0072】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の20(重量)%超が、DHAおよびEPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の25(重量)%超がDHAおよびEPAである。
【0073】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の30(重量)%超が、DHAおよびEPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の35(重量)%超が、DHAおよびEPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の40(重量)%超が、DHAおよびEPAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω3脂肪酸の総量の45(重量)%超が、DHAおよびEPAである。
【0074】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の20(重量)%超が、ARAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の25(重量)%超が、ARAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の30(重量)%超が、ARAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の35(重量)%超が、ARAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の40(重量)%超が、ARAである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の45(重量)%超が、ARAである。
【0075】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、組成物中の主要なω6脂肪酸である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ARAは、他の任意のω6脂肪酸よりも多い重量で、組成物中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中に存在するω6脂肪酸の総量の50(重量)%超が、ARAである。
【0076】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも50%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも60%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも65%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも70%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも75%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも80%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも85%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも90%(例えば重量%)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(a)ARAならびに(b)DHAおよび/またはEPAは、ひとまとめとして、組成物中に存在するω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも95%(例えば重量%)である。
【0077】
本明細書の実施例2に示すように、組成物のω6とω3の比は、組成物の炎症誘発作用および抗炎症作用と相関する。したがって、これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1:1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約3:2~約3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:2~約3:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:2~約1:5である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:1~約1:2である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1:11.1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1.44:1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1:1.27である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1:2.17である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1:11.1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1.44:1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1:1.27である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約2:1~約1:2.17である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1:4である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:1~約1:11.1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:1~約1.44:1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:1~約1:1.27である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約8.41:1~約1:2である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1.44:1~約1:11.1である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1.44:1~約1:1.27である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1.44:1~約1:2.17である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物中のω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比は、約1:1.27~約1:2.17である。
【0078】
本明細書において説明される局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、高度に精製され得、例えば、この特定の手順の一環として、ω3脂肪酸および/もしくはω6脂肪酸ならびに/またはそれらのトリグリセリン化合物の初期含有量よりも多くに、高度に強化され得る。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、これらの組成物は、最低で95重量%の、例えば、96重量%の、97重量%の、98重量%の、またはそれより多い単量体トリグリセリドを含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、これらの組成物は、1重量%未満の酸化トリグリセリド、0.2重量%未満の三量体トリグリセリドおよびオリゴマートリグリセリド、ならびに0.8重量%未満の二量体ポリグリセリド、ならびに1.5重量%未満の乳化できない、具体的には炭水化物およびステランを含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、(例えば、精製または強化の後の)本明細書において説明されるω3脂肪酸および/もしくはω6脂肪酸ならびに/または組成物のコレステロール内容物は、2500ppm未満、例えば、1500ppm未満のコレステロールを含む。
【0079】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、天然トリグリセリドであり、例えば、それらは、蒸留も再エステル化もされていない。トリグリセリドの蒸留および/または再エステル化は、(例えば、ミリスチン酸またはパルミトレイン酸を除去するために)当技術分野において公知の特定の組成物において利用されるが、そのような手順はトリグリセリドを変化させてそれらにおいて毒性を誘導し、かつジグリセリド、モノグリセリド、および遊離脂肪酸の存在を増やすことが、本明細書において具体的に予想される。
【0080】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸はトリグリセリドであり、例えば、それらは別の箇所で説明するようなジグリセリドではない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、トリグリセリドである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、トリグリセリドである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、トリグリセリドである。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、トリグリセリドである。
【0081】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないジグリセリドを含むか、またはジグリセリドを含まない。
【0082】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のジグリセリドを含む。
【0083】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、ジグリセリドを含まない。
【0084】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ないモノグリセリドを含むか、またはモノグリセリドを含まない。
【0085】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下のモノグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下のモノグリセリドを含む。
【0086】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下の、9%以下の、8%以下の、7%以下の、6%以下の、5%以下の、4%以下の、3%以下の、2%以下の、1%以下の、もしくはそれより少ない、モノグリセリドおよびジグリセリドを含むか、またはモノグリセリドおよびジグリセリドを含まない。
【0087】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、例えばモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた総含有量に対する割合として、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のモノグリセリドとジグリセリドとトリグリセリドとを合わせた内容物全体は、10%以下の、モノグリセリドおよびジグリセリドを含む。
【0088】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸および/またはω6脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω3脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のω6脂肪酸は、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のEPAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のDHAおよびEPAは、ひとまとめとして、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物のARAは、ジグリセリドを含まない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、ジグリセリドを含まない。
【0089】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、組成物およびその構成成分は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、ω6脂肪酸は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、ω3脂肪酸は、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、ARAは、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、DHAは、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、EPAは、蒸留も再エステル化もされていない。これらの態様のいずれかの1つの局面において、DHAおよびEPAは、ひとまとめとして、蒸留も再エステル化もされていない。
【0090】
いくつかの態様において、脂肪酸は、本明細書において説明される油(例えば、植物油、魚油、藻類油、または微生物油)のエステル交換によって得られる。いくつかの態様において、脂肪酸は、本明細書において説明される油(例えば、植物油、魚油、藻類油、または微生物油)のエステル交換、および尿素分画とそれに続く分子蒸留を含む、その後の生理化学的純化プロセスによって、得られる。いくつかの態様において、未精製脂肪酸はまた、エステル交換の前に、環境汚染物質および/またはコレステロールの量を減らすためのストリッピング工程に供されてもよい。別の態様において、脂肪酸は、超臨界CO2抽出またはクロマトグラフィー技術を用いて、例えば、特定の脂肪酸を濃縮して高濃度にすることによって、得られる。
【0091】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、低いステロールレベルを有する。本明細書において使用される場合、用語「ステロール」は、以下の構造:
を含み、付加的な官能基または環系改変を任意でさらに含む、化合物を意味する。いくつかの態様において、ステロールはステロイドであることができる。例示的なステロールには、コレステロール、エルゴステロール、ヒドロキシステロイド、フィトステロール、ステロイド、および動物ステロールが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0092】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、10%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、9%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、8%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、7%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、6%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、5%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、4%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、3%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、2%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、1.5%(w/w)以下のステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、1%(w/w)以下のステロールを含む。
【0093】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、低いフィトステロールレベルを有する。本明細書において使用される場合、「フィトステロール」とは、植物由来のステロールおよびスタノール、例えばフィトステロイドを意味する。フィトステロールの非限定的な例には、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトスタノール、およびカンペスタノールが含まれ得る。
【0094】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、120mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、110mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、100mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、80mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、70mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、60mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、50mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、45mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、40mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、35mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、30mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、25mg/L以下のフィトステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、20mg/L以下のフィトステロールを含む。
【0095】
フィトステロールのレベルは、様々な方法によって、低減するか、または本明細書において説明される閾値内に維持することができる。例えば、天然にフィトステロールが少ない油または組成物を、使用することができる。いくつかの態様において、高フィトステロイル油を、本明細書において説明される最終フィトステロール含有量をもたらす割合で、低フィトステロール油と組み合わせることができる。いくつかの態様において、フィトステロールは、例えば純化によって、油から除去することができる。
【0096】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、20mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、10mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、5mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、3mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、2mg/L以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、1mg/L以下のスチグマステロールを含む。
【0097】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、5%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、4%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、3%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、2%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、1%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物またはその構成成分(例えば、ω3脂肪酸油および/もしくはω6脂肪酸油)は、0.5%(w/w)以下のスチグマステロールを含む。
【0098】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、5~150mg/kg/日の投与量のARAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10~200mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10mg/kg/日~3g/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、5~150mg/kg/日の投与量のARAならびに10~200mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、5~150mg/kg/日の投与量のARAならびに10mg/kg/日~3g/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。
【0099】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10~120mg/kg/日の投与量のARAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~150mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10~120mg/kg/日の投与量のARAならびに/または20~150mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、10~120mg/kg/日の投与量のARAならびに20~150mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。
【0100】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~60mg/kg/日の投与量のARAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、DHAを含むように、かつ/または40~100mg/kg/日の投与量で製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはePAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。
【0101】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~200mg/kg/日の投与量のARAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、DHAを含むように、かつ/または40~400mg/kg/日の投与量で製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~200mg/kg/日の投与量のARAならびに/または40~400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはePAを含むように製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、20~200mg/kg/日の投与量のARAならびに40~400mg/kg/日の投与量のDHAおよび/またはEPAを含むように製剤化される。
【0102】
前述の用量において、「kg」は、組成物を投与される対象の質量を意味する。
【0103】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、脂質エマルジョン、例えば水中脂質エマルジョンである。
【0104】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも5%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも10%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも15%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも20%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも25%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも30%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも35%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が少なくとも40%の水中油である。
【0105】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約10%~約50%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約10%~約40%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約10%~約30%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約20%~約50%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約20%~約40%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が約25%~約35%の水中油である。
【0106】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が10%~50%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が10%~40%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が10%~30%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が20%~50%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が20%~40%の水中油である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、油が25%~35%の水中油である。
【0107】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の約5% w/v~約50% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の約15% w/v~約25% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の約5% w/v~約50% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の約20% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の5% w/v~50% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の15% w/v~25% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の5% w/v~50% w/vを構成する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるω6脂肪酸(例えばARA)ならびにω3脂肪酸(例えば、DHAおよび/またはEPA)は、組成物の総体積中の脂肪総量の20% w/vを構成する。
【0108】
本明細書において説明される組成物、例えばエマルジョンは、例えば、経口的に、非経口的に、または静脈内に、投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、経口投与用に製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、非経口投与用および/または静脈内投与用に製剤化される。
【0109】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、最初に各構成成分を別々のエマルジョンとして乳化し、次いで、これらのエマルジョンを一緒に混合または組み合わせることによって、例えば、ω3脂肪酸油供給源(例えば、魚油または藻類油)を乳化し、ω6脂肪酸油供給源(例えば、植物油または真菌油)を乳化し、次いで、これら2種の乳化物を一緒に混合または組み合わせて、前述の組合せで最終的な組合せエマルジョンを生じさせることによって、調製することができる。
【0110】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、各エマルジョンは、高圧ホモジナイゼーションによって以下のように個別に製剤化することができる:最初に、加熱された(75~90℃)USPグレードの無菌注射用水(SWFI)に添加される卵リン脂質乳化剤を用いて、高速剪断混合条件下で脂質分散系を作製する。温度を40~45℃に低下させる。次いで、オレイン酸ナトリウムを添加し、剪断混合を3900~4000RPMで40分間継続する。次いで、加熱したSWFIを段階的に添加して、温度を40~45℃で維持する。持続的に剪断混合しながら、グリセリンを添加する。これにより、12%の卵リン脂質、25%のグリセリン、および0.3%のオレイン酸ナトリウムから構成される分散系がもたらされる。次いで、未精製の分散系をホモジナイザーに移し、40~45℃、9000psiで20サイクル、ホモジナイズし、0.45μmのメンブランに通してろ過し、0.5N水酸化ナトリウム(NaOH)を用いてpHを10.4に調整する。すべての段階は、窒素雰囲気下で実施する。エマルジョンを作製するために、40~45℃の温度を維持しながら、3500~4500 RPMで40~45分間の持続的剪断混合条件下で、油(例えば、ω3油またはω6油)を細く流し入れて分散物質に添加する。得られた粗エマルジョンをホモジナイザーに移し、40~45℃、5000psiで、エマルジョンを9サイクル以上、ホモジナイズする。0.1N NaOHを用いて、エマルジョンのpHを8.8より高くなるように緩衝化する。作製工程の段階はすべて、窒素雰囲気下で実施する。完成したエマルジョンをガラスセラムバイアルに等分し、上部の空間を窒素ガスで満たした後に封をする。すべてのバイアルを加熱滅菌した。これにより、各油タイプの最適なホモジナイゼーションが可能になって、非経口脂肪エマルジョンは、脂肪小滴平均サイズが500nmより小さく、5μmより大きい脂肪小滴(PFAT5)の比率が0.05%以下であるとする米国薬局方(USP)の第729章の要件に対する適合性が向上する。
【0111】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、2種またはそれ以上のエマルジョンの混合物であることができる。このアプローチは、脂質の最初の乳化処理後に付加的な構成成分を混合物に容易に添加できるようにするという利点を持ち得る。非限定的な例として、ω3油とω6油の50:50ブレンドに、製造時ではなく投与時に、患者に固有の状態に対応して、例えば、付加的な油エマルジョン、トリグリセリド、DHA、EPA、ARA、または他の脂質を必要に応じてさらに添加することができる。これにより、処方者が患者の固有の状態に対応して油のブレンドの用量を設定する際の自由度が高まり、多数のエマルジョン組合せを処方者が維持する必要性が小さくなる。
【0112】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物は、最初に構成成分を一緒に混合し、次いで、混合物の乳化物を調製することにより、例えば、ω3油およびω6油を混合し、次いでその混合物を乳化することによって、調製することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、脂質調製物の混合物の乳化物であることができる。
【0113】
本発明に従ってエマルジョンを調製するために、1種または複数種の乳化作用物質を、例えば、ω3油、ω6油、ARA、EPA、またはDHAの供給源と混合することができる。通常、この目的のための乳化作用物質は、天然由来、合成由来、または半合成由来のリン脂質である。様々な適切な乳化作用物質が、当技術分野において公知である。適切な乳化作用物質の例には、卵ホスファチジルコリン、卵レシチン、L-α-ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、DL-α-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、およびジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明によれば、乳化剤中のジグリセリドおよびモノグリセリドならびに遊離脂肪酸の合計濃度は、エマルジョンの合計油濃度への寄与を最小限にするために、低くあるべきである。本発明の1つの態様において、乳化剤中のトリグリセリドおよび遊離脂肪酸の合計濃度は、約3.5%より低い。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、レシチンは、脂質エマルジョン中の乳化作用物質として使用される。あるいは、卵レシチンを乳化作用物質として使用することができる。80~85%のホスファチジルコリンおよび約3.5%未満の脂肪を含む卵レシチンもまた、乳化作用物質として使用することができる。当業者は、他の構成成分が、乳化特性に悪影響を及ぼすことなく、卵レシチン中に存在し得ることを理解する。例えば、卵レシチンは、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、および他の天然構成成分のうちの1種または複数種を含んでよい。
【0114】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、約0.5%~約5%(w/v)の間の乳化作用物質を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、約0.6%~約2%(w/v)の間の乳化作用物質を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、約0.8%~約1.8%(w/v)の間の乳化作用物質を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、約1.0%~約1.5%(w/v)の間の乳化作用物質を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明されるエマルジョンは、約1.2%(w/v)の乳化作用物質を含む。
【0115】
エマルジョン中のレシチンと油の比は、エマルジョン内で形成される油小滴のサイズを決定する際に重要である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、レシチンと油の比は、約1:4~約1:20の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、この比は、約1:4~約1:18の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、この比は、約1:4~約1:15の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、この比は、約1:4~約1:10の間である。
【0116】
本発明による組成物、例えば脂質エマルジョンは、組成物(例えばエマルジョン)の安定性、均一性、および/または他の特性を向上させる付加的な構成成分、例えば、抗酸化剤、キレート剤、重量オスモル濃度調整剤、緩衝剤、および中和剤などをさらに含むことができる。脂質エマルジョンに添加できる適切な抗酸化剤には、α-トコフェロール(ビタミンE)およびトコトリエノールが含まれるが、それらに限定されるわけではない。当技術分野において公知であるように、トコトリエノールは、米ぬか油留出物から濃縮されたトコトリエノールおよびビタミンEエキスの天然ブレンドである。トコトリエノールは、ビタミンEと類似した構造を有しており、分子の炭素側鎖中に3つの二重結合を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)に添加される抗酸化剤の濃度は、典型的には約0.002~約1.0%(w/v)の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)中で使用される抗酸化剤の濃度は、約0.02%~約0.5%(w/v)の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、トコトリエノールが、抗酸化剤として組成物(例えばエマルジョン)に添加される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、約0.5%(w/v)のトコトリエノールが、組成物(例えばエマルジョン)に添加される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ビタミンEが、抗酸化剤として組成物(例えばエマルジョン)に添加される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、約0.02%(w/v)のビタミンEが、組成物(例えばエマルジョン)に添加される。
【0117】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも50mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも75mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも100mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも120mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも150mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも200mg/Lのレベルでエマルジョン中に存在する。
【0118】
前記組成物(例えばエマルジョン)は、組成物(例えばエマルジョン)の安定性を向上させ酸化脂肪酸の形成を減少させるために、キレート剤をさらに含むことができる。適切なキレート剤は当技術分野において公知であり、一般に安全と認められている(GRAS)化合物であるものである。例にはEDTAが含まれるが、それに限定されるわけではない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)はEDTAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、約1×10-6M~5×10-5Mの間の濃度のEDTAを含む。
【0119】
重量オスモル濃度調整剤もまた、組成物(例えばエマルジョン)の重量オスモル濃度を非経口投与に適した値に調整するために、組成物(例えばエマルジョン)中に組み込むことができる。非経口エマルジョン中で使用するための重量オスモル濃度調整剤の量およびタイプは、当技術分野において周知である。適切な重量オスモル濃度調整剤の例は、グリセロールである。典型的には、重量オスモル濃度調整剤の濃度は、約2%~約5%(w/v)の範囲にわたる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)に添加される重量オスモル濃度調整剤の量は、約2%~約4%の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)に添加される重量オスモル濃度調整剤の量は、約2%~約3%の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、約2.25%(w/v)のグリセロールが、重量オスモル濃度調整剤として組成物(例えばエマルジョン)に添加される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、最終製品は、中心静脈カテーテルまたは末梢静脈カテーテルのいずれかを介する組成物(例えばエマルジョン)の注入を可能にするために、等張性である。
【0120】
前記組成物(例えばエマルジョン)のpHは、緩衝剤または中和剤を用いて調整することができる。生理的pHに近いか、またはそれを上回るpH値を有するエマルジョンは、脂肪酸過酸化を起こす傾向が低いことが示されている。当業者は、脂肪酸の負電荷を中和する適切な塩基を用いて、適切な緩衝剤を用いて、またはそれらの組合せによって、組成物(例えばエマルジョン)のpHを調整できることを理解するであろう。様々な塩基および緩衝剤が、本発明の組成物(例えばエマルジョン)と共に使用するのに適している。当業者は、組成物(例えばエマルジョン)への緩衝剤の添加が組成物(例えばエマルジョン)の最終pHだけでなくイオン強度にも影響を及ぼすことを理解するであろう。高いイオン強度は、組成物(例えばエマルジョン)のゼータ電位(すなわち、油小滴の表面電荷)に悪い影響を与える場合があり、したがって、望ましくない。適切なpHをもたらすのに適切な緩衝強度の選択は、当技術分野の研究者の通常の技能の範囲内であるとみなされる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)のpHは、水酸化ナトリウムを用いて調整される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、pHは、緩衝剤を用いて調整される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、緩衝剤は、リン酸緩衝液である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、水酸化ナトリウムおよびリン酸緩衝液の両方が、組成物(例えばエマルジョン)に添加される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)の最終pHは、約6.0~約9.0の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)のpHは、約7.0~約8.5の間である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、エマルジョンのpHは、約7.0~約8.0の間である。
【0121】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、脂質エマルジョンは、組成物(例えばエマルジョン)の安定性を調整するための構成成分、例えば、アミノ酸または炭水化物、例えば、フルクトース、グルコース、もしくはデキストロース、をさらに含むことができる。脂質エマルジョンはまた、グルコースもしくはデキストロース、アミノ酸、ビタミン、または他の非経口栄養補助物質などの栄養物を含むように製剤化することもできる。治療物質を組み込むように脂質エマルジョンを製剤化することもまた、本発明の範囲内であるとみなされる。本明細書において使用される「治療物質」とは、動物において1種または複数種の局部的効果または全身的効果をもたらす、生理学的または薬理学的に活性な物質を意味し、通常、薬物、栄養補助物質、ビタミン、ミネラル、酵素、ホルモン、タンパク質、ポリペプチド、抗原、および他の治療または診断に有用な化合物を意味する。
【0122】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、1種もしくは複数の付加的な脂肪酸またはそれらの混合物である添加物をさらに含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される方法は、1種もしくは複数種の付加的な脂肪酸またはそれらの混合物である添加物を投与する段階をさらに含むことができる。添加物は、疾患、例えば、対象がその治療を必要としている疾患に対して治療的である1種または複数種の脂肪酸を含むことができる。例えば、DHAは、嚢胞性線維症の患者に治療的であり得、嚢胞性線維症の対象に対する添加物は、DHAを、例えば、栄養バランスに必要である量より多く含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、添加物は、治療的である比または配合で脂肪酸を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、添加物は、ナノグラム~グラム/kg/日の用量で与えられる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、添加物は、1ナノグラム~10グラム/kg/日の用量で与えられる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、添加物は、1ナノグラム~100グラム/kg/日の用量で与えられる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、添加物は、1ナノグラム~1000グラム/kg/日の用量で与えられる。
【0123】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、中鎖トリグリセリド(MCT)、卵レシチン、ヒマワリ種子油、ヒマワリレシチン、ヒマワリ種子から得られる乳化剤、およびオキアミ油/オキアミレシチンのうちの1種または複数種をさらに含む。ヒマワリレシチンは、より多いホスファチジルコリン含有量で知られる乳化剤であり、例えばLipoidから市販されている。オキアミ油またはオキアミレシチンは、リン脂質含量が多いことが理由で、自己乳化性である。
【0124】
本明細書において使用される場合、「中鎖トリグリセリド」または「MCT」は、炭素原子6~12個の鎖の脂肪酸を有するトリグリセリドを意味する。トリグリセリド(「TG」)(トリアシルグリセロールまたはトリアシルグリセリドとしても公知)は、グリセロールが3つの脂肪酸でエステル化されているグリセリドである。MCTは、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、およびカプロン酸より選択される脂肪酸を含むことができる。MCTは、果物または野菜などの植物、例えば、複数の植物に由来してよい。本開示で使用するためのMCTの説明は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる「Triglycerides, Medium Chain」(Triglycerida saturate media)という題のEPモノグラフ0868(EP 0868, 2008)の要件を満たすことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、MCTは、オメガ9脂肪酸および/または飽和脂肪酸を含む。
【0125】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、α-トコフェロールをさらに含むこともできる。本明細書において使用される場合、「α-トコフェロール」は、その立体異性体のいずれかの、式Iの構造を有するビタミンEの形態を意味する:
。
【0126】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも50mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも75mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも100mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも120mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも150mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、α-トコフェロールは、少なくとも200mg/Lのレベルで組成物(例えばエマルジョン)中に存在する。
【0127】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、少なくとも2:1の重量比で、α-トコフェロールならびに他の形態のビタミンE(例えば、βトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロール、αトコトリエノール、βトコトリエノール、γトコトリエノール、および/またはδトコトリエノール)を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、少なくとも3:1の重量比でα-トコフェロールおよび他の形態のビタミンEを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、少なくとも5:1の重量比でα-トコフェロールおよび他の形態のビタミンEを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、少なくとも10:1の重量比でα-トコフェロールおよび他の形態のビタミンEを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物(例えばエマルジョン)は、α-トコフェロール以外の形態のビタミンEを含まない。
【0128】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とを含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、なることができる。
【0129】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)を含む1種または複数種のω3脂肪酸とを、含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)を含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)を含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、なることができる。
【0130】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とを、含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、少なくともEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸とから、なることができる。
【0131】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸はARAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸はARAから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω6脂肪酸はARAからなる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はDHAおよびEPAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸は、DHAおよびEPAから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はDHAおよびEPAからなる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はDHAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はDHAから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はDHAからなる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はEPAを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はEPAから本質的になる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、ω3脂肪酸はEPAからなる。
【0132】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)と、を含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)と、から本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)と、からなることができる。
【0133】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、を含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、から本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、からなることができる。
【0134】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数のω3脂肪酸と、(c)水と、を含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数のω3脂肪酸と、(c)水と、から本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数のω3脂肪酸と、(c)水と、からなることができる。
【0135】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)水と、(d)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、を含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)水と、(d)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、から本質的になることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、(a)少なくともアラキドン酸(ARA)を含む1種または複数種のω6脂肪酸と、(b)少なくともドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはEPAを含む1種または複数種のω3脂肪酸と、(c)水と、(d)乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種と、からなることができる。
【0136】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、乳化剤(例えば、リン脂質および/または卵リン脂質)、グリセリン、およびオレイン酸ナトリウムのうちの1種または複数種をさらに含むことができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、0.5~2.5%の卵リン脂質、0.5~5.0%のグリセリン、および0.005~0.1%のオレイン酸ナトリウムを含むことができる。
【0137】
1つの局面において、本明細書において説明される組成物、例えば、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含むキットが、本明細書において説明される。キットは、本明細書において説明される方法を実施するための単位として販売促進、流通、または販売される、少なくとも1つの試薬、例えば組成物(例えばエマルジョン)を含む任意の製造物(例えば、包装物または容器)である。本明細書において説明されるキットは、本明細書において説明される方法を実施するのに有用な付加的な構成要素、例えば、所望の経路によって投与するのに有用な針、管などを任意で含むことができる。例として、キットは、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)と共に使用するのに適した流体(例えば緩衝液)、および本明細書において説明される方法の実施について説明する取扱い説明資料などを含むことができる。キットは、本明細書において説明される組成物を送達するための器具および/または試薬をさらに含むこともできる。さらに、キットは、取扱い説明書リーフレットを含んでもよく、かつ/または投与量、投与頻度などに関する情報を提供してもよい。
【0138】
本発明のキットは、組成物(例えばエマルジョン)の使用および投与量に関する取扱い説明書一式、通常は書面による取扱い説明書と一緒に組成物(例えばエマルジョン)を含む、1つまたは複数の包装物または容器を含む。キットは、投与前に組成物(例えばエマルジョン)に添加され得る1種または複数種の栄養物または治療的化合物もしくは診断用化合物を含む、付加的な容器をさらに含んでもよい。組成物(例えばエマルジョン)を含む包装物は、単位用量または製薬大量包装物の形態であってよい。用量は、各用量が例えばその週の1日に関連付けられているような様式で包装されてよい。生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する行政機関によって規定された形式の注意書きが、キットに付随してもよく、この注意書きは、ヒト投与または動物投与のための製造、使用、または販売をその機関によって承認されていることを示す。
【0139】
容器の設計もまた、脂肪エマルジョンを製造する際の重要な因子である。例えば、組成物(例えばエマルジョン)をガラス中に包装する場合、実際のエマルジョンを添加する前にその容器を窒素で満たすことができる。組成物(例えばエマルジョン)の添加後、ガラス容器を再び窒素で満たして、ふたを付ける際のデッドスペースを取り除くことができる。このような窒素充填により、過酸化物形成を防止する。製品をプラスチック中に包装する場合、気体を通さない、DEHPを含まない容器を使用することができる。容器はまた、脂質中の過酸化物形成ならびに容器から可塑剤が製品それ自体に染み入るのを最小限にするために、適切な上包みを有することもできる。さらに、プラスチックを使用する場合、乾燥剤も、上包みに空気漏れがあるかを指摘する指示薬と共に、袋中に含めることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、容器は、ラテックスフリーであることができる。
【0140】
いくつかの態様において、キットは、本明細書において説明される組成物を含む袋、瓶、またはシリンジを含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、非経口投与用に製剤化され、無菌、視認できる粒子状物質を含まない、およびエンドトキシンを含まない、のうちの1つまたは複数である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物は、経口投与用に製剤化される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、キットは、例えば親および介護者による使用のために、本明細書において説明される組成物との混合物または混和物中に、乳児用調製乳を含む。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、キットは、例えば非治療的方法での使用のために、本明細書において説明される組成物との混合物または混和物中に、乳児用調製乳を含む。
【0141】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、キットは、本明細書において説明される組成物を含む容器と投与器具とを含む。投与器具は、使用者が所定の用量を測定または施与することを可能にする。例示的であるが非限定的な投与器具には、計量カップ、シリンジ、1回量のみを含む容器、およびスプーンなどが含まれ得る。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、5g以下の脂肪酸/kg/日の用量を提供する大きさに作られる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、4g以下の脂肪酸/kg/日の用量を提供する大きさに作られる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、3g以下の脂肪酸/kg/日の用量を提供する大きさに作られる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、5cc/日以下の用量を提供する大きさに作られる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、4cc/日以下の用量を提供する大きさに作られる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与器具は、3cc/日以下の用量を提供する大きさに作られる。
【0142】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、その必要のある対象に、本明細書において説明される製剤(例えば、組成物またはエマルジョン)を投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。本明細書において説明される製剤を必要とする対象は、(経口的または非経口的のいずれかで)補助栄養を必要とする対象、非経口栄養を必要とする対象、または完全非経口栄養を必要とする対象であることができる。当業者は、本明細書において説明される製剤を必要とする対象、例えば、(肝疾患を含む)副作用のリスクが原因で、従来のPNまたはTPNを減量または中止すべきであることを示す指標として解釈される症状を明示している対象を含む、非経口栄養を受けている対象を、容易に特定することができる。このような対象および彼らの症状は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるGuidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (A.S.P.E.N.), Taylor et al.において詳細に説明されている(ワールドワイドウェブのjournals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/2016/02000/Guidelines_for_the_Provision_and_Assessment_of.20.aspxで入手可能)。
【0143】
本明細書において説明される組成物は、2つの異なる目的のために少なくとも2つの方法で利用することができる。第1のアプローチでは、本明細書において提供される組成物は、成長および発育のための脂肪酸を提供するために、栄養として非経口的に(例えば、完全非経口栄養によって)投与される。このアプローチは、具体的には早産児に適用可能であり、最も具体的には、消化系が完全経腸栄養を可能にするほど十分にはまだ発達していない妊娠34週またはそれより前に出生した乳児に適用可能である。第2のアプローチでは、本明細書において提供される組成物は、成長および発育のための付加的な脂肪酸の必要量を提供するために、(例えば、中心静脈カテーテルもしくは末梢静脈カテーテル、皮下注射、または経腸投与を介して)補助物質として投与される。この第2のアプローチにおいて、組成物は、他の脂質エマルジョンまたは経腸の人乳もしくは乳幼児用調製乳において利用可能である量またはそれらから消化され得る量よりも、多くのDHA/ARAを提供することができる。
【0144】
これらの態様のいずれかの1つの局面において、対象に栄養を提供しかつ/または対象における神経発達を促進する方法であって、本明細書において説明される組成物を対象に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、神経発達は、脳および/または眼における神経発達である。
【0145】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、投与は、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる。これらの態様のいずれかの1つの局面において、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる方法であって、本明細書において説明される組成物を対象に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される方法に従って治療される対象は、網膜症、気管支肺異形成症、または周産期敗血症を有するか、それを有すると診断されるか、またはそのリスクがある。
【0146】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が投与される患者は、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度もしくは消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、局所麻酔薬中毒、全身中毒症の治療の状態、非経口治療薬のビヒクルもしくは賦形剤を必要とする状態、またはMCTならびに魚油および/もしくはω3脂肪酸以外の成分を含む脂質エマルジョンに対するアレルギー、からなる群より選択される状態の治療を必要とする対象であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が投与される患者は、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度もしくは消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、局所麻酔薬中毒、全身中毒症の治療の状態、または非経口治療薬のビヒクルもしくは賦形剤を必要とする状態、からなる群より選択される状態を有するかまたは有すると診断された対象であることができる。
【0147】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、肝疾患、例えば脂肪性肝疾患を有するか、またはその治療を必要とする。本明細書において使用される場合、「脂肪性肝疾患」とは、脂肪(肝細胞)が肝臓中に過剰に蓄積し、慢性肝炎および肝硬変などの重度の疾患を引き起こし得る、疾患を意味する。脂肪性肝疾患の患者では、脂質、特に中性脂肪が、生理学的に許容される範囲をその量が超える程度まで、肝細胞中に蓄積する。生化学的観点からは、脂肪性肝臓(fatty liver)を判定するための基準は、中性脂肪の重量が肝臓組織の湿重量の約10%(100mg/g湿重量)またはそれより多いことである。通常、脂肪性肝疾患は、肝細胞損傷の指標となるアミノ基転移酵素ALTおよびASTなどの肝臓特異的酵素の血清レベルの上昇を観察することにより、ならびに疲労および肝臓領域の疼痛を含む症状の提示に基づいて、検出されるが、多くの場合、確定診断には生検が必要となる。
【0148】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、PN関連肝疾患またはPN誘発性肝疾患を有するか、またはその治療を必要としている。この疾患は、生化学的変化、すなわち、血清中アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、およびアルカリホスファターゼの上昇と、組織学的変化、例えば、脂肪症、脂肪性肝炎、リピドーシス、胆汁うっ滞、線維症、および肝硬変との両方を含む。この疾患は、進行性で、PN投与の過程とともに悪化する場合があり、小児集団の方が有病率が高いと思われる。この状態のさらなるリスク因子には、早産、低出生体重、長期使用、同時に行われる経口摂取の不足、敗血症、および多数の術式が含まれる。全般的にみて、PNによって誘発される肝臓病変の重症度は、患者の年齢と反比例の関係にあると考えられている。
【0149】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、非経口投与または静脈内投与される。
【0150】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、非経口投与(PN)によって投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、完全非経口投与(TPN)によって投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、非経口投与(PN)を必要としている。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、完全非経口投与(TPN)を必要としている。PN用途または治療的利益のために患者に脂質エマルジョンを投与する方法は、当技術分野において公知である。典型的には、組成物(例えばエマルジョン)は、適切な期間にわたって注入によって投与される。適切な投与量および投与;治療計画は、臨床分野の熟練者によって容易に決定され得る。
【0151】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、PNまたはTPNのために本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、いかなる経口栄養も投与および/または許可されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、PNまたはTPNのために本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、脂肪および/または脂肪酸を含むいかなる経口栄養も投与および/または許可されない。
【0152】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、PNまたはTPNのために本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、いかなる他の非経口製剤も投与されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、PNまたはTPNのために本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、脂肪および/または脂肪酸を含むいかなる他の非経口製剤も投与されない。
【0153】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、脂肪および/または脂肪酸の他のいかなる栄養供給源も投与および/または許可されない。
【0154】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、必須脂肪酸の他のいかなる栄養供給源も投与および/または許可されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、必須脂肪酸の他のいかなる経口栄養供給源も投与および/または許可されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、必須脂肪酸の他のいかなる非経口栄養供給源も投与および/または許可されない。
【0155】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、経口投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、経口栄養を必要としている。脂質エマルジョンを患者に経口投与する方法は、当技術分野において公知である。本明細書において説明される組成物の乳化形態の経口投与は、消化器系における吸収を改善することができるので、特に有利である。
【0156】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、栄養バランスを維持するのに十分であると思われる他のいかなる栄養供給源も投与および/または許可されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、栄養バランスを維持するのに十分であると思われる他のいかなる経口/経腸栄養供給源も投与および/または許可されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与される対象は、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される治療期間(例えば、彼らが組成物(例えばエマルジョン)を投与される数日または数週の期間)の間、栄養バランスを維持するのに十分であると思われる他のいかなる非経口栄養供給源も投与および/または許可されない。本明細書において使用される場合、「栄養バランス」とは、適切な栄養の提供による、成長、発育の維持、および栄養不足がない状態を意味する。栄養バランスは、不都合な転帰をもたらし得るいかなる特定の栄養物も過剰に提供することなく、各個体の要件を満たす。
【0157】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、デキストロースを受けないか、または投与されない。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、患者は、デキストロース溶液を受けないか、または投与されない。
【0158】
本明細書の別の箇所で説明するように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、単独療法に適していることが実証されており、例えば、これらは、単独療法として投与された場合に、網膜症、気管支肺異形成症、周産期敗血症、必須脂肪酸欠乏、炎症、および/または他の栄養不足を誘発しない。これは、他の点では投与(例えば非経口投与)に適している可能性があるすべての脂肪/脂肪酸組成物が共有しているわけではない特徴である。したがって、これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えば、エマルジョン)は、対象が治療を必要とする状態のための単独療法として投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、栄養的ニーズに対する単独療法として投与され、例えば、有効な栄養価のない抗炎症剤を同時に投与してよいが、組成物(例えばエマルジョン)は、栄養的ニーズに関してはそれでもなお単独療法である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、脂肪酸に関して単独療法として投与され、例えば、脂肪酸の他の供給源が、対象に投与されることもなく、対象によって摂取されることもない。
【0159】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、新生児または新産児である。本明細書において使用される場合、用語「新生児」は、誕生時から生後28日目までの乳児を意味する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、新生児はヒト乳児である。新生児が早産児である態様において、28日目は、早産の日数を含むように延長される。
【0160】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は乳児である。本明細書において使用される場合、用語「乳児」は、誕生時から1歳までの幼児を意味する。
【0161】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、早産の新生児または乳児である。本明細書において使用される場合、用語「早産の」は、38週未満の妊娠期間の後に出生したヒトを意味する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、38週未満の妊娠期間とは、38週未満の月経年齢または在胎期間を意味する。
【0162】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、妊娠34~36週の間に出生した早産の新生児または乳児(後期早産児)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、妊娠32~34週の間に出生した早産の新生児または乳児(中等度早産児)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、妊娠32週の前に出生した早産の新生児または乳児(極早産児)である。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、対象は、妊娠25週またはそれより前に出生した早産の新生児または乳児(超早産児)である。
【0163】
早産児の場合、栄養の考慮および在胎期間の補正は、修正年齢(暦年齢ではない)が2歳になる年齢まで行われる。
【0164】
妊娠の終わり頃の週は、神経、網膜、および気管支肺の発達に必要とされる不可欠な供給物および栄養物を提供する。本明細書において実証されるように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の投与は、栄養を効果的に提供すること、脂肪酸のレベルおよび割合を望ましい様式で調節すること、ならびに毒性作用を低減させることができる。加えて、本明細書において説明される組成物の投与は、血液脳関門を通過してこれらの有益かつ治療的な効果を提供することができ、このことは、構造的に類似した血液網膜関門を通過して眼において認められる効果に反映されると理解される。したがって、例えば本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、早産児を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、脳室内出血、発達認知障害、発達遅延、発話もしくは言語の障害、または視覚障害を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、早産で出生した対象における脳室内出血、発達認知障害、発達遅延、発話もしくは言語の障害、または視覚障害を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、神経学的発達障害を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、網膜発達障害を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、気管支肺発達障害を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、例えば、本明細書において説明される方法に従って、本明細書において説明される組成物を投与する段階を含む、気管支肺異形成症を治療する治療的方法が、本明細書において説明される。
【0165】
これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、早産児の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、神経学的発達障害の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、網膜発達障害の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、気管支肺発達障害の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、気管支肺異形成症の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、早産児の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、脳室内出血、発達認知障害、発達遅延、発話もしくは言語の障害、または視覚障害の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、早産で出生した対象における脳室内出血、発達性認知障害、発達遅延、発話もしくは言語の障害、または視覚障害の治療において医薬として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。
【0166】
これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、非治療的補助物質として使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、脳発達の速度を改善するかまたは速くする非治療的方法において使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、網膜発達の速度を改善するかまたは速くする非治療的方法において使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、気管支肺の発達の速度を改善するかまたは速くする非治療的方法において使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。これらの態様のいずれかのいくつかの局面において、乳児の成長および/または発育の速度を改善するかまたは速くする非治療的方法において使用するための本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)が、本明細書において説明される。
【0167】
妊娠34週未満で出生した早産児は、経口投与される製剤を適切に消化することができない。したがって、これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に非経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に非経口的に投与する段階を含み、かつ本明細書において説明される組成物を経口的に投与する段階を含まない、方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階を含み、かつ本明細書において説明される組成物を、出生から妊娠38週に相当する年齢まで経口的に投与する段階を含まない、方法が、本明細書において説明される。
【0168】
これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階を含み、次いで、本明細書において説明される組成物を、(例えば、妊娠38週に相当する年齢から2歳まで)経口的および/または非経口的に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階、および本明細書において説明される組成物を、出生から妊娠37週に相当する年齢まで経口的に投与せず、その後、本明細書において説明される組成物を、(例えば、妊娠38週に相当する年齢から2歳まで)経口的および/または非経口的に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。
【0169】
これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階を含み、次いで、本明細書において説明される組成物を、(例えば、妊娠38週に相当する年齢から2歳まで)経口的に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34週より前に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階、および本明細書において説明される組成物を、出生から妊娠38週に相当する年齢まで経口的に投与せず、その後、本明細書において説明される組成物を、(例えば、妊娠38週に相当する年齢から2歳まで)経口的に投与する段階を含む、方法が、本明細書において説明される。
【0170】
妊娠34~38週の間に出生した早産児は、経口投与された製剤を消化する能力を有し得るが、経口投与のみでは、消化が十分に効率的ではない場合がある。したがって、これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に非経口的および/または経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的および/または経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に非経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に非経口的および経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠34~38週の間に出生した早産児に、出生から妊娠38週に相当する年齢まで非経口的および経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。
【0171】
すべての乳児、すなわち、妊娠38週に出生した乳児もしくは妊娠38週を過ぎて出生した乳児または両方の早産児に関して、経口投与は、妊娠38週に相当する年齢を過ぎると十分であり得る。これらの局面のいずれかの1つの態様において、本明細書において説明される組成物を、妊娠38週に相当する年齢を過ぎた乳児に経口的に投与する段階を含む方法が、本明細書において説明される。
【0172】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、約0.5gの脂肪酸/kg/日~約5gの脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、0.5gの脂肪酸/kg/日~5gの脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、約1gの脂肪酸/kg/日~約3gの脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、1gの脂肪酸/kg/日~3gの脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、約2gの脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。
【0173】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5g以下の脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、4g以下の脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、3g以下の脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、2g以下の脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、1g以下の脂肪酸/kg/日の用量で投与することができる。
【0174】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに/または10mg/kg/日~3g/kg/日のDHAおよび/もしくはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10mg/kg/日~3g/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに10mg/kg/日~3g/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。
【0175】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、20~60mg/kg/日のARAならびに/または40~100mg/kg/日のDHAおよび/もしくはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、20~60mg/kg/日のARAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、40~100mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、20~60mg/kg/日のARAならびに40~100mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。
【0176】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10~120mg/kg/日のARAならびに/または20~200mg/kg/日のDHAおよび/もしくはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10~120mg/kg/日のARAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、20~200mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10~120mg/kg/日のARAならびに20~200mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。
【0177】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに/または10~300mg/kg/日のDHAおよび/もしくはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10~300mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに10~300mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに10~400mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、最大200mg/kg/日のARAならびに最大400mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。
【0178】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに/または10~750mg/kg/日のDHAおよび/もしくはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、10~750mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、5~200mg/kg/日のARAならびに10~750mg/kg/日のDHAおよび/またはEPAという用量で投与される。
【0179】
本明細書の別の箇所で説明されるように、乳児は、製剤の総投与体積量の影響を受けやすい。例えば、オメガベンの使用のための現在の臨床標準は、典型的には、約10cc/kg/日の1日投与体積量を必要とし、これは所望よりも多い。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、10cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、9cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、8cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、7cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、6cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、5cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、4cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、3cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物および方法は、2cc/kg/日未満の総1日体積量の本明細書において説明される組成物を投与することに関する。
【0180】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)は、3g以下の脂肪酸/kg/日の用量および5cc/kg/日以下の総体積量で投与することができる。
【0181】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の投与は、少なくとも3日間、例えば、3日間もしくはそれより長く、4日間もしくはそれより長く、5日間もしくはそれより長く、7日間もしくはそれより長く、2週間もしくはそれより長く、3週間もしくはそれより長く、4週間もしくはそれより長く、6週間もしくはそれより長く、2ヶ月間もしくはそれより長く、または3ヶ月間もしくはそれより長く、継続される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の投与は、少なくとも3週間継続される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の投与は、少なくとも6週間継続される。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の投与は、少なくとも3ヶ月間継続される。
【0182】
本明細書において説明される組成物および方法は、本明細書において説明される状態を有しているか、または有していると診断される対象に施すことができる。いくつかの態様において、本明細書において説明される方法は、本明細書において説明される状態の症状を緩和するために、有効量の本明細書において説明される組成物、例えば組成物(例えばエマルジョン)を対象に投与する段階を含む。本明細書において使用される場合、「症状を緩和すること」とは、任意の状態またはその状態に関連している症状を改善することである。同等の未処置の対照と比較して、このような軽減の程度は、任意の標準技術によって測定した場合に、少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、99%、またはそれ以上である。本明細書において説明される組成物を対象に投与するための様々な手段が、当業者に公知である。このような方法には、経口投与、非経口投与、または静脈内投与が含まれ得るが、それらに限定されるわけではない。
【0183】
これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、予防的な処置方法が、本明細書において説明される。本明細書において使用される場合、「予防的」とは、疾患または症状に対する処置のタイミングおよび意図を意味し、すなわち、処置は、患者を疾患または症状から保護するために、その特定の疾患または症状の臨床的な検出または診断の前に、施される。予防的処置は、疾患もしくは症状の重症度もしくは発症速度の低減を包含することができ、または疾患もしくは症状からのより迅速な回復に寄与することができる。したがって、本明細書において説明される方法は、網膜症、気管支肺異形成症、または周産期敗血症に対して予防的であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、予防的処置は、疾患のすべての症状または徴候の予防ではない。
【0184】
本明細書において使用される用語「有効量」とは、疾患または障害の少なくとも1種または複数種の症状を緩和するのに必要とされる、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の量を意味し、かつ所望の効果をもたらすために十分な薬理学的組成物の量に関する。したがって、用語「治療的有効量」は、典型的な対象に投与された場合に特定の効果(例えば、栄養的効果、または抗網膜症効果、抗気管支肺異形成症効果、もしくは抗周産期敗血症効果)をもたらすのに十分である、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の量を意味する。本明細書において様々な文脈で使用される有効量はまた、疾患の症状の発現を遅らせるのに、(例えば、限定されるわけではないが、疾患の症状の進行を遅くして)疾患症状の経過を変化させるのに、または疾患の症状を改善するのに十分な量も含む。したがって、通常、厳密な「有効量」を指定することは実際的ではない。しかし、任意の所与の場合において、適切な「有効量」は、ごく普通の実験のみを用いて、当業者が決定することができる。
【0185】
有効量、毒性、および治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって、明らかにすることができる。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、変動し得る。毒性作用と治療的効果の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。より大きな治療指数を示す組成物および方法が、好ましい。治療的に有効な用量は、細胞培養アッセイ法から最初に推定することができる。また、用量は、細胞培養または適切な動物モデルにおいて決定されるIC50(すなわち、症状の最大抑制の半分を達成する組成物(例えばエマルジョン)またはその構成成分の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を実現するように、動物モデルにおいて公式化することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。任意の特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイ法、例えば、特に肝機能についてのアッセイ法によってモニターすることができる。投与量は、医師が決定することができ、必要に応じて、観察される治療効果に合うように調整することができる。
【0186】
いくつかの態様において、本明細書において説明される技術は、本明細書において説明されるように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)および任意で薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物に関する。いくつかの態様において、薬学的組成物の有効成分は、本明細書において説明されるように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物の有効成分は、本明細書において説明されるように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)から本質的になる。いくつかの態様において、薬学的組成物の有効成分は、本明細書において説明されるように、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)からなる。薬学的に許容される担体および希釈剤には、生理食塩水、水性緩衝溶液、溶媒、および/または分散媒が含まれる。このような担体および希釈剤の使用は、当技術分野において周知である。薬学的に許容される担体の役割を果たすことができる材料のいくつかの非限定的な例には、以下のものが含まれる:(1)ラクトース、グルコース、デキストロース、およびスクロースなどの糖;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロースならびにその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、および酢酸セルロース;(4)トラガント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤;(8)ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;(9)プロピレングリコールなどのグリコール;(10)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール;(11)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(12)寒天;(13)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(14)アルギン酸;(15)パイロジェンフリー水;(16)等張性生理食塩水;(17)リンガー溶液;(18)エチルアルコール;(19)pH緩衝溶液;(20)ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ無水物;(21)ポリペプチドおよびアミノ酸などの増量剤;(22)血清アルブミン、HDL、およびLDLなどの血清成分;(23)エタノールなどのC2~C12アルコール;ならびに(24)薬学的製剤中で使用される他の非毒性で共存可能な物質。湿潤剤、着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、矯味剤、芳香剤、保存剤、および抗酸化剤もまた、製剤中に存在することができる。「賦形剤」、「担体」、または「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書において同義的に使用される。いくつかの態様において、担体は、本明細書において説明される活性物質の分解を阻害する。組成物(例えばエマルジョン)それ自体が、水を含むことができることに留意されたい。組成物(例えばエマルジョン)は、非経口栄養溶液中で使用される他の構成成分(例えば、デキストロース、結晶アミノ酸、微量元素、総合ビタミン剤、電解質、およびミネラル)と共に投与することができる。
【0187】
いくつかの態様において、本明細書において説明されるように本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む薬学的組成物は、非経口投与形態であることができる。非経口剤形の投与は、典型的には、汚染菌に対抗する患者の天然防御を迂回するため、非経口剤形は、好ましくは、無菌であるか、または患者に投与する前に滅菌することができる。非経口剤形の例には、そのまま注射できる溶液、薬学的に許容される注射用ビヒクルにすぐに溶解または懸濁できる乾燥製品、そのまま注射できる懸濁液、およびエマルジョンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。さらに、DUROS(登録商標)タイプの剤形および過量放出を非限定的に含む放出制御非経口剤形も、患者に投与するために調製することができる。
【0188】
本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む薬学的組成物はまた、例えば、個別の剤形として経口投与に適するように製剤化することもでき、この個別の剤形は、例えば、非限定的に、錠剤(非限定的に、切れ目をつけた錠剤もしくは被覆錠剤を含む)、丸剤、カプレット、カプセル剤、チュアブル錠、小袋入り散剤、カシェ剤、トローチ剤、ウェーハ、または液剤、例えば、非限定的に、シロップ剤、エリキシル剤、水性液体、非水性液体に溶かされた溶液剤もしくは懸濁剤、水中油型エマルジョンもしくは油中水型エマルジョンである。このような組成物は、開示される化合物の薬学的に許容される塩の所定量を含み、当業者に周知の製薬方法によって調製され得る。一般には、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Lippincott, Williams, and Wilkins, Philadelphia PA. (2005)を参照されたい。
【0189】
本明細書において説明される方法は、例えば、組合せ療法の一環として、対象に第2の作用物質を投与しかつ/または第2の処置を実施する段階をさらに含むことができる。非限定的な例として、対象に、炎症を患っている対象にとって有益であることが公知である第2の作用物質を投与すること、および/または炎症を患っている対象にとって有益であることが公知である第2の処置を実施することもできる。このような作用物質および/または処置の例には、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID、例えば、アスピリン、イブプロフェン、またはナプロキセン);糖質コルチコイド(例えば、コルチゾール、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、およびベクロメタゾン)を含む、コルチコステロイド;メトトレキサート;スルファサラジン;レフルノミド;抗TNF薬剤;シクロホスファミド;炎症収束性薬物;ミコフェノール酸;またはアヘン剤(例えば、エンドルフィン、エンケファリン、およびダイノルフィン)、ステロイド、鎮痛薬、バルビツレート、オキシコドン、モルヒネ、ならびにリドカインなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0190】
特定の態様において、本明細書において説明されるように本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む組成物の有効な用量を、患者に一回投与することができる。特定の態様において、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む組成物の有効な用量を、繰り返し、例えば、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも6週、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月の期間、毎日または1日に数回、患者に投与することができる。
【0191】
本明細書において説明される組成物の投与量は、医師が決定することができ、必要に応じて、観察される治療効果に合うように調整することができる。治療の継続期間および頻度に関して、治療がいつ治療的利益をもたらしているかを明らかにするために、および投与量を増やすか減らすか、投与頻度を増やすか減らすか、治療を中断するか、治療を再開するか、または治療計画に他の変更を加えるかを決定するために、熟練した臨床医が対象をモニターすることが典型的である。投与計画は、組成物(例えばエマルジョン)の構成成分に対する対象の感受性などのいくつかの臨床的因子に応じて、週に一度から毎日まで様々であってよい。活性化のために望ましい用量または量は、一度に投与するか、または分割用量、例えば2~4個の分割用量に分割し、ある期間にわたって、例えば、1日を通してもしくは他の適切なスケジュールを通して適切な間隔で投与することができる。いくつかの態様において、投与は長期的、例えば、数週または数カ月の期間にわたって毎日の、1回または複数回の投与および/または治療であることができる。投与および/または治療のスケジュールの例は、1週、2週、3週、4週、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、もしくは6ヶ月、またはそれより長い期間にわたる、毎日、毎日2回、毎日3回、または毎日4回もしくはそれより多い投与である。本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を含む組成物は、ある期間にわたって、例えば、5分、10分、15分、20分、または25分の期間にわたって、投与することができる。
【0192】
本明細書において説明される方法に従って本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)を投与する際の投与量範囲は、例えば、組成物(例えばエマルジョン)の形態、その効能、および本明細書において説明される状態の症状、マーカー、または指標の減少が望まれる程度に応じて変わる。投与量は、有害な副作用を引き起こすほど多量であるべきではない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、および性別と共に変動し、当業者によって決定され得る。なんらかの合併症が発生したら、個々の医師が投与量を調整することもできる。
【0193】
例えば、本明細書において説明される状態の治療における、または本明細書において説明される応答を誘導するための、本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の有効性は、熟練した臨床医によって明らかにされ得る。しかし、用語「有効な治療」が本明細書において使用される場合、本明細書において説明される状態の徴候または症状のうちの1種または複数種が有益に変更されるか、他の臨床的に認められている症状が改善されるか、もしくはさらに良くなるか、または例えば、本明細書において説明される方法に従う治療の後に少なくとも10%、所望の応答が誘導される場合に、治療は「有効な治療」とみなされる。有効性は、例えば、本明細書において説明される方法に従って治療される状態のマーカー、指標、症状、および/もしくは発病率、または他の任意の適切な測定可能パラメーター、例えば、栄養バランス、炎症、および/もしくは肝機能を測定することによって評価することができる。有効性はまた、入院または医学的介入の必要に基づいて評価した場合に個体が悪化しないこと(すなわち、疾患の進行が停止される)に基づいて測定することもできる。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知であり、かつ/または本明細書において説明される。治療には、個体または動物(いくつかの非限定的な例には、ヒトまたは動物が含まれる)における疾患の任意の治療が含まれ、(1)疾患を抑制すること、例えば、症状(例えば、疼痛もしくは炎症)の悪化を防ぐこと、または(2)疾患の重症度を和らげること、例えば、症状の軽減を引き起こすことを含む。ある疾患の治療のための有効量とは、その必要のある対象に投与された場合に、その疾患に対して本明細書において該用語が定義されるような効果的治療をもたらすのに十分である量を意味する。ある作用物質の有効性は、状態の物理的指標または所望の応答を評価することによって判定することができる。このようなパラメーターのいずれか1つまたはパラメーターの任意の組合せを測定することによって投与および/または治療の有効性をモニターすることは、当業者の能力で十分に対応できる範囲である。有効性は、本明細書において説明される状態の動物モデルにおいて評価することができる。実験動物モデルを使用する場合、治療の有効性は、マーカーの統計学的に有意な変化が観察された場合に証明される。
【0194】
本明細書において説明される組成物(例えばエマルジョン)の所与の用量の評価を可能にするインビトロアッセイ法および動物モデルアッセイ法が本明細書において提供される。非限定的な例として、ある用量の組成物(例えばエマルジョン)の効果は、その組成物(例えばエマルジョン)を経口的または非経口的に投与し、次いで、血清脂肪酸レベル、ならびに肝臓、脾臓、および/または腎臓の組織像を評価することによって判断することができる。
【0195】
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で使用されるいくつかの用語および語句の意味を下記に提供する。別段の記載がない限り、または文脈によって暗に示されない限り、次の用語および語句は、下記に提供する意味を含む。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるため、これらの定義は、個々の態様を説明するのを助けるために提供され、特許請求される本発明を限定することを意図していない。他に規定されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。ある用語の当技術分野における用法と本明細書において提供されるその定義の間に明らかな矛盾がある場合、本明細書内で提供される定義が優先されるものとする。
【0196】
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において本文書で使用するいくつかの用語をここにまとめる。
【0197】
1つの点において、本発明は、本技術に必須である本明細書において説明される組成物、方法、およびそれらの各構成要素に関するが、必須であるか否かにかかわらず、明記されていない要素を含めることを受け入れる(「含む(comprising)」)。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、組成物、方法、またはそれらの各構成要素の説明に含まれ得る他の要素は、本技術の基本的特徴および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定される(例えば、組成物、方法、またはそれらの各構成要素は、本明細書において説明される要素「から本質的になる」)。このことは、説明される方法に含まれる段階ならびにその中の組成物および構成成分に等しく適用される。これらの局面のいずれかの他の態様において、本明細書において説明される組成物、方法、およびそれらの各構成要素は、構成要素、組成物、または方法にとって不可欠な要素とみなされない任意の要素を除外すると意図される(例えば、組成物、方法、またはそれらの各構成要素は、本明細書において説明される要素「からなる」)。このことは、説明される方法に含まれる段階ならびにその中の組成物および構成成分に等しく適用される。
【0198】
用語「減少する」、「低減された(reduced)」、「低減(reduction)」、または「抑制する(inhibit)」はすべて、統計学的に有意な量の減少を意味するために本明細書において使用される。いくつかの態様において、「低減する(reduce)」、「低減」、もしくは「減少する」、または「抑制する」は、典型的には、参照レベル(例えば、所与の治療または作用物質がない場合)と比べて少なくとも10%の減少を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはそれ以上の、減少を含むことができる。本明細書において使用される場合、「低減」または「抑制」は、参照レベルと比べて全面的な抑制も低減も含まない。「全面的な抑制」は、参照レベルと比べて100%の抑制である。減少は、好ましくは、所与の障害を持たない個体の場合の正常範囲内として認められるレベルまで減ることであり得る。
【0199】
用語「増加した(increased)」、「増加する(increase)」、「向上させる」、または「活性化する」はすべて、統計学的に有意な量の増加を意味するために本明細書において使用される。いくつかの態様において、用語「増加した」、「増加する」、「向上させる」、または「活性化する」は、参照レベルと比べて少なくとも10%の増加、例えば、少なくとも約20%の、もしくは少なくとも約30%の、もしくは少なくとも約40%の、もしくは少なくとも約50%の、もしくは少なくとも約60%の、もしくは少なくとも約70%の、もしくは少なくとも約80%の、もしくは少なくとも約90%の増加、もしくは最大100%および100%を含む増加、または参照レベルと比べて10~100%の間の任意の増加、あるいは参照レベルと比べて少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増加、または2倍~10倍の間もしくは10倍超の任意の増加を意味することができる。マーカーまたは症状についての文脈では、「増加(increase)」は、そのようなレベルの統計学的に有意な上昇である。
【0200】
本明細書において使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、霊長類、げっ歯動物、飼育された動物、または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類には、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、およびマカク、例えばアカゲザルが含まれる。げっ歯動物には、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、およびハムスターが含まれる。飼育された動物および狩猟動物には、雌ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、水牛、ネコ科の種、例えばイエネコ、イヌ科の種、例えばイヌ、キツネ、オオカミ、トリの種、例えば、ニワトリ、エミュー、ダチョウ、および魚、例えば、マス、ナマズ、およびサケが含まれる。いくつかの態様において、対象は、哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。用語「個体」、「患者」、および「対象」は、本明細書において同義的に使用される。
【0201】
好ましくは、対象は哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、または雌ウシであることができるが、これらの例に限定されるわけではない。ヒト以外の哺乳動物を、本明細書において説明される疾患および状態の動物モデルになる対象として有利に使用することができる。対象は、雄または雌であることができる。
【0202】
対象は、治療を必要とする状態またはそのような状態に関係する1種もしくは複数種の合併症を患っているかまたは有すると以前に診断または特定されており、かつ任意で、その状態またはその状態に関係する1種もしくは複数種の合併症に対する治療を既に受けている、対象であることができる。あるいは、対象はまた、その状態またはその状態に関係する1種もしくは複数種の合併症を有していると以前に診断されていない対象であることもできる。例えば、対象は、その状態もしくはその状態に関係する1種もしくは複数種の合併症についての1つもしくは複数のリスク因子を示す対象、またはリスク因子を示さない対象であることができる。
【0203】
特定の状態の治療を「必要とする対象」は、その状態を有するか、その状態を有すると診断されるか、またはその状態を発症するリスクがある、対象であることができる。
【0204】
本明細書において使用される場合、用語「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」、または「改善(amelioration)」は、目的が、疾患または障害に関連する状態、例えば、本明細書において説明される状態、疾患、または障害の進行または重症度を逆行させるか、緩和するか、改善するか、抑制するか、遅くするか、または止めることである、治療的処置を意味する。用語「治療すること」は、状態、疾患または障害の少なくとも1つの有害作用または症状を低減または緩和することを含む。一般に、1種または複数種の症状または臨床マーカーが低減される場合に、治療は「有効」である。あるいは、疾患の進行が減速または停止される場合に、治療は「有効」である。すなわち、「治療」は、治療が行われない場合に予想されるものと比べて、症状またはマーカーの改善だけでなく、症状の進行または悪化を止めること、または少なくとも遅くすることも含む。有益な臨床結果または所望の臨床結果には、検出可能であるか検出不可能であるかを問わず、1種もしくは複数種の症状の緩和、疾患の程度の低減、安定化された(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延もしくは緩徐化、疾患状態の改善もしくは一時的緩和、寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)、および/または死亡率の低下が含まれるが、それらに限定されるわけではない。疾患についての用語「治療」はまた、疾患の症状または副作用を除去することも含む(緩和療法を含む)。
【0205】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的組成物」は、薬学的に許容される担体、例えば、製薬業界でよく使用される担体と組み合わせた活性物質を意味する。語句「薬学的に許容される」は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内であり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応も、および他の問題も困難な状況も伴うことなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適し、妥当な便益/リスク比に相応している、化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味するために用いられる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、薬学的に許容される担体は、水以外の担体であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、薬学的に許容される担体は、エマルジョン、ゲル、リポソーム、ナノ粒子、および/または軟膏であることができる。これらの局面のいずれかのいくつかの態様において、薬学的に許容される担体は、人工または設計された担体、例えば、天然には有効成分がその中に存在しないであろう担体であることができる。
【0206】
本明細書において使用される場合、用語「投与すること」は、所望の部位に作用物質の少なくとも部分的な送達をもたらす方法または経路により、本明細書において開示される化合物を対象の体内に入れることを意味する。本明細書において開示される化合物を含む薬学的組成物は、対象に有効な治療をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。
【0207】
用語「統計学的に有意な」または「有意に」は、統計学的有意性を指し、通常、標準偏差の2倍(2SD)またはそれより大きな差を意味する。
【0208】
実施される例以外で、または特に指示がない場合、本明細書において使用される成分の量または反応条件を表す数字はすべて、あらゆる場合において用語「約」で修飾されると理解されるべきである。百分率に関連して使用される場合の用語「約」は、±1%を意味することができる。
【0209】
本明細書において使用される場合、用語「含む」は、提示された定義済みの要素に加えて、他の要素もまた存在できることを意味する。「含む」の使用は、限定ではなく包含を示す。
【0210】
用語「からなる」は、その態様の説明で挙げられていない任意の要素を除く、本明細書において説明される組成物、方法、およびそれらの各構成要素を意味する。
【0211】
本明細書において使用される場合、用語「から本質的になる」は、所与の態様に必要とされる要素を意味する。この用語は、本発明のその態様の基本的特徴および新規または機能的な特徴に実質的に影響を及ぼさない付加的な要素の存在を許容する。
【0212】
単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈において特に指示がない限り、複数の指示対象を含む。同様に、単語「または」は、文脈において特に指示がない限り、「および」を含むと意図される。本明細書において説明されるものと同様または等価な方法および材料が、本開示の実践または試験において使用され得るが、適切な方法および材料を後述する。略語「例えば(e.g.)」は、ラテン語の例えば(exempli gratia)に由来し、非限定的な例を示すために本明細書において使用される。したがって、略語「e.g.」は、用語「例えば」と同義である。
【0213】
本明細書において開示される本発明の代替の要素または態様のグループ分けは、限定として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に、またはグループの他のメンバーもしくは本明細書において見出される他の要素との任意の組合せにおいて、言及され、特許請求され得る。グループの1つまたは複数のメンバーは、簡便性および/または特許性を理由として、グループ中に含めるか、またはグループから削除されてよい。任意のこのような包含または削除が行われる場合、本明細書は、変更されたグループを含むと本明細書においてみなされ、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュ群の記載を満たす。
【0214】
本明細書において他に規定されない限り、本出願に関連して使用される科学用語および技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。本発明は、本明細書において説明される特定の方法論、プロトコール、および試薬などに限定されず、したがって様々であり得ることを理解すべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明する目的のためにすぎず、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することは意図されない。免疫学および分子生物学の一般的用語の定義は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 19th Edition, published by Merck Sharp & Dohme Corp., 2011 (ISBN 978-0-911910-19-3); Robert S. Porter et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine, published by Blackwell Science Ltd., 1999-2012 (ISBN 9783527600908);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8); Immunology by Werner Luttmann, published by Elsevier, 2006; Janeway's Immunobiology, Kenneth Murphy, Allan Mowat, Casey Weaver (eds.), Taylor & Francis Limited, 2014 (ISBN 0815345305, 9780815345305); Lewin's Genes XI, published by Jones & Bartlett Publishers, 2014 (ISBN-1449659055); Michael Richard Green and Joseph Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., USA (2012) (ISBN 1936113414); Davis et al., Basic Methods in Molecular Biology, Elsevier Science Publishing, Inc., New York, USA (2012) (ISBN 044460149X); Laboratory Methods in Enzymology: DNA, Jon Lorsch (ed.) Elsevier, 2013 (ISBN 0124199542); Current Protocols in Molecular Biology (CPMB), Frederick M. Ausubel (ed.), John Wiley and Sons, 2014 (ISBN 047150338X, 9780471503385), Current Protocols in Protein Science (CPPS), John E. Coligan (ed.), John Wiley and Sons, Inc., 2005; ならびにCurrent Protocols in Immunology (CPI) (John E. Coligan, ADA M Kruisbeek, David H Margulies, Ethan M Shevach, Warren Strobe, (eds.) John Wiley and Sons, Inc., 2003 (ISBN 0471142735, 9780471142737)において見出すことができ、これらの文献の内容は、その全体が参照により本明細書にすべて組み入れられる。
【0215】
他の用語は、本発明の様々な局面の説明の範囲内で、本明細書において定義される。
【0216】
本出願の全体を通して引用される、参照文献、発行済みの特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願を含む、特許および他の刊行物はすべて、例えば、本明細書において説明される技術に関連して使用され得る、そのような刊行物で説明されている方法論を説明および開示するために、参照により本明細書に明確に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示を示すためだけに提供される。この点に関するいかなる事も、本発明者らが、以前の発明のせいで、または他のなんらかの理由のために、そのような開示に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。日付に関する記載またはこれらの文献の内容に関する表現はすべて、出願者が入手可能な情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関して何ら認めるものではない。
【0217】
本開示の態様の説明は、網羅的であることも、開示されるまさにその形態に開示を限定することも、意図しない。本開示の具体的な態様および本開示のための実施例は、例示を目的として本明細書において説明されるが、関連技術分野の熟練者が認識するように、様々な同等の修正が、本開示の範囲内で可能である。例えば、方法の段階または機能が所与の順序で提示されるが、代替の態様において、異なる順序で機能を果たしてもよく、または実質的に同時に機能を果たしてもよい。本明細書において提供される本開示の教示は、適宜、他の手順または方法に適用することができる。本明細書において説明される様々な態様を組み合わせて、別の態様を提供することができる。本開示の局面を、上記の参照文献および出願の組成物、機能、および概念を使用するために必要に応じて修正して、本開示のさらに別の態様を提供することができる。これらおよび他の変更は、詳細な説明に照らし合わせて、本開示に加えることができる。このような修正はすべて、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0218】
前述の態様のいずれかの特定の要素は、組み合わせるか、または他の態様の要素の代わりに用いることができる。さらに、本開示の特定の態様に関連している利点がこれらの態様との関連で説明されているが、他の態様も同様にそのような利点を示す場合があり、本開示の範囲に収まるためにすべての態様がそのような利点を必ずしも示す必要があるとは限らない。
【0219】
いくつかの態様において、本発明の技術は、番号を付けた以下の項目のいずれかによって定義することができる。
1 (a)アラキドン酸(ARA);ならびに
(b)ドコサヘキサエン酸(DHA)および/またはエイコサペンタエン酸(EPA)
を含む、組成物。
2 DHAを含む、項目1の組成物。
3 EPAを含む、項目1の組成物。
4 DHAおよびEPAを含む、項目1の組成物。
5 (a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が3:2~3:5である、前記項目のいずれか1つの組成物。
6 (a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2~3:5である、前記項目のいずれか1つの組成物。
7 (a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:2~1:5である、前記項目のいずれか1つの組成物。
8 (a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が2:1~1:4である、前記項目のいずれか1つの組成物。
9 (a)ARAと(b)DHAおよび/またはEPAの重量比が1:1~1:2である、前記項目のいずれか1つの組成物。
10 さらなるω6脂肪酸および/またはω3脂肪酸を含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
11 ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも60%を構成する、項目10の組成物。
12 ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも70%を構成する、項目10の組成物。
13 ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも80%を構成する、項目10の組成物。
14 ARAならびにDHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸およびω6脂肪酸の総量の少なくとも90%を構成する、項目10の組成物。
15 ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
16 ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
17 ARAが、ω6脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
18 DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも20%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
19 DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも30%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
20 DHAおよび/またはEPAが、ω3脂肪酸総量の少なくとも40%を構成する、前記項目のいずれか1つの組成物。
21 ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が2:1~1:4である、前記項目のいずれか1つの組成物。
22 ω6脂肪酸とω3脂肪酸の重量比が1:1~1:2である、前記項目のいずれか1つの組成物。
23 組成物およびその構成成分が、蒸留も再エステル化もされていない、前記項目のいずれか1つの組成物。
24 組成物のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記項目の1つの組成物。
25 ジグリセリドを含まない、項目23または24の組成物。
26 DHAおよび/またはEPAが、蒸留も再エステル化もされていない、前記項目のいずれか1つの組成物。
27 DHAおよび/またはEPAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
28 DHAおよび/またはEPAがジグリセリドを含まない、前記項目のいずれか1つの組成物。
29 ARAが、蒸留も再エステル化もされていない、前記項目のいずれか1つの組成物。
30 ARAのトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
31 ARAがジグリセリドを含まない、前記項目のいずれか1つの組成物。
32 5%(w/w)以下のステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
33 2%(w/w)以下のステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
34 1.5%(w/w)以下のステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
35 70mg/L以下のフィトステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
36 35mg/L以下のフィトステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
37 4%(w/w)以下のスチグマステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
38 10mg/L以下のスチグマステロールを含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
39 組成物が植物油もしくは真菌油を含むか、またはARAが植物油もしくは真菌油の形態で提供される、前記項目のいずれか1つの組成物。
40 植物油または真菌油が、蒸留も再エステル化もされていない、項目39の組成物。
41 植物油または真菌油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、項目39または40の組成物。
42 植物油または真菌油がジグリセリドを含まない、項目39または40の組成物。
43 植物油または真菌油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、項目39~42のいずれか1つの組成物。
44 植物油がダイズ油もしくはオリーブ油であるか、または真菌油がモルティエレラ・アルピナ油である、項目39~43のいずれか1つの組成物。
45 組成物が魚油を含み、かつ/またはDHAおよび/もしくはEPAが魚油の形態で提供される、前記項目のいずれか1つの組成物。
46 魚油が、蒸留も再エステル化もされていない、項目45の組成物。
47 魚油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、項目45または46の組成物。
48 魚油がジグリセリドを含まない、項目45または46の組成物。
49 魚油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、項目45~48のいずれか1つの組成物。
50 組成物が藻類油を含み、かつ/またはDHAおよび/もしくはEPAが藻類油の形態で提供される、前記項目のいずれか1つの組成物。
51 藻類油がクリプテコディニウム・コーニイ由来の油である、項目50の組成物。
52 藻類油が、蒸留も再エステル化もされていない、項目50または51の組成物。
53 藻類油のトリグリセリドとジグリセリドとを合わせた内容物全体が、10%以下のジグリセリドを含む、項目50~52のいずれか1つの組成物。
54 藻類油がジグリセリドを含まない、項目50~52のいずれか1つの組成物。
55 藻類油が、5%(w/w)以下のステロール、70mg/L以下のフィトステロール、4%(w/w)以下のスチグマステロール、および/または10mg/L以下のスチグマステロールを含む、項目50~54のいずれか1つの組成物。
56 脂質エマルジョンである、前記項目のいずれか1つの組成物。
57 エマルジョンが、油が少なくとも10%の水中油型である、項目56の組成物。
58 エマルジョンが、油が少なくとも20%の水中油型である、項目56の組成物。
59 エマルジョンが、油が少なくとも30%の水中油型である、項目56の組成物。
60 エマルジョンが、油が約10%~約50%の水中油型である、項目56の組成物。
61 エマルジョンが、油が約10%~約40%の水中油型である、項目56の組成物。
62 エマルジョンが、油が約10%~約30%の水中油型である、項目56の組成物。
63 エマルジョンが、油が約20%~約40%の水中油型である、項目56の組成物。
64 中鎖トリグリセリド(MCT);卵レシチン;ヒマワリ種子油;およびヒマワリ種子から得られる乳化剤のうちの1種または複数種をさらに含む、前記項目のいずれか1つの組成物。
65 (a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化されている、前記項目のいずれか1つの組成物。
66 (a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)10mg/kg/日~3g/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを含むように製剤化されている、前記項目のいずれか1つの組成物。
67 非経口投与用または静脈内投与用に製剤化されている、前記項目のいずれか1つの組成物。
68 対象に栄養を提供しかつ/または対象における神経発達を促進する方法であって、前記項目のいずれかの組成物を対象に投与する段階を含む、方法。
69 組成物が、5g/kg/日以下の用量で投与される、前記項目のいずれか1つの方法。
70 組成物が、(a)20~60mg/kg/日の投与量のARAならびに/または(b)40~100mg/kg/日の投与量のDHAおよび/もしくはEPAを提供するように投与される、前記項目のいずれか1つの方法。
71 対象が乳児である、前記項目のいずれか1つの方法。
72 対象が、新生児および/または早産児である、前記項目のいずれか1つの方法。
73 神経発達が、脳および/または眼における神経発達である、前記項目のいずれか1つの方法。
74 投与が、網膜症、気管支肺異形成症、および周産期敗血症からなる群より選択される1種または複数種の状態を治療するか、該状態を予防するか、または該状態のリスクを低下させる、前記項目のいずれか1つの方法。
75 投与が、非経口および/または静脈内である、前記項目のいずれか1つの方法。
76 栄養が、非経口栄養または完全非経口栄養である、前記項目のいずれか1つの方法。
77 投与が、非経口投与または完全非経口投与である、前記項目のいずれか1つの方法。
78 対象が、非経口栄養または完全非経口栄養を必要としている、前記項目のいずれか1つの方法。
79 患者が経口栄養を受けない、前記項目のいずれかの方法。
80 患者が他の非経口製剤を受けない、前記項目のいずれかの方法。
81 患者が、栄養バランスを維持するのに十分である経口栄養を受けない、前記項目のいずれかの方法。
82 患者が、栄養バランスを維持するのに十分である他の非経口製剤を受けない、前記項目のいずれかのいずれかの方法。
83 患者が、脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、前記項目のいずれかの方法。
84 患者が、必須脂肪酸についての他の栄養源および/または非経口栄養源を受けない、前記項目のいずれかの方法。
85 項目1~67のいずれかの組成物が単独療法として投与される、前記項目のいずれかの方法。
86 項目1~67のいずれかの組成物が、栄養的ニーズに対する単独療法として投与される、前記項目のいずれかの方法。
87 患者が、脂肪肝、腸不全、非経口栄養に関連する肝疾患(PNALD)、敗血症、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、胆道閉鎖症、原発性硬化性胆管炎、炎症性感染症、炎症性状態、全身性炎症反応症候群(SIRS)、高トリグリセリド血症、重度の高トリグリセリド血症、重度の脂肪肝、未熟児網膜症、急性尿細管壊死、IgA腎症、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷、多臓器不全、呼吸窮迫症候群、急性心筋梗塞、心筋梗塞、狭心症持続状態、喘息発作重積状態、てんかん重積状態、小窩状態、炎症性腸疾患、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、重度または消耗性の関節炎、関節炎、乾癬、重度の乾癬、熱傷、第3度熱傷、膵炎、急性膵炎、腸不全に関連する肝疾患(IFALD)、非経口栄養に関連する胆汁うっ滞(PNAC)、必須脂肪酸欠乏(EFAD)、ダイズアレルギーによって複雑化した非経口栄養依存状態、からなる群より選択される状態の治療を必要とする患者である、前記項目のいずれかの方法。
【0220】
本明細書において説明される技術は、以下の実施例によってさらに例示されるが、これらの実施例は、さらなる限定として決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0221】
実施例1
非経口栄養(PN)は、胃腸の不十分な長さまたは機能に起因する腸不全を有する患者のための救命治療である。命を救うものの、PNには、新生児集団において重大な臨床的課題がある。
【0222】
第一に、使用される標準治療の脂質エマルジョン(PNにおける脂肪源)は、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびアラキドン酸(ARA)が少ない;これらは、神経発達に不可欠であり、妊娠第三期および生後1年目の間に脳に急速に蓄積する脂肪酸である。
【0223】
第2に、これらのエマルジョンは、腸管不全関連肝障害(IFALD)として公知である一連の胆汁うっ滞および肝不全の一因となる。
【0224】
第3に、PNの投与は、非常に多くの流体量を必要とし、早産の新産児の場合の典型的なPN量は、130mL/kg/日である。新産児への流体投与は、体液移動、腎機能の生理学的変化、および高レベルな不感損失が理由で、もともと極めて困難である。
【0225】
第4に、IFALDに加えて、早産児の主要な合併症(未熟児網膜症および気管支肺異形成症)もまた、標準的な脂質エマルジョンの使用に関連付けられている。ほとんどの新生児ICU患者がPNを必要とするにもかかわらず、脂質エマルジョンが新生児集団のために設計されたことも、新生児集団において特に研究されたことも、これまで一度もなかった。
【0226】
(1)新生児の成長および発育のために必要なドコサヘキサエン酸およびアラキドン酸を供給し、(2)フィトステロールを最小限に抑え、肝毒性を予防し、(3)気管支肺異形成症、未熟児網膜症、および脳性麻痺を含む、早産児の炎症性合併症および神経学的合併症を減少させるように設計された、新規な非経口脂質エマルジョンの調製が、本明細書において説明される。
【0227】
脂質エマルジョンは、アラキドン酸(例えばARASCO油)、DHAおよび/またはEPA(例えば、例として魚油またはDHASCO油)、ならびに低フィトステロール油(例えば、フィトステロールが減らされたダイズ油、オリーブ油、または他の低フィトステロール油)の供給源を含む、数種類の油を含む独特な組成物である。ARA用量は、脂質エマルジョン投与総量に基づいて20~60mg/kg/日を提供するのに十分であり、一方、DHAおよび/またはEPAの用量は、推定される胎児の吸収率および正常な発育のための必要条件に基づいて40~100mg/kg/日の範囲である(Robinson and Martin, Seminars in Fetal & Neonatal Medicine, 2017)。さらに、エマルジョンは、油が少なくとも20%の水中油型エマルジョンであり、流体投与の必要性を最小限にするために、さらに濃縮され得る(例えば、25%または30%)。
【0228】
実施例2
実験1:早産の新産児のための新しい脂質エマルジョンの作製
目的:抗炎症性(すなわち、ω6/ω3比が小さい)であり、肝保護的(フィトステロールが少なくα-トコフェノールが多い)であり、かつ成長および発育を支えるのに十分なアラキドン酸およびドコサヘキサエン酸を含む脂肪酸組成物を用いて、USP<729>規格に合格する新しい脂質エマルジョンを作製する。
【0229】
方法:次の3種の油を得た:魚油(Lipoid GmbH, Ludwigshafen, Germany)、フィトステロールを除去したダイズ油(Lipoid GmbH, Ludwigshafen, Germany)、およびアラキドン酸に富む、モルティエラ・アルピン(Mortierella alpine)由来の真菌油(Cargill, Inc., Minneapolis, MN)。各油を、高圧ホモジナイゼーションを用いて、油が20%の水中油型脂質エマルジョンとして個別に調製した。最初に、分散液を作った。凍結卵リン脂質を、高剪断混合下で無菌注射用水中に分散させ、続いてオレイン酸ナトリウムおよびグリセリンを分散させた。次いで、この分散液を、高圧ホモジナイザー(PandaPlus 2000, GEA, Parma, Italy)に5000PSIで20サイクル、次いで9000PSIで10サイクル、通過させた。次に、分散液を0.45umメンブレンに通してろ過し、pHを10.2~10.8に調整した。次いで、油を、高剪断混合下で分散液に細く流し入れて添加し、続いて、9000 PSIで10サイクルおよび13000PSIで5サイクルの高圧ホモジナイゼーションを行った。魚油エマルジョンおよび真菌油エマルジョンに、高剪断混合の間にα-トコフェロールを添加して、低フィトステロールダイズ油中の含有量と同様である150mg/Lにした。次いで、エマルジョンのpHを8.8~9.2に調整し、滅菌済みバイアルに瓶詰めし、その後、オートクレーブした。脂質の過酸化を防ぐために、全ての工程を窒素雰囲気下で行った。脂質エマルジョンの最終組成は、200g/Lの油、12g/Lの卵リン脂質、0.3g/Lのオレイン酸ナトリウム、25g/Lのグリセリン、および無菌注射用水であった。USP<729>遵守を評価するために、脂質エマルジョンを独立した研究室に送った (Micro Measurement Labs, Wheeling, IL)。これに続いて、3種の新しい脂質エマルジョン(以後、NLE A、NLE B、NLE C)を、3種の単一油脂質エマルジョンを様々な比で混合することによって作製し、これらを、滅菌条件下で、上部の空間を窒素で満たして再び瓶詰めし、次いでオートクレーブした。
【0230】
結果:以下の、油が20%の3種の水中油型脂質エマルジョンを作製した: 魚油脂質エマルジョン、低フィトステロールダイズ油脂質エマルジョン、およびアラキドン酸に富む脂質エマルジョン。3種の脂質エマルジョンはすべて、USP<729>において定められている方法IおよびIIに合格した(表1)。これに続いて、3種の単一油脂質エマルジョンの比を変化させて、3種の新しい脂質エマルジョンを作製した。表2は、新しい各脂質エマルジョンの脂肪酸組成を示す。3g/kg/日で提供される3種の脂質エマルジョン(NLE A、NLE B、およびNLE C)は、推奨されるアラキドン酸最小摂取量(35~45mg/kg/日)を満たすかまたは超え、それぞれ34.3mg、102.83mg、および137.1mgである(dx.doi.org/10.1016/j.siny.2016.08.009)。同様に、NLE A、NLE B、およびNLE Cは、推奨されるドコサヘキサエン酸最小摂取量(55~60mg/kg/日)を十分に上回り、それぞれ、230.6mg、195.1mg、および144.9mgである。
【0231】
(表1)魚油、低フィトステロールダイズ油、およびARAに富む真菌油の脂質エマルジョンに対するUSP<729>注射用脂質エマルジョン試験。全ての脂質エマルジョンが、PFAT%(0.05%未満が合格)およびDLS平均直径(500nm未満)の規格に合格した。
【0232】
(表2)様々な割合の魚油、低フィトステロールダイズ油、およびARA真菌油を用いて、新しい脂質エマルジョンを作製した。
【0233】
(表3)構成物質である3種の油および新しい脂質エマルジョンの、脂肪酸組成およびトコフェロール含有量。新しい脂質エマルジョンに使用される油の脂肪酸組成およびトコフェロールについての試験は、Eurofins Microbiology Laboratories(North Kingstown, RI)によって実施された。
【0234】
(表4)新しい脂質エマルジョンを3g/kg/日で投与した際の脂肪酸提供量
【0235】
(表5)構成物質である油および新しい脂質エマルジョン製剤のフィトステロール含有量と比べた、既存の脂質エマルジョン(イントラリピッド、スモフリピッド、およびオメガベン)のフィトステロール含有量およびコレステロール含有量。既存の脂質エマルジョンのフィトステロール含有量は、Llop-Talaveron, J et al. (2020). Phytosterolaemia associated with parenteral nutrition administration in adult patients. British Journal of Nutrition, 123(12), 1365-1372 doi:10.1017/S0007114520000574から得た。新しい脂質エマルジョンに使用される油のフィトステロール含有量試験は、Eurofins Microbiology Laboratories(North Kingstown, RI)によって実施された。
【0236】
考察:魚油、低フィトステロールダイズ油、およびアラキドン酸に富む真菌油を用いて、USP<729>規格に合格する3種の単一油脂質エマルジョンを作製した。次いで、これらのエマルジョンを用いて、早産児のためのドコサヘキサエン酸およびアラキドン酸の推奨摂取量を超える、後続の実験のための3種の新しい脂質エマルジョンを作製した。
【0237】
実験2:幼若C57Bl/6Jマウスにおける唯一の脂肪源としての新しい脂質エマルジョンの4週間投与
目的:幼若マウスへの唯一の脂肪源として新しい脂質エマルジョンを長期(4週間)に与えることが、血漿、肝臓、および脳の脂肪酸組成に影響を及ぼすかどうかを評価して、本質的に脂肪酸欠乏症を予防するドコサヘキサエン酸およびアラキドン酸の供給源としての新生児集団におけるそれらの使用を支持すること。
【0238】
方法:4週齢の雄C57Bl/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME)を入手し、標準的なげっ歯動物用固形飼料(Prolab Isopro RMH 3000, LabDiet, St. Louis, MO)または自由に摂取される液状の無脂肪高炭水化物食(20%デキストロース、2%アミノ酸、30mEq/Lナトリウム、20mEq/Lカリウム、15mEq/Lカルシウム、10mEq/Lマグネシウム、10mMol/Lホスファート、36.67mEq/Lクロリド、19.4mEq/Lアセタート、総合ビタミン剤、微量元素)のいずれかに無作為化した。固形飼料マウスは、生理食塩水(10ml/kg)の経口胃管栄養を毎日受け、一方、液状無脂肪食マウスは、脂肪酸の唯一の供給源として、4種の脂質エマルジョンのうちの1つ(10ml/kg、2g/kg/日の脂肪)の経口胃管栄養を毎日受けた。4週間後(8週齢)、マウスをCO2で安楽死させた;肝臓および脳の組織を液体窒素中で急速冷凍し、さらに分析するために-80度で保存した。肝臓および前頭皮質の試料(n=5/群)を、水素炎イオン化検出を用いるガスクロマトグラフィー(Omegaquant, Sioux Falls, SD)による脂肪酸分析のために、独立したCLIA認定研究所に送った。
【0239】
結果:前頭皮質組織中の脂肪酸総含有量は、群間で類似していた(固形飼料の平均は32.7±1.0ug/mlであるのに対して、イントラリピッドの平均は34.2±0.4 ug/mg)が、肝臓組織では実質的に異なっていた(固形飼料の平均は27.3±2.2 ug/mgであるのに対して、イントラリピッドの平均は70.1ug/mg±22.0)。肝臓組織の脂肪含有量の著しいばらつきは、非固形飼料動物、特にイントラリピッド群におけるオレイン酸含有量の大幅な増加に起因し得る。したがって、前頭皮質の脂肪酸組成を、皮質脂肪酸総量に対するパーセンテージとして比較し、肝臓の脂肪酸組成を、単位肝臓組織当たりの脂肪酸含有量として比較した。
図1A~1Hは、様々な群の血漿、肝臓、および前頭皮質における脂肪酸組成を示す。
【0240】
NLE A群、NLE B群、およびNLE C群のマウスは、ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、およびω6/ω3比の低下を示し、これは、血漿および肝臓組織により多くのω3脂肪酸が提供されること合致している(
図2A~2H)。前頭皮質組織において、ω3脂肪酸は、固形飼料対照群とNLE A群、NLE B群、およびNLE C群とで、類似していた。イントラリピッドは、炎症促進性脂肪酸プロファイルを示し、固形飼料と比べて、肝臓組織および前頭皮質組織の両方においてω3脂肪酸が減少し、ω6/ω3比が上昇した。
【0241】
NLE A、NLE B、およびNLE Cのマウスは全て、固形飼料およびイントラリピッドの場合と比べて、血漿および肝臓組織においてドコサヘキサエン酸の増加を示したが、固形飼料の場合と比べて、前頭皮質組織において同様のドコサヘキサエン酸を維持した(
図3A~3H)。注目すべきことに、イントラリピッドマウスは、肝臓組織および前頭皮質組織において、固形飼料の場合よりも実質的に少ないドコサヘキサエン酸を有していた。NLE A、NLE B、およびNLE Cマウスはまた、固形飼料マウスおよびイントラリピッドマウスと比べて、血漿、肝臓、および脳においてエイコサペンタエン酸が増加していた。血漿については、NLE B群、NLE C群、およびイントラリピッド群のマウスは、固形飼料の場合と比べてアラキドン酸が増加しており、一方、NLE Aの場合は固形飼料の場合と同様である。NLE AおよびNLE Bの場合は、肝臓組織および前頭皮質組織において、固形飼料の場合と比べてアラキドン酸がいくらか減少した。
【0242】
トリエン/テトラエン比を、生化学的必須脂肪酸欠乏症の予防のために評価した(0.2以上は、必須脂肪酸欠乏症と診断される)。注目すべきことに、NLE A、NLE B、およびNLE Cはすべて、血漿および肝臓において正常なトリエン/テトラエン比を維持し、これは固形飼料対照群と同様であった。一方、イントラリピッド群は、ボーダーラインの必須脂肪酸欠乏症と合致する、固形飼料対照と比べて有意な上昇を示した(
図4A~4B)(血漿 マウス4匹中2匹で0.2超、平均0.19±0.01、P<0.001;肝臓 マウス5匹中3匹で0.2超、平均0.19±0.05、P<0.001)。
【0243】
結論:唯一の脂肪源として長期間(4週間)の毎日の脂質エマルジョン投与を施された幼若マウスにおいて、NLE A、NLE B、およびNLE Cは、必須脂肪酸欠乏症を予防し、トリエン/テトラエン比は固形飼料対照と同様であったのに対し、イントラリピッドは、ボーダーラインの必須脂肪酸欠乏症と合致する有意に上昇したトリエン/テトラエン比をもたらした。固形飼料対照およびイントラリピッドと比べて、NLE A、NLE B、およびNLE Cは、血漿、肝臓、および前頭皮質のω3脂肪酸含量を増加させ、ω6/ω3比を低下させ、これは、抗炎症性脂肪酸プロファイルと合致した。
【0244】
実験3:非経口栄養に関連する肝疾患のマウスモデルにおける新しい脂質エマルジョンの投与
目的:新しい脂質エマルジョンが、非経口栄養誘発性肝疾患のマウスモデルにおいて生化学的肝損傷および肝脂肪症を予防するかどうかを評価する。
【0245】
方法:8週齢の雄C57Bl/6Jマウス(Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME)を入手し、標準的なげっ歯動物用固形飼料(Prolab Isopro RMH 3000, LabDiet, St. Louis, MO)または自由に摂取される液状の無脂肪高炭水化物食(20%デキストロース、2%アミノ酸、30mEq/Lナトリウム、20mEq/Lカリウム、15mEq/Lカルシウム、10mEq/Lマグネシウム、10mMol/Lホスファート、36.67mEq/Lクロリド、19.4mEq/Lアセタート、総合ビタミン剤、微量元素)のいずれかに無作為化した。液状無脂肪高炭水化物食を与えたマウスに、5種の脂質エマルジョンのうちの1つまたは同体積の生理食塩水を、尾静脈注射を介して1日おきに静脈内投与し(4.8g脂肪/kg体重/回)、一方、固形飼料マウスは、同体積の生理食塩水の尾静脈注射を受けた(固形飼料群)。19日後に、マウスをCO2で安楽死させた。血漿を、Vetscan VS2(Zoetis, Parsippany, NJ)を用いて、肝損傷の生化学的マーカーについて評価した。血漿脂肪酸プロファイルを、以前に説明されているようにして(Carlson et al, 2019)評価した。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した肝臓組織が、脂肪肝について確立された半定量的スコアリングシステムを用いて、委員会認定の独立した獣医病理学者によって評価された(Liang et al. Establishment of a General NAFLD Scoring System for Rodent Models and Comparison to Human Liver Pathology. PLoS ONE 9(12): e115922. doi:10. 1371/journal.pone.0115922)。正規分布データについては、一元配置ANOVA検定を用いて比較を行い、ダネットの多重比較検定を用いて(HCD/生理食塩水群に対する)個々の群の多重比較を行った。非正規分布データについては、クラスカル・ワリス検定を用いて比較を行い、ダンの多重比較検定を用いて(HCD/生理食塩水群に対する)個々の群の多重比較を行った。
【0246】
結果:全群のマウスが、同様の体重増加を示した(P=0.12)。肝損傷の生化学的マーカーを
図5A~5Cに示す。オメガベン群、NLE A群、NLE B群、およびNLE C群のマウスはすべて、正常なアラニンアミノトランスフェラーゼレベル(かつ生理食塩水対照群よりも有意に低い)を維持し、高炭水化物食によって誘発される肝損傷の予防とつじつまが合った。肝臓の組織学的評価は、委員会認定の独立した獣医病理学者によって実施された。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した代表的な肝臓切片を
図6に示す。NLE BまたはNLE Cを含む高炭水化物食を与えられたマウスは脂肪症を有さないが、NLE Aを与えられた一部のマウスは軽度の小滴性脂肪症および大滴性脂肪症を示す。(生理食塩水の尾静脈注射と共に)固形飼料食を与えられたマウスは、脂肪症を伴わない正常な組織像を有する。生理食塩水群のマウスはすべて、リピドーシススコアが2であり、これは、いかなる肝臓切片においても脂肪症を有さなかった固形飼料群、NLE B群、NLE C群、およびオメガベン群よりも有意に高かった(n=5/群、各比較についてP=0.0051)。生理食塩水群とイントラリピッド群(肝臓切片5個中2個が、リピドーシススコア3を有した、P=0.61)との間、または生理食塩水群とNLE A群(肝臓切片5個中2個がリピドーシススコア2を有した、P=0.27)との間では、リピドーシススコアに有意差はなかった(
図7)。
【0247】
固形飼料と比べて、NLE A、NLE B、またはNLE Cを与えられたマウスは、同程度のアラキドン酸、ドコサヘキサエン酸の増加、ω3脂肪酸の増加、ω6脂肪酸の減少、およびω6/ω3比の低下を示した(
図8A~8F)。NLE A、NLE B、およびNLE Cを与えられたマウスはまた、固形飼料の場合と同様の(正常な)トリエン/テトラエン比を示し、これは、必須脂肪酸欠乏症の予防と合致した。生理食塩水群のマウスは、必須脂肪酸欠乏症と合致する、トリエン/テトラエン比の顕著な上昇を示した。
【0248】
結論:非経口栄養誘発性の肝損傷および脂肪症の19日モデルにおいて、尾静脈注射によるNLE A、NLE B、またはNLE Cの投与は、マウスを生化学的肝損傷から救う。尾静脈注射によるNLE BまたはNLE Cの投与は、脂肪肝を予防し、どの試料にも脂肪症は認められなかった。NLE A、NLE B、またはNLE Cの投与は、必須脂肪酸欠乏症を予防し、正常なトリエン/テトラエン比をもたらした(
図8A~8F)。
【国際調査報告】