(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】治具及びこれを含む電極製造システム
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20241128BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20241128BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20241128BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M4/04 A
B23K26/08 D
B23K26/38 Z
H01M4/13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536011
(86)(22)【出願日】2023-04-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2023005500
(87)【国際公開番号】W WO2023211074
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2022-0051692
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヨル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソ-ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-シク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ハク-キョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ジュン・イ
【テーマコード(参考)】
4E168
5H050
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB07
4E168FC01
4E168HA03
4E168HA08
4E168HA09
5H050AA19
5H050BA08
5H050GA04
5H050GA29
(57)【要約】
本発明の一実施形態に係る治具は、第1方向に沿って移送され、電極活物質がコーティングされた有地部、及び前記電極活物質がコーティングされていない無地部を含む電極を支持するように構成される治具であって、前記電極において、前記無地部と対応する領域を支持するように構成され、前記無地部の切断のためのレーザーが照射される領域と対応する位置に形成されるレーザー収容部を備える第1支持部と、前記電極において、前記有地部と対応する領域を支持するように構成される第2支持部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って移送され、電極活物質がコーティングされた有地部、及び前記電極活物質がコーティングされていない無地部を含む電極を支持するように構成される治具であって、
前記電極において、前記無地部と対応する領域を支持するように構成され、前記無地部の切断のためのレーザーが照射される領域と対応する位置に形成されるレーザー収容部を備える第1支持部と、
前記電極において、前記有地部と対応する領域を支持するように構成される第2支持部と、
を含む、治具。
【請求項2】
前記レーザー収容部は、
前記第1支持部を貫通する孔、又は前記第1支持部上に所定の深さに形成される溝である、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記第1支持部は、
前記第2支持部の一側端部から前記第1方向と略垂直な第2方向に沿って延びる、請求項1に記載の治具。
【請求項4】
前記第1支持部の前記第2方向に沿った延長長さは、
前記無地部と前記有地部との境界からレーザー切断前の前記無地部の端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成される、請求項3に記載の治具。
【請求項5】
前記電極と対向する前記治具の一面は、
前記第1方向と平行な方向に沿って所定の曲率を有するように構成される、請求項1に記載の治具。
【請求項6】
前記治具は、
前記電極と対向する一面上に形成されるコーティング層を備える、請求項1に記載の治具。
【請求項7】
前記第1方向と垂直な第2方向に沿った前記第2支持部の延長長さは、
前記無地部と前記有地部との境界から前記有地部の端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成される、請求項1に記載の治具。
【請求項8】
前記第2支持部は、
前記電極を前記第2支持部上に浮かせるように構成される、請求項1に記載の治具。
【請求項9】
前記第2支持部は、
エアフローティングホールを備える、請求項8に記載の治具。
【請求項10】
前記治具は、
前記エアフローティングホールと対応する位置に備えられるエアブロワーを含む、請求項9に記載の治具。
【請求項11】
前記第1支持部は、
前記電極と対向する一面上に形成されるコーティング層を備える、請求項8に記載の治具。
【請求項12】
前記第1支持部は、
前記第1方向に沿って前記レーザー収容部の両側に形成される異物排出部を備える、請求項1に記載の治具。
【請求項13】
前記治具は、
前記異物排出部と対応する領域に備えられるサクション部を含む、請求項12に記載の治具。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の治具と、
前記レーザー収容部と対応する位置に備えられるレーザー照射装置と、
を含む、電極製造システム。
【請求項15】
前記レーザー照射装置は、
前記無地部を部分的に切断し、前記第1方向に沿って前記無地部上に繰り返される切り欠きパターンを形成するように構成される、請求項14に記載の電極製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具及びこれを含む電極製造システムに関する。
【0002】
本出願は、2022年04月26日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0051692号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池に適用される電極組立体を製造するために、電極を部分的に切断(cutting)する工程を適用することができる。切断方式としては、例えば、レーザー切断を適用することができる。大きなサイズの電極生地を切断することで複数の単位電極を作製するか、又は電極の特定位置を部分的に切断し、所望の形状を作製することができる。
【0004】
このように、電極をレーザー切断するための装置としては、例えば、ドラム型(Drum type)の装置又はフライング(flying)型の装置を適用することができる。
【0005】
図1を参照すると、レーザー切断を行うためのドラム型の装置が概略的に示されている。このようなドラム型の装置を適用する場合、電極においてレーザーが照射される領域をドラムが直接支持しているため安定した切断が可能であり、また電極の走行時に電極の揺れが大きくないという利点がある。ただし、このようなタイプの装置を適用する場合、ドラムの設置のための空間が必然的に比較的大きくなり、またドラムが直接支持する領域でレーザーが照射されるため、切断が不完全になる可能性があり、照射されたレーザーによってドラムが損傷するおそれも存在する。
【0006】
図2を参照すると、レーザー切断を行うためのフライング型の装置が概略的に示されている。このようなフライング型の装置を適用する場合、ドラム型の装置と比較して、相対的に空間的制約が少なく、レーザー照射による電極の切断が完全に行われる可能性がさらに高いという利点がある。ただし、このようなタイプを装置に適用する場合、電極の走行時に電極の揺れが大きくなる可能性がある。このように電極に揺れが発生すると、レーザーの照射時に焦点距離を合わせることが容易でなく、これによって、製造された電極の品質が低下するおそれがある。
【0007】
したがって、電極を加工する際に、上述したような電極走行時の揺れを最小化でき、装置が占める空間が大きくなりすぎることを防止でき、レーザー照射による装置の損傷を防止でき、レーザー照射による切断が不完全に行われることを防止できるように構成された治具に対する開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を考慮してなされたものであり、電極を加工する際に、上述したような電極走行時の揺れを最小化できることを一の目的とする。
【0009】
他の態様において、本発明は、装置が占める空間が大きくなりすぎることを防止することを一の目的とする。
【0010】
また他の態様において、本発明は、レーザー照射による装置の損傷を防止することを一の目的とする。
【0011】
また他の態様において、本発明は、レーザー照射による切断が不完全に行われることを防止することを一の目的とする。
【0012】
また他の態様において、本発明は、電極の走行中に電極が損傷することを防止することを一の目的とする。
【0013】
また他の態様において、本発明は、電極の走行摩擦による装置の損傷を防止することを一の目的とする。
【0014】
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題は上述した課題に制限されず、言及されていないまた他の課題は、以下に記載された発明の説明から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するための本発明の一実施形態に係る治具は、第1方向に沿って移送され、電極活物質がコーティングされた有地部、及び前記電極活物質がコーティングされていない無地部を含む電極を支持するように構成される治具であって、前記電極において、前記無地部と対応する領域を支持するように構成され、前記無地部の切断のためのレーザーが照射される領域と対応する位置に形成されるレーザー収容部を備える第1支持部と、前記電極において、前記有地部と対応する領域を支持するように構成される第2支持部と、を含む。
【0016】
前記レーザー収容部は、前記第1支持部を貫通する孔、又は前記第1支持部上に所定の深さに形成される溝であり得る。
【0017】
前記第1支持部は、前記第2支持部の一側端部から前記第1方向と略垂直な第2方向に沿って延び得る。
【0018】
前記第1支持部の前記第2方向に沿った延長長さは、前記無地部と前記有地部との境界からレーザー切断前の前記無地部の端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成され得る。
【0019】
前記電極と対向する前記治具の一面は、前記第1方向と平行な方向に沿って所定の曲率を有するように構成され得る。
【0020】
前記治具は、前記電極と対向する一面上に形成されるコーティング層を備えることができる。
【0021】
前記第1方向と垂直な第2方向に沿った前記第2支持部の延長長さは、前記無地部と前記有地部との境界から前記有地部の端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成され得る。
【0022】
前記第2支持部は、前記電極を前記第2支持部上に浮かせるように構成され得る。
【0023】
前記第2支持部は、エアフローティングホールを備えることができる。
【0024】
前記治具は、前記エアフローティングホールと対応する位置に備えられるエアブロワーを含むことができる。
【0025】
前記第1支持部は、前記電極と対向する一面上に形成されるコーティング層を備えることができる。
【0026】
前記第1支持部は、前記第1方向に沿って前記レーザー収容部の両側に形成される異物排出部を備えることができる。
【0027】
前記治具は、前記異物排出部と対応する領域に備えられるサクション部を含むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る電極製造システムは、本発明の一実施形態に係る治具と、前記レーザー収容部と対応する位置に備えられるレーザー照射装置と、を含むことができる。
【0029】
前記レーザー照射装置は、前記無地部を部分的に切断し、前記第1方向に沿って前記無地部上に繰り返される切り欠きパターンを形成するように構成され得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によると、電極を加工する際に、上述したような電極走行時の揺れを最小化することができる。
【0031】
本発明の他の態様によると、装置が占める空間が大きくなりすぎることを防止することができる。
【0032】
本発明のまた他の態様によると、レーザー照射による装置の損傷を防止することができる。
【0033】
本発明のまた他の態様によると、レーザー照射による切断が不完全に行われることを防止することができる。
【0034】
本発明のまた他の態様によると、電極の走行摩擦による装置の損傷を防止することができる。
【0035】
ただし、本発明により導出される有利な効果は上述した効果に制限されず、言及されていないまた他の有利な効果は、以下に記載された発明の説明から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【0036】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】従来の装置を示す図であって、レーザー切断を行うためのドラム型の装置を概略的に示す図である。
【
図2】従来の装置を示す図であって、レーザー切断を行うためのフライング型の装置を概略的に示す図である。
【
図4】本発明の治具及び電極製造システムにより切断される電極を示す図である。
【
図6】本発明の治具により支持される電極にレーザーを照射して部分的に切断する工程を説明するための図であって、
図5の治具をX-X’に沿って切断した断面を示す図である。
【
図7】
図5に示された治具と比較して、異なる構造を有するレーザー収容部が適用された治具を示す図である。
【
図8】本発明の治具及び電極を治具の下部から見た形態を示す図である。
【
図9】本発明の治具及び電極を治具の下部から見た形態を示す図である。
【
図10】本発明の治具によって電極がフローティング(floating)された様子を示す図である。
【
図11】電極をフローティングさせるための第2支持部の構造を示す図である。
【
図12】電極をフローティングさせるためのエアブロワーを示す図である。
【
図13】第1支持部及び第2支持部のそれぞれに形成された摩擦防止構造を示す図である。
【
図14】本発明の治具に形成された異物排出部を示す図である。
【
図15】本発明の治具に備えられるサクション部を示す図である。
【
図16】本発明の電極製造システムを概念的に示す図である。
【
図17】電極に切断ラインを形成するための本発明のレーザー照射装置の動きを例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語や単語は通常的及び辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解されたい。
【0039】
図3から
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る治具(jg)1を説明する。
図3は、本発明の治具を概念的に示す図であり、
図4は、本発明の治具及び電極製造システムにより切断される電極を示す図であり、
図5は、本発明の治具を示す平面図である。
【0040】
図3から
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る治具1は、第1方向(X軸と平行な方向)に沿って移送される電極Eを支持するように構成され得る。前記電極Eの安定した移送のために、電極Eの移送方向に沿って少なくとも1つのローラーRを備えることができる。このようなローラーRは、電極Eの移送をガイドすることができる。前記ローラーRはガイドローラーであり、又は駆動装置に接続して回転可能に構成される駆動ローラーであり得る。
【0041】
前記治具1は、電極活物質がコーティングされた有地部C及び電極活物質がコーティングされていない無地部NCを含む電極Eを支持するように構成され得る。前記治具1は、第1支持部10及び第2支持部20を含むことができる。
【0042】
前記第1支持部10は、電極Eにおいて無地部NCと対応する領域を支持するように構成され得る。前記第1支持部10は、第2支持部20の一側端部から前記第1方向(X軸と平行な方向)と略垂直な第2方向(Y軸と平行な方向)に沿って所定長さだけ延び得る。
【0043】
前記第1支持部10の第2方向に沿った延長長さD1(
図8を参照)は、無地部NCと有地部Cとの境界からレーザー切断前の無地部NCの端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成され得る。すなわち、前記第1支持部10の延長幅(Y軸と平行な方向に延びる長さ)は、切断前の電極Eの無地部NCの高さ(Y軸方向の延長長さ)と同一であるか又はさらに長く形成され得る。これによって、前記第1支持部10は、電極Eの移送時に無地部NCを全体的に安定して支持することができる。ただし、本発明の第1支持部10が無地部NCのみを支持するように限定されるものではない。すなわち、本発明の第1支持部10は、無地部NCに加えて有地部Cの一部を支持するように構成することもできる。
【0044】
前記第2支持部20は、電極Eにおいて有地部Cと対応する領域を支持するように構成され得る。前記第2支持部20の第2方向(Y軸と平行な方向)に沿った延長長さは、無地部NCと有地部Cとの境界から有地部Cの端部に至る距離と同一であるか又はさらに長く形成され得る。すなわち、前記第2支持部20の延長幅(Y軸と平行な方向に延びる長さ)は、電極Eの有地部Cの高さ(Y軸方向の延長長さ)と同一であるか又はさらに長く延び得る。これによって、前記第2支持部20は、電極Eの移送時に有地部Cを全体的に安定して支持することができる。ただし、本発明の第2支持部20が有地部Cのみを支持するように限定されるものではない。すなわち、本発明の第2支持部20は、有地部Cに加えて無地部NCの一部を支持するように構成することもできる。
【0045】
前記第1支持部10は、無地部NCの切断のためのレーザーLが照射される領域と対応する位置に形成されるレーザー収容部11を備えることができる。本発明の治具1により支持される電極Eは、例えば、電極集電体の両面に電極活物質がコーティングされた両面コーティング型電極であり得る。
【0046】
上述したように、本発明の治具1は、レーザー収容部11を備えることで、無地部NCにレーザーLを照射して所望のパターンに切断する際に、レーザーLが無地部NCを貫通して切断を確実に行うことができる。前記レーザー収容部11が備えられていない場合、レーザーLが照射された電極Eの一面とは反対側の面は治具1により支持されているため、レーザーLが電極Eを貫通できず、切断が不完全に行われる可能性がある。
【0047】
他の態様において、本発明のこのような構成によると、無地部NCを貫通したレーザーLにより、治具1の表面が損傷することを防止でき、これにより装置の寿命を延ばすことができ、また損傷した治具1の表面を通過する電極Eの損傷も防止することができる。一方、本発明において、レーザー切断の対象は単に無地部NCのみに限定されない。すなわち、本発明において、レーザー切断の対象には、無地部NCに加えて有地部Cの一部も含まれ得る。
【0048】
次いで、
図5とともに
図6及び
図7を参照して、本発明のレーザー収容部11の形状について説明する。
図6は、本発明の治具により支持される電極にレーザーを照射して部分的に切断する工程を説明するための図であって、
図5の治具をX-X’に沿って切断した断面を示す図である。
図7は、
図5に示された治具と比較して、異なる構造を有するレーザー収容部が適用された治具を示す図である。
【0049】
まず、
図5及び
図6を参照すると、前記レーザー収容部11は、第1支持部10を貫通する孔であり、又は第1支持部10上に所定の深さに形成される溝であり得る。
【0050】
前記レーザー収容部11が孔である場合、照射されたレーザーLにより治具1が損傷しないことがある。前記レーザー収容部11が溝である場合、照射されたレーザーLが溝の内側面を損傷させることがある。しかしながら、このような場合でも、電極Eの移送時に電極Eと治具1の損傷した部分とが接触しないため、電極Eの損傷のおそれがない。
【0051】
図7を参照すると、前記レーザー収容部11は、第1支持部10の幅方向(Y軸と平行な方向)の外側端部から内側に切り欠かれた形状を有し得る。このようなレーザー収容部11の切り欠かれた形状は、レーザー収容部11が溝である場合及び孔である場合の両方に適用することができる。
【0052】
また
図3から
図6を参照すると、電極Eと対向する治具1の一面は、電極Eの移送方向である第1方向と平行な方向に沿って所定の曲率を有するように構成され得る。前記第1支持部10と第2支持部20は略同一の曲率を有し得る。
【0053】
このように治具1の一面が曲率を有する場合、電極Eが治具1を通過するときに治具1の一面上に良好に密着することができる。レーザーLの照射による無地部NC切断工程時に、電極Eが治具1上に良好に密着しないと、所望の位置にレーザーLを正確に照射することが難しい場合がある。特に、前記電極Eにしわが発生する場合、レーザーLの焦点が合わず、切断品質が低下するおそれがある。
【0054】
電極Eと対向する治具1の一面が有する曲率半径は約400から800mmの範囲であり得る。曲率半径が小さすぎると、レーザーL照射による無地部NCの切断時に、各切断位置におけるレーザーLの焦点距離差が大きくなり、各切断位置における切断品質が異なる場合がある。逆に、曲率半径が大きすぎると、治具1の表面に電極Eが良好に密着せず、移送過程で揺れが発生することがある。
【0055】
上述したように、治具1の表面が曲率を有するように構成される場合、レーザー収容部11は、治具1の高さ方向(Z軸と平行な方向)に沿って最も高い位置に形成され得る。一方、本発明の
図3では、電極Eの移送をガイドするローラーRが電極Eの下方に位置する場合のみが示されているが、これにより本発明が限定されるものではない。前記ローラーRは、電極Eの移送方向(X軸と平行な方向)に沿って治具1の一側と他側で電極Eの上部に配置され得る。この場合、前記ローラーRは、治具1の高さ方向(Z軸と平行な方向)に沿って最も高い位置より下方に位置し得る。この場合、ローラーRによって電極Eにテンションが発生し、これにより、レーザー収容部11が形成された位置で電極Eが治具1上に良好に密着することができる。
【0056】
図面に示されてはいないが、本発明の治具1において電極Eと対向する一面上にはコーティング層が形成され得る。前記コーティング層は、耐摩耗性及び/又は摩擦低減性を有するように構成され得る。本発明の治具1の表面は、電極Eの移送過程で発生する電極Eとの繰り返し摩擦により損傷する場合がある。他の態様において、電極Eの有地部Cの場合、電極Eの移送過程で発生する摩擦力により、電極活物質が脱落するなどの損傷を受ける可能性がある。
【0057】
前記治具1の表面に耐摩耗性及び/又は摩擦低減性を有するコーティング層が少なくとも部分的に形成される場合、このような摩擦による電極Eの損傷及び/又は治具1の損傷を最小化することができる。
【0058】
次いで、
図8及び
図9を参照して、本発明の第1支持部10の延長幅D1、レーザー切断後の無地部NCの高さD2、レーザー収容部11の延長幅D3、レーザー切断による無地部NCの切り欠き深さD4の関係について説明する。
図8及び
図9は、本発明の治具及び電極を治具の下部から見た形態を示す図である。
【0059】
図8及び
図9を参照すると、前記第1支持部10の延長幅D1は、レーザー切断前の無地部NCの全体高さ(Y軸と平行な方向に沿って延びる長さ)及びレーザー切断後の無地部NCの高さD2(Y軸と平行な方向に沿って延びる長さ)を考慮して決定することができる。上述したように、前記第1支持部10の延長幅D1は、電極Eの走行安定性を考慮して、レーザー切断前の無地部NCの全体高さと略同一であるか又はさらに長く形成され得る。
【0060】
一方、前記レーザー収容部11の延長幅D3(Y軸方向と平行な方向に沿った延長長さ)は、レーザー切断による無地部NCの切り欠き深さD4を考慮して決定することができる。電極Eは、第1方向(X軸と平行な方向)にのみ移動するため、レーザー収容部11の延長幅D3は、レーザー切断による無地部NCの切り欠き深さと比較してさらに大きく形成され得る。このような条件が満たされると、レーザー収容部11を通過する無地部NCを所望のパターンに切断する工程を円滑に行うことができる。
【0061】
次いで、
図10から
図12を参照して、本発明の治具1が有するフローティング(floating)機能を説明する。
図10は、本発明の治具によって電極がフローティングされた様子を示す図であり、
図11は、電極をフローティングさせるための第2支持部の構造を示す図である。また、
図12は、電極をフローティングさせるためのエアブロワーを示す図である。
【0062】
図10から
図12を参照すると、本発明の第2支持部20は、電極Eを第2支持部20上に浮かせるように構成され得る。この場合、
図10に示すように、治具1を通過する電極Eにおいて、有地部Cは、治具1と接触せずに第2支持部20上に浮かんでいる状態で移送され得る。すなわち、第2支持部20は、有地部Cを直接接触することなく、例えば空気圧によって有地部Cを浮かせることで支持することができる。このように有地部Cが第2支持部20と接触しないように構成されると、電極Eの移送過程で発生する摩擦による電極活物質の損傷/脱落を防止することができる。
【0063】
例えば、前記第2支持部20は、エアフローティングホール21を備えることができる。前記エアフローティングホール21は、複数備えられ得る。前記治具1は、エアフローティングホール21と対応する位置に備えられるエアブロワー(air blower)30を含むことができる。前記エアブロワー30は、エアフローティングホール21を介して有地部Cに浮上のための圧力を提供するように構成され得る。これにより有地部Cは、電極Eの移送過程で治具1と微小な間隔をおいて離隔した状態を維持することができる。これとは異なり、電極Eの無地部NCは、第1支持部10上に密着した状態でレーザー収容部11が形成された領域を通過でき、これによりレーザー切断の円滑性を確保することができる。
【0064】
次いで、
図13を参照して、第1支持部10上に形成されるコーティング層12について説明する。
図13は、第1支持部及び第2支持部のそれぞれに形成された摩擦防止構造を示す図である。
【0065】
図13を参照すると、前記第1支持部10は、電極Eと対向する一面上に形成されるコーティング層12を備えることができる。前記第2支持部20が電極Eをフローティングさせるように構成される場合、コーティング層12は、第1支持部10上にのみ形成され得る。前記コーティング層12は、耐摩耗性及び/又は摩擦低減性を有するように構成され得る。前記電極Eにおいて無地部NCは、円滑なレーザー切断のために第1支持部10上に密着した状態で移送され得る。したがって、前記第1支持部10上にこのような耐摩耗性及び/又は摩擦低減性を有するように構成されるコーティング層12が形成されると、無地部NCと第1支持部10との摩擦による電極E及び/又は治具1の損傷を最小化することができる。
【0066】
次いで、
図14及び
図15を参照して、本発明の治具1が有する異物排出機能について説明する。
図14は、本発明の治具に形成された異物排出部を示す図であり、
図15は、本発明の治具に備えられるサクション部を示す図である。
【0067】
まず、
図14を参照すると、前記第1支持部10は、第1方向(X軸と平行な方向)に沿ってレーザー収容部11の両側に形成される異物排出部13を備えることができる。前記異物排出部13は、第1支持部10を貫通する複数の異物排出孔を含むことができる。前記第1支持部10が異物排出部13を備える場合、レーザー切断により発生する溶融フューム(fume)などの異物がレーザー収容部11の周囲に堆積して電極Eの走行摩擦を増加させる現象を最小化することができる。
【0068】
図14とともに
図15を参照すると、前記治具1は、異物排出部13と対応する領域に備えられるサクション部40を含むことができる。前記サクション部40は、例えば治具1の内側に備えられ得る。前記サクション部40は、レーザー切断により発生する溶融フュームなどの異物が異物排出部13を通過し、サクション部40を介して治具1の外部に排出できるようにする。本発明の治具1がこのようなサクション部40を備える場合、溶融フュームがレーザー収容部11の周囲に固着する現象をより効率的に防止でき、これにより電極Eの品質が向上し、及び/又は治具1の寿命を延ばすことができる。
【0069】
次いで、
図16及び
図17を参照して本発明の電極製造システムを説明する。
図16は、本発明の電極製造システムを概念的に示す図であり、
図17は、電極に切断ラインを形成するための本発明のレーザー照射装置の動きを例示的に示す図である。
【0070】
図16を参照すると、本発明の電極製造システム3は、上述したような本発明の治具1、及び治具1に形成されたレーザー収容部11と対応する位置に備えられるレーザー照射装置2を含むことができる。前記電極製造システム3は、第1方向(X軸と平行な方向)に沿って移送される電極Eの安定した移送のためのローラーRを含むことができる。前記ローラーRは、電極Eの移送をガイドするか又は電極Eの移送のための動力を提供するように構成され得る。
【0071】
図16とともに
図17を参照すると、前記レーザー照射装置2は、電極Eの無地部NCを部分的に切断し、第1方向(X軸と平行な方向)に沿って無地部NC上に繰り返される切り欠きパターンを形成するように構成され得る。
【0072】
例えば、前記電極EがA方向に沿って移送される場合、レーザー照射装置2によるレーザーの照射地点は、順にL1、L2、L3及びL4経路に沿って略リボン状を繰り返し描きながら移動し得る。経路L1に沿った移動は、A方向と同じ方向への移動であり得る。経路L2に沿った移動は、A方向とは反対方向及び第2支持部20に向かう方向への移動であり得る。経路L3に沿った移動は、A方向と同じ方向への移動であり得る。経路L3に沿った移動距離は、経路L1に沿った移動距離よりも短いことがある。経路L4に沿った移動は、A方向とは反対の方向及び第2支持部20から離れる方向への移動であり得る。経路L4に沿った移動距離は、経路L2に沿った移動距離と実質的に略同一であり得る。
【0073】
レーザー照射装置2によるレーザーの照射地点がこのような経路L1、L2、L3、L4に沿って順に移動することにより、A方向に沿って移動する電極Eに特定のパターンを有する切断ラインCLが形成され得る。前記レーザーの照射地点の移動経路L1により第1切断ラインC1が形成され得る。前記レーザーの照射地点の移動経路L2により第2切断ラインC2が形成され得る。前記レーザーの照射地点の移動経路L3により第3切断ラインC3が形成され得る。前記レーザーの照射地点の移動経路L4により第4切断ラインC4が形成され得る。このような切断ラインCLにより形成される切断セグメントCSは、例えば、別に備えられるサクション装置により除去され得る。
【0074】
前記電極EのA方向に沿った走行速度が、レーザー照射装置2の照射地点が移動する速度よりも速い場合、レーザーの照射地点の移動による無地部NCの切断により、底辺がさらに長く上辺がさらに短い略長方形の無地部のセグメントが形成され得る。
【0075】
ただし、上述したような電極Eの走行方向及び速度、並びにレーザーの照射地点の移動方向及び速度などは例示的なものであり、これにより本発明が限定されるものではない。
【0076】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的な思想と下記の特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
L:レーザー
E:電極
C:有地部
NC:無地部
CS:切断セグメント(cutted segment)
CL:切断ライン(cutting line)
C1:第1切断ライン
C2:第2切断ライン
C3:第3切断ライン
C4:第4切断ライン
A:電極の走行(移送)方向
IS:絶縁部
R:ローラー
1:治具
10:第1支持部
11:レーザー収容部
12:耐摩耗コーティング層
13:異物排出部
D1:第1支持部の延長幅
D2:レーザー切断後の無地部の高さ
D3:レーザー収容部の延長幅
D4:レーザー切断による無地部の切り欠き深さ
20:第2支持部
21:エアフローティングホール
30:エアブロワー(air blower)
40:サクション部
2:レーザー照射装置
L1~L4:レーザー照射装置によるレーザーの照射地点の移動経路
3:電極製造システム
【国際調査報告】