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特表2024-545244テトラヒドロピリダジン、それらを含む組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】テトラヒドロピリダジン、それらを含む組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 237/04 20060101AFI20241128BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 15/08 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20241128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241128BHJP
   A61K 31/50 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C07D237/04 CSP
A61P3/04
A61P3/08
A61P43/00 105
A61P3/00
A61P17/00
A61P17/14
A61P1/00
A61P3/10
A61P1/18
A61P13/12
A61P25/00
A61P27/02
A61P11/00
A61P11/06
A61P9/00
A61P25/28
A61P9/12
A61P1/16
A61P15/08
A61P19/02
A61P9/10 101
A61P3/06
A61P35/00
A61K31/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535980
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CA2022051841
(87)【国際公開番号】W WO2023108292
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/265,583
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・ギャラガー-ドゥヴァル
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・レミール
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・ラヴェネル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA15
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、テトラヒドロピリダジン化合物、それを含む医薬組成物、ならびにカンナビノイドCB受容体に関連する疾患および障害の治療または予防におけるそれらの使用に関する。例えば、テトラヒドロピリダジン化合物、またはその互変異性形態および/もしくは塩は、式Iのもの(式中、R~R、X、およびaが、本明細書に定義されるとおりである)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】
(式中、
が、各出現において独立して、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、アミノ、任意選択で置換されたアルキルスルホニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたカルボキシル、アシル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたホスホニル、任意選択で置換されたホスフィニル、任意選択で置換されたボロネート、任意選択で置換されたシリル、およびイミノから選択され、
およびRが各々独立して、任意選択で置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基から選択され、
が、-C(O)R、-S(O)、-C(=NR)R、および-C(=NR)NHC(O)Rから選択され、
が、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択され、
が、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRが、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し、
が、SOおよびC=Oから選択され、
aが、0、1、2、3、4、または5である)、
またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記化合物が、式I(a)の化合物
【化2】
(式中、R~R、X、およびaが、請求項1に定義されるとおりである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、式I(b)の化合物
【化3】
(式中、R~R、X、およびaが、請求項1に定義されるとおりである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、-C(O)R、-C(=NR)R、または-C(=NR)NHC(O)Rである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、-C(=NR)NHC(O)Rである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、任意選択で置換されたC1-6アルキル、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、任意選択で置換されたC1-6アルキルアミノ、またはジC1-6アルキルアミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、C1-6アルキル、例えば、メチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、Hである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、SOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
aが、1であり、Rが、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、Clである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、任意選択で置換されたC2-6アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が、以下の式のもの
【化4】
(式中、
が、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
が、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
10が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5である)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が、以下の式のもの
【化5】
(式中、
、X、X、X、およびXが各々独立して、NおよびCR11から選択され、X、X、X、X、およびXのうちの最大で3つが、Nであり、
11が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
、R、およびR10が、請求項16に定義されるとおりである)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
が、以下の式のもの
【化6】
(式中、
が、NおよびCR11から選択され、
、X、X10、X11、およびX12が各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X、X、X、X10、X11、およびX12のうちの最大で2つが、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
11が、請求項17に定義されるとおりであり、
が、各出現において独立して、水素、C(O)R、C(O)N(R、SO、SON(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
、R、およびR10が、請求項16に定義されるとおりである)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
11が、ハロゲン(例えば、FもしくはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
が、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FもしくはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
11が、水素原子である、請求項17に記載の化合物。
【請求項22】
11またはRが、各出現において水素原子である、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
が、任意選択で置換されたC2-6アルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
が、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、以下の式のもの
【化7】
(式中、
12が、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
13が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR13が、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
14が、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
15が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5である)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
が、以下の式のもの
【化8】
(式中、
13、X14、X15、X16、およびX17が各々独立して、NおよびCR16から選択され、X13、X14、X15、X16、およびX17のうちの最大で3つが、Nであり、
16が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
13、R14、およびR15が、請求項23に定義されるとおりである)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
が、以下の式のもの
【化9】
(式中、
18が、NおよびCR16から選択され、
19、X20、X21、X22、およびX23が各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X18、X19、X20、X21、X22、およびX23のうちの最大で2つが、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
16が、請求項24に定義されるとおりであり、
が、各出現において独立して、水素、C(O)R14、C(O)N(R13、SO14、SON(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
13、R14、およびR15が、請求項23に定義されるとおりである)であり、
前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、請求項24に記載の化合物。
【請求項28】
16が、水素である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
16またはRが、各出現において水素原子である、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
請求項24におけるR16が、ハロゲン(例えば、FもしくはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
16またはRが、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FもしくはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、請求項27に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、
【化10-1】
【化10-2】
またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、
【化11】
またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、
【化12】
またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項35】
請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物を、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項36】
食欲に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、グルコース調節に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、線維症関連障害もしくはその合併症のうちの1つ、代謝に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、皮膚および毛髪の成長および治癒に関連する障害、胃腸管に関連する障害、肥満に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、またはそれらの組み合わせの治療のための、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記グルコース調節に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、前糖尿病、膵臓疾患(β細胞保護および/またはインスリン産生の増加による)、および関連する腎症、神経障害、ならびに網膜症から選択される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記線維症関連障害またはその合併症のうちの1つが、間質性肺疾患に関連する進行性線維症、特発性肺線維症(IPF)、ヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、肝硬変および他の肝臓線維症障害(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎など)、線維性腎臓疾患、皮膚線維性障害(強皮症など、ならびに慢性腎臓疾患から選択される、請求項32に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記肥満に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、睡眠時無呼吸、いびき、喘息、肺低換気症候群、認知症、心疾患、高血圧、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変形性関節炎、静脈うっ滞性潰瘍、冠動脈疾患、動脈硬化症、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、および肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺、または胆嚢の悪性腫瘍の発生率の増加から選択される、請求項32に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年12月17日に出願された米国仮出願第63/265,583号に対する適用法に基づく優先権を主張するものであり、その内容は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、化合物、特にテトラヒドロピリダジン化合物、それらを含む医薬組成物、ならびに疾患および障害の治療および予防におけるそれらの使用および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カンナビノイドCB受容体の活性化は、食欲を増加させ、脂質の生合成および貯蔵を増加させ、インスリンおよびレプチンの作用を阻害し、炎症および線維症を促進することが一般的に知られている。したがって、研究は、代謝症候群と呼ばれる肥満およびそれに関連する代謝障害の潜在的な治療のためのCB受容体阻害剤の開発に焦点を当てた。リモナバントは、代謝症候群の治療に効果的であることが示されたが、神経精神病学的(すなわち、CNS関連)副作用を引き起こし、それは市場からの離脱をもたらした。
【0004】
それに関連する障害の治療または予防のためのCB受容体を標的化する代替化合物の開発に対するニーズが残っているままである。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、本技術は、化合物とそれらの互変異性体および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩、それらの医薬組成物、その使用、ならびにそれらの投与を含む治療方法に関する。より具体的には、以下の実施形態が提供される。
【0006】
実施形態1.式Iの化合物
【化1】
(式中、
が、各出現において独立して、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、アミノ、任意選択で置換されたアルキルスルホニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたカルボキシル、アシル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたホスホニル、任意選択で置換されたホスフィニル、任意選択で置換されたボロネート、任意選択で置換されたシリル、およびイミノから選択され、
およびRが各々独立して、任意選択で置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基から選択され、
が、-C(O)R、-S(O)、-C(=NR)R、および-C(=NR)NHC(O)Rから選択され、
が、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択され、
が、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRが、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し、
が、SOおよびC=Oから選択され、
aが、0、1、2、3、4、または5である)、
またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
実施形態2.当該化合物が、式I(a)のもの
【化2】
(式中、R~R、X、およびaが、実施形態1に定義されるとおりである)である、実施形態1に記載の化合物。
実施形態3.当該化合物が、式I(b)のもの
【化3】
(式中、R~R、X、およびaが、実施形態1に定義されるとおりである)である、実施形態1に記載の化合物。
実施形態4.Rが、-C(O)R、-C(=NR)R、または-C(=NR)NHC(O)Rである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態5.Rが、-C(=NR)NHC(O)Rである、実施形態4に記載の化合物。
実施形態6.Rが、任意選択で置換されたC1-6アルキル、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、任意選択で置換されたC1-6アルキルアミノ、またはジC1-6アルキルアミノである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態7.Rが、C1-6アルキル、例えば、メチルである、実施形態6に記載の化合物。
実施形態8.Rが、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリールである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態9.Rが、Hである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態10.Rが、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールを形成する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態11.Xが、SOである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態12.aが、1であり、Rが、ハロゲンである、実施形態1~11のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態13.Rが、Clである、実施形態12に記載の化合物。
実施形態14.Rが、任意選択で置換されたC2-6アルキル基である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態15.Rが、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態16.Rが、以下の式のもの
【化4】
(式中、
が、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
が、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
10が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5である)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態15に記載の化合物。
実施形態17.Rが、以下の式のもの
【化5】
(式中、
、X、X、X、およびXが各々独立して、NおよびCR11から選択され、X、X、X、X、およびXのうちの最大で3つは、Nであり、
11が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5であり、
、R、およびR10が、実施形態16に定義されるとおりである)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態15に記載の化合物。
実施形態18.Rが、以下の式のもの
【化6】
(式中、
が、NおよびCR11から選択され、
、X、X10、X11、およびX12が各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X、X、X、X10、X11、およびX12のうちの最大で2つが、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
11が、実施形態17に定義されるとおりであり、
が、各出現において独立して、水素、C(O)R、C(O)N(R、SO、SON(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
、R、およびR10が、実施形態16に定義されるとおりである)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態15に記載の化合物。
実施形態19.R11またはRが、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FまたはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、実施形態17または18に記載の化合物。
実施形態20.R11またはRが、各出現において水素原子である、実施形態17または18に記載の化合物。
実施形態21.Rが、任意選択で置換されたC2-6アルキル基である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態22.Rが、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
実施形態23.Rが、以下の式のもの
【化7】
(式中、
12が、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
13が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
14が、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
15が、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5である)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態22に記載の化合物。
実施形態24.Rが、以下の式のもの
【化8】
(式中、
13、X14、X15、X16、およびX17は各々独立して、NおよびCR16から選択され、X13、X14、X15、X16、およびX17のうちの最大で3つは、Nであり、
16が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
cが、0、1、2、3、4、または5であり、
13、R14、およびR15が、実施形態23に定義されるとおりである)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態22に記載の化合物。
実施形態25.Rが、以下の式のもの
【化9】
(式中、
18が、NおよびCR16から選択され、
19、X20、X21、X22、およびX23が各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X18、X19、X20、X21、X22、およびX23のうちの最大で2つが、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
16が、実施形態24に定義されるとおりであり、
が、各出現において独立して、水素、C(O)R14、C(O)N(R13、SO14、SON(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
が、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
13、R14、およびR15が、実施形態23に定義されるとおりである)であり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基が、任意選択でさらに置換されている、実施形態22に記載の化合物。
実施形態26.R16またはRが、各出現において水素原子である、実施形態24または25に記載の化合物。
実施形態27.R16またはRが、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FまたはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である、実施形態24または25に記載の化合物。
実施形態28.化合物が、以下:
【化10-1】
【化10-2】
から選択される、実施形態1に記載の化合物、またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
実施形態29.化合物が、以下:
【化11】
から選択される、実施形態2に記載の化合物、またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
実施形態30.化合物が、以下:
【化12】
から選択される、実施形態3に記載の化合物、またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩。
実施形態31.実施形態1~30のいずれか1つに記載の化合物を、薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と一緒に含む、医薬組成物。
実施形態32.食欲に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、グルコース調節に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、線維症関連障害もしくはその合併症のうちの1つ、代謝に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、皮膚および毛髪の成長および治癒に関連する障害、胃腸管に関連する障害、肥満に関連する障害もしくはその合併症のうちの1つ、またはそれらの組み合わせの治療のための、実施形態1~30のいずれか1つに定義される化合物または実施形態31に定義される医薬組成物の使用。
実施形態33.当該食欲に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、プラダー・ウィリー症候群(PWS)、視床下部性肥満、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損症(POMC肥満、ヘテロ接合性POMC欠損症肥満、POMCエピジェネティック障害を含む)、レプチン受容体(LepR)欠損症、バルデー・ビードル(BB)症候群、およびアルストレーム症候群から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態34.当該グルコース調節に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、前糖尿病、膵臓疾患(β細胞保護および/またはインスリン産生の増加による)、および関連する腎症、神経障害、ならびに網膜症から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態35.当該線維症関連障害またはその合併症のうちの1つが、間質性肺疾患に関連する進行性線維症、特発性肺線維症(IPF)、ヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、肝硬変および他の肝臓線維症障害(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎など)、線維性腎臓疾患 皮膚線維性障害(強皮症など、ならびに慢性腎臓疾患から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態36.当該代謝に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、代謝症候群および高脂血症(例えば、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロールの状況での高トリグリセリド血症、LDLおよび/もしくは総コレステロールおよび/もしくはVLDLの上昇、ならびに/またはアポリポタンパク質Bの上昇、アテローム性動脈硬化性心血管疾患など)から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態37.当該肥満に関連する障害またはその合併症のうちの1つが、睡眠時無呼吸、いびき、喘息、肺低換気症候群、認知症、心疾患、高血圧、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変形性関節炎、静脈うっ滞性潰瘍、冠動脈疾患、動脈硬化症、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、および肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺、または胆嚢の悪性腫瘍の発生率の増加から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態38.当該皮膚および毛髪の成長および治癒の障害が、脱毛症(代謝症候群に関連する男性型脱毛症および脱毛症)、過剰な瘢痕形成(瘢痕およびケロイド)、および強皮症から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態39.当該胃腸管に関連する障害が、便秘、過敏性腸症候群、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸症候群から選択される、実施形態32に記載の使用。
実施形態40.食欲に関連する障害もしくはそれらの合併症のうちの1つ、グルコース調節に関連する障害もしくはそれらの合併症のうちの1つ、線維症関連障害もしくはそれらの合併症のうちの1つ、代謝に関連する障害もしくはそれらの合併症のうちの1つ、皮膚および毛髪の成長および治癒に関連する障害、胃腸管に関連する障害、肥満に関連する障害もしくはそれらの合併症、またはそれらの組み合わせから選択される障害の治療のための方法であって、実施形態1~30のいずれか1つに定義される化合物または実施形態31に定義される医薬組成物をそれを必要とする対象者に投与することを含む、方法。
実施形態41.当該食欲に関連する障害またはそれらの合併症が、プラダー・ウィリー症候群(PWS)、視床下部性肥満、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損症(POMC肥満、ヘテロ接合性POMC欠損症肥満、POMCエピジェネティック障害を含む)、レプチン受容体(LepR)欠損症、バルデー・ビードル(BB)症候群、およびアルストレーム症候群から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態42.当該グルコース調節に関連する障害またはそれらの合併症が、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、前糖尿病、膵臓疾患(β細胞保護および/またはインスリン産生の増加による)、および関連する腎症、神経障害、ならびに網膜症から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態43.当該線維症関連障害またはそれらの合併症が、間質性肺疾患に関連する進行性線維症、特発性肺線維症(IPF)、ヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、肝硬変および他の肝臓線維症障害(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎など)、線維性腎臓疾患 皮膚線維性障害(強皮症など、ならびに慢性腎臓疾患から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態44.当該代謝に関連する障害またはそれらの合併症が、代謝症候群および高脂血症(例えば、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロールの状況での高トリグリセリド血症、LDLおよび/または総コレステロールおよび/またはVLDLの上昇、および/またはアポリポタンパク質Bの上昇、アテローム性動脈硬化性心血管疾患など)から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態45.当該肥満に関連する障害またはそれらの合併症が、睡眠時無呼吸、いびき、肥満喘息、肺低換気症候群、認知症、心疾患、高血圧、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変形性関節炎、静脈うっ滞性潰瘍、冠動脈疾患、動脈硬化症、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、および肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺、または胆嚢の悪性腫瘍の発生率の増加から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態46.当該皮膚および毛髪の成長および治癒の障害が、脱毛症(代謝症候群に関連する男性型脱毛症および脱毛症)、過剰な瘢痕形成(瘢痕およびケロイド)、および強皮症から選択される、実施形態40に記載の方法。
実施形態47.当該胃腸管に関連する障害が、便秘、過敏性腸症候群、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸症候群から選択される、実施形態40に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される全ての技術用語および表現は、本技術が関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ定義を有する。それにもかかわらず、使用されるいくつかの用語および表現の定義は以下に提供される。参照により本明細書に組み込まれる刊行物、特許、および特許出願における用語の定義が、本明細書に記載される定義に反する場合には、本明細書における定義が優先される。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成目的のためのみであり、開示される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書に記載の化学構造は、従来の標準に従って描かれる。また、描かれた炭素原子などの原子が不完全な原子価を含むように見える場合、原子価は、必ずしも明示的に描かれていないが、1つ以上の水素原子によって満たされていると仮定される。水素原子は、化合物の一部であると推定されるべきである。
【0009】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とし、限定することを意図していない。単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が明確に指示しない限り、複数形も含む。したがって、例えば、化合物を含む組成物への言及はまた、2つ以上の化合物の混合物を企図する。また、文脈が別途明確に指示しない限り、用語「または」は、「および/または」を含むその意味で一般的に用いられることに留意されたい。さらに、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、またはそれらの変形が、詳細な説明および/または特許請求の範囲のいずれかで使用される場合に、かかる用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の様式で包括的であることが意図される。
【0010】
用語「約」または「おおよそ」は、当業者が決定した特定の値に対して許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野の慣行に従って、1または2つ以上の標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、およびさらにより好ましくは最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的系またはプロセスに関して、この用語は、ある値の10倍以内、好ましくは5倍以内、およびより好ましくは2倍以内を意味し得る。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、別段の定めのない限り、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味する用語「約」が仮定されるべきである。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「化合物」、「本明細書に記載される化合物」、「本出願の化合物」、「テトラヒドロピリダジン」、「テトラヒドロピリダジン化合物」、および同等の表現は、本出願に記載される化合物、例えば、構造式I、I(a)、およびI(b)によって、任意選択で、適用可能な実施形態のうちのいずれかを参照して包含されるものを指し、また、例示的な化合物、例えば、化合物1~8、化合物1A~8A、および化合物1B~8B、それらの薬学的に許容可能な塩および互変異性体、ならびに適用可能な場合、それらの溶媒和物、エステル、およびプロドラッグが含まれる。両性イオン形態が可能である場合、化合物は、実用的な目的のためにその中性形態として描かれ得るが、化合物は、その両性イオン形態も含むと理解される。本明細書の実施形態はまた、化合物のうちの1つ以上を除外し得る。化合物は、それらの化学構造またはそれらの化学名のいずれかによって特定され得る。化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が優先される。
【0012】
別段の定めのない限り、本明細書に示される構造はまた、該当する場合、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、および幾何学的(または立体配座))形態、例えば、各非対称中心のRおよびS配置を含むことも意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、および幾何(または立体配座)混合物は、本明細書の範囲内である。本化合物はまた、別段の記載がない限り、存在する場合、図示した化合物の全ての可能な互変異性体も包含する。この用語はまた、1つ以上の原子が自然界で最も豊富に見られる原子質量とは異なる原子質量を有する同位体標識化合物を含む。本化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、これらに限定されないが、H(D)、H(T)、11C、13C、14C、15N、18O、17O、硫黄の同位体のうちのいずれか1つなどが挙げられる。化合物はまた、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。化合物は、複数の結晶形態または非結晶形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本明細書で企図される使用のために同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0013】
特定のエナンチオマーが好ましい場合、いくつかの実施形態では、対応するエナンチオマーを実質的に含まずに提供されてもよく、またエナンチオマー的に富んでいてもよい。「エナンチオマー的に富んでいる」とは、化合物が著しくより高い割合の1つのエナンチオマーから成ることを意味する。ある特定の実施形態では、化合物は、少なくとも約90重量%の好ましいエナンチオマーから成る。他の実施形態では、化合物は、少なくとも約95重量%、98重量%、または99重量%の好ましいエナンチオマーから成る。好ましいエナンチオマーは、キラル支持体上の高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を含む当業者に公知の任意の方法によって、またはキラル塩の形成および結晶化によって、ラセミ混合物から単離され得るか、または非対称合成によって調製され得る。
【0014】
表現「薬学的に許容可能な塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、かつ合理的な利益/リスク比に匹敵する、本明細書の化合物の塩を指す。薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Berge,et al.は、J.Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)に詳細に薬学的に許容可能な塩を説明する。塩は、本明細書の化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで調製され得るか、または化合物の遊離塩基機能を好適な有機酸もしくは無機酸(酸付加塩)と反応させることによって、または化合物の酸性機能を好適な有機塩基もしくは無機塩基(塩基付加塩)と反応させることによって別々に調製され得る。
【0015】
用語「溶媒和物」は、本化合物のうちの1つの、水および非水性溶媒分子を含む1つ以上の溶媒分子との物理的会合を指す。この物理的会合は、水素結合を含み得る。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれるときに、単離することができる。用語「溶媒和物」は、溶液相溶媒和物と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物としては、限定されないが、水和物、半水和物、エタノラート、ヘミエタノラート、n-プロパノラート、イソ-プロパノラート、1-ブタノラート、2-ブタノラート、およびInternational Conference on Harmonization(ICH),Guide for Industry,Q3C Impurities:Residual Solvents(1997)に記載されるクラス3の溶媒など、他の生理学的に許容可能な溶媒の溶媒和物が挙げられる。したがって、本明細書に記載の化合物はまた、その溶媒和物およびそれらの混合物の各々を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、表現「薬学的に許容可能なエステル」は、本明細書のプロセスによって形成される化合物のエステルを指し、これはインビボで加水分解し、親化合物またはその塩を残すためにヒトの体内で容易に分解するものを含む。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容可能な脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸、およびアルカン二酸に由来するものが挙げられ、各アルキルまたはアルケニル部分は、有利には6個以下の炭素原子を有する。特定のエステルの例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシル基のギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、アクリル酸塩、およびエチルコハク酸塩、ならびに酸性基のアルキルエステルが挙げられる。他のエステル基としては、スルホン酸エステルまたは硫酸エステルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、表現「薬学的に許容可能な塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などとともにヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、かつ理的な利益/リスク比に匹敵し、かつそれらの意図される使用に効果的である、本明細書のプロセスによって形成される化合物のプロドラッグを指す。本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」は、本説明の式によって描写される任意の化合物を得るために、インビボで代謝手段(例えば、加水分解)によって変換可能である化合物を意味する。
【0018】
別段の記載がない限り、本出願全体を通して略語が使用されてもよく、そのような略語は、当該技術分野によって一般的に理解される意味を有することが意図される。このような略語の例としては、Me(メチル)、Et(エチル)、Pr(プロピル)、i-Pr(イソプロピル)、Bu(ブチル)、t-Bu(tert-ブチル)、i-Bu(イソ-ブチル)、s-Bu(sec-ブチル)、c-Bu(シクロブチル)、Ph(フェニル)、Bn(ベンジル)、Bz(ベンゾイル)、CBzまたはCbzまたはZ(カルボベンジルオキシ)、BocまたはBOC(tert-ブトキシカルボニル)、およびSuまたはSuc(スクシンイミド)が挙げられる。
【0019】
炭化水素置換基中の炭素原子の数は、接頭辞「C-C」または「C」によって示されることができる(式中、xは、置換基中の炭素原子の最小数であり、yは、置換基中の炭素原子の最大数である)。しかしながら、接頭辞「C-C」または「C」が、定義によって1つ以上のヘテロ原子を組み込む基(例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールなど)と関連付けられる場合、xおよびyは、炭素原子およびヘテロ原子を含む、周期中の最小および最大原子数をそれぞれ定義する。
【0020】
用語「ヘテロ原子」は、これらに限定されないが、窒素、酸素、または硫黄などの、炭素および水素以外の原子を含み、任意の酸化形態の窒素または硫黄、置換形態の窒素、および任意の四級化形態の塩基性窒素を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、典型的には1~20個の炭素原子を含む飽和、直鎖、または分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。例えば、「Cアルキル」は、1~8個の炭素原子を含む。アルキルラジカルの例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、オクチルラジカルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、1つ以上の二重結合および典型的には2~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを示す。例えば、「Cアルケニル」は、2~8個の炭素原子を含む。アルケニル基としては、これらに限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、l-メチル-2-ブテン-l-イル、ヘプテニル、オクテニルなどが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、1つ以上の三重結合および典型的には2~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを示す。例えば、「Cアルキニル」は、2~8個の炭素原子を含む。代表的なアルキニル基としては、これらに限定されないが、例えば、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、ヘプチニル、オクチニルなどが挙げられる。
【0024】
用語「シクロアルキル」、「脂環式」、「炭素環式、」、および同等の表現は、3~15個の環員を有する、スピロ(1つの原子を共有する)、縮合(少なくとも1つの結合を共有する)、または架橋(2つ以上の結合を共有する)炭素環式環系を含む、単環式または多環式環系における飽和または部分不飽和(非芳香族)炭素環式環を含む基を指す。シクロアルキル基の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテン-1-イル、シクロペンテン-2-イル、シクロペンテン-3-イル、シクロヘキシル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘキセン-2-イル、シクロヘキセン-3-イル、シクロヘプチル、ビシクロ[4,3,0]ノナニル、ノルボルニルなどが挙げられる。シクロアルキルという用語は、非置換シクロアルキル基および置換シクロアルキル基の両方を含む。用語「Cシクロアルキル」は、環構造中に3個~示される「n」の数の炭素原子を有するシクロアルキル基を指す。炭素数が別段の指定がない限り、本明細書で使用される場合、「低級シクロアルキル」基は、それらの環構造中に少なくとも3個および8個以下の炭素原子を有する。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクリル」などは、互換的に使用され、上記に定義されるように、飽和または部分不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、1つ以上、好ましくは1~4個のヘテロ原子を有する、化学的に安定した3~7員単環式または7~10員二環式ヘテロシクロアルキル部分を指す。一例として、酸素、硫黄、または窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を有する飽和または部分不飽和の環において、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルと同様)、ΝΗ(ピロリジニルと同様)、またはNR(N-置換ピロリジニルと同様)であってもよい。ヘテロシクロアルキルは、化学的に安定した構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合することができ、環原子のうちのいずれかは任意選択で置換されることができる。ヘテロシクロアルキル基の例としては、これらに限定されないが、1,3-ジオキソラニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロジチエニル、テトラヒドロチエニル、チオモルホリノ、チオキサニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、3-アザビシクロ[3,1,0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4,1,0]ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基はまた、ラジカルまたは結合点がヘテロシクロアルキル環上にある場合、ヘテロシクロアルキル環が、インドリニル、3H-インドリル、クロマニル、クロメニル、フェナンチリジニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、オクタヒドロインドリル、またはテトラヒドロキノリニルなどの、1つ以上のアリール、ヘテロアリール、または脂環式環に縮合される基を含む。ヘテロシクロアルキル基は、単環式または二環式であり得る。用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクロアルキルによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分およびヘテロシクリル部分は独立して任意選択で置換されている。例えば、用語「Cヘテロシクロアルキル」は、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環構造中に3個~示される「n」の数の原子を有するヘテロシクロアルキル基を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「部分不飽和」は、環原子間に少なくとも1つの二重結合または三重結合を含むが芳香族ではない環部分を指す。用語「部分不飽和」は、不飽和の複数の部位を有する環を包含することを意図しているが、本明細書に定義されるアリールまたはヘテロアリール部分を含むことを意図していない。
【0027】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、「アリールオキシ」、または「アリールオキシアルキル」のようなより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、4n+2コンジュゲート化π(pi)電子を有する芳香族基を指す(式中、nは、単環式部分または合計6~15個の環員を有する二環式もしくは三環式縮合環系において1~3の整数であり、系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、系中の各環は3~7個の環員を含む)。用語「アリール」は、表現「アリール環」と互換的に使用され得る。本明細書のある特定の実施形態では、「アリール」は、1つ以上の置換基を担持し得る、これらに限定されないが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アズレニル、アントラシルなどの、芳香族環または環系を指す。用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール環に結合したアルキル残基を指す。アラルキルの例としては、これらに限定されないが、ベンジル、フェネチルなどが挙げられる。また、本明細書で使用されるように、用語「アリール」の範囲内には、芳香族環が、インダニル、インデニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フルオレニル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなどの1つ以上の非芳香族環に縮合される基も含まれる。用語「Cアリール」は、環構造中に6個~示される「n」の数の原子を有するアリール基を指す。
【0028】
単独で、またはより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」、例えば、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアラルコキシ」は、4n+2のコンジュゲート化π(pi)電子を有する芳香族基を指す(式中、nは、1~3の整数(例えば、5~18個の環原子、好ましくは、5、6、または9個の環原子を有する;環状アレイで共有される6、10、または14個のπ電子を有する)であり、炭素原子に加えて、1~5個のヘテロ原子を有する)。用語「ヘテロ原子」は、上記に定義されるとおりである。ヘテロアリールは、単一の環、または2つ以上の縮合環であり得る。用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、ヘテロ芳香族環が1つ以上のアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキル環に縮合される基も含む。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、チエニル、フラニル(フリル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、3H-インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピロロピリジニル(例えば、ピロロ[3,2-b]ピリジニルまたはピロロ[3,2-c]ピリジニル)、ピラゾロピリジニル(例えば、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル)、フロピリジニル、プリニル、イミダゾピラジニル(例えば、イミダゾ[4,5-b]ピラジニル)、キノリル(キノリニル)、イソキノリル(イソキノリニル)、キノロニル、イソキノロニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、ナフチリジニル、ならびにプテリジニルカルバゾリル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3-b]-l,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。ヘテロアリール基は、単環式または二環式であり得る。ヘテロアリール基は、任意選択で置換された環を含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分およびヘテロアリール部分は独立して任意選択で置換されている。例としては、これらに限定されないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられる。例えば、用語「Cヘテロアリール」は、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環構造中に5個~示される「n」の数の原子を有するヘテロアリール基を指す。
【0029】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、ハロゲン原子、すなわち、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素または塩素を示す。
【0030】
本明細書に記載されるように、本明細書の化合物は、「任意選択で置換された」部分を含み得る。一般に、用語「置換された」は、指定された部分の1つ以上の水素が好適な置換基で置き換えられていることを意味する。別段の示唆がない限り、「任意選択で置換された」基は、基のいずれかまたは各置換可能な位置に好適な置換基を有してもよく、任意の所与の構造内の2つ以上の位置が、特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換されてもよい場合、置換基は、各位置で同じであっても異なっていてもよい。本明細書の下で想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、化学的に安定または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で使用される場合、用語「化学的に安定」は、それらの生成、検出、ならびにある特定の実施形態では、本明細書に開示される目的のうちの1つ以上に対するそれらの回復、精製、および使用を可能にするための条件に供されたときに実質的に変化しない化合物を指す。
【0031】
置換基の例としては、これらに限定されないが、ハロゲン(F、CI、Br、I)、OH、COH、アルコキシ、オキソ、チオオキソ、NO、CN、CF、CHF、NH、NHアルキル、NHアルケニル、NHアルキニル、NHシクロアルキル、NHアリール、NHヘテロアリール、NHヘテロシクロアルキル、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、O-アルキル、O-アルケニル、O-アルキニル、O-シクロアルキル、O-アリール、O-ヘテロアリール、O-ハロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、C(O)アルキル、C(O)アルケニル、C(O)アルキニル、C(O)シクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)ヘテロシクロアルキル、COアルキル、COアルケニル、COアルキニル、COシクロアルキル、COアリール、COヘテロアリール、COヘテロシクロアルキル、OC(O)アルキル、OC(O)アルケニル、OC(O)アルキニル、OC(O)シクロアルキル、OC(O)アリール、OC(O)ヘテロアリール、OC(O)ヘテロシクロアルキル、C(O)NH、C(O)NHアルキル、C(O)NHアルケニル、C(O)NHアルキニル、C(O)NHシクロアルキル、C(O)NHアリール、C(O)NHヘテロアリール、C(O)NHヘテロシクロアルキル、OCOアルキル、OCOアルケニル、OCOアルキニル、OCOシクロアルキル、OCOアリール、OCOヘテロアリール、OCOヘテロシクロアルキル、OC(O)NH、OC(O)NHアルキル、OC(O)NHアルケニル、OC(O)NHアルキニル、OC(O)NHシクロアルキル、OC(O)NHアリール、OC(O)NHヘテロアリール、OC(O)NHヘテロシクロアルキル、NHC(O)アルキル、NHC(O)アルケニル、NHC(O)アルキニル、NHC(O)シクロアルキル、NHC(O)アリール、NHC(O)ヘテロアリール、NHC(O)ヘテロシクロアルキル、NHCOアルキル、NHCOアルケニル、NHCOアルキニル、NHCOシクロアルキル、NHCOアリール、NHCOヘテロアリール、NHCOヘテロシクロアルキル、NHC(O)NH、NHC(O)NHアルキル、NHC(O)NHアルケニル、NHC(O)NHアルケニル、NHC(O)NHシクロアルキル、NHC(O)NHアリール、NHC(O)NHヘテロアリール、NHC(O)NHヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH、NHC(S)NHアルキル、NHC(S)NHアルケニル、NHC(S)NHアルキニル、NHC(S)NHシクロアルキル、NHC(S)NHアリール、NHC(S)NHヘテロアリール、NHC(S)NHヘテロシクロアルキル、NHC(NH)NH、NHC(NH)NHアルキル、NHC(NH)NHアルケニル、NHC(NH)NHアルケニル、NHC(NH)NHシクロアルキル、NHC(NH)NHアリール、NHC(NH)NHヘテロアリール、NHC(NH)NHヘテロシクロアルキル、NHC(NH)アルキル、NHC(NH)アルケニル、NHC(NH)アルケニル、NHC(NH)シクロアルキル、NHC(NH)アリール、NHC(NH)ヘテロアリール、NHC(NH)ヘテロシクロアルキル、C(NH)NHアルキル、C(NH)NHアルケニル、C(NH)NHアルキニル、C(NH)NHシクロアルキル、C(NH)NHアリール、C(NH)NHヘテロアリール、C(NH)NHヘテロシクロアルキル、S(O)アルキル、S(O)アルケニル、S(O)アルキニル、S(O)シクロアルキル、S(O)アリール、S(O)アルキル、S(O)アルケニル、S(O)アルキニル、S(O)シクロアルキル、S(O)アリール、S(O)ヘテロアリール、S(O)ヘテロシクロアルキル、SONH、SONHアルキル、SONHアルケニル、SONHアルキニル、SONHシクロアルキル、SONHアリール、SONHヘテロアリール、SONHヘテロシクロアルキル、NHSOアルキル、NHSOアルケニル、NHSOアルキニル、NHSOシクロアルキル、NHSOアリール、NHSOヘテロアリール、NHSOヘテロシクロアルキル、CHNH、CHSOCH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、炭素環式、ヘテロシクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、SH、S-アルキル、S-アルケニル、S-アルキニル、S-シクロアルキル、S-アリール、S-ヘテロアリール、S-ヘテロシクロアルキル、またはメチルチオメチルが挙げられる。これらの置換基の各々はまた、可能な場合、さらに置換され得る。
【0032】
したがって、本明細書および以下の段落で定義されるテトラヒドロピリダジン化合物に対する本文書。化学部分を指す場合、変数の任意の定義における化学基のリストの列挙は、列挙された基の任意の単一の基または組み合わせとしてのその変数の定義を含む。同様に、本明細書の変数に対する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその部分と組み合わせて、その実施形態を含む。そのため、以下の実施形態は、単独で、または該当する場合には組み合わせて存在する。
【0033】
本化合物は、定義された置換基に結合しているテトラヒドロピリダジンコア構造を提示する。本明細書に定義される例示的な化合物は、一般式I
【化13】
(式中、
は、各出現において独立して、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、任意選択で置換されたアルコキシ、アミノ、任意選択で置換されたアルキルスルホニル、任意選択で置換されたアリール、任意選択で置換されたヘテロアリール、任意選択で置換されたカルボキシル、アシル、任意選択で置換されたアルケニル、任意選択で置換されたアルキニル、任意選択で置換されたホスホニル、任意選択で置換されたホスフィニル、任意選択で置換されたボロネート、任意選択で置換されたシリル、およびイミノから選択され、
およびRは各々独立して、任意選択で置換されたアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキル基から選択され、
は、-C(O)R、-S(O)、-C(=NR)R、および-C(=NR)NHC(O)Rから選択され、
は、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択され、
は、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルコキシ、任意選択で置換されたアルキルアミノもしくはジアルキルアミノ、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、および任意選択で置換されたヘテロアリールから選択されるか、またはRは、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルもしくはヘテロアリールを形成し、
は、SOおよびC=Oから選択され、
aは、0、1、2、3、4、または5である)によって例示され、
またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩である。
【0034】
上記の式において、化合物は、特定の異性体、例えば、式I(a)のもの
【化14】
(式中、R~R、X、およびaは、前に定義されたとおりである)、またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩に富んでいてもよい。
【0035】
上記の式において、化合物は、異なる異性体、例えば、式I(b)の異性体
【化15】
(式中、R~R、X、およびaは、前に定義されたとおりである)、またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩に富んでいてもよい。
【0036】
上記の式のいくつかの例では、Rは、-C(O)R、-C(=NR)R、または-C(=NR)NHC(O)Rであり、好ましくは、Rは、-C(=NR)NHC(O)Rである。
【0037】
は、任意選択で置換されたC1-6アルキル、任意選択で置換されたC1-6アルコキシ、または任意選択で置換されたC1-6アルキルアミノもしくはジC1-6アルキルアミノ基として定義されてもよく、例えば、Rは、メチル、エチル、プロピルなどのC1-6アルキル基(例えば、メチル基)であり得る。
【0038】
はまた、任意選択で置換されたシクロアルキル、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択で置換されたアリール、または任意選択で置換されたヘテロアリール基として定義され得る。
【0039】
いくつかの化合物において、Rは、Hである。他の化合物において、Rは、Rおよびそれらの隣接する原子と一緒になって、任意選択で置換されたヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールを形成し得る。
【0040】
いくつかの例では、Xは、C=Oであり得る。他の例では、Xは、SOである。
【0041】
例えば、式I、I(a)、およびI(b)の化合物において、Rは、ハロゲン原子であり、例えば、Rは、塩素原子である。
【0042】
式I、式I(a)、および式I(b)の化合物のいくつかは、任意選択で置換されたC2-6アルキル基であるR基を含み得る。他の化合物において、Rは、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基であり得る。
【0043】
例えば、Rは、以下の式の官能基
【化16】
(式中、
は、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
は、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのRは、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
は、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
10は、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cは、0、1、2、3、4、または5である)であってもよく、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0044】
代替的に、Rは、以下の式の官能基
【化17】
(式中、
、X、X、X、およびXは各々独立して、NおよびCR11から選択され、X、X、X、X、およびXのうちの最大で3つは、Nであり、
11は、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
cは、0、1、2、3、4、または5である)であってもよく、
、R、およびR10は、本明細書に定義されるとおりであり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0045】
一方で、Rは、むしろ以下の式の官能基
【化18】
(式中、
は、NおよびCR11から選択され、
、X、X10、X11、およびX12は各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X、X、X、X10、X11、およびX12のうちの最大で2つは、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
は、各出現において独立して、水素、C(O)R、C(O)N(R、SO、SON(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
は、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R、C(O)N(R、C(R10)=NR10、SO、SON(R、N(R10)C(O)R、N(R10)SO、N(R10)C(O)N(R、N(R10)SON(R、N(R、P(O)(R、P(O)(OR、B(OR、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
、R、R10、およびR11は、本明細書に定義されるとおりである)であってもよく、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0046】
いくつかの例では、R11またはRは、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FまたはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である。他の例では、R11またはRは、各出現において水素原子である。
【0047】
式I、式I(a)、および式I(b)の化合物のいくつかは、任意選択で置換されたC2-6アルキル基であるR基を含み得る。他の化合物において、Rは、任意選択で置換されたCアリール、C5-6ヘテロアリール、またはC5-7ヘテロシクロアルキル基であり得る。
【0048】
例えば、Rは、以下の式の官能基
【化19】
(式中、
12は、各出現において独立して、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
13は、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキル、Cアリール、およびC5-10ヘテロアリールから選択されるか、または2つのR13は、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
14は、各出現において独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
15は、各出現において独立して、H、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-7シクロアルキル、Cアリール、およびC5-6ヘテロアリールから選択され、
cは、0、1、2、3、4、または5である)であってもよく、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0049】
代替的に、Rは、以下の式の官能基
【化20】
(式中、
13、X14、X15、X16、およびX17は各々独立して、NおよびCR16から選択され、X13、X14、X15、X16、およびX17のうちの最大で3つは、Nであり、
16は、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
cは、0、1、2、3、4、または5である)であってもよく、
13、R14、およびR15は、本明細書に定義されるとおりであり、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0050】
または、Rは、以下の式の官能基
【化21】
(式中、
18は、NおよびCR16から選択され、
19、X20、X21、X22、およびX23は各々独立して、O、NR、およびC(Rから選択され、X18、X19、X20、X21、X22、およびX23のうちの最大で2つは、OもしくはNであるか、またはそれらを含み、
は、各出現において独立して、水素、C(O)R14、C(O)N(R13、SO14、SON(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
は、各出現において独立して、水素、ハロゲン、OH、CN、NO、C(O)R14、C(O)N(R13、C(R15)=NR15、SO14、SON(R13、N(R15)C(O)R14、N(R15)SO14、N(R15)C(O)N(R13、N(R15)SON(R13、N(R13、P(O)(R13、P(O)(OR13、B(OR13、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、OC1-6アルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、およびC4-10ヘテロシクロアルキルから選択されるか、または2つのRが、それらの隣接する原子と一緒になって、C4-10シクロアルキルもしくはC4-10ヘテロシクロアルキル基を形成し、
13、R14、R15、およびR16は、本明細書に定義されるとおりである)であってもよく、
当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基は、任意選択でさらに置換されている。
【0051】
いくつかの例では、R16またはRは、各出現において水素原子である。他の例では、R16またはRは、少なくとも1つの出現において、ハロゲン(例えば、FまたはCl)またはハロゲン化C1-6アルキル(例えば、フッ素化C1-3アルキル)である。
【0052】
式Iの化合物の非限定的な例は、
【化22】
またはその異性体および/もしくは互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0053】
式I(a)の化合物の非限定的な例は、
【化23】
またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0054】
式I(b)の化合物の非限定的な例は、
【化24】
またはその互変異性体、またはそれらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0055】
これらの化合物は、以下の実施例のセクションに記載されるものなどの従来の化学合成によって調製されてもよい。当業者によって理解され得るように、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法は、当業者に明らかであろう。さらに、様々な合成工程は、所望の化合物を得るために、代替的な配列または順序で行われ得る。
【0056】
本明細書で定義される化合物は、対象者への投与のために医薬組成物中で製剤化することができ、化合物は通常、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤と混合される。
【0057】
表現「薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤」および同等の表現は、製剤化される化合物の薬理学的活性を破壊しない非毒性担体、希釈剤、または賦形剤を指す。
【0058】
本明細書に記載の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻腔に、頬側に、または埋め込まれたリザーバーを介して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、肝臓内、および病変内注射または注入技術を含む。他の投与様式はまた、皮内投与または経皮投与を含む。
【0059】
例えば、経口投与のための固形剤形には、カプセル、錠剤、丸剤、および顆粒が含まれる。好ましい代替形態では、組成物は、本明細書に記載の化合物および前述の段落に定義される少なくとも1つの結合剤を含む固形剤形であり、結合剤は、好ましくは、微結晶性セルロースを含む。
【0060】
本開示の経口組成物に使用され得る薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤としては、これらに限定されないが、結合剤、甘味料、崩壊剤、希釈剤、香味剤、コーティング剤、防腐剤、潤滑剤、および/またはポリマーが挙げられる。結合剤の例としては、微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース系物質、ならびにアカシアゴム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、またはポリエチレングリコール(PEG)などの他の結合剤が挙げられる。甘味料の例としては、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、またはサッカリンが挙げられる。崩壊剤としては、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸、または寒天が挙げられる。希釈剤の例としては、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはリン酸二カルシウムが挙げられる。香味剤としては、ペパーミントオイル、ウインターグリーンのオイル、チェリー、オレンジ、またはラズベリー香味剤が挙げられる。コーティング剤としては、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸および/もしくはそれらのエステルのポリマーもしくはコポリマー、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、シェラック、またはグルテンが挙げられる。好適な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファ-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクが挙げられる。賦形剤の例としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(PVP-VA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒプロメロース-アセテート-スクシネート(HPMCAS)、およびそれらの混合物から成る群から選択されるポリマーがさらに挙げられ得る。
【0061】
本組成物はまた、軟質および硬質充填カプセル中の充填剤として用いられてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤技術で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルで調製され得る。それらは、任意選択で、乳化剤を含んでもよく、また、任意選択で、遅延様式で、腸管のある特定の部分においてのみ、または優先的に、活性成分を放出する組成物のものであり得る。使用され得る埋め込み組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。組成物はまた、上述の1つ以上の賦形剤とともにマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0062】
経口投与用の液体剤形としては、これらに限定されないが、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤に加えて、これらの経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、界面活性剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤などのアジュバントも含み得る。
【0063】
注射可能な調製物、例えば、滅菌注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化されてもよい。滅菌注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能な溶液、懸濁液、またはエマルションであってもよい。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒としては、水、リンゲル溶液(米国薬局方)、および等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、滅菌固定油は、従来、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激固定油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0064】
注射可能製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の滅菌注射可能媒体中に溶解もしくは分散され得る滅菌固形組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0065】
提供される化合物の効果を延長するために、多くの場合、皮下注射または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性または非結晶性材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次いで、化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、溶解速度は、順に、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与化合物形態の吸収の遅延は、化合物を油ビヒクル中に溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポ形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。化合物対ポリマーの比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。
【0066】
他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポ注射可能製剤はまた、身体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに化合物を閉じ込めることによって調製される。
【0067】
本明細書の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、またはパッチが挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容可能な担体、および必要とされ得る場合に任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼科製剤、点耳薬、および点眼薬もまた、本明細書の範囲内であると企図される。さらに、本明細書は、経皮パッチの使用を企図し、これは、化合物の体への制御された送達を提供するという追加の利点を有する。かかる剤形は、化合物を適切な媒体中に溶解または分配することによって作製することができる。吸収促進剤を使用して、皮膚にわたる化合物の流動を増加させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することによって、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲル中に分散させることによって、制御することができる。
【0068】
本明細書に提供される薬学的に許容可能な組成物はまた、鼻エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。かかる組成物は、医薬製剤分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティを強化するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0069】
単一剤形で組成物を生成するために担体材料と組み合わせられ得る化合物の量は、治療される患者および特定の投与様式に応じて変化する。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、例えば、研究者または臨床医によって、求められている組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する化合物の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」は、かかる量を受けていない対応する対象者と比較して、疾患、障害、もしくはその症状の治療、治癒、予防、もしくは改善、または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、正常な生理学的機能を強化するのに効果的なその範囲内の量を含む。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「治療」、「治療する」、および「治療すること」は、本明細書に記載される疾患もしくは障害、またはその1つ以上の症状の逆転、軽減、発症の遅延、または進行の阻害を指す。いくつかの実施形態では、治療は、1つ以上の症状が発症した後に投与され得る。他の実施形態では、治療は、症状の非存在下で投与されてもよい。例えば、治療は、症状の発症前に(例えば、症状の既往歴に照らして、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らして)感受性個体に投与されてもよい。治療はまた、例えば、それらの再発を予防または遅延するために、症状が消失した後に継続され得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「患者」または「対象者」は、哺乳動物などの動物を指す。したがって、対象者は、例えば、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、ヒトを含む霊長類などを指す場合がある。好ましくは、対象者は、ヒトである。
【0073】
本化合物は、カンナビノイド受容体CBの阻害が示される疾患および障害の治療に有用である。したがって、ここで、本明細書に定義される疾患または障害の治療のための本化合物の使用、本明細書に定義される疾患または障害の治療のための医薬品の製造における本化合物の使用、本疾患または障害の治療において使用するための本明細書に定義される化合物、および本化合物のうちの1つを、それを必要とする対象者に投与することを含む、本明細書に定義される疾患または障害を治療するための方法が企図される。かかる疾患および障害は、概して、糖尿病および代謝障害(例えば、代謝症候群)に関連し得る。好ましくは、化合物は、脳組織内のCB受容体と相互作用しないか、または主に相互作用しない一方で、末梢組織(例えば、脂肪組織、肝臓、筋肉、肺、腎臓、マクロファージ、脾臓ベータ細胞、および胃腸管)内のCB受容体を選択的に標的化し、それによってCNS関連副作用を回避または低減する。
【0074】
本化合物の効果は、食物摂取量の低減、体重の低減、インスリンおよびレプチン抵抗性の逆転、肝脂肪症(脂肪肝)の逆転、ならびに脂質異常症の改善を含み得る。治療される疾患および障害の例としては、肥満、糖尿病(I型またはII型)、非アルコール性およびアルコール性脂肪性肝疾患(インスリン抵抗性のリスク因子)、肥満の併存疾患、糖尿病の併存疾患、プラダー・ウィリー症候群(PWS)、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損症肥満、レプチン受容体(LepR)欠損症肥満、POMCヘテロ接合性欠損症肥満、POMCエピジェネティック障害、バルデー・ビードル(BB)症候群、アルストレーム症候群、動脈硬化性心疾患にかかりやすい脂質異常症、糖尿病性腎症、特発性肺線維症(IPF)などの皮膚、肝臓、肺、または腎臓の線維症および線維性疾患、進行性線維症間質性肺疾患、ヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、肝硬変、腎線維症、強皮症、ならびに痛風が挙げられる。加えて、皮膚の障害には、瘢痕形成(瘢痕、ケロイド)および脱毛症、特に男性型脱毛症および代謝症候群に関連するものを低減することが含まれる。例えば、肥満の併存疾患は、代謝症候群、認知症、心疾患、認知症、心疾患、高血圧、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変形性関節炎、静脈うっ滞性潰瘍、肺低換気症候群、睡眠時無呼吸、いびき、肥満喘息、冠動脈疾患、動脈硬化症、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、および肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺、または胆嚢の悪性腫瘍の発生率の増加から選択される。好ましい例では、疾患または障害には、糖尿病(I型またはII型)、肥満、および非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪肝炎)が含まれる。糖尿病(例えば、I型)の併存疾患の例としては、糖尿病性腎症、慢性腎臓疾患、糖尿病性網膜症、ならびに末梢性および自律神経障害が挙げられる。
【0075】
上記のものを含む、治療される疾患、障害、および状態は、様々な分類に分けられてもよく、一方で、状態の一部は、所与の1つの対象者でも共存してもよい。分類の例としては、食欲に関連する障害およびそれらの合併症、グルコース調節に関連する障害およびそれらの合併症、線維症関連障害およびそれらの合併症、代謝に関連する障害およびそれらの合併症、皮膚および毛髪の成長および治癒に関連する障害、胃腸管に関連する障害、ならびに肥満に関連する障害およびそれらの合併症が挙げられる。
【0076】
食欲に関連する障害およびそれらの合併症の例としては、限定されないが、プラダー・ウィリー症候群(PWS)、視床下部性肥満、プロオピオメラノコルチン(POMC)欠損症(POMC肥満、ヘテロ接合性POMC欠損症肥満、POMCエピジェネティック障害を含む)、レプチン受容体(LepR)欠損症、バルデー・ビードル(BB)症候群、およびアルストレーム症候群が挙げられる。
【0077】
グルコース調節に関連する障害およびそれらの合併症の例としては、限定されないが、I型糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性、前糖尿病、膵臓疾患(β細胞保護および/またはインスリン産生の増加による)、および関連する腎症、神経障害、ならびに網膜症が挙げられる。
【0078】
線維症関連障害またはそれらの合併症の例としては、限定されないが、間質性肺疾患に関連する進行性線維症、特発性肺線維症(IPF)、ヘルマンスキー・パドラック症候群肺線維症(HPS-PF)、肝硬変および他の肝臓線維症障害(非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性胆管炎など)、線維性腎臓疾患 皮膚線維性障害(強皮症など、ならびに慢性腎臓疾患が挙げられる。
【0079】
代謝に関連する障害またはそれらの合併症の例としては、限定されないが、代謝症候群および高脂血症(例えば、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロールの状況での高トリグリセリド血症、LDLおよび/もしくは総コレステロールおよび/もしくはVLDLの上昇、ならびに/またはアポリポタンパク質Bの上昇、アテローム性動脈硬化性心血管疾患など)が挙げられる。
【0080】
肥満に関連する障害またはそれらの合併症の例としては、限定されないが、睡眠時無呼吸、いびき、喘息、肺低換気症候群、認知症、心疾患、高血圧、胆嚢疾患、胃腸障害、月経不順、変形性関節炎、静脈うっ滞性潰瘍、冠動脈疾患、動脈硬化症、偽脳腫瘍、変形性関節症、高コレステロール、および肝臓、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、前立腺、または胆嚢の悪性腫瘍の発生率の増加が挙げられる。
【0081】
皮膚および毛髪の障害の例としては、とりわけ、脱毛症(代謝症候群に関連する男性型脱毛症および脱毛症)、過剰な瘢痕形成(瘢痕およびケロイド)、および強皮症が挙げられる。
【0082】
胃腸管に関連する障害の例としては、便秘、過敏性腸症候群、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸症候群などが挙げられる。
【0083】
筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、脊髄性筋萎縮症、およびその他を含む筋消耗障害を含む、他の障害もまた本化合物から利益を得ることができる。
【0084】
本固形化合物および組成物はまた、対象者における脂肪組織の堆積を予防または逆転させるための方法において使用されてもよく、これは肥満の発生率または重症度の低減に寄与することが予想され、これは結果として関連する併存疾患の発生率または重症度を低減することになる。
【0085】
本明細書は、対象者における障害(本明細書に記載される)を治療する方法を提供し、方法は、それを必要とすると特定された対象者に、本明細書の化合物または組成物を投与することを含む。上述の障害の治療を必要とするそれらの患者の特定は、十分に当業者の能力および知識の範囲内である。主題の方法によって治療され得る上記の障害を発症するリスクがある患者の特定のためのある特定の方法は、家族歴、および主題の患者におけるその疾患状態の発症に関連するリスク因子の存在などの医療技術分野で理解される。当該技術分野の臨床医は、例えば、臨床検査、身体検査、病歴/家族歴、および遺伝子判定の使用によって、かかる候補患者を容易に特定することができる。
【0086】
対象者における治療の有効性を評価する方法は、当該技術分野で周知の方法によって障害の治療前症状を決定し、次いで、治療有効量の本明細書の化合物を対象者に投与することを含む。化合物の投与後の適切な期間(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、6ヶ月)の後、障害の症状を再評価する。障害の症状および/またはバイオマーカーの調節(例えば、減少)は、治療の有効性を示す。障害の症状および/またはバイオマーカーは、治療全体を通して定期的に決定され得る。例えば、障害の症状および/またはバイオマーカーは、治療のさらなる有効性を評価するために、数日、数週間、または数ヶ月毎に確認され得る。障害の症状および/またはバイオマーカーの減少は、治療が有効であることを示す。
【0087】
本明細書に提供される医薬組成物は、好ましくは、経口投与に適合される。かかる製剤は、食物とともに、または食物なしで投与されてもよい。組成物は、投与の容易さおよび用量の均一性のために単位剤形で製剤化される。本明細書で使用される場合、表現「単位剤形」は、治療される患者に適した物理的に個別の薬剤単位を指す。しかしながら、本開示の固形分散剤および組成物の合計1日用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医師によって決定されることが理解されよう。
【0088】
単一剤形に含まれ得る組成物の量は、治療される患者(例えば、小児対成人など)および組成物に含まれる特定の化合物に応じて変化する。提供される組成物は、例えば、化合物の0.01~100mg/kg体重/日または0.01~20mg/kg体重/日の合計1日用量が、これらの組成物を受けている患者に投与され得るように製剤化され得る。単回用量組成物は、かかる量を含んでもよいか、または合計1日用量は、例えば、1日1回、2回、もしくは3回摂取されるように、複数の剤形に分割されてもよい。例えば、単回用量は、5~500mgの活性成分、または20~200mgを含み得る。治療レジメンは、患者に、1日当たりの約10mg~約1000mgの本明細書の化合物の総量を、単回用量で、または複数回用量に分割して投与することを含み得る。
【0089】
化合物の合計1日用量は、健全な医学的判断の範囲内で担当医師によって決定されることが理解されよう。例えば、任意の特定の患者に対する特定の用量または治療レジメンは、年齢、体重、一般健康、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬剤の組み合わせ、治療する医師の判断、および疾患または障害に関連する症状の重症度を含む、様々な因子に依存する。
【0090】
治療される疾患または障害に応じて、追加の治療剤も、本開示の組成物中に存在してもよいか、または別々に同時投与されてもよい。本固形分散剤および製剤と組み合わせて使用され得る追加の治療剤の非限定的な例としては、抗糖尿病薬、コレステロール低下薬、抗炎症剤、抗菌剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、サイトカイン拮抗薬、免疫抑制剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、サイトカイン、成長因子、免疫調節剤、プロスタグランジン、または抗血管過増殖化合物が挙げられる。治療はまた、手術、放射線療法(例えば、ガンマ放射線、中性子線放射線療法、電子線放射線療法、プロトン療法、小線源療法、および全身放射性同位体)、生物学的応答調節剤(例えば、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF))、および本化合物または同時投与される成分の有害作用を減弱するために使用される薬剤などの他の治療または介入によって補完され得る。
【0091】
本明細書の変数に対する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその部分と組み合わせて、その実施形態を含む。本明細書の実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として、または任意の他の実施形態もしくはその部分と組み合わせて、その実施形態を含む。
【実施例
【0092】
以下の非限定的な例は、例示的な実施形態であり、本発明の範囲をさらに限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施例は、添付の図面を参照してより十分に理解されるであろう。
【0093】
別段の示唆がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分、反応条件、濃度、特性、安定性などの量を表現する全ての数は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効桁数を考慮して、かつ通常の四捨五入技術を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、取得しようとする特性に応じて変化し得る近似値である。実施形態の広範な範囲を記載する数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載の数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、実験、試験測定値、統計分析などの変量から生じるある特定の誤差を本質的に含む。
【0094】
[実施例1-中間体I-1の合成]
スキーム1は、以下に示される中間体I-1を調製するための合成の例を示す。
【化25】
【0095】
工程1:化合物A-2の合成
ジメチルスルホキシド(45mL)中の水素化ナトリウム(3.5g、86.7mmol、純度60%、1当量)の混合物に、ジメチルスルホキシド(111mL)中の1-(4-クロロフェニル)-2-フェニル-エタノンA-1(20g、86.7mmol、1当量)の溶液を添加した。次いで、トルエン(68mL)中の2-ブロモ酢酸メチル(13.3g、86.7mmol、8.2mL、1当量)の溶液を添加し、混合物を25℃で16時間撹拌した。混合物を塩酸(1M、200mL)に注ぎ、酢酸エチル600mL(3×200mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、残渣を得た。残渣を石油エーテル(100mL)で粉砕して、生成物4-(4-クロロフェニル)-4-オキソ-3-フェニル-ブタン酸メチルA-2(17.0g)を淡い黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.08-7.99(m,2H),7.57-7.51(m,2H),7.36-7.27(m,4H),7.24-7.18(m,1H),5.25(m,1H),3.57(s,3H),3.23(m,1H),2.74(m,1H).
【0096】
工程2:化合物A-3の合成
エタノール(35mL)中の4-(4-クロロフェニル)-4-オキソ-3-フェニル-ブタン酸メチルA-2(17g、56.2mmol、1当量)の溶液に、水(35mL)中の水酸化ナトリウム(22.5g、561.5mmol、10当量)の溶液を添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。エタノールの蒸発後、残渣を水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で洗浄した。次いで、水層を6N塩酸(50mL)によって酸性化し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、生成物4-(4-クロロフェニル)-4-オキソ-3-フェニル-ブタン酸A-3(13g)を淡い黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=12.31(br s,1H),8.03(d,J=8.8Hz,2H),7.53(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.26(m,4H),7.23-7.17(m,1H),5.19(m,1H),3.16(m,1H),2.63(m,1H).
【0097】
工程3:化合物A-4の合成
エタノール(344mL)中の4-(4-クロロフェニル)-4-オキソ-3-フェニル-ブタン酸A-3(13g、45.0mmol、1当量)の溶液に、ヒドラジン水和物(90.1mmol、4.5mL、純度98%、2当量)を添加した。次いで、混合物を80℃で16時間撹拌した。混合物を冷却し、濾過した。濾過ケーキを乾燥させて、3-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピリダジン-6-オンA-4(10.1g、粗製)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.22(s,1H),7.74(d,J=8.8Hz,2H),7.44(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.29(m,2H),7.27-7.22(m,1H),7.20-7.16(m,2H),4.68(d,J=7.2Hz,1H),3.09(m,1H),2.47(s,1H).
【0098】
工程4:中間体I-1の合成
テトラヒドロフラン(10mL)中の3-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-4,5-ジヒドロ-1H-ピリダジン-6-オンA-4(1g、3.5mmol、1当量)の溶液に、水素化アルミニウムリチウム(400mg、10.5mmol、3当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を70℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル、5:1)によって精製して、生成物3-(4-クロロフェニル)-4-フェニル-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン(中間体I-1、730mg)を黄色の固体として得た。

H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=7.67(s,1H),7.50-7.43(m,2H),7.32-7.12(m,7H),4.15(d,J=4.4Hz,1H),3.10-3.03(m,1H),2.92(m,1H),2.19-2.06(m,1H),1.87-1.77(m,1H).
【0099】
[実施例2-中間体I-2の合成]
以下に定義される中間体I-2の一部は、市販されてもよく、他のものは、様々な手順を通して調製されてもよい。スキーム2~4は、中間体I-2の調製に使用され得る3つの手順を示す。
【0100】
(a)手順1(スキーム2):
【化26】
i.N-(4-クロロフェニル)スルホニルカルバミン酸メチル(R=4-Cl-Ph)
アセトン(35mL)および水(2.3mL)中の4-クロロベンゼンスルホンアミド(R=4-Cl-Ph、5g、26.1mmol、1当量)および炭酸カリウム(10.4g、74.9mmol、2.87当量)の溶液に、クロロギ酸メチル(36.53mmol、2.8mL、1.4当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。次いで、1M塩酸(50mL)でpHを3に調整し、混合物を酢酸エチル90mL(3×30mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物N-(4-クロロフェニル)スルホニルカルバミン酸メチルI-2(R=4-Cl-Ph、5.8g)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=12.61-11.72(m,1H),7.91(d,J=8.8Hz,2H),7.70(d,J=8.8Hz,2H),3.58(s,3H).
【0101】
ii.N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニルカルバミン酸メチル(R=3,5-F-Ph)
DCM(20mL)中の3,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド(R=3,5-F-Ph、2g、10.35mmol、1当量)の溶液に、トリエチルアミン(31.06mmol、4.3mL、3当量)を0℃で添加し、0℃で10分間撹拌した。次いで、混合物にクロロギ酸メチル(1.17g、12.42mmol、0.96mL、1.2当量)を0℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、25℃まで加温し、2時間撹拌した。混合物を重炭酸ナトリウム水溶液(30mL)で希釈し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、ブライン(5mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニルカルバミン酸メチルI-2(R=3,5-F-Ph、4.4g、粗製)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ=7.52-7.44(m,2H),6.92-6.84(m,1H),3.58-3.53.
【0102】
iii.N-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]スルホニルカルバミン酸メチル(R=5-CF-2-Py)
アセトン(10mL)および水(2mL)中の5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-スルホンアミド(1g、4.42mmol、1当量)および炭酸カリウム(1.8g、12.7mmol、2.87当量)の溶液に、クロロギ酸メチル(585mg、6.2mmol、0.5mL、1.4当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、N-[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]スルホニルカルバミン酸メチルI-2(R=5-CF-2-Py、1.3g、粗製物)を淡い黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.96(s,1H),8.32(d,J=8.0Hz,1H),8.05(d,J=8.0Hz,1H),3.30(s,3H).
【0103】
(b)手順2(スキーム3)
【化27】
工程1-化合物B-1の合成
ジメトキシエタン(10mL)中のピペリジン(11.7mmol、1.2mL、1当量)およびスルファミド(6.8g、70.5mmol、6当量)の混合物を、マイクロ波下で、120℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、Rf=0.4)によって精製して、生成物ピペリジン-1-スルホンアミドB-1(1.3g)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=6.65(s,2H),2.97-2.87(m,4H),1.56(m,4H),1.46-1.39(m,2H).
【0104】
工程2-中間体I-2(R:N-ピペリジニルを含む)の合成
アセトン(9.75mL)および水(0.65mL)中のピペリジン-1-スルホンアミドB-1(1.3g、7.9mmol、1当量)および炭酸カリウム(3.1g、22.7mmol、2.87当量)の溶液に、クロロギ酸メチル(11.1mmol、0.86mL、1.4当量)を0℃で添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。次いで、1M塩酸(30mL)でpHを3に調整し、混合物を酢酸エチル90mL(3×30mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗生成物N-(1-ピペリジルスルホニル)カルバミン酸メチル(1.8g、粗製)を黄色の油として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.23(s,1H),3.64(s,3H),3.23-3.13(m,4H),1.57-1.44(m,6H).
【0105】
(c)手順3(スキーム4)
【化28】
i.N-[(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルバミン酸メチル(R=4,4-F-ピペリジニル)
ジクロロメタン(16mL)中のクロロスルホニルイソシアネートとしても知られるN-(オキソメチレン)スルファモイルクロリド(18.2mmol、1.6mL、1.1当量)の溶液に、ジクロロメタン(3mL)中のメタノール(18.2mmol、0.7mL、1.1当量)の溶液を窒素下で、-10℃で添加し、混合物を-10℃で1時間撹拌した。ジクロロメタン(3mL)中の4,4-ジフルオロピペリジン(2g、16.5mmol、1当量)およびトリエチルアミン(33.0mmol、4.6mL、2当量)の溶液を、-10℃で添加し、混合物を25℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)によって精製して、生成物N-[(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルバミン酸メチル(1.4g)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.54(br s,1H),3.67(s,3H),3.40-3.35(m,4H),2.19-1.99(m,4H).
【0106】
ii.N-[(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルバミン酸メチル(R=3,3-F-ピペリジニル)
ジクロロメタン(16mL)中のN-(オキソメチレン)スルファモイルクロリド(14.0mmol、1.2mL、1.1当量)の溶液に、ジクロロメタン(3mL)中のメタノール(14.0mmol、0.56mL、1.1当量)の溶液を窒素下で、-10℃で添加し、混合物を-10℃で1時間撹拌した。ジクロロメタン(3mL)中の3,3-ジフルオロピペリジン(2.00g、12.69mmol、1当量、HCl)およびトリエチルアミン(38.1mmol、5.3mL、3当量)の溶液を、-10℃で添加し、混合物を25℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)によって精製して、生成物N-[(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルバミン酸メチル(1.1g)を黄色の油として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.74(s,1H),3.66(s,3H),3.52(t,J=11.6Hz,2H),3.30-3.22(m,2H),2.08-2.00(m,2H),1.80-1.66(m,2H).
【0107】
[実施例3-化合物1~8の合成および異性体の分離]
スキーム5は、化合物1~8などの本化合物の一般的な化学合成、およびそれらの異性体の分離を示す。異性体は、以下に提示されるようにキラル分離中に生じる順序に従って、異性体1および2として本明細書で以下に番号付けされることに留意されたい。この番号付けは、本明細書に記載されるAまたはB化合物構造の導入とはみなされるべきではなく、別段の示唆がない限り、スキーム5に示される立体化学の順序に関連しない。
【化29】
【0108】
(a)化合物1
が4-クロロフェニル基である化合物1(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0109】
i.中間体I-3(R=4-クロロフェニル)
トルエン(20mL)中の中間体I-2(実施例2(a)(i)、554.3mg、2.2mmol、1.2当量)および中間体I-1(実施例1、500mg、1.9mmol、1当量)の混合物を、120℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)によって精製して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-N-(4-クロロフェニル)スルホニル-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(800mg)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.23(s,1H),8.05(d,J=8.8Hz,2H),7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.74(d,J=8.8Hz,2H),7.42(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.27(m,2H),7.26-7.18(m,1H),7.13(d,J=7.2Hz,2H),4.46(d,J=3.2Hz,1H),3.97(d,J=13.2Hz,1H),2.90(m,1H),2.17-2.05(m,1H),1.94(m,1H).
【0110】
ii.中間体I-4(R=4-クロロフェニル)
アセトニトリル(10mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、819.0μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.9mmol、0.27mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.3mmol、0.38mL、4当量)を添加し、混合物を80℃で15.5時間撹拌した。混合物を、重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)中に注ぎ入れ、酢酸エチル60mL(3×20mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4(2E)-6-(4-クロロフェニル)-N-(4-クロロフェニル)スルホニル-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(400mg、粗製)を茶色の固体として得た。
【0111】
iii.化合物1(R=4-クロロフェニル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(3.5mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(279mg、2.8mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(350mg、690.6μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.5mmol、0.60mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×25mm、5um、移動相:[水(10mM重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル]、B%:49%~79%、10分)によって精製し、次いで、画分を濃縮してアセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物1、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-(4-クロロフェニル)スルホニルカルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(180mg)を白色の固体として得た。
【0112】
iv.化合物1(R=4-クロロフェニル)異性体分離
工程(iii)のラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK(商標)AD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中の60%イソプロパノール(0.1%アンモニア一水和物)、3;50分)によって分離して、以下の特性を有する化合物1の異性体1および2を得た。
【0113】
白色の固体としての異性体1(61mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.67(s,1H),8.34-7.70(m,4H),7.54(d,J=8.4Hz,4H),7.33-7.26(m,4H),7.25-7.14(m,3H),4.38(d,J=3.2Hz,1H),4.31-4.22(m,1H),3.23-3.12(m,1H),2.28-2.18(m,1H),2.13(s,3H),1.97(m,1H).
LCMS:(ES)m/z=571.1(M+H)、R=1.004分。
SFC:ee値>99%、R=0.754分。
【0114】
白色の固体としての異性体2(51mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.66(s,1H),8.36-7.72(m,4H),7.54(d,J=8.8Hz,4H),7.32-7.27(m,4H),7.25-7.15(m,3H),4.38(d,J=3.2Hz,1H),4.30-4.22(m,1H),3.23-3.11(m,1H),2.30-2.17(m,1H),2.13(s,3H),1.97(m,1H).
(M+H)、R=1.009分。
SFC:ee値>99%、R=1.543分。
【0115】
(b)化合物2
がN-ピペリジニル基である化合物2(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0116】
i.中間体I-3(R=N-ピペリジニル)
トルエン(20mL)中の中間体I-2(実施例2(b)、493.4mg、2.22mmol、1.2当量)および中間体I-1(実施例1、500mg、1.9mmol、1当量)の混合物を、120℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をエタノール(10mL)で粉砕して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-(1-ピペリジルスルホニル)-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(800mg)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.24(s,1H),7.85(d,J=8.8Hz,2H),7.39(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.29(m,2H),7.26-7.21(m,1H),7.16(d,J=7.2Hz,2H),4.48(d,J=3.2Hz,1H),4.09(d,J=13.2Hz,1H),3.32-3.28(m,4H),2.97(m,1H),2.17(m,1H),1.99(m,1H),1.64-1.45(m,6H).
【0117】
ii.中間体I-4(R=N-ピペリジニル)
アセトニトリル(10mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、867.7μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(3.0mmol、0.28mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.5mmol、0.40mL、4当量)を添加し、混合物を80℃で15.5時間撹拌した。混合物を、重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)中に注ぎ入れ、酢酸エチル60mL(3×20mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4、すなわち、(2E)-6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-(1-ピペリジルスルホニル)-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(450mg、粗製)を茶色の固体として得た。
【0118】
iii.化合物2(R=N-ピペリジニル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(337.4mg、3.3mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(400mg、834.3μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.2mmol、0.73mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×25mm、5μm、移動相:[水(10mM重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル]、B%:42%~72%、9分)によって精製し、次いで、画分を濃縮してアセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物2、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-(1-ピペリジルスルホニル)カルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(120mg)を白色の固体として得た。
【0119】
iv.化合物2(R=N-ピペリジニル)異性体分離
工程(iii)からのラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK(商標)AD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中の60%イソプロパノール(0.1%アンモニア一水和物)、4.3分、60分)によって分離して、以下の特性を有する化合物2の異性体1および2を得た。
【0120】
白色の固体としての異性体1(54mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.84(s,1H),7.64(d,J=8.8Hz,2H),7.40-7.33(m,4H),7.32-7.22(m,3H),4.43(d,J=3.2Hz,1H),4.34-4.27(m,1H),3.18(br s,1H),3.10-3.02(m,4H),2.41-2.27(m,1H),2.21(s,3H),2.03(d,J=11.6Hz,1H),1.60(br s,4H),1.48(d,J=4.4Hz,2H).
LCMS:(ES)m/z=544.2(M+H)、R=0.992分。
SFC:ee値>99%、R=0.616分。
【0121】
白色の固体としての異性体2(52mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.84(s,1H),7.64(d,J=8.8Hz,2H),7.40-7.34(m,4H),7.31-7.23(m,3H),4.43(d,J=3.6Hz,1H),4.31(d,J=12.8Hz,1H),3.25-3.14(m,1H),3.11-3.04(m,4H),2.37-2.27(m,1H),2.21(s,3H),2.07-1.99(m,1H),1.60(br s,4H),1.48(d,J=4.4Hz,2H).
LCMS:(ES)m/z=544.2(M+H)、R=0.992分。
SFC:ee値>99%、R=2.235分。
【0122】
(c)化合物3
がN-(4-トリフルオロメチル-1-ピペリジニル)基である化合物3(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0123】
i.中間体I-2(R=4-トリフルオロメチル-1-ピペリジニル)
トルエン(20mL)中の中間体I-3(500mg、1.7mmol、1当量)および中間体I-1(実施例1、560mg、2.1mmol、1.2当量)としてのN-[[4-(トリフルオロメチル)-1-ピペリジル]スルホニル]カルバミン酸メチルの混合物を、120℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=5:1、R=0.5)によって精製して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[[4-(トリフルオロメチル)-1-ピペリジル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(840mg)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.41(s,1H),7.86(d,J=8.8Hz,2H),7.39(d,J=8.8Hz,2H),7.34-7.29(m,2H),7.26-7.20(m,1H),7.15(d,J=7.2Hz,2H),4.48(d,J=2.8Hz,1H),4.12-4.03(m,1H),3.86(t,J=9.6Hz,2H),3.10-2.87(m,4H),2.23-2.11(m,1H),2.06-1.96(m,1H),1.90(d,J=11.6Hz,2H),1.57-1.41(m,2H).
【0124】
ii.中間体I-4(R=4-トリフルオロメチル-1-ピペリジニル)
アセトニトリル(10mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、756.2μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.6mmol、0.25mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.0mmol、0.35mL、4当量)を添加し、混合物を80℃で15.5時間撹拌した。混合物を、重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)中に注ぎ入れ、酢酸エチル60mL(3×20mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4、すなわち、(2E)-6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[[4-(トリフルオロメチル)-1-ピペリジル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(470mg、粗製)を茶色の固体として得た。
【0125】
iii.化合物3(R=4-トリフルオロメチル-1-ピペリジニル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(347.4mg、3.4mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(470mg、858.6μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.3mmol、0.75mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×25mm、5μm、移動相:[水(10mM重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル]、B%:48%~78%、9分)によって精製し、次いで、画分を濃縮してアセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物3、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-[[4-(トリフルオロメチル)-1-ピペリジル]スルホニル]カルボイミドイル]カルバミドイル]アセトアミド(180mg)を白色の固体として得た。
【0126】
iv.化合物3(R=4-トリフルオロメチル-1-ピペリジニル)異性体分離
工程(iii)からのラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK(商標)AD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中の50%イソプロパノール(0.1%アンモニア一水和物)、3.6分、40分)によって分離して、以下の特性を有する化合物3の異性体1および2を得た。
【0127】
白色の固体としての異性体1(80mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.80(s,1H),8.35-7.78(m,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.28(m,4H),7.26-7.16(m,3H),4.38(d,J=3.2Hz,1H),4.24(d,J=13.2Hz,1H),3.69-3.58(m,2H),3.18-3.05(m,1H),2.64(d,J=12.4Hz,2H),2.45-2.21(m,2H),2.15(s,3H),2.03-1.90(m,1H),1.83(d,J=12.8Hz,2H),1.59-1.41(m,2H).
LCMS:(ES)m/z=612.1(M+H)、R=1.049分。
SFC:ee値>99%、R=0.537分。
【0128】
白色の固体としての異性体2(75mg)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.86(s,1H),8.42-7.79(m,2H),7.64(d,J=8.8Hz,2H),7.40-7.34(m,4H),7.32-7.23(m,3H),4.44(br d,J=3.2Hz,1H),4.31(d,J=13.2Hz,1H),3.78-3.62(m,2H),3.24-3.11(m,1H),2.78-2.65(m,2H),2.53-2.27(m,2H),2.21(s,3H),2.05-1.97(m,1H),1.90(d,J=12.4Hz,2H),1.65-1.50(m,2H).
LCMS:(ES)m/z=612.1(M+H)、R=1.041分。
SFC:ee値>99%、R=1.134分。
【0129】
(d)化合物4
がN-(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジニル)基である化合物4(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0130】
i.中間体I-3(R=4,4-ジフルオロ-1-ピペリジニル)
トルエン(5mL)中の中間体I-2(実施例2(c)(i)、500mg、1.9mmol、1当量)および中間体I-1(実施例1、524.2mg、1.9mmol、1.2当量)の混合物を、120℃で5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をエタノール(10mL)で粉砕して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-N-[(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(800mg)を白色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.56(s,1H),7.92-7.82(m,2H),7.40(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.30(m,2H),7.26-7.21(m,1H),7.16(d,J=7.2Hz,2H),4.48(d,J=3.2Hz,1H),4.10(d,J=12.8Hz,1H),3.50(m,4H),2.98(m,1H),2.23-2.03(m,5H),1.99(m,1H).
【0131】
ii.中間体I-4(R=4,4-ジフルオロ-1-ピペリジニル)
アセトニトリル(5mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、804.9μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.8mmol、0.26mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.2mmol、0.37mL、4当量)を添加し、混合物を80℃で15.5時間撹拌した。混合物を水(20mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル30mL(3×10mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4、すなわち、(2E)-6-(4-クロロフェニル)-N-[(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(360mg、粗製)を黄色の固体として得た。
【0132】
iii.化合物4(R=4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(243.3mg、2.4mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(310mg、601.5μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.01mmol、0.52mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で16時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×25mm、5μm、移動相:[水(重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル]、B%:50%~80%、10分)によって精製し、次いで、画分を濃縮してアセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物4、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-[(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(170mg)を黄色の固体として得た。
【0133】
iv.化合物4(R=4,4-ジフルオロ-1-ピペリジニル)異性体分離
工程(iii)からのラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK(商標)AD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中の45%イソプロパノール(0.1%アンモニア一水和物)、7.5分、90分)によって分離して、以下の特性を有する化合物4の異性体1および2を得た。
【0134】
白色の固体としての異性体1(45mg、純度99.1%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.83(br s,1H),8.52-7.69(m,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.28(m,4H),7.26-7.17(m,3H),4.39(d,J=3.6Hz,1H),4.19(d,J=13.2Hz,1H),3.22(t,J=5.2Hz,4H),3.12(t,J=11.6Hz,1H),2.31-2.20(m,1H),2.16(s,3H),2.11-1.94(m,5H).
LCMS:(ES)m/z=580.1(M+H)、R=1.000分。
SFC:ee値>99%、R=1.793分。
【0135】
白色の固体としての異性体2(40mg、純度100%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.83(s,1H),8.52-7.72(m,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.28(m,4H),7.26-7.16(m,3H),4.39(d,J=3.2Hz,1H),4.19(d,J=13.2Hz,1H),3.22(t,J=5.2Hz,4H),3.17-3.07(m,1H),2.31-2.20(m,1H),2.16(s,3H),2.13-1.95(m,5H).
LCMS:(ES)m/z=580.1(M+H)、R=1.003分。
SFC:ee値>99%、R=2.257分。
【0136】
(e)化合物5
がN-(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジニル)基である化合物5(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0137】
i.中間体I-3(R=3,3-ジフルオロ-1-ピペリジニル)
トルエン(5mL)中の中間体I-2(実施例2(c)(ii)、500mg、1.94mmol、1当量)および中間体I-1(実施例1、524.2mg、1.9mmol、1当量)の混合物を、120℃で5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)によって精製して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-N-[(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(800mg)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.59(s,1H),7.88(d,J=8.8Hz,2H),7.40(d,J=8.8Hz,2H),7.36-7.29(m,2H),7.24(d,J=7.2Hz,1H),7.16(d,J=7.2Hz,2H),4.49(d,J=2.8Hz,1H),4.10(d,J=13.2Hz,1H),3.64(t,J=11.6Hz,2H),3.41-3.35(m,2H),2.98(m,1H),2.53(d,J=1.6Hz,1H),2.16(m,1H),2.11-2.02(m,2H),1.82-1.71(m,2H).
【0138】
ii.中間体I-4(R=3,3-ジフルオロ-1-ピペリジニル)
アセトニトリル(5mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、804.9μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.8mmol、0.26mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.2mmol、0.37mL、4当量)を添加し、混合物を80℃で15.5時間撹拌した。混合物を水(20mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル30mL(3×10mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4、すなわち、(2E)-6-(4-クロロフェニル)-N-[(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(400mg、粗製)を黄色の固体として得た。
【0139】
iii.化合物5(R=3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(274.5mg、2.7mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(350mg、679.1μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.4mmol、0.59mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で16時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×25mm、5μm、移動相:[水(重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル]、B%:48%~78%、10分)によって精製し、次いで、画分を濃縮してアセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物5、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-[(3,3-ジフルオロ-1-ピペリジル)スルホニル]カルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(140mg)を黄色の固体として得た。
【0140】
iv.化合物5(R=3,3-ジフルオロ-1-ピペリジニル)異性体分離
工程(iii)からのラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALCEL(商標)OD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中の30%メタノール(0.1%アンモニア一水和物)、3.0分、50分)によって分離して、以下の特性を有する化合物5の異性体1および2を得た。
【0141】
白色の固体としての異性体1(35mg、純度99.5%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.83(br s,1H),8.58-7.70(m,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.28(m,4H),7.26-7.17(m,3H),4.39(d,J=3.2Hz,1H),4.26(d,J=13.2Hz,1H),3.28(t,J=12.0Hz,2H),3.19-3.12(m,1H),3.11-3.05(m,2H),2.31-2.21(m,1H),2.16(s,3H),2.04-1.90(m,3H),1.71(br s,2H).
LCMS:(ES)m/z=580.1(M+H)、R=1.008分。
SFC:ee値>99%、R=1.467分。
【0142】
白色の固体としての異性体2(48mg、純度99.2%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.84(br s,1H),8.56-7.72(m,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.35-7.28(m,4H),7.26-7.16(m,3H),4.39(d,J=3.2Hz,1H),4.26(d,J=13.2Hz,1H),3.28(t,J=11.6Hz,2H),3.19-3.12(m,1H),3.11-3.03(m,2H),2.31-2.22(m,1H),2.16(s,3H),2.05-1.88(m,3H),1.71(br s,2H).
LCMS:(ES)m/z=580.1(M+H)、R=1.003分。
SFC:ee値>99%、R=1.648分。
【0143】
(f)化合物6
が3,5-ジフルオロフェニル基である化合物6(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0144】
i.中間体I-3(R=3,5-ジフルオロフェニル)
トルエン(5mL)中の中間体I-2(実施例2(a)(ii)、510.29mg、2.03mmol、1.1当量)および中間体I-1(実施例1、0.5g、1.85mmol、1当量)の混合物を、120℃で12時間撹拌した。混合物を水(10mL)で希釈し、EtOAc(10mL×2)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、シリカカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によって精製して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニル-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(0.5g)を茶色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.29(s,1H),7.74(d,J=4.2Hz,2H),7.53(d,J=8.6Hz,2H),7.36-7.28(m,5H),7.13-7.02(m,4H),4.24-4.18(m,2H),3.08(m,1H),2.18-2.09(m,2H).
【0145】
中間体I-4(R=3,5-ジフルオロフェニル)
アセトニトリル(5mL)中の工程(i)からの中間体I-3(0.5g、1.02mmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(548mg、3.57mmol、0.33mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(437mg、4.08mmol、0.47mL、4当量)を添加し、混合物を40℃で2時間撹拌した。混合物を水(10mL)に滴加し、酢酸エチル30mL(3×10mL)で抽出した。次いで、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4(2E)-6-(4-クロロフェニル)-N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニル-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(0.5g、粗製)を茶色の固体として得た。
【0146】
iii.化合物6(R=3,5-ジフルオロフェニル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(89mg、885μmol、3当量)および工程(ii)からの中間体I-4(150mg、295.1μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.48mmol、0.25mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で12時間撹拌した。混合物を水(5mL)で希釈し、酢酸エチル(5mL×3)で抽出した。有機層を真空下で濃縮した。残渣を、分取HPLC(0.1%M水酸化アンモニウム)によって精製し、次いで、画分を凍結乾燥させて、ラセミ化合物6、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-(3,5-ジフルオロフェニル)スルホニルカルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(50mg)を白色の固体として得た。
【0147】
iv.化合物1(R=3,5-ジフルオロフェニル)異性体分離
工程(iii)のラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALCEL(商標)OD(250mm×30mm、10μm);移動相:[Neu-MeOH];B%:40%、3.5;35分)によって分離して、以下の特性を有する化合物6の異性体1および2を得た。
【0148】
灰色がかった白色の固体としての異性体1(27mg、純度98.8%)。
H NMR(400MHz,メタノール-d)δ=7.57(d,J=8.8Hz,2H),7.49(d,J=4.8Hz,2H),7.34-7.28(m,2H),7.24(d,J=7.2Hz,1H),7.21-7.12(m,5H),4.59(s,2H),4.44-4.29(m,2H),2.37-2.25(m,1H),2.14(s,3H),2.09-2.05(m,1H).
19F NMR(377MHz,メタノール-d)δ=-110.05(br s,1F)
LCMS:(ES)m/z=573.2(M+H)、R=0.895分。
SFC:ee値97.88%、R=1.445分。
【0149】
灰色がかった白色の固体としての異性体2(31mg)。
H NMR(400MHz,メタノール-d)δ=7.57(d,J=8.8Hz,2H),7.50-7.49(m,2H),7.33-7.28(m,2H),7.24(d,J=7.2Hz,1H),7.21-7.14(m,5H),4.59(s,2H),4.44-4.30(m,2H),2.42-2.25(m,1H),2.14(s,3H),2.09-2.05(m,1H).
19F NMR(377MHz,メタノール-d)δ=-110.05(br s,1F)
LCMS:(ES)m/z=573.2(M+H)、R=0.887分。
SFC:ee値>99%、R=1.784分。
【0150】
(g)化合物7
が4-トリフルオロメチルフェニル基である化合物7(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0151】
i.中間体I-3(R=4-トリフルオロメチルフェニル)
トルエン(10mL)中の、公知のプロセスによって調製された中間体I-2、N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニルカルバミン酸メチル(500mg、1.8mmol、1当量)、および中間体I-1(実施例1、478mg、1.8mmol、1当量)の混合物を、120℃で12時間撹拌した。冷却後、混合物を減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣をエタノール(10mL)で粉砕し、次いで、濾過し、濾過ケーキを乾燥させて、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[(4-トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(650mg)を淡い黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=11.43(br s,1H),8.26(d,J=8.4Hz,2H),8.06(d,J=8.4Hz,2H),7.89(d,J=8.4Hz,2H),7.43(d,J=8.4Hz,2H),7.35-7.27(m,2H),7.26-7.18(m,1H),7.13(d,J=7.6Hz,2H),4.47(br d,J=3.2Hz,1H),3.97(d,J=12.8Hz,1H),2.90(dt,J=3.6,13.2Hz,1H),2.12(m,1H),2.00-1.89(m,1H).
【0152】
ii.中間体I-4(R=4-トリフルオロメチルフェニル)
アセトニトリル(4mL)中の工程(i)からの中間体I-3(400mg、766.4μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.7mmol、0.25mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.07mmol、0.36mL、4当量)を添加し、混合物を60℃で2.5時間撹拌した。混合物を水(10mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル15mL(3×5mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4、すなわち、(2E)-6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(500mg、粗製)を茶色の固体として得た。
【0153】
iii.化合物7(R=4-トリフルオロメチルフェニル)ラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(4.5mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(337mg、3.33mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(450mg、832μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.16mmol、0.72mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で1時間撹拌した。混合物を分取HPLC(カラム:Waters Xbridge(商標)150×50mm、10μm;移動相:[水(重炭酸アンモニウム)-アセトニトリル];B%:43%~73%、11分)によって精製した。画分を濃縮して、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物7、すなわち、N-[(E)-N’-[(Z)-C-[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル-カルボニミドイル]カルバミミドイル]アセトアミド(170mg)を黄色の固体として得た。
【0154】
iv.化合物7(R=4-トリフルオロメチルフェニル)異性体分離
工程(iii)からのラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALCEL(商標)OD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中40%メタノール(0.1%アンモニア一水和物)、3.5分)によって分離して、以下の特性を有する化合物7の異性体1および2を得た。
【0155】
白色の固体としての異性体1(38mg、純度99%)。
H NMR(400MHz,メタノール-d)δ=8.11(d,J=8.4Hz,2H),7.83(d,J=8.4Hz,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.34-7.29(m,2H),7.25(d,J=7.2Hz,1H),7.18(m,4H),4.41(m,1H),4.33(d,J=2.8Hz,1H),3.31-3.27(m,1H),2.37-2.26(m,1H),2.14(s,3H),2.09(m,1H).
LCMS:(ES)m/z=605.2(M+H)、R=0.995分。
SFC:ee値>99%、R=1.551分。
【0156】
白色の固体としての異性体2(38mg、純度99.6%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.11(d,J=8.4Hz,2H),7.83(d,J=8.4Hz,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.34-7.28(m,2H),7.25(d,J=7.2Hz,1H),7.18(m,4H),4.46-4.36(m,1H),4.33(d,J=3.2Hz,1H),3.32-3.26(m,1H),2.37-2.26(m,1H),2.14(s,3H),2.08(m,1H).
LCMS:(ES)m/z=605.2(M+H)、R=0.997分。
SFC:ee値>99%、R=1.923分。
【0157】
(h)化合物8
が5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル基である化合物8(およびその異性体)を、以下の手順に従って調製する。
【0158】
i.中間体I-3(R=5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル)
中間体I-2(実施例2(a)(iii)、1g、3.5mmol、1当量)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中に溶解し、中間体I-1(実施例1、953mg、3.5mmol、1当量)を添加した。混合物を120℃で2時間撹拌した。混合物を水(50mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル45mL(3×15mL)で抽出した。次いで、有機層をブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル、1:1)および分取HPLC(ギ酸、0.1%、30%~50%アセトニトリル)によって精製して、中間体I-3、すなわち、6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキサミド(520mg)を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=12.00(br s,1H),9.23(s,1H),8.60(d,J=7.6Hz,1H),8.35(d,J=8.4Hz,1H),7.97(d,J=8.4Hz,2H),7.40(d,J=8.4Hz,2H),7.36-7.29(m,2H),7.26-7.20(m,1H),7.14(d,J=7.2Hz,2H),4.47(br s,1H),3.93(d,J=13.2Hz,1H),2.89(m,1H),2.20-2.07(m,1H),1.97-1.87(m,1H).
【0159】
ii.中間体I-4(R=5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル)
アセトニトリル(4.2mL)中の工程(i)からの中間体I-3(420mg、803.2μmol、1当量)の溶液に、オキシ塩化リン(2.8mmol、0.3mL、3.5当量)を添加し、混合物を25℃で0.5時間撹拌した。次いで、2,6-ルチジン(3.2mmol、0.37mL、4当量)を添加し、混合物を60℃で2.5時間撹拌した。冷却後、混合物を水(10mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル15mL(3×5mL)で抽出した。次いで、有機相をブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、中間体I-4(2E)-6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-N-[[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]スルホニル]-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-カルボキシミドイルクロリド(540mg、粗製)を黄色の固体として得た。
【0160】
iii.化合物8(R=5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジルラセミ体
N,N-ジメチルホルムアミド(5.4mL)中のN-カルバミミドイルアセトアミド(403mg、4mmol、4当量)および工程(ii)からの中間体I-4(540mg、997.5μmol、1当量)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5mmol、0.87mL、5当量)を添加した。次いで、混合物を25℃で2時間撹拌した。混合物を水(50mL)に注ぎ入れた。水性混合物を酢酸エチル90mL(3×30mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、残渣を得た。
【0161】
残渣を、シリカカラム(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)および分取HPLC(カラム:Phenomenex(商標)Luna C18 150×25mm、10μm、移動相:[水(ギ酸)-アセトニトリル];B%:45%~75%、10分)によって精製し、次いで、画分を濃縮して、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥させて、ラセミ化合物8、すなわち、N-[(E)-N-[[6-(4-クロロフェニル)-5-フェニル-4,5-ジヒドロ-3H-ピリダジン-2-イル]-[[5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]スルホニルアミノ]メチレン]カルバミミドイル]アセトアミド(95mg)を白色の固体として得た。
【0162】
iv.化合物8(R=5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル)異性体分離
工程(iii)のラセミ生成物を、SFC(カラム:DAICEL CHIRALPAK(商標)OD(250mm×30mm、10μm)、移動相:CO中40%メタノール(0.1%アンモニア一水和物)、4.6分)によって分離して、以下の特性を有する化合物1の異性体1および2を得た。
【0163】
白色の固体としての異性体1(20mg、純度100%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.48(br s,1H),9.04(s,1H),8.41(dd,J=1.6,8.4Hz,1H),8.24-7.82(m,2H),7.54(d,J=4.8Hz,2H),7.38-7.14(m,8H),4.44-4.30(m,2H),3.28-3.20(m,1H),2.29-2.21(m,1H),2.05(s,3H),2.02-1.96(m,1H).
LCMS:(ES)m/z=606.2(M+H)、R=0.950分。
SFC:ee値>99%、R=1.698分。
【0164】
白色の固体としての異性体2(35mg、純度100%)。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.48(br s,1H),9.04(s,1H),8.41(dd,J=2.0,8.4Hz,1H),8.13(d,J=8.4Hz,2H),7.53(m,2H),7.37-7.15(m,8H),4.44-4.30(m,2H),3.28-3.20(m,1H),2.31-2.17(m,1H),2.05(s,3H),2.00(m,1H).
LCMS:(ES)m/z=606.2(M+H)、R=0.960分。
SFC:ee値>99%、R=2.075分。
【0165】
[実施例4-生物学的特性]
a)アッセイの設計
1日目:
ポリエチレンイミン(PEI)トランスフェクション剤を使用して、HEK293細胞を、ヒトCB1またはCB1b受容体、および以下のbioSensAll(登録商標)アッセイのうちの1つを用いて懸濁液中でトランスフェクトした:GAPL-Gi2、またはβ-アレスチン形質膜(PM)転座バイオセンサ(+GRK2)。トランスフェクションの直後に96ウェルプレートに細胞を直接播種した。
4日目(トランスフェクション後約65時間):
細胞を、BRETシグナルの測定前に、セレンテラジン(ルシフェラーゼ基質)および異なる試験化合物とともにインキュベートした。
【0166】
b)BioSensAll(登録商標)プラットフォームの説明。
本プロジェクトでは、i)Gα形質膜(GAPL)バイオセンサおよびii)β-アレスチン形質膜転座バイオセンサが使用される。
i)GAPLセンサを使用して、受容体刺激時の形質膜におけるヘテロ三量体Gタンパク質の活性化をモニタリングする。具体的には、これらの多分子BRETセンサは、Gタンパク質ファミリー選択的様式で活性Gαサブユニットと相互作用するタンパク質の形質膜動員を検出する。受容体刺激後のGタンパク質活性化は概して、BRETシグナルの増加をもたらす。
ii)多分子β-アレスチン膜動員バイオセンサは、GPCR活性化後のβ-アレスチン1およびβ-アレスチン2のリアルタイム時空間的モニタリングを可能にする。具体的には、これらのβ-アレスチンセンサは、BRETシグナルの増加をもたらす区画への局在化により、形質膜(β-アレスチンPM)へのタンパク質の動員を検出するように設計された。
【0167】
c)細胞培養条件
HEK293細胞を、1%ペニシリンストレプトマイシン(Wisent;カタログ番号450-201-EL)および2または10%ウシ胎児血清(Wisent、カタログ番号090150)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Wisent;カタログ番号319-030-CL:ピルビン酸ナトリウムなし、4.5g/Lグルコースあり、L-グルタミンなし)中で維持した。
【0168】
d)トランスフェクションおよび細胞播種
HEK293細胞を、hCB1またはhCB1bおよび上記に列挙したbioSensAll(登録商標)アッセイのうちの1つとともにトランスフェクトした。各トランスフェクション条件について:
-トランスフェクトされたDNAの総量を、トランスフェクトされる細胞培養物1mL当たり1μgで一定に維持し、必要な場合はいつでも、サケ精子DNA(Invitrogen、カタログ番号15632011)を、プラスミドDNA(すなわち、バイオセンサおよび受容体)を補充するための「担体」DNAとして使用し、
-PEI(ポリエチレンイミン25kDa直鎖、PolyScience、カタログ番号23966)対DNA比(ug:ug)を3:1で固定した。
【0169】
トランスフェクションを以下のように実施した:
-DNAおよびPEIを、最初に150mM NaClで別々に希釈した。各チューブ中の希釈剤の体積は、トランスフェクトされる細胞培養体積の5%に相当する。
-DNAおよびPEIが希釈されると、PEI含有溶液をDNA溶液に添加し、DNA/PEI混合物を5秒間直ちにボルテックスした。
-DNA/PEI混合物を室温で少なくとも20分間インキュベートして、DNA/PEI複合体の形成を可能にした。
-インキュベーション中、HEK293細胞を分離し、計数し、培養培地(上記に指定された組成物)中に再懸濁した。
-インキュベーション期間の終了時に、DNA/PEI混合物を細胞に添加した。
-細胞を、最終的に96ウェルプレート(White Opaque 96ウェル/マイクロプレート、Greiner、カタログ番号655083またはCulturPlate-96、White Opaque 96ウェルマイクロプレート、PerkinElmer、カタログ番号6005688)中に、1ウェル当たり30,000個の細胞の密度で分布した。
【0170】
e)BRETアッセイ
トランスフェクション後約48時間:
-450-Select TS Biotekプレートウォッシャーを使用して、培養培地を吸引し、1ウェル当たり100μlのハンクス平衡塩溶液緩衝液(HBSS)(Wisent、カタログ番号319-067CL:赤色フェノールなし;重炭酸ナトリウムあり、カルシウムおよびマグネシウムあり、HEPESあり)で置き換えた。このプロセスを合計2回(すなわち、2回の洗浄)行った。
-洗浄工程の後、HP D300デジタルディスペンサー(Tecan)を使用して、漸増用量(12)の試験化合物(0~600nMの範囲)をウェルに注射した。3~5分後、CP-55,940のEC75(GAPL-Gi2アッセイについては0.1nM、β-アレスチンPM転位バイオセンサ(+GRK2)については100nM)を、各96ウェルプレートのカラム2~12に添加した。各プレートのカラム1の8つのウェルは、対照のために一貫して確保された(すなわち、3つの未処理ウェル、CP-55,940のEC75を注射された2つのウェル、およびCP-55,940のEC100を注射された3つのウェル)。
-次いで、プレートを、加湿雰囲気中で、37degCおよび5%COで一晩(16~18時間)インキュベートした。
-翌日、BRET実験を以下のプロトコルに従って行った:
-10μlの20μM e-Coelenterazine Prolume Purple(メトキシ e-CTZ)(Nanolight、カタログ番号369)を各ウェルに添加し、最終濃度を2μMとした。
-プレートを、オービタルシェーカー上で、室温で5分間インキュベートした。
-次いで、BRET読み取り値を、Synergy NEOプレートリーダー(BioTek Instruments,Inc.、USA;フィルター:400nm/70nm、515nm/20nm)上で0.4秒の積分時間で収集した。
【0171】
f)計算
BRETシグナルは、GFP受容体(515nm)によって放出される光の、ルシフェラーゼ-ドナー(400nm)によって放出される光に対する比を計算することによって決定された。全てのBRET比を、陽性対照および陰性対照について事前に確立されたBRET値を用いて、以下の式を使用して標準化した。標準化されたBRET比は、ユニバーサルBRET(uBRET)と呼ばれる。
uBRET=((BRET比-A)/(B-A))×10000
(式中:
A=陰性対照のトランスフェクションから得られたBRET比
B=陽性対照のトランスフェクションから得られたBRET比
【0172】
得られた用量応答曲線を、GraphPad Prism 9の4パラメータロジスティック非線形回帰モデルを使用して適合させた。
【0173】
実施例3で調製された化合物1~8の異性体1および2のインビトロアッセイ結果を表1に表す。
【表1】
【0174】
比較目的のために、J.H.M.Lange et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,19(2009),5675-5678で化合物3として特定されたラセミ化合物もまた調製した。2つの異性体を、上記に例示されるようにSFCによって分離し、2つの異性体を本条件下でインビトロで試験した。最も活性な異性体は、約5.1nMのGi2 EC50および28nMのβarr2 EC50を有し、一方で、その他の異性体は、両方のアッセイで不活性であったことが示された。
【0175】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態のうちのいずれかに多数の修正を行うことができる。本文書で言及されるあらゆる参考文献、特許、または科学文献の文書は、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】