(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】フローインバータおよびパワー半導体構成要素
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535510
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022084041
(87)【国際公開番号】W WO2023110431
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サントラリア,リュイス
(72)【発明者】
【氏名】マレキ,ミラド
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA04
5F136CB08
5F136DA27
(57)【要約】
パワー半導体構成要素(16)用の冷媒物質(18)のためのフローインバータ(1)であって、フローインバータ(1)の主延在面に沿って延在する第1のプレート(2)と、主延在面に沿って延在する第2のプレート(3)と、フローインバータ(1)の第1の主面から、第1のプレート(2)および第2のプレート(3)に設けられた第1の壁(4)と、第1の主面の反対側のフローインバータ(1)の第2の主面から、第1のプレート(2)および第2のプレート(3)に設けられた第2の壁(5)とを備え、第1のプレート(2)が、第2のプレート(3)の隣に設けられ、少なくとも1つの第1の凹部(6)が第1のプレート(2)と第2のプレート(3)との間に設けられ、かつ少なくとも1つの第2の凹部(7)が、第1のプレート(2)と第2のプレート(3)との間に設けられる、フローインバータ(1)が特定される。さらに、パワー半導体構成要素(16)が特定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)と冷却チャンバとを有するパワー半導体構成要素(16)用の冷媒物質(18)のためのフローインバータ(1)であって、
-前記フローインバータ(1)の主延在面に沿って延在する第1のプレート(2)と、
-前記主延在面に沿って延在する第2のプレート(3)と、
-前記フローインバータ(1)の第1の主面から、前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)に設けられた第1の壁(4)と、
-前記第1の主面とは反対側の前記フローインバータ(1)の第2の主面から、前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)に設けられた第2の壁(5)と
を備え、
-前記第1のプレート(2)が、前記第2のプレート(3)の隣に設けられ、
-少なくとも1つの第1の凹部(6)が、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられ、かつ
-少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられる、
フローインバータ(1)。
【請求項2】
-前記少なくとも1つの第1の凹部(6)が、前記フローインバータ(1)の中央領域(12)に設けられ、かつ
-前記少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記フローインバータ(1)の少なくとも1つの側方領域(13)に設けられる、
請求項1に記載のフローインバータ(1)。
【請求項3】
前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)が互いに平行に延在する、請求項1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項4】
-前記第1の壁(4)が完全に、前記第1のプレート(2)の幅に沿って延在し、かつ
-前記第2の壁(5)が完全に、前記第2のプレート(3)の幅に沿って延在する、
請求項1~3のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)。
【請求項5】
-前記第1の壁(4)が、平面視において第1の湾曲形状を有し、かつ前記第1の湾曲形状の外面が前記第2のプレート(3)の方向を向くこと、および
-前記第2の壁(5)が、平面視において第2の湾曲形状を有し、かつ前記第2の湾曲形状の外面が前記第1のプレート(2)の方向を向くこと
の少なくとも一方である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)。
【請求項6】
2つの第2の凹部(7)が、前記フローインバータ(1)の2つの対向する側方領域(13)において、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)。
【請求項7】
前記第1の凹部(6)が前記2つの第2の凹部(7)の間に設けられる、請求項6に記載のフローインバータ(1)。
【請求項8】
前記第1の壁(4)および前記第2の壁(5)が、平面視において少なくとも部分的に互いに重なり、前記第1の凹部(6)および前記少なくとも1つの第2の凹部(7)を少なくとも部分的に画定する、請求項1~7のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)。
【請求項9】
-前記第1の凹部(6)が、前記第1の壁(4)における前記第1のプレート(2)に面する側に設けられ、
-前記少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記第1の壁(4)における前記第2のプレート(3)に面する側に設けられる、
請求項1~8のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)。
【請求項10】
-各々がそれぞれの冷却構造(21)に接続された少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)と、
-入口ポート(19)および出口ポート(20)を有する冷却チャンバと
を備え、
-前記冷却チャンバが、前記入口ポート(19)から前記出口ポート(20)への前記冷却チャンバ内の冷媒物質(18)の流れ方向(FD)に適合され、
-少なくとも2つの前記冷却構造(21)の各々が、前記流れ方向(FD)の方向に連続して前記冷却チャンバ内に設けられ、
-前記冷却チャンバが、少なくとも2つの前記冷却構造(21)のうちの2つの間に設けられた、請求項1~9のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)を備える、
パワー半導体構成要素(16)。
【請求項11】
-前記フローインバータ(1)が、請求項1~9のいずれか1項に記載のフローインバータ(1)であり、
-前記第1のプレート(2)が前記出口ポート(20)により近く、かつ
-前記第2のプレート(3)が前記入口ポート(19)により近い、
請求項10に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項12】
-前記第1のプレート(2)が、前記冷却チャンバのカバーおよび底部に平行に延在すること、
-前記第2のプレート(3)が、前記冷却チャンバのカバーおよび底部に平行に延在すること、
-前記第1の壁(4)が、前記冷却チャンバのカバーに垂直に延在すること、ならびに
-前記第2の壁(5)が、前記冷却チャンバの底部に垂直に延在すること
のうちの少なくとも1つである、請求項10または11に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項13】
-前記第1の壁(4)が、前記冷却チャンバの第1の側面から前記冷却チャンバの第2の側面まで延在し、かつ
-前記第2の壁(5)が、前記冷却チャンバの前記第1の側面から前記冷却チャンバの前記第2の側面まで延在する、
請求項10~12のいずれか1項に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項14】
-各々がそれぞれの冷却構造(21)に接続された少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)を設けることと、
-入口ポート(19)および出口ポート(20)を有する冷却チャンバを提供することと、
-前記少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)を前記冷却チャンバに配置することと、
-少なくとも2つの前記冷却構造(21)のうちの2つの間に、請求項1~9のいずれか1項に記載のフローインバータを配置することと
を含む、パワー半導体構成要素(16)を製造するための方法。
【請求項15】
前記フローインバータ(1)が、溶接、はんだ付け、クランプ、ろう付け、接着、または別個の部品としての挿入のうちの少なくとも1つによって前記冷却チャンバ内に配置される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワー半導体構成要素用の冷媒物質のためのフローインバータ、およびパワー半導体構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、改善された冷却効率を提供することができるフローインバータに関する。本開示のさらなる実施形態は、パワー半導体構成要素に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
これは、独立請求項の主題によって達成される。さらなる実施形態は、以下の説明における従属請求項から明らかである。
【0004】
第1の態様は、パワー半導体構成要素用の冷媒物質のためのフローインバータに関する。本明細書および以下の「パワー」という用語は、例えば、100Vを超えるおよび/または10Aを超える電圧および電流、例示的には最大で6.5kVの電圧、および最大で3600Aのアンペアの電流を処理するように適合されたパワー半導体構成要素、パワー半導体モジュール、および/またはパワー半導体チップを指す。
【0005】
冷媒物質は、例えば、液体冷媒または気体冷媒である。例示的には、パワー半導体モジュールの動作中に発生した熱は、冷媒物質を介して効果的に放散することができる。
【0006】
フローインバータは、例えば、主延在面を有する。横方向は主延在面に平行に整列され、垂直方向は主延在面に垂直に整列される。
【0007】
一実施形態によれば、フローインバータは、フローインバータの主延在面に沿って延在する第1のプレートを備える。例えば、第1のプレートは、実質的に横方向に沿って延在する。本明細書および以下の「実質的に」とは、第1のプレートが主延在面と最大で30°または15°、例えば5°または1°の角度を成すことができることを意味する。例示的には、第1のプレートは、横方向に平行に延在する。
【0008】
例えば、第1のプレートは、金属もしくはポリマーを含むか、またはそれらからなる。例示的には、金属は溶接可能な金属である。
【0009】
一実施形態によれば、フローインバータは、主延在面に沿って延在する第2のプレートを備える。例えば、第2のプレートは、実質的に横方向に沿って延在する。本明細書および以下の「実質的に」とは、第2のプレートが主延在面と最大で30°または15°、例えば5°または1°の角度を成すことができることを意味する。
【0010】
例示的には、第1のプレートおよび第2のプレートは、同じ材料を含むかまたはそれからなり、すなわち、第2のプレートは、第1のプレートの金属もしくはポリマーを含むかまたはそれらからなる。例えば、第1のプレートおよび第2のプレートは、一体から形成される。代替的に、第1のプレートおよび第2のプレートは異なる材料を含む。
【0011】
一実施形態によれば、フローインバータは、フローインバータの第1の主面から第1のプレートおよび第2のプレートに設けられた第1の壁を備える。第1の壁は、例示的には、第1のプレートの上面から、第1のプレートから離れる方向を向いている垂直方向に延在する。
【0012】
第1の壁は、例示的には、金属もしくはポリマーを含むか、またはそれらからなる。例えば、第1の壁は、第1のプレートと同じ材料を含む。代替的に、第1の壁は、第1のプレートとは異なる材料を含む。
【0013】
第1の壁は、例えば、第1のプレートと一体に形成される。代替的に、第1の壁は第1のプレートに溶接されるか、または第1の壁は他の接合方法によって第1のプレートに固定される。
【0014】
一実施形態によれば、フローインバータは、第1の主面とは反対側のフローインバータの第2の主面から第1のプレートおよび第2のプレートに設けられた第2の壁を備える。第1の壁は、例示的には、第2のプレートの底面から、第2のプレートから離れる方向を向いている垂直方向に延在する。
【0015】
すなわち、第1のプレートは、互いに対向して配置された上面および底面を備える。第1のプレートの上面および第1のプレートの底面は、第1のプレートの側面を介して接続される。さらに、第2のプレートは、互いに対向して配置された上面および底面を備える。第2のプレートの上面および第2のプレートの底面は、第2のプレートの側面を介して接続される。第1のプレートの上面は、第2のプレートの底面の反対側に配置される。
【0016】
例えば、第1のプレートおよび第2のプレートは、第1の壁および第2の壁によって互いに接続される。例えば、第1の壁は、フローインバータの側方領域において第1のプレートに設けられ、第1の壁は、フローインバータの中央領域において第2のプレートに設けられる。例示的には、第2の壁は、フローインバータの中央領域において第1のプレートに設けられ、第2の壁は、フローインバータの側方領域において第2のプレートに設けられる。すなわち、フローインバータの延在方向において、第1の壁は第1のプレートを越えて横方向に突出し、第2の壁は第2のプレートを越えて横方向に突出する。
【0017】
フローインバータの一実施形態によれば、第1のプレートは、第2のプレートの隣に設けられる。例示的には、第1のプレートは第2のプレートに直接隣接している。例えば、第2のプレートおよび第1のプレートは、例えば示された順序で、フローインバータの延在方向に互いに並んで連続的に配置される。例えば、第1のプレートおよび第2のプレートは互いに直接接触している。例示的には、第1のプレートおよび第2のプレートは、機械的に安定した方法で互いに接続される。
【0018】
フローインバータの一実施形態によれば、第1のプレートと第2のプレートとの間に少なくとも1つの第1の凹部が設けられる。
【0019】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの第1の凹部は、フローインバータの中央領域に設けられる。
【0020】
例示的には、第2のプレートは、フローインバータの中央領域に第1の凹部を備える。例えば、第1の凹部は、第2のプレートを上面から底面まで垂直方向に完全に貫通している。中央領域は、第1のプレートと第2のプレートとの間の領域に位置決めされる。さらに、中央領域は、例えば、フローインバータを画定する側面までの距離を有する。
【0021】
フローインバータの一実施形態によれば、第1のプレートと第2のプレートとの間に少なくとも1つの第2の凹部が設けられる。
【0022】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの第2の凹部は、フローインバータの少なくとも1つの側方領域に設けられる。
【0023】
例えば、第1のプレートは、フローインバータの少なくとも1つの側方領域に少なくとも1つの第2の凹部を備える。例示的には、少なくとも1つの第2の凹部は、第1のプレートを上面から底面まで垂直方向に完全に貫通している。少なくとも1つの側方領域は、フローインバータを画定する少なくとも1つの側面の領域に位置決めされる。さらに、少なくとも1つの側方領域は、例えば、フローインバータの少なくとも1つの側面に直接隣接している。
【0024】
要約すると、このような第1の凹部および少なくとも1つの第2の凹部を有する、パワー半導体構成要素用の冷媒物質のためのこのようなフローインバータは、とりわけ、以下の利点を提供することができる。このようなフローインバータが、パワー半導体モジュールが配置された冷却チャンバ内で使用される場合、以下でより詳細に説明するように、パワー半導体モジュールを効果的に冷却することができるため、電流定格が有利に達成される。例示的には、列内の最後のパワー半導体モジュールの冷却のみが改善されるが、このパワー半導体モジュールは、最大許容損失、したがって完全なセットアップの電流能力を規定する。さらに、全てのパワー半導体モジュールの冷却の均一性を向上させることができる。これは、パワーモジュールの需要の低減およびより高い信頼性に関しても有利である。その結果、パワーモジュールのチップ数を削減の機会により、コストダウンがもたらされる。
【0025】
正の影響は、冷媒物質の温度上昇が非常に高い低流量領域において明らかであることができる。例えば、低い冷媒物質温度が入口ポートで0℃未満である状況では、出口ポートと入口ポートとの間で60Kを超えるそのような温度上昇が起こる可能性がある。
【0026】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1のプレートおよび第2のプレートは、互いに平行に延在する。例えば、第1のプレートおよび第2のプレートは、共通平面内に延在する。例示的には、共通平面は、横方向に平行に延在する。
【0027】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の壁は完全に、第1のプレートの幅に沿って延在する。第1のプレートの幅は、例示的には、延在方向に垂直な横方向における第1のプレートの最小範囲によって規定される。
【0028】
この実施形態では、第1の壁は、第1のプレートの第1の側面から第1のプレートの第2の側面まで完全に延在する。第1のプレートの第1の側面は、例示的には、第1のプレートの第2の側面に対向して配置される。第1の側面および/または第2の側面は、延在方向に平行に延在することができる。代替的に、第1の側面および/または第2の側面は、延在方向に対して角度を有する。
【0029】
第2のプレートは、延在方向に延在する第1の側面と、延在方向に延在する第2の側面とを備える。第2のプレートの第1の側面は、例示的には、第2のプレートの第2の側面に対向して配置される。さらに、第1のプレートおよび第2のプレートの第1の側面は、共通の方向に延在し、第1のプレートおよび第2のプレートの第2の側面は、さらに共通の方向に延在する。
【0030】
例示的には、フローインバータは、第1のプレートの第1の側面および第2のプレートの第1の側面から形成される第1の側方領域にフローインバータを画定する第1の側面を備える。さらに、フローインバータは、第1のプレートの第2の側面および第2のプレートの第2の側面から形成される第2の側方領域にフローインバータを画定する第2の側面を備える。
【0031】
例えば、第1の壁は、第1のプレートの第1の側面および第1のプレートの第2の側面と同一平面上で終端する。
【0032】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第2の壁は完全に、第2のプレートの幅に沿って延在する。第2のプレートの幅は、例示的には、延在方向に垂直な横方向における第2のプレートの最小範囲によって規定される。
【0033】
この実施形態では、第2の壁は、第2のプレートの第1の側面から第2のプレートの第2の側面まで完全に延在する。例えば、第2の壁は、第2のプレートの第1の側面および第2のプレートの第2の側面と同一平面上で終端する。
【0034】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の壁は、平面視において第1の湾曲形状を有する。例えば、第1の湾曲形状は、半円、多角形の半分、または底辺のない三角形の形態を有する。
【0035】
例えば、第1の壁は、互いに接続された少なくとも2つの第1の部分壁を備える。2つの部分壁がある場合、接続部分は中央部分に位置する。少なくとも2つの第1の部分壁の各々は、横方向に直線状にまたは湾曲して延在する。例えば、少なくとも2つの第1の部分壁は、互いに180°未満、例示的には160°の角度を成す。例えば、少なくとも2つの第1の部分壁が成す角度は、第1のプレートに面する。
【0036】
例えば、第1の壁は、3つ以上の第1の部分壁を備える。直接隣接する第1の部分壁は、互いに180°未満の角度を成す。直接隣接する第1の部分壁が成す角度は、互いに異なることができる。例えば、第1の部分壁、および直接隣接する第1の部分壁が成すそれぞれの角度は、中央領域を通って延在する延在方向に関して対称的に形成される。代替的に、第1の部分壁、および直接隣接する第1の部分壁が成すそれぞれの角度は、中央領域を通って延在する延在方向に関して非対称的に形成される。
【0037】
例えば、第1の壁は、偶数の第1の部分壁、例えば4つの第1の部分壁を備える。代替的に、第1の壁は、奇数の第1の部分壁、例えば3つの第1の部分壁を備える。
【0038】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の湾曲形状の外面は、第2のプレートの方向を向いている。第1の湾曲形状は、例示的には、外面と、外面の反対側の内面とを備える。内面は、第1の湾曲形状の中心に向かう方向を向いている。
【0039】
第1の壁の形状により、冷媒物質をフローインバータの側方領域に効果的に向けることができる。
【0040】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の湾曲形状の最大曲率を有する領域は、第2のプレートの方向を向いている。例えば、第1の湾曲形状の曲率が最も大きい領域は、中央領域に位置決めされる。例示的には、中央領域内で直接隣接する第1の部分壁は最小の角度を成し、したがって最大の曲率を有する。
【0041】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第2の壁は、平面視において第2の湾曲形状を有する。例えば、第2の湾曲形状は、半円または多角形の半分の形状を有する。
【0042】
例えば、第2の壁は、互いに接続された少なくとも2つの第2の部分壁を備える。少なくとも2つの第2の部分壁の各々は、横方向に直線状にまたは湾曲して延在する。例えば、少なくとも2つの第2の部分壁は、互いに180°未満、例示的には160°の角度を成す。例えば、少なくとも2つの第2の部分壁が成す角度は、第2のプレートに面する。
【0043】
例えば、第2の壁は、3つ以上の第2の部分壁を備える。直接隣接する第2の部分壁は、互いに180°未満の角度を成す。直接隣接する第2の部分壁が成す角度は、互いに異なることができる。例えば、第2の部分壁、および直接隣接する第2の部分壁が成すそれぞれの角度は、中央領域を通って延在する延在方向に関して対称的に形成される。代替的に、第2の部分壁、および直接隣接する第2の部分壁が成すそれぞれの角度は、中央領域を通って延在する延在方向に関して非対称的に形成される。
【0044】
例えば、第2の壁は、偶数の第1の部分壁、例えば4つの第2の部分壁を備える。代替的に、第2の壁は、奇数の第1の部分壁、例えば3つの第2の部分壁を備える。
【0045】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第2の湾曲形状の外面は、第1のプレートの方向を向いている。第2の湾曲形状は、例示的には、外面と、外面の反対側の内面とを備える。
【0046】
第2の壁の形状により、冷媒物質をフローインバータの中央領域に効果的に向けることができる。
【0047】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第2の湾曲形状の最大曲率を有する領域は、第1のプレートの方向を向いている。例えば、第2の湾曲形状の曲率が最も大きい領域は、少なくとも1つの側方領域に位置決めされる。例示的には、少なくとも1つの側方領域内で直接隣接する第2の部分壁は最小の角度を成し、したがって最大の曲率を有する。
【0048】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、2つの第2の凹部が、フローインバータの2つの対向する側方領域において第1のプレートと第2のプレートとの間に設けられる。例えば、中央領域は、2つの対向する側方領域の間、例示的には、フローインバータの第1の側方領域と第2の側方領域との間に延在方向に垂直に配置される。
【0049】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の凹部は、2つの第2の凹部の間に設けられる。例えば、2つの第2の凹部のうちの第1の第2の凹部は、第1の側方領域に設けられ、2つの第2の凹部のうちの第2の第2の凹部は、第2の側方領域に設けられる。
【0050】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の壁および第2の壁は、平面視において少なくとも部分的に互いに重なり、第1の凹部および少なくとも1つの第2の凹部を少なくとも部分的に画定する。例えば、第1の壁および第2の壁は、平面視において2つの重複点を有する。重複点は、中央領域内の延在方向に垂直な横方向における第1の凹部の範囲を規定する。さらに、第1の壁および第2の壁は、中央領域内の延在方向の横方向における第1の凹部の範囲を規定する。すなわち、第1の凹部は、中央領域において第1の壁および第2の壁によって画定される。
【0051】
重複点の1つと、フローインバータの第1の側面または第2の側面の重複点により近い方とは、平面視において延在方向に垂直な横方向における少なくとも1つの第2の凹部の範囲を規定する。さらに、第2の壁および第1の壁は、少なくとも1つの側方領域内の延在方向の横方向における、少なくとも1つの第2の凹部の範囲を規定する。
【0052】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、第1の凹部は、第1の壁における第1のプレートに面する側に設けられる。
【0053】
フローインバータのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの第2の凹部は、第1の壁における第2のプレートに面する側に設けられる。
【0054】
第2の態様は、本明細書で上述したフローインバータを備えることができるパワー半導体構成要素に関する。したがって、フローインバータに関連して説明したような特徴は、パワー半導体構成要素にも適用可能であり、逆もまた同様である。
【0055】
一実施形態によれば、パワー半導体構成要素は、少なくとも2つのパワー半導体モジュールを備え、各パワー半導体モジュールは、それぞれの冷却構造に接続される。例えば、各パワー半導体モジュールは、冷却構造の1つが設けられた底面を備える。例示的には、平面視では、各冷却構造は、それぞれのパワー半導体モジュールと少なくとも部分的にまたは完全に重なる。
【0056】
各パワー半導体モジュールは、例示的には、冷却構造に直接接触している。代替的に、結合層が、各パワー半導体モジュールと冷却構造との間に配置される。各冷却構造は、例えば、それぞれのパワー半導体モジュールの底面の面積を大きくするように構成される。例えば、冷却構造は、銅、アルミニウム、またはAlSiCもしくはMgSiCを含む複合材料を含むか、またはそれらからなる。
【0057】
例えば、各冷却構造は、複数のピンフィンを備える。例えば、冷却構造のうちの1つのピンフィンは、垂直方向においてそれぞれのパワー半導体モジュールとは反対側を向いている。各ピンフィンは、例えば、垂直方向に延在するピラーから形成される。例示的には、全てのピンフィンは、垂直方向に平行な共通の延在方向を有する。例えば、各ピラーは、円錐形または円筒形の形状を有する。
【0058】
代替的に、各冷却構造は、ラメラまたはリブ構造を備える。各ラメラは、パワー半導体モジュールとは反対側を向く先端部を有する垂直方向に延在する。さらに、各ラメラは、それぞれのパワー半導体モジュールの幅または長さにわたって横方向に延在する。各ラメラもしくは各リブは例示的には直線状であるか、または各ラメラもしくは各リブは、特定の形状、例えば波状もしくはジグザグ状、または不規則な形状を有する。
【0059】
一実施形態によれば、パワー半導体構成要素は、入口ポートおよび出口ポートを有する冷却チャンバを備える。例えば、冷却チャンバは、カバーと、冷却キャビティを形成する少なくとも2つの側壁、前部、後部および底部とを備える。例示的には、少なくとも2つの側壁は、前部および後部を介して横方向に接続される。例示的には、カバーおよび底部は、少なくとも2つの側壁、前部および後部を介して垂直方向に接続される。
【0060】
例えば、冷却構造はパワー半導体モジュールの一部である。この場合、冷却チャンバ、例えばカバーは、少なくとも2つの開口部を備える。各開口部上には、冷却構造のうちの1つを有するパワー半導体モジュールのうちの1つが配置され、各冷却構造は、それぞれの開口部を通って突出する。
【0061】
代替的に、冷却構造は冷却チャンバの一部である。この場合、全ての冷却構造は、例示的には、カバーの一部である。例えば、冷却構造は、冷却チャンバと一体的に形成される。例示的には、冷却チャンバは閉じた冷却器である。
【0062】
少なくとも2つの冷却構造の一方は、少なくとも1つの開口部を通って冷却チャンバ内に突出し、少なくとも2つの冷却構造の他方は、冷却チャンバと一体的に形成されることが可能である。
【0063】
パワー半導体構成要素の一実施形態によれば、冷却チャンバは、入口ポートから出口ポートへの冷却チャンバ内の冷媒物質の流れ方向に適合される。冷媒物質の流れ方向は、例えば、フローインバータの延在方向と平行である。さらに、冷媒物質の流れ方向は、例えば、冷却チャンバの主延在方向に平行であり、すなわち、側壁、カバーおよび底部の主延在方向に沿っている。
【0064】
例示的には、前部に入口ポートが設けられ、後部に出口ポートが設けられる。代替的に、底部に、入口ポートおよび出口ポートが設けられる。例えば、前部に近い領域において底部に入口ポートが設けられ、後部に近い領域において底部に出口ポートが設けられる。
【0065】
パワー半導体構成要素の一実施形態によれば、少なくとも2つの冷却構造の各々は、流れ方向の方向に連続して冷却チャンバ内に設けられる。例えば、少なくとも2つの冷却構造の各々は、冷却チャンバ、すなわちキャビティ内に垂直方向に延在する。例えば、冷却構造は、カバーの平面からキャビティ内の底部に向かう方向に延在する。
【0066】
例示的には、冷却構造の間、例えば冷却構造の端部と冷却チャンバの底部との間にギャップが形成される。すなわち、冷却チャンバの底部に近い底部分には、冷却構造がない。ギャップは、例えば、最大2mm、例えば0.8mmの垂直方向の高さを有する。代替的に、ギャップは存在せず、冷却構造は冷却チャンバの底部と直接接触している。
【0067】
例えば、各冷却構造は、入口ポートから出口ポートに流れる冷媒物質に対する流れ抵抗を形成するように構成される。例えば、流れ抵抗は、冷却構造が設けられていない底部分よりも、冷却構造が設けられている上部分ではカバーに近いほど高くなる。すなわち、冷媒物質の速度は、上部分よりも底部分の方が速い。
【0068】
パワー半導体構成要素の一実施形態によれば、冷却チャンバは、少なくとも2つの冷却構造のうちの2つの間に設けられたフローインバータを備える。パワー半導体構成要素が3つ以上のパワー半導体モジュール、したがって3つ以上の冷媒構造を備える場合、フローインバータは、出口ポートにより近い2つの隣接する冷却構造の間に配置される。例示的には、フローインバータは、出口ポートに最も近い2つの隣接する冷却構造の間に配置される。
【0069】
例えば、パワー半導体構成要素は、2つ以上のフローインバータを備えることもできる。フローインバータの各々は、例示的には、2つの隣接する冷却構造の間に設けられる。この場合、各フローインバータは同じ形状を有する。代替的に、フローインバータのうちの少なくとも1つは、残りのフローインバータとは異なる。
【0070】
例示的には、フローインバータは、冷却チャンバの一部である。この場合、フローインバータは冷却チャンバの一体部分である。
【0071】
代替的に、フローインバータは、冷却チャンバ内に別個の部品として取り付け可能である。この場合、フローインバータは、例えばレーザ溶接プロセスによって溶接され、冷却チャンバ内でろう付けまたは接着される。代替的に、フローインバータは、冷却チャンバ内にクランプされるか、または単に冷却チャンバ内に置かれる。
【0072】
例示的には、フローインバータの第1の主面は冷却チャンバのカバーに面し、フローインバータの第2の主面は冷却チャンバの底部に面する。
【0073】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、フローインバータは、流れ方向でフローインバータの前に冷却チャンバの底部分を流れる冷媒物質を、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの上部分に向け直すように構成される。
【0074】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、フローインバータは、流れ方向でフローインバータの前に冷却チャンバの上部分を流れる冷媒物質を、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの底部分に近い領域に向け直すように構成される。
【0075】
例示的には、冷媒物質は、垂直方向に温度勾配を有する。例えば、冷媒物質は、流れ方向でフローインバータの前の冷却チャンバの上部分での第1の平均温度と、流れ方向でフローインバータの前の冷却チャンバの底部分での第2の平均温度とを有する。例示的には、冷却構造が上部分の冷媒物質により多くの熱を放散するため、第1の平均温度は第2の平均温度よりも高い。有利には、フローインバータは、異なる平均温度を有する冷媒物質の部分を垂直方向に反転させるように構成される。
【0076】
例示的には、流れ方向でフローインバータの前に上部分を流れる平均温度がより高い冷媒物質の一部分は、第1の壁によって遮断され、第1の壁はこの冷媒物質を少なくとも1つの第2の凹部に向ける。さらに、流れ方向でフローインバータの前に底部分を流れる平均温度がより低い冷媒物質の一部分は、第2の壁によって遮断され、第2の壁はこの冷媒物質を少なくとも1つの第1の凹部に向ける。
【0077】
少なくとも1つの第2の凹部に向けられる冷媒物質の一部分は、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの底部分に向け直される。第1の凹部に向けられる冷媒物質の一部分は、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの上部分に向け直される。
【0078】
さらに、第1の凹部に向けられる冷媒物質の一部分は、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの中央部分に向け直される。少なくとも1つの第2の凹部に向けられる冷媒物質の一部分は、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの側方部分に向け直される。
【0079】
有利には、流れ方向でフローインバータの後に配置されたパワー半導体モジュールは、フローインバータのない配置と比較して、上部分および底部分における冷媒物質のそのような反転のために、より効果的に冷却することができる。例示的には、より均一な冷却、例えば流れ方向における最後のパワー半導体モジュールの冷却がより効果的であり、このパワー半導体モジュールは、完全なセットアップの最大許容電流を規定する。
【0080】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、パワー半導体構成要素のフローインバータは、本明細書で上述したフローインバータである。
【0081】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第1のプレートは出口ポートにより近く、第2のプレートは入口ポートにより近い。すなわち、フローインバータの延在方向は流れ方向を向いている。
【0082】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第1のプレートは、カバーおよび冷却チャンバの底部に平行に延在する。
【0083】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第2のプレートは、カバーおよび冷却チャンバの底部に平行に延在する。
【0084】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第1の壁は、カバーおよび冷却チャンバの底部に垂直に延在する。代替的に、第1の壁は、カバーおよび冷却チャンバの底部に対して斜めに延在する。
【0085】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第2の壁は、カバーおよび冷却チャンバの底部に垂直に延在する。代替的に、第2の壁は、カバーおよび冷却チャンバの底部に対して斜めに延在する。
【0086】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第1の壁は、冷却チャンバの第1の側面から冷却チャンバの第2の側面まで延在する。例示的には、フローインバータの第1の側面は、冷却チャンバの第1の側面に直接接触している。さらに、フローインバータの第2の側面は、例示的には、冷却チャンバの第2の側面に直接的に接している。例えば、製造公差により、第1の壁は、冷却チャンバの第1の側面および冷却チャンバの第2の側面と部分的にのみ直接接触する。代替的に、第1の壁は、冷却チャンバの第1の側面および冷却チャンバの第2の側面に直接接触していない。
【0087】
例えば、第1の壁は、冷却チャンバのカバーまで延在する。例示的には、第1の壁は、冷却チャンバのカバーに直接接触している。例えば、第1の壁は、製造公差のために、少なくとも部分的に冷却チャンバのカバーに直接接触している。代替的に、第1の壁は冷却チャンバのカバーに直接接触していない。
【0088】
パワー半導体構成要素のさらなる実施形態によれば、第2の壁は、冷却チャンバの第1の側面から冷却チャンバの第2の側面まで延在する。例えば、製造公差により、第2の壁は、冷却チャンバの第1の側面および冷却チャンバの第2の側面と部分的にのみ直接接触する。代替的に、第2の壁は、冷却チャンバの第1の側面および冷却チャンバの第2の側面に直接接触していない。
【0089】
例えば、第2の壁は、冷却チャンバの底部まで延在する。例示的には、第2の壁は、冷却チャンバの底部に直接接触している。例えば、第2の壁は、製造公差により、少なくとも部分的に冷却チャンバの底部に直接接触している。代替的に、第2の壁は、冷却チャンバの底部に直接接触していない。
【0090】
すなわち、フローインバータは、冷却チャンバ、例えばキャビティを、入口ポートにより近い第1の部分と出口ポートにより近い第2の部分とに分割する。例示的には、第1の部分および第2の部分は、フローインバータの第1の凹部および少なくとも1つの第2の凹部のみによって互いに接続される。
【0091】
さらに、本明細書では、上述したようなパワー半導体構成要素を製造することができるまたは製造する、パワー半導体構成要素を製造するための方法について説明する。したがって、パワー半導体構成要素に関連する特徴は、方法に関連しても開示され、逆もまた同様である。
【0092】
本方法の一実施形態によれば、少なくとも2つのパワー半導体モジュールが提供され、各々がそれぞれの冷却構造に接続される。
【0093】
本方法の一実施形態によれば、入口ポートおよび出口ポートを有する冷却チャンバが提供される。
【0094】
本方法の一実施形態によれば、少なくとも2つのパワー半導体モジュールは、冷却チャンバ上に配置される。
【0095】
本方法の一実施形態によれば、フローインバータが、少なくとも2つの冷却構造のうちの2つの間に配置される。
【0096】
例えば、フローインバータは、一体に形成され、冷却キャビティ内に配置される。この場合、フローインバータは、冷却チャンバに溶接または接着することができる。代替的に、フローインバータは、冷却チャンバ内にクランプされるか、または単に冷却チャンバ内に置かれる。
【0097】
代替的に、フローインバータは、少なくとも部分的に冷却チャンバの一部から形成される。例えば、第1の壁はカバーの一部であり、および/または第2の壁は底部の一部である。第1の壁および/または第2の壁は、例示的には、第1のプレートおよび/または第2のプレートに溶接、接着、ろう付けまたはクランプされる。さらに、第1の壁は、例示的には、カバーに溶接、ろう付けもしくは接着されるか、またはカバーと一体的に形成される。さらに、第2の壁は、例示的には、底部に溶接、ろう付けもしくは接着されるか、または底部と一体的に形成される。
【0098】
本方法のさらなる実施形態によれば、フローインバータは、流れ方向でフローインバータの前に冷却チャンバの底部分を流れる冷媒物質を、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの上部分に向け直すように構成される。
【0099】
本方法のさらなる実施形態によれば、フローインバータは、流れ方向でフローインバータの前に冷却チャンバの上部分を流れる冷媒物質を、流れ方向でフローインバータの後に冷却チャンバの底部分に近い領域に向け直すように構成される。
【0100】
本方法のさらなる実施形態によれば、フローインバータは、溶接、はんだ付け、クランプ、ろう付け、接着、または別個の部品としての挿入のうちの少なくとも1つによって冷却チャンバ内に配置される。
【0101】
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれる。図面では、同じ構造および/または機能の要素は、同じ参照符号で参照される場合がある。図面に示される実施形態は例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】例示的な実施形態によるフローインバータの3次元概略上面図である。
【
図2】例示的な実施形態によるフローインバータの3次元概略底面図である。
【
図3】例示的な実施形態によるフローインバータの断面図である。
【
図4】例示的な実施形態によるフローインバータの断面図である。
【
図5】例示的な実施形態によるパワー半導体構成要素の断面図である。
【
図6】例示的な実施形態によるパワー半導体構成要素の3次元概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1によるフローインバータ1は、第1のプレート2および第2のプレート3を備える。第2のプレート3および第1のプレート2は、示された順序で、延在方向Dに沿って互いに隣接して連続して配置される。第1の壁4は、第1のプレート2上に、例えば第1のプレート2の縁部に、第1の主面からフローインバータ1の2つの側方領域13に、かつ第2のプレート3上に、例えば第2のプレート3の縁部に、第2の主面から中央領域12に配置される。さらに、第2の壁5が、フローインバータ1の側方領域13の第2のプレート3上およびフローインバータ1の中央領域12の第1のプレート2上に配置される。
【0104】
第1のプレート2は、第1の側面8および第2の側面9を有し、第2のプレート3は、第1の側面10および第2の側面11を有する。第1のプレート2の第1の側面8および第2の側面9は、互いに対向して配置される。さらに、第2のプレート3の第1の側面10および第2の側面11は、互いに対向して配置される。第1のプレートの第1の側面8および第2のプレートの第1の側面10は、フローインバータ1の第1の側面を形成する。さらに、第1のプレートの第2の側面9および第2のプレートの第2の側面11は、フローインバータ1の第2の側面を形成する。フローインバータ1の第1の側面およびフローインバータ1の第2の側面の両方は、延在方向Dに沿って延在する。
【0105】
第1の壁4は、第1のプレートの第1の側面8から第1のプレートの第2の側面9まで完全に延在している。さらに、第2の壁5は、第2のプレートの第1の側面10から第2のプレートの第2の側面11まで完全に延在している。
【0106】
第1の壁4は、4つの第1の部分壁14を備え、直接隣接する第1の部分壁14は、互いに直接接続され、例えば一体に形成される。直接隣接する第1の部分壁14は、互いに角度を成している。ここで、成している角度は全て同じである。したがって、第1の壁4は、平面視において第1の湾曲形状を有する。この例示的な実施形態では、第1の湾曲形状は八角形の半分である。第1の湾曲形状30の外面は、第2のプレート3の方向を向いている。
【0107】
中央領域12において、第1のプレート2と第2のプレート3との間には、第1の凹部6が設けられている。第1の凹部6は、中央領域12において第2のプレート3を完全に貫通している。さらに、第1のプレート2と第2のプレート3との間には、2つの第2の凹部7が設けられている。2つの第2の凹部7の各々は、側方領域13において第1のプレート2を完全に貫通している。第1の凹部6は、延在方向Dに垂直な2つの第2の凹部7の間に設けられている。
【0108】
第1の壁4および第2の壁5は、平面視において少なくとも部分的に互いに重なり、第1の凹部6および2つの第2の凹部7を少なくとも部分的に画定する。したがって、第1の凹部6は、中央領域12において第1の壁4および第2の壁5によって画定される。
【0109】
図2によれば、第2の壁5は、3つの第2の部分壁15を備え、直接隣接する第2の部分壁15は、互いに直接接続され、例えば一体に形成される。直接隣接する第2の部分壁15は、互いに角度を成している。ここで、成している角度は全て同じである。したがって、第2の壁5は、平面視において第2の湾曲形状を有する。第2の湾曲形状31の外面は、第1のプレート2の方向を向いている。
【0110】
さらに、平面視において、各第2の凹部7は、それぞれの側方領域13内の第1の壁4および第2の壁5と、フローインバータの外面の突出部とによって画定される。
【0111】
図3および
図4によるフローインバータ1は、第1のプレート2および第2のプレート3を備え、第1のプレート2および第2のプレート3は、共通の平面内に延在する。
【0112】
第1の壁4および第2の壁5の各々は、フローインバータ1の延在方向Dと直交する方向に延在している。
【0113】
第1のプレート2と第2のプレート3も、第1の壁4と第2の壁5も、例えば一体に形成される。
【0114】
図5のパワー半導体構成要素16は、各々が冷却構造21に接続された3つのパワー半導体モジュール17を備え、各冷却構造21は、それぞれのパワー半導体モジュール17の一部、例えば一体部分である。
【0115】
パワー半導体モジュール17は、
図6に関連してより詳細に説明される冷却チャンバ(
図5には図示せず)上に設けられ、それぞれの冷却構造21は、冷却チャンバ内に設けられる。冷却チャンバは、
図6に関連してより詳細に説明する入口ポート19および出口ポート20(
図5には図示せず)を有する。さらに、冷却チャンバは、入口ポート19から出口ポート20への冷却チャンバ内の冷媒物質18の流れ方向FDに適合される。
【0116】
パワー半導体モジュール17は、流れ方向FDに沿って連続的に冷却チャンバに設けられている。したがって、各冷却構造21は、流れ方向FDの方向に連続して冷却チャンバ内に設けられる。
【0117】
さらに、
図1~
図4によるフローインバータ1は、少なくとも2つの冷却構造21のうちの2つの間の冷却チャンバ内に設けられる。フローインバータ1が配置されている領域は、
図5に2つの破線で示されている。2つの破線内には、フローインバータ1が配置されている。この例示的な実施形態では、フローインバータ1は、出口ポート20に最も近い直接隣接するパワー半導体モジュール17の間に配置される。
【0118】
冷媒物質18は、流れ方向FDでフローインバータ1の前の冷却チャンバの上部分Xの第1の平均温度と、流れ方向FDでフローインバータ1の前の冷却チャンバの底部分X’の第2の平均温度とを有する。ここで、冷却構造21が上部分Xの冷媒物質18により多くの熱を放散するため、平均の第1の平均温度は第2の平均温度よりも高い。
【0119】
フローインバータ1は、流れ方向FDでフローインバータ1の後の冷媒物質18を、垂直方向において反転させる。したがって、上部分Xの冷媒物質の部分は、流れ方向FDでフローインバータ1の後に冷却チャンバの底部分Y’に向け直され、底部分X’の冷媒物質の部分は、流れ方向FDでフローインバータ1の後に冷却チャンバの上部分Yに向け直される。したがって、出口ポート20に最も近いパワー半導体モジュール17を効果的に冷却することができる。
【0120】
図6のパワー半導体構成要素16は、冷却キャビティを形成するカバー25、2つの側壁24、前部22、後部23、および底部26を備える冷却チャンバを有する。冷却構造21は、冷却キャビティ内に位置する。
【0121】
フローインバータ1は、
図5に関連して既に説明したように、出口ポート20に最も近い直接隣接する冷却構造21の間に配置される。第2のプレート3は入口ポート19に面し、第1のプレート2は出口ポート20に面する。
【符号の説明】
【0122】
1 フローインバータ
2 第1のプレート
3 第2のプレート
4 第1の壁
5 第2の壁
6 第1の凹部
7 第2の凹部
8 第1のプレートの第1の側面
9 第1のプレートの第2の側面
10 第2のプレートの第1の側面
11 第2のプレートの第2の側面
12 中央領域
13 側方領域
14 第1の部分壁
15 第2の部分壁
16 パワー半導体構成要素
17 パワー半導体モジュール
18 冷媒物質
19 入口ポート
20 出口ポート
21 冷却構造
22 前部
23 後部
24 側壁
25 カバー
26 底部
28 第1の主面
29 第2の主面
30 第1の湾曲形状の外面
31 第2の湾曲形状の外面
X フローインバータの前の上部分
X’ フローインバータの前の底部分
Y フローインバータの後の上部分
Y’ フローインバータの後の底部分
D 延在方向
FD 流れ方向
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)と冷却チャンバとを有するパワー半導体構成要素(16)用の冷媒物質(18)のためのフローインバータ(1)であって、
-前記フローインバータ(1)の主延在面に沿って延在する第1のプレート(2)と、
-前記主延在面に沿って延在する第2のプレート(3)と、
-前記フローインバータ(1)における第1の主面から、前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)に設けられた第1の壁(4)と、
-前記フローインバータ(1)における前記第1の主面とは反対側の第2の主面から、前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)に設けられた第2の壁(5)と
を備え、
-前記第1のプレート(2)が、前記第2のプレート(3)の隣に設けられ、
-少なくとも1つの第1の凹部(6)が、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられ、かつ
-少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられる、
フローインバータ(1)。
【請求項2】
-前記少なくとも1つの第1の凹部(6)が、前記フローインバータ(1)の中央領域(12)に設けられ、かつ
-前記少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記フローインバータ(1)の少なくとも1つの側方領域(13)に設けられる、
請求項1に記載のフローインバータ(1)。
【請求項3】
前記第1のプレート(2)および前記第2のプレート(3)が互いに平行に延在する、請求項1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項4】
-前記第1の壁(4)が完全に、前記第1のプレート(2)の幅に沿って延在し、かつ
-前記第2の壁(5)が完全に、前記第2のプレート(3)の幅に沿って延在する、
請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項5】
-前記第1の壁(4)が、平面視において第1の湾曲形状を有し、かつ前記第1の湾曲形状の外面が前記第2のプレート(3)の方向を向くこと、および
-前記第2の壁(5)が、平面視において第2の湾曲形状を有し、かつ前記第2の湾曲形状の外面が前記第1のプレート(2)の方向を向くこと
の少なくとも一方である、請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項6】
2つの第2の凹部(7)が、前記フローインバータ(1)の2つの対向する側方領域(13)において、前記第1のプレート(2)と前記第2のプレート(3)との間に設けられる、請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項7】
前記第1の凹部(6)が前記2つの第2の凹部(7)の間に設けられる、請求項6に記載のフローインバータ(1)。
【請求項8】
前記第1の壁(4)および前記第2の壁(5)が、平面視において少なくとも部分的に互いに重なり、前記第1の凹部(6)および前記少なくとも1つの第2の凹部(7)を少なくとも部分的に画定する、請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項9】
-前記第1の凹部(6)が、前記第1の壁(4)における前記第1のプレート(2)に面する側に設けられ、
-前記少なくとも1つの第2の凹部(7)が、前記第1の壁(4)における前記第2のプレート(3)に面する側に設けられる、
請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)。
【請求項10】
-各々がそれぞれの冷却構造(21)に接続された少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)と、
-入口ポート(19)および出口ポート(20)を有する冷却チャンバと
を備え、
-前記冷却チャンバが、前記入口ポート(19)から前記出口ポート(20)への前記冷却チャンバ内の冷媒物質(18)の流れ方向(FD)に適合され、
-少なくとも2つの前記冷却構造(21)の各々が、前記流れ方向(FD)の方向に連続して前記冷却チャンバ内に設けられ、
-前記冷却チャンバが、少なくとも2つの前記冷却構造(21)のうちの2つの間に設けられた、請求項
1または2に記載のフローインバータ(1)を備える、
パワー半導体構成要素(16)。
【請求項11】
-前記フローインバータ(1)が、請求項
1に記載のフローインバータ(1)であり、
-前記第1のプレート(2)が前記出口ポート(20)により近く、かつ
-前記第2のプレート(3)が前記入口ポート(19)により近い、
請求項10に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項12】
-前記第1のプレート(2)が、前記冷却チャンバのカバーおよび底部に平行に延在すること、
-前記第2のプレート(3)が、前記冷却チャンバのカバーおよび底部に平行に延在すること、
-前記第1の壁(4)が、前記冷却チャンバのカバーに垂直に延在すること、ならびに
-前記第2の壁(5)が、前記冷却チャンバの底部に垂直に延在すること
のうちの少なくとも1つである、請求項
10に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項13】
-前記第1の壁(4)が、前記冷却チャンバの第1の側面から前記冷却チャンバの第2の側面まで延在し、かつ
-前記第2の壁(5)が、前記冷却チャンバの前記第1の側面から前記冷却チャンバの前記第2の側面まで延在する、
請求項
10に記載のパワー半導体構成要素(16)。
【請求項14】
-各々がそれぞれの冷却構造(21)に接続された少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)を設けることと、
-入口ポート(19)および出口ポート(20)を有する冷却チャンバを提供することと、
-前記少なくとも2つのパワー半導体モジュール(17)を前記冷却チャンバに配置することと、
-少なくとも2つの前記冷却構造(21)のうちの2つの間に、請求項
1または2に記載のフローインバータを配置することと
を含む、パワー半導体構成要素(16)を製造するための方法。
【請求項15】
前記フローインバータ(1)が、溶接、はんだ付け、クランプ、ろう付け、接着、または別個の部品としての挿入のうちの少なくとも1つによって前記冷却チャンバ内に配置される、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】