(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電池及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241128BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M10/0587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536071
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021138882
(87)【国際公開番号】W WO2023108558
(87)【国際公開日】2023-06-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514257398
【氏名又は名称】東莞新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1 Industrial West Road,Songshan Lake High-tech Industrial Development Zone, Dongguan City, Guangdong Province, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】董 宇洋
(72)【発明者】
【氏名】▲いぇん▼ 東陽
(72)【発明者】
【氏名】曽 巧
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB07
5H028CC08
5H028CC12
5H028CC26
5H028EE06
5H028EE10
5H028HH00
5H028HH05
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029CJ07
5H029CJ22
5H029HJ00
5H029HJ03
5H029HJ12
(57)【要約】
本願は、電池技術分野に関し、電池(1)及び電子機器(2)を開示する。電池(1)は、ハウジング(100)、電極アセンブリ(200)、第1層(400)及び第2層(500)を含む。電極アセンブリは、第1電極シート、第2電極シート及び分離膜を含む。前記電極アセンブリは、巻き取るように設けられる。これにより、第1電極シートは巻取方向に沿って対向する第1辺と第2辺、及び第1辺から離れた第1終り端を有し、第1方向に沿って見ると、電極アセンブリは第1表面を有し、前記第2辺は前記第1表面を第1領域と第2領域とに分け、前記第1領域は第1終り端が所在する領域である。前記第1層は、前記第1領域と前記第2領域に固定され、前記第2層は、第1表面に固定され且つ前記第1層との間に間隔を有し、前記第2層は電極アセンブリとハウジングとを接着固定するために使用される。この電池は、電池または電池を備えた電子機器が落下したときに、電極アセンブリがハウジングに対して滑るリスクを低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
ハウジングと、電極アセンブリと、第1層と、第2層と、を備え、
前記電極アセンブリは、前記ハウジングに収容され、且つ積層配置されている第1電極シート、第2電極シート及び前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられたセパレータフィルムを含み、
前記電極アセンブリは、巻取するように設けられ、
前記第1電極シートは、巻取方向に沿って対向する第1辺及び第2辺と、前記第1辺から離れている第1終り端と、を有し、
第1方向に沿って見ると、
前記電極アセンブリは第1表面を有し、
前記第1終り端は、前記第1表面に位置し、
前記第1終り端は、前記第1電極シートにおいて前記電極アセンブリの巻取方向に沿って前記第2辺から所定の距離だけ延伸して構成された部分であり、
前記第2辺は、前記第1表面に位置し、且つ前記第1表面を第1領域と第2領域とに分け、
前記第1領域は前記第1終り端が位置する領域であり、
前記第1方向は、前記第1層の表面に対して垂直な方向であり、
前記第1層は、前記第1領域と前記第2領域に固定され、
前記第2層は、前記第1表面に固定され、且つ前記第1層との間に間隔を有し、
前記電極アセンブリを前記ハウジングに固定するために用いられることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第2層は、前記第2領域内に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1方向に沿って見ると、前記第1領域は、前記第2辺と対向して配置された第1辺線を有し、前記第1辺線と前記第2辺との間の距離を第1距離とし、
前記第2領域は、前記第2辺と対向して配置された第2辺線を有し、前記第2辺線と前記第2辺との間の距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第2層は、前記第1領域内に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記第1方向に沿って見ると、前記第1領域は前記第2辺と対向して配置された第1辺線を有し、前記第1辺線と前記第2辺との間の距離を第1距離とし、
前記第2領域は、前記第2辺と対向して配置された第2辺線を有し、前記第2辺線と前記第2辺との間の距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離より大きいことを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記第2層は、前記第1領域と前記第2領域とに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項7】
第2方向に沿って、前記第1層の長さは前記第2層の長さよりも大きく、
前記第2方向は、前記第2辺が延びる方向であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項8】
第2方向に沿って、前記第1層の少なくとも一端は前記第2層の両端の外に位置し、
前記第2方向は、前記第2辺が延びる方向であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
第3方向に沿って、前記第1層の幅は前記第2層の幅よりも大きく、
前記第3方向は、同時に前記第1方向及び前記第2方向に対して垂直な方向であることを特徴とする請求項7または8に記載の電池。
【請求項10】
前記第1層は矩形を呈し、前記第1層の長辺と前記第2辺との間の角度をθとした場合、0°<θ<15°であることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項11】
前記電極アセンブリの外側面は、前記第1方向に沿って対向して設けられた第1面と第2面、及び第3方向に沿って対向して設けられた第3面と第4面を有し、
第2方向に沿って見ると、前記第1面と前記第2面は、いずれも第3方向に沿って延伸し、且つ第1基準線と第2基準線との間に位置し、
前記第3面は、湾曲して延在し且つ前記第2基準線の前記第1基準線から離反する側に位置し、
前記第4面は、湾曲して延在し且つ前記第1基準線の前記第2基準線から離反する側に位置し、
前記第1面と前記第3面と前記第2面と前記第4面とは、互いに順次に接続し、
前記第1方向に沿って見ると、前記第1表面は、前記第1面の少なくとも一部、前記第3面の一部及び前記第4面の一部を含み、前記第2辺は前記第1面に位置し、
前記第1層及び/又は前記第2層は、前記第1面に設けられ、
前記第2方向は、前記第2辺が延びる方向であり、
前記第3方向は、同時に前記第1方向及び前記第2方向に垂直な方向であり、
前記第2方向に沿って見ると、前記第1電極シートにおいて前記第1辺から開始する第1コーナーでの第3方向に沿って最も外側に位置する点を第1点とし、
前記第1基準線は、前記第1方向に平行であり且つ前記第1点を通過し、
前記第1電極シートにおいて前記第1辺から開始する第2コーナーでの第3方向に沿って最も外側に位置する点を第2点とし、
前記第2基準線は、前記第1方向に平行であり且つ前記第2点を通過することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項12】
第3層をさらに備え、
前記第3層の第1端は前記第1面に固定され、前記第3層の第2端は第2面に固定されることを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
少なくとも1つの前記第3層の第1端は前記第1層に固定され、及び/または、
少なくとも1つの前記第3層の第1端は前記第2層に固定され、及び/または、
少なくとも1つの前記第3層の第1端は同時に前記第1層及び前記第2層に固定されることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記第1電極シートは、巻き取って複数の第1部及び複数の第2部を形成し、
前記第2電極シートは、前記巻取方向に沿って対向して配置された第3辺と第4辺を有し、前記第3辺を周回して巻回され、前記第3辺から離れた第2終り端を有し、前記第2終り端は、前記第2電極シートが前記第4辺から前記巻取方向に沿って所定の距離を延伸して構成された部分であり、隣接する2つの第1部の間又は隣接する2つの第2部の間に設けられ、
前記巻取方向に沿って、前記第1電極シートは、前記第2終り端を越え、
前記第1電極シートのうち前記第2終り端に隣接し且つ前記第2終り端の前記第1辺に近い側に位置する第1部または第2部は、前記第2終り端をちょうど越える箇所から前記第2辺までの部分において、前記第1辺とは反対側の面に活物質層が設けられていないことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記第1層及び/又は前記第2層は、接着ゴムを含み、
前記接着ゴムは、両面テープを含み、
前記両面テープは、基材層と、前記基材層の両側に塗布された接着剤層とを含み、
または、前記接着ゴムはホットメルト接着剤を含むことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の電池。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の電池を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子技術分野に関し、特に電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、外部エネルギーを電気エネルギーに変換し且つその内部に貯蓄して、必要に応じて外部機器(例えば、携帯型電子機器)に電力を供給するためのものである。現在、電池は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、ドローン、電気自動車などの電子機器に広く使われている。
【0003】
一般に、電池は、ハウジング、電極アセンブリ、導電板及び電解液を含む。ここで、電極アセンブリはハウジング内に収容され、導電板の一端は電極アセンブリに固定され、導電板の他端はハウジングの外に出て電池の外付け端子を形成し、電解液はハウジング内に充填される。
【0004】
電子機器は、使用中に不意に落下したり、衝突したりする可能性がある。これにより、電極アセンブリのハウジングに対する滑るが容易となり、さらに、電極アセンブリとの接続部位における導電板の衝撃損傷と電極アセンブリの損傷を引き起こし、電池の使用寿命を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、電池または電池付きの電子機器が落下または他の物体と衝突した際に、電極アセンブリがハウジングに対して滑るリスクを低減し、電池の使用寿命を向上させるための電池及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1局面では、本願は、その技術的問題を解決するために、以下の技術的解決策を採用する。
【0007】
電池であって、
ハウジングと、電極アセンブリと、第1層と、第2層と、を備え、
前記電極アセンブリは、前記ハウジングに収容され、且つ積層配置されている第1電極シート、第2電極シート及び前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられたセパレータフィルムを含み、
前記電極アセンブリは、巻取するように設けられ、
前記第1電極シートは、巻取方向に沿って対向する第1辺及び第2辺と、前記第1辺から離れている第1終り端と、を有し、
第1方向に沿って見ると、
前記電極アセンブリは第1表面を有し、
前記第1尾端は、前記第1表面に位置し、
前記第1尾端は、前記第1電極シートにおいて前記電極アセンブリの巻取方向に沿って前記第2辺から所定の距離だけ延伸して構成された部分であり、
前記第2辺は、前記第1表面に位置し、且つ前記第1表面を第1領域と第2領域とに分け、
前記第1領域は前記第1終り端が位置する領域であり、
前記第1方向は、前記第1層の表面に対して垂直な方向であり、
前記第1層は、前記第1領域と前記第2領域に固定され、
前記第2層は、前記第1表面に固定され、且つ前記第1層との間に間隔を有し、前記電極アセンブリを前記ハウジングに固定するために用いられる。
【0008】
本発明の実施形態によって提供される電極アセンブリは、電極アセンブリをハウジングに固定するための第2層を含む。この第2層が故障する前に、電池内の電極アセンブリとハウジングとが常に固定されたままである。したがって、本願の実施形態によって提供される電池は、電池または電池付きの電子機器が落下または他の物体と衝突した際に、電極アセンブリがハウジングに対して滑るリスクを低減して、電池の使用寿命を向上させることができる。
【0009】
上記技術提案のさらなる改善策として、第2層は第2領域内に固定されている。
【0010】
幾つかの実施例において、第1方向に沿って見ると、第1領域は、第2辺と対向して配置された第1辺線を有し、第1辺線と第2辺との間の距離を第1距離とし、
第2領域は、第2辺と対向して配置された第2辺線を有し、第2辺線と第2辺との間の距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離よりも小さい。
【0011】
幾つかの実施例において、第2層は、第1領域内に固定されている。
【0012】
幾つかの実施例において、第1方向に沿って見ると、第1領域は第2辺と対向して配置された第1辺線を有し、第1辺線と第2辺との間の距離を第1距離とし、
第2領域は、第2辺と対向して配置された第2辺線を有し、第2辺線と第2辺との間の距離を第2距離とし、第1距離は、第2距離よりも大きい。
【0013】
幾つかの実施例において、第2層は、第1領域と第2領域とに固定されている。
【0014】
幾つかの実施例において、第2方向に沿って、第1層の長さは第2層の長さよりも大きく、第2方向は、第2辺が延びる方向である。
【0015】
幾つかの実施例において、第2方向に沿って、第1層の少なくとも一端は第2層の両端の外に位置し、第2方向は、第2辺が延びる方向である。
【0016】
幾つかの実施例において、第3方向に沿って、第1層の幅は第2層の幅よりも大きく、第3方向は、同時に第1方向及び第2方向に対して垂直な方向である。
【0017】
幾つかの実施例において、第1層は矩形を呈し、第1層の長辺と第2辺との間の角度をθとした場合、0°<θ<15°である。
【0018】
幾つかの実施例において、前記電極アセンブリの外側面は、前記第1方向に沿って対向して設けられた第1面と第2面、及び第3方向に沿って対向して設けられた第3面と第4面を有し、
第2方向に沿って見ると、前記第1面と前記第2面は、いずれも第3方向に沿って延伸し、且つ第1基準線と第2基準線との間に位置し、
前記第3面は、湾曲して延在し且つ前記第2基準線の前記第1基準線から離反する側に位置し、
前記第4面は、湾曲して延在し且つ前記第1基準線(Z1)の前記第2基準線(Z2)から離反する側に位置し、
前記第1面と前記第3面と前記第2面と前記第4面とは、互いに順次に接続し、
前記第1方向に沿って見ると、前記第1表面は、前記第1面の少なくとも一部、前記第3面の一部及び前記第4面の一部を含み、前記第2辺は前記第1面に位置し、
前記第1層及び/又は前記第2層は、前記第1面に設けられ、
前記第2方向は、前記第2辺が延びる方向であり、前記第3方向は、同時に前記第1方向及び前記第2方向に垂直な方向であり、
前記第2方向に沿って見ると、前記第1電極シートにおいて前記第1辺から開始する第1コーナーでの第3方向に沿って最も外側に位置する点を点Mとし、
前記第1基準線は、前記第1方向に平行であり且つ点Mを通過し、
前記第1電極シートにおいて前記第1辺から開始する第2コーナーでの第3方向に沿って最も外側に位置する点を点Nとし、
前記第2基準線は、前記第1方向に平行であり且つ点Nを通過する。
【0019】
幾つかの実施例において、第3層をさらに備え、第3層の第1端は第1面に固定され、第3層の第2端は第2面に固定される。
【0020】
幾つかの実施例において、少なくとも1つの前記第3層の第1端は前記第1層に固定され、及び/または、
少なくとも1つの前記第3層の第1端は前記第2層に固定され、及び/または、
少なくとも1つの前記第3層の第1端は同時に前記第1層及び前記第2層に固定される。
【0021】
幾つかの実施例において、前記第1電極シートは、巻き取って複数の第1部及び複数の第2部を形成し、
前記第2電極シートは、前記巻取方向に沿って対向して配置された第3辺と第4辺を有し、前記第3辺を周回して巻回され、前記第3辺から離れた第2終り端を有し、前記第2終り端は、前記第2電極シートが前記第4辺から前記巻取方向に沿って所定の距離を延伸して構成された部分であり、隣接する2つの第1部の間又は隣接する2つの第2部の間に設けられ、
前記巻取方向に沿って、前記第1電極シートは、前記第2終り端を越え、
前記第1電極シートのうち前記第2終り端に隣接し且つ前記第2終り端の前記第1辺に近い側に位置する第1部または第2部は、前記第2終り端をちょうど越える箇所から前記第2辺までの部分において、前記第1辺とは反対側の面に活物質層が設けられていない。
幾つかの実施例において、第1層及び/又は第2層は、接着ゴムを含む。
接着ゴムは、両面テープを含み、
前記両面テープは、基材層と、前記基材層の両側に塗布された接着剤層とを含み、
または、前記接着ゴムはホットメルト接着剤を含む。
【0022】
第2局面では、本願は、その技術的問題を解決するために、上記の何れかの電池を備える電子機器を提供する。
【0023】
本願の実施形態における技術的態様をより明確に説明するために、以下では、実施形態の説明において使用する必要がある図面について簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本願の幾つかの実施形態にすぎず、当業者にとっては、これらの図面に示された構造に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願の第1実施例に係る電池の一方向の斜視模式図である。
【
図2】
図1における電池がハウジングを隠蔽した後の斜視模式図である。
【
図3】
図1における電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図4】
図1における電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向と反対の方向から見た模式図である。
【
図7】
図2における電極アセンブリが展開された後の模式図である。
【
図8】本願の第1実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の概略図である。
【
図9】本願の第2実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後に第1方向に沿って見た概略図である。
【
図10】
図9における電池の第1方向と反対の方向から見た模式図である。
【
図12】本願の第3実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図13】
図12における電池の第1方向と反対の方向から見た模式図である。
【
図14】本願の第4実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図15】本願の第5実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図16】本願の第6実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図18】本願の第7実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿った模式図である。
【
図20】本願の第8実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図21】
図20の電池を第1方向とは反対方向から見た模式図である。
【
図22】本願の第9実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向Zから見た模式図である。
【
図23】本願の第10実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図24】本願の第11実施例に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図25】本願の第12実施形態に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図26】本願の比較例1に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図28】本願の比較例2に係る電池がハウジングを隠蔽した後の第1方向に沿って見た模式図である。
【
図30】本願の一実施形態に係る電子機器の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の理解を容易にするために、以下に添付図面と具体的な実施例に関連して、本願についてより詳細に説明する。説明する必要があるのは、あるコンポーネントが別のコンポーネントに「固定/固着される」と呼ぶ場合、それは別のコンポーネントに直接的に存在してもよいし、両者の間に1つまたは複数の中間媒体が存在してもよい。あるコンポーネントが別のコンポーネントに「接続される」と考えられる場合、それは別のコンポーネントに直接接続されてもよいし、両者の間に1つまたは複数の中間媒体が同時に存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」、「内」、「外」及び類似の表現は、説明の目的のためだけである。
【0026】
特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般に理解するものと同じ意味である。本願の明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけであり、本願を制限することを目的とするものではない。本明細書で使用される用語「または/及び」は、1つまたは複数の関連する列挙された項目の任意の及びすべての組合せを含む。
【0027】
以下、添付図面に基づいて、本願の幾つかの実施形態について詳細に説明する。矛盾しない場合には、以下の実施形態及び実施形態における特徴を互いに組み合わせてもよい。
【0028】
本明細書において、前記「取付」は、溶接、螺着、係合、接着などの方法によってある要素または装置を特定の位置または場所に固定または制限することを含み、前記要素または装置は特定の位置または場所に不動を保持してもよいし、限定された範囲内で活動してもよい。前記要素または装置は特定の位置または場所に固定または制限された後に取り外し可能であるかまたは取り外し不可であり、本願の実施例においては制限されない。
【0029】
図1及び
図2には、本願の第1実施例によって提供された電池1の斜視図及び当該電池1がハウジングを隠蔽した後の斜視図がそれぞれ示されている。この電池は、ハウジング100、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含む。ここで、ハウジング100は各構造を直接的または間接的に装着するための基体を構成し、電極アセンブリ200はハウジング100内に収容される。
図3から
図7に関連して、
図3は電池1がハウジング100を隠蔽した後に第1方向Zに沿って見た模式図を示し、
図4は電池1が第1方向Zの反対方向から見た模式図を示し、
図5は
図3の底面図を示し、
図6は
図3の平面図を示し、
図7は電極素子200が展開された後の模式図を示している。電極アセンブリ200は、積層されて配置された第1電極シート210、第2電極シート220及び分離膜230を含む。分離膜230は、第1電極シート210と第2電極シート220との間に設けられる。電極アセンブリ200は、第1電極シート210が巻取方向に沿って対向する第1辺213と第2辺214、及び前述の巻取方向に沿って第1辺213から遠ざかる第1終り端212を有するように、巻き取られて配置される。ここで、第1辺213は電極アセンブリ200の中心に位置し、第2辺214は第1辺213から離反して設けられ且つ電極アセンブリ200の外面に位置する。第1終り端212は、電極アセンブリ200の外面に位置し、且つ第1電極シート210において第2辺214から所定の距離を延びることで構成された部分である。図示の第1方向Zに沿って見ると、電極アセンブリ200は第1表面201を有し、第2辺214は第1表面201に位置し且つ第1表面201を第1領域2011と第2領域2012とに分ける。第1終り端212は、第1表面201に位置する。第1領域2011は、第1終り端212が所在する領域である。導電板300の一端は電極アセンブリ200と電気的に接続され、導電板300の他端はハウジング100の外に延びている。第1層400は、第1領域2011及び第2領域2012に固定されている。第2層500は、第1層400との間に間隔を有するように第1表面201に固定される。第2層500は、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定するために用いられる。ここで、第1方向とは、第1層400の表面に垂直な方向を意味する。説明及び理解を容易にするために、本願明細書は、上記第2辺214が延びる方向を第2方向Xと定義する。本実施例では、第2方向Xは、第1方向Zに対して垂直な方向である。なぜなら、第2方向Xは、電極アセンブリ200が巻き取る軸線に平行であり、第1方向Zはこの軸線に垂直な方向であるからである。そのほか、第1方向Zと第2方向Xとに同時に垂直な方向を第3方向Yと定義する。次に、ハウジング100、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500の具体的な構成について順次に説明する。
【0030】
ハウジング100については、具体的には
図1を参照する。ハウジング100は、電極アセンブリ200、導電板300の一部、第1層400及び第2層500を収容するための収容キャビティが設けられた比較的に平坦なカートリッジ構造をしている。本実施例において、電池1は、フレキシブルパック電池であってもよい。これ相応に、ハウジング100は、アルミニウム可塑性フィルム等の可撓性のシートからなる。もちろん、本願の他の実施例では、電池1は、鋼シェル電池、アルミニウムシェル電池などのハードシェル電池であってもよい。また、本願の他の実施例において、ハウジング100は、ブロック状、柱状等の他の形状であってもよく、ここでは一々限定されない。
【0031】
電極アセンブリ200については、まず
図5と
図6を参照しながら、他の図面と合わせて、電極アセンブリ200は、積層配置された第1電極シート210、第2電極シート220、及び分離膜230を含む。ここで、第1電極シート210は第2電極シート220とは逆極性であり、両者の一方は正極シートであり、他方は負極シートである。第1電極シート210と第2電極シート220との間には分離膜230が設けられており、第1電極シート210と第2電極シート220との間の短絡のリスクが低減される。本実施例では、第1電極シート210は正極シート、第2電極シート220は負極シートである。具体的には、第1電極シート210は、第1集電体2101と、この第1集電体2101の表面に塗布された第1活物質層2102とを含む。ここで、第1集電体2101は第1活物質層2102の担体であり、電流伝導の担体である、第1活物質層2102は、リチウムイオンが埋め込まれたまたは放出された担体である。本実施例では、第1集電体2101は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。第1活物質層2102は、酸鉄リチウム粒子と低キュリー点強磁性粒子、分散剤、結着剤、導電剤及び正極溶媒を含む。これらの各材料は混合後に均一に攪拌して第1集電体2101の表面に塗布され、第1活物質層2102を得る。第2電極シート220は、第2集電体2201と、この第2集電体2201上に被覆された第2活物質層2202とを含む。ここで、第2集電体2201は第2活物質層2202の担体であり、電流伝導の担体である、第2活物質層2202は、リチウムイオンが埋め込まれたまたは放出された担体である。本実施例では、第2集電体2201は銅又は銅合金からなる、第2活材料層2202は、黒鉛、導電剤、接着剤及び脱イオン水を含み、これらの各材料を混合して均一に攪拌し、第2集電体2201の表面に塗布することにより、第2活材料層2202を得る。もちろん、本願の他の実施形態では、第1電極シート210は負極シートであってもよく、それに応じて、第2電極シート220は正極シートであれば、対応する材料配置方式は正反対であってもよい。積層して設けられた第1電極シート210、第2電極シート220及びセパレータフィルム230は、共に巻回して設けられ、第2方向Xに垂直な断面に長円形の柱状構造を構成している。
【0032】
その中で特筆すべきことは、本願における分離膜230の作用は主に第1電極シート210と第2電極シート220を分離してイオンを導通することであり、その材料には制限がない。幾つかの実施例では、分離膜230は多孔質基材を含む。幾つかの実施例では、分離膜230は、多孔質基材上に配置された機能性コーティングをさらに含む。機能性コーティングは、接着剤または無機粒子のうちの少なくとも一種を含むことができる。幾つかの実施例において、多孔質基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニルフェニレンジアミン、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンエーテル、シクロオレフィンコポリマー、ポリフェニレンスルフィド及びポリエチレンナフタレンからなる群から選択されるいずれかのポリマー又は2種以上の混合物で形成されたポリマーフィルム、多層ポリマーフィルム、または不織布である。このようなポリマーは、高い熱安定性を有し、表面処理が容易であり、コーティングが容易である。また、このようなポリマーは靭性がよく、折り曲げやすい。幾つかの実施例では、接着剤は、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデン-トリクロロエチレンの共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニルの共重合体、ポリイミド、ポリオキシエチレン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、シアノエチル分岐デンプン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルショ糖、アミロペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエンの共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン-ブタジエンの共重合体及びポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも一種を含む。これらのポリマーは、強い接着作用を生じて、無機粒子を接着したり、分離膜230と第1電極シート210/第2電極シート220とを接着して一体化したりして、電極アセンブリ200の硬度を高めることができる。他の実施例では、接着剤は他のポリマーを含むこともできる。幾つかの実施例では、無機粒子は、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸チタンリチウム、チタン酸ランタンチタンリチウムのうちの少なくとも一種を含む。これらの無機粒子はいずれも高い熱安定性を有し、電池1の耐高温性能を向上させることができる。
【0033】
電極アセンブリ200は、第1電極シート210と第2電極シート220とが複数回折り曲げられ、且つ上述した第1方向Zにおいて複数層に積層されるように巻回されて配置されている。第1電極シート210は、巻取方向に沿って対向して設けられた第1辺213と第2辺214とを有する。ここで、第1辺213は電極アセンブリ200の巻取中心に位置し、第2辺214は第1電極シート210の第1辺213とは反対側の一端に位置し且つ電極アセンブリ200の外面に位置する。
図5に示す第2方向Xに沿って観察すると、電極アセンブリ200の巻取方向に沿って、第1電極シート210において第1辺211から開始する第1コーナーでの第3方向Yに沿って最も外側に位置する点が第1点Mである。この第1点Mを基準として前記第1方向Zに平行な直線を作成し、この直線を第1基準線Z1と定義する。第2方向Xに沿って観察し、且つ電極アセンブリ200の巻取方向に沿って、第1電極シート210において第1辺211から開始する第2コーナーでの第3方向Yに沿って最も外側に位置する点が第2点Nである。この第2点Nを基準として、第1方向Zに平行な直線を作成し、この直線を第2基準線Z2と定義する。すると、第1電極シート210は、巻取方向に沿って対向して配置された第1始端211及び第1終り端212を有する。ここで、第1始端211は、巻取方向に沿って、第1電極シート210において第1辺213から上述した第1基準線Z1と始めて交わる部分まで延伸する部分である。第1終り端212は、第1電極シート210の収束部分である。第1終り端212は、具体的に、第1方向Zに沿って観察する時に、第1電極シート210において第1表面201にあり且つ第2辺214から巻取方向に沿ってプリセット距離を延伸して構成された部分である。本実施例において、第1終り端212は、第1電極シート210において巻取方向に沿って、第2辺214から第1基準線Z1と第2基準線Z2のうち第2辺214に近接する一方まで延伸して構成された部分である。本実施例において、第1終り端212は、第1電極シート210において巻取方向に沿って、第2辺214から第1基準線Z1と第2基準線Z2のうち第2辺214に近接する一方まで延伸して構成された部分である。具体的には、上記の巻取方向に沿って、第2辺214は第1基準線Z1に近接している。プリセット距離とは、第2辺214から第1基準線Z1まで延伸する距離である。第1終り端212は、第1電極シート210において第2辺212から第1基準線Z1と始めて交わる位置まで延伸する部分である。勿論、他の実施例では、第1終り端212は、上述した上に、やや長いか短いかに適応的に調整される。
【0034】
第1電極シート210は、巻回して、第1基準線Z1と第2基準線Z2との間に位置する複数の第1部215と、第1基準線Z1と第2基準線Z2との両者の外に位置する複数の第2部216とを形成する。第2方向Xに沿って見ると、第1部215は第3方向Yに沿って延び、各第1部215は第1方向Zに沿って順次に設けられている。複数の第1部215は、第1部215a及び第1部215bに分けられる。ここで、第1部215aの第1基準線Z1寄りの一端が第2基準線Z2寄りの一端に指向することで定められた方向は、第1電極シート210の第1辺213から第2辺214まで延びる方向とは反対する。第1部215bの第1基準線Z1寄りの一端が第2基準線Z2寄りの一端に指向することで定められた方向は、第1電極シート210の第1辺213から第2辺214まで延びる方向と同じである。
図5に示すように、各第1部215aは、各第1部215bの下方に位置する。具体的には、第1方向Zに沿って、各第1部215aは各第1部215bよりも第2面2014に近く、各第1部215bは各第1部215aよりも第1面2013に近く、この第1面2013と第2面2014は後で説明する。第1電極シート210の巻取方向に沿って、第2部216は隣接する2つの第1部215の間に位置し、隣接する2つの第1部215を接続する。上記複数の第2部216は、第2部216aと216bに分けられる。ここで、第2部216aは、第1基準線Z1の第1部215とは反対側に位置し、且つ第1部215aと第1部215bとを接続する。各第2部216aは、内側から外側へ順に設けられている。第2部216bは、第2基準線Z2の第1部215とは反対側に位置し、且つ第1部215bと第1部215aとを接続する。各第2部216bは、内側から外側へ順に設けられている。
【0035】
第2電極シート220は、巻取方向に沿って対向して配置された第3辺223と第4辺224とを有する。ここで、第2電極シート220は第3辺223の周りに巻回され、第4辺224は第2電極シート220の第3辺223から離反する一端に位置する。第2方向Xに沿って観察すると、電極アセンブリ200の巻取方向に沿って、第2電極シート220の第3辺223から開始する第1コーナーにおいて、第3方向Yに沿って最も外側に位置する点が第3点Oである。この第3点Oを基準として第1方向Zに平行な直線を作成し、この直線を第3基準線Z3と定義する。電極アセンブリ200の巻取方向に沿って、第2電極シート220の第3辺223から開始する第2コーナーにおいて、第3方向Yに沿って最も外側に位置する点が第4点Pである。この第4点Pを基準として、第1方向Zに平行な直線を作成し、この直線を第4基準線Z4と定義する。第2電極シート220は、巻取方向に沿って対向して配置された第2始端221及び第2終り端222を有する。ここで、第2始端221は、巻取方向に沿って、第2電極シート220において第3辺223から上記第3基準線Z3と初めて交わる部位まで延びる部分である。第2終り端222は、第2電極シート220の収束部分である。第2終り端222は、具体的に、第2方向X(または第1方向Z)に沿って観察する時に、第2電極シート220において第4辺224から巻取方向に沿ってプリセット距離を延伸して構成された部分である。本実施例において、第2電極シート220の巻取方向に沿って、第2終り端222は第2電極シート220において第4辺224から第3基準線Z3と第4基準線Z4のうち第4辺224に近接する一方まで延伸して構成された部分である。具体的には、上記の巻取方向に沿って、第4辺224は第4基準線Z4に近接している。プリセット距離とは、第4辺224から第4基準線Z4と始めて交わる部位まで延伸する距離である。第2終り端222は、第2電極シート220において第4辺224から第4基準線Z4と始めて交わる位置まで延伸する部分である。勿論、他の実施例では、第2終り端222は、上述した上に、やや長いか短いかに適応的に調整される。
【0036】
第2電極シート220は、巻回して、第3基準線Z3と第4基準線Z4との間に位置する複数の第3部225と、第3基準線Z3と第4基準線Z4の外に位置する複数の第4部226とを形成する。第3部225は略平行に延びており、各第3部225は上記第1方向Zに沿って順次に設けられている。複数の第3部225は、第3部225a及び第3部225bに分けられる。ここで、第3部225aの第3基準線Z3寄りの一端が第4基準線Z4寄りの一端に指向することで定められた方向は、第2電極シート220の第3辺223に沿って第4辺224まで延伸する方向と反対している。第3部225bの第3基準線Z3寄りの一端が第4基準線Z4寄りの一端に指向することで定められた方向は、第2電極シート220の第3辺223から第4辺224に指向する方向と同じである。第4部226は、第2電極シート220の巻取方向に沿って隣接する2つの第3部225の間に位置して、隣接する2つの第3部225を接続する。上記複数の第4部226は、第4部226aと216bに分けられる。ここで、第4部226aは第3基準線Z3の第3部225とは反対側に位置し、第4部226bは第4基準線Z4の第3部225とは反対側に位置する。説明すべきところは、本願明細書に記載の「平坦」とは、幾何学的な意味での絶対的なフラットではなく、適切な平坦度偏差ある部品が凡そある直線方向に沿って延びることを意味し、適切な平坦度偏差を許容する。例えば、幾つかの実施例では、上記第3部225の平坦度は10μm以下であってもよい。
【0037】
本実施例では、前述の第2末端222は、隣接する2つの第1部215の間に設けられている。巻取方向に沿って、第1電極シート210は第2終り端222で分離膜230の両側に配置され、即ち、この電池1は、第1電極シート210により終了する。本実施例では、第2方向Xに沿って見ると、第1電極シート210において第2終り端222に隣接し且つ第2終り端222の第1辺213に近い側に位置する第1部215の第2末端を越える箇所から第2辺214までの部分は片面塗布領域である。第2方向Xに沿って観察すると、第1集電体は、この片面塗布領域において第1辺213とは反対側の面には第1活物質層が塗布されていない。即ち、第2方向Xに沿って観察すると、当該片面塗布領域の第1辺213とは反対側の面には活物質層が設けられていない。電極アセンブリ200が片面塗布領域の巻取中心から離反する側に第2電極シート220がないので、第1集電体2101はこの部分で第1辺213とは反対側に活物質を塗布しても電気化学反応に関与しない。片面塗布領域の設置は、電極アセンブリ200の材料を節約し、電池1のエネルギー密度を高めるのに有利である。第1電極シート210において、第2終り端222に隣接し且つ第2終り端222の第1辺213とは反対側に位置する第1部215の第2終り端222をちょうど越える箇所から第1終り端212までの部分の両側にも活物質層が塗布されていない。この設置は、電極アセンブリ200の材料を節約し、電池1のエネルギー密度を高めるのにも有利である。他の実施例では、第2末端222は、隣接する2つの第2部分215の間に配置されてもよい。このとき、第1電極シート210において、第2終り端222に隣接し且つ第2終り端222の第1辺213に面する側に位置する第2部216の第2終り端222を越える箇所から第2辺214までの部分は片面塗布領域である。これ相応に、第1電極シート210において、第2終り端222に隣接し且つ第2終り端222の第1辺213とは反対側に位置する第2部216の第2終り端222をちょうど越える箇所から第2辺214までの部分には第1活物質層が塗布されていない。なお、本実施例に係る電極アセンブリ200は正極シートによって収束され、第1層400と第2層500はいずれもアルミニウム箔の表面に設けられている。しかし、本願の他の実施例では、電極アセンブリ200は負極シートによって収束されてもよい。この場合、第1層400と第2層500は、銅箔の表面に設けられている。
【0038】
具体的に
図3~
図5などの他の図面と合わせて
図6を参照して分かるように、電極アセンブリ200は環状の外側面を形成するように巻回されている。この外側面は、具体的には、第1面2013、第2面2014、第3面2015及び第4面2016を含む。ここで、第2方向Xに沿って見ると、第1面2013と第2面2014は第3方向Yに沿って延びており、且ついずれも第1基準線Z1と第2基準線Z2との間に位置しており、両者は図示の第1方向Zに沿って相対的に配置されている。第2方向Xに沿って見ると、第3面2015と第4面2016はいずれも屈曲して延び、且つ第1面2013の両側に巻取方向に沿って分設されている。ここで、第3面2015は第2基準線Z2の第1基準線Z1から遠い側に位置し、第4面2016は第1基準線Z1の第2基準線Z2から遠い側に位置する。第1面2013、第3面2015、第2面2014及び第4面2016は順次に接続することで、共同で電極アセンブリ200の環状の外側面を構成している。
【0039】
他の図面と併せて
図3を参照する。第1方向Zに沿って観察すると、電極アセンブリ200は第1表面201を有し、第1表面201は第1面2013の少なくとも一部、第3面2015の一部、及び第4面2016の一部を含む。第1方向Zに沿って観察すると、第1表面201は、第3方向Yに沿って対向して配置された第1辺線20111と第2辺線20121と、及び第2方向Xに沿って対向して配置された第3辺線20112と第4辺線20122とを含む。第2辺214は、第1表面201に位置し、且つ第1表面201を第1領域2011と第2領域2012とに分ける。ここで、第1領域2011は、第1終り端212が位置する領域である。本実施例では、第2辺214は、具体的に第1面2013に位置している。第1領域2011は、略矩形であり、且つ第3方向Yに沿って、第2辺214に対向して配置された第1辺線20111を有する。第1辺線20111と第2辺214との間には、第3方向Yに沿って第1距離L1を有する。第2領域2012も、略矩形であり、且つ第3方向Yに沿って第2辺214に対向して配置された第2辺線20121を有する。第2辺線20121と第2辺214との間には、第3方向Yに沿って第2距離L2を有する。本実施例では、第1距離L1は第2距離L2よりも小さい。第3辺線20112は、第1電極シート210の長辺が巻回されることで形成され、第4辺線20122は第1電極シート210の他方の長辺が巻回されることで形成され、両者は第2方向Xに沿って対向して配置されている。前述の第1辺線20111、第2辺線20121、第3辺線20112及び第4辺線20122は、共同で取り囲んで第1表面201を形成する。
図4及び
図6に示すように、第1方向Zの反対方向から見ると、電極アセンブリ200は、第2表面202を有する。第2表面202は、第2面2014の少なくとも一部、第3面2015の一部、及び第4面2016の一部を含む。
【0040】
導電板300については、他の図面に併せて引き続き
図3を参照する。導電板300は、扁平構造を呈し、一端が電極アセンブリ200に電気的に接続され、他端がハウジング100の外に張り出して電池1の導電端子を形成する。本実施例では、電池1は、2つの導電板300を含む。当該2つの導電板300は、それぞれ図示されている第1導電板300a及び第2導電板300bである。第1導電板300aの一端は電極アセンブリ200の内部に入り込み且つ第1電極シート210に接続され、第1導電板300aの他端は第2方向Xに沿ってハウジング100の外に延びている。第1方向Zに沿って観察すると、当該第1導電板300aは、第1表面201の縁、即ち上記の第3辺線20112と重なり合っている。第1導電板300aの材料は、アルミニウムを含む。例えば、第1導電板300aはアルミニウムからなり、または、第1導電板300aはアルミニウムからなる第1基体及びこの第1基体の表面にめっきされたニッケル層を含む。もちろん、他の実施例では、第1導電板300aは、ニッケルなどの他の任意の適切な材料によって作製されてもよい。第2導電板300bは、一端が電極アセンブリ200の内部に入り込み且つ第2電極シート220に接続され、他端が第2方向Xに沿ってハウジングの外に延びている。第1方向Zに沿って見ると、当該第2導電板300bと第1表面201の第3辺線20112とは互いに重なり合っている。第2導電板300bの材料は銅を含む。例えば、第2導電板300bは、銅からなり、または、銅からなる第2基体及びこの第2基体の表面にめっきされたニッケル層を含む。もちろん、他の実施例では、第2導電板300bは、ニッケルなどの他の任意の適切な材料によって作製されてもよい。本願の他の実施例では、電池1は、例えば3つ以上のように、他の数の導電板300を含んでもよいことを理解されたい。
【0041】
第1層400については、他の図面に合せて
図3を参照して分かるように、第1層400は第1表面201に固定され、且つ第1領域2011と第2領域2012の境目である第2辺14に設けられて、第1領域2011及び第2領域2012に部分的に固定され、さらに第1電極シート210の第1終り端212を固定する。本実施例では、第1層400は、第1終り端214を接着によって固定する接着剤を含む。第1層400は、図示の第2方向Xに沿って延びるストライプ状をなし、且つ図示の第3方向Yにおいて第2第2辺214をまたいで、第1終り端212を第1第1電極アセンブリ200の第1終り端212よりも内輪に固定する。具体的には、第1層400は、第1側辺401、第2側辺402、第3側辺403及び第4側辺404を含む。第1第1側辺401と第3側辺403はいずれも第2第2方向Xに沿って延びている。第2第2側辺402と第4側辺404は、第2第2方向Xに沿って対向して配置され、且つそれぞれ第1第1側辺401と第3側辺403に接続されている。この第1第1側辺401、第2第2側辺402、第3側辺403及び第4側辺404は、順次に接続して閉鎖状に囲まれており、例えば矩形であってもよい。幾つかの実施例では、第1第1側辺401、第2第2側辺402、第3側辺403、及び第4側辺404のうちの少なくとも1つには、対向する側辺に凹む凹部と、対向する側辺から離れるように突出する凸部とが設けられている。例えば、
図3に示すように、第2第2側辺402には、第4側辺404に向かって凹む凹部402a、及び/または、第3側辺403から離れるように突出する凸部402bが設けられている。
【0042】
本実施例では、第1層400は、一方が第1表面201に固定され、他方がハウジング100の内壁に固定される。このように、第1層400は、第1終り端212を固定するだけでなく、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定する役割を果たすこともできる。具体的には、接着ゴムは両面テープを含む。当該両面テープは、基材層と、当該基材層の両側に塗布された接着剤層とを含む。この接着ゴムは、一方の接着剤層を介して第1表面201に固定されるとともに、他方の接着剤層を介してハウジング100の内面に固定されている。両面テープの材料選択については、実に豊富で多様である。基材層は、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、またはポリフェニレンスルフィドのうちの少なくとも1種を含むことができる。接着剤層は、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、又はシリコーン系樹脂のうちの少なくとも1種を含むことができる。本願は、この両面テープが第1終り端を固定できるようにし、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定することができれば、材料に基づいて適応的に調整することもできる。本願の他の実施例において、接着ゴムは、ホットメルト接着剤または他の両面に粘性を有する接着ゴムであってもよく、ここでは詳細に挙げない。一方、第1層400が電極アセンブリ200とハウジング100を固定する機能を有する必要がない条件下では、接着ゴムは片面だけが粘着性を有する接着剤層、例えば片面ゴムであってもよい。さらに、本願の他の実施例では、第1層400は、第1終り端214を固定することを可能にする他の任意の素子であってもよい。
【0043】
第2層500については、引き続き
図3及び
図4を参照すると、それが第1表面201に固定され且つ同時にハウジング100の内壁に固定されて、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定している。第2層500は、図示の第2方向Xに沿って延びるストライプ状の構造をなし、且つ第2領域2012がハウジング100と固定されるように、第2領域2012内に全体的に設けられている。第2層500は、図示の第2方向Xに沿って延びるストライプ状をなし、第1側縁501、第2側縁502、第3側縁503及び第4側縁504を含む。第1側縁501と第3側縁503は、いずれも第2方向Xに沿って延びる。第2側縁502と第4側縁504は、第2方向Xに沿って対向するように配置され、且つそれぞれ第1側縁501と第3側縁503とに接続されている。この第1側縁501、第2側縁502、第3側縁503及び第4側縁504は、順次に接続し且つ閉鎖状に囲まれ、例えば略矩形状であってもよい。幾つかの実施例では、第1側縁501、第2側縁502、第3側縁503及び第4側縁504のうちの少なくとも1つには、対向する側辺に向かって凹む凹部と、対向する側辺から外側へ突出する凸部とが設けられている。例えば、
図3に示すように、第2側縁502は、第4側縁504に向かって凹む凹部502a、及び/または、第3側縁503から外へ突出する凸部502bを有する。本実施例では、第2層500は、電極アセンブリ200とハウジング100とを接着により固定する接着ゴムを含む。当該接着ゴムは、基材層と、当該基材層の両側に設けられた接着剤層とを含む両面テープであってもよい。基材層は、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、またはポリフェニレンサルファイドのうちの少なくとも1種を含むことが可能である。接着剤層は、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂又はシリコーン系樹脂のうちの少なくとも1種を含むことが可能である。もちろん、本願は、材料に基づいて適応的に調整してもよく、この両面テープで電極アセンブリとハウジングとを固定できればよい。もちろん、本願の他の実施例では、第2層500は、第1表面201とハウジング100の内壁とを固定できる他の任意の部材であってもよい。例えば、第2層500は、ホットメルト接着剤などの両面に粘性を有する接着剤層であってもよい。第2方向Xに沿って、第2層500の長さは第1層400の長さと実質的に同じであってもよく、且つ両端がほぼ整列していてもよい。本実施例では、第2層500と第1層400との間には間隔があり、第2層500は第1領域2011の外に位置し、即ち、両者は別々に設けられている。本願の他の幾つかの実施例では、第1層400と第2層500とは一体的に設けられてもよいが、同じ接着面積の条件下では、一体的に設けられた方式は、当該一体的な構造が第1表面201に固定される際に内部により多くの気泡が残りやすく、第1層400と第2層500の全体の固定効果を低下させる可能性がある。逆に、第1層400と第2層500とが別個に設けられていれば、不足を克服することができる。
【0044】
本願の他の実施例は、上記基礎の上に適応的に調整してもよい。例えば、第2層500は、第1領域2011に設けられてもよいし、また、例えば、
図8に示すように、第3方向Yに沿って、第1層400の幅W1は第2層500の幅W2よりも大きい。第1層400が第1領域2011、第2領域2012及びハウジング100の内壁に同時に接続する必要があり、第2層500が第2領域2012とハウジング100の内壁に同時に接続する必要があるため、同じ幅の場合、第1層400と接続された領域とが分離する確率は第2層500よりも高く、上記の設置は第1層400の固定効果を強化することを目的とする。また、例えば、第1層400の両端は第2層500の両端に位置合わせされておらず、第2方向Xに沿って、第1層400の少なくとも一端は第2層500の両端の外に位置している。
【0045】
本願の実施例によって提供される電池1は、ハウジング100、電極アセンブリ200、第1層400及び第2層500を含む。ここで、電極アセンブリ200は、第1電極シート210と、第2電極シート220と、分離膜230とを含む。電極アセンブリ200は、第1電極シート210が巻取方向に沿って対向する第1辺213と第2辺214、及び電極アセンブリ200の巻取中心から離れた第1終り端212を有するように巻回されている。図示の第1方向Zに沿って見ると、電極アセンブリ200は第1表面201を有し、第2辺214は第1表面201に位置し、且つ第1表面201を第1領域2011と第2領域2012に分けている。第1領域2011は、第1終り端212が位置する領域である。第1層400の一部は第1領域2011に固定され、第1層400の他の一部は第2領域2012に固定される。第2層500は、第1表面201に固定され、第1層400との間に隙間を有し、且つ電極アセンブリ200とハウジング100とを固定するために用いられる。
【0046】
本願の実施例により提供される電池1は、現在市販されている電池と比較して、第2層50をさらに備える。この第2層50は、電極アセンブリ200をハウジング100に固定することにより、電池1またはこの電池1を備えた電子機器が落下した際に、電極アセンブリがハウジングに対して滑るリスクを低減することができる。
【0047】
また、第1層400は、第1終り端212を固定する作用に加えて、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定し、さらに電極アセンブリ200全体の固定効果を強化することもできる。
【0048】
上述の実施例は本願の1つの実施形態にすぎず、本願は上述の実施例に限定されず、上記実施例に基づいて適応的に変形することができ、電池が第2層500を含むことを保証すればよい。例えば、
図9は本願の第2実施例により提供された電池1bがハウジング100を隠蔽した後に第1方向に沿って見た模式図であり、
図10は電池1bがハウジングを隠蔽した後に第1方向の反対方向から見た模式図であり、
図11は電池1bの第3方向に沿って見た模式図である。同時に
図1~
図8と併せて参照すると、電池1bは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含み、第1実施形態で提供された電池1との主な違いは、電池1bが第3層600をさらに含むことにある。具体的には、第3層600は、ストライプ状に設けられ、その第1端が第1面2013に固定され、その第2端が電極アセンブリ200の端部を迂回した後に第2面2014に固定される。第3層600は、第1方向Zにおいて電極アセンブリ200をしっかりとクランプできるように、張力状態にある。幾つかの実施例では、第3層600は、基材層と接着剤層とを含む接着ゴムを含む。ここで、基材層は、ポリエステル樹脂、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、またはポリフェニレンスルフィドのうちの少なくとも1種を含む。接着剤層は、基材層の表面に設けられて、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂及びシリコーン系樹脂のうちの少なくとも1種を含む。接着剤層は、粘性を有し、第3層600はそれによって電極アセンブリ200に固定される。もちろん、本願は、材料の上に適応な調整を行ってもよく、この第3層600を電極アセンブリ200の上記第1方向Zに対向する両面に固定すればよい。もちろん、本願の他の実施例では、第3層600は、第1表面201とハウジング100の内壁とを固定することができる他の任意の素子であってもよい。例えば、第3層600は、ホットメルト接着剤などの両面に粘性を有する接着剤層であってもよい。本実施例では、電池1bは、それぞれ図示の第3層600a、第3層600b及び第3層600cである3つの第3層600を含む。ここで、第3層600aは電極アセンブリ200の導電板300に近い一端に設けられ、第3層600bと第3層600cは電極アセンブリ200の導電板300とは反対側の一端に設けられる。本実施例では、少なくとも1つの第3層600は、第1領域2021と第2領域2012の少なくとも一部を同時に覆い、第1終り端212への固定効果を強化する。オプションとして、第3層600は片面ゴムである。もちろん、他の実施例では、第3層600は両面テープであってもよい。この場合、第3層600は、電極アセンブリ200とハウジング100とを固定する効果を別途に発揮することもできる。本願の他の実施例では、第3層600は他の数であってもよい。
【0049】
第1実施形態により提供された電池1と比較して、この電池1bは、電池1または電池1を備えた電子機器が落下した際に、電極アセンブリがハウジングに対して滑るリスクを低減するだけでなく、電極アセンブリ200が巻回状態を維持する効果も強化され、電極アセンブリ200が落下によってばらつきにくくすることができる。
【0050】
また、例えば、
図12及び
図13は、それぞれ本願の第3実施例によって提供された電池1cがハウジングを隠蔽した後の2方向の概略図を示しているが、
図1~
図11を参照して分かるように、電池1cは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400、第2層500及び第3層600を含み、第2実施例によって提供された電池1bとの主な違いは、電池1cにおいて、第1層400と第2層500のうちの少なくとも1つが少なくとも1つの第3層600に固定されることにある。次に、電池1cが3つの第3層600を含むことを例にして説明する。なお、本願の他の実施例では、電池1cは、他の数の第3層600を含んでもよい。具体的には、上記3つの第3層600は、それぞれ第3層600a、第3層600b及び第3層600cである。ここで、第3層600aは、電極アセンブリ200の導電板300に近い一端に設けられる。第3層600aの第1端は、第1面2013に接着固定されるとともに、少なくとも一部が第1層400の一部及び第2層500の一部に固定される。第3層600aの第2端は、第2面2014に固定されている。第3層600b及び第3層600cは、いずれも電極アセンブリ200の導電板300から離反する一端に設けられている。ここで、第3層600bの第1端は、第1面2013に接着固定されるとともに、少なくとも一部が第2層500の一部に固定される。第3層600bの第2端は、第2面2014に固定される。第3層600cの第1端は、第1面2013に接着固定されるとともに、少なくとも一部が第1層400の一部に固定される。第3層600cの第2端は、第2面2014に固定されている。なお、本願の他の実施例では、少なくとも1つの第3層600の第1端が第1層400及び第2層500の両者のうちの少なくとも一方に固定されることを保証すれば、その上に適応的に調整することもできる。
【0051】
第2実施例で提供される電池1bにおいて、第3層の第1端は、直接に第1面2013に固定されており、その接着効果は普通である。これに対して、電池1cは、接着ゴムとする第1層400(及び/又は第2層500)に第3層600の第1端を接着して固定する。第3層600と第1層400(及び/または第2層500)とが互いに接着する面はいずれも粘性を有するので、この配置は第3層600自体が固定される効果を強化することができる。もちろん、第3層600は第1層400(及び/または第2層500)の一部を覆っているので、第1層400(及び/または第2層500)とハウジング100との間の固定面積はある程度減少する。この場合、第1層400(及び/または第2層500)の面積を適切に増加させることによって不足を克服するかまたは第3層600として両面テープを選択することによって不足を克服することができる。
【0052】
また、例えば、
図14は、本願の第4実施形態によって提供された電池1dがハウジングを隠蔽した後の模式図を示している。
図1乃至
図13と併せて参照すると、この電池1dは依然としてハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400、第2層500及び第3層600を含み、第3実施形態によって提供された電池1cとの主な違いは、第2方向Xに沿って、この電池1dにおける第1層400の長さが第2層500の長さより大きく、両者の第2方向Xに沿った長さの差は図示ΔLの通りである。電極アセンブリ200が巻回されているため、電極アセンブリ200は第1終り端212に大きな内力が存在し、第2辺214における平坦度も電極アセンブリ200の他の部位に比べて劣っている。一方、第1層400が第2層500よりも長く設置されることによって、より大きな被覆面積によってより強い固定効果を実現することができる一方で、第2辺214をより多く被覆して、そこの平坦度を高めることもできる。
【0053】
また、例えば、
図15は、本願の第5実施例によって提供された電池1eがハウジングを隠蔽した後の模式図を示している。
図1乃至
図14と併せて参照すると、この電池1dは依然としてハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400、第2層500及び第3層600を含み、第3実施例によって提供された電池1cとの主な違いは、第1層400の延在方向が第2方向Xに沿って延びるのではなく、第2方向Xとの間に角度θがあることにある。具体的には、第1層400は、矩形状をなし、第1側辺401、第2側辺402、第3側辺403及び第4側辺404を含む。ここで、第1側辺401と第3側辺403は第1層400の長辺であり、第1側辺401と第2辺214との間の角度をθとする。第1層400は、第2辺214に対して傾斜するように配置され、第1層400の第2方向Xに沿った寸法を第1側辺401の長さよりも大きくすることができる。即ち、第1層400が第2辺214を覆う長さを増加させ、さらに第2辺214における電極アセンブリ200の平坦度を向上させることができる。第1層400の両端部が第2辺214を覆うことができないほど傾斜しないようにするために、角度θは0°<θ<15°との条件を満たすことが好ましい。
【0054】
また、例えば、
図16は、本願の第6実施例により提供される電池1fがハウジングを隠蔽した後に第1方向に沿って見た模式図である。
図17は、
図16の底面図を示している。
図1乃至
図15と併せて参照すると、当該電池1fは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400、第2層500及び第3層600を含み、第3実施例で提供された電池1cとの主な違いは、第2層500が第1表面201の第1領域2011内に固定され、即ち、第2領域2011の外に位置することである。本実施例では、第1距離L1は第2距離L2よりも大きく、即ち、第2辺214は
図13に示す第1表面201の左寄りの位置に位置する。第1層400は、第1領域2011と第2領域2012との境界に設けられ、その一部が第1領域2011に固定され、その他の一部が第2領域2012に固定される。第2層500は、第1領域2011に固定され、且つ第1層400との間に隙間がある。
【0055】
第3実施例によって提供される電池1cは、強い衝撃を受けると、第2層500は、その下方の第1集電体の一部を引き裂く可能性があり、その下方の第1集電体の第1辺213に向かう側が活物質で被覆されているため、電極アセンブリ200の活物質の脱出を招く可能性がある。これに対して、本実施例で提供する電池1fは、強い衝撃を受けた時に、第2層500がその下方の集流体を引き裂いても、第2層500の下方の第1集流体の両面はいずれも活物質を被覆しないため、活物質の脱落を招くことはなく、さらにリスクを低減し、ひいてはリスクを解消することができる。本願の他の実施例は、その上に適応的に調整することができ、例えば、第2層500は、相変わらず第1領域2011に設けられているが、第1距離L1は第2距離L2よりも小さい。
【0056】
さらに例えば、
図18は、本願の第7実施例により提供された電池1gがハウジング100を隠蔽した後の模式図を示し、
図19は
図18の底面図を示している。
図1乃至
図16と併せて参照すると、この電池1gはハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含み、第1実施形態により提供された電池1との主な違いは、この電池1gにおける第1層400と第2層500はいずれも電極アセンブリ200とハウジングとを接続する効果があり、且つ両者が一体的に設置されていることである。前文から分かるように、第1層400と第2層500との一体式設置は、第2層500の固定過程を簡略化し、電池1gの製造周期を短縮することができるが、それはより多くの気泡を残しやすく、さらに第2層500と電極アセンブリ200との間の固定強度を低下させることがある。
【0057】
また、例えば、
図20は本願の第8実施例により提供された電池1hがハウジングを隠蔽した後に第1方向に沿って見た模式図を示し、
図21はこの電池1hが第1方向Zの反対方向に沿って見た模式図を示している。
図1乃至
図15と併せて参照すると、この電池1hはハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400、第2層500及び第3層600を含み、第3実施例により提供された電池1cとの主な違いは、第3層600の一端が第1層400及び第2層500の少なくとも一方に固定されていることである。本実施形態では、第3層600は電極アセンブリ200の表面に固定され、第1層400と第2層500の少なくとも一方の一部は第3層600に固定されている。次に、この電池1hが3つの第3層600を含む例について説明する。具体的には、上記3つの第3層600は、それぞれ第3層600a、第3層600b及び第3層600cである。ここで、第3層600aは電極アセンブリ200の導電板300に近い一端に設けられ、第3層600aの第1端は第1面2013に接着固定され、第2端は第2面2014に固定される。第1層400及び/又は第2層500の導電板300に近い一端は、第3層600の第1端に固定されている。第3層600b及び第3層600cは、いずれも電極アセンブリ200の導電板300とは反対側の一端に設けられている。このうち、第3層600bの第1端は第1面2013に接着固定され、第3層600bの第2端は第2面2014に固定される。第2層500の導電板300とは反対側の一端は、第3層600bの第1端に固定されている。第3層600cの第1端は第1面2013に接着固定され、第3層600cの第2端は第2面2014に固定される。第1層400の上記導電板300とは反対側の一端は第3層600cの第1端に固定されている。上記第3実施例と併せて、少なくとも1つの第3層600の第1端が第1層400及び第2層500の両者のうちの少なくとも1つと固定的に接続されることを保証すれば、本願の他の実施例もその上で適応的に調整することができる。
【0058】
また、例えば、
図22は、本願の第9実施例によって提供された電池1jがハウジングを隠蔽した後に第1方向Zに沿って見た概略図を示している。この電池1jは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含む。この電池1jと電池1との主な違いは、上記第2方向Xに沿って、電池1jにおける第1層400の長さが第2層500の長さよりも大きく、両者の第2方向Xに沿った長さの差が図示のようにΔLである。電極アセンブリ200は巻回配置されているため、電極アセンブリ200は第1終り端212に大きな内力が存在し、且つ第2辺214における平坦度も電極アセンブリ200の他の部位に比べて劣っている。一方、第1層400が第2層500よりも長く設置されることによって、より大きな被覆面積によってより強い固定効果を実現することができる一方、第2辺214をより多く被覆して、そこの平坦度を向上させることもできる。また、この電池1jと上記電池1dとの主な違いは、電池1jが第3層600を含まないことである。
【0059】
また、例えば、
図23は本願の第10実施例によって提供された電池1kがハウジングを隠蔽した後に第1方向Zに沿って見た模式図である。この電池1kは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含む。電池1kと上記電池1との主な違いは、第1層400の延在方向が上記第2方向Xと角度θをなして、上記第2方向Xに沿って延びるのではない。具体的には、第1層400は、矩形状をなし、第1側辺401、第2側辺402、第3側辺403及び第4側辺404を含む。ここで、第1側辺401と第3側辺403は当該第1層400の長辺であり、第1側辺401と上記第2辺214との間に前述の角度θを有する。第1層400が第2辺214に対して傾斜して配置されることにより、第1層400の第2方向Xに沿った寸法を上記第1辺401の長さよりも大きくすることができ、即ち、第1層400が第2辺214を覆う長さを増加させ、さらに、電極アセンブリ200の第2辺214における平坦度を向上させることができる。第1層400の両端部が上記第2辺214を覆うことができないほど傾斜することを回避するために、上記角度θが0°<θ<15°を満たすことが好ましい。また、この電池1kと上記電池1eとの主な違いは、電池1kが第3層600を含まないことである。
【0060】
また、例えば、
図24は本願の第11実施例により提供された電池1mがハウジングを隠蔽した後に第1方向Zに沿って見た概略図を示している。この電池1mは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含む。この電池1mと上記電池1との主な違いは、電池1mにおいて、第2層500が第1表面201の第1領域2011内に固定され、即ち、第2領域2011の外に位置することである。本実施例では、第1距離L1は第2距離L2よりも大きく、即ち、第2辺214は
図13に示す第1表面201の左寄りの位置に位置する。第1層400は、第1領域2011と第2領域2012との境界に設けられ、その一部が第1領域2011に固定され、他の一部が第2領域2012に固定される。第2層500は、第1領域2011に固定され、且つ第1層400との間に間隔がある。
【0061】
第1実施例で提供された電池1は、強い衝撃を受けると、第2層500はその下方の第1集電体の局部を引き裂く可能性があり、その下方の第1集電体の第1辺213に向かう側が活物質で被覆されているため、電極アセンブリ200の活物質が脱落する恐れはある。これに対して、本実施例で提供する電池1mは、強い衝撃を受けた時に、第2層500がその下の集流体を引き裂いても、第2層500の下方の第1集流体の両面には活物質が塗布されていないため、活物質の脱落を招くことはなく、さらにリスクを低減し、ひいてはリスクを解消することができる。また、本願の他の実施例は、その上で適応的に調整することができる。例えば、第2層500は、相変わらず第1領域2011に設けられているが、第1距離L1は第2距離L2よりも小さい。
【0062】
また、例えば、
図25は本願の第12実施例によって提供された電池1nがハウジングを隠蔽した後に第1方向Zに沿って見た概略図を示している。この電池1nは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400及び第2層500を含む。この電池1nと上記電池1との主な違いは、電池nにおいて、第2層500の一部が第1領域2011に固定され、第2層500の他の一部が第2領域2012に固定されていることである。
【0063】
第1実施例に比べて、第2実施例が提供した電池1nにおいて、第2層500は幅がほぼ一致する場合にも、第2層500の固定過程に存在する気泡を比較的簡単に排出することができる。即ち、第2層500は、気泡が残りにくいことに加えて、より大きな接着面積を提供することができ、それによって電極アセンブリ200とハウジングとの間の固定強度を強化するのに有利である。
【0064】
さらに例えば、
図26は本願の比較例1で提供された電池1uがハウジング100を隠蔽した後の第1方向Zに沿った概略図を示し、
図27は
図26の底面図を示している。
図1乃至
図21と併せて参照すると、この電池1uはハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400’及び第2層500を含み、第1実施例で提供された電池1との主な違いは、この電池1uにおける第2層500が第2表面202に設けられていることである。具体的には、第1層400’は、電極アセンブリ200及びハウジングを固定するのではなく、第1終り端212のみを固定するために用いられて、第1領域2011と第2領域2012との境界に設けられる。例えば、幾つかの実施形態では、第1層400’は片面ゴムであってもよい。第2層500は、電極アセンブリ200とハウジングとを固定するために、第2面2014に具体的に設けられる。第2層500の選択態様も各実施形態では一致しており、第2層500は両面テープ、ホットメルト接着剤などの電極アセンブリ200とハウジングとを接続するために使用できる任意の素子であってもよい。オプションとして、電池1uは2つの第2層500を含んでもよい。この2つの第2層500は、いずれも第2面2014に設けられ、且つ第3方向Yに沿って間隔を置いて配置される。
【0065】
本実施例で提供される電池1uは、第1端部212を第1層400’で固定するとともに、2つの第2層500によって電極アセンブリ200とハウジングとを固定する。電池1に比べて、電池1uは、電池1と一致する固定面積を実現するために3つのゴム層を設置する必要がある。そのため、その製造コストが高くなり、製造サイクルも長くなる。また、化成プロセスはハウジングと電極アセンブリに押圧をもたらし、ゴム層が1本増えるごとにハウジングに微小な波形突起が1つ増える。即ち、電池1uは、電池1よりもハウジングの表面に顕著な波形変形を形成し、電池の一致性と落下防止効果に影響を与える。
【0066】
さらに例えば、
図28は本願の比較例2によって提供された電池1vがハウジング100を隠蔽した後の模式図を示し、
図29は
図28の底面図を示している。
図1乃至
図25と併せて参照すると、この電池1vは、ハウジング、電極アセンブリ200、導電板300、第1層400’’及び第2層500を含み、第1比較例によって提供された電池1uとの主な違いは、電池1vにおける各第2層500が一体的に配置されていることである。前述から分かるように、各第2層500の一体式設置は第2層500の固定過程を簡略化することができ、電池1vの製造サイクルを短縮することができるが、それはより多くの気泡を残しやすく、さらに第2層500と電極アセンブリ200との間の固定強度を低下させる。
【0067】
次に、各実施例で提供された電池の落下防止性能及び変形防止性能の差異について、試験データと合わせて説明する。
【0068】
具体的には、表1を参照して、各実施形態が提供する電池の落下防止性能の試験比較表を表1に示す。なお、ここでは説明の便宜上、上述した第1実施例乃至第12実施例を順に実施例1~実施例12と呼び、上述した第1比較例と第2比較例を順に比較例1と比較例2と呼ぶ。この試験は、日常使用中に電池の落下による故障をシミュレートすることによって、電池の落下防止性能を確定することを目的としている。試験方法は、具体的に以下の通りである。
【0069】
S101では、常温で0.2Cの電流で電池を制限電圧まで充電する。ここで、「制限電圧」は電池メーカーが設定したもので、電池が定電流充電から定電圧充電に移行する際の最大電圧値であり、電池の仕様やメーカーの変化によって異なる可能性がある。
【0070】
S102では、電池専用の落下試験装置を用いて電池に対して落下試験を行う。具体的には、まず、落下試験装置のロボットアームが電池サンプルを把持して、大理スレートから1.8メートル(m)まで持ち上げ、且つ電池における電極アセンブリ200の第1面2013が下に向いて電池をリリースするように制御する。次に、ロボットアームが電池サンプルを把持して、大理石プレートから1.8mまで持ち上げ、且つ電極アセンブリ200の第2面2014が下に向いて電池をリリースするように制御する。その後、ロボットアームが電池サンプルを把持して、大理石板から1.8mまで持ち上げ、電池の頭部が下に向いて電池をリリースするように制御する。その後、ロボットアームが電池サンプルを把持して、大理石プレートから1.8mまで持ち上げ、電池の底部が下に向いて電池をリリースするように制御する。次に、ロボットアームが電池サンプルを把持し、大理スレートから1.8mまで持ち上げ、電極アセンブリ200の第3面2015が下に向いて電池をリリースするように制御する。最後に、ロボットアームが電池サンプルを把持し、大理石プレートから1.8mまで持ち上げ、且つ電極アセンブリ200の第4面2016が下に向いて電池をリリースするように制御する。
【0071】
S103では、電池が故障しているかどうかを判断する。具体的には、電池の表面が破損しているかどうかを観察し、且つ電池の開回路電圧を測定する。電池の表面に破損が発生し、及び/又は、電池の開回路電圧が3.0ボルト(V)未満であると、電池が故障したと判断する。そうでなければ、電池は故障していない。
【0072】
S104では、電池が故障していなければ、ステップS102~S103を繰り返す。
【0073】
S105では、電池が故障すれば、試験を停止する。サンプル電池がステップS2を実行する回数を集計し、且つサンプル電池を分解して電極アセンブリ200が第1層400及び/又は第2層500で故障が発生するかどうかを観察する。
【0074】
ここで、各実施例は、単一電池の試験結果の偶然性を回避するために、いずれも5つの電池を用いて試験を行った。
【0075】
表1に示すように、比較例1と比較例2が提供する電池内の第2層500は、電極アセンブリ200とハウジングとを固定する役割を果たすことができるが、第1電極シート500は、第2層500が設けられた領域において、電極アセンブリ200が巻回された中心に向かう側に活物質がまだ設けられている。電極シートの集流体は電池が落下する過程で引き裂かれ、さらに活物質が脱落し、電池性能の低下を引き起こす。
【0076】
実施例1において提供した電池1は、第1層400と第2層500を第1表面201に配置し、且つ両者を独立して配置することにより、第1層400と第2層500が電極アセンブリ200に固定する過程では気泡を排出しやすく、即ち、その被覆領域内に残留した気泡がより少なくなり、第1層400と第2層500はいずれも電極アセンブリ200と密接に接触しており、電極アセンブリ200とハウジングとの間の良好な固定効果を保証することができる。したがって、実施例1が提供する電池1の落下防止効果は、比較例1と比較例2よりも優れている。
【0077】
実施例2において提供した電池1bは、電池1に比べて、さらに第3層600を含む。第3層600の配置は、電極アセンブリ200の平坦度をある程度改善することができ、且つ電極アセンブリ200が緩みにくいように拘束することができ、さらに電極アセンブリ200の微量緩みによるハウジングの穿孔の危険性を低減することができる。
【0078】
実施例3において提供した電池1cは、電池1bに比べて、当該電池1c内の第1層400または第2層500の少なくとも1つは第3層600と接着固定されており、第3層600が固定される効果を強化することができる。
【0079】
実施例4において提供した電池1dは、電池1bに比べて、第1層400または第2層500のうちの少なくとも1つが第3層600と接着固定されているので、第3層600が固定される効果を強化することができる。これと同時に、第1層400の長さは第2層500よりも大きく、電極アセンブリ200自体の安定性をさらに向上させ、電池の落下防止効果を向上させるのに有利である。
【0080】
実施例5において提供した電池1eは、電池1に比べて、当該電池1eが第3層600をさらに含み、且つ第1層400または第2層500のうちの少なくとも1つが第3層600と接着固定され、これにより、電極アセンブリ200が固定される効果を強化することができる。
【0081】
実施例6において提供した電池1fは、電池1に比べて、一方では、第2層500を上記第1領域2011に設置しやすくするために、第1末端212を長く設定して、活物質脱落のリスクを低減し、他方では、第3層600をさらに含み、且つ第1層400または第2層500のうちの少なくとも1つが第3層600と接着固定され、よって、電極アセンブリ200が固定される効果を強化することができる。したがって、当該電池1fはより優れた落下防止性能を有する。
【0082】
実施例7において提供した電池1gは、第1層400と第2層500を第1表面201に配置し、且つ両者を一体的に配置する。即ち、より大きな面積の第1層400が設けられているのに対し、第2表面202には第2層500が設けられていない。これにより、電極アセンブリ200とハウジングとの接触がより緊密になっている。したがって、実施例7が提供する電池1gの落下防止効果は、比較例1と比較例2よりも優れている。
【0083】
以上のように、第1層400と第2層500を第1面2013に併設することで、電池の落下防止性能が良好に保たれ、しかも、第3層600の設置は電池の落下防止性能をさらに向上させることができる。
【0084】
【0085】
再び表2を参照する。
図2は、各実施例が提供する電池の変形度の試験比較表である。この試験は、電池が日常使用過程において複数回循環充電されて使用後の変形程度をシミュレートすることで、電池の変形防止性能を決定することを目的とする。ここで、変形程度試験の具体的なステップは以下の通りである。S201では、常温で0.2Cの電流で電池を満充電状態まで充電する。
【0086】
S202では、電池をオフ電圧まで放電し、その後、0.8Cの電流で電池を定電流定電圧で制限電圧まで充電する。
【0087】
S203では、導電板位置における電池の第1厚さt1を測定して記録し、PPGソフトパック電池厚さ測定器を通じて電池に予め設定された圧力を加え、その予め設定された圧力における電池の第2厚さt2を測定して記録し、第1厚さ差Δtを計算し、当該Δtは電池の変形程度の量子化指標である。ここで、Δt=t2-t1。
【0088】
S204では、ステップS202を700回繰り返す。
【0089】
S205では、導電板位置における電池の第3厚さT1を測定して記録し、PPGソフトパック電池厚さ測定器を通じて電池に予め設定された圧力を加え、その予め設定された圧力における電池の第4厚さT2を測定して記録する。第2厚さ差ΔTを計算する。当該ΔTは電池の変形程度の量子化指標である。ここで、ΔT=T2-T1。
【0090】
表2に示すように、比較例1と比較例2が提供する電池内の第2層500は、電極アセンブリ200とハウジングとを固定する役割を果たすことができるが、第1層400と第2層500は電池の第1方向に沿って電極アセンブリのΔtの両側にあるため、電池が第1方向に沿って対向配置された両表面にはいずれも波形バンプが存在し、これにより、充放電前後における電池の第1厚さ差Δtと第2厚さ差ΔTが大きい。即ち、比較例1と比較例2が提供した電池の変形程度は明らかである。
【0091】
実施例1に提供された電池1は、第1層400と第2層500とを電極アセンブリ200の同一表面に配置し、且つ両者が独立して配置されている。このようにすれば、第1層400の一面から第1方向Zに沿って電池が離反する波形バンプを低減または削除することができる一方、第1層400及び第2層500のそれぞれと電極アセンブリ200との間の気泡が少ないため、電極アセンブリ200とハウジングとの接続強度が実施例7よりも高くなり、電池1の変形程度を低減することができる。また、表2のデータから、電池1は電池1u及び電池1vの耐変形性能に対して極めて顕著に向上していることが分かる。
【0092】
実施例2~実施例6が提供する電池は、いずれも電池1に第3層600を追加したものであり、前述の実施例1が提供する電池1よりも耐変形性が優れている。具体的には、第3層600の設置は、電極アセンブリ200がばらつきにくいように制約して、電極アセンブリ200の各部位の平坦度を保証する。これにより、充電中に電極アセンブリ200が局所的に変形することによる電池の変形程度は低減される。実施例7により提供された電池1gは、第2面2014に第2層500が設置されていないため、電池は主に第1面2013に近い領域に波形突起が存在し、第2面2014に近い領域における波形突起が相応的に減少し、ひいては存在しなくなる。そこで、実施例7が提供する電池1gの充放電前後における第1厚さ差Δtと第2厚さ差ΔTは、いずれも前述の比較例1と比較例2により提供された電池より小さい。即ち、実施例7で提供された電池1gは、比較例1と比較例2に比べて良好な耐変形性能を有している。
【0093】
以上のように、第1層400と第2層500を電極アセンブリ200の第1方向の同じ側、即ち第1面2013に設けることにより、電池が良好な耐変形性能を有することを保証することができる。これと同時に、エネルギー密度の低下を引き起こすことはない。一方、第3層600の設置により、電池の耐変形性をさらに向上させることができる。
【0094】
【0095】
本願はまた、同一の発明の構想に基づいて電子機器を提供する。具体的には、
図30は本願の一実施例によって提供される電子機器2の概略図を示す。これと同時に、
図1~
図25から分かるように、電子機器2は、いずれかの実施例に記載の電池を備える。本実施例では、この電子機器2は、携帯電話である。なお、本願の他の実施例では、電子機器2は、タブレット、コンピューター、ドローンなどの他の電気駆動を必要とする電子機器であってもよい。
【0096】
上述した電池が含まれているため、当該電子機器2は、落下時にハウジングに対して電極アセンブリが滑るリスクを低減することができる。
【0097】
なお、本願の明細書及び図面には本願の好適な実施形態が示されているが、本願は本明細書に記載された実施形態に限定されるものではなく、多くの異なる形態で実現することができ、これらの実施形態は本願の内容に対する追加の制限ではなく、本願の開示内容の理解をより完全で徹底的にすることを目的として提供される。また、上記各技術的特徴を互いに組み合わせることで形成された上記に挙げられていない各種の実施例は、いずれも本願明細書に開示されている範囲とみなされる。さらに、当業者にとっては、上述の説明に従って改良または変換を加えることができる。これらの改良及び変換は、いずれも本願に添付された請求項の保護範囲に属すべきである。
【国際調査報告】