(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534670
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2022089209
(87)【国際公開番号】W WO2023103260
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111492715.X
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524219795
【氏名又は名称】キャンドゥ-ソーラーフォトエレクトリック テクノロジー(チャンチョウ)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ピンルー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ヤオルン
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251EA19
(57)【要約】
太陽電池と相互接続されたバスバーとの間には、導電性又は非導電性の接続点が存在する。グリッド線接合層及びグリッド線支持層が、太陽電池の表面上に設けられる。グリッド線支持層は、グリッド線接合層の接合効果によって太陽電池の表面に接着する。グリッド線支持層は、相互接続されたバスバー上に積層される。モジュールを製造する方法は、まず、相互接続されたバスバーを、導電性又は非導電性の接続点を介して太陽電池の表面上に予め固定するステップと、次いで、グリッド線支持層及びグリッド線接合層で太陽電池の表面を覆うステップと、グリッド線支持層及びグリッド線接合層に圧力を印加するステップと、グリッド線支持層によって相互接続されたバスバーを太陽電池の表面に完全に固定するステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池層を備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池層内の太陽電池は、相互接続されたバスバーを介して電流を導出し、
前記相互接続されたバスバーと前記太陽電池とを予備的に固定するために、前記太陽電池と前記相互接続されたバスバーとの間に導電性又は非導電性の接続点があり、
前記相互接続されたバスバーを前記太陽電池の表面に完全に固定するために、グリッド線接合層及びグリッド線支持層が前記太陽電池の表面上に設けられ、
前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層の接合効果によって前記太陽電池の表面に接着し、
前記グリッド線支持層は、前記相互接続されたバスバー上に積層される
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記グリッド線接合層は、前記グリッド線支持層を前記太陽電池の表面に接着するために、前記グリッド線支持層と前記太陽電池との間に位置し、
前記グリッド線接合層の厚さは、前記相互接続されたバスバーの厚さよりも小さい、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記相互接続されたバスバーは、前記グリッド線接合層に埋め込まれるか、又は前記相互接続されたバスバーと前記グリッド線接合層との間にギャップが存在することを特徴とする、請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
パッケージング構造をさらに備え、前記太陽電池層は、前記パッケージング構造内にパッケージングされ、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層が、前記太陽電池の表面上で前記相互接続されたバスバーを覆い、前記相互接続されたバスバーの表面は、低融点溶接層を有し、前記相互接続されたバスバーと前記太陽電池との間に、前記低融点溶接層によって電気接点が形成され、前記相互接続されたバスバーは、前記グリッド線接合層内に埋め込まれ、前記グリッド線支持層と、前記パッケージング構造との間に、前記グリッド線支持層及び前記パッケージング構造とを互いに接着するためのパッケージング接合層が存在する、請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、最小の被覆ユニットに関して、
前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層の両方が膜全体であるか、又は、
前記グリッド線支持層が膜全体であり、前記グリッド線接合層が膜ストリップであるか、又は、
前記グリッド線支持層が膜ストリップであり、前記グリッド線接合層が膜全体であるか、又は、
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層の両方が膜ストリップである、太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項2に記載の太陽電池モジュールであって、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式であり、 少なくとも1つの太陽電池は、最小の被覆ユニットとみなされ、
前記複合膜ストリップは、第1の方向に沿って延在し、第2の方向に沿って間隔をおいて配列され、又は、
前記複合膜ストリップは、前記第2の方向に沿って延在し、前記第1の方向に沿って間隔をおいて配列され、
前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向に垂直である、太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層は、ポリマー材料で作られ、
前記グリッド線支持層は、PET、EVA、POE、PVB、PVF、PMMA又はPCであり、
前記グリッド線接合層は、シリカゲル、POE、EVA、TPU又は液体シリカゲルであり、
前記太陽電池は、バスバーレス太陽電池であり、
前記相互接続されたバスバーは、マルチバスバー溶接ストリップである、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層と前記太陽電池との間に位置し、
前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層を局所的な領域のみ遮蔽し、
前記グリッド線支持層によって遮蔽された前記グリッド線接合層の遮蔽領域及び非遮蔽領域は、前記グリッド線支持層を前記太陽電池の表面に接着するために、それぞれ前記グリッド線支持層及び前記太陽電池と接合される、
請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
最小の被覆ユニットに関して、前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層は、両方とも膜全体であり、前記グリッド線支持層は、中空を有するか、又は、
前記グリッド線支持層は、膜ストリップであり、前記グリッド線接合層は、膜全体である、請求項8に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記相互接続されたバスバーが、溶接層又は導電性接着剤を介して前記太陽電池と電気的に接触しており、
前記溶接層が、前記太陽電池モジュールの積層温度よりも低い融点を有する低融点溶接層である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
請求項1に記載の太陽電池モジュールを製造する方法であって、
まず、相互接続されたバスバーを、導電性又は非導電性の接続点を介して太陽電池の表面上に予め固定するステップと、
続いて、グリッド線支持層及びグリッド線接合層で前記太陽電池の表面を覆うステップと、
前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層に圧力をかけるステップと、
前記相互接続されたバスバーを、前記グリッド線支持層によって前記太陽電池の表面に完全に固定するステップと
を備える方法。
【請求項12】
太陽電池ストリング製造ステップとモジュール積層ステップとを順次含み、
前記太陽電池ストリング製造ステップにおいて、前記相互接続されたバスバーが、導電性又は非導電性接続点を介して太陽電池の表面に予め固定され、
前記モジュール積層ステップにおいて、前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層に加えられる積層圧力が、前記相互接続されたバスバーを、前記グリッド線支持層によって前記太陽電池の表面に完全に固定されるようにし、
前記モジュール積層ステップにおいて、前記相互接続されたバスバーが、前記太陽電池と電気的に接触させられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、それぞれ膜の形式で順次被覆するために使用されるか、又は
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜の形式で被覆するために使用されるか、又は
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式で被覆するために使用されるか、又は
膜の形態の前記グリッド線支持層と、液体の形態の前記グリッド線接合層とが、順次被覆するために使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記相互接続されたバスバーと前記太陽電池との間の接続点は、溶接又は接着によって形成されることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池モジュールを製造する方法。
【請求項15】
太陽電池モジュールを製造する方法であって、
まず、太陽電池ストリングの相互接続されたバスバーが、導電性又は非導電性の接続点を介して太陽電池の表面に予め固定されるように、太陽電池ストリングを製造するステップと、
次いで、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を用いて、前記太陽電池の表面上の前記相互接続されたバスバーを被覆するステップであって、前記グリッド線接合層が、前記グリッド線支持層と前記太陽電池との間に位置するステップと、
最後に、モジュール積層プロセスを用いて、前記太陽電池を前記太陽電池モジュールのパッケージング構造内にパッケージングして、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を用いて、前記相互接続されたバスバーを前記太陽電池の表面に完全に固定するステップと
を含み、
前記グリッド線接合層が、前記グリッド線接合層を用いて前記太陽電池の表面に接合され、
前記グリッド線接合層の厚さが、前記相互接続されたバスバーの厚さよりも小さく、
前記グリッド線接合層が、前記モジュール積層プロセスによって流動するように加熱され、その結果、前記相互接続されたバスバーが前記グリッド線接合層内に埋め込まれ、前記グリッド線支持層が前記相互接続されたバスバー上に積層され、
前記相互接続されたバスバーの表面が低融点溶接層を有し、これらの溶接層が積層温度で溶融して、太陽電池の表面との電気接点を形成する、太陽電池モジュールを製造する方法。
【請求項16】
太陽電池ストリング製造ステップと、モジュール配列ステップと、モジュール積層ステップとを順次備え、
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、最も小さい被覆ユニットとして前記太陽電池ストリングの表面に接着し、前記グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形成であり、
前記複合膜ストリップは、第1の方向に沿って延在し、前記太陽電池ストリングの表面上の第2の方向に沿って間隔をおいて配列され、前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向に垂直であり、
前記モジュール配列ステップにおいて、前記複合膜ストリップと共に接着された前記太陽電池ストリングの上で配列される、請求項15に記載の太陽電池モジュールを製造する方法。
【請求項17】
請求項15に記載の太陽電池モジュールの製造方法であって、太陽電池ストリング製造ステップと、太陽電池ストリング配列ステップと、モジュール配列ステップと、モジュール積層ステップと、を順次備え、
前記太陽電池ストリング配列ステップにおいて、前記太陽電池ストリングは、モジュール仕様及び要件に従って、全体として太陽電池層内に配列され、
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、最も小さい被覆ユニットとしての前記太陽電池層の表面に接着し、且つ前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式であり、
前記複合膜ストリップは、第2の方向に沿って延在し、前記太陽電池層の表面上の第1の方向に沿って間隔をあけて配列され、前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向に垂直であり、
前記モジュール配列ステップにおいて、モジュール配列は、前記複合膜ストリップと接着された前記太陽電池層の上で実施される、請求項15に記載の太陽電池モジュールを製造する方法。
【請求項18】
前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜の形式で覆うために用いられ、前記複合膜は、パッケージング接合層を含む3層複合構造であり、前記グリッド線支持層及び前記グリッド線接合層を含み、
前記パッケージング接合層は、同じ側にあるパッケージング構造に前記グリッド線支持層を接着するために用いられ、前記パッケージング接合層及び前記グリッド線接合層は、それぞれ、前記グリッド線支持層の表側及び裏側に位置することを特徴とする請求項15に記載の太陽電池モジュールを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特に、太陽電池モジュール及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光新エネルギーが急速に応用・発展している。エネルギー貯蔵、電気自動車、チャージングパイル技術などと組み合わせることで、新しいモードが太陽光発電のための局所的な消費を実現する。したがって、屋上型及び建物一体型太陽光発電(BIPV)が太陽光発電応用の次の焦点となるであろう。
【0003】
屋上型太陽光発電及びBIPVの限られた適用領域のために、より効率的な電池及びモジュールが必要とされる。次世代の電池の中で最も有望な新しい電池は、TOPCON及びヘテロ接合電池であるはずである。次世代モジュール技術の中で、最も効率的なモジュールは、シングル(shingle)モジュールである。
【0004】
現在、3つの技術はいずれもコストが高すぎるという問題がある。主流のPREC技術と比較して、ヘテロ接合電池におけるAgペーストの消費は150%増加し、TOPCON電池における銀ペーストの消費は50%増加した。これらの電池が、シングル技術を有するモジュールにパッケージングされるとき、Agペーストの消費は、さらに増加する。
Agペーストの消費をいかに減らすかは、太陽光産業の発展とBIPV屋上太陽光発電の発展の中核的なボトルネックである。Agペーストの消費を減らし、高効率電池モジュールをより良く、安くすることは、太陽光発電産業にとって最大の課題である。
【0005】
現在、業界で一般的に使用されている9BBバスバー太陽電池は、5BBバスバー太陽電池よりもAgペーストの消費量が少ない。これは、9BBバスバー太陽電池がより多くのセルバスバーを有し、2つのセルバスバー間の電流伝送距離が大きく、振幅が低減されるため、セルフィンガー用のAgペースト量を低減できるからである。この技術的ルートが依然として採用され、バスバーの数が増加し続ける場合、セルフィンガーのためのAgペーストの量は、さらに減少され得るが、セルバスバーのためのAgペーストの量は、増加している。バスバーを有する太陽電池の電気接続方式において、電池のバスバーは溶接ストリップで溶接され、それは同時に機械的固定と電流伝導の機能を有する。したがって、Agペーストの総消費量をさらに低減することはできない。
【0006】
バスバーレス太陽電池技術では、セルバスバーは存在せず、セルバスバー用のAgペーストの量を節約できる。従来技術では、バスバーレス太陽電池に対して、2つの電気接続方式がある。第1の方式は、バスバーレス太陽電池にマルチバスバー溶接ストリップを溶接するために、バスバーレス太陽電池の表面上にAgペーストパッドを提供することである。
【0007】
マルチバスバー溶接ストリップの熱膨張及び収縮現象のために、-40度から85度までの冷熱サイクル中に、太陽電池の表面に前後の切断効果があり、それによって、電池(HJT電池など)のテクスチャ加工された表面上のAgフィンガーライン(TOPCON、HJT、及びPERC電池など)又はITO導電層を摩耗させ、故障を引き起こす。したがって、パッドの数は、溶接ストリップと太陽電池との間の確実な機械的固定を確実にするためには、あまりにも少ない数であるべきではない。したがって、バスバーレス太陽電池の電気接続のこの第1の方式では、パッドのためのAgペースト消費がまだ多く存在する。
【0008】
第2の方式は、マルチバスバー溶接ストリップを有する接着膜電極によるバスバーレス光起電力電池の電気接続を実現することである。バスバーレス太陽電池の表面にAgペーストパッドを設ける必要はなく、太陽電池モジュールの全Agペースト消費量をさらに低減する。
【0009】
スイスのマイヤー・バーガー社の中国特許第108419433号は、バスバーレス太陽電池の電気接続部の第2の方式を開示しており、マルチバスバー溶接ストリップとバスバーレス太陽電池との間の電気接続部が接着膜電極によって実現される。マルチバスバー溶接ストリップを有する接着膜電極は、接着膜の層を含み、マルチバスバー溶接ストリップは、接着膜に接着し、接着膜に埋め込まれる。次に、接着膜を用いて、
図12に示すように、マルチバスバー溶接ストリップを電池の表面に固定し、マルチバスバー溶接ストリップとバスバーレス太陽電池との間に良好な導電性接触部を形成する。
【0010】
バスバーレス太陽電池の電気接続の第2の方式の欠点は、この種の接着膜電極をマルチバスバー溶接ストリップで製作するには、マルチバスバー溶接ストリップと接着膜を一緒に組み合わせるだけでなく、接着膜の接着面を常に千鳥状に調整し、フリップする必要があることであり、この種の接着膜電極のマルチバスバー溶接ストリップとの高い価格につながる。同時に、マルチバスバー溶接ストリップを有する接着膜電極を用いた太陽電池モジュールの製造コストも高く、モジュールコストを低減する実際の効果は限られている。
【0011】
もう1つの態様において、シリコンウエハのコストを低減するために、太陽電池のシリコンウエハを薄くする市場需要がある。しかしながら、シリコンウエハが薄くなると、溶接ストリップの不均一な熱膨張のために、相互接続されたバスバーと薄いシリコンウエハとの間で結果として生じる応力及び歪みもまた、シリコンウエハの損傷を引き起こしやすくなる。特に、銅溶接ストリップの熱膨張変形は、その端部において最大の影響を持つ。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究論文[Solar Energy Materials & Solar Cells 215(2020)110667]によれば、銅溶接ストリップの端部における応力は、150MPaを超えて蓄積する可能性があり、これは、ひび割れを引き起こすことが非常に簡単である。
【発明の概要】
【0012】
本発明によって解決されるべき技術的問題は、相互接続されたバスバーと太陽電池との間の確実な機械的固定を確保しつつ、銀の消費を低減することである。
【0013】
技術的問題を解決するために本発明によって採用される技術的方式は以下の通りである。太陽電池層を有する太陽電池モジュールであって、太陽電池層内の太陽電池は、相互接続されたバスバーを介して電流を導出する。太陽電池と相互接続されたバスバーとの間には、相互接続されたバスバーと太陽電池の予備的固定のために、導電性又は非導電性の接続点が存在する。相互接続されたバスバーを太陽電池の表面に完全に固定するために、グリッド線接合層とグリッド線支持層が太陽電池の表面に設けられる。グリッド線支持層は、グリッド線接合層の接合効果によって太陽電池の表面に接着し、グリッド線支持層は相互接続されたバスバーに積層される。
【0014】
本発明のこの方式では、相互接続されたバスバーを機械的に固定する機能は、グリッド線支持層によって提供され、それは、太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーをしっかりと押圧し、従って、相互接続されたバスバーの動きを制限し、相互接続されたバスバーの完全な固定を実現し、これは、モジュールが外部環境の温度変化に抵抗するのを助ける。相互接続されたバスバーと太陽電池との間の接続点は、予備的な固定の役割を果たすだけであり、このことは、後の製造工程のために太陽電池を太陽電池ストリングに接続することを容易にする。したがって、多数のAgペーストパッドによって相互接続されたバスバーが機械的に固定されているバスバーレス太陽電池の電気接続の既存の方式と比較して、本発明の方式は、必要な接点を少数とし、接続点のAg消費量を低くするか、Ag消費をなくすことができる。スイス、マイヤー・バーガー社のバスバーレス太陽電池の電気接続の第2の方式と比較すると、本発明の方式は、より低い製造コストを有し、伝統的な既存の装置に頼ることによって、又は簡単な修正によって実施することができる。
【0015】
本発明の方式では、相互接続されたバスバーはグリッド線支持層によって機械的に固定され、熱膨張によって生じる応力は太陽電池の表面上の約100mmの相互接続されたバスバー全体に均等に分配され、相互接続されたバスバーの端部における応力を約100倍に低減することができる。したがって、本発明の方法を使用することによって、シリコンウェハ破損の確率を大幅に低減することができる。同時に、電池製造工程での衝突など、他の理由でシリコンウェーハがダメージを受けても、グリッド線接合層とグリッド線支持層により貼り合わせられ、発電に影響を与えない。したがって、本発明の使用は、シリコンウエハの薄化に有益である。
【0016】
本発明は、一般に、共通ヘテロ接合電池、不動態化コンタクトTOPCON電池、IBCバックジャンクション電池、ペロブスカイト電池、ならびに他の薄膜及び結晶シリコン積層電池などの様々な高効率電池に適用可能である。本発明は、ヘテロ接合電池に実装するのに特に有益であり、ヘテロ接合電池と従来のPERC電池との間の材料コストギャップが狭くなる。
【0017】
前記グリッド線接合層の接合効果によって前記グリッド線支持層が前記太陽電池の表面に接着する具体的な方式は、前記グリッド線支持層を前記太陽電池の表面に接着させるために、前記グリッド線接合層が、前記グリッド線支持層と前記太陽電池との間に位置し、前記グリッド線接合層の厚さが、前記相互接続されたバスバーの厚さよりも小さい、というものである。
【0018】
更に、相互接続されたバスバーは、グリッド線接合層に埋め込まれるか、又は、相互接続されたバスバーとグリッド線接合層との間にギャップが存在する。相互接続されたバスバーをグリッド線接合層に埋め込むと、グリッド線接合層とグリッド線支持層は、相互接続されたバスバーを機械的に共同で固定することができ、固定効果は比較的良好である。
【0019】
更に、太陽電池モジュールは、パッケージング構造を更に備え、太陽電池層はパッケージング構造内にパッケージングされ、グリッド線接合層及びグリッド線支持層が太陽電池の表面上で相互接続されたバスバーを覆う。相互接続されたバスバーの表面は低融点溶接層を有する。電気接点は低融点溶接層によって相互接続されたバスバーと太陽電池との間に形成され、相互接続されたバスバーはグリッド線接合層内に埋め込まれる。グリッド線支持層と、同じ側にあるパッケージング構造との間には、グリッド線支持層及び同じ側にあるパッケージング構造を一緒に接合するためのパッケージング接合層が存在する。
【0020】
また、最小被覆単位については、グリッド線支持層及びグリッド線接合層の両方が膜全体であるか、又は、グリッド線支持層が膜全体であり、グリッド線接合層が膜ストリップの形式であるか、又は、グリッド線支持層が膜ストリップの形式であり、グリッド線接合層が膜全体であるか、又は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層の両方が膜ストリップの形式である。
【0021】
さらに、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式であり、少なくとも1つの太陽電池を最小の被覆ユニットとみなし、複合膜ストリップは、第1の方向に沿って延在し、第2の方向に沿って間隔をおいて配置されるか、又は、複合膜ストリップは、第2の方向に沿って延在し、第1の方向に沿って間隔をおいて配置される。第1の方向は、相互接続されたバスバーの延在方向であり、第2の方向は、相互接続されたバスバーの延在方向に垂直である。
【0022】
また、グリッド線支持層及びグリッド線接合層は、高分子材料である。グリッド線支持層は、PET、EVA、POE、PVB、PVF、PMMA又はPCであり、グリッド線接合層は、シリカゲル、POE、EVA、TPU又は液体シリカゲルであり、太陽電池は、バスバーレス太陽電池であり、相互接続されたバスバーは、マルチバスバー溶接ストリップである。
【0023】
前記グリッド線接合層の接合効果によって前記グリッド線支持層が前記太陽電池の表面に接着する別の具体的な方式は、前記グリッド線支持層が前記グリッド線接合層と前記太陽電池との間に位置すること、グリッド線支持層がグリッド線接合層を局所領域のみ遮蔽すること、及びグリッド線支持層によって遮蔽されたグリッド線接合層の遮蔽領域及び非遮蔽領域が、グリッド線支持層を太陽電池の表面に接着するために、それぞれグリッド線支持層及び太陽電池と接合することである。
【0024】
また、最小の被覆ユニットに関しては、グリッド線支持層とグリッド線接合層はいずれも全体の膜であり、グリッド線支持層は中空部を有するか、又は、グリッド線支持層は膜ストリップの形式であり、グリッド線接合層は全体の膜である。
【0025】
相互接続されたバスバーと太陽電池との間の良好な電気的接続関係を確実にするために、さらに、相互接続されたバスバーの表面は溶接層又は導電性接着剤を有し、溶接層は、モジュールの積層温度より低い融点の低融点溶接層であり、相互接続されたバスバーは、溶接層又は導電性接着剤を介して太陽電池と電気的に接触する。本発明は、相互接続されたバスバーと太陽電池とが、直接接触を介して電気的に接続されて太陽電池の電流を導出することを除外しない。
【0026】
上記の太陽電池モジュールの製造方法は、次のステップを有する。まず、導電性又は非導電性の接続点を介して、相互接続されたバスバーを太陽電池の表面に予備的に固定する。次に、太陽電池の表面をグリッド線支持層及びグリッド線接合層で覆い、グリッド線支持層及びグリッド線接合層に圧力を加える。相互接続されたバスバーをグリッド線支持層によって太陽電池の表面に完全に固定する。
【0027】
さらに、本方法は、太陽電池ストリング製造ステップ及びモジュール積層ステップをその順に含む。太陽電池ストリング製造ステップでは、相互接続されたバスバーは、導電性又は非導電性接続点を介して太陽電池の表面に予め固定される。モジュール積層ステップでは、相互接続されたバスバーがグリッド線支持層によって太陽電池の表面に完全に固定されるように、積層圧力がグリッド線支持層及びグリッド線接合層に印加される。モジュール積層ステップでは、相互接続されたバスバーが太陽電池と電気的に接触される。
【0028】
また、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、それぞれ膜状に順次被覆するために用いられる。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜状に被覆するために用いられる。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜状に被覆するために用いられる。あるいは、膜状のグリッド線支持層及び液体状のグリッド線接合層は、順次被覆するために用いられる。更に、相互接続されたバスバーと太陽電池との間の接続点は、溶接又は接着によって形成される。
【0029】
太陽電池モジュールを製造する方法では、まず、太陽電池ストリングの相互接続されたバスバーが、導電性又は非導電性の接続点を介して太陽電池の表面に予め固定されるように、太陽電池ストリングを製造する。次いで、グリッド線接合層及びグリッド線支持層で太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーを覆う。ここで、グリッド線接合層が、グリッド線支持層と太陽電池との間に位置する。そして最後に、モジュール積層プロセスで、太陽電池を太陽電池モジュールのパッケージング構造にパッケージングし、グリッド線接合層及びグリッド線支持層によって、相互接続されたバスバーを太陽電池の表面に完全に固定する。グリッド線支持層は、グリッド線接合層によって太陽電池の表面に接合される。グリッド線接合層の厚さは、相互接続されたバスバーの厚さよりも小さい。グリッド線接合層は、モジュール積層プロセスによって流動するように加熱され、その結果、相互接続されたバスバーは、グリッド線接合層に埋め込まれる。グリッド線支持層は、相互接続されたバスバー上に積層される。相互接続されたバスバーの表面は、低融点溶接層を有し、これらの溶接層は、積層温度で溶融されて、太陽電池の表面との電気接点を形成する。
【0030】
また、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、それぞれ膜状に順次被覆するために用いられる。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜状に被覆するために用いられる。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜状に被覆するために用いられる。あるいは、膜状のグリッド線支持層及び液体状のグリッド線接合層は、順次被覆するために用いられる。
【0031】
さらに、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、少なくとも1つの太陽電池を最小の被覆ユニットとして被覆するために用いられる。
【0032】
さらに、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式で被覆するために、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層が使用され、前記複合膜ストリップは、第1の方向又は第2の方向に沿って延在し、前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向に垂直である。
【0033】
さらに、太陽電池モジュールを製造する方法は、太陽電池ストリング製造ステップと、モジュール配列ステップと、モジュール積層ステップとを逐次的に含み、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、前記モジュール配列ステップにおいて、太陽電池の表面の相互接続されたバスバー上に配列される。
【0034】
さらに、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、太陽電池層を最小の被覆ユニットとし、膜の形成にすることによって、太陽電池層の表面を順次被覆する。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、太陽電池層を最小の被覆ユニットとし、グリッド線接合層及びグリッド線支持層を含む複合膜の形成にすることによって、太陽電池層の表面を被覆する。または、グリッド線接合層及びグリッド線支持層について、太陽電池層を最小の被覆ユニットとし、膜状のグリッド線支持層、及び液体状のグリッド線支持層が、太陽電池層の表面を順次被覆する。
【0035】
さらに、前記太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池ストリング製造ステップと、モジュール配列ステップと、モジュール積層ステップと、を順次備える。前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、太陽電池ストリングを最小の被覆ユニットとして、且つ前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式で前記太陽電池ストリングの表面に接着する。前記複合膜ストリップは、前記太陽電池ストリングの表面上において第1の方向に沿って延在し、第2の方向に沿って間隔をあけて配列される。前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向に垂直である、前記モジュール配列ステップにおいて、配列は、前記複合膜ストリップに接着された前記太陽電池ストリング上で行われる。
【0036】
さらに、前記太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池ストリング製造ステップと、太陽電池ストリング配列ステップと、モジュール配列ステップと、モジュール積層ステップとを順次含む。前記太陽電池ストリング配列ステップにおいて、前記太陽電池ストリングは、モジュール仕様及び要件に従って、全体として太陽電池層内に配列される。前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、最も小さい被覆ユニットとして前記太陽電池層の表面に接着し、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式で前記太陽電池層の表面に接着する。
【0037】
前記複合膜ストリップは、第2の方向に沿って延び、前記太陽電池層の表面上の第1の方向に沿って間隔をあけて配列され、前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの伸長方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの伸長方向に垂直である。モジュールの配列は、モジュール配列ステップにおいて複合膜ストリップと接着された太陽電池層の上で行われる。
【0038】
更に、太陽電池ストリング製造工程において、相互接続されたバスバーと太陽電池との間の接続点は、溶接又は接着によって形成される。溶接方法としては、例えば、電磁溶接、合金熱溶接、超音波溶接、摩擦溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等が挙げられる。接着方法としては、例えば、ホットメルト接着剤接着、シリカゲル接着、アクリル接着剤接着、エポキシ接着剤接着などが挙げられる。
【0039】
また、前記グリッド線接合層と前記グリッド線支持層とを含む複合膜の形式で被覆するために、前記グリッド線接合層と前記グリッド線支持層とが用いられ、前記複合膜は、接合層、グリッド線支持層及びグリッド線接合層を含む3層複合構造であり、前記パッケージング接合層は、前記グリッド線支持層と同じ側にパッケージング構造を有する前記グリッド線支持層を接合するために用いられ、前記パッケージング接合層及び前記グリッド線接合層は、それぞれ、前記グリッド線支持層の表側及び裏側に位置する。
【0040】
太陽電池モジュールは、パッケージング構造にパッケージ化された太陽電池層を含む。太陽電池層内の太陽電池は、相互接続されたバスバーを介して電流を導出する。太陽電池と相互接続されたバスバーと太陽電池との予備的な固定のために、太陽電池と相互接続されたバスバーとの間には、導電性又は非導電性の接続点が存在する。太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーは、相互接続されたバスバーを太陽電池の表面に完全に固定するように、グリッド線接合層及びグリッド線支持層で覆われる。相互接続されたバスバーの表面は、低融点溶接層を有し、電気接点は、低融点溶接層によって相互接続されたバスバーと太陽電池との間に形成される。グリッド線支持層は、グリッド線接合層によって太陽電池の表面に接合される。相互接続されたバスバーは、グリッド線接合層に埋め込まれる。グリッド線支持層は、相互接続されたバスバー上に積層される。前記グリッド線支持層を同じ側の前記パッキング構造体と接合するために、前記グリッド線支持層と、同じ側の前記パッケージング構造体との間には、パッケージング接合層がある。さらに、グリッド線接合層及びグリッド線支持層は、膜の形式であり、少なくとも1つの太陽電池を最小の被覆ユニットとする。
【0041】
さらに、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層は、前記グリッド線接合層及び前記グリッド線支持層を含む複合膜ストリップの形式であり、少なくとも1つの太陽電池を最小被覆ユニットとする。さらに、前記複合膜ストリップは、第1の方向に沿って延びており、第2の方向に沿って間隔をおいて配列されているか、又は、前記複合膜ストリップは、前記第2の方向に沿って延びており、前記第1の方向に沿って間隔をおいて配列されている。前記第1の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向であり、前記第2の方向は、前記相互接続されたバスバーの延在方向と直交する方向である。
【0042】
さらに、複合膜ストリップについては、太陽電池層を最も小さい被覆ユニットとし、太陽電池層は、少なくとも1つの太陽電池ストリングを電気的に接続することによって形成される。太陽電池ストリング内の太陽電池は、相互接続されたバスバーを介して電気的に接続される。太陽電池ストリング内の太陽電池は、太陽電池層において第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って間隔をおいて配列される。複合膜ストリップは、太陽電池層の表面において第2の方向に沿って延び、第1の方向に沿って間隔をおいて配列される。ここで、第1の方向は、相互接続されたバスバーの延長方向であり、第2の方向は、相互接続されたバスバーの延長方向に垂直である。複合膜ストリップの幅は、相互接続されたバスバーの幅よりも大きく、太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーのそれぞれは、複合膜ストリップによって完全に固定される。
【0043】
さらに、複合膜ストリップについては、太陽電池層を最も小さい被覆ユニットとし、太陽電池層は、少なくとも1つの太陽電池ストリングを電気的に接続することによって形成される。太陽電池ストリング内の太陽電池は、相互接続されたバスバーを通して電気的に接続され、太陽電池ストリング内の太陽電池は、太陽電池層において第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って間隔をおいて配列される。複合膜ストリップは、第2の方向に沿って延び、太陽電池層の表面上の第1の方向に沿って間隔をおいて配列される。ここで、第1の方向は、相互接続されたバスバーの延長方向であり、第2の方向は、相互接続されたバスバーの延長方向に垂直である。太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーのそれぞれは、それらと交差する複数の複合膜ストリップによって複数の点で固定され、固定点は、相互接続されたバスバーと複合膜ストリップの交差点である。
【0044】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
・相互接続されたバスバーがパッドによって機械的に固定されている、バスバーレス太陽電池の電気接続の方式と比較して、本発明は、相互接続されたバスバーの接続点のAg消費を大きく低減することができる。
・接着膜電極がバスバーを有しない太陽電池の電気接続の方式と比較して、本発明は、簡便な製造と低コストの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明は、添付の図面及び実施形態に関連して以下でさらに説明される。
【
図1】本発明の実施形態1に係る太陽電池モジュールの製造フローチャートである、
【
図2】本発明の実施形態1に係る太陽電池モジュールの構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る複合膜の構造を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る接続点を介した、相互接続されたバスバーとバスバーレス太陽電池との間の予備接続を示す概略構造図である。
【
図5】本発明の実施形態1による接続点を介して、相互接続されたバスバーとバスバーレス太陽電池との間の予備接続を示す別の概略構造図である。
【
図6】従来技術におけるセルバスバーパッドを介して相互接続されたバスバーが太陽電池に固定されることを示す概略構造図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る太陽電池モジュールの構成を示す模式図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る複合膜の構造を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態4に係る太陽電池モジュールの構成を示す模式図である。
【
図10】本発明の実施形態5に係る複合膜ストリップによって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す三次元概略構造図である。
【
図11】本発明の実施形態5に係る複合膜ストリップによって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す側面概略構成図である。
【
図12】従来技術におけるマルチバスバー溶接ストリップを有する接着膜電極によって太陽電池が直列に接続されることを示す概略構造図である。
【
図13】本発明の実施形態6に係る複合膜ストリップによって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す三次元概略構造図である。
【
図14】本発明の実施形態6に係る複合膜ストリップによって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す側面模式構造図である。
【
図15】本発明の実施形態7に係る複合膜によって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す三次元概略構造図である。
【
図16】本発明の実施形態7に係る複合膜によって相互接続されたバスバーが固定されていることを示す側面模式構造図である。
【
図17】本発明の実施形態13による相互接続されたバスバーを固定するための、積層されていない第1の積層構造の概略図である。
【
図18】本発明の実施形態13に係る、相互接続されたバスバーを固定するための、積層されていない第2の積層構造の概略図である。
【
図19】本発明の実施形態13による相互接続されたバスバーを固定するために積層されていない第3の積層構造の概略図であり、
【
図20】本発明の実施形態14による相互接続されたバスバーを固定するために積層されていない積層構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施形態1において、太陽電池モジュールの製造方法が提供される。まず、モジュールの太陽電池層における太陽電池ストリングの製造が行われ、その結果、太陽電池ストリングの相互接続されたバスバー2が、接続点4を介して太陽電池1の表面に予備的に固定される。次いで、モジュールの太陽電池1の表面上の 相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2で覆われる。グリッド線接合層3-1は、グリッド線支持層3-2と太陽電池層との間に位置する。最後に、モジュール積層プロセスで、太陽電池1は、太陽電池モジュールのパッケージング構造にパッケージされ、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2によって、太陽電池1の表面に完全に固定される。
【0047】
具体的には、グリッド線接合層3-1の厚さは、相互接続されたバスバー2の厚さよりも小さい。グリッド線接合層3-1は、モジュール積層プロセスによって流動するように加熱され、その結果、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1に埋め込まれる。グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1によって太陽電池1の表面に接合され、グリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2上に積層され、その結果、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2によって太陽電池の表面に完全に固定される。相互接続されたバスバー2の表面は、低融点溶接層を有し、これらの溶接層は、積層温度で溶融されて、太陽電池1の表面との電気接点を形成する。
【0048】
グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2を含む複合膜3の形式で被覆するために用いられる。
図3に示すように、複合膜3は3層複合構造であり、パッケージング接合層3-3、グリッド線支持層3-2及びグリッド線接合層3-1を含む。パッケージング接合層3-3は、グリッド線支持層3-2を同じ側のパッケージング構造と接合するために使用される。パッケージング接合層3-3及びグリッド線接合層3-1は、それぞれグリッド線支持層3-2の表側及び裏側に位置している。
【0049】
パッケージング接合層3-3、グリッド線支持層3-2、及びグリッド線接合層3-1は、異なる材料又は同じ材料の3層から構成される。異なる処理によって、異なる程度の重合及び/又は架橋が3つの層の間で起こり、3層複合構造をもたらす。
【0050】
図2、
図3及び
図4に示されるように、実施形態1における太陽電池モジュールの製造方法によって製造される太陽電池モジュールは、パッケージング構造にパッケージングされた太陽電池層を含む。太陽電池層内の太陽電池1は、相互接続されたバスバー2を介して電流を導出する。相互接続されたバスバー2及び太陽電池1の予備的固定のために、太陽電池1と相互接続されたバスバー2との間に導電性接続点4が存在する。太陽電池の表面上の相互接続されたバスバーは、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面に完全に固定するように、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2で覆われる。相互接続されたバスバー2の表面は、低融点溶接層を有し、電気接点は、低融点溶接層によって相互接続されたバスバー2と太陽電池1との間に形成される。グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1によって太陽電池1の表面に接合される。相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1内に埋め込まれる。グリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2上に積層される。グリッド線支持層3-2とパッケージング構造との間には、同じ側のパッケージング構造をグリッド線支持層3-2に接合するために、パッケージング接合層3-3がある。
【0051】
太陽電池層は、少なくとも1つの太陽電池ストリングを電気的に接続することによって形成される。太陽電池ストリング内の太陽電池1は、相互接続されたバスバー2を介して電気的に接続される。ストリング内の太陽電池は、第1の方向に沿って延び、太陽電池層内の第2の方向に沿って間隔をあけて配列される。
【0052】
複合膜3は、太陽電池層全体を最も小さい被覆ユニットとして太陽電池層の表面全体を被覆する。
【0053】
グリッド線支持層3-2は、積層温度では流動しにくい高分子材料、例えばPET、PVF、PMMA、PC等であり、その厚さは5um~50um程度である。グリッド線支持層3-2には、膜層間の接着性を高めるために表面処理が施されていてもよい。グリッド線接合層3-1は、積層温度で流動しやすいポリマー接着剤材料、例えばシリカゲル、POE、EVA、TPU又はその他の高温接着剤等であり、その厚さは20um~150umである。パッケージング接合層3-3は、積層温度で流動しやすいポリマー接着材料、例えばEVA、POE、PVB、TPO又は他の一般的な膜層等であり、その厚さは約200um~600umである。太陽電池1はバスバーレス太陽電池であり、相互接続されたバスバー2はマルチバスバー溶接ストリップである。
【0054】
図1に示すように、実施形態1における太陽電池モジュールの製造方法の具体的なステップは以下の通りである。
(a) 相互接続されたバスバー2、太陽電池1及び複合膜3は、予め製造される。相互接続されたバスバー2は、金属コアとして無酸素銅を有する高純度、低膨張係数及び低融点溶接層を有するマルチバスバー溶接ストリップである。低融点溶接層は、Sn42Bi57Ag1のような融点を下げるためにBi、Ag及び他の要素をドープしたすず層である。太陽電池1は、バスバーレス太陽電池である。マルチバスバー溶接ストリップをバスバーレス太陽電池に接続するために、バスバーレス太陽電池上には複数のパッドがある。
【0055】
(b) 太陽電池ストリングの製造
太陽電池1は、溶接テーブル上に置かれ、配列される。パッドは、局所的な赤外線加熱又は局所的な電磁誘導加熱などの局所的なエネルギー処理を受けて、相互接続されたバスバー2をパッド上に溶接し、複数の接続点4を形成し、その結果、相互接続されたバスバー2は、太陽電池1に予め固定され、太陽電池1は、相互接続されたバスバー2によって直列に接続されて、太陽電池ストリングを形成する。
【0056】
図6に示されるように、バスバーレス太陽電池のための既存の電気接続技術において、18個の相互接続されたバスバー2をその表面に有する太陽電池1は、相互接続されたバスバー2と太陽電池1との間の信頼性の高い機械的固定のための技術的要件を満たすために、通常180個の接続点4を必要とする。
【0057】
しかしながら、本発明では、
図4に示されるように、太陽電池1は、36個の接続点4を介して相互接続されたバスバー2に接続され、これにより、実施形態1で必要とされる太陽電池ストリングを製造することができる。
図5において、太陽電池1は、54個の接続点4を介して相互接続されたバスバー2に接続され、これにより、実施形態1で必要とされる太陽電池ストリングを製造する。必要な接続点4の数は、相互接続されたバスバー2がパッドによって溶接されるバスバーレス太陽電池のための既存の電気接続技術で必要とされる接続点4の数よりもはるかに少ないので、パッド上のAgペーストの消費を節約することができる。
【0058】
(c) モジュール配列
パッケージングバックプレーン6、複合膜3、太陽電池ストリング、複合膜3、及びパッケージングパネル5は、モジュール積層用の積層体を得るために順次敷設される。パッケージングバックプレーン6及びパッケージングパネル5は、モジュールのパッケージング構造である。
【0059】
実施形態1における複合膜3は、パッケージング接合層3-3、グリッド線支持層3-2及びグリッド線接合層3-1の3層複合構造であるため、パッケージング接合層3-3の配列工程を省略することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0060】
(d) モジュール積層
この積層は、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層の融点よりも高い積層温度で行われる。積層中に、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層を溶融させて、太陽電池1の表面上のAgフィンガーラインと良好な導電関係を形成する。太陽電池1がヘテロ接合電池である場合、積層の間、低融点溶接層が溶融し、これは、太陽電池1の表面上のAgフィンガーラインと良好な導電性関係を形成するだけでなく、太陽電池1の2um~7umのテクスチャー表面に接着して、良好な物理的接触及び一定の導電性接触を形成する。
【0061】
積層の間、グリッド線接合層3-1は流動するように加熱され、その結果、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1に埋め込まれる。層3-2を支持するグリッド線は、相互接続されたバスバー2上に積層される。積層及び冷却後、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面にしっかりと押し付け、これにより相互接続されたバスバー2の動きを制限し、相互接続されたバスバー2の完全な固定を実現する。これは、モジュールが外部環境の温度変化に抵抗するのを助ける。
【0062】
実施形態2においては、実施形態1と基本的に同様な、太陽電池モジュールの製造方法が提供されるが、複合膜3が、
図7及び
図8に示すように、グリッド線支持層3-2とグリッド線接合層3-1との2層複合構造である点に差がある。
【0063】
実施形態2における具体的なステップのステップ(a)、(b)、(d)は、実施形態1と同様であり、ステップ(c)において異なる。
【0064】
ステップ(c)では、パッケージングバックプレーン6、パッケージング接合層3-3、複合膜3、太陽電池ストリング、複合膜3、パッケージング接合層3-3、及びパッケージングパネル5を順に敷設する。
【0065】
実施形態3は、基本的に実施形態1と同じであり、相違点は、太陽電池ストリングの相互接続されたバスバー2が、非導電性接続点4を介して太陽電池1の表面に予め固定されていることである。非導電接続点4は、通常、ホットメルト接着剤、シリカゲル、アクリル接着剤、エポキシ接着剤などの接着剤で接着することによって形成される。接着剤の一部は、接着効果を生じさせるために、局所的なUV光照射によって硬化される必要がある。
【0066】
図6に示すバスバーレス太陽電池用の既存の電気接続技術と比較すると、パッド上のAgペーストの消費量は、実施形態3ではゼロである。
【0067】
実施形態4においては、
図9に示すように、太陽電池モジュールの製造方法が提供されるが、これは、実施形態1と基本的に同じであり、相違点は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2が、太陽電池層の表面全体を、太陽電池層全体を最も小さな被覆ユニットとして、膜状に順次被覆する点にある。
【0068】
実施形態4における具体的なステップのステップ(a)、(b)、(d)は、実施形態1と同様であり、ステップ(a)、(c)に違いがある。
【0069】
工程(a)では、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2の複合化及び作製工程が省略される。
【0070】
ステップ(c)では、パッケージングバックプレーン6、パッケージング接合層3-3、グリッド線支持層3-2、グリッド線接合層3-1、太陽電池ストリング、グリッド線接合層3-1、グリッド線支持層3-2、パッケージング接合層3-3、及びパッケージングパネル5を順に敷設する。
【0071】
実施形態5において、太陽電池モジュールの製造方法を提供する。この製造方法は、実施形態1と基本的に同じであり、その相違点は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2を含む複合膜ストリップ3’の形態で、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2が太陽電池ストリングの表面に接着することである。複合膜ストリップ3’は、
図8に示すように、グリッド線支持層3-2とグリッド線接合層3-1の2層複合構造である。複合膜ストリップ3’については、太陽電池ストリングを最も小さい被覆ユニットとする。複合膜ストリップ3’は、第1の方向に沿って延在し、太陽電池ストリングの表面上の第2の方向に沿って間隔をあけて配列される。第1の方向は、相互接続されたバスバー2の延長方向である。第2の方向は、相互接続されたバスバー2の延長方向に対して垂直である。
【0072】
実施形態5における太陽電池モジュールの製造方法の具体的なステップは、以下のステップ(a)~(d)である。
【0073】
ステップ(a)では、相互接続されたバスバー2、太陽電池1及び複合膜ストリップ3’が予め製造される。太陽電池1はバスバーレス太陽電池であり、バスバーレス太陽電池は複数のパッドを有する。
【0074】
(b)太陽電池ストリングの製造
太陽電池1は、溶接テーブル上に置かれ、配列される。相互接続されたバスバー2はパッド上で溶接され、複数の接続点4を形成し、その結果、相互接続されたバスバー2は太陽電池1に予め固定され、太陽電池1は相互接続されたバスバー2によって直列に接続され、太陽電池ストリングを形成する。
【0075】
図10及び11に示されるように、複合膜ストリップ3’は、第1の方向に沿って延在し、太陽電池ストリングの表面上の第2の方向に沿って間隔をあけて配列される方法で、太陽電池ストリングの表面に接着する。モジュール配列ステップにおいて、複合膜ストリップ3’と接着された太陽電池ストリングに対して配列が行われる。合成膜ストリップ3’は、グリッド線接合層3-1をわずかに加熱することによって太陽電池ストリングの表面に接着する。
【0076】
(c)モジュール配列
パッケージングバックプレーン6、パッケージング接合層3-3、複合膜ストリップ3’を接着した太陽電池ストリング、パッケージング接合層3-3、及びパッケージングパネル5を順次敷設して、モジュール積層用の積層体を得る。
【0077】
(d)モジュール積層
この積層は、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層の融点よりも高い積層温度で行われる。積層中に、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層を溶融させて、太陽電池1の表面上のAgフィンガーラインと良好な導電関係を形成する。
【0078】
積層の間、グリッド線接合層3-1は流動するように加熱され、その結果、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1に埋め込まれる。層3-2を支持するグリッド線は、相互接続されたバスバー2上に積層される。積層及び冷却後、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面にしっかりと押し付け、これにより、相互接続されたバスバー2の移動を制限する。
【0079】
実施形態5における太陽電池モジュールの製造方法によって製造される太陽電池モジュールは、パッケージング構造にパッケージされた太陽電池層を含む。太陽電池層内の太陽電池1は、相互接続されたバスバー2を介して電流を導出する。相互接続されたバスバー2及び太陽電池1の予備的固定のために、太陽電池1と相互接続されたバスバー2との間に導電性接続点4が存在する。太陽電池1の表面上の相互接続されたバスバー2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面に完全に固定するように、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2で覆われる。相互接続されたバスバー2の表面は、低融点溶接層を有し、電気接点は、低融点溶接層によって相互接続されたバスバー2と太陽電池1との間に形成される。グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1によって太陽電池1の表面に接合される。相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1内に埋め込まれる。グリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2上に積層される。グリッド線支持層3-2と、同じ側のパッケージング構造との間には、パッケージング接合層3-3があり、これは、同じ側にあるパッケージング構造にグリッド線支持層3-2を接合するためのものである。
【0080】
太陽電池層は、少なくとも1つの太陽電池ストリングを電気的に接続することによって形成される。太陽電池ストリング内の太陽電池1は、相互接続されたバスバー2を介して電気的に接続される。ストリング内の太陽電池は、太陽電池層において第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って間隔をあけて配列される。グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2を含む複合膜ストリップ3’の形式で、太陽電池層の表面上に間隔をあけて覆われる。
【0081】
ストリング内の太陽電池は、第1の方向に沿って延び、太陽電池層内の第2の方向に沿って間隔をあけて配列されるため、複合膜ストリップ3’については、太陽電池ストリングを最小の被覆ユニットとみなすことができ、又は、太陽電池層を最小の被覆ユニットとみなすことができる。複合膜ストリップ3’は、太陽電池層の表面において、第1の方向に沿って延び、第2の方向に沿って間隔をあけて配列される。複合膜ストリップ3’の幅は、相互接続されたバスバー2の幅よりも大きい。太陽電池1の表面上の相互接続されたバスバー2の各々は、複合膜ストリップ3’によって一体的に固定される。
図10では、相互接続されたバスバー2の各々は複合膜ストリップ3’に対応しているが、複数の相互接続されたバスバー2が複合膜ストリップ3’に対応していることは除外されていない。
【0082】
実施形態5において、相互接続されたバスバー2の幅が0.27mmであり、相互接続されたバスバー2の間の間隔が8.75mmである場合、複合膜ストリップ3’の幅は、約4mmであればよく、複合膜ストリップ3’の間の間隔は、約4.75mmである。複合膜ストリップ3’の量は、太陽電池層の領域の約45%である。
【0083】
図12に示すようなマルチバスバー溶接ストリップを有する接着膜電極7によって太陽電池を直列に接続する従来技術では、接着膜の量は太陽電池層の領域の90%以上であり、これは高いコストとシェーディングの影響を有する。従来技術と比較して、実施形態5における技術的方式は、複合接着ストリップ3’の量を低減することができ、これは、費用効果的な利点、低減されたシェーディング影響、及び増大されたパワーを有する。
【0084】
実施形態6では、実施形態5と基本的に同じ太陽電池モジュールの製造方法が提供され、その相違点は、太陽電池ストリング製造工程と、太陽電池ストリング配列工程と、モジュール配列工程と、モジュール積層工程とを順次含むことである。太陽電池ストリング配列工程では、モジュール仕様及び要件に応じて、太陽電池層全体に太陽電池ストリングが配列される。複合膜ストリップ3’が、太陽電池層を有する太陽電池層の表面に、最も小さい被覆ユニットとして接着し、複合膜ストリップ3’が、第2の方向に沿って延在し、太陽電池層の表面上の第1の方向に沿って間隔をおいて配列される。モジュール配列工程で、モジュール配列は、複合膜ストリップ3’が接着された太陽電池層上で実行される。複合膜ストリップ3’は、グリッド線接合層3-1をわずかに加熱することによって取り付けるために使用される。
【0085】
実施形態6における太陽電池モジュールの製造方法の具体的なステップは、以下のステップ(a)~(d)である。
【0086】
ステップ(a)では、相互接続されたバスバー2、太陽電池1及び複合膜ストリップ3’が予め製造される。太陽電池1はバスバーレス太陽電池であり、バスバーレス太陽電池は複数のパッドを有する。
【0087】
(b)太陽電池ストリングの製造
太陽電池1は、溶接テーブル上に置かれ、配列される。相互接続されたバスバー2はパッド上で溶接され、複数の接続点4を形成し、その結果、相互接続されたバスバー2は太陽電池1に予め固定され、太陽電池1は相互接続されたバスバー2によって直列に接続され、太陽電池ストリングを形成する。
【0088】
(c)太陽電池ストリング装置
太陽電池ストリングは、モジュールの仕様及び要件に従って、全体として太陽電池層内に配列され、複合膜ストリップ3’は、最も小さな被覆ユニットとして太陽電池層と共に太陽電池層の表面に接着し、複合膜ストリップ3’は、第2の方向に沿って延在し、太陽電池層の表面上の第1の方向に沿って間隔をあけて配列され、モジュール配列ステップにおいて、複合膜ストリップ3’と共に接着された太陽電池層上で実施される。
【0089】
(d)モジュール配列
パッケージングバックプレーン6、パッケージング接合層3-3、複合膜ストリップ3’と接着された太陽電池層、パッケージング接合層3-3、及びパッケージングパネル5は、モジュール積層のための積層を得るために、順番に配列される。
【0090】
(e)モジュール積層
この積層は、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層の融点よりも高い積層温度で行われる。積層中に、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層を溶融させて、太陽電池1の表面上のAgフィンガーラインと良好な導電関係を形成する。
【0091】
積層の間、グリッド線接合層3-1は流動するように加熱され、その結果、相互接続されたバスバー2は、グリッド線接合層3-1に埋め込まれる。グリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2上に積層される。積層及び冷却後、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面にしっかりと押し付け、これにより、相互接続されたバスバー2の移動を制限する。
【0092】
図13及び
図14に示されるように、実施形態6における太陽電池モジュールの製造方法によって製造される太陽電池モジュールは、実施形態5のものと基本的に同じであり、その差は、複合膜ストリップ3’が太陽電池層の表面上において第2の方向に沿って延びており、第1の方向に沿って間隔をあけて配列されており、太陽電池1の表面上の相互接続されたバスバー2のそれぞれが、それらと交差する複数の複合膜ストリップ3’によって複数の点で固定され、固定点が相互接続されたバスバー2と複合膜ストリップ3’との交点である点にある。
【0093】
実施形態6において、相互接続されたバスバー2の幅が0.27mmであり、相互接続されたバスバー2の間の間隔が8.75mmである場合、複合膜ストリップ3’の幅は、約4mmであればよい。複合膜ストリップ3’の間の間隔は、約8mmである。複合膜ストリップ3’の量は、太陽電池層の領域の約30%である。実施形態5と比較して、コスト、シェーディングの点で利点がある。
【0094】
実施形態7は、基本的に実施形態2と同じであり、相違点は、太陽電池1がバスバーレスIBC背面接合電池であり、相互接続されたバスバー2がすべて太陽電池ストリングの片側に位置し、複合膜3が、
図15及び16に示すように、最も小さい被覆ユニットとして単一の太陽電池を用いて被覆するために使用されることである。
【0095】
実施形態8は、基本的に実施形態7と同じであり、その相違点は、複合膜3が、太陽電池層の表面全体を、太陽電池層全体を最も小さな被覆ユニットとして覆う点にある。
【0096】
実施形態9は、基本的に実施形態4と同様であり、膜状のグリッド線支持層と液状のグリッド線接合層とを順次被覆する点で相違する。
【0097】
パッケージング接合層3-3及びグリッド線接合層3-1は、液体シリカゲルであり、グリッド線支持層3-2は、PET、PVF、PMMA又はPCである。
【0098】
実施形態9における太陽電池モジュールの製造方法の具体的なステップは、以下のステップ(a)~(d)である。工程(a)では、相互接続されたバスバー2及び太陽電池1を予め製造する。太陽電池1はバスバーレス太陽電池であり、バスバーレス太陽電池は複数のパッドを有する。
【0099】
(b) 太陽電池ストリングの製造
太陽電池1は、溶接テーブル上に置かれ、配列される。相互接続されたバスバー2はパッド上で溶接され、複数の接続点4を形成し、その結果、相互接続されたバスバー2は太陽電池1に予め固定され、太陽電池1は相互接続されたバスバー2によって直列に接続され、太陽電池ストリングを形成する。
【0100】
(c)モジュール配列
モジュール積層用積層体は、パッケージングバックプレーン6を積層し、液状シリカゲルを塗布し、グリッド線支持層3-2を積層し、液状シリカゲルを塗布し、太陽電池ストリングを積層し、液状シリカゲルを塗布し、グリッド線支持層3-2を積層し、液状シリカゲルを塗布し、パッケージングパネル5を順次積層することにより得られる。液体シリカゲルの塗布方法は、太陽電池層を最小被覆単位とし、液体シリカゲルのA/B成分を混合して塗布する。
【0101】
(d) モジュール積層
この積層は、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層の融点よりも高い積層温度で行われる。積層中に、相互接続されたバスバー2の低融点溶接層を溶融させて、太陽電池1の表面上のAgフィンガーラインと良好な導電関係を形成する。
【0102】
積層時に、グリッド線支持層3-2は相互接続されたバスバー2上に積層され、グリッド線接合層3-1は固体状に加熱される。積層及び冷却後、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面にしっかりと押し付け、これにより相互接続されたバスバー2の移動を制限する。
【0103】
実施形態10は、基本的に実施形態1と同じであり、相違点は、太陽電池1のセルグリッド線表面が低融点溶接層を有し、これが積層温度で溶融して、相互接続されたバスバー2と良好な電気接触を形成することである。
【0104】
具体的には、相互接続されたバスバー2は、Sn被覆層を有する金属溶接ストリップであり、Sn被覆層の融点は約230℃である。太陽電池1の表面は、Cuフィンガーラインで電気メッキされる。次いで、Cuフィンガーラインの表面をSnBi合金で電気メッキし、その融点は150℃より低い。積層の間、モジュールの温度は150℃以上に上昇し、Cuフィンガーラインの表面上のSn-Bi合金は溶融し、相互接続されたバスバー2と良好な電気接続を形成する。
【0105】
実施形態11は、基本的に実施形態1と同じであり、違いは、相互接続されたバスバー2の表面が導電性接着剤を有し、これが積層圧力下で変形して太陽電池1と良好な電気接触を形成することにある。
【0106】
具体的には、相互接続されたバスバー2は、導電性接着剤(ECA)被覆層を有する金属溶接ストリップであり、導電性接着剤(ECA)は、積層圧力下で変形されて、太陽電池1の表面上の金属フィンガーラインとの良好な電気接続を形成してもよい。金属溶接ストリップはCu溶接ストリップであり、金属フィンガーラインはCu又はAgフィンガーラインである。
【0107】
実施形態12は、基本的に実施形態1と同じであり、グリッド線支持層3-2は、架橋EVA、POE、PVB及び他の材料を使用してもよい点が異なる。架橋されたEVA、POE、PVB及び他の材料は、グリッド線支持層3-2として使用される場合、最初に架橋され、架橋率は、好ましくは80%~100%である。例えば、グリッド線支持層3-2及びグリッド線接合層3-1は、いずれもEVA材料で構成されているが、これは、EVA膜の光透過率がPET膜よりもはるかに優れているため、グリッド線支持層3-2として用いられるEVA膜の厚さを制限する必要がないためである。一般に、グリッド線支持層3-2は、放射線又は加熱によって完全に架橋された後に300 um架橋EVA膜を使用することによって作製されてもよく、一方、グリッド線接合層3-1は、50 umの厚さを有する従来のEVA接着膜から作製されてもよい。
【0108】
実施形態13では、太陽電池モジュールは、パッケージング構造と、パッケージング構造内にパッケージングされた太陽電池層とを含む。太陽電池層内の太陽電池1は、相互接続されたバスバー2を介して電流を導出する。相互接続されたバスバー2及び太陽電池1の予備的固定のために、太陽電池1と相互接続されたバスバー2との間に、導電性又は非導電性の接続点4が存在する。グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2は、相互接続されたバスバー2を太陽電池1の表面に完全に固定するために、太陽電池1の表面に設けられる。グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1の接合効果によって太陽電池1の表面に接着する。グリッド線支持層3-2をは、相互接続されたバスバー2上に積層される。グリッド線接合層3-1は、グリッド線支持層3-2と、グリッド線支持層3-2を太陽電池1の表面に接着するための太陽電池1との間に位置する。グリッド線接合層3-1の厚さは、相互接続されたバスバー2の厚さよりも小さい。グリッド線支持層3-2と同一側のパッケージング構造との間にパッケージング接合層3-3が存在し、グリッド線支持層3-2とパッケージング構造とを同一側で接着する。
【0109】
実施形態1と比較すると、その相違点は、
図17に示すように、太陽電池1のような最も小さい被覆ユニットに対して、グリッド線支持層3-2が全体膜であり、グリッド線接合層3-1が膜ストリップの形態である点である。相互接続されたバスバー2とグリッド線接合層3-1との間には間隙が存在する。相互接続されたバスバー2とグリッド線接合層3-1との間にギャップがあるので、グリッド線接合層3-1の厚さが、モジュールが積層される前に相互接続されたバスバー2の厚さよりも僅かに大きくてもよいことは除外されない。積層後、グリッド線接合層3-1は圧縮のために薄くなる。
【0110】
もちろん、
図18に示すように、グリッド線支持層3-2が膜ストリップの形式であり、グリッド線接合層3-1が膜全体であるか、又は、
図19に示すように、グリッド線接合層3-1及びグリッド線支持層3-2の両方が膜ストリップの形式である点に違いがあってもよい。
【0111】
実施形態14は、実施形態13と比較して、
図20に示すように、グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1と太陽電池1との間に位置し、グリッド線支持層3-2は、グリッド線接合層3-1を局所的にのみ遮蔽し、グリッド線支持層3-2によって遮蔽されたグリッド線接合層3-1の遮蔽領域と非遮蔽領域は、それぞれグリッド線支持層3-2及び太陽電池1と接合され、これによりグリッド線支持層3-2を太陽電池1の表面に接着する。
【0112】
図20において、太陽電池1のような最も小さい被覆ユニットに関して、グリッド線支持層3-2は膜ストリップの形式であり、グリッド線接合層3-1は全体の膜であり、グリッド線接合層3-1は正確にパッケージング接合層3-3であってもよい。太陽電池モジュールの構造は、パッケージングパネル5と、グリッド線接合層3-1と、グリッド線支持層3-2と、太陽電池層と、グリッド線支持層3-2と、グリッド線接合層3-1と、パッケージングバックプレーン6とを含む。
【0113】
もちろん、グリッド線支持層3-2及びグリッド線接合層3-1は、どちらも全体の膜であり、グリッド線支持層3-2は中空部を有し、モジュールのパッケージ品質を確保し、相互接続されたバスバー2を確実に固定する条件で、中空部の面積、形状及び分布密度を任意に設計することも可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…太陽電池、
2…相互接続バスバー
3…複合膜
3’ 複合膜ストリップ
3-1…グリッド線接合層
3-2…グリッド線支持層
3-3…パッケージング接合層
4…接続点
5…パッケージングパネル
6…パッケージングバックプレーン
7…マルチバスバー溶接ストリップ付き接着膜電極
【国際調査報告】