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特表2024-545229フルオロポリマー及び環状オレフィンアロイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】フルオロポリマー及び環状オレフィンアロイ
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20241128BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20241128BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08G73/10
C08L27/12
C08L45/00
C08L79/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535667
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 JP2022045989
(87)【国際公開番号】W WO2023112948
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,389
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222590
【氏名又は名称】ダイキン アメリカ インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】20 Olympic Drive,Orangeburg,New York 10962,U.S.A
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, アーサー ダヴリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, ヘイリー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4J002BD12W
4J002BD15W
4J002BK00X
4J002DE149
4J002DJ019
4J002EL137
4J002EN076
4J002EU228
4J002FD019
4J002FD146
4J002FD147
4J002FD148
4J002FD14W
4J002FD208
4J043PA11
4J043PA15
4J043PB15
4J043PC026
4J043PC146
4J043QA08
4J043QB15
4J043QB26
4J043QB31
4J043QB33
4J043RA05
4J043RA35
4J043RA37
4J043SA06
4J043SA36
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4J043TA23
4J043TA47
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4J043UA082
4J043UA121
4J043UA132
4J043UB062
4J043UB121
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA041
4J043VA062
4J043WA13
4J043WA22
4J043WA23
4J043WA26
4J043XA03
4J043XA08
4J043XB27
4J043XB37
4J043ZA12
4J043ZA32
4J043ZA33
4J043ZA34
4J043ZA35
4J043ZA43
4J043ZA46
4J043ZB11
4J043ZB48
4J043ZB50
(57)【要約】
フルオロポリマーと環状オレフィンコポリマー(COC)との安定したアロイを形成できる相溶化剤が開示されている。上記アロイは、高周波エレクトロニクス等の多くの目的に有用である。上記相溶化剤及び上記アロイを作製する方法も提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相溶化剤を作製するための反応混合物であって、
(a)第1の官能性フルオロポリマー;
(b)第1の環状オレフィンコポリマー;
(c)第1の反応性モノマー;及び
(d)第2の反応性モノマー、
を含む反応混合物。
【請求項2】
前記環状オレフィンコポリマーは官能基を有する、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項3】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項4】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項5】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項6】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、無水物を、過酸化物で触媒した環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項7】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を、過酸化物で触媒した環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項8】
無水物による前記第1の環状オレフィンコポリマーの官能基化を触媒できる過酸化物触媒を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項9】
過酸化物触媒を含み、前記第1の環状オレフィンコポリマーは官能性環状オレフィンコポリマーではない、請求項1~8のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項10】
前記第1のモノマーはジアミンである、請求項1~9のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項11】
前記第1のモノマーはジアニリンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項12】
前記第2のモノマーは無水物である、請求項1~11のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項13】
前記第2のモノマーはジカルボン酸無水物である、請求項1~12のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項14】
前記第2のモノマーは不飽和環状二無水物である、請求項1~13のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項15】
前記第2のモノマーはビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物である、請求項1~14のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項16】
前記第2のモノマーは約2.5~30重量%で存在している、請求項1~15のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項17】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは引張強さが≧25MPaである、請求項1~16のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項18】
前記第1の環状オレフィンコポリマーはヤング率が≧200MPaである、請求項1~17のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項19】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ弾性率が≧1000MPaである、請求項1~18のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項20】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ強さが≧50MPaである、請求項1~19のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項21】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ荷重が≧50Nである、請求項1~20のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項22】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である、請求項1~21のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項23】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは比誘電率が≧2.1である、請求項1~22のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項24】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは誘電正接が≦0.001である、請求項1~23のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項25】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは1%重量損失温度が≧350℃である、請求項1~24のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項26】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは5%重量損失温度が≧400℃である、請求項1~25のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項27】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である、請求項1~26のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項28】
前記第1のフルオロポリマーはせん断されたものである、請求項1~27のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項29】
前記第1のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとのコポリマー(VT)のうち1種以上である、請求項1~28のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項30】
前記第1のフルオロポリマーは約70~80重量%で存在し、1~99%で存在できる、請求項1~29のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項31】
前記第1のモノマーは4,4’-オキシジアニリンである、請求項1~30のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項32】
前記第1のモノマーは1~25重量%で存在している、請求項1~31のいずれか1項に記載の反応混合物。
【請求項33】
前記第2のモノマーは4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)である、請求項1の1項に記載の反応混合物。
【請求項34】
前記第2のモノマーは1~25重量%で存在している、請求項1の1項に記載の反応混合物。
【請求項35】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは、マレイン酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物;trans-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸;5-メチル-3A,4,7,7A-テトラヒドロ-イソベンゾフラン-1,3-ジオン;エンド-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;cis-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のうち1種以上を含む、請求項1の1項に記載の反応混合物。
【請求項36】
フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、少なくとも前記第1のフルオロポリマーと前記第1の環状オレフィンコポリマーとが溶融するように、請求項1~35のいずれか1項に記載の反応混合物を加熱する工程を有する方法。
【請求項37】
フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、
(a)無水物モノマーを第1の官能性フルオロポリマーと反応させてフルオロポリマー二無水物を生成する工程;及び
(b)前記フルオロポリマー二無水物を官能性環状オレフィンコポリマー及びジアミンモノマーと反応させて相溶化剤を生成する工程、
を有する方法。
【請求項38】
過酸化物触媒の存在下、無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項36及び37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
過酸化物触媒の存在下、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項36~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
請求項36~39のうちの1項に記載の方法の生成物である、反応性ポリマー相溶化剤。
【請求項41】
二無水物モノマー及びジアミンモノマーを含む少なくとも1種のヘテロダイマーの結合ポリマーに共有結合した環状オレフィンコポリマー基を含んでおり、前記結合ポリマーはフルオロポリマー基に共有結合している、反応性ポリマー相溶化剤。
【請求項42】
(a)第2のフルオロポリマー;
(b)相溶化剤;及び
(c)第2の環状オレフィンコポリマー
を含む、熱可塑性ポリマーアロイ組成物。
【請求項43】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは引張強さが≧25MPaである、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記第2の環状オレフィンコポリマーはヤング率が≧200MPaである、請求項42~43のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項45】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ弾性率が≧1000MPaである、請求項42~44のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ強さが≧50MPaである、請求項42~45のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ荷重が≧50Nである、請求項42~46のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項48】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である、請求項42~47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは比誘電率が≧2.1である、請求項42~48のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項50】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは誘電正接が≦0.001である、請求項42~49のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは1%重量損失温度が≧350℃である、請求項42~50のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは5%重量損失温度が≧400℃である、請求項42~51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である、請求項42~52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは非官能性環状オレフィンコポリマーである、請求項42~53のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項55】
前記第2のフルオロポリマーはせん断フルオロポリマーではない、請求項42~54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
前記第2のフルオロポリマーは官能基を持たない、請求項42~55のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
前記第2のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)のうち少なくとも1種を含む、請求項42~56のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
第3のフルオロポリマーを含む、請求項42~57のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項59】
パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)から選択される第3のフルオロポリマーを含む、請求項42~58のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項60】
前記相溶化剤は請求項40~41のいずれか1項に記載の相溶化剤である、請求項42~59のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項61】
前記相溶化剤は請求項40~41のいずれか1項に記載の相溶化剤であり、前記第1の環状オレフィンコポリマーは前記第2の環状オレフィンコポリマーと同じ化合物である、請求項42~60のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項62】
前記相溶化剤は請求項40~41のいずれか1項に記載の相溶化剤であり、前記第1の環状オレフィンコポリマーは前記第2の環状オレフィンコポリマーを官能基化したものである、請求項42~61のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項63】
前記相溶化剤は請求項40又は41の前記相溶化剤であり、前記第1の官能性フルオロポリマーは前記第2の官能性フルオロポリマーを官能基化したものである、請求項42~62のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項64】
1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される第2の相溶化剤を含む、請求項42~63のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項65】
1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される第2の相溶化剤を約0.1~10重量%含む、請求項42~64のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項66】
Al及びSiOの少なくとも一方を含む、請求項42~65のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項67】
1重量%損失温度が少なくとも330℃である、請求項42~66のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項68】
5重量%損失温度が少なくとも400℃である、請求項42~67のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項69】
ヤング率が約140~480MPaである、請求項42~68のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項70】
ヤング率が約225~450MPaである、請求項42~69のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項71】
引張強さが少なくとも24MPaである、請求項42~70のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項72】
引張強さが24~48MPaである、請求項42~71のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項73】
伸びが約20%未満である、請求項42~72のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項74】
伸びが前記第2の環状オレフィンコポリマーの伸びとほぼ同程度でしかない、請求項42~73のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項75】
曲げ弾性率が少なくとも500MPaである、請求項42~74のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項76】
曲げ弾性率が200~900MPaである、請求項42~75のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項77】
曲げ強さが少なくとも20MPaである、請求項42~76のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項78】
曲げ荷重が少なくとも40Nである、請求項42~77のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項79】
熱膨張率が約200μm/(m℃)未満である、請求項42~78のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項80】
熱膨張率が約100μm/(m℃)未満である、請求項42~79のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項81】
比誘電率が2.1より大きい、請求項42~80のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項82】
誘電正接が0.001未満である、請求項42~81のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項83】
フルオロポリマーと環状オレフィンコポリマーとのアロイを形成する方法であって、
少なくとも前記第1のフルオロポリマーと第1の環状オレフィンコポリマーとが溶融するような温度で、第2のフルオロポリマー、相溶化剤、及び第2の環状オレフィンをブレンドする工程、
を有する方法。
【請求項84】
前記相溶化剤は、請求項40~41のいずれか1項に記載の相溶化剤である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記ブレンド工程は押出機内で実施する、請求項83~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記ブレンド工程は二軸押出機内で実施する、請求項83~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記第2のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)のうち少なくとも1種を含む、請求項83~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは引張強さが≧25MPaである、請求項83~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の環状オレフィンコポリマーはヤング率が≧200MPaである、請求項83~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ弾性率が≧1000MPaである、請求項83~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ強さが≧50MPaである、請求項83~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ荷重が≧50Nである、請求項83~91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である、請求項83~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは比誘電率が≧2.1である、請求項83~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは誘電正接が≦0.001である、請求項83~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは1%重量損失温度が≧350℃である、請求項83~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは5%重量損失温度が≧400℃である、請求項83~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である、請求項83~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される少なくとも1種の第2の相溶化剤を含ませる工程を有する、請求項83~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
フルオロポリマーと環状オレフィンとのポリマーアロイを含む、1GHz以上で無線通信できる電子物品。
【請求項101】
前記ポリマーアロイは請求項42~82のいずれか1項に記載のポリマーアロイである、請求項100に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、高周波エレクトロニクス等の用途で使用するためのフルオロポリマーアロイ組成物に関する。このようなフルオロポリマーアロイ組成物に加え、併せて使用するための相溶化剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
「通信の第5世代」(5G)に関する高周波エレクトロニクスの分野における材料が求められている。これらの材料は、情報伝達が可能であるとともに、より高周波での高速処理が可能である必要がある。低周波用途ではエポキシやポリイミド等の材料が用いられてきたが、これらの材料では、5G用途で求められる高周波域を容易に達成するための厳しい要件を克服することはできなかった。液晶ポリマー(LCP)やフルオロポリマー等の他の材料も、加工の難しさや接着性の問題があったりする。線状ポリオレフィンは電気特性に優れるが、はんだ付け等の電子回路を製造するためのプロセスに耐えることができず、200℃を超える温度条件を必要とする。
【0003】
従って、当該分野では、高周波エレクトロニクス用途で使用するのに好適な電気的性質、熱的性質、及び機械的性質を有する材料が求められている。
【発明の概要】
【0004】
以下の本発明によれば、上で説明した課題等に対応することができるものの、本明細書中で記載する本発明の全ての実施形態が、上で説明した課題のそれぞれに対応するわけではないことに留意されたい。本開示は、フルオロポリマーを環状オレフィンコポリマー(COC)とアロイ化しやすくする相溶化剤を提供する。いくつかの実施形態において、このような相溶化剤を含むアロイは電気的性質、熱的性質、及び機械的性質が良好であるため、高周波電子装置に有用である。
【0005】
第1の態様は、相溶化剤を作製するための反応混合物であって、第1の官能性フルオロポリマー;第1のCOC;第1の反応性モノマー;及び第2の反応性モノマーを含む反応混合物を提供する。
【0006】
第2の態様は、フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、少なくとも上記第1のフルオロポリマーと上記第1のCOCとが溶融するように、第1の態様における上記反応混合物を加熱する工程を有する方法を提供する。
【0007】
第3の態様は、フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、無水物モノマーを第1の官能性フルオロポリマーと反応させてフルオロポリマー二無水物を生成する工程;及び上記フルオロポリマー二無水物を官能性COC及びジアミンモノマーと反応させて相溶化剤を生成する工程を有する方法を提供する。
【0008】
第4の態様は、第2の態様に係る上記方法の生成物である反応性ポリマー相溶化剤を提供する。
【0009】
第5の態様は、第3の態様に係る上記方法の生成物である反応性ポリマー相溶化剤を提供する。
【0010】
第6の態様は、二無水物モノマー及びジアミンモノマーを含む少なくとも1種のヘテロダイマーの結合ポリマーに共有結合したCOC基を含んでおり、上記結合ポリマーはフルオロポリマー基に共有結合している反応性ポリマー相溶化剤を提供する。
【0011】
第7の態様は、第2のフルオロポリマー;相溶化剤;及び第2のCOCを含む熱可塑性ポリマーアロイ組成物を提供する。
【0012】
第8の態様は、フルオロポリマーとCOCとのアロイを形成する方法であって、少なくとも上記第1のフルオロポリマーと第1のCOCとが溶融するような温度で、第2のフルオロポリマー、相溶化剤、及び第2の環状オレフィンをブレンドする工程を有する方法を提供する。
【0013】
第9の態様は、第8の態様に係る上記方法の生成物である、フルオロポリマーとCOCとのアロイを提供する。
【0014】
第10の態様は、フルオロポリマーと環状オレフィンとのポリマーアロイを含む、1GHz以上で無線通信できる電子物品を提供する。
【0015】
上記の概要では、特許請求した主題のいくつかの態様について基本的な理解を得る目的で、単純化した概要を提示している。本概要は広範囲にわたる概略ではない。主要な要素又は重要な要素を特定したり、特許請求した主題の範囲を詳述したりすることを意図したものではない。以下で提示する、より詳細な説明への導入として、いくつかの概念を単純化した形で提示することのみを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】二無水物モノマー、芳香族ジアミン、及び末端基を有するPFAを反応配合させて、一実施形態に係る相溶化剤を生成するスキームを表す。
図2】一実施形態に係る相溶化剤を2工程で生成する別のスキームを表す。
図3図2で表したスキームの最終工程を表す。
図4図2で表したスキームの別の最終工程を表す。
図5】一実施形態に係るグラフト化COCのFTIR特性を表す。
図6図5の拡大図であって、環状無水物に由来するC=Oを表しており、二無水物が増加するとグラフトが増大することが分かる。
図7】各種の実施形態に係る組成物の引張弾性率を表すグラフである。
図8】各種の実施形態に係る組成物の引張強さを表すグラフである。
図9】各種の実施形態に係る組成物の伸びを表すグラフである。
図10】各種の実施形態に係る組成物の曲げ強さを表すグラフである。
図11】各種の実施形態に係る組成物の曲げ弾性率を表すグラフである。
図12】各種の実施形態に係る組成物の%重量損失温度を表すグラフである。
図13】各種の実施形態に係る組成物の熱膨張率を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
【0018】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される用語(技術用語及び科学用語を含む)はいずれも、本開示の分野における当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。更に、通常使用される辞書で定義されるもの等の用語は、明細書の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書中で明示的に定義されない限り、理想化された意味や過度に形式張った意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。簡潔かつ明確にするため、よく知られた機能や構成は詳述していない。
【0019】
上記の説明及び/又は後述する特許請求の範囲において「含む」「有する」(comprise、comprises、又はcomprising)という語を使用した場合、文脈上必要でない限り、これらの用語は限定的ではなく非限定的なものとして解釈すべきであり、また、各用語は、上記の説明及び/又は後述する特許請求の範囲を解釈するにあたってそのように解釈すべきであるということに基づいて、且つそういった明確な理解の上で使用されている。
【0020】
「から本質的に構成されている」という語は、特許請求の対象が、記載された要素に加えて、意図された目的について特許請求の対象の実用可能性に悪影響を与えない他の要素(工程、構造、成分、部材等)を含んでいてもよいことを意味する。意図された目的について特許請求の対象の実用可能性に悪影響を与えない他の要素をこのように追加しても、特許請求の対象の基本的且つ新規な特徴に重大な変更を及ぼすことはないと考えられる。
【0021】
「A及びBの少なくとも一方」といった語は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味するものと理解されたい。より長いリスト(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」)についても同じ解釈が適用される。
【0022】
「約」及び「およそ」という語は、一般に、測定の性質又は精度を考慮した上で、測定した数量について許容される誤差や変動の程度を意味する。典型的な誤差又は変動の程度としては、例えば、所定の数値や数値範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、更に好ましくは1%以内である。特に言及されない限り、本明細書中で与えられた数量は近似値である。すなわち、明示されていない場合は「約」又は「およそ」という語が類推される。
【0023】
本明細書中で使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。本明細書中、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明確に提示されない限り、複数形(すなわち、「少なくとも1つ」)をも包含することを意図している。
【0024】
本明細書中、「第1」及び「第2」等の語は、様々な特徴又は要素を説明するために用いられるが、これらの特徴又は要素はこれらの用語によって限定されるべきものではない。これらの用語は、ある特徴又は要素を別の特徴又は要素と区別するためだけに使用される。従って、本開示の教示から逸脱することなく、後述する第1の特徴又は要素を第2の特徴又は要素と呼ぶことができるし、同様に、後述する第2の特徴又は要素を第1の特徴又は要素と呼ぶこともできる。
【0025】
これらに限定されないが、測定方法等の標準的な方法を参照している箇所がある。このような標準は時々改定されるものであり、明示的に記載されない限り、本開示におけるこのような標準への参照は、出願時点の直近で発行された標準を参照するものと解釈されることを理解されたい。
【0026】
本発明の実施形態として開示したものにおける所定の要素は、単一の構造、単一の工程、又は単一の物質等として実現できることが理解できるであろう。同様に、実施形態として開示したものにおける所定の要素は、複数の構造、工程、又は物質等として実現できる。
【0027】
相溶化剤
【0028】
相溶化剤が開示されており、その実施形態のうちいくつかでは、フルオロポリマーとCOCとの相容ブレンドを作製するという用途が見出されている。相溶化剤は、フルオロポリマー基、COC基、第1のモノマー基、及び第2のモノマー基という4つの基本的な官能基を有している。
【0029】
上記相溶化剤を作製するための反応混合物も開示されている。上記反応混合物は、第1の官能性フルオロポリマー、第1のCOC、第1の反応性モノマー、及び第2の反応性モノマーという4つの構成要素を有している。上記反応混合物は、以下で説明する通り、更に加工することを意図したものである。加工することで構成要素が共有結合する。
【0030】
環状オレフィンコポリマー(COC)は、8,9,10-トリノルボルナ-2-エン(ノルボルネン)又は1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロ-1,4:5,8-ジメタノナフタレン(テトラシクロドデカン)等の環状モノマーとエテンとの共重合体である。他の環状炭化水素モノマーも同様に使用できる。これらのポリマーは望ましい光学特性を有しており、水分に耐性がある。また、エレクトロニクス用途に関して優れた誘電性を有している。COCは一般に誘電正接及び導電性が低い。COC樹脂をペレット状にすると、一軸及び二軸押出し、射出成形、射出ブロー成形及び延伸ブロー成形、圧縮成形、押出しコーティング、二軸延伸、並びに熱成形等の多くの標準的なポリマー加工技術に適したものとなる。COCは寸法安定性が高く、加工後にほとんど変化が見られない。
【0031】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは、マレイン酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物;trans-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸;5-メチル-3A,4,7,7A-テトラヒドロ-イソベンゾフラン-1,3-ジオン;エンド-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;cis-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のうち1種以上を含む。
【0032】
反応混合物で使用するのに好適なCOCとしては、COC TOPAS 6017s(TOPAS Advanced Polymers社、ラウンハイム、ドイツ)という商品名で販売されているものが挙げられる。COC TOPAS 6017sはエチレン-ノルボルネン共重合体(CAS 26007-43-2)である。COC TOPAS 6017sは、製造業者のテクニカルデータシートに列挙された以下の性質を有する。
【表1】
【0033】
反応混合物は、官能基化COCを含んでいても、官能基化されていないCOCを含んでいてもよい。官能基化COCは官能基を含む。官能基は1種以上の他の構成要素との反応に関与する。本明細書中、「官能基」とは、COCとの共有結合、水素結合、又はイオン結合等によって化学結合を形成できる任意の反応基を指す。好適な官能基としては、カルボキシル、アミン、無水物、ヒドロキシル、エポキシ、スルフヒドリル、シロキサン、及びオキサゾリンが挙げられる。いくつかの実施形態において、官能基化COCは、カルボキシル、アミン、無水物、ヒドロキシル、エポキシ、スルフヒドリル、シロキサン、及びオキサゾリンのうち1種以上の組み合わせを含む、複数の官能基を有していてもよい。
【0034】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第1の官能基化COCは無水物である。無水物は、アルコールと反応してエステルを形成し、アミンと反応してアミドを形成する点で有利である。官能基化COCは、二無水物であってもよい(すなわち、2つの無水物基を有していてもよい)。二無水物は、より反応性の高い官能基が得られる点で有利である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のモノマーはジカルボン酸無水物である。COC無水物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)等のフッ素化無水物であってもよい。反応のいくつかの実施形態において、無水物は不飽和環状二無水物である。具体的な一実施形態において、官能基化した第1のCOCはビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物(BCDA)とCOCとの反応生成物である。より具体的な一実施形態において、官能基化した第1のCOCはBCDAとTOPAS 6017sとの反応生成物である。別の具体的な一実施形態において、官能基化した第1のCOCはBCDAとTOPAS 6015sとの反応生成物である。
【0035】
官能基化した第1のCOCは各種の方法で調製できる。例えば、過酸化物触媒反応で触媒したCOCに無水物をグラフトしてもよい。好適な過酸化物触媒としては過酸化ジアルキルが挙げられる。いくつかの実施形態において、とりわけ官能基化されていないCOCが第1のCOC画分に含まれている場合、反応混合物は、無水物による第1のCOCの官能基化を触媒できる過酸化物触媒を含む。他の実施形態では、COCを官能基化してから反応混合物の他の成分と混合してもよい。
【0036】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のモノマーはアミンである。アミンモノマーはいくつかの利点を有しており、そのうちの1つとして、アミンが無水物と反応してアミドを形成できる点が挙げられる。別の実施形態において、第1のモノマーはジアミンであり、複数の反応性アミン基という利点を有する。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のモノマーは4,4’-オキシジアニリン等のジアニリンである。
【0037】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のモノマーは0.1~25重量%で存在している。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のモノマーは0.5~10重量%で存在している。反応混合物の別の実施形態において、第1のモノマーは0.6~5.0、0.7~4.0、0.8~3.0、0.9~2.5、1.0~2.4、1.1~2.3、1.2~2.2、1.3~2.1、1.4~2.0、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、及び2.0重量%で存在している。具体的な一実施形態において、第1のモノマーは1.45重量%で存在している。別の具体的な一実施形態において、第1のモノマーは2.0重量%で存在している。
【0038】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のモノマーは無水物である。無水物は、第2のモノマーにおいて、官能基化した第1のCOCについて上述したような利点を有しており、第1のCOCの官能基化に好適であると開示した無水物は第2のモノマーとしても好適である。具体的な一実施形態において、第2のモノマーはBCDAである。別の具体的な一実施形態において、第2のモノマーは6FDAである。別の具体的な一実施形態において、第2のモノマーはBCDA及び6FDAとして存在している。
【0039】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のモノマーは1~25重量%で存在している。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のモノマーは1.1~20、1.2~10、1.3~9、1.4~8、1.5~7、1.6~6、1.7~5、1.8~4.5、1.9~4、2.0~3.6、2.1~3.5、2.2~3.4、2.3~3.3、2.4~3.2、又は2.5~3.1重量%で存在している。反応混合物の具体的な実施形態において、第2のモノマーは2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、又は3.1重量%で存在している。
【0040】
場合により、第1及び第2のモノマーは同程度のモル比で存在していてもよい。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1及び第2のモノマーは、モル比が0.5~2.0で存在している。反応混合物の別の実施形態において、第1及び第2のモノマーはモル比が0.6~1.8、0.7~1.6、0.8~1.4、又は0.9~1.2で存在している。具体的な一実施形態において、第1及び第2のモノマーはモル比が1で存在している。反応混合物中には、第1及び第2のモノマー(場合により、同じ性質の他のモノマー)を含むモノマー画分が存在していてもよい。反応混合物のいくつかの実施形態において、モノマー画分は混合物のわずか5重量%以下を構成している。反応混合物の別の実施形態において、モノマー画分は混合物の4~5、4.1~4.9、4.2~4.8、4.3~4.7、又は4.4~4.6重量%を構成している。反応混合物の具体的な実施形態において、モノマー画分は混合物の4.5~4.6重量%を構成している。
【0041】
第1のCOCが、高周波エレクトロニクス用途に適した機械的性質及び/又は電気的性質を有していることが理想的である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは引張強さが≧25MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは引張強さが≧30、35、40、45、50、51、52、及び53MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは引張強さが54MPaである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCはヤング率が≧200MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCはヤング率が≧250、300、350、400、450、460、470、及び480MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCはヤング率が481である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは曲げ弾性率が≧1000MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは曲げ弾性率が≧1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、及び2500である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは曲げ弾性率が2530である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは曲げ強さが≧50MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは曲げ強さが≧55、60、65、70、71、72、73、74、及び75MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは曲げ強さが76MPaである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは曲げ荷重が≧50Nである。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは曲げ荷重が≧60、70、80、90、100、110、120、121、122、123、124、及び125Nである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは曲げ荷重が126Nである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である。上述した機械的性質はいずれもATSM D638規格及びASTM D790規格によって測定したものである。
【0042】
反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは熱膨張率(CTE)が≦90、80、70、60、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、及び40μm/(m℃)である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは熱膨張率が39μm/(m℃)である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは比誘電率が≧2.10である。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは比誘電率が≧2.15、2.20、2.25、2.30、2.31、2.32、及び2.33である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは比誘電率が2.335である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは誘電正接が≦0.001である。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは誘電正接が≦0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.00049、0.00048である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは誘電正接が0.00047である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは1%重量損失温度が≧350℃である。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは1%重量損失温度が≧360、370、380、390、391、392、及び393℃である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは1%重量損失温度が394℃である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは5%重量損失温度が≧400℃である。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCは5%重量損失温度が≧405、410、415、416、及び417℃である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCは5%重量損失温度が418℃である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のCOCは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である。反応混合物の別の実施形態において、第1のCOCはメルトフローレートが≦190、180、170、160、150、140、130、120、110、109、108、107、106、105、104、103、102、及び101g/(10分)である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第1のCOCはメルトフローレートが100.6g/(10分)である。メルトフローレートは、Tinius Olsen Melt Indexer MP1200M(MFR)を用いて、以下の方法に従って測定した。MFRについて言及する場合、明確に記載されていない限り、本方法で測定したMFRを意味することを前提とされたい。約5gの材料をメルトフロー装置のバレル(297℃に加熱済み)に充填する。300秒後、5kgの重りをプランジャーに加えて、溶融した材料をダイから射出する。一定時間ごとに押出物を回収及び計量する。メルトフローレート値をg/10分で算出する。CTEについて言及する場合、明確に記載されていない限り、本方法で測定したCTEを指すことを前提とされたい。
【0043】
1:フォース0.100N
【0044】
2:35.00℃で平衡化
【0045】
3:等温で5.00分間
【0046】
4:サイクル0の終わりをマーク
【0047】
5:等温で5.00分間
【0048】
6:傾斜5.00℃/分で100.00℃まで
【0049】
7:等温で3.00分間
【0050】
8:サイクル1の終わりをマーク
【0051】
9:傾斜10.00℃/分で0.00℃まで
【0052】
10:サイクル2の終わりをマーク
【0053】
11:傾斜5.00℃/分で200.00℃まで
【0054】
12:方法の完了
【0055】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のフルオロポリマーはせん断等で官能基化されたものである。せん断によりCOF基及びカルボン酸基等の反応性末端基が創出される。
【0056】
反応混合物中にある第1のフルオロポリマーは、耐熱性が良好であるか、誘電性が良好であるか、またはその両方であることが好ましい。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、テトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)、及び上記いずれかの組み合わせのうち1種以上である。
【0057】
第1のフルオロポリマーは反応混合物中に1~99重量%で存在していてもよい。第1のフルオロポリマーは、重量基準で相溶化剤組成物の大部分(少なくとも50重量%)を構成していることが好ましい。反応混合物のいくつかの実施形態において、第1のフルオロポリマーは少なくとも55、60、65、70、75、76、77、78、79、又は80重量%である。反応混合物の別の実施形態において、第1のフルオロポリマーは65~95、70~90、71~89、72~88、73~87、74~86、75~85、又は76~82重量%で存在している。具体的な実施形態において、第1のフルオロポリマーは75、76、77、78、79、80、又は81重量%で存在している。
【0058】
相溶化剤を作製する方法
【0059】
上記相溶化剤を作製する方法が開示されている。上記方法のいくつかの実施形態については、上で説明した1つ以上の実施形態に係る相溶化剤を作製するのに使用できるが、上記方法の全ての実施形態が、上記相溶化剤の実施形態それぞれを作製するのに有用でなくてもよい。上記方法の一般的な実施形態は、少なくとも第1のフルオロポリマーと第1のCOCとが溶融するように、上で説明した反応混合物(例えば、第1のフルオロポリマー、第1のCOC、第1の反応性モノマー、及び第2の反応性モノマー)を加熱する工程を有する。加熱すると固体成分が溶融して又はその粘度が低下して混合しやすくなり、第1のCOCが官能基化する場合もある。いくつかの実施形態において、反応混合物の成分は二軸押出機等の押出機内で混合し、加熱してもよい。そのような実施形態では、押出機の熱により化学反応が開始される。いくつかの実施形態では、反応混合物を315℃以上に加熱する。いくつかの実施形態では、反応混合物を330℃以上に加熱する。更に別の実施形態では、反応混合物を350℃に加熱する。図1は、本実施形態に係る相溶化剤を作製するスキームの一例を表す。図1に表す通り、相溶化剤は、押出機内における付加反応と縮合反応との組み合わせによって調製される。
【0060】
相溶化剤を作製するための別の一般的な方法は、無水物モノマーを第1の官能性フルオロポリマーと反応させてフルオロポリマー二無水物を生成する工程、及びフルオロポリマー二無水物を官能性COC及びジアミンモノマーと反応させて相溶化剤を生成する工程を有する。図2は、本実施形態に係る相溶化剤を作製するスキームの一例を表す。図2に表す通り、官能性COCは、過酸化物触媒の存在下、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物等の無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて作製できる。上述の通り、過酸化物触媒反応によって無水物をCOCにグラフトさせてもよい。好適な過酸化物触媒としては過酸化ジアルキルが挙げられる。特定の理論に拘束されるものではないが、このような付加反応により、相溶化剤の他の成分と反応できる反応性基が増加するものと考えられる。本方法の第2の工程、すなわち縮合反応では、官能性COCがフルオロポリマー二無水物及びジアミンモノマーと反応して相溶化剤を形成できる。
【0061】
相溶化剤組成物
【0062】
いくつかの実施形態では、上で説明したいずれかの方法の生成物である反応性ポリマー相溶化剤が開示されている。反応性ポリマー相溶化剤は、フルオロポリマーとCOCとの熱可塑性ポリマーアロイを生成するのに効果的である。いくつかの実施形態では、反応性ポリマー相溶化剤を1~99重量%という量で使用して熱可塑性ポリマーアロイを形成する。別の実施形態では、反応性ポリマー相溶化剤を5~30重量%という量で使用する。例えば、反応性ポリマー相溶化剤は、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5重量%という量で使用してもよい。具体的な一実施形態では、反応性ポリマー相溶化剤を10重量%という量で使用する。
【0063】
別の実施形態において、本開示は、二無水物モノマー及びジアミンモノマーを含む少なくとも1つのヘテロダイマーの結合ポリマーと共有結合したCOC基を有する反応性ポリマー相溶化剤を提供する。本実施形態において、結合ポリマーはフルオロポリマー基と共有結合している。
【0064】
具体的な一実施形態において、反応性ポリマー相溶化剤は式(I):
【化1】
(式中、m、n、x、y、及びzはそれぞれ独立に≧1の整数から選択され、各サブユニットの順番は問わない)の化合物であってもよい。
【0065】
別の具体的な一実施形態において、反応性ポリマー相溶化剤は式(II):
【化2】
(式中、m、n、x、y、及びzはそれぞれ独立に≧1の整数から選択され、各サブユニットの順番は問わない)の化合物であってもよい。
【0066】
フルオロポリマーと環状オレフィンコポリマーとのアロイ
【0067】
フルオロポリマー及びCOC両方の望ましい特性を多く有している、フルオロポリマーとCOCとの熱可塑性ポリマーアロイが開示されている。通常、これら2つの成分は相溶及び相容しないが、上で説明した相溶化剤の実施形態によれば効果的に相容できる。一般的な実施形態において、上記アロイは、第2のフルオロポリマー(相溶化剤を生成するのに用いたフルオロポリマーと同じであっても同じでなくてもよい)、第2のCOC(相溶化剤を生成するのに用いたCOCと同じであっても同じでなくてもよい)、及び相溶化剤を含む。仮想的モデルに拘束されることを望むものではないが、第2のフルオロポリマー及び第2のCOCは、アロイの生成時に化学的には変化しないと考えられる。
【0068】
第2のCOCが、高周波エレクトロニクス用途に適した機械的性質及び/又は電気的性質を有していることが理想的である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは引張強さが≧25MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは引張強さが≧30、35、40、45、50、51、52、及び53MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは引張強さが54MPaである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCはヤング率が≧200MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCはヤング率が≧250、300、350、400、450、460、470、及び480MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCはヤング率が481である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が≧1000MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が≧1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、及び2500である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が2530である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが≧50MPaである。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが≧55、60、65、70、71、72、73、74、及び75MPaである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが76MPaである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が≧50Nである。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が≧60、70、80、90、100、110、120、121、122、123、124、及び125Nである。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が126Nである。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である。上述した機械的性質はいずれも、ATSM D638規格及びASTM D790規格によって測定したものである。
【0069】
反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が≦90、80、70、60、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、及び40μm/(m℃)である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が39μm/(m℃)である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは比誘電率が≧2.10である。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは比誘電率が≧2.15、2.20、2.25、2.30、2.31、2.32、及び2.33である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは比誘電率が2.335である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは誘電正接が≦0.001である。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは誘電正接が≦0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.00049、0.00048である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは誘電正接が0.00047である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が≧350℃である。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が≧360、370、380、390、391、392、及び393℃である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が394℃である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が≧400℃である。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が≧405、410、415、416、及び417℃である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が418℃である。反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは、297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である。反応混合物の別の実施形態において、第2のCOCはメルトフローレートが≦190、180、170、160、150、140、130、120、110、109、108、107、106、105、104、103、102、及び101g/(10分)である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCはメルトフローレートが100.6g/(10分)である。メルトフローレートは、上で記載した方法に従って測定した。
【0070】
アロイのいくつかの実施形態において、第2のCOCは非官能性COCである。アロイ化プロセス中に第2のCOCが他の成分と化学的に反応しないようなアロイの実施形態では、官能基は必ずしも必要ではない。アロイのいくつかの実施形態において、第2のCOCは第1のCOCと同じであるか、第2のCOCは第1のCOCより官能性を低くしたものである。第1のCOCより官能性を低くしたものは、官能基数が少ないか官能基を持たない。
【0071】
反応混合物のいくつかの実施形態において、第2のCOCは、マレイン酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物;trans-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸;5-メチル-3A,4,7,7A-テトラヒドロ-イソベンゾフラン-1,3-ジオン;エンド-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;cis-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のうち1種以上を含む。アロイの具体的な一実施形態において、第2のCOCはTOPAS 6017s(TOPAS Advanced Polymers社、ラウンハイム、ドイツ)である。
【0072】
アロイのいくつかの実施形態において、第2のフルオロポリマーはせん断フルオロポリマーではない。アロイのいくつかの実施形態において、第2のフルオロポリマーは官能基を持たない。
【0073】
アロイのいくつかの実施形態において、第2のフルオロポリマーは、PFA、FEP、PTFE、ETFE、PVDF、EFEP、ECTFE、PCTFE、THV、及びVTのうち少なくとも1種を含む。上記のうち2つ以上の組み合わせが第2のフルオロポリマー画分に存在していてもよい。アロイの具体的な実施形態において、第2のフルオロポリマーはPFA、FEP、又はPTFEである。
【0074】
いくつかの実施形態に係るアロイは第3のフルオロポリマーを含む。アロイのいくつかの実施形態において、第3のフルオロポリマーは、第2のフルオロポリマーとして好適であると本明細書中で教示したフルオロポリマーであってもよい。
【0075】
アロイのいくつかの実施形態において、相溶化剤は上で説明した相溶化剤のいずれかである。
【0076】
アロイのいくつかの実施形態において、第1の官能性フルオロポリマーは第2の官能性フルオロポリマーを官能基化したものである。いくつかのこのような実施形態において、第1の官能性フルオロポリマーは、第2のフルオロポリマーを事前にせん断して官能基を創出したものであってもよい。
【0077】
別の相溶化剤をアロイに添加してもよい。ビス(オキサゾリン)相溶化剤は、第2の相溶化剤として好適な群の一例である。いくつかの実施形態におけるアロイは、1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される第2の相溶化剤を含む。いくつかの実施形態におけるアロイは第2の相溶化剤を約0.1~10重量%含む。別の実施形態におけるアロイは第2の相溶化剤を0.2~9、0.3~8、0.4~7、0.5~6、0.6~5、0.7~4、0.8~3、及び0.9~2重量%含む。具体的な一実施形態におけるアロイは第2の相溶化剤を1重量%含む。
【0078】
いくつかの実施形態におけるアロイは、アロイの電気的性質を調整する目的で、誘電正接が低いフィラーを含む。好適なフィラーとしてはAl及びSiOが挙げられる。アロイのいくつかの実施形態において、フィラーの量は0.1~40重量%である。アロイの別の実施形態において、フィラーは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40重量%で存在している。
【0079】
アロイが、高周波エレクトロニクス用途に適した機械的性質及び/又は電気的性質を有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは1重量%損失温度が少なくとも300℃である。別の実施形態におけるアロイは、1重量%損失温度が少なくとも310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、及び410℃である。別の実施形態におけるアロイは1重量%損失温度が330~420℃である。いくつかの実施形態におけるアロイは5重量%損失温度が少なくとも390℃である。別の実施形態におけるアロイは、5重量%損失温度が少なくとも400、410、420、430、440、441、442、443、444、445、446、及び447℃である。別の実施形態におけるアロイは5重量%損失温度が405~450℃である。所定温度におけるパーセント損失は、TA Instruments社製の熱重量測定装置Q500(TA Instruments社、ニューカッスル、デラウェア)を用いて以下の方法で測定した。所定温度におけるパーセント損失に言及する場合、明確に記載されていない限り、本方法で測定したものを意味することを前提とされたい。
【0080】
1:40.00℃で平衡化
【0081】
2:傾斜10.00℃/分で800.00℃まで
【0082】
3:サイクル1の終わりをマーク
【0083】
4:方法の完了
【0084】
アロイが、高周波エレクトロニクス用途での負荷による変形に十分耐えられることが理想的である。いくつかの実施形態において、アロイはヤング率が≧140MPaである。別の実施形態において、アロイはヤング率が≧225、250、260、280、300、350、400、410、420、430、450、470、475、及び480である。例えば、いくつかの実施形態において、アロイはヤング率が140~480MPaである。別の実施形態において、アロイはヤング率が225~450MPaである。別の実施形態において、アロイはヤング率が410~472である。具体的な一実施形態において、アロイはヤング率が410MPaである。別の具体的な一実施形態において、アロイはヤング率が430MPaである。更に別の具体的な実施形態において、アロイはヤング率が472MPaである。アロイが、高周波エレクトロニクス用途で良好に作用できるような高い引張強さを有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは引張強さが少なくとも24MPaである。別の実施形態において、アロイは引張強さが≧25、30、35、38、40、45、48、50、52、及び54MPaである。例えば、いくつかの実施形態において、アロイは引張強さが24~50MPaである。別の実施形態において、アロイは引張強さが24~48MPaである。具体的な一実施形態において、アロイは引張強さが41MPaである。別の具体的な一実施形態において、アロイは引張強さが48MPaである。アロイが、高周波エレクトロニクス用途で良好に作用できるような伸び耐性を有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは伸びが20%未満である。別の実施形態において、アロイは伸びが19%、18%、17%、及び16%以下である。例えば、アロイは伸びが18.5%であってもよい。別の具体的な一実施形態において、アロイは伸びが17.2%であってもよい。更に別の実施形態において、アロイの伸びは第2のCOCの伸びと同程度でしかない。
【0085】
アロイが、高周波エレクトロニクス用途で良好に作用できるような曲げ耐性を有していることが理想的である。いくつかの実施形態において、アロイは曲げ弾性率が少なくとも500MPaである。別の実施形態において、アロイは曲げ弾性率が少なくとも1000MPaである。更に別の実施形態において、アロイは曲げ弾性率が少なくとも1500MPaである。例えば、いくつかの実施形態において、アロイは曲げ弾性率が少なくとも500、700、900、1000、1100、1500、1800、1900、及び2000MPaである。具体的な一実施形態において、アロイは曲げ弾性率が1823MPaである。いくつかの実施形態において、アロイは曲げ強さが少なくとも20MPaである。別の実施形態において、アロイは曲げ強さが少なくとも30、35、40、45、50、及び55MPaである。具体的な一実施形態において、アロイは曲げ強さが34MPaである。別の具体的な一実施形態において、アロイは曲げ強さが50MPaである。いくつかの実施形態において、アロイは曲げ荷重が少なくとも40Nである。別の実施形態において、アロイは曲げ荷重が少なくとも55、60、65、70、75、80、85、及び90Nである。具体的な一実施形態において、アロイは曲げ荷重が58Nである。別の具体的な一実施形態において、アロイは曲げ荷重が84Nである。上述した機械的性質は、ATSM D638規格及びASTM D790規格によって測定したものである。
【0086】
アロイが、高周波エレクトロニクス用途で良好に作用できるような熱膨張耐性を有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは熱膨張率が200μm/(m℃)未満である。別の実施形態において、アロイは熱膨張率が225μm/(m℃)未満である。例えば、いくつかの実施形態において、アロイは熱膨張率が220、175、150、125、100、90、80、75、70、65、60、及び55μm/(m℃)未満である。具体的な一実施形態において、アロイは熱膨張率が66μm/(m℃)である。別の具体的な一実施形態において、アロイは熱膨張率が74μm/(m℃)である。いくつかの実施形態におけるアロイは、熱膨張率が第2のフルオロポリマーの熱膨張率より低い。
【0087】
アロイが、高周波エレクトロニクス用途に適した比誘電率を有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは比誘電率が2.1より大きい。別の実施形態において、アロイは比誘電率が2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.0、2.1、2.2、2.25、及び2.3より大きい。具体的な実施形態において、アロイは比誘電率が2.17である。別の具体的な一実施形態において、アロイは比誘電率が2.3である。アロイが、高周波エレクトロニクス用途に適した誘電正接を有していることが理想的である。いくつかの実施形態におけるアロイは、誘電正接が0.001未満である。別の実施形態において、アロイは誘電正接が0.0009未満である。更に別の実施形態において、アロイは誘電正接が0.0008未満である。更に別の実施形態において、アロイは誘電正接が0.0007未満である。アロイのいくつかの実施形態において、アロイの誘電正接は純粋な第2のフルオロポリマーより低い。各サンプルについて、サンプルの厚さは、デジタルノギスを用いて4~5点で測定し平均したものである。次いで、サンプルをキャビティに挿入した。Keysight P9374A PNA及びNIST SplitCソフトウェアを用いて測定した。サンプルに欠陥がある場合、最も良好な領域を用いてキャビティ開口部を覆った。比誘電率及び誘電損失は16GHzで測定した。比誘電率及び誘電損失の値に言及した場合、明確に記載されていない限り、本方法で得られた値を指す。
【0088】
アロイの作製方法
【0089】
フルオロポリマーとCOCとのアロイを形成する方法が開示されている。本方法のいくつかの実施形態については、上で開示したいくつかの実施形態に係るアロイを生成するのに使用できることが見出されたが、上記方法の全ての実施形態が、上記アロイの実施形態それぞれを生成するのに有用でなくてもよい。一般的な実施形態における上記方法は、第2のフルオロポリマー、相溶化剤、及び第2の環状オレフィンを、少なくとも第2のフルオロポリマーと第2のCOCとが溶融するような温度でブレンドする工程を有する。フルオロポリマー及びCOCが溶融したら、相溶化剤(上で説明したもの等)の存在下でアロイ化できる。反応性相溶化剤を用いて、2つの異なるポリマー、すなわちフルオロポリマー及びCOC間の界面張力を低減させ、相溶性ブレンドを形成できる。図3及び図4は、本実施形態に係るアロイを形成するスキームの例を表す。図3及び図4に表す通り、相溶化剤の存在下、第2の相溶化剤、第2のフルオロポリマー、及び第2のCOCをブレンドすることで、フルオロポリマーとCOCとのアロイを形成する。
【0090】
本方法のいくつかの実施形態において、ブレンド工程は二軸押出機等の押出機内で実施する。別の実施形態において、ブレンド工程は315℃以上で実施する。更に別の実施形態において、ブレンド工程は330℃以上で実施する。更に別の実施形態において、ブレンド工程は350℃で実施する。
【0091】
アロイを形成する方法のいくつかの実施形態において、第2のフルオロポリマーは、上述したセクションで説明したもののいずれかであってもよい。例えば、本方法のいくつかの実施形態において、第2のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー、(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)のうち少なくとも1種を含む。図3及び図4に示したもの等の具体的な実施形態において、第2のフルオロポリマーはPFAである。別の具体的な一実施形態において、第2のフルオロポリマーはFEPである。更に別の具体的な実施形態において、第2のフルオロポリマーはPTFEである。
【0092】
COCが、高周波エレクトロニクス用途で使用するのに適した機械的性質を有していることが理想的である。アロイを形成する方法のいくつかの実施形態において、第2のCOCは、上述したセクションで説明したもののいずれかであってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、第2のCOCは、マレイン酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物;trans-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸;5-メチル-3A,4,7,7A-テトラヒドロ-イソベンゾフラン-1,3-ジオン;エンド-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;cis-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のうち1種以上を含む。具体的な一実施形態において、第2のCOCはTOPAS 6017s(TOPAS Advanced Polymers社、ラウンハイム、ドイツ)である。
【0093】
いくつかの実施形態において、第2のCOCは引張強さが≧25MPaである。別の実施形態において、第2のCOCは引張強さが≧30、35、40、45、50、51、52、及び53MPaである。具体的な一実施形態において、第2のCOCは引張強さが54MPaである。いくつかの実施形態において、第2のCOCはヤング率が≧200MPaである。別の実施形態において、第2のCOCはヤング率が≧250、300、350、400、450、460、470、及び480MPaである。具体的な一実施形態において、第2のCOCはヤング率が481である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が≧1000MPaである。別の実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が≧1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、及び2500である。具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ弾性率が2530である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが≧50MPaである。別の実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが≧55、60、65、70、71、72、73、74、及び75MPaである。具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ強さが76MPaである。いくつかの実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が≧50Nである。別の実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が≧60、70、80、90、100、110、120、121、122、123、124、及び125Nである。具体的な一実施形態において、第2のCOCは曲げ荷重が126Nである。いくつかの実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である。別の実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が≦90、80、70、60、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、及び40μm/(m℃)である。具体的な一実施形態において、第2のCOCは熱膨張率が39μm/(m℃)である。上述した機械的性質はいずれも、ATSM D638及びASTM D790規格によって測定したものである。
【0094】
上記方法のいくつかの実施形態において、第2のCOCは比誘電率が≧2.10である。別の実施形態において、第2のCOCは比誘電率が≧2.15、2.20、2.25、2.30、2.31、2.32、及び2.33である。具体的な一実施形態において、第2のCOCは比誘電率が2.335である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは誘電正接が≦0.001である。別の実施形態において、第2のCOCは誘電正接が≦0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.00049、及び0.00048である。具体的な一実施形態において、第2のCOCは誘電正接が0.00047である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が≧350℃である。別の実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が≧360、370、380、390、391、392、及び393℃である。反応混合物の具体的な一実施形態において、第2のCOCは1%重量損失温度が394℃である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が≧400℃である。別の実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が≧405、410、415、416、及び417℃である。具体的な一実施形態において、第2のCOCは5%重量損失温度が418℃である。いくつかの実施形態において、第2のCOCは、297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である。別の実施形態において、第2のCOCはメルトフローレートが≦190、180、170、160、150、140、130、120、110、109、108、107、106、105、104、103、102、及び101g/(10分)である。具体的な一実施形態において、第2のCOCはメルトフローレートが100.6g/(10分)である。メルトフローレートは、上で説明した方法で算出した。
【0095】
アロイを形成する方法のいくつかの実施形態では、第2の相溶化剤を使用する。例えば、第2の相溶化剤は1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン又は1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンであってもよい。図3及び図4に示したもの等の具体的な実施形態において、第2の相溶化剤は1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンである。
【0096】
製造品
【0097】
本明細書中で記載したポリマーアロイの各種実施形態を用いて、多くの種類の製造品を作製できる。いくつかの実施形態では、本明細書中で開示したポリマーアロイのいずれかを含む、1GHz以上で無線通信できる電子物品を提供する。例えば、電子物品は、通信の第5世代(5G)に関する高周波エレクトロニクスでの使用に好適なものであってもよい。別の実施形態において、本明細書中で記載したポリマーアロイを用いて作製できる製造品としては、通信ケーブル用絶縁体等の絶縁材;プリント回路基板;同軸ケーブル、ダウンホールケーブル用のワイヤ/ケーブル、及び自動車用ツイストぺア高速ケーブル等のケーブル;配線;アンテナ;電気絶縁、医療機器、電子、医療、及び産業パッケージ用のテープラップ等のコネクタ及びテープが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例
【0098】
実施例1:グラフト無しCOC/PFA相溶化剤を用いたアロイ
【0099】
COC/PFA相溶化コポリマーを形成するため、せん断したフッ素化PFA、ビシクル[2.2.1]へプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物、4,4’-オキシジアニリン、及び反応グレードの環状オレフィンコポリマーを全て1つのバッグに入れて均一に混合した。反応性ポリマー相溶化剤(RPC)中で使用した各化学成分の量を表2に表す。使用したモノマーはモル当量1:1で添加し、処方に対して合計5重量%未満とした。サンプルを十分に混合したら、混合物を6kg/時で二軸押出機(Leistritz ZSE 18HP)に供給した。ゾーン1~8を315℃から350℃に加熱した。スクリュー速度は250RPMの一定に保持した。反応押出し工程は、図1に見られるような付加反応と縮合反応との組み合わせとした。
【表2】
【0100】
COC/FP RPCブレンドを生成した後、二軸押出機中でRPCをCOC TOPAS 6017s、PFA又はFEP、及び1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンとブレンドした。2つのサンプル中で使用した各成分の量を以下の表3に表す。サンプル混合物を6~6.5kg/時で二軸押出機に供給した。ゾーン1~8を315~350℃に加熱し、スクリュー速度をPFA系サンプルの場合は250RPM、FEP系サンプルの場合は300RPMの一定で保持した。初期COC/FPブレンドの反応が完了したことが図2から分かる。
【表3】
【0101】
42052B及び42052Cの機械的性質及び熱的性質(上記表3の通り)を試験し、純粋なPFA及びCOC TOPAS 6017sと比較した。TA Instruments社製の熱重量測定装置で、PFA、COC TOPAS 6017s、42042B、及び42052Cのサンプルに対して初期熱安定性試験を完了させた。分解温度を測定し、表4に記録した。TGAから、42052Bサンプルは熱的に安定せず、射出成形できないものとした。全てのサンプルについて、以下の方法:(1)45℃で平衡化、(2)傾斜10℃/分で800℃まで、及び(3)サイクルの終わりをマーク、で測定した。
【表4】
【0102】
サンプルを住友社製SE750DU射出成形機に自重供給した。回転スクリューを600°F~680°Fに加熱した。PFA、COC TOPAS 6017s、及び42052Cを、ASTM D638のV型引張バー、ASTM D790の曲げバー、及び6×6cmプレートに成形した。各成形部品を用いて、機械的性質、動的機械分析、熱機械分析、及び電気的性質を含む各特性を得た。
【0103】
ASTM D638規格及びASTM D790規格に従い、Instron 5582万能試験機上で引張特性及び曲げ特性を完了させた。10kNロードセルを使用して、引張バーを10mm/分の速度で破断するまで引っ張った。BlueHill2プログラムを用いて、ヤング率、引張強さ、及び伸びを算出した。曲げバーを用いて3点曲げ試験を実施した。試験では、1kNロードセルを用いて、50mm離したローラー上にサンプルを配置した。曲げロッドを用いて、1.35mm/分の速度で負荷を与えた。BlueHill2プログラムを用いて、曲げ弾性率、最大曲げ強さ、及び最大曲げ荷重を算出した。機械的性質から、42052Cの相溶化サンプルは、環状オレフィンコポリマーの85%を超えて性質を保持できることが分かった。42052Cサンプルは、純粋なPFAと比較して性質が3倍に増加している。これらの試験結果を表5に表す。
【表5】
【0104】
サンプルに対し、TA Instruments社製TMA Q400を用いて熱膨張率(CTE)を算出する試験を実施した。サンプルは6×6cm射出成形プレートから切り出した。CTEは10℃~140/150℃の温度範囲で測定した。CTEは、温度変化中のサンプル高さの差から算出した。3つのサンプル及び純粋な樹脂について、CTEを表6に記録した。フルオロポリマーは高温で収縮率及び膨張率が大きいことが知られている。42052Cサンプル及び42134Aサンプルは、測定温度範囲において純粋なPFA及びFEPよりもCTEが低いことが分かった。しかしながら、フルオロポリマーを多く含むサンプルである42134Bサンプルは、フルオロポリマー濃度が高いことから、依然として非常に高いCTEを示した。全てのサンプルについて、以下の方法:(1)フォース0.100N、(2)35.00℃で平衡化、(3)等温で5.00分間、(4)サイクル0の終わりをマーク、(5)等温で5.00分間、(6)傾斜5.00℃/分で100.00℃まで、(7)等温で3.00分間、(8)サイクル1の終わりをマーク、(9)傾斜10.00℃/分で0.00℃まで、(10)サイクル2の終わりをマーク、(11)傾斜5.00℃/分で175.00℃まで、及び(12)方法の完了、で測定した。
【表6】
【0105】
誘電特性は、Keysight P9374A PNAを用いて6×6cm射出成形プレートにて測定した。データはNIST SplitCソフトウェアを用いて分析した。比誘電率及び誘電正接は17GHzで記録し、これらを表7に表す。42052Cサンプルは、比誘電率が純粋なPFAよりわずかに高いが純粋なCOCよりは低く、誘電正接が0.001未満で、純粋なフルオロポリマーより優れている。
【表7】
【0106】
実施例2:グラフト化官能基を有するCOC/PFA相溶化剤を用いたアロイ
【0107】
第2の手法では、高温安定過酸化ジアルキルを用いて二無水物を環状オレフィンコポリマーにグラフトした。本工程により、COCとPFAとのコポリマーを創出できる反応性基が増加すると考えられる。グラフト化は、反応押出しプロセスに投入する二無水物(ビシクル[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;「BCDA」)の量を増やして制御した。これらの組成を表8に示す。材料はプラスチックバッグ内でひとまとめにし、手動で混合した。押出しプロファイルを表9に示す。サンプルは、スクリュー速度300RPM、4.5kg/時の割合でTSEに供給した。COCのグラフト化は付加反応である。
【表8】
【表9】
【0108】
グラフト密度はFTIRによる特徴付けで決定した。各サンプルのペレットを、加熱済みCarverプレスを用いて昇温下でプレスし、平坦なサンプル領域を生成した。Universal ATR Sampling Accessoryを使用し、Perkin Elmer社製Spectrum 100 FT-IR分光光度計で各サンプルを特徴付けた。各サンプルの透過プロットを図5に表す。FTIRスペクトルから環状無水物に対応する新たなバンドが形成されたことが分かり、1853cm-1及び1775cm-1で明瞭に確認できる。一般的に、図6に見られる通り、環状無水物の濃度が上昇するほどピークがより顕著になる。
【0109】
適切にグラフトされたことを確認したら、グラフト化COCを用いて次世代RPCを創出した。3種のRPCの組成を表10に表す。本反応は縮合反応であり、図3に表したものである。材料をプラスチックバッグ内で混合し、スクリュー速度300RPM、6.5kg/時の割合でTSEに供給した。RPCが適切に押し出されたら、ペレットを100℃のオーブンで一晩乾燥させた。最終COC/FPブレンドの組成を表11に表す。材料をプラスチックバッグ内で混合し、スクリュー速度300RPM、6.5kg/時の割合でTSEに供給した。TSEに対するRPC押出し及びCOC/FPブレンド押出し両方の温度プロファイルを表12に示す。最終ブレンドの化学構造を図4に表す。
【表10】
【表11】
【表12】
【0110】
適切に配合されたら、熱重量分析で各COC/FPブレンドの熱安定性を試験した。1重量%及び5重量%での分解温度を測定したものを表13に示す。全体として、1%重量損失温度が概してより低いPFA系サンプルよりも、FEP系サンプルの方が熱的に安定していることが分かる。COCのグラフト密度が大きいと、ブレンドの分解温度に直接与える影響が大きい。グラフト密度が1%であるCOCを含む42130Aサンプルは、1重量%損失が414℃、5重量%損失が448℃である。42130Cブレンド及び42130Eブレンドについて、グラフト密度が3%及び5%に上昇すると、1重量%損失温度は374℃及び379℃に、5重量%損失温度は432℃及び428℃にそれぞれ低下する。また、42134CサンプルのようにPTFEを含んでいると、1%重量損失温度及び5%重量損失温度が20℃低下した。全てのサンプルについて、以下の方法:(1)45℃で平衡化、(2)傾斜10℃/分で800℃まで、及び(3)サイクルの終わりをマーク、で測定した。
【表13】
【0111】
サンプルを住友社製SE750DU射出成形機に自重供給した。回転スクリューを600°F~680°Fに加熱した。PFA、COC TOPAS 6017s、及びCOC/FPブレンドを、ASTM D638のV型引張バー、ASTM D790の曲げバー、及び6×6cmプレートに成形した。各成形部品を用いて、機械的性質、動的機械分析、熱機械分析、及び電気的性質を含む各特性を得た。
【0112】
ASTM D638規格及びASTM D790規格に従い、Instron 5582万能試験機上で引張特性及び曲げ特性を完了させた。10kNロードセルを使用して、引張バーを10mm/分の速度で破断するまで引っ張った。BlueHill2プログラムを用いて、ヤング率、引張強さ、及び伸びを算出した。曲げバーを用いて3点曲げ試験を実施した。試験では、1kNロードセルを用いて、50mm離したローラー上にサンプルを配置した。曲げロッドを用いて、1.35mm/分の速度で負荷を与えた。BlueHill2プログラムを用いて、曲げ弾性率、最大曲げ強さ、及び最大曲げ荷重を算出した。COC/FPブレンドの機械的性質を表14に記録する。COCが大半を占めるサンプルでは、弾性率、引張強さ、及び伸びが向上するなど、COCの性質を呈していた。フルオロポリマーが大半を占めるブレンドはヤング率又は弾性率に2倍もの上昇が見られ、FEP又はPFAと比較してコポリマーがより硬くなる。PTFEを含んでいると、引張強さがCOC/FEPブレンドの場合は7MPa、COC/PFAブレンドの場合は10.5MPa低下する。そのため、高難燃性が求められる用途にPTFEフィラーを用いた場合、ポリマーの配列がばらばらになり、COCとFPとの相互作用が低下し、ブレンド内での応力点として作用して材料を弱めると考えらえる。
【表14】
【0113】
サンプルに対し、TA Instruments社製TMA Q400を用いて熱膨張率(CTE)を算出する試験を実施した。サンプルは6×6cm射出成形プレートから切り出した。CTEは10℃~140/150℃の温度範囲で測定した。CTEは、温度変化中のサンプル高さの差から算出した。10個のサンプル及び純粋な樹脂について、CTEを表15に記録した。フルオロポリマーに関係なくCOCを多く含むサンプルは、CTEが100(μm/m*℃)を下回る。フルオロポリマーを多く含むサンプルは、CTEが非常に高い。PTFEを添加しても、ブレンドのCTEに与える影響は均一でなかった。PTFEをCOC/FEPブレンドに投入した場合はCTEが8(μm/m*℃)低下したが、COC/PFAブレンドに投入した場合はCTEが20(μm/m*℃)ほど上昇した。全てのサンプルについて、以下の方法:(1)フォース0.100n、(2)35.00℃で平衡化、(3)等温で5.00分間、(4)サイクル0の終わりをマーク、(5)等温で5.00分間、(6)傾斜5.00℃/分で100.00℃まで、(7)等温で3.00分間、(8)サイクル1の終わりをマーク、(9)傾斜10.00℃/分で0.00℃まで、(10)サイクル2の終わりをマーク、(11)傾斜5.00℃/分で175.00℃まで、及び(12)方法の完了、で測定した。
【表15】
【0114】
選択したFEPブレンドのメルトフローレート(MFR)をASTM D1238に従って測定した。選択したブレンドのMFRは、297℃、滞留時間(dwell time)5分、5kg重で測定した。測定したMFRを以下の表に示す。COCが大半を占めるCOC/FEPブレンドの場合、RPC中のCOCが有するグラフト密度に応じてMFRが上昇する。グラフト密度は、フルオロポリマーを多く含むブレンドに対しては同じような影響を与えない。PTFEをCOC/FEPブレンドに投入すると、MFRが30g/10分低下した。
【表16】
【0115】
誘電特性は、Keysight P9374A PNAを用いて6×6cm射出成形プレートにて測定した。データはNIST SplitCソフトウェアを用いて分析した。比誘電率及び誘電正接は17GHzで記録し、これらを表17に表す。COCが大半を占めるサンプルは、純粋なCOCに近いところまで比誘電率が上昇している。しかしながら、フルオロポリマーを多く含むサンプルは、比誘電率が約2.1まで低下している。COCを添加した場合、1種類のブレンドを除いていずれも測定値が0.001を下回っており、フルオロポリマーと比較して向上しているので、誘電正接に対してよい影響が見られた。PTFEを添加しても誘電正接に悪い影響は与えないが、比誘電率についてはCOC/FEPブレンドで2.301から2.295に、COC/PFAブレンドで2.304から2.295に低減しており、確かな改善が見られる。
【表17】
【表18】
【0116】
結論
【0117】
本発明の実施形態として開示したものにおける所定の要素は、単一の構造、単一の工程、又は単一の物質等として実施できることが理解できるであろう。同様に、実施形態として開示したものにおける所定の要素は、複数の構造、工程、又は物質等として実施できる。上記の説明及び添付の図面により、ある種の方法、機械、製品、及び組成物を図示及び説明しており、そのうちのいくつかによって本発明が実現されている。これらの説明又は図示は、特許請求できる対象の範囲を限定することを意図したものではなく、特許請求の範囲の理解を助けるものとして提供するものであり、特許請求の対象の実施及び使用を可能とし、本発明の使用の最良形態を教示するためのものである。本明細書及び添付の図面が、ある1つ又は複数の実施形態のみを開示していると解釈される場合も、特許請求できる対象を当該1つ又は複数の実施形態に限定するものと解釈するべきではない。本明細書中で記載した発明の実施例又は実施形態は、特許請求の対象が当該実施例又は実施形態と同一でなくてはならないと示すことを意図したものではない。本発明又はその実施形態が1つ以上の目的を達成すると記載されている場合、特許請求できる対象を、それらの目的全てを達成できる変形例に限定することを意図したものではない。本明細書中において従来技術を批評する記載はいずれも、特許請求の対象が当該従来技術の各態様を除外するよう限定することを意図したものではない。加えて、本開示では、開示した方法、装置、製造、組成物、及びその他の教示についてある種の実施形態を提示及び説明しているが、本開示の教示は、他の様々な組み合わせ、変形形態、及び環境で使用でき、且つ本明細書中に表した教示の範囲内で変更及び変形させられることが理解できるであろう。本明細書中の表題は37C.F.R.§1.77の提案と対応させること、又は組織的な待ち行列(organizational queues)を提供することを意図したにすぎない。これらの表題は、本明細書中に記載した発明を限定及び特徴付けするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-08-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相溶化剤を作製するための反応混合物であって、
(a)第1の官能性フルオロポリマー;
(b)第1の環状オレフィンコポリマー;
(c)第1の反応性モノマー;及び
(d)第2の反応性モノマー、
を含む反応混合物。
【請求項2】
前記環状オレフィンコポリマーは官能基を有する、請求項1に記載の反応混合物。
【請求項3】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項4】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項5】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項6】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、無水物を、過酸化物で触媒した環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項7】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは二無水物であって、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を、過酸化物で触媒した環状オレフィンコポリマーと反応させる工程を有するプロセスの生成物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項8】
無水物による前記第1の環状オレフィンコポリマーの官能基化を触媒できる過酸化物触媒を含む、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項9】
過酸化物触媒を含み、前記第1の環状オレフィンコポリマーは官能性環状オレフィンコポリマーではない、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項10】
前記第1のモノマーはジアミンである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項11】
前記第1のモノマーはジアニリンである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項12】
前記第2のモノマーは無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項13】
前記第2のモノマーはジカルボン酸無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項14】
前記第2のモノマーは不飽和環状二無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項15】
前記第2のモノマーはビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項16】
前記第2のモノマーは約2.5~30重量%で存在している、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項17】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは引張強さが≧25MPaである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項18】
前記第1の環状オレフィンコポリマーはヤング率が≧200MPaである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項19】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ弾性率が≧1000MPaである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項20】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ強さが≧50MPaである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項21】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは曲げ荷重が≧50Nである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項22】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項23】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは比誘電率が≧2.1である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項24】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは誘電正接が≦0.001である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項25】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは1%重量損失温度が≧350℃である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項26】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは5%重量損失温度が≧400℃である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項27】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項28】
前記第1のフルオロポリマーはせん断されたものである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項29】
前記第1のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとのコポリマー(VT)のうち1種以上である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項30】
前記第1のフルオロポリマーは約70~80重量%で存在し、1~99%で存在できる、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項31】
前記第1のモノマーは4,4’-オキシジアニリンである、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項32】
前記第1のモノマーは1~25重量%で存在している、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項33】
前記第2のモノマーは4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)である、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項34】
前記第2のモノマーは1~25重量%で存在している、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項35】
前記第1の環状オレフィンコポリマーは、マレイン酸無水物、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物;trans-1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸;5-メチル-3A,4,7,7A-テトラヒドロ-イソベンゾフラン-1,3-ジオン;エンド-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;cis-5-ノルボルネン-エンド-2,3-ジカルボン酸無水物;ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物;及び5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のうち1種以上を含む、請求項1又は2に記載の反応混合物。
【請求項36】
フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、少なくとも前記第1のフルオロポリマーと前記第1の環状オレフィンコポリマーとが溶融するように、請求項1又は2に記載の反応混合物を加熱する工程を有する方法。
【請求項37】
フルオロポリマーを環状オレフィンとアロイ化するための相溶化剤を作製する方法であって、
(a)無水物モノマーを第1の官能性フルオロポリマーと反応させてフルオロポリマー二無水物を生成する工程;及び
(b)前記フルオロポリマー二無水物を官能性環状オレフィンコポリマー及びジアミンモノマーと反応させて相溶化剤を生成する工程、
を有する方法。
【請求項38】
過酸化物触媒の存在下、無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
過酸化物触媒の存在下、無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
過酸化物触媒の存在下、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
過酸化物触媒の存在下、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を非官能性環状オレフィンポリマーと反応させて前記官能性環状オレフィンコポリマーを作り出す工程を有する、請求項37又は39に記載の方法。
【請求項42】
請求項36に記載の方法の生成物である、反応性ポリマー相溶化剤。
【請求項43】
請求項37又は39に記載の方法の生成物である、反応性ポリマー相溶化剤。
【請求項44】
二無水物モノマー及びジアミンモノマーを含む少なくとも1種のヘテロダイマーの結合ポリマーに共有結合した環状オレフィンコポリマー基を含んでおり、前記結合ポリマーはフルオロポリマー基に共有結合している、反応性ポリマー相溶化剤。
【請求項45】
(a)第2のフルオロポリマー;
(b)相溶化剤;及び
(c)第2の環状オレフィンコポリマー
を含む、熱可塑性ポリマーアロイ組成物。
【請求項46】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは引張強さが≧25MPaである、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記第2の環状オレフィンコポリマーはヤング率が≧200MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項48】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ弾性率が≧1000MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項49】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ強さが≧50MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項50】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは曲げ荷重が≧50Nである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項51】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは熱膨張率が≦100μm/(m℃)である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項52】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは比誘電率が≧2.1である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項53】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは誘電正接が≦0.001である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項54】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは1%重量損失温度が≧350℃である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項55】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは5%重量損失温度が≧400℃である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項56】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは297℃でのメルトフローレートが≦200(g/10分)である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項57】
前記第2の環状オレフィンコポリマーは非官能性環状オレフィンコポリマーである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項58】
前記第2のフルオロポリマーはせん断フルオロポリマーではない、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項59】
前記第2のフルオロポリマーは官能基を持たない、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項60】
前記第2のフルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)のうち少なくとも1種を含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項61】
第3のフルオロポリマーを含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項62】
パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンのターポリマー(EFEP)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-ビニリデンフルオリドのターポリマー(THV)、及びテトラフルオロエチレンとビニリデンフルオリドとの共重合体(VT)から選択される第3のフルオロポリマーを含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項63】
前記相溶化剤は請求項40記載の相溶化剤である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項64】
前記相溶化剤は請求項40記載の相溶化剤であり、前記第1の環状オレフィンコポリマーは前記第2の環状オレフィンコポリマーと同じ化合物である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項65】
前記相溶化剤は請求項40記載の相溶化剤であり、前記第1の環状オレフィンコポリマーは前記第2の環状オレフィンコポリマーを官能基化したものである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項66】
前記相溶化剤は請求項40に記載の前記相溶化剤であり、前記第1の官能性フルオロポリマーは前記第2の官能性フルオロポリマーを官能基化したものである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項67】
1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される第2の相溶化剤を含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項68】
1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン及び1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンから選択される第2の相溶化剤を約0.1~10重量%含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項69】
Al及びSiOの少なくとも一方を含む、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項70】
1重量%損失温度が少なくとも330℃である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項71】
5重量%損失温度が少なくとも400℃である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項72】
ヤング率が約140~480MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項73】
ヤング率が約225~450MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項74】
引張強さが少なくとも24MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項75】
引張強さが24~48MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項76】
伸びが約20%未満である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項77】
伸びが前記第2の環状オレフィンコポリマーの伸びとほぼ同程度でしかない、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項78】
曲げ弾性率が少なくとも500MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項79】
曲げ弾性率が200~900MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項80】
曲げ強さが少なくとも20MPaである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項81】
曲げ荷重が少なくとも40Nである、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項82】
熱膨張率が約200μm/(m℃)未満である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項83】
熱膨張率が約100μm/(m℃)未満である、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項84】
比誘電率が2.1より大きい、請求項45又は46に記載の組成物。
【請求項85】
誘電正接が0.001未満である、請求項45又は46に記載の組成物。
【国際調査報告】