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特表2024-545189三環式縮合複素環系PDE3/4二重阻害剤及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】三環式縮合複素環系PDE3/4二重阻害剤及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20241128BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07D471/04 116
C07D471/04 CSP
A61K31/4745
A61P11/00
A61P11/06
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534672
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2022138629
(87)【国際公開番号】W WO2023109802
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111527081.7
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210121834.2
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323014731
【氏名又は名称】シーツァン ハイスコ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、グォビャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シャオブォ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ヤーミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、リンジェ
(72)【発明者】
【氏名】タン、ピンミン
(72)【発明者】
【氏名】ユー、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、パンケ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZC20
(57)【要約】
式(I)に示す、PDE3/4二重阻害作用を有する三環式縮合複素環系化合物、及びその立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、及びPDE3/4媒介性疾患を治療/予防する医薬品の製造における用途が開示され、式(I)における各基は、明細書に定義されているとおりである。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示す化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CHフェニル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、-(CHフェニル基、-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、前記アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びヘテロアリール基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基、ハロゲン化C1-4アルコキシ基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~7員の複素環又はC4-7炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
選択可能に、R及びR、又はR及びRは、それらに連結される炭素原子とともにC3-6シクロアルキル基を形成し、
Xは、CO又はSOであり、
環Aは、フェニル基、C9-10縮合炭素環又はN、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、
は、C1-6アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
は、H、C1-4アルキル基又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-4アルキル基及びC3-6シクロアルキル基であり、
選択可能に、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、OH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、-(CH-C3-6シクロアルキル基、-O-C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基で置換され、
nは、0、1、2、3又は4であり、
各mは、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4であり、
その条件として、
【化2】

【化3】
である場合、R10’、R10’’、R10’’’は、R10に定義されているとおりであり、化合物は、以下を満たし、
(i) R及びRは、同時にメトキシ基ではなく、又は、
(ii) R、R、R、Rは、同時にHではなく、又は、
(iii) R10’’’は、H又はメチル基ではない、化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基であり、前記アルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化4】
、ピリジル基、ピリミジニル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
は、C2-4アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
は、H又はC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-4アルキル基及びC3-6シクロアルキル基であり、
選択可能に、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
pは、1又は2である、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記化合物は、式IIの構造を有し、
【化5】
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、C1-4アルキル基、又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化6】
、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
は、H又はC1-3アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-4シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
qは、1、2又は3である、請求項2に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、-O(CHシクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又は-(CHシクロプロピル基であり、前記メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びシクロプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基、ハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、
【化7】
を形成し、且つ任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基及びハロゲン化プロピル基から選択される1~2個の基で置換され、
、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、前記メチル基、エチル基又はプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化8】
、チエニル基又はチアゾリル基であり、
は、H、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基及びハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
qは、2又は3である、請求項3に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
前記化合物は、
【化9】
【化10】
という構造のうちの一つから選択される、請求項1に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能なキャリア及び/又は賦形剤を含有する、組成物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、又は請求項6に記載の医薬組成物の、PDE3/4媒介性疾患を治療/予防する医薬品の製造における用途。
【請求項8】
前記PDE3/4媒介性疾患は、COPD及び喘息から選択される、請求項7に記載の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE3/4二重阻害剤、及びCOPDと喘息を治療する医薬品の製造におけるその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
COPD(chronic obstructive pulmonary disease)-慢性閉塞性肺疾患は、気流制限を特徴とする肺疾患群であり、気流制限が完全に可逆的ではなく、進行性を呈し、主に肺に影響を与え、肺の健康を脅かす最も一般的な慢性要素である。COPDの発症率及び致死率が高いままであるのは、一方でCOPDの早期診断が困難であり、COPDが常に密かに発症し、臨床症状が現れると、患者の全体的な健康状態の段階的な低下及び呼吸器症状の段階的な増加が予測されることが多く、他方で現在ではCOPDが治癒できず、COPDの薬物が主に気道の平滑筋を調節できる気管支拡張剤に依存するためである。このような医薬品は、症状を軽減し、病気の悪化を遅らせることしかできず、根治することにはならない。COPDは、経過が長く、患者が、頻繁な診察と急性増悪による入院と長期の看護を時に必要とし、大量の医療資源を占有し、現在すでに世界中に厄介な疾病負担になっているため、COPDに対して、異なる標的から出発し、新たな医薬品を開発して異なる臨床的ニーズを満たす必要がある。
【0003】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、スーパーファミリー酵素系に属し、11個のファミリーを含み、各ファミリーは、異なるシグナル伝達に関与し、異なる生理的プロセスを調節する。研究によると、PDE3は、呼吸器系の平滑筋の収縮に関連し、PDE4は、免疫細胞誘発性炎症応答において重要な役割を果たす。臨床におけるPDE3又はPDE4選択的阻害剤の限界を考慮すると、PDE3/4の二重阻害剤は、COPD及び喘息の重要な病理学的特徴を標的とするより魅力的な方法であると考えられる。現在、PDE3/4二重標的阻害剤は、相乗的な抗炎症作用及び気管支拡張作用を含む相乗的な阻害効果を有する証拠がすでにあった。WO 2000058308A1は、化合物RPL554が長時間作用性気管支拡張作用及び抗炎症作用を有することを報告したが、該薬物は、溶解度が低く、血漿クリアランスが高く、吸入投与に適し、生物活性データによると、そのPDE4阻害活性が不十分であり、抗炎症効果が理想的ではない可能性があり、そのため、PDE3/4二重阻害剤はまだ研究する価値がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(I)又は式(II)の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩を提供し、前記化合物は、活性が高く、物理化学的性質が製剤化を容易にし、バイオアベイラビリティーが高く、毒性の副作用が低いという優れた効果を有する。
【0005】
前記式(I)又は式(II)の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CHフェニル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、-(CHフェニル基、-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、前記アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びヘテロアリール基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基、ハロゲン化C1-4アルコキシ基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基でさらに置換され、
いくつかの実施形態において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基であり、前記アルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
いくつかの実施形態において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、C1-4アルキル基、又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
いくつかの実施形態において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、-O(CHシクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又は-(CHシクロプロピル基であり、前記メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びシクロプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基、ハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~7員の複素環又はC4-7炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、
【化2】
を形成し、且つ任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基及びハロゲン化プロピル基から選択される1~2個の基で置換され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、R、Rは、それぞれ独立して、Hであり、
いくつかの実施形態において、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、前記メチル基、エチル基又はプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、R、Rは、それぞれ独立して、Hであり、
選択可能に、R及びR、又はR及びRは、それらに連結される炭素原子とともにC3-6シクロアルキル基を形成し、
Xは、CO又はSOであり、いくつかの実施形態において、Xは、COであり、
環Aは、フェニル基、C9-10縮合炭素環又はN、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、
いくつかの実施形態において、環Aは、フェニル基、
【化3】
(連結部位は、環における化学結合規則に従う任意の環原子である)、ピリジル基、ピリミジニル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
いくつかの実施形態において、環Aは、フェニル基、
【化4】
(連結部位は、環における化学結合規則に従う任意の環原子である)、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
いくつかの実施形態において、環Aは、フェニル基、
【化5】
(連結部位は、環における化学結合規則に従う任意の環原子である)、チエニル基又はチアゾリル基であり、
は、C1-6アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、Lは、C2-4アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、Lは、C2-4アルキレン基であり、
は、H、C1-4アルキル基又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、Rは、H又はC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、Rは、H又はC1-3アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、Rは、H、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基及びハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-4アルキル基及びC3-6シクロアルキル基であり、
いくつかの実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、Hであり、
選択可能に、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、OH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、-(CH-C3-6シクロアルキル基、-O-C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-4シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
いくつかの実施形態において、各R10は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
nは、0、1、2、3又は4であり、
いくつかの実施形態において、nは、0、1、2又は3であり、
各mは、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4であり、
いくつかの実施形態において、各mは、それぞれ独立して、0、1、2、又は3であり、
qは、2又は3であり、
その条件として、
【化6】

【化7】
である場合、R10’、R10’’、R10’’’は、R10に定義されているとおりであり、化合物は、以下を満たし、
(iv)R及びRは、同時にメトキシ基ではなく、又は、
(v)R、R、R、Rは、同時にHではなく、又は、
(vi)R10’’’は、H又はメチル基ではない。
【0006】
本発明のより具体的な第1の技術案として、式(I)に示す化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩が提供され、
【化8】
ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CHフェニル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、-(CHフェニル基、-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、前記アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基及びヘテロアリール基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基、ハロゲン化C1-4アルコキシ基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~7員の複素環又はC4-7炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
選択可能に、R及びR、又はR及びRは、それらに連結される炭素原子とともにC3-6シクロアルキル基を形成し、
Xは、CO又はSOであり、
環Aは、フェニル基、C9-10縮合炭素環又はN、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員ヘテロアリール基であり、
は、C1-6アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
は、H、C1-4アルキル基又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-4アルキル基及びC3-6シクロアルキル基であり、
選択可能に、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、OH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、-(CH-C3-6シクロアルキル基、-O-C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、CN、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)及びOHから選択される1~3個の基で置換され、
nは、0、1、2、3又は4であり、
各mは、それぞれ独立して、0、1、2、3又は4であり、
その条件として、
【化9】

【化10】
である場合、R10’、R10’’、R10’’’は、R10に定義されているとおりであり、化合物は、以下を満たし、
(vii)R及びRは、同時にメトキシ基ではなく、又は、
(viii)R、R、R、Rは、同時にHではなく、又は、
(ix)R10’’’は、H又はメチル基ではない。
【0007】
本発明のより具体的な第2の技術案として、式Iの化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、ここで、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、NH、-NHC1-4アルキル基、-N(C1-4アルキル)、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、-O(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基、C1-4アルキル基、-(CH3-6シクロアルキル基、又は-(CH-N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する4~7員ヘテロシクロアルキル基であり、前記アルキル基、シクロアルキル基及びヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、CN及びNHから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化11】
、ピリジル基、ピリミジニル基、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
は、C2-4アルキレン基であり、前記アルキレン基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
は、H又はC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
及びRは、それぞれ独立して、H、C1-4アルキル基及びC3-6シクロアルキル基であり、
選択可能に、R及びRは、それらに連結されるN原子とともに、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環を形成し、前記複素環は、任意選択的に、=O、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-6シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
pは、1又は2であり、
残りは第1の技術案に記載のとおりである。
【0008】
本発明のより具体的な第3の技術案として、式Iの化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、前記化合物は、式IIの構造を有し、
【化12】
、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン、CN、OH、-OC1-4アルキル基、-O(CH3-6シクロアルキル基、C1-4アルキル基、又は-(CH3-6シクロアルキル基であり、前記アルキル基及びシクロアルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルキル基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、N、S、Oヘテロ原子から選択される1~3個のものを含有する5~6員の複素環又はC5-6炭素環を形成し、前記複素環及び炭素環は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、ハロゲン化C1-4アルキル基及びC1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、ハロゲン及びC1-4アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化13】
、チエニル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基又はイソオキサゾリル基であり、
は、H又はC1-3アルキル基であり、前記アルキル基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルコキシ基、重水素化C1-4アルコキシ基及びハロゲン化C1-4アルコキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、CN、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-4シクロアルキル基又はC1-4アルコキシ基であり、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基は、任意選択的に、重水素、ハロゲン、C1-4アルキル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
qは、1、2又は3であり、
残りは第2の技術案に記載のとおりである。
【0009】
本発明のより具体的な第4の技術案として、式IIの化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、-O(CHシクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基又は-(CHシクロプロピル基であり、前記メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びシクロプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基、ハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基でさらに置換され、
選択可能に、RとR及びそれらに連結される原子は、一緒になって、
【化14】
を形成し、且つ任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ハロゲン化メチル基、ハロゲン化エチル基及びハロゲン化プロピル基から選択される1~2個の基で置換され、
、Rは、それぞれ独立して、H、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基又はプロピル基であり、前記メチル基、エチル基又はプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br及びIから選択される1~3個の基で置換され、
環Aは、フェニル基、
【化15】
、チエニル基又はチアゾリル基であり、
は、H、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化プロピル基、重水素化メトキシ基、重水素化エトキシ基、重水素化プロポキシ基、ハロゲン化メトキシ基、ハロゲン化エトキシ基及びハロゲン化プロポキシ基から選択される1~3個の基で置換され、
各R10は、それぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基であり、前記メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、エチニル基、プロピニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基は、任意選択的に、重水素、F、Cl、Br、I、メチル基、エチル基、プロピル基及びCNから選択される1~3個の基で置換され、
qは、2又は3であり、
残りは第3の技術案に記載のとおりである。
【0010】
本発明のより具体的な第5の技術案として、式Iに記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩であって、前記化合物は、
【化16】
【化17】
という構造のうちの一つから選択される。
【0011】
本発明のより具体的な第6の技術案として、医薬組成物が提供され、それは、第1~第5のいずれか一つの技術案に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能なキャリア及び/又は賦形剤を含有する。
【0012】
本発明のより具体的な第7の技術案として、用途、即ち第1~第5のいずれか一つの技術案に記載の化合物、その立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、又は第6の技術案に記載の組成物の、PDE3/4媒介性疾患を治療/予防する医薬品の製造における用途が提供される。
【0013】
更に、前記PDE3/4媒介性疾患は、COPD及び喘息から選択される。
【0014】
合成経路
当業者であれば、既知の有機合成技術を結び付けて本発明の化合物を製造することができ、その出発原料は、市販の化学品及び(又は)化学文献に記載の化合物である。「市販の化学品」は、正規の商業的供給源から入手したものであり、供給業者として、泰坦科技、安耐吉化学、上海徳黙、成都科龍化工、韶遠化学科技、南京薬石、薬明康徳と百霊威科技などの会社を含む。
【0015】
当分野の参考書と専門書には、本明細書に記載の化合物の製造に使用できる反応物の合成が詳細に紹介されており、又は参照のために、該製造方法を説明する文章が与えられている。これらの参考書と専門書は、以下を含む。『Synthetic Organic Chemistry』,John Wiley & Sons,Inc.,New York; S. R. Sandler et al.,『Organic Functional Group Preparations』,2nd Ed.,Academic Press,New York,1983; H. O. House,『Modern Synthetic Reactions』,2nd Ed.,W. A. Benjamin,Inc. Menlo Park,Calif. 1972; T. L. Gilchrist,『Heterocyclic Chemistry』,2nd Ed.,John Wiley & Sons,New York,1992; J. March,『Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms and Structure』,4th Ed.,Wiley-Interscience,New York,1992; Fuhrhop,J. and Penzlin G. 『Organic Synthesis: Concepts,Methods,Starting Materials』,Second,Revised and Enlarged Edition(1994)John Wiley & Sons ISBN: 3-527-29074-5; Hoffman,R.V. 『Organic Chemistry,An Intermediate Text』(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5; Larock,R. C. 『Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations』 2nd Edition(1999)Wiley-VCH,ISBN: 0-471-19031-4; March,J. 『Advanced Organic Chemistry: Reactions,Mechanisms,and Structure』 4th Edition(1992)John Wiley & Sons,ISBN: 0-471-60180-2; Otera,J.(editor)『Modern Carbonyl Chemistry』(2000)Wiley-VCH,ISBN: 3-527-29871-1; Patai,S. 『Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups』(1992)Interscience ISBN: 0-471-93022-9; Solomons,T. W. G. 『Organic Chemistry』 7th Edition(2000)John Wiley & Sons,ISBN: 0-471-19095-0; Stowell,J.C.,『Intermediate Organic Chemistry』 2nd Edition(1993)Wiley-Interscience,ISBN: 0-471-57456-2; 『Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann’s Encyclopedia』(1999)John Wiley & Sons,ISBN: 3-527-29645-X,in 8 volumes; 『Organic Reactions』(1942-2000)John Wiley & Sons,in over 55 volumes; and 『Chemistry of Functional Groups』 John Wiley & Sons,in 73 volumes。
【0016】
米国化学会の化学情報検索サービス機関により作成される既知の化学物質の索引によって、特定及び類似した反応物を選択的に識別することができ、これらの索引は、多くの公共図書館と大学図書館及びオンラインで取得可能である。既知であるがカタログで入手可能でない化学品については、任意選択的にカスタム化学合成事業者に依頼して製造してもよく、そのうち多くの標準化学品供給事業者(例えば、以上に列挙されている会社)は、カスタム合成サービスを提供する。本明細書に記載の化合物の医薬品的な塩を製造し選択する参考文献は、P. H. Stahl & C. G. Wermuth 「Handbook of Pharmaceutical Salts」,Verlag Helvetica Chimica Acta,Zurich,2002である。
【0017】
用語
本発明において特に断りがない限り、本発明の用語は、以下の意味を有する。
【0018】
本発明に記載の基と化合物に係る炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンは、いずれもそれらの同位体を含み、また本発明に記載の基と化合物に係る炭素、水素、酸素、硫黄、窒素又はハロゲンは、任意選択的に、さらにそれらに対応する一つ又は複数の同位体によって置換され、ここで炭素の同位体は、12Cと、13Cと、14Cとを含み、水素の同位体は、プロチウム(H)と、デューテリウム(重水素とも呼ばれる)と、トリチウム(T、三重水素とも呼ばれる)とを含み、酸素の同位体は、16Oと、17Oと、18Oとを含み、硫黄の同位体は、32Sと、33Sと、34Sと、36Sとを含み、窒素の同位体は、14Nと15Nとを含み、フッ素の同位体は、19Fであり、塩素の同位体は、35Clと37Clとを含み、臭素の同位体は、79Brと81Brとを含む。
【0019】
本明細書では、「ハロゲン」は、F、Cl、Br、I、又はそれらの同位体を指す。
【0020】
「ハロゲン化」又は「ハロゲン置換」は、基がF、Cl、Br、I、又はそれらの同位体から選択される一つ以上のものによって置換されることを指し、ハロゲン置換基の数の上限は、置換される基の置換可能な水素の和に等しく、特に限定がない限り、ハロゲン置換基の数は、1から該上限の間の任意の整数であり、ハロゲン置換基の数が1より大きい場合、同じ又は異なるハロゲンで置換されてもよい。通常、1~5個のハロゲン置換、1~4個のハロゲン置換、1~3個のハロゲン置換、1~2個のハロゲン置換、1個のハロゲン置換の場合が含まれる。
【0021】
「重水素」は、水素(H)の同位体である重水素を指し、「D」の意味と同じである。
【0022】
「重水素化」又は「重水素化物」とは、アルキル基、シクロアルキル基、アルキレン基、アリール基、ヘテロアリール基、メルカプト基、ヘテロシクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの基にある水素原子が、少なくとも一つの重水素原子によって置換された場合を指し、重水素化の数の上限は、置換される基の置換可能な水素数の和に等しく、特に限定がない限り、重水素化の数は、1から該上限の間の任意の整数である。例えば、1~20個の重水素原子置換、1~10個の重水素原子置換、1~6個の重水素原子置換、1~3個の重水素原子置換、1~2個の重水素原子置換又は1個の重水素原子置換である。
【0023】
「Cx-y」基は、x~y個の炭素原子を含む基を指し、例えば、「C1-6アルキル基」は、1~6個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0024】
「アルキル基」は、1価の直鎖又は分岐鎖飽和脂肪族炭化水素基を指す。通常、1~20個の炭素原子があるアルキル基、又は1~8個の炭素原子があるアルキル基、又は1~6個の炭素原子があるアルキル基、又は1~4個の炭素原子があるアルキル基である。非限定的実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、ネオブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基などを含み、アルキル基は、置換基でさらに置換されてもよい。
【0025】
「アルキレン基」は、2価の直鎖及び分岐鎖飽和アルキル基を指す。アルキレン基の実施例は、メチレン基、エチレン基などを含むが、それらに限らない。
【0026】
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基における一つ又は複数の水素が一つ又は複数のハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素又はそれらの同位体)で置換される場合を指し、ハロゲン置換基の数の上限は、アルキル基における置換可能な水素の和に等しく、特に限定がない限り、ハロゲン置換基の数は、1から該上限の間の任意の整数である。通常、アルキル基は、1~5個のハロゲンで置換され、又は1~3個のハロゲンで置換され、又は1~2個のハロゲンで置換され、又は1個のハロゲンで置換され、ハロゲン置換基の数が1よりも大きい時、同じ又は異なるハロゲンによって置換されてもよく、具体的な例は、-CF、-CHCl、-CHCF、-CCl、CFなどを含むが、それらに限らない。
【0027】
「アルコキシ基」又は「アルキルオキシ基」は、-O-アルキル基を指す。例えば、-O-C1-8アルキル基、-O-C1-6アルキル基、-O-C1-4アルキル基又は-O-C1-2アルキル基である。具体的な非限定的実施例は、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロプロポキシ基及びシクロブトキシ基などを含み、前記アルコキシ基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0028】
「ハロゲン化アルコキシ基」は、-O-ハロゲン化アルキル基を指す。例えば、-O-ハロゲン化C1-8アルキル基、-O-ハロゲン化C1-6アルキル基、-O-ハロゲン化C1-4アルキル基又は-O-ハロゲン化C1-2アルキル基であり、ハロゲン置換基の数の上限は、置換される基の置換可能な水素の和に等しく、特に限定がない限り、ハロゲン置換基の数は、1から該上限の間の任意の整数であり、好ましくは1~5個のハロゲン置換、1~3ハロゲン置換、1~2個のハロゲン置換、1個のハロゲン置換であり、ハロゲン置換基の数が1よりも大きい時、同じ又は異なるハロゲンによって置換されてもよく、非制限性の実施例は、モノフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロエチルオキシ基などを含む。
【0029】
「アルケニル基」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合(C=C)を含む直鎖炭化水素基又は分岐鎖炭化水素基を指し、通常、2~18個の炭素原子、例えば、2~8個の炭素原子、また例えば、2~6個の炭素原子、さらに例えば、2~4個の炭素原子を含み、その例は、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、1-オクテニル基、3-オクテニル基、1-ノネニル基、3-ノネニル基、1-デセニル基、4-デセニル基、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン及び1,4-ヘキサジエンなどを含むが、それらに限らず、前記アルケニル基は、任意選択的に、置換基でさらに置換されてもよい。
【0030】
「アルケニレン基」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合(C=C)を含有する直鎖又は分岐鎖の2価不飽和炭化水素基を指し、特に明記しない限り、アルキニレン基は、2~6個の炭素原子を含有し、好ましくは、2~4個の炭素原子を含有し、非限定的実施例は、エチニレン基を含み、前記アルケニレン基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0031】
「アルキニル基」は、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合(C≡C)を含有する直鎖炭化水素基又は分岐鎖炭化水素基を指し、通常、2~18個の炭素原子を含み、さらに2~8個の炭素原子を含み、さらに2~6個の炭素原子を含み、よりさらに2~4個の炭素原子を含み、その例は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、4-ペンチル基、3-ペンチル基、1-メチル-2-ブチニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、2-ヘプチニル基、3-ヘプチニル基、4-ヘプチニル基、3-オクチニル基、3-ノニニル基と4-デシニル基などを含むが、それらに限らず、前記アルキニル基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0032】
「アルキニレン基」は、炭素-炭素三重結合(C≡C)を含有する直鎖又は分岐鎖の2価不飽和炭化水素基を指し、通常、2~6個の炭素原子を含み、さらに2~4個の炭素原子を含み、非限定的実施例は、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基を含み、前記アルキニレン基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0033】
「シクロアルキル基」は、飽和又は部分的に不飽和の、シクロヘテロ原子を含まない、非芳香族性炭素環式炭化水素基を指す。シクロアルキル基は、単環、二環又は多環であってもよく、二環又は多環は、並列環、スピロ環、架橋環又はそれらの組み合わせ形態であってもよく、二環又は多環には、1つ以上の芳香環が含まれてもよいが、環系全体は、芳香族性を有さず、連結部位が芳香環上又は非芳香環上にあってもよい。通常、シクロアルキル基は、3~20個の炭素原子を含有し、さらに3~8個の炭素原子を含有し、よりさらに3~6個の炭素原子を含有し、単環式シクロアルキル基である場合、3~15個の炭素原子、又は3~10個の炭素原子、又は3~8個の炭素原子、又は3~6個の炭素原子を含有し、二環又は多環式シクロアルキル基である場合、5~12個の炭素原子を含有するか、又は5~11個の炭素原子を含有するか、又は6~10個の炭素原子を含有し、非限定的実施例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、
【化18】
などを含み、シクロアルキル基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0034】
「シクロアルキレン基」は、シクロアルキル基の2価基である。
【0035】
「アリール基」は、芳香族性を有し、ヘテロ原子を含有しない炭素環を指し、単環式アリール基及び縮合環式アリール基を含む。通常、6~13個の炭素原子を含有し、さらに6~9個の炭素原子を含有し、さらにフェニル基であり、非限定的実施例は、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基を含み、アリール基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0036】
「炭素環」又は「炭素環式基」は、飽和、部分に不飽和の、又は芳香族性炭素環を指し、その意味がアリール基及びシクロアルキル基を含む。炭素環は、単環、二環又は多環であってもよく、二環又は多環は、架橋環、並列環及びスピロ環並びにそれらの組み合わせ形態を含む。炭素環は、通常、3~12個の炭素原子、又は3~10個の炭素原子、又は3~6個の炭素原子を有する。非限定的実施例において、単環式炭素環は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はフェニル基などを含み、二環式架橋環は、
【化19】
などを含み、二環式並列環は、
【化20】
などを含み、二環式スピロ環は、
【化21】
などを含み、炭素環は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0037】
「ヘテロシクロアルキル基」は、N、S、Oから選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含む飽和又は部分的に不飽和の非芳香族性炭素環を指す。ヘテロシクロアルキル基は、単環、二環又は多環であってもよく、二環又は多環は、架橋環、並列環、スピロ環又はそれらの組み合わせ形態であってもよく、二環又は多環には、1つ以上の芳香環又は複素芳香環が含まれてもよいが、環系全体は、芳香族性を有さず、連結部位が芳香環上又は非芳香環上にあってもよい。通常、ヘテロシクロアルキル基は、3~20員環であり、単環式ヘテロシクロアルキル基である場合、通常、3~15員環、又は3~10員環、又は3~8員環、又は3~6員環であり、二環又は多環式ヘテロシクロアルキル基である場合、通常、5~12員環、又は5~11員環、又は6~9員環である。ここで、ヘテロ原子N、Sは、その酸化状態を含む。ヘテロシクロアルキル基の非限定的実施例は、アゼチジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、ピラニル基、アザシクロペンテニル基、アザシクロヘキセニル基、オキソリル基、オキシニル基などを含み、ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0038】
「複素芳香環」又は「ヘテロアリール基」は、特に断りがない場合、N、O又はS及びそれらの酸化状態から選択される1~4個のヘテロ原子を含み、芳香族性を有する環を指し、単環、二環又は多環であってもよく、二環又は多環は、架橋環、並列環、スピロ環及びそれらの組み合わせ形態であってもよく、二環又は多環である場合、ヘテロアリール基とアリール基との縮合であってもよいし、ヘテロアリール基とヘテロアリール基との縮合であってもよく、ここで、ヘテロアリール基又はアリール基は、両方とも連結部位であり得る。非制限性の実施例は、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、インドリル基、プリニル基、
【化22】
などを含み、前記ヘテロアリール基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0039】
「ヘテロシクロ」又は「ヘテロシクロ基」は、N、O又はS及びそれらの酸化状態から選択される1~4個のヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の芳香族性又は非芳香族性環を指し、それは、ヘテロアリール基及びヘテロシクロアルキル基を含む。ヘテロシクロは、単環式ヘテロシクロ、架橋二環式ヘテロシクロ、縮合二環式ヘテロシクロ及びスピロ二環式ヘテロシクロ又はそれらの組み合わせ形態を含む。通常、3~12員ヘテロシクロ又は5~12員ヘテロシクロ、又は5~7員ヘテロシクロである。ヘテロシクロ基は、ヘテロ原子又は炭素原子上に連結されてもよく、非限定的実施例は、オキシラニル基、アザシクロプロピル基、オキセタニル基、アゼチジニル基、1,3-ジオキソラニル基、1,4-ジオキソラニル基、1,3-ジオキサニル基、ピペラジニル基、アザシクロヘプチル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、ピラニル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、ピペリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、1,3-ジチアニル基、ジヒドロフリル基、ジヒドロピラニル基、ジチオラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピロリル基、テトラヒドロイミダゾリル基、オキサゾリル基、ジヒドロオキサゾリル基、テトラヒドロオキサゾリル基、テトラヒドロチアゾリル基、テトラヒドロピラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾピリジル基、ピロロピリジル基、ベンゾジヒドロフリル基、アザビシクロ[3.2.1]オクチル基、アザビシクロ[5.2.0]ノニル基、オキサトリシクロ[5.3.1.1]ドデシル基、アザアダマンチル基及びオキサスピロ[3.3]ヘプチル基、
【化23】
などを含み、ヘテロシクロは、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0040】
「ヘテロシクリレン基」は、置換又は非置換、飽和又は不飽和、芳香族性又は非芳香族性の2価ヘテロシクロ基を指す。非限定的実施例は、
【化24】
などを含む。
【0041】
「スピロ環」は、環同士が一つの炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を共有する多環式基を指し、それは、0又は1つ以上の二重結合又は三重結合を含んでもよく、N、O、S、P、Si及びそれらの酸化状態から選択される0~5個のヘテロ原子を含有してもよい。通常、スピロ環は、6~14員環、又は6~12員環、又は6~10員環である。通常、スピロ環は、3スピロ3(3員環スピロ3員環を表し)、3スピロ4、3スピロ5、3スピロ6、4スピロ4、4スピロ5、4スピロ6、5スピロ5又は5スピロ6である。スピロ環の非限定的例は、
【化25】
を含み、前記スピロ環は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0042】
「並列環」は、環同士が、隣り合う2つの環原子及び1つの化学結合を共有する多環式基を指し、一つ又は複数の二重結合又は三重結合を含有してもよく、並列環は、N、S、O、P、Si及びそれらの酸化状態から選択される0~5個のヘテロ原子を含んでもよい。通常、並列環は、5~20員環、又は5~14員環、又は5~12員環、又は5~10員環である。通常、並列環は、3並4環(3員環と4元環で形成された並列環を表し、IUPC命名規則に基づき、3員環を基本環とする並列環が可能であり、4員環を基本環とする並列環も可能であり、以下同様)、3並5環、3並6環、4並4環、4並5環、4並6環、5並5環、5並6環、6並6環である。並列環の非限定的例は、プリン、キノリン、イソキノリン、ベンゾピラン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、
【化26】
を含み、前記並列環は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0043】
「架橋環」は、二つの環が、隣り合わない2つの環原子を共有するものを指し、1つ又は複数の二重結合又は三重結合を含んでもよい。架橋環は、N、S、O、P、Si及びそれらの酸化状態から選択される0~5個のヘテロ原子を含んでもよい。通常、架橋環の環原子は、5~20個、又は5~14個、又は5~12個、又は5~10個である。架橋環の非限定的例は、アダマンタン、
【化27】
を含み、前記架橋環は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【0044】
「置換」又は「置換基」は、特に断りがない限り、化学的に許容可能な位置で任意の置換が発生し、置換基の数が化学結合の法則を満たすことを意味する。例示的置換基は、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-8ヘテロアルキル基、C5-12アリール基、5~12員ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C5-12アリールオキシ基、チオール基、C1-6アルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン、C1-6アルキルチオカルボニル基、C1-6アルキルカルバモイル基、N-カルバモイル基、ニトロ基、シリル基、スルフィニル基、スルホニル基、スルホキシド、ハロゲン化C1-6アルキル基、ハロゲン化C1-6アルコキシ基、アミノ基、ホスホン酸、-CO(C1-6アルキル基)、-OC(=O)(C1-6アルキル基)、-OCO(C1-6アルキル基)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1-6アルキル基)、-OC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基)C(=O)(C1-6アルキル基)、-NHCO(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル基)、-HC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)NH、-NHSO(C1-6アルキル基)、-SON(C1-6アルキル基)、-SONH(C1-6アルキル基)、-SONH、-SO1-6アルキル基などを含むが、それらに限らない。
【0045】
「任意選択的」又は「任意選択的に」とは、その後に記述した事象又は環境が発生してもよいが、必ずしも発生するわけではないことを意味し、該説明は、事象又は環境が発生した場合と発生していない場合の両方を含む。例えば、「任意選択的にFによって置換されるアルキル基」とは、アルキル基がFによって置換されてもよいが、必ずしもFによって置換されるわけではないことを意味し、アルキル基がFによって置換された場合と、アルキル基がFによって置換されていない場合とを含むことを示している。
【0046】
「薬学的に許容可能な塩」とは、本発明の化合物が遊離酸又は遊離塩基の生物学的有効性と特性を維持し、前記遊離酸と無毒性の無機塩基又は有機塩基との反応、前記遊離塩基と無毒性の無機酸又は有機酸との反応によって得られた塩を指す。
【0047】
「医薬組成物」は、一つ又は複数の本明細書の前記化合物又はその立体異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩又は共結晶、他の構成成分との混合物を表し、ここで、他の成分は、生理学的/薬学的に許容可能なキャリア及び/又は賦形剤を含む。
【0048】
「キャリア」とは、生体に顕著な刺激を与えることがなく、与えられた化合物の生物学的活性と特性を消失させることがなく、且つ薬物の人体への投与形態方式と体内での分布を変え、薬物の放出速度を制御するとともに薬物を標的臓器へ送達できる体系を指し、非制限性の実例は、マイクロカプセル及びマイクロスフェア、ナノ粒子、リポソームなどを含む。
【0049】
「賦形剤」とは、それ自体が治療剤ではなく、希釈剤、補助剤、接着剤及び/又は媒介物として医薬組成物に添加されることで、その処置や保存性質を改善し、又は化合物や医薬組成物が投与用剤型を形成するように許容又は促進するためのものを指す。当業者に知られているように、薬用賦形剤は、様々な機能を提供でき、湿潤剤、緩衝剤、懸濁助剤、潤滑剤、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、防腐剤、界面活性剤、着色剤、矯味剤及び甘味料として記述されてもよい。薬用賦形剤の実例は、以下を含むが、これらに限らず、即ち、(1)糖、例えば乳糖、グルコース及び蔗糖、(2)デンプン、例えばコーンスターチ及び馬鈴薯デンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース及び架橋カルボキシメチルセルロース(例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、(4)トラガントガム粉末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)賦形剤、例えばカカオ脂、坐剤ワックス、(9)油、例えばピーナッツ油、綿実油、べに花油、ゴア油、オリーブ油、コーン油及び大豆油、(10)グリコール、例えばプロピレングリコール、(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール、(12)エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル、(13)寒天、(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム、(15)アルギン酸、(16)エンドトキシン試験用水、(17)等張塩水、(18)リンガー溶液(Ringer’ssolution);(19)エタノール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物、及び(22)医薬製剤に使用される他の非毒性で適合性のある物質である。
【0050】
「立体異性体」は、分子における原子の立体配置方式が異なることにより生じる異性体を指し、シス-トランス異性体、鏡像異性体と配座異性体を含む。
【0051】
本発明の化合物は、その互変異性体をさらに含み、例えば、ピリミジン環がOHで置換される左側化合物が本発明に記述されている場合、右側の互変異性体化合物も含まれている。
【化28】
【0052】
「溶媒和物」は、本発明の化合物又はその塩が化学量論的又は非化学量論的溶媒と分子間非共有結合して形成される物質を指す。溶媒が水である時、水和物となる。
【0053】
「共結晶」は、活性医薬品成分(API)と共結晶形成物(CCF)とが水素結合又は他の非共有結合の作用下で結合して形成される結晶体を指し、ここでAPIとCCFの純粋状態は、室温でいずれも固体であり、且つ各成分の間には、固定的な化学量論比が存在する。共結晶は、多成分の結晶体であり、二つの中性固体の間で形成される二成分共結晶を含むだけでなく、中性固体と塩又は溶媒和物で形成される多成分共結晶も含む。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、実施例により本発明の内容を詳細に説明する。実施例に具体的な条件が明記されていない場合、一般的な条件の実験方法に従って実行した。挙げられている実施例は、本発明の内容をよりよく説明するためのものであり、本発明の内容が挙げられた実例に限らないことが理解されるべきである。当業者が上記発明内容に基づいて実施態様に対して行った非本質的な改良と調整は、依然として本発明の保護範囲に属する。
【実施例
【0055】
実施例1:
(E)-1-(2-(2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-10-メトキシ-9-(メトキシ-d3)-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物1)
【化29】
【0056】
ステップ1:
化合物2-(3-(ベンジルオキシ)-4-メトキシフェニル)エト-1-アミノ(1A)(J. Med. Chem. 2013,56,23,9673-9682に記載の方法を参照して合成される)(51.5g,0.20mol)を水(300mL)に溶解させ、シアン酸カリウム(32.4g,0.40mol)を少しずつ加え、均一に撹拌した後に2N塩酸(240mL)を滴加した。滴加完了後、一晩還流反応させた。0℃に冷却させ、濾過し、濾過ケーキを氷エタノールですすぎ、乾燥させて、目的化合物1B(38.0g、収率63%)を得た。
【0057】
LC-MS(ESI): m/z=301.2 [M+H]
【0058】
ステップ2:
化合1B(38g,0.13mol)を無水エタノール(300mL)に溶解させ、マロン酸ジエチル(27g,0.17mol)を加えた。系を均一に撹拌した後にナトリウムエトキシド(133g,0.39mol,20wt% in EtOH)を滴加した。滴加完了後に一晩還流反応させ、系を150mLに減圧濃縮し、水(150mL)で希釈し、5N塩酸でpHを6.0に調節した後に濾過し、濾過ケーキを水(150mL)で洗浄し、乾燥させて、目的化合物1C(42g、収率 65.9%)を得た。
【0059】
LC-MS(ESI): m/z=369.1 [M+H]
【0060】
ステップ3:
化合物1C(42g,114mmol)をオキシ塩化リン(300mL)に溶解させ、120℃で一晩反応させた。反応が室温に冷却した後に、減圧濃縮し、得られた残留物を氷水(300mL)にゆっくりと加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を少しずつ加えてpH=6.0に調節し、ジクロロメタンで抽出し(500mL×3)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=40:1)、目的化合物(12.7g、収率30%)を得た。
【0061】
LC-MS(ESI): m/z=369.1 [M+H]
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.48-7.32(m,5H),7.14(s,1H),6.80(s,1H),6.64(s,1H),5.23(s,2H),4.20(t,2H),3.96(s,3H),2.94(t,2H).
【0062】
ステップ4:
1D(8.2g、22.2mmol)をイソプロピルアルコール(120mL)に溶解させ、2,4,6-トリメチルアニリン(4.46g,33mmol)を加え、完了後に90℃で24時間反応させた。反応が室温に冷却した後に、減圧濃縮し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=20:1)、化合物1E(8.3g,収率80%)を得た。
【0063】
LC-MS(ESI): m/z=468.2 [M+H]
【0064】
ステップ5:
乾燥した2-ブタノン(60mL)に化合物1E(2.8g,6mmol)、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(9.15g,36mmol)、炭酸カリウム(7.45g,54mmol)及びヨウ化ナトリウム(5.4g,36mmol)を順次加え、窒素ガスで保護し、95℃で48時間反応させた。反応が終了した後に室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(80mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v )=1:0~1:1)、目的化合物1F(0.92g、収率24%)を得た。
【0065】
LC-MS(ESI): m/z=641.2 [M+H]
【0066】
ステップ6:
化合物1F(0.92g,1.44mmol)を酢酸エチル(20mL)に溶解させ、パラジウムカーボン(0.5g)を加え、水素ガス雰囲気下で、室温で1時間反応させた。反応が終了した後に、濾過し、濾過ケーキをメタノール(30mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮して、目的化合物1G(0.58g、収率73%)を得た。
【0067】
LC-MS(ESI): m/z=551.2 [M+H]
【0068】
ステップ7:
化合物1G(0.58g,1.05mmol)をDMF(10mL)に溶解させ、炭酸カリウム(0.29g,2.1mmol)を加え、均一に撹拌した後に重水素化ヨードメタン(0.30g,2.1mmol)を滴加し、滴加完了後に室温で1時間反応させた。反応が終了した後に飽和食塩水(50mL)を加え、ジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v )=1:0~1:1)、化合物1H(0.52g、収率87%)を得た。
【0069】
LC-MS(ESI): m/z=568.2 [M+H]
【0070】
ステップ8:
化合物1H(0.52g,0.92mmol)をクロロホルム(10mL)及びエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(0.3g,80wt%)を加え、均一に撹拌した後に室温で24時間反応させた。反応が終了した後に、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~5:1)、化合物1I(0.35g,収率87%)を得た。
【0071】
LC-MS(ESI): m/z=438.1 [M+H]
【0072】
ステップ9:
化合物1I(0.22g,0.50mmol)を水(10mL)に溶解させ、1N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、反応にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加した。滴加完了後、80℃で2h反応させ続けた。室温に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し(20mL×2)、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~10:1)、化合物1(0.12g,収率50%)を得た。
【0073】
LC-MS(ESI): m/z=481.3 [M+H]
H NMR(400MHz,CDCl)δ 6.91(s,2H),6.68(s,2H),5.47(s,1H),5.25(br,2H),4.44(s,2H),4.08(s,2H),3.75(s,3H),3.55(s,2H),2.94(s,2H),2.29(s,3H),2.09(s,6H),1.61(br,1H).
【0074】
実施例2:
(E)-1-(2-(2-((2,6-ジメチル-4-(トリフルオロメチル)フェニル)イミノ)-9,10-ジメトキシ-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物2)
【化30】
【0075】
ステップ1:
2A(50g,0.28mol)を水(150mL)に溶解させ、KCNO(8.1g,0.10mol)を加え、そして塩酸溶液(40mLの濃塩酸を150mLの水に溶解させる)をゆっくりと滴加した。反応を還流まで昇温させ、一晩撹拌した。反応が完了した後に、0℃に冷却させ、濾過し、濾過ケーキを冷水(150mL)で洗浄し、得られた濾過ケーキを乾燥させて、表題化合物2B(51g,82.3%)を得た。
【0076】
LC-MS(ESI): m/z=225.2 [M+H]
【0077】
ステップ2:
2B(51g,0.22mol)を無水エタノール(300mL)に溶解させ、マロン酸ジエチル(50g,0.34mol)、ナトリウムエトキシド(47g,0.69mol)を順次加え、反応を還流まで昇温させ、一晩撹拌した。反応が完了した後に、室温に冷却させ、減圧濃縮してエタノールの大部分を除去し、残留物に水(150mL)を加え、希塩酸(5M)でpHを6.0に調節し、濾過し、濾過ケーキを冷水(150mL)で洗浄し、乾燥させて、表題化合物2C(45.0g,65.9%)を得た。
【0078】
LC-MS(ESI): m/z=293.3 [M+H]
【0079】
ステップ3:
2C(20.0g,68.4mmol)をPOCl(200mL)に溶解させ、100℃に昇温させ、一晩撹拌した。反応が完了した後に、室温に冷却させ、反応液を30mLに濃縮し、氷水(300mL)をゆっくりと入れ、5N 水酸化ナトリウム水溶液でpHを6.0に調節し、ジクロロメタン(300mLx3)で抽出した。合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムにより分離し精製して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=20:1~10:1)、表題化合物2D(11.5g,55 %)を得た。
【0080】
H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 7.50(s,1H),7.27(s,1H),7.04(s,1H),4.06 - 4.03(m,2H),3.86 - 3.83(m,6H),2.98 - 2.95(m,2H).
LC-MS(ESI): m/z=293.3 [M+H]
【0081】
ステップ4:
2E(3g,9.46mmol)、トリメチルシクロトリボロキシン(1.79g,14.2mmol)をエチレングリコールジメチルエーテル(12mL)に溶解させ、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.09g,0.95mmol)、炭酸カリウム(3.92g,28.38mmol)を順次加え、窒素ガス雰囲気下で、100℃で反応させた。反応が完了した後に、反応を停止させ、反応を室温に冷却させた後に、減圧濃縮して反応液の大部分を除去し、残留物にDCM(20mL)を加え、珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮した後に、残留物をシリカゲルカラムにより分離し精製して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=20:1~10:1)、表題化合物2F(0.42g,25%)を得た。
【0082】
LC-MS(ESI): m/z=190.2 [M+H]
【0083】
ステップ5:
2D(0.5g,1.71mmol)をイソプロピルアルコール(12mL)に溶解させ、2F(0.49g,2.57mmol)を加え、完了した後に90℃で24時間反応させた。反応が完了した後に、反応を停止させ、反応を室温に冷却させた後に、減圧濃縮して溶媒の大部分を除去し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=20:1)、化合物2G(0.65g,収率85%)を得た。
【0084】
LC-MS(ESI): m/z=446.3 [M+H]
【0085】
ステップ6:
順次化合物2G(0.4g,0.9mmol)、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(0.69g,2.7mmol)、炭酸カリウム(0.37g,2.7mmol)及びヨウ化ナトリウム(0.41g,2.7mmol)を、乾燥アセトニトリル(20mL)に混合し溶解させ、窒素ガスで保護し、マイクロ波下で、120℃で2時間反応させた。反応が終了した後に室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(20mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v )=1:0~1:1)、目的化合物2H(0.25g、収率45%)を得た。
【0086】
LC-MS(ESI): m/z=619.3 [M+H]
【0087】
ステップ7:
化合物2H(0.25g,0.40mmol)をクロロホルム(10mL)及びエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(0.2g,80wt%)を加え、均一に撹拌した後に室温で24時間反応させた。反応が終了した後に、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~5:1)、化合物2I(0.17g,収率89%)を得た。
【0088】
LC-MS(ESI): m/z=489.1 [M+H]
【0089】
ステップ8:
化合物2I(0.17g,0.36mmol)を水(10mL)に溶解させ、1N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、系にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加し、滴加完了後に2h反応させ続けた。室温に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した後に、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~10:1)、化合物2(0.08g,収率41%)を得た。
【0090】
H NMR(400MHz,Methanol-d)δ 7.36(s,2H),6.88(s,1H),6.74(s,1H),5.38(s,1H),4.38 -4.35(s,2H),4.18-3.93(m,2H),3.86(s,3H),3.66(s,3H),3.56-3.53(m,2H),2.94-2.91(m,2H),2.16(s,6H).
LC-MS(ESI): m/z=532.3 [M+H]
【0091】
実施例3:
(E)-1-(2-(2-((4-シクロプロピル-2,6-ジメチルフェニル)イミノ)-9,10-ジメトキシ-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物3)
【化31】
【0092】
ステップ1:
化合物3A(3g,15.07mmol)、シクロプロピルボロン酸(1.94g,22.67mmol)をトルエン(20mL)及び水(5mL)に溶解させ、酢酸パラジウム(0.34g,1.51mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.47g,28.38mmol)、リン酸カリウム(6.40g,30.14mmol)を順次加え、窒素ガス雰囲気下で、100℃で反応させた。TLC及びLC-MSにより反応の完了をモニタリングした後に、反応を停止させ、反応が室温に冷却した後、減圧濃縮して反応液の大部分を除去し、残留物にDCM(20mL)を加え、珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮した後に、残留物をシリカゲルカラムにより分離し精製して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=20:1~10:1)、表題化合物3B(0.70g,29%)を得た。
【0093】
LC-MS(ESI): m/z=162.2 [M+H]
【0094】
ステップ2:
2D(0.5g、1.71mmol)をイソプロピルアルコール(12mL)に溶解させ、3B(0.41g,2.57mmol)を加え、完了後に90℃で24時間反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、合わせられた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=20:1)、化合物3C(0.50g、収率70%)を得た。
【0095】
LC-MS(ESI): m/z=418.3 [M+H]
【0096】
ステップ3:
化合物3C(0.50g,1.20mmol),2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(0.92g,3.6mmol)、炭酸カリウム(0.50g,3.6mmol)及びヨウ化ナトリウム(0.54g,3.6mmol)を乾燥アセトニトリル(20mL)に混合し溶解させ、窒素ガス雰囲気、マイクロ波下で、120℃で2時間反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(20mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v)=1:0~1:1)、目的化合物3D(0.33g,収率47%)を得た。
【0097】
LC-MS(ESI): m/z=591.3 [M+H]
【0098】
ステップ4:
化合物3D(0.33g,0.56mmol)をクロロホルム(10mL)及びエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(0.3g、80wt%)を加え、均一に撹拌した後に室温で24時間反応させた。反応が完了した後に、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=1:0~5:1)、化合物3E(0.18g,収率70%)を得た。
【0099】
LC-MS(ESI): m/z=461.2 [M+H]
【0100】
ステップ5:
化合物3E(0.18g,0.39mmol)を水(10mL)に溶解させ、1N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、系にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加し、滴加完了後に2h撹拌し続けた。室温に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=1:0~10:1)、化合物3(0.07g,収率36%)を得た。
【0101】
H NMR(400MHz,Methanol-d)δ 7.03-6.98(m,3H),6.79(s,1H),5.65(s,1H),4.39-4.36(m,2H),4.19-4.16(m,2H),3.91(s,3H),3.69(s,3H),3.56-3.52(m,2H),3.06-3.03(m,2H),2.27(s,6H),1.94-1.91(m,1H),1.16-0.94(m,2H),0.83-0.61(m,2H).
LC-MS(ESI): m/z=504.3 [M+H]
【0102】
実施例4:
(E)-1-(2-(9-エトキシ-2-トリメチルフェニルイミノ)-10-メトキシ-4-オキシ-6,7-ジヒドロ-2-ヒドロ-ピリミドン[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物4)
【化32】
【0103】
ステップ1:
化合物4A(77mg,0.17mmol)(化合物4Aの合成は特許WO 2021143843を参照)を水(5mL)に溶解させ、シアン酸カリウム(48.3mg,0.6mmol,3.5eq)、希塩酸(濃HCl(43ul,0.51mmol,3eq)を水(5mL)で希釈して加える)を加え、完了した後に100℃で18時間反応させた。TLC/LCMSは原料が完全に反応したことを示し、反応を室温に冷却させ、ジクロロメタン(20mL)で3回抽出し、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=10:1)、化合物4(81mg,0.16mmol,97% 収率)を得た。
【0104】
LC-MS(ESI): m/z=492.2 [M+H]
H NMR(400MHz,Chloroform-d)δ 6.94(s,2H),6.68(m,2H),5.49(s,1H),4.47(s,2H),4.15(m,2H),4.11(m,2H),3.74(s,3H),3.58(s,2H),2.95(s,2H),2.30(s,3H),2.13(s,6H),1.49(m,3H).
【0105】
実施例5:(E)-1-(2-(2-((4-フルオロ-2,6-ジメチルフェニル)イミノ)-9,10-ジメトキシ-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物5)
【化33】
【0106】
ステップ1:
2D(0.5g、1.71mmol)をイソプロピルアルコール(12mL)に溶解させ、4-フルオロ-2-メチルアニリン(0.32g,2.57mmol)を加え、完了した後に90℃で12時間反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、減圧濃縮し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加え、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、合わせられた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=20:1)、化合物5A(0.57g、収率85%)を得た。
【0107】
LC-MS(ESI): m/z=396.2 [M+H]
【0108】
ステップ2:
化合物5A(0.57g,1.5mmol)、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(1.15g,4.5mmol)、炭酸カリウム(0.62g,4.5mmol)及びヨウ化ナトリウム(0.69g,4.5mmol)を乾燥アセトニトリル(20m )に混合し溶解させ、窒素ガスで保護し、マイクロ波下で、120℃で2時間反応させた。反応が終了した後に室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(20mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v )=1:0~1:1)、目的化合物5B(0.34g、収率40%)を得た。
【0109】
LC-MS(ESI): m/z=569.2 [M+H]
【0110】
ステップ3:
化合物5B(0.34g,0.60mmol)をクロロホルム(10mL)及びエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(0.30g、80wt%)を加え、均一に撹拌した後に室温で12時間反応させた。反応が終了した後に、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=1:0~5:1)、化合物5C(0.17g,収率89%)を得た。
【0111】
LC-MS(ESI): m/z=439.1 [M+H]
【0112】
ステップ4:
化合物5C(0.085g,0.2mmol)を水(10mL)に溶解させ、1 N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、系にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加した。滴加完了後、この条件下で2h撹拌し続けた。室温に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し(20mL×2)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~10:1)、化合物5(0.09g,収率93%)を得た。
【0113】
H NMR(400MHz,CDOD)δ 6.78(s,1H),6.74(s,1H),6.71(s,1H),6.64(s,1H),5.35(s,1H),4.26-4.23(m,2H),3.92-3.89(m,2H),3.76(s,3H),3.59(s,3H),3.45-3.42(m,2H),2.84- 2.81(m,2H),1.99(s,6H).
LC-MS(ESI): m/z=482.3 [M+H]
【0114】
実施例6:(E)-1-(2-(9-(ベンジルオキシ)-2-(メシチルイミノ)-10-メトキシ-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物6)
【化34】
【0115】
ステップ1:
化合物1F(0.2g,0.31mmol)をクロロホルム(10mL)及びエタノール(10mL)に溶解させ、ヒドラジン水和物(194mg,3.1mmol,10eq,80% w/w)を加え、室温で一晩反応させた。TLC/LCMSは完全に反応したことを示し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタンで抽出し(40mL×2)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン:メタノール=10:1)、生成物6A(63mg,0.12mmol,収率40%)を得た。
【0116】
ステップ2:
化合物6A(63mg,0.12mmol)を水(5mL)に溶解させ、シアン酸カリウム(34mg,0.42mmol,3.5eq)を加え、濃塩酸(0.03mL,0.36mmol,3eq)を水(5mL)で希釈した後に加え、完了した後に100℃に昇温させ、一晩反応させた。TLC/LCMSは完全に反応したことを示し、反応が室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)でクエンチし、ジクロロメタン(20mL×2)で抽出し、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し濃縮して得られたものをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離し精製して(ジクロロメタン:メタノール=10:1)、化合物6(51mg,0.09mmol,77%収率)を得た。
【0117】
LC-MS(ESI): m/z=554.3 [M+H]
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.41-7.33(m,5H),6.92(s,2H),6.72(s,2H),5.48(s,1H),5.18(s,2H),4.44(m,2H),4.06(m,2H),3.76(s,3H),3.56(m,2H),2.89(m,2H),2.30(s,3H),2.08(s,6H).
【0118】
実施例7:(E)-1-(2-(2-(2,4,6-トリメチルフェニルイミノ)-9-メトキシ-10-(メトキシ-D重水素)-4-オキソ-6,7-ジヒドロ-2H-ピリミド[6,1-a]イソキノリン-3(4H)-イル)エチル)尿素(化合物7)
【化35】
【0119】
ステップ1:
化合物2-(4-(ベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル)エチルアミノ(7A )(Bioorganic & Medicinal Chemistry,21(4),856-868.を参照して合成した)(51.5g,0.20mol)を水(300mL)に溶解させ、シアン酸カリウム(32.4g,0.40mol)を少しずつ加え、均一に撹拌した後に2N塩酸(240mL)を滴加した。滴加完了後、一晩還流反応させた。0℃に冷却させ、濾過し、濾過ケーキを氷エタノールですすぎ、乾燥させて、目的化合物7B(38.0g、収率63%)を得た。
【0120】
LC-MS(ESI): m/z=301.2 [M+H]
【0121】
ステップ2:
化合7B(38g,0.13mol)を無水エタノール(300mL)に溶解させ、マロン酸ジエチル(27g,0.17mol)を加え、均一に撹拌した後にナトリウムエトキシド(133g,0.39mol,20wt% in EtOH)を滴加し、滴加完了後に一晩還流反応させた。反応が室温に冷却した後、150mLに減圧濃縮し、水(150mL)で希釈し、5N塩酸でpHを6.0に調節した後に濾過し、濾過ケーキを水(150mL)で洗浄し、乾燥させて、目的化合物7C(42g、収率 90%)を得た。
【0122】
LC-MS(ESI): m/z=369.1 [M+H]
【0123】
ステップ3:
化合物7C(42g,114mmol)をオキシ塩化リン(300mL)に溶解させ、120℃で一晩反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、減圧濃縮し、残留物を氷水(300mL)にゆっくりと加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH=6.0に調節し、ジクロロメタンで抽出し(500mL×3)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮して得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=40:1)、目的化合物7D (12.7g、収率30%)を得た。
【0124】
LC-MS(ESI): m/z=369.1 [M+H]
【0125】
ステップ4:
7D(0.82g、2.22mmol)をイソプロピルアルコール(120mL)に溶解させ、2,4,6-トリメチルアニリン(0.446g,3.3mmol)を加え、完了後に90℃で24時間反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、減圧濃縮し、残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、合わせられた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(DCM:MeOH(v/v)=20:1)、化合物7E(0.53g、収率55%)を得た。
【0126】
LC-MS(ESI): m/z=468.2 [M+H]
【0127】
ステップ5:
化合物7E(0.53g,1.13mmol)、ブロモアセトニトリル(0.54g,3.9mmol)、炭酸リチウム(0.69g,3.3mmol)を乾燥アセトニトリル( 10mL )に混合し溶解させた。窒素ガス雰囲気下で、90℃で18時間反応させた。反応が終了した後に室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(80mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮して得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v )=1:0~20:1)、目的化合物7F(0.5g、収率42%)を得た。
【0128】
LC-MS(ESI): m/z=507.3 [M+H]
【0129】
ステップ6:
化合物7F(0.5g,1.0mmol)を酢酸エチル(50mL)に溶解させ、パラジウムカーボン(0.3g,10% w/w)を加え、水素ガス雰囲気下で、室温で3時間反応させた。TLC/LCMSは原料が完全に反応したことを示し、濾過してパラジウムカーボンを除去し、酢酸エチル(20mL)で濾過ケーキを2回洗浄し、濾液を減圧濃縮し、得られた粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)、化合物7G(0.21g,58% 収率)を得た。
【0130】
LC-MS(ESI): m/z=417.3 [M+H]
【0131】
ステップ7:
化合物7G(210mg,0.64mmol)をDMF(20mL)に溶解させ、重水素化ヨードメタン(186mg,1.28mmol)、炭酸カリウム(177mg,1.28mmol)を順次加え、室温で5時間撹拌した。TLC/LCMSは原料が完全に反応したことを示し、飽和食塩水(30mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタンで抽出し(40mL×2)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)、化合物7H(180mg,64%収率)を得た。
【0132】
LC-MS(ESI): m/z=434.2 [M+H]
【0133】
ステップ8:
化合物7H(180mg,0.414mmol)をエタノール(10mL)に加え、室温でラネーニッケル(150mg)を少しずつ加え、ヒドラジン水和物(1mL)を加え、60℃に昇温させ、1時間反応させた。反応が完了した後に、室温に冷却させ、濾液を減圧濃縮した後に化合物7I(0.12g、収率66%)を得て、さらに精製せずに次のステップで直接使用した。
【0134】
LC-MS(ESI): m/z=438.2 [M+H]
【0135】
ステップ9:
化合物7I(0.12g,0.23mmol)を水(10mL)に溶解させ、1 N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、系にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加した。滴加完了後、この条件下で2h撹拌し続けた。室に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し(30mL×2)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=1:0~10:1)、化合物7(0.08g,収率41%)を得た。
【0136】
LC-MS(ESI): m/z=481.3 [M+H]
H NMR(400MHz,Methanol-d)δ 6.80(s,2H),6.77(s,1H),6.65(s,1H),5.40(s,1H),4.25 -4.22(m,2H),3.91-3.88(m,2H),3.76(s,3H),3.45-3.42(m,2H),2.83-2.81(m,1H),2.17(s,3H),1.96(s,6H).
【0137】
生物学的試験:
1. 化合物のPDE 3A及びPDE 4B2酵素に対する阻害活性をインビトロで検出した。
【0138】
実験材料:
Envision 2104 Multilabel Reader(PerkinElmer)
Black 96-well Plate(Cat#6005540,PerkinElmer)
PDE3A Assay Kit(BPS,Cat. 79736),PDE4B2 Assay Kit(BPS,Cat. 60343)
・ PDE3A recombinant enzyme
・ PDE4B2 recombinant enzyme
・ FAM-Cyclic-3′,5′-AMP
・ PDE assay buffer
・ Binding Agent
Binding Agent Diluent(cAMP)
【0139】
実験ステップ:
1)FAM cAMP作動液を調製:20μLのFAM-Cyclic-3′,5′-AMP stockを1980μLのPDE assay bufferに加えた。25μL/wellで全てのウェルに加えた。
【0140】
2)化合物溶液の調製:まず検出対象化合物をDMSOに溶解させて10mMの原液にした。化合物原液をDMSOで希釈して100 X Top Dose希釈液にした。次に5μLの100 X Top Dose希釈液を取り、45μLのPDE assay bufferに加え、化合物Top Dose作動液を調製した。そして10%DMSO含有PDE assay bufferを用いて倍率で希釈して、各濃度の化合物作動液を調製した。5μL/wellで化合物ウェルに加えた。10%DMSO含有PDE assay bufferを5μL/ウェルで対照ウェルに加えた。
【0141】
3)PDE酵素溶液の調製: PDE assay bufferを用いて、PDE3A及びPDE4B2酵素原液をそれぞれ150pg/μLと50pg/μLに希釈し、20μL/wellで全ての化合物ウェル及びVehicle対照ウェルに加えた。Blank対照ウェルに20μLのPDE assay bufferを加えた。
【0142】
4)室温で1h反応させた。
【0143】
5)Binding Agentの調製:80μLのbinding agentを取り、7920μLのbinding agent diluentに加え、均一に混合した。100μL/wellで全てのウェルに加えた。
【0144】
6)室温で1h反応させた。
【0145】
7)EnvisionでFPを読み取った。
【0146】
8) 生データの計算式:
%Inhibition rate=(FP-FP)/(FP-FP)×100%
FP=試料 FP
FP=Vehicle 対照 FP
FP=Blank 対照 FP。
【0147】
graphpadにより、log[容量]-阻害率に対して非線形回帰を行い、IC50を計算した。
【0148】
実験結果:
本発明の化合物は、優れたPDE 3及びPDE 4阻害活性を有し、500nMより低いIC50値を有し、一部の優れた化合物はIC50<200nMであり、一部のさらに優れた化合物はIC50<100nMであり、一部のより優れた化合物はIC50<50nMであり、例えば、PDE 3の場合、化合物1のIC50は0.15nMであり、化合物7のIC50は0.17nMである。いくつかの化合物の試験結果は以下の表に列挙されている。
【0149】
【表1】
【0150】
A: 0 nM<IC50≦50nM、
B: 50nM<IC50≦100nM、
C: 100nM<IC50≦200nM、
D: 200nM<IC50
NT:試験なし。
【0151】
2、メサコリン誘発性モルモット気管支収縮に対する化合物の阻害作用の研究
本研究では、雄性モルモットを被験動物として選択し、投与群に10mg/kgの用量でそれぞれRPL554、化合物1及び化合物7を経口投与し、対照群に等容量の溶媒を投与した。薬物接触後2h、4h及び6hに、動物をWBP機器エアロゾルチャンバに入れ、動物が順応した後に、300uLのアセチルコリン溶液(0.5mg/mL)を噴霧吸入させた。メサコリン(Mch)曝露終了後、Penh値を7分間連続して記録した。Penh値に基づいて化合物による収縮阻害のパーセントを計算した。
【0152】
10mg/kg経口用量における各化合物の気管支収縮に対する阻害率は以下の表に示すとおりであり、
【0153】
【表2】
【0154】
3、モルモットの気管リング実験
実験方法:モルモット気管リングを取り、特定の培養液(Krebs-Henseleit)に入れ、1gの張力で気管リングを40分間平衡化し、気管リングの100%の収縮を達成するために、所定量のカルバコールを加え、1×10^6Mの薬物を加え、気管リングの収縮張力の変化を検出した。
【0155】
試験条件:10μMの単回用量で、各群に4個のサンプルがあり、該用量での50%阻害効果発現時間及び50%阻害回復時間を計算した。
【0156】
【表3】
【0157】
結論:化合物7は、該実験において効果発現時間がRPL554よりも短く、持続時間がより長く、6.75hの気管収縮に対する阻害率がRPLより高い。
【0158】
注:RPL554構造は、
【化36】
である。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその立体異性体、溶媒和物、又は薬学的に許容可能な塩、及び薬学的に許容可能なキャリア及び/又は賦形剤を含有する、医薬組成物。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
「アルケニレン基」は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合(C=C)を含有する直鎖又は分岐鎖の2価不飽和炭化水素基を指し、特に明記しない限り、アルケニレン基は、2~6個の炭素原子を含有し、好ましくは、2~4個の炭素原子を含有し、非限定的実施例は、ビニリデン基を含み、前記アルケニレン基は、任意選択的に、置換基で置換されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0108
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0108】
ステップ2:
化合物5A(0.57g,1.5mmol)、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(1.15g,4.5mmol)、炭酸カリウム(0.62g,4.5mmol)及びヨウ化ナトリウム(0.69g,4.5mmol)を乾燥アセトニトリル(20m)に混合し溶解させ、窒素ガスで保護し、マイクロ波下で、120℃で2時間反応させた。反応が終了した後に室温に冷却させ、濾過し、濾過ケーキをジクロロメタン(20mL)で洗浄し、濾液を減圧濃縮した後にシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(石油エーテル:酢酸エチル(v/v )=1:0~1:1)、目的化合物5B(0.34g、収率40%)を得た。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
ステップ9:
化合物7I(0.12g,0.23mmol)を水(10mL)に溶解させ、1 N塩酸(1mL)を加え、均一に撹拌した後に80℃に昇温させ、系にシアン酸カリウム(81mg,1mmol)の水溶液(1mL)を滴加した。滴加完了後、この条件下で2h撹拌し続けた。室に冷却させ、飽和炭酸水素ナトリウム(10mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し(30mL×2)、合わせられた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離して(ジクロロメタン:メタノール(v/v)=1:0~10:1)、化合物7(0.08g,収率41%)を得た。
【国際調査報告】