(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】有機化合物におけるまたはこれに関する改善
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20241128BHJP
B01J 13/22 20060101ALI20241128BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20241128BHJP
A61L 9/012 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20241128BHJP
A61L 15/20 20060101ALI20241128BHJP
A61L 15/46 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61L9/01 B
B01J13/22
C11D3/50
A61L9/01 Q
A61L9/012
A61L9/01 V
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q13/00 100
A61K8/36
A61L15/20 100
A61L15/46 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536288
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2022086105
(87)【国際公開番号】W WO2023111164
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,マシュー ピーター
【テーマコード(参考)】
4C081
4C083
4C180
4G005
4H003
【Fターム(参考)】
4C081AA01
4C081AA12
4C081CE11
4C081DA05
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4G005DC68X
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4G005EA03
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4G005EA07
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4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
4H003DA17
4H003DA19
4H003FA27
(57)【要約】
本発明は、水性媒体から悪臭源を含有する表面へ送達されるように、および感覚的に知覚可能な悪臭低減効果を表面にもたらすように適合された、ネオデカン酸亜鉛を含む悪臭低減組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸亜鉛と、香料成分、香料溶剤、界面活性剤またはこれらの混合物から選択される1以上の成分とを含む悪臭低減組成物であって、組成物が水性媒体中に分散されるように適合されている、前記悪臭低減組成物。
【請求項2】
カルボン酸亜鉛が、カプセル化された形態である、請求項1に記載の悪臭低減組成物。
【請求項3】
コアシェル微粒子の水性スラリーの形態であり、コアがカルボン酸亜鉛を含有する、請求項2に記載の悪臭低減組成物。
【請求項4】
カルボン酸亜鉛が、界面活性剤および任意に少なくとも1つの香料成分および/または香料溶剤を含む油相中に、溶解または分散している、請求項1に記載の悪臭低減組成物。
【請求項5】
界面活性剤が、非イオン性の界面活性剤である、請求項4に記載の悪臭低減組成物。
【請求項6】
界面活性剤が、エトキシ化された脂肪酸である、請求項4または5に記載の悪臭低減組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の悪臭低減組成物を含む、消費者向製品。
【請求項8】
カーペットスプレー、ファブリックスプレー、万能洗浄剤、浴室洗浄剤、台所洗浄剤、床洗浄剤、食器手洗い用洗浄剤、おむつ、女性用衛生用品、猫砂、ロールオンデオドラント、ロールオン制汗剤、液体石鹸、固形石鹸、ボディウォッシュ、洗剤バー、洗剤ペースト/クリーム、洗剤粉末錠剤、液体洗剤、液体洗剤カプセル、洗剤粉末、ファブリック芳香剤、香りブースター、アイロン水、および液体柔軟剤からなる群から選択される、請求項7に記載の消費者向製品。
【請求項9】
悪臭発生源を含有する表面に悪臭拮抗効果をもたらす方法であって、カルボン酸亜鉛を含有する悪臭低減組成物を水性媒体から表面へ送達するステップを含む、前記方法。
【請求項10】
表面が、ヒトまたは動物の皮膚または毛、または、硬質表面、床、浴室およびトイレなどのすべての様式の家庭表面、食器、カトラリーおよびその他の台所用品およびファブリックを包含する無生物表面から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
悪臭が、体臭、頭皮悪臭、生ゴミからのまたはヒトもしくは動物の排泄物からの悪臭から選択されるものである、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、カルボン酸亜鉛を含む悪臭低減組成物、および、悪臭源を含有する表面へ水性媒体から当該悪臭低減組成物を送達することにより悪臭を抑制または排除する方法に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
ヒトの嗅覚は複雑であり、および悪臭がどのように知覚されるかは多くの要因によって影響され得る。しかしながら、悪臭を感知し、および実際に排除する上で最も重要な要因は、悪臭分子の気相濃度である。悪臭の抑制または排除は、悪臭分子を化学的に修飾して無臭の反応生成物を生み出す悪臭拮抗剤(malodour-counteracting agents)の使用により、または、悪臭の発生の前駆体として作用する可能性のある微生物に対し効果を奏する抗微生物活性を有する悪臭中和剤を使用することにより、達成することができる。いずれの場合も、介入の成功には、大抵、悪臭発生源を含有する表面への十分な高用量の悪臭拮抗剤の送達に、および、それらが悪臭拮抗効果を奏することを可能にするのに十分な期間の間それらを表面上に保持することに依拠する。
【0003】
ある特定のカルボン酸亜鉛を包含する亜鉛塩は、化学的および抗菌的手段の両方によって悪臭を低減または抑止することが知られている。とりわけ、ネオデカン酸亜鉛は、エアロゾル系制汗剤組成物における悪臭低減活性剤として有用であると記載されている(WO2018/087147)。エアロゾル系制汗剤組成物におけるその優れた消臭の利益は、周知のアルミニウムベースの制汗活性剤に少なくとも匹敵し、効果の点で勝るとも劣らないものであり、および、エアロゾル系制汗剤組成物における塩化アルミニウムの代替品として採用される可能性さえある(WO2018/087148)。しかしながら、これらの場合のいずれにおいても、悪臭源を含有する表面上へと直接噴霧した無水製剤にはネオデカン酸亜鉛が採用されていた。高濃度のネオデカン酸亜鉛を処理が必要な表面へ直接適用できる場合には、消臭の面で高い効果を予期することができる。
【0004】
ネオデカン酸亜鉛は、無水製剤からもたらされたとき、特に、処理される表面へ直接噴霧されたときに、効果的な悪臭拮抗剤になることが証明されているが、他の製品形式への、および特に水性の製品形式へのそのより広範な適用性は、水性の製品形式におけるその極めて乏しい可溶性または分散性によって妨げられていた。ネオデカン酸亜鉛を水性の形式で、または消費者によって使用される際に高希釈で水と混合されることを意図した形式で製剤化することの困難性は、かかる形式において感覚的に知覚できる悪臭低減効果を生み出すことができなかったことを意味し、および、無水エアロゾルデオドラントの形式での有効性にもかかわらず、それがロールオンデオドラント、食器手洗い用製品、表面洗浄剤、ならびに、液体および粉末洗濯洗剤、ファブリックコンディショナー、ファブリックリフレッシャー、および香りブースターを包含するがこれらに限定されないファブリックケア製品、を包含する消費者向製品において活用されていない理由を説明づける。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明の目的は、従来技術およびその付随する問題に、それらが消費者向製品における使用のための悪臭低減技術の有効性に関連するため対処すること、ならびに、水性媒体から悪臭源を含有する表面へ送達されて知覚可能な感覚上の利益をもたらすことができる悪臭低減組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、当該悪臭低減組成物を作製および使用する方法に関する。
【0006】
従って、本発明は、第1の側面において、カルボン酸亜鉛と、香料成分、香料溶剤、界面活性剤またはこれらの混合物から選択される1以上の成分とを含む悪臭低減組成物であって、組成物が水性媒体中に分散されるように適合されている、悪臭低減組成物を提供する。
【0007】
第2の側面において、本発明は、悪臭発生源を含有する表面に悪臭拮抗効果をもたらす方法を提供し、当該方法は、カルボン酸亜鉛を含有する悪臭低減組成物を水性媒体から表面へ送達するステップを含む。
第3の側面において、本発明は、本明細書に定義される悪臭低減組成物を含む消費者向製品を提供する。
【0008】
本発明の記載された側面または態様のいずれか1つ以上に関連して提供される詳細、例および選好は、本明細書においてさらに説明され、本発明のすべての側面および態様に等しく適用される。本明細書に記載の、すべての可能なバリエーションにおける態様、実施例および選好のあらゆる組み合わせは、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
図面の説明
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】知覚された悪臭強度 - 例6Aを例証する結果
【
図2】着用されたTシャツインサート上にポストドーズされたリフレッシャースプレー製剤の知覚された悪臭強度 - 例6Cを例証する結果
【
図3】悪臭またはフレグランスの知覚された強度 - 例6Dを例証する結果
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の詳細な説明
本出願人は、驚くべき様式で、カルボン酸亜鉛、特にネオデカン酸亜鉛の水への可溶性または分散性に乏しいにもかかわらず、香料成分、香料溶剤、界面活性剤または本明細書でより十分に記載されているとおりの技術と、カルボン酸亜鉛とを、選択的な様式で混合しまたは組み合わせることで、知覚可能な悪臭低減性能をもたらすために、高希釈の水性媒体から送達されたときでさえも、十分な濃度のカルボン酸亜鉛を悪臭源を含有する表面に送達することができる悪臭低減組成物を生み出すことができることを発見した。性能は、高濃度のカルボン酸亜鉛を、処理される表面に送達するように組成が適合されていることによって説明できる。さらにまた、本出願人は、より十分に本明細書に記載されているとおりカルボン酸配位子を注意深く選択することによって、カルボン酸亜鉛が表面上で優れた皮膜形成特性を呈しおよびリンスオフに抵抗することができるということを、驚くべきことに見出した。
【0011】
本発明の第1の側面において、悪臭低減組成物において有用なカルボン酸亜鉛は、水性媒体から送達されたときに、悪臭発生源を含有する表面に対して効果的な悪臭低減効果を発揮するその能力に基づいて選択される。選択において、関連する考慮事項は、香料溶剤、香水成分、界面活性剤またはこれらの混合物の1つ以上を含有する油相におけるカルボン酸塩の可溶性を包含する。これらの成分を含む油相におけるカルボン酸塩の可溶性が高くなるほど、悪臭低減組成物中におけるその濃度が高くなり得る。その他の考慮事項は、カルボン酸塩の、水性媒体中に分散し、およびそこから処理される表面上に均一に沈着する能力、ひとたび沈着したら表面に接着する能力、ならびにその揮発性を包含する。表面によく沈着し、ひとたび沈着したら表面からすぐに蒸発しないカルボン酸塩は、自明のことながら、より長くおよびより効果的な悪臭低減効果を発揮することができる。もう1つの重要な考慮事項は、カルボン酸塩の匂いである。明らかな理由により、悪臭低減組成物がそれ自体悪臭の元となる有効成分を含有していたら望ましくない。
【0012】
1~3の炭素原子の炭素鎖長を有するカルボン酸亜鉛は、極めて水に可溶性であり、および香料溶剤および香料成分に相溶性がなく、それほど好ましくない。1~7の炭素原子の炭素鎖長を有するものであるカルボン酸亜鉛は、刺激臭または不快な臭いさえ有する傾向があり、同様に好ましくない。しかしながら、カルボン酸基が8~12の炭素原子を有するカルボン酸亜鉛は、それらが最適な悪臭低減性能を有し、低い揮発性を有し、および匂いも少ないかまたは全くないため好ましい。カルボン酸亜鉛の中で最も好ましいのは、ネオデカン酸亜鉛である。ネオデカン酸亜鉛およびその調製のための方法、例えば酸化亜鉛および対応するカルボン酸からのものは、当該技術分野において周知である。
【0013】
悪臭低減組成物は、香料成分、溶剤または界面活性剤の特定の混合物の使用、および/または、カプセル化技術などのある特定の技術の使用の手段によって、その組成物が水性の消費者向製品組成物中へと組み込まれるとき、またはそれが消費者による使用において水に希釈されるときに、容易に水性媒体中に分散されれば、本発明の目的のために水性媒体中に分散するように適合されるものと考えられる。
本発明の具体的な態様において、カルボン酸亜鉛をカプセル化された形態で提供することにより、悪臭低減組成物は水性媒体中に分散するように適合される。
【0014】
カプセル化されたカルボン酸亜鉛は、複数の微粒子の形態で提示されることができる。微粒子は、一般に約1~1000ミクロンの範囲にある直径を有する小さな粒子である。微粒子は、シングルコアからマルチコアまでの範囲にある多様な構造を有してもよく、および単層または多層シェルを含むことができる。コア材料は、カルボン酸亜鉛と、香料成分または香料溶剤、あるいは界面活性剤などの、何らかの他の所望の成分とを含むことができる。微粒子コアには、100wt%まで、あらゆるレベルでカルボン酸亜鉛を負荷させることができる。しかしより具体的には、コアは、香料成分、香料溶剤、界面活性剤またはこれらの混合物と混和されたカルボン酸亜鉛を含有することができ、その場合、カルボン酸亜鉛を約10、20、30、40、50、60または70wt%の上方で含有することができる。
【0015】
微粒子は、微粒子が懸濁された水性スラリーの形態で提示されてもよい。微粒子がスラリー中へと安定的に組み込まれることを確実にするために、水性媒体は、懸濁剤、防腐剤、およびあらゆるその他の当該技術分野において一般的に知られている賦形剤を含有することができる。所望であれば、例えば噴霧乾燥によって、水性スラリーを脱水することで、存在する水分のレベルを低減させて、微粒子を粉末形式にて提示することができる。微粒子スラリーまたは脱水された微粒子を粉末形式に形成する方法は、当該技術分野において周知であり、および、かかる方法の例は、本明細書中の下記に引用されている参考文献において開示されており、これらのすべては参照により本明細書中へと組み込まれる。
【0016】
マイクロ粒子に使用されるシェル材料は、それらが組み込まれる消費者向製品のタイプに応じて様々であり得る。
慣習的に、シェル材料は、メラミンホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、ポリ尿素、ポリウレタンおよびポリアクリラートなどの熱硬化性ポリマーを構成することができる。かかる熱硬化性ポリマーのシェルは、コア材料の液滴周囲の界面重合などの、知られている重合方法によってシェルとして形成することができる。カプセル化されたカルボン酸亜鉛の調製に有用な熱硬化性ポリマーから形成されたコアシェルマイクロカプセルの例は、WO2004/016234、WO2006/056093、WO2007/137441、WO2008/098387、WO2009/100553、WO2017/001672、WO2018/197266、WO2016/207180、WO2018/149775、WO2011/161229、WO2013/092958、WO2016/071151、WO2016/071150、WO2016/071149、WO2017/085105、WO2014/064252、WO2014/064255、およびWO2014/032290に開示されており、これらの文献のすべては参照により本明細書中に組み込まれる。
【0017】
本発明において有用なコアシェル微粒子を形成するもう1つの一般的な方法は、コアセルベーションである。コアセルベーションは、コア材料の液滴周囲にコロイドが形成されおよび硬化させられることによってカプセルを形成させる周知の方法である。いわゆる単純コアセルベーションは単一のハイドロコロイドを使用するのに対し、複合コアセルベーションは2つのハイドロコロイドを使用する。本発明において有用なコアセルベート微粒子は、WO2015/150370、およびWO2013/068581に開示されており、これらの文献は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0018】
さらにまた、カプセル化組成物は、カルボン酸亜鉛と、デンプン、セルロース等といったシェル形成ポリマーとを含むエマルションを、噴霧乾燥させることによって、形成することができる。かかる微粒子およびそれらを調製する方法の例は、WO2020/149192、WO2015/189296、およびWO2020/201258に開示されており、これらの文献のすべては参照により本明細書中に組み込まれる。
【0019】
より最近では、香水業界はマイクロプラスチックが入っていない、あるいは実質的に入っていない、生分解性微粒子という方向に進んでおり、かかる微粒子は本発明に従ってカルボン酸亜鉛をカプセル化するのに有用である。生分解性微粒子は、様々なタンパク質および/または多糖類を使用したコアセルベーションまたは複合コアセルベーションのプロセスによって形成することができる。本発明において有用な生分解性微粒子の例は、WO2020/233887に開示されており、これは参照により本明細書中に組み込まれる。
【0020】
カルボン酸亜鉛のカプセル化された形態はまた、複数のパスティルまたはプリルの形態で提示することもでき、これは、カルボン酸亜鉛が水溶性マトリックス材料中に溶解または分散し、および結果として得られた混合物が、例えば押出しおよび切断によって成形されたときに形成することができる。あるいは、好適な液体浴中へとマトリックス材料およびカルボン酸亜鉛の溶融液滴を滴下することで液滴を硬化させおよびプリルを形成することができ、これを濾過によって回収することができる。
【0021】
水溶性マトリックスは、当該技術分野において一般に周知であるとおり、香りブースター組成物の調製において有用な様々な材料からなるものとすることができる。好適なマトリックス材料の例は、ポリエチレングリコール、充填材、および任意に粘土または塩またはそれらの混合物の、混合物である。係る組成物は、US2017/226690に記載されており、これは参照により本明細書中に組み込まれる。カルボン酸亜鉛、および、任意には香料成分、香料溶剤および界面活性剤は、マトリックス材料中へと自由に、または上でより十分に記載されているとおりカプセル化された形態で、組み込まれることができる。本明細書中の上記のカルボン酸亜鉛のカプセル化された形態もまた、かかる水溶性マトリックス中へと組み込まれることができる。
【0022】
本発明の、他の態様において、界面活性剤および任意に少なくとも1つの香料成分および/または香料溶剤を含む油相中に、カルボン酸亜鉛を溶解または分散させることにより、悪臭低減組成物は水性媒体中に分散するように適合され得る。
カルボン酸亜鉛は香料成分または香料溶剤にある程度可溶性または混和性であるものの、それらは実際上は水に不溶性である。従って、水をベースとした消費者向製品中に、または使用において水に希釈されることが意図される消費者向製品中に、有効濃度のカルボン酸亜鉛を分散させることを可能とするためには、界面活性剤と混和させてカルボン酸亜鉛を提示することが必要である。
【0023】
好ましい界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤である。好適な非イオン性の界面活性剤は、ロールオンデオドラント、食器手洗い剤、表面洗浄剤、デオドラント、ならびに、液体および粉末洗濯洗剤、ファブリックコンディショナー、ファブリックリフレッシャー、および香りブースターを包含するがこれらに限定されないファブリックケア製品、を包含する消費者向製品において一般的に採用されているあらゆるものを包含する。特に好ましい非イオン性の界面活性剤は、エトキシ化された脂肪酸を、および特に、採用されるカルボン酸亜鉛のそれと同じかまたは類似する鎖長を有するものを包含する。とりわけ好ましい非イオン性の界面活性剤の例は、Lutensol TO10またはSynperonic 13/9である。
【0024】
本発明の第2の側面に従うと、悪臭低減組成物は、水性媒体から、悪臭源を含む表面へ送達される。
本発明の具体的な態様において、本明細書中の上記の悪臭低減組成物は、完成した形態である。つまり、悪臭低減組成物は、消費者向製品ベース中へと組み込まれることが意図された、完成した製造品である。
例えば、具体的な態様において、複数の微粒子を含む水性スラリーの形態での悪臭低減組成物を水性の消費者向製品ベース中へと混合することで、消費者向製品を形成することができる。
【0025】
同様に、複数のカルボン酸亜鉛含有微粒子を含む乾燥粉末の形態での悪臭低減組成物を、乾燥粉末の消費者向製品ベース中へと混合することで、乾燥粉末形態での消費者向製品を形成することができる。かかる消費者向製品の例は、乾燥粉末洗剤であり、これは使用の間に水性媒体中に溶解または分散させることができる。
【0026】
本発明の、他の態様において、悪臭低減組成物はそれ自体が完成した製造品ではないが、しかし組成物の各成分が、消費者向製品ベースへ逐次的なまたは同時のステップで別々に添加されることで、その場において悪臭低減組成物が形成されてもよい。例えば、1以上の香料成分または香料溶剤またはそれらの混合物中に溶解した、カルボン酸亜鉛を含む油相を、既に非イオン性の界面活性剤を含有している消費者向製品ベースへ添加し、それにより、消費者向製品が本質的に同じ製造操作で形成されると同時にその場において完成した悪臭低減組成物を形成することができる。あるいは、香水成分をすでに含有している消費者向製品ベースに、カルボン酸亜鉛と非イオン性の界面活性剤との混合物を加えることもできる。
【0027】
カルボン酸亜鉛は、本発明の手段によって、悪臭源を含有するあらゆる様式の表面へ水性媒体から送達されることができる。表面は、ヒトまたは動物の皮膚または毛、または、硬質表面、床、浴室およびトイレなどのすべての様式の家庭表面、食器、カトラリーおよびその他の台所用品、ファブリック等を包含する無生物表面を包含する。かかる表面に見出される悪臭は、食品からの悪臭、体臭、ならびにヒトおよび動物の排泄物からの悪臭を包含する。
悪臭源は、これらに限定されないが腋窩汗などの個人的な悪臭、足臭、女性(膣)臭、頭皮/毛髪臭、尿臭、生ゴミ臭、室内空気臭、カビおよび白カビからの悪臭、および洗濯臭を包含する。
【0028】
本発明の第3の態様において、悪臭低減組成物をその中へと添加することができる消費者向製品は、これらに限定されないがカーペットスプレー、ファブリックスプレー、万能洗浄剤、浴室洗浄剤、台所洗浄剤、床洗浄剤、食器手洗い用洗浄剤、おむつ、女性用衛生用品、猫砂、ロールオンデオドラント、ロールオン制汗剤、液体石鹸、固形石鹸、ボディウォッシュ、洗剤バー、洗剤ペースト/クリーム、洗剤粉末錠剤、液体洗剤、液体洗剤カプセル、洗剤粉末、ファブリック芳香剤、香りブースター、アイロン水、および液体柔軟剤を包含する。
【0029】
悪臭低減組成物は、効果的な悪臭低減効果を発揮するために表面上へと有効量のカルボン酸亜鉛を送達するようなレベルで、先述の消費者向製品へ添加することができる。具体的な態様において、悪臭低減組成物の用量は、消費者向製品中のカルボン酸亜鉛の総重量が、消費者向製品の総重量に基づき約10wt%以下、特に9、8、7、6、5、4、3、2、3、2、1、0.5、0.4、0.3、0.2または0.1wt%以下になるようにする。
本発明は、以下の非限定的な例を参照して、さらに説明および例示される。
【0030】
例1
(悪臭低減組成物を含有するメラミン尿素ホルムアルデヒドカプセルの合成)
悪臭低減組成物(1wt%香料、19wt%ミリスチン酸イソプロピル、および80wt%ネオデカン酸亜鉛)をメラミン尿素ホルムアルデヒド中にカプセル化することで、以下の方法に従って1Kgのスラリーを形成する:
【0031】
反応器を20℃に設定し、および脱イオン水(600g)で充たす。架橋剤としてレゾルシノール(10g)、正に帯電した高分子コロイド安定剤(2g)およびメラミンホルムアルデヒドプレ縮合物(Luracoll SD)(5g)。攪拌スピードは400rpmに設定する。この段階で、360gの悪臭低減組成物(中鎖トリグリセリド中50wt%)を添加し、および水相中に分散させる。
重合は、以下の様式で行われた:pHが4に達するまでスラリーへギ酸(10%)を添加し、およびスラリーを35℃にて1時間攪拌する。その後、1時間にわたって反応器の温度を90℃まで上昇させる。
【0032】
最後にスラリーを冷却し、およびアンモニア(1g)の添加によりpHを3~5の範囲へと収まるまで調整する。脱イオン水を最後に加えることで、スラリーの体積を1Lにする。結果として得られたカプセル化組成物のスラリーが、反応器から排出される。
悪臭低減組成物をスラリー中にカプセル化することに成功した。
【0033】
例2
(悪臭低減組成物を含有するデンプンカプセルの合成)
水道水(55.0g)をステンレスビーカー中に計量した。その後、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウムE1450(18.7g)、デンプン変性Hi-Cap 100(2.2g)およびマルトデキストリンGlucidex IT-19(5.3g)を同じビーカー中に計量した。結果として得られた混合物を、まずステンレス鋼の棒で手動で攪拌し、および次いでIKA T25 Ultra-Turrax Homogenizerで13,500rpmで均質化されたことで均質な溶液が得られた。結果として得られた混合物へ、例1の悪臭低減組成物(17.8g)を添加した。次いで、同じホモジナイザーを使用して22,000~24,000rpmで20~30分間高せん断混合を実施したことで、エマルションを生産した。動的光散乱を使用したことで、液滴径が0.5~2ミクロンの間であることを確認した。
【0034】
LabPlant SD-06スプレードライヤーを使用して、エマルションを噴霧乾燥に供した。噴霧乾燥プロセスのパラメーターは、以下のとおりであった:吸気温度:190℃;排気温度:90℃;蠕動ポンプスピード:485mL/h;および空気流量:3.7m/s。
結果として得られた噴霧乾燥粉末を、密閉混合容器中で二酸化ケイ素Aerosil 200(0.5g)と混合した。
悪臭低減組成物を乾燥粉末中にカプセル化することに成功した。
【0035】
例3
(悪臭低減組成物を含有する香りブースター組成物の合成)
フュームドシリカ(Aerosil 200)@5wt%、CMC(Blanose)@5wt%、および塩化ナトリウム@80wtを融和させることによって、香りブースター組成物を調製した。10wt%および例1の悪臭低減組成物を、香りブースター混合物の上に加え、および、流動性の良い粉末が達成されるまで全体を融和させた。
(Aerosilはフュームドシリカ(Degussaの商標)であり、「Blanose」はカルボキシメチルセルロース(Herculesの商標)である)
【0036】
例4
(例3の香りブースター製剤からのネオデカン酸亜鉛のファブリックへの沈着)
ファブリック上の沈着を決定するためメタロクロミック指示薬の使用
Eriochrome Black Tは、様々な金属イオンとの複雑な滴定に使用できるメタロクロミック指示薬である。それは典型的にはpH10の緩衝液とともに使用され、亜鉛などの金属イオンと錯体を形成したときそこですぐに溶液が青色から赤色に変化する。複合体化したEriochrome Black Tの割合が、指示薬溶液の濃淡を決定する。あらゆる複合体化していない指示薬の存在は青色のままであり、これは赤色の複合体化した形態をマスクする可能性がある。したがって、試験をできるだけ高感度にするために、指示薬の使用をできるだけ少なくすることが重要である。しかしながら、これには、いずれかの色を知覚するのに十分な指示薬を使用することと注意深くバランスを取ることが必要である。
【0037】
エタノール中のネオデカン酸亜鉛の一連の溶液を調製した(対数ステップで10%~0.00001%)。さらなる一連のバイアルを、2mLのpH9.41緩衝液および10μLのEriochrome Black T溶液(エタノール中1%)で調製した。10μLのネオデカン酸亜鉛溶液を、エリオクロムブラックT溶液の入ったバイアルへ加えた。結果として得られた溶液の色は、ネオデカン酸亜鉛が0.1%以上の濃度で検出でき、0.01%が弱い陽性結果をもたらすことを実証している。
【0038】
模擬的な洗浄サイクル試験
10wt%の悪臭低減組成物(ネオデカン酸亜鉛@Dowanol TPM中10wt%)を、例3に記載された香りブースター組成物へ添加し、および徹底的に混合する。Dowanol TPMおよび香りブースター組成物のみを使用した試料もまた調製した。60gのガラス瓶中の50mLの蒸留水へ、150mgの各香りブースター組成物を添加した。4枚の小さなテリータオル(計14cm2)を、各瓶へ加え、およびローラー上に1時間置いた。
【0039】
指示薬溶液は透明ガラスバイアル(7.5mL)に緩衝液(1mL、pH 9.21)とEriochrome Black T溶液(エタノール中1%)を加えて調製した。各ボトルからのテリータオルの1枚ずつを、指示薬溶液を含有する別々のバイアルへ加えた。バイアルをかき混ぜて、結果として得られた色を記録した。
さらなる指示薬(10μLの、エタノール中の1%Eriochrome)を各バイアルへ加え、および、色がよりはっきり区別できるようになった。
【0040】
残ったテリータオル片を、蒸留水(50mL)を含有する新品の透明ガラス瓶(60mL)へ移した。ボトルをさらなる1時間の間、ローラー上に置いた。各ボトルからテリータオルを1枚取り出し、およびこれまでのとおりに指示薬溶液を用いて試験した(10μLのエタノール中1%Eriochrome、1mLのpH9.21緩衝液中)。結果として得られた溶液の色を区別することはまだ可能である。これはネオデカン酸亜鉛が生地に沈着してすすぎ後もそこに残っていることを実証している。
【0041】
残った2枚の布切れを、終夜空気乾燥させ、およびこれまでと同じ手順で試験した。ネオデカン酸亜鉛を含有する香りブースターと一緒に洗浄された布は、依然として亜鉛の存在について陽性であった。
この実験は、ネオデカン酸亜鉛が、ファブリック上に沈着してすすぎおよび乾燥後もそこに残ることができるということを実証した。
【0042】
例5
(ファブリック上での悪臭低減性能の実証 - トリガースプレー製剤)
ネオデカン酸亜鉛(0.75wt%)、溶媒としてDowanol TPM(0.25wt%)、Lutensol TO 10(9wt%)および水(90wt%)を使用して、無色透明のモデルトリガースプレー製剤を調製した。
Dowanol TPMおよびネオデカン酸亜鉛をフタル酸ジエチル(1wt%)に置き換えたことによって対照を調製した。
【0043】
Tシャツインサートを、モデル製剤および対照で前処理した。インサートを乾燥させ、およびTシャツの脇の中に置いて、それらを次いでボランティアのパネルが、フレグランス付き製品を使用することなく、丸一日着用した。その後、Tシャツインサートを、悪臭強度について、訓練された官能パネルが嗅覚的に評価した。
モデルトリガースプレー製剤で処理されたそれらのインサートは、対照製剤で処理されたそれらのインサートと比較して、悪臭強度の大幅な低減を呈したことが見出された。
【0044】
例6
(ファブリックに対する悪臭低減性能の実証 - 洗濯試験)
A. テリータオルに対する消臭
準備
表1に与えられた組成に従って、3つの異なる試験組成物(1~3)を調製した。悪臭としてのDowanol TPM中の0.006%3-メルカプト-3-メチルブタン-1-オール(MMB)の250μLと一緒に、試料NU67、MO48およびQC29(1000μL)を、別々の布切れ(70mm×70mmのテリータオルの正方形)の中央に適用する。対照として、一切の悪臭を伴わずに、試料ED71およびWC14を、別々の布切れ(70mm×70mmのテリータオルの正方形)の中央に適用する。各ファブリック片の右上にラベルを取り付けた。
【0045】
結果:
ファブリック片を、15名の評価者の訓練されたパネルが、悪臭強度について、0~100のスケールを使用して、対照を70に設定しおよび評価間を1分間間隔として評価した。試料は、ランダム化された順序で評価された(ランダム化はDesignExpressを使用して作成された)。非表示の対照(hidden control)(NU67)についての平均強度評価点は、63であった。パネルの信頼性は極めて良好であった(G=0.98、phi=0.98、評価者間信頼性=0.76)。
【0046】
【0047】
B. リフレッシャースプレーの適用による消臭-Tシャツインサート上へのプレドーズ
手法 - 試験製剤
2つのリフレッシャースプレーを製剤化し、一方はネオデカン酸亜鉛を伴うもの、他方はそれを伴わないものとした。それらは、表2中で上から下に提示された順に各成分を混合することによって調製した。
【0048】
【0049】
手法 - インサート準備
ファブリックインサートは、前洗浄され、のり抜きされ(de-sized)、ラベル付けされ、ポッパーを縫い込まれており、および洗濯物乾燥レールに掛けられる。ファブリックリフレッシャー製剤が、各Tシャツインサートへ適用される:製剤の2スプレー、これに続いて5分後にさらに2スプレー。次いで、インサートを乾燥させてから、表3に示すとおり、本技術の存在があった側(+TECH)となかった側(W/O)とをランダム化して、Tシャツへ取り付ける。
【0050】
【0051】
次いで、Tシャツはボランティアに供給され、彼らはいかなるフレグランス付き製品またはデオドラントも使用することなく1労働日の間それを着用する。次いで、Tシャツは、翌日評価のために返却される。
手法 - 訓練された感覚パネルの評価
Tシャツからインサートを外し、および2つの別々のテーブル(1つは左インサート用、もう1つは右インサート用)の周りに配置する。訓練された官能パネル(n=16)は、評価シートによって定義されたランダム化された順序で、0~100の自由スコアリングスケールを使用して、悪臭強度について各インサートを個別に評価する。
【0052】
結果
23着のTシャツが返却され(このうち1着は着用されていなかったが、非表示の対照として含まれていた)、および訓練された官能パネルによって評価された。インサートのうちのいくつかはフレグランスの匂いがしていることが指摘され、および後に結果から除かれた。
パネル評価の信頼性をパネル信頼性プログラム(v2-8)を使用してチェックしたところ、除外する必要のある評価者はなかった(G=0.93、phi=0.91、評価者間信頼性=0.47)。
【0053】
LS平均が20未満のTシャツインサートのペアの悪臭強度は低すぎると考えられて除かれた。残りのデータセットをANOVAによって分析した。
幾何平均悪臭強度を、標準誤差および左右間の差とともに、各インサートについて計算した。知覚された悪臭強度を測定したところ、全体的な結果は、ネオデカン酸亜鉛をプレドーズされたTシャツインサートの強度は、42.5の値であり、45.2の値を有するネオデカン酸亜鉛なしのTシャツインサートの強度よりも低かったというものである。
【0054】
C. リフレッシャースプレーの適用による消臭 - 着用後のTシャツインサート上へのポストドース
手法 - 試験製剤
2つのリフレッシャースプレーを製剤化し、一方はネオデカン酸亜鉛を伴うもの、他方はそれを伴わないものとした。それらは、表4中で上から下に提示された順に各成分を混合することによって調製した。
【0055】
【0056】
手法 - インサート準備(着用前)
ファブリックインサートは、前洗浄され、のり抜きされ、ラベル付けされ、ポッパーを縫い込まれており、および白Tシャツ(これもまた前洗浄およびのり抜きされている)の脇のエリアに取り付けられる。次いで、Tシャツは、いかなるフレグランス付き製品またはデオドラントも使用することなく1労働日の間それを着用するボランティアに供給される。次いで、Tシャツは、さらなる処理および評価のために返却される。
【0057】
手法 - インサート準備(着用後)
ファブリックインサートを、3名の内部官能評価者の訓練されたパネルが事前にスクリーニングしたことで、インサート上に知覚可能な量の悪臭があるがフレグランスは存在しないということを確認した。残りのインサートへ、ファブリックリフレッシャー製剤が適用される:選択したファブリックリフレッシャーのおよそ4ポンプ。左右いずれかのインサートに、異なるファブリックリフレッシャーが適用される。次いで、インサートを乾燥させてから、表5に示すとおり、本技術の存在があった側(+TECH)となかった側(W/O)とをランダム化して、Tシャツへ取り付ける。
【0058】
【0059】
手法 - 訓練された感覚パネルの評価
インサートを乾燥させ、および次いで嗅覚評価のためにペアで配置する。訓練された官能パネルは、評価シートによって定義されたランダム化された順序で、0~100の自由スコアリングスケールを使用して、悪臭強度について各インサートを評価する。
【0060】
結果
訓練された官能パネル(n=15)によって評価された17組のTシャツインサートがあった。
訓練された内部官能パネルによって提供された悪臭強度データを、パネル信頼性プログラム(v2-8)を使用してチェックした。結果は、除外する必要のある評価者はないことを示している(G=0.93、phi=0.90、評価者間信頼性=0.48)。
【0061】
LS平均が20未満のTシャツインサートのペアの悪臭強度は低すぎると考えられて除かれた。残りのデータセットをANOVAによって分析した。
幾何平均悪臭強度を、標準誤差および左右間の差とともに、各インサートについて計算した。知覚された悪臭強度を測定したところ、全体的な結果は、ネオデカン酸亜鉛をポストドーズされたTシャツインサートの強度は、37.3の値であり、44.4の値を有するネオデカン酸亜鉛なしのTシャツインサートの強度よりも低かったというものである(
図2)。
【0062】
D. 靴下とファブリックコンディショナー
試験製剤
2セットのファブリックコンディショナーを製剤化し、一方はデカン酸亜鉛を伴うもの、他方はそれを伴わないものとした。選択されたフレグランスは、「典型的な」ファブリックコンディショナータイプのフレグランスである。
【0063】
【0064】
手法 - 靴下を洗浄する
60足の靴下(30足が男性用、30足が女性用)を別々に分け、および、表7のとおりに左または右のいずれかが本技術あり(+TECH)またはなし(W/O)で処理されるように洗浄した。フレグランス付きでない洗剤を用いて標準的な洗浄サイクルを使用した。ファブリックコンディショナー(35g)を、洗浄サイクルの適当な部分でドラム内へと直接置いた。
【0065】
【0066】
手法 - 着用および自己評価
靴下は、ボランティア(ナイーブのパネリスト)に1労働日の間着用されるために提供され、次いでフレグランスおよび悪臭について評価され(0~10の固定スケール)、および好ましい靴下が選択された。
【0067】
結果
男性用靴下30足および女性用靴下29足が評価シートとともに返却された。デカン酸亜鉛を伴うファブリックコンディショナーを使用して洗浄された靴下と、伴わないものとを比較すると、明確な好みの差はなかった(男性16名は伴うもの、男性13名は伴わないもの、女性15名は伴うもの、女性13名は伴わないもの)。
【0068】
靴下のいくつかは全く悪臭を有しないと自己評価されて、データセットから除かれた。結果として得られたデータセットを使用したことで、試料のフレグランス強度および悪臭強度を、デカン酸亜鉛が存在するものとしないものとで比較した。これは統計学的に有意ではないものの、悪臭強度において示唆的な利益があることが見出された。知覚されるフレグランス強度において差はない(
図3)。
【国際調査報告】