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特表2024-545141低電圧供給システムを備えるパンタグラフ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】低電圧供給システムを備えるパンタグラフ
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/26 20060101AFI20241128BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60L5/26 Z
B60L1/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534330
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022085187
(87)【国際公開番号】W WO2023105044
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】2113290
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512011200
【氏名又は名称】フェブレ トランスポール トゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ルフォール
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105BA02
5H105BB01
5H105CC12
5H105DD04
5H105EE03
5H125AA05
5H125AC02
(57)【要約】
本発明は、2つの弓状部(10)を有するパンタグラフヘッド(4)と、2つの弓状部(10)を有するパンタグラフヘッドの振動の動きにより発生された機械的エネルギを電気的エネルギに変換する少なくとも1つの変換器(15、20)を有する低電圧供給システムと、を備えるパンタグラフ(2)からなり;各弓状部(10)は、弾性リンク(25)に機械的に接続されているサスペンションアーム(26)に機械的に接続され、弾性リンク(25)は、ジョイント(24)によってパンタグラフ(2)の上部アーム(7)の端部に接続され、少なくとも1つの第1の変換器は、一方の側が、第1の弓状部(10)に接続されたサスペンションアーム(26)に機械的に接続され、他方の側が、ジョイント(24)に機械的に接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの弓状部(10)を有するパンタグラフヘッド(4)と、2つの弓状部(10)を有する前記パンタグラフヘッド(4)の振動運動によって発生された機械的エネルギを電気的エネルギに変換する少なくとも1つの変換器(15、20)を備える低電圧の供給システムとを備える、パンタグラフ(2)であって;
各弓状部(10)は、サスペンションアーム(26)に機械的に接続され、前記サスペンションアーム(26)は、弾性リンク(25)に機械的に接続され、前記弾性リンク(25)は、ジョイント(24)によって前記パンタグラフ(2)の上部アーム(7)の端部に接続され、
少なくとも1つの第1の変換器は、第1には、第1の弓状部(10)に接続される前記サスペンションアーム(26)に機械的に接続され、第2には、前記ジョイント(24)に機械的に接続されている、パンタグラフ(2)。
【請求項2】
第2の弓状部(10)に接続された前記サスペンションアーム(26)と前記ジョイント(24)との間に、少なくとも1つの第2の変換器が配置される、請求項1に記載のパンタグラフ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの変換器(15)は、誘導変換器である、請求項1又は2に記載のパンタグラフ。
【請求項4】
前記変換器(15)は、前記サスペンションアーム(26)の1つに機械的に接続され、前記変換器(15)の誘導コイル(15b)内に磁界を生成させるプランジャ(15a)を備える、請求項3に記載のパンタグラフ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの変換器(15)は、前記サスペンションアーム(26)の1つの動きにより発生された機械的応力を受ける圧電モジュール(20)である、請求項1又は2に記載のパンタグラフ。
【請求項6】
前記供給システムは、前記少なくとも1つの変換器(15、20)によって供給される電気エネルギを蓄積するためのユニットを備える電気処理デバイス(14)をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のパンタグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電車や都市旅客輸送車(路面電車、地下鉄など)のような、カテナリによって供給される電動車両用のパンタグラフに設置することを目的とした低電圧供給システムに関する。
【0002】
したがって、そのような低電圧供給システムを備えたパンタグラフに関する。
【0003】
本発明は、特に、パンタグラフに設置され、カテナリによって供給される電動車両に設置された低電圧デバイスの自律供給に対して、適用される。
【背景技術】
【0004】
実際、パンタグラフとカテナリとの相互作用に関連する様々な電気的、光学的、熱的、機械的パラメータを、パンタグラフから供給される車両の移動中に測定するために、高度な測定デバイスがパンタグラフに設置されるのが普通である。これらの測定は、カテナリの保守や、カテナリの横方向の位置決め不良や機械的な張力不良など、カテナリでの問題の検出や特定に使用することができる。軌道上を走行する車両がカテナリを常時監視することで、交通に重大な支障をきたす可能性のあるカテナリの故障が発生する前に、予防的に介入することが可能になる。
【0005】
そのため、測定デバイスが正しく動作するように、これらの測定デバイスに安定かつ信頼性の高い低電圧供給が不可欠である。しかし、車両に電力を供給するパンタグラフは高電圧であるため、これらのデバイスへの低電圧供給は容易ではない。実際、カテナリの電気電圧は750~25,000Vの直流(DC)又は交流(AC)であるため、パンタグラフに近接するすべての電気系統を効率的にガルバニック絶縁する必要がある。したがって、測定デバイスへの電気供給は電気的な問題を引き起こし、その解決は複雑で高価なものとなる。
【0006】
現在、以下に説明するように、パンタグラフに設置されたデバイスに低電圧電源を供給するために、様々な解決策が採用されている。
【0007】
この目的のため、高電圧絶縁変圧器を使用することができる。しかし、これをパンタグラフのある車両の屋根に機械的及び電気的に組み込むことは困難である。なぜならば、これらの変圧器は比較的かさばり、かつ、屋根への取り付けは、車両の移動中にあらゆる空間方向の加速度から生じる機械的応力に耐えるだけの十分な強度が必要だからである。変圧器はかなりの重量があるため、こうした機械的応力はより大きくなる。さらに、高電圧絶縁変圧器は高価であり、その故障時には高電圧が短絡する危険性がある。
【0008】
バッテリーによる供給も考えられる。しかし、この方法では、放電したバッテリーを交換するために屋根に頻繁に接近する必要があり、高電圧の切断と安全確保が必要になる。さらに、バッテリーの早期放電や交換時の問題が発生し、測定値が失われるリスクも排除できない。ソーラーパネルや風力タービンに結合するなど、電池の稼働時間を延ばすための解決策は存在するが、定期的な電池交換の必要性は完全に排除されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、パンタグラフに配置された電子デバイスの動作を提供するための改良された低電圧供給システムを備えたパンタグラフを提案することであり、公知の解決策の少なくともいくつかの問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、本発明は、2つの弓状部を有するパンタグラフヘッドと、少なくとも2つの弓状部を有するパンタグラフヘッドの振動運動によって発生された機械的エネルギを電気エネルギに変換する少なくとも1つの変換器を備える低電圧供給システムとを備えるパンタグラフに関するものであり;各弓状部は、サスペンションアームに機械的に接続され、上記サスペンションアームは弾性リンクに機械的に接続され、上記弾性リンクは、ジョイントによってパンタグラフの上部アームの端部に接続され、少なくとも1つの第1の変換器は、第1には、第1の弓状部に接続されたサスペンションアームに機械的に接続され、第2には、ジョイントに機械的に接続されている。
【0011】
したがって、本発明による供給システムは、完全に自律的で安価に実施でき、定期的なメンテナンスもほとんど必要ない。さらに、この供給システムは、車両の電力供給から独立している。したがって、交流電流で供給される電気自動車にも、直流電流で供給される電気自動車にも適している。
【0012】
より詳細には、変換器はパンタグラフの振動運動によって発生された機械的エネルギを変換する。
【0013】
上記振動運動は、一般に、パンタグラフの要素の動き、及び/又はその内部の可動部品の動き、及び/又はカテナリの動きによって引き起こされる複雑な振動運動である。一般に、上記振動運動は、1つ又は複数の空間方向における直線運動及び/又は回転運動の組み合わせである。
【0014】
特に、上記振動運動は、弓状部がカテナリ上で擦れることによって引き起こされる。
【0015】
上記振動運動は、直線運動、実質的に垂直運動、及び/又は実質的に回転運動であり得る。
【0016】
変換器は、少なくとも2つの弓状部を持つパンタグラフヘッドの振動運動によって発生された機械的エネルギを変換する。
【0017】
サスペンションアームとジョイントの間に少なくとも1つの第1の変換器を配置することにより、特に複雑な振動回転運動成分からエネルギを回収することが可能になる。このようなエネルギ回収は、二重弓状部を有するパンタグラフヘッドの場合に特に重要である。
【0018】
実際には、第1の変換器は、第1には、第1の弓状部に接続された上記サスペンションアームに機械的に接続され、第2には、2つの弓状部に共通のアームに機械的に接続され得る。この共通アームは、ジョイントによって上部パンタグラフアームに接続されている。したがって、間接的に、変換器もジョイントに機械的に接続されている。
【0019】
このような実施形態では、有利には、弾性リンクは「ばね箱」の形態とすることができる。
【0020】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの第2の変換器が、第2の弓状部に接続されたサスペンションアームと関節との間に配置される。
【0021】
変形例によれば、少なくとも1つの変換器は誘導変換器である。
【0022】
好ましくは、変換器は、サスペンションアームの1つに機械的に接続され、変換器の誘導コイルに磁界を発生させるプランジャを備える。
【0023】
別の変形例によれば、少なくとも1つの変換器は、サスペンションアームの1つの動きによって発生された機械的応力を受ける圧電モジュールである。
【0024】
好ましくは、供給システムは、少なくとも1つの変換器によって供給された電気エネルギを蓄積するためのユニットを含む電気処理デバイスをさらに備える。
【0025】
これらの特徴により、変換器によって発生された電気エネルギは、低電圧装置に供給するために蓄積される。特に、電気エネルギを蓄積するユニットに蓄積されるエネルギは、供給システムがエネルギを生成していないか、ほとんど生成していないとき、すなわちパンタグラフの可動部が動いていないか、わずかしか動いていないときに使用することができる。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の様々な態様の非限定的な例示的実施形態である以下の説明によって明らかにされる。本明細書は、本発明の非限定的な例示的実施形態によって与えられる添付の図も参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、誘導コイルを備えた第1の種類のパンタグラフの模式図である。
図2図2は、圧電セラミックを備えた第1の種類のパンタグラフの模式図である。
図3図3は、誘導コイルを備えた第2の種類のパンタグラフの模式図である。
図4図4は、圧電セラミックを備えた第2の種類のパンタグラフの模式図である。
図5図5は、変形実施形態による第2の種類のパンタグラフの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
機関車、自動鉄道車両、路面電車などの車両に電力エネルギを供給するパンタグラフの動作や、パンタグラフが接触しているカテナリの状態を監視するために、これらの車両の屋根のパンタグラフに電気デバイスが設置されている。
【0029】
図1は、パンタグラフ2が電気絶縁体3によって取り付けられた機関車の屋根1を示している。パンタグラフ2は、折り畳んだ状態にも、起立状態にもできる多関節デバイスである。図1に示すように、パンタグラフヘッド4がカテナリ5に擦られ、パンタグラフが機関車に電力を供給するための電流を拾うことができるのは、この起立状態においてである。
【0030】
電気鉄道設備において、パンタグラフは、一般に菱形であった。現在、最新のパンタグラフは、上部アーム7と関節型で接続された下部アーム6のみで構成されている。第1には、下部アーム6は、その一端が第1のジョイント8を介して機関車の屋根1に機械的に接続されている。当該アーム6は、絶縁体3によって機関車の屋根1から絶縁されている。第2には、当該アームは、その他端が、第2のジョイント9を介して上部アーム7の一端に接続されている。上部アーム7は、その他端でパンタグラフのヘッド4を支持している。最新のパンタグラフは、最大3.8メートルまでの垂直移動の振幅を有し得る。パンタグラフは、空気圧式又は電気式の昇降デバイス(図示せず)によって、折り畳み位置から起立位置へ移動するように作動され、折り畳み位置への戻りは、一般に重力によって行われる。
【0031】
パンタグラフヘッド4は、パンタグラフ2が起立位置にあるときにカテナリ5と摩擦する弓状部10を含む。一般に、カーボン製の擦り帯(図示せず)が弓状部10の上面に取り付けられており、カテナリ5を擦って、そこを通る電流を受け取るようになっている。制御デバイスは、パンタグラフ2の昇降デバイスによるカテナリ5に対する弓状部10の制御された圧力の発生を確実にする。しかしながら、機関車の経路上のカテナリ5の高さの差と、その懸架に必要な、カテナリ5上の要素の存在を補償するため、パンタグラフヘッド4は、パンタグラフ2の上部アーム7に弓状部10を可動的に接続するサスペンション11を含む。
【0032】
カテナリ5の高低差とその機械的欠陥は、列車の速度によって増幅される実質的に垂直な振動運動12を引き起こす。この実質的に垂直な振動運動12は、サスペンション11によって補償され、弓状部10がカテナリ5から脱離することを防止する。なぜなら、このような脱離は、カテナリ及び擦り帯の挙動に有害な電気アークを引き起こし、電磁的妨害となるからである。弓状部とカテナリの接触が失われると、牽引チェーンの停止を引き起こす可能性がある。
【0033】
1つ又は複数の電気デバイス13が、パンタグラフ2の下部アーム6の第1のジョイント8の近傍、又はパンタグラフ2の他の任意の箇所に取り付けられている。これらの電気デバイス13は様々な機能を果たすことができる。これらは通常、低電圧で供給される測定システムである。
【0034】
図1に示す実施形態例では、この低電圧供給に必要な電流は、弓状部10の実質的に垂直な振動12を電気エネルギに変換する誘導変換器15により発生される。
【0035】
誘導変換器15により発生された低電圧電流は、電気処理デバイス14で整流、管理された後、電気デバイス13に供給される。
【0036】
電気処理デバイス14は、例えば整流システムと、誘導コイル15bから供給される電気エネルギを蓄積するためのユニットとで構成される。
【0037】
さらに、このようにして生成された電気エネルギと、上述の低電圧電気供給システムの内部動作を管理するコントローラを備えているため、あらゆる種類の電気デバイス13に供給することができる。
【0038】
誘導変換器15は、弓状部10に取り付けられたサスペンション11の第1の可動部分16に機械的に接続された、強磁性プランジャ又は磁石などの磁場を発生させるプランジャ15aを含む。誘導変換器15はまた、パンタグラフ2の上部アーム7に接続されたサスペンション11の第2の部分18に機械的に接続された誘導コイル15bを含む。弓状部10のパンタグラフの上部アームに対する振動運動12は、サスペンション11の第1の部分16に伝達され、これがプランジャ15aを駆動し、その結果、プランジャは誘導コイル15b内で振動する。このようにして、垂直振動運動12は電気エネルギに変換され、電気接続を通じて電気処理デバイス14に伝達される。後者は、パンタグラフの基部又は誘導変換器15の直近に位置することができる。特に、誘導変換器と電気処理デバイス14が離れている場合、電気接続は配線19の形をとり、下部アーム6及び上部アーム7に沿って案内され得る。
【0039】
図2は、誘導変換器を圧電モジュール20からなる圧電変換器に置き換えた第2の実施形態例を示している。
【0040】
この例示的な実施形態では、電気エネルギの発生に使用されるのは、直接的な圧電効果、すなわち応力がかかったときの圧電構成要素の分極である。
【0041】
図2に示されるように、圧電モジュール20は、サスペンションの第2の部分18に機械的に接続された第1のアーマチュア21と、第2のジョイント9に接続されたものと反対側の上部アーム7に機械的に接続された第2のアーマチュア22との間に取り付けられている。圧電モジュールは、圧電セラミック又は圧電複合材料などの他の圧電材料で構成することができる。
【0042】
機関車がカテナリ5の下を移動すると、弓状部10の垂直振動運動12がサスペンション11に伝達される。この垂直振動運動12は第1のアーマチュア21に伝達され、これにより圧電モジュール20が第2のアーマチュア22に対して圧縮される。圧電モジュールのこの機械的圧縮は、電気デバイス13に供給するために、電気接続を介して電気処理デバイス14に伝達される電流を発生する電圧に変換される。
【0043】
図3は、第2の種類のパンタグラフ2を示しており、このパンタグラフ2では、パンタグラフヘッド4が、カテナリ5に同時に擦られる2つの弓状部10を備えている。2つの弓状部10は、第3のジョイント24によって、第2のジョイント9に接続されたものと反対側の上部アーム7の端部に接続された振動サスペンション23に機械的に固定されている。弾性リンク25は、第3のジョイント24を可動サスペンションアーム26に機械的に接続する。これらの弾性リンクは、コイルばね、円錐形弾性ワッシャ、又はサスペンションアーム26と第3のジョイント24との間の軸方向の圧縮及び弛緩を可能にする他の任意の弾性要素で構成することができる。各サスペンションアーム26は、弓状部10の1つに機械的に接続されている。
【0044】
図示されないが、変形例では、各サスペンションアーム26は、図1及び図2に示されたパンタグラフヘッド4のものと同様の垂直サスペンションを備えることができる。
【0045】
図3に示す実施形態例では、変換器は、第1には、第3のジョイント24に隣接して位置する弾性リンク25の一端に機械的に接続された誘導コイル15bと、第2には、サスペンションアーム26に隣接して位置する弾性リンク25の他端に機械的に接続された強磁性プランジャなどの磁界を発生させるプランジャ15aとから構成されている。
【0046】
図示されないが、変形例では、誘導コイル15bとプランジャ15aを弾性リンク25のそれぞれに取り付けることができる。
【0047】
この文脈において、カテナリ5の機械的な不規則性とレベルの差異は、弓状部10に振動を引き起こし、振動サスペンション23を第3のジョイント24を中心に振動させ、弾性リンク25を圧縮及び伸長させる。これらの弾性リンク25の圧縮/伸長運動27は、プランジャ15aを誘導コイル15b内で振動させる。プランジャの振動は誘導コイル15b内の電流に変換され、電気接続によって電気処理デバイス14を介して電気デバイス13に伝達される。必要に応じて、弾性リンク25に取り付けられたプランジャ15aと誘導コイル15bは、他の弾性リンク25に取り付けられた第2のプランジャ/コイルアセンブリによって複製することができる。弾性リンク25に取り付けられた1つ又は2つの誘導変換器を備えたこのデバイスは、図1及び図2に示されているように、一方又は両方のサスペンションアーム26に取り付けられた誘導変換器によって補足することもできる。
【0048】
このようにして、様々な種類の電気デバイス13に供給するための様々な電力レベルに適応可能な低電圧供給コンセプトが得られる。
【0049】
図4は、一方又は両方のサスペンションアーム26が、弓状部10に隣接して位置するサスペンションアーム26の端部に機械的に接続された第1のアーマチュア21と、対応する弾性リンク25に接続されたサスペンションアーム26に隣接して位置する第2のアーマチュア22との間に取り付けられた圧電モジュール20を備える、二重弓状部10を有するパンタグラフ2用の低電圧供給の別の例示的な実施形態を示す。代替的に、図2に図示された圧電デバイスの構成は、図4に図示されたような二重弓状部10を有するパンタグラフ2用の変形例として使用することもできる。圧電モジュール20は、図2に関連して上述したものと同じ種類とすることができる。
【0050】
この文脈では、機械的な不規則性とカテナリ5のレベルの差異は、第1には、振動サスペンション23を第3のジョイント24を中心に振動させる弓状部10の振動を引き起こし、第2には、圧電モジュール20を圧縮するサスペンションアーム26の機械的な圧縮応力を引き起こす。
【0051】
したがって、圧電モジュール20に生じた機械的応力は電流を発生させ、その電流は電気処理デバイス14を介した電気接続によって電気デバイス13に伝達される。
【0052】
図5は、二重弓状部10を備えるパンタグラフ2用の低電圧供給の別の実施形態例を示している。ここで、弓状部10のそれぞれは、共通アーム28に接続されており、このアーム28はジョイント24によってパンタグラフのアーム7に接続されている。
【0053】
各弓状部10は、弾性リンク25によって共通アーム28に接続されている。ここで、図5に示す弾性リンクは「ばね箱」であり、一方の側が弓状部10のサスペンションアーム26に機械的に接続され、他方の側が共通アーム28に機械的に接続されているばねを備えている。
【0054】
図示の例では、変換器は誘導変換器15である。プランジャ15aはここでは弓状部に機械的に接続され、誘導コイル15bは共通アーム28に機械的に接続されている。
【0055】
この実施形態では、弓状部ヘッドの振動運動のうち、エネルギを回収する成分は主に直線成分である。
【0056】
この実施形態は、「ばね箱」の使用により、簡単に実施できるという利点がある。
【0057】
前述の実施形態と同様に、この実施形態における誘導変換器は、第1には、弓状部10に固定されたサスペンションアーム26に接続され、第2には、共通アーム28に接続されている、圧電変換器に置き換えることができる。誘導変換器又は圧電変換器は、一般的に採用され、安価で実装が容易なデバイスである。一旦設置されると、上述の低電圧供給システムは信頼性が高く、メンテナンスが不要であるか、又はほとんど不要であるため、運転の経済性をもたらす。加えて、上述したように、パンタグラフは、弾性リンク25上及び/又はサスペンションアーム26上及び/又はパンタグラフ上の運動を引き起こす任意の他の箇所に取り付けられた、同じカテゴリの1つ又は複数の変換器、又は誘導及び圧電変換器の組み合わせを備えることができる。したがって、上記の説明は、エネルギ回収の使用を単一の技術(誘導又は圧電)に限定するものではない。少なくとも1つの誘導変換器と少なくとも1つの圧電変換器の両方の使用は、回収されるエネルギの量をさらに増加させるために想定できる。同様に、本説明は、パンタグラフヘッドにおける、誘導型及び/又は圧電型の1つ又は複数の変換器の配置を限定するものではない。例えば、パンタグラフのアーム6と7の間に形成される角に、特にジョイント9に、変換器を配置し、上記ジョイントにおける相対運動を電気エネルギに変換することが想定できる。同様に、ジョイント8に変換器を配置することも想定できる。
【0058】
変換器のこのような配置は、パンタグラフ2が、例えばパンタグラフのアーム6と7の間のジョイント9に配置された1つ又は複数の回転サスペンションを備える場合に特に有利である。
【0059】
上記の説明では、本発明の特定の態様、特に、1つ又は複数の変換器の使用について、パンタグラフ及びカテナリによって伝達される交流電圧又は直流電圧によって供給される電気牽引機関車という文脈で説明してきたが、これらは、他の構成、特に、例えば、路面電車又はトロリーバスのような都市旅客輸送車両のような他のタイプの輸送車両で実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】