(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】皮膚および/または唇を平滑化する組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20241128BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q19/00
A61Q1/00
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534305
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 FR2022052286
(87)【国際公開番号】W WO2023105171
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】アラール,ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】ローラン,リュディヴィーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB152
4C083AC012
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
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4C083AC181
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4C083AC711
4C083AC712
4C083AD072
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4C083AD202
4C083AD212
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD352
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4C083CC03
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4C083CC13
4C083DD27
4C083DD31
4C083DD32
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、皮膚および/もしくは唇を平滑化し、顔および/もしくは唇にボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための化粧プロセスに関し、前記プロセスは、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む第1の化粧品成分、-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む第2の化粧品成分を含み、-および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む第3の化粧品成分も含み、但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、化粧品ケアおよび/またはメイクアップ組成物の皮膚および/もしくは唇への適用を含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品ケアおよび/またはメイクアップ組成物の皮膚および/もしくは唇への適用を含む、皮膚および/もしくは唇を平滑化し、ならびに/または顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための化粧プロセスであって、
前記組成物が、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
-および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高いことを特徴とする、前記化粧プロセス。
【請求項2】
前記組成物が、
-3~10個のグリセリン単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含み、そのINCI名称がポリグリセリン-3、またはポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含む第1の化粧品成分、
-3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含み、そのINCI名称がポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含み、第1の化粧品成分のポリグリセロールのINCI名称とは異なる、第2の化粧品成分を含み、
-および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含み、そのINCI名称がポリグリセリン-3、またはポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含む、第3の化粧品成分も含む、
請求項1に記載の化粧プロセス。
【請求項3】
前記組成物が、
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第3の化粧品成分
を含む、請求項1または請求項2に記載の化粧プロセス。
【請求項4】
前記組成物が、3~10個のグリセロール単位を有するポリグリセリンの総含有量が、組成物の総重量に対して0.5~20重量%、好ましくは1~15%の範囲にある、請求項1~3のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項5】
前記組成物が、少なくとも1つの保湿剤、好ましくは、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトールおよびそれらの混合物のごとき糖類、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールならびにそれらの混合物、好ましくは、グリセロール、ジグリセロールおよびそれらの混合物のごときC2-C8グリコールよりなる群から選択される少なくとも1つのポリオールをさらに含む、請求項1~4のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項6】
前記組成物が、化粧品成分、特に組成物のポリグリセロールおよび可能なポリオールの皮膚への浸透を改善および/または促進するための、特に、
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物
よりなる群から選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項7】
前記組成物が、皮膚平滑化剤、特に1つまたは複数のヒアルロン酸またはそれらの塩の1つ、およびそれらの混合物をさらに含む、請求項1~6のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項8】
前記組成物が、合成ポリマーまたは天然起源のポリマー、特にビニルポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、セルロースおよびその誘導体、多糖類およびその誘導体、ならびにそれらの混合物よりなる群から特に選択される皮膜形成ポリマーをさらに含む、請求項1~7のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項9】
皮膚および/もしくは唇のためのケアおよび/またはメイクアップ組成物が、ローション、ゲルまたはクリーム、例えば、油中水エマルションまたは水中油エマルション、または美容液の形態、好ましくはゲル化した水相の形態である、請求項1~8のいずれか1記載の化粧プロセス。
【請求項10】
皮膚を平滑化し、顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ハリおよび/または弾力を与え、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための活性組合せとして、少なくとも、
-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、および
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分
の非治療的化粧使用。
【請求項11】
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物
よりなる群から選択される浸透促進剤をさらに含む、請求項10に記載の非治療的化粧使用。
【請求項12】
生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
-および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、および加えて、
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物
よりなる群から選択される浸透促進剤
を含む、皮膚および/もしくは唇のケアならびに/またはメイクアップのための化粧品組成物。
【請求項13】
浸透促進剤が、尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第3の化粧品成分
を含む、請求項12または請求項13に記載の化粧プロセス。
【請求項15】
前記組成物が、
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、およびポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、ならびに尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)、好ましくはベタインから選択される親水性分子から選択される浸透促進剤、または
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、およびポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、ならびに尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)、好ましくは尿素から選択される親水性分子から選択される浸透促進剤
を含む、請求項14に記載の化粧プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、化粧品分野、特に皮膚および/または唇を平滑化する(または、滑らかにする、スムージングする、もしくはスベスベにする:smoothing)ための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(技術水準)
即時的および持続的な(少なくとも1日中)肌の平滑化を有する抗皺(または、皺防止:anti-wrinkle)効果に関するコミュニケーション(または、情報:communication)は、鍵となる資産であり、技術革新および消費者満足の強力な推進力である。
【0003】
現在、即時的な抗皺の平滑化効果は、基本的に、それらの引き締め(または、収縮:tightening)効果で知られる収縮性皮膜形成ポリマーの配合によって支持されている。しかしながら、これらのポリマーの有効性は、その耐久性(ポリマー膜がひび割れる)および快適性の欠如、または平滑化効果がない(快適性/引き締め効果のパラドックスが達成されない)ことのいずれかによって、制限されている。さらに、現在まで、引き締めポリマーにより供される平滑化効果は、女性の現在の期待に比較して不十分であり、感覚的に受け入れられる用量(または、投与量:dose)にて耐久性がない。
【0004】
したがって、即時的および持続的な平滑化結果を得るために、引き締めポリマーの代替物(または、代替手段:alternatives)を開発する必要性が存在している。本出願人は、3~10個のグリセロール単位(または、ユニット:unit)を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む少なくとも2つの化粧品成分(または、化粧用成分:cosmetic ingredient)の使用が、前記化粧品成分は、少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モルだけ互いに異なる平均分子量を有し、有利にはポリオールと、場合によっては浸透促進剤とを組み合わせて使用することにより、この必要性を満たすことが可能になることを実証した。組成物中のポリグリセロールおよびいずれかの他の親水性成分または有効成分は、皮膚の第1の層に浸透し、ボリューム(または、量もしくは体積:volume)および材料(または、素材:material)を提供して、効果的かつ持続的に、「内側から」皺(または、しわもしくはシワ:wrinkle)を埋める(または、満たす:fill)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
したがって、本発明の第1の主題は、生理学的上許容される媒体(または、溶媒、溶剤もしくは媒介物:medium)中で、水相ならびに:
3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ平均分子量が200~1000g/モルの範囲にある1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、皮膚および/もしくは唇のケア(または、手入れ:care)および/またはメイクアップ(または、見栄え:makeup)のための化粧品組成物である。
【0006】
本発明の組成物は、非洗浄ケア組成物(non-rinsed care composition)であり、衛生組成物またはクリーニング組成物(または、洗浄組成物:cleaning composition)である洗浄組成物(または、濯がれる組成物:rinsed composition)とは異なる。
【0007】
もう一つの主題は、特に皮膚および/もしくは唇を平滑化し、ならびに/または顔および/もしくは唇のボリューム(または、量もしくは体積:volume)を回復させ、ハリ(または、硬さもしくは堅さ:firmness)および/または弾力を与え、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるために、本発明により規定されるごとき組成物の皮膚および/もしくは唇への適用(または、塗布:application)を含む化粧プロセス(または、方法:process)に関する。
【0008】
また、本発明は、皮膚を平滑化し、顔および/または唇のボリュームを回復させ、ハリおよび/または弾力を与え、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための活性組合せとして、少なくとも:
-3~10個のグリセロール単位を有し、200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む第1の化粧品成分、および
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分の非治療的化粧使用:cosmetic use)にも関する。
【0009】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明は、皮膚および/もしくは唇を平滑化し、ならびに/または顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための化粧プロセスであって、本発明により規定されるごとき組成物を皮膚および/もしくは唇に適用することを含む化粧プロセスに関する。
【0010】
以下の発明の詳細な説明は、本発明による化粧プロセスの実施を意図した実施形態および組成物を記載する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
したがって、本発明は、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、皮膚および/もしくは唇のケアおよび/またはメイクアップのための化粧品組成物に関する。
【0012】
特に、皮膚および/もしくは唇を平滑化し、ならびに/または顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させ、および/もしくは皺を埋めるための化粧プロセスであって、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、化粧品ケアおよび/またはメイクアップ組成物を皮膚および/もしくは唇への適用を含む、前記化粧プロセスに関する。
【0013】
「化粧品組成物(または、化粧用組成物:cosmetic composition)」とは、人体の表層部分、より詳細にはケラチン物質、特にヒトの皮膚および/もしくは唇と接触させることができる、化粧用、すなわち美容目的のいずれかの組成物を意味する。皮膚とは、顔および/または首の皮膚ならびに身体の皮膚を意味する。
【0014】
「生理学的上許容される媒体」とは、毒性、不適合性(または、配合禁忌:incompatibility)、不安定性、および/またはアレルギー反応の危険性がなく、ケラチン物質と接触して局所的使用に適したいずれかの賦形剤を意味する。
【0015】
ポリグリセリンの組合せ
本発明により使用できるポリグリセロールをベースとする化粧品成分を構成する、3~10個のグリセロール単位を含むポリグリセロールは、特に以下の化合物:
ポリグリセロール-3(240.25g/モル)-CAS 56090-54-1、
ポリグリセロール-4(314.33g/モル)-CAS 56491-53-3、
ポリグリセロール-5(380g/モル)、
ポリグリセロール-6(462.5g/モル)-CAS 36675-34-0、および
ポリグリセロール-10(758.8g/モル)-CAS 9041-07-0
である。
【0016】
本発明の組成物は、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む少なくとも2種の化粧品成分および、任意選択で、水性溶媒、特に水を含む。
【0017】
特定の実施形態によれば、ポリグリセロールをベースとする各化粧品成分は、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールから実質的にまたは専らよりなる。
【0018】
「実質的にまたは専らよりなる」とは、ポリグリセロールをベースとする化粧品成分が、少なくとも95重量%、またはより好ましくは98重量%、またはさらに好ましくは99重量%、または100重量%のポリグリセロールを含むことを意味する。
【0019】
もう一つの特定の実施形態によれば、化粧品成分は、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールおよび、親水性溶媒、好ましくは水よりなる。親水性溶媒(例えば、水)を含むかかる化粧品成分中のポリグリセリン含有量は、一般的に、化粧品成分の総重量に対して70~90重量%、好ましくは80~90重量%の範囲になる。かかる成分のINCI名称(または、INCI名:INCI name)は、ポリグリセリン-xおよびアクア(水)であり、xは3~10の範囲にある。
【0020】
本発明により使用されるポリグリセロールをベースとする化粧品成分が、異なる分子量のポリグリセロールの混合物である場合、前記化粧品成分の「平均分子量」なる用語は、前記成分中のそれぞれの割合を考慮した前記ポリグリセロールの分子量の平均値を意味し、この平均分子量の値は、以下に説明のごとく、対応するINCI名称を決定する。
【0021】
例えば、Sakamoto社がPGL-Sの名称により販売される化粧品成分は、ポリグリセロール-3(多数)、ポリグリセロール-4およびポリグリセロール-5を含み、この化粧品成分を構成するポリグリセロールの平均分子量は、ポリグリセロール-3の分子量に近い。この理由のため、ポリグリセロール(ポリグリセロール-3、ポリグリセロール-4およびポリグリセロール-5)の混合物を含むこの化粧品成分のINCI名称は、ポリグリセリン-3である。
【0022】
したがって、「xが3~10の範囲にあるポリグリセリン-xを含む(または、からなる、もしくは、包含する:comprising)INCI名称を有する化粧品成分」なる表現は、本発明によれば、a)INCI名称ポリグリセリン-xを有する化粧品成分(溶媒無し)、およびb)INCI名称ポリグリセリン-xおよびアクア(または、水:aqua)(水)を有する化粧品成分(溶媒あり)、ポリグリセロール(複数可)が親水性溶媒、好ましくは水に可溶化されている場合を対象にする(または、カバーする:cover)。
【0023】
かくして、特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、ポリグリセリン-3、ポリグリセリン-4、ポリグリセリン-6、ポリグリセリン-10、ポリグリセリン-6および水、またはポリグリセリン-10および水を含むINCI名称によって構成される群から選択される、異なるINCI名称を有する、3~10個のグリセロール単位、および任意選択で親水性溶媒を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む少なくとも2つの化粧品成分を含む。
【0024】
有利には、本発明によれば、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールよりなる少なくとも2つの化粧品成分が使用され、前記成分は、少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モルだけ互いに異なる平均分子量を有する。実質的に1つまたは複数のポリグリセロールよりなり、平均分子量が互いに少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル異なる2つの化粧品成分の併用(combined use)は、即時的効果および経時的な持続的効果のために、皮膚の表層における浸透動態を経時的に延長させることを可能にする。
【0025】
好ましい実施形態によれば、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い。
【0026】
かくして、皮膚および/もしくは唇のケアおよび/またはメイクアップのための化粧品組成物は、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モル、好ましくは200~500g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モル、好ましくは400~800g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
および任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い。
【0027】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、水相ならびに:
3~10個のグリセリン単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含み、そのINCI名称がポリグリセリン-3、またはポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含む、第1の化粧品成分、
3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセリンを含み、第1の化粧品成分のポリグリセロールのINCI名称とは異なる、そのINCI名称がポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含む、第2の化粧品成分を含み、
および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含み、そのINCI名称がポリグリセリン-3、またはポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-10を含む、第3の化粧品成分も含む。
【0028】
例えば、本発明の組成物は、ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する少なくとも第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-6および水、またはポリグリセリン-10、またはポリグリセリン-10および水を含むINCI名称を有する1つまたは複数の他の化粧品成分とを含む。
【0029】
もう一つの例によれば、本発明の組成物は、ポリグリセリン-6、またはポリグリセリン-6と水を含むINCI名称を有する少なくとも1つの第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-3、またはポリグリセリン-4、またはポリグリセリン-10、またはポリグリセリン-10と水を含むINCI名称を有する1つまたは複数の他の化粧品成分を含む。
【0030】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、水相ならびに:
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、およびポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第3の化粧品成分
を含む。
【0031】
かくして、特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、INCI名称ポリグリセリン-3を有する化粧品成分と、INCI名称ポリグリセリン-6またはポリグリセリン-6および水を有する化粧品成分とを含むであろう。
【0032】
もう一つの特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、INCI名称ポリグリセリン-6またはポリグリセリン-6(および)水を有する化粧品成分と、INCI名称ポリグリセリン-10またはポリグリセリン-10(および)水を有する化粧品成分とを含む。
【0033】
もう一つの特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、INCI名称ポリグリセリン-3を有する化粧品成分と、INCI名称ポリグリセリン-10またはポリグリセリン-10(および)水を有する化粧品成分とを含む。
【0034】
もう一つの特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、INCI名称ポリグリセリン-3を有する化粧品成分と、INCI名称ポリグリセリン-6またはポリグリセリン-6(および)水を有する化粧品成分と、INCI名称ポリグリセリン-10またはポリグリセリン-10(および)水を有する化粧品成分とを含む。
【0035】
INCI名称を有する少なくとも2つの化粧品成分を含む他の組合せは、2対2の組合せを記載する以下の表1に例示されるごとく、本発明の文脈において製造できる(2つの化粧品成分の各々のINCI名称は、ポリグリセリン-3についてPG3、ポリグリセリン-4についてPG4、ポリグリセリン-6についてPG6、ポリグリセリン-10につてPG10で記号化されている):
【0036】
【0037】
本発明の範囲に入る他の三重の組合せは、上記表1に記載された二重の組合せから容易に推論可能であり、第1の成分および第2の成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、そのINCI名称がポリグリセリン-3(PG3)、ポリグリセリン-4(PG4)、ポリグリセリン-6(PG6)またはポリグリセリン-10(PG10)を含む1つまたは複数のポリグリセロールを含む第3の化粧品成分を加える。
【0038】
本発明により使用可能なポリグリセロールをベースとする化粧品成分として、SAKAMOTO社により販売されている以下の参照品(または、参照番号:reference):
-INCI名称ポリグリセリン-3のPGL-S
-INCI名称ポリグリセリン-4のポリグリセリン 310
-INCI名称ポリグリセリン-6およびアクア(AQUA)(水)のポリグリセリン-500 MB
-INCI名称ポリグリセリン-10およびアクア(AQUA)(水)のポリグリセリン-750 MB
を特に挙げることができる。
【0039】
SPIGA社により販売されている参照品:
-INCI名称ポリグリセリン-3の純植物性(または、純植物性物:Pure Vegetal)
-INCI名称ポリグリセリン-4の純植物性
-INCI名称ポリグリセリン-6の純植物性
-INCI名称ポリグリセリン-10の純植物性
も挙げることができる。
【0040】
本発明の組成物中の3~10個のグリセロール単位を有するポリグリセロールの総含有量は、特に、組成物の総重量に対して0.5~20重量%、好ましくは1~15重量%の範囲になる。
【0041】
有利なさらなる成分
本発明の組成物は、上述したポリグリセロールとは異なる、保湿剤、浸透促進剤(または浸透増強剤もしくは浸透剤:pro-penetrating agent)、平滑化(smoothing)または剥離剤(または、角質剥離剤:exfoliating agent)、皮膜形成剤(または、フィルム形成剤:film-forming)または引き締め剤(tightening agent)、抗酸化剤、ゲル化剤および/または構造化剤、充填剤(または、フィラー:filler)、色素(または、顔料:pigment)、およびこれらの混合物よりなる群から選択されるさらなる薬剤を有利に含み得る。
【0042】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、保湿剤、浸透促進剤、場合によっては平滑化剤または皮膜形成剤、およびそれらの混合物として、前記のポリグリセオールとは異なる1つまたは複数のポリオール(複数可)を含むであろう。
【0043】
前記のポリグリセリンとは異なるポリオール
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの保湿剤、特に前記のポリグリセロールとは異なる少なくとも1つのポリオールをさらに含む。
【0044】
本発明の目的において「ポリオール」とは、少なくとも2個の遊離ヒドロキシル基を有するいずれかの有機分子を意味する。
【0045】
特定の態様によれば、ポリオールは、トレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、およびそれらの混合物のごとき糖類から選択することができる。
【0046】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、トレハロース、ソルビトールまたはそれらの混合物を含むであろう。
【0047】
本発明に適したポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特に少なくとも3つの-OH官能基、より特に少なくとも4つの-OH官能基を有する、直鎖状、分岐状または環状、飽和または不飽和のアルキルタイプの化合物であり得る。
【0048】
本発明による組成物の製剤化に有利に適したポリオールは、C2-C8グリコールである。
【0049】
有利には、C2-C8グリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、グリセロール(またはグリセリン)、ジグリセロール(またはジグリセリン)、およびそれらの混合物から選択できる。
【0050】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、グリセロール、ジグリセロールまたはそれらの混合物を含むであろう。
【0051】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくともグリセロール、ジグリセロールまたはそれらの混合物、および任意選択で、トレハロース、ソルビトールまたはそれらの混合物を含む。
【0052】
かくして、好ましい実施形態によれば、本発明の組成物はまた、少なくとも1つの保湿剤、好ましくは、前記のポリグリセロールとは異なる少なくとも1つのポリオール、およびトレハロース、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、およびそれらの混合物のごとき糖類よりなる群から選択される少なくとも1つのポリオールを含む、キシリトール、ソルビトールおよびそれらの混合物、ならびにC2-C8グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、グリセロール、ジグリセロールおよびそれらの混合物、好ましくはグリセロール、ジグリセロールおよびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0053】
本発明の組成物中の、前記のポリグリセリンとは異なるポリオールの総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して2~25重量%、好ましくは5~20重量%の範囲になるであろう。
【0054】
本発明の組成物中のグリセロールおよびジグリセロールの総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して2~12重量%、好ましくは3~10重量%の範囲になるであろう。
【0055】
皮膚への浸透を促進する薬剤(いわゆる「浸透促進」剤)
もう一つの特定の有利な実施形態によれば、本発明の組成物は浸透促進剤を含むであろう。
【0056】
本発明によれば、「浸透促進」とは、目的とする化粧品原料(または、原材料:raw material)の皮膚の異なる層への浸透を改善および/または促進することを可能にする化粧品を意味する。
【0057】
かくして、本発明の組成物はまた、有利には、化粧品成分、特に組成物のポリグリセロールおよび可能なポリオールの皮膚への浸透を改善および/または促進するための浸透促進剤も含む。
【0058】
特定の実施形態によれば、本浸透促進剤は:
-尿素およびその誘導体、グリシンまたはトリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子;これらの小さな親水性分子は皮膚の様々な層に浸透し、かくして、組成物中に存在する親水性成分または有効成分(ポリグリセロール、ポリオール等)の浸透を促進する。;
-例えば、ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤;これらの薬剤は細胞間セメント中の脂肪物質を可溶化し、したがって組成物中に存在する親水性成分または有効成分(ポリグリセロール、ポリオール等)の浸透を促進する;
-界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤、好ましくは:
oモノ-もしくはポリ-グリセリンと、C6-C24脂肪酸、例えば、ミリスチン酸PG10(または、PG10-ミリステート:PG10-myristate)およびステアリン酸グリセリルとのエステルのごときグリセロール界面活性剤、および
oアルコキシル化された、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコール(または、脂肪アルコール:fatty alcohol)、例えば、INCI名称ステアレス(Steareth)-2およびステアレス-20の界面活性剤;
およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0059】
好ましくは、本発明の組成物は:
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1つの浸透促進剤をさらに含む。
【0060】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、(i)尿素およびベタインのごとき親水性分子、(ii)モノ-もしくはポリ-グリセロールエステルとC6-C24脂肪酸、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコール、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される浸透促進剤を含むであろう。
【0061】
より好ましくは、本発明の組成物は、(i)尿素およびベタインのごとき親水性分子、(ii)モノ-またはポリ-グリセロールエステルとC6-C24脂肪酸、およびそれらの混合物よりなる群から選択される浸透促進剤を含むであろう。
【0062】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、尿素、トリメチルグリシン(ベタイン)、ミリスチン酸PG10およびステアリン酸グリセリル、またはステアレス-2およびステアレス-20、およびそれらの混合物から選択される浸透促進剤を含むであろう。
【0063】
より好ましくは、本発明の組成物は、尿素、トリメチルグリシン(ベタイン)、ミリスチン酸PG10、ステアリン酸グリセリル、およびそれらの混合物から選択される浸透促進剤を含むであろう。
【0064】
当業者であれば、浸透促進成分の含有量は、その性質に応じて、また、皮膚の層に浸透させる親水性成分および有効成分の性質および含有量に応じて調整する(adapt)であろう。
【0065】
本発明の組成物中の浸透促進剤の総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して1~20重量%、好ましくは2~15重量%の範囲にあるであろう。
【0066】
親水性分子の総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して1~12重量%、好ましくは2~10重量%の範囲にあることができる。
【0067】
脂肪溶解剤の総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の範囲にあるであろう。
【0068】
界面活性剤の総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%の範囲であることができる。
【0069】
平滑化剤または剥離剤
特定の実施形態によれば、皮膚用組成物は、皮膚平滑化剤、特に1つまたは複数のヒアルロン酸またはその塩、およびそれらの混合物;特にそのナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩、好ましくはそのナトリウム塩も有利に含む。
【0070】
前記ヒアルロン酸は、ゲルの形態または粉末の形態でもあることができる。本発明により使用されるヒアルロン酸(またはその塩)は、架橋もしくは非架橋、および/またはアセチル化もしくは非アセチル化であり得る。
【0071】
アセチル化ヒアルロン酸(またはその塩)
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、アセチル化ヒアルロン酸のナトリウム塩、非アセチル化および非架橋ヒアルロン酸のナトリウム塩、架橋ヒアルロン酸のナトリウム塩、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのヒアルロン酸ナトリウム塩を含む。
【0072】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物はアセチル化ヒアルロン酸のナトリウム塩を含む。
【0073】
好ましくは、本発明で使用されるアセチル化ヒアルロン酸は、特許出願WO2018/162672に記載されているものである。
【0074】
特に、前記アセチル化ヒアルロン酸またはそのナトリウム塩は、定量的二次元核磁気共鳴(NMR)によって決定される3.6を超える平均アセチル化度を有する。
【0075】
特定の特徴によれば、本発明で使用されるアセチル化ヒアルロン酸またはそのナトリウム塩は、約50kDa以下、より詳細には約30kDa以下の平均分子量と、2.3未満、より詳細には2.0未満、より詳細には1.5未満の分散指数を有する。
【0076】
好ましい実施形態において、本発明で使用されるアセチル化ヒアルロン酸は、アセチル化ヒアルロン酸のナトリウム塩であり、特にGivaudan社により「Primalhyal(商標)Ultrafiller」の名称下販売されている製品である。製品「Primalhyal(商標)Ultrafiller」は、国際的命名法下、INCI:アセチル化ヒアルロン酸ナトリウムで参照される。
【0077】
特に、アセチル化ヒアルロン酸またはそのナトリウム塩、好ましくは「Primalhyal(商標)Ultrafiller」の名称で販売されている製品は、組成物の総重量に対して原料(製品重量)の0.01重量%~10重量%、特に0.05重量%~5重量%、とりわけ0.1重量%~1重量%の範囲にある含量で存在する。
【0078】
非アセチル化および非架橋ヒアルロン酸(またはその塩)
もう一つの特定の実施形態によれば、組成物は非アセチル化または非架橋のいずれのヒアルロン酸のナトリウム塩を含む。
【0079】
特に、ヒアルロン酸ナトリウムHPMの名称で販売されているINCI名称ヒアルロン酸ナトリウムの製品を挙げることができる。
【0080】
特定の実施形態によれば、非架橋ヒアルロン酸は500KDa以下、好ましくは300KDa以下の分子量またはその塩のものを有する。
【0081】
特定の実施形態によれば、本発明で使用される低分子量の非架橋ヒアルロン酸は、Soliance社より「Bashyal powder」の名称下で販売されている製品である。「Bashyal powder」製品は、粉末形態のヒアルロン酸であり、純度100%、すなわち100%の有効成分で構成されている。本製品の組成物に使用されているヒアルロン酸ポリマーは、100KDa~300KDaの範囲のモル質量を有する。「Bashyal powder」は、国際的な命名法INCI:ヒアルロン酸ナトリウム下で参照されている。
【0082】
もう一つの特定の実施形態によれば、本発明で使用される低分子量の非架橋ヒアルロン酸は、Sochibo社により「Oligo-HA」の名称で販売されている製品である。「Oligo-HA」製品は粉末形態のヒアルロン酸であり、純度100%、すなわち100%の有効成分で構成されている。本製品の組成物に使用されているヒアルロン酸ポリマーは、5KDa~10KDaの範囲にあるモル質量を有する。「Oligo-HA」は、国際的命名法INCI:ヒアルロン酸下で参照されている。
【0083】
本発明によれば、ヒアルロン酸の分子量または分子質量とは、使用される原料を構成するヒアルロン酸分子の「平均」分子量(または平均分子質量)を意味する。実際、ヒアルロン酸の源として使用される原料は、そのモル質量がわずかに異なるヒアルロン酸ポリマーを含む。分子質量におけるこれらの変動は、その重合時にヒアルロン酸分子に含まれる基本単位(すなわち、二糖モノマー)の数がわずかに変化するという事実に特に関連している。かくして、「ヒアルロン酸のモル質量」または「ヒアルロン酸の平均モル質量」は、モル質量が表示された質量の「約」であることを意味すると理解しなければならない。特に、示されたヒアルロン酸のモル質量は±20%、好ましくは±15%、さらに好ましくは±10%変動する。
【0084】
架橋ヒアルロン酸(またはその塩)
特定の実施形態によれば、本発明で使用される高分子量架橋ヒアルロン酸はゲルの形態である。この特定の実施形態によれば、本発明で使用される高分子量架橋ヒアルロン酸は、好ましくはBloomage Freda Biopharm Co, Ltd.により「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 100」の名称で販売されている製品である。「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 100」は、製品の総重量に対して1重量%から5重量%の有効成分を含むヒアルロン酸ゲルである。本製品の組成に使用されているヒアルロン酸ポリマーは、1000KDa~1800KDaの範囲にあるモル質量を有する。製品「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 100」は、国際命名法化粧品成分(INCI):ヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマー、ペンチレングリコール、アクア(または、水:AQUA)で参照されている。
【0085】
もう一つの特定の実施形態によれば、本発明で使用される高分子量架橋ヒアルロン酸は粉末の形態である。この特定の実施形態によれば、本発明で使用される高分子量架橋ヒアルロン酸は、好ましくはBloomage Freda Biopharm Co.,
Ltd.の商品名「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 200」の製品である。「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 200」は粉末形態のヒアルロン酸であり、純度100%、すなわち、有効成分100%で構成されている。本製品の組成物に使用されるヒアルロン酸ポリマーは、3000KDa以上のモル質量を有する。製品「Phylcare(登録商標)Hyacross(商標)TL 200」は、国際的命名法INCI:ヒアルロン酸ナトリウムクロスポリマー、ペンチレングリコール、アクア下で参照されている。
【0086】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物はアセチル化ヒアルロン酸のナトリウム塩ならびに非アセチル化および非架橋ヒアルロン酸のナトリウム塩を含む。
【0087】
もう一つの特定の実施形態によれば、組成物は、1000KDa以上、好ましくは2000KDa以上、さらに好ましくは3000KDa以上の分子量を有する架橋ヒアルロン酸またはその塩、および500KDa以下、好ましくは200KDa以下の分子量を有する非架橋ヒアルロン酸またはその塩、ならびにそれらの混合物を含む。
【0088】
ヒアルロン酸またはその塩の総含有量は、組成物の総重量に対して原料の重量(製品の重量)の0.01%~10%、好ましくは0.05%~5%、より好ましくは0.01%~1%の範囲にあり得る。
【0089】
もう一つの平滑化剤または剥離剤として、組成物はα-ヒドロキシ酸(AHA)を含むこともできる。
【0090】
皮膜形成剤または引き締め剤(皮膜形成(または、フィルム形成:film-forming)ポリマー
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚表面に対して引き締め効果を有する皮膜形成剤または薬剤、特に皮膜形成ポリマーをさらに含む。
【0091】
「引き締め効果を有する薬剤」とは、皮膚表面に形成される皮膜の弾性特性に関連した機械的効果により、皮膚表面の皮膚を平滑化し、皮膚の皺を減少させることができる薬剤を意味する。
【0092】
「皮膜形成ポリマー」とは、皮膜形成ポリマーの溶液、分散液、懸濁液を基材に適用し、基材上に連続皮膜を形成できるポリマーを意味する。
【0093】
皮膜形成ポリマーが分散されている溶媒の蒸発は、この皮膜形成ポリマーが皮膚および/もしくは唇の表面上に皮膜を形成することを可能にし、かくして、顔および/もしくは唇のボリュームの回復、および/または皺の減少および/または充填に対する組成物によって提供される効果を延長する。
【0094】
また、皮膚上に形成された皮膜は、当該皮膜中に分散された分子のリザーバーとしても機能し、当該分子は徐々に皮膚の表層に浸透し、所望の化粧品効果、例えば、保湿効果を生成する。
【0095】
これらの皮膜形成ポリマーは天然または合成、脂溶性または水溶性であることができる。
【0096】
好ましくは、水溶性ポリマーが使用され、有利には天然由来のものが使用されるであろう。
【0097】
合成水溶性ポリマーは特に、ビニルポリマー(例えば、ポリビニルアルコール)、ビニルピロリドンポリマーおよびコポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、ラテックス、およびそれらの混合物を含む。
【0098】
天然由来の水溶性ポリマーは、特にセルロースおよびその誘導体、特にプルラン、ペクチン、カラギーナン、ガラクトマンナン、キサンタン、アルギン酸塩、デンプン、およびそれらの混合物から選択される多糖類を含む。また、多糖類は、藻類抽出物、特にラミナリア(または、コンブ:Laminariaceae)科の藻類の抽出物の形態にすることもできる。
【0099】
特定の好ましい実施形態によれば、プルランが使用される。
【0100】
特定の実施形態によれば、600,000ダルトン未満、好ましくは400,000ダルトン未満、さらに好ましくは200,000ダルトン未満の分子量を有する天然起源の多糖類を、特に本出願人の出願FR 2 828 810に記載されるLaminaria flexicaulisの抽出物の形態で挙げることができる。
【0101】
もう一つの特定の方法によれば、デンプン(または,澱粉:starch)、任意選択で加工された(または、改質された:modified)デンプンを使用できる。デンプンは、好ましくは天然デンプンであり、特にトウモロコシデンプン、エンドウデンプン、タピオカデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、キャッサバデンプン、小麦デンプンから選択される。好ましくはタピオカデンプンを使用するであろう。
【0102】
デンプンは、本出願人の出願FR 2 990 348に特に記載されている。
【0103】
特定の実施形態によれば、組成物は、合成ポリマーまたは天然起源のポリマー、特にビニルポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、セルロースおよびその誘導体、多糖類およびその誘導体、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される皮膜形成ポリマーを含む。
【0104】
皮膜形成ポリマーが本発明の組成物中に存在する場合の総含有量は、一般的に、組成物の総重量に対して0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%の範囲にある。
【0105】
かくして、本発明の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、ポリグリセロールに基づく2つの化粧品成分に加えて:
-ポリオール、好ましくはC2-C8グリコール、好ましくはグリセロール、および任意選択で、ジグリセロール;
-浸透促進剤、好ましくは尿素、トリメチルグリシン(ベタイン)、モノ-またはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸、例えば、ミリスチン酸PG10およびステアリン酸グリセリル、またはアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのエステル型の非イオン性界面活性剤、ならびにそれらの混合物から選択される;
-皮膜形成ポリマー、好ましくはビニルポリマー、ポリアクリレート、ポリウレタン、多糖類およびそれらの混合物から選択される;
-平滑化剤、好ましくはヒアルロン酸またはその塩、またはAHAから選択される;
およびそれらの混合物である。
を含み得る。
【0106】
特定の実施形態によれば、本発明による皮膚および/もしくは唇のケアおよび/またはメイクアップのための化粧品組成物は、生理学的上許容される媒体中で、水相ならびに:
-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分を含み、
-および、任意選択で、第1の化粧品成分および第2の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~1,000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第3の化粧品成分も含み、
但し、第2の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量は、第1の化粧品成分中のポリグリセロールの平均分子量よりも少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル高い、
ならびに、加えて、
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物
よりなる群から選択される浸透促進剤
を含む。
【0107】
特定の好ましい実施形態によれば、浸透促進剤は、尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子から選択される。
【0108】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明による化粧品組成物は:
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分と、ポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、または
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、およびポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第3の化粧品成分
を含む。
【0109】
かくして、特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は:
-ポリグリセリン-3を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、およびポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、ならびに
-尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)、好ましくはベタインから選択される親水性分子から選択される浸透促進剤
を含む。
【0110】
この特定の好ましい実施形態の組成物は、皮膜形成剤として、天然由来の水溶性ポリマー、特にプルランをさらに含み得る。
【0111】
もう一つの特定の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は:
-ポリグリセリン-6を含むINCI名称を有する第1の化粧品成分、およびポリグリセリン-10を含むINCI名称を有する第2の化粧品成分、ならびに
-尿素およびその誘導体、グリシンおよびトリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子から選択され、好ましくは尿素である浸透促進剤
を含む。
【0112】
脂肪化合物
また、本発明の組成物は、油および場合によっては脂肪化合物、例えば、ワックス、ペースト状化合物およびそれらの混合物を含む油相を含み得る。
【0113】
これらには、植物由来のワックス、バター、脂肪酸のトリグリセリドおよびその誘導体が含まれる。
【0114】
充填剤
また、組成物は、充填剤を含み得る。
【0115】
「充填剤」とは、板状(または、プレート状:plate shape)、球状または長円状(ま、楕円状:oblong shape)、無色または白色、無機(mineral)または有機、天然または合成の粒子を意味し、不溶性形態で組成物の媒体中に分散している。これらの充填剤は特に、組成物のレオロジーまたはテクスチャーを改変し、および/またはつや消し(mattifying)効果を付与するように機能する。「ぼかし(blurring)効果」充填剤とは、皮膚の微細な起伏(micro-relief)をカモフラージュし、かくして、皺、小じわ、毛穴(pore)およびシミ(spot)のごとき起伏および/または色における欠陥(imperfection)を光学的補正効果によって減少させる効果を意味する。
【0116】
シリカ、セルロース、窒化ホウ素、ラウロイルリジンおよびそれらの混合物を特に挙げることができる。
【0117】
配合物(または、製剤もしくは処方:formulation)
本発明の化粧品組成物は、ケラチン物質、特に皮膚および/もしくは唇、好ましくは顔および/または首の皮膚、および/または唇のケアならびに/あるいはメイクアップ用の組成物である。
【0118】
本発明の組成物は非洗浄組成物であり、衛生組成物またはクリーニング組成物である洗浄組成物とは異なる。
【0119】
特定の実施形態によれば、皮膚および/もしくは唇のためのケアおよび/またはメイクアップ組成物は、ローション、ゲルまたはクリーム、例えば、油中水エマルション(または、油中水型エマルション:water-in-oil emulsion)または水中油エマルション(または、水中油型エマルション:oil-in-water emulsion)、または美容液(serum)の形態であり、好ましくはゲル化した水相の形態である。
【0120】
組成物は特に、液体、流体(fluid)、または濃厚なコンシステンシー(または、濃度もしくは粘度:consistency)を有し得る。
【0121】
特定の実施形態によれば、組成物は皮膚および/または唇のケア組成物である。
【0122】
特定の実施形態によれば、組成物は皮膚および/または唇用のメイクアップ組成物である。
【0123】
これは特に、スキンケア、特にアンチエイジングのための顔のスキンケア、または顔の肌を平滑化するファンデーションのごとき肌のためのメイクアップ組成物に関係する。もう一つの実施形態によれば、それはリップトリートメント、特に平滑化するおよび/またはボリュームアップ効果のあるリップトリートメント、または平滑化するおよび/またはボリュームアップ効果のある口紅のごときリップメイクアップ組成物であり得る。
【0124】
化粧プロセス
また、本発明は、特に皮膚を平滑化し、顔および/または唇のボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させおよび/もしくは皺を埋めるために、本発明による組成物を皮膚および/または唇に適用することを含む化粧プロセスに関する。
【0125】
かくして、特定の好ましい実施形態によれば、本発明は、皮膚および/もしくは唇を平滑化し、ならびに/または顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ならびに/または皺を減少させおよび/もしくは皺を埋めるための、本発明により規定されるごとき組成物を皮膚および/もしくは唇に適用することを含む化粧プロセスに関する。
【0126】
以下の発明の詳細な説明は、本発明による化粧プロセスの実施を意図した実施形態および組成物を説明する。
【0127】
本発明の組成物は、健康な皮膚および/または唇、すなわち、病理学的状態から生じるであろう状態または障害(病理を有する「不健康な」対象)を呈していない皮膚および/または唇に適用される。健康な皮膚および/もしくは唇、あるいは皮膚および/もしくは唇なる用語は、本明細書の他の部分では互換的に使用されるであろう。
【0128】
また、本組成物は、皮膚および/または唇の水分補給を促進する。
【0129】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、顔のボリュームの損失を呈する健常対象に適用される。
【0130】
もう一つの特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚の老化に関連する徴候、特に皺を呈する健常対象に適用されるであろう。
【0131】
もう一つの特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、乾燥肌の健常対象に適用される。
【0132】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚のハリおよび/または弾力性の損失を呈する健常対象に適用される。
【0133】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、乾燥した唇および/または薄い唇および/またラインを呈する唇を有する健常対象に適用される。
【0134】
化粧用途
また、本発明は、皮膚を平滑化し、顔および/もしくは唇のボリュームを回復させ、ハリおよび/または弾力を与え、ならびに/あるいは皺を減少させおよび/もしくは皺を埋めるための活性組合せとして、少なくとも:
-3~10個のグリセロール単位を有し、かつ200~600g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第1の化粧品成分、および
-第1の化粧品成分とは異なる、3~10個のグリセロール単位を有し、かつ300~1000g/モルの範囲にある平均分子量を有する1つまたは複数のポリグリセロールを含む、第2の化粧品成分
の非治療的化粧用途にも関する。
【0135】
特定の実施形態によれば、本発明による活性組合せは、
-尿素およびその誘導体、グリシン、トリメチルグリシン(ベタイン)から選択される親水性分子、
-ジメチルイソソルビドおよびエタノールから選択される脂肪可溶化剤、
-モノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステル、およびアルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたC6-C24脂肪族アルコールのごときグリセロール系界面活性剤、好ましくはモノ-もしくはポリ-グリセロールとC6-C24脂肪酸とのエステルのごときグリセロール系界面活性剤;
-およびそれらの混合物よりなる群から選択される浸透促進剤をさらに含む。
【0136】
また、活性配合物は、皮膜形成剤、特に天然由来の水溶性ポリマー、特にプルランを有利に含むであろう。
【0137】
本発明を以下の非限定的な実施例において説明する。特記しない限りは、%は組成物の総重量に対する重量により表される。
【0138】
実施例
以下の実施例において、以下のINCI名称成分が使用されている:
-SAKAMOTOによりPGL-Sの名称下で販売されているポリグリセリン-3
-SAKAMOTOによりポリグリセリン 310の名称下で販売されているポリグリセリン-4
-SAKAMOTOよりポリグリセリン-500 MBの名称下で販売されているポリグリセリン-6
-SAKAMOTOよりポリグリセリン-750 MBの名称下で販売されているポリグリセリン-10。
【0139】
実施例1:ポリグリセロールの皮膚表層への浸透速度論
予備的研究(未公表)が、画像化(7T-MALDI-FT-ICR質量分析イメージング(MSI))により研究されたヒト皮膚の部分に関して実施され、ポリグリセロールまたはポリグリセロールの混合物を皮膚に使用することの関心事(interest)を実証できた。本研究は特に、画像撮影法によって、ポリグリセロールの浸透速度および皮膚表層(表皮および表皮表層)での浸透深度(または、深さ:depth)が、これらの化合物の分子量、すなわち、グリセリン鎖のサイズに影響されることを示した。
【0140】
実際には、ポリグリセロール-4は、急速に浸透し、かつ非常に早く表皮に達するポリグリセロール-3に比較して、より早く浸透するが、表皮に留まることが実証されている。ポリグリセロール-5およびポリグリセロール-6は、ポリグリセロール-3またはポリグリセロール-4よりも深くには浸透しない。
【0141】
これらのデータから、化粧品組成物中に分子量の異なるポリグリセロール、特に平均分子量が少なくとも100g/モル、さらには少なくとも200g/モル異なるポリグリセロールを組み合わせることが、皮膚浸透の速度論と皮膚の表層への浸透の深さの双方に対する効果を得るために特に興味深いことがわかる。
【0142】
これらの化合物は、皮膚の表層の異なるレベルにて、多かれ少なかれ迅速に作用でき、特に皮膚の表層を膨潤または充填することによって保湿および/または平滑化することによりそれらの効果を生成し、制御された浸透速度論によって持続的な効果をもたらす。
【0143】
ポリグリセロールの組合せは、水相を含む化粧品組成物、例えば、ゲル化水性組成物またはエマルション型組成物において特に好ましく、水相は脂肪相中に分散しているか(油中水エマルション)、連続相を構成している(水中油エマルション)。
【0144】
実施例2-皮膚を平滑化すること(または、滑らかにする:smoothing)に対する本発明の組合せの効果
本実施例において、対照処方(または、製剤:formula)と比較した本発明の組合せの効果を研究した。
【0145】
本発明による組成物は、グリセロール、ポリグリセロールの混合物、および浸透促進剤(尿素)を含む。
【0146】
試験された2つの組成物の処方は、以下の表2に記載されている(パーセンテージは、最終処方に対する成分の重量で表される):
【0147】
【0148】
本組成物は、以下の工程に従って調製される:
ビーカーにその分量の水を準備し、40℃に加熱する。
【0149】
D相を加え、均質化するまで撹拌し、ゲルを形成する。
【0150】
A相を撹拌しながら加え、次いでB相を加える。
【0151】
もう一つのビーカーにC相を調製し、40℃に加熱する。
【0152】
C相を激しく撹拌しながら水相に加え、エマルジョンを形成する。
【0153】
加熱を止め、均質な混合物が得られるまで撹拌しながらE、次いでFを加える。
【0154】
-4時間後の平滑化効果。
【0155】
1-印象(または、型もしくは跡:impression)を残す
この研究方法は、関心のある皮膚領域のレプリカ(または印象)を作製することに基づいている。
【0156】
この場合、研究された面積(または、領域:area)は「カラスの足跡」とも呼ばれる目尻の部分である。
【0157】
第1の印象は、研究された組成物(対照および本発明)を適用する前に採取される。
【0158】
印象を作製するために、直径24mmの粘着リングを試験領域に適用する。スパチュラを用いて、Silfloシリコーン注型用樹脂(Flexico)と触媒(Flexico)をリングの内側に広げた。乾燥後、レプリカは皮膚の表面から剥がされる。
【0159】
第2の印象は、化粧品組成物(対照または本発明)の適用から4時間後になされる。本プロトコールは、各化粧品組成物について再現される。
【0160】
2-画像解析
各レプリカは台上に置かれ、皮膚表面の各ラインの背後に影を発生させるため、入射角35度(35°)のグレイジングイルミネーター(grazing illuminator)を用いて照明される。
【0161】
次いで、これらの影は、レプリカのビデオ画像上で分析される。MONADERMビデオイメージングシステムを使用し、作製された印象の高解像度画像が取得され、画像上の各ポイント(ピクセル)のグレーの濃淡を表すデジタル値を分析した。
【0162】
試験された化粧品組成物の適用後に撮影されたレプリカは、適用前に撮影されたレプリカに対して厳密に再配置され、T0に対応する。
【0163】
QUANTITRIDESソフトウェアは以下のパラメーターを計算する:皺の数、皺の総表面積(mm2)、皺の総長さ(mm)、皺の平均長さ(mm)、皺の平均深さ(μm)。
【0164】
平滑化効果自体は、これらのパラメーターを適用前後で比較することにより評価される。平滑化効果がかなり(または、有意:significant)であるならば、皺のゾーン、その長さ、および/または表面積や深さの減少が観察される。
【0165】
本実施例において、16名のボランティア数に試験を実施した。(n=16)。
【0166】
1平方センチメートル当たり2マイクロリットル(μl/cm2)に相当する量の処方配合液(または、処方:formula)を、試験部分に適用した。画像はT0(適用前)に撮影され、次いで、検討(studied)領域に製品の適用の4時間後に撮影された。
【0167】
4時間後の結果を以下の表3に示す:
【0168】
【0169】
本発明の組成物について、適用後4時間で、皺の数、皺の総表面積、皺の総長さのかなりの減少が観察された。
【0170】
対照について、処方の適用後4時間で平滑化効果は測定されなかった。
【0171】
これは、試験した対照処方と比較して、本発明の組成物によって生成された持続的な平滑化効果を実証している。
【0172】
実施例3:本発明の組合せに皮膜形成剤を添加することによって最適化される平滑化効果
本実施例において、本発明によるクリームの効果を対照処方との関係において調べた。
【0173】
本発明による組成物は、グリセロール、ポリグリセロールの混合物、浸透促進剤(トリメチルグリシン、ベタインとも呼ばれる)、皮膜形成剤(プルラン)を含む。
【0174】
ポリグリセロールおよび浸透促進剤の含有量は、上記実施例2で使用したものよりも低く、本発明の処方にはプルラン皮膜形成剤も含まれている。
【0175】
試験された2つの組成物の処方は、以下の表4に記載される(パーセンテージは、最終処方に対するパーセンテージで表される):
【0176】
【0177】
-4時間後の平滑化効果(n=13)
試験は、実施例2に記載された方法に従い、13名のボランティアnに対して実施された。
【0178】
4時間後の結果を以下の表5に示す:
【0179】
【0180】
本発明の組成物は、ポリグリセロールの組合せと組み合わせた皮膜形成剤(プルラン)の存在により、T0と比較して、適用4時間後の目の周囲の皺に対しえ、かなり改善された平滑化効果を生成する。
【0181】
対照処方は、T0と比較して、適用4時間後の同じ検討領域の皺に対してかなりの平滑化効果を示さなかった。
【0182】
実施例4:本発明による流動性クリーム
下記の組成物は、異なる分子量のポリグリセロール、グリセロールおよび浸透促進剤(尿素、ミリスチン酸PG10およびステアリン酸グリセリル)の組合せを含む、ゲル化水性油中水型エマルジョンの形態の流動性クリームである。パーセンテージは、最終処方(または、配合量:formula)に対する重量%で表した(表6)。
【0183】
【0184】
上記表6の組成物を、実施例2に記載の方法に従い、15名のボランティアで試験した。
【0185】
本組成物は、目尻の皺に対する平滑化作用を有する。皺の数および皺の総長さは、調査した部位に本組成物を適用後4時間に、かなり減少した(-15%~-20%)。
【0186】
実施例5:本発明による濃厚クリーム
以下の組成物は、異なる分子量のポリグリセロール、グリセロールおよび浸透促進剤(尿素、ステアレス-21およびステアレス-2)の組合せを含む、水中油型エマルジョンの形態の濃厚な目元用クリームである。
【0187】
処方は、以下の表7に詳述される。パーセンテージは、最終組成物の重量により表される。
【0188】
【0189】
上記表7の組成物を、実施例2に記載の方法に従い、15名のボランティアに対して試験した。
【0190】
本組成物には、目尻の皺(corner of the eye area)に対する平滑化作用を有する。皺の総表面積および皺の総長さは、調査した領域に本組成物の適用後4時間に、かなり減少した(-15%~-20%)。
【0191】
画像化(7T-MALDI-FT-ICR質量分析イメージング(MSI))により調査されたヒトの皮膚の部分に対する実施例4および5の処方の比較試験は、処方4のポリグリセロールは処方5のポリグリセロールよりも皮膚の層によく浸透し、浸透促進剤として、エトキシル化脂肪族アルコール界面活性剤(ステアレス-2およびステアレス-21)よりも(ポリ)グリセロール系界面活性剤(ステアリン酸グリセリルおよびミリスチン酸PG-10)の使用に有利であることを示すことを可能にした。
【0192】
実施例6:唇用組成物
以下の組成物は、異なる分子量のポリグリセロール、グリセロールおよび平滑化剤(ヒアルロン酸)の組合せを含む、唇用の組成物である。
【0193】
処方は以下の表8に詳述される。パーセンテージは、最終組成物の重量により表される。
【0194】
【0195】
唇および唇の周囲の領域への適用することで、唇およびその周囲領域に平滑化およびプラミング(plumping)効果を与えた。
【0196】
実施例7:皮膚平滑化組成物
下記の組成物は、異なる分子量のポリグリセロール、グリセロールおよび浸透促進剤(尿素、ミリスチン酸PG-10およびステアリン酸グリセリル)の組合せを含む、ゲル化水性油中水型エマルジョンの形態の流動性クリームである。パーセンテージは、最終処方に対する重量%として表される(表9)。
【0197】
【0198】
本組成物には、目尻の皺に対する平滑化作用を有する。
【0199】
ポリグリセロール(PG3、PG6)の浸透は、浸透促進剤(グリセロールエステルおよびベタイン)の組合せによって促進される。
【国際調査報告】