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特表2024-545248指向性照明を制御するための方法及び本方法を実施する照明デバイス
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  • 特表-指向性照明を制御するための方法及び本方法を実施する照明デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】指向性照明を制御するための方法及び本方法を実施する照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/12 20060101AFI20241128BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20241128BHJP
   F21S 41/141 20180101ALI20241128BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20241128BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20241128BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20241128BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20241128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
B60Q1/12 100
F21S41/153
F21S41/141
F21S41/663
F21W102:155
F21W102:19
F21Y105:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536028
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2022086447
(87)【国際公開番号】W WO2023111309
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2113925
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
(72)【発明者】
【氏名】アルチュール、リュバ
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA22
3K339CA01
3K339CA03
3K339DA01
3K339HA12
3K339JA05
3K339KA09
3K339LA03
3K339LA17
(57)【要約】
指向性照明を制御するための方法及び本方法を実施する照明デバイス
本発明は、車両の動きに応じて変化する光束を放射する車両照明デバイスによって生成された屈曲光を制御するための方法(100)に関し、本方法は、
-a)少なくとも3つの初期光束像(Im1,Im2,Im3)を決定すること(110)であって、各初期光束像が、照明デバイスによる所定の方向への光の放射に対応する、決定すること(110)と、
-d)車両が所定の方向のうちの1つに追従していないとき、中間方向に最も近接して隣接する方向に対応する3つの初期光束像(Im1,Im2,Im3)のうちの2つを加重平均する(170)ことによって、照明デバイスによって中間方向に放射されるべき中間光束像(Im4)を決定することと、
-e)車両の移動方向に応じて、初期又は中間光束像を道路景観に投影すること(130,180)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動きに応じて変化する光束を道路景観に向けて放射する車両照明デバイスによって生成される屈曲光を制御するための方法(100)であって、前記方法が、以下のステップ、
-a)少なくとも3つの初期光束像(Im1,Im2,Im3)を決定するステップ(110)であって、各初期光束像が、前記照明デバイスによる所定の方向への光の放射に対応する、ステップ(110)と、
-d)前記車両が前記所定の方向のうちの1つに追従していないとき、中間方向に最も近接して隣接する方向に対応する前記3つの初期光束像(Im1,Im2,Im3)のうちの2つを加重平均する(170)ことによって、前記照明デバイスによって前記中間方向に放射されるべき中間光束像(Im4)を決定するステップと、
-e)前記車両の移動方向に応じて、前記初期又は中間光束像を前記道路景観に投影するステップ(130,180)と
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記3つの初期光束像が、
-前記照明デバイスによって前記車両の左側に向けて放射される左横方向初期光束像(Im3)と、
-前記照明デバイスによって前記車両の右側に向けて放射される右横方向初期光束像(Im2)と、
-前記照明デバイスによって前記車両の中心に向けて放射される中央初期光束像(Im1)と、を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中間光束像を決定する動作d)の前に、
-前記中間方向に最も近接して隣接する前記2つの方向のうちの一方に対応する第1の初期光束像を平行移動(150)させる第1の動作c1)と、
-前記中間方向に最も近接して隣接する前記方向の他方に対応する第2の初期光束像を平行移動(160)させる第2の動作c2)と、を含み、
前記第1の平行移動動作c1)が、前記第2の平行移動動作c2)の方向とは反対の方向で実行される、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の初期光束像と第2の初期光束像との間の前記中間像の比例位置を決定する動作b)を含み、位置決め係数が、前記比例位置から推定される、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記位置決め係数が、前記第1及び第2の初期光束像を平行移動(150,160)させる動作c1)及びc2)において適用される、ことを特徴とする、請求項3を引用する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決め係数が、前記2つの初期光束像を加重平均する(170)動作d)において適用される、ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記車両の動きに応じて道路景観を照明するために光束を放射する車両屈曲光照明デバイスにおいて、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実施する、ことを特徴とする、車両屈曲光照明デバイス。
【請求項8】
一列の、又はスクリーンの形態を取る複数の発光ダイオードを備え、前記発光ダイオードの光度が、少なくとも3つの初期光束像(Im1、Im2、Im3)を生成するように変化する、ことを特徴とする、請求項7に記載の照明デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両照明デバイスによって道路景観に向かって放射される指向性照明としても知られている屈曲光を制御するための方法に関し、光束像は、車両の各移動方向に適合される。本発明はまた、本方法が採用する車両照明デバイスに関する。
【0002】
本発明は、自動車など、道路車両による道路景観の照明の分野に適用可能である。特に、車両の動きに応じて、発生した照明が変化する屈曲光の分野に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
安全上の理由から、自動車用照明デバイスは、規制を遵守しつつ、運転者の視認性を向上させるために、近年多くの開発が行われている。運転者の、特定の照明デバイスの、又は前照灯の、視認性を改善するために、車両の速度、気象条件、他の車両が通過しているか否かなどに応じて光ビームを再構成することを可能にする。FBL(FBLはFixed Bending Lightを表す)システムには、特定の改善がなされている。DBL(DBLはDynamic Bending Lightを表す)システムには、他の改善がなされている。
【0004】
DBLシステムでは、照明デバイスは、運転者にとって可能な限り最良の道路景観を照明するために、例えば、コーナーにおいて自動車の経路を追従する。一般に、前照灯の光ビームの到達範囲は、車両が進行している方向の道路景観を明るく照明するために、車両のハンドルの角度及び/又は車両の速度に応じて、右側又は左側に移動する。DBLシステムでは、光ビームは、一般に、一列に、又はスクリーン(すなわち、いくつかの行及び列)を形成するように、配置された発光ダイオード(LEDとも呼ばれる)によって形成され、その輝度は変化し得る。したがって、発光ダイオードによって生成される照明により、前照灯が放射する光束は変化し、像の領域ごとに輝度が異なる光束像を形成してもよい。光マップとも呼ぶそのような光束像の一実施例を図1に示している。図1の像は、車両が直線を走行しているとき、前照灯が放射する光束像に対応する。
【0005】
現在のDBL技術の1つは、光束を右側又は左側にシフトするように、光束像(例えば、図1の像)を、車両が右折するときに右側に、又は車両が左折するときに左側に、平行移動させることにある。別の現在のDBL技術は、光束像の一方を圧縮し、光束を左側又は右側にシフトするように、その像の他方を伸張することからなる。
【0006】
これらの現在の技術は両方とも、右側又は左側にシフトされた同じ光束像を保つ。しかしながら、特定の状況では、例えば、最大光度が、高くなるように、又は逆に、低くなるように光度を変更することが有利であることがあり、これは、光束像を一方又は他方に単にシフトさせることによって達成することができないことである。
【0007】
更に、新しい規制は、右側への照明が特定の特性を有すること、及び左側への照明が他の特定の特性を有することを要求し、これらの特性は、現在のDBL技術では生成することができない。
【発明の概要】
【0008】
光束像が左側又は右側にシフトすることによる上述の問題に対処し、新しい規制に準拠するために、本出願人は、少なくとも3つの異なる初期光束像が生成される屈曲光を制御する方法を開発し、そこから中間光束像を加重平均を適用することによって定義することができる。
【0009】
第1の態様によれば、本発明は、車両の動きに応じて変化する光束を道路景観に向けて放射する車両照明デバイスによって生成される屈曲光を制御するための方法に関し、本方法は、以下のステップ、
-a)少なくとも3つの初期光束像を決定することであって、各初期光束像が、照明デバイスによる所定の方向への光の放射に対応する、決定することと、
-d)車両が所定の方向のうちの1つに追従していないとき、中間方向に最も近接して隣接する方向に対応する3つの初期光束像のうちの2つを加重平均することによって、照明デバイスによって中間方向に放射されるべき中間光束像を決定することと、
-e)車両の移動方向に応じて、初期又は中間光束像を道路景観に投影することと、を含む。
【0010】
本方法により、車両が最も左側の方向と最も右側の方向との間で取る各方向について、特定の光束像を決定することができる。
【0011】
有利には、3つの初期光束像は、
-照明デバイスによって車両の左側に向けて放射される左横方向初期光束像と、
-照明デバイスによって車両の右側に向けて放射される右横方向初期光束像と、
-照明デバイスによって車両の中心に向けて放射される中央初期光束像と、を含む。
【0012】
これらの3つの像により、最も左側方向と中央方向との間の全車両方向について、左横方向初期像と中央初期像との中間の光束像を、及び中央方向と最も右側方向との間の全車両方向について、中央初期像と右横方向初期像との中間の光束像を、決定することができる。したがって、車両の任意の移動方向に適合された光束像を道路上に投影することができ、移動方向は、車両によって許容される最大左折角度と最大右折角度との間の可能な方向の範囲内に含まれる任意の方向とすることができる。したがって、車両の運転者は、車両の動きの間にわたって、及び車両の経路が何であれ、最適に常に照明される道路景観を見る。
【0013】
定義により、所定の方向に、及び/又は1つの特定のDBL角度に、対応する所定の光束像を、「初期像」と呼ぶ。更に、移動車両のDBL角度とは対照的に、所定の方向は、「初期方向」とも呼び、1つの特定のDBL角度は、「初期DBL角度」とも呼ぶ。
【0014】
前の節で上述した特徴とは別に、本発明の一態様による屈曲光を制御するための方法は、以下の相補的な特徴のうちの1つ又は複数を有し、これは、以下の個別に又は任意の技術的に実行可能な組合せで実施することができ、
-それは、中間光束像を決定する動作d)の前に、
-中間方向に最も近接して隣接する2つの方向のうちの一方に対応する第1の初期光束像を平行移動させる第1の動作c1)と、
-中間方向に最も近接して隣接する方向の他方に対応する第2の初期光束像を平行移動させる第2の動作c2)であって、第1の平行移動動作c1)が、第2の平行移動動作c2)の方向とは反対の方向で実行される、第2の動作c2)と、を含み
-それは、第1の初期光束像と第2の初期光束像との間の中間像の比例位置を決定する動作b)を含み、位置決め係数がその比例位置から推定され、
-位置決め係数は、第1及び第2の初期光束像を平行移動させる動作c1)及びc2)において適用され、
-位置決め係数は、2つの初期光束像を加重平均する動作d)において適用される。
【0015】
第2の態様によれば、本発明は、その車両の動きに応じて道路景観を照明するために光束を放射する車両屈曲光照明デバイスに関し、上記で定義したような方法を実施することを特徴とする。
【0016】
有利には、本照明デバイスは、一列の、又はスクリーンの形態を取る複数の発光ダイオードを備え、その光度は、少なくとも3つの初期光束像を生成するように変化する。
【0017】
本発明の他の利点及び特徴は、図面で示す以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】既に説明した、DBLシステムで従来使用されている光束像の一実施例を示す図である。
図2】本発明による方法の様々な動作の一実施例をフローチャートの形態で示す図である。
図3】本発明による方法で生成された初期の光束像の実施例を示す図である。
図4】DBL角度が0°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
図5】DBL角度が100°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
図6】DBL角度が-100°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
図7】DBL角度が+40°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
図8】DBL角度が+80°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
図9】DBL角度が-60°であるときの本発明による方法で使用する様々な光束像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、車両用前照灯が発生する屈曲光を制御する方法の実施形態の一実施例を以下で詳細に説明する。本実施例は、本発明の特徴及び利点を説明する。しかしながら、本発明が本実施例に限定されないことが想起されるであろう。
【0020】
図において、同一の要素を、同一の参照符号を使用して識別する。図面の可読性のために、図面の要素は縮尺通りに示していない。
【0021】
本発明による方法100の一実施例をフローチャート形式で図2に示す。本方法は、初期光束像を生成する第1の動作110を含む。これらの初期光束像、すなわち、簡単に初期像は、車両が所定の方向に移動しているときに、その車両の前照灯が放射する光束像である。初期像は、少なくとも3つあり、3つの異なる所定の方向に対応する。
【0022】
3つの初期像の実施例を図3に示している。図3の実施例では、初期像Im1は、直線に、すなわち、直線経路を追従して走行する車両に対して生成される光束の一実施例である。車両が直線に走行しているとき、車両が追従する方向に対応するDBL角度は0に等しい。直線に移動する車両のための初期像Im1を中央初期像と呼ぶ。
【0023】
図3の実施例では、初期像Im1は、最大限右折する、すなわち、最大限右側に向いた湾曲経路を追従する車両に対して生成された光束の一実施例である。車両が完全に右折しているとき、すなわちハンドル角が最大に右側にあるとき、DBL角は、+100に等しいと考えられる。完全に右折している車両のための初期像Im2を右横方向初期像と呼ぶ。
【0024】
図3の実施例では、初期像Im3は、最大限左折する、すなわち、最大限左側に向いた湾曲経路を追従する車両に対して生成された光束の一実施例である。車両が完全に左折しているとき、すなわちハンドル角が最大で左側にあるとき、DBL角は、-100に等しいと考えられる。完全に左折している車両のための初期像Im3を左横方向初期像と呼ぶ。
【0025】
3つの初期像Im1、Im2及びIm3は、規制要件を満たす所定の像である。これら3つの像Im1、Im2、Im3は、照明デバイスの製造業者によって決定され、車両が稼働される前に、又はその照明デバイスが専門家によって更新されたときに、その照明デバイスに実装される。
【0026】
本発明の方法を実装し得る初期像の最小数は3である。初期像の数は、3より大きくてもよく、例えば5に等しくてもよい。3つの初期像があるとき、これらの初期像は、左横方向初期像Im3と、右横方向初期像Im2と、中央初期像Im1と、を備えることが好ましい。照明デバイスに3つ以上の初期像を設置するとき、Im1、Im2及びIm3を補完する2つの像は、例えば、+50及び-50のDBL角度に対応する、中央初期像Im1と、左右の横方向初期像Im3及びIm2と、の間に挿入された像であってもよい。初期像の数にかかわらず、方法100は、以下に説明するものと同じ方法で適用される。
【0027】
初期像Im1、Im2、Im3の生成後、方法100は、試験120において、車両DBL角度が所定の初期方向のうちの1つに対応するか否かをチェックする。言い換えれば、方法100は、車両DBL角度が、初期像が定義された初期DBL角度のうちの1つに対応するか否かをチェックする。そのような場合、本方法は、初期DBL角度に対応する初期光束像が道路景観に投影される動作130に進む。例えば、試験120において、車両DBL角度が初期DBL角度+100に対応すると決定した場合、初期像Im2が、道路上に投影される。
【0028】
対照的に、車両DBL角度が初期DBL角度のうちの1つに対応しない場合、本方法は、車両DBL角度に最も近接して隣接する初期方向を決定するステップ140に進む。言い換えれば、ステップ140において、どの初期DBL角度が移動車両のDBL角度に隣接するかを決定する。例えば、車両DBL角度が+40に等しい場合、このDBL角度+40に隣接する初期DBL角度は、DBL角度+100及びDBL角度0である。別の例によれば、車両DBL角度が-60に等しい場合、このDBL角度-60に隣接する初期DBL角度は、DBL角度-100及びDBL角度0である。
【0029】
次いで、方法100は、初期像を平行移動させるステップ150及び160に進む。ステップ150において、右側初期DBL角度、すなわち、その値が車両DBL角度よりも大きいDBL角度(車両DBL角度の右側に隣接する)に対応する初期像が、左側に平行移動される。ステップ160において、左側初期DBL角度、すなわち、その値が車両DBL角度よりも小さいDBL角度(車両DBL角度の左側に隣接する)に対応する初期像が、右側に平行移動される。例えば、車両DBL角度が+40に等しい場合、右横方向初期像Im2(DBL角度+100に対応)は、左側に平行移動され、中央初期像Im1(初期DBL角度0に対応)は、右側に平行移動される。別の例では、車両DBL角度が-60に等しい場合、左横方向初期像Im3(DBL角度-100に対応)は、右側に平行移動され、中央初期像Im1(初期DBL角度0に対応)は、左側に平行移動される。
【0030】
平行移動ステップ150及び160は、最も近い初期DBL角度に対する車両DBL角度の比例位置から決定される位置決め係数を考慮して適用されることが好ましい。具体的には、本方法のステップ140は、第1の初期像、例えば、右側初期DBL角度に対応する初期像と、第2の初期像、例えば左側初期DBL角度に対応する初期像と、の間の中間像の比例位置を決定する動作を組み込んでもよい。次いで、位置決め係数が、この比例位置からを推定される。
【0031】
例えば、+40に等しい車両DBL角度の場合、位置決め係数は40/60であり、中央初期像Im1は、右側に40だけ平行移動され、右横方向初期像Im2は、左側に60だけ平行移動され、40及び60は、例えば、パーセンテージ又はピクセル数で与えられる比例数である。車両DBL角度が-60に等しい別の例では、位置決め係数は、60/40であり、中央初期像Im1は、左側に60だけ平行移動され、左横方向初期像Im3は、右側に40だけ平行移動される。
【0032】
ステップ150及び160に続いて、車両DBL角度に最も近い初期DBL角度に対応する2つの初期像、例えば、Im1/Im2又はIm1/Im3が、重ね合わせられる。
【0033】
方法100は、ステップ170に進み、ここでは、2つの平行移動された初期像の加重平均が適用される。これらの2つの初期像を平均する動作は、ステップ150及び160で使用された位置決め係数に応じて2つの像の各々を重み付けすることによって実行される。例えば、車両DBL角度が+40に等しい場合、中央初期像Im1に使用される重みは40%であり、右横方向初期像Im2に使用される重みは60%である。車両DBL角度が-60である実施例では、中央初期像Im1の重みは、60%であり、左横方向初期像Im3の重みは、40%である。車両DBL角度が-20である実施例では、中央初期像Im1の重みは、20%であり、左横方向初期像Im3の重みは、80%である。
【0034】
2つの平行移動された初期像を平均する動作は、例えば、ピクセルごとに、又は像処理の分野で知られている任意の他の像平均技術によって実行される。
【0035】
2つの平行移動された初期像に加重平均を適用した後に得られる像Im4は、中間光束像、又は単に中間像と呼ぶ。次に、ステップ180において、この中間像Im4を道路に投影する。
【0036】
初期像及び/又は中間像のいくつかの実施例を、図4図9に示している。これらのすべての実施例では、初期像の数は3つであり、
-Aで参照する初期像は、初期DBL角度-100(又は最も左側のDBL角度)に対応する左横方向初期像である、
-Bで参照する初期像は、初期DBL角度0、すなわち、中央DBL角度に対応する中央初期像である、
-Cで参照する初期像は、初期DBL角度+100(又は最も右側のDBL角度)に対応する右横方向初期像であり、及び、
-Dで参照する像は、道路上に投影される結果として得られる像(すなわち、場合に応じて初期像又は中間像)である。
【0037】
図4図9の実施例では、ピクセル(px)の数は、平行移動される初期像の平行移動に適用される位置決め係数に対応し、パーセント(%)の数は、平行移動された初期像の平均中に適用される重み付けに対応する。ピクセルの数に関連付けられていない図4図9の初期像A、B、及びCは、投影される像Dを決定するために使用されない初期像である。
【0038】
図4の実施例では、車両DBL角度は初期DBL角度0である。したがって、投影される像Dは、中央初期像(像B)である。
【0039】
図5の実施例では、車両DBL角度は、初期DBL角度+100である。したがって、投影される像Dは、右横方向初期像(像C)である。
【0040】
図6の実施例では、車両DBL角度は、初期DBL角度-100である。したがって、投影される像Dは、左横方向初期像(像A)である。
【0041】
図7の実施例では、車両DBL角度は、中間角度+40である。したがって、平行移動される初期像は、+40px(すなわち、右側に40px)だけ平行移動される中央初期像(像B)、及び-60px(すなわち、左側に60px)だけ平行移動される右横方向初期像(像C)である。したがって、投影される像Dは、60%の重みを有する像Bと、40%の重みを有する像Cと、を平均することによって得られた中間像である。
【0042】
図8の実施例では、車両DBL角度は、中間角度+80である。したがって、平行移動される初期像は、+80px(すなわち、右側に80px)だけ平行移動される中央初期像(像B)、及び-20px(すなわち、左側に20px)だけ平行移動される右横方向初期像(像C)である。したがって、投影される像Dは、20%の重みを有する像Bと、80%の重みを有する像Cと、を平均することによって得られた中間像である。
【0043】
図9の実施例では、車両DBL角度は、中間角度-60である。したがって、平行移動される初期像は、+40px(すなわち、右側に40px)だけ平行移動される左横方向初期像(像A)、及び-60px(すなわち、左側に60px)だけ平行移動される中央初期像(像B)である。したがって、投影される像Dは、60%の重みを有する像Aと、40%の重みを有する像Bと、を平均することによって得られた中間像である。
【0044】
以上、方法100について、3つの初期像Im1,Im2,Im3を定義した実施例を説明した。定義した初期像の数に関係なく、同じ方法を同じように適用し得ることが理解されよう。3つを超える初期像を定義している場合、平行移動され、平均化される初期像は、車両DBL角度に最も近接して隣接する2つの初期DBL角度に対応する2つの初期像である。例えば、+0、+50、+100、-50、及び-100の初期DBL角度に対して5つの初期像が定義され、車両DBL角度が+20である場合、平行移動され、平均化される初期像は、初期DBL角度+0に対応する初期像、及び初期DBL角度+50に対応する初期像である。
【0045】
上述のような方法は、放射される光度を変えることができれば、例えば、マトリックス照明デバイス、走査レーザ照明デバイス、LEDスクリーン又はマイクロLEDスクリーンに基づいた照明デバイスなど、多くの種類の照明デバイスで実装されてもよい。例えば、LEDベースの照明デバイスでは、各LEDの電力は、例えば、制御ユニットによって制御され、したがって、選択された様々な初期DBL角度に対して様々な初期光束像を生成してもよい。
【0046】
特定の数の実施例、変形例、及び実施形態によって説明されているが、本発明による屈曲光を制御するための本方法は、当業者には明らかであると思われる様々な変形例、修正例、及び改善例を含み、これらの変形例、修正例、及び改善例は、本発明の範囲の一部を形成することが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】