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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】選鉱のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/30 20060101AFI20241128BHJP
   B02C 4/00 20060101ALI20241128BHJP
   B02C 4/32 20060101ALI20241128BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20241128BHJP
   C22B 34/32 20060101ALI20241128BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B02C4/30
B02C4/00
B02C4/32
C22B1/00 101
C22B34/32
C22B7/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536120
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2022056624
(87)【国際公開番号】W WO2023111697
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】2118460.1
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524226634
【氏名又は名称】イーエステック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EESTECH INC
【住所又は居所原語表記】16192 Coastal Highway Lewes, Delaware 19958, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】523468161
【氏名又は名称】イーエステック ヨーロッパ ホールディングス ベスローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】EESTECH EUROPE HOLDINGS BV
【住所又は居所原語表記】Kingsfordweg 151,1043 GR Amsterdam, Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】チャド ダニエル リーマン
(72)【発明者】
【氏名】マリー ジェームス ベイリー
【テーマコード(参考)】
4D063
4K001
【Fターム(参考)】
4D063CC07
4D063GA07
4D063GC17
4D063GD03
4D063GD12
4K001AA08
4K001BA22
4K001CA01
4K001CA02
4K001CA03
(57)【要約】
本発明は、選鉱のための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、採掘及びプロセス廃棄物からの合金、金属、及び鉱物の回収、例えば、あまり望ましくない材料からのフェロクロム(FeCr)の回収に関する。開示される選鉱方法によって生成される生成物は、95%のクロム単位のクロム濃縮物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダに面するハードフェーシングタイルを備えるロールクラッシャを備える選鉱システム。
【請求項2】
前記タイルが八角形状である、請求項1に記載の選鉱システム。
【請求項3】
前記タイルが、離間ギャップによって互いに離間されている、請求項1又は2に記載の選鉱システム。
【請求項4】
前記離間ギャップが6mm未満である、請求項3に記載の選鉱システム。
【請求項5】
前記ロールクラッシャの上流に第1の篩を備えて、最大寸法が400マイクロメートル未満の粉砕前のデブリが前記ロールクラッシャによって粉砕されるのを防止する、請求項1~4のいずれか一項に記載の選鉱システム。
【請求項6】
前記第1の篩が、少なくとも2軸運動で音速で動作するように構成される、請求項5に記載の選鉱システム。
【請求項7】
前記第1の篩が、それぞれが目詰まりのない篩を備える複数の篩分デッキを備える、請求項5又は6に記載の選鉱システム。
【請求項8】
前記第1の篩が、乾燥状態で前記粉砕前のデブリに対して作用するように構成される、請求項5、6、又は7に記載の選鉱システム。
【請求項9】
前記ロールクラッシャの下流に、前記ロールクラッシャによって提供される粉砕後のデブリに対して作用するように構成された第2の篩を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の選鉱システム。
【請求項10】
前記第2の篩が、前記粉砕後のデブリを、特定の範囲の粒径をそれぞれ有する別個の粒径ストリームに分別するための複数のデッキを備える、請求項9に記載の選鉱システム。
【請求項11】
前記第2の篩が、前記粉砕後のデブリを、最大寸法が300~400マイクロメートルの範囲内にある粒子の第1の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が200~300マイクロメートルの範囲内にある粒子の第2の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が100~200マイクロメートルの範囲内にある粒子の第3の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が10~100マイクロメートルの範囲内にある粒子の第4の異なる粒径ストリームに分離するための複数のデッキを備える、請求項9に記載の選鉱システム。
【請求項12】
前記第2の篩が、湿潤状態で前記粉砕後のデブリに対して作用するように構成される、請求項9、10、又は11に記載の選鉱システム。
【請求項13】
脈石及び/又はミドリングから濃縮物を分離するために、各異なる粒径のストリームの下流にそれぞれの重力分離機を備える、請求項10~12のいずれか一項に記載の選鉱システム。
【請求項14】
それぞれの重力分離機が、300g未満の重力を印加して、少なくとも95重量%のクロム単位のクロム濃縮物として前記濃縮物を生成するように構成される、請求項13に記載の選鉱システム。
【請求項15】
前記クロム単位が、未変換のCr鉱石、部分的に還元されたクロム相のスピナル、及び/又は完全に還元されたクロム相のフェロクロム金属からなる、請求項14に記載の選鉱システム。
【請求項16】
前記第2の篩の上流で前記粉砕後のデブリを湿潤させるように構成された処理水供給部を備える、請求項13に記載の選鉱システム。
【請求項17】
前記処理水供給部が、水中に二元化合物を含み、前記二元化合物が、脈石及び/又はミドリングの粒子の表面に化学的に結合することができる、請求項16に記載の選鉱システム。
【請求項18】
前記二元化合物がケイ酸塩ベースの二元化合物を含み、前記粒子それぞれをケイ酸塩ガラスの層で封止する、請求項17に記載の選鉱システム。
【請求項19】
前記二元化合物が、前記処理水及び粉砕後のデブリを含む懸濁液中で最大寸法が400マイクロメートル未満の粒子を互いに反発させる分散剤を含む、請求項17又は18に記載の選鉱システム。
【請求項20】
前記二元化合物が、pH8、10、12以上のアルカリ溶液を含む、請求項17、18、又は19に記載の選鉱システム。
【請求項21】
前記濃縮物及び/又は脈石及び/又はミドリングから水を除去するための脱水篩を備える、請求項13~20のいずれか一項に記載の選鉱システム。
【請求項22】
砂を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の選鉱システムを利用する選鉱方法によって生成された生成物。
【請求項23】
前記砂が主として亜角粒子を含む、請求項22に記載の選鉱方法によって生成された生成物。
【請求項24】
ケイ酸塩ガラスの層で封止された粒子を含む、請求項22又は23に記載の選鉱方法によって生成された生成物。
【請求項25】
少なくとも95重量%のクロム単位のクロム濃縮物を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の選鉱システムを用いた選鉱方法によって生成された生成物。
【請求項26】
請求項1~21のいずれか一項に記載の選鉱システムを使用する選鉱方法であって、前記ロールクラッシャを使用して、ターゲット物質と脈石との間の境界線に沿って凝集物の粒子を破壊するステップを含む、方法。
【請求項27】
請求項1~21のいずれか一項に記載の選鉱システムを使用する選鉱方法であって、前記ロールクラッシャの前記シリンダでの前記ハードフェーシングタイルを張り替えるまでに25,000時間超にわたって連続して稼働する選鉱方法。
【請求項28】
前記ロールクラッシャによって破砕された粉砕後のデブリの粒子を、予め選択された最大寸法を少なくとも有する過大な粒子と、それよりも小さい最大寸法を有する規格適合粒子とに分別し、前記過大な粒子を、前記ロールクラッシャに流入する粉砕前のデブリに戻して、自生破砕を行うステップを含む、請求項26又は27に記載の選鉱方法。
【請求項29】
前記粉砕後のデブリの400%再循環負荷を含む、請求項28に記載の選鉱方法。
【請求項30】
前記流入する材料への粉砕後の材料の返還を伴って又は伴わずに、前記ローラクラッシャを単一ステップで使用することを含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の選鉱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選鉱のための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、採掘及びプロセス廃棄物からの合金、金属、及び鉱物の回収、例えば、あまり望ましくない物質からのフェロクロム(FeCr)の回収に関する。
【背景技術】
【0002】
採掘産業では、選鉱は、下流での鉱物、酸化物、又は金属の精製のために高品質の濃縮物を生成するために使用され、製錬及び精製のステップに先立つ。
【0003】
選鉱のプロセス中、採掘された鉱石本体又は廃棄物(炉スラグやプロセス尾鉱など)中の望ましくない要素(脈石と呼ばれ、例えばシリカ、アルミナ、及び他の低価値の物質を含む)から、ターゲット鉱物、酸化物、又は金属が分離される。次いで、得られたターゲット濃縮物はさらに精製される。
【0004】
現在の慣行によれば、選鉱は、以下の3段階の製粉(破砕、磨砕、切断、振動、又は他の手段による粒径の縮小)を含む。すなわち、通常はジョークラッシャ又は軌道圧縮コーンを用いて達成される一次製粉(大製粉);セージミル、コーンクラッシャ、又はインパクトクラッシャで実現される二次製粉(小製粉);及び典型的にはボールミル又はロッドミルで行われて1mm未満の材料を生成する三次製粉(粉砕)である。
【0005】
製粉が完了した後、破砕及び粉砕された材料は、脈石、ミドリング(すなわち、脈石から完全には解放されていないターゲット物質)、及び濃縮物(所望のターゲット物質)に選鉱(分別)される。
【0006】
しかし、そのような方法は非効率的である。というのも、この方法は遅く;かなりの電気エネルギー入力を必要とし;摩耗ライナの頻繁で高価な交換を必要とし、これが処理プラントのダウンタイムにつながり;さらに重要なことに、鉱石及びスラグが非効率的に破砕され、すなわち境界線(そのような用語は、凝集体を構成する材料の縁部を意味するために使用される)に沿って破砕されないからである。したがって完全な解放が得られず、これは下流の選鉱プロセスを複雑化する。
【0007】
慣例によれば、破砕及び磨砕の方法は、摩滅(粒子同士の衝突によって鉱物が擦り減らされるプロセス)に基づいている。しかし、摩滅は、境界線分離を実現しない。
【0008】
さらに、比重の差が3を超える粒子については、重力分離による粒子の分離が非常に効率的であるが、異なる物質粒子の比重が近いときには、重力分離機は、粒径と粒子比重を区別することができない。例えば、比重が2の100μm粒子は、比重が1の200μm粒子と同じ挙動をする。両方の粒子が同じ質量を有するので、分離機システム内で同じ引力を受ける。粒径と粒子比重との間のこの相反により、比重に基づいて分割することができる重力分離システムの能力が打ち消され、重力分離の効率が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、選鉱のための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、採掘廃棄物からの合金、金属、及び鉱物の回収、例えば、あまり望ましくない物質からのフェロクロム(FeCr)の回収に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、シリンダに面するハードフェーシングタイルを備えるロールクラッシャを備える選鉱システムがある。ロールクラッシャは、高圧ロールクラッシャでよい。ローラへの供給材料は、回収すべき合金、金属、及び/又は鉱物を比較的低い濃度で有する鉱石、スラグ、採掘廃棄物、又は他の物質を含むことがある。供給材料は、ハードフェーシングタイルを備える1つ又は複数の高圧ロールクラッシャを使用して、好ましくは連続的に破砕することができる。
【0011】
各ハードフェーシングタイルは、多角形又は多角形状でよい。それらはすべて、偶数個の辺又は奇数個の辺を有することがある。すべてのハードフェーシングタイルが、同数の多角形の辺を有することがある。ハードフェーシングタイルは、長さがすべて等しい多角形の辺を有することがあり、又は向かい合う多角形の辺が等しい長さであることがあり、又は1つおきの多角形の辺が等しい長さであることがあり、又は多角形の辺が異なる長さであることもある。すべてのハードフェーシングタイルは同じ形状を有することがあり、すべてのハードフェーシングタイルが同じサイズを有することがあり、又はハードフェーシングタイルのいくつかが他のタイルとは異なる形状若しくはサイズを有することもある。ハードフェーシングタイルは、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形でよく、又はより多くの辺を有することもある。
【0012】
各ハードフェーシングタイルは、シリンダの円筒面に固定された1つ又は複数の他のハードフェーシングタイルに隣接することがある。ハードフェーシングタイルは、1つのハードフェーシングタイルの辺を別のハードフェーシングタイルの辺に隣接して配置するパターンで互いに隣接することがある。典型的には、隣接するハードフェーシングタイルの隣接する辺は互いに平行であるが、他の形状も可能である。
【0013】
各ハードフェーシングタイルは、その辺のうちの1つおきの辺が別のハードフェーシングタイルの1辺に隣接しており、後者のハードフェーシングタイルも、その辺のうちの1つおきの辺がさらに別のハードフェーシングタイルの1辺に隣接している。別のタイルに隣接していない辺は、別のタイルの平行な辺から少なくとも1辺の長さぶん離れている。
【0014】
シリンダ上のハードフェーシングタイルのすべて又はいくつかは、タイルのパターンを形成するグループ内にあり得る。六角形タイルのグループがあり得る。各六角形タイルは、別の六角形タイルの一辺にそれぞれ個別に隣接する3つの辺を有することがあり、後者の六角形タイルも、さらに別の六角形タイルの一辺にそれぞれ個別に隣接する3つの辺を有することがある。別の六角形タイルの辺に隣接するこれらの辺は、別のタイルに隣接していない辺と交互であり得る。別のタイルに隣接していない辺は、別のタイルの平行な辺から少なくとも1辺の長さぶん離れている。他のタイルの辺に隣接していない六角形タイルの辺は、そのグループ内に、タイルのないスペースを形成し得る。スペースは、ハードフェーシングタイルの辺によって画定される六角形になり得る。
【0015】
八角形タイルのグループもあり得る。各八角形タイルは、別の八角形タイルの一辺にそれぞれ個別に隣接する4つの辺を有することがあり、後者の八角形タイルも、さらに別の八角形タイルの一辺にそれぞれ個別に隣接する4つの辺を有することがある。別の八角形タイルの辺に隣接するこれらの辺は、別のタイルに隣接していない辺と交互であり得る。別のタイルに隣接していない辺は、別のタイルの平行な辺から少なくとも1辺の長さぶん離れている。他のタイルの辺に隣接していない八角形タイルの辺は、そのグループ内に、タイルのないスペースを形成する。スペースは、ハードフェーシングタイルの辺によって画定される正方形又は長方形になり得る。
【0016】
シリンダの円形の縁部付近にあるハードフェーシングタイルは、他の3つのハードフェーシングタイルと隣接することがある。円形の縁部に近いこれらのハードフェーシングタイルは、タイルのグループの角で他の2つのハードフェーシングタイルにのみ隣接することがある。丸い縁部に近いこれらのハードフェーシングタイルは、他の3つのハードフェーシングタイルにのみ隣接することがある。
【0017】
このように、タイルは、離間ギャップによって互いに離間される。ハードフェーシングタイルの隣接する辺の間の離間ギャップの距離は、2mm、3mm、4mm、5mm、又は6mm未満であり得る。
【0018】
高圧ロールクラッシャは、ロールに新しいハードフェーシングタイルを張り替えなければならなくなるまで、25,000時間超にわたって連続して稼働することがある。したがって、本発明により、ライナの保守及び交換による「ダウンタイム」を最小限に抑えることができるという利点がある(例えば、稼働時間が720~1,200時間であり、ライナの交換が720~1,200時間ごとに1回の場合と比較して、稼働時間が25,000時間を超え、ライナの交換が30,000時間ごとに1回)。
【0019】
一態様によれば、選鉱方法は、ロールクラッシャのシリンダでのハードフェーシングタイルを張り替えるまでに25,000時間超にわたって連続して稼働することを含む。破砕は、一実施形態では、クラッシャのハードフェーシングタイル間の小さなギャップ(例えば、6mm~4mm以下のギャップ)が噛み込みエッジを提供し、供給材料に切り込んで、材料を高圧破砕ロールのピンチポイントに引き込むことによって、単一のステップで実現することができる。好ましくは、ロールクラッシャへの供給材料中の粒子の最大寸法は、ロールクラッシャが粒子を引き裂く及び/又は粒子を破砕する際にピンチポイントが粒子を把持する助けとなるように、40mm、30mm、20mm、又は400マイクロメートル以下である。
【0020】
ロールクラッシャの上流に第1の篩が存在することがあり、最大寸法が40mm、又は30mm、又は20mm、又は400マイクロメートル未満の粉砕前のデブリがロールクラッシャによって粉砕されるのを防止する。第1の篩は、少なくとも2軸運動で音速で動作するように構成される。2軸乾式篩分システムを使用して、過大な材料を篩分することができる。過大な材料は高圧ロールクラッシャに戻して再循環することができる。
【0021】
本発明の利点は、破砕ステップが、従来の2又は3ステップ製粉プロセスよりも少ない電力、例えば3分の1~2分の1の電力しか消費しないことである。
【0022】
粉砕後のデブリは、ロールクラッシャの出口から排出される。次いで、600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満の最大寸法を有する粉砕後のデブリの粒子など、「規格適合」材料のための篩があり得る。篩は、乾式篩でよく、及び/又は密閉された篩分機器を含むこともある。ダストは収集され、ロールクラッシャに再循環され得る。過大サイズの材料は、自生破砕を行うために高圧ロールクラッシャに再循環され得る。規格適合の粉砕後のデブリは、乾式篩を通過し、湿式篩分装置に運ばれることがあり、湿式篩分装置は、デブリを粒径範囲に分別する。
【0023】
高圧ロールクラッシャでは、400%再循環負荷(本明細書では、そのような用語は、破砕又は粉砕される材料が所望のサイズに縮小されるまでに製粉プロセスを通過する回数又は平均回数を表す)を実行することができる。これは、自生破砕(そのような用語は、材料がそれ自体で破砕することを説明するために使用される)を誘発する。400%再循環負荷を受けた微細材料が、ロールに流入する粉砕前、破砕前の供給材料に戻されることによって行われる自生破砕により、粒子整形が成される。これは、30mmの粒径寸法を有する粉砕前、破砕前の供給の最大寸法によって補助される。粒子整形は、各粒子の角を丸めることによって、角張った粒子を亜角粒子に変換する。これにより、供給材料、特にスラグの非晶質ガラス相が貴重な鋳物砂生成物に変換される。高圧ロール破砕は、ターゲット物質からの脈石及び/又は非晶質ガラススラグを、これらの成分物質(供給材料を構成する鉱物及び/又は金属などであり得る)間の境界に沿って砕く。したがって、鉱物は、選鉱プロセスでより分離しやすくなる。
【0024】
一態様によれば、選鉱方法は、ロールクラッシャを使用して、ターゲット物質と脈石との中間の境界線に沿って凝集物の粒子を破壊するステップを含む。この方法によって使用される選鉱システムは、ロールクラッシャのシリンダでのハードフェーシングタイルを張り替えるまでに25,000時間超にわたって連続して稼働することがある。
【0025】
この方法は、ロールクラッシャによって破砕された粉砕後のデブリの粒子を、予め選択された最大寸法を少なくとも有する過大な粒子と、それよりも小さい最大寸法を有する規格適合粒子とに分別し、過大な粒子をロールクラッシャに流入する粉砕前のデブリと共に戻して、自生破砕を行うステップを含むことがある。粉砕後のデブリの200%、300%、400%、又は500%再循環負荷があり得る。この方法は、流入する材料への粉砕後の材料を返還を伴って又は伴わずに、ローラクラッシャを単一ステップで使用することを含むことがある。
【0026】
ターゲット物質は、金属鉱物、天然金属、又はクロム単位若しくは他の金属単位を含むことがある。ハードフェーシングタイル、それらの硬度、組成、周囲形状、及び/又はタイル縁部間のスペースのギャップによって、脈石及び/又は非晶質ガラススラグは、ロールクラッシャへの供給材料の粒子中でのそれらの間の境界に沿ってターゲット物質から引裂、磨砕、又は破砕されることがある。
【0027】
篩システムは、高圧ロールクラッシャから40mm、30mm、20mm、又は400μm未満のスラグを篩分するために、音速での2軸動作を含むことがある。第1の篩は、乾燥状態で粉砕前のデブリに対して作用するように構成され得る。目詰まりのない篩を、複数の(独立した)篩分デッキ(例えば4つ)で同時に採用して、乾式微細篩分の毎時の高い収量(例えば400トン)を実現することができる。第1の篩は、目詰まりのない篩をそれぞれ備える複数の篩分デッキを備えることがある。
【0028】
したがって、本発明の利点は、標準的な乾式篩分プロセスの時間、エネルギー要件、及びコストを5分の1以下に低減することである:例えば、標準的な乾式篩分は、毎時400トンを実現するには20個よりも多くの篩分ユニットが必要となる;過大なスラグ、鉱石粒子、及び/又は採掘デブリなどの粉砕後の過大な材料は、高圧ロールクラッシャに再循環されて戻され、自生破砕を行う。
【0029】
ロールクラッシャの下流に、ロールクラッシャによって提供される粉砕後のデブリに対して作用するように構成された第2の篩があり得る。第2の篩は、湿潤状態で粉砕後のデブリに対して作用するように構成される。粉砕後のデブリは、ロール破砕後、又は密閉された篩分機器での乾式篩を通過した後に直接、湿式篩分装置で処理されることがある。湿式選鉱装置は、重力分離機の上流にあり、金属を比較的多く含む粒子を脈石及びミドリングから分離することによって選鉱を行うことができる。
【0030】
第2の篩は、粉砕後のデブリを、特定の範囲の粒径をそれぞれ有する別個の粒径ストリームに分別するための複数のデッキを備えることがある。第2の篩は、粉砕後のデブリを分別するための複数のデッキを備える。例えば、湿式篩分装置は、湿式のトリプルデッキ篩分を備えることがある。粉砕されたスラグ及び粉砕後のデブリは、破片サイズに分別されることがある。例えば、最大粒径が400mmの粉砕後のデブリは、トリプルデッキによって、以下の4つの破片サイズに分別される:400μm~300μm;300μm~200μm;200μm~100μm;及び100μm~10μm。これにより、重力分離システムにおける比重と粒径との間の相反を克服するために、粒径の狭い帯域幅が作成される。
【0031】
プロセスは連続でよく、最大寸法が300~400マイクロメートルの範囲内にある粒子の第1の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が200~300マイクロメートルの範囲内にある粒子の第2の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が100~200マイクロメートルの範囲内にある粒子の第3の異なる粒径ストリーム、及び/又は最大寸法が10~100マイクロメートルの範囲内にある粒子の第4の異なる粒径ストリームが存在し得る。例えば、ストリーム中の最大粒径の帯域幅は、上記の例におけるように100マイクロメートル又は90マイクロメートルであり得る。各ストリームの帯域幅は、500マイクロメートル、300マイクロメートル、又は50マイクロメートルであり得る。すべてのストリームが同じ帯域幅を有することがあり、又は特定のストリームが、他のストリームとは異なる最大粒径帯域幅を有することもある。
【0032】
ロールクラッシャのすぐ下流にある粉砕後の材料の粒径の範囲と比較して、各ストリームでの最大粒径の帯域幅が比較的狭いことは、比重に基づいて粒子を分けることができる標準的な重力分離システムの能力を打ち消す粒径と粒子の比重との相反を克服するのに役立つ;また比重差が3未満の材料に対する重力分離の制限を克服するのに役立つ。
【0033】
脈石及び/又はミドリングから濃縮物を分離するために、各異なる粒径のストリームの下流にそれぞれの重力分離機があり得る。
【0034】
例えば、100μm未満の帯域幅を有する物質のストリームは、専用の重力分離機に送給され、完全な分別又はほぼ完全な分別を実現することができる。金属酸化物を含むことがある望ましい材料が生成され得る。非晶質ガラススラグ成分の残差から、重量で少なくとも70%、80%、85%、90%、93%、95%、97%、又は97%のクロム濃縮物の分離があり得る。
【0035】
重力分離機は、100g、200g、300g、400g、又は600g未満の重力を加えることがある。金属酸化物を含むことがある望ましい材料の濃縮物が生成され得る。重力分離機から、少なくとも95重量%のクロム単位のクロム濃縮物としての濃縮物が生成され得る。粉砕後のデブリでのクロム単位の3つの相を、そのストリームのための重力分離機によって各ストリームから回収することができる。例えば、クロム単位相は、未変換のCr鉱石、スピナルと呼ばれる部分的に還元されたクロム相、及びフェロクロム金属と呼ばれる完全に還元されたクロム相でよい。
【0036】
本明細書に開示される選鉱システムを利用する選鉱方法の一態様によれば、少なくとも85%重量~95重量%のクロム単位のクロム濃縮物を含む生成物が生成される。
【0037】
第2の篩の上流で粉砕後のデブリを湿潤させるように構成された処理水供給部が存在し得る。処理水供給部が、水中に二元化合物を含むことがあり、二元化合物が、脈石及び/又はミドリングの粒子の表面に化学的に結合することができる。
【0038】
重力分離機によって行われる湿式篩分及び湿式選鉱プロセスで使用される処理水に、二元化合物が添加されることがある。二元化合物は、材料の表面に化学的に結合し、各粒子の表面をケイ酸塩ガラスの層で封止することが可能であり得る。二元化合物は、ケイ酸塩ベースの化合物を含むことがある。
【0039】
各粒子の表面のそのような封止は、尾鉱砂粒子が残留重金属を環境に浸出するのを防ぐことが利点である。
【0040】
本明細書に開示される選鉱システムを利用する選鉱方法の一態様によれば、砂を含む生成される生成物がある。
【0041】
各粒子の表面のそのような封止により、下流での用途で尾鉱砂を使用できるようになることがさらなる利点である。例えば、開示される方法及びシステムによって生成される砂は、熱的に安定しており、高圧ローラクラッシャによって亜角粒子に整形され、二元化合物によって封止され、非危険物質として分類される。したがって、高価値の鋳物砂として使用することができる。
【0042】
二元化合物は、分散剤を含むこともある。二元化合物は、処理水懸濁液中で、600μm、400μm、200μm、又は100μm未満の粒子を分解して互いに押し離すことができ、これにより重力分離プロセスの効率をさらに向上させる。処理水懸濁液は、処理水中に懸濁された粉砕後のデブリを含むことがある。
【0043】
この二元化合物は、工場処理水のpHのバランスを取るのに役立つ高アルカリ性の溶液を含むことがある。高アルカリ溶液は、7.5、8、8.5、9、10、11、12以上のpHを有することがある。高アルカリ溶液は、水酸化ナトリウムでよく、水性化学貯蔵タンクからの下流の流れと混合されて処理水を提供する。次いで、粉砕後、破砕後のデブリと共に処理水が使用されるとき、処理水は、7.1、7.5、8、8.5、9、10、11以上のpHを有することがある。
【0044】
濃縮物及び/又は脈石及び/又はミドリングから水を除去するための脱水篩が存在し得る。回収されたターゲット濃縮物(例えば、FeCr)は脱水篩に通され、脱水篩は、低い水分含有量、例えば20重量%未満の水分含有量まで濃縮物を脱水する。超音波脱水篩を使用することができる。回収された水は、再循環のために水貯留タンクに戻される。水貯留タンクは、水性化学貯蔵タンク及び/又は二元化合物貯蔵タンクの下流にあってもよい。超音波脱水篩を使用して、生成されたターゲット濃縮物と尾鉱砂との両方を脱水することができる。本発明がウォーターニュートラル又はウォーターポジティブプロセスを可能にすることが、超音波脱水篩の使用の利点である。
【0045】
本明細書に記載の選鉱システムを利用する選鉱方法によって生成される生成物は、砂を含むことがある。これは尾鉱から得られた砂であり得る。生成される砂は、主として亜角粒子を含むことがある。粒子は、ケイ酸塩ガラスの層で封止されることがある。
【0046】
本明細書で述べる選鉱システムを利用する選鉱方法によって生成される生成物は、少なくとも95重量%のクロム単位のクロム濃縮物を含むことがある。
【0047】
本発明を、添付図面を参照して単に例として述べる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】選鉱のためのシステム及び方法において、ロールクラッシャ、及び粉砕後の材料用の密閉した篩分装置を使用するためのプロセス図である。
図2図1に示されるロールクラッシャの上流で、供給及び篩分装置を使用して粉砕前の材料中の粒子を篩分するプロセス図である。
図3図1に示されるロールクラッシャ及び密閉された篩分機器の下流で湿式篩装置を使用するプロセス図である。
図4図3に示される湿式篩装置の下流に重力分離機を備えた選鉱装置を使用するためのプロセス図である。
図5図5に示される選鉱装置の下流で、脱水装置を使用して尾鉱を乾燥させ、クロム濃縮物を乾燥させるプロセス図である。
図6】処理水を二元化合物で処理し、処理水のアルカリ度を調整するための処理水貯蔵及び処理装置を示す図である。
図7】シリンダに面するハードフェーシングタイルを備えたロールクラッシャを示す図である。
図8】シリンダでの八角形ハードフェーシングタイルの4つのグループを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1に示されるように、高圧ロールクラッシャ100は、ターゲット構成材料と不均質に結合されたデブリ粒子非晶質ガラススラグを含む粉砕前の材料を砕く、破砕する、及び引裂する。
【0050】
図7はロールクラッシャ100のロール102の側面図である。ロール102の円筒面に、ハードフェーシングタイル106、107、108、109が示されている。例示の目的で、円周上の一部にのみタイルを有してロールが示されているが、実際には、いくつかの実施形態では全周にわたってハードフェーシングタイルが存在する。
【0051】
図8に示されるように、タイル108、109、110、111の隣接する辺の間には、離間ギャップ120、123、124、125がある。各ハードフェーシングタイル106、107、108、109、110、111は、その辺のうちの1つおきの辺が別のハードフェーシングタイルの1辺に隣接しており、後者のハードフェーシングタイルも、その辺のうちの1つおきの辺がさらに別のハードフェーシングタイルの1辺に隣接している。タイルは八角形である。他のタイルの辺に隣接していない八角形タイルの辺は、そのグループ内に、タイルのないスペース130を形成する。各辺は長さが実質的に等しいので、スペースは実質的に正方形である。
【0052】
ハードフェーシングタイル106 106、107、108、109、110、111の辺のいくつかは、シリンダ102の軸線と平行又はほぼ平行である。これらの辺は、シリンダの表面の形状に適合するように直線又はほぼ直線である。ハードフェーシングタイル106 106、107、108、109、110、111の他の辺は、シリンダの円方向と平行又はほぼ平行である。これらの辺は、ハードフェーシングタイルの面が取り付けられるシリンダ102の円筒面104の形状に適合するように、円弧状の断面プロファイルを有する。
【0053】
ロールクラッシャが、約2、4、6、又は8mmのギャップ120、121、122、123、124、125によって離間されたシリンダに面するハードフェーシングタイルを備えることにより、粉砕前の材料は、ロールクラッシャ内で40mm、20mm、1000μm、400μm、又は100μmに粉砕される。デブリ粒子は、スラグとターゲット物質との境界線に沿って、いくらか又は大部分を破壊される。粉砕後の材料は、脈石/スラグ、ミドリング、及びターゲット物質の粒子を含む。これは、下流の選鉱プロセス中にターゲット物質をスラグ及びミドリングからより容易に分離できるようにする。
【0054】
図2に示されるように、ロールクラッシャ1の上流で、鉱石、尾鉱、採掘廃棄物、及び/又はスラグデブリを含む供給材料が、コンベアシステム7で給入(一次)ホッパ10に輸送される。コンベア7は、スラグ源(例えばスラグダンプ)が枯渇するにつれて伸び、フロントエンドローダ8によるスラグの容易な装荷を可能にする。水噴霧システム9は、コンベアシステムに噴霧してダストを制御する。
【0055】
一次供給ホッパ10は、例えば4m×4mの供給ホッパである。例えば4m×4mの一次供給ホッパ10が毎時130トンを超えるスラグを提供することによって、スラグが処理プラントに連続的に提供される。
【0056】
給入ホッパシステムには水噴霧システム11が装備されており、装荷中のダスト発生を最小限に抑える。
【0057】
流入するスラグはスカルピングユニット12を通過して、過大なスラグ及び大きな異物が除去される。過大なスラグは、サイズ減少のために破砕施設14に戻される。
【0058】
40mm以下の最大寸法を有する供給材料の粒子は、スカルピングユニット12を通過して下流へ進む。次いで、それらの粒子は磁気篩分システム13を通り、供給材料から異物金属が除去される。異物金属はトランプメタル(tramp metal)16として収集され、現地のリサイクル施設に送られる。
【0059】
異物金属を除去された供給材料は、第2の振動供給ホッパ17を通って下流に進み、図1に示されるロールクラッシャ100を備える乾式製粉機に供給される。こうして、粉砕前の供給材料が、粉砕後の材料になる。400μmを超える粒径を有する粉砕後の材料は、密閉された篩分機器3によって篩分され、コンベア4によってローラクラッシャ100に戻される。製粉プロセスは密閉されており、発生したダストをすべて抽出するためのダスト収集システム5が装備されている。最大寸法で400μm未満の粒径を有する粉砕後の材料は、第1のポンプによって圧送されて下流へスラリホッパ6に進む。
【0060】
図1に示される乾式製粉機では、高圧ロールクラッシャ1を使用して、フェロクロムスラグ及び/又は脈石及び/又は採掘若しくは粉砕廃棄物が、単一ステップで破砕される。
【0061】
図7は、高圧ロールクラッシャが、シリンダにハードフェーシングタイルを装備されている様子を示す。図8は、シリンダにあるハードフェーシングタイルのグループを示す。ハードフェーシングタイルは、図8では八角形タイルとして示されている。ハードフェーシングタイルの隣接する辺の間のギャップの離間距離は、2mm、3mm、4mm、5mm、又は6mm未満である。隣接するハードフェーシングタイルの隣接する辺は互いに平行である。
【0062】
破砕は、25,000時間を超える又は30,000時間を超える期間にわたって連続して行われる。その後、ロールクラッシャが点検され、新たなハードフェーシングタイルに張り替える。ハードフェーシングタイル間のギャップは、噛み込みエッジを提供し、これは、最大寸法が20mm、30mm、又は40mm未満の粉砕前の材料の粒子に切り込み、粒子を高圧破砕ロールの「ピンチポイント」に引き込む。
【0063】
図1に示されるように、2軸超音波乾式篩分システム3が、過大な材料を篩分し、高圧ロールクラッシャ1に再循環して戻す。「規格適合」材料、例えば最大寸法が400μm未満の粒子を含む材料は、乾式篩3を通過し、図3に示される湿式篩分プロセスに入る。湿式篩分プロセスは、規格適合材料を狭い帯域幅に分別する。湿式篩分プロセスは、第1の湿式篩18、第2の湿式篩19、及び第3の湿式篩20によって達成される。3つの湿式篩18、19、20は、ストリームを並列に処理する。図1に示される篩分機器3及び移送コンベア4は、高圧ロールクラッシャ1において400%の再循環負荷を可能にする。これは、自生破砕を誘発する。流入する30mm未満の粉砕前の材料に微細な材料を再循環して戻すことによる自生破砕により、粒子整形が行われ、それにより、各粒子の角を丸くすることによって、角張った粒子が亜角粒子にされる。これは、スラグの非晶質ガラス相を、貴重な鋳物砂生成物に変換する。
【0064】
最大寸法が400μm未満の粉砕後のデブリは、篩分システム3を通過し、スラリホッパ6に進む。スラリホッパ6及び第1のポンプは、図1及び3に示されている。
【0065】
2軸超音波乾式篩分システム3は、多数の独立した篩分デッキに目詰まりのない篩を採用して、毎時数百トンの乾式微細篩分能力を実現する。例えば、2軸超音波乾式篩分システムは、4つの独立した篩分デッキに目詰まりのない篩を採用して、毎時400トンの乾式微細篩分能力を実現する。
【0066】
乾式製粉及び篩分システム3は、図1に示される中央ダスト収集システム5に接続されている。中央ダスト収集システム5は、空気/ダスト分離サイクロン及びバグハウス濾過システムを備える。回収されたダストは、スラリホッパに供給され、破砕されたスラグと共に湿式選鉱システムで処理される。例えば、ダスト収集システムは、製粉及び篩分システムによって生成された微細ダストを毎時約0.64トン収集し、この微細ダストは、密閉スクリューコンベアを介して湿式スラリホッパ6に移送され、それによりダストがプラント内で空中に浮遊するのを防ぐ。破砕された粉砕後のデブリ及びダスト収集システムからの微細デブリは、スラリホッパ6内で水と混合されて、湿式選鉱用の40%重量の固体スラリを生成する。このスラリは、連続的に撹拌され、図3及び4に示される湿式選鉱回路に供給される。湿式篩18、19、20は、湿式トリプルデッキを備える。図3に示されるように、最大粒径が400マイクロメートル未満の粉砕後のデブリは、様々な破片サイズに分別される。いくつかの実施形態では、最大粒径が600マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満の粉砕後のデブリが分別される。例えば、図3には4つの破片サイズが示されており、図3に示される300μm~400μmの第1の破片サイズ21、25、29が含まれている。また、200μm~300μmの第2の破片サイズ22、26、30、100μm~200μmの第3の破片サイズ23、27、31、及び10μm~100μmの第4の破片サイズ24、28、32も存在する。第1の破片サイズは、重量で50%~70%であり、典型的には60%である。第2の破片サイズは、重量で10%~30%であり、典型的には20%である。第3の破片サイズは、重量で5%~20%であり、典型的には15%である。第4の破片サイズは、重量で1%~10%であり、典型的には5%である。合計は100%であり、例えば第1の破片サイズが70%である場合、1つ又はすべての他の破片サイズは、それに従ってその範囲の下限に近づくことになる。
【0067】
したがって、粒径の狭い帯域幅が作成される。プロセスは連続的であり、スラリホッパ及び第2のポンプ33によって第1の重力分離機37に提供される300μm~400μmの粒子の第1のストリームがある。また、スラリホッパ及び第3のポンプ34によって第2の重力分離機40に提供される200μm~300μmの粒子の第2のストリーム、スラリホッパ及び第5のポンプ35によって第4の重力分離機37に提供される100μm~200μmの粒子の第3のストリーム、並びにスラリホッパ及び第5のポンプ36によって第4の重力分離機45に提供される10μm~100μmの粒子の第4のストリームも存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、粉砕後のデブリは、1000マイクロメートル未満、600マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満で重力分離機に提供される。次いで、狭帯域幅のストリームが調整される。帯域幅は、比例的に、又はターゲット物質及び脈石に応じて別の方式で調整することができる。
【0069】
粒径の狭い帯域幅のストリームは、図4に示される重力分離システムにおいて比重と粒径との相反を克服する。100μm以下の帯域幅を専用の重力分離機37、40、43、46、39、42、45、48に供給すると、クロム濃縮物を非晶質ガラススラグ成分の残差からほぼ完全に、又は少なくとも重量で70%、80%、85%、90%、93%、95%、97%、又は97%を超えるレベルで完全に分離することができる。
【0070】
4つのスラリホッパと、第6、第7、第8、及び第9のポンプ38、41、33、47とが、狭帯域幅の粒子の4つの個別のストリームをそれぞれ第5、第6、第7、及び第8の重力分離機39、42、45、48に供給する。
【0071】
図3及び4に示される湿式選鉱回路は、図6に示される100立方処理水貯留タンク62を使用して、スラリホッパ6及び第1のポンプに水を供給して、湿式選鉱用の40重量%の固体スラリを生成する。
【0072】
スラリは、図4に示されるようにクロム単位を脈石(尾鉱)から分離する選鉱システムなど、いくつかの選鉱システムを通過する。いくつかの実施形態では、最大で2、4、6、8、又は10個の選鉱システムが存在することがある。
【0073】
尾鉱の第5のストリームが、重力分離機37、40、43、46、39、42、45、48から引き出される。第5のストリームは、図4及び図5に示されるスラリ移送ポンプステーション49に送られ、次いで図5に示される第1の脱水篩51に送られる。
【0074】
ターゲット濃縮物の第6のストリームが、重力分離機37、40、43、46、39、42、45、48から引き出される。第6のストリームは、図4及び図5に示される第2の脱水篩50に送られる。
【0075】
処理水はpHを監視され、それに従って、例えば図6に示される水酸化ナトリウム61で調整されて、処理水のpHを中性に保ち、処理機器の酸性腐食を回避する。
【0076】
一実施形態では、選鉱システムは、コンクリートの床に設置され、こぼれた処理水が環境に漏れるのを防ぐために囲壁によって囲まれた閉ループシステムである。
【0077】
処理水は、図5及び図6に示されるクロスフロー濾過システム64を通して濾過され、超微粒子が除去される。クロスフローフィルタは、図6に示される小さな沈降タンク63に逆流し、ここで水は選鉱システムに戻され、超微粒子は尾鉱に混合される。
【0078】
図4に示される重力分離機37、40、43、46、39、42、45、48は、最大で300gの重力を印加し、非晶質ガラススラグからクロム単位を重量で最大70%、80%、85%、90%、93%、95%、97%、又は97%まで選鉱することを可能にする。クロム単位相は、未変換のCr鉱石、スピナルと呼ばれる部分的に還元されたクロム相、及びフェロクロム金属と呼ばれる完全に還元されたクロム相を含む。
【0079】
図6に示されるように、オフロードポンプを備えた化学的な雨水タンク60は、水移送ポンプ62を備える水リザーバに供給する。図3及び4に示される湿式篩分及び湿式選鉱プロセスで使用される処理水62に、(ケイ酸塩ベースの)二元化合物が添加される。二元化合物は、各粒子の表面をコーティングし、それをケイ酸塩ガラスの層で封止する。これは、尾鉱砂粒子が残留重金属を環境に浸出するのを防ぎ、下流での用途で尾鉱砂を使用できるようにする。図5に示される水移送ポンプ54、54は、水を圧送して、クロスフロー濾過システム64及び沈降タンク63を介して主リザーバ62に戻す。
【0080】
一実施形態では、図5に示される尾鉱砂は、本明細書に記載のフェロクロムスラグ選鉱プロセスによって生成される。この尾鉱砂は、熱的に安定しており、亜角粒子で構成され、二元化合物によって封止され、したがって非危険物質として分類される高価値の鋳物砂である。鉄道車両積載部52の上流にある脱水篩51は、砂から水分を18%まで除去する。
【0081】
この二元化合物は強力な分散剤でもあり、処理水懸濁液中で、最大寸法が600マイクロメートル未満、400マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満のすべての粒子を分解し、互いに押し離す。これは、重力分離プロセスの効率をさらに高める。
【0082】
この二元化合物は、工場処理水のpHバランスを取るのに役立つ無色、無臭、高アルカリ性の溶液である。図6に示される水酸化ナトリウム定量供給システム61も、工場処理水のpHを調整するのに役立つ。
【0083】
図4に示される第2の段階の重力分離機39、42、45、48は、73%の金属鉱物、天然金属、又はクロム単位若しくは他の金属単位の濃縮物を、図5に示される第2の脱水篩50に提供する。いくつかの実施形態では、濃縮物は、50%、60%、70%、80%、又は90%以上の金属鉱物、天然金属、又はクロム単位、若しくは他の金属若しくはターゲット鉱物の単位である。
【0084】
回収されたターゲット濃縮物56(例えばFeCr)は超音波脱水篩50に通され、超音波脱水篩50は、18重量%の水分含有量(すなわち、処理プラントに入る生のスラグの水分含有量以下)まで濃縮物を脱水する。いくつかの実施形態では、水分含有量は、重量で30%、20%、10%、又は5%以下まで低下される。回収された水は、水移送ポンプ55によって再循環のために100立方処理水貯留タンク62に戻される。ウォーターニュートラル動作又はウォーターポジティブ動作が実現される。
【0085】
ターゲット濃縮物56は、水の流出を防ぐために囲壁を有するコンクリートパッド上に蓄積することができ、濃縮物からゆっくりと逃げる水が処理水回路に戻される。
【0086】
ターゲット濃縮物(例えば、FeCr)は、製錬のための製錬棟内に位置された乾燥及び混合施設に移送される。
【0087】
本発明を例示の目的でのみ説明してきた。したがって、上記のことは、本発明の原理の例示に過ぎないとみなされる。さらに、当業者には多数の修正及び変更が容易に想到されるので、本発明を図示及び説明した正確な構成及び動作に限定することは望ましくなく、したがって特許請求の範囲内ですべての適切な修正形態及び均等形態を採用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】