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特表2024-545272エネルギー貯蔵要素(ESE)を充放電するための巻線形誘導機(WRIM)を使用するエネルギー貯蔵電源
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵要素(ESE)を充放電するための巻線形誘導機(WRIM)を使用するエネルギー貯蔵電源
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/30 20060101AFI20241128BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241128BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20241128BHJP
   H02K 7/02 20060101ALI20241128BHJP
   H02P 9/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02J3/30
H02J3/32
H02J15/00 A
H02J15/00 D
H02K7/02
H02P9/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536392
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022053501
(87)【国際公開番号】W WO2023122084
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/557,758
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524059674
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,スティーブン ビー.
【テーマコード(参考)】
5G066
5H590
5H607
【Fターム(参考)】
5G066AE14
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB03
5G066HB08
5G066HB09
5G066HB11
5G066JA05
5G066JB02
5G066JB03
5H590AA01
5H590AA02
5H590CA16
5H590CC05
5H590CC10
5H590CC24
5H590CD03
5H590CD05
5H590CE02
5H590CE05
5H590CE10
5H590EB02
5H590EB16
5H590FA01
5H590FA08
5H590FC01
5H590FC11
5H590GA02
5H590GA08
5H590HA02
5H590HA06
5H590HA27
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB02
5H607BB06
5H607BB14
5H607DD03
5H607EE42
(57)【要約】
貯蔵エネルギー電源は、巻線形誘導機(WRIM)を使用して外部ソースからエネルギーを受け取り、エネルギーをN個のエネルギー貯蔵要素(ESE)に三次巻線を介して貯蔵し、ESEを放電して、エネルギーを二次巻線を介して負荷生成出力に供給する。各放電中のESEは、二次巻線における総磁束に寄与し、個々のESE電圧を合計する。これらの電圧は、二次巻線と三次巻線のそれぞれとの間の変換比によって昇圧または降圧することができる。フライホイールを、エネルギーを貯蔵及び供給するために二次側に結合してもよい。負荷率電力制御を使用して出力電圧を安定させることができる。ソースは、外部電源、ESE、フライホイール、及び負荷の間で双方向のエネルギーの流れを可能にするように構成してもよい。WRIMによって、高レベルのAC及びDC出力電圧を提供する安全で信頼性が高く効率的なシステムが提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵電源であって、
可変周波数における可変AC入力電圧Vinを受け取るように構成された機械入力と、
巻線形誘導機(WRIM)であって、
第1の磁気コアの周りに360度巻かれ、前記入力に結合されて前記AC入力電圧Vinを受け取る一次巻線と、
前記第1の磁気コアに対して回転するように構成された第2の磁気コアの周りに360度巻かれ、負荷生成出力に結合された二次巻線と、
N個の三次巻線であって、それぞれ360/N巻かれ、前記第1の磁気コアの周りに分散され、前記一次巻線及び前記二次巻線の両方に磁気的に結合された、前記三次巻線と、
を含む、前記巻線形誘導機と、
N個のエネルギー貯蔵要素(ESE)と、
N個の双方向AC/DCコンバーターであって、それぞれ前記三次巻線のうちの1つを前記ESEのそれぞれに結合する、前記双方向AC/DCコンバーターと、
WRIMコントローラーと、を含み、
充電状態では、前記AC入力電圧が前記一次巻線に結合され、移動磁界を生成して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の相対回転を提供し、前記三次巻線を磁化して前記AC/DCコンバーターを通して電力を供給し、前記N個のESEのうちの1つ以上を選択的に充電し、
放電状態では、前記N個のESEのうちの1つ以上が、前記それぞれのAC/DCコンバーターを通してエネルギーを放電し、前記それぞれの三次巻線を励起して移動磁界を生成し、エアギャップを磁化して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の前記相対回転を補助し、前記二次巻線を磁化するために総機械磁束に個別に寄与して、前記放電中のESEからの前記電圧の合計に比例するAC出力電圧を前記二次巻線上に誘導し、エネルギーを前記負荷生成出力に供給する、前記エネルギー貯蔵電源。
【請求項2】
外部AC電源から固定周波数f1におけるAC電圧を受け取り、そのAC電圧を前記入力において可変周波数f2における前記可変AC入力電圧に変換するように構成されたAC/ACコンバーターをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項3】
外部DC電源からDC電圧を受け取り、そのDC電圧を前記入力において可変周波数における前記可変AC入力電圧に変換するように構成されたDC/ACコンバーターをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項4】
前記AC出力電圧は、前記二次巻線と前記N個の三次巻線との巻数比によって決定される変換比によって調整される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項5】
前記変換比は、前記AC出力電圧を増加させるために、すべてのN個のESEに対して平均して1:1よりも大きい、請求項4に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項6】
前記負荷生成出力は双方向のエネルギーの流れに対して構成され、
前記WRIMは、前記負荷生成出力からエネルギーを選択的に受け取って前記ESEを充電するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項7】
前記第2の磁気コアに結合されたフライホイールであって、前記フライホイールは、前記二次巻線を介して前記AC入力電圧、前記ESE、または前記負荷生成出力からエネルギーを選択的に貯蔵し、前記二次巻線を介して少なくとも前記ESE及び前記負荷生成出力にエネルギーを選択的に供給するように構成される、前記フライホールをさらに含む、請求項6に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項8】
前記機械エネルギー入力は双方向のエネルギーの流れに対して構成され、
前記WRIMは、前記負荷生成出力からエネルギーを受け取り、前記入力に前記エネルギーを戻すように構成される、請求項6に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項9】
前記N個のESEは互いに電気絶縁され、前記一次巻線、前記二次巻線、及び前記N個の三次巻線は互いに電気絶縁される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項10】
i=1~Nに対する一次巻数対三次巻数比Np/Nt(i)が、指定されたDC電圧VDC(i)を前記N個のESEのそれぞれに供給するように独立に構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項11】
前記N個の双方向AC/DCコンバーターは、1つ以上のESEを排他的論理和(XOR)で選択的に充電するように独立に制御可能であるか、前記1つ以上のESEを選択的に放電するように独立に制御可能である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項12】
前記一次巻線がM個の一次巻線に分割され、各一次巻線がそれぞれの機械エネルギー入力に結合されて前記AC入力電圧を受け取り、各一次巻線が前記三次巻線のうちの1つ以上に磁気的に結合され、
前記WRIMコントローラーは、前記M個の一次巻線の第1のサブセットに結合された1つ以上のESEを同時に充電し、前記M個の一次巻線の第2のサブセットであって、前記第1のサブセット及び前記第2のサブセットが重複しない前記第2のサブセットに結合された1つ以上のESEを放電するように構成可能である、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項13】
前記負荷生成出力に結合されて誘導抵抗負荷を変調し、前記WRIMの力率をアクティブに調整して回転速度を変化させ、前記AC出力電圧を目標電圧の指定された許容範囲内に維持する負荷率電力コントローラーをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項14】
前記第2の磁気コアに結合されたフライホイールであって、エネルギーを貯蔵し、運動エネルギーを前記ESEまたは前記負荷生成出力に供給する前記フライホイールをさらに含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項15】
前記WRIMコントローラーは、1つ以上のESEを放電してエネルギーを前記負荷生成出力に第1の時定数で供給し、前記フライホイールを減速させてエネルギーを前記負荷生成出力に第2の時定数で供給するように構成され、前記第2の時定数は前記第1の時定数よりも長い、請求項14に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項16】
前記放電状態では、前記WRIMコントローラーは、前記AC入力電圧を前記一次巻線から選択的に分離するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項17】
前記放電状態では、前記WRIMコントローラーは、前記AC入力電圧を前記一次巻線に結合されたままにして、前記負荷生成出力にさらなるエネルギーを前記二次巻線を介して供給するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵電源。
【請求項18】
エネルギー貯蔵電源であって、
可変周波数における可変AC入力電圧Vinを受け取るように構成された機械入力と、
巻線形誘導機(WRIM)であって、
第1の磁気コアの周りに360度巻かれ、前記入力に結合されて前記AC入力電圧Vinを受け取る一次巻線と、
前記第1の磁気コアに対して回転するように構成された第2の磁気コアの周りに360度巻かれ、負荷生成出力に結合された二次巻線と、
N個の三次巻線であって、それぞれ360/N巻かれ、前記第1の磁気コアの周りに分散され、前記一次巻線及び前記二次巻線の両方に磁気的に結合された、前記三次巻線と、
を含み、i=1~Nに対する二次巻線Nsと三次の巻数Ntとの巻数比(i)が、1を超える平均昇圧変換比を規定する、前記巻線形誘導機と、
前記第2の磁気コアに機械的に結合されたフライホイールと、
互いに電気絶縁されたN個のエネルギー貯蔵要素(ESE)と、
N個の双方向AC/DCコンバーターであって、それぞれ前記三次巻線のうちの1つを前記ESEのそれぞれに結合する、前記双方向AC/DCコンバーターと、
WRIMコントローラーと、を含み、
1つ以上の充電状態では、前記AC入力電圧が前記一次巻線に結合され、移動磁界を生成して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の前記相対回転を提供し、前記三次巻線を磁化して前記AC/DCコンバーターを通して電力を供給し、前記N個のESEのうちの1つ以上を選択的に充電するか、または前記二次巻線を磁化し、トルクを生成して前記フライホイールを充電し、
1つ以上の放電状態では、前記N個のESEのうちの1つ以上が、前記それぞれのAC/DCコンバーターを通して放電し、前記それぞれの三次巻線を励起して移動磁界を生成し、エアギャップを磁化して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の前記相対回転を補助し、前記二次巻線を磁化するために総機械磁束に個別に寄与して、前記放電中のESEからの前記電圧の合計に前記それぞれの昇圧変換比を乗じた値に比例するAC出力電圧を前記二次巻線上に誘導し、前記エネルギーを前記負荷生成出力に供給するか、または前記フライホイールがエネルギーを前記二次巻線を通して前記負荷生成出力に放電する、前記エネルギー貯蔵電源。
【請求項19】
エネルギー貯蔵電源であって、
巻線形誘導機(WRIM)であって、
それぞれ360/N巻かれ、第1の磁気コアの周りに分散されたN個の三次巻線と、
前記第1の磁気コアに対して回転するように構成された第2の磁気コアの周りに360度巻かれ、負荷生成出力に結合された二次巻線と
を含む、前記巻線形誘導機と、
N個のエネルギー貯蔵要素(ESE)と、
N個の双方向AC/DCコンバーターであって、それぞれ前記三次巻線のうちの1つを前記エネルギー貯蔵要素のそれぞれに結合する、前記双方向AC/DCコンバーターと、
WRIMコントローラーと、を含み、
充電状態では、外部電源が前記WRIMに結合され、移動磁界を生成して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の相対回転を提供し、前記三次巻線を磁化して前記AC/DCコンバーターを通して電力を供給し、前記N個のESEを選択的に充電し、
放電状態では、前記AC/DCコンバーターを通して放電する前記N個のエネルギー貯蔵要素のうちの少なくとも一部を使用して、前記三次巻線を励起して移動磁界を生成し、エアギャップを磁化して前記第1の磁気コア及び前記第2の磁気コア間の前記相対回転を補助し、前記二次巻線を磁化するために総機械磁束に個別に寄与して、前記放電中のエネルギー貯蔵要素からの前記電圧の合計に比例するAC出力電圧を前記二次巻線上に誘導し、前記エネルギーを前記負荷生成出力に供給する、前記エネルギー貯蔵電源。
【請求項20】
前記放電中のESEからの前記電圧に、前記二次巻線と前記それぞれの三次巻線との巻数比に関連するそれぞれの変換比が乗じられ、合計されて前記エネルギーを前記負荷生成出力に供給し、
前記N個のESEは互いに電気絶縁され、
エネルギーは、前記N個のESEのそれぞれと前記負荷生成出力とにおいて双方向に流れる、請求項19に記載のエネルギー貯蔵電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、米国特許出願第17/557,758号(2021年12月21日に出願)に対する。優先権の利益を主張する。なおこの文献は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、外部ソースから電力を受け取って貯蔵し、そのエネルギーを負荷に供給するエネルギー貯蔵電源に関し、より詳細には、外部ソースからエネルギーを受け取って、そのエネルギーをN個のエネルギー貯蔵要素(ESE)内に貯蔵し、ESEを放電してエネルギーを負荷生成出力に供給するための巻線形誘導機(WRIM)の使用に関する。WRIMによって、高レベルのAC及びDC出力電圧を提供する安全で信頼性が高く効率的なシステムが提供される。
【背景技術】
【0003】
エネルギー貯蔵電源は、外部電源(ACまたはDC)からエネルギーを受け取って貯蔵し、必要に応じて電力を負荷に供給する。これらのタイプのエネルギー貯蔵電源は、バッテリー、高密度キャパシタ、または燃料電池などの多数の個別の蓄電池内にエネルギーを貯蔵する。現在の技術では、これらの電池のそれぞれは、約2~3ボルトDCの生成に制限される。高DC出力電圧(たとえば、1,000ボルト)を負荷に供給するためには、500個の蓄電池を負荷全体にわたって直列に接続する必要があり得る。実用的な欠点としては、サイズ、重量、信頼性、個々の電池の経年変化による効率の低下、及び安全性の考慮が挙げられる。
【0004】
図1に示したように、エネルギー貯蔵電源10は、ACメインバス14を介してAC入力電圧を供給する公益事業体の電力網によって提供され得るようなAC電源12を含む。N個の蓄電池16の充電をサポートするために、同様の複数の降圧変圧器18及びAC/DC整流器20がAC入力電圧を降圧し、それを使用可能な電圧(たとえば、2~3VのDC)に変換して、N個の蓄電池16のそれぞれを充電する。蓄電池16は接触器22を介して相互接続されている。接触器22は、閉じると、すべての蓄電池16の直列接続をもたらし、それらの個々の電圧が合計されて、より高いDC出力電圧24が負荷26にわたって提供される。
【0005】
電圧等化回路網(VEN)28が、蓄電池16のそれぞれにわたって接続されている。各VEN26には、第1のスイッチQ1が抵抗器R1と直列に含まれ、N個の蓄電池のグループ間で蓄電池端子電圧の差をバランスさせるのに役立つ。各VEN26には、第2のスイッチQ2もQ2/R1と並列に含まれている。第2のスイッチQ2は、特定の蓄電池16が故障した場合にバイパスとして機能する。
【0006】
蓄電池の数が大きい場合、たとえば、1,000VのDC出力電圧を供給するのに十分な場合、サイズ、重量、信頼性、効率の低下及び安全性の考慮により、このアプローチは非現実的となる。
【発明の概要】
【0007】
以下は、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を得るための発明の概要である。この概要は、本発明の主要または重要な要素を特定すること、または本発明の範囲を描写することを意図したものではない。その唯一の目的は、本発明のいくつかのコンセプトを、後に提示されるより詳細な説明及び特許請求の範囲の規定に対する前置きとして簡単な形で提示することである。
【0008】
本発明によって、巻線形誘導機(WRIM)を使用して外部ソースからエネルギーを受け取り、そのエネルギーをN個のエネルギー貯蔵要素(ESE)内に貯蔵し、ESEを放電してエネルギーを負荷生成出力に供給する貯蔵エネルギー電源が提供される。WRIMによって、高レベルのAC及びDC出力電圧を提供する安全で信頼性が高く効率的なシステムが提供される。
【0009】
一実施形態では、WRIMは、N個の三次巻線であって、それぞれ360/N度巻かれ、第1の磁気コアの周りに分散された、三次巻線と、第1の磁気コアに対して回転するように構成された第2の磁気コアの周りに360度巻かれ、負荷生成出力に結合された二次(たとえば、回転子)巻線とを含む。N個の双方向AC/DCコンバーターが、三次巻線のそれぞれを、それぞれのエネルギー貯蔵要素(ESE)に結合する。各ESEは、バッテリー、高密度キャパシタ、または燃料電池などの1つ以上の直列接続された蓄電池を含む。充電状態では、WRIMコントローラーが外部エネルギー源をWRIMに結合し、移動磁界を生成して第1及び第2の磁気コア(たとえば、静止固定子磁石と回転回転子磁石)間の相対回転を提供し、三次巻線を磁化してAC/DCコンバーターを通して電力を供給し、N個のESEを選択的に充電する。放電状態では、WRIコントローラーが、N個のエネルギー貯蔵要素のうちの少なくとも一部をAC/DCコンバーターを通して放電し、三次巻線を励起して移動磁界を生成し、エアギャップを磁化して第1及び第2の磁気コア間の相対回転を補助し、二次巻線を磁化するために総磁束に個別に寄与して、放電中のエネルギー貯蔵要素からの電圧の合計に比例するAC出力電圧を二次巻線上に誘導し、エネルギーを負荷生成出力に供給する。AC出力電圧を整流して、DC出力電圧を供給してもよい。
【0010】
一実施形態では、外部エネルギー源は、第1の磁気コアの周りに360度巻かれた一次(たとえば、固定子)巻線に可変周波数f2における可変AC入力電圧によって通電することによってWRIMに結合される。一実施形態では、外部ソースは、固定周波数f1におけるAC電圧を供給するAC電源である。AC/ACコンバーターは、そのAC電圧を可変周波数f2における可変AC入力電圧に変換する。別の実施形態では、外部ソースは、DC電圧を供給するDC電源である。DC/ACコンバーターは、DC電圧を可変周波数f2における可変AC入力電圧に変換する。エネルギーをWRIMに結合する他のタイプの外部エネルギー源及び方法も考えられ、本発明の範囲内であると理解される。
【0011】
一実施形態では、AC出力電圧は、二次巻線上の巻数と三次巻線のそれぞれ上の巻数とによって規定される変圧比によって調整される。昇圧変圧比は1:1よりも大きく、出力電圧を増加させる働きをする。たとえば、巻数比が5:1で、それぞれ50V DCを提供する4つのESEがあると仮定する。4つのESEすべてを同時に放電すると、1,000VACのAC出力電圧が得られる(50*4*5)。昇圧変圧比は、はるかに少ない蓄電池によって、はるかに高い出力電圧をサポートすることができる。代替的に、巻数比は、低電圧負荷に対応するために降圧変圧比(1:1未満)を与えるように設計してもよい。
【0012】
一実施形態では、WRIMは任意選択で、第2の磁気コア(たとえば、回転子)に結合されたフライホイールを含む。外部電源、ESE、フライホイール、及び負荷のそれぞれは、エネルギーの双方向の転送に適切に構成されている。外部電源からのエネルギーは、ESEまたはフライホイールを充電してもよいし、直接負荷に行ってもよい。ESEからのエネルギーは、負荷、または可能性としてフライホイールに流れてもよい。フライホイールからのエネルギーは、ESEを充電するため、または負荷に逆に流れてもよい。最後に、未使用の場合、負荷内に貯蔵されたエネルギーは、ESE、フライホイール、そして最終的に外部電源に転送して戻してもよい。
【0013】
一実施形態では、一次(たとえば、固定子)巻線、二次(たとえば、回転子)巻線、及びN個の三次巻線のそれぞれは互いに電気絶縁され、N個のESEは互いに電気絶縁されている。
【0014】
一実施形態では、単一の一次(たとえば、固定子)巻線と、WRIM内に同じスロットを共有するN個の三次巻線とがある場合、AC入力電圧は、電池のいずれかを放電するときに切り離す必要がある。その結果、N個の双方向AC/DCコンバーターは、1つ以上のESEを排他的論理和(XOR)で選択的に充電するように独立に制御可能であるか、選択的に1つ以上のESEを放電するように独立に制御可能である。単一の一次では、異なるESEを同時に充放電することはできない。
【0015】
一実施形態では、一次(たとえば、固定子)巻線はM個の一次巻線に分割され、それぞれは、AC/ACまたはDC/ACコンバーターを介して外部ソースから可変AC入力電圧を独立に受け取る。各一次巻線は、1つ以上の三次巻線に磁気的に結合される。WRIMコントローラーは、M個の一次巻線の第1のサブセットに結合された1つ以上のESEを同時に充電し、M個の一次巻線の第2のサブセットであって、第1及び第2のサブセットが重複しない第2のサブセットに結合された1つ以上のESEを放電することができる。たとえば、6個の一次巻線がそれぞれ2個の三次巻線に結合されている場合(合計で12個の三次巻線)、WRIMコントローラーは、第1の6つの三次巻線に結合されたESEを同時に充電し、一方で第2の6つの三次巻線に結合されたESEを放電してもよい。
【0016】
一実施形態では、ESEが放電されると、その端子電圧が下がって、AC出力電圧が目標電圧を下回る場合がある。またはAC出力電圧は、他の理由により、目標電圧を超える場合がある。負荷力率コントローラーを負荷生成出力に結合して誘導抵抗負荷を変調し、WRIMの力率をアクティブに調整して第2の磁気コアの回転速度を変化させ、AC出力電圧を目標電圧の指定された許容範囲内に維持することができる。たとえば、スリップの増加(回転子速度の減少)によって、誘導されるAC出力電圧が増加し、ESE電圧の低下が考慮される。
【0017】
一実施形態では、フライホイールが第2の磁気コア(たとえば、回転子)に結合され、フライホイールが加速されたときにエネルギーを貯蔵し、フライホイールが減速されたときにエネルギーをWRIMに戻す。一実施形態では、WRIMコントローラーはESE及びフライホイールの両方を放電して、負荷にエネルギーを供給する。ESEは、フライホイールよりもはるかに短い時定数でエネルギーを迅速に供給する。通常、フライホイールは、ESEが部分的に枯渇するとエネルギーを供給し始める。フライホイールは、WRIMのシャフトに直接結合してもよいし、またはWRIMとフライホイールとの間で速度変更を与える中間ギアボックスを有してもよい。
【0018】
種々の実施形態において、WRIMコントローラーは、外部電源をWRIMから分離し、ESE及びフライホイール(提供されている場合)内に貯蔵されたエネルギーのみを使用して負荷にエネルギーを供給するか、または外部電源をWRIMに結合されたままにして、負荷にさらなるエネルギーを供給する。
【0019】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付図面と併せて、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】前述したように、降圧変圧器が個々の蓄電池を充電するように構成され、直列に接続されてそれらの電圧を合計し、エネルギーを負荷に供給する既知のエネルギー貯蔵電源のブロック図である。
図2】WRIMを使用して個々のESEとの間でエネルギーを転送し、エネルギーを負荷に供給する電力システムエネルギー貯蔵のブロック図である。
図3】外部電源、ESE、フライホイール、及び負荷間のエネルギーの双方向流を例示する図である。
図4A】3相エネルギー貯蔵電力システム、双方向AC/ACコンバーター、双方向AC/DCコンバーター、及びその中で使用される負荷力率コントローラーの概略図である。
図4B】3相エネルギー貯蔵電力システム、双方向AC/ACコンバーター、双方向AC/DCコンバーター、及びその中で使用される負荷力率コントローラーの概略図である。
図4C】3相エネルギー貯蔵電力システム、双方向AC/ACコンバーター、双方向AC/DCコンバーター、及びその中で使用される負荷力率コントローラーの概略図である。
図4D】3相エネルギー貯蔵電力システム、双方向AC/ACコンバーター、双方向AC/DCコンバーター、及びその中で使用される負荷力率コントローラーの概略図である。
図5A】一次(固定子)巻線が静止磁気コアの周りに360度巻かれ、二次(回転子)巻線が回転磁気コアの周りに360度巻かれ、3つの三次巻線がそれぞれ、静止磁気コアのそれぞれの120度の周りに巻かれて3つの独立したエネルギーポートを提供する12極WRIMの実施形態の図、及び三次巻線の巻線図である。
図5B】一次(固定子)巻線が静止磁気コアの周りに360度巻かれ、二次(回転子)巻線が回転磁気コアの周りに360度巻かれ、3つの三次巻線がそれぞれ、静止磁気コアのそれぞれの120度の周りに巻かれて3つの独立したエネルギーポートを提供する12極WRIMの実施形態の図、及び三次巻線の巻線図である。
図6】一次(固定子)巻線が6つのセグメントに分割され、各セグメントが2つの三次巻線に磁気的に結合されて、一次巻線の異なるセグメントによってサポートされるESEの同時充放電を容易にするWRIMの実施形態の図である。
図7A】6つの独立したエネルギー貯蔵ポートを備えた12極WRIMの実施形態の一次巻線、二次巻線、及び6個の三次巻線に対する巻線図である。
図7B】6つの独立したエネルギー貯蔵ポートを備えた12極WRIMの実施形態の一次巻線、二次巻線、及び6個の三次巻線に対する巻線図である。
図7C】6つの独立したエネルギー貯蔵ポートを備えた12極WRIMの実施形態の一次巻線、二次巻線、及び6個の三次巻線に対する巻線図である。
図7D】6つの独立したエネルギー貯蔵ポートを備えた12極WRIMの実施形態の一次巻線、二次巻線、及び6個の三次巻線に対する巻線図である。
図8A図7A~7Dに示したWRIMに対する設計パラメータを指定する表である。
図8B図7A~7Dに示したWRIMに対する設計パラメータを指定する表である。
図8C図7A~7Dに示したWRIMに対する設計パラメータを指定する表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によって、巻線形誘導機(WRIM)を使用して外部ソースからエネルギーを受け取り、そのエネルギーをN個のエネルギー貯蔵要素(ESE)内に貯蔵し、ESEを放電してエネルギーを負荷生成出力に供給する貯蔵エネルギー電源が提供される。エネルギー貯蔵及び供給は、回転子に取り付けられたフライホイールによって補完することができる。WRIMによって、高レベルのAC及びDC出力電圧を提供する安全で信頼性が高く効率的なシステムが提供される。
【0022】
本明細書で使用する場合、概して言えば、WRIMは、第1の磁気コアの周りに360度巻かれ、機械エネルギー入力に結合されて可変周波数(電力)における可変AC入力電圧を受け取る一次巻線と、第1の磁気コアに対して回転するように構成された第2の磁気コアの周りに360度巻かれ、負荷生成出力に結合された二次巻線と、N個の三次巻線であって、それぞれ360/N度巻かれ、第1の磁気コアの周りに分散され、一次巻線及び二次巻線の両方に磁気的に結合された、三次巻線とを含む。一般的に、一次(固定子)巻線及び三次巻線は、どちらか一方の磁気コア上に巻かれている場合があり、二次(回転子)巻線は、互いに対して回転するもう一方のコア上に巻かれている場合がある。より従来的には、固定子巻線は静止磁気コア上に巻かれ、回転子巻線は、静止磁気コアの内部で回転する内部磁気コア上に巻かれる。一般性を失うことなく、本発明の実施形態は、さらなる三次巻線が静止磁気コアの周りに分散される固定子巻線及び回転子巻線の従来の命名法を使用して説明する。さらに、巻線は単相または多相であってもよい。一般性を失うことなく、本発明は従来の3相巻線を使用して説明する。
【0023】
次に図2を参照すると、エネルギー貯蔵電源200の実施形態はWRIM202を含む。WRIM202は、静止磁気コア206の周りに360度巻かれた固定子巻線S204と、静止磁気コア206の内部で回転するように構成された回転磁気コア(「回転子」)210の周りに360度巻かれた回転子巻線R208と、N個の三次巻線T1、T2、…、TN212であって、それぞれ360/N度巻かれ、静止磁気コア206の周りに分散され、一次巻線及び二次巻線の両方に磁気的に結合された、三次巻線T1、T2、…、TN212とを有する。固定子巻線204は、一般的な単一の多相均等分散巻線として示されている。後述するように、固定子巻線は、それぞれ1つ以上の三次巻線に磁気的に結合されたM個のセグメントに分割され得る。固定子、回転子、及び三次巻線は、それぞれの巻数比Ns、Nr、及びNt(i)(i=1~N)を有する。固定子対三次の比Ns/Nt(i)によって、三次巻線のそれぞれに対するAC電圧の大きさが決定される。回転子対三次の比Nr/Nt(i)によって、三次巻線から回転子巻線への変換比(昇圧または降圧)が決定される。機械エネルギー入力213は固定子巻線204に結合され、エネルギー貯蔵ポート214はそれぞれの三次巻線212に結合され、負荷生成出力216は回転子に結合される。
【0024】
外部電源は、WRIM202内にエネルギーを貯蔵するために電力を供給する。この特定の実施形態では、外部電源は、可変周波数f2における可変AC入力電圧Vinを供給して、固定子巻線S204に通電するように構成される。図示したように、外部電源は、固定周波数f1におけるAC電圧を供給する一般的な公共電力網などのAC電源218である。双方向AC/ACコンバーター220が、固定周波数f1におけるAC電圧を可変周波数f2における可変AC入力電圧Vinに変換し、これが入力213に供給されて固定子巻線に通電し、WRIMに電力を供給する。好ましい制御モードは、電圧を固定子巻線に一定のボルト/ヘルツ比で印加することである。代替的に、外部電源は、DC電圧を供給するDC電源とすることができる。双方向DC/ACコンバーターは、DC電圧を可変周波数f2におけるAC入力電圧Vinに変換する。エネルギーをWRIMに結合する他のタイプの外部エネルギー源及び方法も考えられ、本発明の範囲内であると理解される。
【0025】
WRIMを起動し、回転子210を目標の速度にするために、真空遮断器222を閉じて(短絡させて)、回転子巻線208を短絡させる。ESE AC/DCコンバーターの電源を切って、三次巻線212を開く。ラインDCが、ESE AC/DCコンバーターのうちの1つを通して引き込まれ、可変周波数ACに変換されて、WRIMを起動するために電力を供給する。回転子210がベースラインシャフト速度(たとえば、3600rpm)に達すると、真空遮断器222が開き、回転子はキャパシタシャント励起を所定の位置に有して、三次巻線212を磁化する。
【0026】
固定子巻線S204に通電すると移動磁気波が生成され、静止磁気コア206の内部の回転子210が回転し、N個の三次巻線212が磁化されて、N個のエネルギー貯蔵ポート214のそれぞれにおいてAC電圧Vp(i)=Vin/(Np/Nt(i))が生成される。各ポートは双方向AC/DCコンバーター224に接続され、双方向AC/DCコンバーター224はエネルギー貯蔵要素(ESE)226に接続されている。ESEは好ましくは互いに電気絶縁されている(228)。各ESE226には、1つ以上の直列接続された蓄電池230、たとえば、バッテリー、高密度キャパシタ、または燃料電池が含まれる。現在の技術では、各電池は、完全に充電されると約2~3VDCを生成できる。ESEは、同一であってもよいしそうでなくてもよく、同じ合計DC電圧を生成してもよいしそうでなくてもよい。したがって、一次巻数対三次巻数比は、異なるESEを充電するために異なるDC電圧を提供するように設計してもよい。放電されると、各ESEは、それぞれのコンバーター224を通してAC電圧を生成し、このAC電圧は、エネルギー貯蔵ポート214における対応する三次巻線212を励起して移動磁界を生成し、回転子と静止磁気コアとの間の半径方向のエアギャップを磁化して回転子の回転を補助し、回転子巻線208に磁気的に結合された総磁束に寄与する(合計する)磁束を生成する。エネルギー貯蔵ポートにおけるAC電圧(したがって、主磁束への寄与)は、変換比Nr/Nt(i)によって調整される。比が1を超える場合、それは、三次電圧レベルを上げる昇圧変圧器として機能する。比が1未満である場合、それは、三次電圧レベルを下げる降圧変圧器として機能する。各ESEがそのコンバーターを通して選択的に通電されると、機械の磁束は制御可能なステップで磁気飽和限界まで増加する。1つ以上のESEは、同時または順次に選択的に充電または放電できる。
【0027】
移動磁界及び対応する総磁束は、回転子巻線208上に、それぞれの回転子対三次巻線比によって重み付けされた放電中のESE226からの電圧の合計に比例したAC出力電圧VoutACを誘導し、組み合わされたエネルギーを負荷生成出力216に供給する。必要に応じて、双方向AC/DCコンバーター232が、三次巻線AC出力電圧をDC出力電圧VoutDCに供給する。出力電圧VoutACまたはVoutDCは、パルス形成ネットワーク(PFN)234を充電するために使用されるか、またはPFNなしで負荷236に直接供給される。PFN234は、WRIMによって供給されたエネルギーを、負荷236に放出される前に、少なくとも一時的に貯蔵することができる。
【0028】
一例としては、WRIMが全速またはそれに近い速度で回転する場合、ESE226のそれぞれはその最大定格電圧まで充電される。最大定格電圧は、低電圧、たとえば、2.0ボルトのバッテリー電池24個がそれぞれ直列にあることを表す48ボルトDCである。充電用のエネルギーはAC電源218から得られ、480ボルトAC3相などの中電圧であってもよい。エネルギー貯蔵電源200の目的は、最終出力においてより高い電圧、たとえば1,000VDCを生成することであり、これは、機械の巻線上では、最低限で750ボルトAC3相に相当する。充電モードでは、固定子巻線の入力電圧は中程度に高く、三次巻線はより少ない巻数で巻かれているため、電池の充電を48VDCなどの低電圧で行うことができ、これは、各ESE AC/DCコンバーター224に対するAC電圧として約38ボルトの線間3相が必要になる。WRIMが固定子上で480ボルトACで巻かれている場合、電圧巻数比の例は480:38または12.6:1である。整数を必要とする実際の機械の巻線の場合、巻線の巻数比は12:1である必要がある。例により、3つの(3)ESEが構成され、それぞれの対応するAC/DCコンバーターが38VACの公称端子電圧を達成でき、750VACの最終出力が必要な場合、回転子対三次の電圧比は750:(3x38)または6.58:1である(現時点では機械のスリップは無視する)。実際には、WRIMは、次に大きい整数を巻線の巻数比に対して有するため、回転子対三次巻線の巻数比は7:1でなければならない。1,000VDC出力は72個のバッテリー電池のみで生成されるが、直列接続されたソースでは375個のバッテリー電池が必要となることに留意することは重要である。
【0029】
フライホイール240を、任意選択で、シャフト211を介して機械的に回転子210に結合して、運動エネルギーの貯蔵及び供給の両方を行ってもよい。良く知られているように、エネルギーが、回転子速度を上げることによってフライホイール内に貯蔵され、回転子速度を下げることによってフライホイールから放出される。回転子速度は、回転子巻線に適用される周波数に比例し、周波数を上げると速度が上がり、周波数を下げると速度が下がる。フライホイール240は通常、AC電源によって充電されるが、負荷またはESEにおける過剰なエネルギーによって充電してもよい。フライホイール240は、ESE226の放電時定数よりも長い時定数でエネルギーを供給する。たとえば、一実施形態では、ESE226のうちの1つ以上が放電されて、負荷にエネルギーのバーストが供給される。ESE226が部分的に放電されると、フライホイール240を使用して、はるかに長い時定数で回転子210を通して負荷にエネルギーを供給する。この組み合わされた放電特性は、多くの場合に負荷にとって有用である。
【0030】
WRIMコントローラー242は、AC/ACコンバーター220、ESE AC/DCコンバーター224、出力AC/DCコンバーター232をOPEN/CLOSE(オフ/オン)をするための、及び回転子周波数f3を増加または減少させてフライホイール240を充電または放電するための制御信号を生成する。図3と併せて後述するように、完全な双方向システムでは、エネルギーを供給、貯蔵、及び送出するための多くの異なる「モード」が存在する。
【0031】
WRIMでは、固定子及び三次巻線は、回転子速度とは無関係に常に同じ周波数f1である。回転子出力巻線周波数f3は、シャフト速度OmegaRに依存する変数である。回転子回路の周波数はf3=s*f1である。ここで、f1は一次巻線供給周波数(Hz)であり、sは単位あたりのスリップで、s=(OmegaS-OmegaR)/ωOmegaSと規定される。ここで、OmegaSは2*Pi*f1/極対と規定される同期シャフト速度、OmegaRは実際のシャフト速度であり、両方ともラジアン/秒である。
【0032】
WRIM200がその同期(フル)速度に近い速度で動作している場合、回転子の出力周波数f3は低周波数となる。たとえば、スリップ=単位あたり0.10、f1が400Hzの場合、回転子周波数は40Hzとなる。これは、出力の目的がこの回転子周波数を整流して高電圧DC出力を生成することであり、実際の周波数はそれほど重要ではないため、許容可能である。逆に、WRIMシャフト速度が半分の速度ポイントであり、スリップ=単位あたり0.50である場合、200Hzのより高い出力周波数も、DCに整流することに対して許容可能である。
【0033】
ESEが完全に充電され、放電の準備ができている場合を考えてみる。固定子巻線がAC電源から切断される(すなわち、AC-AC周波数コンバーター220がオフになる)。ESEの合計からの三次巻線電力が一度ACに変換されると、WRIMエアギャップの半径方向の磁束に磁気励起がもたらされる。停止状態では、結合された三次巻線の作用による誘導された回転子磁束はその最大値になる。完全な同期速度では、誘導された回転子磁束はほぼゼロである。10%などの実際の動作スリップでは、誘導された回転子磁束はその停止状態値の10%である。
【0034】
WRIMでは、結合されたESEの全出力が誘導機を通る。これはスリップ電力と規定され、常に公称スリップ値、たとえば10%が存在する。エネルギーコンバーターとしての機械効率は通常、92~95%であるため、回転子上の出力電力は、全出力の単位あたり0.92~0.95となる。しかし、最も重要な態様は電圧昇圧変換である。前述したように、望ましい全体的な回転子:三次の変圧比が7:1で、動作スリップが10%の場合、実際の巻線の巻数比は10x7または70:1でなければならない。有効巻数比はNr/(Nt(i)*スリップ)である。これは、実装するのに実用的な数値である。たとえば、三次巻線は12巻数/相を有することができ、ESEはそれぞれ、まとめて36巻数/相を有することができ、回転子は2520巻数/相で巻かれる。12極の機械では、これは210巻数/相/極になる。回転子は通常、3つのスロット/極/相を有する場合があり、したがって相あたりスロットあたりの巻数は70巻数となる。
【0035】
別の実際的な問題は、各ESE内の貯蔵エネルギーがその放電によって枯渇すると、その端子電圧も下がることである。負荷生成出力におけるVoutACまたはVoutDCを、目標値の指定された許容範囲内に維持することが望ましい。1つの既知のアプローチは、AC/DCコンバーター224を制御して、入力電圧対出力電圧の比を変えることである。コンバーターはアクティブフロントエンドによって構築されているため、反転モード時にそのスイッチングデバイスのゲーティング動作によってそのAC出力電圧を高めるかまたは一定に維持し、放電中のESEからのDC入力電圧の連続的な低下を補償することができる。新しいアプローチ(図4Dにより詳細に示す)では、負荷率電力コントローラー244(それ自体が、容量性負荷を補償して力率を1に戻すことを行うことで知られている)を使用して、(a)二次の負荷回路の力率を、純粋な抵抗負荷(力率1)であることから低下させるか、または(b)補助的で制御可能な誘導分岐によって分路された抵抗負荷にする。これにより、スリップが効果的に変更され、その結果、変換比が変更されて、Voutが目標値に保持される。
【0036】
図3に示すように、エネルギー貯蔵電源200の描写を、システムを通る種々の双方向のエネルギーの流れと、種々の動作「モード」とを例示するために簡略化している。回転子巻線出力AC/DCコンバーター、負荷率電力コントローラー、及び短絡遮断器は、簡単にするために省略している。巻線のそれぞれは3相として示している。明瞭にするために、図2と同様の参照番号を維持している。
【0037】
静電(電気化学)蓄電池/バンク(ESE)の正確な数とは関係なく、可能性として、エネルギー貯蔵電源には4つの異なるタイプのエネルギー貯蔵技術があることが理解される。
【0038】
1.フライホイール慣性エネルギー貯蔵。
【0039】
2.低電圧レベルでの静電気/電気化学エネルギー貯蔵。
【0040】
3.高電圧レベルでの出力パルス形成ネットワーク(PFN)内の容量性エネルギー貯蔵。
【0041】
4.電気機械(WRIM)のエアギャップと巻線インダクタンスにおける磁気エネルギー貯蔵。
【0042】
エネルギーは以下のように規定される。
【0043】
E1=AC電源エネルギー。
【0044】
Ef=機械エネルギーとしてWRIM回転子に出入りするフライホイールの運動エネルギーの流れ。
【0045】
EFm=規定の最高速度においてフライホイール内に貯蔵される運動エネルギーの最大量。
【0046】
ES1、ES2、ES3=それぞれのESEに出入りするエネルギーの流れ。必要なAC/DCコンバーターにはゼロまたは最小限のエネルギー貯蔵がある。エネルギー量はESEの間で変化する可能性があることに留意されたい。
【0047】
Eo=WRIM回転子巻線によって生成または吸収される中間の出力エネルギー。好ましい実施形態では、これは高電圧または中電圧出力である。AC/DC整流後のこのエネルギーを使用して、パルス形成ネットワークを充電するかまたは電力負荷をPFNなしで直接充電する。
【0048】
Efo=パルス形成ネットワーク(PFN)の最終エネルギー出力。PFNは、エネルギーをそのキャパシタバンク内に貯蔵し、一度に大量のエネルギーを放出することもできるし、あるいは、負荷抵抗器内へのエネルギーの流れを調節するサイリスタなどの出力電子スイッチを含むため、このエネルギーを少量に分割することもできる。
【0049】
最も一般的な構成では、各タイプのエネルギー源(AC電源、フライホイール、ESE、及び負荷)はエネルギーを双方向に転送する。WRIMコントローラーは、種々のエネルギー源を、コンバーターを介して事実上任意の組み合わせでターンオン/オフし、エネルギーを任意のソースから任意のソースに転送及び貯蔵することができる。
【0050】
システムのエネルギーの流れの最も重要な態様は、6つの基本モードに含まれる。
【0051】
モード0‐E1のAC電源エネルギーが最初にフライホイールを充電する。すなわち、E1=Ef+WRIMS固定子巻線での小さい散逸損失及びWRIMの風損。一定時間後に、E1が、AC電源からES1、ES2、及びES3を通して複数のESEを充電する。ここで、E1=ES1+ES2+ES3、その上、プラス3AC/DCコンバーターでの小さい損失と三次巻線損失とが、固定子巻線Sによって補償される。
【0052】
モード1‐慣性エネルギーEfのフライホイール出力の一部が、貯蔵デバイスエネルギーES1、ES2、&ES3の合計と組み合わされ、これらが複数の三次巻線セット内に放電されて、最大の可能な出力エネルギーEo(WRIM内に貯蔵される)を提供し、その後、回転子巻線Rから負荷生成出力に整流され、結果として生じるDC電力が、パルス形成ネットワークのキャパシタエネルギーバンク(PFN)内にルーティングされ、次いで最終負荷に送られる。
【0053】
モード2‐AC電源及び固定子巻線Sは、AC/ACコンバーターがオフであるため、電源が切られている。フライホイールは、モード1においてまたは以前の取り組みまたはミッションに由来する別のモードから、以前に充電されていた。フライホイールエネルギーは、最大運動レベルEfmに維持され、最初は放出されない。低電圧レベルでの静電(または電気化学)ソースES1、ES2、及びES3は、任意選択の整流を使用して回転子巻線によって磁気的に結合される。これらのエネルギーES1、ES2、及びES3は放電され、出力エネルギーEoと最終出力Efoを生成し、ESEはそのポテンシャルエネルギーレベルの約半分まで低下する。その後、フライホイールを使用して、ESEを、バランス式Ef=ES1+ES2+ES3に従って一括して再充電する。これにより、回転子巻線Rは、機械のエアギャップを磁化するために使用され、制御されたレートで再ESEを充電するための電圧/電力生成巻線としても機能する。このモードでは、フライホイールがこのモードの全期間にわたって回転していると想定している。
【0054】
モード3‐AC電源がオンで、固定子巻線Sが、AC/ACコンバーターがオンであるために通電される。フライホイールは、モード1においてまたは以前の取り組みまたはミッションに由来する別のモードから、以前に充電されていた。フライホイールエネルギーは、最大運動レベルEfmに維持され、最初は放出されない。低電圧レベルでのESE ES1、ES2、及びES3は、回転子巻線によって磁気的に結合され、整流後にこれらは放電されて出力エネルギーEoと最終出力Efoを生成し、ESEはそのポテンシャルエネルギーレベルの約半分まで低下する。その後、AC/ACコンバーターがオンのAC電源と、回転しているフライホイールとを共同で使用して、静電源を、バランス式(E1+Ef)=ES1+ES2+ES3に従って再充電する。これにより、固定子巻線Sは、機械のエアギャップを磁化するために使用され、回転子巻線は、フライホイールが今やその運動エネルギーの一部を送出していることに基づいて、制御されたレートで再ESEを充電するための電圧/電力生成巻線として機能する。複数のAC/DCコンバーターは、各エネルギー源への充電レートを別個に制御し、過充電を回避する。
【0055】
モード4‐ESEを順次に放電するか、またはただ1つのESEを完全に放電する。ES1を完全に放電し、ES2及びES3は積極的に放電しているが、まだ枯渇してはいない。ESE内への電流、電圧、及び電力/エネルギーを調節する独立したAC/DCコンバーターを使用することによって、フライホイールエネルギーEfは、ES1を充電し、次のように表されるメイン出力エネルギーEoにも寄与する。
【0056】
Ef=ES1+k1(Eo)、ここでk1は、フライホイールの負荷寄与に対する比例定数であり(たとえば、単位あたり0.30)、
ES2+ES3=k2(Eo)、ここでk2は、2つのエネルギー源の出力負荷への寄与に対する比例定数である(たとえば、単位あたり0.70、単位あたりk1+k2=1.0)。
【0057】
モード5‐ES1~ES3の以前の放電動作により、PFNは完全な容量性エネルギー貯蔵レベルE-PFNまで充電され、最終負荷は始動も接続もされないため、制御システムは、PFN内の出力エネルギーをWRIMに戻し、次いでこの回収されたエネルギーを、EoフライホイールまたはESEのいずれか、またはその両方に分配する必要がある。もう一度、回転子巻線は、機械のエアギャップを磁化する作用をし、発電巻線として機能して、出力エネルギーEo(PFN内に貯蔵されている)の一部を、ESEの1つ、2つ、または3つに、その個々のエネルギーレベルに応じて与える。AC/DCコンバーターの制御システムは、最低電圧/充電レベルを有するESEを測定し、このソースに優先してこの回収されたエネルギーを取り込む。ESEがEoのこれ以上の部分を何ら受け入れることができず、フライホイールが完全に充電されている場合、すなわちEf=Efmである場合、この回収されたエネルギーEoを、双方向AC/AC入力コンバーターを通してACソース電源(逆E1)に戻す必要があるが、これは通常望ましくない。そうでないと、余分なエネルギーが廃棄される。
【0058】
モード6‐すべてのESEの大部分が完全に充電される。AC電源は切断され、回転子は最初は停止状態にある。負荷を始動するためにPFNを充電する要求があると、エネルギーはESEから転送されて、WRIMを起動し、回転子を重要な動作速度まで上げる。次いで、フライホイールまたはESEまたはその両方からのエネルギーを一括して使用して、エネルギーをPFN及び負荷に供給する。
【0059】
次に図4A~4Dを参照すると、3相エネルギー貯蔵電源400の実施形態はWRIM402を含む。WRIM402は、静止磁気コア406の周りに360度巻かれた3相固定子巻線S404と、静止磁気コア406の内部で回転するように構成された回転磁気コア(「回転子」)410の周りに360度巻かれた3相回転子巻線R408と、N個の3相三次巻線T1、T2、…、TN412であって、それぞれ360/N度巻かれ、静止磁気コア406の周りに分散され、一次巻線及び二次巻線の両方に磁気的に結合された、3相三次巻線T1、T2、…、TN412とを有する。回転子巻線は通常、回転子との間でAC電流を出入りさせる3つのスリップリングのセットと電気ブラシセットとを含む。
【0060】
3相巻線は「デルタ」巻線として示しているが、Y字型などの他の一般的な構成も使用できる。固定子、回転子、及び三次巻線は、それぞれの巻数比Ns、Nr、及びNt(i)(i=1~N)を有する。固定子対三次の比Ns/Nt(i)によって、三次巻線のそれぞれに対するAC電圧の大きさが決定される。回転子対三次の比Nr/Nt(i)によって、三次巻線から回転子巻線への変換比(昇圧または降圧)が決定される。3相機械エネルギー入力413は固定子巻線404に結合され、3相エネルギー貯蔵ポート414はそれぞれの3相三次巻線412に結合され、3相負荷生成出力416は回転子に結合される。
【0061】
一般的な公共電力網などの3相AC電源418が、固定周波数f1における3相AC電圧を供給する。双方向3相AC/ACコンバーター420が、固定周波数f1におけるAC電圧を可変周波数f2における3相可変AC入力電圧Vinに変換し、これが3相機械エネルギー入力413に供給されて固定子巻線S404に通電し、WRIMに電力を供給してN個の3相三次巻線412に通電する。
【0062】
各3相エネルギー貯蔵ポート414は、双方向3相AC/DCコンバーター424に接続され、コンバーター424はエネルギー貯蔵要素(ESE)426に接続される。AC/DCコンバーター424が整流モードで動作するように制御されると、DC電圧及び電力がESE426に加えられてESEを充電する。AC/DCコンバーター424が整流モードで動作するように制御されると、ESE426は放電して、三次巻線においてAC電圧を生成し、これが回転子巻線404に磁気的に結合された総磁束に寄与して、3相負荷生成出力416において3相出力電圧VoutACを生成する。
【0063】
出力電力は、3相双方向AC-DCコンバーター430を通してパルス形成ネットワーク(PFN)432に送られる。PFNは2段PFN(L1、C1、L2、C2)として示され、それによって、PFNの充電は、インダクタL1の入力側に接続されたIGBTまたはサイリスタなどの直列接続された固体スイッチによって制御される。出力負荷RL434は、固体または電気機械式であり得るスイッチSW1を閉じることによって制御される。
【0064】
回転子巻線Rは、図示したような3つの線間短絡接触器、真空遮断器436、またはその3相出力ポートに接続された電子スイッチ(ゼロ速度からの始動モードに使用される)のセットを有する。WRIMは、回転子巻線が短絡している従来のWRIMと同じように始動し、このモードではm巻線T1-T2-T3は開回路である。
【0065】
負荷力率コントローラー438が、回転子巻線の3相出力において3相負荷生成出力416に接続される。WRIMが全速に達した後、コントローラー438は、本来は抵抗負荷434にインダクタンスを加えて、WRIMの力率を低下させることができる。これにより、回転子電流が増加し、動作スリップも変更され、その結果、回転子の回転速度が変化して、AC出力電圧が目標電圧の許容範囲内に維持される。
【0066】
図4Bに、業界では一般的な双方向3相AC/ACコンバーター420の実施形態を示す。AC/ACコンバーター420には、サイリスタ446の第1及び第2のグループ442及び444(各相に2つの直列接続されたサイリスタ、合計で12個)、または代替的に、DCリンク448にわたって逆並列に接続された絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)が含まれる。3相AC電源418は、第1のグループ442の各対においてサイリスタ446間に接続される。3相機械エネルギー入力413は、一方の側の一次巻線に接続され、第2のグループ444の各対においてサイリスタ446間に接続される。ゲート制御が、1つ以上のゲートコントローラー448によって各サイリスタ446の3番目のリードに提供される。コンバーターは、固定周波数f1におけるAC電圧を可変周波数f2における可変AC入力電圧に変換する。「A BASIC GUIDE TO POWER ELECTRONICS」Alberty Kloss,John Wiley&Sons、第8章Power Balance in Three-Phase Bridge Converters、ページ100~115,1984を参照のこと。
【0067】
図4Cに、業界では一般的な双方向3相AC/DCコンバーター424の実施形態を示す。AC/DCコンバーター424には、3相パッシブダイオードブリッジ整流器450とアクティブサイリスタ(またはIGBT)インバータ452とが含まれる。これらは、3相エネルギー貯蔵ポート414における三次巻線412とESE426との間に並列に接続されて、ESEをそれぞれ交互に充放電する。整流器450は、3対の直列接続されたダイオード454を含む。3相エネルギー貯蔵ポート414は、それぞれの対においてダイオード454間に接続される。整流器450は、3相エネルギー貯蔵ポートにおけるAC電圧414をDC電圧に変換し、DC電圧はESEを充電するために印加される。インバータ452は、3対の直列接続されたサイリスタ456を含む。ゲーティングコントローラー458が、サイリスタ456の3番目のリードを駆動する。3相エネルギー貯蔵ポート414は、それぞれの対においてダイオード454間に接続される。インバータ452は、ESEのDC電圧を3相エネルギー貯蔵ポートにおけるAC電圧414に変換し、ESEを放電して負荷を駆動する。「A BASIC GUIDE TO POWER ELECTRONICS」Albert Kloss,John Wiley&Sons、第8章Power Balance in Three-Phase Bridge Converters、ページ100~115,1984を参照のこと。
【0068】
図4Dに、業界では一般的な電力コントローラー438の実施形態を示す。負荷率電力コントローラー438は、回転子の出力において3相負荷生成出力416に接続される。コントローラーには3つのレッグがあり、各レッグには、インダクタ460(L1、L2、L3)、好適には空芯ACインダクタ、抵抗器(R1、R2、R3)、及び一対のサイリスタ462及び464(双方向の電流フローをもたらすために逆並列に接続される)の直列接続が含まれる。ゲーティング位相角コントローラー466は、WRIMコントローラーから信号入力を受け取り、各サイリスタのゲートリードへの制御信号を生成する。負荷率電力コントローラー438は、負荷回路の力率を純粋に抵抗性から部分的に誘導性に変更し、これにより、力率がほぼ1から遅れ値に低下する。これにより、回転子電流が増加し、動作スリップも変更され、その結果、回転子の回転速度が変化して、AC出力電圧が目標電圧の許容範囲内に維持される。多相誘導バンクの使用は、この速度スリップ制御方式において明かな実電力損失がないことを意味する。「Induction MAChines」Philip L.Alger著,Gordon and BreACh Science Publishers,第8章,ページ261~265,1970を参照のこと。
【0069】
次に図5A及び5Bを参照すると、エネルギー貯蔵電源として使用するために構成されたWRIM500の実施形態は、3つの三次巻線グループを備えた12極108スロット/90スロットマシンである。WRIM500には、静止磁気コア504の周りに360度巻かれた一次(固定子)巻線502が含まれる。固定子スロット1~108は、スロットの下部に位置するデルタ接続で従来の3相巻線内に12極の重ね巻き完全分散型二重層コイルを含む。この構成は3つのスロット/極/相を有する。二次巻線506は、回転子磁気コア508の周りに360度巻かれている。回転子スロット1~90は、デルタ接続された重ね巻き90コイルの完全分散型3相巻線を含む。これは、2.5のスロット/極/相を備えた従来の分数スロット巻線である。相あたり巻数及び電圧は高い。3つの三次巻線T1510、T2512、及びT3514はそれぞれ、2x60の周囲度の周りに巻かれ、静止磁気コア504の周りにそれぞれ分散される。固定子スロット1~18は三次巻線T1を含み、固定子スロット19~36は三次巻線T2を含み、固定子スロット37~54は三次巻線T3を含む。コイルのレイアウトは、すべての3つの巻線に対して正反対に繰り返され、それぞれにおいて3相重ね巻き二重層コイルがあり、すべてのグループ間でガルバニック絶縁されたY字型接続となっている。各2極グループは、直径方向の2極グループと並列に接続され、合計4極によって120度の円弧が形成されている。一次巻線はスロットの下部にあり、三次巻線はスロットの上部にある。3つの三次巻線の12極配置を図5Bに示す。
【0070】
次に図6を参照すると、エネルギー貯蔵電源600の実施形態はWRIM602を含む。WRIM602は、分割された一次巻線604A、604B、…、604Fであって、静止磁気コア605の周りに巻かれ、それぞれの双方向3相DC/ACコンバーター606によって駆動される一次巻線604A、604B、…、604Fを有し、双方向3相AC/DCコンバーター(図示せず)を介してWRIMの三次巻線に結合された異なるESE(図示せず)を同時に充電または放電するためのさらなる柔軟性を提供する。この例では、DCバス608が外部電源として機能して、DC入力電圧を提供する。双方向3相DC/ACコンバーター606のそれぞれは、DC電圧を、可変周波数を有するAC入力電圧に変換して、分割された一次巻線604A、604B、…、604Bのうちの異なる1つに通電する。この例では、6つの分割された一次巻線があり、それぞれ2個の三次巻線に磁気的に結合され、合計で12個の三次巻線610がある。一般的に、分割された各一次巻線は、任意の数の三次巻線に結合することができる。特定の時点において、三次巻線の各対またはグループは、充電または放電している場合があるが、両方ではない(たとえばXOR動作)。ただし、三次巻線の異なる対は充電または放電している場合があるが、それらは互いに独立している。固定子は72個のスロットを有し、分割された一次巻線は4つのスロット/極/相を有している。各三次巻線は、2つのスロット/極/相を有する。回転子巻線612は、回転子磁気コア614の周りに、6極、合計で54個のスロット、3つのスロット/極/相に分散されている。半径方向のエアギャップ615は、回転子磁気コア614を静止磁気コア605から分離する。この構成によって、エネルギー貯蔵電源は、ある特定のESEを同時に充電または再充電する一方で、他のESEを放電して負荷にエネルギーを供給することができる。
【0071】
次に図7A~7D及び8A~8Cを参照して、6個の三次巻線グループを備えた12極72スロット/90個のスロットWRIMに対する巻線図及び設計表を例示する。
【0072】
図7Aに示したように、巻線形誘導機内の12極の一次(固定子)巻線700は、3相入力用に配置された一次巻線において合計72個の固定子スロット及び72個のコイルを有する。各相は、すべてのコイルが直列接続であり、相あたり24個のコイルがある。2つのスロット/極/相があり、1セットに対しては2つのコイルが同じ方向に巻かれ、そして、セット内の次の2つのコイルに対しては巻き方向が交互に変わることを示している。たとえば、コイル1及び2は時計回りに巻かれ、コイル7及び8は反時計回りに巻かれて、繰り返し可能なパターンである。一次コイルは機械の周囲に均一に分散される。好ましいコイルは、従来技術の機械文献に記載されるように重ね巻き及び二重層である。典型的な導体材料は、撚り合わせ絶縁銅線または撚り合わせ絶縁アルミニウム線のいずれかである。各相は、Y字型またはスターポイント中性点接続において終了する。本発明は、コイルがデルタ構成で配置されている場合、及び二相または三相超えの構成で配置されている場合にも、等しく適用される。好ましい実施形態では、一次巻線は、固定子スロットの最下層において巻くことができ、三次巻線は最上層において巻くことができる。
【0073】
図7Bに示したように、12極の二次(回転子)巻線702は、3相入力用に配置された二次巻線において合計90個の回転子スロット及び90個のコイルを有する。各相には2つのグループが並列に存在し、相及びグループあたり15個のコイルがある。2.5のスロット/極/相があり、1セットに対しては2つまたは3つのコイルが同じ方向に巻かれ、そして、セット内の次のコイルに対しては巻き方向が交互に変わることを示している。すべてのコイルは、同じ巻数及び導体断面積を有し得る。たとえば、コイル1、2及び3(「S極」)は時計回りに巻かれ、コイル9及び10(「N極」)は反時計回りに巻かれて、繰り返し可能なパターンである。二次コイルは、機械回転子の周囲360度に均一に分散される。好ましいコイルは、従来技術の機械文献に記載されるように同心巻きまたは重ね巻き二重層である。典型的な導体材料は、撚り合わせ絶縁銅線または撚り合わせ絶縁アルミニウム線のいずれかである。各相はデルタ接続において終了する。励起入力用の機械の3つのスリップリングにアクセスするためには、端子A1をC2に接続し、端子C1をB2に接続し、端子B1を端子A2に接続する。
【0074】
図7C~7Dに示すように、主電気機械の6つの三次の交流巻線704を使用して、エネルギー貯蔵ユニット(ESE)に、個々のAC/DC電力コンバーターを通してアクセスする。6つのグループの各1つは、2つの極または固定子スロット周囲の60度を占める。全部で12の極がある。図のブロック上の数字は、周囲に順番に配置されたコイル1~72として接続された実際の三次コイル番号に対応する。好ましい実施形態では、合計72個の固定子スロットがある。コイルは、相あたり2つの並列グループによりY字接続で配置される。各グループは合計で12個のコイルを有し、これは3相巻線であるため、設計数q=2スロット/極/相となる。コイルあたりの巻数は指定されていない。なぜなら、これは正確にどのタイプのエネルギー貯蔵ユニットを使用するか(たとえば、電気化学電池または静電キャパシタ)に依存するからである。一般的に、これらのコイルは低電圧高電流サービスを目的としている。好ましいコイルは、従来技術の機械文献に記載されるように重ね巻き及び二重層である。典型的な導体材料は、撚り合わせ銅線または撚り合わせアルミニウム線のいずれかである。コイル1~18及び19~36は「N極」用に巻かれ、コイル37~54と55~72とは「S」極用に巻かれ、交番磁界を生成する際の電流フローの相対的な方向を規定する。本発明は、コイルがデルタ構成で配置されている場合、及び二相または三相超えの構成で配置されている場合にも、等しく適用される。好ましい実施形態では、三次巻線は共通の固定子スロットを一次巻線と共有する。
【0075】
6つの三次巻線グループを備えた12極72/90のスロットWRIMの一次巻線(固定子)、二次巻線(回転子)、及び三次巻線の特定の実施形態に対する設計表800、802、及び804を図8A~8Cに示す。
【0076】
本発明のいくつかの例示的な実施形態について図示及び説明してきたが、多くの変形及び代替的な実施形態が当業者に想起されるであろう。このような変形及び代替的な実施形態は考慮されており、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく作ることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】