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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】医療用洗浄消毒器
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/24 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61L2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534328
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2022081583
(87)【国際公開番号】W WO2023104427
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212807.8
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508374003
【氏名又は名称】ゲティンゲ・ディスインフェクション・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オーラ・ヤコブソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エンクヴィスト
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058EE01
4C058EE26
(57)【要約】
本発明は、医療用洗浄消毒器に関し、医療用洗浄消毒器は、洗浄/消毒される医療品を受け入れるための洗浄室と、洗浄室の内部にアクセスするための開口部と、下がった開口位置から上昇した停止位置に、次いで上昇した閉鎖位置に移動可能なドアと、を備える。ドアは、第1の摺動面に関連付けられる。医療用洗浄消毒器はまた、モータにより垂直に移動可能なキャリア装置を備え、キャリア装置は、第1の摺動面と摺動可能に接触できるようにする第2の摺動面を備える。ばね部材は、キャリア装置から垂直上方に、ドアの接続領域へと延びる。ドアは、ドアが、前記上昇した停止位置に達するまで、ばね部材により上方に押される。キャリア装置の連続する上方移動は、ばね部材をより圧縮させて、それにより、ドアは、上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと水平に移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用洗浄消毒器(1)であって、
- 洗浄/消毒される医療品を受け入れるための洗浄室(2)と、
- 前記洗浄室の内部にアクセスするための開口部(4)と、
- ドア(6)であって、
・下がった開口位置から、医療品を、前記開口部を通して前記洗浄室に挿入できる、またはそこから取り出すことができるように、
・次いで、前記ドアが、前記開口部の前面に位置するが、前記開口部から側方に離間して位置する、上昇した停止位置に、
・次いで、前記ドアが、前記開口部に対して位置し、かつ前記開口部を封止する、上昇した閉鎖位置に、
移動可能であり、前記ドアはまた、前記上昇した閉鎖位置から前記下がった開口位置へと移行して戻るとき、前記上昇した停止位置を通過し、前記ドアは、第1の摺動面(34)を備える、またはそれに固定して接続される、ドア(6)と、
- モータ(14)と、
- 前記モータにより垂直に移動可能なキャリア装置(20)であって、前記第1の摺動面と摺動可能に接触できるようにする第2の摺動面(36)を備える、キャリア装置(20)と、
- 接続領域(44)において前記ドアに接続されるばね部材(42)であって、前記キャリア装置と接触し、前記キャリア装置から前記接続領域へと垂直上方に延びる、ばね部材(42)と、
を備え、
前記ドアが、前記下がった開口位置にあり、また前記モータが、前記キャリア装置を上方に移動するとき、前記ドアは、前記ドアのさらなる上方移動が阻止される点である前記上昇した停止位置に達するまで、前記ばね部材によって上方に押され、前記ばね部材により上方に押すことは、前記下がった開口位置から前記上昇した停止位置への前記ドアの前記移動中に、前記第1の摺動面と第2の摺動面との間の摺動運動を阻止し、
前記ドアが、前記上昇した停止位置に達した後、前記キャリア装置の連続する上方移動は、前記ばね部材をより圧縮し、それにより、前記第1の摺動面が、前記第2の摺動面に沿って摺動できるようにし、それにより、前記ドアは、前記キャリア装置の前記連続する上方移動により、前記上昇した停止位置から前記上昇した閉鎖位置へと水平に移動する、医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項2】
前記第1の摺動面(34)および第2の摺動面(36)の少なくとも一方は、高い垂直レベルにおいて、前記洗浄室(2)に対して遠位に、また低い垂直レベルにおいて、前記洗浄室に対して近位になるように傾斜する、請求項1に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項3】
前記ドア(6)の側面に固定して接続される少なくとも1つの摺動部材(30、32)を備え、前記摺動部材は、前記第1の摺動面(34)を備え、前記第1の摺動面は、高い垂直レベルにおいて、前記洗浄室(2)に対して遠位に、また低い垂直レベルにおいて、前記洗浄室に対して近位になるように傾斜する、請求項1または2に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項4】
前記キャリア装置(20)は、第1のキャリア要素(22)および第2のキャリア要素(24)を備え、前記第1のキャリア要素は、前記第2のキャリア要素の上に位置し、またそこから垂直に離間され、前記ばね部材(42)は、前記第1のキャリア要素と接触状態にあり、また前記第1のキャリア要素から垂直上方に延びており、前記第2のキャリア要素の上側は、前記第2の摺動面(36)を示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項5】
前記ドア(6)が、前記下がった開口位置から前記上昇した停止位置へと移動するとき、前記ドアは、前記第2の摺動面(36)が、実質的に、前記第1の摺動面(34)に対して押さない、またはそれに沿って摺動しないように前記ばね部材(42)上で実質的に浮いている、請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項6】
前記ドア(6)が前記上昇した停止位置から前記上昇した閉鎖位置へと移動するとき、前記ドアの垂直移動は、実質的に阻止され、前記ばね部材(42)は圧縮され、前記第1の摺動面(34)に対して前記第2の摺動面(36)を上方に押すことは、前記第1の摺動面によって摺動させて、前記ドアを前記上昇した閉鎖位置へと水平に移動させる、請求項5に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項7】
前記開口部(4)の周囲にガスケット(52)を備え、前記ドア(6)は、その上昇した閉鎖位置にあるとき、前記ガスケットに対して封止する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項8】
前記ばね部材は、第1のばね部材(42)であり、前記医療用洗浄消毒器は、第2のばね部材(46)をさらに備え、前記第2のばね部材は、前記ドア(6)が、前記上昇した停止位置から前記上昇した閉鎖位置に移動するとき、弾性位置エネルギーを蓄積するように構成され、前記ドアは、前記上昇した閉鎖位置にあり、前記モータ(14)が、前記キャリア装置(20)の下方への移動を開始したとき、前記第2のばね部材は、前記弾性位置エネルギーを解放して、前記ドアを前記ガスケット(52)から分離させる、請求項7に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項9】
前記第2のばね部材(46)は、回転可能なホイール(48)およびばね部分(50)を備え、前記回転可能なホイールは、前記キャリア装置(20)に接続され、前記ばね部分は、前記回転可能なホイールを前記ドア(6)と相互に接続し、前記ドアが、前記上昇した停止位置から前記上昇した閉鎖位置へと移動したとき、前記ばね部分は、前記回転可能なホイールを引張り、回転させる、請求項8に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項10】
前記モータ(14)は、自己ロックするギアボックスを備え、それにより、前記ドア(6)が、前記上昇した閉鎖位置にあるとき、前記キャリア装置(20)が、制御不能に下方に移動しないようにする、請求項1から9のいずれか一項に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【請求項11】
- リミットスイッチ(62)と、
- 前記キャリア装置(20)に対して反対の垂直方向に移動するように構成され、かつ前記ドア(6)が、前記上昇した停止位置から前記上昇した閉鎖位置へと移動するとき、その下方の垂直移動中に、前記リミットスイッチに係合し、作動させるように構成されたシャトル(64)と、
をさらに備え、
前記リミットスイッチを作動させることは、前記キャリア装置がさらに垂直上方に移動しないようにし、したがって、前記ドアが、前記開口部(4)に向けてさらに移動しないように、または前記開口部(4)をさらに押さないようにし、
前記リミットスイッチの垂直位置は調整可能であり、それにより、前記ドアの封止圧力の調整を可能にする、請求項1から10のいずれか一項に記載の医療用洗浄消毒器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄/消毒される医療品を受け入れるための洗浄室を備える医療用洗浄消毒器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用洗浄消毒器は、通常、歯科医院、外科部門、中央滅菌供給部門、および同様の施設において提供され得る。医療用洗浄消毒器は、再循環物品、管状器具、外科用セット、麻酔用品、実験用品、差し込み便器など、広範囲の様々な医療品を洗浄/消毒するために使用することができる。言い換えると、洗浄消毒器は、広範囲の様々なタイプの物品を扱うことができるべきであり、それは、時には、小さな搭載寸法のものが処理され、他の場合には、大きな搭載寸法のものが処理されることになるということである。医療用洗浄消毒器は、一般に、医療デバイスまたは医療機器からの視認可能な物理的な汚染物質を洗浄することと、温水暴露および/または清浄剤/消毒剤などによる、ある程度の消毒との両方を行うことが意図される。
【0003】
医療用洗浄消毒器は、一般に、ドアなどにより閉じることのできる開口部を通してアクセス可能な洗浄室を有するキャビネットとして構成される。開口部は、通常、人のほぼ腰の高さから上方に延びるなど、地面から一定の距離に位置する。こうすることは、医療用洗浄消毒器を扱うスタッフにとって便利な作業高さである。物品は、例えば、カートにより医療用洗浄消毒器へと運ぶことができ、物品をカートから下ろして、医療用洗浄消毒器へと搭載する。別の搭載する可能な方法は、物品を医療用洗浄消毒器に移送するコンベアベルトなどを用いることである。
【0004】
上記で説明したように、医療用洗浄消毒器は、様々な異なる施設において提供することができる。時には、医療用洗浄消毒器を設置するために利用可能なスペースが幾分制限されることがある。このような制限された利用可能なスペースは、医療用洗浄消毒器の寸法に対して制限を加える。その閉じた位置からその開いた位置へのドアの利用可能な変位は、医療用洗浄消毒器が取り付けられる施設によって制限されることもあり得るので、関連する寸法は、閉じた状態で考えるだけではなく、開いた状態でも考慮すべきである。したがって、このような限定されたスペースの施設を考慮に入れて、医療用洗浄消毒器を提供することが望ましいはずである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に軽減し、限定された利用可能なスペースを有する施設において取付けを可能にする医療用洗浄消毒器を提供することである。以下で明らかになるこの、および他の目的は、請求項1で定義された方法によって達成される。例示的な実施形態は、従属請求項において示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一般的な概念は、洗浄室への開口部の高さより下の距離が、ドアのその開口位置への変位に利用され得るという認識に基づく。その開口部以下でこのスペースを使用することにより、枢動運動によりドアの開きを動かす、または施設の天井に大きな距離を要する、医療用洗浄消毒器の上部の上にドアを上げるのとは反対に、ドアを開くために、実質的にさらなるスペースを必要としない。さらに、(摩擦/こすりを回避するために)ドアと、開口部を囲む材料との間の小さい間隙を用いて、ドアの垂直な動きが適切に実施されるべきなので、ドアを上げるためにモータによって提供される上方に向けた力も、このような間隙を閉じるために使用できることが認識されている。特に、本発明者は、モータにより生じた上方の力を、ドアを上げるために使用することができ、また適切に上げた位置において、継続される上方の力は、水平の閉じる力へと移行されると認識している。したがって、連続する上方の力が、モータによって提供されるとしても、ドアは、高すぎる程、上げられることはない。本発明の一般的な概念およびその例示的な実施形態は、次に、より詳細に論じられる。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、医療用洗浄消毒器が提供され、医療用洗浄消毒器は、
- 洗浄/消毒される医療品を受け入れるための洗浄室と、
- 洗浄室の内部にアクセスするための開口部と、
- ドアであって、
・下がった開口位置から、医療品を、開口部を通して洗浄室に挿入できる、またはそこから取り出すことができるように、
・次いで、ドアが、開口部の前面に位置するが、開口部から側方に離間して位置する上昇した停止位置に、
・次いで、ドアが、開口部に対して位置し、かつ開口部を封止する、上昇した閉鎖位置に、
移動可能であり、ドアはまた、上昇した閉鎖位置から下がった開口位置へと移行して戻るとき、上昇した停止位置を通過し、ドアは、第1の摺動面を備える、またはそれに固定して接続される、ドアと、
- モータと、
- モータにより垂直に移動可能なキャリア装置であって、第1の摺動面と摺動可能に接触できるようにする第2の摺動面を備える、キャリア装置と、
- 接続領域においてドアに接続されるばね部材であって、キャリア装置と接触しており、かつキャリア装置から前記接続領域へと垂直上方に延びる、ばね部材と、
を備え、
ドアが、下がった開口位置にあり、モータが、キャリア装置を上方に移動するとき、ドアは、ドアのさらなる上方の移動が阻止される点である、前記上昇した停止位置に達するまで、ばね部材によって上方に押され、ばね部材により上方に押すことは、下がった開口位置から上昇した停止位置へのドアの移動中に、第1の摺動面と第2の摺動面との間の摺動運動を阻止し、
ドアが、上昇した停止位置に達した後、キャリア装置の連続する上方移動は、ばね部材をより圧縮し、それにより、第1の摺動面が、第2の摺動面に沿って摺動できるようにし、それにより、ドアは、キャリア装置の連続する上方移動により、上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと水平に移動する。
【0008】
ドアを、下がった位置へと下方に開くことにより、また上方にドアを上昇させて、ドアがモータからの上方に向けた力を受けるようにするが、それを水平な閉鎖動作に推移できるようにすることにより、小型であるが効率的な医療用洗浄消毒器を得ることができる。ばね部材は、ドアを上方に押し、かつ開口部から実質的に固定された側方距離に維持するドアの上方の移動中に、実質的に安定状態になる。したがって、ばね部材は、下がった開口位置から上昇した停止位置への移動中に(また逆方向の移動中に、すなわち、上昇した停止位置から下がった開口位置への間に)、ドアが自己ロックしないようにする。しかし、ドアが、さらに上方に移動することが阻止されたとき、キャリア装置の連続する上方の動きは、キャリア装置が、ドアの接続領域に接近する結果となる。キャリア装置のこの接近に起因して、ばね部材(キャリア装置と接続領域のドアとの間で延びる)は、より圧縮された状態になり、ドアを、開口部から側方に離間されて保ことができない。それに代えて、ドアは、次に第1の摺動面および第2の摺動面により、水平に移動して開口部を閉じることになる。
【0009】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1の摺動面および第2の摺動面の少なくとも一方は、高い垂直レベルにおいて、洗浄室に対して遠位にあり、また低い垂直レベルにおいて、洗浄室に対して近位にあるように傾斜する。傾斜した少なくとも1つの摺動面を有することにより、効率的な水平移動が、モータがキャリア装置を上方に駆動し続けて、ばねが徐々にさらに圧縮されると達成されることになる。
【0010】
第1の摺動面と第2の摺動面とが共に適切に傾斜しており、また適切に同じ傾斜角である場合、それにより、摺動面の間に大きな境界面を提供する。傾斜は、垂直の延びに対して30°から60°の傾斜角を形成するなど、適切に真っ直ぐにすることができる。例えば、45°の傾斜角の場合、ドアが、上昇した停止位置に達したとき、キャリア装置が、垂直方向に上方に移動し続ける単位長さ(例えば、1mm)ごとに、水平方向に1つの単位長さ(例えば、1mm)移動することになる。例えば、湾曲した傾斜など、第1および/または第2の摺動面の他の傾斜も考えられることを理解されたい。
【0011】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、医療用洗浄消毒器は、ドアの側方側に固定して接続された少なくとも1つの摺動部材を備え、摺動部材は、前記第1の摺動面を備え、前記第1の摺動面は、高い垂直レベルで、洗浄室に対して遠位にあり、また低い垂直レベルで、洗浄室に対して近位にあるように傾斜している。前記第1の摺動面を、ドアそれ自体よりも別個の部材に提供することが容易であり得るので、製作面からすると、摺動部材をドアに固定することは便利である。摺動部材上の第1の摺動面の傾斜は、前に論じた構成のいずれかを有することができる、またはいずれか他の適切な構成であり得る。
【0012】
少なくとも1つの例示的な実施形態によると、キャリア装置は、第1のキャリア要素および第2のキャリア要素を備え、第1のキャリア要素は、第2のキャリア要素の上に位置し、またそこから垂直に離間され、ばね部材は、第1のキャリア要素と接触状態にあり、第1のキャリア要素から上方に垂直に延びており、第2のキャリア要素の上側は、前記第2の摺動面を提示する。キャリア装置を少なくとも第1のキャリア要素および第2のキャリア要素に分離することにより、異なる機能を良好に考慮することができる。第2のキャリア要素上の第2の摺動面は、ばね部材を適切に支持するように設計され得る第1のキャリア要素上の表面とは独立して設計することができる。ドアに固定して接続される、前に説明した摺動部材を含む例示的な実施形態の場合、このような摺動部材は、第1のキャリア要素と第2のキャリア要素との間に適切に配置することができる。
【0013】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、医療用洗浄消毒器は、開口部の周囲にガスケットを備え、ドアは、その上昇した閉鎖位置にあるとき、ガスケットに対して封止する。ガスケットは、ドアに対して向上させた封止境界面を提供する。
【0014】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記ばね部材は、第1のばね部材であり、医療用洗浄消毒器は、第2のばね部材をさらに備え、第2のばね部材は、ドアが上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するとき、弾性位置エネルギーを蓄積するように構成され、ドアが上昇した閉鎖位置にあり、モータがキャリア装置を下方に移動し始めたとき、第2のばね部材は、弾性位置エネルギーを解放して、ドアをガスケットから分離する。これは、ガスケットが、ある程度の「粘着性」を提供することができるので有利であり、粘着性は、ドアが、上昇した閉鎖位置から上昇した停止位置へと移動し、次いで、その下がった開口位置へと移動するとき、ガスケットから十分に分離しない結果を生ずるおそれがある。第2のばね部材は、したがって、ドアに追加の押しを与えて、ドアの垂直下方への動き中に、ガスケットとドアとの間に間隙が確実に存在するようにする。
【0015】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記第2のばね部材は、回転可能なホイールおよびばね部分を備え、回転可能なホイールは、キャリア装置に接続され、またばね部分は、回転可能なホイールとドアを相互接続し、ドアが、上昇した停止位置から、上昇した閉鎖位置へと移動したとき、ばね部分は、回転可能なホイールを引張り、回転させる。これは、前述したガスケットからのドアの分離を確実にする効率的な機構を提供する。
【0016】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、モータは、自己ロックするギアボックスを備え、それにより、ドアが上昇した閉鎖位置にあるとき、キャリア装置が、制御不能に下方に移動するのを阻止する。したがって、洗浄/消毒プロセス中に、ドアが適正に封止しない危険が回避される。しかし、このような制御不能な下方の動きを阻止するための他の考えられる代替形態があることも理解されたい。例えば、キャリア装置と係合するために、別個のロックする要素を設けることもできる。
【0017】
上記の論議からすでに理解されるように、ドアの垂直移動中に、不必要な摩擦を回避するために、このような垂直移動中に、ドアと、開口部の周囲の領域との間に適切な間隙があるべきである。これは、以下の例示的な実施形態において、少なくとも部分的に反映されるが、それによれば、ドアが、下がった開口位置から、上昇した停止位置へと移動するとき、ドアは、ばね部材上で実質的に浮いており、したがって、第2の摺動面は、実質的に、第1の摺動面を押す、またはそれに沿って摺動することはない。
【0018】
同様に、上記の論議からすでに理解されるように、ドアが、上方に移動して、上昇した停止位置に達したとき、キャリア装置の連続した上方の垂直移動は、それに代えて、ドアの水平な動きに移される。これは、以下の例示的な実施形態に少なくとも部分的に反映され、それによれば、ドアが、上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するとき、ドアの垂直運動は実質的に妨げられ、ばね部材は圧縮されて、第1の摺動面に対して、第2の摺動面を上方に押すことは、第1の摺動面により摺動させ、ドアを上昇した閉鎖位置へと水平に移動する。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、医療用洗浄消毒器は、
- リミットスイッチと、
- キャリア装置に対して反対の垂直方向に移動するように構成され、かつドアが上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するとき、その下方の垂直移動中に、リミットスイッチに係合し、かつ作動させるように構成されたシャトルと
をさらに備え、
リミットスイッチを作動させることは、キャリア装置が、さらに上方に垂直に移動するのを停止し、したがって、ドアが、開口部の周囲の領域に向けてさらに移動しないように、またはさらに押さないようにし、
リミットスイッチの垂直位置は、調整可能であり、それにより、ドアの封止圧力の調整を可能にする。
これは、異なる用途に対して異なる封止圧力を有するので望ましい可能性があり、有利である。
【0020】
前の論議から理解され得るように、1つのモータにより提供される力は、下がった開口位置から上昇した停止位置へのドアの垂直移動と、上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へのドアの水平移動の両方を達成するのに十分である。したがって、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、医療用洗浄消毒器は、ドアを移動させるために1つのモータだけを備える。
【0021】
本明細書で開示されるモータは、制御ユニットにより適切に制御することができる。制御ユニットは、ユーザインターフェースから入力コマンドを受け取り、このような入力コマンドに基づいてモータを制御することができる。ユーザインターフェースは、例えば、医療用洗浄消毒器上の制御パネル、および/または遠隔に位置する入力デバイス(遠隔コンピュータ、または携帯電話など)とすることができる。
【0022】
制御ユニットは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能なデジタル信号プロセッサ、または別のプログラム可能なデバイスを含むことができる。制御ユニットはまた、またはそれに代えて、特定用途向け集積回路、プログラム可能なゲートアレイもしくはプログラム可能なアレイ論理、プログラム可能な論理デバイス、またはデジタル信号プロセッサを含むことができる。それが、上記で述べたマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはプログラム可能なデジタル信号プロセッサなどのプログラム可能なデバイスを含む場合、プロセッサは、プログラム可能なデバイスの動作を制御するコンピュータで実行可能なコードをさらに含むことができる。制御ユニットは、好ましくは、医療用洗浄消毒器と共に使用されるように構成され、かつドアの開閉を実施し、制御するための電子命令を備える。
【0023】
本開示の第2の態様によれば、その任意の例示的な実施形態を含む、第1の態様の医療用洗浄消毒器を動作させるための方法が提供される。方法は、
- ドアが上昇した停止位置に達するまで、前記ばね部材によって、ドアを上方に押すことにより、前記下がった開口位置から上昇した停止位置へとドアを移動させるステップと、次いで、
- キャリア装置によって、ドアを水平方向に押すことにより、ドアを上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するステップと
を含む。
【0024】
第1の態様の医療用洗浄消毒器に関連して論じられた様々な特徴、および例示的な実施形態は、第2の態様の方法の対応する例示的な実施形態として容易に実施できることが、読者には理解されよう。
【0025】
概して、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書でその他の形で明示的に定義されない限り、本技術分野におけるその通常の意味に従って解釈すべきである。「1つの(a)/1つの(an)/その要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」に対するすべての参照は、その他の形で明示的に述べられない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つのインスタンスを参照するものとして、オープンに解釈されるべきである。本明細書で開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示された正確な順序で実施される必要はない。本発明のさらなる特徴、およびその利点は、添付される特許請求の範囲、および以下の記述を調べたとき、明らかになろう。当業者であれば、本発明の様々な特徴は、本発明の概念の範囲を逸脱することなく、以下で述べられたもの以外の実施形態を作成するために組み合わせ得ることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による、開口状態にある医療用洗浄消毒器を示す図である。
図2】閉鎖状態にある図1の医療用洗浄消毒器を示す図である。
図3】本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による、医療用洗浄消毒器の開口状態から閉鎖状態に変化させることに含まれるいくつかの構成要素を示す図である。
図4】その上昇した停止位置におけるドアを示す、図3の拡大図である。
図5図4に対応するが、その上昇した閉鎖位置におけるドアを示す図である。
図6】ドアが、その上昇した閉鎖位置からその上昇した停止位置に戻るのを容易にするために機構の詳細図である。
図7】封止圧力の調整を可能にする機構の詳細図である。
図8】モータの位置の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の概念は、次に、本発明の概念のいくつかの態様が示される添付図面を参照して、以下でより完全に述べられる。しかし、本発明の概念は、多くの異なる形態で実施することができ、また本明細書に記載される実施形態および態様に限定されるものであると解釈すべきではなく、むしろ、諸実施形態は、本開示が、十分であり、完全であるように、かつ本発明の概念の範囲を、当業者に完全に伝えるように、例として提供される。したがって、本発明の概念は、本明細書で述べられ、かつ図面で示された実施形態に限定されるのではなく、むしろ当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および修正が行えることを認識することを理解すべきである。同様の参照数字は、本記述を通して同様の要素を参照する。
【0028】
図1は、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態による、開口状態にある医療用洗浄消毒器1を示す。医療用洗浄消毒器1には、洗浄/消毒される医療品を受け入れるための洗浄室2が設けられる。洗浄室2の内部にアクセスするための開口部4が設けられる。医療用洗浄消毒器1は、通常、施設の床に立っており、開口部4は、床から上昇したレベルに位置し、ユーザに対して便利な作業高さを提供する。医療用洗浄消毒器1はまた、可動ドア6を備える。図1では、ドア6の上面だけが識別できる。ドア6の残りの部分は、医療用洗浄消毒器1の前面パネル8の背部に位置する。したがって、医療用洗浄消毒器1のこの示された開口状態では、ドア6は、下がった開口位置にあり、医療品を、開口部4を通して、洗浄室2の中に挿入する、または取り出すことができる。いずれにしても、開口部4の下の垂直な空間が、便利な作業高さを提供するために必要であり、また本発明の概念が、ドア6を下方に移動して、操作者が洗浄室2にアクセスできるようにすることにより、この利用可能な垂直空間を利用するので、これは有利である。そうではなくて、ドア6が上方に開いた場合、ドアは、医療用洗浄消毒器1の上部10を越えて延びる必要があり、それは、低い天井を有する施設に取り付けられる場合、実務的に可能ではない可能性がある。
【0029】
ドア6は、下がった開口位置から、ドア6が、開口部4の前面に位置するが、開口部から側方に離間して位置する上昇した停止位置に、かつドア6が開口部4に対して位置し、開口部4を封止する上昇した閉鎖位置へと移動することができる。この上昇した閉鎖位置は、図2で示される。完了した洗浄/消毒プログラムの後、ドア6は、逆の順序で移動する。したがって、ドア6は、上昇した閉鎖位置(図2)から、下がった開口位置(図1)へと移行して戻るとき、上昇した停止位置を通って移動することになる。
【0030】
ドア6の変位は、操作者によって、直接、または間接的に(例えば、洗浄/消毒プログラムを選択することにより)作動させることができる。操作者は、ユーザインターフェース12を介して、医療用洗浄消毒器1に命令を送ることができる。図1および図2では、ユーザインターフェース12は、医療用洗浄消毒器1上の制御パネルの形式で例示されているが、他のローカル、または遠隔のユーザインターフェースも、考えられる代替形態もしくは補足である。
【0031】
ドア6の変位は、モータによって動力が与えられる。このようなモータ14の例は、図8で示される。モータ14の回転運動は、キャリア装置が接続されるバンド、ベルト、チェーンなどを動かすための1つまたは複数のプーリ18に接続されたシャフト16の回転運動へと伝えられる/変換され得る。モータ14は、自己ロックするギアボックスを適切に備え、それにより、ドア6が上昇した閉鎖位置にあるとき、キャリア装置が、制御不能に下方に移動しないようにする。
【0032】
図3は、このようなキャリア装置20の例を示す。図3は、図1の外側に見えるハウジング内から見た、図1の右側からの詳細な側面図である。キャリア装置20は、図3に示されていないが、モータ14により垂直に移動可能である(シャフト16、プーリ18、バンドなどを介して)。示された例示的な実施形態では、キャリア装置20は、第1のキャリア要素22および第2のキャリア要素24を備え、第1のキャリア要素22は、第2のキャリア要素24の上に位置し、かつ垂直に離間されている。キャリア装置20は、第3のキャリア要素26および第4のキャリア要素28をさらに備えることができ、第3のキャリア要素26は、第4のキャリア要素28の上に位置し、かつ垂直に離間されている。第4のキャリア要素28は、その順番で、第1のキャリア要素22の上に位置し、垂直に離間されている。その第1のキャリア要素22、第2のキャリア要素24、第3のキャリア要素26、および第4のキャリア要素28をそれぞれ備えるキャリア装置20は、図4の拡大図でより明確に見ることができる。
【0033】
ドア6は、第1の摺動面を備えることができる、または図4で示されるように、ドア6は、ドア6の側面に(すなわち、ドアの前面、後部、上部、または底部側ではなく)固定して接続される摺動部材30を備えることができ、その摺動部材30は、このような第1の摺動面34を備えることができる。摺動部材30は、下側摺動部材30であるが、上側摺動部材32も提供される。下側摺動部材30は、第1のキャリア要素22と第2のキャリア要素24との間に位置する。上側摺動部材32は、第3のキャリア要素26と第4のキャリア要素28との間に位置する。適切には、ドア6の反対側の側面は、摺動部材およびキャリア要素を備える対応する構成を有する。
【0034】
それにもかかわらず、キャリア要素の数は、ここで示されたものとは異なることができることを理解されたい。例えば、いくつかの例示的な実施形態では、第3のキャリア要素26および第4のキャリア要素28、ならびに上側摺動部材32を除くことができるが、他の例示的な実施形態では、さらなるキャリア要素および摺動部材を設けることもできる。
【0035】
本発明の一般的な概念によれば、キャリア装置20は、第1の摺動面34と摺動可能に接触できるようにする第2の摺動面を備える。この例示的な実施形態では、第2のキャリア要素24は、下側摺動部材30の第1の摺動面34との境界面を形成するこのような第2の摺動面36を示す。特に、前記下側摺動部材30の下側面に位置する第1の摺動面34と嵌合する前記第2の摺動面36を示すのは、第2のキャリア要素24の上側面である。図4において(他図においても)示されるものなど、少なくともいくつかの例示的な実施形態によれば、第2の摺動面36は、第1の摺動面34よりも長い延長部を有する、特に、第2の摺動面36は、摺動方向で見ると、第1の摺動面34よりも長い延長部を有することができる。
【0036】
第2のキャリア要素24と同様に、第4のキャリア要素28は、上側摺動部材32の第1の摺動面38と嵌合する対応する第2の摺動面40を有する。
【0037】
図4で分かるように、第1の摺動面34、38および第2の摺動面36、40のそれぞれのものは、高い垂直レベルで、洗浄室に対して遠位に、また低い垂直レベルで、洗浄室に対して近位にあるように傾斜している。これは、各第2の摺動面36、40に沿って、第1の摺動面34、38の良好な摺動を可能にする。しかし、嵌合する第1の摺動面34、38および第2の摺動面36、40(各対において)のうちの1つだけがこのような傾斜を有する場合、同様の摺動運動(方向に関して)をまた達成できることを理解されたい。
【0038】
医療用洗浄消毒器1はまた、ばね部材を備え、それは、この例示的な実施形態において、第1のばね部材42として示され(図4を参照のこと)、それは、接続領域44において、ドア6に接続される。第1のばね部材42は、キャリア装置20と接触状態にある。特に、例示的な実施形態では、第1のばね部材42は、キャリア装置20の第1のキャリア要素22と接触状態にある。第1のばね部材42は、第1のキャリア要素22から前記接続領域44へと垂直上方に延びる。
【0039】
医療用洗浄消毒器1はまた、第2のばね部材46を備える(例えば、図4および図6を参照のこと)。図6で最もよく分かるように、ばね部材46は、回転可能なホイール48とばね部分50とを備える。回転可能なホイール48は、キャリア装置20に接続され、またばね部分50は、回転可能なホイール48とドア6を相互に接続する。図面では見られないが、キャリア装置20は、第2のキャリア要素24から第3のキャリア要素26までの長さを適切に延びる(かつ図4で現在見られる平面よりも図面の図を見ている人の近くに位置する)、キャリア要素に接続されたビームを適切に備えることができる。このようなビームは、例えば、キャリア要素22、24、26、28で示されるボルトにより、キャリア要素22、24、26、28のうちの1つまたは複数に固定され得る。このようなビームは、したがって、キャリア要素22、24、26、28の動きに従うことになる。第2のばね部材46の回転可能なホイール48は、キャリア装置20のこのようなビームに適切に接続することができる。現在示される例示的な実施形態では、第2ばね部材46は、第1のばね部材42と第4のキャリア要素28との間に位置する。しかし、その意図される機能をなお実施しながら、第2のばね部材46の他の位置も考え得ることを理解されたい。それは、本開示の以下でさらに説明される。
【0040】
示された例示的な実施形態では、医療用洗浄消毒器1は、開口部4の周囲にガスケット52をさらに備え(図1および図4を参照のこと)、ドア6は、ドア6がその上昇した閉鎖位置にあるとき、ガスケット52に対して封止するように構成される。
【0041】
動作において、ドア6が、下がった開口位置にあり(図1)、モータ14(図8)が、キャリア装置20(図4)を上方に移動したとき、ドア6は、第1のばね部材42により上方に押される。嵌合する第1の摺動面34、38(下方に面する)と各第2の摺動面36、40(上方に面する)との間の傾斜した境界面にかかわらず、ドア6は、ドアの上方の移動中は、水平方向には実質的に静止したままである、すなわち、ドア6と開口部4との間の水平方向の分離は、ドア6の上方移動中は、実質的に同じままである。これは、第1のばね部材42に起因する。第1のばね部材42は、下がった開口位置から、図4に示される上昇した停止位置へのドア6の移動中に、第1の摺動面34、38と第2の摺動面36、40との間の摺動運動を阻止する。したがって、第1のばね部材42は、ドア6に対する重力効果に耐えるように十分強度がある。第1のばね部材42がない場合、ドア6は、ドア6上の摺動部材30、32が、重力により、各第2の摺動面36、40に沿って摺動することになるので、自動的に閉鎖するようになる。したがって、下がった開口位置から、図4の上昇した停止位置へのドア6の移動中に、摺動部材30、32は、図4で示された比較的遠位の位置に、すなわち、開口部4および周囲のガスケット52に対して遠位に位置することになる。
【0042】
上記のことから、ドア6は、第1のばね部材42上で、実質的に浮遊していると見なすことができることを理解されたい。この浮遊は、ドア6の上方運動を通して継続することになる。ドア6は、ドア6が、上昇した停止位置(図4で示される)に達するまで、第1のばね部材42により上方に押され、その位置の時点で、ドア6のさらなる上方移動は阻止される。
【0043】
ドア6が、上昇した停止位置に達した後、キャリア装置20の連続する上方移動は、第1のばね部材42をより圧縮された状態にし、それにより、摺動部材30、32の第1の摺動面34、38を、第2のキャリア要素24および第4のキャリア要素28の各嵌合する第2の摺動面36、40に沿って摺動できるようにする。これは、キャリア装置20の連続する上方移動により、ドア6を、上昇した停止位置(図4)から上昇した閉鎖位置(図5)へと水平に移動させる。言い換えると、ドア6が、上昇した停止位置(図4)から上昇した閉鎖位置(図5)へと移動するとき、ドア6の垂直移動は実質的に妨げられ、第1のばね部材42は圧縮されて、第1の摺動面34、38に対して、第2の摺動面36、40を上方に押すことは、第1の摺動面34、38による摺動を生じ、それは、ドア6を、図5で示される水平に上昇した閉鎖位置へと移動する。
【0044】
図5で分かるように、ここで、摺動部材30、32は、図4における摺動部材30、32の位置と比較して、それぞれ、第2のキャリア要素24および第4のキャリア要素28に沿って移動している。図5の上昇した閉鎖位置では、摺動部材30、32は、比較的近位の位置に位置している、すなわち、開口部および周囲のガスケット52に対して近位である。医療用洗浄消毒器1は、ガスケット52に対して、ドア6の調整可能な封止圧力を可能にするように適切に構成することができる。したがって、図5で示される上昇した閉鎖位置に対して、封止圧力を適切に選択することができる。これは、次に図7に関して例示される。
【0045】
図7は、他の図面では見ることができない、医療用洗浄消毒器の一部、例えば、その下側部分の詳細図を示す。医療用洗浄消毒器は、封止圧力の調整を可能にするための作動器機構60を備える。作動器機構60は、リミットスイッチ62およびシャトル64を備える。シャトル64は、キャリア装置に対して反対の垂直方向に移動するように構成される。したがって、キャリア装置が上方に移動したとき、シャトル64は、下方に移動し、またキャリア装置が下方に移動したとき、シャトル64は、上方に移動する。シャトル64は、ドアが、上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するとき、その下方の垂直移動中に、リミットスイッチ62に係合し、かつ作動させるように構成される。リミットスイッチ62を作動させることは、キャリア装置がさらに垂直上方に移動しないようにし、ドアが、開口部および周囲のガスケットに向けてさらに(第2の摺動面により)押さないようにする。リミットスイッチ62の垂直位置は、調整可能である。図7において、これは、プレート68を介して、リミットスイッチ62を(ねじ66を回す方向に応じて)上下に移動する回転可能なねじ66により示される。したがって、リミットスイッチ62を望ましい垂直位置を設定することにより、ドアがすでに上昇した位置に達した後、(摺動面の界面より)、どれだけキャリア装置を上方に移動し続け、ドアをガスケットに対して押し続けるようにするかを決定することができる。このように、封止圧力を選択することができる。
【0046】
選択された封止圧力はまた、ドアが開かれるとき、ドアをガスケットから分離する能力にも影響し得ることが留意される。下がった開口位置へと下げられる前に、ドアのガスケットからの適正な分離を容易にして、ドアがその側方に離間された、上昇した停止位置に達することができるように、前述の第2のばねが設けられている。
【0047】
次に図6を参照すると、第2のばね部材46は、ドアが上昇した停止位置から上昇した閉鎖位置へと移動するとき、弾性位置エネルギーを蓄積するように構成される。ドアが上昇した閉鎖位置にあり、モータが、キャリア装置の下方への移動を開始したとき、第2のばね部材46は、弾性位置エネルギーを解放して、ドアをガスケットから分離する。より具体的には、ドアが上昇した停止位置(図4)から上昇した閉鎖位置(図5)へと移動したとき、図4図5で示された第2のばね部材46の異なる状態を比較したときに理解され得るように、ばね部分50は、回転可能なホイール48を引張り、回転させる。このように、エネルギーは、ばね部分50に蓄積され、後に解放されて、ドアをガスケット52から水平方向に分離するのを支援する。
【0048】
本開示は、医療用洗浄消毒器を含む。この開示はまた、本明細書で述べられる洗浄消毒器を制御するための制御装置/制御ユニット(電子機器および電子命令を含む)を含む。それは、医療用洗浄消毒器のドアを開閉する方法など、洗浄消毒器を操作し、制御する方法をさらに含むことも本開示から理解されたい。本明細書で開示される様々な特徴および方法は、その様々な組合せ、および下位の組合せにおいて企図され、開示されることを理解されたい。
【符号の説明】
【0049】
1 医療用洗浄消毒器
2 洗浄室
4 開口部
6 可動ドア
8 前面パネル
10 上部
12 ユーザインターフェース
14 モータ
16 シャフト
18 プーリ
20 キャリア装置
22 第1のキャリア要素
24 第2のキャリア要素
26 第3のキャリア要素
28 第4のキャリア要素
30 下側摺動部材
32 上側摺動部材
34 第1の摺動面
36 第2の摺動面
42 第1のばね部材
44 接続領域
46 第2のばね部材
48 回転可能なホイール
50 ばね部分
52 ガスケット
60 作動器機構
62 リミットスイッチ
64 シャトル
66 回転可能なねじ
68 プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】