(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法、および負極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/13 20100101AFI20241128BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20241128BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/38 Z
H01M4/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534754
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 KR2023008715
(87)【国際公開番号】W WO2023249445
(87)【国際公開日】2023-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0076791
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0080507
(32)【優先日】2023-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェウク・イ
(72)【発明者】
【氏名】サンミン・イ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB11
5H050DA03
5H050FA02
5H050GA22
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA09
(57)【要約】
本出願は、リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法、および負極を含むリチウム二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体層、
前記負極集電体層の一面または両面に設けられた第1負極活物質層、および
前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に設けられた第2負極活物質層、
を含む、リチウム二次電池用負極であって、
前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、
前記第2負極活物質層の空隙率は、前記第1負極活物質層の空隙率より高く、
前記第1負極活物質層は、第1負極活物質、第1負極導電材、および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、
前記第2負極活物質層は、第2負極活物質、第2負極導電材、および第2負極バインダーを含む第2負極活物質層組成物を含み、
前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、
前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含む、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質および前記第2負極活物質は、シリコンの粒度が0.01μm以上50μm以下の分布を有するシリコン粒子を含むシリコン系活物質を含み、
前記第1負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が、前記第2負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度より小さいか、同じである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以下であり、
前記第2負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以上である、請求項2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
前記シリコン系活物質は、SiOx(0<x<2)、SiOx(x=0)、SiC、およびSi合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項5】
前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)およびSiOx(0<x<2)からなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記シリコン系活物質100重量部基準、前記SiOx(x=0)を95重量部以上含む、請求項4に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項6】
前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極活物質は80重量部以下であり、
前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極活物質は85重量部以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項7】
前記第1負極導電材は、点状導電材、線状導電材、および面状導電材からなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記第2負極導電材は、線状導電材を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項8】
前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の接着力は、25℃常圧条件で100gf/5mm以上500gf/5mm以下を満たすものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項9】
前記第1負極活物質層の厚さは、10μm以上200μm以下であり、
前記第2負極活物質層の厚さは、10μm以上100μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項10】
前記第1負極活物質層組成物のローディング量(a)は、前記第2負極活物質層組成物のローディング量(b)の2倍以上を満たす、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項11】
負極集電体層を準備する段階、
前記負極集電体層の一面または両面に第1負極活物質層組成物を塗布して、第1負極活物質層を形成する段階、および
前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に第2負極活物質層組成物を塗布して、第2負極活物質層を形成する段階、
を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法であって、
前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、
前記第2負極活物質層の空隙率は、前記第1負極活物質層の空隙率より高く、
前記第1負極活物質層は、第1負極活物質、第1負極導電材、および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、
前記第2負極活物質層は、第2負極活物質、第2負極導電材、および第2負極バインダーを含む第2負極活物質層組成物を含み、
前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、
前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含む、リチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項12】
前記第1負極活物質層上に前記第2負極活物質層を形成する段階は、ウェットオンドライ(wet on dry)工程あるいはウェットオンウェット(wet on wet)工程を含む、請求項11に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項13】
正極、
請求項1~10のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極、
前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜、および
電解質、
を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年06月23日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0076791号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本願は、リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法、および負極を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加により代替エネルギーやクリーンエネルギーの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学反応を利用した発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギーを利用する電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられ、ますますその使用領域が拡大している傾向にある。
【0005】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。このような二次電池のうち、高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化され広く使用されている。また、このような高容量リチウム二次電池用電極として、単位体積当たりのエネルギー密度がより高い高密度電極を製造するための方法について研究が活発に進められている。
【0006】
一般に、二次電池は、正極、負極、電解質および分離膜から構成される。負極は、正極から出たリチウムイオンを挿入して脱離させる負極活物質を含み、前記負極活物質としては放電容量の大きいシリコン系粒子が用いられ得る。
【0007】
特に近年、高密度エネルギー電池に対する需要に応じて、負極活物質として、黒鉛系素材に比べて容量が10倍以上大きいSi/CやSiOxなどのシリコン系化合物を一緒に使用して容量を増やす方法に関する研究が活発に進められている。しかし、高容量素材であるシリコン系化合物の場合、従来に使用されている黒鉛と比較すると、容量の大きい物質であって容量特性自体は優れているが、充電過程で急激に体積が膨張して導電経路を断絶して電池特性を低下させ、これにより、初期から容量が低下する。また、シリコン系負極は、充電および放電サイクルを繰り返す際に負極の深さ方向にリチウムイオンの均一な充電が行われず、表面で反応が進行して表面退化が加速することにより、電池サイクルの面で性能改善が必要である。
【0008】
また、シリコン系活物質を用いて負極を作製する場合、負極のポア構造が単純であることが重要であり、シリコン系活物質を適用した負極の場合、空隙の曲路率(tortuosity)がよいほど、拡散(diffusion)抵抗に有利であることが知られている。しかし、空隙の曲路率(tortuosity)を改善するために空隙率を無限に増やす場合、負極集電体層との接触点(contact point)が減少し、負極集電体層との付着力が低下して、脱離現象などが発生するため、寿命特性が低下する問題点があった。
【0009】
前記のような問題を解決するために、様々な研究が進行中にあるが、むしろ電池の性能を低下させることがあり得るため、適用に限界があり、依然としてシリコン系化合物の含量が高い負極電池製造の商用化には限界があり、シリコン系活物質層に含まれるシリコン系活物質の比率が多くなるほど、負極表面にリチウムイオンとの反応が集中して、むしろ表面側のシリコン系活物質の損傷が発生し、寿命特性が低下する問題が生じる。
【0010】
したがって、シリコン系化合物を活物質として用いる場合であっても、充電および放電サイクルの進行時の負極の曲路率(tortuosity)を改善するとともに、負極集電体層との接着力にも優れたリチウム二次電池の開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願は、シリコン系活物質を負極に使用しながらも、充電および放電サイクル進行時の電極表面の退化を防止するために、空隙の曲路率(tortuosity)を改善し、さらに負極集電体層との接着力を向上させてサイクル性能を改善できる、リチウム二次電池用負極、リチウム二次電池用負極の製造方法、および負極を含むリチウム二次電池に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書の一実施態様は、負極集電体層;前記負極集電体層の一面または両面に設けられた第1負極活物質層;および前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に設けられた第2負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極であって、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、前記第2負極活物質層の空隙率は前記第1負極活物質層の空隙率より高く、前記第1負極活物質層は、第1負極活物質;第1負極導電材;および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、前記第2負極活物質層は、第2負極活物質;第2負極導電材;および第2負極バインダー;を含む第2負極活物質層組成物を含み、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0014】
また他の一実施態様において、負極集電体層を準備する段階;前記負極集電体層の一面または両面に第1負極活物質層組成物を塗布して、第1負極活物質層を形成する段階;および前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に第2負極活物質層組成物を塗布して、第2負極活物質層を形成する段階;を含むリチウム二次電池用負極の製造方法であって、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、前記第2負極活物質層の空隙率は前記第1負極活物質層の空隙率より高く、前記第1負極活物質層は、第1負極活物質;第1負極導電材;および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、前記第2負極活物質層は、第2負極活物質;第2負極導電材;および第2負極バインダー;を含む第2負極活物質層組成物を含み、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含むものであるリチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0015】
最後に、正極;本出願に係るリチウム二次電池用負極;前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜;および電解質;を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施態様によるリチウム二次電池用負極は、ダブルレイヤー(double layer)構造を有し、第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、第2負極活物質層の空隙率が第1負極活物質層の空隙率より高いことを満足する。このように負極をダブルレイヤーで構成することにより、負極集電体層と接触する第1負極活物質層の空隙率を一定範囲に下げ、負極集電体層との接触点(contact point)を増やして接着力を改善して寿命特性を強化することができ、また第2負極活物質層の空隙率を一定範囲に高め、負極の曲路率(tortuosity)の改善により拡散(diffusion)抵抗を改善することができる特徴を有することになる。
【0017】
すなわち、本発明は、シリコン系活物質の平均粒径に応じて負極活物質層での配置を調節したものであり、前記のような特徴を有することにより、シリコン系活物質を含む負極の利点である高容量特性を維持することができるとともに、電極の脱離現象を防止して寿命特性も強化できるということを主な目的とする。
【0018】
また、本発明の一実施態様によるリチウム二次電池用負極は、第1負極活物質層に含まれる第1負極バインダーの含量を10重量部以上に増加し、第2負極バインダーの含量を10重量部以下に低減したことで、バインダー全体の含量は一定範囲に保つことができ、特に負極集電体層側のバインダー含量を高め、負極集電体層との接着力をさらに強化することができ、これによりリチウム二次電池の寿命特性を強化することができる特徴を有することになる。
【0019】
前記のようにリチウム二次電池において1層および2層の空隙率を調節するとともに、1層および2層に特定含量のバインダーを含ませ、既存のリチウム二次電池の優れた容量特性を維持すると同時に、負極集電体部との脱離現象を防止して寿命特性も改善することができる。
【0020】
すなわち、本願発明に係るリチウム二次電池用負極の場合、シリコン系活物質を用いて容量特性を極大化し、ポア構造を単純化するためにダブルレイヤー構造を有し、各層が特定の空隙率範囲を満たすとともに、負極集電体部と接着力を改善することができるように、特定のバインダー含量を各層に使用して出力および寿命特性に優れることを主な特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用負極の積層構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を説明する前に、まずいくつかの用語を定義する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0023】
本明細書において、「p~q」は「p以上q以下」の範囲を意味する。
本明細書において、「比表面積」は、BET法により測定したものであり、具体的にはBEL Japan社のBELSORP-mini IIを用いて液体窒素温度下(77K)での窒素ガス吸着量から算出されたものである。すなわち、本出願において、BET比表面積とは、前記測定方法で測定された比表面積を意味し得る。
【0024】
本明細書において、「Dn」は粒径分布を意味し、粒径による粒子数累積分布のn%地点での粒径を意味する。すなわち、D50は粒径による粒子数累積分布の50%地点での粒径(平均粒径)であり、D90は粒径による粒子数累積分布の90%地点での粒径を、D10は粒径による粒子数累積分布の10%地点での粒径である。一方、粒径分布は、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。具体的には、測定対象粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して、粒子がレーザービームを通過する際の粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。
【0025】
本明細書において、重合体がある単量体を単量体単位で含むという意味は、その単量体が重合反応に関与して重合体内で繰り返し単位として含まれることを意味する。本明細書において、重合体が単量体を含むという場合、これは重合体が単量体を単量体単位で含むということと同様に解釈される。
【0026】
本明細書において、「重合体」とは、「単独重合体」と明記しない限り、共重合体を含む広義の意味で使用されたものと理解される。
【0027】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、分子量測定用として市販されている様々な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質とし、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)により測定したポリスチレン換算分子量である。本明細書において、分子量とは、特に記載がない限り、重量平均分子量を意味する。
【0028】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように、図面を参考にして詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、以下の説明に限定されない。
【0029】
本明細書の一実施態様は、負極集電体層;前記負極集電体層の一面または両面に設けられた第1負極活物質層;および前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に設けられた第2負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極であって、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、前記第2負極活物質層の空隙率は前記第1負極活物質層の空隙率より高く、前記第1負極活物質層は、第1負極活物質;第1負極導電材;および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、前記第2負極活物質層は、第2負極活物質;第2負極導電材;および第2負極バインダー;を含む第2負極活物質層組成物を含み、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極活物質層組成物を10重量部以上含み、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0030】
本出願に係るリチウム二次電池用負極は、単層の活物質でシリコン粒子を高含量適用する電極の長所を有するとともに、これを有する場合の欠点である負極ポア構造の単純化問題、負極集電体層との接着力改善問題および出力特性の問題を解決するために、第1負極活物質層および第2負極活物質層に特定含量部の負極バインダーを適用するダブルレイヤーで構成したことを特徴とする。
【0031】
図1は、本出願の一実施態様によるリチウム二次電池用負極の積層構造を示す図である。具体的には、負極集電体層30の一面に第1負極活物質層20および第2負極活物質層10を含むリチウム二次電池用負極100を確認することができ、
図1は、第1負極活物質層が一面に形成されたことを示すが、負極集電体層の両面に含んでもよい。
【0032】
以下では、本発明のリチウム二次電池用負極についてより詳細に説明する。
本出願の一実施態様において、負極集電体層;前記負極集電体層の一面または両面に設けられた第1負極活物質層;および前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に設けられた第2負極活物質層;を含むリチウム二次電池用負極を提供する。
【0033】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層は、一般に1μm~100μmの厚さを有する。このような負極集電体層は、当該電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを用いることができる。また、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化することもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で用いられることができる。
【0034】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層の厚さは、1μm以上100μm以下であってもよい。
【0035】
ただし、厚さは使用される負極の種類および用途に応じて多様に変形することができ、これに限定されない。
【0036】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層は、第1負極活物質;第1負極導電材;および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、前記第2負極活物質層は、第2負極活物質;第2負極導電材;および第2負極バインダーを含む第2負極活物質層組成物を含む。
【0037】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質および前記第2負極活物質は、シリコンの粒度が0.01μm以上50μm以下の分布を有するシリコン粒子を含むシリコン系活物質を含み、前記第1負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が、前記第2負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度より小さいか、同じである、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0038】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(0<x<2)、SiOx(x=0)、SiC、およびSi合金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0039】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)およびSiOx(0<x<2)からなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記シリコン系活物質100重量部基準、前記SiOx(x=0)を95重量部以上含んでもよい。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)およびSiOx(0<x<2)からなる群から選択される少なくとも1つを含み、前記シリコン系活物質100重量部基準、前記SiOx(x=0)を95重量部以上、好ましくはSiOx(x=0)を97重量部以上、さらに好ましくは99重量部以上を含み、100重量部以下を含んでもよい。
【0041】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、特に純粋なシリコン(Si)粒子を使用してもよい。純粋なシリコン(Si)をシリコン系活物質として使用することは、前述のようにシリコン系活物質全100重量部を基準としたとき、他の粒子または元素と結合されない純粋なSi粒子(SiOx(x=0))を前記範囲で含むことを意味することができる。
【0042】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、SiOx(x=0)からなってもよい。
【0043】
本出願に係るリチウム二次電池用負極は、第1負極活物質層および第2負極活物質層に前述したシリコン系活物質を含むものであり、具体的にはSiOx(x=0)を95重量部以上含む純粋シリコン粒子を含む。この際、純粋シリコン粒子を高含量含む場合、容量特性に優れ、これによるポア構造単純化による寿命低下特性を解決するために、本発明に係る第2負極活物質層を含むことにより、前記の問題を解決した。
【0044】
一方、本願発明の前記シリコン系活物質の平均粒径(D50)は、3μm~10μmであり、具体的には4μm~8μmであり、より具体的には5μm~7μmであってもよい。前記平均粒径が前記範囲で含まれる場合、粒子の比表面積が適切な範囲で含まれ、負極スラリーの粘度が適正範囲で形成される。これにより、負極スラリーを構成する粒子の分散が円滑になる。また、第1負極活物質の大きさが前記下限値の範囲以上の値を有することで、負極スラリー内で導電材とバインダーからなる複合体によりシリコン粒子、導電材の接触面積に優れ、導電ネットワークが持続する可能性が高くなり、容量維持率が増加する。一方、前記平均粒径が前記範囲を満たす場合、大きすぎるシリコン粒子が排除され、負極の表面が滑らかに形成され、これにより充放電時の電流密度不均一現象を防止することができる。
【0045】
特に、本出願に係るリチウム二次電池用負極は、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、前記第2負極活物質層の空隙率は、前記第1負極活物質層の空隙率より高いことを特徴とする。
【0046】
前記の空隙率調節は、第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物の全体組成および含量部に影響を及ぼすが、主に第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物に含まれるシリコン系活物質のD50粒度および導電材の種類などが影響する。すなわち、空隙率を具現するための方法の一つとして、粒度の異なる活物質を配置することができ、また導電材およびバインダーの含量を調節して粒度を調節することができる。
【0047】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以下であり、前記第2負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以上であるリチウム二次電池用負極を提供する。
【0048】
また他の一実施態様において、前記第1負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以下であり、0.5μm以上、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上を満たしてもよい。
【0049】
また他の一実施態様において、前記第2負極活物質層に含まれるシリコン系活物質のD50粒度が5μm以上、好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上であり、15μm以下、好ましくは10μm以下の範囲を満たしてもよい。
【0050】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下、好ましくは35%以下であり、10%以上、好ましくは20%以上を満たしてもよい。
【0051】
本出願の一実施態様において、前記第2負極活物質層の空隙率(porosity)が42%以上、好ましくは45%以上であり、90%以下、好ましくは80%以下を満たしてもよい。
【0052】
前記のような粒度分布および空隙率の範囲をそれぞれ満足することで、本出願に係るリチウム二次電池用負極は、表面部(第2負極活物質層)の空隙率を前記範囲に満たし、ポア構造単純化によりリチウムイオンとシリコン系活物質が表面でのみ反応が集中する現象の改善を通じて、拡散(diffusion)抵抗を改善し、さらに負極集電体と接する部(第1負極活物質層)の空隙率を前記範囲に満たし、負極集電体層との接着力改善を通じて、充電/放電サイクルを継続しても接着力が増加し、寿命特性が強化するという特徴を有することになる。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は、一般に特徴的なBET比表面積を有する。シリコン系活物質のBET比表面積は、好ましくは0.01m2/g~150.0m2/g、さらに好ましくは0.1m2/g~100.0m2/g、特に好ましくは0.2m2/g~80.0m2/g、最も好ましくは0.2m2/g~18.0m2/gである。BET比表面積は、(窒素を使用して)DIN66131に従って測定される。
【0054】
本出願の一実施態様において、シリコン系活物質は、例えば、結晶または非晶質の形態で存在することができ、好ましくは多孔性ではない。シリコン粒子は、好ましくは球状または破片状の粒子である。代案として、しかしあまり好ましくはないが、シリコン粒子はまた繊維構造を有するか、またはシリコン含有フィルムまたはコーティングの形態で存在してもよい。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記シリコン系活物質は非球状の形態を有してもよく、その球形度は例えば0.9以下、例えば0.7~0.9、例えば0.8~0.9、例えば0.85~0.9である。
【0056】
本出願において、前記球形度(circularity)は下記式1で決定され、Aは面積であり、Pは境界線である。
[式1]
4πA/P2
【0057】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極活物質は80重量部以下であり、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極活物質は85重量部以上であってもよい。
【0058】
また他の一実施態様において、前記第1負極活物質は、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、80重量部以下、好ましくは75重量部以下、さらに好ましくは70重量部以下であり、60重量部以上、好ましくは65重量部以上であってもよい。
【0059】
また他の一実施態様において、前記第2負極活物質は、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、85重量部以上、好ましくは87重量部以上、さらに好ましくは89重量部以上であり、100重量部以下、好ましくは96重量部以下であってもよい。
【0060】
本出願に係る第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物は、容量が著しく高いシリコン系活物質を前記範囲で用いることで、容量特性改善の効果があり、特に第1負極活物質層に含まれる第1負極活物質範囲を前記範囲に調整して全体負極の容量性能を低下させることなく、充電および放電における表面退化問題、寿命特性の問題および導電性経路確保の問題を解決した。
【0061】
従来は負極活物質として黒鉛系化合物のみを用いることが一般的であったが、近年では高容量電池に対する需要が高まるにつれて、容量を高めるためにシリコン系化合物を混合して使用しようとする試みが増えている。ただし、シリコン系化合物の場合、充/放電過程で体積が急激に膨張し、負極活物質層内に形成された導電経路を破損して電池の性能をむしろ低下させてしまうという限界が存在する。
【0062】
また、前記のように空隙率範囲を調節するために、一定粒度のシリコン系活物質を前記範囲で含む場合、充放電時の体積膨張により導電経路が確保できず、出力特性が低下し、これにより寿命特性が低下する問題があった。
【0063】
したがって、本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材および第2負極導電材は、点状導電材;線状導電材;および面状導電材からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、点状導電材;線状導電材;および面状導電材からなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、前記第2負極導電材は、線状導電材を含む、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、点状導電材;線状導電材;および面状導電材からなる群から選ばれる少なくとも2つを含み、前記第2負極導電材は、線状導電材を含む、リチウム二次電池用負極を提供する。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、点状導電材;線状導電材;および面状導電材からなる群から選ばれる少なくとも2つを含み、前記第2負極導電材は、線状導電材からなってもよい。
【0067】
特に、リチウム二次電池用負極の負極集電体と接する活物質層領域(第1負極活物質層)に2種以上の導電材を含ませる場合、充電および放電が可能なポイントが多くなり、高いCレート(C-rate)で出力特性に優れると同時に、第2負極活物質層に1種の線状導電材を少量含ませて、導電経路を確保し、シリコン系活物質の含量を極大化することができる。
【0068】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、点状導電材;線状導電材;および面状導電材からなる。
【0069】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、線状導電材;および面状導電材からなる。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材および第2負極導電材は、当業界で一般的に使用され得る物質を制限なく使用することができ、具体的には点状導電材;面状導電材;および線状導電材からなる群から選択される。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、負極への導電性を向上させるために使用することができ、化学的変化を誘発することなく導電性を有するもので、点状または球状を有する導電材を意味する。具体的には、前記点状導電材は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、導電性繊維、フルオロカーボン、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化チタンおよびポリフェニレン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であってもよく、好ましくは高い導電性を具現し、分散性に優れるという点でカーボンブラックを含んでもよい。
【0072】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、BET比表面積が40m2/g以上70m2/g以下であり、好ましくは45m2/g以上65m2/g以下、さらに好ましくは50m2/g以上60m2/g以下であってもよい。
【0073】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材の粒径は10nm~100nmであり、好ましくは20nm~90nm、さらに好ましくは20nm~60nmであってもよい。
【0074】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、負極内でシリコン粒子間の面接触を増加させて導電性を改善し、同時に体積膨張に伴う導電性経路の断絶を抑制する役割を果たすことができるもので、板状導電材またはバルク(bulk)型導電材と表現されることができる。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、板状黒鉛、グラフェン、グラフェンオキシド、および黒鉛フレークからなる群から選択される少なくとも一つを含むことができ、好ましくは板状黒鉛であってもよい。
【0076】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材の平均粒径(D50)は、2μm~7μmであり、具体的には3μm~6μmであり、より具体的には4μm~5μmであってもよい。前記範囲を満たす場合、十分な粒子サイズにより、負極スラリーの過度な粘度上昇を引き起こさずに分散が容易である。したがって、同じ装備と時間を用いて分散させるとき、分散効果に優れる。
【0077】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、D10が0.5μm以上1.5μm以下であり、D50が2.5μm以上3.5μm以下であり、D90が7.0μm以上15.0μm以下である負極組成物を提供する。
【0078】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積の高い高比表面積面状導電材;あるいは低比表面積面状導電材を用いてもよい。
【0079】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材として高比表面積面状導電材;あるいは低比表面積面状導電材を制限なく使用することができるが、特に本出願に係る面状導電材は、電極性能において分散の影響をある程度受けることがあり得、分散に問題が発生しない低比表面積面状導電材を用いることが特に好ましい場合がある。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積が5m2/g以上であってもよい。
【0081】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、BET比表面積が5m2/g以上500m2/g以下であり、好ましくは5m2/g以上300m2/g以下、さらに好ましくは5m2/g以上250m2/g以下であってもよい。
【0082】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、高比表面積面状導電材であり、BET比表面積が50m2/g以上500m2/g以下、好ましくは80m2/g以上300m2/g以下、さらに好ましくは100m2/g以上300m2/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0083】
また他の一実施態様において、前記面状導電材は、低比表面積面状導電材であり、BET比表面積が5m2/g以上40m2/g以下、好ましくは5m2/g以上30m2/g以下、さらに好ましくは5m2/g以上25m2/g以下の範囲を満たしてもよい。
【0084】
その他の導電材としては、カーボンナノチューブなどの線状導電材があり得る。カーボンナノチューブは、バンドル型カーボンナノチューブであってもよい。前記バンドル型カーボンナノチューブは、複数のカーボンナノチューブ単位体を含んでもよい。具体的には、ここで「バンドル型(bundle type)」とは、特に断りのない限り、複数のカーボンナノチューブ単位体が、カーボンナノチューブ単位体の長手方向の軸が実質的に同じ配向に並んで配置されるか、または絡み合っている、束(bundle)またはロープ(rope)の形の二次形状を指す。前記カーボンナノチューブ単位体は、黒鉛面(graphite sheet)がナノサイズ直径のシリンダー状を有し、sp2結合構造を有する。この際、前記黒鉛面が巻かれる角度および構造によって導体または半導体の特性を示すことができる。前記バンドル型カーボンナノチューブは、エンタングル型(entangled type)カーボンナノチューブと比較して負極製造時に均一に分散することができ、負極内導電性ネットワークを円滑に形成し、負極の導電性が改善されることができる。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、1重量部以上40重量部以下を満たしてもよい。
【0086】
また他の一実施態様において、前記第1負極導電材は、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、1重量部以上40重量部以下、好ましくは10重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは15重量部以上25重量部以下であってもよい。
【0087】
本出願の一実施態様において、前記第2負極導電材は、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、0.01重量部以上5重量部以下を満たしてもよい。
【0088】
また他の一実施態様において、前記第2負極導電材は、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、0.01重量部以上5重量部以下、好ましくは0.03重量部以上3重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上2重量部以下であってもよい。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、点状導電材;面状導電材;および線状導電材を含み、前記点状導電材:面状導電材:線状導電材は、1:1:0.01~1:1:1の割合を満たしてもよい。
【0090】
本出願の一実施態様において、前記点状導電材は、前記第1負極導電材100重量部基準、1重量部以上60重量部以下、好ましくは5重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下の範囲を満たしてもよい。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記面状導電材は、前記第1負極導電材100重量部基準、1重量部以上60重量部以下、好ましくは5重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上50重量部以下の範囲を満たしてもよい。
【0092】
本出願の一実施態様において、前記線状導電材は、前記第1負極導電材100重量部基準、0.01重量部以上10重量部以下、好ましくは0.05重量部以上8重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上5重量部以下の範囲を満たしてもよい。
【0093】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、線状導電材;および面状導電材を含んでもよい。
【0094】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材は、線状導電材および面状導電材を含み、前記線状導電材:面状導電材の比率は、0.01:1~0.1:1を満たしてもよい。
【0095】
本出願の一実施態様において、前記第1負極導電材が特に線状導電材および面状導電材を含み、それぞれ前記組成および割合を満足することにより、既存のリチウム二次電池の寿命特性に大きな影響を及ぼさず、充電および放電が可能なポイントが多くなり、高いCレート(C-rate)で出力特性に優れる特徴を有することになる。
【0096】
本出願に係る第1および第2負極導電材の場合、正極に適用される正極導電材とは全く別個の構成を有する。すなわち、本出願に係る第1および第2負極導電材の場合、充電および放電によって電極の体積膨張が非常に大きいシリコン系活物質間の接点を捉える役割をするもので、正極導電材は圧延される際に緩衝役割のバッファの役割をしながら一部導電性を付与する役割であり、本願発明の負極導電材とはその構成および役割が全く異なる。
【0097】
また、本出願に係る第1および第2負極導電材は、シリコン系活物質に適用されるものであり、黒鉛系活物質に適用される導電材とは全く異なる構成を有する。すなわち、黒鉛系活物質を有する電極に用いられる導電材は、単に活物質に比べて小さな粒子を有するため、出力特性向上と一部の導電性を付与する特性を有するものであり、本願発明のようにシリコン系活物質と共に適用される第1負極導電材とはその構成および役割が全く異なる。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含むものであるリチウム二次電池用負極を提供する。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーは、10重量部以上、好ましくは12重量部以上、さらに好ましくは15重量部以上含んでもよく、30重量部以下、好ましくは25重量部以下を含んでもよい。
【0100】
本出願の一実施態様において、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーは、10重量部以下を含んでもよく、1重量部以上、好ましくは3重量部以上、最も好ましくは5重量部以上を含んでもよい。
【0101】
前述のように第1負極バインダーの含有量を高く維持し、第2負極バインダーの含有量を低く形成することで、特に前記のような含量を満たすことを特徴とする。前記範囲を満足することにより、既存の問題点である負極集電体との接触点(contact point)の減少による脱離現象を第1負極バインダーを介して改善し、また第2負極バインダーを介して体積膨張もまた効率的に抑制できる特徴を有するようになる。
【0102】
本出願の一実施態様において、第1および第2負極バインダーは、ポリビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ポリアクリル酸(poly acrylic acid)およびそれらの水素がLi、NaまたはCaなどで置換された物質からなる群から選択される少なくともいずれか1つを含んでもよく、またそれらの様々な共重合体を含んでもよい。
【0103】
本出願の一実施態様による第1および第2負極バインダーは、第1および第2負極活物質の体積膨張および緩和において、負極構造の捻り、構造変形を防止するために、活物質および導電材を抑える役割を果たすもので、前記の役割を満足すれば一般的なバインダーのいずれも適用することができ、具体的には水系バインダーを用いることができ、より具体的にはPAM系バインダーを用いることができる。
【0104】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の接着力は、25℃、常圧条件で100gf/5mm以上500gf/5mm以下を満たすものであるリチウム二次電池用負極を提供する。
【0105】
また他の一実施態様において、前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の接着力は、25℃、常圧条件で100gf/5mm以上500gf/5mm以下、好ましくは300gf/5mm以上450gf/5mm以下、さらに好ましくは350gf/5mm以上430gf/5mm以下を満たしてもよい。
【0106】
特に、本出願に係る負極は、前述した第1負極活物質層組成物で負極バインダーの含量を一定範囲以上に調節して、前述のように接着力が改善される。
【0107】
また、負極の充電および放電を繰り返してシリコン系活物質の膨張および収縮が繰り返されても、特定組成の負極バインダーを適用して導電ネットワークを維持し、断絶を防いで抵抗の上昇を抑制できる特徴を有することになる。
【0108】
前記接着力は、剥離強度(Peel strength)測定器で3M 9070 tapeを用いて90°、5mm/sの速度で測定した。具体的には、接着フィルムが貼り付けられたスライドガラス(3M 9070 tape)の一面上に、前記リチウム二次電池用負極の前記負極活物質層の一面を接着する。その後、2kgゴムローラで5回~10回往復して貼り付け、90°の角度方向に、5mm/sの速度で接着力(剥離力)を測定した。この際、25℃、常圧条件で接着力を測定することができる。
【0109】
具体的に、測定は5mm×15cmの電極に対して25℃、常圧条件で接着力を測定した。
【0110】
本出願の一実施態様において、常圧は、特定の圧力を加えたり下げたりしない状態の圧力を意味することができ、大気圧と同じ意味で使用することができる。一般に1気圧と表示することができる。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層の厚さは10μm以上200μm以下であり、前記第2負極活物質層の厚さは10μm以上100μm以下であるリチウム二次電池用負極を提供する。
【0112】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物のローディング量(a)は、前記第2負極活物質層組成物のローディング量(b)の2倍以上を満たすものであるリチウム二次電池用負極を提供する。
【0113】
また他の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物のローディング量(a)は、前記第2負極活物質層組成物のローディング量(b)の2.0倍以上10倍以下、好ましくは2.2倍以上6倍以下の範囲を満たしてもよい。
【0114】
前記ローディング量は、負極活物質層を形成するための組成物の重量を意味することができ、具体的には、組成物のローディング量は、前記組成物を含むスラリーのローディング量と同じ意味を有することができる。
【0115】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層組成物のローディング量(a)は、2mg/cm2以上5mg/cm2以下、好ましくは2.2mg/cm2以上4mg/cm2以下の範囲を満たしてもよい。
【0116】
本出願の一実施態様において、前記第2負極活物質層組成物のローディング量(b)は、0.5mg/cm2以上1.5mg/cm2以下、好ましくは0.8mg/cm2以上1.3mg/cm2以下の範囲を満たしてもよい。
【0117】
前記第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物が前記ローディング量を有することで、第1負極活物質層と第2負極活物質層に含まれる活物質の割合を調節することができる。すなわち、第1負極活物質層に含まれる第1負極活物質の量を調節して容量特性を最適化することができるとともに、第2負極活物質層に含まれる第2負極活物質の量を合わせて調節して容量特性を低下させず、負極の表面反応を抑制して寿命特性強化の特徴を有することができるようになる。
【0118】
本出願の一実施態様において、前記リチウム二次電池用負極は、前リチウム化された負極であってもよい。
【0119】
本出願の一実施態様において、負極集電体層を準備する段階;前記負極集電体層の一面または両面に第1負極活物質層組成物を塗布して、第1負極活物質層を形成する段階;および前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に第2負極活物質層組成物を塗布して、第2負極活物質層を形成する段階;を含むリチウム二次電池用負極の製造方法であって、前記第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、前記第2負極活物質層の空隙率は前記第1負極活物質層の空隙率より高く、前記第1負極活物質層は、第1負極活物質;第1負極導電材;および第1負極バインダーを含む第1負極活物質層組成物を含み、前記第2負極活物質層は、第2負極活物質;第2負極導電材;および第2負極バインダーを含む第2負極活物質層組成物を含み、前記第1負極活物質層組成物100重量部基準、前記第1負極バインダーを10重量部以上含み、前記第2負極活物質層組成物100重量部基準、前記第2負極バインダーを10重量部以下で含むものであるリチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0120】
前記負極の製造方法において、各段階に含まれる組成および含量は、前述の内容を適用することができる。
【0121】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体層の一面または両面に第1負極活物質層組成物を塗布して、第1負極活物質層を形成する段階を提供する。
【0122】
すなわち、前記段階は、負極集電体層上に活物質層を形成する段階であり、ダブルレイヤー(Double layer)構造のうち、集電体層と接する面(下層部)に活物質層を形成する段階を意味することができる。
【0123】
本出願の一実施態様において、第1負極活物質層組成物を塗布することは、第1負極活物質層組成物;および負極スラリー溶媒を含む第1負極スラリーを塗布および乾燥する段階を含む。
【0124】
この際、第1負極スラリーの固形分含量は10%~40%の範囲を満たしてもよい。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層を形成する段階は、前記第1負極スラリーをミキシングする段階;および前記ミキシングされた第1負極スラリーを前記負極集電体層の一面または両面にコーティングする段階を含んでもよく、前記コーティングは当業界で一般に使われるコーティング方法が使用されてもよい。
【0126】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面に第2負極活物質層組成物を塗布して、第2負極活物質を形成する段階を提供する。
【0127】
すなわち、前記段階は、前記第1負極活物質層上に第2負極活物質層を形成する段階であり、ダブルレイヤー(Double layer)構造のうち、集電体層から離れた面(上層部)に活物質層を形成する段階を意味することができる。
【0128】
本出願の一実施態様において、第2負極活物質層組成物を塗布することは、第2負極活物質層組成物;および負極スラリー溶媒を含む第2負極スラリーを塗布および乾燥する段階を含む。
【0129】
この際、第2負極スラリーの固形分含量は10%~40%の範囲を満たしてもよい。
【0130】
本出願の一実施態様において、前記第2負極活物質層を形成する段階は、前記第2負極スラリーをミキシングする段階;および前記ミキシングされた第2負極スラリーを前記第1負極活物質層の前記負極集電体層と接する面の反対面にコーティングする段階;を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0131】
前記コーティングは、当業界で一般に使用されるコーティング方法を使用してもよい。
前記第2負極活物質層を形成する段階は、前記第1負極活物質層を形成する段階の説明を同様に適用することができる。
【0132】
本出願の一実施態様において、前記第1負極活物質層上に前記第2負極活物質層を形成する段階は、ウェットオンドライ(wet on dry)工程;またはウェットオンウェット(wet on wet)工程;を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0133】
本出願の一実施態様において、ウェットオンドライ工程は、第1負極活物質層組成物を塗布した後、完全乾燥(dry)し、その上部に第2負極活物質層組成物を塗布する工程を意味することができ、ウェットオンウェット工程は、第1負極活物質層組成物を塗布した後、乾燥せず、その上部に第2負極活物質層組成物を塗布する工程を意味する。
【0134】
特にウェットオンドライ(wet on dry)工程は、第1負極活物質層組成物を塗布した後、完全乾燥(dry)後、その上部に第2負極活物質層組成物を塗布するものであり、前記のような工程を通じて、第1負極活物質層および第2負極活物質層は明確な境界を有することができる。これにより、第1負極活物質層および第2負極活物質層に含まれる組成が混ざらず、ダブルレイヤーで構成できる特徴を有することになる。
【0135】
本出願の一実施態様において、前記負極スラリー溶媒は、第1負極活物質層組成物および第2負極活物質層組成物を溶解できれば、制限なく使用することができ、具体的には水またはNMPを用いることができる。
【0136】
本出願の一実施態様において、前記負極集電体上に第1負極活物質層および第2負極活物質層が形成された負極を前リチウム化(pre-lithiation)する段階を含み、前記負極を前リチウム化する段階は、リチウム電解メッキ工程;リチウム金属転写工程;リチウム金属蒸着工程;あるいは安定化リチウムメタルパウダー(SLMP)コーティング工程を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。
【0137】
本出願の一実施態様において、正極;本出願に係るリチウム二次電池用負極;前記正極と前記負極との間に設けられた分離膜;および電解質;を含むリチウム二次電池を提供する。
【0138】
本明細書の一実施態様による二次電池は、特に前述したリチウム二次電池用負極を含んでもよい。具体的には、前記二次電池は、負極、正極、前記正極および負極の間に介在した分離膜および電解質を含むことができ、前記負極は前述した負極と同様である。前記負極については前述したため、具体的な説明は省略する。
【0139】
前記正極は、正極集電体および前記正極集電体上に形成され、前記正極活物質を含む正極活物質層を含んでもよい。
【0140】
前記正極において、正極集電体は、電池に化学的変化を誘発せず導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えばステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素またはアルミニウムやステンレススチールの表面に、炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを用いることができる。また、前記正極集電体は、通常3μm~500μmの厚さを有することができ、前記集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの様々な形態で使用されてもよい。
【0141】
前記正極活物質は、通常使用される正極活物質であってもよい。具体的には、前記正極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;LiFe3O4などのリチウム鉄酸化物;化学式Li1+c1Mn2-c1O4(0≦c1≦0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-c2Mc2O2(ここで、Mは、Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BおよびGaからなる群から選択される少なくともいずれかひとつであり、0.01≦c2≦0.3を満たす)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-c3Mc3O2(ここで、Mは、Co、Ni、Fe、Cr、ZnおよびTaからなる群から選択される少なくともいずれか一つであり、0.01≦c3≦0.1を満たす)またはLi2Mn3MO8(ここで、Mは、Fe、Co、Ni、CuおよびZnからなる群から選択される少なくともいずれか一つである。)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。前記正極は金属リチウム(Li-metal)であってもよい。
【0142】
前記正極活物質層は、前述した正極活物質と共に、正極導電材および正極バインダーを含んでもよい。
【0143】
この際、前記正極導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を起こすことなく電子伝導性を有するものであれば特に制限なく使用可能である。具体例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;あるいはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられ得る。
【0144】
また、前記正極バインダーは、正極活物質粒子間の付着および正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体例としては、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、またはそれらの様々な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独または2種以上の混合物が用いられてもよい。
【0145】
分離膜としては、負極と正極を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、通常、二次電池で分離膜として使用されるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に電解質のイオン移動に対して低抵抗でありながら、電解液含湿能力に優れるのが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えばエチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの2層以上の積層構造体が用いられてもよい。また、通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性または機械的強度を確保するために、セラミック成分または高分子物質が含まれた、コーティングされた分離膜が用いられることもでき、選択的に単層または多層構造で使用されてもよい。
【0146】
前記電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
具体的には、前記電解質は、非水系有機溶媒と金属塩を含んでもよい。
【0147】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用されてもよい。
【0148】
特に、前記カーボネート系有機溶媒のうち環状カーボネートであるエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートは、高粘度の有機溶媒であって、誘電率が高くリチウム塩を良好に解離させるため、好ましく用いられ、このような環状カーボネートにジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートのような低粘度、低誘電率の鎖状カーボネートを適当な割合で混合して使用すると、高い電気伝導率を有する電解質を作ることができ、より好ましく用いられることができる。
【0149】
前記金属塩は、リチウム塩を用いることができ、前記リチウム塩は前記非水電解液に溶解されやすい物質であり、例えば、前記リチウム塩のアニオンとしては、F-、Cl-、I-、NO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-および(CF3CF2SO2)2N-からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0150】
前記電解質には、前記電解質構成成分の他にも、電池の寿命特性向上、電池容量減少抑制、電池の放電容量向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤がさらに1種以上含まれてもよい。
【0151】
本発明の一実施態様は、前記二次電池を単位セルとして含む電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供する。前記電池モジュールおよび電池パックは、高容量、高い律速特性およびサイクル特性を有する前記二次電池を含むため、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車および電力貯蔵用システムからなる群から選択される中大型デバイスの電源として利用することができる。
【0152】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、該実施例は本記載を例示するためのものであり、本記載の範疇および技術思想の範囲内で種々の変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、そのような変形および修正が添付の特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【0153】
<実施例>
<負極の製造>
実施例1:負極の製造
第1負極活物質層の製造
シリコン系活物質としてSi(平均粒径(D50):5μm)、第1導電材、第2導電材およびバインダーとしてポリアクリルアミドを75:9.6:0.4:15の重量比で第1負極活物質層組成物を準備した。負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して第1負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0154】
前記第1導電材は板状黒鉛(比表面積:17m2/g、平均粒径(D50):3.5μm)であり、第2導電材はSWCNTである。
【0155】
ミキシング方法としては、前記第1導電材、第2導電材バインダーと水をホモミキサーを用いて2500rpm、30min分散させてから活物質を添加した後、2500rpm、30minを分散させてスラリーを作製した。
【0156】
負極集電体として銅集電体(厚さ:8μm)の両面に前記第1負極スラリーを2.75mg/cm2のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して第1負極活物質層(厚さ:33μm)を形成した。(空隙率:35%)
【0157】
第2負極活物質層の製造
シリコン系活物質としてSi(平均粒径(D50):5μm)、SWCNTおよびバインダーとしてポリアクリルアミドを89:1:10の重量比で第2負極活物質層組成物を準備した。負極スラリー形成用溶媒として蒸留水に添加して第2負極スラリーを製造した(固形分濃度25重量%)。
【0158】
ミキシング方法としては、前記SWCNT、バインダーと水をホモミキサーを用いて2500rpm、30min分散させてから活物質を添加した後、2500rpm、30minを分散させてスラリーを作製した。
【0159】
前記第1負極活物質層に前記第2負極スラリーを1mg/cm2のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して第2負極活物質層(厚さ:15μm)を形成した。(空隙率:45%)
【0160】
その結果、負極集電体層に第1負極活物質層および第2負極活物質層が順次積層された負極を製造した。
【0161】
前記実施例1において、下記表1の組成および含量を変更したことを除いて、前述の実施例1と同様に負極を製造した。下記表1において、第3導電材はカーボンブラックC(比表面積:58m2/g、平均粒径(D50):38nm)である。
【0162】
【0163】
<二次電池の製造>
正極活物質としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(平均粒径(D50):15μm)、導電材としてカーボンブラック(製品名:Super C65、製造社:Timcal)、バインダーとしてポリビニリデンフルオリド(PVdF)を97:1.5:1.5の重量比で正極スラリー形成用溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に添加して正極スラリーを製造した(固形分濃度78重量%)。
【0164】
正極集電体としてアルミニウム集電体(厚さ:12μm)の両面に前記正極スラリーを537mg/25cm2のローディング量でコーティングし、圧延(roll press)し、130℃の真空オーブンで10時間乾燥して正極活物質層(厚さ:65μm)を形成して、正極を作製した(正極の厚さ:77μm、空隙率26%)。
【0165】
前記正極と前記実施例1の負極との間にポリエチレン分離膜を介して電解質を注入して二次電池を作製した。
【0166】
前記電解質は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジエチルカーボネート(DEC)を10:90の体積比で混合した有機溶媒に、ビニレンカーボネートを電解質全重量を基準に3重量%で添加し、リチウム塩としてLiPF6を1M濃度で添加したものである。
【0167】
前記実施例および比較例の負極を用いたことを除いては、前記と同様の方法でモノセルをそれぞれ製造し、4.2-3.0Vの範囲で寿命特性評価を行った。
【0168】
実験例1:寿命特性評価
前記実施例および比較例で製造した負極を含む二次電池について電気化学充放電器を用いて寿命評価を行い、容量維持率を評価した。二次電池を4.2-3.0V 1C/0.5Cでサイクル(cycle)テストを行い、容量維持率が80%となるサイクル(cycle)回数を測定した。
【0169】
容量維持率(%)={(N回目のサイクルでの放電容量)/(1回目のサイクルでの放電容量)}×100
その結果は下記表2のとおりであった。
【0170】
実験例2:抵抗増加率測定評価
前記実験例1でテストの時、50サイクル(cycle)毎に0.33C/0.33C充/放電(4.2-3.0V)して容量維持率を測定した後、SOC50で2.5C pulseで放電して抵抗を測定して抵抗増加率を比較分析した。
【0171】
前記抵抗増加率測定評価について、それぞれ250サイクル(cycle)でのデータを計算し、その結果は下記表2のとおりであった。
【0172】
【0173】
本発明の一実施態様によるリチウム二次電池用負極は、ダブルレイヤー(double layer)構造を有し、第1負極活物質層の空隙率(porosity)が40%以下であり、第2負極活物質層の空隙率が第1負極活物質層の空隙率より高いことを満足する。
【0174】
前記表1の実施例1から確認できるように、負極をダブルレイヤーで構成することにより、負極集電体層と接触する第1負極活物質層の空隙率を一定範囲に下げて負極集電体層との接触点(contact point)を増やして、接着力を改善して寿命特性を強化することができ、また、第2負極活物質層の空隙率を一定範囲に高め、負極の曲路率(tortuosity)改善により、拡散(diffusion)抵抗を改善できる特徴を有することが確認できた。特に、第1負極活物質層に含まれる第1負極バインダーの含量を10重量部以上に増やし、第2負極バインダーの含量を10重量部以下に下げたことで、全バインダーの含量は一定範囲に維持することができ、特に負極集電体層側のバインダー含量を高め、負極集電体層との接着力をさらに強化することができ、これによりリチウム二次電池の寿命特性を強化できる特徴を有することが確認できた。
【0175】
ちなみに、大粒子であるシリコン系活物質を適用した実施例2および4は、拡散(diffusition)特性は向上するものの、体積膨張が相対的に大きく、実施例1および3よりはやや劣位した結果を示したが、比較例で適用した負極よりも性能改善の効果が非常に大きくなることが確認できた。
【0176】
前記比較例1~7の場合、具体的には、第1負極活物質層のバインダー量が少ないか、空隙率が大きい場合には、集電体との接触(contact)低下で抵抗増加および寿命特性が実施例に比べて劣る結果が現れることが確認できた。
【0177】
参考として、比較例1および比較例2は、本願発明と同じ空隙率範囲を有するが、第1負極活物質層のバインダーの含量が低い場合であるか(比較例1)、第2負極活物質層のバインダーの含量が高い場合(比較例2)に該当する。
【0178】
また、比較例3の場合、第1負極活物質層の空隙率が第2負極活物質層の空隙率より高い場合に該当し、比較例4は下層部のバインダー比率が高いが、その重量部が10重量部未満の場合であり、比較実施例5~7は、単一層の負極を適用した場合に該当する。
【符号の説明】
【0179】
10 ・・・第2負極活物質層
20 ・・・第1負極活物質層
30 ・・・負極集電体層
【国際調査報告】