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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】清掃ロボット及びその運動制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20241128BHJP
   A47L 11/20 20060101ALI20241128BHJP
   A47L 11/206 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L11/20
A47L11/206
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534543
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2022081489
(87)【国際公開番号】W WO2023142243
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210112901.4
(32)【優先日】2022-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524218433
【氏名又は名称】羅積川
【氏名又は名称原語表記】LUO, Jichuan
【住所又は居所原語表記】No. 55, Lixin No.2 Community, Zhengxiang District Hengyang, Hunan 421009 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】高雄偉
(72)【発明者】
【氏名】羅積川
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DE06
(57)【要約】
【要約】
本発明は、清掃ロボット及びその運動制御方法を提供する。当該清掃ロボットは、清掃対象面に接触して清掃対象面との間にチャンバを形成する清掃部材と、チャンバに連通し、チャンバ内の空気を吸引し、負圧を形成して清掃部材を清掃対象面に吸着させる吸引モジュールと、清掃部材に接続されて、かつ清掃部材を駆動して清掃対象面に垂直な軸を回転軸として回転させる駆動モジュールと、吸引モジュールと駆動モジュールに結合され、かつ吸引モジュールと駆動モジュールを制御する制御器と、複数の清掃部材及び駆動モジュールに接続され、少なくとも1つの清掃部材がブリッジに対して偏向可能に構成され、それにより、清掃部材に対応する回転軸が他の清掃部材に対応する回転軸とずれて夾角を形成するブリッジと、を含む。既存の清掃ロボットと比べて、上記清掃ロボットは、一定の曲率を有する清掃対象面に適用でき、さまざまな材質やさまざまな汚れの程度の掃除要件を満たすことができ、適用範囲がより広い。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃対象面に付着される微粒子を除去するための清掃ロボットであって、
清掃対象面に接触して清掃機能を実行し、かつ清掃対象面と少なくとも1つのチャンバ(1a)を画定する清掃部材(1)と、
前記チャンバ(1a)に連通し、前記チャンバ(1a)内の空気を吸引し、前記チャンバ(1a)内に負圧を形成して清掃部材(1)を清掃対象面に吸着させる吸引モジュール(2)と、
前記清掃部材(1)に接続されて、かつ清掃部材(1)を駆動して清掃対象面に垂直な軸を回転軸として回転させる駆動モジュール(3)と、
前記吸引モジュール(2)と駆動モジュール(3)に結合され、かつ前記吸引モジュール(2)と駆動モジュール(3)を制御する制御器(4)と、
複数の清掃部材(1)に接続され、かつ少なくとも1つの清掃部材(1)がブリッジ(5)に対して偏向可能に構成され、それにより、当該清掃部材(1)に対応する回転軸が他の清掃部材(1)に対応する回転軸とずれて夾角を形成するブリッジ(5)と、を含む、
ことを特徴とする清掃ロボット。
【請求項2】
さらに、ブリッジ(5)に対して偏向可能に構成される清掃部材(1)に清掃部材(1)を偏向させるための偏向作用力を加え、それにより、当該清掃部材(1)が清掃対象面に置かれる場合に、その一側が最初に清掃対象面に接触し、かつ当該清掃部材(1)が清掃対象面に吸着された後に、当該一側の清掃対象面に対する圧力が他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくなるようにする偏向駆動機構(6)を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の清掃ロボット。
【請求項3】
前記複数の清掃部材(1)のうちの少なくとも2つの清掃部材(1)は、間隔を隔て設置される回転軸(7)を介してブリッジ(5)に接続され、前記回転軸(7)は、当該少なくとも2つの清掃部材(1)に対応する回転軸に垂直し、前記偏向駆動機構(6)は、当該少なくとも2つの清掃部材(1)に対して当該少なくとも2つの清掃部材(1)を偏向させる偏向作用力を加え、それにより、当該少なくとも2つの清掃部材(1)が清掃対象面に置かれる場合に、その一側が最初に清掃対象面に接触し、かつ当該2つの清掃部材(1)が清掃対象面に吸着された後に、当該一側の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくなるようにする、
ことを特徴とする請求項2に記載の清掃ロボット。
【請求項4】
前記偏向駆動機構(6)は、ブリッジ(5)及び相応する清掃部材(1)の間に設けられる弾性部材を含み、前記弾性部材の両端は、それぞれ、ブリッジ(5)及び相応する清掃部材(1)に当接され、或いは、ブリッジ(5)及び相応する清掃部材(1)に固定接続され、かつ弾性変形した前記弾性部材によってブリッジ(5)に対して偏向可能に構成される清掃部材(1)に対して前記清掃部材(1)を偏向させるための偏向作用力を加える、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の清掃ロボット。
【請求項5】
前記偏向駆動機構(6)は、ブリッジ(5)及び相応する清掃部材(1)に固定装着される、互いに吸引したり反発したり磁気コンポーネントを含み、前記磁気コンポーネント間の吸引又は反発作用により、ブリッジ(5)に対して偏向可能に構成される清掃部材(1)に対して前記清掃部材(1)を偏向させる偏向作用力を加える、
ことを特徴とする請求項3に記載の清掃ロボット。
【請求項6】
前記磁気コンポーネントには電磁石が含まれ、前記電磁石の制御回路は、制御器(4)に接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の清掃ロボット。
【請求項7】
前記吸引モジュール(2)は、清掃部材(1)と同数のファン又は真空ポンプを含み、各清掃部材(1)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)は互いに独立し、前記ファン又は真空ポンプは、チャンバ(1a)に一対一接続される、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の清掃ロボット。
【請求項8】
前記複数の清掃部材(1)が少なくとも1#清掃部材(1-1)と2#清掃部材(1-2)を含み、前記清掃ロボットを清掃対象面に移動させる請求項7に記載の清掃ロボットの運動制御方法であって、
相応する吸引モジュール(2)を制御して1#清掃部材(1-1)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧は、2#清掃部材(1-2)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧よりも大きくなるようにし、かつ、
相応する駆動モジュール(3)を制御して第1回転方向に前記1#清掃部材(1-1)及び2#清掃部材(1-2)へ適切な駆動力を加え、それにより前記2#清掃部材(1-2)及びブリッジ(5)は前記1#清掃部材(1-1)を中心として第1回転方向に反対する第2回転方向にねじれさせるステップS01と、
相応する吸引モジュール(3)を制御して前記1#清掃部材(1-1)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧は、前記2#清掃部材(1-2)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧よりも小さくなるようにし、かつ
相応する駆動モジュール(3)を制御して前記第2回転方向に前記1#清掃部材(1-1)及び2#清掃部材(1-2)へ適切な駆動力を加え、それにより、前記1#清掃部材(1-1)及びブリッジ(5)は前記2#清掃部材(1-2)を中心として前記第2回転方向に反対する第1回転方向にねじれさせるステップS02と、
上記ステップS01とステップS02を交互に実行するステップと、を含む、
ことを特徴とする清掃ロボットの運動制御方法。
【請求項9】
前記清掃ロボットを清掃対象面に移動させる請求項3に記載の清掃ロボットの運動制御方法であって、
相応する駆動モジュール(3)を介して前記少なくとも2つの清掃部材(1)を同時に駆動して適切な方向に清掃対象面に対して回動させ、かつ前記偏向駆動機構(6)により当該少なくとも2つの清掃部材(1)に偏向作用力を加えて、清掃対象面がすべての清掃部材(1)に加えられたすべての静摩擦力の合力は、ゼロよりも大きくし、それにより、当該清掃ロボットを駆動して前記合力の方向に沿って直線的に走行する、
ことを特徴とする清掃ロボットの運動制御方法。
【請求項10】
前記清掃ロボットを清掃対象面に移動させる請求項6に記載の清掃ロボットの運動制御方法であって、
以下のように清掃ロボットの運動を制御し、
相応する吸引モジュール(3)を制御して前記少なくとも2つの清掃部材(1)のうちの1#清掃部材(1-1)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧は、2#清掃部材(1-2)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧よりも大きくなるようにし、かつ、
前記1#清掃部材(1-1)に対応する電磁石の電源回路が開けられ、前記2#清掃部材(1-2)に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、前記2#清掃部材(1-2)の一側の清掃対象面に対する圧力のみが、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいか、または小さくなるようにし、かつ
相応する駆動モジュール(3)を制御して第1回転方向に前記1#清掃部材(1-1)及び前記2#清掃部材(1-2)へ適切な駆動力を加え、それにより前記2#清掃部材(1-2)及びブリッジ(5)は前記1#清掃部材(1-1)を中心として第1回転方向に反対する第2回転方向にねじれるステップS01と、
相応する吸引モジュール(3)を制御して前記1#清掃部材(1-1)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧は、前記2#清掃部材(1-2)と清掃対象面とが画定されるチャンバ(1a)の負圧よりも小さくなるようにし、かつ
前記1#清掃部材(1-1)に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、前記2#清掃部材(1-2)に対応する電磁石の電源回路が開けられ、前記1#清掃部材(1-1)の一側の清掃対象面に対する圧力のみが、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいかまたは小さくなるようにし、かつ
相応する駆動モジュール(3)を制御して前記第2回転方向に1#清掃部材(1-1)及び2#清掃部材(1-2)へ適切な駆動力を加え、それにより前記1#清掃部材(1-1)及びブリッジ(5)は2#清掃部材(1-2)を中心として前記第2回転方向に反対する第1回転方向にねじれるステップS02と、
上記ステップS01とステップS02を交互に実行するステップとを含む、
ことを特徴とする清掃ロボットの運動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃設備の技術分野に関し、特に清掃ロボット及びその運動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国特許文献CN102920393Aは、パネルを清掃するための清掃機を開示しており、清掃機とパネルとの間に負圧を形成することによって清掃機をパネルに付着させる。具体的には、清掃機は、2つの清掃部材の間に設置されるリンクアーム(即ち、本体)を含み、2つの清掃部材は、共に本体に固定接続され、駆動モジュールにより一方の清掃部材を回動せず、他方の清掃部材を駆動して第1回転方向に沿って回動させ、それにより回動する清掃部材と本体との間にねじれが発生し、かつ該ねじれにより本体を第2回転方向(第2回転方向が第1回転方向とは逆方向)へ揺動させ、2つの清掃部材を交互に回動駆動することにより、清掃機がパネルにねじれて走行する。
【0003】
中国特許文献CN104414573Aは、類似の構成を有する窓掃除装置を開示し、それは、真空ポンプにより吸盤内に負圧を発生させて窓掃除装置をガラスに吸着させる。窓掃除装置の吸着回転テーブルは軸受を介して本体に接続され(軸受の外輪は本体に固定接続され、軸受の内輪は吸着回転テーブルに固定接続される)、制御ユニットは、それぞれ、動力が2つの吸着回転テーブルに出力する大きさ及び方向を制御し、一対の吸着回転テーブルをガラス面に垂直な垂直軸を中心に回転又は静止するように駆動し、両者が交互に高速端又は低速端になるようにし、回転速度差が生じ、それにより窓掃除装置は交互にねじれ動作を発生させ、ねじれて走行する。
【0004】
ねじれて走行する既存の清掃機/窓掃除装置は、ほとんど、上記特許と類似する構成を採用しており、いずれも2つの吸着回転テーブルを介してパネル面に吸着され、かつ2つの吸着回転テーブルが一体に剛性接続され、それによりパネルにねじれて走行する。そのため、ほとんどすべてのねじり式清掃装置は、その動作するパネル面が非常に平らな平面である必要があり、パネルが円弧を描くようにある程度曲がったとき、吸着回転テーブルとパネル面の隙間が大きくなり、空気漏れが発生し、それは、移動中に機器が落下することを引き起こす恐れがある。機器の落下を回避するために、一般的に、センサを設置して負圧領域の圧力変化を監視し、一旦負圧領域の圧力が設定した閾値を超えると、機器は、前進を続けることがなく直ちに方向転換するように制御されるため、既存のねじり式清掃装置は、殆ど一定の弧度を有するパネル面の作業に適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、適用範囲がより広い清掃ロボットを提供するということである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の技術案を採用する。清掃対象面に付着される微粒子を除去するための清掃ロボットであって、清掃対象面に接触して清掃機能を実行し、かつ清掃対象面と少なくとも1つのチャンバを画定する清掃部材と、前記チャンバに連通し、前記チャンバ内の空気を吸引し、前記チャンバ内に負圧を形成して清掃部材を清掃対象面に吸着させる吸引モジュールと、前記清掃部材に接続されて、かつ清掃部材を駆動して清掃対象面に垂直な軸を回転軸として回転させる駆動モジュールと、前記吸引モジュールと駆動モジュールに結合され、かつ前記吸引モジュールと駆動モジュールを制御する制御器と、複数の清掃部材及び駆動モジュールに接続され、かつ少なくとも1つの清掃部材がブリッジに対して偏向可能に構成され、それにより、当該清掃部材に対応する回転軸が他の清掃部材に対応する回転軸とずれて夾角を形成するブリッジと、を含む。
【0007】
一実施例では、当該清掃ロボットは、さらに、ブリッジに対して偏向可能に構成される清掃部材に清掃部材を偏向させるための偏向作用力を加え、それにより、当該清掃部材が清掃対象面に置かれる場合に、その一側が最初に清掃対象面に接触し、かつ当該清掃部材が清掃対象面に吸着された後に、当該一側の清掃対象面に対する圧力が他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくなるようにする偏向駆動機構を含む。
【0008】
一実施例では、前記複数の清掃部材のうちの少なくとも2つの清掃部材は、間隔を隔て設置される回転軸を介してブリッジに接続され、前記回転軸は、当該少なくとも2つの清掃部材に対応する回転軸に垂直し、前記偏向駆動機構は、当該少なくとも2つの清掃部材に対して当該少なくとも2つの清掃部材を偏向させる偏向作用力を加え、それにより、当該少なくとも2つの清掃部材が清掃対象面に置かれる場合に、その一側が最初に清掃対象面に接触し、かつ当該少なくとも2つの清掃部材が清掃対象面に吸着された後に、前記一側の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくなる。
【0009】
当該少なくとも2つの清掃部材が清掃対象面に吸着される場合に、当該少なくとも2つの清掃部材の前記偏向作用力を受けた一側の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいかまたは小さい。
【0010】
一実施例では、前記偏向駆動機構は、ブリッジ及び相応する清掃部材の間に設けられる弾性部材を含み、前記弾性部材の両端は、それぞれ、ブリッジ及び相応する清掃部材に当接され、或いは、ブリッジ及び相応する清掃部材に固定接続され、かつ弾性変形した前記弾性部材によってブリッジに対して偏向可能に構成される清掃部材に対して前記清掃部材を偏向させるための偏向作用力を加える。
【0011】
一実施例では、前記偏向駆動機構は、ブリッジ及び相応する清掃部材に固定装着される、互いに吸引したり反発したり磁気コンポーネントを含み、前記磁気コンポーネント間の吸引又は反発作用により、ブリッジに対して偏向可能に構成される清掃部材に対して前記清掃部材を偏向させる偏向作用力を加える。
【0012】
好ましくは、前記磁気コンポーネントには電磁石が含まれ、前記電磁石の制御回路は、制御器に接続される。
【0013】
そのうち、前記吸引モジュールは、清掃部材と同数のファン又は真空ポンプを含み、各清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバは互いに独立し、前記ファン又は真空ポンプは、チャンバに一対一接続される。
【0014】
他方、本発明は、上記清掃ロボットの運動制御方法に関し、前記清掃ロボットの複数の清掃部材は、少なくとも1#清掃部材と2#清掃部材を含み、前記清掃ロボットを清掃対象面に移動させ、一実施例では、
相応する吸引モジュールを制御して、1#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧は、2#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧よりも大きくなるようにし、かつ、相応する駆動モジュールを制御して第1回転方向に前記1#清掃部材及び2#清掃部材へ適切な駆動力を加え、それにより前記2#清掃部材及びブリッジは前記1#清掃部材を中心として第1回転方向に反対する第2回転方向にねじれさせるステップS01と、
相応する吸引モジュールを制御して前記1#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧は、前記2#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧よりも小さくなるようにし、かつ相応する駆動モジュールを制御して前記第2回転方向に前記1#清掃部材及び2#清掃部材へ適切な駆動力を加え、それにより、前記1#清掃部材及びブリッジは前記2#清掃部材を中心として前記第2回転方向に反対する第1回転方向にねじれさせるステップS02と、
上記ステップS01とステップS02を交互に実行するステップと、を含む。
【0015】
別の実施例では、清掃ロボットの運動制御は、相応する駆動モジュールを介して前記少なくとも2つの清掃部材を同時に駆動して適切な方向に清掃対象面に対して回動させ、かつ前記偏向駆動機構により当該少なくとも2つの清掃部材に偏向作用力を加えて、清掃対象面がすべての清掃部材に加えられたすべての静摩擦力の合力は、ゼロよりも大きくし、それにより、当該清掃ロボットを駆動して前記合力の方向に沿って直線的に走行する。
【0016】
好ましくは、電磁石が含まれた磁気コンポーネントを偏向駆動機構として採用する実施例では、以下の方式によって清掃ロボットの運動を制御する。まず、相応する吸引モジュールを制御して前記少なくとも2つの清掃部材のうちの1#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧は、2#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧よりも大きくなるようにし、かつ、前記1#清掃部材に対応する電磁石の電源回路が開けられ、前記2#清掃部材に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、前記2#清掃部材の一側の清掃対象面に対する圧力のみが、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいかまたは小さくなるようにし、かつ相応する駆動モジュールを制御して第1回転方向に前記1#清掃部材及び前記2#清掃部材へ適切な駆動力を加え、それにより前記2#清掃部材及びブリッジは前記1#清掃部材を中心として第1回転方向に反対する第2回転方向にねじれ、そして、相応する吸引モジュールを制御して前記1#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧は、前記2#清掃部材と清掃対象面とが画定されるチャンバの負圧よりも小さくなるようにし、かつ前記1#清掃部材に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、前記2#清掃部材に対応する電磁石の電源回路が開けられ、前記1#清掃部材の一側の清掃対象面に対する圧力のみが、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいかまたは小さくなるようにし、かつ相応する駆動モジュールを制御して前記第2回転方向に1#清掃部材及び2#清掃部材へ適切な駆動力を加え、それにより前記1#清掃部材及びブリッジは2#清掃部材を中心として前記第2回転方向に反対する第1回転方向にねじれ、上記ステップを交互に実行し、清掃ロボットを清掃対象面にねじれて走行させる。
【0017】
既存の機器と異なり、本発明は、少なくとも1つの清掃部材がブリッジに対して偏向可能に構成され、相応的に、機器の他の部分(ブリッジ、他の清掃部材等を含む)も当該清掃部材に対して偏向することができる。偏向/浮動可能な構成を採用すると、清掃部材を一定の弧度を有する清掃対象面によりよく適合させ、清掃部材と清掃対象面との吸着効果を向上し、機器の落下を減少すると共に、清掃効果をよく保証する。また、既存の機器が平らな清掃対象面に対して清掃作業を行う場合に、清掃対象面に拭き取りにくい固体付着物(例えば、固化したコンクリートブロック、硬質接着剤等)がある場合、固体付着物が清掃対象面から突出する高さが高くなくても、機器は、清掃部材が上記固体付着物により干渉され或いは押し込まれて固体付着物が位置する部位をパネルの境界と誤認したが(機器の落下を防止する)、本発明は、清掃部材の偏向/浮動構造により固体付着物をある程度に回避でき、それにより上記の干渉による誤判定の事態を低減することができる。要するに、本発明は、既存の清掃ロボットよりも優れた適応性を有し、より広い適用範囲を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1-2における清掃ロボットの外形構造模式図である。
図2図2は、実施例1における清掃部材、駆動モジュール、吸引モジュール及びブリッジの間の接続構造模式図である。
図3図3は、実施例1におけるブリッジの斜視模式図である。
図4図4は、実施例1における清掃ロボットの上面模式図である。
図5図5は、図4におけるA-A方向の断面模式図である。
図6図6は、実施例1における清掃ロボットの側面模式図である。
図7図7は、実施例1における清掃ロボットが弧形の清掃対象面に吸着された模式図である。
図8図8は、実施例1における清掃ロボットの清掃対象面での運動軌跡の模式図である。
図9図9は、実施例2における清掃部材、駆動モジュール、吸引モジュール及びブリッジの間の接続構造模式図である。
図10図10は、図9におけるI部の部分放大図である。
図11図11は、実施例2におけるブリッジの斜視模式図である。
図12図12は、実施例2における清掃ロボットの側面模式図である。
図13図13は、実施例2における清掃ロボットの清掃対象面での運動軌跡の第1模式図である;
図14図14は、実施例2に係る清掃ロボットの清掃対象面での運動軌跡の第2模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「頂」、「底」、「内」、「外」という用語が示される方向又は位置関係は、図面に示される方向又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜および説明の簡略化のためのものであり、言及される装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成し及び操作しなければならないことを示したり暗示することを意図したものではなく、したがって本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、「1#」、「2#」などの用語は、説明の目的でのみ使用されており、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的特徴の量を暗黙的に示したりするものとして理解することはできない。
【0020】
当業者が本発明の構想をより明確に理解できるように、以下に実施例および図面を参照して本発明をさらに説明する。
実施例1
【0021】
図1、4、6は、本実施における清掃ロボットの外形構造を示し、図2、5、7に示すように、当該清掃ロボットは、主に清掃部材1と、吸引モジュール2と、駆動モジュール3と、制御器4と、ブリッジ5とを含む(ブリッジ5は、各清掃部材1を接続するホルダに相当し、各清掃部材1同士は独立しているので、当該ホルダは、それぞれの独立した清掃部材1を接続し、接続ブリッジのような役割を果たすため、「ブリッジ」と呼ばれる)。なお、上記図では清掃部材1の数は2つであるが、実際に応用される場合に、必要に応じて清掃部材1の数が複数としても構成できることを当業者は理解すべきである。図示されているのは、清掃ロボットの最も簡単な構成のみである。また、上記吸引モジュール2は、ファン(負圧ファン)や真空ポンプを含むが、これらに限定されず、駆動モジュール3は、モータであってもよい(もちろん、必要に応じてモータの出力端に減速機を接続することもできる)。本実施例に係る清掃ロボットのエアダクト及び制御回路は、既存の清掃ロボットと類似するため、説明を簡略化するために、上記の内容については重複して説明しない。
【0022】
以上に図示される清掃ロボットにおいて、清掃部材1の作用は、主に清掃対象面に接触して清掃機能を実行し、かつ清掃対象面と少なくとも1つのチャンバ1aを画定することである。清掃部材1は、図に示されるようなホイールディスク形状に加えて、ルーローの三角形の形状を採用してもよい。また、当業者は、前述の清掃対象面が平らなパネルの表面(例えば、直立したガラス窓)を含むが、それに限定されず、フロア面であってもよく、一定の弧度を有する曲面であってもよいと理解すべきである(例えば、車のフロントガラスのような一定の弧度を有するガラス面)。本実施例では、清掃部材1は、吸引モジュール2を介して清掃対象面に吸着され、具体的には、吸引モジュール2は、2つの負圧ファンを含み、2つの清掃部材1が形成するチャンバ1aは互いに独立し、2つの負圧ファンと2つのチャンバ1aとは一対一接続され、負圧ファンが動作する場合にチャンバ1a内の空気が吸引され、チャンバ1a内に負圧が形成され、それにより対応する清掃部材1は清掃対象面に吸着される。各清掃部材1は、それぞれ、単独の負圧ファンを採用し、かつ対応するチャンバ1aも互いに独立した後に、各清掃部材1が受けた吸着力は互いに影響しない。即ち、ある清掃部材1は、清掃対象面の作業領域外に移動してエア漏れが発生したとしても、安全作業領域内に1つの清掃部材1が存在する限り、安全作業領域内の清掃部材1は、清掃対象面にしっかりと吸着されるので、機器が落下するリスクが発生しなく、安全性がより高い。また、清掃部材1は、接続される駆動モジュール3により動力を提供することにより清掃機能を実行し、駆動モジュール3は、清掃対象面に垂直な軸を回転軸として清掃部材1を回転させ、それにより清掃部材1と清掃対象面とは大きな変位が生じ、摩擦作用により、清掃部材1は清掃対象面に吸着された微粒子を拭き取る。既存の清掃ロボットと同様に、上記吸引モジュール2及び駆動モジュール3は、充電可能な電池モジュールによって電力供給されることができ、電源に接続される電源コードを設置し、減圧処理された電源によって電力供給されてもよい。電源によって電力供給される場合に、電池モジュールは非常用電源とされ、電源が遮断される(例えば、停電)場合に、吸引モジュール2及び駆動モジュール3は、電力供給のために電池モジュールに切り替える。それと同時に、制御器4は、吸引モジュール2及び駆動モジュール3に結合されることにより吸引モジュール2及び駆動モジュール3を制御する。本体/筐体を介して各吸着回転テーブルが一体になるように固定接続される既存の清掃ロボットとは異なり、本実施例では、ブリッジ5を介して2つの清掃部材1を接続し、2つの清掃部材1は、共にブリッジ5に対して偏向可能に構成される。具体的には、当該2つの清掃部材1は、ブリッジ5に平行に離間して設置される2組の回転軸7を介してブリッジ5にそれぞれ接続され、図において、回転軸7は2つの清掃部材1の対応する回転軸に垂直している。いずれかの清掃部材1が偏向した後、その対応する回転軸は他方の清掃部材1の対応する回転軸とずれて夾角を形成する。清掃部材1が上記のような、ブリッジ3に対して偏向/浮動可能な構造を採用する目的は、主に清掃部材を一定の弧度を有する清掃対象面によりよく適合させるということであり、それにより清掃部材1と清掃対象面との吸着効果を向上し、機器の落下を減少し、清掃効果を保証し、かつ清掃部材1の偏向/浮動により、清掃対象面にある固体付着物をある程度に回避でき、上記固体付着物と清掃部材1との干渉や押し込みにより、機器が固体付着物の位置を境界と誤認する事態が低減される。なお、別の実施例では、そのうちの1つの清掃部材1のみがブリッジに対して偏向可能に構成されてもよく、運動の相対性原理に従って、当該清掃部材1を参照物とする場合に、機器の他の部分(ブリッジ5、他の清掃部材1等を含む)は、当該清掃部材1に対して偏向可能であり、このようにして、同様に上記目的を実現できる。
【0023】
次に、上記清掃ロボットの運動制御方式について詳しく説明する。説明を容易にするために、以下、図中の2つの清掃部材1を1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2としてそれぞれ番号付ける。
【0024】
図8に示すように、清掃ロボットは、吸引モジュール2が発生した負圧によって清掃対象面に吸着された後に、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2は、それぞれ図中のA0位置とB0位置にある。
【0025】
まず、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2に対応する吸引モジュール2をそれぞれ制御することにより、1#清掃部材1-1に対応するチャンバ1aの負圧が2#清掃部材1-2に対応するチャンバ1aの負圧よりも大きくなるようにし、かつ対応する駆動モジュール3を駆動して1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2を時計回り方向に駆動し、駆動モジュール3による駆動力は、適切な範囲でなければならない。1#清掃部材1-1にとっては、駆動モジュール3によって印加される駆動力は、清掃対象面との最大静摩擦力未満でなければならない。2#清掃部材1-2にとっては、駆動モジュール3によって印加される駆動力は、清掃対象面との最大静摩擦力よりも大きなければならず、それにより2#清掃部材1-2が清掃対象面に垂直な軸を回転軸として回転し、2#清掃部材1-2と清掃対象面とは相対に変位するが、1#清掃部材1-1は清掃対象面に対して静止を保持し、作用力と反力の原理により、1#清掃部材1-1に印加された駆動力に対応する反力(当該反力は、清掃対象面で発生する静摩擦力に等しい)はブリッジ5に伝達され、回動した2#清掃部材1-2と清掃対象面との滑り摩擦力が1#清掃部材1-1と清掃対象面との静摩擦力よりも小さいので、上記反力により、ブリッジ5は2#清掃部材1-2と共に1#清掃部材1-1を中心として反時計方向にねじれ、2#清掃部材1-2をB1位置まで移動させ、1#清掃部材1-1はまだA0位置に位置している。
【0026】
そして、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2に対応する吸引モジュール2をそれぞれ制御することにより、1#清掃部材1-1に対応するチャンバ1aの負圧が2#清掃部材1-2に対応するチャンバ1aの負圧よりも小さくなるようにし、かつ相応する駆動モジュール3を駆動して1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2を反時計方向に駆動し、上記ステップと類似に、駆動モジュール3による駆動力も適切な範囲でなければならない。前述のステップとの違いは、このステップでは、1#清掃部材1-1にとっては、駆動モジュール3によって印加される駆動力は、清掃対象面との最大静摩擦力よりも大きなければならず、2#清掃部材1-2にとっては、駆動モジュール3によって印加される駆動力は、清掃対象面との最大静摩擦力未満でなければならないということである。それにより、1#清掃部材1-1が清掃対象面に垂直な軸を回転軸として回転し、1#清掃部材1-1と清掃対象面とは相対に変位するが、2#清掃部材1-2は清掃対象面に対して静止を保持し、作用力と反力の原理により、2#清掃部材1-2に印加される駆動力に対応する反力(当該反力は、清掃対象面で発生する静摩擦力に等しい)はブリッジ5に伝達され、回動した1#清掃部材1-1と清掃対象面との滑り摩擦力が2#清掃部材1-2と清掃対象面との静摩擦力よりも小さいので、上記反力により、ブリッジ5は1#清掃部材1-1と共に2#清掃部材1-2を中心として時計回り方向にねじれ、1#清掃部材1-1をA1位置まで移動させ、2#清掃部材1-2はまだB1位置に位置している。
【0027】
上記の2つのステップを交互に実行することにより、清掃ロボットが清掃対象面にねじれて走行することができる。清掃ロボットが清掃対象面にねじれて走行する過程に、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2は、清掃対象面に対して交互に回動し、かつ清掃対象面に付着される汚れである微粒子を拭き取り、それにより清掃対象面の清掃作業を実現する。
実施例2
【0028】
本実施例では、清掃ロボットは、図1に示すような外形構造を採用する。図9に示すように、実施例1と類似に、当該清掃ロボットは、同様に、主に清掃部材1と、吸引モジュール2、駆動モジュール3と、制御器4と、ブリッジ5とを含む。図9-11に示すように、本実施例における2つの清掃部材1は、共にブリッジ5に対して偏向可能に構成され、同様に、2つの清掃部材1はブリッジ5に平行に離間して設置される2組の回転軸7を介してブリッジ5にそれぞれ接続され、かつ回転軸7は2つの清掃部材1に対応する回転軸に垂直する。
【0029】
本実施例と実施例1との最大の違いは、ブリッジ5に対して偏向可能に構成される2つの清掃部材1に2つの清掃部材1を偏向させるための偏向作用力を加えるための偏向駆動機構6をさらに設置するということであり、当該偏向駆動機構6による偏向作用力により、2つの清掃部材1が清掃対象面に置かれる場合に、その一側が最初に清掃対象面に接触し、かつ当該2つの清掃部材1が清掃対象面に吸着された後に、前述の一側(即ち、最初に清掃対象面に接触する一側)の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくなるようにする。具体的には、本実施例では、ブリッジ5と2つの清掃部材1との間に、それぞれ偏向駆動機構6を設置し、図9及び図10に示すように、偏向駆動機構6はブリッジ5と清掃部材1との間に設けられたコイルばねである。当該コイルばねの下端は、ブリッジ5の端部に設置される位置決め孔に当接し、当該コイルばねの上端は、清掃部材1のブリッジ5付近に設置される位置決め孔に当接し、かつ当該コイルばねが圧縮状態となっている(圧縮ばね)。他の外力が作用しない場合に、図12に示すように、当該清掃ロボットの一方の清掃部材1は、対応する圧縮ばねの弾性力によってブリッジ5に対して反時計方向に偏向され、他方の清掃部材1は、対応する圧縮ばねの弾性力によってブリッジ5に対して時計回り方向に偏向され、それにより清掃部材1に対応する回転軸はずれて夾角を形成する。なお、コイルばねは、上記設置方式に限定されず、上端がブリッジ5の先端に固定接続され、下端が清掃部材1のブリッジ5に近接する部位に固定接続されてもよく、それにより、当該コイルばねは、引っ張られた状態(引張バネ)にあり、当該引張バネの弾性力により、同様に一方の清掃部材1はブリッジ5に対して反時計方向に偏向され、他方の清掃部材1はブリッジ5に対して時計回り方向に偏向され、図12に示される状態を呈している。
【0030】
次に、本実施例における清掃ロボットの運動制御方式について詳しく説明する。説明を容易にするために、図中の2つの清掃部材1を1#清掃部材1-1、2#清掃部材1-2としてそれぞれ番号付ける。図13に示すように、本実施例に係る清掃ロボットは、実施例1と同様に、その動作中の運転軌跡を制御することができる。実施例1と同様に、清掃ロボットは吸引モジュール2が発生した負圧によって清掃対象面に吸着された後に、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2は、それぞれ図中のA0位置及びB0位置にある。この場合、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2の離れた端(1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2がブリッジ5から比較的遠い端、即ち、図12における1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2の最低点の位置)の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力によりも大きくなる。
【0031】
実施例1における制御ステップのように、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2を駆動してねじれて走行させることにより、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2をそれぞれ図中のA1位置及びB1位置に移動させる。図13に示すように、清掃ロボットが清掃対象面にねじれて走行する過程に、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2は、清掃対象面に対して交互に回動し、かつ清掃対象面に付着される汚れである微粒子を拭き取り、それにより清掃対象面の清掃作業を実現する。実施例1とは異なり、本実施例では、清掃部材1へ偏向作用力を加えるコイルばねを設置することにより、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2が清掃対象面に吸着される場合に、その離れた端側の清掃対象面に対する圧力は、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きく、このようにして、1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2が清掃対象面に対して回動する過程に、清掃対象面が当該離れた端側に加えられる反力は、他の部位が受けた反力よりも大きい。つまり、回動した当該清掃部材1(1#清掃部材1-1又は2#清掃部材1-2)は、清掃対象面から受けた反力がアンバランスとなる。清掃対象面が清掃部材1全体に加えた反力は、清掃部材1を偏向させる作用力を形成することに相当し、それにより、当該清掃部材1は、清掃対象面に対して静止する別の清掃部材1を中心として偏向しやすい。偏向しやすいので、機器が走行中に過大なねじれを発生して清掃対象面から落下する事態を大幅に低減できると共に、駆動モジュール3が相対的に静止する側の清掃部材1への駆動力を対応的に低減ことができ、かつ吸引モジュール2の出力電力を相応的に低減させ、より低い電力の吸引モジュール2及び駆動モジュール3を採用することにより、清掃ロボットの製造コストを節約し、清掃ロボットの走行過程で必要なエネルギ消費を削減し、一石二鳥の効果を得ることができる。
【0032】
上記運動制御方式に加えて、本実施例の清掃ロボットは、水平の清掃対象面(例えば、フロア)の清掃にも使用することができる。図14に示すように、相応する駆動モジュール3を介して1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2を同時に駆動して反対方向(一方が反時計方向に沿い、他方が時計回り方向に沿い)に清掃対象面に対して回動する。1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2は、それぞれ、対応するコイルばねによって同時に印加される偏向作用力により、清掃対象面の1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2に加えたすべての静摩擦力の合力は、ゼロよりも大きく、清掃ロボットの片側を指しているため、当該清掃ロボットは合力の方向に沿って直線的に走行する。当然ながら、上記2つの方式を組み合わせて清掃ロボットの運動軌跡を制御する。
【0033】
なお、上記偏向駆動機構6は、コイルばねの構造に限定されず、他の弾性部材であってもよいし、ブリッジ5と清掃部材1との間に設置できかつ清掃部材1へ偏向作用力を加える弾性部材以外の部材であってもよい。一実施例では、偏向駆動機構6は、ブリッジ5及び相応する清掃部材1に固定装着される、互いに吸引したり(引張バネに相当する)又は反発(圧縮ばねに相当する)したりする磁気コンポーネントであってもよい。磁気コンポーネント間の吸引又は反発作用により、同様に清掃部材1へ偏向作用力を加えることができる。好ましくは、当該磁気コンポーネントには電磁石が含まれ、電磁石の制御回路は、制御器4に結合される。制御器4は、電磁石の電流のオンおよびオフを制御して、偏向駆動機構6を制御することができる。電磁石を偏向駆動機構6として使用した後に、以下の方式により清掃ロボットを清掃対象面にねじれて走行させることができる。まず、相応する吸引モジュール3を制御して1#清掃部材1-1に対応するチャンバ1aの負圧が2#清掃部材1-2に対応するチャンバ1aの負圧よりも大きくなるようにし、かつ1#清掃部材1-1に対応する電磁石の電源回路が開けられ、2#清掃部材1-2に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、2#清掃部材1-2の一側の清掃対象面に加えられた圧力のみが、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きいかまたは小さくなるようにし、かつ相応する駆動モジュール3を制御して時計回り方向に1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2へ適切な駆動力を加える。本実施例では、所謂「適切な」駆動力は、実施例1と一致するように要求され(即ち、一方の清掃部材1を清掃対象面に対して静止させ、他方の清掃部材1を清掃対象面に対して回動させる)、それにより2#清掃部材1-2とブリッジ5は、1#清掃部材1-1を中心として反時計方向にねじれる。そして、相応する吸引モジュール3を制御して1#清掃部材1-1に対応するチャンバ1aの負圧を2#清掃部材1-2に対応するチャンバ1aの負圧よりも小さくなるようにし、かつ1#清掃部材1-1に対応する電磁石の電源回路が閉じられ、2#清掃部材1-2に対応する電磁石の電源回路が開けられ、1#清掃部材1-1の一側の清掃対象面に加えられた圧力のみを、他の部位の清掃対象面に対する圧力よりも大きくしたり小さくしたりするようにし、かつ相応する駆動モジュール3を制御して反時計方向に1#清掃部材1-1及び2#清掃部材1-2へ適切な駆動力を加え、それにより、1#清掃部材1-1とブリッジ5は、2#清掃部材1-2を中心として時計回り方向にねじれる。上記ステップを交互に実行し、清掃ロボットが清掃対象面にねじれて走行するように制御することができる。電磁石を採用すると、ねじれて走行する過程に清掃対象面に対して静止する清掃部材1が偏向作用力を受けず、清掃対象面に対して回動する清掃部材1のみが偏向作用力を受けて、静止する清掃部材1がバランスの取れた力を受けて清掃対象面にしっかりと吸着され、回動する清掃部材1が清掃対象面から受ける反力のみがアンバランスとなるため、回動する当該清掃部材1が清掃対象面に対して静止する別の清掃部材1を中心として偏向させやすいと共に、清掃ロボットがねじれて走行する過程に清掃対象面から落下するリスクを低減する。
【0034】
上記実施例は、本発明の好ましい実現方案であり、本技術案の構想から逸脱することなく、明らかな置換は本発明の保護範囲内にある。
【0035】
当業者が従来技術に対する本発明の改良点をより容易に理解できるように、本発明の幾つかの図面及び説明は、簡略化され、かつ明確のために、本願出願は、他の幾つかの要素も省略され、当業者は、これらの省略された要素も本発明の内容を構成し得ると理解すべきである。
【符号の説明】
【0036】
1:清掃部材
2:吸引モジュール
3:駆動モジュール
4:制御器
5:ブリッジ
6:偏向駆動機構
7:回転軸
1a:チャンバ
1-1:1#清掃部材
1-2:2#清掃部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】