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特表2024-545238イントロデューサ及び迅速挿入型中心静脈カテーテルのアセンブリ並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】イントロデューサ及び迅速挿入型中心静脈カテーテルのアセンブリ並びに方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20241128BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M25/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535771
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022053887
(87)【国際公開番号】W WO2023122312
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,544
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA15
4C267AA17
4C267AA28
4C267BB02
4C267CC08
4C267EE03
4C267GG02
(57)【要約】
イントロデューサアセンブリ(220,206)は、イントロデューサ(132)と、その中に配置されるアクセスガイドワイヤ(208)とを含むことができる。イントロデューサ(132)のイントロデューサニードル(134)は、ニードルシャフト(140)を含むことができ、ニードルスロット(146)は、ニードルシャフト(140)の近位部分から遠位針先(144)まで延びるニードルスロットを有する。イントロデューサ(132)のイントロデューサシース(136)は、シース本体(162)を含むことができ、該シース本体(162)は、シース本体(162)の近位部分におけるシース本体開口部(166)を除いて、その下にニードルスロット(146)を密封するニードルシャフト(140)を覆う。アクセスガイドワイヤ(208)は、イントロデューサ(132)内に配置された遠位端部分を含み、該遠位端部分は、ニードルスロット(146)の近位端部分がアクセスガイドワイヤ(208)の遠位端部分を捕らえて、ニードルシャフト(140)からのアクセスガイドワイヤ(208)の近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロット(146)の近位端部分よりも大きい外径を有する。方法は、イントロデューサアセンブリ(220,206)を用いて、迅速挿入型中心静脈カテーテル(100)を患者の血管内腔の中に挿入することを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イントロデューサアセンブリであって、
イントロデューサであって、
ニードルシャフトを含むイントロデューサニードルであって、前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで長手方向に延びるニードルスロットを有する、イントロデューサニードルと、
シース本体を含む分割可能なイントロデューサシースであって、前記シース本体は、該シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、前記シース本体の下にある前記ニードルスロットを密封する前記ニードルシャフトを覆う、イントロデューサシースと
を含むイントロデューサと、
前記イントロデューサ内に配置された遠位端部分を含むアクセスガイドワイヤと
を備え、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分は、前記ニードルスロットの近位端部分が前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分を捕らえて、前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、少なくとも前記ニードルスロットの前記近位端部分よりも大きい外径を有する、イントロデューサアセンブリ。
【請求項2】
前記アクセスガイドワイヤの近位部分は、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の外径に相当する外径を有し、前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分と前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分との間の前記アクセスガイドワイヤの中間部分は、前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の外径よりも小さい外径を有する、請求項1に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項3】
前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の近位部分は、該前記近位部分の上に硬質の管状取付具を含み、該硬質の管状取付具は、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の前記近位部分が曲がることを防止し、それにより前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分は、前記ニードルスロットの残りの部分の上で前記ニードルスロットの前記近位端部分に係合するように向けられる、請求項1又は2に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項4】
前記ニードルスロットの前記近位端部分は、前記ニードルスロットの残りの部分と同じ幅を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項5】
前記ニードルスロットの前記近位端部分は、前記ニードルスロットの残りの部分よりも狭い、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項6】
前記シース本体が前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分と干渉することによって前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、前記シース本体開口部は、前記ニードルスロットの前記残りの部分の上に実質的に延びることなく、前記ニードルスロットの前記近位端部分の上に延びている、請求項3乃至5のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項7】
前記イントロデューサシースは、前記シース本体の前記近位部分の周りに分割可能なシースハブを更に含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項8】
前記シースハブは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分と干渉することによって前記シースハブが前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、前記シース本体開口部によって露出される前記ニードルスロットの残りの部分の上に延びる、請求項7に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項9】
前記シースハブは、前記シース本体開口部によって露出される前記ニードルスロットの前記残りの部分の上にあるポートを含み、前記ポートは、前記アクセスガイドワイヤを前記ニードルスロットの近位端部分の中に排他的に向けることにより、前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように構成される、請求項7に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項10】
前記ニードルシャフトの近位端部分の周りにニードルハブを更に含む請求項1乃至9のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のイントロデューサアセンブリは、シリンジを更に含み、該シリンジは、前記シリンジの遠位部分から延びているテーパ状雄型のシリンジ先端部を含み、前記シリンジ先端部は、前記ニードルハブの近位部分にあるテーパ状雌型のニードルハブコネクタの中に挿入されるように構成される、イントロデューサアセンブリ。
【請求項12】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)挿入アセンブリであって、
RICCと、
イントロデューサであって、
ニードルシャフトを含むイントロデューサニードルであって、前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで長手方向に延びるニードルスロットを有する、イントロデューサニードルと、
シース本体を含む分割可能なイントロデューサシースであって、前記シース本体は、該シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、前記シース本体の下にある前記ニードルスロットを密封する前記ニードルシャフトを覆う、イントロデューサシースと
を含むイントロデューサと、
前記RICC内に配置された近位端部分および前記イントロデューサ内に配置された遠位端部分を含むアクセスガイドワイヤと
を備え、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分は、前記ニードルスロットの前記近位端部分が前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分を捕らえて、前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、前記ニードルスロットの少なくとも近位端部分よりも大きい外径を有する、RICC挿入アセンブリ。
【請求項13】
前記アクセスガイドワイヤの近位部分は、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の外径に相当する外径を有し、前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分と前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分との間の前記アクセスガイドワイヤの中間部分は、前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の外径よりも小さい外径を有する、請求項12に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項14】
前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の近位部分は、その上に硬質の管状取付具を含み、該管状取付具は、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分の前記近位部分が曲がることを防止し、それにより、前記アクセスガイドワイヤの遠位端部分が、前記ニードルスロットの残りの部分の上で前記ニードルスロットの前記近位端部分に係合するように向けられる、請求項12又は13に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項15】
前記ニードルスロットの前記近位端部分は、前記ニードルスロットの残りの部分と同じ幅を有する、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項16】
前記ニードルスロットの前記近位端部分は、前記ニードルスロットの残りの部分よりも狭い、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項17】
前記シース本体開口部は、前記シース本体が前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分と干渉することによって前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、前記ニードルスロットの残りの部分の上に実質的に延びることなく、前記ニードルスロットの前記近位端部分の上に延びている、請求項14乃至16のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項18】
前記シース本体の前記近位部分の周りに分割可能なシースハブを更に含む請求項12乃至17のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項19】
前記シースハブは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分と干渉することによって前記シースハブが前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、前記シース本体開口部によって露出される前記ニードルスロットの残りの部分の上に延びている、請求項18に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項20】
前記シースハブは、前記シース本体開口部によって露出される前記ニードルスロットの前記残りの部分の上に延びるポートを含み、前記ポートは、前記アクセスガイドワイヤを前記ニードルスロットの前記近位端部分の中に排他的に向けるように構成され、それによって、前記ニードルシャフトからの前記アクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止する、請求項18に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項21】
前記ニードルシャフトの近位端部分の周りにニードルハブを更に含む請求項12乃至20のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項22】
請求項21に記載のRICC挿入アセンブリは、シリンジを更に含み、前記シリンジは、該シリンジの遠位部分から延びるテーパ状雄型のシリンジ先端部を含み、前記シリンジ先端部は、前記ニードルハブの近位部分にあるテーパ状雌型のニードルハブコネクタの中に挿入されるように構成される、RICC挿入アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)は一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、その脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0002】
本明細書に開示されるのは、上記に対処するイントロデューサ及び迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly insertable central catheter)のアセンブリ並びに方法である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、いくつかの実施形態において、イントロデューサと、イントロデューサ内に配置されたアクセスガイドワイヤとを含む、イントロデューサアセンブリが開示される。イントロデューサは、イントロデューサニードルと、イントロデューサニードルを覆う分割可能なイントロデューサシースとを含む。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトを含み、該ニードルシャフトは、ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで延びる長手方向ニードルスロットを有する。イントロデューサシースは、シース本体を含み、該シース本体は、シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、その下にニードルスロットを密封するニードルシャフトを覆う。アクセスガイドワイヤは、イントロデューサ内に配置された遠位端部分を含む。アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの近位端部分がアクセスガイドワイヤの遠位端部分を捕らえて、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの少なくとも近位端部分よりも大きい外径を有する。
【0004】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤの近位部分は、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の外径に相当する外径を有する。更に、アクセスガイドワイヤの近位部分とアクセスガイドワイヤの遠位端部分との間のアクセスガイドワイヤの中間部分は、アクセスガイドワイヤの近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位端部分の外径よりも小さい外径を有する。
【0005】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分は、その上に硬質の管状取付具を含み、それによって、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分が曲がることを防止する。アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分が曲がることを防止することによって、アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの残りの部分の上でニードルスロットの近位端部分に係合するように向けられる。
【0006】
いくつかの実施形態では、ニードルスロットの近位端部分は、ニードルスロットの残りの部分と同じ幅を有する。
いくつかの実施形態では、ニードルスロットの近位端部分は、ニードルスロットの残りの部分よりも狭い。
【0007】
いくつかの実施形態では、シース本体開口部は、シース本体がアクセスガイドワイヤの遠位端部分と干渉することによってニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの残りの部分の上に実質的に延びることなく、ニードルスロットの近位端部分の上に延びる。
【0008】
いくつかの実施形態では、イントロデューサシースは、シース本体の近位部分の周りに分割可能なシースハブを更に含む。
いくつかの実施形態では、シースハブは、アクセスガイドワイヤの遠位端部分と干渉することによってシースハブがニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、シース本体開口部によって露出されるニードルスロットの残りの部分の上に延びる。
【0009】
いくつかの実施形態では、シースハブは、シース本体開口部によって露出されるニードルスロットの残りの部分の上にポートを含む。ポートは、アクセスガイドワイヤをニードルスロットの近位端部分の中に排他的に向けるように構成され、それによって、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止する。
【0010】
いくつかの実施形態では、イントロデューサニードルは、ニードルシャフトの近位端部分の周りにニードルハブを更に含む。
いくつかの実施形態では、イントロデューサアセンブリは、シリンジを更に含む。シリンジは、シリンジの遠位部分から延びているテーパ状雄型のシリンジ先端部を含む。シリンジ先端部は、ニードルハブの近位部分のテーパ状雌型のニードルハブコネクタの中に挿入されるように構成される。
【0011】
また本明細書では、いくつかの実施形態において、RICCと、イントロデューサと、RICC及びイントロデューサの両方に配置されたアクセスガイドワイヤとを含むRICC挿入アセンブリが開示される。イントロデューサは、イントロデューサニードルと、イントロデューサニードルを覆う分割可能なイントロデューサシースとを含む。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで延びる長手方向ニードルスロット有するニードルシャフトを含む。イントロデューサシースは、シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、その下にニードルスロットを密封するニードルシャフトを覆うシース本体を含む。アクセスガイドワイヤは、RICC内に配置された近位部分と、イントロデューサ内に配置された遠位端部分とを含む。アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの近位端部分がアクセスガイドワイヤの遠位端部分を捕らえて、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの少なくとも近位端部分よりも大きい外径を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤの近位部分は、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の外径に相当する外径を有する。更に、アクセスガイドワイヤの近位部分とアクセスガイドワイヤの遠位端部分との間のアクセスガイドワイヤの中間部分は、アクセスガイドワイヤの近位部分及びアクセスガイドワイヤの遠位端部分の外径よりも小さい外径を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分は、その上に硬質の管状取付具を含み、それによって、アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分が曲がることを防止する。アクセスガイドワイヤの遠位端部分の近位部分が曲がることを防止することによって、アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの残りの部分の上でニードルスロットの近位端部分に係合するように向けられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ニードルスロットの近位端部分は、ニードルスロットの残りの部分と同じ幅を有する。
いくつかの実施形態では、ニードルスロットの近位端部分は、ニードルスロットの残りの部分よりも狭い。
【0015】
いくつかの実施形態では、シース本体開口部は、シース本体がアクセスガイドワイヤの遠位端部分と干渉することによってニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの残りの部分の上に実質的に延びることなく、ニードルスロットの近位端部分の上に延びる。
【0016】
いくつかの実施形態では、イントロデューサシースは、シース本体の近位部分の周りに分割可能なシースハブを更に含む。
いくつかの実施形態では、シースハブは、シースハブがアクセスガイドワイヤの遠位端部分と干渉することによってニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、シース本体開口部によって露出されるニードルスロットの残りの部分の上に延びる。
【0017】
いくつかの実施形態では、シースハブは、シース本体開口部によって露出されるニードルスロットの残りの部分の上にポートを含む。ポートは、アクセスガイドワイヤをニードルスロットの近位端部分の中に排他的に向けるように構成され、それによって、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止する。
【0018】
いくつかの実施形態では、イントロデューサニードルは、ニードルシャフトの近位端部分の周りにニードルハブを更に含む。
いくつかの実施形態では、RICC挿入アセンブリは、シリンジを更に含む。シリンジは、シリンジの遠位部分から延びているテーパ状雄型のシリンジ先端部を含む。シリンジ先端部は、ニードルハブの近位部分のテーパ状雌型のニードルハブコネクタの中に挿入されるように構成される。
【0019】
また、本明細書では、RICCを患者の血管内腔内に挿入するための方法が開示される。本方法は、いくつかの実施形態において、挿入アセンブリ取得ステップと、穿刺経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、イントロデューサニードル引き抜きステップと、イントロデューサシース分割ステップと、RICC前進ステップとを含む。挿入アセンブリ取得ステップは、RICCと、イントロデューサと、RICC及びイントロデューサの両方に配置されたアクセスガイドワイヤとを含むRICC挿入アセンブリを、RICC挿入アセンブリの実質的に操作準備完了状態で取得することを含む。イントロデューサは、イントロデューサニードルと、イントロデューサニードルを覆う分割可能なイントロデューサシースとを含む。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで延びる長手方向ニードルスロット有するニードルシャフトを含む。イントロデューサシースは、シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、その下にニードルスロットを密封するニードルシャフトを覆うシース本体を含む。アクセスガイドワイヤは、RICC内に配置された近位部分と、イントロデューサ内に配置された遠位端部分とを含む。
【0020】
アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの近位端部分がアクセスガイドワイヤの遠位端部分を捕らえて、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの少なくとも近位端部分よりも大きい外径を有する。穿刺経路確立ステップは、イントロデューサを用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤの遠位端を、針先より近位側にあるイントロデューサ内のその初期位置から血管内腔内へ前進させることを含む。イントロデューサニードル引き抜きステップは、イントロデューサシース及びアクセスガイドワイヤの両方を血管内腔内に残したままで、イントロデューサニードルをイントロデューサシースから引き抜くことを含む。ニードルスロットは、アクセスガイドワイヤが血管内腔内に留まっている間に、イントロデューサシースからイントロデューサニードルを除去することを可能にする。イントロデューサシース分割ステップは、イントロデューサシースを分割してアクセスガイドワイヤから離して、イントロデューサシースの分割した部分を血管内腔から除去することを含む。RICC前進ステップは、RICCのカテーテルチューブをアクセスガイドワイヤ上で血管内腔内へ前進させることによって、RICCを血管内腔へ挿入することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、血液吸引ステップを更に含む。血液吸引ステップは、イントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサシースからイントロデューサニードルを引き抜く前に、穿刺経路が血管内腔内に延びていることを確認するために、イントロデューサニードルに結合されたシリンジを用いて血液を吸引することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、更に、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップを更に含む。アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブを血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、操縦ガイドワイヤ前進ステップと、追加のRICC前進ステップと、操縦ガイドワイヤ引き抜きステップとを更に含む。操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICCの一次管腔を経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。他のRICC前進ステップは、カテーテルチューブの遠位部分を、操縦ガイドワイヤ上で血管内腔内に入れて、患者の心臓の上大静脈(SVC:superior vena cava)の下部1/3に至るまでより遠くに前進させることを含む。操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブを残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0024】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に記載する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】いくつかの実施形態によるRICCを示す。
図2】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの遠位部分を示す。
図3】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の第1の横断面を示す。
図4】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の第2の横断面を示す。
図5】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の長手方向断面を示す。
図6】いくつかの実施形態による、RICCを患者に挿入するためのシリンジを含むイントロデューサアセンブリの第1の図を示す。
図7】いくつかの実施形態による、シリンジを含むイントロデューサアセンブリの第2の図を示す。
図8】いくつかの実施形態による、シリンジを含むイントロデューサアセンブリの第3の図を示す。
図9】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードル及び分割可能なイントロデューサシースを含むイントロデューサの第1の図を示す。
図10】いくつかの実施形態によるイントロデューサの第1の図を示す。
図11】いくつかの実施形態によるイントロデューサの遠位部を示す。
図12】説明の便宜上、イントロデューサシースのシースハブのないイントロデューサを示す。
図13】いくつかの実施形態による、ニードルシャフトおよびニードルハブを含むイントロデューサを示す。
図14】いくつかの実施形態による、シース本体およびシースハブを含むイントロデューサシースを示す。
図15】いくつかの実施形態による、イントロデューサアセンブリの遠位部分の長手方向断面図を示す。
図16】いくつかの実施形態による、イントロデューサアセンブリの遠位部分の詳細図を示し、イントロデューサシースは、説明の便宜上、イントロデューサニードルから取り外されている。
図17】いくつかの他の実施形態による、イントロデューサアセンブリの遠位部分の詳細図を示し、イントロデューサシースは、説明の便宜のために、イントロデューサニードルから取り外されている。
図18】さらにいくつかの他の実施形態による、イントロデューサアセンブリの遠位部分の詳細図を示し、イントロデューサシースは、説明の便宜のために、イントロデューサニードルから取り外されている。
図19図18のイントロデューサアセンブリの遠位部分の長手方向断面を示し、イントロデューサシースは、説明の便宜上、イントロデューサニードルから取り外されている。
図20】イントロデューサシースを有する図21のイントロデューサアセンブリの遠位部分の詳細図を示す。
図21】いくつかの実施形態による、アクセスガイドワイヤを覆う硬質の管状取付具を伴う、図18のイントロデューサアセンブリの遠位部分の長手方向面図を示す。
図22】いくつかの実施形態による、イントロデューサシースのシースハブがニードルシャフトのニードルスロットを部分的に遮断している、図18のイントロデューサアセンブリの遠位部分の長手方向断面図を示す。
図23】いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリを示す。
図24】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリの遠位部分の第1の図を示す。
図25】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリの遠位部分の第2の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0027】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、指示が無い限り、1つまたは複数の特徴もしくはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0028】
「近位」に関しては、例えばカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0029】
「遠位」に関しては、例えば、カテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0030】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
上述したように、セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0031】
本明細書では、上記に対処するイントロデューサと迅速挿入型中心静脈カテーテルのアセンブリ及び方法が開示される。例えば、イントロデューサアセンブリは、イントロデューサと、イントロデューサ内に配置されたアクセスガイドワイヤとを含むことができる。イントロデューサのイントロデューサニードルは、ニードルシャフトを含むことができ、該ニードルシャフトは、ニードルシャフトの近位部分から遠位針先まで延びるニードルスロットを有する。イントロデューサのイントロデューサシースは、シース本体を含むことができ、該シース本体は、シース本体の近位部分におけるシース本体開口部を除いて、その下にニードルスロットを密封するニードルシャフトを覆う。アクセスガイドワイヤは、イントロデューサ内に配置された遠位端部分を含むことができる。アクセスガイドワイヤの遠位端部分は、ニードルスロットの近位端部分がアクセスガイドワイヤの遠位端部分を捕らえて、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロットの近位端部分よりも大きい外径を有することができる。本明細書で提供されるアセンブリ及び方法のこれらの特徴及び他の特徴は、そのようなアセンブリ及び方法の特定の実施形態をより詳細に説明する、添付図面及び以下の説明を考慮することで、当業者にとってより明らかになるであろう。
【0032】
RICC
図1は、いくつかの実施形態による、RICC100を示す。図2は、いくつかの実施形態による、RICC100のカテーテルチューブ102の遠位部分を示す。図3図5は、いくつかの実施形態による、カテーテルチューブ102の遠位部分の異なる断面を示す。
【0033】
図示されるように、RICC100は、カテーテルチューブ102と、カテーテルハブ104と、1つ以上の延長レッグ106とを含む。
カテーテルチューブ102は、カテーテルチューブ102の遠位部分の第1のセクション108と、第1のセクション108より近位側にあるカテーテルチューブ102の遠位部分の第2のセクション110と、カテーテルチューブ102の第1のセクション108と第2のセクション110との間のテーパ状接合部112とを含む。
【0034】
カテーテルチューブ102の第1のセクション108は、第1のセクション108の遠位端の外径から第1のセクション108の残りの部分の外径まで比較的短いテーパを有する遠位先端部114を含む。遠位先端部114のテーパは、イントロデューサ132によって確立された穿刺経路の周りにある組織を、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の残りの部分の外径まで即時に拡張するように構成される。図5に最もよく示されるように、カテーテルチューブ102の第1のセクション108は、近位部分も含み、この近位部分は、接合部112の遠位部分のボア内に配置され、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってそのボアに固定的に結合されている。
【0035】
カテーテルチューブ102の第2のセクション110は、第2のセクション110の遠位端から第2のセクション110の近位端までその長さにわたって一定の外径を含む。カテーテルチューブ102の第2のセクション110の一定の直径は、カテーテルチューブ102の第1のセクション108及び接合部112による任意の拡張後の、穿刺経路及び標的血管系への円滑な挿入のために構成される。カテーテルの第2のセクション110の遠位端は、平坦面を有し、この平坦面は、接合部112の平坦面化された近位端と同一平面上にあり、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってその近位端に固定的に結合されている。
【0036】
接合部112は、接合部112の遠位端から接合部112の近位端までの長さにわたってテーパを含む。接合部112のテーパは、穿刺経路の周りにある組織を、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の大部分における外径からカテーテルチューブ102の第2のセクション110の外径まで即時に拡張するように構成される。接合部112の反管腔側表面は、カテーテルチューブ102が穿刺経路に挿入されるときに皮膚に引っ掛かる縁部を生じることなく、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の反管腔側表面からカテーテルチューブ102の第2のセクション110の反管腔側表面へと、滑らかに移行する。縁部が最小限ないし無視できる程度であることに加えて、縁部は、カテーテルチューブ102を形成するポリマー材料のうち溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これにより、カテーテルチューブ102の第1のセクション108から接合部112への移行、及び接合部112からカテーテルチューブ102の第2のセクション110への移行が滑らかになる。特に、接合部112は、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の露出部分116の長さにほぼ相当する長さ、又はカテーテルチューブ102の第1のセクション108の露出部分の長さと第2のセクション110の露出部分の長さとの間の長さを有する。このように、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の露出部分116の長さは、接合部112の長さよりも短く、最大で接合部112の長さにほぼ相当する。
【0037】
カテーテルチューブ102の第1のセクション108は、第1のデュロメータ硬度を有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタン)から形成される。カテーテルチューブ102の第2のセクション110は、第1のデュロメータ硬度よりも小さい第2のデュロメータ硬度を有する第2のポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、別のポリウレタン、又はシリコーン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ102の第1のセクション108は、第1のデュロメータ硬度を有する第1のポリウレタンから形成することができ、カテーテルチューブ102の第2のセクション110は、第1のデュロメータ硬度よりも小さい第2のデュロメータ硬度を有する第2の別のポリウレタン(例えば、同じ又は異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、異なるジオール又はトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、同じ又は異なるジオール又はトリオールと反応したものなど)から形成することができる。実際、ポリウレタンは、室温では相対的に硬質であるが、生体内では体温でより可撓性になり得、これにより血管壁への刺激及び静脈炎が低減されるという点で、カテーテルチューブ102に好都合である。また、ポリウレタンは、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低くなり得るという点でも好都合である。接合部112は、第2のポリマー材料、又は第1のデュロメータ硬度よりも小さく、かつ第2のデュロメータ硬度に比べて、大きいか、ほぼ等しいか、又は小さい第3のデュロメータ硬度を有する第3のポリマー材料(例えば、更に別のポリウレタン)から形成される。
【0038】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬度、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬度、及び第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬度は、異なるスケール(例えば、タイプA又はタイプD)であってもよいことを理解されたい。この理解により、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬度又は第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬度は、第2のデュロメータ硬度又は第3のデュロメータ硬度が第1のデュロメータ硬度よりも小さい場合に、数値的には、第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬度よりも小さくない可能性がある。実際に、第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料の硬度は、やはり第1のポリマー材料の硬度よりも低い場合がある。それぞれ0~100の範囲である異なるスケールが、同様の硬度を有する材料の群における別々の材料を特徴付けるように設計されているためである。
【0039】
上述したカテーテルチューブ102の第1のセクション108、カテーテルチューブ102の第2のセクション110、及びカテーテルチューブ102の第1のセクション108と第2のセクション110との間の接合部112によれば、カテーテルチューブ102は、後述する穿刺経路確立ステップに従ってイントロデューサ132を用いた経皮穿刺によって確立された穿刺経路内に挿入されたときに、カテーテルチューブ102の座屈を防止するのに十分なカラム強度を有する。また、カテーテルチューブ102のカラム強度は、別個の拡張器を用いて穿刺経路の周りの組織又は血管系のいかなる血管も予め拡張することなく患者の血管系を通してカテーテルチューブ102を前進させるときに、カテーテルチューブ102の座屈を防止するのにも十分である。
【0040】
カテーテルチューブ102は、カテーテルチューブ102を通って延びている1つ以上のカテーテルチューブ管腔を含む。しかしながら、通常、多管腔RICC(例えば、二管腔RICC、三管腔RICC、四管腔RICC、五管腔RICC、六管腔RICCなど)において、カテーテルチューブ102の近位端からカテーテルチューブ102の遠位端まで延びているカテーテルチューブ管腔は1つだけである。(図3図5を参照)。実際、カテーテルチューブ102の第1のセクション108には、図5に示されるように、通常、1本の管腔が通っている。
【0041】
カテーテルハブ104は、カテーテルチューブ102の近位部分に結合される。カテーテルハブ104は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔に数が対応する1つ以上のカテーテルハブ管腔を含む。1つ以上のカテーテルハブ管腔は、カテーテルハブ104の近位端からカテーテルハブ104の遠位端までカテーテルハブ104の全体を通って延びている。
【0042】
1つ以上の延長レッグ106の各延長レッグが、その遠位部分によってカテーテルハブ104に結合されている。1つ以上の延長レッグ106はそれぞれ、1つ以上の延長レッグ管腔を含み、延長レッグ管腔の数は、1つ以上のカテーテルハブ管腔の数に対応する。1つ以上の延長レッグ管腔の各延長レッグ管腔は、延長レッグの近位端から延長レッグの遠位端まで延長レッグ全体を通って延びている。
【0043】
1つ以上の延長レッグ106の各延長レッグは、延長レッグに結合されたルアーコネクタ118を含み、このルアーコネクタ118を通して、延長レッグ及びその延長レッグ管腔を、別の医療デバイス及びその管腔に接続することができる。
【0044】
図示されるように、RICC100は、管腔3つのセットを含む三管腔RICCである。しかしながら、RICC100は、管腔3つのセットに限定されない。管腔3つのセットは、3つのカテーテルチューブ管腔、3つのカテーテルハブ管腔、及び3つの延長レッグ管腔の流体接続された部分から形成された、一次管腔120、二次管腔122、及び三次管腔124を含む。一次管腔120は、カテーテルチューブ102の第1のセクション108の遠位端に一次管腔開口部126を有し、一次管腔開口部126は、カテーテルチューブ102の遠位端及びRICC100の遠位端に対応する。二次管腔122は、カテーテルチューブ102の遠位部分の側部に二次管腔アパーチャ128を有する。三次管腔124は、二次管腔アパーチャ128より近位側にあるカテーテルチューブ102の遠位部分の側部に三次管腔アパーチャ130を有する。
【0045】
イントロデューサ
図6図10は、いくつかの実施形態による、シリンジ138を有する及び有しない、イントロデューサニードル134と、分割可能なイントロデューサシース136とを含むイントロデューサ132の、異なる図を示す。図11は、いくつかの実施形態による、イントロデューサ132の遠位部分を示す。
【0046】
図示されるように、イントロデューサ132は、イントロデューサニードル134及びイントロデューサシース136を含む。後述する穿刺経路確立ステップに従って穿刺経路を確立するように構成されたイントロデューサ132の少なくとも操作準備完了状態においては、イントロデューサニードル134は、イントロデューサシース136内に配置される。言い換えれば、イントロデューサシース136は、少なくとも、図6図10及び図23図25に示されるイントロデューサ132の操作準備完了状態においては、イントロデューサニードル134を覆うように配置される。
【0047】
図13は、いくつかの実施形態による、イントロデューサ132のイントロデューサニードル134を示す。
イントロデューサニードル134は、ニードルシャフト140と、ニードルシャフト140の近位部分、特にニードルシャフト140の近位端部分に結合されたニードルハブ142とを含む。
【0048】
ニードルシャフト140は、ニードルシャフト140の遠位部分の針先144と、長手方向ニードルスロット146とを含む。
針先144は、一次ベベル152と、一次ベベル152より遠位側にある二次又は先端部ベベル154とを有するベベル150を含む。先端部ベベル154の先端部ベベル角度(図11の∠Aを参照)は、ベベル150が針先144にわたって滑らかな移行を提供するように、一次ベベル152の一次ベベル角度(図11の∠Bを参照)よりも大きい。したがって、そのような針先は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って、皮膚の領域から患者の血管内腔内までの穿刺経路を確立するように構成される。
【0049】
ニードルスロット146は、ニードルシャフト140の近位部分から針先144まで遠位方向に延び、それによって、ニードル管腔とは対照的に、イントロデューサニードル134の長さの大部分に沿ってニードルチャネルを形成する。(特に、イントロデューサ132はイントロデューサの管腔を含む。しかしながら、イントロデューサ132の管腔は、ニードルシャフト140を覆うイントロデューサシース136から生じ、イントロデューサシース136は、その下のニードルスロット146を密封してニードルチャネルからイントロデューサ132の管腔を形成する。)ニードルスロット146は、アクセスガイドワイヤ208の外径に従ってサイズ決めされた幅を有し、この外径は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップ中に、アクセスガイドワイヤ208がニードルシャフト140を通過することを可能にしながらも、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するために、後述するように変化し得る。実際、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止するニードルスロット146及びアクセスガイドワイヤ208の様々な構成が、イントロデューサアセンブリ220に関して後述される。
【0050】
ニードルハブ142は、ニードルハブ142の遠位部分に非テーパ状であるが任意選択で面取りされた雄型ニードルハブコネクタ156と、ニードルハブ142の近位部分にテーパ状の雌型ニードルハブコネクタ158とを含むことができる。雄型ニードルハブコネクタ156は、少なくともイントロデューサ132の操作準備完了状態において、後述する雌型シースハブコネクタ182と流体密封接続を形成するように構成される。実際、雄型ニードルハブコネクタ156は、流体密封接続を形成するように構成された雄型ニードルハブコネクタ156の周りの円周方向溝内に配置された「O」リング160を含むことができる。雌型ニードルハブコネクタ158は、後述するシリンジ138のシリンジ先端部204との流体密封接続を形成するように構成される。
【0051】
図14は、いくつかの実施形態による、イントロデューサ132のイントロデューサシース136を示す。
イントロデューサシース136は、分割可能なシース本体162と、シース本体162の近位部分の周りにあり、それに結合された分割可能なシースハブ164とを含む。イントロデューサシース136は、イントロデューサシース136の全体が、少なくともイントロデューサ132の操作準備完了状態において、イントロデューサニードル134を覆うように配置されるように構成される。実際、シース本体162の全体は、ニードルシャフト140を覆うように配置され、シースハブ164は、シース本体162の近位部分に結合され、それにより、ニードルハブ142の雄型ニードルハブコネクタ156が、イントロデューサ132の操作準備完了状態において、シースハブ164の雌型シース-ハブコネクタ182と流体密封接続を形成する。
【0052】
シース本体162は、シース本体162の近位部分にシース本体開口部166を含み、シース本体162の遠位部分にシース先端部168を含む。(シース本体開口部166については図12を参照。)シース本体162の近位部分に結合されたシースハブ164によって覆われたシース本体開口部166にもかかわらず、図6図10及び図23図25に示すイントロデューサ132の少なくとも操作準備完了状態において、イントロデューサ132を通して真空を引くことができるように、シース本体162は、その下にニードルシャフト140を密封するように構成される。
【0053】
シース本体開口部166は、ニードルシャフト140内のニードルスロット146の幅とほぼ相当する幅を有し、この幅は、上述したように、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤの近位方向の引き抜きを防止するために、アクセスガイドワイヤ208の外径に従って変化し得る。したがって、シース本体開口部166は、アクセスガイドワイヤ208がそれを通過してニードルシャフト140のニードルスロット146内に入ることを可能にするように構成される。
【0054】
シース先端部168は、ニードルシャフト140の外径からシース本体162の大部分における外径まで拡大するテーパ170を含む。言い換えれば、テーパ170は、シース本体162の大部分における外径からニードルシャフト140の外径まで縮小している。テーパ170は、針先144の一次ベベル152の一次ベベル角度(図11の∠Bを参照)よりも小さいテーパ角度(図11の∠Cを参照)を有し、このテーパ角度は、針先144の先端部ベベル154の先端部ベベル角度(図11の∠Aを参照)よりも小さい。このようなテーパを含むシース先端部168は、イントロデューサ132の操作準備完了状態において、針先144からシース本体162への滑らかな移行を提供するように構成される。
【0055】
シース本体162はまた、シース本体162が、分割するように構成された材料、又は裂け目を伝播するように構成された材料から形成されない場合、シース本体162の両側に沿って延びた一対の本体断層172などの1つ以上の長手方向本体断層172(例えば、溝、脆弱化材料の線など)を含むこともできる。例えば、シース本体162は、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリマー材料から形成されることができ、シース本体162の側部に沿った本体断層172なしで、シース本体162の平滑で一貫した分割を容易にする。1つ以上の本体断層172は、存在する場合、ポート174を含むイントロデューサシース136の一次側の少なくとも一部に沿って延びている少なくとも一次本体断層を含む。実際、一次本体断層は、図12に示されるように、シース本体162の全体に沿って延びていてもよい。一対の本体断層172が存在する場合、二次本体断層は、一次側と反対側のイントロデューサシース136の二次側の少なくとも一部に沿って延びている。図示しないが、二次本体断層は、シース本体162の全体に沿って延びていてもよい。
【0056】
シースハブ164は、イントロデューサシース136より一次側にある弁を有する分割可能なポート174と、ポート174より近位側にあるシースハブ164から延びている一対のタブ176とを含む。
【0057】
ポート174は、シース本体162の近位部分の開口部166の上に重なるように位置する。ポート174は、シース本体開口部166の長さにほぼ相当する長さを有するが、ポート174の幅は、シース本体開口部166の幅よりも広く、シース本体162のシース本体開口部166の上にある、ポート174内で圧縮された部分的に又は完全に分割した隔壁などの弁178を収容している。図15図24及び図25に最もよく示されるように、弁178は、アクセスガイドワイヤ208が弁178を通過し、ポート174を通過し、シース本体162のシース本体開口部166内に入ることを可能にするように構成される一方で、特に、イントロデューサ132を用いた患者の血管内腔への流体密封アクセスを維持することによって、後述する方法の血液吸引ステップを可能にする。また、後述する方法のイントロデューサシース分割ステップに従って、イントロデューサシース136を分割してアクセスガイドワイヤ208から離すとき、このような弁は、シースハブ164の残りの部分と共に分割するように構成される。
【0058】
タブ176は、イントロデューサシース136の一次側及び二次側に直交するシースハブ164の両側から半径方向に延びており、イントロデューサシース136の一次側に存在する場合には、少なくとも一次本体断層に直交するようにタブ176が配置されることになる。このようなタブは、後述する方法のイントロデューサシース分割ステップに従ってタブ176同士が互いから引き離されるときに、シースハブ164を分割するように構成される。上記にもかかわらず、タブ176は、図示されるように互いに180°離れている必要はない。実際、タブ176は、ポート174がタブ176同士の間に形成された内角の頂点に対向した状態で、(例えば、約67.5°離れているような、90°未満離れている場合などの、135°未満離れている場合を含め)180°未満離れているシースハブ164の側部同士から半径方向に延びていることがあり得る。このようなタブは、タブ176を片手で一緒につまむなどしてタブ176が互いに対して押し込まれるとシースハブ164を分割するように構成されている。
【0059】
シースハブ164はまた、シースハブ164の対向する側部同士に沿って延びている一対の長手方向ハブ断層180(例えば、溝、弱化材料の線など)も含むことができる。ハブ断層180は、存在する場合、一次ハブ断層と二次ハブ断層とを含む。一次ハブ断層は、イントロデューサシース136の一次側(すなわち、ポート174を含むイントロデューサシース136の側)の少なくとも一部に沿って延びている。実際、一次ハブ断層は、図9に示されるように、シースハブ164の全体に沿って延びていてもよい。同様に、二次ハブ断層は、一次側と反対側のイントロデューサシース136の二次側の少なくとも一部に沿って延びている。図10に示されるように、二次ハブ断層は、シースハブ164の全体に沿って延びていてもよい。シースハブ164は、イントロデューサシース136の一次側及び二次側においてシース本体162に沿ってシースハブ164を分割することから生じる裂け目を伝播させるために、タブ176が引き離される(又は一緒につままれる)と、一次及び二次ハブ断層180の両方に沿って分割するように構成される。
【0060】
シースハブ164はまた、シースハブ164の近位部分に非テーパ状雌型シース-ハブコネクタ182を含むこともできる。雌型シース-ハブコネクタ182は、少なくともイントロデューサ132の操作準備完了状態において、上述した雄型ニードルハブコネクタ156と流体密封接続を形成するように構成される。このような非テーパ状コネクタ同士は、テーパ状コネクタ(例えば、ルアーテーパ状コネクタ)同士よりも固着する可能性が低く、このことは、イントロデューサニードル引き抜きステップが、イントロデューサ132からイントロデューサニードル134を引き抜き、患者の血管内腔内にイントロデューサシース136を残したままにすることを含むので、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにとっては好都合である。
【0061】
図15及び図20図22は、いくつかの実施形態による、イントロデューサアセンブリ220の遠位部分の異なる図を示す。図16図19は、同じ又は異なる実施形態によるイントロデューサアセンブリ220の遠位部分の異なる図を示しており、説明の便宜上、イントロデューサシース136がイントロデューサニードル134から取り外されている。
【0062】
示されるように、イントロデューサ132は、アクセスガイドワイヤ208と、シリンジ138と、又はアクセスガイドワイヤ208及びシリンジ138の両方と共に、イントロデューサアセンブリ220を形成することができる。特に、イントロデューサシース136を患者の血管腔内に前進させて血管アクセスを確保するような他の技術を考慮すると、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップは、血管アクセスを確保するために必要ではない。このように、アクセスガイドワイヤ208は、イントロデューサアセンブリ220の操作準備完了状態又は他の状態においてイントロデューサアセンブリ220内に含まれる必要はない。加えて、血液がイントロデューサ132内に逆流することを確実にするなどの他の技術を考慮すると、後述する方法の血液吸引ステップは、穿刺経路が患者の血管管腔内に延びていることを確認するために必要ではない。このように、シリンジ138は、イントロデューサアセンブリ220の操作準備完了状態又は他の状態においてイントロデューサアセンブリ220内に含まれる必要はない。また、イントロデューサアセンブリ220は、CVCを患者に導入するためにRICC100とは別個に使用することができることを理解されたい。実際、後述する方法の穿刺経路確立ステップは、イントロデューサアセンブリ220を用いて行われることができ、アクセスガイドワイヤ208又はイントロデューサシース136を用いて血管アクセスを確保した後、穿刺経路の周りの組織は、後続のCVC導入のために拡張器を用いて拡張することができる。
【0063】
アクセスガイドワイヤ208は、近位端を含む近位部分を含み、近位端は、アクセスガイドワイヤ208が過剰に前進することを防止するために、後述する停止部210を含むことができる。アクセスガイドワイヤ208はまた、遠位端部分を含む遠位部分を含み、遠位端部分は、アクセスガイドワイヤ208の遠位端を含む。図15に示され、以下に詳細に説明されるように、アクセスガイドワイヤ208の近位部分は、RICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態においてRICC100内に配置される。アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分は、アクセスガイドワイヤ208が前述のアセンブリ内に存在するとき、イントロデューサアセンブリ220の操作準備完了状態及びRICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態の両方において、イントロデューサ132内に配置される。
【0064】
アクセスガイドワイヤ208はまた、アクセスガイドワイヤ208の少なくとも遠位部分にわたって変化し得る外径(例えば、図16図18に示されるようなD又はD)を含む。上述したように、ニードルスロット146は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップ中にアクセスガイドワイヤ208がニードルシャフト140を通過することを可能にしながらも、ニードルシャフトからのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止するために、アクセスガイドワイヤ208の外径に従ってサイズ決めされた幅(例えば、図16図18に示されるようなW又はW)を有する。実際、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止するアクセスガイドワイヤ208及びニードルスロット146の様々な構成が、すぐ下に記載される。
【0065】
アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径(例えば、図16図18に示されるようなD)は、ニードルスロット146の少なくとも近位端部分の幅(例えば、図16図18に示されるようなW)よりも大きくすることができ、これにより、アクセスガイドワイヤ208が近位方向に引き抜かれると、ニードルスロット146の少なくとも近位端部分がアクセスガイドワイヤ208の遠位端部分を捕らえ、それによって、ニードルシャフト140、したがって、イントロデューサニードル134からアクセスガイドワイヤ208が近位側に引き抜かれるのを防止する。(図16図19を参照)。その近位端部分を含むニードルスロット146は、次に、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径(例えば、図16に示されるようなD)よりも小さい一定の幅(例えば、図16に示されるようなW)を有することができる。換言すれば、ニードルスロット146の近位端部分は、ニードルスロット146の残りの部分と同じ幅を有することができ、この幅は、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径よりも小さい。(図16を参照。)このような構成により、アクセスガイドワイヤ208の遠位方向の前進は、アクセスガイドワイヤ208の停止部210までに制限され、アクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きは、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分及びニードルスロット146の近位端部分の両方によって防止される。
【0066】
アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径(例えば、図16図18に示されるようなD)がニードルスロット146の少なくとも近位端部分の幅(例えば、図16図18に示されるようなW)よりも大きくなり得る上記に続いて、ニードルスロット146の近位端部分は、代替的に、ニードルスロット146の残りの部分よりも狭くなり得る。換言すれば、ニードルスロット146の残りの部分は、ニードルスロット146の近位端部分よりも大きい幅(例えば、図17及び18に示されるようなW)を有することができ、これにより、イントロデューサアセンブリ220を組み立てるときに、アクセスガイドワイヤ208、特にその遠位端部分をニードルシャフト140の中に装填することが容易になる。(図17図19を参照)。イントロデューサシース136のシース本体開口部166、その弁178を含むポート174、又はその周りのシースハブ164(例えば、ハウジング)は、アクセスガイドワイヤ208が近位方向に引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分をニードルスロット146の近位端部分の中に向ける(例えば、干渉によって)ように構成されることができ、それによって、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止する。実際、図20に示されるように、シース本体開口部166は、シース本体162がアクセスガイドワイヤ208の遠位端部分と干渉することによってニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止するように、ニードルスロット146の残りの部分の上に実質的に延びることなく、ニードルスロット146の近位端部分の上に延びる。また、図22に示されるように、ポート174は、シース本体開口部166によって露出されるニードルスロット146の残りの部分の上にあり、ポート174は、アクセスガイドワイヤ208をニードルスロット146の近位端部分の中に排他的に向けることによって、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止する。代替的又は追加的に、シースハブ164は、シースハブ164が、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分と干渉することによって、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止するように、シース本体開口部166によって露出されるニードルスロット146の残りの部分の上に延びる。上述したように、アクセスガイドワイヤ208の遠位方向の前進は、このような構成により、アクセスガイドワイヤ208の停止部210までに制限され、アクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きは、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分及びニードルスロット146の近位端部分の両方によって防止される。
【0067】
アクセスガイドワイヤ208の近位部分の外径(例えば、図16及び図17に示されるようなD)は、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径(例えば、図16図18に示されるようなD)未満であり得、それによって、アクセスガイドワイヤ208の近位部分を、前述の一定幅のニードルスロット146又はニードルスロット146のより狭い近位端部分の中に、続いて、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップにおいて、血管内腔の中に容易に前進させることを可能にする。(図15図17を参照。)しかしながら、アクセスガイドワイヤ208の近位部分の外径(例えば、図18に示されるようなD)は、代替として、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径(例えば、図18に示されるようなD)に相当し得る。(図18図22を参照)。そのように構成されると、アクセスガイドワイヤ208の近位部分とアクセスガイドワイヤ208の遠位端部分との間のアクセスガイドワイヤ208の中間部分の外径(例えば、図18に示されるようなD)は、アクセスガイドワイヤ208の近位部分及びアクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径よりも小さい。図18及び図19の実施形態などの特定の実施形態では、アクセスガイドワイヤ208の近位部分、すなわちアクセスガイドワイヤ208の中間部分より近位側の部分は、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップ中に、ニードルスロット146のより狭い近位端部分の上を摺動してニードルスロット146の残りの部分に入る(任意選択で、アクセスガイドワイヤ208の近位部分からアクセスガイドワイヤ208の中間部分へのテーパによって容易になる)。しかしながら、アクセスガイドワイヤ208が近位方向に引き抜かれるとき、アクセスガイドワイヤ208の中間部分は、ニードルスロット146のより狭い近位端部分の中に摺動し、それを捕らえることによって、ニードルシャフト140からのアクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きを防止する。上述したように、アクセスガイドワイヤ208の遠位方向の前進は、このような構成により、アクセスガイドワイヤ208の停止部210までに制限され、アクセスガイドワイヤ208の近位方向の引き抜きは、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分及びニードルスロット146の近位端部分の両方によって防止される。
【0068】
上記にかかわらず、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の近位部分は、その上に硬質の管状取付具222を含むことができ、それによって、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の近位部分が曲がることを防止する。(図21を参照)。アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の近位部分が曲がることを防止することによって、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分は、ニードルスロット146の残りの部分ではなく、ニードルスロット146の近位端部分に係合するように向けられ得る。
【0069】
アクセスガイドワイヤ208は、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分にガイドワイヤ先端部を含むことができ、ガイドワイヤ先端部は、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成された「J」字形状をとる。そのようなガイドワイヤ先端部は、RICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態において真っ直ぐな状態をとり、アクセスガイドワイヤ208が展開されるRICC挿入アセンブリ206の1つ以上の操作状態においてガイドワイヤ先端部が針先144を越えて前進させられる(例えば、血管内腔内に前進させられる)ときに湾曲状態をとる。
【0070】
アクセスガイドワイヤ208は更に、裸ワイヤ部分と、裸ワイヤ部分の遠位側にあるか、裸ワイヤ部分の近位側にあるか、又はその両方にある巻きワイヤ部分とを含むことができる。図示しないが、裸ワイヤ部分は、存在する場合、RICC挿入アセンブリ206の少なくとも操作準備完了状態において、弁178がアクセスガイドワイヤ208の裸ワイヤ部分の周りに流体密封シールを形成するように、シースハブ164のポート174の弁178を通って遠位方向に延びる。特に、前述の裸ワイヤ部分は、代わりに、アクセスガイドワイヤ208のフラットワウンド又はグラウンドワウンド部分であり得、フラットワウンド部分は、丸ワイヤの代わりにテープの巻きを含み、グラウンドワウンド部分は、巻きを平らにするために研磨された丸ワイヤの巻きを含む。
【0071】
シリンジ138は、バレル200と、バレル200内に配置されたプランジャ202と、シリンジ138の遠位部分から延びているテーパ状雄型のシリンジ先端部204とを含む。シリンジ先端部204は、上述した雌型ニードルハブコネクタ158の中に挿入されるように構成されている。このようなシリンジは、後述する方法の血液吸引ステップに従って少なくとも血液を吸引するのに有用である。
【0072】
RICC挿入アセンブリ
図23図25は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ206の、異なる図を示す。
【0073】
図示されるように、RICC挿入アセンブリ206は、RICC100と、イントロデューサ132と、少なくともRICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態においてRICC100及びイントロデューサ132の両方の中に配置されるアクセスガイドワイヤ208とを含む。具体的には、RICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ208の近位部分はRICC100内に配置され、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分はイントロデューサ132内に配置される。
【0074】
RICC100及びイントロデューサ132についての説明は、上述した。特に、少なくともRICC挿入アセンブリ206の操作準備完了状態では、イントロデューサ132もまた、その操作準備完了状態にあり、その説明も上述されている。
【0075】
アクセスガイドワイヤ208は、RICC100の一次管腔120の全体に沿って、イントロデューサシース136のシースハブ164のポート174の弁178(例えば、隔壁)を通り、イントロデューサ132のイントロデューサの管腔に沿って、針先144より近位側にあるイントロデューサ132内の位置まで延びる。針先144より近位側にあるアクセスガイドワイヤ208の位置は、後述する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップに従って、イントロデューサ132の残りの部分を通して血管内腔内へアクセスガイドワイヤ208の遠位端を即時に前進させるのに好都合である。特に、アクセスガイドワイヤ208は、アクセスガイドワイヤ208の近位端の周囲に停止部210(例えば、ガイドワイヤハブ)を含み、この停止部210は、アクセスガイドワイヤ前進ステップ中にアクセスガイドワイヤ208が過剰に前進することを防止し、それによって、ガイドワイヤ塞栓症を引き起こし得る、RICC挿入アセンブリ206内又は患者内でのアクセスガイドワイヤ208の損失を防止するように構成される。
【0076】
イントロデューサ132について上述したように、RICC挿入アセンブリ206は、図示されるようにシリンジ138を更に含むことができる。ここでもやはり、このようなシリンジは、後述する方法の血液吸引ステップに従って少なくとも血液を吸引するのに有用である。
【0077】
RICC挿入キット
図示しないが、RICC挿入キットは、RICC100と、イントロデューサ132と、アクセスガイドワイヤ208と、RICC挿入キットの説明書と、包装とを含む。RICC挿入アセンブリ206の前述の構成要素は、任意選択で、RICC挿入キット内でRICC挿入アセンブリ206の実質的に操作準備完了状態になるように組み立てられ、その包装内に配置される。RICC挿入キットの説明書は、包装内に配置されるか、又は包装上に印刷される。
【0078】
方法
方法は、RICC100を患者の血管内腔内に挿入するための方法を少なくとも含む。このような方法は、挿入アセンブリ取得ステップ、穿刺経路確立ステップ、アクセスガイドワイヤ前進ステップ、血液吸引ステップ、イントロデューサニードル引き抜きステップ、イントロデューサシース分割ステップ、RICC前進ステップ、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップ、操縦ガイドワイヤ前進ステップ、追加RICC前進ステップ、及び操縦ガイドワイヤ引き抜きステップから選択される1つ以上のステップを含む。
【0079】
挿入アセンブリ取得ステップは、RICC100と、イントロデューサ132と、RICC 100及びイントロデューサ132の両方に配置されたアクセスガイドワイヤ208とを含むRICC挿入アセンブリ206を取得することを含む。任意選択で、RICC挿入アセンブリ206は、RICC挿入アセンブリ206の実質的に操作準備完了状態で取得される。RICC挿入アセンブリ206が実質的にその操作準備完了状態で取得されない場合、RICC挿入アセンブリ206は、穿刺経路確立ステップを実行する前に、RICC挿入アセンブリ206をその操作準備完了状態にするために、必要に応じて調整され得る。
【0080】
穿刺経路確立ステップは、イントロデューサ132を用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。穿刺経路確立ステップは、穿刺経路を確立した際に血液が少なくともイントロデューサニードル134内に逆流するように、穿刺経路を確立する間にシリンジ138でわずかな真空を引くことを含むことができる。このような真空引きによれば、穿刺経路確立ステップは、シース本体162が透明なポリマー材料で形成されている場合にはイントロデューサニードル134のニードルスロット146に沿って、ニードルハブ142が透明なポリマー材料で形成されている場合にはイントロデューサニードル134のニードルハブ142内に、シリンジ先端部204内に、シリンジ138のバレル200内に、又はそれらの組合せに血液が逆流することを確かめることを含み、それによって、穿刺経路が血管内腔内に延びていることを確認することができる。
【0081】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、RICC前進ステップのための血管アクセスを確保するために、アクセスガイドワイヤ208の遠位端を、針先144より近位側にあるイントロデューサ132内のその初期位置から血管内腔の中へ前進させることを含む。ここでもやはり、アクセスガイドワイヤ208は、アクセスガイドワイヤ前進ステップ中にアクセスガイドワイヤ208が過剰に前進することを防止するように構成された、アクセスガイドワイヤ208の近位端の周囲の停止部210(例えば、ガイドワイヤハブ)を含む。
【0082】
血液吸引ステップは、イントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサシース136からイントロデューサニードル134を引き抜く前に、穿刺経路が血管内腔内に延びていることを確認するために、イントロデューサニードル134に結合されたシリンジ138を用いて血液を吸引することを含む。特に、ニードルシャフト140は、血液の逆流及び吸引を可能にするために、アクセスガイドワイヤ208の遠位端部分の外径に従ってサイズ決めされた内径を有する。このことは、好都合なことに、アクセスガイドワイヤ208がRICC前進ステップのための血管アクセスを確保又は維持しながら、アクセスガイドワイヤ前進ステップの後に血液吸引ステップが実行されることを可能にする。
【0083】
イントロデューサニードル引き抜きステップは、イントロデューサシース136及びアクセスガイドワイヤ208の両方を血管内腔内に残したままで、イントロデューサニードル134をイントロデューサシース136から引き抜くことを含む。ここでもやはり、イントロデューサニードル134は、ニードルシャフト140の近位部分から針先144まで延びているニードルスロット146を含むことによって、アクセスガイドワイヤ208が血管内腔内に留まっている間に、イントロデューサシース136からイントロデューサニードル134を除去することを可能にする。
【0084】
イントロデューサシース分割ステップは、イントロデューサシース136を分割してアクセスガイドワイヤ208から離して、イントロデューサシース136の分割した部分を血管内腔から除去することを含む。そのような分割は、シースハブ164から延びているタブ176同士を引き離すことによって、シースハブ164及びそのポート174を分割することを含む。また、イントロデューサシース分割ステップは、イントロデューサシース136のシース本体162に沿ってシースハブ164を分割することから生じる裂け目を伝播させることを含む。このようにして、イントロデューサシース136を分割してアクセスガイドワイヤ208から外し、イントロデューサシース136の分割した部分を血管内腔から除去する。
【0085】
RICC前進ステップは、RICC100のカテーテルチューブ102の遠位部分をアクセスガイドワイヤ208上で血管内腔内へ前進させることによって、RICC100を血管内腔内へ挿入することを含む。
【0086】
アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブ102を血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤ208を引き抜くことを含む。また、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、操縦ガイドワイヤ前進ステップを実行することができるように、RICC100の一次管腔120からアクセスガイドワイヤ208を除去することを含む。
【0087】
操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICC100の一次管腔120を経由して血管内腔内へ操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。操縦ガイドワイヤ前進ステップによれば、操縦ガイドワイヤの遠位部分は、患者の心臓のSVCの下部1/3まで前進させることができる。
【0088】
追加のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ102の遠位部分を、縦ガイドワイヤ上で血管内腔内に入れて、患者のSVCの下部1/3に至るまでより遠くに前進させることを含む。
【0089】
操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3の所定の位置にカテーテルチューブ102を残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【国際調査報告】