(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】神経学的標的へのモノクローナル抗体の効果的な送達のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534593
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2022000747
(87)【国際公開番号】W WO2023105288
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】ザディカリオ, エーヤル
(72)【発明者】
【氏名】バー-ザイオン, アヴィノアム
(72)【発明者】
【氏名】プラクシン, マイケル
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD14
4C601DE06
4C601EE16
4C601GB03
4C601LL33
(57)【要約】
標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムおよび方法が提供される。上記方法は、標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する工程を包含する。上記方法はまた、上記標的領域において、脈管直径の分布に関連するサイズ分布を有するマイクロバブルを提供する工程を包含する。本発明は、一般に、超音波手順、ならびにより詳細には、健常組織への損傷を回避しながら、標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムおよび方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムであって、前記システムは、
超音波変換器;ならびに
(a)標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する;および
(b)前記標的領域において、所定の関係性に従って前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する
ように構成されたコントローラー、
を含むシステム。
【請求項2】
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、ほぼ同数のビンを有するヒストグラム分布である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ヒストグラムのビンは、集団を表す高さを有し、あるビンにおける前記マイクロバブルの集団は、対応するビンにおける前記脈管の集団を10
2~10
9倍上回る、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、実質的に対応するピークパターンを有するヒストグラム分布である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の関係性は、線形的関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記線形的関係性は、1:3~1:30の範囲に及ぶ平均マイクロバブル直径 対 平均脈管直径の比である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記所定の関係性は、多項式の関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定の関係性は、指数関数的関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記所定の関係性は、実験的なものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記脈管直径の分布は、造影超音波検査によって少なくとも部分的に決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記脈管直径の分布は、超音波画像化によって少なくとも部分的に決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記超音波画像化は、超解像画像化である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記マイクロバブルサイズ分布は、マイクロバブルのタイプの関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記提供する工程は、前記標的領域における超音波の適用によって前記マイクロバブルを生成する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記提供する工程は、前記マイクロバブルを懸濁物として施与する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的は、血液脳関門である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記脈管は、4μm~100μm未満の直径の範囲に及ぶ皮質脈管である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記脈管直径の分布は、およそ50μmにおいてピークを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記決定する工程は、前記標的領域を画像化する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記決定する工程は、前記標的領域を特定し、アトラスを使用して前記脈管直径の分布を決定する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラーは、変換器要素によって発せられる音響エネルギーを制御するために前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定し、その結果、前記音響エネルギーが閾値レベルを上回り、それによってマイクロバブル生成を誘導するようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項22】
前記超音波変換器と関連する前記少なくとも1つのパラメーターは、前記超音波変換器の少なくとも1つの変換器要素と関連する周波数、振幅もしくは位相のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記標的領域における前記マイクロバブルの特徴を検出するための手段をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記マイクロバブルの特徴を検出するための前記手段は、前記超音波変換器、音響信号検出デバイスまたは第2の超音波変換器を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記特徴は、前記マイクロバブルの存在、濃度および/もしくは量、ならびに/または挙動もしくは応答(例えば、キャビテーション)のうちの少なくとも1つである、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラーは、前記マイクロバブルの検出された前記特徴に少なくとも部分的に基づいて、前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定するようにさらに構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
超音波手順を行う方法であって、前記方法は、
標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する工程;
前記標的領域において、所定の関係性に従って、前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する工程;および
前記マイクロバブルの存在下で、前記標的領域に超音波エネルギーを施与する工程、
を包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願第63/287,909号(2021年12月9日出願)の優先権の利益を主張し、その全開示は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、超音波手順、ならびにより詳細には、健常組織への損傷を回避しながら、標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
モノクローナル抗体(mAB)は、多くの腫瘍に対して使用されており、ますます成功しているが、脳腫瘍に関しては、血液脳関門(BBB)が特に懸念される。BBBは、正常な脳への抗体の進入を防止する。これは、mABのサイズに原因があるとされ、これは、一般に、15kDaの範囲にある。腫瘍はそれ自体、部分的にBBBを破壊する場合があり、ある程度のmABは腫瘍に入り得る。しかし、がん細胞が既に正常な脳組織へと浸潤している可能性があり、mAb送達が治療的に最も有益であり得る特に腫瘍の周辺部では、BBBは無傷のままである。
【0004】
可逆的な標的化されたBBB破壊の種々のアプローチは、集束させた超音波の使用を含め、過去数十年で明らかに示されている。集束させた超音波の使用は、種々の利益を有する。例えば、その破壊は、標的領域に局在化され得、その破壊は、無傷の頭蓋骨を通して行われ得、その破壊は、一過性でありかつ重篤な副作用なく制御され得る。超音波でのBBB破壊は、代表的には、マイクロバブルの施与を含むので、それらは上記標的領域に達する。超音波によって引き起こされるこれらのマイクロバブルの機械的振動は、BBBを破壊する。しかし、激しい振動は、出血を引き起こす可能性があり、わずかな振動は、十分なBBB破壊を提供しない可能性がある。現在の技術は、音響フィードバックを使用して、上記振動が安全かつ効果的なマージン内であることをモニターし得る。しかし、これらの振動が上記標的領域におけるバブル活性を表すという保証は存在しない可能性がある-それらは、脳の中のどこかから来ている可能性がある。
【0005】
マイクロバブルを使用してBBBを破壊する場合には、他の制限が存在する。マイクロバブルは、脳の中の血管(その直径はマイクロバブルのものより小さい)に入ることができない;例えば、代表的なマイクロバブルは、ミクロン程度の直径を有し得るのに対して、腫瘍部位におけるミクロキャピラリー(microcapillary)は、ナノメートルの幅しかない可能性がある。これは、適用される超音波が腫瘍部位において無傷のBBBの顕著な割合に影響を及ぼさない可能性があることを意味する。逆に、ナノメートル直径範囲にあるマイクロバブル(ナノバブルとしても公知)を使用して行われる処置は、標的領域により大きな血管がある場合に、BBB破壊を引き起こすにあたって有効ではない可能性がある。よって、超音波手順を使用して破壊されるべきBBB部位の脈管構造全体にマイクロバブルを効率的に導入するアプローチが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明の実施形態によれば、標的領域における脈管構造の脈管直径の分布が決定され、類似のサイズ分布を有するマイクロバブルは、超音波の治療的適用の前にまたはそれと同時に導入される。類似のサイズ分布は、マイクロバブルが脈管構造のかなりの割合に透過することを確実にし、超音波エネルギーが適用される場合のBBB破壊の効率を増強する。脈管構造は、アトラス、造影超音波検査、超音波超解像画像化、超音波局在化顕微鏡法(ultrasound localization microscopy)、磁気共鳴画像化法(MRI)、コンピューター断層撮影法(CT)または他の適切なモダリティーを使用して(例えば、脈管直径の分布を決定するために)特徴づけられ得る。
【0007】
従って、第1の局面において、本発明は、標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムに関する。種々の実施形態において、上記システムは、超音波変換器、ならびに標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する、および上記標的領域において、上記脈管直径の分布に関連する直径サイズ分布を有するマイクロバブル-例えば、1:2~1:30の範囲に及ぶバブル:脈管直径比(その結果、30μm脈管に関しては、最適なバブル直径は、1~15μmである)を提供するように構成されたコントローラーを含む。代表的には、上記直径比は、例えば、ヒストグラムビン範囲に対応する直径の範囲にわたって考慮される。各このようなビン範囲内で、バブルおよび脈管の相対的な集団(ヒストグラムの高さ)は、好ましくは顕著に異なり、マイクロバブルは対応する脈管よりはるかに多い。特定の脈管サイズ(またはサイズ範囲)のサイズにしたマイクロバブルの集団比は、102程度に低く、109程度に高い可能性がある。よって、ヒストグラムビンの平均脈管サイズが30μmである場合、その対応するヒストグラムビンの平均マイクロバブルサイズは、2μmであり得る。そして脈管およびマイクロバブルヒストグラムビンのパターンが類似(またはさらには同一)であり得る一方で、対応するビンの高さは、顕著に異なる。すなわち、脈管より遙かに多くのバブルが存在する。いくつかの実施形態において、バブルサイズ分布は、濃度で表される。いくつかの実施形態において、濃度は、バブル混合物における濃度または標的組織における推定濃度または患者血液中の濃度である。
【0008】
しかし、バブルと脈管直径との間の関係性が、単純な比より複雑であり得ることは、理解されるべきである。例えば、上記関係性は、多項式、指数関数的であり得るかまたは実験的に決定され得る。代わりにまたはさらに、上記マイクロバブルサイズ分布は、マイクロバブルのタイプの関数であり得る。いくつかの実施形態において、脈管容積分布は、コントローラーによって生成され、バブル分布は、容積情報に基づいて選択される。代わりにまたはさらに、脈管サイズ分布からのごくわずかな顕著なビン(例えば、2~5個のビン)が選択され得、他のビンは無視され得る。いくつかの実施形態において、その顕著なビンの各々に関するバブル分布は、等しいかまたはほぼ等しい。いくつかの実施形態において、上記バブル分布は、バブル容積(すなわち、各サイズ範囲内のバブルの全ての容積)に関して表される。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記脈管直径の分布および上記マイクロバブルサイズ分布は、同数の(または実質的に同数の)ビンを有するヒストグラム分布である。例えば、上記脈管直径の分布および上記マイクロバブルサイズ分布は、対応するピークの絶対的な高さが異なるとしても、実質的に類似のピークパターンを有するヒストグラム分布であり得る。上記マイクロバブルは、上記標的領域における超音波の適用によって、または懸濁物としての施与によって、生成され得る。サブミクロン範囲におけるマイクロバブルはまた、位相シフトナノ液滴として施与され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記標的は、血液脳関門である。上記脈管は、4μm(毛細管)から100μm未満(動脈/静脈)までの直径の範囲に及ぶ皮質脈管(cortical vessel)であり得る。例えば、上記脈管直径の分布は、およそ50μmにおいてピークを有し得る。上記関連する脈管構造の脈管サイズ範囲は、標的領域を、例えば、磁気共鳴画像化(MRI)または他の適切な画像化モダリティーを使用して画像化することによって確立され得る。あるいは、上記標的領域がいったん特定されたら、アトラスは、上記脈管直径の分布を決定するために使用され得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記コントローラーは、変換器要素によって発せられる音響エネルギーを制御するために上記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定し、その結果、上記音響エネルギーが閾値レベルを上回り、それによってマイクロバブル生成を誘導するようにさらに構成されている。上記超音波変換器と関連するパラメーターは、上記超音波変換器のうちの1またはこれより多くの要素と関連する周波数、振幅および/もしくは位相からなり得るかまたはそれらを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記システムは、上記標的領域におけるマイクロバブルの特徴を検出するための手段をさらに含む。上記検出手段は、上記超音波変換器、音響信号検出デバイスまたは第2の超音波変換器を含み得るかまたはそれからなり得る。いくつかの実施形態において、上記特徴は、上記マイクロバブルの存在、濃度および/もしくは量、ならびに/または挙動もしくは応答(例えば、キャビテーション)であり得るかまたはそれらを含み得る。上記コントローラーは、上記マイクロバブルの検出された特徴に少なくとも部分的に基づいて、上記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定するようにさらに構成され得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、用語「およそ(approximately)」および「実質的に(substantially)」とは、±20%、およびいくつかの実施形態において、±5%を意味する。本明細書全体にわたる「1つの例」、「一例」、「1つの実施形態」、または「一実施形態」への言及は、その例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特徴が、本技術のうちの少なくとも1つの例の中に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通じて種々の場所での語句「1つの例において」、「一例において」、「1つの実施形態」または「一実施形態」の存在は、必ずしも全て同じ例に言及しているわけではない。さらに、その特定の特徴、構造、慣例、工程、または特徴は、上記技術の1またはこれより多くの例において任意の適切な様式で組み合わされ得る。本明細書で提供される見出しは、単に便宜のためであり、特許請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図されない。
【0014】
図面の簡単な説明
図面において、類似の参照文字は、一般に、異なる側面全体を通じて同じパーツに言及する。また、図面は、必ずしもスケールどおりではなく、代わりに、本発明の原理を図示する際に概して強調がおかれる。以下の説明において、本発明の種々の実施形態が以下の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の種々の実施形態に従う例示的な超音波システムを模式的に記載する。
【0016】
【
図2】
図2は、脈管サイズおよびマイクロバブルサイズの例示的ヒストグラムを示す。
【0017】
【
図3A】
図3A~3Cは、いくつかの実施形態に従って、標的領域に関する超音波手順を初期化するための例示的方法のフローチャートを示す。
【
図3B】
図3A~3Cは、いくつかの実施形態に従って、標的領域に関する超音波手順を初期化するための例示的方法のフローチャートを示す。
【
図3C】
図3A~3Cは、いくつかの実施形態に従って、標的領域に関する超音波手順を初期化するための例示的方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
図1は、集束させた音響エネルギービームを生成し、患者の身体内の標的領域101に送達するための例示的な超音波システム100を図示する。適用される超音波は、上記標的領域および/または非標的領域から反射され得、上記標的領域および/または非標的領域の画像は、反射した波に基づいて生成され得る。さらに、マイクロバブルは、超音波反射を増大させるために、上記標的領域101および/または非標的領域へと導入され得、それによって、超音波画像のコントラストを改善し得る。いくつかの実施形態において、上記適用した超音波は、標的領域101において組織を切除し得る、ならびに/またはマイクロバブル振動および/もしくはキャビテーションを誘導して、処置効果を改善し得る。図示されたシステム100は、変換器要素104のフェーズドアレイ102、フェーズドアレイ102を駆動するビームフォーマー106、ビームフォーマー106と通信するコントローラー108、およびビームフォーマー106への入力電気信号を提供する周波数生成器110を含む。種々の実施形態において、上記システムは、標的領域101および/または非標的領域において組織の解剖学的特徴(例えば、タイプ、特性、構造、厚み、密度など)を決定するためのイメージャー112(例えば、磁気共鳴画像化(MRI)デバイス、コンピューター断層撮影(CT)デバイス、陽電子放射断層撮影(PET)デバイス、単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)デバイス、または超音波診断デバイスをさらに含む。
【0019】
アレイ102は、患者の身体の表面に配置するために適した湾曲した(例えば、球または放物線)形状を有し得るか、または1もしくはこれより多くの平坦なもしくは別の形状の断面を含み得る。その寸法は、ミリメートル~数十センチメートルの間で変動し得る。アレイ102の変換器要素104は、圧電セラミック素子であってもよいし、シリコーンゴムまたは要素104の間の機械的連結を減衰させるために適した任意の他の材料の中に取り付けられてもよい。ピエゾ複合材料(piezo-composite material)、または電気エネルギーを音響エネルギーに変換し得る概して任意の材料がまた使用されてもよい。変換器要素104への最大電力伝達を保証するために、要素104は、入力コネクターインピーダンスにマッチする(または実質的にマッチする)ために、例えば、50Ωでの電気共振のために構成されてもよい。
【0020】
変換器アレイ102は、個々の変換器要素104を駆動するビームフォーマー106に連結され、その結果、それらは、集合的に、集束させた超音波ビームまたはフィールドを生成する。n個の変換器要素に関して、ビームフォーマー106は、n個のドライバ回路を含み得、各々、増幅器118および位相遅延回路120を含むかまたはからなる;各ドライバ回路(drive circuit)は、変換器要素104のうちの1つを駆動する。ビームフォーマー106は、代表的には、0.1MHz~10MHzの範囲にある無線周波(RF)入力信号を、周波数生成器110から受容し、これは、例えば、Stanford Research Systemsから市販されているModel DS345生成器であり得る。上記入力信号は、ビームフォーマー106のn個の増幅器118および遅延回路120のためにn個のチャネルへと分けられ得る。いくつかの実施形態において、周波数生成器110は、ビームフォーマー106と一体化される。無線周波生成器110およびビームフォーマー106は、同じ周波数において、しかし異なる位相および/または異なる振幅において変換器アレイ102の個々の変換器要素104を駆動するように構成される。
【0021】
ビームフォーマー106によって課される増幅または減衰係数α1~αnおよび位相シフトa1~anは、変換器要素104と標的領域との間に位置する介在組織を経て標的領域101へと超音波エネルギーを伝達および集束させるために役立ち、その介在組織において誘導される波の歪みを考慮する。増幅係数および位相シフトは、コントローラー108を使用して計算され、これは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、またはこれらの任意の組み合わせを経て計算機能を提供し得る。種々の実施形態において、コントローラー108は、従来の様式で、かつ過度の実験なしに、所望の集束(focus)または任意の他の所望の空間フィールドパターンを生成するように、各要素104と関連した超音波パラメーター(例えば、周波数、位相シフトおよび/または増幅係数)の最適値を決定するために、ソフトウェアでプログラムされた汎用目的または特殊目的のデジタルデータプロセッサを利用する。超音波パラメーターの最適値は、例えば、集束品質、標的101に対する集束位置および/または超音波処理へのマイクロバブル応答に基づいて、超音波手順の前、後、および/または超音波手順の間に1回もしくはこれより多く、実験的に改良され得る。上記集束の品質および位置は、イメージャー112を使用してモニターされ得、そのマイクロバブル応答は、変換器102および/または音響信号検出器122(例えば、ハイドロフォン)を使用して検出され得る。
【0022】
ある特定の実施形態において、超音波パラメーターの最適値は、介在組織の特徴についての詳細な情報および音響エネルギーの伝播に対するそれらの効果(例えば、反射、屈折、および/または散乱)に基づいて、計算的に推定される。このような情報は、イメージャー112から得られ得、手動でまたは計算して分析され得る。画像獲得は、三次元であってもよいし、代わりにイメージャー112は、上記標的領域および/または非標的領域の三次元画像を再構築するために適した1組の二次元画像を提供してもよい。画像操作機能は、イメージャー112において、コントローラー108において、または別個のデバイスにおいて実装され得る。
【0023】
ある特定の処置シナリオにおいて、標的領域101に向かって異なる方向から伝播する超音波は、非常に変化しやすい解剖学的構造(例えば、組織層の種々の厚みおよび種々の音響インピーダンス)に遭遇し得る;結果として、標的領域101におけるエネルギー堆積(energy deposition)は、顕著に、しばしば、周波数とともに非単調に変動し、特定の患者に関する最適周波数は、代表的には、予測不能である。よって、いくつかの実施形態において、超音波の周波数は、標的領域101を、試験周波数範囲内の種々の「試験周波数」を有する波で逐次的に超音波処理することによって最適化される;各試験周波数に関しては、標的領域101におけるエネルギー堆積を示すパラメーター(例えば、温度、音響放射力(acoustic force)、組織変位など)が測定される。試験範囲は、超音波処置に適した周波数の全範囲(例えば、種々の実施形態において、0.1MHz~10MHz)にまたがってもよいが、代表的には、遙かにより小さなその部分範囲であり、その中で最適周波数が予測される。このような部分範囲は、例えば、最適周波数の計算による推定、シミュレーションの結果、または他の患者における同じ標的に関して獲得された実験的データに基づいて決定され得る。超音波適用に関する最適周波数を決定することについてのさらなる詳細は、例えば、米国公開番号2016/0008633(その全内容は、本明細書に参考として援用される)において提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、超音波周波数を最適化することは、試験周波数を反復して設定し、標的領域101を選択した周波数において超音波処理し、標的領域101において得られた集束特性またはエネルギー堆積を定量的に評価することを伴う。これは、例えば、その堆積したエネルギーから生じる標的領域101における温度上昇を測定するためのMRI温度測定法、標的領域101における音響圧力から生じる組織変位を測定するためのMR-ARFI、標的領域101から反射した超音波の強度を測定するための超音波検出、または公知のおよび予測可能な様式で標的領域101におけるエネルギー堆積と相関するパラメーターを測定するための概して任意の実験技術を使用して達成され得る。周波数最適化の後に、フェーズドアレイ変換器102の位相および/または振幅設定は、その選択した周波数に関する集束を最適化するために調節され得る。標的領域101における集束特性を評価し、それに基づいて、フェーズドアレイ変換器102の超音波周波数、位相および/または振幅設定を調節するアプローチは、例えば、本明細書と同日に出願された発明の名称「Adaptive, Closed-Loop Ultrasound Therapy」の国際特許出願(その全内容は、本明細書に参考として援用される)において提供される。
【0025】
種々の実施形態において、マイクロバブルおよび/または他の治療剤は、静脈内に、いくらかの場合には、標的領域上で超音波手順を増強するための施与システム124を使用する標的領域101の近位への注射によって導入される。例えば、マイクロバブルは、後に蒸発する液体の液滴の形態において、またはガスを充填したバブルとして、または従来の超音波造影剤のような別の適切な物質とともに載せられて、患者の脳へと導入され得る。それらのガスの被包が原因で、マイクロバブルは、超音波の散乱体/調波発振器または反射体として作用し得る。マイクロバブルからの反射は、身体の軟組織および/または血液からの反射より強い場合もある。従って、マイクロバブルベースの造影剤を使用することによって、超音波画像のコントラストレベルは、顕著に増大され得る。
【0026】
さらに、マイクロバブルは、体積脈動(volume pulsation)に伴って適用された振動音響圧力に対して反応し得る。超音波の振幅に依存して、マイクロバブル振動は、適用された音響圧力に対して線形的または非線形的のいずれかで関連する。比較的低い音響圧力に関しては、マイクロバブルの瞬間的な半径は、適用された音響圧力の振幅に関連して線形的に振動し得る。マイクロバブル振動は、共振周波数、減衰係数およびシェル特性(shell property)のようなパラメーターによって左右される。従って、適用された音響波の周波数がマイクロバブル共振周波数に等しい場合、マイクロバブルは、大きな力を経験し、崩壊する可能性がある。これは、非標的組織に対する望ましくない損傷を、そのマイクロバブルがその中に存在する場合に生じ得る。
【0027】
この望ましくない効果を回避するために、種々の実施形態において、マイクロバブルの共振周波数は、選択された最適な超音波周波数とは実質的に異なる(例えば、2倍大きい)ように選択される。さらに、変換器要素104は、処置の間に低い音響パワー(例えば、5W)を有する波を伝達するように作動される。このようにして、非標的領域に達する超音波が低い音響強度を有し、かつそれらの周波数がマイクロバブルの共振周波数とは実質的に異なることから、非標的領域におけるマイクロバブルは、適用された音響場に応答しない(またはキャビテーションなしに制限された応答を有する)場合がある。これは、非標的組織が損傷されない(またはその量が少なくとも非常に制限される)ことを確実にする。対照的に、超音波ビームが集束される標的領域101において、音響強度は、標的領域の外側のものより実質的に大きく、マイクロバブルを振動および/または崩壊させるために十分であり得る。これは、組織切除のために標的領域101におけるエネルギー吸収を増強し得る、および/または標的化された薬物送達のために血管の破壊を引き起こし得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、施与システム124は、組織タイプに応じてマイクロバブルの1またはこれより多くの特徴を調節する。いくつかの実施形態において、施与システム124は、特定の組織のために、例えば、組織における血管サイズの分布に類似の(例えば、実質的に類似の)サイズ分布を有するマイクロバブルの混合物を選択する。マイクロバブル混合物は、ときおり、TUB(治療用超音波バブル)といわれ、それによって、標的領域の脈管構造全体にわたって拡散し、その結果、例えば、腫瘍の周囲全体において、および微小腫瘍部位の小さな毛細管において破壊が起こり得る。より一般には、処置されるべき組織または処置フィードバックに基づいて、バブルタイプの最適な混合物が、処置のためにまたは処置の継続のために使用される。バブルタイプは、以下の組織パラメーターのうちの1またはこれより多くのものに基づいて選択され得る:(i)弾性のような機械的特性、(ii)処置に対する組織の回復力、(iii)生物学的特性(例えば、バブルへの親和性)、(iv)血管直径の分布。さらに、処置中に受容されたフィードバック(例えば、音響応答および/または組織透過性を明らかにするためのMRI画像化)は、バブル混合物組成の変更を示唆し得る。関連するフィードバックパラメーターとしては、(i)音響応答(例えば、組織応答のパワースペクトル)、(ii)MRI画像化(例えば、コントラスト増強の均一性)、および(iii)即座のまたは遅延した生理学的応答が挙げられる。例えば、生理学的応答もしくは音響応答またはコントラスト増強の均一性が低すぎるかまたは高すぎる場合、マイクロバブルは、音響エネルギーに対してより高いまたはより低い応答を示す混合物で置き換えられ得る。
【0029】
種々の実施形態において、以下の特徴から、バブルタイプを区別し得る:(i)シェル組成、(ii)ガス組成、(iii)サイズ、(iv)調製手順、および(v)「ピギーバック」物質(例えば、MRI造影剤、標的化する本体)。異なるシェルおよびガス組成を有するマイクロバブル調製物は、市販されており、例えば、施与システム124の異なる区画の中に貯蔵され得る。フィードバックパラメーターの値の変更に応じて、コントローラー108は、処置の間に施与システム124によって供給されるバブルの混合物を変化させ得る。その同じ原理が、所望のマイクロバブルサイズ分布を達成するために使用され得る。国際出願番号PCT/IB2018/001537(2018年12月5日出願)(その全開示は、本明細書に参考として援用される)に記載されるように、所望のマイクロバブルサイズ分布は、選択的濾過および施与によって達成され得る。あるいは、施与システム124は、異なるサイズ分布を有する市販のマイクロバブル調製物を含む区画を有し得る。これらは、所望のサイズ分布を達成するために同時のまたは逐次的な施与によって種々の割合で組み合わされ得る。さらに、デカンテーション、遠心分離、および孔-濾過(pore-filtration)のような技術は、マイクロバブルサイズを天然の商業的に得られる造影剤から単離するために使用され得る(例えば、Cheungら, 「In vitro characterization of the subharmonic ultrasound signal from definity microbubble at high frequencies」, Phys. Med. Biol. 53, 1209-1223(2008); Feshitanら, 「Microbubble size isolation by differential centrifugation」, J. Colloid Interface Sci. 329, 316~324 (2009)を参照のこと)。さらに、Shekharら, 「Modifying the size distribution of microbubble contrast agents for high-frequency subharmonic imaging」, Med. Phys., Aug. 2013, 40(8): 082903に記載されるように、マイクロバブルサイズの時間発展(time evolution)は、本来の薬剤より低いメジアンサイズを有する造影剤を作るために使用され得る。前述の参考文献は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0030】
マイクロバブルは、処置増強因子(treatment enhancer)の一例を表すことが強調されるべきである。代わりにまたはさらに、ナノ液滴またはナノ粒子(例えば、金シード(gold seed))が使用され得る。さらに、用語「混合物」とは、本明細書で使用される場合、一緒に施与されるバブルタイプの組み合わせを含意すると概して理解される。しかし、いくつかの実施形態において、混合物は、逐次的に施与されるバブルの種々のタイプを含む。ときおり、1つのバブルタイプの活性は、同時にまたはその後に使用される別のバブルタイプの成功の前提条件である。マイクロバブルの施与のこれらおよび他の局面は、
図2および3A~3Cを参照しながら以下にさらに記載される。
【0031】
図2は、いくつかの実施形態に従って、脈管サイズおよびマイクロバブルサイズのビンに分けた例示的分布を示す。ヒストグラム200は、血管204のサイズ(μm)(すなわち、直径)の分布に対応し、ヒストグラム206は、ヒストグラム200に示される分布に基づいて生成されたマイクロバブル210のサイズ(すなわち、直径)の分布に対応する。y軸202および208は、各サイズビンにおいて、それぞれ、血管およびマイクロバブルの周波数(または、いくらかの場合には、絶対数)に対応する。容易に示すために、血管およびマイクロバブルに関するヒストグラムの高さは、等しいとして示される;しかし、上記で説明されるように、マイクロバブルのヒストグラムビンの高さは、脈管のヒストグラムビンのものより遙かに高い(例えば、10
2~10
9倍)。さらに、これらの例の値は、例証目的で示され、サイズの値の選択を制限するとして解釈されるべきではない。特に、血管のサイズの範囲は、組織が異なれば、または同じ組織であっても患者が異なれば、変動し得る。同様に、ビンまたはバケットの数(示される例では5つ)が、各実施形態に関して、組織が異なれば、および/または患者が異なれば異なり得る。特定の適用に適したサイズビンの数は、過度の実験なしに直接的に決定され、代表的には、血管サイズ分布の幅およびマイクロバブルサイズ分布にわたって発揮され得る制御の程度に最も大きく依存する。目的は、血管に同数のマイクロバブルを正確に入れることではなく全体的な効率を増強することであるので、全体的な分布パターンは、ビンの数より重要である。場合によっては、2個程度のビンで十分な場合もあるが、広いサイズ分布は、より多くの数(例えば、示されるように5個、または10個もしくはこれより多く)のビンを必要とする。実施において、分布パターンが正確に一致している必要はない;実際に、一致における誤差は50%まで許容され得ることは、強調されるべきである。
【0032】
さらに、ヒストグラム206に示されるビンまたはバケットの数は、ヒストグラム200におけるビンの数と一致する必要はない。言い換えると、一方のヒストグラムから他方のヒストグラムへのマッピングは、一対一である必要はなく、一方のヒストグラム200、206における複数のバケットは、他方のヒストグラムにおける同じバケットにマッピングされてもよい。このようにして、異なる実施形態は、組織タイプ、サイズ、および位置、マイクロバブルサイズ分布の実行可能に得られ得る精度などのような因子に依存して、異なる状況のために最適化され得る。いくつかの実施形態は、上記のマッピングを介して実質的に類似の分布を生成する。
図2に示されるヒストグラムプロフィールは、ピーク高さを有するガウス分布に概して従うが、これは、そうである必要はない。代わりに、サイズ分布は、線形的、平坦であってもよいし、ピーク値から指数関数的に減少してもよいし、別のパターンに従ってもよい。しかし、全体の目的は、依然として、マイクロバブルサイズの分布と血管サイズの分布とを所定の関係性に従って整列させることである。
【0033】
その関係性は、線形的であり得る-例えば、マイクロバブル直径 対 対応する脈管直径の比は1:2~1:30の範囲に及ぶ;図中では、繰り返すと、容易に示すために、上記比は、ビンにわたっておよそ1:2である。他の実施形態において、所定の関係性は、多項式、指数関数的であるか、または実験的に決定される。関係性を実験的に決定するために、異なる狭いバブル分布を有する混合物は、異なる実験において使用され得る。各実験において、各領域における支配的な脈管サイズは、マーカー(例えば、MRIにおけるガドリニウム)によって測定される開口部と比較され、最も性能の高いバブル混合物が決定され、それによって、最適な近似のマイクロバブル直径を明らかにする。類似のサイズ分布を有するが、異なる濃度を有する混合物は、最適なバブルサイズのための最適なバブル-対-脈管比を確立するために使用され得る。脈管サイズの広い分布を有する大きな領域を処理するために、バブル混合物の組み合わせは、実験的に確立されたサイズおよび各脈管サイズに関する濃度関係に基づいて使用され得る。
【0034】
代わりにまたはさらに、マイクロバブルサイズ分布は、マイクロバブルのタイプの関数であり得る。シェルタイプおよびガスタイプは、例えば、音響場がバブルとどのようにして相互作用するかに強く影響を及ぼす。
【0035】
さらに、マイクロバブル 対 対応するサイズの血管の全体の比は、実験的に決定され得、異なる適用、異なる抗体もしくは薬物などに合わせて調整され得る。マイクロバブルに関する例示的な代表的サイズ範囲は、0.5~20μmであり、ピークは、例えば、1~5μmである。
【0036】
図3A~3Cは、いくつかの実施形態に従って、標的領域に関する超音波手順を初期化するための例示的方法300のフローチャートを示す。上記方法(またはプロセス)は、1またはこれより多くのプロセッサおよびメモリを有する電子デバイスにおいて行われ得る。上記メモリは、上記1またはこれより多くのプロセッサによる実行のために構成された1またはこれより多くのプログラムを格納する。上記方法は、コントローラー(例えば、コントローラー108)、施与システムもしくは施与デバイス124、構成要素の組み合わせ、または
図1を参照して上に記載される上記システム100の構成要素のうちのいくらかもしくは全てによって行われ得る。コントローラー108または施与デバイス124は、いくつかの実施形態に従って、本明細書で記載される方法のうちのいずれかを行うように構成され得る。
【0037】
図3Aに示されるように、方法300は、標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する工程(工程302)を包含する。いくつかの実施形態において、標的は、血液脳関門の一部を含む(工程306)。例えば、脈管は、4μmから100μm未満の直径の範囲に及ぶ皮質脈管であり得る(工程308)。いくつかの実施形態において、上記決定する工程は、例えば、造影MRI/ドップラー超音波またはMRI灌流を使用して(後者の場合には、灌流速度と脈管サイズとの間の既知の相関に基づいて)、上記標的領域を画像化する工程(工程310)を包含する。
【0038】
次に
図3Bを参照すると、いくつかの実施形態において、上記決定する工程302は、上記標的領域を特定する工程(工程324)およびアトラス(これは、標準の基準であり得る。例えば、Mouchesら, 「A statistical atlas of cerebral arteries generated using multicenter MRA datasets from healthy subjects」, Scientific Data 6, Art. No. 29 (2019)(これは本明細書に参考として援用される))を使用して、脈管直径の分布を決定する工程を包含する。あるいは、脈管サイズは、MRIもしくは他の断層撮影画像化技術によって特徴づけられ得る;標的組織の代表である逐次的な断層撮影スライスが分析され、脈管直径統計値が計算的に決定される。次に、変換器要素によって発せられる音響エネルギーを制御するために超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターが決定され(工程326)、その結果、上記音響エネルギーが閾値レベルを上回り、マイクロバブル生成および/またはキャビテーションを誘導する。いくつかの実施形態において、上記超音波変換器と関連するパラメーターは、周波数、振幅および/または位相を含み(工程328)、そのパラメーターは、代表的には、上記超音波変換器の別個に駆動される変換器要素間で異なる。
【0039】
他の実施形態において、脈管マップを生成するための造影超音波検査(CEUS)または超音波超解像画像化(例えば、超音波局在化顕微鏡法またはULMを使用する);例えば、PCT公報番号WO 2021/123905およびErricoら, 「Ultrafast ultrasound localization microscopy for deep super-resolution vascular imaging」, Nature, 527(7579), 499-502 (2015)を参照のこと(これらの全開示は、本明細書に参考として援用される)。CEUSの場合、調和または時間的に変化するエコーは、脈管内バブルに由来することが公知である。各CEUS画像フレームにおいてバブルの空間的マップを生成した後、ビームフォーミングとして公知のプロセスにおいて、無関係の組織関連ノイズが、所望のバブル信号から除去される。CEUS処理は、ビームフォーミングしたバブル画像を経時的にノイズ除去して、脈管構造の鮮明な低解像度画像を生成する工程を包含する。ULM処理は、解像可能なバブルの正確な位置を見出し、この情報を一連のフレームにわたって集めて、脈管構造の超解像度画像を生成する工程を包含する。高いおよび/または低いマイクロバブル濃度、長い(ms)および/または短い(μs)パルス、ならびに長いおよび/または短い獲得は、実装に応じて使用され得る。
【0040】
マイクロバブルは純粋に脈管内に存在することから、それらの考えられる位置は、超解像度脈管マップに応じて制約され得る。BBBを破壊するために使用される音響パルスは、代表的には長いが、短いエコーが、伝達される周波数をわずかに変調し(超音波エンコーディング)、受容側で所望の周波数を単離することによって超解像度受動音響マップを生成するために、生成され得る。(推定超解像度脈管マップにしたがって)希薄さ(sparsity)および許容された再構築グリッドのような制約を受動音響マッピング計算に強制することは、回折限界を超えて再構築解像度を改善し得、従来の受動音響マップにおいて失われている詳細を明らかにする。これらの「事前(priors)」の希薄さは、各脈管領域におけるバブル密度に応じて(van Slounら, 「Deep learning in ultrasound imaging」, Proc. of IEEE, 108(1), 11-29 (2019)に記載されるものと類似の様式で)決定され得る。上記CEUSおよびULM計算は、種々の画像化モダリティー(例えば、MMおよびCT)を使用して獲得された、同時に登録された脈管マップからの情報によって補助され得る。
【0041】
CEUSおよびULTはまた、処置中の脈管マップおよび流速ならびにパターンと処置前の脈管構造マップ(または事前処置セッションの過程において生成したマップ)とを比較することによって、脈管の変化(脈管構造の完全性、脈管構造の直径の変化)に基づいて処置をモニターするために使用され得る。特に、機能的な脈管構造の変化(例えば、機能的な脈管の密度、直径ヒストグラム、完全性、および流動パターン)を追跡することは、処置の進行を推測し、処置のための音響パラメーターを更新するために使用され得る。脈管マップのサンプリングおよび比較は、パルス間、マルチパルス超音波処理の間、および/または処置セッションの間に起こり得る。機能的脈管構造の変化を特徴づける、追跡した「特徴」パラメーターは、従来の機械学習または他の技術(例えば、線形回帰、ランダムフォレスト分類、ニューラルネットワークなどが挙げられる)に基づいて処置の進行と相関され得る。分類子は、例えば、MRIまたはCTモニタリングおよび解釈(これは手動であってもよいし、自動化されていてもよい)によって決定されるように、処置中に得られる特徴パラメーター値および処置の実際の進行に基づいて訓練される(または回帰係数が予測される)。特徴パラメーター値は、短時間のスキャンおよび部分的脈管情報から処置中にリアルタイムで得られ得る。同様に、脈管再構築は、想定されるバブル形状を適合させること(Erricoら, 前出)または下にある脈管構造の希薄さに依拠すること(例えば、van Slounら, 「Deep learning in ultrasound imaging」, Proc. of IEEE, 108(1), 11-29 (2019)を参照のこと)に基づき得る。
【0042】
MRIスキャンおよび/またはCTスキャン(例えば、CT-血管造影法)は、処置計画中に慣用的に獲得され得、代わりにまたはさらに、脈管構造を特徴づけするために使用され得る。CT画像化は、造影剤を使用して行われ得る。
【0043】
図3Aに戻って参照すると、上記方法はまた、標的領域において、所定の関係性に従って脈管直径の分布に関連するサイズ分布を有するマイクロバブルを提供する工程(工程312)を包含する。いくつかの実施形態において、提供する工程312は、標的領域における超音波の適用によってマイクロバブルを生成する工程を包含する。他の実施形態において、提供する工程312は、懸濁物としてマイクロバブルを施与する工程を包含する。
【0044】
次に
図3Cを参照すると、いくつかの実施形態において、上記方法はまた、標的領域におけるマイクロバブルの特徴を検出する工程(工程330)を包含する。マイクロバブルの特徴は、超音波変換器、音響信号検出デバイスまたは第2の超音波変換器を使用して検出され得る(工程332)。いくつかの実施形態において、上記特徴は、マイクロバブルの存在、サイズ分布、濃度および/もしくは量、ならびに/または挙動もしくは応答(例えば、キャビテーション)である(工程334)。いくつかの実施形態において、上記方法は、マイクロバブルの検出された特徴に少なくとも部分的に基づいて、超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定する工程(工程336)、例えば、種々の変換器要素の振幅を変化させて、マイクロバブル生成を増大または減少させる工程を包含する。
【0045】
目標サイズ分布を有するマイクロバブルを使用する代表的なエンドツーエンド手順は、以下のとおりである。(例えば、超音波処理を適用して、標的を切除することによって)標的組織領域を処置するための超音波手順の前および/またはその間に、一過性のマイクロバブルの小さな群が、標的において、処置に寄与する変換器要素によって生成される種々の超音波ビームの集束を可能にするために標的領域に提供される。マイクロバブルは、変換器要素自体によって生成される超音波パルスを使用して生成され得る、および/または施与システム124を使用して静脈内に導入され得る。マイクロバブルの特徴(例えば、その存在、濃度および/もしくは量)ならびに/または挙動もしくは応答(例えば、キャビテーション)は、集束プロセスの間に、音響信号検出デバイス122および/または変換器アレイ102を使用してモニターされる。このプロセスは、例えば、国際特許出願番号PCT/IB2017/000990(2017年7月19日出願)および米国特許出願第62/781,258号(2018年12月18日出願)に記載される;マイクロバブルを標的領域へと送達するためのアプローチは、例えば、上記で言及した‘1537 PCT出願において提供される;マイクロバブルの特徴および/または活性を測定するためのアプローチは、例えば、米国特許公開番号2018/0206816および国際出願番号PCT/IB2018/000841(2018年6月29日出願)およびPCT/IB2018/000774(2018年5月22日出願)において提供される;そしてマイクロバブル応答を検出するための変換器アレイ102を構成するためのアプローチは、例えば、米国特許出願第62/681,282号(2018年6月6日出願)において提供される。これらの出願の全内容は、本明細書に参考として援用される。
【0046】
1つの実施形態において、標的領域における集束を最適化する変換器パラメーター(例えば、周波数、位相シフトおよび/または振幅)が(例えば、上記のように、マイクロバブルからの音響反射の分析を介して)決定された後に、標的領域(および/または近くの非標的領域)におけるマイクロバブルの量は、好ましくは、標的組織の切除中に非標的組織への望ましくない損傷を回避するように制限される。よって、集束手順の後に、標的領域(および/または近くの非標的領域)におけるマイクロバブルの存在、量および/または濃度は、繰り返しになるが、音響信号検出デバイス122および/または変換器アレイ102を使用して、マイクロバブルから伝達または反射された音響信号に基づいて測定され得る。マイクロバブルが存在する場合(またはいくつかの実施形態において、その量が、標的および/または非標的組織への臨床上顕著な損傷を効果的に排除する所定の閾値を超える場合)、マイクロバブル調節アプローチは、組織感度マップ上での低感度レベルに対応する1またはこれより多くの選択した非標的領域においてマイクロバブルを排除する(または少なくとも低減する)ために実装され得る;これは、標的および/またはその近くの領域においてマイクロバブル集団を間接的に低減し得る。マイクロバブルのサイズ分布は、上記のように制御される。
【0047】
種々の実施形態において、集束させたビームの特性は、マイクロバブルを除去する能力を含め、マイクロバブルの特徴に基づいて最適化される。例えば、集束のサイズおよび/または形状は、超音波手順の間に標的領域から除去されるべきマイクロバブルのサイズおよび/または形状に適合するように調節され得る。このようにして、上記マイクロバブル調節プロセスは、選択したマイクロバブルを一度に効率的に破壊し得る。あるいは、上記集束は、マイクロバブルの一部のみを破壊するための形状/サイズにされ得る。例えば、マイクロバブルのうちのいくらかが動脈壁の近傍にある場合、そのキャビテーションは、動脈壁に対する損傷を生じ得る;よって、超音波コントローラー108は、動脈壁の近傍にないマイクロバブルの一部のみを破壊するように集束を形作りかつそのようなサイズにし得る。上記集束サイズおよび/または形状の調節は、上記のように変換器要素から伝達される超音波ビームの増幅係数および/または位相シフトを調節することによって達成され得る。
【0048】
標的領域および上記標的の外側にある非標的領域の中にマイクロバブルを分布させるための主要な力は、血液循環であるが、いくつかの実施形態において、超音波変換器は、(例えば、位相、振幅および/または周波数を調節することによって)マイクロバブルの移動を、そこに音響放射力を適用することによって誘導し得る集束を作り出すように構成され得る。例えば、その生成した集束は、標的領域(または比較的高い感度スコアを有する領域)から標的の外側にある低感度の領域(例えば、顔面の静脈)へとマイクロバブルのうちの少なくとも一部を一掃(sweep)し得る。1つの実施形態において、生成された集束は、そのキャビテーションを引き起こすことなく、マイクロバブルを一掃するために十分な比較的低い音響パワーを有する。
【0049】
種々の実施形態において、上記集束は、マイクロバブルの移動を、音響放射力をそこに適用することによって誘導する。音響放射力は、変換器102と標的領域との間に位置した介在組織からの吸収、散乱または反射から生じる伝播する超音波のエネルギー密度および運動量の変化によって生成される。一般に、音響放射力の振幅は、超音波強度に比例する。よって、1つの実装において、マイクロバブルに指向される超音波ビームの強度は、生成された音響放射力がマイクロバブルを操作しかつ動かすために十分であるまで、徐々に増大する。別の実施形態において、マイクロバブルの操作の前に、介在組織の特徴(例えば、吸収係数)は、上記のようにイメージャー112を使用して測定される;マイクロバブルを動かすために十分な超音波ビームの強度は、それに基づいて計算され得る。いったん、マイクロバブルが標的領域から離れて移動される、および/または比較的低い感度スコアを有する領域に達すると、コントローラー108は、超音波ビームの強度を増大させて、低感度の領域においてマイクロバブルキャビテーションを引き起こし得る。ここでキャビテーションは低感度の領域において起こることから、起こり得る損傷は何でも臨床上許容可能である。よって、このアプローチは、有利なことには、超音波誘導性マイクロバブルキャビテーションに対してより脆弱な領域(例えば、より高感度の領域)からキャビテーションによって損傷される可能性がより低い領域(例えば、より低感度の領域)へとマイクロバブルが除去されることを可能にし得る。結果として、上記標的領域および/または非標的領域における健常組織の予測外の損傷が最小化され得る。
【0050】
用語「点集束(point focus)」および「線集束(line focus)」とは、本明細書で使用される場合、厳密な数学的意味において点および線に言及するのではなく、それぞれ、点または線に近い集束形状に言及することは理解されるべきである。従って、点集束の強度分布(これは、例えば、二次元ガウス分布の形状をとり得る)は、数個程度の音響波長での、集束面の両方の次元における半値幅によって特徴づけられ得るのに対して、線集束の強度分布(これは、例えば、線に対して垂直な一次元ガウスプロフィールを有し得る)は、線の方向に沿って延びるが、ほんの数個程度の音響波長での、線に対して垂直な半値幅を有し得る。
【0051】
種々の実施形態において、選択された低感度の領域における超音波誘導性マイクロバブルキャビテーションの間および/または比較的高い感度の領域から比較的低い感度の領域に向かう一掃の間のマイクロバブル特徴(例えば、量、濃度、サイズ分布、および/または応答)は、上記のように、音響信号検出デバイス122および/または変換器アレイ102を使用してリアルタイムでモニターされる。
【0052】
一般に、マイクロバブル媒介性超音波集束および処置手順を促進する、ならびに/またはマイクロバブルを使用して、可逆的BBB開口のような組織効果を増強するための機能性は、コントローラー108および/または施与システム124内に一体化されていようが、別個の外部コントローラーもしくは他の計算実体もしくは他の複数の計算実体によって提供されようが、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1またはこれより多くのモジュールにおいて構築され得る。このような機能性としては、以下を含み得る: 例えば、イメージャー112を使用して獲得した上記標的領域および/または非標的領域の画像化データを分析すること、上記標的組織および/または非標的組織の3Dボクセルセットを、上記画像化データに基づいて決定すること、標的/非標的組織と関連する解剖学的特徴(例えば、脈管サイズ分布)を決定すること、音響信号検出デバイスおよび/または変換器アレイにマイクロバブルから伝達または反射された音響信号を検出させること、検出された音響信号に基づいてマイクロバブルの量、濃度、サイズ分布および/または応答を決定すること、その測定したマイクロバブルサイズ分布と目標サイズ分布を比較すること、ならびにその検出したサイズ分布を、目標サイズ分布へとより適合するように変化させること、超音波変換器アレイを標的組織において集束を生成するように構成すること、必要な場合、過剰なマイクロバブルを標的領域(またはその近くの非標的領域)から徐々に一掃するように超音波パラメーターを調節すること、ならびに超音波手順(例えば、mAb施与を促進するためのBBB開口)を開始するために、超音波変換器に標的領域に超音波を伝達させること、ならびに/あるいは上記のように、超音波手順の間にマイクロバブル応答をモニターすること。
【0053】
さらに、施与システム124および/またはイメージャー112と関連する超音波コントローラー108および/またはコントローラー群は、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1またはこれより多くのモジュールを含み得る。1またはこれより多くのソフトウェアプログラムとして機能が提供される実施形態に関して、そのプログラムは、PYTHON(登録商標)、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTMLのような多くの高レベル言語のうちのいずれかにおいて書かれ得る。さらに、上記ソフトウェアは、ターゲットコンピューターに常駐するマイクロプロセッサに指向されるアセンブリ言語で実装され得る;例えば、上記ソフトウェアは、IBM PCまたはPCクローンで実行されるように構成される場合、Intel 80x86アセンブリ言語で実装され得る。上記ソフトウェアは、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMが挙げられるが、これらに限定されない製造物品上で具現化され得る。ハードウェア回路を使用する実施形態は、例えば、1またはこれより多くのFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して実装され得る。
【0054】
本明細書で使用される用語および表現は、説明の用語および表現として使用され、限定するものではなく、このような用語および表現の使用において、示され、説明された特徴またはその一部のいかなる均等物をも排除する意図はない。さらに、本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、本明細書に開示される概念を組み込む他の実施形態が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用され得ることは、当業者には明らかである。よって、記載される実施形態は、全ての局面において、例証に過ぎず、限定ではないと見做されるべきである。
【0055】
以下が特許請求される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムであって、前記システムは、
超音波変換器;ならびに
標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する;および
前記標的領域において、所定の関係性に従って前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する
ように構成されたコントローラー、
を含むシステム。
【請求項2】
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、ほぼ同数のビンを有するヒストグラム分布である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前
記ビンは、
マイクロバブルの集団および脈管の集団を表す高さを有し、
前記ビンにおける
それぞれのマイクロバブルの集団は、対応するビンにおける
それぞれの脈管の集団を10
2~10
9倍上回る、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、実質的に対応するピークパターンを有するヒストグラム分布である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の関係性は、線形的関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記線形的関係性は、1:3~1:30の範囲に及ぶ平均マイクロバブル直径 対 平均脈管直径の比である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記所定の関係性は、多項式の関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定の関係性は、指数関数的関係性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記所定の関係性は、実験的なものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記脈管直径の分布は、造影超音波検査によって少なくとも部分的に決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記脈管直径の分布は、超音波画像化によって少なくとも部分的に決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記超音波画像化は、超解像画像化である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記マイクロバブルサイズ分布は、マイクロバブルのタイプの関数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記提供する工程は、前記標的領域における超音波の適用によって前記マイクロバブルを生成する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記提供する工程は、前記マイクロバブルを懸濁物として施与する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記標的
領域は、血液脳関門である、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記脈管は、4μm~100μm未満の直径の範囲に及ぶ皮質脈管である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記脈管直径の分布は、およそ50μmにおいてピークを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記決定する工程は、前記標的領域を画像化する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記決定する工程は、前記標的領域を特定し、アトラスを使用して前記脈管直径の分布を決定する工程を包含する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラーは、変換器要素によって発せられる音響エネルギーを制御するために前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定し、その結果、前記音響エネルギーが閾値レベルを上回り、それによってマイクロバブル生成を誘導するようにさらに構成されている、請求項
1に記載のシステム。
【請求項22】
前記超音波変換器と関連する前記少なくとも1つのパラメーターは、前記超音波変換器の少なくとも1つの変換器要素と関連する周波数、振幅もしくは位相のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記標的領域における前記マイクロバブルの特徴を検出するための手段をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記マイクロバブルの特徴を検出するための前記手段は、前記超音波変換器、音響信号検出デバイスまたは第2の超音波変換器を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記特徴は、前記マイクロバブルの存在、濃度
、量、
挙動、および/また
は応答のうちの少なくとも1つである、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラーは、前記マイクロバブルの検出された前記特徴に少なくとも部分的に基づいて、前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定するようにさらに構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
超音波手順を行う
ためのシステムであって、前記
システムは、
標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する
ため;
および
前記標的領域において、所定の関係性に従って、前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する
ためのコントローラー;
ならびに
前記マイクロバブルの存在下で、前記標的領域に超音波エネルギーを施与する
ための超音波変換器、
を
含む、
システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
本明細書で使用される用語および表現は、説明の用語および表現として使用され、限定するものではなく、このような用語および表現の使用において、示され、説明された特徴またはその一部のいかなる均等物をも排除する意図はない。さらに、本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、本明細書に開示される概念を組み込む他の実施形態が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用され得ることは、当業者には明らかである。よって、記載される実施形態は、全ての局面において、例証に過ぎず、限定ではないと見做されるべきである。
特定の実施形態では、以下の項目が提供される。
(項目1)
標的領域に関する超音波手順を初期化するためのシステムであって、前記システムは、
超音波変換器;ならびに
(a)標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する;および
(b)前記標的領域において、所定の関係性に従って前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する
ように構成されたコントローラー、
を含むシステム。
(項目2)
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、ほぼ同数のビンを有するヒストグラム分布である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ヒストグラムのビンは、集団を表す高さを有し、あるビンにおける前記マイクロバブルの集団は、対応するビンにおける前記脈管の集団を10
2
~10
9
倍上回る、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記脈管直径の分布および前記マイクロバブルサイズ分布は、実質的に対応するピークパターンを有するヒストグラム分布である、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記所定の関係性は、線形的関係性である、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記線形的関係性は、1:3~1:30の範囲に及ぶ平均マイクロバブル直径 対 平均脈管直径の比である、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記所定の関係性は、多項式の関係性である、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記所定の関係性は、指数関数的関係性である、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記所定の関係性は、実験的なものである、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記脈管直径の分布は、造影超音波検査によって少なくとも部分的に決定される、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記脈管直径の分布は、超音波画像化によって少なくとも部分的に決定される、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記超音波画像化は、超解像画像化である、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記マイクロバブルサイズ分布は、マイクロバブルのタイプの関数である、項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記提供する工程は、前記標的領域における超音波の適用によって前記マイクロバブルを生成する工程を包含する、項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記提供する工程は、前記マイクロバブルを懸濁物として施与する工程を包含する、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記標的は、血液脳関門である、項目1に記載のシステム。
(項目17)
前記脈管は、4μm~100μm未満の直径の範囲に及ぶ皮質脈管である、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記脈管直径の分布は、およそ50μmにおいてピークを有する、項目1に記載のシステム。
(項目19)
前記決定する工程は、前記標的領域を画像化する工程を包含する、項目1に記載のシステム。
(項目20)
前記決定する工程は、前記標的領域を特定し、アトラスを使用して前記脈管直径の分布を決定する工程を包含する、項目1に記載のシステム。
(項目21)
前記コントローラーは、変換器要素によって発せられる音響エネルギーを制御するために前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定し、その結果、前記音響エネルギーが閾値レベルを上回り、それによってマイクロバブル生成を誘導するようにさらに構成されている、項目9に記載のシステム。
(項目22)
前記超音波変換器と関連する前記少なくとも1つのパラメーターは、前記超音波変換器の少なくとも1つの変換器要素と関連する周波数、振幅もしくは位相のうちの少なくとも1つを含む、項目21に記載のシステム。
(項目23)
前記標的領域における前記マイクロバブルの特徴を検出するための手段をさらに含む、項目1に記載のシステム。
(項目24)
前記マイクロバブルの特徴を検出するための前記手段は、前記超音波変換器、音響信号検出デバイスまたは第2の超音波変換器を含む、項目23に記載のシステム。
(項目25)
前記特徴は、前記マイクロバブルの存在、濃度および/もしくは量、ならびに/または挙動もしくは応答(例えば、キャビテーション)のうちの少なくとも1つである、項目23に記載のシステム。
(項目26)
前記コントローラーは、前記マイクロバブルの検出された前記特徴に少なくとも部分的に基づいて、前記超音波変換器と関連する少なくとも1つのパラメーターを決定するようにさらに構成される、項目23に記載のシステム。
(項目27)
超音波手順を行う方法であって、前記方法は、
標的領域における脈管構造の脈管直径の分布を決定する工程;
前記標的領域において、所定の関係性に従って、前記脈管直径の分布に対応する直径サイズ分布を有するマイクロバブルを提供する工程;および
前記マイクロバブルの存在下で、前記標的領域に超音波エネルギーを施与する工程、
を包含する、方法。
【国際調査報告】