(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20241128BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20241128BHJP
H05K 3/38 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C04B37/02 B
H05K1/03 610D
H05K1/03 610E
H05K3/38 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535553
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2022019573
(87)【国際公開番号】W WO2023121052
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0186739
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517232084
【氏名又は名称】エルエックス セミコン カンパニー, リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ ナム テ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュン ホ
【テーマコード(参考)】
4G026
5E343
【Fターム(参考)】
4G026BA03
4G026BA16
4G026BA17
4G026BB22
4G026BB24
4G026BB27
4G026BB28
4G026BF38
4G026BG04
4G026BG06
4G026BH07
5E343AA24
5E343AA38
5E343BB02
5E343BB25
5E343BB35
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5E343CC03
5E343DD52
5E343DD76
5E343FF30
5E343GG20
(57)【要約】
本実施例は、回路基板の製造方法に関するものとして、より詳しくは2つ以上のセラミック基板の間に形成される隙間にエポキシ、シリコーンを注入するか金属ブロックを挿入して、エッチングによって発生し得る問題を解決する技術に関するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のセラミック基板を平面に並んで位置するように配置するステップと、
上部金属シートと下部金属シートが互いに対向する面内に前記2つ以上のセラミック基板を配置するステップと、
前記2つ以上のセラミック基板の間に形成される隙間にエポキシまたはシリコーンを注入するステップと、
前記上部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板、及び前記下部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板を接合するステップと、
前記上部金属シート及び前記下部金属シートに対しエッチング(Etching)をするステップと、
を含む、回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記2つ以上のセラミック基板は、それぞれ上部蒸着層と下部蒸着層を有する、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記上部蒸着層及び前記下部蒸着層は、Ag及びTiを含む、請求項2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
熱間加圧によって前記上部蒸着層および前記下部蒸着層に含まれた物質と前記セラミック基板に含まれた物質が反応して接合層が形成され、
前記接合層は、少なくともTiNを含む、請求項2に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記Agの単位面積当たりの蒸着量は、3.50~6.10g/m
2の範囲であり、
前記Tiの単位面積当たりの蒸着量は、0.61~1.30g/m
2の範囲である、請求項3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記上部金属シートと前記下部金属シートの面積は、前記2つ以上のセラミック基板と同一であるか又は前記2つ以上のセラミック基板より大きく形成される、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記接合するステップは、前記上部金属シートと前記下部金属シートを熱間加圧することで行われる、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック基板は、Si
3N
4、AlN及びAl
2O
3のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記上部金属シート及び前記下部金属シートは、Cu、Al、Ni及びFeのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記エポキシまたはシリコーンは、前記上部金属シート、前記下部金属シート及び前記2つ以上のセラミック基板によって形成される前記隙間の両終端に注入される、請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項11】
2つ以上のセラミック基板を平面に並んで位置するように配置するステップと、
上部金属シートと下部金属シートが互いに対向する面内に前記2つ以上のセラミック基板を配置するステップと、
前記2つ以上のセラミック基板の間に形成される隙間に金属ブロックを挿入するステップと、
前記上部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板、及び前記下部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板を接合するステップと、
前記上部金属シート及び前記下部金属シートに対しエッチング(Etching)をするステップと、
を含む、回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記金属ブロックは、前記エッチングに利用されるエッチング液と反応しない金属である、請求項11に記載の回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記金属ブロックは、Fe、Ti、Ni、Mo及びWのうち少なくとも1つを含む、請求項11に記載の回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記金属ブロックの厚さは、前記2つ以上のセラミック基板の厚さと同一であるか又は前記2つ以上のセラミック基板の厚さより厚く形成される、請求項11に記載の回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記金属ブロックは、前記上部金属シート、前記下部金属シート及び前記2つ以上のセラミック基板によって形成される前記隙間の両終端に1つずつ挿入される、請求項11に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、回路基板(Circuit Board)とは、電気素子または電子素子を連結するための配線が配置された基板をいう。
【0003】
回路基板は、アルミナ(Al203)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)等のセラミック基板の互いに対向する両面に銅シート(Copper Sheet)のような金属シートを接合して製造することができる。
【0004】
セラミック基板が利用される回路基板の接合法は、次のように大きく3種に分けることができる。活性金属(Active metal)からなった接合材を利用して接合する活性金属法(Active metal brazing、AMB)、セラミック基板の酸化膜を利用して接合するダイレクト接合法(Direct bonding)、金属の蒸着及び拡散反応を利用する拡散接合法がある。
【0005】
拡散接合法は、固相反応によって数百ナノメートル厚さの薄い蒸着層を形成することができ、活性金属法に比べて使用される金属の量が極めて少なく、結合力が優れるので熱衝撃特性が優れるプリント回路用基板の製造が可能であるという長所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景下で、本実施例の一目的は、生産コストを節減できると共に、金属シートのエッチング(Etching)過程で発生し得る問題を解決する回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、一実施例は、2つ以上のセラミック基板を平面に並んで位置するように配置するステップと、上部金属シートと下部金属シートが互いに対向する面内に前記2つ以上のセラミック基板を配置するステップと、前記2つ以上のセラミック基板の間に形成される隙間にエポキシまたはシリコーンを注入するステップと、前記上部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板、及び前記下部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板を接合するステップと、前記上部金属シート及び前記下部金属シートに対しエッチング(Etching)をするステップと、を含む、回路基板の製造方法を提供する。
【0008】
前述した目的を達成するために、別の実施例は、2つ以上のセラミック基板を平面に並んで位置するように配置するステップと、上部金属シートと下部金属シートが互いに対向する面内に前記2つ以上のセラミック基板を配置するステップと、前記2つ以上のセラミック基板の間に形成される隙間に金属ブロックを挿入するステップと、前記上部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板、及び前記下部金属シートと前記2つ以上のセラミック基板を接合するステップと、前記上部金属シート及び前記下部金属シートに対しエッチング(Etching)をするステップと、を含む、回路基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上で説明したように、本実施例によれば、セラミック基板と金属シートの間の接合力が優れるプリント回路用基板を製造することができ、その製造コストが節減され、金属シートのエッチング(Etching)過程で発生し得る問題を解決できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施例に係る金属シートとセラミック基板の配置関係を説明するための図面である。
【
図2】
図2は、本実施例に係る回路基板の製造方法においてシリコーンまたはエポキシの注入について説明するための図面である。
【
図3】
図3は、本実施例に係る回路基板の製造方法において金属ブロックの挿入について説明するための図面である。
【
図4】
図4は、本実施例に係る回路基板の製造方法によるセラミック基板、蒸着層及び金属シートの断面図である。
【
図5】
図5は、本実施例に係る回路基板の製造方法によって形成された接合層に関して説明するための図面である。
【
図6】
図6は、本実施例によって形成されたセラミック基板及び蒸着層の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージである。
【
図7】
図7は、本実施例によって形成されたセラミック基板、接合層及び金属シートの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施例に係る金属シートとセラミック基板の配置関係を説明するための図面である。
【0012】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、セラミック基板100、金属シート200を利用することができ、追加的に金属シート200の凝着を防止するための凝着防止用シート300を利用することができる。
【0013】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、2つ以上のセラミック基板が平面で並んで位置するように配置するステップが行われる。
【0014】
セラミック基板100は、回路基板で放熱性能を提供することができ、セラミック基板100は、放熱性能を提供するための成分で構成される。例えば、セラミック基板100は、Si3N4、AlN及びAl2O3のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
Si3N4の曲げ強度(flexural strength)は、一般的に600~1,400MPaの範囲に該当するので優れており、Si3N4は、約3.2×10-6/Kの低い熱膨張係数を有するので高温活用が可能である。また、Si3N4は、約3.2g/cm3の密度、30~178W/(m・K)の範囲の熱伝導度、及び800~1000K範囲の高い熱衝撃抵抗性(Thermal shock resistance)を有することができる。
【0016】
セラミック基板100は、セラミック粉末を含んだスラリー準備工程、テープキャスティング(Tape casting)工程、打ち抜き(Punching)工程、脱脂(Burnout)工程、焼結(Sintering)工程等を経て製造される。
【0017】
スラリー準備工程は、粉末に有機溶媒、焼結助剤、可塑剤及び分散剤を混合してスラリーを製造する工程であってもよい。セラミック粉末は、Si3N4粉末、AlN粉末、及びAl2O3粉末のうち少なくとも1つ以上を含むことができる。セラミック粉末は、ボールミル(Ball Mill)等を利用して製造することができるが、粉末の平均粒径は、0.8μm以下に形成される。平均粒径とは、n個の粒径大きさ分布において、中央値(Median)である粒径の大きさを意味することができる。
【0018】
セラミック基板100にSi3N4粉末が使用される場合、Si3N4粉末はβ-Si3N4及びα-Si3N4のうち少なくとも1つ以上を含むことができる。Si3N4粉末としてβ-Si3N4とα-Si3N4を混合して使用する場合、成分間の含量比は特に限定されない。
【0019】
有機溶媒の種類は、特に制限されないが、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エタノール、ブタノール及びメタノールからなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0020】
焼結助剤の種類も特に制限されないが、希土類元素酸化物、アルカリ土類金属酸化物及びこれらの組合せを用いることができる。
【0021】
可塑剤の種類も特に制限されないが、フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル、フタル酸ジ‐ノルマル‐ブチル(Di-n-butyl phthalate)、ブチルフタリルブチルグリコレート、ポリエチレングリコール及びフタル酸ジオクチルからなる群から選択される1種以上を可塑剤として用いることができる。
【0022】
分散剤は特に制限されないが、ポリエステル系の分散剤、ポリアクリレート系の分散剤、ポリウレタン系の分散剤及びポリエーテル系の分散剤からなる群から選択される1種以上を用いることができる。
【0023】
テープキャスティング(Tape casting)工程は、スラリーをポリマーフィルム上に一定の厚さで塗布した後に、乾燥チャンバに通過させてセラミックテープを製造する工程であってもよい。
【0024】
打ち抜き(Punching)工程は、セラミックテープを圧搾(Pressing)及び切削(Cutting)して、セラミックグリーンシート(Green sheet)を製造する工程であってもよい。
【0025】
脱脂(Burnout)工程は、セラミックグリーンシートを熱処理して行われる工程であってもよい。具体的には、脱脂工程は、大気または窒素雰囲気中で熱処理によって行うことができる。具体的な熱処理条件は、特に制限されないが、例えば、400~800℃の範囲の温度で6~18時の間熱処理を行うことができる。
【0026】
焼結(Sintering)工程は、脱脂工程が行われたセラミックグリーンシートを焼結する工程であってもよい。焼結は、ガス圧焼結法(Gas pressure sintering、GPS)によって行うことができる。具体的なガス圧焼結の条件は特に制限されないが、1600~2000℃の範囲の温度、窒素雰囲気及び8~12気圧(atm)条件が形成されたガス圧焼結炉を焼結工程で用いることができる。
【0027】
焼結以後、研削等を含む後加工を経てSi3N4、AlN及びAl2O3のうち1つ以上を含むセラミック基板100が製造される。
【0028】
セラミック基板100の形態は、
図1に示されたように四角形の板状であってもよく、多角形、円形及び楕円形等の形状を有することもできる。
【0029】
セラミック基板100の大きさは特に限定されないが、横が150~220mmであり、縦が100~160mmであってもよい。また、セラミック基板100の大きさは、横と縦の大きさが可変であり、具体的に横138mm、縦長さ190mmを有することができる。
【0030】
セラミック基板100の厚さは特に限定されないが、0.05~2.0mmに形成されてもよい。
【0031】
2つ以上のセラミック基板100が使用される場合、2つ以上のセラミック基板100のそれぞれは大きさと形状が互いに同一であってもよく、異なってもよい。
【0032】
2つ以上のセラミック基板100が使用される場合、2つ以上のセラミック基板100は、平面に並んで位置するように配置されるが、これは2つ以上のセラミック基板100が互いに重ならないこと、積層されないことを意味し得る。
【0033】
2つ以上のセラミック基板100の下面は全て下部金属シートと接合され、2つ以上のセラミック基板100の上面は全て上部金属シートと接合される。
【0034】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、上部金属シートと下部金属シートが互いに対向する面内に前記2つ以上のセラミック基板100を配置するステップが行われる。
【0035】
ここで、上部金属シートと下部金属シートは、金属シート200が配置される位置によって命名されたものとして、上部金属シートと下部金属シートは、観察者が見る方向や金属シート200が置かれる位置によって入れ替わってもよい。
【0036】
金属シート200の面積は、2つ以上のセラミック基板100の面積と同一であるか、より大きくてもよい。具体的に、金属シート200の面積は、セラミック基板100の面積の6.0倍以下、5.0倍以下、4.0倍以下、3.0倍または2.5倍以下であってもよく、1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上または2.0倍以上であってもよく、そして2.4倍以下、2.3倍以下、2.2倍以下、または2.1倍以下であってもよい。
【0037】
金属シート200の面積が大き過ぎる場合、エッチング液を洗い流し難く、基板上に溜まったり(エッチング液の残留)、エッチングが不均一となる問題が発生し得る。
【0038】
本実施例の一例示によれば、金属シート200の一面が四角形の形状を有する場合、横が250~300mmであり、縦が160~210mmに形成されてもよい。金属シート200の横及び縦長さは互いに入れ替わってもよい。
【0039】
金属シート200の厚さは特に限定されないが、0.05~3.0mmの範囲に形成されてもよい。
【0040】
金属シート200に含まれる金属は特に限定されないが、Cu、Al、Ni及びFeのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0041】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、上部金属シートと2つ以上のセラミック基板、及び下部金属シートと2つ以上のセラミック基板を接合するステップが行われる。
【0042】
金属シート200と2つ以上のセラミック基板100は、セラミック基板100の上に蒸着層を形成して熱間加圧することで接合されてもよく、その外に接合物質が利用されることで接合されてもよい。これに対しては、後述する
図4及び
図5に対する説明で具体的に説明する。
【0043】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、前記上部金属シート及び前記下部金属シートに対しエッチング(Etching)をするステップが行われる。
【0044】
金属シート200のエッチングは、エッチング液によって行うことができ、特に限定しないが、金属シート200のエッチングに利用されるエッチング液は既に公知されたエッチング液が使用することができる。
【0045】
本実施例は、セラミック基板100の面積よりその面積が最小1.5倍以上である金属シート200が使用される。回路基板の製造ではエッチングが行われるが、本実施例のような配置により1回エッチング工程の対象となるセラミック基板が2つ以上になると、有効面積が増加してより多いエッチングピースが生産され、同時に捨てられる部分が減少する。そして、エッチング工程のためのラインにエッチング対象基板を1枚ずつ投入する場合より、エッチングラインに2枚ずつ投入する効果があるので、工程時間が短縮し、関連コスト(例えば、人件費等)が減少する効果がある。
【0046】
本実施例の一例示によれば、金属シート200とセラミック基板100の配置に関連して2つ以上のセラミック基板100は、金属シート200のエッジから所定間隔離隔した状態で金属シート200の一面上に位置するように配置される。金属シート200のエッジから離隔する場合、工程中にジグ(zig)によって挟まれる箇所を確保することができ、2つ以上であるセラミック基板100の間の距離が近くなるので、デッドゾーン(dead zone)が減り、原材料の浪費を防ぐことができる。
【0047】
本実施例に係る「金属シート/2つ以上のセラミック基板/金属シート」の構造を有する積層体は1セットのマスターカード(Master Card、MC)と称することができる。
【0048】
本実施例の一例示によれば、マスターカードが積層されたマスターカード積層体を製造することができるが、このとき、マスターカードの各セットの間には、金属シート200の間の凝着が発生しないようにするための凝着防止用シート(sheet)300が用いられる。
【0049】
凝着防止用シート300の成分は特に限定されないが、グラファイト(Graphite)を含むことができ、凝着防止用シート300はカーボンプレート(Carbon Plate)と称することができる。
【0050】
図2は、本実施例に係る回路基板の製造方法においてシリコーンまたはエポキシの注入について説明するための図面である。
【0051】
本実施例に係る回路基板の製造方法によって2つ以上のセラミック基板100を平面に並んで位置するように配置する場合、必然的に2つ以上のセラミック基板100の間には隙間が形成されるしかない。
【0052】
これにより、金属シート200をエッチング(Etching)するステップを行う場合、エッチング液が2つ以上のセラミック基板100の間に形成された隙間に流入し、金属シート200とセラミック基板100の間の接合力が弱くなったり、金属シート200の背面(セラミック基板と接合した面)が腐食する等の問題が発生し得る。
【0053】
よって、本実施例に係る回路基板の製造方法において2つ以上のセラミック基板100の間に形成される隙間にエポキシまたはシリコーンを注入するステップが行われる。
【0054】
具体的に、金属シート200が対向する面内に2つ以上のセラミック基板100を配置し、配置されたセラミック基板100の間にエポキシガン(gun)またはシリコーンガン(gun)を利用して2つ以上のセラミック基板100の間に形成された隙間にエポキシまたはシリコーンのうち1つ以上を注入することができる。
【0055】
また、エポキシ及びシリコーンのうち1つ以上は、上部金属シート、下部金属シート、2つ以上のセラミック基板100によって形成される隙間の両終端に注入される。2つ以上のセラミック基板100の間に形成される隙間の両終端とは、金属シート/セラミック基板/金属シート積層体の断面のうち、2つ以上のセラミック基板100が形成する隙間が見える断面に位置した隙間の終端部分を意味することができる。
【0056】
これにより、2つ以上のセラミック基板100の間に形成された隙間にエポキシ及びシリコーンのうち1つ以上が充填されて隙間を埋めることになり、エッチング液によるエッチング工程時にエッチング液が2つ以上のセラミック基板100の間の隙間にエッチング液が流入することを防止することができることになる。
【0057】
図3は、本実施例に係る回路基板の製造方法において金属ブロックの挿入について説明するための図面である。
【0058】
図2に対する説明で言及したように、本実施例に係る回路基板の製造方法によって2つ以上のセラミック基板100を平面に並んで位置するように配置する場合、必然的に2つ以上のセラミック基板100の間には隙間が形成されるしかない。
【0059】
これにより、金属シート200をエッチング(Etching)するステップを行う場合、エッチング液が2つ以上のセラミック基板100の間に形成された隙間に流入し、金属シート200とセラミック基板100の間の接合力が弱くなったり、金属シート200の背面(セラミック基板と接合した面)が腐食する等の問題が発生し得る。
【0060】
よって、本実施例に係る回路基板の製造方法において2つ以上のセラミック基板100の間に形成される隙間に金属ブロック500を挿入するステップが行われる。
【0061】
金属シート200が対向する面内に2つ以上のセラミック基板100を配置し、配置されたセラミック基板100の間に金属ブロック500を配置することで、2つ以上のセラミック基板100の間に形成された隙間が充填される。
【0062】
具体的に、2つ以上のセラミック基板100の間に金属ブロック500が挿入され、金属ブロック500が挿入された後、上部金属シート及び下部金属シートの外部に熱間加圧が加えられることで、金属シート200とセラミック基板100が接合されると共に、金属ブロック500が隙間の形状に合うように変形されて、隙間に空いた空間がないように埋められる。
【0063】
金属ブロック500は、エッチング(Etching)工程に利用されるエッチング液と反応しない金属で形成され、特に限定しないが、金属ブロック500は、Fe、Ti、Ni、Mo及びWのうち少なくとも1つを含むことができる。
【0064】
金属ブロック500は、セラミック基板100の厚さと同一であるか、セラミック基板100の厚さより厚く形成されてもよい。
【0065】
金属ブロック500は、上部金属シート、下部金属シート及び2つ以上のセラミック基板100によって形成される隙間の両終端に1つずつ挿入される。
【0066】
2つ以上のセラミック基板100の間に形成される隙間の両終端とは、金属シート/セラミック基板/金属シート積層体の断面のうち、2つ以上のセラミック基板100が形成する隙間が見える断面に位置した隙間の終端部分を意味することができる。
【0067】
図4は、本実施例に係る回路基板の製造方法によるセラミック基板、蒸着層及び金属シートの断面図である。
【0068】
本実施例に係る一例示によれば、セラミック基板100の上面及び下面には、それぞれ蒸着層400が形成され、これは上部蒸着層及び下部蒸着層と称することができる。セラミック基板100に形成された蒸着層400は、セラミック基板100の面積と同一面積を有することもでき、セラミック基板100の面積より小さい面積を有することもできる。具体的に、蒸着層400の面積は、セラミック基板100の面積の50%または100%の大きさを有することができる。
【0069】
蒸着層400を形成する物質は特に限定されないが、Ag及びTiのうち1つ以上が含まれてもよい。蒸着層400にAg及びTiのうち1つ以上が利用される場合、Agの単位面積当たりの蒸着量は、3.50~6.10g/m2の範囲を有することができ、Tiの単位面積当たりの蒸着量は、0.61~1.30g/m2の範囲を有することができる。ここで、単位面積当たりの蒸着量とは、蒸着層面積に対する蒸着成分の含量を意味することができる。蒸着層の接合強度は、蒸着層に使用される成分と蒸着量を調節することで調節される。
【0070】
本実施例のうち1つの例示によれば、蒸着層400に含まれたTiの単位面積当たりの蒸着量は、0.61~1.30g/m2の範囲を有することができる。金属シート200とセラミック基板100の間により強い接合力を提供する側面で、Tiの単位面積当たりの蒸着量は、1.02~1.30g/m2の範囲を有することができ、具体的には1.04~1.20g/m2の範囲を有することができる。
【0071】
蒸着層400に含まれたAgの単位面積当たりの蒸着量は、3.50~6.10g/m2の範囲を有することができる。金属シート200とセラミック基板100の間により強い接合力を提供する側面で、Agの単位面積当たりの蒸着量は、4.00~4.60g/m2の範囲を有することができる。
【0072】
また、セラミック基板100の上面及び下面に形成される蒸着層400の形状は、セラミック基板100の上面及び下面と同じ形状に形成されてもよく、異なる形状に形成されてもよい。
【0073】
蒸着層400が形成される工程は特に制限されないが、物理的気相蒸着(Physical vapor deposition、PVD)のためのスパッタリング(Sputtering)または化学的気相蒸着(Chemical vapor deposition、CVD)のような工程が用いられる。
【0074】
蒸着層形成工程によりセラミック基板100の上面及び下面には、それぞれ上部蒸着層及び下部蒸着層が形成される。
【0075】
上部蒸着層は、上部金属シートと対向するように配置され、下部蒸着層は、下部金属シートと対向するように配置される。また、蒸着層400は、熱間加圧により金属シート200とセラミック基板100を接合させる媒介体となることができる。
【0076】
セラミック基板100が2つ以上使用される場合、2つ以上のセラミック基板100のそれぞれに蒸着層400が形成され、熱間加圧されることで2つ以上のセラミック基板100と金属シート200が接合される。
【0077】
本実施例に係る一例示によれば、上部蒸着層及び下部蒸着層のうち1つ以上は、互いに成分が異なる第1蒸着層410及び第2蒸着層420を含むことができる。
【0078】
具体的に、第1蒸着層410はTiを含むことができ、第2蒸着層420はAgを含むことができる。第1蒸着層410は、第2蒸着層420よりセラミック基板100に近接した層を意味することができる。例えば、
図4のようにセラミック基板100の上に第1蒸着層410が形成され、第1蒸着層410の上に第2蒸着層420が形成される。
【0079】
第1蒸着層410及び第2蒸着層420に関連して、本実施例に係る回路基板の製造方法は、セラミック基板100の上面と下面上にそれぞれTiを含む第1蒸着層410を形成するステップと、第1蒸着層410の上にAgを含む第2蒸着層420を形成するステップを含むことができる。
【0080】
これにより、
図1のように、第2蒸着層420、第1蒸着層410、セラミック基板100、第1蒸着層410及び第2蒸着層420が順次位置した積層体が製造される。
【0081】
第1蒸着層410及び第2蒸着層420は、セラミック基板100の上面及び下面と同一面積を有することもでき、より小さい面積を有することもでき、同じ形状を有することもでき、異なる形状に形成されてもよい。
【0082】
第1蒸着層410に含まれたTiの単位面積当たりの蒸着量は、0.61~1.30g/m2の範囲を有することができ、Tiの単位面積当たりの蒸着量が1.02~1.30g/m2の範囲を有することができ、金属シート200とセラミック基板100の間により強い接合力を提供する側面で、1.04~1.20g/m2の範囲を有することができる。
【0083】
第2蒸着層420に含まれたAgの単位面積当たりの蒸着量は、3.50~6.10g/m2の範囲を有することができ、金属シートとセラミック基板の間により強い接合力を提供する側面でAgの単位面積当たりの蒸着量が4.00~4.60g/m2の範囲を有することができる。
【0084】
蒸着層400が形成された上部金属シート及び下部金属シートを熱間加圧(Hot Pressing)して、セラミック基板100と上部及び下部金属シートを接合することができる。
【0085】
熱間加圧は450~1、300℃の温度で、1~25MPaの圧力で上部及び下部金属シートをセラミック基板100方向に熱間加圧することで行われる。また、熱間加圧は特に制限されないが、例えば約10-1~10-5torrの状態で行われる。
【0086】
本実施例によって熱間加圧による接合時の温度の下限は500℃以上、600℃以上、700℃以上または800℃以上であってもよい。そして、その上限は1050℃以下、1000℃以下、950℃以下または900℃以下であってもよい。
【0087】
本実施例によって熱間加圧による接合時の圧力の下限は5Mpa以上または10Mpa以上であってもよい。そして、その上限は20Mpa以下または15Mpa以下であってもよい。
【0088】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、セラミック基板100が2つ以上利用され、セラミック基板100の互いに対向する2つの面の上に蒸着層400が形成される。そして、蒸着層400の上に金属シート200が配置され、金属シート200の外側で熱間加圧を加えてセラミック基板100と金属シート200が接合される。
【0089】
図5は、本実施例に係る回路基板の製造方法によって形成された接合層に関して説明するための図面である。
【0090】
熱間加圧により上部及び下部金属シート200とセラミック基板100は、蒸着層400を媒介として接合されていてもよく、
図5に図示されたように、セラミック基板100の上に接合層430が形成され、接合層430の上に金属シート200が配置される。ここで、接合層430は、蒸着層400またはその他接合物質が接合ステップを経ることで生成される層を意味することができる。
【0091】
本実施例に対し
図4及び
図5を利用して説明すると、熱間加圧によってセラミック基板100、蒸着層400及び金属シート200のそれぞれに含まれた物質の間の拡散が行われる。
【0092】
例えば、第1蒸着層410にTiが含まれ、セラミック基板100にSi3N4が含まれる場合、TiとSi3N4の間には、下記反応式1のような反応が起きる。
【0093】
[反応式1]
4Ti+Si3N4→3Si+4TiN
即ち、熱間加圧によって、蒸着層400に含まれた物質とセラミック基板100に含まれた物質が反応して接合層430を形成することができ、接合層430はTiNを含むことができる。
【0094】
本実施例に係る一実施例の接合層430はTiNを含む層として、セラミック基板100と金属シート200の間の強い接合媒介層として作用することができる。即ち、拡散接合法により接合層430が形成されることで、セラミック基板100と金属シート200の接合が行われる。
【0095】
互いに異なる材料を含む層間の接合が行われる場合、相対的に強度が弱い材料を含む層に応力伝達が発生し、層間脱着が容易に発生する。よって、相対的に強度が弱い材料を含む層の強度を増加させることは、互いに異なる材料を含む層間接合において接合力を向上させることにより効果的ある。
【0096】
例えば、第2蒸着層420に含まれたAgは、熱間加圧時にCuを含む金属シート200の方に拡散して界面における弱い金属シート200の強度を補うことができる。上記のような原理で、第2蒸着層420に含まれたAgは、セラミック基板100と金属シート200の間の接合力を向上させることができる。また、第2蒸着層420に含まれたAgは、第1蒸着層210に含まれたTi及び金属シート200に含まれたCuと一緒にCu‐Ti‐Agの3元系からなる液相を形成して濡れ性を向上させ、反応層形成の促進をサポートすることができる。
【0097】
第2蒸着層420に含まれたAgの単位面積当たりの蒸着量が本実施例による範囲未満である場合、金属シート200の強度を充分に増加させることができず、セラミック基板100と金属シート200の間の接合力が悪くなる。そして、第2蒸着層420に含まれたAgの単位面積当たりの蒸着量が本実施例による範囲を超過する場合、必要以上のAgが蒸着されて拡散されないAg残存物を形成するので、却ってセラミック基板100と金属シート200の間の接合力が減少する問題がある。
【0098】
本実施例に係る回路基板の製造方法は、各層間接合力が優れる基板を製造することができる。これにより、本実施例に係る回路基板は、反復的な熱衝撃環境に露出しても剥離が発生しないか剥離発生が大きく抑制される。
【0099】
接合ステップの後、接合されたセラミック基板100及び/または金属シート200に対しプリント(Resist printing)工程、エッチング(Etching)工程、メッキ(Ni Plating)工程等を経て回路基板が製造される。
【0100】
図6は、本実施例によって形成されたセラミック基板及び蒸着層の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージである。
【0101】
即ち、
図6は、蒸着ステップの後及び接合ステップの前の断面イメージである。これにより、セラミック基板100の上にTiを含む第1蒸着層410とAgを含む第2蒸着層420が形成されたことを確認することができる。
【0102】
図7は、本実施例によって形成されたセラミック基板、接合層及び金属シートの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージである。
【0103】
即ち、
図7は、接合ステップの後の断面イメージである。これにより、拡散接合法による接合ステップの後には接合層430が形成され、セラミック基板100と金属シート200が接合されたことを確認することができる。
【0104】
以下、具体的な実施例により、発明の作用、効果をより具体的に説明することにする。ただし、これは発明の例示として提示されたものとして、これにより発明の権利範囲がいかなる意味にも限定されるものではない。
【0105】
製造例(セラミック基板の製造)
ボールミル(BallMill)によって平均粒径が0.8μm以下のSi3N4粉末を製造する。Si3N4粉末に有機溶媒(例えば、トルエン、メタノール、エタノール)、焼結助剤(例えば、Y2O3、MgO)、可塑剤(例えば、Dioctyl Phthalate(DOP)、Polyethylen glycol(PEG))及び分散剤(例えば、BYK‐111)を添加してスラリーを製造した後、乾燥チャンバに通過させてSi3N4テープを製造する。Si3N4テープを圧搾(Pressing)及び切削(Cutting)してSi3N4グリーンシート(Green sheet)を製造し、600℃で12時間熱処理して脱脂工程を実施した。その後、ガス圧焼結法により窒素雰囲気下で1850℃、1MPaの条件で焼結して所定大きさ(横190mm×縦138mm×厚さ0.32mm)のセラミック基板(窒化ケイ素Si3N4基板)を製造した。
【0106】
実験例1:生産コスト節減確認
製造例のセラミック基板の対向する上面と下面に順次Ti(第1蒸着層)とAg(第2蒸着層)を蒸着した。この時、Tiは、約1.0g/m2蒸着され、Agは、約6.08g/m2蒸着された。上記のように製造されて第1蒸着層と第2蒸着層が互いに対向する上面と下面の両方ともに蒸着されたセラミック基板を2枚用意した。
【0107】
また、270mm×190mm×0.3mm大きさの銅シート(Cusheet)を2枚用意した。
【0108】
上記銅シート1枚を置き、セラミック基板2枚の間に隙間が最大限発生しないように隣接して位置させて銅シートの一面上にセラミック基板2枚を配置し(この時、2つ以上のセラミック基板は銅シートの上で平面に平行に並んで位置し、各セラミック基板の蒸着層(Ag蒸着層)が銅シートと接して位置するように配置される)、その上に残りの1枚の銅シートを同じ方式で位置させて銅シート/(平面に平行に並んで位置する)セラミック基板2枚/銅シート形態の非接合積層体を製造した。この時、2枚のセラミック基板と銅シート間の重畳面積は約90%とした。
【0109】
以後、ホットプレス(hot press)装備で前記積層体を約10‐4torrの雰囲気及び980℃の温度で15MPaで加圧しながら処理した。その結果、銅シートと窒化ケイ素基板が互いに接合された銅シート/(平面に平行に並んで位置する)セラミック基板2枚/銅シートのサンプルが得られた。
【0110】
上記サンプルを利用して銅回路を製造するために銅をエッチングした。具体的には、積層体の外側両面にドライフィルム(dry film)を付着した後、フィルムにUVを照射して銅がエッチングされてはいけない部分(回路部分)を残して、回路部分以外の残りの部分のフィルムは剥離した。これをエッチングラインに投入して銅エッチングをした。
【0111】
その結果、セラミック基板が1つずつ接合された比較サンプル(銅シート/セラミック基板1枚/銅シート)を2つエッチングする時よりも、本出願のように製造されたサンプル(銅シート/(平面に平行に並んで位置する)セラミック基板2枚/銅シート)をエッチングすることが、同じ個数の回路の制作に要する時間をほぼ半分ほど減らすことができ、同じエッチング工程時間に、より多くの回路基板ピースを生産(例えば、約30%以上生産量増加)できることを確認した。このように、本出願によればコストの節減効果が大きい。
【0112】
実験例2:接合強度の評価
ASTM D6682に準じて、以下の実施例1~6及び比較例1~6の試験片に対して接合力(N/mm)を測定した。具体的には、銅シートと窒化ケイ素基板が互いに接合された銅シート/窒化ケイ素基板/銅シート構造のサンプルをエッチングして、幅5mm、長さ100mmの銅ストリップ(strip)がセラミック基板と接合されたサンプルを用意した。万能試験機(Ametek社製のLS5)のグリップ(grip)でCuストリップ(strip)をグリップできるように、試験前にCuストリップ(strip)エッジの約10mmを手動で分離した。万能試験機に試験片を固定してCuストリップ(strip)をグリップ(grip)でグリップし、50mm/minの速度で分離しながらこれに対する応力を測定して接合強度を計算した。
【0113】
その結果は、以下の表1~3のようである。
【0114】
実施例1(Ti蒸着量1.076g/m2、Ag蒸着量4.005g/m2)
製造例の前記セラミック基板に対してスパッタリング(Sputtering)方法により70秒間0.0282gのTiを蒸着して第1蒸着層を形成した。そして、上記第1層の上に30秒間0.105gのAgを蒸着して第2蒸着層を形成した。この時、第1蒸着層と第2蒸着層の形成面積は、上記セラミック基板のそれ(横190mm×縦138mm)と同一に調節した。ここで、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.076g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は4.005g/m2である。
【0115】
そして、上記のように製造されたセラミック基板2枚と銅シート(横270mm×縦185mm×厚さ0.3mm)2枚を用意した。互いに隙間が最大限発生しないようにセラミック基板2枚を隣接するように位置させて用意された銅シート1枚の一面上にセラミック基板2枚を配置し(この時、2つのセラミック基板は銅シートの上で平面に平行に並んで位置し、各セラミック基板の蒸着層(Agを含む第2蒸着層)が銅シートと接して位置するように配置される)、その上に残りの1枚の銅シートを同じ方式で位置させて銅シート/(平面に平行に並んで位置する)セラミック基板2枚/銅シート形態の非接合積層体を製造した。この時、2枚のセラミック基板と銅シート間の重畳面積は約95%とした。
【0116】
以後、上記積層体を約10‐4torrの雰囲気で980℃の温度及び15MPaの圧力で熱間加圧した。
【0117】
上記の一連の工程によりCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4を含む試験片を製造した。
【0118】
実施例2(Ti蒸着量1.194g/m2、Ag蒸着量4.005g/m2)
0.0313gのTiを蒸着して第1層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.194g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は4.005g/m2である。
【0119】
実施例3(Ti蒸着量1.030g/m2、Ag蒸着量5.339g/m2)
0.0270gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.1400gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.030g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は5.339g/m2である。
【0120】
実施例4(Ti蒸着量1.220g/m2、Ag蒸着量5.339g/m2)
0.0320gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.1400gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.220g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は5.339g/m2である。
【0121】
実施例5(Ti蒸着量1.003g/m2、Ag蒸着量4.005g/m2)
0.0263gのTiを蒸着して第1層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.003g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は4.005g/m2である。
【0122】
実施例6(Ti蒸着量0.961g/m2、Ag蒸着量4.005g/m2)
0.0252gのTiを蒸着して第1層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は0.961g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は4.005g/m2である。
【0123】
比較例1(Ti蒸着量0.374g/m2、Ag蒸着量2.868g/m2)
0.0098gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.0752gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は0.374g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は2.868g/m2である。
【0124】
比較例2(Ti蒸着量0.599g/m2、Ag蒸着量2.868g/m2)
0.0157gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.0752gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は0.599g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は2.868g/m2である。
【0125】
比較例3(Ti蒸着量0.843g/m2、Ag蒸着量2.868g/m2)
0.0221gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.0752gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は0.843g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は2.868g/m2である。
【0126】
比較例4(Ti蒸着量1.034g/m2、Ag蒸着量2.868g/m2)
0.0342gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.0752gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.304g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は2.868g/m2である。
【0127】
比較例5(Ti蒸着量1.041g/m2、Ag蒸着量6.808g/m2)
0.0273gのTiを蒸着して第1層を形成し、0.1785gのAgを蒸着して第2層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は1.041g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は6.808g/m2である。
【0128】
比較例6(Ti蒸着量0.599g/m2、Ag蒸着量4.005g/m2)
0.0157gのTiを蒸着して第1層を形成したことを除いて、実施例1と同様な方法でCuの金属シート、TiNの接合層及びSi3N4のセラミック基板を含む試験片を製造した。この時、Tiの単位面積当たりの蒸着量は0.599g/m2であり、Agの単位面積当たりの蒸着量は、4.005g/m2である。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
まず、実施例1、2及び比較例1~4の試験片を比較すると、Agの単位面積当たりの蒸着量が3.50g/m2以上である実施例1、2の試験片は、それぞれ21.4N/mm及び22.1N/mmの優れる接合力を見せた反面、Agの単位面積当たりの蒸着量が3.50g/m2未満である比較例1~4の試験片は、いずれも7.5N/mm以下の低い接合力を見せた。特に、Tiの単位面積当たりの蒸着量は比較例4の試験片が実施例1及び2の試験片より高かったにもかかわらず、少ないAg含量により比較例4の試験片がはるかに低い接合力を見せた。これは、Agの蒸着量に応じて金属シートの強度が変化(向上)して表れた結果であると考えられる。次に、実施例1、3及び比較例5の試験片を比較すると、Tiの単位面積当たりの蒸着量に大きい差がない。しかし、Agの単位面積当たりの蒸着量が6.10g/m2以下の実施例1、3の試験片は、それぞれ21.4N/mm及び16.3N/mmの優れる接合力を見せた反面、比較例5の試験片は却って接着力が15.6N/mmに減少した。これは、過量のAg蒸着により界面にAg残存物が形成されて表れた結果であると判断される。
【0133】
次に、実施例1、2、5、6及び比較例6の試験片を比較すると、Agの単位面積当たりの蒸着量はほぼ同一である。Tiの単位面積当たりの蒸着量が0.61g/m2以上である実施例1、2、5、6の試験片は、最小9.4N/mm以上の接合力を見せた反面、Tiの単位面積当たりの蒸着量が0.61g/m2未満である比較例6の試験片は、8.6N/mm以下の低い接合力を見せた。これは、Tiの蒸着量に応じて接合層の強度が変化(向上)して表れた結果であると考えられる。特に、Tiの単位面積当たりの蒸着量が1.02g/m2以上である実施例1、2の試験片は、それぞれ21.4N/mm及び22.1N/mmの優れる接合力を見せた。
【0134】
次に、実施例1、2、4の試験片を見ると、Tiの単位面積当たりの蒸着量が1.30g/m2以下の実施例1、2、4の試験片は、いずれも20N/mm以上の優れる接合力を見せた。ただし、Tiの単位面積当たりの蒸着量が1.02g/m2以上になると、Tiの蒸着量が増加しても接合力の向上幅が微小であるので飽和値に到達することを確認することができる。そこで、原材料のコスト浪費を防ぐと共に最適の界面間の接合力を備えるために、Tiの単位面積当たりの蒸着量は、1.30g/m2以下であることが好ましい。
【国際調査報告】