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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】STAT3分解剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/675 20060101AFI20241128BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20241128BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K31/675
A61K47/55
A61K9/08
A61K47/02
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534248
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022052428
(87)【国際公開番号】W WO2023107706
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/265,275
(32)【優先日】2021-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/383,372
(32)【優先日】2022-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520099771
【氏名又は名称】カイメラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デ サヴィ, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ホ, クリス
(72)【発明者】
【氏名】ロン, ハオジン
(72)【発明者】
【氏名】ゴロブ, ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】エナーソン, ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】デイ, ジョヨティ
(72)【発明者】
【氏名】アガルワル, サーガル
(72)【発明者】
【氏名】ディクシット, ヴァイシャリ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラーケリ, アシュウィン
(72)【発明者】
【氏名】メイヨー, ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ビン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC44
4C076DD22Z
4C076DD26Z
4C076DD30Z
4C076EE59
4C076FF61
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA38
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、STAT3分解剤、それらの液体製剤、およびがんを処置するためのそれらの使用方法に関する。STAT3分解剤(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホン酸(化合物A)、ならびにその塩、製剤および単位剤形は、血液学的腫瘍および固形腫瘍を処置する上である種の利点を有することが明らかとなった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能な賦形剤および/またはキャリアとを含む液体製剤であって、
化合物Aは、(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホン酸である、液体製剤。
【請求項2】
前記製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aを含む、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項3】
前記製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩を含む、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項4】
約10mg/mLの濃度の化合物Aを含む、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項5】
約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩を含む、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項6】
約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体製剤。
【請求項7】
前記製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体製剤。
【請求項8】
約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体製剤。
【請求項9】
約pH6.5である、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体製剤。
【請求項10】
以下から選択される製剤である、請求項1~9のいずれか一項に記載の液体製剤:
1)前記製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aおよび約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
2)約10mg/mLの濃度の化合物Aおよび約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
3)前記製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aおよび前記製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
4)約10mg/mLの濃度の化合物Aおよび前記製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
5)前記製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aおよび約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
6)約10mg/mLの濃度の化合物Aおよび約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
7)前記製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
8)約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
9)前記製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および前記製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
10)約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および前記製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;
11)前記製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤;ならびに
12)約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩および約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む、約pH6.5の液体製剤。
【請求項11】
約10mLの体積を有する単位剤形である、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体製剤。
【請求項12】
患者における血液悪性疾患または固形腫瘍を処置するための方法であって、治療有効量の、請求項1~11のいずれか一項に記載の液体製剤を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項13】
前記血液悪性疾患または固形腫瘍が再発性または難治性リンパ腫である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記血液悪性疾患または固形腫瘍が、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、1日当たり最大約3.0mg/kgの化合物Aを前記患者に投与することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、1日当たり最大約500mgの化合物Aを前記患者に投与することを含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、化合物Aを前記患者に静脈内投与することを含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、化合物Aを前記患者に週1回(QW)投与することを含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、28日サイクルの第1、8、15および22日目に化合物Aを前記患者に投与することを含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月11日出願に出願された米国仮出願第63/265,275号および2022年11月11日に出願された米国仮出願第63/383,372号の優先権の利益を主張し、これらの各々の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、STAT3分解剤(degrader)(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホン酸(化合物A)の製剤および剤形ならびにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)は、主要なレギュレータータンパク質を調節し、そしてミスフォールディングまたは異常なタンパク質を分解する、重要な経路である。UPPは、多数の細胞プロセスの中心的なものであり、そして欠損するかまたは釣り合いが崩れる場合、種々の疾患の発病をもたらす。ユビキチンの、特定のタンパク質基質への共有結合は、E3ユビキチンリガーゼの作用を介して達成される。UPPは、種々の基本的な細胞プロセス(細胞周期の調節、細胞表面受容体およびイオンチャネルの調節、ならびに抗原提示が挙げられる)において重要な、短寿命の調節タンパク質の分解において、主要な役割を果たす。
【0004】
シグナル伝達兼転写活性化因子(signal transducer and activator of transcription)3(STAT3)タンパク質は、それらの同族細胞表面受容体に結合すると、サイトカインおよび成長因子によって活性化され、ヤヌスキナーゼ(JAK)によるSTAT3の動員およびリン酸化、二量体化、核トランスロケーションならびにSTAT3標的遺伝子の転写制御をもたらす。正常な細胞では、STAT3活性はフィードバック制御によって厳密に調節されるが、がんおよび自己免疫を含む疾患では、STAT3活性は、高レベルのリン酸化STAT3(pSTAT3)によって証明されるように、STAT3の持続的活性化をもたらす機構によって調節解除される。血液悪性疾患および固形腫瘍の両方を含むヒトがんの約70%は、pSTAT3の増加したレベルを示す。STAT3の異常な活性化は、STAT3遺伝子の直接的な変異、変異またはトランスロケーションによるJAKまたはALKなどの上流キナーゼの活性化、SOC3などの負の制御因子の低下した発現、ならびに腫瘍微小環境におけるサイトカインおよび成長因子の過剰発現からの上昇した受容体シグナル伝達を介して起こることが示されている。
【0005】
調節解除されたSTAT3が腫瘍の確立および進行に寄与する機構は多因子性である。STAT3によって制御される標的遺伝子の中には、増殖性シグナル伝達(CCND1、CCND2)、細胞死に抵抗すること(BCL2-L1、MCL-1)、血管新生(VEGF、HIF1α)、調節解除された細胞エネルギー論(MYC)、免疫破壊を回避すること(PD-L1、IFNA)および腫瘍促進性炎症(IL-6)を含む、がんのいくつかの顕著な特徴の重要なエフェクターがある。未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)などの強いSTAT3活性化を伴うがん細胞モデルでは、STAT3の遺伝子ノックダウンが、増殖を阻害し、アポトーシスを誘導するのに十分であり、STAT3シグナル伝達への依存性を確認する。これらのがん細胞自律的経路に加えて、活性化されたSTAT3はまた、免疫細胞機能の直接制御およびがん細胞-TMEクロストークの制御を介して抑制性TMEを促進する。自然免疫細胞および適応免疫細胞におけるSTAT3の活性化は、一般に、細胞溶解性エフェクター細胞の増殖、成熟および機能を低下させながら、免疫抑制細胞の拡大に有利に働く。骨髄系細胞によって優先的に取り込まれるアンチセンスオリゴヌクレオチドでSTAT3を標的とすることは、マウス同系腫瘍モデルにおいて免疫抑制を逆転させ、細胞傷害性T細胞の抗腫瘍活性を回復させることが示されている。最後に、STAT3は、EGFR阻害剤などの化学療法および標的化療法の両方に応答して活性化されることが示されており、薬物耐性の発生に寄与する。総合すると、これらのデータは、腫瘍の確立および成長、TMEにおける腫瘍外因性の免疫抑制、ならびに標準的な治療に対する耐性の発生にとってのSTAT3シグナル伝達の重要性を示しており、それにより、STAT3の選択的分解が、がんの処置のためにSTAT3シグナル伝達を抑制するための有効な手段であり得ることを示唆している。
【0006】
STAT3阻害剤および他の治療の有効性を改善し、がん治療において単一薬剤活性を提供するために、STAT3分解剤のための投薬およびスケジュールを開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
STAT3分解剤(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホン酸(化合物A)、ならびにその塩、製剤および単位剤形は、本明細書に記載されているように、血液学的腫瘍および固形腫瘍を処置する上である種の利点を有することが明らかとなった。
【0008】
したがって、一態様において、本開示は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能な賦形剤および/またはキャリアとを含む液体製剤または単位剤形を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、リン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約pH6.5である。
【0009】
別の態様において、本発明は、患者における血液悪性疾患または固形腫瘍を処置するための方法および使用であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、または液体製剤を前記患者に投与することを含む方法および使用を提供する。いくつかの実施形態において、血液悪性疾患また固形腫瘍は、再発性または難治性リンパ腫である。いくつかの実施形態において、血液悪性疾患または固形腫瘍は、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)から選択される。
【0010】
いくつかの例において、本方法は、1日当たり最大約3.0mg/kgの化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に投与することを含む。他の例において、本方法は、1日当たり最大約500mgの化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を患者に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を1週間に1回(QW)患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を28日サイクルの第1、8、15および22日目に患者に投与することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物Aアンモニウム水素塩(ammonium hydrogen salt)である化合物を提供する。
【0012】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照すると明らかになるであろう。この目的のために、特定の背景情報および手順をより詳細に説明し、それぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる様々な参考文献が本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1Aおよび図1Bは、SU-DHL-1異種移植片を有するNOD SCIDマウスにおける化合物AのQWおよびQ2W静脈内投与後の抗腫瘍活性を示す。
【0014】
図2図2Aおよび図2Bは、SUP-M2異種移植片を有するNOD SCIDマウスにおける化合物AのQW、2日投与/5日休薬、およびQ2W静脈内投与後の抗腫瘍活性を示す。
【0015】
図3図3は、薬物製品製造プロセスの概略図を図示する。
【0016】
図4図4は、第1相試験設計の概略図を図示する。*固形腫瘍は、MTD/RP2D確認コホートにのみ該当する。**RP2Dは、MTDと常に同じとは限らない。
【0017】
図5図5は、DL1に登録された4人の患者からのPKデータを示す。
【0018】
図6図6は、DL1での血中におけるSTAT3分解を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の実施形態の詳細な説明
1.本発明の特定の実施形態の一般的な説明:
化合物Aは、タンパク質STAT3およびE3リガーゼフォンヒッペル・リンダウタンパク質(VHL)を標的として、ユビキチン-プロテアソーム系(UPS)を介したSTAT3の選択的分解を媒介する、強力で高度に選択的な、静脈内投与されるヘテロ二官能性小分子治療薬である。
【0020】
化合物Aは、一連のインビトロおよびインビボ研究において強力かつ選択的なSTAT3タンパク質分解および抗腫瘍活性を実証した。インビトロでは、化合物Aは、低ナノモル濃度範囲(≦11.8±2.3nM)でヒトALCL細胞株SU-DHL-1およびSUP-M2においてSTAT3を分解し、化合物AがいくつかのALCL細胞株において8.1 nM~57.4nMのGI50を示した細胞表現型アッセイにおける知見と合致する。ALCL株におけるSTAT3の分解は、同様の濃度で、アポトーシスのマーカーであるカスパーゼ3/7活性も誘導した。SU-DHL-1細胞株におけるウォッシュアウト実験は、およそ48時間のSTAT3の持続的な分解の後に生じた不可逆的な成長阻害を実証した。SU-DHL-1腫瘍異種移植マウスモデルでは、10mg/kg QW用量の化合物Aが有意な抗腫瘍有効性を示し、処置アームのすべてのマウスが完全な退縮を達成した(図1A)。この用量では、腫瘍における90%を超えるSTAT3分解が48時間観察された。これらのデータは、インビトロウォッシュアウト研究からの結果と合わせて、比較的短い期間のSTAT3分解が抗腫瘍効果を誘導するのに十分であり、診療所における比較的短い曝露および断続的な投薬レジメンの可能性を支持することを示唆している。化合物Aは、ヒト、ラットおよびイヌにわたって肝細胞中でのSTAT3の同等の分解効力を示した。ラットにおけるPK/PD研究は、化合物AのIV投与後の複数の組織におけるSTAT3タンパク質の有意な分解も実証した。これらのデータは、化合物Aの安全性評価のために非臨床種としてラットおよびイヌを選択することを支持する。プロテオーム全体にわたる評価において、化合物Aは、他のSTATファミリーメンバーまたは末梢血単核細胞(PBMC)において発現される他の細胞タンパク質を分解しない、高度に選択的なSTAT3分解剤である。
【0021】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、患者における血液悪性疾患または固形腫瘍、例えば、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における血液悪性疾患を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における再発性または難治性リンパ腫を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における固形腫瘍を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0025】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるLGL-Lを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるPTCLを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるCTCLを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、またはその液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0028】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能な賦形剤および/またはキャリアとを含む液体製剤を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩と、薬学的に受容可能な賦形剤および/またはキャリアとを含む単位剤形を提供する。
【0029】
以下の開示では、様々な実施形態の完全な理解を提供するために、ある具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者は、本明細書に記載されている方法および使用はこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。他の例では、実施形態の説明が不必要に不明瞭になるのを避けるために、周知の構造は詳細に示されていないか、または記載されていない。文脈が別段の要求をする場合を除き、本明細書および後続する特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語およびその変形、例えば「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、非限定的な包括的意味で、すなわち「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものにすぎず、特許請求される発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0030】
本明細書を通じて「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書を通じた様々な場所での「1つの実施形態において」または「一実施形態において」という用語の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1またはそれを超える実施形態において、任意の適切な様式で組み合わされ得る。また、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明確に反対の意味を指示しなければ、複数表記を含む。「または」という用語は、内容が明らかに反対の意味を指示しなければ、「および/または」を含むその意味で一般的に使用されることにも留意すべきである。
【0031】
2.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対の意味に指定されない限り、以下の用語および略語は示される意味を有する。
【0032】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内という意味を有する。いくつかの実施形態において、「約」という用語は、与えられた値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%以内を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「化合物A」は、STAT3分解剤である、式:
【化1】
の(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホン酸を指す。
いくつかの実施形態において、化合物Aは、固体形態で提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aは非晶質である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「化合物Aアンモニウム水素塩」(別名「化合物Aアンモニウム塩」)は、STAT3分解剤である、式:
【化2】
のアンモニウム水素(2-(((5S,8S,10aR)-3-アセチル-8-(((S)-5-アミノ-1-(2-クロロ-3-(4-(((S)-1-((2S,4R)-4-ヒドロキシ-2-(((S)-1-(4-(4-メチルチアゾール-5-イル)フェニル)エチル)カルバモイル)ピロリジン-1-イル)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-4-オキソブチル)フェノキシ)-5-オキソペンタン-2-イル)カルバモイル)-6-オキソデカヒドロピロロ[1,2-a][1,5]ジアゾシン-5-イル)カルバモイル)-1H-インドール-5-カルボニル)ホスホナートを表す。
いくつかの実施形態において、化合物Aアンモニウム水素塩は、固体形態で提供される。いくつかの実施形態において、化合物Aアンモニウム水素塩は非晶質である。
【0035】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩をいう。薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、薬学的に受容可能な塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載しており、これは、本明細書中に参考として援用される。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩としては、適切な無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成されたか、あるいはイオン交換などの当該分野において使用される他の方法を使用することによって形成された、アミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられる。
【0036】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1~4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩は、適切である場合、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成された、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミン陽イオンを含む。
【0037】
本明細書において使用される「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用される「対象」という用語は、「患者」という用語と同じ意味を有する。
【0038】
本明細書において使用する場合、「処置(treatment)」、「処置する(treat)」、および「処置すること(treating)」という用語は、本明細書に記載されるような、疾患もしくは障害、またはその1つもしくは複数の症状の、逆転、軽減、発症の遅延、または進行の阻害を指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に施され得る。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で施され得る。例えば、処置は、症状の発症前に、感受性の個体に施され得る(例えば、症状の病歴を考慮しておよび/または遺伝因子もしくは他の感受性因子を考慮して)。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、その症状の再発を予防するかまたは遅延させるために、続けられてもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、「予防を必要とする」、「処置を必要とする」、または「それを必要とする」患者または対象は、適切な医療従事者(例えば、ヒトの場合には、医師、看護師、またはナース・プラクティショナー(nurse practitioner);非ヒト哺乳動物の場合には獣医師)の判断により、所与の処置または治療から合理的に利益を得るものを指す。
【0040】
化合物Aなどの薬物または治療剤、またはその薬学的に受容可能な塩の「治療有効量」または「治療有効投与量」は、単独でまたは別の治療剤と組み合わせて使用されたときに、患者または対象をLGL-Lなどの疾患の発症から保護するか、または疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度および持続時間の増加、または疾患の苦痛による機能障害もしくは身体障害の予防によって証明される疾患の退縮を促進する、薬物の任意の量である。疾患退縮を促進する治療剤の能力は、臨床試験中にヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイにおいて作用物質の活性をアッセイすることによってなど、当業者に公知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0041】
好ましい実施形態において、治療有効量の薬物、例えば化合物Aは、疾患を排除する点まで退縮を促進する。さらに、処置に関する「有効な」および「有効性」という用語は、薬理学的有効性および生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性は、患者における疾患を処置する、化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩の能力を指す。生理学的安全性は、薬物の投与に起因する細胞、臓器および/または生物レベルでの毒性のレベルまたは他の有害な生理学的作用(有害作用)を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「治療上の利益」または「治療からの利益」という用語は、全生存、無増悪生存、部分奏効、完全奏効および全奏効率のうちの1つまたはそれより多くの改善を指し、疾患症状の重症度の減少、疾患症状のない期間の頻度および持続時間の増加、または疾患の苦痛による機能障害(impairment)もしくは身体障害(disability)の予防も含むことができる。
【0043】
「妊娠の可能性がある女性」(WOCBP)という段階は、1.初潮後であり;2.恒久的に生殖不能でなければ、初潮の時点から閉経後になるまで生殖可能であると考えられる。閉経後状態は、別の医学的原因がない12ヶ月間の無月経として定義される。ホルモン避妊薬もホルモン補充療法(HRT)も使用していない女性における閉経後状態を確認するために、閉経後範囲の高い卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルが使用され得る。しかしながら、12ヶ月の無月経が存在しない場合、1より多くのFSH測定による確認が必要とされる。HRTを受けており、閉経状態が疑わしい女性は、治験中にHRTを継続することを望めば、非エストロゲンホルモンの非常に有効な避妊方法の1つを使用することが必要とされるであろう。さもなければ、HRTを受けており、閉経状態が疑わしい女性は、治験への登録前に閉経後状態の確認を可能にするためにHRTを中止しなければならない。(本治験の目的のための)恒久的な不妊化法は、記録された子宮摘出;記録された両側卵管摘除、記録された両側卵巣摘出を含み、上記以外の別の医学的原因(例えば、ミュラー管無形成、アンドロゲン非感受性、性器発育不全)による恒久的な生殖不能を有する個体については、治験責任医師の裁量が治験参加の決定に適用されるべきである。
【0044】
3.例示的な実施形態の説明:
いくつかの実施形態において、本発明は、患者における血液学的腫瘍および固形腫瘍を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、または液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、血液学的腫瘍および固形腫瘍は、再発性および/または難治性のリンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病および進行した(advance)固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、血液学的腫瘍および固形腫瘍は、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における血液学的腫瘍および固形腫瘍、例えば、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)を処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩または液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるLGL-Lを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、または液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるPTCLを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、または液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるCTCLを処置するための方法であって、治療有効量の本明細書に記載されている化合物A、またはその薬学的に受容可能な塩、または液体製剤を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態において、患者は、18歳以上の男性または女性である。
【0050】
いくつかの実施形態において、患者は、組織学的または病理学的に確認されたリンパ腫(ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫もしくはNK細胞リンパ腫、またはLGL-Lを含む)または固形腫瘍を有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、患者は、組織学的または病理学的に確認されたPTCL、CTCL(WHO/EORTC分類)、LGL-L[T細胞LGL-LまたはNK細胞の慢性リンパ増殖性障害(CLPD-NK)]または固形腫瘍を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、新鮮なまたは保存したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または15のスライドは、好ましくは、(それぞれ、リンパ腫および固形腫瘍患者について)治験薬の最初の投薬の前の理想的には6ヶ月または2年以内に採取される。いくつかの実施形態においては、保存した組織/スライド/ブロックが利用できない場合には、投薬前生検が実施され(第1a相については任意、第1b相については必須)、STAT3経路変異分析のためのおよび潜在的には中央病理学審査(central pathology review)のためのスクリーニング中に血液試料が採取される。
【0053】
いくつかの実施形態において、リンパ腫または固形腫瘍患者は、少なくとも2回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患を有するか、またはその者に対して標準治療が利用できない。
【0054】
いくつかの実施形態において、LGL-L患者は、少なくとも1回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患を有するか、または患者に対して標準治療が利用できない。
【0055】
いくつかの実施形態において、全ての疾患タイプの患者は、少なくとも1回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患を有するか、またはその者に対して標準治療が利用できない。
【0056】
いくつかの実施形態において、LGL-L患者は、500/mm未満の重篤な好中球減少症、症候性貧血および/または輸血依存性貧血;スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時にANC≧200/μL;または血小板数≧100,000/μL(血小板を必要とする血小板減少症患者では、最後の血小板輸血の7日以上後に評価)のうちの1つから選択される血液学特異的基準を有する。
【0057】
いくつかの実施形態において、LGL-L患者は、CD3+CD8+細胞集団>650/mm;CD3+CD8+CD57+集団>500/mm;クローンT細胞受容体の存在(診断の1ヶ月以内)から選択されるベースライン疾患特徴を有し、500細胞/mm超で認められるクローンNK細胞集団が存在するならば、ナチュラルキラー(NK)LGLも許容される。
【0058】
いくつかの実施形態において、固形腫瘍を有するPTCL患者は、スクリーニング時に、PTCLについてはLuganoによる、固形腫瘍については固形腫瘍効果判定基準(Response evaluation criteria in solid tumors)(RECIST)バージョン1.1による測定可能な疾患を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、患者は、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時に0~2の米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
【0060】
いくつかの実施形態において、患者は、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時に、以下のように定義されるLGL-Lを有する患者を除くすべての患者について、十分な骨髄機能を有する:好中球絶対数(ANC)≧1000/μL;ヘモグロビン≧8g/dL(赤血球[RBC]輸血を受けている患者については、最後のRBC輸血の少なくとも14日後にヘモグロビンを評価しなければならない);および血小板数≧100,000/μL(血小板を必要とする血小板減少症患者では、最後の血小板輸血の7日以上後に評価)。
【0061】
いくつかの実施形態において、LGL-Lを有する患者は、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時に、200/μL以上のANCを有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、患者は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)≦3×基準値上限(upper limit of normal)(ULN)または肝臓の記録されたリンパ腫併発の場合には<5×ULN;総血清ビリルビン≦3×ULNまたはジルベール症候群に続発する場合もしくは肝臓の記録されたリンパ腫併発の場合には<5×ULN;および測定されたまたは標準的なコッククロフト・ゴールト式を使用して計算された、血清クレアチニンクリアランス≧50mL/分/1.73m2を含むLGL-Lを有する患者を含む全ての患者について、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時に十分な臓器機能を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、妊娠の可能性がある女性患者(WOCBP)は、処置の期間および化合物Aの最後の投薬後6ヶ月間、非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならない。いくつかの実施形態において、WOCBPは、スクリーニング時に陰性血清妊娠試験を有し、化合物Aの最初の投薬の前72時間以内に陰性血清または尿妊娠試験を有さなければならない。
【0064】
いくつかの実施形態において、パートナーがWOCBPである場合、男性患者は、処置中および化合物Aの最後の投薬後6ヶ月間、非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならない。
【0065】
いくつかの実施形態において、患者は、中枢神経系(CNS)転移の病歴または疑いを有さない。
【0066】
いくつかの実施形態において、患者は、慢性リンパ球性白血病(CLL)の診断を有さない。
【0067】
いくつかの実施形態において、患者は、患者が2年間以上無病でなければ、リンパ腫または固形腫瘍以外のまたは活動性の同時発生的な悪性疾患の病歴を有さない。2年以上の期限に対する例外は、処置された基底細胞もしくは限局性扁平上皮皮膚癌、限局性前立腺がん、または子宮頸部、乳房もしくは膀胱の上皮内癌などの他の限局性癌腫を含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前に、以前の処置の何らかの臨床的に有意な有害事象(AE)から処置前ベースラインまたはグレード1に回復していない。
【0069】
いくつかの実施形態において、患者は、進行中の不安定な心血管機能:症候性虚血、または制御されない臨床的に有意な伝導異常(すなわち、抗不整脈薬での心室頻拍は除外される;1度房室ブロックまたは無症候性左脚前枝ブロック/右脚ブロックは除外されないであろう。)、またはニューヨーク心臓病学会クラスIII以上のうっ血性心不全、またはスクリーニングの前3ヶ月以内の心筋梗塞を有さない。
【0070】
いくつかの実施形態において、患者は、記録された脚ブロックを除いて、またはペースメーカーに続発する場合を除いて、スクリーニング時および/またはC1D1(投薬前)時に、先天性QT延長症候群、またはフリデリシアの式によって補正されたQT間隔(QTcF)≧450ms(三連の心電図の平均)を有さない。
【0071】
いくつかの実施形態において、患者は、スクリーニングの前2年以内に、血栓塞栓性または脳血管性事象(すなわち、一過性脳虚血発作、脳血管発作、肺塞栓、または臨床的に有意な深部静脈血栓症)の病歴を有さない。
【0072】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前1週間以内に抗生物質、抗ウイルス薬または抗真菌薬を必要とする感染症を有しない。これらの薬剤の予防的使用は、たとえ非経口であっても許容され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、患者は、確認試験(例えば、抗HBc、IgM抗HBc、抗HBs、HCV RNA)で、陽性のB型肝炎表面抗原(HbsAg)またはC型肝炎ウイルスに対する抗体(抗HCV)によって検出されるような活動性B型肝炎および/またはC型肝炎感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する知られた血清陽性を有さない。
【0074】
いくつかの実施形態において、患者は、スクリーニング時に、陽性の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)試験を有さない。
【0075】
いくつかの実施形態において、患者は、治験責任医師の判断において、患者が治験に参加する能力もしくは治験の目的を達成する能力を妨害するか、または安全性リスクをもたらす精神障害を含む併存する医学的状態を有さない。
【0076】
いくつかの実施形態において、患者は、妊娠も授乳もしていない。
【0077】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前3ヶ月未満に自家造血幹細胞移植を受けたことがない。
【0078】
いくつかの実施形態において、患者は、以前に同種造血系移植または骨髄移植を受けたことがない。
【0079】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前4週間以内に放射線処置を受けたことがない。
【0080】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前4週間以内に全身麻酔を必要とする大手術を受けたことがない。
【0081】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前1ヶ月以内に生ワクチンを受けたことがない。
【0082】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前4週間以内または少なくとも5半減期(最大4週間まで)以内のいずれか短い方で、治験または非治験の抗がん治療に曝露されたことがない。全ての状況において、最大休薬期間は、化合物Aの最初の投薬の前4週間を超えないであろう。
【0083】
いくつかの実施形態において、患者は、化合物Aの最初の投薬の前14日以内に1クールのSARS-CoV-2ワクチンを完了していない。
【0084】
いくつかの実施形態において、患者は、最初の投薬の前過去14日以内に)、化合物Aの最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内に強力なCYP3A4阻害剤または誘導剤を使用したことがない。
【0085】
いくつかの実施形態において、患者は、最初の投薬の前過去14日以内に)、化合物Aの最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内にOATP1B阻害剤または誘導剤を使用したことがない。
【0086】
いくつかの実施形態において、患者は、最初の投薬の前過去14日以内に)、化合物Aの最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内に(メディカルモニターとの検討後に特定されるような)狭い治療指数を有するOATP1B、BCRPおよびCYP2C8基質を使用したことがない。
【0087】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤を静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている単位剤形を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形を患者に毎日投与することを含む。
【0088】
液体製剤
一実施形態によれば、本発明は、本発明のSTAT3分解剤(例えば、化合物A)またはその薬学的に受容可能な誘導体と、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、バッファー)および/またはキャリア(例えば、水)とを含む液体製剤を提供する。本発明の液体製剤中の化合物Aの量は、患者においてSTAT3タンパク質またはその変異体を測定可能に分解および/または阻害するのに有効であるような量である。ある実施形態において、本発明の液体製剤は、このような組成物を必要とする患者への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、患者への非経口(例えば、静脈内)投与のために製剤化される。
【0089】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、製剤の総重量の約0.5%~1.5%w/wの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、製剤の総重量の約0.6%~1.4%、約0.7%~1.3%、約0.8%~1.2%または約0.9%~1.1%w/wの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、製剤の総重量の約0.60%、約0.65%、約0.70%、約0.75%、約0.80%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1.00%、約1.05%、約1.10%、約1.15%、約1.20%、約1.25%、約1.30%、約1.35%、約1.40%、約1.45%または約1.50%w/wの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、約5~15mg/mLの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、約6~14mg/mL、約6.5~13.5mg/mL、約7~13mg/mL、約7.5~12.5mg/mL、約8~12mg/mL、約8.5~11.5mg/mL、約9~11mg/mLまたは約9.5~10.5mg/mLの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、約8mg/mL、約8.5mg/mL、約9mg/mL、約9.5mg/mL、約10mg/mL、約10.5mg/mL、約11mg/mL、約11.5mg/mLまたは約12mg/mLの濃度の化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩(化合物Aアンモニウム水素塩など)を含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、約10mg/mLの濃度の化合物Aを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤は、約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩を含む。
【0091】
本発明の液体製剤は、液体製剤として、または単位剤形で、または従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリアおよび佐剤を含有する適切な送達デバイスもしくはインプラントを介して、注射、注入もしくは埋め込み(静脈内、筋肉内、皮下など)によって、非経口的に投与され得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、非経口使用のための提供される液体製剤は、単位剤形で(例えば、単回用量のアンプルで)、または数回用量を含有し、その中に適切な防腐剤が添加され得るバイアルに入れて提供される(以下を参照)。典型的には、そのような組成物は、注射用製剤、例えば、溶液または懸濁物;注射前に再構成または希釈媒体を添加して溶液または懸濁物を調製するために使用するのに適した固体および液体形態;油中水型(w/o)エマルジョン、水中油型(o/w)エマルジョンおよびそれらのマイクロエマルジョンなどのエマルジョン、リポソームまたはエマルソーム(emulsome)として調製され得る。好ましい実施形態において、液体製剤またはその単位剤形は静脈内投与される。そのような液体製剤および単位剤形の調製は、実施例3などの本明細書に記載されている。
【0093】
静脈内投与の場合、液体製剤または単位用量形態は、1またはそれを超える水性バッファーを有する溶液中で包装される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、無菌等張水性バッファーを有する溶液中で包装される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、希釈時に、非経口投与のために約pH5~8または約pH6~7で緩衝される。いくつかの実施形態において、緩衝化剤は、本発明の液体製剤または単位剤形のpHを約6~8に調整するための量である。いくつかの実施形態において、提供される液体製剤または単位剤形は、約pH6.5である。いくつかの実施形態において、提供される液体製剤または単位剤形は、pH6.5±0.3である。いくつかの実施形態において、提供される液体製剤または単位剤形は、約pH6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9または約7.0である。いくつかの実施形態において、提供される液体製剤または単位剤形のpHは、微量の酸(例えば、1N塩酸)または塩基(例えば、1N水酸化ナトリウム)を添加することによって調整され得る。
【0094】
適切なバッファーまたは緩衝化剤は、リン酸バッファー、クエン酸バッファー、酢酸バッファー、ヒスチジンバッファーまたはコハク酸バッファーを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バッファーは、1またはそれを超えるリン酸バッファーである。特定の実施形態において、1またはそれを超えるリン酸バッファーは、リン酸二ナトリウム(例えば、リン酸二ナトリウム七水和物)およびリン酸一ナトリウム(例えば、リン酸一ナトリウム一水和物)である。
【0095】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、リン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約25~75mM、約30~70mM、約35~65mM、約40~60mMまたは約45~55mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mMまたは約75mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の約0.2%~1.1% w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の約0.3%~1.0%、約0.4%~0.9%、約0.5%~0.8%または約0.6%~0.7%/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.65%、約0.7%、約0.75%、約0.8%、約0.85%、約0.9%、約0.95%、約1.0%、約1.05%または約1.1% w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の0.636%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、製剤の総重量の約2~11mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約3~10、約4~9、約5~8または約6~7mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5または約11mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、6.36mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約0.995% w/wの濃度の化合物Aと、約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10mg/mLの濃度の化合物Aと、約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約0.995%w/wの濃度の化合物Aと、製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10mg/mLの濃度の化合物Aと、製剤の総重量の約0.64% w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0102】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約0.995% w/wの濃度の化合物Aと、約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0103】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10mg/mLの濃度の化合物Aと、約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約1.00% w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、約50mMの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約1.00%w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、製剤の総重量の約0.64%w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、製剤の総重量の約0.64% w/wの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明は、製剤の総重量の約1.00% w/wの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明は、約10.14mg/mLの濃度の化合物Aアンモニウム水素塩と、約6.4mg/mLの濃度のリン酸ナトリウムバッファーとを含む、約pH6.5の液体製剤を提供する。
【0110】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記のような、本発明の液体製剤である、約10mLの体積を有する単位剤形を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、上記のような、本発明の液体製剤である、約10.5mLの体積を有する単位剤形を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、上記のような、本発明の液体製剤である、約10.1mL、約10.2mL、約10.3mL、約10.4mL、約10.6mL、約10.7mL、約10.8mL、約10.9mL、約11mL、約11.1mL、約11.2mL、約11.3mL、約11.4mLまたは約11.5mLの体積を有する単位剤形を提供する。
【0111】
特定の実施形態において、本発明は、101.4mgの化合物Aアンモニウム水素塩、47.8mgのリン酸二ナトリウム七水和物、44.1mgのリン酸一ナトリウム一水和物および約10mg/mLの濃度の化合物Aになる水を合わせ、塩酸(hydrochloride acid)および水酸化ナトリウムを添加してpHを約6.5に調整することによって調製され得る単位剤形を提供する。
【0112】
特定の実施形態において、本発明は、実施例3などの本明細書の実施例に記載されている液体製剤または単位剤形を提供する。特定の実施形態において、本発明は、実施例3などの本明細書の実施例に記載されているプロセスによって調製することができる液体製剤または単位剤形を提供する。いくつかの実施形態において、単位剤形は、約10mLの液体体積を含む。
【0113】
必要な場合には、液体製剤は可溶化剤も含み得る。製剤の成分は、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルまたは小袋などの密閉容器内の乾燥した凍結乾燥された粉末(食塩水などのキャリアで使用前に再構成することができる)または濃縮溶液として、別々にあり得るかまたは単位剤形に一緒に混合することができる。組成物が注入によって投与される場合、組成物は、無菌の医薬品グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルまたはバッグを用いて分配することができる。製剤が注射によって投与される場合、成分が注射前に混合され得るように、無菌水または食塩水のアンプルが提供され得る。
【0114】
キャリアは、例えば、水、エタノール、1またはそれを超えるポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油(例えば、落花生油、コーン油、ゴマ油など)などの油、およびこれらの組み合わせを含有する溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散物の場合には必要とされる粒径の維持によって、および/または界面活性剤の使用によって維持され得る。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。好ましい態様において、水が本発明の製剤または単位剤形に添加される。特定の実施形態において、製剤または単位剤形に添加される水の量は、以下の表1に列記されている。
【0115】
遊離酸もしくは遊離塩基またはその薬理学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液および分散物は、バッファー、界面活性剤、分散剤、乳化剤、粘度調整剤およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない1またはそれを超える薬学的に受容可能な賦形剤と適切に混合された水または別の溶媒または分散媒中で調製され得る。
【0116】
適切な界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性の界面活性剤であり得る。適切なアニオン性界面活性剤は、カルボキシラートイオン、スルホナートイオンおよびサルファートイオンを含有するものを含むが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例は、長鎖アルキルスルホナートのナトリウム、カリウム、アンモニウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホナート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;ビス-(2-エチルチオキシル)-スルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸ナトリウム;およびラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルサルファートを含む。カチオン性界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ポリオキシエチレンおよびココナッツアミンなどの第4級アンモニウム化合物を含むが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例は、エチレングリコールモノステアラート、プロピレングリコールミリスタート、グリセリルモノステアラート、グリセリルステアラート、ポリグリセリル-4-オレアート、ソルビタンアシラート、スクロースアシラート、PEG-150ラウラート、PEG-400モノラウラート、ポリオキシエチレンモノラウラート、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG-1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、ポロキサマー(登録商標)401、ステアロイルモノイソプロパノールアミドおよびポリオキシエチレン硬化獣脂アミドを含む。両性界面活性剤の例は、N-ドデシル-β-アラニンナトリウム、N-ラウリル-β-イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアンホアセタート、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインを含む。製剤は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含有することができる。適切な防腐剤は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸およびチメロサールを含むが、これらに限定されない。製剤は、活性薬剤の分解を防ぐために酸化防止剤も含有し得る。
【0117】
水溶性ポリマーは、しばしば、非経口投与用の製剤において使用される。適切な水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドン、デキストラン、カルボキシメチルセルロースおよびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。
【0118】
無菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、必要に応じて、上に列挙した賦形剤の1つまたはそれより多くと共に適切な溶媒または分散媒に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散物は、様々な滅菌された有効成分を、基本分散媒および上に列挙したものからの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、活性成分に加えて任意の追加の所望の成分の粉末をその以前に滅菌濾過された溶液から与える真空乾燥および凍結乾燥技術である。粒子が本質的に多孔質であるように粉末を調製することができ、これは、粒子の溶解を増加させることができる。多孔質粒子を製造するための方法は、当技術分野で周知である。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位用量形態は、IV注入ビヒクルと混合される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位用量形態は、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)、5%デキストロース(D5W)または乳酸加リンゲル注射液などの注射用媒体と混合される。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の液体製剤または単位用量形態を水と混合し、その後食塩水または5%デキストロースで希釈することによって調製された液体薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、液体薬学的組成物は、IV投与用の食塩水または5%デキストロースIVバッグ中に希釈される。いくつかの実施形態において、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物は、IV投与前に、室温(約20~25℃)下で最長約4時間保存される。いくつかの実施形態において、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物は、IV投与前に、冷蔵された(約2~8℃)条件下で最長約20時間保存される。いくつかの実施形態において、食塩水または5%デキストロースIVバッグ中の液体薬学的組成物は、IV投与前に、冷蔵された(約2~8℃)条件下で最長約20時間保存され、その後室温(約20~25℃)下で最長約4時間保存される。
【0120】
任意の特定の患者に対する具体的な投与量および処置レジメンは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与の時間、排泄の速度、薬物の組み合わせならびに担当医の判断および処置されている具体的な疾患の重症度を含む様々な要因に依存することも理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物中の具体的なSTAT3分解剤にも依存するであろう。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、安定化された液体製剤または安定化された単位剤形である。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、凍結された形態である。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、3回の凍結/融解サイクル後に安定である。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、2~8℃で少なくとも3ヶ月間安定である。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、-20℃で少なくとも12ヶ月間安定である。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形の安定性は、以下の実施例4に示されている。
【0122】
投薬およびスケジュール
本明細書中に記載される前臨床データを考慮して提供されるように、STAT3分解剤(例えば、化合物A)もしくはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの薬学的組成物は、最小限の副作用で所望のがん退縮効果を与えるために適切な用量およびスケジュールで患者に投与される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、最大約3.0mg/kgまたは最大約5.0mg/kgの化合物A(例えば、70kgの患者に対して最大201mgまたは350mg)、例えば、約0.25mg/kg、約0.5mg/kg、約0.75mg/kg、約1.0mg/kg、約1.5mg/kg、約2.0mg/kg、約2.5mg/kg、約3.0mg/kg、約3.5mg/kg、約4.0mg/kgまたは約4.5mg/kgの化合物Aを毎日患者に投与することを含む。特定の実施形態において、患者に毎日投与される化合物Aの量は、約0.05、約0.1、約0.2、約0.4、約0.7、約1.1、約1.5、約2.0または約2.7mg/kgである。特定の実施形態において、患者に毎日投与される化合物Aの量は、以下の表8に列記されている。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、最大約500mgの化合物A、例えば、最大約25mg、最大約50mg、最大約75mg、最大約100mg、最大約150mg、最大約200mg、最大約300mg、最大約400mgまたは最大約500mgの化合物Aを患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約10~500mg(例えば、約10~400mg、約50~400mg、約100~400mg、約200~400mg、約50~300mg、約100~300mg、約200~300mg、約25~200mg、約75~200mg、約100~200mg、約150~300mgまたは約200~400mg)の化合物Aを患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約50mgの化合物A、例えば、0.5×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約100mgの化合物A、例えば、1×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約150mgの化合物A、例えば、1.5×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約200mgの化合物A、例えば、2×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約250mgの化合物A、例えば、2.5×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約300mgの化合物A、例えば、3×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約350mgの化合物A、例えば、3.5×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、約400mgの化合物A、例えば、4×100mgの単位剤形を患者に毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形を1日1回投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている製剤または単位剤形を1日2回投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている製剤または単位剤形を1日3回投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている製剤または単位剤形を1日に4~14回投与することを含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、患者が約200mgの化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を毎日投与される場合、投薬は、1日2回またはBIDである、すなわち、2つの別個の約100mgの用量である。いくつかの実施形態において、患者が約300mgの化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を毎日投与される場合、投薬は、1日3回またはTIDである、すなわち、3つの別個の約100mgの用量である。いくつかの実施形態において、患者が約400mgの化合物Aまたはその薬学的に受容可能な塩を毎日投与される場合、投薬は、1日4回またはQIDである、すなわち、4つの別個の約100mgの用量である。
【0125】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形を投与することを含み、2つの連続する投与の間には約4~24時間が存在する。いくつかの実施形態において、2つの連続する投与の間には約4、約6、約8、約12、約18または約24時間が存在する。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形を投与することを含み、2つの連続する投与の間には約1~7日が存在する。いくつかの実施形態において、2つの連続する投与の間には約1、約2、約3、約4、約5、約6または約7日が存在する。特定の実施形態において、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形は、2つの連続する投与の間に7日ごとに投与される。
【0127】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形を投与することを含み、2つの連続する投与の間には約1~4週間が存在する。いくつかの実施形態において、2つの連続する投与の間には約1、約2、約3または約4週間が存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形は、2週間に1回(Q2W)投与される。
【0128】
いくつかの実施形態において、化合物Aは、1、2、3、4、5、6または7日に1回、患者に投与される。いくつかの実施形態において、本発明の液体製剤または単位剤形は、隔週(BIW)で患者に投与される。隔週用量は、数時間(例えば、1、3、6、12時間)離してまたは数日(例えば、1、2、3、または4日間)離して投与され得る。いくつかの実施形態において、隔週用量は、1日目および2日目に投与される。いくつかの実施形態において、隔週用量は、1日目および4日目に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形は、1週間に1回(QW)投与される。いくつかの実施形態において、化合物Aは、静脈内投与され、1、2、3もしくは4週間に1回、または7、10、14、17、21、24もしくは28日に1回、患者に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている液体製剤または単位剤形は、2週間に1回(Q2W)投与される。
【0129】
本明細書に記載されているように、いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間のうちの2週間または3週間にわたって週に1回投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間のうちの2週間または3週間にわたって週に2回投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、3週間のうちの2週間にわたって週に1回投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、3週間のうちの2週間にわたって週に2回投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間のうち1週間おきに週に1回投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間のうち1週間おきに週に2回投与される。
【0130】
いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、3週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第3週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1~3週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1~4週に週に1回(例えば、28日サイクルの第1、8、15および22日目に)患者に投与される。
【0131】
いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、3週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に2回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に2回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第2週に週に1回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1週および第3週に週に2回患者に投与される。いくつかの実施形態において、液体製剤または単位剤形は、4週間の投与サイクルにおける第1~3週に週に2回患者に投与される。いくつかの実施形態において、投薬スケジュールが図4に示されている。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明の単位剤形のIV注入は、約5~180分間続く。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物のIV注入は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175もしくは180分、または上記の時間のうちの2つを終点として使用することによって作成された任意の範囲の時間、続く。いくつかの実施形態において、本発明の単位剤形のIV注入は、約60~120分間続く。いくつかの実施形態において、本発明の単位剤形のIV注入は、約120~180分間続く。いくつかの実施形態において、本発明の単位剤形のIV注入は、約1、2、2.5、3、3.5または4時間続く。いくつかの実施形態において、本発明の単位剤形のIV注入は、約2時間続く。
【0133】
4.疾患を処置するための方法および使用
いくつかの実施形態において、本発明は、患者における血液悪性疾患(例えば、様々な白血病およびリンパ腫など)または固形腫瘍を処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、血液悪性疾患または固形腫瘍疾患は、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)または皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)である。
【0134】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における血液悪性疾患を処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、血液悪性疾患は、白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、AMLまたはMDSである。
【0135】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における再発性または難治性リンパ腫を処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0136】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者における固形腫瘍を処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0137】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるLGL-Lを処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるPTCLを処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0139】
いくつかの実施形態において、本開示は、患者におけるCTCLを処置するための方法であって、治療有効量の化合物Aを患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0140】
いずれの特定の理論に限定されるものではないが、本発明は、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃、胃腫瘍、卵巣、結腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣、子宮頚部、精巣、尿生殖路、食道、喉頭、皮膚、骨または甲状腺の良性または悪性の腫瘍、癌腫または固形腫瘍、肉腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、多発性骨髄腫、胃腸がん、特に結腸癌もしくは結腸直腸腺腫、頭頚部腫瘍、表皮過剰増殖、乾癬、前立腺肥大症、新生物、上皮性特性の新生物(neoplasia of epithelial character)、腺腫、腺癌、角化棘細胞腫、類表皮癌、大細胞癌、非小細胞肺癌、リンパ腫、ホジキンもしくは非ホジキン、乳癌、濾胞状癌、未分化癌、乳頭状癌、セミノーマ、黒色腫、IL-1駆動性障害(IL-1 driven disorder)、MyD88駆動性障害(MyD88 driven disorder)、くすぶり型の無痛性多発性骨髄腫、または血液学的悪性疾患(白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓辺縁層リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫が挙げられる)から選択される増殖性疾患を処置するための方法を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って処置することができるがんは、神経膠腫、乳がん、前立腺がん、頭頸部扁平上皮癌腫、皮膚黒色腫、および卵巣がんから選択される。いくつかの実施形態では、異常なSTAT3活性化はまた、様々な白血病およびリンパ腫などの多様な造血性悪性腫瘍の進行と相関し、STAT3は、多発性骨髄腫細胞株と患者の骨髄に由来する腫瘍細胞株の両方で頻繁に活性化される。
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明は、神経膠腫、乳がん、前立腺がん、頭頸部扁平上皮癌腫、皮膚黒色腫、卵巣がん、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、膵臓がん、尿路上皮がん、肝臓がん、胆管がん、腎臓がん、結腸がん、食道がん、胃がん、消化管間質腫瘍、ならびにリンパ腫、白血病、骨髄腫、骨髄増殖性新生物および骨髄異形成症候群を含む血液悪性腫瘍から選択されるがんを処置する方法を提供する。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明は、JAK関連疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、JAK関連疾患は、固形腫瘍(例えば、前立腺がん、腎臓がん、肝臓がん、膵臓がん、胃がん、乳がん、肺がん、頭頸部がん、甲状腺がん、神経膠芽腫、カポジ肉腫、キャッスルマン病、子宮平滑筋肉腫、黒色腫など)、血液がん(例えば、リンパ腫、白血病、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫)、ならびに皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)および皮膚B細胞リンパ腫などの皮膚がんを特徴とするものを含むがんである。CTCLの例としては、セザリー症候群および菌状息肉症が挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態において、本発明は、組織学的または病理学的に確認されたリンパ腫(ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、またはNK細胞リンパ腫を含む)を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、組織学的もしくは病理学的に確認されたPTCL、CTCL、LGL-L[T細胞LGL-LまたはNK細胞の慢性リンパ増殖性障害(CLPD-NK)]、または固形腫瘍を処置する方法を提供する。
【0145】
5.プロセスおよび中間体
いくつかの実施形態において、本発明は、化合物Aアンモニウム水素塩を調製するためのプロセスを提供する。いくつかの実施形態において、化合物Aアンモニウム水素塩を調製するためのプロセスは、中間体F:
【化3】
を適切な塩交換条件下で処理して化合物Aアンモニウム水素塩を形成することを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、中間体Fから化合物Aアンモニウム水素塩を調製するために使用される適切な塩交換条件は、DIPEA塩をアンモニウム塩と交換するための当技術分野で公知の条件を含む。いくつかの実施形態において、適切な塩交換条件は、中間体Fを、炭酸水素アンモニウムを含有する溶液などのアンモニウム源に供することを含む。いくつかの実施形態において、適切な塩交換条件は、本明細書の実施例、例えば実施例1に記載されている。
【0147】
いくつかの実施形態において、化合物Aアンモニウム水素塩を調製するためのプロセスは、中間体Fを調製することをさらに含み、このプロセスは、中間体D:
【化4】
を、
中間体E:
【化5】
で処理して中間体Fを形成することを含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、中間体DおよびFから中間体Fを調製するためのプロセスは、DIPEAなどの塩基をさらに含む。いくつかの実施形態において、中間体DおよびFから中間体Fを調製するための方法は、本明細書の実施例、例えば実施例1に記載されている。
【0149】
いくつかの中間実施形態において、本発明は、化合物AのDIPEA塩(中間体F):
【化6】
を提供する。
【0150】
以下の実施例は、例示のみを目的として提供されており、決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0151】
略号のリスト
AE 有害事象
ALCL 未分化大細胞型リンパ腫
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANC 好中球絶対数
AST アスパラギン酸トランスアミナーゼ
AUC 濃度-時間曲線下面積
BSA 体表面積
CHOP シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン
CL 見かけの全身クリアランス
Cmax 最大血漿薬物濃度
CNS 中枢神経系
COVID-19 コロナウイルス疾患2019
CR 完全奏効
CRBN セレブロン
eCRF 電子症例報告書
CRO 医薬品開発受託機関
CT コンピュータ断層撮影
CTCL 皮膚T細胞リンパ腫
ctDNA 循環腫瘍DNA
CYP シトクロムP450
C1D1 サイクル1第1日
C2D1 サイクル2第1日
DCR 病勢コントロール率
DDI 薬物-薬物相互作用
DLT 用量規制毒性
DNA デオキシリボ核酸
DOR 奏効期間
DRF 用量設定
ECG 心電図
ECOG 米国東海岸がん臨床試験グループ
EDC 電子的データ収集
EMA 欧州医薬品庁
OI 注入終了
EOT 処置終了
FDA 食品医薬品局
fe 尿中に排泄/回収された割合
FFPE ホルマリン固定パラフィン包埋
FFS 治療奏効維持生存(Failure-free survival)
FIH ファースト・イン・ヒューマン
FSH 卵胞刺激ホルモン
GCP 優良臨床試験基準
GLP 優良試験所基準
HBcAb C型肝炎コア抗体
HBsAg B型肝炎表面抗原
HCV C型肝炎ウイルス
HIV ヒト免疫不全ウイルス
HRT ホルモン補充療法
IB 治験薬概要書(Investigator’s Brochure)
ICF インフォームドコンセント用紙
ICH 医薬品規制調和国際会議(International Conference for Harmonisation)
IEC 独立倫理委員会
IMiD 免疫調節イミド薬
INR 国際標準化比
IRB 治験審査委員会
IV 静脈内
JAK ヤヌ(Janu)キナーゼ
LAR 法的に権限を有する代理人
LGL-L 大顆粒リンパ球白血病
LHRH 黄体形成ホルモン放出ホルモン
MAD 最大投与用量
MF 菌状息肉腫
MRI 磁気共鳴画像法
mSWAT 修正された重症度で重み付けした評価ツール(Modified severity-weighted assessment tool)
MTD 最大耐用量
NCI TCAE 国立がん研究所有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)
NHL 非ホジキンリンパ腫
NK ナチュラルキラー
NTL 非標的病変
OR 客観的奏効
ORR 客観的奏効率
OS 全生存
PBMC 末梢血単核細胞
PD 薬力学
PET ポジトロン断層撮影
PFS 無増悪生存
PK 薬物動態
PR 部分奏効
PTCL 末梢性T細胞リンパ腫
PTCL-NOS 他に特定されないPTCL
q.s. 適量(「十分な量」)
QTcF フリデリシアの式によって補正されたQT間隔
QW 週に1回
RBC 赤血球
RECIST 固形腫瘍効果判定基準
RP2D 推奨第2相用量
R/R 再発性/難治性
SAE 重篤な有害事象
SAP 統計解析計画書
SARS-CoV-2 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2
SRC 安全審査委員会
SS セザリー症候群
STAT シグナル伝達兼転写活性化因子
SUSAR 予期できない重篤な有害反応の疑い
1/2 消失半減期
TEAE 処置下で発現した有害事象
TL 標的病変
tmax 薬物投与後にCmaxに到達する時間
LN 基準値上限
UPS ユビキチンプロテオソーム系
US 米国
Vd 見かけの分布容積
Vdss 定常状態における分布容積
WHO 世界保健機関
WHODD 世界保健機関医薬品辞書
WOCBP 妊娠の可能性がある女性
【0152】
実施例1.化合物Aの合成
化合物Aは、例えば国際公開第2020/206424号に記載されているように、当業者に公知の方法によって調製することができ、国際公開第2020/206424号の内容は、以下の中間体A、B、C、DおよびEを含めて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【化7-1】
【化7-2】
【0153】
工程1。中間体Cの調製。ジクロロメタン中の、アミンA、酸Bおよび2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン(CDMT)の室温溶液に、4-メチルモルホリン(NMM)をゆっくり添加した。AからCへの完全な変換が達成されるまで(IPC、HPLCによる反応変換モニタリング)、反応混合物をこの温度で撹拌した。反応が完了したら、脱イオン水を添加した。層を分離し、リン酸一ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの水溶液で有機相を逐次的に洗浄した。硫酸マグネシウムで有機層を乾燥させ、濾液を含水量について試験した(KFによる含水量のためのIPC)。有機流を濃縮し、得られた溶液をそのまま工程2(IPC、純度およびHPLCによるアッセイ)に使用した。
【0154】
工程2。中間体Dの調製。ジクロロメタン(DCM)中の中間体Cの冷溶液に、ジオキサン中の塩酸の溶液をゆっくり添加した。反応混合物を室温に少なくとも5時間加温した。反応が完了したら(IPC、HPLCによる反応モニタリング)、得られた固体を濾過し、DCMですすぎ、乾燥させた(IPC、KFによる含水量、HPLCによる純度、およびGCによる残留溶媒)。
【0155】
工程3。中間体Fの調製。MeCN中の中間体DのHCl塩の冷懸濁物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加し、続いてN-メチルピロリジノン(NMP)中の中間体Eの溶液およびDIPEAの2回目の投入を添加した。反応混合物を室温に加温し、中間体DのFへの完全な変換が達成されるまで撹拌した(IPC、HPLCによる反応変換モニタリング)。反応混合物をMeCNの室温溶液にゆっくり移し、化合物AのDIPEA塩(中間体F)を沈殿させた。次いで、懸濁物を室温で少なくとも1時間撹拌した後、濾過した。濾過された固体をMeCNですすぎ、乾燥させた(IPC、HPLCによる純度、GCによる残留溶媒)。
【0156】
工程3’。化合物Aアンモニウム水素塩の調製。溶離剤として重炭酸アンモニウムおよびMeCNを使用する逆相分取クロマトグラフィーによって、中間体Fを精製した(IPC、HPLCによる分画純度)。適合する画分を合わせ、濃縮した。合わせた適合する画分を濃縮し(IPC、HPLCによる純度)、凍結乾燥させて、化合物Aアンモニウム水素塩を得た(IPC、KFによる含水量、GCによる残留溶媒(MeCN)、GCによる残留溶媒(NMPおよびDIPEA))。
【0157】
実施例2.インビボ異種移植モデル
ヒトALCL細胞株SU-DHL-1およびSUP-M2を移植した免疫無防備状態のマウスにおいて、化合物Aアンモニウム水素塩の抗腫瘍有効性を評価した。ヒト細胞株異種移植モデルにおいてSTAT3分解剤を試験するためのプロトコルは、例えば、参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2020/206424号に見出すことができる。
【0158】
SU-DHL-1
NOD SCID雌マウスにおいて確立されたヒトSU-DHL-1細胞株異種移植モデルにおいて、化合物Aアンモニウム水素塩の抗腫瘍活性を評価した。腫瘍担持マウス(n=5/群)に、0(ビヒクル;PBS)、5、10、15もしくは45mg/kgの化合物Aを週に1回(QW;0、7および14日目)または0(ビヒクル;PBS)、10もしくは30mg/kgの化合物Aを2週間に1回(Q2W;0および14日目)投与した。化合物AをQWで投与された動物を最初の投薬後25日目までモニターし、化合物AをQ2Wで投与された動物を最初の投薬後71日目までモニターした。
【0159】
腫瘍負荷のために、それぞれ25および19日目に対照群(QWおよびQ2W)の全ての動物を安楽死させた。概して、IV経路によって化合物Aを投与された動物では、わずかな体重増加~中程度の体重増加が観察された。
【0160】
全ての処置群に対して、化合物A関連抗腫瘍活性が用量依存的に観察された。5mg/kg QWの化合物AのIV用量を投与された動物は79.9%の腫瘍増殖阻害(TGI)を達成したのに対して、10、15または45mg/kgの化合物A QWを投与された動物はすべて完全な退縮を達成し、これは研究終了まで持続された(図1A)。
【0161】
10および30mg/kgでの化合物A Q2Wの投与は、それぞれ89.8および99.8%のTGIを達成し、30mg/kg Q2W群の全ての動物は、完全な腫瘍退縮を達成して、これは研究終了まで持続された(図1B)。これらのデータは、IV経路による化合物Aの間欠的投薬の可能性を裏付けている。
【0162】
SUP-M2
NOD SCID雌マウスにおいて確立されたヒトSUP-M2細胞株異種移植モデルにおいて、化合物Aアンモニウム水素塩の抗腫瘍活性を評価した。腫瘍担持マウス(n=5/群)に、0(ビヒクル;PBS)、10、20もしくは30mg/kgの化合物AをQW(0、7および14日目)で、10もしくは20mg/kgの化合物Aを2日投与/5日休薬スケジュール(0、1、7、8、14および15日目)で、または0(ビヒクル;PBS)、20もしくは40mg/kgの化合物AをQ2W(0および14日目)で投与した。化合物AをQWまたは2投与/5休薬で投与された動物を最初の投薬後25日目までモニターし、化合物AをQ2Wで投与された動物を最初の投薬後52日目までモニターした。
【0163】
腫瘍負荷のために、それぞれ早期に19および20日目に対照群(QWおよびQ2W)の全ての動物を安楽死させた。全体として、IV経路によって化合物Aを投与された動物では、体重増加はほとんど観察されないか、僅かな体重増加が観察された。
【0164】
化合物Aは、SUP-M2異種移植において有意な用量依存的抗腫瘍活性を示した。10mg/kg QWでの化合物AのIV用量を投与された動物は83.8%のTGIを達成したのに対して、20および30mg/kg QWを投与された動物はそれぞれ5匹中4匹および5匹中5匹の動物で完全な腫瘍退縮を達成し、これは研究終了まで持続された(図2A)。10および20mg/kgでの2日投与/5日休薬レジメンによる化合物Aの投与は、すべての動物において完全な腫瘍退縮を達成し、これは研究終了まで持続された(図2A)。20および40mg/kgでの化合物AのQ2W投与は、それぞれ5匹中4匹および5匹中5匹の動物で完全な腫瘍退縮を達成し、これは研究終了まで持続された(図2B)。
【0165】
実施例3.薬物製品
薬物製品である化合物A注射液(注入用濃縮溶液)は、ゴム栓が装着され、フリップオフアルミニウムキャップで密封された透明なタイプIガラスバイアル中の化合物Aの無色透明溶液からなる。薬物製品は、塩酸(HCl)または水酸化ナトリウム(NaOH)のいずれかでpH6.5の目標に調整された、リン酸二ナトリウム七水和物およびリン酸一ナトリウム一水和物を含有する注射用水(WFI)に溶解された10mg/mLの化合物A遊離酸(10.14mg/mLのアンモニウム塩に相当)として製剤化される。
【0166】
ラベル充填体積は10mLである。各ガラスバイアルは、公称10.0mLの溶液を送達するように設計された最低10.5mLの無菌化合物A溶液を含有する。薬物製品溶液は、静脈内注入のために、希釈剤で必要とされる濃度に希釈されることが意図されている。
【0167】
薬物製品の定量的組成を表1に示す。
【表1】
遊離酸に基づく(1.000mgの化合物Aの遊離酸は、1.014mgの化合物A水素アンモニウム塩に相当する)。10.0mLの溶液の公称回収が確実に行われるようにするために、米国薬局方<1151>に従って最小0.5mLの過充填が含まれる。
【0168】
薬物製品は、化合物A(オフホワイトの非晶質固体)をWFI、リン酸二ナトリウム七水和物およびリン酸一ナトリウム一水和物の溶液に溶解することによって製造される。HCl/NaOHを用いて最終pHを6.5±0.3に調整し、適量のWFIで10mg/mlにした。撹拌しながら20Lのガラス容器中で溶液を作製する。調製された溶液は、直列に取り付けられた2つの滅菌フィルタを通して濾過されて、無菌溶液を得る。次いで、無菌溶液をガラスバイアルに充填し、栓をし、無菌的に圧着する。各バイアルは、10.5mLの無菌溶液を含有するように重量によって充填される。最終製品は100%目視検査され、ラベル付けが行われる。-20℃での均一な凍結を確実にするために、バイアルを冷却する。製造プロセスのフロー図を図3に示す。
【0169】
実施例4.製剤開発
IV注入ビヒクルで希釈されることが意図された10mg/mLの遊離酸を含有する凍結された濃縮溶液として、化合物A注射液を製造した。化合物A注射液は、pH4.5~9.0で10mg/mLを超えるが、3以下のpHで10mg/mL未満の水溶解度を有する。
【0170】
4.5~7.4の間のpH範囲でリン酸バッファーに溶解された10mg/mLの化合物A遊離酸を含有する溶液製剤に対して、R&D安定性評価を実施した。-20℃、5℃、室温(RT)および40℃で14日間保存した後、アッセイおよび不純物の結果は、化合物A溶液が5℃および-20℃で化学的および物理的に安定であることを実証した。化合物A溶液をRT、pH4.5で保存したときに、不純物のわずかな増加が認められた。さらに、化合物A溶液を40℃、pH4.5~7.4で保存したときに、有意な分解が観察された。
【0171】
-20℃、5℃、室温および40℃で保存した5.0~7.0のより狭いpH範囲内のリン酸バッファー中で、化合物A、10mg/mL溶液に対してさらなる安定性研究を行った。30日後の化学試験は、-20℃、5℃および室温で保存したときに、不純物の有意な増大を示さなかった。しかしながら、有意な不純物の増大が、pH5.0~7.0内で、40℃で検出された。これらの観察により、スケールアップ開発のための化合物A溶液製剤のpHを6.5±0.5に選択し、十分な長期化学的および物理的安定性を確実に達成することができるようにするために、長期保存条件を凍結溶液として-20℃に選択した。
【0172】
開発作業の一環として、バッファースクリーニング研究を実施した。化合物A溶液の受容可能な短期安定性を実証するために、ホスファート(pH6.5)、シトラート(pH6.5)、ヒスチジン(pH6.5)およびスクシナート(pH6.0)を含むいくつかの50mMバッファーを調べた。異なるバッファータイプ中の10mg/mLの化合物A溶液を-20℃、2~8℃、25℃および40℃で保存した。14日後に、アッセイおよび不純物プロファイルの変化は、25℃まで最小であり、評価したバッファーにわたって同等である。しかしながら、40℃の保存条件で7日間保存した場合、ヒスチジンおよびコハク酸バッファーにおいて有意な色の変化が認められた。すべての評価されたバッファーについて、40℃で3日後に不純物が増加し始めた。リン酸バッファー中の化合物A溶液で満足のいく安定性結果が得られ、他のバッファータイプでは大きな利点が認められなかったので、pH6.5±0.5の50mMリン酸バッファーを使用するR&D規模の開発を追求した。
【0173】
pH6.5の50mMリン酸バッファー中の10mg/mLの化合物Aと、3つの異なるIV注入ビヒクル、すなわち生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)、5%デキストロース(D5W)および乳酸加リンゲル注射液との適合性を評価した。視覚的外観、pH、アッセイおよび不純物の結果に基づいて、生理食塩水を化合物A溶液のIV注入投与のための希釈剤として選んだ。
【0174】
化合物A溶液、10mg/mLの長期保存は-20℃であるので、pH6.5±0.5の50mMリン酸バッファー中の化合物A溶液、10mg/mLの凍結溶液について凍結融解安定性を調べた。結果は、合計3回の凍結融解サイクルの後に、全てのバイアルが、最初と比較して、外観、pH、アッセイおよび不純物の変化を示さなかったことを例示した。
【0175】
pH6.5±0.5の50mMリン酸バッファー(リン酸二ナトリウムおよびリン酸一ナトリウム)中の化合物A、10mg/mL、溶液のR&Dバッチを作製した。このR&Dバッチの安定性研究から得られた結果は、化合物A溶液製剤が、-20℃、2~8℃で4ヶ月、および25℃で2ヶ月保存された場合、18ヶ月間化学的および物理的に安定(すなわち、化合物A溶液製剤は、透明、無色であり、目に見える微粒子を含まなかった。)であったことを実証する。
【0176】
上で論じた製剤開発作業に基づいて、ファースト・イン・ヒューマン研究を支えるために、pH6.5±0.5の50mMリン酸バッファー中に10mg/mLの化合物A遊離酸を含有する15.5リットルのGMPバッチを製造した。
【0177】
表2に示されているように、GMPバッチの試料に対して-20℃で12ヶ月の研究を実施し、12ヶ月で安定性および無菌性が確認された。
【表2】
【0178】
容器閉鎖システム:薬物製品を滅菌濾過し、フリップキャップアルミニウムシールによって固定されたFlurotecバリアフィルムを備えた栓が取り付けられたガラスバイアルに充填した。
【0179】
微生物学的属性:薬物製品を無菌的に製造し、出荷(release)および安定性のために、細菌内毒素および無菌性について試験した。
【0180】
適合性:化合物A注射液に対して、凍結された濃縮IV投薬溶液の安定性/適合性研究を行った。これらの研究は、臨床環境における投薬溶液の調製中に維持されるべき予期される条件、供給および手順を模倣するように設計された。診療所では、化合物A注射液10mg/mLの各凍結物は、室温で完全に融解される。意図される患者用量に基づいて、適切なサイズの生理食塩水IVバッグへの添加のために、次いで、融解された薬物製品溶液の体積を計算する。次いで、最終希釈投薬溶液を1~2時間のIV注入によって患者に投与する。
【0181】
化合物A注射液凍結融解(FT)研究:融解された薬物製品の安定性を評価するために、臨床用量調製中に見られる条件を代表する条件下で実験室実験を行った。まず、化合物A注射液のそれぞれの必要とされるバイアルを-20℃の冷凍庫から取り出し、室温実験室照明下で融解した。
【0182】
凍結された化合物A注射液、10mg/mLについて凍結融解安定性を調べた。FT-T0、FT-1x、FT-2xおよびFT-3xとしてラベルを付けられた4つのバイアルを研究に割り当てた。最初にFT-T0バイアルを試験し、参照としての役割を果たした。残りの3つのバイアルを凍結融解(FT)サイクルに供した。各FTサイクルは、薬物製品バイアルを-20℃で24時間凍結し、その後室温で完全に融解することを伴った。
【0183】
24時間の凍結後、3つ全てのバイアル(FT-1x、FT-2xおよびFT-3x)を室温で融解した。FT-1xバイアルを試験のために抜き取った。次いで、残りの2つのバイアル(FT-2xおよびFT-3x)を再び2回目の凍結に24時間供した。融解後、FT-2xを抜き取り、2回目の凍結融解サイクルについて試験した。残りのバイアル(FT-3x)を最終FTサイクルに供した。全てのバイアルを外観、pH、アッセイおよび不純物について試験した。
【0184】
表3、化合物A注射液、10mg/mLに提示されているように、結果は、少なくとも3FTサイクルまで受容可能な物理化学的安定性を示す。FT-1x、FT-2xおよびFT3xの全ての安定性を示すパラメータは、最初の試料(FT-T0)と同等であり、各FTサイクルで、確立された薬物製品規格内に十分にとどまった。
【表3】
【0185】
化合物A注射液IV投薬溶液:臨床試験における使用が意図されているIV投与供給品(バッグ、チューブおよび閉鎖式移送デバイス(close system transfer device))との化合物A注射液IV投薬溶液の安定性および適合性を評価するために、臨床用量調製の代表的な条件下で実験室実験を行った。本研究において利用されたIVバッグ、投与セット(チューブ)および閉鎖式移送デバイス(CSTD)を表4に示す。
【表4】
【0186】
最終的な臨床用量の範囲を収容するために、2および0.03mg/mL(1000および15mg相当)の「両極(bracketing)」IVバッグ溶液濃度で研究を行った。IV投薬溶液を調製するために、注射用化合物A(100mg薬物/10mL)のそれぞれの必要とされるバイアルを周囲の実験室の照明および温度条件下で少なくとも1時間融解した。次に、薬物製品の適切な体積を計算して、500ccのIVバッグ中で2または0.03mg/mL(1000および15mg相当)のいずれかを達成した。計算された体積の薬物製品を添加する前に、まず、等しい体積の食塩水をIVバッグから取り出し、廃棄した。
【0187】
薬物製品溶液がIVバッグに添加されたら、得られた希釈IV投薬溶液を手で完全に混合し、研究の期間中、周囲の実験室の照明および温度条件の下に保った。次いで、シリンジを介してIVバッグポートから0、8、24および48時間に、試料を引き出した。その後、外観、pHおよびアッセイ/不純物を含む、安定性を示すパラメータについて、これらの試料を試験した。
【0188】
一方、時間0において、2mg/mLの薬物溶液に対して、空気除去フィルタ延長部とカテーテルを有するIV注入セット(チューブ)をIVバッグに接続し、薬物食塩水で満たした(注入準備を整えた(primed))。IVチューブが薬物溶液で満たされた後、IVチューブのカテーテル端を持ち上げて薬物溶液の流れを止め、IVチューブをIVバッグから取り外し、IVチューブの両端を「U」位置に持ち上げて、希釈された薬物食塩水溶液をIVチューブ内に保持し、最悪のシナリオとして静止した段階で薬物溶液とIVチューブの間での完全な接触を可能にした。8時間で、その後、IVチューブ内の薬物溶液を分析した。
【0189】
0.03mg/mL濃度のIV溶液については、フラッシュ1回当たり約20mLの薬物溶液を用いて、フィルタとカテーテルを備えたIVチューブを4回フラッシュした(充填および排出した)。それぞれのフラッシュ画分について、薬物溶液を収集し、IVチューブにおける化合物Aの何らかのアッセイ低下を決定するアッセイのために分析した。4回フラッシュした後、次いで、IVチューブを薬物溶液で満たし、IVチューブのカテーテル端を持ち上げて薬物溶液の流れを止め、IVチューブをIVバッグから取り外し、IVチューブの両端を「U」位置に持ち上げて、希釈された薬物食塩水溶液をIVチューブ内に保持し、最悪のシナリオとして静止した段階で薬物溶液とIVチューブの間での完全な接触を可能にした。8時間で、その後、IVチューブ内の薬物溶液を分析した。
【0190】
IVバッグおよび注入チューブ中の化合物A注射液投薬溶液(2mg/mL):表5に示されているように、IVバッグ中で調製され、IVチューブ中に充填された2mg/mLの濃度のIV投薬溶液は、それぞれ48時間および8時間まで受容可能な物理化学的安定性および適合性を示した。全ての安定性を示すパラメータは、各時点で、確立された製品規格内に留まり、ほとんどまたは全く変化を示さなかった。
【表5】
【0191】
IVバッグ中の化合物A注射液投薬溶液(0.03mg/mL):表6に示されているように、IVバッグ中で調製された0.03mg/mLの濃度のIV投薬溶液は、48時間まで受容可能な物理化学的安定性および適合性を示した。フィルタとカテーテルを備えたIV注入チューブの研究では、アッセイは最初のフラッシュ画分で12%低下したようであり、20mLの薬物溶液での最初のフラッシュ後に、化合物AがIVチューブに吸着された可能性があることを示した。しかしながら、%アッセイは、2~4回のフラッシュでおよびIV投与セット中での8時間の薬物溶液保持後に、100%に近づいた。これらの結果は、IV投与セットに吸着される化合物Aの量が最小であり、0.03mg/mLの薬物溶液の最初の20mLでのみ起こることを示した。
【表6】
【0192】
全ての安定性を示すパラメータは、各時点で、確立された製品規格内に留まり、ほとんどまたは全く変化を示さなかった(表7)。しかしながら、0.03mg/mLの希釈された化合物A溶液中の不純物レベルはあまりにも低く、放出アッセイ/不純物方法の検出限界を下回ったので、総不純物を決定することができなかった。
【表7】
【0193】
結論:本研究からのデータは、化合物A注射液凍結溶液、10mg/mLが、24時間の凍結および室温での完全な融解の3サイクル後に受容可能な物理化学的安定性を示すことを指し示す。同様に、0.03および2mg/mLの「両極」濃度のIV投薬溶液用のシミュレートされた化合物A注射液も、それぞれ48時間および8時間まで、IVバッグおよびIV融合(fusion)チューブ中、周囲の保存条件下で受容可能な安定性を示す。さらに、これらの研究からの結果は、臨床設定で使用される意図された希釈剤(0.9%生理食塩水)および封じ込め(containment)/投与システム(市販のIVバッグ/チューブ)との、化合物A注射液の受容可能な適合性を示唆している。
【0194】
実施例5.再発性または難治性リンパ腫、大顆粒リンパ球性白血病および固形腫瘍を有する成人患者において静脈内投与された化合物Aの安全性、耐容性、薬物動態、薬力学および臨床活性を評価するための第1相多施設非盲検用量漸増および拡大研究
理論的根拠:標的化されたタンパク質分解剤は、タンパク質の特異的分解を標的とするためにユビキチンプロテアソーム系を利用する新しい治療クラスの化合物を表す。化合物Aは、リンパ腫などの血液悪性疾患および固形腫瘍において重要な役割を果たす転写因子であるシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)3を標的とするタンパク質分解剤である。化合物Aは、それぞれの28日サイクルの第1、8、15および22日目にプロトコルにおいて規定された用量レベルで静脈内注入(IV)によって投与される。
【0195】
目的および評価項目:
【表A】
【表B】
【0196】
全体的な設計:これは、再発性/難治性(R/R)リンパ腫、LGL-Lまたは進行性固形腫瘍を有する成人患者における化合物Aの非盲検第1a相(用量漸増)/第1b相(用量拡大)のファースト・イン・ヒューマン治験である。本治験の第1a相部分の主要な目的は、最大耐用量[MTD]/推奨第2相用量[RP2D]を特定することである。第1b相は、R/R末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGL-L)および固形腫瘍を有する患者の別個のコホートからなる。
【0197】
インフォームドコンセントを提供し、本治験の適格性基準を満たす患者を登録し、28日サイクルの第1、8、15および22日目に化合物A IVで処置する。患者は、疾患の進行、受容不能な毒性、同意の撤回、何らかの研究特異的中止基準が満たされるまで、または治験責任医師が治験処置を中止することが患者にとって最良の利益であると決定するまで、治験処置にとどまる。
【0198】
新鮮な/保存したFFPE腫瘍組織を得る。保存した組織/スライド/ブロックが利用できない場合、投薬前生検を実施する(第1a相では任意、第1b相では必須)。医学的に禁忌でない限り、または実現可能性の欠如のために達成不可能でない限り、1回の処置中の生検が第1b相において必要とされる。この生検は、第1a相では任意である。疾患進行の時点での追加の生検は、すべての患者に対して任意である。生検の収集に伴うあらゆる問題は、メディカルモニターと議論されるべきである。処置/安全性経過観察通院の終了は、化合物Aの最後の投薬から30日以内、および新しい抗がん療法の開始前のいずれか早い方に予定される。さらに、患者に3ヶ月ごとに連絡して、化合物Aの最後の投薬後最長1年間の生存状態およびその後の治療に関するデータを収集する。
【0199】
最大約40人の評価可能な患者が第1a相に登録され、患者の総数は、調査される用量レベルの数に依存する。第1b相におけるコホートのそれぞれには、最大20人の評価可能な患者が登録される。治験のスキームは図2に提供されている。
【0200】
第1a相:この部分は、逐次的なコホートにおけるIV毎週用量の化合物Aの安全性および耐容性を特徴付けることを目的とする。用量漸増段階は、R/Rリンパ腫、LGL-Lまたは進行腫瘍を有する患者において行われ、最大耐用量(MTD)および推奨第2相用量(RP2D)を規定するという最終的な目的で、加速された用量設定(titration)後に3+3設計を利用する。
【0201】
MTD/RP2Dの決定後、第1b相においてそれぞれのコホート(コホート1、2および3におけるR/Rリンパ腫またはLGL-L、ならびにコホート4における進行性固形腫瘍)への登録を開始する前に、用量を確認する。
【0202】
第1b相における登録は、以下の基準が満たされるまで開始されなくてもよい。
1)合計で少なくとも9人の患者がMTD/RP2Dで処置されていなければならない、ならびに
2)それぞれのコホートが第1b相における登録を開始するために、R/Rリンパ腫および進行性固形腫瘍を有する少なくとも6人の患者がMTD/RP2Dで処置されていなければならない。
3)第1b相における登録を開始するために、合計で少なくとも3人のLGL-L患者が処置されている。
【0203】
リンパ腫、LGL-Lおよび固形腫瘍コホートにおける登録は、それぞれのコホートについて基準が満たされたら直ちに独立して開始され得る。
【0204】
化合物Aの約9の用量レベルが評価されることが計画されている。計画される用量を表8に示す。
【表8】
計画された用量レベルが示されている。用量は、SRCによって決定された本治験から新たに生じた安全性/PK/PDデータに基づいて、より高くまたはより低く調整され得る。第1のコホートにおいて用量低下が必要とされる場合には、SRCによって推奨されるとおりに、より低い用量が探索され得る。
【0205】
進行中の患者に対する漸増用量レベルおよび用量漸増の安全性は、安全性および薬物動態(PK)を含むがこれらに限定されない全ての利用可能なデータの審査に基づいて安全審査委員会(SRC)によって決定される。
【0206】
3~6名の患者においてMTD/RP2Dが決定されたら、MTD/RP2Dは、第1b相の開始前に合計9人の患者が登録されるまで、さらなるR/Rリンパ腫、LGL-Lおよび進行性固形腫瘍患者を登録することによって確認されるであろう(上記参照)。
【0207】
第1b相、用量拡大:R/Rリンパ腫、LGL-1および固形腫瘍を有する患者においてRP2Dを確立した後、以下のコホートにおいて、処置下で発現した有害事象(TEAE)をさらに特徴付けるために、および化合物Aの相対臨床活性を評価するために、最大80人のさらなる患者が処置される。
・コホート1:PTCL(CTCLを除くPTCLの全てのサブタイプ)(n=最大20)
・コホート2:CTCL(n=最大20)
・コホート3:LGL-L(n=最大20)
・コホート4:固形腫瘍(n=最大20)
【0208】
第1b相の拡大は、コホート1~3およびコホート4で別個の時点で開始してもよく、RP2Dが第1a相のR/Rリンパ腫、LGL-Lおよび固形腫瘍確認部分においていつ確立されたかに依存する。患者は、第1a相においてそれぞれの患者集団で決定されたRP2Dで処置される。コホート3(LGL-L)の患者における開始用量は、第1a相においてリンパ腫、LGL-Lおよび固形腫瘍患者で決定されたRP2Dである。すべての患者にわたるリンパ腫におけるDLTが主に本質的に血液学的(すなわち、好中球減少症)または感染性である場合、RP2D交互レジメン(例えば、2週間ごとにIV)を下回る開始用量またはSRCとの議論の後にLGL-L患者において評価されたより低い用量が使用され得る。
【0209】
患者の安全性は、本治験全体を通して、治験依頼者によって確立されたSRCによって監視される。この委員会は、本治験に登録された患者の継続的な安全性を確保するために、処置下で発現した全てのデータ、例えばPKおよび安全性(DLTを含むがこれに限定されない)を継続的に監視する。あらゆる遅発性毒性のために、累積データを監視する。
【0210】
治験対象集団
組み入れ基準
【0211】
患者は、以下の基準の全てが当てはまる場合にのみ本治験に組み入れられるのに適格である。
1.インフォームドコンセントに署名した日において年齢が18歳以上の男性または女性。
2.患者は、署名および日付入りの書面によるインフォームドコンセントを理解し、いずれかの必須の治験特有の手順、試料採取および分析の前に自発的な同意を与える。患者は、インフォームドコンセント書面(ICF)およびこのプロトコルに列挙されている要件および制限の遵守を含む署名入りインフォームドコンセントを与えることができる。
3.第1a相のみ:以下を含む組織学的または病理学的に確認されたリンパ腫
・ホジキン、
・B細胞、
・T細胞、
・小リンパ球性またはNK細胞リンパ腫
・LGL-L(組み入れ番号7、9、10を参照)
・組織学的または病理学的に確認された固形腫瘍。
4.第1b相のみ:組織学的または病理学的に確認されたPTCL、CTCL(WHO/EORTC分類)、LGL-L[T細胞LGL-LまたはNK細胞の慢性リンパ増殖性障害(CLPD-NK)-組み入れ番号7、9、10を参照]または固形腫瘍。
5.好ましくは、(それぞれ、リンパ腫および固形腫瘍患者について)治験薬の最初の投薬の前の理想的には6ヶ月または2年以内に採取された新鮮なまたは保存したホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍組織または15のスライド。保存した組織/スライド/ブロックが利用できない場合には、投薬前生検が実施され(第1a相については任意、第1b相については必須)、STAT3経路変異分析のためのおよび潜在的には中央病理学審査のためのスクリーニング中に血液試料が採取される。
6.第1a相のみ:リンパ腫および固形腫瘍:少なくとも2回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患、またはその者に対して標準治療が利用できない。
7.第1a相:LGL-L:少なくとも1回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患、またはその者に対して標準治療が利用できない。
8.第1b相のみ:全ての疾患タイプ:少なくとも1回の以前の全身標準治療処置に対する再発性および/もしくは難治性疾患またはその者に対して標準治療が利用できない。
9.LGL-L患者のみ:(血液学特異的基準):
・以下のうちの1つ:
○重篤な好中球減少症<500/mm、または
○症候性貧血および/または
○輸血依存性貧血。
・スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時にANC≧200/μL
・血小板数≧100,000/μL(血小板を必要とする血小板減少症患者では、最後の血小板輸血の7日以上後に評価)。
10.LGL-L患者のみ(ベースライン疾患特徴):
・CD3+CD8+細胞集団>650/mm
・CD3+CD8+CD57+集団>500/mm
・クローンT細胞受容体の存在(診断の1ヶ月以内);
・注:+TCRが必要とされるが、たとえCD3+CD8+細胞集団が<650/mmまたはCD3+CD8+CD57+集団が<500/mmであっても、T-LGLLを有する患者はPI承認を得て組み入れられ得る。
・500細胞/mmを超えて認められるクローンNK細胞集団が存在するならば、ナチュラルキラー(NK)LGLも許容される。
11.PTCLおよび固形腫瘍のみ:スクリーニング時に、PTCLについてはLuganoによる、固形腫瘍については固形腫瘍効果判定基準(RECIST)バージョン1.1による測定可能な疾患。
12.スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時に0~2の米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス。
13.LGL-Lを有する患者を除くすべての患者について、下記のように定義される、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時における十分な骨髄機能:
・好中球絶対数(ANC)≧1000/μL
・ヘモグロビン≧8g/dL(赤血球[RBC]輸血を受けている患者については、ヘモグロビンは最後のRBC輸血の少なくとも14日後に評価されなければならない)。
・血小板数≧100,000/μL(血小板を必要とする血小板減少症患者では、最後の血小板輸血の7日以上後に評価)。
14.LGL-L患者を含む全ての患者について、スクリーニングおよびC1D1(投薬前)時における十分な臓器機能
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)が、基準値上限(ULN)の3倍以下または肝臓の記録されたリンパ腫併発の場合にはULNの5倍未満
・総血清ビリルビンがULNの3倍以下またはジルベール症候群に続発する場合もしくは肝臓の記録されたリンパ腫併発の場合にはULNの5倍未満。
・測定されたまたは標準的なコッククロフト・ゴールト式を使用して計算された、血清クレアチニンクリアランス≧50mL/分/1.73m2
15.妊娠の可能性がある女性(WOCBP)は、治験処置の期間および化合物Aの最後の投薬後の6ヶ月間、非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならない。
16.WOCBPは、スクリーニング時に陰性血清妊娠検査を有し、治験薬の最初の投薬の前72時間以内に陰性血清または尿妊娠検査を有さなければならない。
17.パートナーがWOCBPである場合、男性は、治験処置中および治験薬の最後の投薬後6ヶ月間、非常に効果的な避妊方法を使用することに同意しなければならない。
【0212】
除外基準
以下の基準のいずれかに当てはまる場合、患者は本治験から除外される。
1.中枢神経系(CNS)転移の病歴または疑い。
2.慢性リンパ球性白血病(CLL)の診断。
3.患者が2年間以上無病である場合を除いて、リンパ腫または固形腫瘍以外の悪性疾患の病歴または活動性の併発悪性疾患。2年以上の期限に対する例外は、処置された基底細胞もしくは限局性扁平上皮皮膚癌、限局性前立腺がん、または子宮頸部、乳房もしくは膀胱の上皮内癌などの他の限局性癌腫を含む。
4.患者は、治験薬の最初の投薬の前に、以前の処置の何らかの臨床的に有意な有害事象(AE)から処置前ベースラインまたはグレード1に回復していない。
5.進行中の不安定な心血管機能:
・症候性虚血、または
・制御されない臨床的に有意な伝導異常(すなわち、抗不整脈薬での心室頻拍は除外される;1度房室ブロックまたは無症候性左脚前枝ブロック/右脚ブロックは除外されないであろう。)、または
・ニューヨーク心臓病学会クラスIII以上のうっ血性心不全、または
・スクリーニングの前3ヶ月以内の心筋梗塞。
6.記録された脚ブロックを除いて、またはペースメーカーに続発する場合を除いて、スクリーニング時および/またはC1D1(投薬前)時に、先天性QT延長症候群、またはフリデリシアの式によって補正されたQT間隔(QTcF)≧450ms(三連の心電図の平均)。記録された脚ブロックまたはペースメーカーの場合には、登録前にメディカルモニターとの議論が必要とされる。
7.スクリーニングの前2年以内に、血栓塞栓性または脳血管性事象(すなわち、一過性脳虚血発作、脳血管発作、肺塞栓、または臨床的に有意な深部静脈血栓症)の病歴。
8.治験薬の最初の投薬の前1週間以内に抗生物質、抗ウイルス薬または抗真菌薬を必要とする感染症。これらの薬剤の予防的使用は、たとえ非経口であっても許容され得る。
9.確認試験(例えば、抗HBc、IgM抗HBc、抗HBs、HCV RNA)で、陽性のB型肝炎表面抗原(HbsAg)またはC型肝炎ウイルスに対する抗体(抗HCV)によって検出されるような活動性B型肝炎および/またはC型肝炎感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対する知られた血清陽性。
10.スクリーニング時に、陽性の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)試験。
11.治験責任医師の判断において、患者が治験に参加する能力もしくは治験の目的を達成する能力を妨害するか、または安全性リスクをもたらす精神障害を含む併存する医学的状態。
12.患者は妊娠中または授乳中である。
13.治験薬の最初の投薬の前3ヶ月未満に自家造血幹細胞移植。
14.以前の同種造血系移植または骨髄移植。
15.治験薬の最初の投薬前4週間以内の放射線処置。
16.治験薬の最初の投薬の前4週間以内に全身麻酔を必要とする大手術。患者が過去4週間以内に全身麻酔を必要とした場合、登録前にメディカルモニターによる診察が必要とされる。
17.治験薬の最初の投薬前1ヶ月以内に生ワクチンを受けた。
18.治験薬の最初の投薬の前4週間以内または少なくとも5半減期(最大4週間まで)以内のいずれか短い方で、治験または非治験の抗がん治療に曝露。全ての状況において、最大休薬期間は、治験薬の最初の投薬の前4週間を超えないであろう。注:低用量ステロイド(経口プレドニゾンまたは同等物≦20mg/日)、局所非CNS放射線療法、前立腺がん用の黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストによる以前のホルモン療法、ならびにビスホスホナートおよびRANKL阻害剤による処置は除外の基準ではない。
18.患者は、治験薬の最初の投薬の前14日以内に1クールのSARS-CoV-2ワクチンを完了した。
19.最初の投薬の前過去14日以内に)、治験薬の最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内に強力なCYP3A4阻害剤または誘導剤の使用。
20.最初の投薬の前過去14日以内に)、治験薬の最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内にOATP1B阻害剤または誘導剤の使用。
21.最初の投薬の前過去14日以内に)、治験薬の最初の投薬の14日または5半減期(いずれか長い方)以内に(メディカルモニターとの検討後に特定されるような)狭い治療指数を有するOATP1B、BCRPおよびCYP2C8基質の使用。
22.患者は、禁止された併用薬を中止することができないもしくは望まない、または併用薬の使用に関する制限を遵守することができないもしくは望まない。
23.患者は、本治験のすべての要件を遵守することができないまたは遵守を望まない。
24.公的命令または司法命令により施設に委託されている者。
25.本治験の実施に直接関与する治験依頼者または治験責任医師施設のスタッフ、その他治験責任医師によって監督される施設のスタッフ、およびそれぞれの家族。
【0213】
統計的考察
この用量漸増および用量拡大、単一処置群治験では、正式な統計学的仮説は検定されない。安全性、有効性、PKおよび薬力学の評価は、本治験の用量漸増部分および用量拡大部分に対して別々に要約される。用量レベルおよび/または拡大コホートにわたるプールされたデータの追加の要約も生成され得る。記述統計および要約統計が評価のために提示され、連続変数に対する観察数、平均値、標準偏差、中央値および範囲を含むのに対して、カテゴリデータは頻度カウントおよびパーセンテージを使用して要約される。データのリストおよびグラフによる要約が提示され得る。データ要約および表示のすべての詳細は、最終的なデータベースのロック前にまとめられる正式な統計解析計画に提示される。
【0214】
予備的結果
第1の用量レベルでの血中STAT3分解は前臨床予測と一致し、サイクル1の最初の2用量後の平均最大分解は平均66%であり、最大86%の最大ノックダウンであった。前臨床種においてSTAT3感受性モデルで頑強な抗腫瘍活性をもたらした少なくとも72時間の標的分解が観察された。
【0215】
DL1レベルは安全であり、DLTもSAEもなく、良好に耐容された。
【0216】
図5は、DL1に登録された4人の患者からのPKデータを示す。図6は、DL1での血中におけるSTAT3分解を示す。用量レベル1でPBMCにおいて観察された50~80%のSTAT3分解は、SUDHL1異種移植PK-PDデータの前臨床モデル化に基づいて腫瘍に対して予測された範囲と一致している。前臨床モデルで見られたように、サイクル1の1週目および2週目での注入後24~96時間の間に最大の分解が観察され、用量の間にSTAT3レベルの回復が認められる。
【0217】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、改変されて、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供してもよいことは明白である。したがって、本発明の範囲は、例として表されている具体的な実施形態によってよりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって規定されるべきであることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】