(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ARRDC1媒介性マイクロベシクル(ARMMS)分解系およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20241128BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20241128BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20241128BHJP
C07K 14/16 20060101ALI20241128BHJP
C07K 14/15 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/49 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/48 20060101ALI20241128BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241128BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20241128BHJP
C07K 1/12 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/47
C07K16/00
C07K14/16
C07K14/15
C12N15/62 Z
C12N15/52 Z
C12N15/12
C12N15/49
C12N15/48
C12N15/13
C12N5/10
C12N5/071
C07K1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534232
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 US2022081213
(87)【国際公開番号】W WO2023108089
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522482924
【氏名又は名称】ヴェサイジェン,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】VESIGEN, INC.
【住所又は居所原語表記】790 Memorial Drive, Suite 103, Cambridge, Massachusetts 02139, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ミルマン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ナブハン,ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】バフィンガー,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045CA05
4H045CA40
4H045DA76
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、一般的には、ARRDC1融合タンパク質、ARRDC1媒介性マイクロベシクル(ARMM)分解系、およびそれらの使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)タンパク質またはそのバリアントと、
標的タンパク質をリクルートする非酵素的標的化ドメインと
を含むARRDC1融合タンパク質。
【請求項2】
前記標的化ドメインが前記ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのC末端に融合されている、請求項1に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項3】
前記ARRDC1タンパク質またはそのバリアントがリンカーによって前記標的化ドメインに融合されている、請求項1~2のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項4】
前記ARRDC1タンパク質またはそのバリアントが、少なくとも2つのPPXYモチーフを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項5】
前記少なくとも2つのPPXYモチーフが異なる、請求項4に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項6】
前記非酵素的標的化ドメインが相互作用ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項7】
前記相互作用ドメインが非酵素的タンパク質結合ペプチドを含む、請求項6に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項8】
前記標的タンパク質が、転写因子、腫瘍プロモーターまたは癌遺伝子のタンパク質産物、発生制御因子、増殖因子、転移プロモーター、抗アポトーシスタンパク質、膜関連タンパク質、膜貫通受容体、酵素、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、またはリプログラミング因子である、請求項1~7のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項9】
前記非酵素的標的化ドメインがイントラボディを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項10】
前記イントラボディが単一ドメイン抗体(sdAb)を含む、請求項9に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項11】
前記sdAbがラクダ科動物単一ドメインである、請求項10に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項12】
前記非酵素的標的化ドメインの末端が少なくとも1つの追加のPPXYモチーフに融合されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項13】
前記非酵素的標的化ドメインの末端が、少なくとも2つの追加のPPXYモチーフに融合されている、請求項12に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項14】
前記少なくとも2つの追加のPPXYモチーフが、異なるPPXYモチーフである、請求項13に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項15】
前記非酵素的標的化ドメインが、抗体のFc領域に融合されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項16】
抗体の前記非酵素的標的化ドメインまたは前記Fc領域が、RNA結合タンパク質に融合されている、請求項15に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項17】
前記RNA結合タンパク質がtatタンパク質である、請求項16に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項18】
前記tatタンパク質がHIV tatタンパク質またはBIV tatタンパク質である、請求項17に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項19】
前記標的化ドメインが結合型アプタマーを含む、請求項1に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項20】
前記標的化ドメインがユビキチンリガーゼに融合されている、請求項1~19のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項21】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項3~19のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項22】
前記切断可能なリンカーがプロテアーゼ切断部位を含む、請求項20に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項23】
前記プロテアーゼ切断部位がフーリン切断部位である、請求項22に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項24】
前記プロテアーゼ切断部位がウイルス切断部位である、請求項22に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項25】
前記ウイルス切断部位が、HIV-1プロテアーゼ切断部位、タバコエッチウイルス(TEV)切断部位、またはウイルスプロテアーゼによって認識される別の切断部位を含む、請求項23に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項26】
前記切断可能なリンカーが、光切断可能なタンパク質またはその断片を含む光切断可能なリンカーである、請求項21に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項27】
前記光切断可能なリンカーが、光切断可能なタンパク質PhoCl1またはその断片を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項28】
前記光切断可能なリンカーが、PhoCl1に由来するタンパク質またはタンパク質断片を含む、請求項26~27のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項29】
前記ユビキチンリガーゼがユビキボディである、請求項20に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項30】
前記ユビキボディが、CHIP(Hsc70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)またはその断片である、請求項29に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項31】
前記非酵素的標的化ドメインがユビキチン化特異的抗体ドメインを含む、請求項1に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項32】
前記ARRDC1タンパク質またはそのバリアントがFLAGタグを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項33】
前記FLAGタグがDYKDDDK(配列番号90)の配列を含む、請求項32に記載のARRDC1融合タンパク質。
【請求項34】
(i)脂質二重層と;
(ii)請求項1~33のいずれかに記載のアレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)融合タンパク質またはそのバリアントと
を含むARRDC1媒介性マイクロベシクル(ARMM)。
【請求項35】
融合RNAをさらに含み、前記融合RNAが、(i)前記RNA結合タンパク質に結合する結合RNA配列と、(ii)ユビキチンリガーゼをコードする発現配列とを含む、請求項34に記載のARMM。
【請求項36】
前記RNA配列がTAR配列である、請求項35に記載のARMM。
【請求項37】
前記ユビキチンリガーゼがTrim21である、請求項35または36に記載のARMM。
【請求項38】
請求項1~33のいずれかに記載のARRDC1融合タンパク質をコードする核酸構築物。
【請求項39】
異種プロモーターの制御下にある請求項1~33のいずれかに記載のARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含むマイクロベシクル産生細胞。
【請求項40】
異種プロモーターの制御下にある融合RNAをコードする組換え発現構築物をさらに含み、前記融合RNAが、(i)前記RNA結合タンパク質に結合する結合RNA配列と、(ii)ユビキチンリガーゼをコードする発現配列とを含む、請求項39に記載のマイクロベシクル産生細胞。
【請求項41】
前記RNA配列がTAR配列である、請求項40に記載のマイクロベシクル産生細胞。
【請求項42】
前記ユビキチンリガーゼがTrim21である、請求項41に記載のマイクロベシクル産生細胞。
【請求項43】
標的タンパク質を分解する方法であって、標的細胞を請求項34~37のいずれか一項に記載のマイクロベシクルと接触させることを含む方法。
【請求項44】
少なくとも1つの遺伝子の発現を変化させる方法であって、標的細胞を請求項34~37のいずれか一項に記載のマイクロベシクルと接触させることを含む方法。
【請求項45】
アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)媒介マイクロベシクル(ARMM)を調製する方法であって、
(a)培地中で異種プロモーターの制御下にある請求項1~33のいずれか一項に記載のARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含む宿主細胞を培養すること;および(b)前記宿主細胞または前記培地から前記ARMMを回収すること
を含む方法。
【請求項46】
前記宿主細胞が、野生型の宿主細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記宿主細胞が前記ユビキチンリガーゼを欠いている、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記宿主細胞が、野生型の宿主細胞と比較して低下した前記標的タンパク質の発現レベルを有する、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記宿主細胞が前記標的タンパク質を欠いている、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連事項
本出願は、2021年12月9日に出願された米国仮特許出願第63/287,683号の出願日の利益を受ける権利を有し、その利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質分解は、細胞の恒常性を維持する高度に制御されたプロセスである。ユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)は、真核細胞におけるタンパク質分解の一般的な経路である。抗原プロセシング、アポトーシス、オルガネラの生合成、細胞周期、DNA転写および修復、分化および発達、免疫応答および炎症、神経および筋肉の変性、神経ネットワークの形態形成、細胞表面受容体、イオンチャネルおよび分泌経路のモジュレーション、ストレスおよび細胞外モジュレーターへの応答、リボソームの生合成ならびにウイルス感染を含むUPP機序によって、数多くの細胞経路が制御されている。UPPを介したタンパク質の分解は次の2つのステップを含む:第1のステップは、複数のユビキチン分子の共有結合による基質のタグ付けであり、第2のステップは、遊離されて再利用可能なユビキチンの放出を伴う26Sプロテアソーム複合体によるタグ付けされたタンパク質の分解である。E3ユビキチンリガーゼはUPPにおいて重要な役割を果たし、基質特異性を決定し、基質タンパク質の末端リジン残基に複数のユビキチン分子を共有結合させる。UPPにより、ゲノム改変を必要とすることなく、細胞タンパク質の発現を低下させることができる。新しいUPPを介した標的タンパク質分解系の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、分解系を含むアレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)媒介性マイクロベシクル(ARMM)およびその使用が提供される。特に、本明細書では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントと、標的タンパク質をリクルートする非酵素的標的化ドメインとを含むARRDC1融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのN末端に融合されている。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのC末端に融合されている。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、リンカーによって標的化ドメインに融合されている。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも2つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つのPPXYモチーフは異なる。一部の実施形態では、非酵素標的化ドメインは、相互作用ドメインを含む。一部の実施形態では、相互作用ドメインは、非酵素的タンパク質結合ペプチドを含む。一部の実施形態では、標的タンパク質は、転写因子、腫瘍プロモーターまたは癌遺伝子のタンパク質産物、発生制御因子、増殖因子、転移プロモーター、抗アポトーシスタンパク質、膜関連タンパク質、膜貫通受容体、酵素、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、またはリプログラミング因子を含む。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、イントラボディを含む。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む。一部の実施形態では、sdAbは、ラクダ科動物単一ドメインである。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも1つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも2つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、少なくとも2つの追加のPPXYモチーフは、異なるPPXYモチーフである。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、抗体のFc領域に融合されている。一部の実施形態では、抗体の非酵素的標的化ドメインまたはFc領域は、RNA結合タンパク質に融合されている。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、tatタンパク質である。一部の実施形態では、tatタンパク質は、HIV tatタンパク質またはウシ免疫不全ウイルス(BIV)tatタンパク質である。一部の実施形態では、標的化ドメインは、結合型アプタマーを含む。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ユビキチンリガーゼに融合されている。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、プロテアーゼ切断部位を含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、フーリン切断部位、ウイルスプロテアーゼ切断部位、またはウイルスプロテアーゼによって認識される他の切断部位を含む。一部の実施形態では、ウイルスプロテアーゼ切断部位は、HIV-1プロテアーゼ切断部位またはタバコエッチウイルス(TEV)切断部位を含む。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、光切断可能なタンパク質またはその断片を含む光切断可能なリンカーである。一部の実施形態では、光切断可能なリンカーは、光切断可能なタンパク質PhoCl1(Zhang et al., Nat. Methods 2017 Apr;14(4):391-394; doi: 10.1038/nmeth.4222)またはその断片を含む。一部の実施形態では、光切断可能なリンカーは、PhoCl2(Lu et al., Chem. Sci., 2021 May 31;12(28):9658-9672; doi: 10.1039/d1sc01059j)などのPhoCl1に由来するタンパク質またはタンパク質断片を含む。一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼはユビキボディである。一部の実施形態では、ユビキボディは、CHIP(Hsc70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)またはその断片である。
【0004】
一部の実施形態では、ARRDC1融合タンパク質の非酵素的標的化ドメインは、ユビキチン化特異的抗体ドメインを含む。一部の実施形態では、ARRDC1融合タンパク質は、1つまたは複数のFLAGタグを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のこれらのFLAGタグは、DYKDDDK(配列番号90)の配列を含む。本発明は、限定するものではないが、FLAGタグを含む組成物であり、実際、追加の組成物は、1つまたは複数のアフィニティタグ(例えば、GST、His、CBP、MBPなど)およびエピトープタグ(例えば、Myc、HAなど)を含む。
【0005】
さらに本明細書では、(i)脂質二重層と、(ii)本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはそのバリアントとを含むARRDC1媒介性マイクロベシクル(ARMM)が提供される。一部の実施形態では、ARMMは融合RNAをさらに含み、融合RNAは、(i)RNA結合タンパク質に結合するRNA配列と、(ii)ユビキチンリガーゼをコードする発現配列とを含む。一部の実施形態では、RNA配列は、TAR配列である。一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼは、Trim21である。
【0006】
さらに本明細書では、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質をコードする核酸構築物が提供される。
【0007】
さらに本明細書では、異種プロモーターの制御下にある本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含むマイクロベシクル産生細胞が提供される。一部の実施形態では、マイクロベシクル産生細胞は、異種プロモーターの制御下にある融合RNAをコードする組換え発現構築物をさらに含み、融合RNAは、(i)RNA結合タンパク質に結合するRNA配列と、(ii)ユビキチンリガーゼをコードする発現配列とを含む。一部の実施形態では、RNA配列は、TAR配列である。一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼは、Trim21である。
【0008】
さらに本明細書では、標的タンパク質を分解する方法であって、標的細胞を本明細書に開示のマイクロベシクルと接触させることを含む方法が提供される。
【0009】
さらに本明細書では、少なくとも1つの遺伝子の発現を変化させる方法であって、標的細胞を本明細書に開示のマイクロベシクルと接触させることを含む方法が提供される。一部の実施形態では、少なくとも1つの遺伝子の発現が低下される。一部の実施形態では、少なくとも1つの遺伝子の発現が増加される。
【0010】
さらに、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)媒介性マイクロベシクル(ARMM)を調製する方法であって、(a)培地中で異種プロモーターの制御下にあるARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含む宿主細胞を培養することと、(b)宿主細胞または培地からARMMを回収することとを含む方法が提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型の宿主細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有する。一部の実施形態では、宿主細胞は、ユビキチンリガーゼを欠いている。一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型の宿主細胞と比較して低下した前記標的タンパク質の発現レベルを有する。一部の実施形態では、宿主細胞は、前記標的タンパク質を欠いている。
【0011】
参照による組込み
本明細書で言及されているすべての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが詳細にかつ個別に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面とあわせて読んだ場合により深く理解されるであろう。本発明を説明する目的において、現在例示されている実施形態が図面に示されている。しかし、本発明は、図面に示した実施形態の正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1Aは、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含む、ARRDC1タンパク質が、ポリペプチド標的化ドメインに融合されている。
図1Bは、標的化ドメインとしての結合型アプタマーを含む、ARRDC1-RNA結合タンパク質融合体を示す。
【
図2】
図2Aは、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質を示す概略図である。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含むARRDC1タンパク質は、抗mCherry単一ドメイン抗体(sdAb)に融合されている。抗mCherry sdAbは、mCherry蛍光タンパク質を特異的にリクルートし、結合する。
図2Bは、
図2Aの融合タンパク質発現構築物とmCherry発現構築物とをコトランスフェクトした293T細胞が、低下したmCherryタンパク質レベルを有することを示す免疫蛍光画像を提供する。
図2Cは、
図2Aの融合タンパク質発現構築物とmCherry発現構築物とをコトランスフェクトした293T細胞が、用量依存的に低下したmCherry タンパク質レベルを有することを示すウェスタンブロットを提供する。
【
図3】
図3は、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含むARRDC1タンパク質は、N末端が2つの追加のPPXY(配列番号2)モチーフに会合している標的化ドメインに融合されている。
【
図4】
図4は、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含むARRDC1タンパク質は、抗体のFc(結晶化可能な断片)領域に融合された標的化ドメインに融合されている。標的化ドメインのC末端は、tatタンパク質とさらに会合している。tatタンパク質は、TAR-Trim21融合RNAをリクルートすることができる。Trim21は、Fc結合タンパク質をユビキチン化し、分解することができる。
【
図5】
図5は、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含むARRDC1タンパク質は、CHIPなどのユビキボディに融合された標的化ドメインに融合されている。
【
図6】
図6は、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、上記のように、プロテアーゼ切断部位がARRDC1タンパク質と標的リクルートメント/分解モジュールの間に存在する。
【
図7】
図7は、標的タンパク質分解のために使用される融合タンパク質の非限定的な概略図を示す。詳しくは、2つのPPXY(配列番号2)モチーフを含むARRDC1タンパク質は、抗体のFc(結晶化可能な断片)領域に融合された標的化ドメインに融合され、プロテアーゼ切断部位が、上記のようにARRDC1タンパク質と標的リクルートメント/分解モジュールの間に存在する。
【
図8】
図8は、抗GAPDH(ゲル/ブロットローディング対照)、抗ARRDC1、および抗mCherryで染色したウェスタンブロットの結果を示す。陰性対照は、ウェスタンブロットのレーン1および5に提供されている。
図8に示すように、標的細胞のmCherryレベルは、陰性対照の影響を受けなかったが、ARMM送達によるARRDC1/抗mCherry sdAb融合タンパク質、特にVSV-G擬似型ARMM粒子によって低下した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、一般には、ARRDC1媒介性マイクロベシクル(ARMM)分解系およびその使用に関する。説明するための適用例に関して、いくつかの態様が以下に説明されている。多数の具体的な詳細、関係、および方法が、本明細書に記載の特徴の完全な理解を提供するために記載されていることを理解されたい。しかし、関連分野において通常の知識を有する者には、本明細書に記載の特徴は、1つまたは複数の特定の詳細がなくとも、または他の方法を用いて、実施され得ることは容易に認識されよう。本明細書に記載の特徴は、一部の行為は異なる順序で、および/または他の行為もしくは事象と同時に起こり得るので、示した行為または事象の順序によって限定されるものではない。さらに、示したすべての行為または事象が、本明細書に記載の特徴に従って方法論を実施するために必要なわけではない。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の事例を説明することを単なる目的としており、限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形も含むものとする。分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性について、範囲が本明細書において使用される場合、範囲およびその中の特定の実施形態のすべての組合せおよび下位の組合せが含まれることを意図する。数値または数値範囲を言及する場合の「約」という用語は、言及された数値または数値範囲が実験的な変動の範囲内(または統計的実験誤差の範囲内)での近似値であることを意味し、したがって数値または数値範囲は、記載された数値または数値範囲の1%~15%の間で変化し得る。「含む(comprising)」という用語(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」などの関連用語)は、他の特定の実施形態、例えば、本明細書に記載の任意の物質の組成物、組成、方法、またはプロセスなどの実施形態において、記載された特徴「からなる(consist of)」または「本質的に~からなる(consist essentially of)」の可能性があることを除外することを意図するものではない。
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、「抗体」とは、天然のものであるか、または組換えなどにより部分的もしくは全体的に合成的な生成をされたものかを問わず、免疫グロブリンおよび免疫グロブリン断片を指し、完全長免疫グロブリンの結合特異性能力を保持する免疫グロブリン分子の可変領域の少なくとも一部を含む任意のその断片を含む。したがって、抗体は、免疫グロブリン抗原結合ドメイン(抗体結合部位)と相同または実質的に相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。抗体はまた、単一ドメイン抗体(sdAb)も含む。このようなsdAbは、ラマ、ラクダ、およびアルパカを含む、ラクダ科の哺乳動物のメンバーから単離され得る。単一ドメイン抗体は、ペプチド、リガンド、または低分子の重鎖可変ドメイン(VH)を含んでもよい。単一ドメイン抗体は、ラクダ科動物由来のsdAb、ペプチド、リガンド、または低分子の可変ドメイン(VHH)から構成されていてもよい。抗体は、米国特許第9,816,080号明細書に開示されているような、組織特異的マーカーを認識するsdAbを含み得る。本明細書で提供される構築物において使用するためのこのようなsdAbは、当技術分野において公知の方法を使用してファージディスプレイライブラリを介して選択することができる(例えば、Velazquez EJ, Cress JD, Humpherys TB, Mortimer TO, Bellini DM, Skidmore JR, et al. (2022) Selection of human single domain antibodies (sdAb) against thymidine kinase 1 and their incorporation into sdAb-Fc antibody constructs for potential use in cancer therapy. PLoS ONE17(3): e0264822. https://doi.org/ 10.1371/journal.pone.0264822を参照されたい)。ユビキチン化を促進する抗体(例えば、ユビキチン化特異的抗体)(例えばsdAb)は、本明細書で提供される構築物に組み込まれ得る。抗体は、抗体断片を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、したがって、合成抗体、組換え産生抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、ヒト抗体、非ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、および抗体断片、例えば、限定するものではないが、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、Fd断片、Fd’断片、単鎖Fv(scFv)、単鎖Fab(scFab)、ダイアボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、または上記のいずれかの抗原結合断片を含む。本明細書で提供される抗体は、任意の免疫グロブリン型(例えば、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、およびIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラス(例えば、IgG2aおよびIgG2b)のメンバーを含む。
【0017】
本明細書において使用される場合、抗体の「抗体断片」または「抗原結合断片」は、完全長より短いが、抗原に結合する抗体の可変領域の少なくとも一部(例えば、1つもしくは複数のCDRおよび/または1つもしくは複数の抗体結合部位)を含み、したがって結合特異性と、完全長抗体の特異的結合能力の少なくとも一部を保持する、完全長抗体の任意の部分を指す。したがって、抗原結合断片とは、抗体断片が由来する抗体と同じ抗原に結合する抗原結合部分を含む抗体断片を指す。抗体断片は、完全長抗体の酵素処理によって生成される抗体誘導体、ならびに合成的に、例えば、組換え的に生成される誘導体を含む。抗体断片は抗体の中に含まれる。抗体断片の例には、限定するものではないが、単一ドメイン抗体(sdAb)、Fab、Fab’、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、FdおよびFd’断片、ならびに改変型断片を含む他の断片が含まれる(例えば、Methods in Molecular Biology, Vol 207: Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols (2003); Chapter 1; p 3-25, Kipriyanovを参照されたい)。断片には、例えば、ジスルフィド結合によって、および/またはペプチドリンカーによって、互いに連結された複数の鎖が含まれ得る。抗体断片は、一般には、少なくともまたは約50アミノ酸を含み、典型的には、少なくともまたは約200アミノ酸を含む。抗原結合断片には、抗体フレームワークに挿入された場合に(例えば、対応する領域を置き換えることにより)、抗原に免疫特異的に結合する(すなわち、少なくとも107~108M-1、または少なくとも約107~108M-1のKaを示す)抗体を生じる抗体断片が含まれる。
【0018】
本明細書において使用される場合、「アプタマー」という用語は、特定の標的分子、例えばRNA結合タンパク質に結合する核酸を指す。一部の実施形態では、核酸(例えば、DNAまたはRNA)アプタマーは、in vitro選択の繰り返し、または同様に、SELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)方法論によって、様々な分子標的、例えば、タンパク質、低分子、高分子、代謝産物、炭水化物、金属、核酸、細胞、組織、および生物に結合するように操作される。様々な分子標的、例えばタンパク質に結合するアプタマーを操作する方法は、当技術分野において公知であり、米国特許第6,376,19号明細書および同第9,061,043号明細書;Shui B., et al., "RNA aptamers that functionally interact with green fluorescent protein and its derivatives." Nucleic Acids Res., Mar; 40(5): e39 (2012); Trujillo U. H., et al., "DNA and RNA aptamers: from tools for basic research towards therapeutic applications." Comb Chem High Throughput Screen 9 (8): 619-32 (2006); Srisawat C., et al., "Streptavidin aptamers: Affinity tags for the study of RNAs and ribonucleoproteins." RNA, 7:632-641 (2001);およびTuerk and Gold, "Systematic evolution of ligands by exponential enrichment: RNA ligands to bacteriophage T4 DNA polymerase." Science. 1990に記載されているものが含まれ、これらの文献のそれぞれの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0019】
本明細書において使用される場合、「ARMM」という用語は、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントを含むマイクロベシクルを指す。ARMMが産生される分子メカニズムは米国特許第10945954号明細書に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、ARMMは細胞から排出され、細胞の細胞質内に存在する分子、例えば、核酸、タンパク質、または低分子を含む。一部の実施形態では、ARMMは、導入遺伝子が含まれる組換え発現構築物を含むトランスジェニック細胞から排出され、ARMMは、発現構築物によってコードされている遺伝子産物、例えば、転写産物またはタンパク質を含む。一部の実施形態では、ARMMは、例えば、脂質二重層をARRDC1タンパク質と無細胞系においてTSG101、HECTドメインリガーゼおよびVPS4aの存在下で接触させることによって合成的に産生される。一部の実施形態では、ARMMは後期エンドソームマーカーを欠いている。本明細書で提供される場合の一部のARMMには、1つまたは複数のエキソソームバイオマーカーが含まれていないか、またはそれについて陰性である。エキソソームバイオマーカーは当業者には公知であり、限定するものではないが、CD63、Lamp-1、Lamp-2、CD9、HSPA8、GAPDH、CD81、SDCBP、PDCD6IP、ENOi、ANXA2、ACTB、YWHAZ、HSP90AAi、ANXAS、EEFiAi、YWHAE、PPIA、MSN、CFL1、ALDOA、PGKi、EEF2、ANXA1、PKM2、HLA-DRA、およびYWHABが含まれる。例えば、本明細書で提供される一部のARMMはCD63を欠き、一部のARMMはLAMP1を欠き、一部のARMMはCD9を欠き、一部のARMMはCD81を欠き、一部のARMMはCD63およびLamp1を欠き、一部のARMMはCD63、Lamp1、およびCD9を欠き、一部のARMMはCD63、Lamp-1、CD81、およびCD9を欠くなどである。本明細書で提供されるある特定のARMMは、エキソソームバイオマーカーを含み得る。したがって、一部のARMMは、1つまたは複数のエキソソームバイオマーカーについては陰性であり得るが、1つまたは複数の異なるエキソソームバイオマーカーについては陽性であり得る。例えば、このようなARMMは、CD63およびLamp-1については陰性であり得るが、PGKiもしくはGAPDHを含み得る;またはCD63、Lamp-1、CD9、およびCD81については陰性であり得るが、HLA-DRAについては陽性であり得る。一部の実施形態では、ARMMにはエキソソームバイオマーカーが含まれるが、それはエキソソームで確認されるレベルよりも低い。例えば、一部のARMMには、エキソソームで確認されるバイオマーカーのレベルの約1%未満、約5%未満、約10%未満、約20%未満、約30%未満、約40%未満、または約50%未満のレベルで、1つまたは複数のエキソソームバイオマーカーが含まれる。非限定的な例を挙げると、一部の実施形態では、ARMMは、CD63およびLamp-1については陰性であり得、エキソソーム中に典型的に確認されるCD9のレベルの約5%未満のレベルでCD9を含み、ACTBについては陽性であり得る。上記に挙げたものに加えて、エキソソームバイオマーカーは当業者に公知であり、本発明はこの点に関して限定されない。
【0020】
本明細書において使用される場合、「と会合した」という用語は、2つ以上の分子実体、例えば、融合タンパク質、分子、核酸に関して使用される場合、その実体は直接的にまたはリンカーとして機能する1つまたは複数の追加部分を介して、互いに物理的に会合または接続され、その構造が使用される条件、例えば、生理学的条件下で、その実体が物理的に会合したままであるように十分に安定した構造を形成することを意味する。一部の実施形態では、会合は、リンカー、例えば切断可能なリンカーを介して行われる。
【0021】
本明細書において使用される場合、「結合RNA」という用語は、RNA結合タンパク質、例えば、当技術分野で公知の、および/または本明細書で提供されるいずれかのRNA結合タンパク質に結合するリボ核酸(RNA)を指す。一部の実施形態では、結合RNAは、RNA結合タンパク質に特異的に結合するRNAである。RNA結合タンパク質に「特異的に結合する」結合RNAは、RNAに結合しないタンパク質または結合RNAに弱く結合するタンパク質などの別のタンパク質に結合するよりも高い親和性、結合活性で、より容易に、および/またはより長い持続時間で、RNA結合タンパク質に結合する。一部の実施形態では、結合RNAは、特定のRNA結合タンパク質に結合する、天然RNAまたはその非天然バリアントである。例えば、結合RNAは、RNA結合タンパク質に特異的に結合するTARエレメント、Rev応答エレメント、MS2 RNA、またはそれらの任意のバリアントであってもよい。一部の実施形態では、結合RNAは、新生HIV-1転写産物の5’末端で確認され、転写のトランス活性化因子(Tat)タンパク質に特異的に結合するRNAステムループ構造である、トランス活性化応答エレメント(TARエレメント)またはそのバリアントであり得る。一部の実施形態では、結合RNAは、アクセサリータンパク質Rev(例えば、HIV-1由来のRev)に特異的に結合する、Rev応答エレメント(RRE)またはそのバリアントである。一部の実施形態では、結合RNAは、MS2ファージコートタンパク質に特異的に結合するMS2 RNAである。
【0022】
本明細書において使用される場合、「生物活性剤」という用語は、本発明によるARMMまたはARRDC1融合タンパク質以外の薬剤を表すために使用され、これは、本発明の化合物が使用される治療、阻害および/または防止/予防の意図された、あるいは所望された結果を達成するのを補助する生物活性を有する薬剤として、ARMMまたはARRDC1融合タンパク質と組み合わせて、または交互に使用される。本明細書で使用するための生物活性剤には、ARMMまたはARRDC1融合タンパク質が使用または投与される薬理活性と同様の薬理活性を有する薬剤が含まれていてもよく、例えば、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤などが含まれる。
【0023】
「誘導体」には、第2のポリペプチドに対して保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドもしくはその断片;または、第2の分子の共有結合によって、例えば、異種ポリペプチドの結合によって、もしくはグリコシル化、アセチル化、リン酸化などによって改変されたポリペプチドもしくはその断片が含まれる。例えば、1つまたは複数のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸など)、非置換連結を有するポリペプチド、ならびに天然および非天然の両方の当技術分野において公知の他の改変を含むペリペプチドである。
【0024】
本明細書において使用される場合、「ドメイン」という用語は、タンパク質の残りの部分とは独立した三次構造を保持する折り畳まれたタンパク質構造を指す。一般的には、ドメインはタンパク質の個別の機能特性を担っており、多くの場合、タンパク質および/またはドメインの残りの部分の機能を損なわずに、他のタンパク質に付加、除去、または導入され得る。
【0025】
本明細書において使用される場合、核酸配列の「発現」とは、以下の事象の1つまたは複数を指す:(1)DNA配列からのRNA転写産物の生成(例えば、転写による);(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、および/または3’末端プロセシングによる);(3)RNA転写産物のポリペプチドまたはタンパク質への翻訳;ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
【0026】
本明細書において使用される場合、「断片」という用語は、完全な野生型配列の断片であって、それが由来する野生型タンパク質の結合機能を依然として保持している(例えば、標的タンパク質の断片は、ユビキチンリガーゼとの相互作用を媒介する化合物への結合を依然として可能にしている)、断片を指す。断片は、少なくとも10アミノ酸長、例えば25、50、75、80、90、100、110、120、または130アミノ酸長を適切に含み得る。断片はまた、C末端切断またはN末端切断も含み得る。
【0027】
本明細書において使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、一般に、2つの異なる遺伝子/核酸配列の一部を結合することによって作製される融合遺伝子から翻訳されるタンパク質を指す。ARRDC1またはそのバリアントと非酵素的標的化ドメインは、好ましくは、互いの遺伝的融合(すなわち、融合タンパク質は、ARRDC1の全部もしくは一部をコードするポリヌクレオチドが非酵素的標的化ドメインの全部もしくは一部をコードするポリヌクレオチドとインフレームで結合されている核酸の翻訳によって生成される)、または化学的結合によって、互いに会合している。
【0028】
本明細書において使用される場合、「融合RNA」という用語は、一般的には、2つの異なる遺伝子/核酸配列の一部を結合することによって作製される融合遺伝子から転写されるRNAを指す。本開示では、RNA結合タンパク質に結合するRNA配列は、互いの遺伝的融合または化学的結合によって、ユビツチンリガーゼ(例えばTrim21 mRNA)の発現配列と会合している。
【0029】
本明細書において使用される場合、「相互作用ドメイン」という用語は、それ自体とは異なる他の分子上の標的領域(または標的)と特異的に相互作用するように適合されたペプチドまたはタンパク質を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「イントラボディ」という用語は、それが生成される細胞から分泌されるのではなく、1つまたは複数の細胞内タンパク質を標的とする抗体の形態を指す。イントラボディは、限定するものではないが、細胞内輸送、転写、翻訳、代謝プロセス、増殖シグナル伝達、および細胞分裂を含む、多数の細胞プロセスに影響を及ぼすために使用され得る。イントラボディは、一般的には、典型的にはscFvとして、抗体をコードし、抗体を目的の細胞内区画に標的化するための様々な局在シグナルを含む、発現カセットの送達を介して細胞内で発現される(Lo et al. (2008) Handb Exp Pharmacol 181:343-373を参照、その全体は本明細書に組み込まれる)。イントラボディを安定化する方法は当技術分野において公知であり、限定するものではないが、超安定性をもたらす免疫グロブリンVLドメインの改変(Cohen (1998) Oncogene 17(19):2445-2456)、またはマルトース結合タンパク質などの他の安定した細胞内タンパク質との融合タンパク質としての抗体の発現(Shaki-Loewenstein (2005) J Immunol Methods 303(1-2):19-39)を含む。
【0031】
本明細書において使用される場合、「リンカー」という用語は、2つの分子または部分、例えば、ARRDC1タンパク質と標的化ドメイン、または標的化ドメインとTatタンパク質を連結する化学部分を指す。典型的には、リンカーは2つの基、分子、もしくは他の部分の間に配置されるか、またはこれらに挟まれ、共有結合を介してそれぞれに接続され、それにより2つが接続される。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸または複数のアミノ酸(例えば、ペプチドもしくはタンパク質)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、ヌクレオチド(例えば、DNAもしくはRNA)または複数のヌクレオチド(例えば、核酸)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、有機分子、基、ポリマー、または他の化学部分である。一部の実施形態では、リンカーは切断可能なリンカーであり、例えば、リンカーは、例えば、紫外線または加水分解酵素、例えばリソソームプロテアーゼに曝露された際に切断され得る結合を含む。一部の実施形態では、リンカーは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50アミノ酸、またはそれより多くのアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50アミノ酸)を有するアミノ酸の任意の伸長部分である。他の実施形態では、リンカーは、化学結合(例えば共有結合)である。
【0032】
本明細書において使用される場合、「リンカーペプチド」という用語は、好ましくは融合タンパク質の形態で、少なくとも1つの他のペプチドまたはタンパク質との会合に使用されるペプチドを指す。
【0033】
本明細書において使用される場合、「マイクロベシクル」という用語は、脂質二重層に囲まれた液滴を指す。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、約10nm~約1000nmの直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、少なくとも約10nm、少なくとも約20nm、少なくとも約30nm、少なくとも約40nm、少なくとも約50nm、少なくとも約60nm、少なくとも約70nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、少なくとも約100nm、少なくとも約125nm、少なくとも約150nm、少なくとも約175nm、少なくとも約200nm、少なくとも約250nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、または少なくとも約500nmの直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約90nm未満、約80nm未満、約70nm未満、約60nm未満、または約50nm未満の直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、ナノスケールフロー分析(例えば、NanoFCM社製のFlow Nanoanalyzerを使用)または透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定した場合、約50~約70nmの直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、ナノ粒子トラッキング分析(NTA)によって測定された場合、約70~約110nmの直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、可変抵抗性パルス検出(tunable resistive pulse sensing)(TRPS)によって測定した場合、約70~約90nmの直径を有する。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、可変抵抗性パルス検出(TRPS)によって測定した場合、約70~約90nmの直径を有する。「マイクロベシクル」という用語には、細胞から排出されるマイクロベシクル、ならびに合成的に生成されるマイクロベシクルが含まれる。細胞から排出されるマイクロベシクルは、典型的には、それらが由来する細胞の抗原性成分を含む。細胞から排出されるマイクロベシクルはまた、典型的には、リン脂質の非対称分布を構成しており、それらが由来する細胞のリン脂質分布を反映している。一部の実施形態では、本明細書で提供されるマイクロベシクルの内膜、例えばいくつかのARMMの内膜は、脂質二重層内の大部分のアミノリン脂質、ホスファチジルセリン、および/またはホスファチジルエタノールアミンを含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、「新生物」または「がん」という用語は、がん性新生物または悪性新生物の形成および成長をもたらす病理学的プロセス、すなわち、細胞増殖によって成長し、多くの場合に正常よりも急速に成長し、新たな成長を開始した刺激が停止した後も成長し続ける異常組織を指す。悪性新生物は、構造的組織および正常組織との機能的連携が部分的もしくは完全に欠如しており、多くは周囲の組織を侵襲し、複数の部位に転移し、切除を試みた後でも再発しやすく、適切に処置されない限り、患者に死をもたらす可能性がある。本明細書で使用される場合、新生物という用語は、すべてのがん性疾患状態を説明するために使用され、悪性血行性腫瘍、腹水腫瘍および固形腫瘍に関連する病理学的プロセスを包含または網羅する。単独で、または少なくとも1つの追加の抗がん剤と組み合わせて本発明の化合物により処置され得る例示的ながんとしては、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、肝細胞癌、および腎細胞癌、膀胱、腸、乳房、子宮頸部、結腸、食道、頭部、腎臓、肝臓、肺、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、および胃のがん;白血病;良性リンパ腫および悪性リンパ腫、特にバーキットリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;良性黒色腫および悪性黒色腫;骨髄増殖性疾患;ユーイング肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、筋肉肉腫、末梢神経上皮腫、滑膜肉腫、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、神経膠芽腫、神経芽腫、神経節神経腫、神経節膠腫、髄芽腫、松果体細胞腫瘍、髄膜腫、髄膜肉腫、神経線維腫、およびシュワン細胞腫を含む肉腫;大腸がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮がん、肺がん、卵巣がん、精巣がん、甲状腺がん、星状細胞腫、食道がん、膵臓がん、胃がん、肝臓がん、結腸がん、黒色腫;癌肉腫、ホジキン病、ウィルムス腫瘍、および奇形癌種が挙げられる。本発明による化合物を使用して処置され得るさらなるがんとしては、例えば、T系急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、T系リンパ芽球性リンパ腫(T-LL)、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病、プレB ALL、プレBリンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞ALL、フィラデルフィア染色体陽性ALL、およびフィラデルフィア染色体陽性CMLが挙げられる。
【0035】
本明細書において使用される場合、「非酵素的標的化ドメイン」という用語は、一般的には、酵素またはその酵素活性断片を含まない標的化ドメインを指す。
【0036】
本明細書において使用される場合、「リクルート」という用語は、タンパク質またはRNA分子などの実体が標的化ドメインまたはRNA結合ドメインに誘引されることを指す。実体は、標的化ドメインまたはRNA結合ドメインに結合し得る。
【0037】
本明細書において使用される場合、「リプログラミング因子」という用語は、単独で、または他の因子と組み合わせて、細胞の状態を体細胞の分化状態から多能性幹細胞状態に変化させることができる因子を指す。リプログラミング因子の非限定的な例には、タンパク質(例えば転写因子)、ペプチド、核酸、または低分子が含まれる。細胞リプログラミングに有用な公知のリプログラミング因子には、限定するものではないが、Oct4、Sox2、Klf4、およびc-mycが含まれる。同様に、プログラミング因子は、細胞分化をモジュレートするために、例えば、所望の系統への細胞分化を促進または誘導するために使用され得る。
【0038】
本明細書において使用される場合、「RNA結合タンパク質」という用語は、結合RNA、例えば、当技術分野において公知の結合RNAおよび/または本明細書で提供される結合RNAのいずれかに結合するポリペプチド分子を指す。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、結合RNAに特異的に結合するタンパク質である。結合RNAに「特異的に結合する」RNA結合タンパク質は、別のRNA、例えば、対照RNA(例えば、ランダムな核酸配列を有するRNA)またはRNA結合タンパク質に弱く結合するRNAに結合する場合よりも、より高い親和性、結合力で、より容易に、および/またはより長い持続時間で結合RNAに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、特定のRNAに結合する天然タンパク質、またはその非天然バリアントである。例えば、一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、トランス活性化応答エレメント(TARエレメント)に特異的に結合する転写のトランス活性化因子(Tat)タンパク質であり得る。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、Rev応答エレメント(RRE)に特異的に結合する、ビリオン発現制御因子(Rev)タンパク質(例えば、HIV-1由来のRev)またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、MS2 RNAに特異的に結合するMS2バクテリオファージのコートタンパク質である。本開示で有用なRNA結合タンパク質(例えば、ARRDC1に融合された結合タンパク質)は、標的タンパク質のユビキチン化を容易にするために、結合RNA(例えば、Trim21などのユビキチンリガーゼをコードするmRNAに融合された結合RNA)に特異的に結合するように設計され得る。
【0039】
本明細書において使用される場合、「対象」という用語は、本発明による組成物が、例えば、実験目的、診断目的、予防目的、および/または治療目的で投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳動物)および/または植物が含まれる。
【0040】
本明細書において使用される場合、「標的タンパク質」という用語は、一般的には、非酵素的標的化ドメインに標的化され、リクルートされるタンパク質を指す。例えば、標的タンパク質は、抗原またはリガンドであり得る。標的タンパク質は、転写因子、腫瘍プロモーター、または発癌遺伝子のタンパク質産物、発生制御因子、増殖因子、転移プロモーター、抗アポトーシスタンパク質、膜関連タンパク質、膜貫通受容体、酵素、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、またはリプログラミング因子であり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質およびARMMは、ユビキチンリガーゼを標的に近接させ、標的タンパク質のユビキチン化を促進し、最終的にはプロテオソーム経路によるその標的分解を促進するように操作されている。
【0041】
本明細書において使用される場合、「標的化ドメイン」という用語は、特定の標的、例えば抗原またはリガンドに結合することが可能な核酸またはアミノ酸サブユニットから構成されるオリゴマーまたはポリマーを指す。標的化ドメインは、例えば、標的タンパク質に結合する任意のタイプのアプタマーまたはタンパク質であってもよい。
【0042】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているか、または罹患しやすい対象に投与された場合に、疾患、障害、および/または状態を処置し、症状を改善し、診断し、予防し、および/または発症を遅延させるのに十分な、送達される薬剤(例えば、核酸、薬物、治療薬、診断薬、予防薬など)の量を意味する。
【0043】
本明細書において使用される場合、「転写因子」という用語は、例えば、転写の活性化または抑制によって、DNAからRNAへの転写を制御するDNA結合タンパク質を指す。一部の転写因子は、単独で転写を制御するものもあれば、他の転写因子は、他のタンパク質と連携して作用する。一部の転写因子は、ある特定の条件下で転写を活性化することも抑制することも可能である。一般に、転写因子は、標的遺伝子の制御領域内の特定のコンセンサス配列に特異的な標的配列またはそれに非常に類似した配列に結合する。転写因子は、単独で、または他の分子との複合体で、標的遺伝子の転写を制御し得る。
【0044】
本明細書において使用される場合、「処置する」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または特徴を部分的または完全に緩和すること、軽快させること、改善すること、軽減すること、発症を遅延させること、進行を抑制すること、重症度を軽減すること、および/または発症を低減することを指す。例えば、がんを「処置する」とは、腫瘍の生存、成長、および/または拡散を抑制することを指し得る。処置は、疾患、障害、および/または状態の徴候を示さない対象、ならびに/あるいは疾患、障害、および/または状態の初期徴候のみを示す対象に、疾患、障害、および/または状態に関連する病態の発症リスクを低減する目的で実施され得る。
【0045】
本明細書において使用される場合、「ユビキボディ」という用語は、一般的に、E3ユビキチンリガーゼの活性とデザイナー結合タンパク質とを組み合わせ、標的タンパク質をUPPにリクルートして分解させるタンパク質キメラを指す。例えば、その天然基質結合ドメインが、それぞれの抗原を高い特異性および親和性で標的とする単鎖Fv(scFv)イントラボディまたはフィブロネクチンIII型ドメインモノボディに置き換えられているモジュラーヒトE3ユビキチンリガーゼCHIP(Hsc70相互作用タンパク質のカルボキシル末端)である。ユビキボディに関する追加情報は、Alyse Portnoff, Erin Stephens, Jeffrey Varner, et al., "Ubiquibodies, Synthetic E3 Ubiquitin Ligases Endowed with Unnatural Substrate Specificity for Targeted Protein Silencing," J Bio Chem, Vol 289, No. 11, pp. 7844-7855, March 14, 2014で確認することができ、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0046】
本明細書において使用される場合、「ユビキチンリガーゼ」という用語は、E3リガーゼとしても公知であり、ユビキチンを単独または複合体として特定の基質タンパク質への転移を容易にし、それにより基質タンパク質を分解の標的とするタンパク質のファミリーを指す。E3ユビキチンリガーゼは5つのクラスに分類され、2つの主要クラス(HECT(E6-APカルボキシル末端と相同)触媒ドメインE3リガーゼおよび亜鉛結合RING(非常に興味が持たれる新しい遺伝子)フィンガーアダプタードメインE3リガーゼ)と、3つのマイナークラス(U Box、PHD、およびHUL-1 E3リガーゼ)がある。例えば、神経前駆細胞発現発生的ダウンレギュレートタンパク質4(NEDD4)は、細胞シグナル伝達において複数の役割を担っているHECTドメインE3リガーゼである。NEDD4によるユビキチン化は、ユビキチン結合型E2とNEDD4のHECTドメインとの最初の結合と、その後のE2からNEDD4の触媒システインへのユビキチン部分の移動のためのチオールエステル交換を含む。次いで、結合したユビキチン部分は、標的タンパク質または別のユビキチン分子に転移され、ポリユビキチン鎖を促進する。どちらの場合においても、ユビキチンはE3触媒システインからリジン側鎖ε-アミノ基に転移される。ポリユビキチン化は、タンパク質をプロテアソームによる分解についてマークすることができる。
【0047】
本明細書において使用される場合、「ユビキチン化」という用語は、タンパク質ユビキチンが他の分子のリジン残基に結合することを指す。ペプチドまたはタンパク質などの分子のユビキチン化は、その分子の速やかな細胞分解と、プロテアソーム複合体への標的化のシグナルとして作用し得る。
【0048】
本明細書において使用される場合、「可変」という用語は、可変ドメインのある特定のセグメントが抗体間で配列が大きく異なるという事実を指す。可変ドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を定義する。しかし、可変性は、可変ドメインのアミノ酸範囲にわたって均等に分布しているわけではない。代わりに、可変ドメイン領域は、それぞれ9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極端な可変性の短い領域によって区切られている15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変な伸長部分からなる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4つのFRから構成され、大部分はβ-シート構造をとり、3つの超可変領域によって接続されており、これらはβ-シート構造を接続するループを形成し、場合によってはβ-シート構造の一部を形成する。各鎖の超可変領域は、FRによって近接して保持され、他方の鎖の超可変領域とともに、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。Kabat et al. (1991)を参照されたい。定常ドメインは、抗体と抗原の結合には直接関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与などを示す。
【0049】
本明細書において使用される場合、「バリアント」という用語は、元の(例えば野生型の)配列と類似のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有するが、1つまたは複数のアミノ酸またはヌクレオチドの変化を有し、その結果、それらが由来する元のタンパク質の機能が依然として保持されるバリアントをもたらすバリアントを含む。例えば、本明細書に記載の標的タンパク質のバリアントは、ユビキチンリガーゼを介してポリペプチド配列のユビキチン化を可能にする化合物への十分な結合を依然として促進するバリアントを含む。
【0050】
ユビキチン-プロテアーゼ経路(UPP)
ユビキチンは、真核生物のほとんどの組織で確認されている小型(約8.5kDa)タンパク質である。基質タンパク質へのユビキチンの付加は、ユビキチン化(ubiquitination)またはユビキチン化反応(ubiquitylation)と呼ばれる。ユビキチン化は、プロテアソームを介した分解のためのシグナル伝達を含む、様々な方法でタンパク質に影響を及ぼし得る。ユビキチンは、E1(ユビキチン活性化酵素)、E2(ユビキチン結合酵素)、およびE3(ユビキチンリガーゼ)酵素カスケードの活性によって、基質リジンに共有結合される。E3ユビキチンRINGリガーゼは、ユビキチンがロードされたE2ユビキチン結合酵素をリクルートするタンパク質であり、そのため、E3ユビキチンRINGリガーゼは標的タンパク質とE2酵素の両方と相互作用する。次いで、タンパク質基質はユビキチン化され、続いてプロテアソームによって分解される。
【0051】
E3ユビキチンリガーゼ、例えばセレブロンは、標的タンパク質がE3ユビキチンリガーゼの近傍に置かれると、標的タンパク質をユビキチン化することができる。本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質およびARMMは、ユビキチンリガーゼを標的タンパク質に近接させ、標的タンパク質のユビキチン化を促進し、最終的にはプロテオソーム経路によるその標的分解を促進するように操作されている。したがって、いくつかの態様では、本開示は、近接誘導型ユビキチン化、およびそれに続く分解を提供する。本開示は、標的タンパク質とユビキチンリガーゼの望ましい並置を達成するための複数のアプローチを提供するものであり、これには、標的化ドメインをARRDC1と共有結合的に(例えば、ARRDC1との融合)または非共有結合的に(例えば、ARRDC1に融合されているRNA結合タンパク質を介してARRDC1に結合しているアプタマー)会合させて、ARRDC1によってリクルートされるユビキチンリガーゼに標的タンパク質を近接させる実施形態、ならびに、ユビキボディ(例えば、標的化ドメインおよびユビキチンリガーゼを含む構築物)をARRDC1に融合すること、またはFc領域に対する標的化ドメインとユビキチンリガーゼ(例えばTRIM21)をコードする標的RNAに結合するRNA結合タンパク質とを融合することによってなど、ユビキチンリガーゼ活性を供給する実施形態が含まれる。
【0052】
ユビキチンリガーゼ
前述のように、E3ユビキチンリガーゼは、ユビキチンがロードされたE2ユビキチン結合酵素をリクルートし、タンパク質基質を認識し、E2から標的タンパク質へのユビキチンの転移を促進することができる。E3ユビキチンリガーゼは、主として基質特異性を決定する。哺乳動物では数百のユビキチンタンパク質リガーゼが存在する。これらは、2つの主要な群:ユビキチンの基質への直接的転移を媒介するRING E3と、E3のC末端と中間複合体を形成することによってE2から基質への活性化ユビキチンの転移に関与するNEDD4ファミリーメンバーを含むHECT E3とに分類され得る。N. Boase and S Kumar, "NEDD4: The founding member of a family of ubiquitin-protein ligases," Gene, 2015 Feb 25; 557(2): 113-122を参照されたい。例示的なユビキチンリガーゼには、限定するものではないが、HECW2(HECT、C2およびWWドメインを含むE3ユビキチンタンパク質リガーゼ2)、HECW1(HECT、C2およびWWドメインを含むE3ユビキチンタンパク質リガーゼ1)、WWPL(WWドメインを含むE3ユビキチンタンパク質リガーゼ1)、WWP2(WWドメイン含有タンパク質2)、NEDD4-1(神経前駆細胞発現発生的ダウンレギュレート4-1)、NEDD4-2(神経前駆細胞発現発生的ダウンレギュレート4-2)、NEDD4L(NEDD4様E3ユビキチンタンパク質リガーゼ)、SMURFL(Smadユビキチン化制御因子-L)、SMURF2(Smadユビキチン制御因子2)、SMURF1(Smadユビキチン制御因子1)、ITCH、NEDL1(HECT型ユビキチンタンパク質イソペプチドリガーゼ1)、NEDL2(HECT型ユビキチンタンパク質イソペプチドリガーゼ2)、およびTRIM21(三要素モチーフ含有タンパク質21)が含まれる。
【0053】
ユビキボディ
一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、ユビキチンリガーゼに融合されている。一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼはユビキボディである。ユビキボディは、E3ユビキチンリガーゼのユビキチン化活性と、デザイナー結合タンパク質(DBP)の結合親和性および基質特異性とを組み合わせた、操作されたタンパク質キメラである。Morgan Baltz, Erin Stephens, and Matthew DeLisa, "Design and Functional Chracterization of Synthetic E3 Ubiquitin Ligases for Targeted Protein Depletion: selective protein knockout using enginnered ubiquibodies," Curr Protoc Chem Biol., 2018 March; 10(1): 72-90を参照されたい。ユビキボディは、そうでない場合にプロテアソームに結合しない可能性がある特定の基質標的の再方向付けとタンパク質分解を促進する。ユビキボディは、分解ドメイン(例えば、ユビキチンリガーゼ触媒ドメイン)と、分解ドメインを基質へと特異的に方向付けることが可能な標的化ドメインとを含んでいてもよく、標的化ドメインは分解ドメインとは異種である。リンカーは、分解ドメインを標的化ドメインに結合することができる。一部の実施形態では、分解ドメインは、真核生物U-ボックスモチーフを含む。ユビキボディに関するさらなる情報は国際公開第2012/135284号パンフレットで確認することができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
ARRDC1タンパク質
ARRDC1は、そのC末端に、本明細書ではそれぞれPSAPおよびPPXYドメインとも呼ばれる、PSAP(配列番号1)およびPPXY(配列番号2)モチーフを含むタンパク質である。例示的な非限定的ARRDC1タンパク質配列が本明細書では提供されており、本発明の態様による、追加の適切なARRDC1タンパク質配列、アイソフォーム、および断片は、当技術分野において公知である。本発明はこの点において限定されないことは当業者には理解されよう。ARRDC1に関する追加の情報は、米国特許第10945954号明細書および米国特許第10260055号明細書で提供されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。例示的なARRDC1配列には以下のものが含まれる(PSAPおよびPPXYモチーフはマークされている):
>gi|22748653|ref|NP_689498.1|アレスチンドメイン含有タンパク質1[ヒト(Homo sapiens)]
【0055】
【0056】
>gi|244798004|ref|NP_001155957.1|アレスチンドメイン含有タンパク質1アイソフォームa[ハツカネズミ(Mus musculus)]
【0057】
【0058】
>gi|244798112|ref|NP_848495.2|アレスチンドメイン含有タンパク質1アイソフォームb[ハツカネズミ(Mus musculus)]
【0059】
【0060】
ARRDC1 PPXYモチーフは、限定するものではないが、HECW2、HECW1、NEDD4、NEDD4L、SMURF2、SMURF1、WWP1、WWP2、およびITCHを含む、NEDD4ファミリー由来のE3ユビキチンリガーゼをリクルートすることが示されている。いかなる特定の理論にも限定されるわけではないが、ARRDC1に結合したユビキチンリガーゼへの標的タンパク質の近接により、標的タンパク質がユビキチン化され、プロテアソームによるその分解が駆動され得る。
【0061】
一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、ARRDC1タンパク質断片である。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質断片は、C末端ARRDC1タンパク質断片である。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質断片は、PSAPモチーフと、ARRCD1配列の少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、少なくとも130、少なくとも140、少なくとも150、少なくとも160、少なくとも170、少なくとも180、少なくとも190、少なくとも200、少なくとも210、少なくとも220、少なくとも230、少なくとも240、少なくとも250、少なくとも260、少なくとも270、少なくとも280、少なくとも290、または少なくとも300連続アミノ酸を含む。追加の情報は、米国特許第10945954号明細書で確認することができ、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも2つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも3つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも4つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも5つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも6つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも2つであるが10未満のPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも2つであるが6つ未満のPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、少なくとも2つであるが4つ未満のPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、2、3、4、5、または6つのPPXYモチーフを含む。一部の実施形態では、PPXYモチーフは同じである。一部の実施形態では、少なくともいくつかのPPXYモチーフは異なる。一部の実施形態では、すべてのPPXYモチーフは互いに異なり、すなわち、ARRDC1タンパク質またはそのバリアント内の他のPPXYモチーフと同じPPXYモチーフはない。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、PSAPモチーフを含む。
【0063】
ARRDC1融合タンパク質
本明細書では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントと、標的タンパク質をリクルートする非酵素的標的化ドメインとを含むARRDC1融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのN末端に融合されている。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのC末端に融合されている。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、標的化ドメインに共有結合される。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、標的化ドメインに非共有結合される。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、リンカーによって標的化ドメインに融合されている。
【0064】
一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、相互作用ドメインを含む。一部の実施形態では、相互作用ドメインは、非酵素的タンパク質結合ペプチドを含む。一部の実施形態では、非酵素的タンパク質結合ペプチドは、抗体、抗体誘導体、または抗体断片を含む。一部の実施形態では、非酵素的タンパク質結合ペプチドは、イントラボディを含む。一部の実施形態では、イントラボディは、単一鎖可変領域、ナノボディ、または単一ドメイン抗体を含む。一部の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ラクダ科動物の単一ドメインである。一部の実施形態では、非酵素的タンパク質結合ペプチドは、リガンドまたはリガンド断片を含む。一部の実施形態では、非酵素的タンパク質結合ペプチドは、抗原または抗原断片を含む。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、アプタマーを含む。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、代替の足場タンパク質、例えば、アンキリンリピートモチーフに基づく操作型タンパク質(例えばDARPin)、タンパク質AのZドメインに基づく操作型タンパク質(例えばアフィボディ)、フィブロネクチンIII型ドメインタンパク質に基づく操作型タンパク質(例えば、アドネクチン、トリネクチン、モノボディ、またはセンチリン)、プロトオンコジーンfynのSH3ドメインなどのSH3ドメインに基づく操作型タンパク質(例えばフィノマー)、リポカリンに基づく操作型タンパク質(例えばアンチカリン)を含む。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも1つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも2つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも3つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも4つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも1つであるが10未満の追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも1つであるが8つ未満の追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも1つであるが6つ未満の追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも2つであるが6つ未満の追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、少なくとも2つであるが4つ未満の追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、1つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、2つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、3つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端は、4つの追加のPPXYモチーフに融合されている。一部の実施形態では、追加のPPXYモチーフは同一である。一部の実施形態では、追加のPPXYモチーフの少なくとも一部は異なる。一部の実施形態では、追加のPPXYモチーフはすべて異なり、すなわち、追加のPPXYモチーフは、非酵素的標的化ドメインに融合されている別の追加のPPXYモチーフと同一ではない。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端はN末端である。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインの末端はC末端である。
【0065】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、酵素、転写因子、腫瘍プロモーター、または癌遺伝子のタンパク質産物、発生制御因子、増殖因子、転移プロモーター、抗アポトーシスタンパク質、膜関連タンパク質、膜貫通受容体、酵素、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、リプログラミング因子、または膜関連タンパク質である。
【0066】
RNA結合タンパク質
一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインは、抗体のFc領域に融合されている。一部の実施形態では、非酵素的標的化ドメインまたは抗体のFc領域はRNA結合タンパク質に融合されている。
【0067】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、天然タンパク質、またはその非天然バリアント、またはRNA、例えば特定の配列もしくは構造を有するRNAに結合する非天然タンパク質である。
【0068】
ある特定の実施形態では、RNA結合タンパク質は、トランス活性化応答エレメント(TARエレメント)に特異的に結合する転写のトランス活性化因子(Tat)タンパク質である。例示的なTatタンパク質は、配列番号6(表1)に示すアミノ酸配列を含む。Tatタンパク質の例示的なアミノ酸配列、ならびにTARエレメントに結合するTatタンパク質断片を表1に示す。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号6~25のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であり、TARエレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号6~25のいずれか1つの少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、少なくとも115、少なくとも120、少なくとも125、または少なくとも130同一連続アミノ酸を有し、TARエレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号6~25に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個以上の変異を有し、TARエレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号6~25に記載のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。一部の実施形態では、Tatタンパク質は、配列番号6~25のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。RNA結合タンパク質はまた、TARエレメントと会合することが可能なTatタンパク質のバリアントであり得る。Tatタンパク質、ならびにTARエレメントに結合するTatタンパク質のバリアントは、当技術分野において公知であり、例えば、Kamine et al., "Mapping of HIV-1 Tat Protein Sequences Required for Binding to Tar RNA", Virology 182, 570-577 (1991);およびPatel, "Adaptive recognition in RNA complexes with peptides and protein modules" Curr Opin Struct Biol. 1999 Feb;9(1):74-87において既に記載されており、これらのそれぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、Tatタンパク質は、HIV-1 Tatタンパク質、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、Tatタンパク質は、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)Tatタンパク質、またはそのバリアントである。
【0069】
Tatタンパク質はいくつかのドメインからなり、その1つは核局在にとって重要な短いリジンとアルギニンに富んだ領域である。HIV-1 Tatの9アミノ酸の塩基性領域は、配列番号6の49~57位で見られ、TARエレメントに結合することが可能である。一部の実施形態では、Tat配列は、Tatの9アミノ酸の塩基性領域(配列番号14)を含む。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号6~8、10、11、または14~25に記載のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。一部の実施形態では、Tatタンパク質は融合タンパク質である。
【0070】
【0071】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、Rev応答エレメント(RRE)に結合するビリオン発現制御因子(Rev)タンパク質(例えば、HIV-1由来のRev)またはそのバリアントである。Revタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者に知られている。例えば、Revタンパク質は、Fernandes et al., "The HIV-1 Rev response element: An RNA scaffold that directs the cooperative assembly of a homo-oligomeric ribonucleoprotein complex" RNA Biology 9:1, 6-11; January 2012;Cochrane et al., "The human immunodeficiency virus Rev protein is a nuclear phosphoprotein" Virology 171 (1):264-266, 1989;Grate et al., "Role REVersal: understanding how RRE RNA binds its peptide ligand" Structure. 1997 Jan 15; 5(1):7-11;および Patel, "Adaptive recognition in RNA complexes with peptides and protein modules" Curr Opin Struct Biol. 1999 Feb; 9(1):74-87に記載されており、これらのそれぞれの全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例示的なRevタンパク質は、配列番号28~30(表2)に示すアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号28~30のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であり、Rev応答エレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号28~30のいずれか1つの少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、または少なくとも115同一連続アミノ酸を有し、Rev応答エレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号28~30に記載のアミノ酸配列のいずれか1つと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個以上の変異を有し、Rev応答エレメントに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号28~30に記載のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、RREに結合することが可能な配列番号28~30に記載のアミノ酸配列のいずれか1つのバリアントを含む。このようなバリアントは、本開示および当技術分野の知識に基づいて当業者には自明であり、当技術分野において公知の慣用の方法を使用して(例えば、RREへの結合について)試験することができる。
【0072】
【0073】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、MS2 RNAに特異的に結合するMS2バクテリオファージのコートタンパク質である。MS2 RNAに特異的に結合するMS2ファージコートタンパク質は、当技術分野において公知である。例示的なMS2ファージコートタンパク質は、配列番号34(表3)に示したアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であり、MS2 RNAに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号34の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、または少なくとも115同一連続アミノ酸を有し、MS2 RNAに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号34と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、21、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50個以上の変異を有し、MS2 RNAに結合する。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、配列番号34に示したアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、MS2 RNAに結合することが可能な配列番号34の断片またはバリアントを含む。MS2ファージコートタンパク質のバリアントまたは断片がMS2 RNAに結合するか否かを試験する方法は(例えば配列番号34)、慣用の実験を使用して実施することができ、当業者には自明である。
【0074】
【0075】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、P22boxB RNAに結合するP22 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のP22 N)またはそのバリアントである。P22 Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。タンパク質P22boxB RNAに特異的に結合する例示的なP22 Nは、アミノ酸配列NAKTRRHERRRKLAIERDTI(配列番号35)を含む。
【0076】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、λboxB RNAに結合するλ Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のλ N) またはそのバリアントである。λ Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。X boxBに特異的に結合する例示的なλ Nタンパク質は、アミノ酸配列GSMDAQTRRRERRAEKQAQWKAAN(配列番号36)を含む。
【0077】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、φ21boxB RNAに結合するφ21 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のφ21 N)またはそのバリアントである。φ21 Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。φ21 boxB RNAに特異的に結合する例示的なφ21 Nタンパク質は、アミノ酸配列GTAKSRYKARRAELIAERR(配列番号37)を含む。Nペプチドはa-ヘリックスとして結合し、主としてboxB RNAステムループの5’半分の主溝側と相互作用する。この結合面は、極性相互作用と非極性相互作用の表面補完性によって定められる。φ21 boxBループの露出面と複合体化されているNペプチドは、関連するλおよびP22バクテリオファージNペプチド-boxB RNA複合体のGNRAテトラループ様フォールドに類似している。
【0078】
一部の実施形態では、RNA結合タンパク質は、SL3 yr RNAに結合するHIV-1ヌクレオカプシド(例えば、HIV-1由来のヌクレオカプシド)またはそのバリアントである。HIV-1ヌクレオカプシドタンパク質は、当技術分野において公知であり、当業者には自明である。SL3 xv RNAに特異的に結合する例示的なHIV-1ヌクレオカプシドはアミノ酸配列、MQKGNFRNQRKTVKCFNCGKEGHIAKNCRAPRKKGCWKCGKEGHQMKDCTERQAN(配列番号38)を含む。
【0079】
RNA結合タンパク質に関する追加情報は国際公開第2018/67546号パンフレットで確認することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0080】
結合RNA
本開示の一部の態様は、タンパク質に結合するRNA分子に関する。一部の実施形態では、結合RNAは、特定のアミノ酸配列または構造を有するタンパク質に結合する天然RNA、またはその非天然バリアント、または非天然RNAである。
【0081】
ある特定の実施形態では、結合RNAはトランス活性化応答エレメント(TARエレメント)であり、これは新生ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)転写産物の5’末端で確認されるRNAステムループ構造であり、転写のトランス活性化因子(Tat)タンパク質に特異的に結合する。一部の実施形態では、TARエレメントは、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)TARである。例示的なTARエレメントは、配列番号25に示した核酸配列を含む。さらなる例示的なTAR配列は表1で確認することができる。しかし、これらの配列は限定的なものを意味するものではなく、Tatタンパク質またはそのバリアントに結合する追加のTARエレメント配列もまた本開示の範囲内である。結合RNAはまた、ウイルスゲノムの転写に関与する制御タンパク質であるRNA結合タンパク質、転写のトランス活性化因子(Tatタンパク質)と会合することが可能なTARエレメントのバリアントでもあり得る。Tatタンパク質と会合することが可能なTARエレメントのバリアントは、本開示および当技術分野の知識に基づいて当業者には自明であり、本開示の範囲内である。さらに、TARバリアントとTatタンパク質またはTatタンパク質バリアントとの関連性は、慣用の方法を使用して試験することができる。Tatタンパク質に結合するTARエレメントおよびTARエレメントのバリアントは、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、結合RNAは、配列番号39~44に示した核酸配列を含む。一部の実施形態では、結合RNAは、Tatタンパク質またはそのバリアントに結合することが可能な配列番号39~44に示した核酸配列のいずれかのバリアントを含む。
【0082】
【0083】
一部の実施形態では、結合RNAは、Revタンパク質(例えば、HIV-1由来のRev)に結合するRev応答エレメント(RRE)またはそのバリアントである。Rev応答エレメントは当技術分野において公知であり、本発明において使用することに関して当業者には自明である。Revに結合する例示的なRRE核酸配列には、限定するものではないが、配列番号26および27(表2)に示した核酸配列が含まれる。
【0084】
一部の実施形態では、結合RNAは、MS2ファージコートタンパク質に特異的に結合するMS2 RNAである。典型的には、RNAバクテリオファージMS2のコートタンパク質は、ウイルスRNA(例えばMS2 RNA)内の特定のステムループ構造に結合し、ゲノムのカプシド形成およびレプリカーゼ合成の翻訳抑制を達成する。MS2ファージコートタンパク質に特異的に結合するRNAは、当技術分野において公知であり、当業者には自明である。一部の実施形態では、MS2ファージコートタンパク質に特異的に結合する例示的なMS2 RNAは、配列番号31~33(表3)のいずれか1つで示した核酸配列を含む。一部の実施形態では、結合RNAは、配列番号31、32、および33のいずれか1つの核酸配列を含む。
【0085】
一部の実施形態では、結合RNAは、P22 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のP22 N)またはそのバリアントに特異的に結合するRNAである。P22 Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。P22 Nタンパク質に特異的に結合する例示的なP22 boxB RNAは、gcgcugacaaagcgc(配列番号45)に示した核酸配列を含む。
【0086】
一部の実施形態では、結合RNAは、λ Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のλ N)またはそのバリアントに特異的に結合するRNAである。λ Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。λ Nタンパク質に特異的に結合する例示的なλ boxB RNAは、gggcccugaagaagggccc(配列番号46)に示した核酸配列を含む。
【0087】
一部の実施形態では、結合RNAは、φ21 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のφ21 N)またはそのバリアントに特異的に結合するRNAである。φ21 Nタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。φ21 Nタンパク質に特異的に結合する例示的なφ21 boxB RNAは、ucucaaccuaaccguugaga(配列番号47)に示した核酸配列を含む。
【0088】
一部の実施形態では、結合RNAは、HIV-1ヌクレオカプシドタンパク質(例えば、HIV-1由来のヌクレオカプシド)またはそのバリアントに特異的に結合するRNAである。HIV-1ヌクレオカプシドタンパク質は当技術分野において公知であり、当業者には自明である。HIV-1ヌクレオカプシドに特異的に結合する例示的なRNAは、ggacuagcggaggcuagucc(配列番号48)に示した核酸配列を含む。
【0089】
本開示の結合RNAは、認識されたタンパク質結合パートナーを有する天然RNAまたはその非天然バリアントに限定される必要はないことを理解されたい。一部の実施形態では、結合RNAはまた、合成的に生成されたRNA、例えば、タンパク質(例えばRNA結合タンパク質)に特異的に結合するように設計されたRNAであり得る。一部の実施形態では、結合RNAは、任意の目的のタンパク質に特異的に結合するように設計される。一部の実施形態では、結合RNAは、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化(SELEX)によって生成されるRNAである。SELEX方法論は当業者には自明であり、例えば、米国特許第5,270,163号明細書;同第5,817,785号明細書;同第5,595,887号明細書;同第5,496,938号明細書;同第5,475,096号明細書;同第5,861,254号明細書;同第5,958,691号明細書;同第5,962,219号明細書;同第6,013,443号明細書;同第6,030,776号明細書;同第6,083,696号明細書;同第6,110,900号明細書;同第6,127,119号明細書;および同第6,147,204号明細書;米国特許出願20030175703号明細書および同第20030083294号明細書、Potti et al., Expert Opin. Biol. Ther. 4:1641-1647 (2004)、およびNimjee et al., Annu. Rev. Med. 56:555-83 (2005) に記載されている。SELEXの技術は、様々な標的タンパク質に対して極めて高い結合親和性を有するアプタマーを進化させるために使用されてきた。例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)に結合するアプタマーを設計するためにSELEXを使用することのその開示に関しては、Trujillo U. H., et al., "DNA and RNA aptamers: from tools for basic research towards therapeutic applications". Comb Chem High Throughput Screen 9 (8): 619-32 (2006)を参照されたい。一部の実施形態では、結合RNAは、標的タンパク質に特異的に結合するアプタマーである。
【0090】
結合RNAに関する追加情報は国際公開第2018/67546号パンフレットで確認することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0091】
リンカー
一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、リンカーを介して標的化ドメインに融合されている。一部の実施形態では、リンカーはリンカーペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは切断可能である。
【0092】
一部の実施形態では、リンカーペプチドは約100アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約90アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約80アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約70アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約60アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約50アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約40アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約30アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約20アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約18アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約15アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約12アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約11アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約10アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約9アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約8アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約7アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約6アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約5アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約4アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約3アミノ酸からなる。一部の実施形態では、リンカーペプチドは約2アミノ酸からなる。
【0093】
一部の実施形態では、リンカーは約1~約10アミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは約1~約5アミノ酸長であり得る。例えば、リンカーは1、2、3、4、または5アミノ酸を含み得る。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはバリアントのC末端および標的化ドメインのN末端ドメインと接触するリンカーの最後のアミノ酸は、Met、Cys、Thr、Arg、Lys、Ser、Gin、His、Ala、Tyr、Phe、Asn、Trp、Val、Leu、Asp、He、Gly、Glu、およびProからなる群から選択される。
【0094】
一部の実施形態では、リンカーペプチドは、当業者に公知の任意のリンカーペプチドであり得る。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GGGGSのアミノ酸配列(配列番号49)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(GGGGS)2のアミノ酸配列(配列番号50)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(GGGGS)3のアミノ酸配列(配列番号51)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(GGGGS)4のアミノ酸配列(配列番号52)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(Gly)8のアミノ酸配列(配列番号53)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(Gly)6のアミノ酸配列(配列番号54)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、EAAAKのアミノ酸配列(配列番号55)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(EAAAK)2のアミノ酸配列(配列番号56)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(EAAAK)3のアミノ酸配列(配列番号57)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、A(EAAAK)4ALEA(EAAAK)4Aのアミノ酸配列(配列番号58)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、PAPAPのアミノ酸配列(配列番号59)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、AEAAAKEAAAKAのアミノ酸配列(配列番号60)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(Ala-Pro)nのアミノ酸配列を有し、ここで、nは、5(配列番号61)、6(配列番号91)、7(配列番号92)、8(配列番号93)、9(配列番号94)、10(配列番号95)、11(配列番号96)、12(配列番号97)、13(配列番号98)、14(配列番号99)、15(配列番号100)、16(配列番号101)、または17(配列番号102)である。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、ジスルフィドである。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、VSQTSKLTRAETVFPDVのアミノ酸配列(配列番号62)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、PLGLWAのアミノ酸配列(配列番号63)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、RVLAEAのアミノ酸配列(配列番号64)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、EDVVCCSMSYのアミノ酸配列(配列番号65)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GGIEGRGSのアミノ酸配列(配列番号66)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、TRHRQPRGWEのアミノ酸配列(配列番号67)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、AGNRVRRSVGのアミノ酸配列(配列番号68)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、RRRRRRRRRのアミノ酸配列(配列番号69)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GFLGのアミノ酸配列(配列番号70)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、LEのアミノ酸配列(配列番号71)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、KESGSVSSEQLAQFRSLDのアミノ酸配列(配列番号72)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、EGKSSGSGSESKSTのアミノ酸配列(配列番号73)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GSAGSAAGSGEFのアミノ酸配列(配列番号74)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、(XP)nのアミノ酸配列(配列番号75)を有し、ここで、nは0より大きい整数である。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、LEAGCKNFFPRSFTSCGSLEのアミノ酸配列(配列番号76)を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、CRRRRRREAEACのアミノ酸配列(配列番号77)を有する。
【0095】
一部の実施形態では、リンカーペプチドは、プロテアーゼの標的であるペプチド基質の配列を模倣しており、その結果、リンカーペプチドはプロテアーゼ活性部位により十分に認識され得る。一部の実施形態では、リンカーは非免疫原性である。一部の実施形態では、リンカーペプチドはα-ヘリックス構造を含む。
【0096】
一部の実施形態では、リンカーペプチドはプロテアーゼ切断部位を含む。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、フーリン部位またはそのバリアントである。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、RXRR(配列番号78)またはRXKR(配列番号103)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、TRHRQPRGWEQL(配列番号79)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、RRRRRRRRR(配列番号80)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、TRHRQPRGWE(配列番号81)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、AGNRVRRSVG(配列番号82)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、RHRQPRGWEQL(配列番号83)のアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、フーリン切断部位を含む。
【0097】
プロテアーゼ切断部位を含むリンカーペプチドを含む一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位は、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)プロテアーゼ切断部位である。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、SQNYIVQ(配列番号84)またはSQNPIVQ(配列番号104)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、NFSQNYIVQTG(配列番号85)またはNFSQNPIVQTG(配列番号105)のアミノ酸配列を有する。プロテアーゼ切断部位を含むリンカーペプチドを含む一部の実施形態では、プロテアーゼ切断部位はタバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ切断部位である。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、ENLYFQ(配列番号86)またはENLYFG(配列番号106)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、ENLYFQ(配列番号87)またはENLYFS(配列番号107)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GGGGSGGGGSGGGGSENLYFQGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号88)またはGGGGSGGGGSGGGGSENLYFGGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号108)のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーペプチドは、GGGGSGGGGSGGGGSENLYFQGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号89)またはGGGGSGGGGSGGGGSENLYFSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号109)のアミノ酸配列を含む。
【0098】
ARMM
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質を含むマイクロベシクルに関する。本明細書に開示のアレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)媒介マイクロベシクル(ARMM)は、脂質二重層およびARRDC1融合タンパク質またはそのバリアントを含む。一部の実施形態では、このようなARMMは、対象、生物試料、または細胞培養物から単離される。一部の実施形態では、ARMMは合成的に調製される。ARMMを生成および/または単離する方法は、米国特許第9737480号明細書および米国特許第9816080号明細書で確認することができ、それらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、ARMMは融合RNAをさらに含み、融合RNAは、ARRDC1融合タンパク質のRNA結合タンパク質に結合するRNA配列、およびユビキチンリガーゼまたはアプタマーをコードする発現配列を含む。RNA配列は、本明細書に開示の結合RNAのいずれかであり得る。一部の実施形態では、RNA配列は、TARエレメントである。一部の実施形態では、TARエレメントは、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)TARである。一部の実施形態では、RNA配列は、TARエレメントのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、Rev応答エレメント(RRE)またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、MS2 RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、P22 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のP22 N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、λ Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のλ N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、φ21 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のφ21 N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、HIV-1ヌクレオカプシドタンパク質(例えば、HIV-1由来のヌクレオカプシド)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、天然RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、非天然RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、合成的に生成されたRNAである。
【0099】
一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼは、Trim21、そのバリアントまたは断片である。Trim21 mRNAなどのTrim21の発現配列は、ARRDC1融合タンパク質のRNA結合タンパク質に結合するRNA配列に融合されている。一部の実施形態では、RNA配列は、発現配列に直接的に融合されている。一部の実施形態では、RNA配列は、リンカーによって発現配列に融合されている。
【0100】
一部の実施形態では、ARMMは、TSG101タンパク質またはその断片をさらに含む。一部の実施形態では、TSG101タンパク質断片は、TSG101 UEVドメインを含む。一部の実施形態では、ARMMは、細胞表面タンパク質(例えば受容体)または細胞質タンパク質(例えば酵素)をさらに含む。一部の実施形態では、ARMMは、インテグリン、受容体チロシンキナーゼ、Gタンパク質共役受容体、または膜結合型免疫グロブリンをさらに含む。一部の実施形態では、マイクロベシクルは、α1β1、α2β1、α4β1、α5β1、α6β1、αLβ2、αMβ2、αIIbβ3、αVβ3、αVβ5、αVβ6、およびα6β4インテグリンからなる群から選択されるインテグリン;EGF受容体(ErbBファミリー)、インスリン受容体、PDGF受容体、FGF受容体、VEGF受容体、HGF受容体、Trk受容体、Eph受容体、AXL40受容体、LTK受容体、TIE受容体、ROR受容体、DDR受容体、RET受容体、KLG受容体、RYK受容体、およびMuSK受容体からなる群から選択される受容体チロシンキナーゼ;ロドプシン様受容体、セクレチン受容体、代謝型グルタミン酸/フェロモン受容体、環状AMP受容体、フリズルド/スムースンド受容体、CXCR4、CCRS、またはβ-アドレナリン受容体からなる群から選択されるGタンパク質共役受容体;ならびに/あるいはEXOC7、EXOC8、EXOC1、およびEXOC2から選択される表1に挙げたエクソシストタンパク質を含む。追加のタンパク質は米国特許第9737480号明細書で確認することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0101】
一部の実施形態では、ARMMは、エキソソームバイオマーカーを含まない。一部の実施形態では、ARMMは、1つまたは複数のエキソソームバイオマーカーを含まない。一部の実施形態では、エキソソームバイオマーカーは、CD63、Lamp-1、Lamp-2、CD9、HSPA8、GAPDH、CD81、SDCBP、PDCD6IP、ENO1、ANXA2、ACTB、YWHAZ、H5P90AA1、ANXAS、EEF1A1、YWHAE、PPIA、MSN、CFL1、ALDOA、PGK1、EEF2、ANXA1、PKM2、HLA-DRA、およびYWHABからなる群から選択される。
【0102】
一部の実施形態では、ARMMは、例えば、タンパク質、核酸、または低分子などの薬剤を含む。一部の実施形態では、薬剤は、ARRDC1タンパク質またはARRDC1バリアントにコンジュゲートされる。一部の実施形態では、核酸はRNAである。一部の実施形態では、核酸はRNAi剤である。一部の実施形態では、核酸は、コードRNA、非コードRNA、アンチセンスRNA、mRNA、スモールRNA、siRNA、shRNA、マイクロRNA、snRNA、snoRNA、lincRNA、構造RNA、リボザイム、またはそれらの前駆体である。一部の実施形態では、核酸はDNAである。一部の実施形態では、核酸は、レトロトランスポゾン配列、LINE配列、SINE配列、複合SINE配列、またはLTR-レトロトランスポゾン配列を含む。一部の実施形態では、核酸は、タンパク質をコードする。一部の実施形態では、薬剤は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、薬剤は、治療薬である。一部の実施形態では、薬剤は、政府機関によってヒトへのまたは獣医学的使用が承認された薬物である。一部の実施形態では、薬剤は、細胞傷害性剤である。一部の実施形態では、薬剤は、タンパク質である。一部の実施形態では、薬剤は、転写因子、転写抑制因子、蛍光タンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、またはリコンビナーゼである。一部の実施形態では、薬剤は、低分子である。一部の実施形態では、薬剤は、ARRDC1タンパク質もしくはそのバリアント、またはARMMの別のタンパク質に共有結合される。一部の実施形態では、薬剤は、リンカーを介してARRDC1タンパク質もしくはそのバリアント、または別のタンパク質にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能なリンカーである。一部の実施形態では、リンカーは、プロテアーゼ認識部位を含む。一部の実施形態では、リンカーは、UV切断可能なリンカーである。ある特定の実施形態では、リンカーは、pH、酸化還元条件などの特定の条件下で切断される。一部の実施形態では、マイクロベシクルの直径は、約30nm~約500nmである。
【0103】
核酸配列および発現構築物
本開示の一部の態様は、本明細書に記載の融合タンパク質のいずれかをコードする核酸配列を提供する。例えば、核酸配列は、標的タンパク質をリクルートする非酵素的標的化ドメインに融合されているARRDC1融合タンパク質またはそのバリアントをコードする。標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのN末端に融合されていてもよい。標的化ドメインは、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントのC末端に融合されていてもよい。一部の実施形態では、ARRDC1タンパク質またはそのバリアントは、本明細書に開示のリンカーによって標的化ドメインに融合されている。リンカーは、切断可能なリンカーであり得る。例えば、リンカーは、プロテアーゼ切断部位、例えばフーリン切断部位を含み得る。
【0104】
一部の態様では、異種プロモーターに作動可能に連結された本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む発現構築物が本明細書では提供される。このような発現構築物は、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質を細胞内で生成するのに有用であり、それにより、細胞内でのARMM産生が誘導または増加される。このようなARRDC1融合タンパク質を発現する細胞によって産生されるARMMは、一部の実施形態では、発現構築物によってコードされるARRDC1融合タンパク質を含む。
【0105】
本開示の一部の態様は、本明細書に開示の融合タンパク質と並行した発現を意図した追加の分子をコードする追加の核酸配列をさらに提供する。このような追加の分子には、前記RNA結合タンパク質に結合するRNA配列と、(i)Trim21などのユビキチンリガーゼ、または(b)標的タンパク質に特異的に結合するアプタマーをコードする発現配列とを含むRNAポリマーが含まれる。
【0106】
マイクロベシクル産生細胞
一部の態様において、本開示は、異種プロモーターの制御下にある、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含むマイクロベシクル産生細胞を提供する。一部の実施形態では、マイクロベシクル産生細胞は、異種プロモーターの制御下にある、本明細書に開示の融合RNAをコードする組換え発現構築物をさらに含み、融合RNAは、(i)前記RNA結合タンパク質に結合するRNA配列と、(ii)(a)ユビキチンリガーゼまたは(b)標的タンパク質に特異的に結合するアプタマーをコードする発現配列とを含む。一部の実施形態では、RNA配列は、TARエレメントである。一部の実施形態では、TARエレメントは、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)TARである。一部の実施形態では、RNA配列は、TARエレメントのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、Rev応答エレメント(RRE)またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、MS2 RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、P22 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のP22 N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、λ Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のλ N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列はφ21 Nタンパク質(例えば、バクテリオファージ由来のφ21 N)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、HIV-1ヌクレオカプシドタンパク質(例えば、HIV-1由来のヌクレオカプシド)に特異的に結合するRNA、またはそのバリアントである。一部の実施形態では、RNA配列は、天然RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、非天然RNAである。一部の実施形態では、RNA配列は、合成的に生成されたRNAである。一部の実施形態では、ユビキチンリガーゼは、Trim21である。Trim21 mRNAなどのTrim21の発現配列は、ARRDC1融合タンパク質のRNA結合タンパク質に結合するRNA配列に融合されている。一部の実施形態では、RNA配列は、発現配列に直接的に融合されている。一部の実施形態では、RNA配列は、リンカーによって発現配列に融合されている。
【0107】
一部の実施形態では、ARRDC1融合タンパク質の発現は、細胞のARMM産生を誘導または増加させる。一部の実施形態では、細胞は、細胞によって産生されるARMMに含まれる薬剤をその細胞質内またはその細胞膜内に発現または含有する。一部の実施形態では、細胞は真核細胞である。一部の実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞はヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、RNAi剤をコードする組換え発現構築物をさらに含む。一部の実施形態では、RNAi剤は核酸である。一部の実施形態では、核酸は、非コードRNA、アンチセンスRNA、スモールRNA、siRNA、shRNA、マイクロRNA、snRNA、snoRNA、lincRNA、またはそれらの前駆体である。一部の実施形態では、細胞は、リボザイムをコードする組換え発現構築物をさらに含む。
【0108】
一部の実施形態では、細胞は、野生型細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有する。一部の実施形態では、細胞は、野生型細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、細胞内のユビキチンリガーゼの発現は、低分子干渉RNA(siRNA)、CRISPR、または当業者に公知の他の遺伝子編集ツールによって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内のユビキチンリガーゼの発現は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内のユビキチンリガーゼの活性は低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内のユビキチンリガーゼの活性は、低分子干渉RNA(siRNA)、CRISPR、または当業者に公知の他の遺伝子編集ツールによって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内のユビキチンリガーゼの活性は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内で発現されるユビキチンリガーゼの量または活性は、細胞内のARMMの産生を実質的に妨げないほど最小である。一部の実施形態では、細胞はユビキチンリガーゼを欠いている。すなわち、ユビキチンリガーゼの発現レベルは、当技術分野において利用可能なツールによって検出することは不可能である。一部の実施形態では、細胞は、少なくとも1つのユビキチンリガーゼを欠いている。一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数のユビキチンリガーゼを欠いている。ユビキチンリガーゼは、HECW2、HECW1、WWPL、WWP2、NEDD4-1、NEDD4-2、NEDD4L、SMURFL、SMURF2、SMURF1、ITCH、NEDL1、およびNEDL2からなる群から選択され得る。
【0109】
一部の実施形態では、細胞は、野生型細胞と比較して低下した標的タンパク質の発現レベルを有する。一部の実施形態では、細胞は、野生型細胞と比較して低下した標的タンパク質の発現レベルを有するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、細胞内の標的タンパク質の発現は、低分子干渉RNA(siRNA)、CRISPR、または当業者に公知の他の遺伝子編集ツールによって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内の標的タンパク質の発現は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、細胞内で発現される標的タンパク質の量は、宿主細胞内でのARMMの産生を実質的に妨げないほど最小である。一部の実施形態では、細胞は標的タンパク質を欠いている。すなわち、標的タンパク質の発現レベルは、当技術分野において利用可能なツールによって検出することは不可能である。
【0110】
標的タンパク質
本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、ユビキチン化および分解のために標的タンパク質をリクルートすることができる。標的化ドメインにリクルートおよび/または結合し、ユビキチンリガーゼによって作用または分解され得る任意のタンパク質が標的タンパク質であり得る。一般的に、標的タンパク質には、例えば、構造タンパク質、受容体、酵素、細胞表面タンパク質、細胞の統合機能に関連するタンパク質、これには、触媒活性、アロマターゼ活性、運動活性、ヘリカーゼ活性、代謝プロセス(同化および異化)、抗酸化活性、タンパク質分解、生合成、キナーゼ活性を持つタンパク質、酸化還元酵素活性、トランスフェラーゼ活性、ヒドロラーゼ活性、リアーゼ活性、イソメラーゼ活性、リガーゼ活性、酵素制御活性、シグナル伝達活性、構造分子活性、結合活性(タンパク質、脂質炭水化物)、受容体活性、細胞運動性、膜融合、細胞コミュニケーション、生物学的プロセスの制御、発達、細胞分化、刺激に対する応答、行動タンパク質、細胞接着タンパク質、細胞死に関与するタンパク質、輸送(タンパク質輸送体活性、核輸送、イオン輸送体活性、チャネル輸送体活性、キャリア活性、透過酵素活性、分泌活性、電子輸送体活性、病因、シャペロン制御活性、核酸結合活性、転写制御因子活性、細胞外組織化および生物発生活性、翻訳制御因子活性を含む)に関与するタンパク質を含んでいてもよい。目的のタンパク質には、薬物療法の標的としてのヒトを含む真核生物および原核生物、家畜動物を含む他の動物、抗生物質および他の抗菌剤の標的を決定するための微生物および植物、さらにはウイルスなど数多くのもの由来のタンパク質を含むことができる。
【0111】
標的タンパク質は、標的細胞内で分解または減少させることが望まれるいずれかのタンパク質であり得る。標的タンパク質は、酵素、転写因子、発生制御因子、増殖因子、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、リプログラミング因子、または膜関連タンパク質、腫瘍プロモーターまたは癌遺伝子のタンパク質産物、発生制御因子、増殖因子、転移プロモーター、抗アポトーシスタンパク質、膜関連タンパク質、膜貫通受容体、酵素または病原性タンパク質(例えば、正常タンパク質の病原性バリアントもしくは変異体、または翻訳後修飾の結果として病原性もしくは有害活性を有するタンパク質)であり得る。標的タンパク質は、抗原またはリガンドであり得る。標的タンパク質は、がん細胞由来のタンパク質であり得る。がん細胞由来のタンパク質は、発癌性タンパク質、または異常な細胞増殖経路のシグナル伝達メディエーターであってもよく、その分解により異常な細胞増殖が減少する。
【0112】
標的タンパク質は、医学的障害を引き起こすか、または医学的障害により引き起こされる増幅、転座、欠失、または逆位の事象を起こした遺伝子に由来し得る。ある特定の態様では、標的タンパク質は、医学的障害を引き起こすか、または医学的障害により引き起こされる、リン酸化、アセチル化、プロピオニル化およびクロチル化を含むアシル化、N結合型グリコシル化、アミド化、ヒドロキシル化、メチル化、ポリメチル化、O結合型グリコシル化、ピログルタモイル化、ミリストイル化、ファルネシル化、ゲラニル化、ユビキチン化、スモイル化(sumoylation)、または硫酸化のうちの1つまたは組合せによって翻訳後修飾されている。
【0113】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、阻害またはそうでなければ結合を受け得る結合ポケットまたは活性部位を有しておらず、容易にアロステリックに制御することができないという点で、古典的な意味でのドラッガブルでないタンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、古典的な意味ではドラッガブルなタンパク質であるが、治療目的のためには、タンパク質の阻害よりも分解が好ましい。
【0114】
標的タンパク質は、標的化ドメインとともにリクルートされる。標的化ドメインは、標的タンパク質に対するリガンドであり得る。標的化ドメインは、非共有結合的に標的タンパク質に結合し得る。
【0115】
標的タンパク質は、本明細書に開示の融合タンパク質の標的化ドメインが結合し、その後分解され、in vivoで有益な治療効果をもたらすことができる任意のアミノ酸配列であり得る。一部の実施形態では、標的タンパク質は、非内因性ペプチド、例えば、病原体または毒素由来のペプチドである。一部の実施形態では、標的タンパク質は、障害を媒介する内因性タンパク質であり得る。内因性タンパク質は、タンパク質の正常形態または異常形態のいずれかであり得る。例えば、標的タンパク質は、がん細胞で確認される変異タンパク質であり得るか、または、例えば、部分的もしくは完全な機能獲得もしくは機能喪失がヌクレオチド多型によってコードされているタンパク質であり得る。一部の実施形態では、本明細書に開示の融合タンパク質の標的化ドメインは、タンパク質の正常形態ではなくタンパク質の異常形態を標的とする。一部の実施形態では、標的タンパク質は、炎症性障害、または自己免疫障害を含む免疫障害を媒介し得る。一部の実施形態では、標的タンパク質は、非限定的な例として、HIV、HBV、HCV、RSV、HPV、CMV、フラビウイルス、ペスチウイルス、コロナウイルス、ノロウイルス科などのウイルス由来の非内因性タンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、例えばグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、またはその他であってもよく、また薬剤耐性型の細菌であり得る、細菌由来の非内因性タンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、真菌由来の非内因性タンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、プリオン由来の非内因性タンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、真核病原体、例えば原生生物、蠕虫などに由来するタンパク質である。
【0116】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、クロマチンの構造および機能を媒介し得る。標的タンパク質は、DNAメチル化またはヒストンの共有結合修飾などのエピジェネティックな作用を媒介し得る。一例は、ヒストン脱アセチル化酵素である。一部の実施形態では、標的タンパク質は、リジンアセチル化のリーダーである、ブロモドメイン含有タンパク質であり得る。
【0117】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、構造タンパク質、受容体、酵素、細胞表面タンパク質、アポトーシスシグナル伝達に関与するタンパク質、アロマターゼ、ヘリカーゼ、代謝プロセス(同化または異化)のメディエーター、抗酸化物質、プロテアーゼ、キナーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、酵素制御因子、シグナル伝達因子、構造分子、結合活性(タンパク質、脂質炭水化物)、細胞運動性タンパク質、膜融合タンパク質、細胞コミュニケーションメディエーター、生物学的プロセスの制御因子、行動タンパク質、細胞接着タンパク質、細胞死に関与するタンパク質、または輸送(タンパク質輸送体活性、核輸送、イオン輸送体、チャネル輸送体、キャリア活性、透過酵素、セクレターゼまたは分泌メディエーター、電子輸送体、シャペロン制御因子、核酸結合、転写調節因子、細胞外組織および生合成制御因子、および翻訳制御因子を含む)に関与するタンパク質であり得る。
【0118】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、公知の疾患状態に関連するシグナル伝達カスケードのモジュレーターである。一部の実施形態では、標的タンパク質は、シグナル伝達カスケードのモジュレーションとは異なるメカニズムにより障害を媒介する。真核生物系またはウイルス、細菌もしくは真菌を含む微生物系内の任意のタンパク質は、本明細書で別途記載されているように、本明細書に開示の融合タンパク質またはARMMを使用したプロテアソーム分解の標的である。標的タンパク質は真核生物タンパク質であり、一部の実施形態では、ヒトタンパク質であり得る。
【0119】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、RXR、DHFR、Hsp90、キナーゼ、HDM2、MDM2、BETブロモドメイン含有タンパク質、HDAC、IDH1、Mcl-1、ヒトリジンメチルトランスフェラーゼ、核ホルモン受容体、アリール炭化水素受容体(AHR)、RAS、RAF、FLT、SMARC、KSR、NF2L、CTNB、CBLB、またはBCLである。
【0120】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、EGFR、FLT3、RAF1、SMRCA2、KSR1、NF2L2、CTNB1、CBLB、BCL6、およびRASKから選択される。
【0121】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、EGFRリガンド、FLT3リガンド、RAF1リガンド、SMRCA2リガンド、KSR1リガンド、NF2L2リガンド、CTNB1リガンド、CBLBリガンド、BCL6リガンド、またはRASKリガンドである。
【0122】
本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、タンパク質が調節不全であり、タンパク質の分解から患者が恩恵を受けるあらゆる疾患状態および/または状態を含む、広範囲の疾患状態および/または状態の処置に使用することができる。
【0123】
例えば、ヒト治療薬の公知の標的である標的タンパク質を選択することができ、その治療薬は、本開示によるARRDC1タンパク質またはそのバリアントに融合された場合、標的化ドメインとして使用され得る。これらには、例えば、B7.1およびB7、TINFR1m、TNFR2、NADPHオキシダーゼ、Bcl2/Baxおよびアポトーシス経路の他のパートナー、C5a受容体、HMG-CoA還元酵素、PDE Vホスホジエステラーゼ型、PDE IVホスホジエステラーゼ4型、PDE I、PDEII、PDEIII、スクアレンシクラーゼ阻害剤、CXCR1、CXCR2、一酸化窒素(NO)合成酵素、シクロオキシゲナーゼ1、シクロオキシゲナーゼ2、5HT受容体、ドーパミン受容体、Gタンパク質、例えばGq、ヒスタミン受容体、5-リポキシゲナーゼ、トリプターゼセリンプロテアーゼ、チミジル酸シンターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、GAPDHトリパノソーマ、グリコーゲンホスホリラーゼ、炭酸脱水酵素、ケモカイン受容体、JAW STAT、RXRおよび類似のもの、HIV 1プロテアーゼ、HIV 1インテグラーゼ、インフルエンザ、ノイラミニダーゼ、B型肝炎逆転写酵素、ナトリウムチャネル、多剤耐性(MDR)、タンパク質P-糖タンパク質(およびMRP)、チロシンキナーゼ、CD23、CD124、チロシンキナーゼp56 lck、CD4、CD5、IL-2受容体、IL-1受容体、TNF-αR、ICAM1、Cat+チャネル、VCAM、VLA-4インテグリン、セレクチン、CD40/CD40L、ニューロキニンおよび受容体、イノシン一リン酸脱水素酵素、p38 MAPキナーゼ、Ras/Raf/MER/ERK経路、インターロイキン-1変換酵素、カスパーゼ、HCV、NS3プロテアーゼ、HCV NS3 RNAヘリカーゼ、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ、ライノウイルス3Cプロテアーゼ、単純ヘルペスウイルス-1(HSV-I)、プロテアーゼ、サイトメガロウイルス(CMV)プロテアーゼ、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ、サイクリン依存性キナーゼ、血管内皮増殖因子、オキシトシン受容体、ミクロソーム転移タンパク質阻害剤、胆汁酸輸送阻害剤、5α還元酵素阻害剤、アンジオテンシン11、グリシン受容体、ノルアドレナリン再取り込み受容体、エンドセリン受容体、神経ペプチドYおよび受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、アデノシン受容体、アデノシンキナーゼおよびAMPデアミナーゼ、プリン作動性受容体(P2Y1、P2Y2、P2Y4、P2Y6、P2X1-7)、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ、NGF受容体TrkA、βアミロイド、チロシンキナーゼFlk-IIKDR、ビトロネクチン受容体、インテグリン受容体、Her-2/neu、テロメラーゼ阻害、細胞質ホスホリパーゼA2およびEGF受容体チロシンキナーゼを含む、多遺伝性疾患の機能回復に使用され得るタンパク質が含まれる。追加のタンパク質標的には、例えば、エクジソン20-モノオキシゲナーゼ、GABA作動性塩素イオンチャネル、アセチルコリンエステラーゼ、電位感受性ナトリウムチャネルタンパク質、カルシウム放出チャネル、および塩素イオンチャネルのイオンチャネルが含まれる。またさらなる標的タンパク質には、アセチルCoAカルボキシラーゼ、アデニロコハク酸シンターゼ、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ、およびエノールピルビルシキミ酸リン酸シンターゼが含まれる。
【0124】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、チロシンキナーゼ(例えば、AATK、ABL、ABL2、ALK、AXL、BLK、BMX、BTK、CSF1R、CSK、DDR1、DDR2、EGFR、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB6、ERBB2、ERBB3、ERBB4、FER、FES、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGR、FLT1、FLT3、FLT4、FRK、FYN、GSG2、HCK、IGF1R、ILK、INSR、INSRR、IRAK4、ITK、JAK1、JAK2、JAK3、KDR、KIT、KSR1、LCK、LMTK2、LMTK3、LTK、LYN、MATK、MERTK、MET、MLTK、MST1R、MUSK、NPR1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、PDGFRA、PDGFRB、PLK4、PTK2、PTK2B、PTK6、PTK7、RET、ROR1、ROR2、ROS1、RYK、SGK493、SRC、SRMS、STYK1、SYK、TEC、TEK、TEX14、TIE1、TNK1、TNK2、TNNI3K、TXK、TYK2、TYRO3、YES1、またはZAP70)を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するキナーゼに由来する。
【0125】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、セリン/スレオニンキナーゼ(例えば、カゼインキナーゼ2、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼB、タンパク質キナーゼC、Rafキナーゼ、CaMキナーゼ、AKT1、AKT2、AKT3、ALK1、ALK2、ALK3、ALK4、オーロラA、オーロラB、オーロラC、CHK1、CHK2、CLK1、CLK2、CLK3、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DMPK、ERK1、ERK2、ERK5、GCK、GSK3、HIPK、KHS1、LKB1、LOK、MAPKAPK2、MAPKAPK、MNK1、MSSK1、MST1、MST2、MST4、NDR、NEK2、NEK3、NEK6、NEK7、NEK9、NEK11、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK5、PAK6、PIM1、PIM2、PLK1、RIP2、RIP5、RSK1、RSK2、SGK2、SGK3、SIK1、STK33、TAO1、TAO2、TGF-β、TLK2、TSSK1、TSSK2、ULK1、またはULK2)を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するキナーゼに由来する。
【0126】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、サイクリン依存性キナーゼ、例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、CDK11、CDK12、またはCDK13を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するキナーゼに由来する。
【0127】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、ロイシンリッチリピートキナーゼ(例えば、LRRK2)を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するキナーゼに由来する。
【0128】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、脂質キナーゼ(例えば、PIK3CA、PIK3CB)またはスフィンゴシンキナーゼ(例えば、S1P)を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するキナーゼに由来する。
【0129】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、ASH1L、ATAD2、BAZ1A、BAZ1B、BAZ2A、BAZ2B、BRD1、BRD2、BRD3、BRD4、BRD5、BRD6、BRD7、BRD8、BRD9、BRD10、BRDT、BRPF1、BRPF3、BRWD3、CECR2、CREBBP、EP300、FALZ、GCN5L2、KIAA1240、LOC93349、MLL、PB1、PCAF、PHIP、PRKCBP1、SMARCA2、SMARCA4、SP100、SP110、SP140、TAF1、TAF1L、TIF1a、TRIM28、TRIM33、TRIM66、WDR9、ZMYND11、およびMLL4を含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合するBETブロモドメイン含有タンパク質に由来する。ある特定の実施形態では、BETブロモドメイン含有タンパク質はBRD4である。
【0130】
一部の実施形態では、標的タンパク質は、限定するものではないが、BRD2、BRD3、BRD4、アンテナペディアホメオドメインタンパク質、BRCA1、BRCA2、CCAAT強化結合タンパク質、ヒストン、ポリコーム群タンパク質、高移動度群タンパク質、テロメア結合タンパク質、FANCA、FANCD2、FANCE、FANCF、肝細胞核因子、Mad2、NF-κB、核受容体コアクチベーター、CREB結合タンパク質、p55、p107、p130、Rbタンパク質、p53、c-fos、c-jun、c-mdm2、c-myc、およびc-relを含む、標的化ドメインが結合することが可能であるか、または結合する核タンパク質に由来する。
【0131】
一部の実施形態では、標的タンパク質はレチノイドX受容体(RXR)ファミリーのメンバーであり、処置される障害は神経精神障害または神経変性障害である。一部の実施形態では、標的タンパク質はレチノイドX受容体(RXR)ファミリーのメンバーであり、処置される障害は統合失調症である。
【0132】
一部の実施形態では、標的タンパク質はジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)であり、処置される障害はがんである。ある特定の実施形態では、標的タンパク質はジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)であり、処置される障害は微生物によるものである。一部の実施形態では、標的タンパク質は炭疽菌(bacillus anthracis)由来のジヒドロ葉酸還元酵素(BaDHFR)であり、処置される障害は炭疽病である。一部の実施形態では、標的タンパク質は熱ショックタンパク質90(HSP90)であり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はキナーゼまたはホスファターゼであり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はHDM2および/またはMDM2であり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はBETブロモドメイン含有タンパク質であり、処置される傷害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はリジンメチルトランスフェラーゼであり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はRAFファミリーに属し、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はFKBPファミリーに属し、処置される障害は自己免疫傷害である。一部の実施形態では、標的タンパク質はFKBPファミリーに属し、処置される障害は臓器拒絶反応である。一部の実施形態では、標的タンパク質はFKBPファミリーに属し、化合物は臓器不全を防ぐために予防的に投与される。一部の実施形態では、標的タンパク質はアンドロゲン受容体であり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はエストロゲン受容体であり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はウイルスタンパク質であり、処置される障害はウイルス感染である。一部の実施形態では、標的タンパク質はウイルスタンパク質であり、処置される障害はHIV、HPV、またはHCVである。一部の実施形態では、標的タンパク質はAP-1またはAP-2転写因子であり、処置される障害はがんである。一部の実施形態では、標的タンパク質はHIVプロテアーゼであり、処置される障害はHIV感染症である。一部の実施形態では、標的タンパク質はHIVインテグラーゼであり、処置される障害はHIV感染症である。一部の実施形態では、標的タンパク質はHCVプロテアーゼであり、処置される障害はHCV感染症である。一部の実施形態では、処置は予防的であり、標的タンパク質はウイルスタンパク質である。一部の実施形態では、標的タンパク質はヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)ファミリーのメンバーであり、障害は神経変性障害である。一部の実施形態では、標的タンパク質はヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)ファミリーのメンバーであり、障害はハンチントン病、パーキンソン病、ケネディ病、筋萎縮性側索硬化症、ルビンスタイン・テイビ症候群、または脳卒中である。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書で言及される標的タンパク質は、それを発現する遺伝子によって命名される。遺伝子が標的タンパク質と呼ばれる場合、その遺伝子によってコードされるタンパク質が標的タンパク質であることは、当業者には理解されよう。追加の標的タンパク質は米国特許出願公開第2019/0076539号明細書で確認することができ、それは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0134】
標的化ドメイン
ある特定の態様では、標的化ドメインは、融合タンパク質によるプロテアソーム分解のために選択された標的タンパク質に共有結合または非共有結合するリガンドである。標的化ドメインは、標的タンパク質に結合する低分子または部分(例えば、ペプチド、ヌクレオチド、抗体、抗体断片、アプタマー、生体分子、または他の化学構造物)であり、標的タンパク質は、前に詳述したように、宿主における疾患のメディエーターである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、非酵素的標的化ドメインである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、抗体、抗体の断片、または抗体誘導体を含む。一部の実施形態では、標的化ドメインは、抗原を含む。
【0135】
一部の実施形態では、標的化ドメインは、宿主に対する治療効果を達成する手段として、分解の標的とされた内因性タンパク質に結合する。例示的な標的化ドメインには、RXRリガンド、DHFRリガンド、MerTKのリガンド、IDH1のリガンド、Mcl-1のリガンド、SMRCA2のリガンド、EGFRのリガンド、RAFのリガンド、cRAFのリガンドが含まれる。一部の実施形態では、標的化ドメインは、アリール炭化水素受容体(AHR)リガンドである。AHRリガンドの非限定的な例としては、アピゲニン、SR1、LGC006、およびそれらの類似体が挙げられる。一部の実施形態では、標的化ドメインは、MerTKまたはMer標的化ドメインである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、EGFRリガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、アファチニブ、ダコミチニブ、ネラチニブ、ポジオチニブ、およびカネルチニブ、またはそれらの誘導体から選択されるEGRFリガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、FLT3リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、タンデュチニブ、レスタウルチニブ、ソラフェニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、およびクレノラニブから選択されるFLT3リガンドである。一部の実施形態では、ダブラフェニブは、Ubc9 SUMO E2 リガーゼ5F6D標的化リガンドである。一部の実施形態では、ダブラフェニブは、Tank1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化リガンドは、pp60 Src標的化リガンドのSH2ドメインである。一部の実施形態では、ダブラフェニブは、Sec7ドメイン標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、サポシン-B標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、プロテインS100-A7 20WS標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、ホスホリパーゼA2標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PHIP標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PDZ標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PARP15標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PARP14標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、MTH1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、mPGES-1標的リガンドである。
【0136】
一部の実施形態では、標的化ドメインは、FLAP-5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、FA結合タンパク質標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、BCL2標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、NF2L2標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、CTNNB1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、CBLB標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、BCL6標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、RASK標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、TNIK標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、MEN1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PI3Ka標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、IDO1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、MCL1標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、PTPN2標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化ドメインは、HER2標的化リガンドである。一部の実施形態では、標的化リガンドは、EGFR標的化リガンドである。一実施形態では、EGFR標的化リガンドは、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva))、ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa))、アファチニブ(ギロトリフ(Gilotrif))、ロシレチニブ(CO-1686)、オシメルチニブ(タグリッソ(Tagrisso))、オルムチニブ(オリタ(Olita))、ナクチニブ(ASP8273)、ナザルチニブ(EGF816)、PF-06747775(ファイザー(Pfizer))、イコチニブ(BPI-2009)、ネラチニブ(HKI-272、PB272);アビチニブ(AC0010)、EAI045、タルロキソチニブ(TH-4000;PR-610)、PF-06459988(ファイザー(Pfizer))、テセバチニブ(XL647;EXEL-7647;KD-019)、トランスチニブ、WZ-3146、WZ8040、CNX-2006、およびダコミチニブ(PF-00299804、ファイザー(Pfizer))から選択される。リンカーは、EGFRに結合するリガンドを妨げない任意の位置で、これらの標的化リガンド上に配置され得る。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドは、EGFRのL858R変異体に結合する。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドは、EGFRのT790M変異体に結合する。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドは、EGFRのC797G変異体またはC797S変異体に結合する。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドは、エルロチニブ、ゲフィチニブ、アファチニブ、ネラチニブ、およびダコミチニブから選択され、EGFRのL858R変異体に結合する。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドは、オシメルチニブ、ロシレチニブ、オルムチニブ、ナクチニブ、ナザルチニブ、PF-06747775、イコチニブ、ネラチニブ、アビチニブ、タルロキソチニブ、PF-0645998、テセバチニブ、トランスチニブ、WZ-3146、WZ8040、およびCNX-2006から選択され、EGFRのT790M変異体に結合する。一部の実施形態では、EGFR標的化リガンドはEA1045であり、EGFRのC797G変異体またはC797S変異体に結合する。
【0137】
一部の実施形態では、標的タンパク質と標的化ドメインのペアは、リガンドのライブラリをスクリーニングすることによって選択される。そのようなスクリーニングは、"Kinase Inhibitor Profiling Reveals Unexpected Opportunities to Inhibit Disease-Associated Mutant Kinases" by Duong-Ly et al.; Cell Reports 14, 772-781 Feb. 2, 2016に例示されている。
【0138】
一部の実施形態では、標的タンパク質と標的化ドメインのペアは、状況特異的(context-specific)分解について無差別キナーゼ結合リガンドをスクリーニングすることによって発見される。
【0139】
追加の標的化ドメインは米国特許出願公開第2019/0076539号明細書で確認することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
適応症
一部の態様では、本明細書に記載の融合タンパク質またはARMMはまた、それを必要とする対象の処置方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載の融合タンパク質またはARMMの治療有効量を投与することを含む処置方法において使用され得る。処置は、治療的、予防的または防止的であり得る。処置は、疾患の少なくとも1つの側面もしくは症状の緩和、軽減または防止を包含し、本明細書に記載の疾患の防止または治癒を包含する。
【0141】
疾患は、炎症性障害、自己免疫障害、増殖性障害、内分泌障害、神経障害、または移植に関連する障害であり得る。一部の実施形態では、障害は、増殖性障害、ループス、またはループス腎炎である。異常な細胞増殖、特に過剰増殖は、遺伝子変異、感染、毒素への曝露、自己免疫障害、良性または悪性腫瘍誘発など、様々な要因の結果として起こり得る。細胞過剰増殖に関連する皮膚障害は数多くある。例えば、乾癬は、一般に肥厚した鱗屑で覆われた斑点を特徴とする、ヒトの皮膚の良性疾患である。この疾患は、原因不明の表皮細胞の増殖亢進によって引き起こされる。慢性湿疹はまた、表皮の著しい過剰増殖と関連している。皮膚細胞の過剰増殖によって引き起こされる他の疾患には、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、イボ、尋常性天疱瘡、日光角化症、基底細胞癌、および扁平上皮癌が含まれる。他の過剰増殖性細胞疾患には、血管増殖障害、線維性障害、自己免疫障害、移植片対宿主拒絶反応、腫瘍およびがんが含まれる。
【0142】
一部の実施形態では、増殖性障害はがんである。がんは、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、肝細胞癌、および腎細胞癌、膀胱、腸、乳房、子宮頸部、結腸、食道、頭部、腎臓、肝臓、肺、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、および胃のがん;白血病;良性および悪性リンパ腫、特にバーキットリンパ腫および非ホジキンリンパ腫;良性および悪性黒色腫;骨髄増殖性疾患;多発性骨髄腫、肉腫、これにはユーイング肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、脂肪肉腫、筋肉肉腫、末梢神経上皮腫、滑膜肉腫、神経膠腫、星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、神経膠芽腫、神経芽腫、神経節神経腫、神経節膠腫、髄芽腫、松果体細胞腫瘍、髄膜腫、髄膜肉腫、神経線維腫、およびシュワン細胞腫を含む;大腸がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がん、子宮がん、肺がん、卵巣がん、精巣がん、甲状腺がん、星状細胞腫、食道がん、膵臓がん、胃がん、肝臓がん、結腸がん、黒色腫;癌肉腫、ホジキン病、ウィルムス腫瘍または奇形癌、T系急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、T系リンパ芽球性リンパ腫(T-LL)、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病、プレB ALL、プレBリンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞ALL、フィラデルフィア染色体陽性ALL、またはフィラデルフィア染色体陽性CMLであり得る。
【0143】
疾患状態または状態は、微生物因子または他の外因性因子、例えばウイルス(非限定的な例として、HIV、HBV、HCV、HSV、HPV、RSV、CMV、エボラ、フラビウイルス、ペスチウイルス、ロタウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス、EBV、ウイルス性肺炎、薬剤耐性ウイルス、鳥インフルエンザ、RNAウイルス、DNAウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、ピコルナウイルス、トガウイルス、オルソミクソウイルス、レトロウイルスもしくはヘパドノウイルス)、細菌(グラム陰性、グラム陽性)、真菌、原生動物、蠕虫、ワーム、プリオン、寄生虫、または他の微生物によって引き起こされる疾患であってもよいか、疾患状態および/または状態につながる、タンパク質の過剰発現によって引き起こされる疾患状態であり得る。
【0144】
本開示によるARRDC1融合タンパク質またはARMMによって処置され得るさらなる疾患状態または状態には、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、神経性食欲不振症、不安障害、動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、自閉症、双極性障害、慢性疲労症候群、慢性閉塞性肺疾患、クローン病、冠状動脈性心疾患、認知症、うつ病、1型糖尿病、2型糖尿病、てんかん、ギラン・バレー症候群、過敏性腸症候群、ループス、メタボリックシンドローム、多発性硬化症、心筋梗塞、肥満、強迫性障害、パニック障害、パーキンソン病、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、統合失調症、脳卒中、閉塞性血栓血管炎、トゥレット症候群、血管炎が含まれる。
【0145】
本開示によるARRDC1融合タンパク質またはARMMによって処置され得るまたさらなる疾患状態または状態には、無セルロプラスミン血症、軟骨無発生症II型、軟骨無形成症、尖塔頭蓋症、ゴーシェ病2型、急性間欠性ポルフィリン症、カナバン病、大腸腺腫症、ALA脱水酵素欠損症、アデニロコハク酸リアーゼ欠損症、副腎性器症候群、副腎白質ジストロフィー、ALA-Dポルフィリン症、ALA脱水酵素欠損症、アルカプトン尿症、アレキサンダー病、アルカプトン尿症性オクロノーシス、α1-アンチトリプシン欠損症、α1-プロテイナーゼインヒビター、肺気腫、筋萎縮性側索硬化症、アルストローム症候群、アレキサンダー病、遺伝性エナメル質形成不全症、ALA脱水酵素欠損症、アンダーソン・ファブリー病、アンドロゲン不応症、貧血、びまん性体部被角血管腫、網膜血管腫症(フォン・ヒッペル・リンドウ病)、アペール症候群、クモ指症(マルファン症候群)、スティックラー症候群、先天性多発性関節弛緩症(エーラス・ダンロス症候群#関節弛緩症型)、毛細血管拡張性運動失調症、レット症候群、原発性肺高血圧症、サンドホフ病、神経線維腫症II型、ベアレ・スティーブンソン皮膚回旋症候群、地中海熱、家族性ベンジャミン症候群、ベータ・サラセミア、両側性聴神経線維腫症(神経線維腫症II型)、第V因子ライデン血栓症、ブロッホ・ズルツベルガー症候群(色素失調症)、ブルーム症候群、X連鎖鉄芽球性貧血、ボネビー・ウルリッヒ症候群(ターナー症候群)、ブルヌヴィーユ病(結節性硬化症)、プリオン病、バート・ホッグ・デューベ症候群、脆性骨疾患(骨形成不全症)、広母指趾症候群(ルビンシュタイン・テイビ症候群)、ブロンズ糖尿病/ブロンズ肝硬変(ヘモクロマトーシス)、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病)、バーガー・グルッツ症候群(リポタンパク質リパーゼ欠損症)、CGD慢性肉芽腫性疾患、屈曲肢異形成症、ビオチニダーゼ欠損症、心筋症(ヌーナン症候群)、ネコ鳴き症、CAVD(先天性精管欠損症)、ケイラー心顔面症候群(CBAVD)、CEP(先天性骨髄性ポルフィリン症)、嚢胞性線維症、先天性甲状腺機能低下症、軟骨異栄養症症候群(軟骨無形成症)、耳小骨巨大骨端異形成症、レッシュ・ナイハン症候群、ガラクトース血症、エーラス・ダンロス症候群、致死性骨異形成症、コフィン・ローリー症候群、コケイン症候群(家族性大腸腺腫症)、先天性骨髄性ポルフィリン症、先天性心疾患、メトヘモグロビン血症/先天性メトヘモグロビン血症、軟骨無形成症、X連鎖性鉄芽球性貧血、結合組織疾患、円錐動脈幹異常顔貌症候群、クーリー貧血(βサラセミア)、銅蓄積症(ウィルソン病)、銅輸送病(メンケス病)、遺伝性コプロポルフィリン症、コーデン症候群、頭蓋顔面関節不全症(クルゾン症候群)、クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)、コケイン症候群、カウデン症候群、クルシュマン・バッテン・シュタイナート症候群(筋強直性ジストロフィー)、ベア・スティーブンソン皮膚回旋症候群、原発性高シュウ酸尿症、脊椎骨端骨幹異形成症(ストラドウィック型)、デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィー(DBMD)、アッシャー症候群、ド・グルーシー症候群およびデジェリーヌ・ソッタス症候群を含む変性神経疾患、発達障害、遠位脊髄性筋萎縮症のV型、アンドロゲン不応性症候群、びまん性球状小体硬化症(クラッベ病)、ディジョージ症候群、ジヒドロテストステロン受容体欠損症、アンドロゲン不応症、ダウン症候群、小人症、骨髄性プロトポルフィリン症、赤血球系5-アミノレブリン酸合成酵素欠損症、骨髄性ポルフィリン症、骨髄性プロトポルフィリン症、骨髄性ウロポルフィリン症、フリードライヒ運動失調症、家族性発作性多発漿膜炎、晩発性皮膚ポルフィリン症、家族性圧感受性ニューロパチー、原発性肺高血圧症(PPH)、膵臓線維嚢胞症、脆弱X症候群、ガラクトース血症、遺伝性脳障害、巨細胞性肝炎(新生児ヘモクロマトーシス)、グロンブラッド・ストランドバーグ症候群(弾性線維性仮性黄色腫)、ギュンター病(先天性骨髄性ポルフィリン症)、ヘモクロマトーシス、ハルグレン症候群、鎌状赤血球貧血、血友病、骨髄肝性ポルフィリン症(HEP)、ヒッペル・リンドウ病(フォン・ヒッペル・リンドウ病)、ハンチントン病、ハッチンソン・ギルフォード早老症候群(早老症)、高アンドロゲン血症、軟骨低形成症、低色素性貧血、X連鎖性重症複合免疫不全症を含む免疫系障害、インズリー・アストリー症候群、ジャクソン・ワイス症候群、ジュベール症候群、レッシュ・ナイハン症候群、ジャクソン・ワイス症候群、高シュウ酸尿症を含む腎臓疾患、クラインフェルター症候群、クニエスト異形成症、ラクナ認知症、ランガー・サルディノ軟骨無形成症、毛細血管拡張性運動失調症、リンチ症候群、リシル水酸化酵素欠損症、マシャド・ジョセフ病、クニエスト異形成症を含む代謝障害、マルファン症候群、運動障害、モワット・ウィルソン症候群、嚢胞性線維症、ミュンケ症候群、多発性神経線維腫症、ナンス・インスレー症候群、ナンス・スウィーニー軟骨異形成症、ニーマン・ピック病、ノアック症候群(ファイファー症候群)、オスラー・ウェーバー・ランデュ病、ポイツ・ジェガース症候群、多発性嚢胞腎、多発性骨線維性異形成症(マッキューン・オルブライト症候群)、ポイツ・ジェガース症候群、プラダー・ラバート・ウィリー症候群、ヘモクロマトーシス、原発性高尿酸血症症候群(レッシュ・ナイハン症候群)、原発性肺高血圧症、原発性老人性変性認知症、プリオン病、早老症(ハッチンソン・ギルフォード早老症症候群)、進行性舞踏病、慢性遺伝性(ハンチントン病)(ハンチントン疾患)、進行性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症、プロピオン酸血症、プロトポルフィリン症、近位筋強直性ジストロフィー、肺動脈性肺高血圧症、PXE(弾性線維性仮性黄色腫)、Rb(網膜芽細胞腫)、レックリングハウゼン病(神経線維腫症I型)、再発性多発性漿膜炎、網膜障害、網膜芽細胞腫、レット症候群、REALS3型、リッカー症候群、ライリー・デイ症候群、ルッシー・レヴィ症候群、発達遅延および黒色表皮腫を伴う重度軟骨無形成症(SADDAN)、リー・フラウメニ症候群、肉腫・乳腺・白血病・副腎(SBLA)症候群、硬化症結節性(結節性硬化症)、SDAT、先天性SED(先天性脊椎骨端異形成症)、SEDストラドウィック(脊椎骨端骨幹異形成症、ストラドウィック型)、SEDc(先天性脊椎骨端異形成症)SEMD、ストラドウィック型(脊椎骨端骨幹異形成症、ストラドウィック型)、シュプリンツェン症候群、皮膚色素異常症、スミス・レムリ・オピッツ症候群、南アフリカ遺伝性ポルフィリン症(異型性ポルフィリン症)、乳児発症上行性痙性麻痺、言語・コミュニケーション障害、スフィンゴリピドーシス、テイ・サックス病、脊髄小脳失調症、スティックラー症候群、脳卒中、アンドロゲン不応性症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、β-サラセミア、甲状腺疾患、ソーセージ様ニューロパチー(圧迫性麻痺を伴う遺伝性ニューロパチー)、トリーチャー・コリンズ症候群、トリプロX症候群(トリプルX症候群)、21トリソミー(ダウン症候群)、Xトリソミー、VHL症候群(フォン・ヒッペル・リンダウ病)、視覚障害および失明(アルストローム症候群)、ヴロリック病、ワールデンブルク症候群、ワールブルク・シェー・フレデリウス症候群、ヴァイセンバッハー・ツヴァイミュラー症候群、ウォルフ・ヒルショルン症候群、ウォルフ周期性疾患、ヴァイセンバッハー・ツヴァイミュラー症候群、色素性乾皮症などが含まれる。
【0146】
併用療法
本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、本明細書に記載の障害を有する対象を処置するために、有効量を単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0147】
本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、本明細書に記載の障害を有する対象を処置するために、有効量を単独で、または本開示の別のARRDC1融合タンパク質もしくはARMMまたは別の生物活性剤と組み合わせて使用することができる。
【0148】
一部の実施形態では、本開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMおよび生物活性剤は、重なる時間帯にin vivoで活性であるように、例えば、時間帯が重なるCmax、Tmax、AUCまたは他の薬物動態パラメータを有するように投与される。一部の実施形態では、本開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMおよび生物活性剤は、それを必要とする宿主に投与されるが、それらは重なる薬物動態パラメータを有さないが、しかしながら、一方が他方の治療効果に治療的な影響を及ぼす。
【0149】
一部の実施形態では、生物活性剤は、限定するものではないが、チェックポイント阻害剤を含む免疫モジュレーターであり、これには、非限定的な例として、PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、PD-L2阻害剤、CTLA-4阻害剤、LAG-3阻害剤、TIM-3阻害剤、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)阻害剤、低分子、ペプチド、ヌクレオチド、または他の阻害剤が含まれる。ある特定の態様では、免疫モジュレーターは、モノクローナル抗体などの抗体である。
【0150】
PD-1受容体に結合することによりPD-1とPD-L1の相互作用を遮断して、免疫抑制を阻害するPD-1阻害剤には、例えば、ニボルマブ(オプジーボ(Opdivo))、ペンブロリズマブ(キイトルーダ(Keytruda))、ピディリズマブ、AMP-224(アストラゼネカ(AstraZeneca)およびメディミューン(MedImmune))、PF-06801591(ファイザー(Pfizer))、MEDI0680(アストラゼネカ)、スパルタリズマブ(ノバルティス(Novartis))、REGN2810(リジェネロン(Regeneron))、SHR-12-1(江蘇恒瑞医薬有限公司(Jiangsu Hengrui Medicine Company)およびインサイト・コーポレーション(Incyte Corporation))、TSR-042(テサロ(Tesaro))、およびPD-L1/VISTA阻害剤CA-170(キュリス社(Curis Inc.))が含まれる。PD-L1受容体に結合することによりPD-1とPD-L1の相互作用を遮断して、免疫抑制を阻害するPD-L1阻害剤には、例えば、アテゾリズマブ(テセントリク(Tecentriq))、デュルバルマブ(アストラゼネカおよびメディミューン)、KN035 (アルファマブ(Alphamab))、およびBMS-936559(ブリストル・マイヤーズスクイブ(Bristol-Myers Squibb))が含まれる。CTLA-4に結合して免疫抑制を阻害するCTLA-4チェックポイント阻害剤には、限定するものではないが、イピリムマブ、トレメリムマブ(アストラゼネカおよびメディミューン)、AGEN1884およびAGEN2041(アジェナス(Agenus))が含まれる。LAG-3チェックポイント阻害剤には、限定するものではないが、BMS-986016(ブリストル・マイヤーズスクイブ)、GSK2831781(グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline))、IMP321(プリマ・バイオメッド(Prima BioMed))、LAG525(ノバルティス)、およびPD-1とLAG-3のデュアル阻害剤MGD013(マクロジェニックス(MacroGenics))が含まれる。TIM-3阻害剤の例には、サバトリマブ(ノバルティス)およびTSR-022(テサロ)が含まれる。
【0151】
一部の実施形態では、生物活性剤はALK阻害剤である。ALK阻害剤の例には、限定するものではないが、クリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、TAE684(NVP-TAE684)、GSK1838705A、AZD3463、ASP3026、PF-06463922、エントレクチニブ(RXDX-101)、およびAP26113が含まれる。
【0152】
一部の実施形態では、生物活性剤はEGFR阻害剤である。EGFR阻害剤の例には、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva))、ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa))、アファチニブ(ギロトリフ(Gilotrif))、ロシレチニブ(CO-1686)、オシメルチニブ(タグリッソ(Tagrisso))、オルムチニブ(オリタ(Olita))、ナクチニブ(ASP8273)、ナザルチニブ(EGF816)、PF-06747775(ファイザー)、イコチニブ(BPI-2009)、ネラチニブ(HKI-272;PB272);アビチニブ(AC0010)、EAI045、タルロキソチニブ(TH-4000;PR-610)、PF-06459988(ファイザー)、テセバチニブ(XL647;EXEL-7647;KD-019)、トランスチニブ、WZ-3146、WZ8040、CNX-2006、およびダコミチニブ(PF-00299804;ファイザー)が含まれる。
【0153】
一部の実施形態では、生物活性剤はHER-2阻害剤である。HER-2阻害剤の例には、トラスツズマブ、ラパチニブ、アドトラスツズマブ・エムタンシン、およびペルツズマブが含まれる。一部の実施形態では、生物活性剤はCD20阻害剤である。CD20阻害剤の例には、オビヌツズマブ、リツキシマブ、ファツムマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、およびオクレリズマブが含まれる。一部の実施形態では、生物活性剤はJAK3阻害剤である。JAK3阻害剤の例には、タソシチニブが含まれる。
【0154】
一実施形態では、生物活性剤はBCL-2阻害剤である。BCL-2阻害剤の例には、ベネトクラックス、ABT-199(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)-4,4-ジメチルシクロヘキサ-1-エン-1-イル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[[3-ニトロ-4-[[(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]アミノ]フェニル]スルホニル]-2-[(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-5-イル)オキシ]ベンズアミド)、ABT-737(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)(ナビトクラックス)、ABT-263((R)-4-(4-((4’-クロロ-4,4-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-[1,1’-ビフェニル]-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-N-((4-((4-モルホリノ-1-(フェニルチオ)ブタン-2-イル)アミノ)-3((トリフルオロメチル)スルホニル)フェニル)スルホニル)ベンズアミド)、GX15-070(オバトクラックスメシル酸塩、(2Z)-2-[(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1H-ピロール-2-イル)メチリデン]-4-メトキシピロール-2-イリデン]インドール;メタンスルホン酸)))、2-メトキシアンチマイシンA3、YC137(4-(4,9-ジオキソ-4,9-ジヒドロナフト[2,3-d]チアゾール-2-イルアミノ)フェニルエステル)、ポゴシン、エチル2-アミノ-6-ブロモ-4-(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチル)-4H-クロメン-3-カルボキシレート、ニロチニブ-d3、TW-37(N-[4-[[2-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]スルホニル]フェニル]-2,3,4-トリヒドロキシ-5-[[2-(1-メチルエチル)フェニル]メチル]ベンズアミド)、アポゴシポロン(ApoG2)、HA14-1、AT101、サブトクラックス、ガンボジック酸、またはG3139(オブリメルセン(Oblimersen))が含まれる。
【0155】
一部の実施形態では、生物活性剤はキナーゼ阻害剤である。一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、もしくは脾臓チロシンキナーゼ(Syk)阻害剤、またはそれらの組合せから選択される。
【0156】
PI3キナーゼ阻害剤の例には、限定するものではないが、ワートマニン、デメトキシビリジン、ペリフォシン、イデラリシブ、ピクチリシブ、パロミッド529、ZSTK474、PWT33597、CUDC-907、およびAEZS-136、デュベリシブ、GS-9820、BKM120、GDC-0032(タセリシブ)(2-[4-[2-(2-イソプロピル-5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-d][1,4]ベンゾオキサゼピン-9-イル]ピラゾール-1-イル]-2-メチルプロパンアミド)、MLN-1117((2R)-1-フェノキシ-2-ブタニル水素(S)-メチルホスホネート;またはメチル(オキソ){[(2R)-1-フェノキシ-2-ブタニル]オキシ}ホスホニウム)、BYL-719((2S)-N1-[4-メチル-5-[2-(2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチルエチル)-4-ピリジニル]-2-チアゾリル]-1,2-ピロリジンジカルボキサミド)、GSK2126458(2,4-ジフルオロ-N-{2-(メチルオキシ)-5-[4-(4-ピリダジニル)-6-キノリニル]-3-ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド)(オミパリシブ)、TGX-221((+)-7-メチル-2-(モルホリン-4-イル)-9-(1-フェニルアミノエチル)-ピリド[1,2-a]-ピリミジン-4-オン)、GSK2636771(2-メチル-1-(2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-モルホリノ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-カルボン酸二塩酸塩)、KIN-193((R)-2-((1-(7-メチル-2-モルホリノ-4-オキソ-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-9-イル)エチル)アミノ)安息香酸)、TGR-1202/RP5264、GS-9820((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モヒドロキシプロパン(mohydroxypropan)-1-オン)、GS-1101(5-フルオロ-3-フェニル-2-([S]-1-[9H-プリン-6-イルアミノ]-プロピル)-3H-キナゾリン-4-オン)、AMG-319、GSK-2269557、SAR245409(N-(4-(N-(3-((3,5-ジメトキシフェニル)アミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、BAY80-6946(2-アミノ-N-(7-メトキシ-8-(3-モルホリノプロポキシ)-2,3-ジヒドロイミダゾ[1,2-c]キナズ(quinaz))、AS 252424(5-[1-[5-(4-フルオロ-2-ヒドロキシ-フェニル)-フラン-2-イル]-メタ-(Z)-イリデン]-チアゾリジン-2,4-ジオン)、CZ 24832(5-(2-アミノ-8-フルオロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル)-N-tert-ブチルピリジン-3-スルホンアミド)、ブパルリシブ(5-[2,6-ジ(4-モルホリニル)-4-ピリミジニル]-4-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンアミン)、GDC-0941(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)-1-ピペラジニル]メチル]-4-(4-モルホリニル)チエノ[3,2-d]ピリミジン)、GDC-0980((S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(RG7422としても知られている))、SF1126((8S,14S,17S)-14-(カルボキシメチル)-8-(3-グアニジノプロピル)-17-(ヒドロキシメチル)-3,6,9,12,15-ペンタオキソ-1-(4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-クロメン-2-イル)モルホリノ-4-イウム)-2-オキサ-7,10,13,16-テトラアザオクタデカン-18-オエート)、PF-05212384(N-[4-[[4-(ジメチルアミノ)-1-ピペリジニル]カルボニル]フェニル]-N’-[4-(4,6-ジ-4-モルホリニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]尿素)(ゲダトリシブ)、LY3023414、BEZ235(2-メチル-2-{4-[3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]フェニル}プロパンニトリル)(ダクトリシブ)、XL-765(N-(3-(N-(3-(3,5-ジメトキシフェニルアミノ)キノキサリン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-メトキシ-4-メチルベンズアミド)、およびGSK1059615(5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン)、PX886([(3aR,6E,9S,9aR,10R,11aS)-6-[[ビス(プロパ-2-エニル)アミノ]メチリデン]-5-ヒドロキシ-9-(メトキシメチル)-9a,11a-ジメチル-1,4,7-トリオキソ-2,3,3a,9,10,11-ヘキサヒドロインデノ[4,5h]イソクロメン-10-イル]アセテート(ソノリシブとしても知られている))、LY294002、AZD8186、PF-4989216、ピララリシブ、GNE-317、PI-3065、PI-103、NU7441(KU-57788)、HS 173、VS-5584(SB2343)、CZC24832、TG100-115、A66、YM201636、CAY10505、PIK-75、PIK-93、AS-605240、BGT226(NVP-BGT226)、AZD6482、ボクスタリシブ、アルペリシブ、IC-87114、TGI100713、CH5132799、PKI-402、コパンリシブ(BAY 80-6946)、XL 147、PIK-90、PIK-293、PIK-294、3-MA(3-メチルアデニン)、AS-252424、AS-604850、アピトリシブ(GDC-0980;RG7422)が含まれる。
【0157】
BTK阻害剤の例には、イブルチニブ(PCI-32765としても知られている)(イムブルビカ(商標))(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)、ジアニリノピリミジン系阻害剤、例えばAVL-101およびAVL-291/292(N-(3-((5-フルオロ-2-((4-(2-メトキシエトキシ)フェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)フェニル)アクリルアミド)(アビラ・セラピューティクス(Avila Therapeutics))(米国特許出願公開第2011/0117073号明細書を参照、本明細書にその全体が組み込まれる)、ダサチニブ([N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-(6-(4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル)-2-メチルピリミジン-4-イルアミノ)チアゾール-5-カルボキサミド]、LFM-A13(α-シアノ-β-ヒドロキシ-β-メチル-N-(2,5-イブロモフェニル)プロペンアミド)、GDC-0834([R-N-(3-(6-(4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニルアミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド]、CGI-560 4-(tert-ブチル)-N-(3-(8-(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)フェニル)ベンズアミド、CGI-1746(4-(tert-ブチル)-N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-((4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニル)アミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)ベンズアミド)、CNX-774(4-(4-((4-((3-アクリルアミドフェニル)アミノ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)フェノキシ)-N-メチルピコリンアミド)、CTA056(7-ベンジル-1-(3-(ピペリジン-1-イル)プロピル)-2-(4-(ピリジン-4-イル)フェニル)-1H-イミダゾ[4,5-g]キノキサリン-6(5H)-オン)、GDC-0834((R)-N-(3-(6-((4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニル)アミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド)、GDC-0837((R)-N-(3-(6-((4-(1,4-ジメチル-3-オキソピペラジン-2-イル)フェニル)アミノ)-4-メチル-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)-2-メチルフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン-2-カルボキサミド)、HM-71224、ACP-196、ONO-4059(小野薬品工業株式会社)、PRT062607(4-((3-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩)、QL-47(1-(1-アクリロイルインドリン-6-イル)-9-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ベンゾ[h][1,6]ナフチリジン-2(1H)-オン)、およびRN486(6-シクロプロピル-8-フルオロ-2-(2-ヒドロキシメチル-3-{1-メチル-5-[5-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ピリジン-2-イルアミノ]-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-ピリジン-3-イル}-フェニル)-2H-イソキノリン-1-オン)、およびBTK活性を阻害することが可能な他の分子、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Akinleye et ah, Journal of Hematology & Oncology, 2013, 6:59に開示されているBTK阻害剤が含まれる。
【0158】
Syk阻害剤には、例えば、セルデュラチニブ(4-(シクロプロピルアミノ)-2-((4-(4-(エチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、エントスプレッチニブ(6-(1H-インダゾール-6-イル)-N-(4-モルホリノフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-アミン)、フォスタマチニブ([6-({5-フルオロ-2-[(3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ]-4-ピリミジニル}アミノ)-2,2-ジメチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-4H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4-イル]メチル二水素リン酸)、フォスタマチニブ二ナトリウム塩(ナトリウム(6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-3-オキソ-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-4(3H)-イル)メチルホスフェート)、BAY 61-3606(2-(7-(3,4-ジメトキシフェニル)-イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イルアミノ)-ニコチンアミドHCl)、RO9021(6-[(1R,2S)-2-アミノ-シクロヘキシルアミノ]-4-(5,6-ジメチル-ピリジン-2-イルアミノ)-ピリダジン-3-カルボン酸アミド)、イマチニブ(グリバック(Gleevac);4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]-N-(4-メチル-3-{[4-(ピリジン-3-イル)ピリミジン-2-イル]アミノ}フェニル)ベンズアミド)、スタウロスポリン、GSK143(2-(((3R,4R)-3-アミノテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)-4-(p-トリルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、PP2(1-(tert-ブチル)-3-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン)、PRT-060318(2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)-4-(m-トリルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド)、PRT-062607(4-((3-(2H-1,2,3-トリアゾール-2-イル)フェニル)アミノ)-2-(((1R,2S)-2-アミノシクロヘキシル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩)、R112(3,3’-((5-フルオロピリミジン-2,4-ジイル)ビス(アザンジイル))ジフェノール)、R348(3-エチル-4-メチルピリジン)、R406(6-((5-フルオロ-2-((3,4,5-トリメトキシフェニル)アミノ)ピリミジン-4-イル)アミノ)-2,2-ジメチル-2H-ピリド[3,2-b][1,4]オキサジン-3(4H)-オン)、ピセアタンノール(3-ヒドロキシレスベラトロール)、YM193306(Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、7-アザインドール、ピセアタンノール、ER-27319(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、コンパウンドD(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、PRT060318(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、ルテオリン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、アピゲニン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、ケルセチン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、フィセチン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、ミリセチン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)、モリン(その全体が本明細書に組み込まれる、Singh et al. Discovery and Development of Spleen Tyrosine Kinase (SYK) Inhibitors, J. Med. Chem. 2012, 55, 3614-3643を参照)が含まれる。
【0159】
一部の実施形態では、生物活性剤はMEK阻害剤である。MEK阻害剤は周知であり、例えば、トラメチニブ/GSK1120212(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H-イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチニブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC 1935369((S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL-518/GDC-0973(1-({3,4-ジクロロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-3-オール)、レファメチニブ/BAY869766/RDEA1 19(N-(3,4-ジクロロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド)、PD-0325901(N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド)、TAK733((R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン)、MEK162/ARRY438162(5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド)、R05126766(3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)-4-ピリジル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン)、WX-554、R04987655/CH4987655(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-((3-オキソ-1,2-オキサジナン-2イル)メチル)ベンズアミド)、またはAZD8330(2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)、U0126-EtOH、PD 184352(CI-1040)、GDC-0623、BI-847325、コビメチニブ、PD98059、BIX 02189、BIX 02188、ビニメチニブ、SL-327、TAK-733、PD318088が含まれる。
【0160】
一部の実施形態では、生物活性剤はRaf阻害剤である。Raf阻害剤は公知であり、例えば、ベムラフィニブ(N-[3-[[5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル]カルボニル]-2,4-ジフルオロフェニル]-1-プロパンスルホンアミド)、ソラフェニブトシル酸塩(4-[4-[[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイルアミノ]フェノキシ]-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド;4-メチルベンゼンスルホン酸塩)、AZ628(3-(2-シアノプロパン-2-イル)-N-(4-メチル-3-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルアミノ)フェニル)ベンズアミド)、NVP-BHG712(4-メチル-3-(1-メチル-6-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-イルアミノ)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド)、RAF-265(1-メチル-5-[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]ピリジン-4-イル]オキシ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ベンズイミダゾール-2-アミン)、2-ブロモアルジシン(2-ブロモ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピロロ[2,3-c]アゼピン-4,8-ジオン)、Rafキナーゼ阻害剤IV(2-クロロ-5-(2-フェニル-5-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾール-4-イル)フェノール)、ソラフェニブN-オキシド(4-[4-[[[[4-クロロ-3(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]カルボニル]アミノ]フェノキシ]-N-メチル-2-ピリジンカルボキサミド1-オキシド)、PLX-4720、ダブラフェニブ(GSK2118436)、GDC-0879、RAF265、AZ 628、SB590885、ZM336372、GW5074、TAK-632、CEP-32496、LY3009120、およびGX818(エンコラフェニブ)が含まれる。
【0161】
一部の実施形態では、生物活性剤は、限定するものではないが、MK-2206、GSK690693、ペリフォシン、(KRX-0401)、GDC-0068、トリシリビン、AZD5363、ホノキオール、PF-04691502、およびミルテフォシンを含むAKT阻害剤、限定するものではないが、P406、ドビチニブ、キザルチニブ(AC220)、アムバチニブ(MP-470)、タンデュチニブ(MLN518)、ENMD-2076、およびKW-2449を含むFLT-3阻害剤、またはそれらの組合せである。
【0162】
一部の実施形態では、生物活性剤はmTOR阻害剤である。mTOR阻害剤の例には、限定するものではないが、ラパマイシンおよびその類似体、エベロリムス(アフミトール)、テムシロリムス、リダフォロリムス、シロリムス、およびデフォロリムスが含まれる。MEK阻害剤の例には、限定するものではないが、タメチニブ/GSK1120212(N-(3-{3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6,8-ジメチル-2,4,7-トリオキソ-3,4,6,7-テトラヒドロピリド[4,3-d]ピリミジン-1(2H-イル}フェニル)アセトアミド)、セルメチノブ(6-(4-ブロモ-2-クロロアニリノ)-7-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルベンズイミダゾール-5-カルボキサミド)、ピマセルチブ/AS703026/MSC1935369((S)-N-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-3-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)イソニコチンアミド)、XL-518/GDC-0973(1-({3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル}カルボニル)-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-3-オール)(コビメチニブ)、レファメチニブ/BAY869766/RDEA119(N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド)、PD-0325901(N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド)、TAK733((R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン)、MEK162/ARRY438162(5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミド)、R05126766(3-[[3-フルオロ-2-(メチルスルファモイルアミノ)-4-ピリジル]メチル]-4-メチル-7-ピリミジン-2-イルオキシクロメン-2-オン)、WX-554、R04987655/CH4987655(3,4-ジフルオロ-2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-((3-オキソ-1,2-オキサジナン-2-イル)メチル)ベンズアミド)、またはAZD8330(2-((2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド)が含まれる。
【0163】
一部の実施形態では、生物活性剤はRAS阻害剤である。RAS阻害剤の例には、限定するものではないが、レオライシン(Reolysin)およびsiG12D LODERが含まれる。一部の実施形態では、生物活性剤はHSP阻害剤である。HSP阻害剤には、限定するものではないが、ゲルダナマイシンまたは17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、およびラジシコールが含まれる。
【0164】
さらなる生物活性化合物には、例えば、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK286、AV-299、DN-101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY-142886)、AMN-107、TKI-258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ-197、MK-0457、MLN8054、PHA-739358、R-763、AT-9263、FLT-3阻害剤、VEGFR阻害剤、オーロラキナーゼ阻害剤、PIK-1モジュレーター、HDAC阻害剤、c-MET阻害剤、PARP阻害剤、Cdk阻害剤、IGFR-TK阻害剤、抗HGF抗体、接着斑キナーゼ阻害剤(focal adhesion kinase inhibitor)、MAPキナーゼキナーゼ(mek)阻害剤、VEGFトラップ抗体、ペメトレキセド、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep-etu、ノラトレキセド、azd2171、バタブリン、オファツムマブ、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミリフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131-I-TM-601、ALT-110、BIO 140、CC 8490、シレンジチド、ギマテカン、IL13-PE38QQR、INO 1001、IPdRiKRX-0402、ルカントン、LY317615、ニューラディアブ、ビテスパン、Rta 744、Sdx 102、タランパネル、アトラセンタン、Xr 311、ロミデプシン、ADS-100380、スニチニブ、5-フルオロウラシル、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK-304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD-6244、カペシタビン、L-グルタミン酸、N-[4-[2-(2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)エチル]ベンゾイル]-,二ナトリウム塩,七水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、トレミフェンクエン酸塩、アナストラゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、結合型エストロゲン、ベバシズマブ、IMC-1C11、CHIR-258);3-[5-(メチルスルホニルピペラジンメチル)-インドリルキノロン、バタラニブ、AG-013736、AVE-0005、ゴセレリン酢酸塩、リュープロリド酢酸塩、トリプトレリンパモ酸塩、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸塩、メゲストロール酢酸塩、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、メゲストロール酢酸塩、CP-724714;TAK-165、HKI-272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX-EGF抗体、エルビタックス、EKB-569、PKI-166、GW-572016、ロナファニブ、BMS-214662、ティピファニブ;アミフォスチン、NVP-LAQ824、スベロイルアナリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK-228、SU111248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L-アスパラギナーゼ、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)(BCG)ワクチン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、グリベック、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、リュープロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロン酸、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13-シス-レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5-デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6-メルカプトプリン、デオキシコホルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミトラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL-3、ネオバスタット、BMS-275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン-12、IM862、アンジオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトックス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、パクリタキセル、クレモフォールを含まないパクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンB、BMS-247550,BMS-310705、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA-923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE-424、HMR-3339、ZK186619、トポテカン、PTK787/ZK 222584、VX-745、PD 184352、ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、テムシロリムス、AP-23573、RAD001、ABT-578、BC-210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ワートマンニン、ZM336372、L-779,450、PEG-フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグインターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2b、アザシチジン、PEG-L-アスパラギナーゼ、レナリドミド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン-11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、オールトランスレチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン-2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エチドロネート、ミトタン、シクロスポリン、リポソームダウノルビシン、エドウィナ・アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK-1受容体拮抗薬、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィドグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンアルファ、ダルベポエチンアルファ、およびそれらの混合物が含まれる。
【0165】
一部の実施形態では、生物活性剤は、限定するものではないが、イマチニブメシル酸塩(グリバック(登録商標))、ダサチニブ(スプリセル(登録商標))、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、ボスチニブ(ボスリフ(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))、トラスツズマブ-DM1、ペルツズマブ(パージェタ(商標))、ラパチニブ(タイケルブ(登録商標))、ゲフィチニブ(イレッサ(登録商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、セツキシマブ(エルビタックス(登録商標))、パニツムマブ(ベクティビックス(登録商標))、バンデタニブ(カプレルサ(登録商標))、ベムラフェニブ(ゼルボラフ(登録商標))、ボリノスタット(ゾリンザ(登録商標))、ロミデプシン(イストダックス(登録商標))、ベキサロテン(タグレチン(登録商標))、アリトレチノイン(パンレチン(登録商標))、トレチノイン(ベサノイド(登録商標))、カルフィリゾミブ(カイプロリス(商標))、プララトレキサート(フォロチン(登録商標))、ベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、ジブアフリベルセプト(ザルトラップ(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、スニチニブ(スーテント(登録商標))、パゾパニブ(ヴォトリエント(登録商標))、レゴラフェニブ(スチバーガ(登録商標))、およびカボザンチニブ(コメトリク(商標))から選択される。
【0166】
一部の態様では、生物活性剤は、抗炎症剤、化学療法剤、放射線療法剤、追加の治療薬、または免疫抑制剤である。
【0167】
適切な化学療法生物活性剤には、限定するものではないが、放射性分子、細胞の生存に有害なあらゆる薬剤を含む細胞毒または細胞傷害性剤とも呼ばれる毒素、および化学療法化合物を含むリポソームまたは他の小胞が含まれる。一般的な抗がん剤の医薬品には、ビンクリスチン(オンコビン(登録商標))またはリポソームビンクリスチン(マルキボ(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシンもしくはセルビジン(登録商標))またはドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、シタラビン(シトシンアラビノシド、ara-C、またはサイトサール(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(エルスパー(登録商標))またはPEG-L-アスパラギナーゼ(ペガスパルガーゼまたはオンカスパール(登録商標))、エトポシド(VP-16)、テニポシド(ブモン(登録商標))、6-メルカプトプリン(6-MPまたはプリネトール(登録商標))、メトトレキサート、シクロホスファミド(サイトキサン(登録商標))、プレドニゾン、デキサメタゾン(デカドロン)、イマチニブ(グリベック(登録商標))、ダサチニブ(スプリセル(登録商標))、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、ボスチニブ(ボスリフ(登録商標))、およびポナチニブ(イクルシグ(商標))が含まれる。追加の適切な化学療法剤の例には、限定するものではないが、1-デヒドロテストステロン、5-フルオロウラシルデカルバジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アルデスロイキン、アルキル化剤、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミフォスチン、アナストロゾール、アントラマイシン(AMC)、抗有糸分裂剤、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)、シスプラチン)、ジアミノジクロロ白金、アントラサイクリン、抗生物質、代謝拮抗剤、アスパラギナーゼ、生BCG(膀胱内)、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾン、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ロイコボリンカルシウム、カリケアマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、ロムスチン(CCNU)、カルムスチン(BSNU)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、コルヒチン、結合型エストロゲン、シクロホスファミド、シクロトスファミド(Cyclothosphamide)、シタラビン、シタラビン、サイトカラシンB、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ダウニルビシンHCL、ダウノルビシンクエン酸塩、デニロイキンジフチトックス、デクスラゾキサン、ジブロモマンニトール、ジヒドロキシアントラシンジオン、ドセタキセル、ドラセトロンメシル酸塩、ドキソルビシンHCL、ドロナビノール、大腸菌(E.coli)L-アスパラギナーゼ、エメチン、エポエチン-α、エルウィニア属菌(Erwinia)L-アスパラギナーゼ、エステル化エストロゲン、エストラジオール、エストラムスチンリン酸ナトリウム、臭化エチジウム、エチニルエストラジオール、エチドロネート、エトポシドシトロボラム因子、エトポシドリン酸塩、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビンリン酸塩、フルオロウラシル、フルタミド、葉酸、ゲムシタビンHCL、グルココルチコイド、ゴセレリン酢酸塩、グラミシジンD、グラニセトロンHCL、ヒドロキシ尿素、イダルビシンHCL、イホスファミド、インターフェロンα-2b、イリノテカンHCL、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、ロイプロリド酢酸塩、レバミソールHCL、リドカイン、ロムスチン、メイタンシノイド、メクロレタミンHCL、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、メゲストロール酢酸塩、メルファランHCL、メルカプチプリン、メスナ、メトトレキサート、メチルテストステロン、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド酢酸塩、オンダンセトロンHCL、パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、ペントスタチン、ピロカルピンHCL、プリマイシン、カルムスチンインプラント付きポリフェプロサン20、ポルフィマーナトリウム、プロカイン、プロカルバジンHCL、プロプラノロール、リツキシマブ、サルグラモスチム、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、タキソール、テニポシド、テノポシド、テストラクトン、テトラカイン、チオエパクロラムブシル、チオグアニン、チオテパ、トポテカンHCL、トレミフェンクエン酸塩、トラスツズマブ、トレチノイン、バルルビシン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、およびビノレルビン酒石酸塩が含まれる。
【0168】
本明細書に開示されたデグロニマー(degronimer)と組み合わせて投与することができる追加の治療薬には、ベバシズマブ、スチニブ、ソラフェニブ、2-メトキシエストラジオールまたは2ME2、フィナスネート(finasunate)、バタラニブ、バンデタニブ、アフリベルセプト、ボロシキシマブ、エタラシズマブ(MEDI-522)、シレンギチド、エルロチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ゲフィチニブ、トラスツズマブ、ドビチニブ、フィギツムマブ、アタシセプト、リツキシマブ、アレムツズマブ、アルデスロイキン、アトリズマブ、トシリズマブ、テムシロリムス、エベロリムス、ルカツムマブ、ダセツズマブ、HLL1、huN901-DM1、アチプリモド、ナタリズマブ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、マリゾミブ、タネスピマイシン、サキナビルメシル酸塩、リトナビル、ネルフィナビルメシル酸塩、インジナビル硫酸塩、ベリノスタット、パノビノスタット、マパツムマブ、レキサツムマブ、デュラネルミン、ABT-737、オブリメルセン、プリチデプシン、タルマピモド、P276-00、エンザスタウリン、ティピファニブ、ペリフォシン、イマチニブ、ダサチニブ、レナリドミド、サリドマイド、シンバスタチン、セレコキシブ、バゼドキシフェン、AZD4547、リロツムマブ、オキサリプラチン(エロキサチン)、PD0332991、リボシクリブ(LEE011)、アメバシクリブ(LY2835219)、HDM201、フルベストラント(フェソロデックス)、エキセメスタン(アロマシン)、PIM447、ルキソリチニブ(INC424)、BGJ398、ネシツムマブ、ペメトレキセド(アリムタ)、およびラムシルマブ(IMC-1121B)を含むことができる。
【0169】
一部の態様では、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、抗感染剤、例えば、限定するものではないが、抗HIV剤、抗HCV剤、抗HBV剤、または他の抗ウイルス剤もしくは抗菌剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、抗HIV剤は、限定するものではないが、例えば、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、他の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤などであり得る。ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)には、限定するものではないが、アバカビルまたはABC(ザイアジェン)、ジダノシンまたはddl(ビデックス)、エムトリシタビンまたはFTC(エムトリバ)、ラミブジンまたは3TC(エピビル)、ddC(ザルシタビン)、スタブジンまたはd4T(ゼリット)、テノホビルコールTDF(ビリアード)、D-D4FC(リバーセット)、およびジドブジンまたはAZTまたはZDV(レトロビル)が含まれる。非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)には、限定するものではないが、デラビルジン(レスクリプター)、エファビレンツ(ススティバ)、エトラビリン(インテレンス)、ネビラピン(ビラミューン)、リルピビリン(エデュラント)が含まれる。抗HIVプロテアーゼ阻害剤(PI)には、限定するものではないが、アタザナビルまたはATV(レイアタッツ)、ダルナビルまたはDRV(プレジスタ)、ホスアンプレナビルまたはFPV(レキシバ)、インジナビルまたはIDV(クリキシバン)、ロピナビル+リトナビルまたはLPV/r(カレトラ)、ネルフィナビルまたはNFV(ビラセプト)、リトナビルまたはRTV(ノービル)、サキナビルまたはSQV(インビラーゼ)、ティプラナビルまたはTPV(アプチバス)、コビシスタット(タイボスト)、アタザナビル+コビシスタットまたはATV/COBI(エボタズ)、ダルナビル+コビシスタットまたはDRV/COBI(プレズコビックス)が含まれる。抗HIV融合阻害剤には、限定するものではないが、エンフビルチド、またはENF、またはT-20(フゼオン)が含まれる。抗HIV剤にはまた、限定するものではないが、マラビロクまたはMVC(シーエルセントリ)が含まれる。抗HIVインテグラーゼ阻害剤には、限定するものではないが、ドルテグラビル(テビカイ)、エルビテグラビル(ビテクタ)、ラルテグラビル(イセントレス)が含まれる。抗HIV併用薬には、アバカビル+ドルテグラビル+ラミブジン、またはABC/DTG/3TC(トリーメク)、アバカビル+ラミブジンまたはABC/3TC(エプジコム)、アバカビル+ラミブジン+ジドブジン、またはABC/3TC/ZDV(トリジビル)、エファビレンツ+エムトリシタビン+テノホビルまたはEFV/FTC/TDF(アトリプラ、トリバス(Tribuss))、エルビテグラビル、コビシスタット、エムトリシタビン、テノホビルアラフェナミドまたはEVG/COBI/FTC/TAFまたはECF/TAF(ゲンボイヤ;(スタリビルド))、エムトリシタビン+リルピビリン+テノホビルまたはFTC/RPV/TAF(オデフシー);エムトリシタビン+リルピビリン+テノホビルまたはFTC/RPV/TDF(コムプレラ)、エムトリシタビン+テノホビルまたはTAF/FTC(デシコビ)、エムトリシタビンおよびテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(ツルバダ)、ならびにラミブジン+ジドブジンまたは3TC/ZDV(コンビビル)が含まれる。他の抗HIV化合物には、限定するものではないが、ラシビル、L-FddC、L-FD4C、SQVM(サキナビルメシル酸塩)、IDV(インジナビル)、SQV(サキナビル)、APV(アンプレナビル)、LPV(ロピナビル)、T20などの融合阻害剤、ならびにそれらの融合物および混合物などが含まれ、これには、現在臨床試験中または開発中の抗HIV化合物も含まれる。
【0170】
本明細書の開示により開示されたARRDC1融合タンパク質またはARMMとの同時投与において使用され得る他の抗HIV剤は、ネビラピン(BI-R6-587)、デラビルジン(U-90152S/T)、エファビレンツ(DMP-266)、UC-781(N-[4-クロロ-3-(3-メチル-2-ブテニルオキシ)フェニル]-2-メチル-3-フランカルボチアミド)、エトラビリン(TMC 125)、トロビルジン(Ly300046.HCl)、HI-236、HI-240、HI-280、HI-281、リルピビリン(TMC-278)、MSC-127、HBY 097、DMP266、バイカリン(TJN-151)ADAM-II(メチル3’,3’-ジクロロ-4’,4"-ジメトキシ-5’,5"-ビス(メトキシカルボニル)-6,6-ジフェニルヘキセノエート)、メチル3-ブロモ-5-(1-5-ブロモ-4-メトキシ-3-(メトキシカルボニル)フェニル)ヘプタ-1-エニル)-2-メトキシベンゾエート(アルケニルジアリールメタン類似体、Adam類似体)、(5-クロロ-3-(フェニルスルフィニル)-2’-インドールカルボキサミド)、AAP-BHAP(U-104489またはPNU-104489)、カプラビリン(AG-1549、S-1153)、アテビルジン(U-87201E)、アウリントリカルボン酸(SD-095345)、1-[(6-シアノ-2-インドリル)カルボニル]-4-[3-(イソプロピルアミノ)-2-ピリジニル]ピペラジン、1-[5-[[N-(メチル)メチルスルホニルアミノ]-2-インドリルカルボニル-4-[3-(イソプロピルアミノ)-2-ピリジニル]ピペラジン、1-[3-(エチルアミノ)-2-[ピリジニル]-4-[(5-ヒドロキシ-2-インドリル)カルボニル]ピペラジン、1-[(6-ホルミル-2-インドリル)カルボニル]-4-[3-(イソプロピルアミノ)-2-ピリジニル]ピペラジン、1-[[5-(メチルスルホニルオキシ)-2-インドリル)カルボニル]-4-[3-(イソプロピルアミノ)-2-ピリジニル]ピペラジン、U88204E、ビス(2-ニトロフェニル)スルホン(NSC 633001)、カラノリドA(NSC675451)、カラノリドB、6-ベンジル-5-メチル-2-(シクロヘキシルオキシ)ピリミジン-4-オン(DABO-546)、DPC 961、E-EBU、E-EBU-dm、E-EPSeU、E-EPU、ホスカルネット(ホスカビル)、HEPT(1-[(2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-6-(フェニルチオ)チミン)、HEPT-M(1-[(2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-6-(3-メチルフェニル)チオ)チミン)、HEPT-S(1-[(2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-6-(フェニルチオ)-2-チオチミン)、イノフィルムP、L-737,126、ミケラミンA(NSC650898)、ミケラミンB(NSC649324)、ミケラミンF、6-(3,5-ジメチルベンジル)-1-[(2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-5-イソプロピルウラシル、6-(3,5-ジメチルベンジル)-1-(エトキシメチル)-5-イソプロピルウラシル、NPPS、E-BPTU(NSC 648400)、オルチプラズ(4-メチル-5-(ピラジニル)-3H-1,2-ジチオール-3-チオン)、N-{2-(2-クロロ-6-フルオロフェネチル]-N’-(2-チアゾリル)チオ尿素(PETT Cl、F誘導体)、N-{2-(2,6-ジフルオロフェネチル]-N’-[2-(5-ブロモピリジル)]チオ尿素{PETT誘導体)、N-{2-(2,6-ジフルオロフェネチル]-N’-[2-(5-メチルピリジル)チオ尿素{PETTピリジル誘導体)、N-[2-(3-フルオロフラニル)エチル]-N’-[2-(5-クロロピリジル)]チオ尿素、N-[2-(2-フルオロ-6-エトキシフェネチル)]-N’-[2-(5-ブロモピリジル)]チオ尿素、N-(2-フェネチル)-N’-(2-チアゾリル)チオ尿素(LY-73497)、L-697,639、L-697,593、L-697,661、342-(4,7-ジフルオロベンゾオキサゾール-2-イル)エチル}-5-エチル-6-メチル(ピプリジン-2(1H)-チオン(2-ピリジノン誘導体)、3-[[(2-メトキシ-5,6-ジメチル-3-ピリジル)メチル]アミン]-5-エチル-6-メチル(ピプリジン-2(1H)-チオン、R82150、R82913、R87232、R88703、R89439(ロビリド)、R90385、S-2720、スラミンナトリウム、TBZ(チアゾロベンズイミダゾール、NSC 625487)、チアゾロイソインドール-5-オン、(+)(R)-9b-(3,5-ジメチルフェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[2,3-a]イソインドール-5(9bH)-オン、チビラピン(R86183)、UC-38およびUC-84などからなる群から選択することができる。
【0171】
他の態様では、開示のARRDC1融合タンパク質またはARMMは、HCV感染の処置に使用される場合、別の抗HCV剤と組み合わせて投与することができる。抗HCV剤は、当技術分野において公知である。これまでに、HCVの処置に関する多くの定用量薬合剤が承認されている。ハーボニー(登録商標)(ギリアド・サイエンシズ社(Gilead Sciences, Inc.))には、NS5A阻害剤レディパスビルとNS5B阻害剤ソホスブビルが含まれている。テクニヴィ(商標)(アッヴィ社(AbbVie, Inc.))は、NS5A阻害剤のオムビタスビル、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤のパリタプレビル、およびCYP3A阻害剤のリトナビルを含む定用量合剤である。ダクルインザ(商標)(ダクラタスビル、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)は、慢性ゲノタイプ3感染症の処置にソホスブビルとの併用を示すHCV NS5A阻害剤である。ゼパチエ(Zepatier)(商標)(メルク社(Merck & Co.))は、最近、慢性HCVゲノタイプ1および4の処置用として承認された。ゼパチエ(商標)は、HCV NS5A阻害剤のエルバスビルと、HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤のグラゾプレビルを含む定用量合剤製品である。ゼパチエ(商標)は、リバビリンの併用または非併用により適応となる。エプクローザ(登録商標)(ギリアド・サイエンシズ社)は、ソホスブビルとベルパタスビルを含む定用量合剤錠である。
【0172】
一部の実施形態では、追加療法はモノクローナル抗体(MAb)である。一部のMAbは、がん細胞を破壊する免疫反応を刺激する。B細胞によって自然に産生される抗体と同様に、これらのMAbは、がん細胞の表面を「コーティングし」、免疫系によるがん細胞の破壊を誘起し得る。例えば、ベバシズマブは、腫瘍細胞および腫瘍の微小環境内の他の細胞から分泌され、腫瘍血管の発達を促進するタンパク質である、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とする。ベバシズマブに結合した場合、VEGFはその細胞受容体と相互作用することが不可能になり、新しい血管の成長をもたらすシグナル伝達が妨げられる。
【0173】
同様に、セツキシマブとパニツムマブは上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的とし、トラスツズマブはヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)を標的とする。細胞表面増殖因子受容体に結合するMAbは、標的受容体が通常の増殖促進シグナルを送信するのを阻止する。またそれらはアポトーシスを誘発し、免疫系を活性化して腫瘍細胞を破壊し得る。
【0174】
一部の態様では、生物活性剤は免疫抑制剤である。免疫抑制剤は、カルシニューリン阻害剤、例えば、シクロスポリンまたはアスコマイシン、シクロスポリンA(NEORAL(登録商標))、FK506(タクロリムス)、ピメクロリムス、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシンまたはその誘導体、例えば、シロリムス(ラパミューン(登録商標))、エベロリムス(サーティカン(登録商標))、テムシロリムス、ゾタロリムス、バイオリムス-7、バイオリムス-9、ラパログ、例えば、リダフォロリムス、アザチオプリン、カンパス1H、SIP受容体モジュレーター、例えば、フィンゴリモドまたはその類似体、抗IL-8抗体、ミコフェノール酸またはその塩、例えばナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えば、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト(登録商標))、OKT3(オルトクローンOKT3(登録商標))、プレドニゾン、ATGAM(登録商標)、サイモグロブリン(登録商標)、ブレキナルナトリウム、OKT4、T10B9.A-3A、33B3.1、15-デオキシスパガリン、トレスペリムス、レフルノミド ARAVA(登録商標)、CTLAI-Ig、抗CD25、抗IL2R、バシリキシマブ(シムレクト(登録商標))、ダクリズマブ(ゼナパックス(登録商標))、ミゾルビン、メトトレキサート、デキサメタゾン、ISAtx-247、SDZ ASM 981(ピメクロリムス、エリデル(登録商標))、CTLA4lg(アバタセプト)、ベラタセプト、LFA3lg、エタネルセプト(イミュネックス(Immunex)からエンブレル(登録商標)として販売)、アダリムマブ(ヒュミラ(登録商標))、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))、抗LFA-1抗体、ナタリズマブ(アンテグレン(登録商標))、エンリモマブ、ガビリモマブ、抗胸腺細胞免疫グロブリン、シプリズマブ、アレファセプトエファリズマブ、ペンタサ、メサラジン、アサコール、リン酸コデイン、ベノリレート、フェンブフェン、ナプロシン、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、アスピリン、およびイブプロフェンであり得る。
【0175】
追加の生物活性剤は、米国特許出願公開第2019/0076539号明細書で確認することができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0176】
調製の方法
本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質は、当業者に公知の方法によって調製され得る。例えば、ARRDC1融合タンパク質は、遺伝的または化学的に生産することができる。本明細書では、アレスチンドメイン含有タンパク質1(ARRDC1)媒介性マイクロベシクル(ARMM)を調製するための方法であって、(a)異種プロモーターの制御下にある、本明細書に開示のARRDC1融合タンパク質をコードする組換え発現構築物を含む宿主細胞を、培地中で培養することと、(b)ARMMを培地から回収することを含む方法を提供する。
【0177】
一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型の宿主細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有する。一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型細胞と比較して低下したユビキチンリガーゼの発現レベルを有するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、宿主細胞におけるユビキチンリガーゼの発現は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASN)技術、低分子干渉RNA(siRNA)もしくはショートヘアピンRNA(shRNA)などのRNA干渉(RNAi)技術、またはCRISPR/Cas9もしくはジンクフィンガーヌクレアーゼ技術などの当業者に公知の遺伝子編集ツールによって低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞におけるユビキチンリガーゼの発現は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞におけるユビキチンリガーゼの活性が低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞におけるユビキチンリガーゼの活性は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞において発現されるユビキチンリガーゼの量または活性は、宿主細胞におけるARMMの産生を実質的に妨げないほど最小である。一部の実施形態では、宿主細胞は、ユビキチンリガーゼを欠いている。すなわち、ユビキチンリガーゼの発現レベルは、当技術分野において利用可能なツールによって検出することは不可能である。一部の実施形態では、宿主細胞は、少なくとも1つのユビキチンリガーゼを欠いている。一部の実施形態では、宿主細胞は、1つまたは複数のユビキチンリガーゼを欠いている。ユビキチンリガーゼは、HECW2、HECW1、WWPL、WWP2、NEDD4-1、NEDD4-2、NEDD4L、SMURFL、SMURF2、SMURF1、ITCH、NEDL1、およびNEDL2からなる群から選択され得る。
【0178】
一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型の宿主細胞と比較して低下した標的タンパク質の発現レベルを有する。一部の実施形態では、宿主細胞は、野生型細胞と比較して低下した標的タンパク質の発現レベルを有するように遺伝子操作される。一部の実施形態では、宿主細胞における標的タンパク質の発現は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASN)技術、低分子干渉RNA(siRNA)もしくはショートヘアピンRNA(shRNA)などのRNA干渉(RNAi)技術、またはCRISPR/Cas9もしくはジンクフィンガーヌクレアーゼ技術などの当業者に公知の遺伝子編集ツールによって低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞における標的タンパク質の発現は、当業者に公知の低分子阻害剤によって低下または阻害される。一部の実施形態では、宿主細胞で発現される標的タンパク質の量は、宿主細胞におけるARMMの産生を実質的に妨げないほど最小である。一部の実施形態では、宿主細胞は、標的タンパク質を欠いている。すなわち、標的タンパク質の発現レベルは、当技術分野において利用可能なツールによって検出することは不可能である。
【0179】
タンパク質を分解し遺伝子発現を変化させる方法
一部の態様では、本開示は、標的細胞の標的タンパク質を分解する方法であって、標的細胞を本明細書に開示のARMMと接触させることを含む方法を提供する。標的タンパク質は、本明細書に開示した標的タンパク質のいずれかであり得る。
【0180】
一部の態様では、本開示は、少なくとも1つの遺伝子の発現を変化させるための方法であって、標的細胞を本明細書に開示のARMMと接触させることを含む方法を提供する。少なくとも1つの遺伝子は、本明細書に開示のARMMによって分解される標的タンパク質によって、直接的または間接的に制御される任意の遺伝子であり得る。
【0181】
ARMMを標的細胞に接触させることにより、融合タンパク質の直接投与で問題となることが多い細胞透過性について心配する必要がない。さらに、直接投与する場合とは対照的にARMMで送達される場合、融合タンパク質に対する免疫応答のリスクが低下する。一部の実施形態では、標的細胞は哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、標的細胞はヒト細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は幹細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、in vitroまたはex vivoの細胞であり、本方法は、in vitroで細胞にARMMを投与すること、またはin vitroで標的細胞をマイクロベシクル産生細胞と共培養することを含む。一部の実施形態では、標的細胞は対象における細胞であり、本方法は、マイクロベシクルまたはマイクロベシクル産生細胞を対象に投与することを含む。一部の実施形態では、対象は哺乳動物対象である。一部の実施形態では、対象はヒト対象である。一部の実施形態では、標的細胞は病理学的細胞である。一部の実施形態では、標的細胞はがん細胞である。一部の実施形態では、マイクロベシクルには、標的細胞の抗原に選択的に結合する標的化剤が含まれる。一部の実施形態では、標的細胞の抗原は、細胞表面抗原である。一部の実施形態では、標的化剤は、膜結合免疫グロブリン、インテグリン、受容体、受容体リガンド、アプタマー、低分子、またはそれらの断片である。
【0182】
本明細書で引用されているすべての参考文献および刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0183】
以下の実施例は、本発明の一部の実施形態をさらに説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これらの例示的な性質により、当業者に公知の他の手順、方法論、または技術が代わりに使用され得ることは理解されよう。
【実施例】
【0184】
[実施例1]
単一ドメイン抗体(sdAb)との融合を介したARRDC1へのリクルートによるmCherryの分解
この実施例では、ARRDC1とmCherryに結合する単一ドメイン抗体を含むARRDC1融合タンパク質を使用することによるmCherryタンパク質レベルの低下を示す(
図2A)。293T細胞に、50ngのmCherry発現構築物とARRDC1融合タンパク質をコードする構築物がコトランスフェクトされた。細胞は、トランスフェクションの72時間後に蛍光シグナルが画像化された(
図2B)。溶解物を回収し、ウエスタンブロッティングで分析した(
図2C)。その結果からは、融合タンパク質が用量依存的にmCherryの分解を効果的に促進することができることが明らかである。mCherryタンパク質レベルの低下は、ARRDC1融合タンパク質の増加と相関する(
図2C)。
【0185】
[実施例2]
ARMMにより送達されたARRDC1/sdAb融合タンパク質による細胞内mCherryタンパク質の分解
この実施例では、mCherryタンパク質に特異的なsdAbを含むARRDC1融合タンパク質をペイロードしたARMM粒子と標的細胞をインキュベートすることによって、細胞内mCherryタンパク質レベルが低下することを示す。
【0186】
ARRDC1/GFP融合タンパク質またはARRDC1/抗mCherry sdAb融合タンパク質をペイロードしたARMM粒子は、関連する融合タンパク質をコードする発現構築物を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞(ThermoFisher)由来の懸濁適応細胞株を培養することによって作製した。さらに、「擬似型」ARRDC1/抗mCherry sdAb融合タンパク質をペイロードしたARMMは、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(VSV-G)を過剰発現するように操作された細胞によって産生された。ARMM粒子は、関連する細胞株をシェーカーフラスコで培養し、調整培地を回収し、ARMM粒子を回収、濃縮し、遠心分離により細胞残屑を除去して精製し、続いて50nm孔中空糸濾過カセットを使用したトランスバースフロー濾過(TFF)を用いて限外濾過/透析濾過(UF/DF)を行うことによって作製した。
【0187】
接着性HEK293T標的細胞を播種し、実施例1に記載した50ngのmCherry発現構築物でトランスフェクトし、1日培養した後、再播種した。約6時間後に標的細胞あたり1x106のARMMを添加し、標的細胞を2日間培養した。標的細胞あたりさらに1x106のARMMを培養物に加え、細胞をさらに2日間培養した後、細胞を回収し、ウエスタンブロッティング用の全細胞抽出物を調製した。1セットの陰性対照標的細胞は、ビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水、PBS)で処理され、第2のセットの陰性対照標的細胞は未処理であった。
【0188】
ウェスタンブロットは、抗GAPDH(ゲル/ブロットローディング対照)、抗ARRDC1、抗mCherryで染色された。
図8に示すように、標的細胞のmCherryレベルは、陰性対照(レーン1および5)によって影響を受けなかったが、ARMMで送達されたARRDC1/抗mCherry sdAb融合タンパク質、特にVSV-G擬似型ARMM粒子によって低下した。
【配列表】
【国際調査報告】